本発明の実施形態について、添付された図面を参照して以下に説明する。本実施形態は、車両のスライドドアに適用される車両ドア開閉装置を開示する。図1は、スライドドアを有する車両を示す図である。スライドドア100は、車両本体101に形成される昇降口102を全閉する全閉状態を採り得るように、昇降口102に対して開閉可能に車両本体101に取り付けられる。スライドドア100を開閉操作するためのアウトサイドハンドル81がスライドドア100の車室外面側に、インサイドハンドル82がスライドドア100の車室内面側に、それぞれ設けられる。
図2は、スライドドア100および車両ドア開閉装置を示す図である。図2に示すように、スライドドア100の内部には、スライドドア100を全閉位置(全閉状態であるときにおけるスライドドア100の位置)にて係止する係止機構としてのフロントドアロック装置10Aおよびリアドアロック装置10Bと、これらのドアロック装置にケーブルで接続されたリモコン装置10Dが設けられる。リモコン装置10Dにインサイドハンドル82が装着される。フロントドアロック装置10Aはスライドドア100の前端側に設けられ、リアドアロック装置10Bはスライドドア100の後端側に設けられる。これらの配設位置に対応するように、車両本体101のドア枠の内側面に複数のストライカ103が設けられる(図1参照)。また、図1に示すように車両本体101の所望位置に制御装置104が取り付けられる。制御装置104はCPU,ROM,RAMを主要構成とするマイクロコンピュータであり、スライドドア100の開閉作動を制御する。また、車両本体101にはパワースライドドアユニット(PSDユニット)105が設けられる。PSDユニット105は、スライドドア100を自動的に開閉させるための駆動部品を有し、制御装置104からの指令に基づいてスライドドア100を自動的に開閉作動させる。なお、スライドドア100は手動操作によっても開閉させることができる。ドアロック装置10A,10B、リモコン装置10D、制御装置104およびPSDユニット105により車両ドア開閉装置が構成される。
図3は、フロントドアロック装置10Aおよびリアドアロック装置10B(以下、ドアロック装置10)の概略構成を示す図である。図3に示すように、ドアロック装置10は、ベース盤11と、ベース盤11に取り付けられたラッチ12およびポール13を備える。ベース盤11にストライカ受容溝14が形成される。スライドドア100を閉じるとストライカ受容溝14の開放端部からストライカ受容溝14内にストライカ103が進入する。
ストライカ受容溝14よりも図3において下方位置にて、ポール13がベース盤11に回動可能に軸支される。ポール13は、その回動軸13aから図3において右方に延出したラッチ係止片13bと左方に延出したストッパ片13cを有する。また、ポール13とベース盤11との間にトーションスプリング15が設けられており、トーションスプリング15によりポール13が図3において反時計周り方向(規制方向)に付勢される。そして、ストッパ片13cがベース盤11に係合することにより、ポール13が係止位置に位置決めされる。
また、ポール13は駆動レバー13dを備える。駆動レバー13dは、ベース盤11を隔ててラッチ係止片13bと反対側に設けられる。駆動レバー13dは回動軸13aを中心としてラッチ係止片13bおよびストッパ片13cと一体的に回動する。駆動レバー13dの先端部分にオープンケーブル91Wの一端が接続される。オープンケーブル91Wの他端がリモコン装置10D側に接続される。オープンケーブル91Wがリモコン装置10D側に引っ張られた場合、駆動レバー13dが図3において時計周り方向に回動し、これに連動してラッチ係止片13bがトーションスプリング15の付勢力に抗して図3において時計周り方向(解除方向)に回動する。
ストライカ受容溝14よりも上方位置にて、ラッチ12がベース盤11に回動可能に軸支される。ラッチ12は、その回動軸12aから同一方向に向けて突出したハーフラッチ爪12bおよびフルラッチ爪12cを有する。ハーフラッチ爪12bとフルラッチ爪12cとの間に溝12dが形成される。溝12d内にストライカ受容溝14内に進入するストライカ103が受け入れられる。また、ラッチ12とベース盤11との間にトーションスプリング16が設けられる。トーションスプリング16によりラッチ12が図3において時計周り方向(解除方向)に付勢される。そして、スライドドア100を開けた状態では、図3に示すようにラッチ12がベース盤11に当接して所定の位置(解除位置)に位置決めされる。
スライドドア100が開いている状態から、スライドドア100が閉方向にスライドした場合、ストライカ103がストライカ受容溝14に進入する。ストライカ103はさらにラッチ12に形成されている溝12d内にも進入する。ストライカ103が溝12dの側壁に当接することによりラッチ12がストライカ103に押されて図3において反時計周り方向(規制方向)に回動する。これによりラッチ12がストライカ103に噛み合う。
ラッチ12がストライカ103に押されることによって、ラッチ12の回転位置は、図3に示される解除位置から、ラッチ12のハーフラッチ爪12bがポール13のラッチ係止片13bに当接したハーフラッチ位置を経由して、図4に示すような、フルラッチ爪12cがラッチ係止片13bに当接したフルラッチ位置に移行する。フルラッチ位置ではポール13がラッチ12の回転を規制する。このためスライドドア100が全閉位置にて係止されるとともにその全閉状態が維持される。
また、図3および図4に示すように、ドアロック装置10にはリリースアクチュエータ17が取り付けられる。リリースアクチュエータ17はベース盤11に固定される。リリースアクチュエータ17は電動モータ171を備える。電動モータ171の出力軸がポール13に接続される。リリースアクチュエータ17の電動モータ171は、制御装置104から入力される駆動指令信号に基づいて駆動して、ポール13を回動させる。例えば、フルラッチ位置でラッチ12の回転がポール13により規制されているときに、リリースアクチュエータ17が駆動してポール13を図4において時計周り方向に回動させる。すると、ポール13によるラッチ12の回転規制が解除されて、ラッチ12がストライカ103を開放する。このようにリリースアクチュエータ17が駆動することによって、ラッチ12の回転規制が自動的に解除される。
次に、リモコン装置10Dについて説明する。図5はリモコン装置10Dの正面図である。なお、リモコン装置10Dに備えられる各部位品についても、図5に示す方向から見た図を正面図とする。図5に示すように、リモコン装置10Dは、ベース盤21と、インサイドハンドル82と、オープンケーブル91Wを介してドアロック装置10(係止機構)に接続されるレバー機構30と、チャイルドプロテクト機構40と、スイッチユニット60と、ロッキングユニット70とを有する。ベース盤21がスライドドア100に固定されることによって、リモコン装置10Dがスライドドア100に取り付けられる。
図6はベース盤21の正面図である。図6に示すように、ベース盤21は、縦長の平板形状をなし、主に金属で形成される。ベース盤21には、インサイドハンドル取り付け孔211、第1軸孔212、第2軸孔213が形成される。インサイドハンドル取り付け孔211はベース盤21の上方部分から中央部分にかけて大きく縦長状に形成されていて、このインサイドハンドル取り付け孔211を覆うようにインサイドハンドル82がベース盤21の背面側に取り付けられる。また、第1軸孔212には、レバー機構30を回転可能に軸支するためのピンが挿通される。第2軸孔213には、後述するロッキングレバー72を回転可能に軸支するためのピンが挿通される。
