JP5968244B2 - 光電変換モジュールおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換モジュールおよびその製造方法に関する。
光電変換装置は環境負荷や運転コストが小さいことから、次世代の発電方法として注目されている。一方、光電変換層にシリコン基板を用いた光電変換モジュールにおいては、屋外に設置した光電変換モジュール出力が、外枠フレームと光電変換セルとの間に生じる電位差によって低下する現象(PID:Potential Induced Degradation)が問題となっている。
光電変換モジュールは、受光面側の保護ガラスと光電変換セルとの間、および光電変換セルと裏面シートとの間を、エチレン酢酸ビニル(EVA:Ethylene Vinyl Acetate)に代表される封止材により接着して製造される。光電変換セルの光電変換層には、主にシリコン基板が用いられる。また、光電変換セルの受光面側の表面には、シリコン基板表面の反射防止およびパッシベーションを担う絶縁膜として窒化シリコン(Si)膜が形成される。
このように構成された光電変換モジュールにおいてPID現象が発生する原因は、以下のように考えられる。まず、保護ガラス上に水分が付着し浸透すると、該保護ガラス中のアルカリ金属、特にナトリウム(Na)がイオン化(アルカリ金属イオン化)して溶出する。また、保護ガラスは、接地された外枠フレームと同電位となる。ここで、保護ガラスと光電変換セルとの間の電位差は最大1000V程度ある。このため、保護ガラスから溶出したアルカリ金属イオンは、この電位差によって封止材中をドリフトする。
そして、封止材中をドリフトしたアルカリ金属イオンが光電変換セルの表面の窒化シリコン膜上に析出すると正の固定電荷が発生し、これに伴って窒化シリコン膜とシリコン基板との界面付近には負の電荷が誘起される。これにより、シリコン基板中で光励起された電荷の移動が妨げられるため、光電変換セルの出力が低下する。すなわち、PID現象は、保護ガラスと光電変換セルとの間の電位差によって保護ガラス中のアルカリ金属が光電変換セルの表面に移動することによって起こると考えられている。
このようなPID現象を抑制する方法として、たとえば特許文献1では、太陽電池モジュールの封止材の材料を変更し、EVAに代わる封止材として絶縁性の高いエチレン・α−オレフィン共重合体を用いる方法が開示されている。また、特許文献2では裏面電極型の光電変換装置において光電変換セルの表面に導電性構造を設け、外枠フレームと光電変換セルの表面との電位差を低減する方法が開示されている。
特許第5016153号公報 特開2012−054600号公報 特開2004−292877号公報
しかしながら、特許文献1の封止材を変更する方法は、EVAに代わる封止材として絶縁性の高いエチレン・α−オレフィン共重合体を用いるが、α−オレフィン単位の含有率が10mol%より低い場合には透明性が劣化し、20mol%より高い場合にはシート状に加工することが困難になる、という問題があった。
また、特許文献2の光電変換セル表面に導電性構造を設けて外枠フレームと光電変換セルの表面との電位差を低減する方法は、光電変換セルの製造工程に新たな工程を追加することになり、製造コストが増加する。また、光電変換セルの表面の導電性構造が裏面側電極と接した場合には光電変換セルの出力が大きく低下する、という問題があった。
また、保護ガラスと他の材料との間での物質の移動を妨げる方法としては、大型ディスプレイなどの製造において保護ガラスと透明導電膜との間に不純物を含まない酸化シリコン(SiO)層を設ける方法、またはたとえば特許文献3に示されるように窒化シリコン層を設ける方法が知られている。
しかしながら、大型ディスプレイにおける不純物の移動機構は、保護ガラスと透明導電膜との間の不純物濃度差による拡散が主である。一方、光電変換モジュールにおけるアルカリ金属イオンの移動機構は、前述のとおり最大1000V程度の電位差によるドリフトである。このため、上記の大型ディスプレイの場合と同様の方法を光電変換モジュールに適用しても問題が生じる。
まず、保護ガラスの表面に酸化シリコン層を形成する方法は、保護ガラスが延長されたに過ぎないためアルカリ金属イオンのドリフトを防ぐことができず、PID現象を抑制することはできない。また、特許文献3に示されるように窒化シリコン層を用いる場合には、保護ガラスの屈折率が約1.45、封止材であるEVAの屈折率が約1.5、窒化シリコンの屈折率が2.0であるため、光の反射損失が増加する、という問題が発生する。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安価且つ簡便な構成でPID現象の抑制が可能な光電変換モジュールおよびその製造方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる光電変換モジュールは、受光面側の表面に絶縁膜が形成された結晶性半導体基板を用いた光電変換セルが封止材を介して受光面側保護ガラスと裏面側保護部材との間に封止された光電変換モジュールであって、前記受光面側保護ガラスは、屈折率が1.4のガラスであり、前記受光面側保護ガラスと前記光電変換セルとの間の前記封止材は、屈折率が1.5のエチレン酢酸ビニルであり、前記受光面側保護ガラスと前記封止材との間に、窒化シリコンまたは窒化シリコンと酸化シリコンとを主成分としてなり内部に空隙を含有して、密度が1.4g/cm 以上、2.7g/cm 以下であり、屈折率が1.4と1.5との間の範囲である低密度層を備えること、を特徴とする。
