JP5968221B2 - 振動式フローメーターのゼロオフセットを決定する方法及び装置 - Google Patents
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Description
物質は、フローメーターの流入口側に接続されている配管からフローメーターの中に流れ込み、一つ以上の導管を通り、フローメーターの流出口側から流出する。物質が充填された振動するシステムの固有振動モードは、導管の質量及び導管内を流れる物質の質量の合計により部分的に規定される。
ドライバーに接続されているメーター電子機器は、ドライブ信号を出力してドライバーを動作させ、またピックオフセンサーから受け取られる信号から材料の質量流量及びの他の特性を求める。ドライバーは、複数の周知の構成のうちの1つの構成を有しうる。しかしながら、磁石及び対向するドライブコイルは、フローメーター産業において非常に高い評価を受けている。交流が、ドライブコイルに流され、所望のフローチューブの振幅及び振動数で導管を振動させる。また、上述のドライバーの構成と類似したマグネットとコイルとからなる構成のようにピックオフセンサーを形成することも当該技術分野において知られている。しかしながら、ドライバーが運動を引き起こす電流を受け取り、ピックオフセンサーはドライバーによって提供される運動を利用して電圧を誘発することができる。ピックオフセンサーによって測定される時間遅れの大きさは非常に小さく、ナノセカンド単位で測られることが多い。従って、トランスデューサの出力が非常に正確であることが必要となる。
上述のように、コリオリフローメーターを含む多くの振動式センサーでは、従来のアプローチで初期段階に補正されているゼロオフセットが存在している可能性がある。この初期段階で求められたゼロオフセットが限定された状況では十分に測定結果を修正することができるものの、このゼロオフセットは、主に温度である様々な運転条件の変化により時間の経過とともに変わる可能性があるので、部分的な補正にしかならない恐れがある。しかしながら、圧力、流体密度、センサー取付状態などを含む他の運転条件もまたゼロオフセットに影響を与える恐れがある。さらに、ゼロオフセットはメーターによっては異なる割合で変わる場合もある。このことは、1以上のメーターが直列に接続されて、同一の流体流れを測定する場合に、各メーターが同一の読取値を示す状況下では非常に重要なことである。
従って、振動式センサーのゼロオフセットの変化を求めて補償する方法が必要とされている。本発明により、この問題及び他の問題が克服され、当該技術分野における進歩が達成される。
本発明のある実施形態によれば、ゼロオフセットと1つ以上の運転条件との間で前に作成されたオフセット相関関係を有している振動式フローメーターを動作させる方法は、振動式フローメーターからセンサー信号を受け取るステップと、受け取ったセンサー信号上に基づいて、振動式フローメーターの現在のゼロオフセットを求めるステップと、1つ以上の現在の運転条件を求めるステップと、1つ以上の現在の運転条件をオフセット相関関係の1つ以上の前の運転条件と比較するステップと、 オフセット相関関係が現在の運転条件に対応する前に求められたゼロオフセットを有している場合、現在のゼロオフセット及び前に求められたゼロオフセットに基づいて平均ゼロオフセットを求めるステップとを有している。
好ましくは、平均ゼロオフセットを求めるステップは、現在のゼロオフセットに第一の重み付け係数を適用して第一の重み付けされたゼロオフセットを求めるステップと、 前に求められたゼロオフセットに第二の重み付け係数を適用して第二の重み付けされたゼロオフセットを求めるステップと、 第一の重み付けされたゼロオフセット及び第二の重み付けされたゼロオフセットに基づいて平均ゼロオフセットを計算するステップとを有している。
好ましくは、第一の重み付け係数及び第二の重み付け係数は時間−重み付け係数である。
好ましくは、かかる方法は、平均ゼロオフセット及び1つ以上の運転条件に基づいて新たなオフセット相関関係を作成するステップをさらに有している。
好ましくは、平均ゼロオフセットを求めるステップは、現在のゼロオフセットに第一の重み付け係数を適用して第一の重み付けされたゼロオフセットを求めるステップと、 前に求められたゼロオフセットに第二の重み付け係数を適用して第二の重み付けされたゼロオフセットを求めるステップと、 第一の重み付けされたゼロオフセット及び第二の重み付けされたゼロオフセットに基づいて平均ゼロオフセットを計算するステップとを有している。
