図1は、流体注入システム1のブロック図である。システム1は、流体を収容してそれを患者5へ注入するための流体リザーバ2、3および4を含む。流体リザーバ2、3および4はそれぞれ点滴室7、8および9への重力供給式である。点滴室7、8および9はそれぞれ流量計10、11および12へ供給される。流量計10、11および12から、流体はそれぞれ自由流れ感知器13、14および15へ供給される。
システム1は、自由流れ感知器13、14および15の各自由流れ感知器からの弁16、17および18をも含む。ポンプ19、20および21は弁16、17および18からの流体を受け、コネクタ22を使用して流体を混合する。弁16、17および18はそれぞれ、ポンプ19、20および21と無線通信または有線通信されることにより流量および/または吐出プロファイルを制御するものであってもよい。例えば、ポンプ19は弁16と無線通信して、例えばポンプ19が所定の速度で稼働する場合に目標流量を達成するよう弁16の開閉を調節するものであってもよい。弁16は一部の実施形態においてポンプ19より下流に位置していてもよい。
コネクタ22からの流体は閉塞感知器23へ供給され、さらに空気感知器24へ供給される。閉塞感知器23は、システム1のチュービング内に閉塞が生じている状態を感知し得る。閉塞感知器23は、チューブに対して圧縮され、その結果、所定の閾値を超える増加が閉塞の指標となる圧力センサであってもよい。空気感知器24は、例えば患者5へ向かって流れている場合にチュービング内に空気が存在していると感知する。注入部位モニタ26へ入る前に、流体は弁25を通過する。
監視クライアント6は、一部の実施形態において、システム1の動作を監視する。例えば、閉塞感知器23によって閉塞が感知され、かつ/または空気感知器24によって空気が感知されると、監視クライアント6は弁25へ信号を無線通信して患者5への流体流を停止させ得る。
監視クライアント6は、処方箋を薬局へ遠隔送信するものであってもよい。処方箋は、流体ポンプを使用して流体を注入するための処方箋であってもよい。薬局は、処方箋を受診して1つまたは複数のコンピュータ内で待機させるための、ネットワーク(例えばインターネット)へ接続された1つまたは複数のコンピュータを含み得る。薬局は処方箋を使用して、薬物の化合(例えば1つまたは複数のコンピュータへ結合された自動化合装置を使用して、もしくは1つまたは複数のコンピュータ待ち行列を閲覧する薬剤師の手作業によって)、注入ポンプに付帯する流体リザーバの事前充填、および/または注入ポンプのプログラミング(例えば処置計画を注入ポンプ19へ組み込む)を、処方箋に従って薬局で行うことができる。流体リザーバ2は自動化合装置によって自動充填されるものであってよく、かつ/または注入ポンプ19は自動化合装置によって自動的にプログラムされるものであってもよい。自動化合装置はバーコード、RFIDタグ29および/またはデータを生成し得る。バーコード、RFIDタグ29および/またはデータの中の情報は、処置計画、処方箋、および/または患者情報を含み得る。自動化合装置は、バーコードを流体リザーバ2および/または注入ポンプ19へ添付する;RFIDタグ29を流体リザーバ2および/または注入ポンプ19へ添付する;および/またはRFIDタグ29もしくは流体リザーバ2もしくは注入ポンプ19の中のメモリを情報またはデータでプログラムするものであってもよい。データまたは情報は、例えばバーコード、RFIDタグ29またはメモリの中の通し番号または他の識別情報を使用して、処方箋と流体リザーバおよび/または注入ポンプ19とを関連付けるデータベース(例えば電子医療記録)へ送信され得る。
注入ポンプ19は、特定の患者(例えば患者のバーコード、RFID27または他の患者情報から決定される)について、流体リザーバ2内の流体が正しいかどうか、正しい流体リザーバ2であるかどうか、注入ポンプ19へプログラムされた処置が流体リザーバ2内の流体に対応しているかどうか、および/または流体リザーバ2と注入ポンプ19の中の流体が正しいかどうか判定するためのスキャナ、例えばRFIDタグ29へ問い合わせるRFID呼掛器または流体リザーバ2のバーコードをスキャンするバーコード・スキャナを有していてもよい。例えば、注入ポンプ19は流体リザーバ2のRFIDタグ29をスキャンし、RFIDタグ29内で符号化された通し番号または流体種別が注入ポンプ19内でプログラムされた処置によって示されるものと同じであるかどうか、チェックするものであってもよい。それに加えて、または代替として、注入ポンプ19は流体リザーバ2のRFIDタグ29に通し番号を問い合わせ、そして患者5のRFIDタグ27に患者通し番号を問い合わせ、さらに電子医療記録に問い合わせて、RFIDタグ29内の流体リザーバ19の通し番号が電子医療記録によって示される通りのRFIDタグ27内の患者通し番号と一致するかどうか、判定するものであってもよい。それに加えて、または代替として、監視クライアント6は、特定の患者(例えば患者のバーコード、RFIDタグ27、電子医療記録または他の患者識別情報または情報によって決定される通り)について、流体リザーバ2内の流体が正しいかどうか、正しい流体リザーバ2であるかどうか、注入ポンプ19へプログラムされた処置が流体リザーバ2内の流体に対応しているかどうか、および/または流体リザーバ2と注入ポンプ19が正しいかどうか判定するため、流体リザーバ2のRFIDタグ29および注入ポンプ19のRFIDタグをスキャンするものであってもよい。それに加えて、または代替として、監視クライアント6または注入ポンプ19は、処方箋を検証またはダウンロードするため、例えば注入ポンプ19または流体リザーバ2に記載されたバーコード通し番号を使用して電子医療記録データベースおよび/または薬局へ問い合わせるものであってもよい。
それに加えて、または代替として、安全な薬物送達を確保するよう、ポンプ19、20および21からの流れを監視クライアント6によって監視および/または制御され得る。監視クライアント6は、腕輪28に取り付けられたRFIDタグ27を、さらに流体リザーバ2、3および4それぞれに取り付けられたRFIDタグ29、30および31をスキャンし得る。監視クライアント6は患者5の腕輪に取り付けられたRFIDタグ27に関連付けられた電子医療記録(「EMR」)をダウンロードし、それを患者5のEMRに記載された1つまたは複数の処方箋と比較し得る。EMRが、流体リザーバ2、3および4が正しい薬剤を収容していることを示せば、ユーザはポンプ19、20および/または21経由での患者5への流体のポンプ輸送を開始するための命令を、監視クライアント6へ入力することができる。
注入部位モニタ26は、流体が患者5へ供給される部位を監視する。注入部位モニタ26は入力ポート408から流体を受け取り、流体を出力ポート409経由で患者5へ供給する。図2に記載の通り、一部の実施形態において、注入部位モニタ26は選択的に空気感知器410、浸透感知器32、圧力センサ33、流体温度センサ34、および/または患者体温センサ35を含む。一部の実施形態において、注入部位モニタ26は選択的に周囲気温センサ36およびRFID呼掛器41Aを含む。
注入部位モニタ26は、プロセッサ37とメモリ38をも含む。メモリ38は、プロセッサ37上で実行されるよう設定されたプロセッサ実行可能命令を含み得る。プロセッサ37は空気感知器410、浸透感知器32、圧力センサ33、流体温度センサ、患者体温センサ35、周囲気温センサ36、RFID呼掛器41A、ユーザ入力39およびボタン40と動作可能に通信し、例えばプロセッサ37はバス、パラレル通信リンク、シリアル通信リンク、無線通信リンク等へ結合され得る。図1および図2を参照しながら、410、32、33、33、34、35、36、39、40および/または41の様々な回路からの情報は、例えばWiFi、USB、シリアル、WiMax、Bluetooth、Zigbee等の有線または無線の通信リンク経由で監視クライアント6へ伝達され得る。
図1において、ポンプ19、20および21、または流体リザーバ2、3および4はそれぞれ、チューブに沿ってポンプ輸送装置、監視装置または計量装置など他の装置へと移動する圧力「特性」を生成するための上流および/または下流の圧力生成源(オクルーダ、スピーカ等)を含み得る。これらの圧力特性は各チューブ内の圧力の指標とすることができ、各チューブの識別および流量調整に使用することができ、および/またはチューブの流量測定の望ましい結果の指標とすることができる。圧力特性は、デジタル・データまたはアナログ信号等の情報を符号化するために変調される、圧電セラミックによって生成される超音波信号、例えばFM変調、AM変調、デジタル変調、アナログ変調等を伴う音響搬送波周波数であってもよい。
例えば、ポンプ19、20および21はそれぞれ、点滴チューブから注入部位モニタ26(圧力波を感知するトランスデューサを含み得る)にかけて音圧を伝達し、その経路全体の予想流量を注入部位モニタ26に示すことができる。流量計(図2参照)は流体流量を測定可能で、測定された流体流量の逸脱量がある所定の量に達すると、注入部位モニタ26はアラームおよび/または警報を発することができ、例えばアラームは弁16、17、18および25に閉じるよう信号を送ることができ、および/または監視クライアント6はその情報を記録目的で使用する、および/または弁16、17、18および25を閉じさせることができる。