本発明によれば、PID現象の抑制が可能な光電変換モジュールが得られる、という効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光電変換モジュールの構成を示す要部断面図である。 図2−1は、本発明の実施の形態1にかかる光電変換セルを受光面側から見た平面図である。 図2−2は、本発明の実施の形態1にかかる光電変換セルを非受光面側(裏面側)から見た平面図である。 図2−3は、本発明の実施の形態1にかかる光電変換セルの構成を示す要部断面図であり、図2−1におけるA−A断面図である。 図3−1は、本発明の実施の形態1にかかる光電変換モジュールの製造方法の一例を示す要部断面図である。 図3−2は、本発明の実施の形態1にかかる光電変換モジュールの製造方法の一例を示す要部断面図である。 図4は、本発明の実施の形態1にかかる光電変換モジュールの光電変換セルの受光面側表面における劣化試験後のナトリウム(Na)の面密度と多孔質窒化シリコン層の密度との関係を表す特性図である。 図5は、本発明の実施の形態1にかかる光電変換モジュールの劣化試験後の出力電流と多孔質窒化シリコン層の密度との関係を表す特性図である。 図6は、本発明の実施の形態2にかかる光電変換モジュールの構成を示す要部断面図である。 図7−1は、本発明の実施の形態2にかかる光電変換モジュールの製造方法の一例を示す要部断面図である。 図7−2は、本発明の実施の形態2にかかる光電変換モジュールの製造方法の一例を示す要部断面図である。 図8は、実施例1における劣化試験前後でのモジュール出力保持率と劣化試験時間との関係を表す特性図である。
以下に、本発明にかかる光電変換モジュールおよびその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光電変換モジュール100の構成を示す要部断面図である。実施の形態1にかかる光電変換モジュール100は、複数の光電変換セル10が接続配線34によって電気的に直列配線接続された光電変換セルストリング20、光電変換モジュール100の内側の表面上に通常の窒化シリコン(密度3.44g/cm)よりも密度が低い低密度層である多孔質窒化シリコン層41が形成された受光面側保護ガラス31、裏面側保護部材32および封止材33を含んで構成されている。そして、光電変換セルストリング20が、光電変換モジュール100のおもて面側(受光面側)に配置された受光面側保護ガラス31と光電変換モジュール100の受光面と反対側(裏面側)に配置された裏面側保護部材32との間に狭持された封止材33の中に封止されている。この光電変換モジュール100では、受光面側保護ガラス31側から光Lが入射する。また、光電変換モジュール100の外周部には、接地される外枠フレーム35が配置される。
受光面側保護ガラス31は、透光性を有する材料からなり、光電変換セルストリング20において太陽光を受光する受光面側に配置されて光電変換セルストリング20の受光面側を保護する。受光面側保護ガラス31の材料としては、一般にソーダライムシリカガラス(Soda Lime Silica Glass)が用いられる。
多孔質窒化シリコン層41は、受光面側保護ガラス31における受光面と反対側(光電変換セルストリング20側)の表面上の全面に形成されている。なお、ここでは多孔質窒化シリコン層41が受光面側保護ガラス31の全面に形成された場合を示すが、多孔質窒化シリコン層41は受光面側保護ガラス31の面方向において少なくとも光電変換セル10と対向する領域に形成されていればよい。
多孔質窒化シリコン層41は、窒化シリコンと多数の空隙とが混合して多孔質構造が構成された混合層である。多孔質窒化シリコン層41の密度は、空隙の含有率の増加(多孔質化)に伴って窒化シリコンの密度(3.44g/cm)から減少していく。一方、多孔質窒化シリコン層41は窒化シリコンを多孔質化することにより表面積が増加し、受光面側保護ガラス31中のアルカリ金属イオンが溶出した場合であっても、効果的にアルカリ金属を孔質窒化シリコン層41に析出させることができる。
多孔質窒化シリコン層41における空隙の含有率は、およそ20体積%〜80体積%の範囲とされる。多孔質窒化シリコン層41における空隙の含有率が20体積%未満の場合には、受光面側保護ガラス31から溶出したアルカリ金属イオンを十分に孔質窒化シリコン層41に析出させることができないおそれがある。多孔質窒化シリコン層41における空隙の含有率が80体積%より大の場合は、多孔質窒化シリコン層41の機械的強度の低下が大きく、多孔質窒化シリコン層41自体の維持が難しくなる。
多孔質窒化シリコン層41の多孔質窒化シリコン中の空隙の大きさが300nmを超えると入射光の波長に近づき、空隙による光散乱により反射損失が増加する。このため、多孔質窒化シリコン層41中の空隙の大きさは300nm以下であることが好ましい。同様に、多孔質窒化シリコン層41の多孔質窒化シリコンの屈折率は、反射損失を低減する観点からできる限り小さいことが好ましく、受光面側保護ガラス31の屈折率(約1.4)と封止材の屈折率(EVA:約1.5)との間の範囲であることがより好ましい。受光面側保護ガラス31の屈折率(約1.4)と封止材の屈折率(EVA:約1.5)との間の範囲とすることにより、この3つの部材の屈折率の大小関係に起因して光の反射損失が増加する、という問題が防止、抑制される。空気の屈折率(1.0)と窒化シリコンの屈折率(約2.0)とから考慮すると、窒化シリコン微粒子層42における好ましい空隙の含有率は、およそ40体積%〜50体積%の範囲となる。
多孔質窒化シリコン層41の空隙含有量が増加することによる該多孔質窒化シリコン層41の機械的強度の低下を抑制するために、多孔質窒化シリコンの代わりに、多孔質窒化シリコンに酸素を加えた多孔質酸窒化シリコンを用いてもよい。この場合は、窒化シリコンよりも屈折率の小さい酸化シリコンとの三元化合物となるため、空隙の含有率を減少させることが可能である。