好ましくは、かかる処理システムは、平均ゼロオフセット及び1つ以上の運転条件に基づいて新たなオフセット相関関係を作成するようにさらに構成されている。
図1には、フローメーター10と1つ以上のメーター電子機器20とを有しているコリオリフローメーターの形態をとる振動式センサー組立体5の一例が示されている。
1つ以上のメーター電子機器20は、フローメーター10へ接続され、たとえば密度、質量流量、体積流量、総合質量流量、温度の如き流動物質の特性及び他の情報を測定する。
本実施形態では、ドライブモードは、第一の逆位相曲げモードである。導管103A、103Bは、それぞれ、曲げ軸線W−W及びW’−W’に対して実質的に同一の質量分布、慣性モーメント及び弾性モジュールを有するバランスの取れたシステムを提供するように、選択され、流入口マニホールド102及び流出口マニホールド102’に適切に取り付けられることが好ましい。ドライブモードが第一の逆位相曲げモードである本実施形態では、導管103A及び導管103Bは、それぞれの対応する曲げ軸線W−W及び曲げ軸線W’−W’を中心として、互に逆方向に向けてドライバー104によって振動させられるようになっている。交流の形態を有しているドライブ信号が、たとえば経路110を介して一つ以上の電子機器20によって提供され、コイルを通り抜けて両方の導管103A、103Bの振動を引き起こすようになっている。当業者にとって明らかなように、他のドライブモードが用いられてもよいが、それらもまた本発明の技術範囲に含まれる。
上述のフローメーター10が、デュアル(2重)フロー導管型のフローメーターで構成されている一方、シングル(単一)導管型のフローメーターで構成することも本発明の技術範囲に含まれることは理解されるべきである。さらに、フロー導管103A、103Bが湾曲しているフロー導管構造で構成されていることが示されているが、本発明が真っ直ぐなフロー導管構造を用いて構成されて実施されてもよい。従って、上記の具体的なフローメーター10の実施形態は、一例に過ぎず、本発明の技術範囲を限定するものではない。
たとえばコリオリフローメーターまたはデンシトメーターの如き振動式センサー組立体が流動物質の特性を測定する技術はよく知られている。従って、記載を簡潔なものとするため、詳細な説明は省略する。
簡潔に上述されているように、コリオリフローメーターの如き振動式センサー組立体に関する1つの問題は、ゼロオフセットの存在である。ゼロオフセットとは、流量がゼロのときのピックオフ105、105’の時間遅れの測定値のことである。ゼロオフセットが、流量及びさまざまな他の流れ測定値の算出の際に考慮に入れられなければ、流れ測定値(flow measurements)は通常は、測定の際の誤差を含むこととなる。ゼロオフセットを補償する典型的な従来のアプローチは、初期の較正プロセス時における初期のゼロオフセット(Δt0)を測定することである。初期の較正プロセスは、弁を閉じることと、ゼロ流量基準状態を形成することとを通常含んでいる。このような較正プロセスは、当該技術分野において一般的に知られているので、明細書を簡潔なものとするために、詳細な説明は省略されている。いったん初期のゼロオフセットが求められると、動作中、流れ測定値は、次の式(1)に従って、測定された時間差から初期のゼロオフセットを減算することにより補正される。
式(1)は、一例として提供されているだけであり、本発明の技術範囲を限定するものではないことは理解されるべきである。質量流量を計算するための式(1)が提供されているが、いうまでもなく、さまざまな他の流れ測定値が、ゼロオフセットによって影響を受けるので、修正されてもよい。
条件が変わる結果として、振動式フローメーターは、ゼロオフセットがズレて(drift)しまう場合もある。換言すれば、ゼロオフセットは、初期に算出されたゼロオフセットΔt0から変わってしまう場合もある。ゼロオフセットのズレは、センサーの性能にひどく影響し、不正確な測定をもたらす場合もある。というのは、従来技術では、運転中、測定された時間差を補償するために用いられるゼロオフセットが、ゼロオフセットが変わることを考慮することなく、初期に算出されたゼロオフセットだったからである。従来の他のアプローチでは、手動によりセンサーを再較正することが要求される。通常、再較正には、センサーをゼロ調整するためにセンサーを流れる流れを停止させる必要がある。このことは、システム全体を通常シャットダウンしなければならないから、費用のかかるものとなりうる。また、周囲温度が流体温度と異なっている場合、従来のゼロ較正を行なうために流れを止めると、メーターの温度が急速に変わってしまう場合もある。このことは、ゼロ較正を信頼性の低いものとしてしまう場合もある。