再び図2を参照しながら、また前述の通り、プロセッサ37はユーザ入力39および1つまたは複数のボタン40と動作可能に通信する。注入部位モニタ26は、患者5の処置監視を開始するための信号をプロセッサ37へ送るため、様々なユーザ入力39を受け取ることができる。それに加えて、または代替として、注入部位モニタ26は患者5の腕輪のRFIDタグ27(図1参照)に問い合わせて、注入部位モニタ26が正しい患者5へ結合されているかどうか判定することができる。
空気感知器410はプロセッサ37と動作可能に通信する。空気感知器410は、入力ポート29経由で注入部位モニタ26へ進入する空気の量を測定、推定および/または判定することができる。一部の実施形態において、プロセッサ37は、チューブ内の空気が所定の閾値を超えると決定した場合、アラームまたは警報を監視クライアント6(図1参照)に伝達し、監視クライアント6は患者5への流体流を遮断するための信号を弁25へ送ることができる。それに加えて、または代替として、プロセッサ37は、チューブ内の空気が所定の閾値を超えると、流体流を止めるためのアラームまたは警報を弁25もしくはポンプ19、20および21のうち1つまたは複数に伝達することができる。空気感知器410は、超音波空気探知器、インピーダンス式空気感知器等であってもよい。
浸透感知器32はプロセッサ37と動作可能に通信する。浸透感知器32は、浸透試験中に出力ポート30経由で注入部位モニタ26へ進入する血液の量を測定、推定および/または判定することができる。一部の実施形態において、プロセッサ37は、浸透試験中にチューブ内の血液が所定の閾値未満であると決定した場合、アラームまたは警報を監視クライアント6(図1参照)に伝達し、監視クライアント6は患者5への流体流を遮断するための信号を弁25へ送ることができる。それに加えて、または代替として、プロセッサ37は、浸透試験の結果、浸透が発生したと決定されると、流体流を止めるためのアラームまたは警報を弁25もしくはポンプ19、20および21のうち1つまたは複数に伝達することができる。浸透試験は、血液が実際に注入部位モニタ26へ流入するかどうか判定するためポンプ19、20および/または21のうち1つまたは複数を反転させる過程を含み得る。浸透が発生してしまうと、血液は注入部位モニタ26へ流入しにくくなる。したがって、浸透が発生していなければ、流体が患者5から引き出される場合、所定の最低限の量の血液がポンプの作用によってチューブ41へ戻されるはずである。浸透感知器32はCCD式感知器、カメラ式感知器、光学式感知器等であってもよい。
圧力センサ33はプロセッサ37と動作可能に通信する。圧力センサ33は、ポート29および30経由で注入部位モニタ26へ進入、注入部位モニタ26から退出および/または注入部位モニタ26を通過する圧力の量を測定、推定および/または判定することができる。一部の実施形態において、プロセッサ37は、チューブ内の圧力が所定の閾値を超える、および/または所定の閾値を下回ると決定した場合、アラームまたは警報を監視クライアント6(図1参照)に伝達し、監視クライアント6は患者5への流体流を遮断するための信号を弁25へ送ることができる。圧力センサ33は、力が加えられる場合、伸張される場合、および/または引っ張られる場合に抵抗が変化する抵抗素子であってもよい。抵抗素子をチューブ41の周囲に巻き付け、その結果、流体の圧力によってチューブ41を拡張させ、抵抗素子の抵抗を測定してチューブ内の圧力と関連付けることができるようにしてもよく、例えば抵抗を測定し、ルックアップ・テーブルを使用してチューブ41内の推定圧力を検索できるようにしてもよい。一部の実施形態において、プロセッサ37は、チューブ内の圧力が所定の最高値を超える、もしくは所定の最低値未満であると決定した場合、アラームまたは警報を監視クライアント6(図1参照)に伝達し、監視クライアント6は患者5への流体流を遮断するための信号を弁25へ送ることができる。それに加えて、または代替として、プロセッサ37は、所定の最高値を超えるもしくは所定の最低値未満の、流体チューブ41内の測定圧力を圧力センサ33から受けると、流体流を止めるためのアラームまたは警報を弁25もしくはポンプ19、20および21のうち1つまたは複数に伝達することができる。
流体温度センサ34はプロセッサ37と動作可能に通信する。流体温度センサ34は、チューブ41内の流体温度を測定、推定および/または判定することができる。一部の実施形態において、プロセッサ37は、チューブ41内の流体温度が所定の閾値を超える、および/または所定の閾値を下回ると決定した場合、アラームまたは警報を監視クライアント6(図1参照)に伝達し、監視クライアント6は患者5への流体流を遮断するための信号を弁25へ送ることができる。一部の実施形態において、ユーザは例えば監視クライアント6のタッチ画面を使用して、アラームまたは警報を無効にすることができる。それに加えて、または代替として、プロセッサ37は、流体が所定の閾値を超える、および/または所定の閾値を下回ることを示す、チューブ41内の流体の推定温度を受けると、流体流を止めるためのアラームまたは警報を弁25もしくはポンプ19、20および21のうち1つまたは複数に伝達することができる。流体温度センサ34は、温度感受性材料、正温度係数材料、負温度係数材料、または他の温度センサ技術を利用するものであってもよい。
患者体温センサ35はプロセッサ37と動作可能に通信する。患者体温センサ35は、患者5の体温を測定、推定および/または判定することができる(図1参照)。患者5の体温は、その患者の状態、薬剤に影響を及ぼす温度との適合、または薬剤に影響を及ぼす温度の効果の判定に使用され得る。患者5の体温(患者状態パラメータ)は、監視クライアント6へ伝達され得る(図1参照)。一部の実施形態において、プロセッサ37は、患者5の体温が所定の閾値を超える、または所定の閾値を下回ると決定した場合、アラームまたは警報を監視クライアント6(図1参照)に伝達し、監視クライアント6は患者5への流体流を遮断するための信号を弁25へ送る、警報を遠隔通信機へ送信する、および/または注入部位モニタ26内の内蔵スピーカ42または振動モータ43を介して状態を介護者へ通知することができる。それに加えて、または代替として、プロセッサ37は、所定の閾値を超える、または所定の閾値を下回る推定体温を患者体温センサ35から受けると、流体流を止めるためのアラームまたは警報を弁25もしくはポンプ19、20および21のうち1つまたは複数に伝達することができる。患者体温センサ35は、温度感受性材料、正温度係数材料、負温度係数材料、または他の温度センサ技術を利用するものであってもよい。
周囲気温センサ36はプロセッサ37と動作可能に通信する。周囲気温センサ36は、注入部位モニタ26内の周囲気温を、もしくは別の実施形態では注入部位モニタ26の外部の気温を測定、推定および/または判定することができる。過剰な周囲気温は、一部の特定の実施形態において、電子部品故障の指標となり得る。一部の実施形態において、プロセッサ37は、周囲気温センサ36からの温度が所定の閾値を超える、または所定の閾値を下回ると決定した場合、アラームまたは警報を監視クライアント6(図1参照)に伝達し、監視クライアント6は患者5への流体流を遮断するための信号を弁25へ送ることができる。それに加えて、または代替として、プロセッサ37は、所定の閾値を超える、または所定の閾値を下回る推定気温を周囲気温センサ36から受けると、流体流を止めるためのアラームまたは警報を弁25もしくはポンプ19、20および21のうち1つまたは複数に伝達することができる。周囲気温センサ36は、温度感受性材料、正温度係数材料、負温度係数材料、または他の温度センサ技術を利用するものであってもよい。
図面を参照すると、図3は、本開示の一実施形態による図1のシステムの流体注入ポンプのブロック図である。図3のポンプ19は図1のポンプ19に該当するものとして記載されているが、図3のポンプ19は図1のポンプ19、20および21のうち1つまたは複数であってよい、もしくは本開示で開示された任意の十分な数のポンプに含まれてよい。
ポンプ19は、メモリ38に結合されたプロセッサ37を含む。プロセッサ37は、プロセッサ37上で実行されるよう設定されたプロセッサ実行可能命令を受け取るよう、メモリ38と動作可能に通信する。一部の実施形態において、プロセッサ37は、選択的に、ユーザ入力39、空気感知器410、流体温度センサ34、弁47、49、51および52、流量計48、アクチュエータ54、エア・フィルタ50、排液室53ならびに/または圧力センサ33と動作可能に通信する。
ポンプは、チューブ56内に収容されてポンプを通過する流体に対して動作する、アクチュエータ54を含む。アクチュエータ54は、チューブ56に対して直接動作する、もしくはアクチュエータ54内に収容された1つまたは複数の膜を作動させるものであってもよい。一部の実施形態において、弁47と49はアクチュエータ54と協働して流体、例えば液体を入力ポート44からチューブ56経由で出力ポート45へとポンプ輸送する。本開示の一部の実施形態において、ポンプ19は内部チュービングも、外部チュービングへの界面も含まない。
エア・フィルタ50はチューブ56からの空気を濾過する。代替的実施形態において、エア・フィルタ50は空気感知器410より上流に位置する。弁52は、空気がチューブ56から分岐チューブ57経由で排液室53へ進入できるよう作動し得る。