図7はインサイドハンドル82の正面図である。図7に示すように、インサイドハンドル82は、固定部821およびハンドル操作部822を有する。固定部821の正面に複数の取り付け孔821aが形成されていて、この取り付け孔821a内に挿通されるビス等によって固定部821がベース盤21の背面側に固定される。
固定部821には、図7において上下方向に沿って縦長の凹部821bが形成されており、この凹部821bを覆うようにハンドル操作部822が固定部821の背面側に装着される。ハンドル操作部822は、固定部821に対して左右方向に回転可能(図7の上下方向に沿った軸周りに回転可能)であるように固定部821に支持される。また、固定部821には、凹部821bを水平方向に横断するように、第1支持部821c、第2支持部821d、および第3支持部821eが設けられる。第1支持部821cは固定部821の上方部分に設けられ、第2支持部821dは第1支持部821cの下方に設けられ、第3支持部821eは固定部821の下方に設けられる。
第1支持部821cには、図5に示すようにトーションスプリング83の一端が係止される。トーションスプリング83はハンドル操作部822にも係止される。したがって、ハンドル操作部822は、トーションスプリング83により図5に示す中立位置(非作動位置)に付勢される。また、凹部821bのうち第1支持部821cと第2支持部821dとの間の部分からは、ハンドル操作部822に固定されたロッド係止片822aが図5の紙面の手前方向に向かって突出している。ロッド係止片822aには後述するロッド36が係止される。ロッド係止片822aは、ハンドル操作部822の回転に連動して左右方向に回転可能である。
また、凹部821bのうち第3支持部821e下方部分からは、ハンドル操作部822に一体的に設けられた開閉スイッチ操作片823が図5の紙面の手前方向に突出している。図7に示すように、開閉スイッチ操作片823は、上下方向に延びた支持部823aと、支持部823aの下端から水平方向(紙面の手前方向)に延びた舌片823bとを有する。ハンドル操作部822が中立位置から左右方向に回転した場合、開閉スイッチ操作片823も連動して左右方向に回転する。なお、開閉スイッチ操作片823は、ハンドル操作部822の回転に連動して回転しさえすれば、ハンドル操作部822と別体に構成されていてもよい。
また、固定部821に第3軸孔821hが形成される。第3軸孔821hには、チャイルドプロテクトレバー41に設けられている第1ピン414が回転可能に挿通される。
図5に示すように、レバー機構30は、重ね合わせられた第1レバー31と第2レバー32とを備える。第1レバー31と第2レバー32は、ベース盤21に形成された第1軸孔212に挿通されたピンに回動可能に支持される。すなわち、第1レバー31と第2レバー32は同一の回動軸心C1にてベース盤21に回動可能に軸支される。
図8は第1レバー31を示す図であり、図8(a)が正面図、図8(b)が側面図である。図8に示すように、第1レバー31は第1突片311および第2突片312を有する。第1突片311は、図8(a)に示すように、回動軸心C1から上方に延びその先端部分で右方に折れ曲がるように形成される。第1突片311の先端部分に左右方向に延びた第1長孔31aが形成される。第2突片312は、回動軸心C1から下方に延びた第1部分312aおよび第1部分312aの先端から左方に折れ曲がるように形成された第2部分312bとを有する。第2突片312に第2長孔31bが形成される。第2長孔31bは、上下方向(第1レバー31の回動半径方向)に沿って直線状に延びた直線部分31b1と、直線部分31b1の先端(下方端)から回動軸心C1を中心として時計周り方向に向かって円弧状に延びた円弧部分31b2とを有する。
また、第1レバー31にはスプリング係止片31cが設けられる。スプリング係止片31cは図8(a)に示すように回動軸心C1の右方位置にて右方に突出するように形成される。スプリング係止片31cには、図5に示すようにコイルスプリング33の一方端が係止される。コイルスプリング33の他方端はベース盤21に係止される。したがって、第1レバー31は、コイルスプリング33によって、図5において回動軸心C1を中心として時計周り方向に付勢される。そして、コイルスプリング33で付勢された状態でベース盤21に係止することによって、図5に示す初期位置に位置決めされる。
第1レバー31の第2突片312にケーブル取り付け片31dおよび係合片31eが形成される。ケーブル取り付け片31dは、第2突片312の第2部分312bの先端に形成されている。ケーブル取り付け片31dには、その一端がアウトサイドハンドル81に接続されたオープンケーブル92Wの他端が接続される。係合片31eは、第2突片312の第1部分312aの図8(a)において右側面にて紙面の奥側に突出するように形成される。
図9は第2レバー32を示す図であり、図9(a)が正面図、図9(b)が側面図である。第2レバー32は、図9(a)に示すように回動軸心C1から上方に延設されたケーブル取り付け片321と、回動軸心C1から下方に延設された連結片322とを有する。ケーブル取り付け片321の先端には、その一端がドアロック装置10の駆動レバー13dに接続されたオープンケーブル91Wの他端が取り付けられる。したがって、オープンケーブル91Wを介して第2レバー32と駆動レバー13dが接続される。また、連結片322には、その延設方向(第2レバー32の回動半径方向)に沿って直線状の長孔32aが形成される。第2レバー32は、図示しないトーションスプリングによって図5において時計周り方向に付勢される。そして、ベース盤21に当接することによって図5に示す初期位置に位置決めされる。
図8に示す第1レバー31と図9に示す第2レバー32が重ねられた状態で、回動軸心C1にてベース盤21に軸支される。したがって、両レバーは回動軸心C1を中心として回動する。第1レバー31は第2レバー32の上側に重ねられる。第1レバー31と第2レバー32が重ねられた状態では、図10に示すように、第1レバー31に形成された第2長孔31bの直線部分31b1と第2レバー32に形成された長孔32aが回動軸心C1の軸方向から見た場合に重複する。また、図5に示すように、第1レバー31の第2長孔31bに連結ピン34が挿通される。この連結ピン34は、第2レバー32の長孔32aにも挿通されている。
図5に示すように、第1レバー31の第1長孔31a内にスライドブッシュ35が挿通される。スライドブッシュ35は、ロッド36を介してインサイドハンドル82のハンドル操作部822のロッド係止片822aに接続される。ここで、第1レバー31が初期位置に位置決めされ、且つインサイドハンドル82が中立位置にある場合に、図10に示すようにスライドブッシュ35は第1長孔31aの端部(図10において左端部)から第1距離Sだけ離間している。したがって、インサイドハンドル82が操作されてハンドル操作部822が図5において中立位置から右方に回動された場合は、ハンドル操作部822にロッド36を介して接続されたスライドブッシュ35がロッド36に引っ張られて第1長孔31a内を左方に移動する。さらにハンドル操作部822が右方に回動されると、スライドブッシュ35は第1長孔31aの左端部に係合する。スライドブッシュ35が第1長孔31aの左端部に係合するまで、すなわちハンドル操作部822の作動量(回動量)が、スライドブッシュ35を中立位置から第1距離Sだけ移動するために必要な作動量(第1作動量)に達するまでは、スライドブッシュ35が第1長孔31a内を移動するのみであって第1長孔31aの端部を構成する壁面に係合しないから、ハンドル操作部822に作用する手動操作力は第1レバー31に伝達されない。つまり、インサイドハンドル82の操作に第1作動量分の遊び(余裕)が設けられている。