後述するように光電変換モジュール100をラミネートする加熱時において、溶融した封止材33が多孔質窒化シリコン層41の空隙中に入り込むおそれがある。このため、多孔質窒化シリコン層41の膜厚は、ラミネート後においても封止材33が入り込んでいない空隙を十分に確保するために、1μm以上であることが好ましい。
多孔質窒化シリコン層41は、窒素とシリコンとを含む有機溶剤の塗布と焼結とを反復して実施することにより成膜することができる。また、多孔質窒化シリコン層41は、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法などを用いても形成できる。
このような多孔質窒化シリコン層41を、受光面側保護ガラス31における受光面と反対側(光電変換セルストリング20側)の表面上であって少なくとも光電変換セル10と対向する領域に備えることにより、降雨時などに受光面側保護ガラス31に水分が浸透して、該受光面側保護ガラス31中のアルカリ金属イオンが溶出した場合であっても、アルカリ金属イオンが光電変換セル表面に到達する前に多孔質窒化シリコン層41に析出する。このため、光電変換モジュール100においては、PID現象を効果的に抑制することができる。
裏面側保護部材32は、光電変換セルストリング20の受光面と反対側(裏面側)に配置されて、光電変換セルストリング20の裏面側を保護する。裏面側保護部材32の材料は、光電変換セルストリング20内への水分の透過防止の観点から選ばれる。また、光電変換モジュール100においては、受光面側保護ガラス31側から入射した光のうち、光電変換セル10を透過した光、および光電変換セル10が配置されていない領域に入射した光を反射して光電変換セル10に再入射させることにより、光電変換効率の向上が図られる。このため、裏面側保護部材32の材料としては、白色塗料が混合された白色系を呈する材料が用いられることが多い。このような材料の代表的なものとして、たとえば白色塗料が混合されたポリエチレンテレフタラート(PET:Poly Ethylene Terephthalate)などが用いられる。
封止材33は、光電変換セルストリング20と受光面側保護ガラス31との間、および光電変換セルストリング20と裏面側保護部材32との間に配置される。封止材33の材料としては、たとえばEVAなどの透光性を有する樹脂が用いられる。ただし、EVAは紫外線により劣化が生じて酢酸が発生するなどの問題があるため、オレフィン系など別種の透光性樹脂を用いてもよい。
つぎに、光電変換セルストリング20の構成について説明する。光電変換セルストリング20は、所定の配列方向に配列された複数の光電変換セル10と、接続配線34とを有する。複数の光電変換セル10は、所定の配列方向において所定の距離だけ離間して略同一平面上に規則的に配列されている。そして、隣接する2つの光電変換セル10同士は、接続配線34によって電気的に直列に接続されている。なお、図1においては3個の光電変換セル10を示しているが、実際にはさらに多数の光電変換セル10が電気的に直列に接続されている。
つぎに、光電変換セル10の構成について説明する。光電変換セル10は、光電変換層としてp型の導電性を有する多結晶シリコン基板または単結晶シリコン基板を用いた結晶シリコン系セルが代表的である。しかし、光電変換セル10はこれに限定されず、n型シリコン基板を用いた結晶シリコン系セル、結晶シリコン基板上に非晶質シリコン層が形成されたヘテロ接合シリコン系セル、ガリウム砒素(GaAs)に代表される化合物系セルを用いることも可能である。さらに、通常は基板の受光面側に形成されている金属電極が基板の裏面側に形成された構造を有する裏面電極型(IBC:Interdigitated Back Contact)セルなどを用いることも可能である。
ここでは、代表的な光電変換セル10として、光電変換層としてp型の導電性を有する単結晶シリコン基板を用いた結晶シリコン系光電変換セルについて説明する。図2−1は、実施の形態1にかかる光電変換セル10を受光面側から見た平面図である。図2−2は、実施の形態1にかかる光電変換セル10を非受光面側(裏面側)から見た平面図である。図2−3は、実施の形態1にかかる光電変換セル10の構成を示す要部断面図であり、図2−1におけるA−A断面図である。
光電変換セル10としては、スーパーストレートタイプの代表的なものである片面発電型の結晶系太陽電池セルを用いることができる。光電変換セル10は、光電変換機能を有する基板であってpn接合を有する半導体基板7の受光面側に、たとえばシリコン窒化膜からなり反射防止および表面パッシベーションを担う反射防止膜3が形成されている。半導体基板7は、たとえばp型単結晶シリコンからなる半導体基板1の受光面側に、リン拡散によって不純物拡散層(n型不純物拡散層)2が形成されている。半導体基板7の受光面側および裏面側には、接続配線34との接合用の接続電極として受光面バス電極52および裏面バス電極62が形成されている。この光電変換セル10では、反射防止膜3側から光Lが入射する。
半導体基板1(n型不純物拡散層2)の受光面側の表面には、テクスチャー構造としてたとえば逆ピラミッド状の微小凹凸(テクスチャー)からなる逆ピラミッドテクスチャー構造(図示せず)が形成されている。逆ピラミッド状の微小凹凸(テクスチャー)は、受光面において外部からの光を吸収する面積を増加し、受光面における反射率を抑え、効率良く光を光電変換セル10に閉じ込め、光路長を延ばして出力電流を向上させる。