図面を参照すると、図4および図5は点滴室59を受ける点滴室ホルダ58を示す図である。後述する通り、点滴室58は本開示の一実施形態による自由流れ感知器を含む。それに加えて、代替として、または選択的に、点滴室58は本開示の一部の実施形態による流量計を含み得る。図4は点滴室ホルダ58のドア62を閉めた状態を示す図であり、図5は点滴室58ホルダのドア62を開いた状態を示す図である。点滴室ホルダ58は、図1の点滴室7、流量計10および自由流れ感知器13が一体化されたもの、もしくは何らかの形で組み合わされたものを含み得る。点滴室ホルダ58は開始ボタン60と停止ボタン61とを含む。点滴室ホルダは、そこを通過する流体を止める弁を含み得る、もしくは図1の弁16など別の弁に流体の流れを止めるための信号を送ることができる。
点滴室ホルダ58は選択的に、流体流を推定および/または自由流れ状態を感知できるカメラ63と64とを含む。点滴室ホルダ58は2つのカメラ(例えば63と64)を含むが、一部の実施形態ではカメラ63と64のうち1つのみ使用してもよい。カメラ63と64は、点滴室59内で形成される際の滴を撮像し、そのサイズを推定することができる。滴のサイズは、点滴室59を通過する流体流の推定に使用され得る。例えば、本開示の一部の実施形態において、カメラ63と64は点滴室59内で形成される滴のサイズの輪郭を推定する端部感知アルゴリズムを使用することができ、点滴室59内のプロセッサ(例えば図12または図14のプロセッサ90)は輪郭が滴のあらゆる角度から均一であると想定することができ、また輪郭から滴のサイズを推定することができる。図4および図5に記載の典型的実施形態において、2つのカメラ63と64は2つの輪郭を総合して平均し、滴のサイズを推定することができる。カメラ63と64は、本開示で記述されるような滴のサイズの認識を円滑化するための基準背景パターンを使用するものであってもよい。
本開示の別の実施形態において、カメラ63と64は、自由流れ状態が存在するかどうか判定するために流体を撮像する。カメラ63と64は、流体が自由に流れている(すなわち、滴が形成されず、流体が点滴室59を通って連続的に流れる状態である)かどうか判定するために背景パターンを使用することができる。点滴室ホルダ58は2つのカメラ(例えば63と64)を含むが、一部の実施形態ではカメラ63と64のうち1つのみ、自由流れ状態が存在するかどうかの判定に使用してもよい。
それに加えて、または代替として、本開示の一部の実施形態において、別のカメラ65が流体チューブ66を監視して、流体チューブ内の1つまたは複数の気泡の存在を感知する。別の実施形態において、別の気泡感知器をカメラ65の代わりに使用してもよい。さらなる付加的実施形態において、点滴室ホルダ58では気泡感知を使用しない。
図6は、本開示の別の実施形態による別の点滴室ホルダ67のブロック図である。点滴室ホルダ67は、点滴袋69から流体を受ける光学式点滴カウンタ68を含む。別の実施形態において、光学式点滴カウンタ68はカメラ、一対のカメラ、容量性点滴カウンタ等である。点滴室ホルダ67は、モータ72によって制御されるホルダ・クランプ71へ結合されたチューブ70へ結合される。モータ72は、ローラ・クランプ74を制御するリード・スクリュ機構73へ結合され得る。
モータ72はサーボ・モータであってもよく、またチューブ70を通過する流量の調節に使用され得る。つまり、点滴室67は流量計兼調整器の役割も果たし得る。例えば、点滴室67内のプロセッサ75は、光学式点滴カウンタ68によって測定される流量が望ましい流量となるよう、モータ72を調節することができる。プロセッサ75は、光学式点滴カウンタ68をフィードバックとして使用する制御アルゴリズム、例えばモータ72へ出力し、光学式点滴カウンタ68からフィードバックを受信する比例・積分・微分(「PID」)制御ループを実装することができる。
別の実施形態において、モータ72、リード・スクリュ機構73およびローラ・クランプ74を、チューブ70を圧搾するアクチュエータ(例えばモータによって駆動されるカム機構またはリンケージを使用するもの)に置き換える、および/またはアクチュエータで補完する、もしくはモータによって駆動される任意の十分なローラ、スクリュ、またはスライダに置き換えてもよい。
点滴室ホルダ67はさらに、ディスプレイ、例えば図4および図5の点滴室ホルダ58に記載のようなディスプレイ76を含むものであってもよい。ディスプレイは、目標流量の設定、現在の流量の表示に使用してよく、および/または例えばタッチ画面ボタンの提供、流量の停止に使用してもよい(もしくは図4および図5に記載のようなボタン61を流体流の停止に使用してもよい)。
再び図4を参照すると、本開示の一部の特定の実施形態において、カメラ63および/または64は、4275 Burton Drive、Santa Clara、California 95054のOmniVision製カメラ・キューブであってもよい。例えば、カメラ・キューブは電話機カメラ用途向けに製造されたものであってもよい。本開示の一部の実施形態において、カメラ63および/または64は、固定焦点を使用し、被写界深度(「DOF」)が15センチメートル〜無限大のものであってもよい。
カメラ63と64はそれぞれ、1ピクセルの領域内に完全に収まるカメラ63および/または64のうち1つの範囲内で撮像される1点の錯乱円を有するものであってよい。例示的実施形態において、カメラ63と64のカメラ・レンズは焦点距離が1.15ミリメートル、F#が3.0、開口が0.3833ミリメートルのものであってよい。カメラ63と64のうち1つまたは複数における光学系の第1次近似は行列方程式を使用して作成することができ、光線rはすべて、以下の通り、式(1)に記載のベクトルとして表される。
上式(1)中、hはカメラ63および/または64のカメラ・システムへの入口での光線の高さ、θは光線の角度である。図7を参照すると、カメラ63または64(焦点距離をfとする)のうち1つのレンズから距離dimの位置にある仮説上の点を撮像する場合、レンズは焦点面から距離dfpの位置にあるとすると、これに対応してカメラ(カメラ63および/または64のうち1つまたは両方)を表す行列Mcamは以下の通り、式(2)によって表される。
光線が当たる場所を焦点面fp上で見つけるには、以下の通り、式(3)に記載の行列乗算を用いるとよい。
図7に記載の通り、錯乱円の直径Dblurはおおよそ、図7に記載の2点間の距離として示される。この距離は、光軸上のレンズからdim離れた点から、光線をレンズの端部へ、そして焦点面に至るまで追跡すると分かる。この光線は以下の通り、式(4)に記載のベクトルによって付与される。
図8に記載の通り、錯乱円Dblurは、様々な、レンズから焦点面までの間隔およびレンズから画像までの間隔について計算され、示されている。等高線図77も図8で示されている。x軸は、焦点面と、カメラ63および/または64のうち1つのレンズから焦点距離分離れた位置にある1点の間の距離をミクロン単位で示す。y軸は、レンズと撮像対象点の間の距離をメートル単位で示す。等高線図77を創出する値は、錯乱円のサイズをピクセルサイズで割った値であり、したがって約1以下の値であれば撮像に十分である。図8に記載の通り、焦点面は焦点距離に5マイクロメートルを加算した分、レンズから離れた位置にある。
カメラ63および/または64は、第2のレンズを利用し得る。例えば、カメラ63および/または64のうち1つまたは複数が、比較的大きめの被写界深度と比較的大きめの視野を創出するために第2のレンズを利用し得る。2つのレンズを利用する被写界深度は、上記と同じ分析を用いて計算できるが、第2のレンズおよび追加距離に適応するよう光学マトリックスが修正され、これは以下の通り、式(5)で示される。
図9および図10は、レンズとカメラの間隔に伴う視野の変化と、対応するカメラの焦点の変化を示す図である。図9および図10は、ピクセルサイズで分けた錯乱円を示す図である。図9は、焦点距離20ミリメートルのレンズを使用した場合のピクセルサイズで分けた錯乱円を示す図である。図10は、焦点距離40ミリメートルのレンズを使用した場合のピクセルサイズで分けた錯乱円を示す図である。図9および図10の2通りの構成における隅部の光軸を中心とした対応する視野が、図11の表に示されている。
図11に記載の通り、一部の実施形態において、図4および図5のカメラ63と64は40mm〜60mmの焦点距離のレンズを利用できる。この構成は、カメラ63と64のうち1つまたは複数を焦点から約2インチ離して配置する構成を含む。本開示の他の実施形態において、図11に不記載の構成を含め、他の構成を使用してもよい。
例えば、以下の分析は、カメラ63と64のうち1つまたは複数について被写界深度を設定可能な方法、すなわち焦点距離fのレンズを使用し、焦点面からの距離をzとし、空間内の1点からの距離をdとする方法を示し、システムの行列は以下の通り、式(6)で示される。
式(6)は以下の通り、式(7)へと約分される。
式(7)は以下の通り、式(8)へと約分される。
軸上の点を考察すると、高さはすべてゼロとなる。異なる光線が当たる焦点面上の点は、以下の通り、式(9)によって付与される。
上式(9)に記載の通り、θは光線の角度である。完璧な合焦点は、以下の通り、式(10)に記載のレンズ・メーカーの方程式によって付与される。
式(10)を再整理すると、以下の通り、式(11)を導き出すことができる。
光線が当たる点を示すため、式(11)からdを(9)へ挿入すると、以下の通り、式(12)となる。
この点を離脱する光線はすべて、光軸で焦点面に当たる。式(13)に記載の通り、カメラ63および/または65が焦点から距離δ移動する場合の状況は以下のように表される。