本発明のある実施形態によれば、メーター電子機器20は、ゼロオフセットと1つ以上の測定可能な運転条件との間の相関関係に基づいてゼロオフセットのズレを補償しうる。本発明の1つの実施形態によれば、ゼロオフセットは絶対零度オフセットである。本発明の他の実施形態によれば、ゼロオフセットは差動ゼロオフセットである。差動ゼロオフセットは、センサーの初期のゼロオフセットを2つ以上のセンサー間の差動誤差と組み合わせたものである。差動ゼロオフセットは、較正されるセンサー及び基準センサーを流れる流量を実質的に等しくするために必要となる場合もある。
換言すれば、上述の式(1)を参照すると、同一の流体流量が、較正されるセンサーと基準センサーとを流れる場合、これら2つのセンサーは、式(1)を各センサーについて用いて2つの質量流量を生成することができる。基準センサーの質量流量が較正されるメーターの質量流量と等しいと仮定すると、較正されるセンサーの差動ゼロオフセットを算出することができる。この方法により、較正されるセンサーについて、基準流量を反映した新たなゼロオフセットが求められる。この新たなゼロオフセットは実質的に差動オフセットである。このことは、式2及び式3に示されている。
式(3)について、較正されるセンサーのゼロオフセットと差動誤差とを組み合わせることによりさらに簡単にすることができる。その結果、式(4)に示されている差動ゼロオフセットを定義する式が得られる。
いずれの実施形態であっても、本発明は、センサーを流れる流れを停止させることなくゼロオフセットのズレを補償することができる。有利なことに、本発明は、通常の使用中にセンサーを動作させながらゼロオフセットのズレを求めて補償することができる。
1つの実施形態におけるインターフェース201は、センサー信号がアナログセンサー信号であるデジタイザー(図示せず)を有することができる。デジタイザーは、アナログセンサー信号をサンプリングしてデジタル化し、デジタル化されたセンサー信号を生じることができる。また、デジタイザーは、必要とされる信号処理量を減らして処理時間を短縮するようにデジタルセンサー信号が縮小(decimated)されるいかなる必要なデシメーションをも実行することもできる。
処理システム203は、汎用コンピュータであってもよいし、マイクロプロセッシングシステムであってもよいし、論理回路であってもよいし、または他のなんらかの汎用のもしくはカスタム化された処理デバイスであってもよい。処理システム203は、複数の処理デバイスの間に分散されるようになっている場合もある。処理システム203は、格納システム204の如きいかなる一体化されたまたは独立した電子格納媒体を有していてもよい。
処理システム203は、ドライブ信号211などを求めるべくセンサー信号210を処理する。ドライブ信号211は、ドライバー104へ送られ、図1に記載のフローチューブ103A、103Bの如き接続されているフローチューブを振動する。
メーター電子機器20は、当該技術において公知となっているさまざま他の構成要素及び機能を有していてもよいことは理解されるべきである。便宜上、これらさらなる特徴は明細書及び図面からは省略されている。従って、記載の特定の実施形態によって本発明が限定されるべきではない。
本発明は、単一の振動式フローメーターについて記載されてきたが、連結された複数の振動式フローメーターを用いる用途も多い。これらのほとんどの用途において、それぞれの別個のフローメーターによって測定される絶対流量については重要ではない。もっと正確にいえば、重要であるのは、さまざまなフローメーターによって測定される流量の差である。このような場合の一般的な2つの具体例としては、燃料効率測定及び漏洩検出測定における用途が挙げられる。図3には燃料効率における用途が示されているが、この図は、複数のフローメーターが順次実行され、少なくとも2つのフローメーター間の測定結果の差が関心の対象である、漏電検知システムの如き他の場合にも同様に適用可能である。
本発明のある実施形態によれば、第一のフローメーター10と第二のフローメーター305とによって測定される流量の差は、流体流出口304から流出する燃料、すなわちエンジンによって消費される燃料の流量と実質的に等しい。従って、2つのフローメーター10、305間の測定流量の差は、図3に示されている構成に類似するほとんどの用途において関心の対象となる値である。従って、一方のメーターを基準メーターとしてセットし、流量が同一であると考えられる場合、すなわち流体が燃料流出口304から流出していない場合に、他方のメーターを基準メーターと一致させるように較正することができる。ほとんどの実施形態では、どちらのメーターを基準メーターとしてセットするかは重要なことではない。