スライドブッシュ35が第1長孔31aの左端に到達して第1長孔31aを構成する壁面に係合した状態からハンドル操作部822がさらに右方に回動された場合、すなわちインサイドハンドル82(ハンドル操作部822)の作動量が第1作動量以上である場合は、ハンドル操作部822に作用する手動操作力がスライドブッシュ35を介して第1レバー31に伝達されて、第1レバー31が図5において軸心C1を中心として反時計周り方向に回動する。
ロッキングユニット70は、ロッキングアクチュエータ71とロッキングレバー72とを有する。ロッキングアクチュエータ71は、例えば電動モータおよび減速機により構成することができる。ロッキングアクチュエータ71には出力軸が備えられており、ロッキングアクチュエータ71が駆動することにより出力軸が回転する。この出力軸にロッキングレバー72が接続される。
ロッキングレバー72は、ベース盤21に形成された第2軸孔213に挿通されたピンに回動可能に支持される。ロッキングレバー72は、ロッキングアクチュエータ71の出力軸が回転すると、図5に示す回動軸心C2を中心として回動するように、ロッキングアクチュエータ71の出力軸に接続される。ロッキングレバー72の回動軸心C2は、レバー機構30の回動軸心C1の図5において左斜め下方に位置する。ロッキングレバー72は、回動軸心C2からロッキングアクチュエータ71の出力軸に向かって延び出力軸に接続される連結片721と、回動軸心C2から連結ピン34に向かって延びた係合片722とを有する。係合片722には、回動軸心C1を中心とする円弧状の長孔72aが形成される。連結ピン34はこの長孔72aにも挿通される。したがって、連結ピン34は、第1レバー31の第2長孔31b、第2レバー32の長孔32a、およびロッキングレバー72の長孔72aに、同時に挿通される。
ロッキングレバー72は、ロッキングアクチュエータ71の駆動によって、図5に示す回転位置から回動軸心C2を中心として反時計周り方向に回動可能である。ロッキングレバー72が図5に示した回転位置(ロック位置)であるときに、連結ピン34は第1レバー31の第2長孔31bの直線部分31b1の先端(回動軸心C1に遠い側の端)に位置する。このときにおける連結ピン34の位置が非係合位置である。一方、ロッキングレバー72がロック位置から所定量だけ反時計周り方向に回動すると、長孔72a内に挿通されている連結ピン34がロッキングレバー72の回動に伴い第1レバー31の第2長孔31bおよび第2レバー32の長孔32a内を図5において上方に移動する。したがって、ロッキングレバー72がロック位置から反時計周り方向に回転した位置(アンロック位置)であるときには、連結ピン34は、図5に点線で示すように第1レバー31の第2長孔31bの直線部分31b1の基端(回動軸心C1に近い側の端)に位置する。このときにおける連結ピン34の位置が係合位置である。
ロッキングレバー72の回転位置がロック位置であるときに第1レバー31が図5において反時計周り方向に回動すると、非係合位置にある連結ピン34は第1レバー31に係合することなく第2長孔31bの円弧部分31b2内を相対移動する。つまり、非係合位置にある連結ピン34は第1レバー31に係合しない。連結ピン34が第1レバー31に係合しないため、第1レバー31の回動操作力を連結ピン34を介して第2レバー32に伝えることができない。一方、ロッキングレバー72の回転位置がアンロック位置であるときに第1レバー31が図5において反時計周り方向に回動すると、係合位置にある連結ピン34が第1レバー31の第2長孔31bの側壁に係合した状態で第1レバー31と共に反時計周り方向に回動する。つまり、係合位置にある連結ピン34は第1レバー31および第2レバー32の双方に係合する。このため連結ピン34の回動操作力が第2レバー32に伝達されて、第2レバー32も反時計周り方向に回動する。つまり、連結ピン34を介して第1レバー31の回動操作力が第2レバー32に伝達される。ロッキングアクチュエータ71は、ロッキングレバー72の回転位置がロック位置であるかアンロック位置であるかを表す信号を制御装置104に出力する。
図5に示すように、レバー機構30の左方にチャイルドプロテクト機構40(係止解除禁止機構)が配設される。チャイルドプロテクト機構40は、操作部材としてのチャイルドプロテクトレバー41と、規制ブロック50とを有する。図11はチャイルドプロテクトレバー41を示す図であり、図11(a)が正面図、図11(b)が平面図である。図11(a)に示すように、チャイルドプロテクトレバー41は、その回動軸心C3から直線状に延びた操作ロッド部411と、操作ロッド部411の先端側に形成された円弧部412と、円弧部412に形成され回動軸心C3から遠ざかる方向に突き出た操作つまみ部413とを有する。操作つまみ部413はスライドドア100から露出され、外部操作可能である。また、図11(b)に示すように、チャイルドプロテクトレバー41の回動軸心C3に第1ピン414が設けられていて、この第1ピン414がインサイドハンドル82の固定部821に形成された第3軸孔821hに差し込まれることにより、チャイルドプロテクトレバー41が回動軸心C3を中心として回動可能にインサイドハンドル82に支持される。また、操作ロッド部411の中央付近から第2ピン415が突出している。第2ピン415の延設方向は第1ピン414の延設方向と同一方向(回動軸心C3の軸方向)である。この第2ピン415に規制ブロック(規制部材)50が取り付けられる。
図12は規制ブロック50を示す図である。図12(a)が正面図、図12(b)が背面図、図12(c)が側面図、図12(d)が図12(c)のA−A断面図、図12(e)が図12(c)のB−B断面図である。図12に示すように、規制ブロック50は、平板状をなしその中央に貫通孔50aが形成された支持部51と、支持部51から延びた軸部52とを有する。チャイルドプロテクトレバー41の第2ピン415が支持部51に形成された貫通孔50aに挿通されることによって、規制ブロック50がチャイルドプロテクトレバー41に回転可能に取り付けられる。
図12(b)および図12(c)からわかるように、支持部51には、その下方部分にて一側方に張り出す張り出し部分51aが形成される。張り出し部分51aから軸部52が下方に延びるように形成される。軸部52は、張り出し部分51aに接続した基端側軸部521と、基端側軸部521の先端からさらに延びた先端側軸部522を有する。図12(d)は基端側軸部521の断面形状を表し、図12(e)は先端側軸部522の断面形状を表す。
図12(d)に示すように、基端側軸部521の左端から右端までの長さ(奥行き)がDにより表わされる。基端側軸部521の図12(d)において下面には、右方に面する段差521aが形成されており、段差521aを境として上端から下端までの長さ(幅)が変化する。段差521aよりも左方の部分であって奥行きがD1により表わされる一方部分521Lの幅W1は、段差521aよりも右方の部分であって奥行きがD2により表わされる他方部分521Rの幅W2よりも大きい。