半導体基板7の受光面側には、銀(Ag)、ガラスを含む電極材料が焼成されて形成されて櫛型を呈する金属電極である受光面電極5が、反射防止膜3を突き抜けて不純物拡散層(n型不純物拡散層)2に電気的に接続して設けられている。受光面電極5としては、半導体基板7から光生成キャリアを集電する長尺細長の受光面グリッド電極51が、半導体基板7の受光面の面内方向において複数並べて設けられている。また、この受光面グリッド電極51と導通して該受光面グリッド電極51から光生成キャリアを集電する受光面バス電極52が、半導体基板7の受光面の面内方向において該受光面グリッド電極51と略直交するように設けられている。受光面グリッド電極51および受光面バス電極52は、それぞれ底面部においてn型不純物拡散層2に電気的に接続している。
一方、半導体基板7の裏面(受光面と反対側の面)には、アルミニウム(Al)、ガラスを含む電極材料が焼成されて形成された裏面アルミニウム電極61が、外縁領域を一部を除いた全体にわたって設けられている。また、銀(Ag)、ガラスを含む電極材料が焼成されて形成された裏面バス電極62が受光面バス電極52と略同一方向に延在して設けられている。そして、裏面アルミニウム電極61と裏面バス電極62とにより裏面電極6が構成される。
半導体基板7の受光面側では、金属電極の光反射によって半導体基板7への光入射量が減少するため、受光面電極5を細線状に加工する必要がある。一方、半導体基板7の裏面側では、このような金属電極の光反射は問題とならないため、電極形状は任意である。これらの金属電極は、細線状に形成する場合には印刷法やメッキ法などが、裏面の電極を細線上に加工せずに全面電極とする場合にはこれらに加えてスパッタリング法や蒸着法なども用いることができる。なお、受光面電極5および裏面電極6の材料にはアルミニウム(Al)や銀(Ag)が用いられることが多いが、特に限定されるものではなく、周知の材料から適宜選択して用いることができる。
また、半導体基板7の裏面(受光面と反対側の面)側の表層部における裏面アルミニウム電極61の下部領域には、半導体基板1よりも高濃度でp型不純物を含んでp型の導電型かつ半導体基板1よりも高い導電率を備えたp+層(BSF(Back Surface Field))4が形成されている。p+層(BSF)4により、BSF(Back Surface Field)と呼ばれる、光生成された少数キャリアをポテンシャル障壁により光入射面側に戻す効果が得られる。
このように構成された光電変換セル10では、太陽光が光電変換セル10の受光面側から半導体基板7に照射されると、ホールと電子が生成する。pn接合部(p型単結晶シリコンからなる半導体基板1とn型不純物拡散層2との接合面)の電界によって、生成した電子はn型不純物拡散層2に向かって移動し、ホールは半導体基板1に向かって移動する。これにより、n型不純物拡散層2に電子が過剰となり、半導体基板1にホールが過剰となる結果、光起電力が発生する。この光起電力はpn接合を順方向にバイアスする向きに生じ、n型不純物拡散層2に接続した受光面電極5がマイナス極となり、p+層4に接続した裏面電極6がプラス極となって、図示しない外部回路に電流が流れる。
つぎに、上記のように構成された実施の形態1にかかる光電変換モジュール100の製造方法の一例について図3−1および図3−2を参照して説明する。図3−1および図3−2は、実施の形態1にかかる光電変換モジュール100の製造方法の一例を示す要部断面図である。
まず、複数の光電変換セル10を作製する。光電変換セル10の製造方法は一般的な方法であるため、図示を省略する。たとえばアルカリ水溶液を用いた異方性エッチングにより、p型単結晶シリコン基板の受光面側に、微小凹凸(テクスチャー)からなる逆ピラミッドテクスチャー構造(図示せず)を形成する。つぎに、p型単結晶シリコン基板を熱拡散炉へ投入し、オキシ塩化リン(POCl)蒸気の存在下で加熱してp型単結晶シリコン基板の表面にリンガラスを形成することによりp型単結晶シリコン基板中にリンを拡散させ、p型単結晶シリコン基板の表層にn型不純物拡散層2を形成する。これにより、pn接合を有する半導体基板7が形成される。なお、n型不純物拡散層2は、オキシ塩化リン(POCl)の熱拡散により形成される場合が多いが、化学気相成長法などにより形成することもできる。
つぎに、フッ酸溶液中でp型単結晶シリコン基板のリンガラス層を除去した後、反射防止膜3としてたとえばプラズマ化学気相成長法(PECVD:Plasma Enhanced CVD)により窒化シリコン膜(SiN膜)をn型不純物拡散層2上に形成する。窒化シリコンの屈折率は反射防止の観点から決められることが多い。なお、一般に窒化シリコンの屈折率増加は、膜中シリコン組成比の増加によって得られる。このため、窒化シリコンにおける屈折率の過剰な増加は、窒化シリコンの透光性の劣化を伴うことが多い。
つぎに、半導体基板7の受光面に銀の混入した電極ペーストをスクリーン印刷により櫛形に印刷し、る半導体基板7の裏面にアルミニウムの混入した電極ペーストをスクリーン印刷により全面に印刷する。その後、半導体基板7の表裏面の電極ペーストに焼成処理を実施して、受光面電極5と裏面電極6とを形成する。以上のようにして、光電変換セルとして、図2−1〜図2−3に示す光電変換セル10が作製される。
つぎに、上記のようにして作製された光電変換セル10を用いて光電変換セルストリング20を作製する。光電変換セルストリング20は、上記のようにして作製された複数の光電変換セル10を、接続配線34によって電気的に直列接続することにより作製される。このとき、複数の光電変換セル10は、所定の配列方向において所定の距離だけ離間して略同一平面上に規則的に配列される。