実施形態によっては、差動オフセット決定ルーチン213が図3に示されているような複数のフローメーターに対して用いられる場合には、ルーチン213は、流体流量がゼロであるときを含めて2つ以上のフローメーターを流れる流量が実質的に同一であるときに実行されるようになっている場合もある。差動オフセット決定ルーチン213は、2つ以上のフローメーター間の差動ゼロオフセットを較正するために実行されてもよい。従って、差動オフセット決定ルーチン213は、フローメーターを較正して正確な質量流量の絶対値を読み取る必要は必ずしもない。もっと正確にいえば、フローメーターは、2つのフローメーター間の差の読取値(differential reading)が正確であるように較正される場合がある。たとえば、試験器または同様のデバイスにより求められるような第一のフローメーター10を流れる実際の流量が2000kg/時間であり、流出口304から流出する流体の流量が1000kg/時間である場合、第二のフローメーター305と第一のフローメーター10との間の差が1000kg/時間に等しいことが望ましい。しかしながら、ほとんどの実施形態では、第二のフローメーター305が1020kg/時間を示すように較正され、第一のフローメーター10が2020kg/時間の流量を示す場合に条件を満たしていると考えられる。従って、各メーターを流れる流量の絶対値が正確でない場合であっても、それらの差である読取値が正確であるまたは少なくとも許容誤差範囲内にある。上記の値は例示のみを意図したものであって、本発明の技術範囲を限定すべきものではないことは理解されるべきである。
本発明のある実施形態によれば、差動オフセット決定ルーチン213は、振動式フローメーターの初期段階の較正の後に行なわれてもよいし、または、振動式フローメーターの初期段階での較正の一部であってもよい。差動オフセット決定ルーチン213は、振動式フローメーターのゼロオフセットと振動式フローメーターの1つ以上の運転条件との間の相関関係を求めるために用いられてもよい。ゼロオフセットは、絶対ゼロオフセットであってもよいし、または、上述されているような差動ゼロオフセットであってもよい。
差動オフセット決定ルーチン213はステップ401から開始され、このステップで、第一の振動式フローメーター10及び第二の振動式フローメーター305から1つ以上のセンサー信号を受け取ることができる。これらのセンサー信号は、たとえば第一の振動式フローメーター10のピックオフセンサー105、105’の如きピックオフセンサーによって受け取られてもよい。図3のように複数の振動式フローメーターが存在するので、流体がこれらのフローメーターを流れているとき、センサー信号が両方のフローメーターから受信されるようになっていてもよい。
ステップ403では、第一の振動式フローメーター10の差動ゼロオフセットを求めることができる。本発明のある実施形態によれば、たとえば式(4)を用いて差動ゼロオフセットを求めることができる。本発明のある実施形態によれば、当該求められるゼロオフセットは、初期段階で求められたゼロオフセットであってもよい。このことは、ゼロオフセット決定ルーチン213が、たとえば振動式フローメーターの初期段階の較正の一部として実行される場合に当てはまりうる。本発明の他の実施形態によれば、当該求められるゼロオフセットは、さらに後で求められるゼロオフセットであってもよい。さらに後で求められるゼロオフセットは、初期段階で求められるゼロオフセットと異なるものであってもよい。このことは、たとえば運転条件が初期段階のゼロオフセットが求められた時の運転条件とは異なる場合にとくに当てはまりうる。実施形態では、ルーチン213はステップ403の後に終了してもよい。他の実施形態によれば、ルーチン213は、ステップ404またはステップ406のいずれかに引き続き進みうる。
ステップ404では、1つ以上の現在の運転条件を求めることができる。1つ以上の現在の運転条件は、ステップ401で受け取られたセンサー信号を処理することにより求められてもよい。それに代えて、1つ以上の運転条件は、外部の温度センサー、粘度計などの如き外部入力から求められてもよい。1つ以上の運転条件は、温度、圧力、流体密度、センサー取付条件、ドライブ利得などのうちの1つ以上でありうる。1つの実施形態によれば、ドライブ利得は閾値と比較することができ、ドライブ利得がこの閾値を超えている場合、ステップ402で求められたゼロオフセットをエラーと考えることができ、格納しない。たとえば、このエラーは混入ガスに起因するものでありうる。運転条件のうちの1つが温度である場合、この温度はたとえばRTDを用いて求められてもよい。たとえば、この温度は、フローメーター温度であってもよいしまたはメーター電子機器温度であってもよい。本発明のある実施形態によれば、この温度は、第一のフローメーター10と第二のフローメーター305との間で実質的に同一であると仮定される。本発明の他の実施形態によれば、第一のフローメーター10と第二のフローメーター305との間の温度差が実質的に一定のままであると仮定される。