先端側軸部522の奥行きDは基端側軸部521の奥行きDに等しい。図12(e)に示すように、先端側軸部522の下面には、左方に面する段差522aが形成されており、段差522aを境として幅が変化する。段差522aよりも左方の部分であって奥行きがD3により表わされる一方部分522Lの幅W3は、基端側軸部521の一方部分521Lの幅W1および他方部分521Rの幅W2よりも小さい。段差522aよりも右方の部分であって奥行きがD4により表わされる他方部分522Rの幅は基端側軸部521の他方部分521Rの幅W2に等しい。したがって、軸部52は、その先端側を形成する先端側軸部522の一方部分522Lの幅W3が、その基端側を形成する基端側軸部521の一方部分521Lの幅W1よりも小さくなるように、形成されている。
図5に示すように、スイッチユニット60は、チャイルドプロテクトレバー41の下方位置にてベース盤21に固定される。このスイッチユニット60は、スイッチハウジング61と、スイッチハウジング61に固定されたオープンスイッチ62、クローズスイッチ63および、図5において図示しないチャイルドプロテクトスイッチ64とを有する。
図13はスイッチハウジング61を示す図であり、図13(a)が正面図、図13(b)が下面図、図13(c)が背面図である。なお、図13(a)には、スイッチハウジング61に取り付けられるオープンスイッチ62およびクローズスイッチ63が点線で表示され、図13(c)にはチャイルドプロテクトスイッチ64が点線で表示されている。
図13(a)に示すように、スイッチハウジング61は、正面から見て鉛直方向に延びた鉛直部611と、鉛直部611の下端から水平方向に延びた水平部612とを有し、略L字形状をなす。またスイッチハウジング61には固定用ボス部Aおよび固定用孔部B,C等が形成され、固定用ボス部および固定用孔部に挿通されるボルト等の締結手段によってスイッチハウジング61がベース盤21に固定される。図5に示すように、このスイッチハウジング61は上記のようにしてベース盤21に固定されたときにインサイドハンドル82に組み付けられる。
また、水平部612の上面の略中央部分から上方に突出した突部613が形成される。突部613には水平方向に並んで第1ピン614と第2ピン615が取り付けられる。さらに、水平部612の正面であって第1ピン614が設けられている位置の左斜め下方位置に第1孔部616が形成され、第2ピン615が設けられている位置の右斜め下方位置に第2孔部617が形成される。第1ピン614および第1孔部616に挿通される締結部材によりオープンスイッチ62がスイッチハウジング61に固定される。第2ピン615および第2孔部617に挿通される締結部材によりクローズスイッチ63がスイッチハウジング61に固定される。
また、図13(c)に示すように、スイッチハウジング61の背面には矩形状に切欠かれた凹部618が形成される。凹部618は、スイッチハウジング61の水平部612から鉛直部611の下方部分に亘って形成される。この凹部618は、スイッチハウジング61の背面に開口するとともに、図13(c)において上面にも開口している。凹部618内にチャイルドプロテクトスイッチ64が配設され、締結部材等で固定される。
図14は、スイッチハウジング61に取り付けられた各スイッチ62,63,64の正面図である。図14(a)がオープンスイッチ62の正面図、図14(b)がクローズスイッチ63の正面図、図14(c)がチャイルドプロテクトスイッチ64の正面図である。オープンスイッチ62、クローズスイッチ63およびチャイルドプロテクトスイッチ64はいずれも同一構造および同一形状であり、スイッチハウジング61に固定される向きや位置がそれぞれ異なる。
図14に示すように、各スイッチ62,63,64は、箱型状のスイッチケース621,631,641と、スイッチレバー622,632,642を有する。スイッチレバー622,632,642がスイッチケース621,631,641の一側面に形成された開口から突出している。スイッチレバー622,632,642はスイッチケース621,631,641内で回動可能に支持されるとともに、図示しない弾性部材によってその先端部分がより突出する方向に付勢される。そして、図示しないストッパによって図の実線で示す傾斜位置(原位置)に位置決めされる。スイッチレバー622,632,642は、原位置からスプリングの付勢力に抗して倒れこむように傾倒可能である。また、スイッチケース621,631,641内には、スイッチレバー622,632,642に接続した可動接点とスイッチケースに固定された固定接点とが配設されている。スイッチレバー622,632,642が原位置に位置しているときは、可動接点が固定接点に接触していない。このときスイッチはオフ状態(第1の切り換え状態)である。スイッチレバー622,632,642が押されて原位置から図の一点鎖線で示す位置まで僅かに傾動すると、可動接点が固定接点に接触する。このときスイッチはオン状態(第2の切り換え状態)である。さらにスイッチレバー622,632,642が押されると図の点線で示す位置まで傾動する。このときも、スイッチはオン状態(第2の切り換え状態)である。すなわち、これらのスイッチ62,63,64は、スイッチレバー622,632,64が原位置にあるときはオフ状態(第1の切り換え状態)であり、スイッチレバー622,632,64が原位置から傾倒したときはオン状態(第2の切り換え状態)であるように構成される。
図13(a)に示すように、オープンスイッチ62とクローズスイッチ63は、互いに付き合わされるようにスイッチハウジング61に固定される。オープンスイッチ62がスイッチハウジング61に固定された状態では、オープンスイッチ62のスイッチレバー622は原位置から左方に傾倒し得る。一方、クローズスイッチ63がスイッチハウジング61に固定された状態では、クローズスイッチ63のスイッチレバー632は原位置から右方に傾倒し得る。そして、図5に示すように、オープンスイッチ62のスイッチレバー622とクローズスイッチ63のスイッチレバー632との間にインサイドハンドル82の開閉スイッチ操作片823が配設される。開閉スイッチ操作片823が図5から見て左方に回転すると、舌片823bがオープンスイッチ62のスイッチレバー622を押す。開閉スイッチ操作片823が右方に回転すると、舌片823bがクローズスイッチ63のスイッチレバー632を押す。つまり、開閉スイッチ操作片823が左右に回転することにより、オープンスイッチ62のスイッチレバー622とクローズスイッチ63のスイッチレバー632の傾倒状態が変化する。
また、図13(c)に示すように、チャイルドプロテクトスイッチ64は、そのスイッチレバー642が下方に傾倒し得るように、スイッチハウジング61に形成された凹部618内に固定される。チャイルドプロテクトスイッチ64のスイッチレバー642の上方には、後述するように規制ブロック50の先端側軸部522が配設される。先端側軸部522が上下に移動することにより、チャイルドプロテクトスイッチ64のスイッチレバー642の傾倒状態が変化する。
図15は、開閉スイッチ操作片823と、レバー機構30と、チャイルドプロテクトレバー41と、スイッチユニット60のベース盤21内での配置関係を示す正面図である。図15からもわかるように、開閉スイッチ操作片823がスイッチハウジング61に固定されたオープンスイッチ62のスイッチレバー622とクローズスイッチ63のスイッチレバー632との間に配設される。