つぎに、上記のようにして作製された光電変換セルストリング20を用いて光電変換モジュール100を作製する。まず、図3−1に示すように、受光面側保護ガラス31において非受光面側となる一方の表面の全面に多孔質窒化シリコン層41を形成する。受光面側保護ガラス31には、一般的なソーダライムシリカガラスを用いる。多孔質窒化シリコン層41は、窒素とシリコンとを含む有機溶剤の塗布と焼結とを反復して実施することにより成膜する。また、CVD法やスパッタリング法などを用いて多孔質窒化シリコン層41を形成してもよい。なお、多孔質窒化シリコン層41は、少なくとも光電変換セルストリング20の封止後において受光面側保護ガラス31の面方向において光電変換セル10と対向する領域に形成されていればよい。
つぎに、裏面側保護部材32上に、封止材33を介して光電変換セルストリング20を設置する。そして、光電変換セルストリング20上に、封止材33を介して受光面側保護ガラス31を配置して積層体を構成する。このとき、受光面側保護ガラス31は、多孔質窒化シリコン層41が光電変換セルストリング20側に向くように配置される。その後、これらの積層体を真空中で脱気して加熱プレスすることにより、封止材33が溶融して各部材を接着するとともに光電変換セルストリング20を封止する。これにより、上記の各部材がラミネートされて一体化し、光電変換モジュール100が得られる。その後、光電変換モジュール100には外枠フレーム35が取り付けられる。
このような実施の形態1にかかる光電変換モジュール100に対して、多孔質窒化シリコン層41の密度を変化させて劣化試験を実施し、光電変換セル10の受光面側の表面におけるナトリウム(Na)の面密度と多孔質窒化シリコン層41の密度との関係を調べた。図4は、実施の形態1にかかる光電変換モジュール100の光電変換セル10の受光面側表面における劣化試験後のナトリウム(Na)の面密度と多孔質窒化シリコン層41の密度との関係を表す特性図である。
図4においては、多孔質窒化シリコン層41の密度を横軸に、光電変換セル10の受光面側の表面の規格化ナトリウム(Na)面密度を縦軸に示している。規格化ナトリウム(Na)面密度は、多孔質窒化シリコン層41を備えないこと以外は同じ構成を有する光電変換モジュールに対して同じ劣化試験を行った場合の光電変換セルの受光面側の表面におけるナトリウム(Na)の面密度を基準(=1、図4に破線で示す)として規格化している。多孔質窒化シリコン層41の密度の条件は、1.35g/cm、1.65g/cm、2.65g/cm、3.00g/cm、3.35g/cmの5条件とした。
劣化試験は、湿度85%、温度85℃の雰囲気中に受光面である受光面側保護ガラス31側を水で濡らした光電変換モジュール100を設置し、外枠フレーム35を接地し、光電変換セルストリング20に1000Vの電圧を印加した状態を48時間保持して行った。
また、実施の形態1にかかる光電変換モジュール100の出力電流と多孔質窒化シリコン層41の密度との関係を調べた。図5は、実施の形態1にかかる光電変換モジュール100の劣化試験後の出力電流と多孔質窒化シリコン層41の密度との関係を表す特性図である。図5においては、多孔質窒化シリコン層41の密度を横軸に、光電変換モジュール100の規格化出力電流を縦軸に示している。規格化出力電流は、多孔質窒化シリコン層41を備えないこと以外は同じ構成を有する光電変換モジュールにおけるモジュール出力を基準(=1、図5に破線で示す)として規格化している。多孔質窒化シリコン層41の密度の条件は、1.35g/cm、1.65g/cm、2.65g/cm、3.00g/cm、3.35g/cmの5条件とした。
これらの結果から、多孔質窒化シリコン層41に含まれる空隙が増加して多孔質窒化シリコン層41の密度が低下するに伴って、光電変換セル10の表面に析出するナトリウム(Na)の量が減っていくことが分かる。一方、出力電流については、多孔質窒化シリコン層41の空隙を増やす(密度を低下させる)ことで屈折率が減少し、屈折率によって光の反射損失が変化するため、密度1.7g/cm付近がピークとなる。したがって、図4および図5の結果から、モジュール出力電流を損なわずにPID現象を抑制するために好ましい多孔質窒化シリコン層41の密度は、1.4g/cm以上2.7g/cm以下の範囲となる。
上述したように、実施の形態1においては、受光面側保護ガラス31と封止材33の間に低密度窒化シリコン層として多孔質窒化シリコン層41を設ける。これにより、降雨時などに受光面側保護ガラス31に水分が浸透して該受光面側保護ガラス31中のアルカリ金属イオンが溶出した場合であっても、溶出したアルカリ金属イオンは光電変換セル10の表面に到達する前に多孔質窒化シリコン層41中で析出するため、PID現象を抑制することができる。
多孔質窒化シリコン層41は、通常の窒化シリコン(密度3.44g/cm)と比べて低密度化されて空隙の多い構造となっているため、通常の窒化シリコン層と比べて表面積が増えている。これにより、通常の窒化シリコンを受光面側保護ガラス31と封止材33との間に配置する場合と比べて、より効果的にアルカリ金属イオンの移動を防止して、アルカリ金属イオンを多孔質窒化シリコン層41中の空隙に析出させることが可能となる。
また、多孔質窒化シリコン層41では、空隙を増やすことで屈折率が減少する。このため、多孔質窒化シリコン層41では、空隙を増やすことで屈折率を減少させて、屈折率を受光面側保護ガラス31の屈折率(約1.4)と封止材の屈折率(EVA:約1.5)との間にすることができる。これにより、通常の窒化シリコン(屈折率:約2.0)を用いる場合に比べて光の反射損失を抑制することが可能である。
また、多孔質窒化シリコン層41は、シリコンと窒素とを含有した有機溶剤を受光面側保護ガラス31の表面に塗布し、焼結することで容易に得られる。このため、封止材33や光電変換セル10の構造を変更することによりPID現象を抑制する場合に比べて、安価かつ簡便にPID現象を抑制することができる。