式(13)は、カメラ63と64のレンズの位置を焦点面を基準に適切に決めることにより、発明者らが被写界深度を変えることができることを示す。それに加えて、スポット・サイズは角度θの大きさに左右される。この角度は、カメラ63および/または64によって創出される視覚システムの開口に直線的に左右される。
それに加えて、または代替として、本開示の一部の実施形態により、カメラ63と64を、以下を含む様々なパラメータについて調節することによって実装することができる:視覚システムのコンパクトさ、位置合わせ、環境への感度に対して焦点までの距離が及ぼす影響;システムの視野;システムの位置合わせに対する許容度および環境に対するシステムの感度に対してレンズから焦点面までの間隔が及ぼす影響。
図12は、本開示の一実施形態による図4および図5の点滴室ホルダのカメラの撮像システム78のブロック図である。図4および図5のカメラ63は図12を参照して記述されることになるが、カメラ64も図12に記載の構成を利用し得る。
図12は、カメラ63、点滴室59を介して少なくとも部分的に光を照らす均一バック・ライト79、および均一バック・ライト79からの光を受ける赤外線(「IR」)フィルタ80を含む、撮像システム78を示す図である。システム78は、カメラ63および/または均一バック・ライト79へ動作可能に結合され得るプロセッサ90をも含む。
均一バック・ライト79は、同じ色または異なる色の発光ダイオード(「LED」)のアレイ、電球、周囲光を受ける窓、白熱電灯等であってもよい。別の実施形態において、均一バック・ライト79を1つまたは複数の点光源に置き換えてもよい。
プロセッサ90は、カメラ63に合わせて均一バック・ライト79を変調し得る。例えば、プロセッサ90は所定の長さの時間にわたり均一バック・ライト79を作動し、カメラ63へ信号を送って少なくとも1つの画像を捉えさせ、その後、均一バック・ライト79へ消灯信号を送ることができる。カメラ63からの1つまたは複数の画像は、流量の推定および/または自由流れ状態の感知のため、マイクロプロセッサによって処理され得る。例えば、本開示の一実施形態において、システム78は点滴室59内で形成される滴のサイズを監視し、所定の長さの時間内に点滴室59を通過する滴の数を数える。プロセッサ90はある期間にわたる個々の滴からの周期的な流れを平均して流量を推定することができる。例えば、個々の容積がYの滴がX個、時間Z内に点滴室を通って流れるとすると、流量は(X*Y)/Zとして算出され得る。
それに加えて、または代替として、システム78は、点滴流体が点滴室59を通って連続的に流れている状態(すなわち、自由流れ状態中)を決定し得る。均一バック・ライト79は点滴室59を通って照らすことにより、点滴室59の画像をカメラ63へ提供する。カメラ63は点滴室59の1つまたは複数の画像を捉えることができる。
システム78の別の配向を、均一バック・ライト79の感度および/または配向、カメラ63、均一バック・ライト79からの光の特性、および周囲光の説明に使用してもよい。本開示の一部の実施形態において、プロセッサ90は、均一バック・ライト79によって容易になるカメラ63による収集画像の均一性を利用するアルゴリズムを実装する。例えば、均一バック・ライト79を利用すると、一貫して均一な画像をカメラ63で捉えることができる。
周囲照明は、直射日光に起因するものなど、カメラ63から受ける画像が一貫性を欠く原因となり得る。したがって、本開示の一部の実施形態において、IRフィルタ80を選択的に使用して周囲光の影響の一部を除去する。例えば、IRフィルタ80は狭帯域赤外光フィルタをカメラ63の前面に配置したものであってよい。均一バック・ライト79はフィルタ80の通過帯域の中心周波数とほぼ同じ波長の光を発し得る。IRフィルタ80と均一バック・ライト79は、約850ナノメートルの中心周波数を有し得る。別の実施形態において、他の光学的周波数、帯域幅、中心周波数、または他の種類のフィルタを、システム78で利用してもよい。
図13は、本開示の一実施形態による図12のシステムのカメラ63によって捉えられた画像81を示す図である。画像81は、凝結82と、自由流れ状態に起因する流れ83を示す。一部の実施形態において、端部感知を使用して流れ83および/または凝結82の位置を決定することができる。それに加えて、または代替として、下記のような背景画像またはパターンを使用してもよい。
図14は、本開示の一実施形態による図4および図5の点滴室ホルダのカメラの撮像システム84のブロック図である。図4および図5のカメラ63は図14を参照して記述されることになるが、カメラ64も図14に記載の構成を利用し得る。
システム84は、不透明で点滴室59の背後に位置するライン85のアレイを含む。ラインのアレイ85は、システム84における自由流れ状態の感知に使用され得る。自由流れ感知アルゴリズムは、滴の存在または不在を、流動状態(自由流れ状態など)が存在するか否かの判定に使用し得る。次に図15を参照すると、本開示の一実施形態により、点滴室59に自由流れ状態が存在する場合に図14のカメラ63によって捉えられた画像86の図解が示されている。
画像86は、点滴室59が自由流れ状態となる状態を示し、また流体87の流れが正の円柱レンズの役割を果たすことを示す。つまり、図15に記載の通り、カメラ63によって1つの画像内で捉えられたラインのアレイ85は、非自由流れ状態と比べ、ラインのアレイ85から反転したライン・パターン88を示す。
本開示の一部の実施形態において、約850ナノメートルの光波長の照明を、画像86の創出に使用できる。一部の材料は、可視スペクトルでは不透明で、約850ナノメートルのIR付近で透明となり、したがってラインのアレイ85の創出に使用できる。ラインのアレイ85は、様々なラピッド・プロトタイピング樹脂を使用して創出できる。例えば、ラインのアレイ85は、ラインのアレイ85を作るためにラピッド・プロトタイプ構造に赤外不透明インクを印刷または金属被覆を施したものを使用して創出できる。それに加えて、または代替として、本開示の一部の実施形態において、ラインのアレイ85を創出する別の方法は、銅にラインを引いた回路基板を創出することである。別の実施形態において、ラインのアレイ85は、均一バック・ライト79上にリボン・ケーブル片を巻いて創出される。リボン・ケーブル内のワイヤは赤外スペクトルに対しては不透明であるが絶縁体は透明で、ワイヤの間隔をカメラ63による撮像に利用できる(図14参照)。さらなる付加的実施形態において、薄い放電加工金属片を利用してもよい。金属は不透明で、製造時に材料の空間を非常に細かく制御することにより、IR光が空間を通過できるようにすることができる。
プロセッサ90は、自由流れ状態が存在する時期を決定するアルゴリズムを実装する。プロセッサ90は、自由流れ状態が存在するかどうか判定するアルゴリズムを実装する旨の1つまたは複数の命令を受け取るよう、コンピュータ可読媒体91(非一過性コンピュータ可読媒体など)と動作可能に通信され得る。コンピュータ可読媒体91からの1つまたは複数の命令は、プロセッサ90による実行向けに設定される。
再び図14を参照すると、血液がシステム84により使用され得る。例えば、システム84は、ウシ血液の使用時などに例えば波長850ナノメートルまたは780ナノメートルの光を使用するよう構成されたカメラ63、IRフィルタ80、および均一バック・ライト79を利用する場合、血液の自由流れ状態が存在する時期を決定し得る。血液は、水を流体として使用して取得された画像に比べ、不透明な外観となり得る。
自由流れが存在する時期を決定するため、プロセッサ90によって実装され、コンピュータ可読媒体91から受け取られる以下のアルゴリズムが使用され得る:(1)背景画像89を確立し(図16参照)、(2)背景画像89を現在の画像から差し引く。結果的な画像に対して追加処理を施してもよい。
本開示の一部の実施形態において、図16の背景画像89はプロセッサ90によって動的に生成され得る。動的背景画像は、点滴室表面上の凝結または飛沫82など、変化する状態の説明に使用され得る(図13参照)。例えば、特定の一実施形態において、カメラ(図14の63など)によって捉えられた新規画像それぞれについて、背景画像の各ピクセルに0.96を乗じ、現在の画像(直近に捉えられた画像など)の各ピクセルに0.04を乗じ、その後、2つの値を合算して、各ピクセルの新規背景画像についての新規の値を創出する。このプロセスはすべてのピクセルについて反復され得る。さらに別の例では、特定の一実施形態において、新規画像の1ピクセルが行xおよび列yにある場合、行xおよび列yでの新規背景画像は、行xおよび列yの従前の背景画像に0.96を乗じた値を新規画像の行xおよび列yのピクセルの値に0.04を乗じた値に加算した値である。
システム84において点滴室59を通って流れる水が全くない場合(図14参照)、差し引いた結果はほぼ完全に黒い、すなわちピクセル・マグニチュードが低い状態となるはずであり、それによりアルゴリズムは点滴室59を通って流れる水が全くないと判定しやすくなる。
図17は、点滴室59内に滴が存在する場合のカメラ63からの画像92を示す図である(図14参照)。図18は、システム84によって使用される背景画像93を示す図である。システム84が図17の画像92で示されるような滴を有する場合、図14のシステム84は、図19の画像94によって示されるように、ラインのアレイの画像が液滴のレンズ効果によって歪められる高コントラスト・スポットをいくつか有する。図19の画像94は、個々のピクセルについて、図18の画像93から図17の画像92を差し引いた絶対値を取得し、そして個々のピクセルを、値が所定の閾値を超える場合は白色のピクセルへと変換する、またはそうでなく値が所定の閾値を下回るの場合は黒色のピクセルへと変換することによって生成される。図19の画像94内の白色の各ピクセルは、画像92と93の間で当該ピクセルの位置について所定の閾値を超える差異が存在している結果である。