図5は、本発明のある実施形態にかかる差動ゼロオフセット相関関係を示すグラフである。従って、温度は測定された運転条件であるが、同様のプロットを作成するために、いかなる数の運転条件が用いられてもよいことは理解されるべきである。図5から理解できるように、差動ゼロオフセット相関関係はほぼ線形である。このことが常に当てはまるとは限らない。どのような相関関係にするかは、対象となるフローメーターや、流体密度、他の要因などに応じて異なりうることは理解されるべきである。さらに、図5に示されている具体的な値は例示のみを目的としたものであり、本発明の技術範囲を限定すべきものではないことは理解されるべきである。
図6には、本発明のある実施形態にかかる差動ゼロ決定ルーチン215が示されている。差動ゼロ決定ルーチン215は通常動作中に実行されてもよい。差動ゼロ決定ルーチン215は、通常運転中に、たとえばメーター電子機器20により実行されてもよい。差動ゼロ決定ルーチン215は、図3に示されているような振動式フローメーターシステムに対して用いられてもよい。差動ゼロ決定ルーチン215は、振動式フローメーターのゼロオフセットの変化を補償するために用いられてもよい。差動ゼロ決定ルーチン215はステップ601から始動する。このステップでは、センサー信号が振動式フローメーター10の如き振動式フローメーターから受け取られる。センサー信号が受け取られる振動式フローメーターは、たとえばオフセット相関関係214の如き前に求められたオフセット相関関係を有している振動式フローメーターである。ステップ601で受信されたセンサー信号は、通常動作中、たとえば流体が振動式フローメーターを流れている間に受け取られるようになっていてもよい。センサー信号は、時間遅れ、位相差、周波数、温度などである。
センサー信号は、ステップ602で1つ以上の運転条件を求めるために処理されてもよい。1つ以上の現在の運転条件は、温度、流体密度、圧力、ドライブ利得などであってもよい。
ステップ604では、たとえばオフセット相関関係に基づいて差動ゼロオフセットを求めることができる。差動ゼロオフセットは、初期段階のゼロオフセットを求めた時の運転条件からの1つ以上の運転条件の変動に起因する初期段階で求められたゼロオフセットからのゼロオフセットの変化を考慮したゼロオフセットである。次いで、この差動ゼロオフセットを、絶対ゼロオフセットを用いるのではなく差動ゼロオフセットを用いて式(1)を解くことにより、補償済み流量を求めるために用いることができる。
本発明の他の実施形態によれば、オフセット相関関係を作成する必要も、前に作成したオフセット相関関係を格納する必要もなく、振動式フローメーターのゼロオフセットの変化を補償することが望ましい。さらに、実施形態によっては、振動式フローメーター10、305のゼロオフセットが初期段階の較正さえた値から著しく変わりうるものの、ゼロオフセットは、燃料消費の期間中には著しく変わりえない。これらの実施形態では、振動式フローメーターのゼロオフセットの変化を補正するために相関関係を作成するのではなく、第一の振動式フローメーター10を」流れる流量と第二の振動式フローメーター305を流れる流量が実質的に等しくなる毎に新たな差動オフセットが求められてもよい。新たに求められた差動オフセットは、次の差動オフセットが求められるまで用いられてもよい。このことは、ステップ403からステップ404ではなくステップ406に進む差動オフセット決定ルーチン213を参照すると分かる。
ステップ407では、補償済み流量が、さらに後で受け取られた第一のセンサー信号及びステップ403で求められた差動ゼロオフセットに基づいて求められてもよい。いうまでもなく、ステップ403で求められた差動ゼロオフセットは、第一の動式フローメーター10を流れる流量と第二の振動式フローメーター304を流れる流量とが再度実質的に同一となり、新たな差動ゼロオフセットを求めることができるまで用いられるようになっていてもよい。