したがって、実施の形態1によれば、封止材や光電変換セルの構造を変更することなく、かつモジュール出力を損なうことなくPID現象を抑制して、屋外に設置してもPID現象による出力低下の少ない光電変換モジュールを安価に提供することができる。
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2にかかる光電変換モジュール200の構成を示す要部断面図である。実施の形態2にかかる光電変換モジュール200は、実施の形態1にかかる光電変換モジュール100と比較して、低密度窒化シリコン層として多孔質窒化シリコン層41の代わりに窒化シリコン微粒子層42を用いる点のみが異なる。以下においては、実施の形態1と同じ部材については同じ符号を付す。
実施の形態2にかかる光電変換モジュール200は、複数の光電変換セル10が接続配線34によって電気的に直列配線接続された光電変換セルストリング20、光電変換モジュール100の内側の表面上に窒化シリコン微粒子層42が形成された受光面側保護ガラス31、裏面側保護部材32および受光面側保護ガラス31、で構成されている。そして、光電変換セルストリング20が、光電変換モジュール100の表面側(受光面側)に配置された受光面側保護ガラス31と光電変換モジュール100の受光面と反対側(裏面側)に配置された裏面側保護部材32との間に狭持された封止材33の中に封止されている。この光電変換モジュール100では、受光面側保護ガラス31側から光Lが入射する。また、光電変換モジュール100の外周部には外枠フレーム35が配置されている。
窒化シリコン微粒子層42は、窒化シリコンの微粒子が凝集して構成されている。このような窒化シリコン微粒子層42においても、通常の窒化シリコン(密度3.44g/cm)と比べて低密度化されて空隙の多い構造となっているため、通常の窒化シリコン層と比べて表面積が増えている。これにより、通常の窒化シリコンを受光面側保護ガラス31と封止材33との間に配置する場合と比べて、より効果的にアルカリ金属イオンの移動を防止して、アルカリ金属イオンを窒化シリコン微粒子層42中の空隙に析出させることが可能となる。これにより、光電変換モジュール100においては、PID現象を効果的に抑制することができる。
また、窒化シリコン微粒子層42においても、多孔質窒化シリコン層41と同様に空隙の含有率はおよそ20体積%〜80体積%の範囲とされる。多孔質窒化シリコン層41における空隙の含有率が20体積%未満の場合には、受光面側保護ガラス31から溶出したアルカリ金属イオンを十分に孔質窒化シリコン層41に析出させることができないおそれがある。多孔質窒化シリコン層41における空隙の含有率が80体積%より大の場合は、多孔質窒化シリコン層41の機械的強度の低下が大きく、多孔質窒化シリコン層41自体の維持が難しくなる。
また、窒化シリコン微粒子層42においても、空隙の大きさが300nmを超えると入射光の波長に近づき、空隙による光散乱により反射損失が増加する。このため、窒化シリコン微粒子層42においても、空隙の大きさは300nm以下であることが好ましい。同様に、窒化シリコン微粒子層42においても、屈折率は、反射損失を低減する観点からできる限り小さいことが好ましく、受光面側保護ガラス31の屈折率(約1.4)と封止材の屈折率(EVA:約1.5)との間の範囲であることがより好ましい。受光面側保護ガラス31の屈折率(約1.4)と封止材の屈折率(EVA:約1.5)との間の範囲とすることにより、この3つの部材の屈折率の大小関係に起因して光の反射損失が増加する、という問題が防止、抑制される。空気の屈折率(1.0)と窒化シリコンの屈折率(約2.0)とから考慮すると、窒化シリコン微粒子層42における好ましい空隙の含有率は、およそ40体積%〜50体積%の範囲となる。
このような窒化シリコン微粒子層42は、窒化シリコンの粉末を液状の媒質と混合したものを塗布および焼成(改質)することで得られる。窒化シリコン粉末は、シリコンの粉末を窒素(N)雰囲気中またはアンモニア(NH)雰囲気中で加熱することにより、容易に得られる。また、窒化するシリコン粉末は、光電変換セルの製造過程で破損したシリコン基板などを粉砕して使用することによりコストを抑えることが可能である。液状の溶剤には、各種アルコールをはじめとした有機溶剤を用いることができる。そして、低密度窒化シリコン層として窒化シリコン微粒子層42を用いることにより、多孔質窒化シリコン層41を用いる場合と比較して、比較的安価にPID現象を抑制することができる。
窒化シリコン粉末の大きさは、実施の形態1と同様に、入射光の散乱による反射損失を防ぐ点から300nm以下であることが好ましい。
なお、窒化シリコンの微粒子の影響で受光面側保護ガラス31と封止材33との間の接着力が低下し、光電変換モジュール200の機械強度を低下させるおそれがある。このため、窒化シリコン微粒子層42を形成する領域を、光電変換モジュール200の面方向における光電変換セル10に対応する領域のみとしてもよい。
また、窒化シリコンの微粒子からなる窒化シリコン微粒子層42に代えて、酸窒化シリコンの微粒子からなる酸窒化シリコン微粒子層を用いていてもよい。このような酸窒化シリコン微粒子層は、酸窒化シリコンの粉末を液状の溶剤と混合したものを塗布および焼成(改質)することで得られる。酸窒化シリコン粉末については、前述の窒化シリコン粉末と、酸素(O)雰囲気中または水蒸気(HO)雰囲気中でシリコン粉末を加熱することにより得られる酸化シリコン粉末と、を混合することで得られる。