例えば、行xおよび列yの位置を有する図17、18および19それぞれの3つのピクセルを考察してみる。図19の画像94の行xおよび列yのピクセルを決定するには、図17の画像92の行xおよび列yのピクセルを図18の画像93の行xおよび列yのピクセルから差し引き、次いで減算結果の絶対値を取得する。結果の絶対値が所定の閾値を超える(例えばグレースケール値128を超える)場合、図19の画像94の行xおよび列yの位置のピクセルは白色となり、そうでなければ図19の画像94の行xおよび列yの位置のピクセルは黒色となる。
図19の画像94内にいくつかの高コントラスト・スポットが存在すると決定される場合、システム84のプロセッサ90(図14参照)は、滴が点滴室59内で形成される途中であり、自由流れ状態は存在しないと決定する。滴の画像は、本開示にて記載の通り、流量を推定するための滴のサイズの判定に利用され得る。
図20は、本開示の一実施形態による、自由流れ状態が存在するかどうか判定するために図17〜図19を使用して行われ得る画像処理を示す図である。図20および図19を参照すると、各行の白色のピクセルがすべて合計され、図20で結果183として示されている。y軸は行番号を表し、x軸は各行ごとに決定された白色のピクセルの数を表す。
次に図20のみ参照すると、前述の通り、行ごとの白色のピクセルの数が合計され、結果183として示されており、この結果が自由流れ状態が存在するかどうか、もしくは存在する時期の判定に使用される。一部の特定の実施形態において、システム84のプロセッサ90(図14参照)は、結果183における合計された行について所定の数の連続値が閾値184を超えて存在する場合、自由流れ状態が存在すると決定する。例えば、結果183の範囲内で、概して185によって表される複数の行が、閾値184を超える合計値を有する。合計された行について所定の数を超える連続値が結果183の範囲内に存在すると決定された場合、図14のプロセッサ90により、自由流れ状態が存在すると決定される。例えば、図20に記載の通り、複数の連続行185が、合計された行について所定の数の連続値未満であり、したがって自由流れ状態は存在しないと決定される。
図21は、自由流れ状態が存在する場合に図14のカメラ63によって捉えられた流れを示す画像95を示す図である。図22は、背景画像96を示す図である。図23は、図22の画像96と図21の画像95の差異の絶対値が白色のピクセル(差異の絶対値が閾値を超える場合)または黒色のピクセル(差異の絶対値が閾値を下回る場合)いずれかへ変換された場合に、絶対値によって形成される画像97を示す図である。図23に記載の通り、上から下へと流れる流れのラインの逆配向によって生じる高コントラスト・スポットが、プロセッサ90によって感知され得る。図14のプロセッサ90は、上記のアルゴリズムを使用することにより、画像97を使用して自由流れ状態が存在するかどうか判定できる。
つまり、図24に記載の通り、結果186は、閾値188を超える結果186の連続範囲187を有する形で示される。合計された行の連続範囲187は閾値188を超える連続値について所定の閾値数より大きいことから、プロセッサ90により、自由流れ状態が存在すると決定される(図14参照)。つまり、結果186において閾値188を超える連続範囲が所定の連続値範囲より大きく、したがってプロセッサ90は、図24の結果186を使用する場合、自由流れ状態が存在すると決定する。
本開示のさらなる付加的な一実施形態において、強度、強度の二乗または他の関数を使用して、結果183および/または186を生成することができる。さらなる付加的な一実施形態において、1つまたは複数のデータ平滑化関数、例えばスプライン関数、三次スプライン関数、Bスプライン関数、ベジエ・スプライン関数、多項式補間、移動平均または他のデータ平滑化関数などを使用して、結果183および/または186を平滑化することができる。
例えば、図14のカメラ63の画像、例えば図21の画像95は、図22の画像96などの背景画像から差し引いて強度値を取得し得る。例えば、図21の行xおよび列yのピクセルは、行xおよび列yでの強度値を創出するために、図22の画像96の行xおよび列yのピクセルから差し引かれ得る。これはすべての強度値を取得するためにすべてのピクセル位置について反復され得る。各行の強度値は結果183および/または186を取得するために合計され、その結果、プロセッサ90は、強度値について合計された行が閾値を超える連続範囲を有する場合、自由流れ状態が存在すると決定することができる。一部の実施形態において、強度値は強度値の絶対値へ変換され、強度値の絶対値について合計された行は、その連続範囲が連続値の閾値範囲を超えるかどうかの判定に使用される。それに加えて、または代替として、強度を二乗してもよく、次いでプロセッサ90は二乗強度行を合計し、強度二乗値について合計された行の連続範囲が閾値を超えて存在するかどうかにより、自由流れ状態が存在するかどうか判定することができる。一部の実施形態において、強度値または強度二乗値について合計された行の閾値(最小範囲と最大範囲など)を超える所定の連続値範囲が、プロセッサ90によって、液体の滴が画像内にあるかどうかの判定に使用され得る。強度値(または強度二乗値)の行が合計され、合計値の範囲が閾値の数を超える場合、連続値の範囲が最低範囲と最大範囲の間にあると、プロセッサ90は、所定の閾値を超える連続値の範囲はカメラ63の視野内の滴からのものであると決定することができる。本開示の一部の実施形態において、強度値または強度二乗値について合計された行は、例えば0と1の間の値を有するよう正規化され得る。
以下は、自由流れ状態が存在するかどうかのプロセッサ90による判定に先立って強度値または強度二乗値について合計された行に対して使用され得る、三次スプラインに似た平滑化関数(すなわち三次スプライン形関数)に関する記述である。三次スプライン形関数は、後述する通り、一部の特定の実施形態において、プロセッサ90による自由流れ状態の識別を容易にし得るブロックの識別に使用され得る。
三次スプライン形関数は三次スプラインと類似するが、所与の関数を忠実に模倣するというよりむしろ、データ・セットを円滑化するものである。プロセッサ90からの区間上でデータ標本を抽出すると(例えば二乗された強度または正規化された強度の行に沿った総和)、区間[x0,x1]、[x1,x2],...,[xN−1,XN]についてx0=0およびxN=1とした場合に最良適合の一組の三次関数を見つけることができ、ただし関数全体は連続導関数および連続曲率と共に連続する。
標準的な三次スプラインの定義は以下の通り、式(14)で表される。
関数Ai、Bi、Ci、Diは以下の通り、一組の式(15)で定義される。
式(14)と式(15)は、連続性と曲率連続性を保証する。自由に選択できる値はyi、
のみである。式(16)は以下のように選択されるという点に留意されたい。
すなわち、関数は0と1にて平坦である。残りの
は以下の一組の式(17)を満たさなければならない。
一組の式(17)は以下の通り、一組の式(18)として書き換えることができる。
転じて、これが行列方程式(19)になる。
一組の式(19)は、一組の式(20)として書き換えることができる。
Fydd=Gy
ydd=F−1Gy=Hy (20)
収集されたデータについて最小二乗基準を使用してのベクトルyの値の選択は以下の通り、式(21)で示される。
つまり、式(21)はデータとスプラインの間の最小偏差、すなわち誤差関数である。yの値は式(21)で定義される誤差を最小化するよう選択され、予測値のベクトルは以下の式(22)に示されるように書き換えることができる。
式(22)の括弧内の行列の要素は、各データ・ポイントに対応するxの値に依存するが、これは固定行列である。したがって、最終の式は疑似逆を使用して決定され得る。転じて、疑似逆はデータ・セットのxの位置および三次スプライン内の分岐設定位置のみに依存する。これの意味合いは、スプラインの幾何と画像のサイズが選定されると、一連の測定値ymを前提とするyの最良の選択は以下の通り、式(23)で示されるということである。
y=(ATA)−1A・ym (23)
画像の合計強度二乗関数を介した三次スプラインは、結果的に式(24)によって付与される。
ycs=A・y (24)
三次スプラインの最大値を求めたいので、スプラインの導関数も必要となる。三次スプライン導関数は以下の通り、式(25)によって付与される。
式(25)は式(26)のように記述できる。
y’cs=(A’{k}+B’{k})y+(C’{k}+D’{k})ydd
=[A’{k}+B’{k}+C’{k}H+D’{k}H]y
=A’y (26)
yの現在値が分かれば、三次スプラインycsとその導関数y’csを計算できる。三次スプライン・データは、所定の閾値を超える値を含むデータの「ブロック」を含み得る。チューブを出て点滴室59へ流入する液体によってパイプ・ブロックが形成され、また液体が点滴室59の重力端部に集まるとプール・ブロックが形成される(図14参照)。