有利なことには、差動オフセット決定ルーチン213は、運転条件を求め、運転条件をオフセット相関関係の前の運転条件と比較する必要はない。どちらかと言えば、差動ゼロ決定ルーチン216は、運転条件が、差動ゼロオフセットが最後に求められた時の運転条件と実質的に同一であると仮定する。
しかしながら、本発明のある実施形態によれば、振動式フローメーターの流量較正係数の変化または差も考慮に入れることができる。流量較正係数は、変化する運転条件に対して通常ゼロオフセットよりも安定しているものの、示差測定法(differential measurement)を最適化するために2つのフローメーター間のいかなるバイアスであても、それを取り除くことが依然として有利である。一般的に、従来技術においては、流量較正係数が、求められると、たとえば広範囲の流量及び流体状態にわたって実質的に一定のままであると仮定される。しかしながら、対象となる値が2つ以上のフローメーターの測定結果間の差であるような場合、流量較正係数の変化または差が小さなものであっても、それは測定結果に悪い影響を及ぼす恐れがある。たとえば、流量較正係数の変化または差が第一のフローメーター10と第二のフローメーター305との間のバイアスとなりうる。一例ではあるが、第一のフローメーター10が100kg/時間の質量流量を示し、第二のフローメーター305が101kg/時間の質量流量を示す。すなわち、2メーター間に1%のバイアスがある。流量較正係数はこのバイアスを補償することができる。流量とは関係なくこの1%のバイアスがそのまま留まるならば、第一のフローメーター10が1000kg/時間の質量終了を示した婆合、第二の質量流量は1010kg/時間の質量流量を示すだろうと仮定される。しかしながら、この1%のバイアスからの変動は、他の運転条件が同一のままであると仮定すると、流量較正係数の変化に起因するものでありうる。
センサーの流量較正係数及びゼロオフセットの両方の値を求めることができる。このことは、たとえば式(1)を用いて達成することができる。
たとえば、本発明が、複数のフローメーターが直列に繋がれている燃料効率システム300またはそれと同様のシステムで実現される場合、1つのフローメーター、たとえば第二のフローメーター305を基準フローメーターとして選択することができる。第一のフローメーター10を流れる流量と第二のフローメーター305を流れる流量とが実質的に等しくなるようにエンジンをオフにした状態で、第一のフローメーター10と第二のフローメーター305との両方からセンサー信号を受信することができる。本発明のある実施形態によれば、当該技術分野で公知となっているように、第二のフローメーター305(基準フローメーター)から質量流量が生成され得る。この算出された流量を第一のフローメーター10についての式(1)に代入することができる。従って、式(1)によれば、2つの未知数、すなわち第一のフローメーター10の流量較正係数及びゼロオフセット(この場合、差動オフセット)が存在する。上述の実施形態では、流量較正係数が初期段階の較正から変わっていないと仮定されていたので、この値も同様に既知であった。しかしながら、この仮定をしない場合には、1つの式に対して2つの未知数が存在することになる。両方の未知数を求めるために、異なる値に調節されている質量流量を除いて、運転条件は同じままにされている。質量流量が異なった状態で、第二のフローメーター305によって質量流量が生成された状態で、センサー信号がもう一度受信される。この時点では、2つの式に対して二つの未知数が存在している。第一のフローメーター10について、流量較正係数及び差動ゼロオフセットの両方を計算することができる。このような計算が1を超える運転条件でなされると、運転条件のうちの1つ以上と、流量較正係数及び差動ゼロオフセットとの間の相関関係を求めることができる。実施形態によっては、流体流量が閾値を超えるときだけ、流量較正係数を含む相関関係が必要とされる場合もあることは理解されるべきである。本発明のある実施形態によれば、たとえば流体流量が閾値未満であれば、流量較正係数が一定のままであると仮定されてもよい。
上述の相関関係214は、1つ以上の較正ルーチン中に通常求められる。本発明の他の実施形態によれば、較正を、自動的に実行することができ、振動式フローメーターの使用年数の経過とともに生じうる変化を考慮するために継続的にオフセット相関関係214を更新することができる。これにより、本発明は、変化する条件に絶えず適合できるようになる。後述のゼロオフセット決定ルーチン216は、図1に示されている単一のフローメーターに用いられてもよいし、または、図3に示されているような複数のフローメーターに用いられてもよい。従って、前述のオフセット相関関係214は主として差動ゼロオフセットに関するものであるが、ゼロオフセット決定ルーチン216は絶対的ゼロオフセットを更新するために用いられてもよい。