なお、この場合も、窒化シリコンの微粒子の影響で受光面側保護ガラス31と封止材33との間の接着力が低下し、光電変換モジュール200の機械強度を低下させるおそれがある。このため、酸窒化シリコン微粒子層を形成する領域を、光電変換モジュール200の面方向における光電変換セル10に対応する領域のみとしてもよい。
つぎに、上記のように構成された実施の形態2にかかる光電変換モジュール200の製造方法の一例について図7−1および図7−2を参照して説明する。図7−1および図7−2は、実施の形態2にかかる光電変換モジュール200の製造方法の一例を示す要部断面図である。
まず、実施の形態1の場合と同様にして、複数の光電変換セル10を作製する。そして、光電変換セル10を用いて光電変換セルストリング20を作製する。
つぎに、上記のようにして作製された光電変換セルストリング20を用いて光電変換モジュール200を作製する。まず、図7−1に示すように、受光面側保護ガラス31において非受光面側となる一方の表面の全面に低密度窒化シリコン層として窒化シリコン微粒子層42を形成する。受光面側保護ガラス31には、一般的なソーダライムシリカガラスを用いる。窒化シリコン微粒子層42は、窒化シリコンの粉末を混合した液状の溶剤の塗布と焼結とを反復して実施することにより形成する。なお、多孔質窒化シリコン層41は、少なくとも光電変換セルストリング20の封止後において受光面側保護ガラス31の面方向において光電変換セル10と対向する領域に形成されていればよい。
つぎに、実施の形態1の場合と同様に、裏面側保護部材32、封止材33、光電変換セルストリング20、封止材33、受光面側保護ガラス31を積層し、光電変換セルストリング20を封止する。これにより、上記の各部材がラミネートされて一体化し、光電変換モジュール200が得られる。その後、光電変換モジュール200には外枠フレーム35が取り付けられる。
上述したように、実施の形態2においては、受光面側保護ガラス31と封止材33の間に低密度窒化シリコン層として窒化シリコン微粒子層42を設ける。これにより、降雨時などに受光面側保護ガラス31に水分が浸透して該受光面側保護ガラス31中のアルカリ金属イオンが溶出した場合であっても、溶出したアルカリ金属イオンは光電変換セル10の表面に到達する前に窒化シリコン微粒子層42中で析出するため、PID現象を抑制することができる。
窒化シリコン微粒子層42は、通常の窒化シリコン(密度3.44g/cm)と比べて低密度化されて空隙の多い構造となっているため、通常の窒化シリコン層と比べて表面積が増えている。これにより、通常の窒化シリコンを受光面側保護ガラス31と封止材33との間に配置する場合と比べて、より効果的にアルカリ金属イオンの移動を防止して、アルカリ金属イオンを窒化シリコン微粒子層42中の空隙に析出させることが可能となる。
また、窒化シリコン微粒子層42では、窒化シリコン微粒子の凝集具合を調整して空隙を増やすことで屈折率が減少する。このため、窒化シリコン微粒子層42では、空隙を増やすことで屈折率を減少させて、屈折率を受光面側保護ガラス31の屈折率(約1.4)と封止材の屈折率(EVA:約1.5)との間にすることができる。これにより、通常の窒化シリコン(屈折率:約2.0)を用いる場合に比べて光の反射損失を抑制することが可能である。
また、窒化シリコン微粒子層42は、窒化シリコンの粉末を混合した液状の媒質を受光面側保護ガラス31の表面に塗布し、焼結することで、多孔質窒化シリコン層41よりもさらに容易に得られる。このため、封止材33や光電変換セル10の構造を変更することによりPID現象を抑制する場合に比べて、安価かつ簡便にPID現象を抑制することができる。
したがって、実施の形態2によれば、封止材や光電変換セルの構造を変更することなく、かつモジュール出力を損なうことなくPID現象を抑制して、屋外に設置してもPID現象による出力低下の少ない光電変換モジュールを安価に提供することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1.
実施例1では、実施の形態1で述べた製造方法により光電変換モジュールを製作して、劣化試験を行った。まず、受光面側保護ガラスとしてソーダライムガラスを準備し、該ソーダライムガラスの一面上に多孔質窒化シリコン層を形成して図3−1に示す構造を製作した。多孔質窒化シリコン層は、プラズマCVD法により形成した。このとき、多孔質窒化シリコン層の厚さは10μmとし、断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scaning Electronic Microscope)で観察して得られた空隙の平均的な大きさは約100nm、エリプソメトリにより得られた屈折率から同定した空隙の含有率は約55体積%であった。
つぎに、多孔質窒化シリコン層を形成したソーダライムガラス、封止材、光電変換ストリング、封止材、裏面側保護部材をこの順に積層し、真空ラミネータにより封止した。両側の封止材には厚さ400μmのEVAを、光電変換セルにはp型多結晶シリコン基板を使用した多結晶シリコン系光電変換セルを、裏面側保護部材には酸化チタン(TiO)を混合した白色PETシートをそれぞれ使用した。
劣化試験は、湿度85%、温度85℃の雰囲気中に受光面であるソーダライムガラス側を水で濡らした光電変換モジュールを設置し、外枠フレーム35を接地し、光電変換セルストリングに1000Vの電圧を印加した状態を一定時間保持し、試験前後でのモジュール出力から出力保持率(試験後モジュール出力/試験前モジュール出力×100(%))を比較した。出力保持率と劣化試験時間との関係を図8に示す。図8は、実施例1における劣化試験前後でのモジュール出力保持率と劣化試験時間との関係を表す特性図である。
実施例2.