以下のアルゴリズムが、三次スプライン・データへ適用され得る:(1)導関数情報を使用して三次スプライン・データの局所最大値を決定する;(2)三次スプライン値が閾値を超えるすべての点を包含することにより、各局所最大値を包囲するブロックを決定する;(3)交差するブロックをすべて統合する;(4)質量(強度)の中心を含むデータのブロック、質量(強度)の第2の動き、ブロックにおける低い方のxの値、ブロックにおける高い方のxの値、ブロック内の強度二乗データの元来の合計の平均値、ブロック内の強度二乗データの元来の合計の標準偏差、ならびにブロック内の高域通過フィルタ処理済み画像セットの平均強度に関する情報を計算する;そして(5)収集されたデータを解釈して、滴の発生時期およびシステムが流れとなる時期に関する情報を取得する。
ブロック内の高域通過フィルタ処理済み画像セットの平均強度は、スプライン・データの各連続範囲によって創出されるブロックが高頻度アーチファクト(滴など)または低頻度アーチファクトの結果であるかどうかの判定に使用される。これは、凝結などのアーチファクトを画像から除去する傾向にある第2の背景フィルタの役割を果たすことになる。つまり、1つの画像メモリ・バッファ内の従前の画像(例えば従前の30のフレーム)がすべて、データがフレーム間の高頻度運動の結果であるかどうかの判定に使用される。ブロックが低頻度変化の結果であれば、ブロックは除去され、あるいは高頻度変化の結果であれば、ブロックはさらなる分析向けに維持される。有限インパルス応答フィルタまたは無限インパルス応答フィルタを使用してもよい。
各ブロックは、高さがブロック内のデータの平均値に等しい物理的範囲にわたりプロットされる。あるブロックにおける高域通過フィルタ画像の平均値が閾値より低い場合、それは複数の画像の周囲にまたがって存在していることを意味し、したがって除去され得る。
自由流れ状態は、ブロックを使用して、パイプ・ブロックがプール・ブロック付近にまで伸びる場合、パイプ・ブロックとプール・ブロックが一体となる場合、および/またはプール・ブロックとパイプ・ブロック(またはすべてのブロック)の幅の合計範囲が所定の閾値を超える場合、例えばブロックの合計範囲の幅が380ピクセルを超える場合、プロセッサ90により、存在すると決定され得る。プロセッサ90は、チューブ内で滴が形成され、その滴が点滴室59のパイプ(すなわちチューブ)を離脱する結果として、長めの幅から短めの幅へのパイプ・ブロックの遷移が発生する場合、滴を感知し得る。プロセッサ90はこれを、現在のパイプ・ブロックの幅と従前の画像におけるパイプ・ブロックの幅の比率を考察することによって感知することができ、例えばある画像について比率が0.9未満であると同時に局所最小値である場合、その画像はプロセッサ90により、滴が形成された直後に形成された画像であると見なされ得る。
様々なフィルタ処理アルゴリズムを使用して、凝結または他の低頻度現象を感知することができ、例えばあるブロックにおける高域通過フィルタ画像の平均値が低い場合、それは凝結であると考えられる。このアーチファクトは凝結から除去され得る。それに加えて、または代替として、高域平均値が低い長いブロック(所定の閾値を超えるものなど)は流れである可能性もあり、何故なら流れの画像は不変のままである傾向にあるからである。
プロセッサ90は、一部の特定の実施形態において、ブロック・データを使用して滴を数えることにより、システム84を滴カウンタとして使用し得る。プロセッサ90はまた、滴が水を撹乱する場合のプール・ブロック内の幅の変化を使用して、滴と共に形成された気泡がプールに衝突するかどうか判定することもできる。例えば、プロセッサ90は、ブロックがプール・ブロックより下方で形成される状態を決定でき、またプロセッサ90は、滴が水に衝突する場合に気泡が形成される状態を決定できる。全ブロック範囲の所定の値が自由流れ状態の存在を意味するかどうか判定するため、気泡はプロセッサ90のフィルタ処理によって除去され得る。
本開示の一部の実施形態において、システム84の被写界深度は、室壁上の凝結および液滴に対するシステム84の感度を低くするよう、狭い被写界深度を有するものであってもよい。一部の実施形態において、前方焦点システムを使用してもよい。
次に図25を参照すると、本開示の別の実施形態において、テンプレート189が、自由流れ状態が存在するかどうかの判定に使用される。テンプレート189は、図14のプロセッサ90によって、パターン・マッチ・スコア190の判定に使用される。図19の画像94は、パターン189と対比され得る(例えば、背景画像と図14のカメラ63によって捉えられた画像の差異が、次いで閾値以下であれば黒色のピクセルへと変換される、もしくは閾値を超えると白色のピクセルへと変換される)。パターン・マッチ・スコア190が所定の閾値を超えると、自由流れ状態が存在すると決定される。テンプレート・マッチングは、Open Source Computer Vision(「OpenCV」)ライブラリに記載されているようなテンプレート・マッチング・アルゴリズムを利用し得る。例えば、テンプレート189は、CV_TM_CCOEFF方式またはCV_TM_CCOEFF_NORMED方式を使用するOpenCVライブラリのmatchTemplate()関数呼び出しと併用され得る。CV_TM_CCOEFF方式は、以下の通り式(27)で示されるパターン・マッチング・アルゴリズムを使用する。
Iは画像を表し、Tはテンプレートを表し、Rは結果を表す。総和は、x’=0...w−1かつy’=0...h−1となるよう、テンプレートおよび/または画像パッチにわたって実行される。
結果Rは、アルゴリズムによる判定に従って画像I内の特定の位置でテンプレートTがどの程度マッチするかの判定に使用され得る。CV_TM_CCOEFF_NORMEDのOpenCVテンプレート・マッチ方式は、以下の通り式(28)で示されるパターン・マッチング・アルゴリズムを使用する。
本開示の別の実施形態において、テンプレート・マッチング・アルゴリズムは高速フーリエ変換(「EFT」)を使用する。一部の実施形態において、OpenCVのmatchTemplate()関数における例えばCV_TM_SQDIFF、CV_TM_SQDIFF_NORMED、CV_TM_CCORRおよび/またはCV_TM_CCORR_NORMEDなど、どの方式でも使用され得る。
CV_TM_SQDIFFは、以下の通り式(29)で示されるパターン・マッチング・アルゴリズムを使用する。
CV_TM_SQDIFF_NORMEDは、以下の通り式(30)で示されるパターン・マッチング・アルゴリズムを使用する。
CV_TM_CCORRは、以下の通り式(31)で示されるパターン・マッチング・アルゴリズムを使用する。
CV_TM_CCORR_NORMEDは、以下の通り式(32)で示されるパターン・マッチング・アルゴリズムを使用する。
本開示のさらに別の実施形態において、自由流れ状態が存在するかどうかの判定のため、自由流れ状態のグレースケール画像のテンプレートが図14のカメラ63によって取得された画像と比較される。一部の実施形態において、OpenCVライブラリ内のテンプレート・マッチング関数が利用され得る。
次に図26および図27を参照して、本開示のさらなる付加的な一実施形態において、自由流れ状態が存在する時期を決定するために図14のプロセッサ90上で実行されるアルゴリズムは、端部感知とそれに続くライン感知を利用して、テンプレート・パターンがピクセルのアレイにマッチするかどうか判定するためのアルゴリズムを利用し得る。図26に記載の通り、画像98は、端部感知とそれに続くライン感知の使用により、図27の画像99から形成される。結果的なラインは、プロセッサ90により、自由流れ状態が存在することの判定に利用され得る。図26に記載の通り、プロセッサ90によるこの処理の後に出現する特徴は、背景基準画像の予想勾配45°と異なる勾配を有するラインである。一部の実施形態において、背景画像と同じ角度のラインは図26から除去され得る。ラインは、OpenCVライブラリに記載されているCannyアルゴリズムを、同じくOpenCVライブラリに記載されているラインの勾配を決定するためのHoughアルゴリズムと併用して、端部として感知され得る。
図28〜図32は、自由流れ状態の感知または流体の滴のサイズの推定に使用され得る様々な背景パターンを示す図である。図28〜図32の背景パターンと併用される場合、図28〜図32で使用するよう記載されているカメラ102は、図4または図5のカメラ63または64、図6のカメラ、図14のカメラ63であってもよく、それぞれ、図6のプロセッサ75または図14のプロセッサ90など、カメラからの画像処理用の各プロセッサへ結合され得る。
図28は、本開示の一実施形態による点滴室104(図4〜図5または図6の点滴室ホルダに記載されているような点滴室など)との併用に向けた、帯状の後方パターン101ならびにカメラ103に近い位置から帯を照らす光源102を有する撮像システム100のブロック図である。点滴室104内の任意の滴または自由流れの流れは、カメラ103によって取得された画像を歪める。カメラ103へ結合されたプロセッサ(図6のプロセッサ75など)は、カメラ103によって捉えられた後方パターン101の歪みを使用して、流量を推定および/または自由流れ状態を感知することができる。