ステップ701では、センサー信号が受信される。センサー信号は前述のように受信され得る。センサー信号は、たとえば振動式フローメーター10の如き1つだけの振動式フローメーターから受信されてもよい。他の実施形態では、ゼロオフセット決定ルーチン216が複数の振動式フローメーターに対して実行される場合、センサー信号は一以上の振動式フローメーターから受け取られるようになっていてもよい。
本発明のある実施形態によれば、センサー信号は、前に求められたオフセット相関関係を有している振動式フローメーターから受信される。前に求められたオフセット相関関係は、オフセット相関関係214の如き差動ゼロオフセットに対するものであってもよい。他の実施形態によれば、前に決定されたオフセット相関関係は、たとえば単一の振動式フローメーターのためのような絶対ゼロオフセットに対するものであってもよい。絶対ゼロオフセット相関関係は、流量が実質的にゼロである時に絶対ゼロオフセットを求める必要があること以外、差動オフセット決定ルーチン213と類似の方法で求められてもよい。しかしながら、上述のように、温度の如き運転条件を求めることができ、相関関係を作成することができる。
ステップ703では、1つ以上の現在の運転条件を求めることができる。
ステップ704では、1つ以上の現在の運転条件を、たとえばオフセット相関関係214の如きゼロオフセットと運転条件との間の前に求められたオフセット相関関係の1つ以上の前の運転条件と比較することができる。
ステップ705では、ゼロオフセット決定ルーチン216は、現在の運転条件において、前に求められたゼロオフセットが存在する否かを判断する。本発明のある実施形態によれば、オフセット相関関係が1つ以上の求められた運転条件に対するゼロオフセットを有していない場合、ルーチン216はステップ706へ進む。ステップ706では、ステップ702で求められた現在のゼロオフセットを、それに対応する求められた運転条件と共に、ゼロオフセット相関関係214の新たな値として格納することができる。本発明の他の実施形態によれば、オフセット相関関係が1つ以上の求められた運転条件に対する前に求められたゼロオフセットを有している場合、ゼロオフセット決定ルーチン216はステップ707へ進むことができる。前に求められたゼロオフセットは、たとえば製造業者によりプログラムされうる「最良のゲスト(best guest)」ゼロオフセットであってもよい。
重み付けされたゼロオフセットは、たとえばオフセット相関関係214とともに格納されてもよい。従って、差動ゼロ決定ルーチン215中、オフセット相関関係214と共に格納されているゼロオフセット値は重み付けされたゼロオフセット値であってもよい。
本発明のある実施形態によれば、メーター電子機器20は、1つ以上の測定された運転条件をオフセット相関関係214と比較するとき、ゼロオフセットの更新された値を用いることができる。本発明のある実施形態によれば、差動オフセット決定ルーチン213またはゼロオフセット決定ルーチン216の如きゼロオフセット決定ルーチンが実行される毎に、オフセット相関関係214をデータベースに格納することができる。個々のオフセット相関関係が連続して作成されると、データベースが大きくなっていく。
補償済みゼロオフセットは、たとえばメーター電子機器20により自動的に求められてもよいことは理解されるべきである。これにより、ユーザー/オペレーターが、前に作成された相関関係に基づいて補償済みゼロオフセットを手動で入力する必要がなくなる。
上述のように本発明は、コリオリフローメーターの如き振動式フローメーターのゼロオフセットに生じうる変化を求め、補償するさまざまな方法を実現する。さらに、本発明は、時間の経過とともに生じうる流量較正係数の変化を補償する方法、またはもっと簡単にいえば示差測定法の性能を最大化するように2つ以上のフローメーター間の流量較正係数の一定の差を除去する方法を実現する。上述のさまざまな実施形態は、フローメーター、とくにコリオリフローメーターに関するものであるが、本発明は、コリオリフローメーターに限定されるべきものではないことは理解されるべきであり、本明細書に記載の方法は、コリオリフローメーターの測定機能の一部を欠いている他のタイプのフローメーター、または他の振動式センサーに用いられてもよい。