また、チャイルドプロテクトレバー41の操作ロッド部411は、その回動軸心C3から図において左斜め上方に向かって延びている。チャイルドプロテクトレバー41は、図15に示す回転位置から、その操作ロッド部411が回動軸心C3から左斜め下方に向かって延びるように回動軸心C3を中心として反時計周り方向に回動可能である。操作ロッド部411が左斜め上方に向かって延びている場合におけるチャイルドプロテクトレバー41の回転位置がチャイルドアンロック位置(第1位置)であり、左斜め下方に向かって延びている場合におけるチャイルドプロテクトレバー41の回転位置がチャイルドロック位置(第2位置)である。すなわち、チャイルドプロテクトレバー41は、スライドドア100に回動可能に取り付けられるとともに、その回転位置がチャイルドアンロック位置とチャイルドロック位置とに変化し得るように操作可能に構成される。
また、スイッチユニット60の各スイッチには複数の電気配線の一端が接続される。これらの電気配線の他端は制御装置104に接続される。したがって、各スイッチのオン・オフ状態を表す信号が、電気配線を介して制御装置104に伝達される。
図16は、チャイルドプロテクトレバー41の回転位置がチャイルドアンロック位置であるときにおける、開閉スイッチ操作片823と、チャイルドプロテクトレバー41と、スイッチユニット60との配置関係を示す図であり、図16(a)が正面図、図16(b)が正面側から見た斜視図、図16(c)が背面側から見た斜視図である。なお、図16(b)および図16(c)においては、開閉スイッチ操作片823が省略されている。図16に示すように、チャイルドプロテクトレバー41がスイッチユニット60の上方に配設される。チャイルドプロテクトレバー41に取り付けられている規制ブロック50の軸部52はチャイルドプロテクトレバー41から下方に延びている。そして、図16(c)に示すように規制ブロック50の先端側軸部522の先端部分がスイッチハウジング61に形成されている凹部618にその上面側開口から進入し、凹部618内に配設されたチャイルドプロテクトスイッチ64のスイッチレバー642の上方に位置する。チャイルドプロテクトレバー41の回転位置がチャイルドアンロック位置であるとき、先端側軸部522の先端はチャイルドプロテクトスイッチ64のスイッチレバー642に接触していない。
また、図16(a)に良く示すように、チャイルドプロテクトレバー41がチャイルドアンロック位置であるときに、インサイドハンドル82の開閉スイッチ操作片823の左方に規制ブロック50の先端側軸部522が離間して配置される。具体的には、開閉スイッチ操作片823の左側面に先端側軸部522の一方部分522Lが面するように、開閉スイッチ操作片823に対して規制ブロック50が配設されている。ここで、図12(e)に示すように、先端側軸部522の一方部分522Lの幅W3は狭いので、開閉スイッチ操作片823と先端側軸部522との水平方向における距離は長い。具体的には、開閉スイッチ操作片823と規制ブロック50の先端側軸部522の一方部分522Lとの間の水平方向における距離L1は大きい。
上記構成のドア開閉装置において、以下にその作動について説明する。まず、開いているスライドドア100を閉じる場合には、インサイドハンドル82のハンドル操作部822が中立位置から図5において左方(閉作動方向)に回転(閉作動)される。ハンドル操作部822の閉作動方向への回転に伴い、ロッド36を介してハンドル操作部822に接続されたスライドブッシュ35は図5において右方に移動する。このときスライドブッシュ35は第1レバー31の第1長孔31a内を移動するのみであって、第1レバー31に係合しない。このためインサイドハンドル82に作用する手動操作力は第1レバー31には伝達されず、第1レバー31は回動しない。
また、ハンドル操作部822の閉作動に連動して、ハンドル操作部822に一体的に設けられている開閉スイッチ操作片823が図5において非作動位置(インサイドハンドル82のハンドル操作部822が中立位置である場合における位置)から右方(閉作動方向)に回転(閉作動)する。すると、クローズスイッチ63のスイッチレバー632が開閉スイッチ操作片823の舌片823bに押されて傾動する。このためクローズスイッチ63の切り換え状態がオフ状態からオン状態に変化する。制御装置104は、クローズスイッチ63がオン状態であるという信号を入力した場合、PSDユニット105に駆動指令信号を出力する。これによりPSDユニット105が駆動する。PSDユニット105の駆動によりスライドドア100が閉方向に移動し、自動的にスライドドア100が閉じる。
スライドドア100が全閉位置にてドアロック装置10に係止されているときにアウトサイドハンドル81が操作された場合、アウトサイドハンドル81に接続されたオープンケーブル92Wがアウトサイドハンドル81側に引っ張られる。このためオープンケーブル92Wに接続された第1レバー31がオープンケーブル92Wの張力を受けて図5において反時計周り方向に回動する。この場合において、ロッキングレバー72がアンロック位置にある場合、上述のように連結ピン34を介して第1レバー31の回動が第2レバー32に伝達されるために第2レバー32が回動する。第2レバー32が軸心C1を中心として反時計周り方向に回動することによりオープンケーブル91Wがリモコン装置10D側に引っ張られる。すると、オープンケーブル91Wを介して第2レバー32に接続されているドアロック装置10内の駆動レバー13dが回転してラッチ12の回転規制が解除される。このためスライドドア100の全閉位置での係止が解除されて、スライドドア100を閉じることができる。
なお、ロッキングレバー72がロック位置にあるときは、上述のようにアウトサイドハンドル81に作用する手動操作力が第2レバー32に伝達されず、第2レバー32は回動しない。よって、ドアロック装置10はスライドドア100の全閉位置での係止を維持する。
次に、スライドドア100が全閉位置にてドアロック装置10に係止されているときにスライドドア100が開くようにインサイドハンドル82が操作(開操作)された場合について、チャイルドプロテクトレバー41の回転位置がチャイルドアンロック位置である場合とチャイルドロック位置である場合とに分けて説明する。
(1)チャイルドプロテクトレバーの回転位置がチャイルドアンロック位置である場合
チャイルドプロテクトレバー41の回転位置がチャイルドアンロック位置である場合は、上述のように規制ブロック50の軸部52(先端側軸部522)がチャイルドプロテクトスイッチ64のスイッチレバー642に当接していない。このためチャイルドプロテクトスイッチ64はオフ状態である。
スライドドア100が全閉位置にてドアロック装置10に係止された状態であり、且つチャイルドプロテクトレバー41がチャイルドアンロック位置にあるときに、スライドドア100が開くようにインサイドハンドル82が手動操作(開操作)された場合、この手動操作によりインサイドハンドル82のハンドル操作部822が図5において中立位置から右方向(開作動方向)に回転作動するとともに、ハンドル操作部822に一体的に設けられている開閉スイッチ操作片823がこれに連動して図5に示す非作動位置から左方(開作動方向)に回転作動する。すると、オープンスイッチ62のスイッチレバー622が開閉スイッチ操作片823の舌片823bに押されて傾動する。このためオープンスイッチ62がオフ状態からオン状態に切り換えられる。