図29は、本開示の一実施形態による、点滴室104との併用に向けた、帯状の後方パターン101ならびにカメラ103の反対側の端部と相対する後方パターン101の背後から帯を照らす光源102を有する撮像システム105のブロック図である。図30は、本開示の一実施形態による、図29の後方パターン101を滴が歪める場合の図29のカメラ103からの画像を示す図である。図30に記載の通り、後方パターン101の帯は、カメラ103による画像で捉えられる通り、点滴室104からの滴によって歪められる(または自由流れの流れによって歪められる)という点に留意されたい。この歪みは、滴のサイズの推定、流体室ホルダを通る流量の計算、または自由流れ状態が存在するかどうかの判定に使用され得る。
図31は、本開示の一実施形態による、図4〜図5または図6の点滴室ホルダとの併用に向けた、格子状の後方パターンならびにカメラの反対側の端部と相対する後方パターンの背後から帯を照らす光源を有する撮像システムのブロック図である。図32は、本開示の一実施形態による、図26の後方パターン107を滴が歪める場合の図31のカメラからの画像を示す図である。さらに別の実施形態において、背景は複数のランダム・ドットおよび/または円を使用して形成され得る。
図28〜図32を参照すると、滴のレンズ効果(すなわちカメラ側から見た背景パターンの歪み)が、滴の半径の測定に使用され得る。滴の半径は、それを通過する光に対して滴が及ぼす効果に関連する。滴を通して見える較正用格子に生じる変化を測定することにより、滴の半径を計算し、その結果、滴の容積を計算することができる。例えば、滴を通して見える、既知のサイズの試験用格子の拡大を光学的に測定することができ、この測定結果から半径を推測することができる。半径と滴の関係は、経験的に生成されたルックアップ・テーブルを使用して計算および/または決定され得る。
図33は、本開示の一実施形態による、カメラ109を使用する空気感知器108のブロック図である。空気感知器108は、図1の空気感知器24、図2もしくは図3の空気感知器410、または図5の空気感知器65であってもよい。それに加えて、または代替として、一部の実施形態において、空気感知器108は点滴室ホルダ58内に形成されてもよく、またカメラ109は点滴室ホルダ58のカメラ65であってもよい(図4および図5参照)。
空気感知器108はカメラ109、バック・ライト110、プロセッサ584およびメモリ585を含む。バック・ライト110はチューブ111を通して光を照らす。カメラは選択的にレンズ上にIRフィルタを含んでもよく、および/またはバック・ライトは例えばIRフィルタに対応する赤外波長または帯域幅に合わせて調整され得る。
カメラ109は、RAM、ROM、ディスク、ハード・ディスク、メモリなどコンピュータ可読メモリ585と動作可能に通信する1つまたは複数のプロセッサ584と動作可能に結合され得る。コンピュータ可読メモリ585は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるための1つまたは複数の動作命令設定を含み得る。1つまたは複数の動作命令は、例えばチューブ111内の1つまたは複数の気泡の存在の判定または感知によって、チューブ111内の空気の存在を感知または判定するアルゴリズムを実装することができる。
それに加えて、または代替として、システム108は、例えばこの例における点滴チュービングなど、流体を輸送するために設計されたチューブ111の状態の感知に使用され得る。カメラ109は、バック・ライト110からの散乱光を後方から照らされるチューブ111の画像を捉えるデジタル・カメラであってもよい。バック・ライト110は、一連のLEDで端部を照らされる透明樹脂材料で構成され得る(液晶ディスプレイに使用されるものなど)。カメラ109は、1つまたは複数のプロセッサが以下を感知または判定することができるよう、1つまたは複数の画像を捉え得る:(1)チューブ111が装置に装着されているかどうか、(2)チューブ111が準備万端(すなわち液体で満たされている)の状態であるかどうか、(3)チューブ内に気泡が存在しているかどうか、および/または(4)チューブ内の流体の色と不透明度。
次に、図33のシステム108の典型的用途の説明について、図34、図35および図36を参照する。メモリ585内に存在しプロセッサ584によって実行される感知アルゴリズム(図33参照)は3つのテンプレート画像、すなわちチューブが装着されていないことを表す画像、チューブが装着されてチューブ内に透明な液体が存在することを表す別の画像、そして図34に記載のような薄い縦方向の気泡断面を表す別の画像を使用する。このアルゴリズムは、チューブ111の各断面が図34の気泡テンプレート、チューブ不装着のテンプレート、またはチューブ内に液体が存在する状態のテンプレートにどの程度密接にマッチするかを定量化する。マッチング・アルゴリズムは、上記の式(14)または式(15)に記載の、OpenCVのパターン・マッチング関数、matchTemplate()、もしくはFFTパターン・マッチング・アルゴリズムを利用し得る。さらなる付加的な一実施形態において、OpenCVのmatchTemplate()における例えばCV_TM_SQDIFF、CV_TM_SQDIFF_NORMED、CV_TM_CCORRおよび/またはCV_TM_CCORR_NORMEDなどのパターン・マッチング方法がどれでも使用され得る。
パターン・マッチング・アルゴリズムは、例えば左から右へと、片側から他の側へスキャンし得る。プロセッサ584は画像全体にまたがってスキャンすることから、パターン・マッチング・アルゴリズムは各テンプレートを、スキャン済み部分のうち1つへマッチさせようと試みる。1つのテンプレートがマッチし、複数回のスキャン後にマッチするテンプレートがなく、最終的に別のテンプレートがマッチすると、プロセッサは、後者のテンプレートはマッチされるはずであった可能性が最も高いテンプレートであると補間し得る。例えば、領域191において左から右へとスキャンする場合、チューブ内に液体が存在する状態のテンプレートがマッチする。左からの気泡112の一方の側から遷移する場合、ボックス112内の気泡の左側にある領域194はどのテンプレートにもマッチしない可能性があり、また最終的に、ボックス112内で、気泡は領域193の空気テンプレートにマッチする可能性があり、プロセッサ584は、パターン・マッチング・アルゴリズムが中間領域194を1つのテンプレートとマッチさせることができなかった理由は、気泡の画像がカメラから見た光景を変化させ始めたからであると想定し得る。したがって、この例では、マッチするテンプレートがないと判例された領域194について、プロセッサ584は気泡が存在していたと想定し得る。領域195では補間が使用され得ることにも留意されたい。
密接なマッチ(上記のような補間を含む)が存在する場合、ボックス112に記載の通り、気泡が識別され得る。ボックス112内の気泡のサイズは、チューブ111の直径(事前に既知の直径または図33のカメラ109によって測定された直径)およびテンプレート・マッチング・アルゴリズムで判明する気泡の長さ、例えばボックス112によって決定されるものを基準に、推定され得る。ボックス112は気泡を、チューブ111と直径が同じ円筒形としてモデル化し得る。気泡情報は、視野を通って移動した気泡の数とサイズを追跡するようフレーム間で比較され得る(また結果的に、患者へ送達された空気の合計量も追跡され得る)。プロセッサ584は、気泡が所定のサイズを超える場合、チューブ111を通過する空気の合計量が所定の閾値を超える場合、または所定の長さの時間内にチューブ111を通過する空気の合計量が所定の閾値を超える場合、警報またはアラームを発し得る。一部の実施形態において、流体の色が、チューブ111内の液体内で溶解した空気の量の推定および/または判定に使用され得る。
一部の実施形態において、図36の気泡は形状を推定され得る。例えば、気泡の左端と右端を識別して気泡の体積を推定するため、Canny端部感知、一次端部感知アルゴリズム、二次端部感知アルゴリズム、位相合同式端部感知アルゴリズムなどの端部感知が使用され得る。端部感知アルゴリズムは、OpenCVに記載のアルゴリズムを利用し得る。それに加えて、または代替として、端部感知アルゴリズムは一方の側(例えば左側)からの従前の5ピクセルを平均し、それを次の5ピクセル(例えば右側)の平均と比較することができ、そして変化が所定の閾値を超える場合、気泡の端部が存在すると決定され得る。
それに加えて、または代替として、カメラ109は、チューブ111内で閾値量の赤色の液体を伴う画像を捉えることができ、その結果、1つまたは複数のプロセッサ584はチューブ111内に血液が存在すると決定する。例えば、図33のカメラ109を有するシステム108は、図2の浸透感知器32の形成に使用され得る。ポンプ、例えばポンプ19、20および21のうち1つまたは複数が、カテーテルが適切に静脈内に収まっているかどうか判定するための背圧の創出に使用され得る。つまり、カテーテルが適切に静脈内に収まっていれば、チューブ内の少量の負圧が血液をチューブへ引き込むはずである。図37に記載の通り、血液113は図33のカメラ109によって取得された画像内で捉えることができ、次いでこの画像が処理され、閾値量の赤色が存在するかどうかの判定に使用される。図38は、1つまたは複数のプロセッサ、例えば図2のプロセッサ37により、閾値量の赤色が存在すると決定された領域114を示す図である。白色のピクセルは、閾値量の赤色が感知されたことを表し、黒色のピクセルは、そのピクセルについて閾値量の赤色が感知されなかったことを表す。