実施例2では、実施の形態2で述べた製造方法により光電変換モジュールを製作して、劣化試験を行った。まず、受光面側保護ガラスとしてソーダライムガラスを準備し、該ソーダライムガラスの一面上に窒化シリコン微粒子層を形成して図7−1に示す構造を製作した。このとき、窒化シリコン微粒子には平均直径100nmのものを用い、形成された窒化シリコン微粒子層の平均厚さは8μm、空隙の平均的な大きさは約200nm、空隙含有率は52体積%であった。
つぎに、実施例1と同様の材料を用い、図7−2に示す光電変換モジュールを製作し、実施例1の場合と同様の試験方法により評価した。その結果を図8に併せて示す。
比較例
比較例では、従来の製造方法で製作した光電変換モジュール、すなわち低密度窒化シリコン層を備えない光電変換モジュールを、実施例1と同様の方法で評価した。比較例の製造方法では実施例1と同様にして光電変換モジュールを製作するが、ソーダライムガラスと封止材とが直接封止されることのみが実施例1および実施例2と異なる。
そして、比較例の光電変換モジュールの特性として、実施例1および実施例2と同様に出力保持率を評価した。その結果を図8に併せて示す。
図8から、実施例1および実施例2の結果は、比較例に比べて同じ試験時間での出力保持率が高い傾向があることが分かる。試験時間48時間での出力保持率は、比較例で88%であったのに対し、実施例1は98%、実施例2は94%であった。以上のことから低密度窒化シリコン層を設けたことによりPID現象による光電変換モジュールの出力低下が抑制されたことがわかる。以上のように、本発明にかかる光電変換モジュールは、PID現象による出力低下の抑制に優れた光電変換モジュールの実現に有用である。
以上のように、本発明にかかる光電変換モジュールは、安価且つ簡便な構成でPID現象が抑制された光電変換モジュールの実現に有用である。
1 半導体基板、2 n型不純物拡散層、3 反射防止膜、4 p+層(BSF(Back Surface Field))、5 受光面電極、6 裏面電極、7 半導体基板、10 光電変換セル、20 光電変換セルストリング、31 受光面側保護ガラス、32 裏面側保護部材、33 封止材、34 接続配線、35 外枠フレーム、41 多孔質窒化シリコン層、42 窒化シリコン微粒子層、51 受光面グリッド電極、52 受光面バス電極、61 裏面アルミニウム電極、62 裏面バス電極、100 光電変換モジュール、200 光電変換モジュール、L 光。

Claims (8)

  1. 受光面側の表面に絶縁膜が形成された結晶性半導体基板を用いた光電変換セルが封止材を介して受光面側保護ガラスと裏面側保護部材との間に封止された光電変換モジュールであって、
    前記受光面側保護ガラスは、屈折率が1.4のガラスであり、
    前記受光面側保護ガラスと前記光電変換セルとの間の前記封止材は、屈折率が1.5のエチレン酢酸ビニルであり、
    前記受光面側保護ガラスと前記封止材との間に、窒化シリコンまたは窒化シリコンと酸化シリコンとを主成分としてなり内部に空隙を含有して、密度が1.4g/cm 以上、2.7g/cm 以下であり、屈折率が1.4と1.5との間の範囲である低密度層を備えること、
    を特徴とする光電変換モジュール。
  2. 前記低密度層は、20体積%以上、80体積%以下の範囲で前記空隙を含むこと、
    を特徴とする請求項1に記載の光電変換モジュール。
  3. 前記低密度層は、窒化シリコンまたは窒化シリコンと酸化シリコンとを主成分としてなる多孔質層であること、
    を特徴とする請求項1または2に記載の光電変換モジュール。
  4. 前記低密度層は、窒化シリコンの微粒子または窒化シリコンの微粒子と酸化シリコンの微粒子とを主成分としてなる層であること、
    を特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載の光電変換モジュール。
  5. 受光面側の表面に絶縁膜が形成された結晶性半導体基板を用いた光電変換セルを、封止材を介して受光面側保護ガラスと裏面側保護部材との間に封止する光電変換モジュールの製造方法であって、
    前記受光面側保護ガラスは、屈折率が1.4のガラスであり、
    前記受光面側保護ガラスと前記光電変換セルとの間の前記封止材は、屈折率が1.5のエチレン酢酸ビニルであり、
    前記受光面側保護ガラスと前記封止材との間に、窒化シリコンまたは窒化シリコンと酸化シリコンとを主成分としてなり内部に空隙を含有して、密度が1.4g/cm 以上、2.7g/cm 以下であり、屈折率が1.4と1.5との間の範囲である低密度層を設けること、
    を特徴とする光電変換モジュールの製造方法。
  6. 前記低密度層に、20体積%以上、80体積%以下の範囲で前記空隙を含有させること、
    を特徴とする請求項に記載の光電変換モジュールの製造方法。
  7. 前記受光面側保護ガラスの一面側に対して窒素とシリコンとを含む溶液または窒素と酸素とシリコンとを含む溶液を塗布する第1工程と、
    前記塗布された溶液を改質して、多孔質窒化シリコン層または多孔質酸窒化シリコン層からなる前記低密度層を形成する第2工程と、
    を含み、
    前記低密度層が形成された一面側を封止材に接触させて前記光電変換セルを封止すること、
    を特徴とする請求項5または6に記載の光電変換モジュールの製造方法。
  8. 前記受光面側保護ガラスの一面側に対して窒化シリコンを含む粉末を混合した溶液を塗布する第3工程と、
    前記塗布された溶液を改質して、窒化シリコン微粒子を含む層からなる前記低密度層を形成する第4工程と、
    を含み、
    前記低密度層が形成された一面側を封止材に接触させて前記光電変換セルを封止すること、
    を特徴とする請求項からのいずれか1つに記載の光電変換モジュールの製造方法。
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