制御装置104は、オープンスイッチ62がオン状態であるという信号を入力した場合であって、且つロッキングアクチュエータ71からロッキングレバー72がアンロック位置にあるという信号を入力している場合、ドアロック装置10のリリースアクチュエータ17に備えられている電動モータ171に駆動指令信号を出力する。これによりリリースアクチュエータ17の電動モータ171が駆動し、ドアロック装置10内のポール13が回転する。ポール13の回転によりラッチ12の回転規制が解除される。このためスライドドア100の全閉位置での係止が解除されて、スライドドア100を開けることができる。この場合、ハンドル操作部822に作用する手動操作力でスライドドア100を手動で開けても良いし、PSDユニット105を駆動させて自動的にスライドドア100を開けても良い。
また、ハンドル操作部822の作動に伴い、ロッド36を介してハンドル操作部822に接続されたスライドブッシュ35も図5において左方に移動する。上述のようにインサイドハンドル82のハンドル操作部822が中立位置にあるときにスライドブッシュ35は第1レバー31の第1長孔31aの左端から第1距離Sだけ離間した位置に配置している。したがって、スライドブッシュ35はハンドル操作部822の開作動方向への作動によって、まず第1長孔31a内を図5において左方に移動する。スライドブッシュ35が第1長孔31aを移動しているとき、すなわちインサイドハンドル82の作動量が第1作動量未満であるときは第1レバー31は回動しない。
スライドブッシュ35は第1長孔31a内を移動して、やがて第1長孔31aの端部を構成する壁面に係止される。この状態からさらに手動操作によりハンドル操作部822が中立位置から開作動方向に回転作動した場合、すなわちインサイドハンドル82の作動量が第1作動量以上である場合、スライドブッシュ35がさらに図5の左方に移動するとともにスライドブッシュ35を介して第1レバー31がロッド36に引っ張られる。このため第1レバー31が図5において軸心C1を中心として反時計周り方向に回動する。このとき、ロッキングレバー72がアンロック位置にあれば、第1レバー31の回動が連結ピン34を介して第2レバー32に伝達されて、第2レバー32も反時計周り方向に回動する。そして、第2レバー32にその他端が接続されたオープンケーブル91Wがリモコン装置10Dに引っ張られることで、ハンドル操作部822に作用する手動操作力がドアロック装置10に伝達される。オープンケーブル91Wの一端にはドアロック装置10のポール13が接続されているため、オープンケーブル91Wの張力によりポール13が解除方向に回動してラッチ12の回転規制が解除される。このためスライドドア100を開けることができる。
このように、本実施形態では、インサイドハンドル82の開操作により、リリースアクチュエータ17が駆動して電気的にラッチ12の回転規制が解除されるとともに、レバー機構30が作動して機械的にラッチ12の回転規制が解除される。なお、本実施形態において、レバー機構30、インサイドハンドル82およびオープンケーブル91Wが、手動係止解除機構に相当する。
また、開閉スイッチ操作片823の左方側に規制ブロック50の軸部52が面している。すなわち、インサイドハンドル82の非作動位置から開作動方向への回転作動に連動して開閉スイッチ操作片823が回転作動する方向に面するように、規制ブロック50が開閉スイッチ操作片823に対して配置されている。この場合において、図16(a)に示すように、チャイルドプロテクトレバー41がチャイルドアンロック位置にあるときには、規制ブロック50の先端側軸部522が開閉スイッチ操作片823に面するように、規制ブロック50が開閉スイッチ操作片823に対して配設される。このような規制ブロック50の配設位置が、許可位置である。ここで、先端側軸部522の一方部分522の幅W3は狭くされているので、許可位置にある規制ブロック50の先端側軸部522と非作動位置にある開閉スイッチ操作片823との間の距離L1は広い。よって、開閉スイッチ操作片823の開作動方向へ回転動作が規制ブロック50で規制されることはなく、開閉スイッチ操作片823の回転量(回動範囲)を大きく取ることができる。その結果、インサイドハンドル82(ハンドル操作部822)の作動量が第1作動量以上となるように、イハンドル操作部822を回転させることができる。ハンドル操作部822が開作動方向に第1作動量以上回転した場合、スライドブッシュ35が第1レバー31に係合し、スライドブッシュ35を介して第1レバー31がロッド36に引っ張られる。このため第1レバー31が回動し、さらに連結ピン34を介して第2レバー32も回動してオープンケーブル91Wがリモコン装置10D側に引っ張られる。よって、インサイドハンドル82(ハンドル操作部822)の操作力がレバー機構30およびオープンケーブル91Wを介してドアロック装置10に伝達される。つまり、規制ブロック50が許可位置にあるとき、インサイドハンドル82に作用する手動操作力がドアロック装置10へ伝達される。
なお、ロッキングレバー72の回転位置がロック位置であるときは、第1レバー31が回転しても、連結ピン34が第2長孔31bの円弧部分31b2内を移動するのみであって、連結ピン34が第1レバー31に係合しない。このため、インサイドハンドル82に作用する手動操作力が第2レバー32に伝達されず、第2レバー32は回動しない。よって、ドアロック装置10がスライドドア100の全閉位置での係止を維持する。
(2)チャイルドプロテクトレバーの回転位置がチャイルドロック位置である場合
チャイルドプロテクトレバー41の操作つまみ部413をユーザが操作して、チャイルドプロテクトレバー41の回転位置をチャイルドアンロック位置からチャイルドロック位置まで変化させた場合、チャイルドプロテクトレバー41は図5において軸心C3を中心として反時計周り方向に回動する。チャイルドプロテクトレバー41の回動に伴い、チャイルドプロテクトレバー41の操作ロッド部411に形成された第2ピン415に取り付けられている規制ブロック50が図5において下方に向けて軸方向移動する。
図17は、チャイルドプロテクトレバー41がチャイルドロック位置にあるときにおける、開閉スイッチ操作片823と、チャイルドプロテクトレバー41と、スイッチユニット60との配置関係を示す図であり、図17(a)が正面図、図17(b)が背面図である。
チャイルドプロテクトレバー41の回転位置がチャイルドアンロック位置からチャイルドロック位置まで変化するようにチャイルドプロテクトレバー41が回動操作された場合、その操作に伴い、規制ブロック50が図17において下方に向けて軸方向移動する。上述したように、規制ブロック50は開閉スイッチ操作片823の開作動方向に面するように、開閉スイッチ操作片823に対して配置されているが、規制ブロック50の下方移動によって、開閉スイッチ操作片823と規制ブロック50との対面関係も変化する。図17(a)に示すように、チャイルドプロテクトレバー41がチャイルドロック位置にあるとき、規制ブロック50の基端側軸部521が開閉スイッチ操作片823に面するように、規制ブロック50が開閉スイッチ操作片823に対して配設される。具体的には、開閉スイッチ操作片823の左側面に基端側軸部521の一方部分521Lが面するように、開閉スイッチ操作片823に対して規制ブロック50が配設される。このような規制ブロック50の配設位置が、規制位置である。この場合において、図12(d)に示すように基端側軸部521の一方部分521Lの幅W1は広いので、規制位置にある規制ブロック50の基端側軸部521と非作動位置にある開閉スイッチ操作片823との間の距離L2(図17(a)参照)は短い。そのため、開閉スイッチ操作片823が開作動方向へ所定量だけ回転したときに開閉スイッチ操作片823(舌片823b)が規制ブロック50に係合する。つまり、開閉スイッチ操作片823の回転量(作動量)が規制ブロック50で規制される。ここで、開閉スイッチ操作片823の回転が規制ブロック50で規制されたときに、第1レバー31の第1長孔31a内のスライドブッシュ35は未だ第1長孔31aの端部に到達していない。すなわち、規制ブロック50によって、インサイドハンドル82の作動量が第1作動量未満に規制される。斯かる規制によりインサイドハンドル82のそれ以上(第1作動量以上)の開操作が規制される。