以上のように、本発明の特定の実施形態または実施形態が例示の目的で記載されているが、当業者にとって明らかなように、本発明の技術範囲内において、さまざまな変さらが可能である。本明細書に記載の教示は、上述されかつ対応する図面に例示されている実施形態だけでなく、他の振動式センサーにも適用することができる。従って、本発明の技術範囲は添付の請求項によって決められるものである。
Claims (10)
- ゼロオフセットと1つ以上の運転条件との間で前に作成されたオフセット相関関係を有する振動式フローメーターを動作させる方法であって、該ゼロオフセットはゼロ流量で測定される振動式フローメーターの導管の時間遅れであり、
前記振動式フローメーターからセンサー信号を受信するステップと、
受信した前記センサー信号に基づいて前記振動式フローメーターの現在のゼロオフセットを決定するステップと、
1つ以上の現在の運転条件を求めるステップと、
前記1つ以上の現在の運転条件を前記オフセット相関関係の1つ以上の前の運転条件と比較するステップと、
前記オフセット相関関係が前記現在の運転条件に対応して前に決定されたゼロオフセットを有している場合、前記現在のゼロオフセット及び前記前に求められたゼロオフセットに基づいて平均ゼロオフセットを求めるステップと
を有している、方法。 - 前記オフセット相関関係が前記1つ以上の現在の運転条件に対応して前に求められたゼロオフセットを有していない場合、前記振動式フローメーターの前記現在のゼロオフセット及び前記1つ以上の現在の運転条件を格納するステップをさらに有している、請求項1に記載の方法。
- 前記平均ゼロオフセットを求めるステップが、
前記現在のゼロオフセットに第一の重み付け係数を適用して第一の重み付けされたゼロオフセット求めるステップと、
前記前に求められたゼロオフセットに第二の重み付け係数を適用して第二の重み付けされたゼロオフセットを求めるステップと、
前記第一の重み付けされたゼロオフセット及び前記第二の重み付けされたゼロオフセットに基づいて前記平均ゼロオフセットを計算するステップを有している、請求項1に記載の方法。 - 前記第一の重み付け係数及び前記第二の重み付け係数が時間−重み付け係数である、請求項3に記載の方法。
- 前記平均ゼロオフセット及び1つ以上の運転条件に基づいて新たなオフセット相関関係を作成するステップをさらに有している、請求項1に記載の方法。
- 処理システム(203)を備えている振動式フローメーター(10)用のメーター電子機器(20)であって、ゼロオフセットで振動する導管(103A、103B)を有し、該ゼロオフセットはゼロ流量で測定される振動式フローメーター(10)の導管(103A、103B)の時間遅れであり、
前記処理システム(203)が、
前記第一の振動式フローメーター(10)からセンサー信号(210)を受信し、
受信した前記センサー信号(210)に基づいて前記振動式フローメーター(10)の現在のゼロオフセットを求め、
1つ以上の現在の運転条件を求め、
前記1つ以上の現在の運転条件を前記オフセット相関関係の1つ以上の前の運転条件と比較し、
前記オフセット相関関係が前記1つ以上の現在の運転条件に対応して前に求められたゼロオフセットを有している場合、前記現在のゼロオフセット及び前記前に求められたゼロオフセットに基づいて平均ゼロオフセットを求めるように構成されてなる、メーター電子機器(20)。 - 前記処理システム(203)は、前記オフセット相関関係が前記1つ以上の現在の運転条件に対応して前に求められたゼロオフセットを有していない場合、前記振動式フローメーター(10)の前記現在のゼロオフセット及び前記1つ以上の現在の運転条件を格納するようにさらに構成されてなる、請求項6に記載のメーター電子機器(20)。
- 前記平均ゼロオフセットを求めるステップが、
前記現在のゼロオフセットに第一の重み付け係数を適用して第一の重み付けされたゼロオフセットを求めるステップと、
前記前に求められたゼロオフセットに第二の重み付け係数を適用して第二の重み付けされたゼロオフセットを求めるステップと、
前記第一の重み付けされたゼロオフセット及び前記第二の重み付けされたゼロオフセットに基づいて前記平均ゼロオフセットを計算するステップとを有している、請求項6に記載のメーター電子機器(20)。 - 前記第一の重み付け係数及び前記第二の重み付け係数が時間−重み付け係数である、請求項8に記載のメーター電子機器(20)。
- 前記処理システム(203)が、前記平均ゼロオフセット及び前記1つ以上の運転条件に基づいて新たなオフセット相関関係を作成するようにさらに構成されてなる、請求項6に記載のメーター電子機器(20)。
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