このように、チャイルドプロテクトレバー41がチャイルドロック位置にあるときは、インサイドハンドル82の開作動方向への作動量が第1作動量未満に規制されるため、インサイドハンドル82の開操作に連動して第1レバー31の第1長孔31a内を移動するスライドブッシュ35が第1レバー31に係合できない。そのためインサイドハンドル82に作用する手動操作力を第1レバー31(レバー機構30)を介してドアロック装置10に伝達することができない。その結果、ドアロック装置10によるスライドドア100の全閉位置での係止が維持される。
また、図17(b)に示すように、規制ブロック50の先端側軸部521がスイッチハウジング61に形成された凹部618内に進入してその先端が凹部618内のチャイルドプロテクトスイッチ64のスイッチレバー642を押す。このためチャイルドプロテクトスイッチ64はオフ状態(第1の切り換え状態)からオン状態(第2の切り換え状態)に切り換わる。チャイルドプロテクトスイッチ64がオン状態であることを表す信号は制御装置104に入力される。
制御装置104は、スライドドア100が全閉位置で係止されているときにチャイルドプロテクトスイッチ64がオン状態であることを表す信号を入力した場合、リリースアクチュエータ17の電動モータ171に駆動指令信号を出力しない。このためドアロック装置10によるスライドドア100の全閉位置での係止が維持される。
ところで、チャイルドプロテクトレバー41がチャイルドロック位置にあるときは、上述したように、規制ブロック50が規制位置にあるので、インサイドハンドル82のハンドル操作部822の中立位置から開作動方向への作動量が第1作動量未満に規制されて、インサイドハンドル82に作用する手動操作力がドアロック装置10に伝達されない。しかしながら、開閉スイッチ操作片823は、その左方(開作動方向)への作動量が第1作動量未満に規制された範囲内で、図5において左方に回転可能である。この範囲内で開閉スイッチ操作片823が図5において左方に回転した場合、開閉スイッチ操作片823の左方に位置するオープンスイッチ62のスイッチレバー622が開閉スイッチ操作片823の舌片823bに押される。このためスイッチレバー622が図14(a)の一点鎖線で示す程度に傾動し、オープンスイッチ62がオン状態とされる。オープンスイッチ62がオン状態であることを表す信号は制御装置104に入力される。
制御装置104は、スライドドア100が全閉位置で係止され、且つチャイルドプロテクトスイッチ64がオン状態であることを表す信号が入力されているときにオープンスイッチ62がオン状態であることを表す信号が入力されても、上述したようにリリースアクチュエータ17の電動モータ171に駆動指令信号を出力しない。したがって、リリースアクチュエータ17が駆動せず、ドアロック装置10はスライドドア100の全閉状態を維持する。つまり、チャイルドプロテクトスイッチ64がオン状態であるときは、オープンスイッチ62がオン状態であるという入力信号が原則的に無視される。しかしながら、制御装置104は、例えば、スライドドア100が全閉状態以外の開閉状態にあるときには、オープンスイッチ62がオン状態であるという入力信号に基づいて適切な指令信号を出力するように構成することができる。例えば、チャイルドプロテクトレバー41がチャイルドロック位置であっても、アウトサイドハンドル81が開操作された場合は、レバー機構30が作動することによってスライドドア100が開けられる。こうして開けられたスライドドア100が中立位置で停止したときに車室内の乗員がインサイドハンドル82を開操作した場合に、制御装置104はオープンスイッチ62がオン状態であるという入力信号に基づいて、PSDユニット105にスライドドア100を開けるように駆動指令信号を出力することができる。これにより、スライドドア100を中立位置から開作動方向に移動させることができる。
以上のように、本実施形態の車両ドア開閉装置は、スライドドア100を全閉位置にて係止するドアロック装置10と、手動操作により非作動位置から開作動方向に作動し、その作動に係る手動操作力をドアロック装置10に伝達させることによって、ドアロック装置10によるスライドドア100の全閉位置での係止を解除する手動係止解除機構(レバー機構30、インサイドハンドル82、オープンケーブル91W)と、手動係止解除機構が非作動位置から開作動方向に作動したときにオフ状態からオン状態に切り換えられるオープンスイッチ62と、スライドドア100に操作可能に取り付けられるとともにその操作位置がチャイルドアンロック位置(第1位置)とチャイルドロック位置(第2位置)とに変化し得るように構成されたチャイルドプロテクトレバー41と、チャイルドプロテクトレバー41がチャイルドアンロック位置にあるときに手動係止解除機構の作動に係る手動操作力がドアロック装置10に伝達される許可位置に配置され、チャイルドプロテクトレバー41がチャイルドロック位置にあるときに手動係止解除機構の作動に係る手動操作力がドアロック装置10に伝達されないように手動係止解除機構の非作動位置から開作動方向への回転量(開作動量)を規制する規制位置に配置されるように、チャイルドプロテクトレバー41の操作に連動して作動する規制ブロック50と、を有するチャイルドプロテクト機構40と、規制ブロック50が許可位置にあるときにオフ状態であり規制位置にあるときにオン状態であるように、規制ブロック50の位置によって切り換えられるチャイルドプロテクトスイッチ64と、チャイルドプロテクトスイッチ64がオン状態であるときには駆動せず、チャイルドプロテクトスイッチ64がオフ状態であり且つオープンスイッチ62がオン状態であるときに駆動する電動モータ171を備え、電動モータ171の駆動力をドアロック装置10に伝達させることによって、ドアロック装置10によるスライドドア100の全閉位置での係止を解除するリリースアクチュエータ17と、を備える。
本実施形態の車両ドア開閉装置によれば、規制ブロック50が規制位置にあるときにおける開閉スイッチ操作片823の作動量が、規制ブロック50が許可位置にあるときにおける開閉スイッチ操作片823の作動量よりも短くなるように構成される。したがって、チャイルドプロテクトレバー41がチャイルドロック位置であるときに、規制ブロック50により開閉スイッチ操作片823の開作動方向への作動量が規制される。このため手動係止解除機構によるスライドドア100の全閉位置での係止の機械的な解除が禁止される。よって、シンプルに車両ドア開閉装置を構成することができる。また、規制ブロック50が規制位置にあるときにチャイルドプロテクトスイッチ64がオン状態にされるためリリースアクチュエータ17によるスライドドア100ドアの全閉位置での係止の電気的な解除も禁止される。つまり、一つの部材の作動によって、スライドドア100の係止の解除が機械的および電気的に禁止することができる。
また、インサイドハンドル82の開作動方向への作動量が第1作動量未満であるときにはその作動に係る手動操作力がドアロック装置10に伝達されず、第1作動量以上であるときにはその作動に係る手動操作力がドアロック装置10に伝達されるように、スライドブッシュ35が第1レバー31の第1長孔31aの端から第1距離Sだけ離れて第1長孔31a内に配設されている。そして、規制ブロック50は、チャイルドプロテクトレバー41ががチャイルドロック位置にあるとき規制位置にて開閉スイッチ操作片823の開作動方向への作動量を第1作動量未満に規制する。このため、規制ブロック50が規制位置にあるときに開閉スイッチ操作片823は第1作動量未満の範囲内で開作動する。この範囲内で開閉スイッチ操作片823が開作動しても、インサイドハンドル82に作用する手動操作力はドアロック装置10に伝達されない。よって、スライドドア100の係止は解除されない。
また、オープンスイッチ62は、規制ブロック50が規制位置にあるときに、開閉スイッチ操作片823が規制ブロック50で規制された第1作動量以下の範囲内で非作動位置から開作動方向に作動することによりオフ状態からオン状態に切り換えられるように、開閉スイッチ操作片823に対して配設されている。したがって、規制ブロック50が規制位置にあるときは、手動係止解除機構によってスライドドア100の係止を解除することはできないものの、ユーザがドアを開けようとする意志を認識することができる。
また、チャイルドプロテクト機構40がインサイドハンドル82に取り付けられるとともにオープンスイッチ62とチャイルドプロテクトスイッチ64がインサイドハンドル82に設けられたスイッチハウジング61に集約されるので、車両ドア開閉装置をコンパクトに構成できる。さらに、クローズスイッチ63もスイッチハウジング61に取り付けられているので、車両ドア開閉装置をよりコンパクトに構成できる。加えて、スイッチ類から得られる信号を例えば制御装置に送るためのハーネス類又はバスバー類等をまとめることができる。
また、規制ブロック50には、開閉スイッチ操作片823の開作動方向に面するように配置される軸部52が形成されている。この軸部52はチャイルドプロテクトレバー41の操作に伴い軸方向移動するので、規制ブロック50が許可位置にある場合(チャイルドプロテクトレバー50がチャイルドアンロック位置にある場合)と規制ブロック50が規制位置にある場合(チャイルドプロテクトレバー50がチャイルドアンロック位置にある場合)とで、開閉スイッチ操作片823に面する部分が変化する。規制ブロック50が許可位置にある場合に開閉スイッチ操作片823に面する先端側軸部522の幅W3は、規制位置にある場合に開閉スイッチ操作片823に面する基端側軸部521の幅W1よりも小さくなるように形成される。このため、規制ブロック50が許可位置にある場合における開閉スイッチ操作片823の作動量(回転量)は、規制ブロック50が規制位置にある場合における開閉スイッチ操作片823の作動量(回転量)よりも大きくされる。本実施形態では、規制ブロック50が規制位置にある場合に基端側軸部521により開閉スイッチ操作片823の作動量が第1作動量未満に規制される。換言すれば、軸部52が軸方向移動することによって開閉スイッチ操作片823の作動量が規制される。このためチャイルドプロテクトレバー41がチャイルドロック位置にある場合(つまり規制ブロック50が規制位置にある場合)にインサイドハンドル82が手動操作された場合であってもその手動操作力がドアロック装置10に伝達されず、スライドドア100の係止が維持される。また、規制ブロック50の位置が許可位置から規制位置に変化する方向への軸部52の軸方向移動によりチャイルドプロテクトスイッチ64がオン状態に切り換えられる。このため電動モータ171を利用したリリースアクチュエータ17によるスライドドア100の係止の電気的な解除も禁止される。つまり、一つの部材(軸部)の一つの動作(軸方向移動)によって、スライドドア100の係止の解除が機械的および電気的に禁止される。
また、レバー機構30が、インサイドハンドル82およびアウトサイドハンドル81に接続されてインサイドハンドル82の作動およびアウトサイドハンドル81の作動に連動して作動する第1レバー31と、第1レバー31に係合可能に構成され第1レバー31の作動に連動して作動するとともにドアロック装置10に接続された第2レバー32とにより構成される。このようにレバー機構30は2つのレバーでシンプルに構成される。
また、第1レバー31に第2長孔31bが、第2レバー32に長孔32aがそれぞれ形成され、両長孔内に連結ピン34が挿通される。連結ピン34は、第1レバー31が作動したときに第1レバー31と第2レバー32との双方に係合する係合位置と、第1レバー31が作動したときに第1レバー31に係合しない非係合位置とを採り得るように、第1レバー31と第2レバー32に形成される長孔内を移動可能に構成される。このため、連結ピン34が係合位置にあるときは、連結ピン34を介して第1レバー31の作動が第2レバー32に伝達されて、第2レバー32も作動する。第2レバー32の作動によりスライドドア100の係止が解除される。一方、連結ピン34が非係合位置にあるときには、第1レバー31の作動時に連結ピン34は第1レバー31に係合しないので第1レバー31の作動は第2レバー32に伝達されない。よって、スライドドア100の係止が維持される。このように、2枚のレバーでスライドドア100のロック・アンロックを行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態においては車両のスライドドアに本発明の車両ドア開閉装置を適用した例について説明したが、それ以外のドアにも適用され得る。また、上記実施形態では、規制ブロック50により開閉スイッチ操作片823の作動距離を規制する例について説明したが、規制ブロック50(規制部材)は、それが規制位置にあるときにインサイドハンドル82に作用する手動操作力がドアロック装置10に伝達されるまでの伝達経路を構成するある部品の作動量を規制すればよい。例えば、オープンケーブル91Wに遊び(余裕)を設けることにより、第1レバー31や第2レバーの作動量(回動量)を規制してもよい。また、上記実施形態では、インサイドハンドル82のハンドル操作部822が回転するように構成されているが、スライドするように構成されていてもよい。また、上記実施形態では、アウトサイドハンドル操作によるスライドドアの開作動について詳しくは言及していないが、上記に述べた構成の一部または全部をアウトサイドハンドル操作に適用してもよい。例えば、アウトサイドハンドルの作動量が所定の作動量(通常作動量)未満である場合はリリースアクチュエータが作動して電動でスライドドアの係止が解除され、アウトサイドハンドルの作動量が通常作動量を越えた場合に機械的にスライドドアの係止が解除されるように構成することもできる。また、各スイッチの切り換え状態は、上記実施形態で述べた例と逆(すなわちオン状態とオフ状態が逆)であってもよい。さらに、各スイッチがオフ状態かオン状態かに切り換えられるのではなく、ある切り換え状態から別の切り換え状態に切り換えられるように構成されていてもよい。また、上記実施形態では、規制ブロック(規制部材)50とチャイルドプロテクトレバー(操作部材)41と別体で構成され、規制ブロック50がチャイルドプロテクトレバー41に取付けられているが、規制ブロック50とチャイルドプロテクトレバー41は一体に形成されていてもよい。また、上記実施形態では、インサイドハンドル82とスイッチハウジング61は別体で構成されているが、インサイドハンドル82とスイッチハウジング61が一体に形成されていてもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。