別の実施形態において、ピクセルがグレースケールへと変換され、次いで閾値量の暗い色は、各個々のピクセルに血液が存在することの判定に使用され得る。例えば、ピクセルが閾値未満(例えば閾値を超えて黒色に近い)であると決定されると、そのピクセルは血液であると決定されることにより、白色へと変換される一方、残りのピクセルは黒色へと変換される(または別の実施形態ではその逆)。例えば、取得される画像はRGB形式であってもよく、この画像は次いでCV_RGB2GRAY色空間変換コードを使用するOpenCVライブラリのvoid cvtColor()関数を使用してグレースケール画像へと変換される。閾値量は50、128、または動的に調節される量であってもよい。
プロセッサ37は、注入ポンプが逆転稼働中など、チューブ内に所定の量の負圧が存在する場合に、図2の注入部位モニタ26がチューブ内に血液が全くないまたは所定の量に満たないという情報を受けると、浸透が発生したと決定することができる。血液の量は、領域114内の白色のピクセルを合計することによって決定され得る。チューブは、チューブおよび/またはチューブのホルダの位置特定に役立つ基準物を含んでよい。それに加えて、または代替として、基準物は距離の指示に使用してもよく、例えばチューブ内の血液の量は、例えば浸透試験中に血液が過剰に引き戻されるのを防ぐよう、基準物を使用してチューブ内の血液の長さと関連付けられ得る。
図39は、本開示の一実施形態による浸透感知器115を示す図である。図39の浸透感知器115は、図2の浸透感知器32であってもよい。浸透感知器115は、Tコネクタ117へ結合された光ダイオードを含む。Tコネクタはチューブ118をチューブ119へ接続し、チューブ119はカテーテル121の内側部分を介して液体を断面図120の部分へ供給する。浸透感知器115は、皮膚124へ光を照らすLED122をも含む。光ダイオード116とLED122は、図2の注入部位モニタ26のプロセッサ37など、浸透が発生した状態を決定するアルゴリズムを実装するプロセッサへ結合され得る。このアルゴリズムは、プロセッサ(プロセッサ37など)によって実行されるよう設定された、動作可能な一連のプロセッサ実行可能命令(例えばメモリ38上に保存された)によって実装され得る。
チューブ119へ進入し、カテーテルの周囲で見つかる血液は、軟組織、静脈壁、静脈血、ならびに点滴カテーテルおよびチュービング119内の流体を通過する光路を通るLED122からの光の通過を最小化することになる特定の波長にて、顕著な吸光特性を有する。浸透が発生すると、流体はカテーテル121(18ゲージなど)の内側部分を包囲するはずであり、またLED122から光ダイオード116へ至る光の量は、血液によって生じる光吸収によって減少する。これは、カテーテル121を包囲する点滴流体が、静脈血によって吸収される同じ波長の光を最小限に吸収または減衰し、その結果、より強度の大きい光がLED122から軟組織、溢出流体を通った後、カテーテル121および点滴チュービング119を経て光感知器、例えば光ダイオード116へと通過することが可能になる浸透状態と対照的である。
光ダイオード116は、カテーテル121およびチューブ119を通過するどの光でも受けることができるよう配置され得る。Tコネクタ117は、流体がチューブ119経由でチューブ118からカテーテル121へと同時に通過することを可能にするよう、またチューブ119からの光が光ダイオード116へ分岐することを可能にするよう構成される。
LED122は、血液中のヘモグロビンによって減衰される波長で発光し、またカテーテル121の開口端部に近い皮膚124の表面を照らすよう配置される。カテーテル121が静脈126内で適切に配置さると、LED122からの照明の血液による減衰が、光ダイオード116に到達する光の量を減らす。それに加えて、カテーテル121が静脈126内に配置されなくなると(例えば浸透の発生時に発生する)、LED122からの照明がカテーテル121へ入ってチューブ119を通過し、光ダイオード116によって感知される。
図40は、本開示の一実施形態による、酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの光吸収を示すグラフ127を示す図である。グラフ127は、酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの両方が530〜590ナノメートルの範囲と400〜450ナノメートルの範囲で強い吸収を有することを示す。再び図39を参照すると、本開示の一部の実施形態において、LED122および光ダイオード116はそれぞれ、405ナノメートル、470ナノメートル、530ナノメートル、590ナノメートルおよび625ナノメートルの光波長を放射および吸収するよう構成され得る。一部の実施形態において、光ダイオード116は、400ナノメートル〜1000ナノメートルで測定可能な応答を伴うシリコン光感知器であってもよい。
次に図41を参照すると、本開示の別の実施形態による別の浸透感知器128が示されている。感知器128は、静脈126をさらに照らすレーザ129を含む。光ダイオード116は、迷光を最小化するための銅製テープによる被覆を含む注射器130の端部に配置される。LED122、レーザ129(レーザ・ポインタなど)、または両方が、カテーテル121の端部の照明に使用され得る。LED122は約625ナノメートルの波長を有する光を発するものであってよく、レーザ129は赤色の波長の光を発するものであってよい。
本開示の一部の実施形態において、カテーテル121および/またはチューブ119は、アルミホイルで被覆されたコネクタを有するステンレス鋼製注射針(18ゲージなど)を含む。本開示のさらなる付加的な一実施形態において、LED122および/またはレーザ129は、光ダイオード116による感知を強化するよう変調され得る。
注射器130は、チューブ119へ負圧を加える目的で使用され得る。図2のプロセッサ37は、浸透が発生したかどうかの判定のため、光ダイオード116および注射器130の位置センサへ結合され得る。注射器130が(手動または自動アクチュエータ経由いずれかにより)十分な量の距離引き戻され、光ダイオード116によって血液が感知されなければ(例えば血液によるスペクトル吸収から)、プロセッサ37は、浸透が発生したことを示す警報および/またはアラームを発し得る。
別の実施形態において、カテーテル121または注射針を通って配置された小型光ファイバがカテーテル121の先端部分を照らし、例えばLED122は静脈126内へと光を誘導する光ファイバ・ケーブルへ結合される。それに加えて、または代替として、点滴部位上方のパルス酸素濃度計が、例えばプロセッサ37を使用して、浸透によって生じる変化を感知する目的で吸収のベースライン・プロファイルを自動測定するために使用され得る。
さらなる付加的実施形態において、静脈血によって顕著に吸収される波長の光によって励起される蛍光塗料が選択的に、カテーテル121の注射針の先端に塗布される。例えば、ヘモグロビンに吸収される有色光は、カテーテル121が静脈内の適切な位置にある場合、感知されない。カテーテル121が静脈外にあったとすると、この光は吸収されず、光ダイオード116によって感知されるようになる。蛍光塗料は励起光がヘモグロビンに吸収されると放射光量が少なくなり、また放射光もヘモグロビンに吸収され得る。
例えば、蛍光塗料からの放射光は、例えばLED122からの励起光と異なっていてもよく、また光ダイオード116は、LED122からの励起光を除去し、励起された蛍光塗料から放射された光を受けるための、フィルタを含んでよい。一部の実施形態において、蛍光塗料はブラック・ライトが当てられた場合に蛍光を発するものであってもよい。それに加えて、または代替として、LED122は変調され得る。
図42は、本開示の一実施形態による、オクルーダ131の透視図である。図43はオクルーダ131の側面図、図44はオクルーダ131の動作時の側面図である。次に図42、図43および図44をすべて参照すると、オクルーダ131はオクルーダ端部132および旋回軸133を含む。オクルーダ131は、チューブ135に対してオクルーダ端部132を押し付けるばね(不記載)を含み得る。それに加えて、または代替として、オクルーダ131は、チューブ134に対してオクルーダ131を作動させるアクチュエータ134を含み得る。
オクルーダ131は蠕動ポンプ内にて、チューブ135の位置を合わせるためにドアが開いている場合にオクルーダ131がオクルーダ端部132の領域内にチューブ135を配置するためにオクルーダ131が開いた状態となるよう、使用され得る。ドアが再び開けられると、オクルーダ131は、チューブ135を閉塞するアクチュエータ134の作用により、開状態から弛緩状態へと遷移し得る。
図45は、本開示の一実施形態によるカセット内での使用に向けた弁136の側面図である。図46は、弁136の上面図である。図47は、本開示の一実施形態によるカセット内に取り付けられた弁136の別の側面図である。図45で容易に分かる通り、経路137は流体の流れを示す。図46では、退出オリフィス138と再進入オリフィス139が見える。図47は、弁136がカセット内に装着された場合の膜140を示す図である。膜140は弁136を再び圧縮するよう設定可能で、また厚さは0.032インチであってよい。膜140は、UV硬化接着剤を使用し得る。膜140は、図45に記載の通り、経路137と反対の方向など、誤った方向に流体が流れるのを防止する。流体が誤った方向へ流れようとすると、吸引力によって膜140が退出オリフィス138に向かって押され、流体が再進入オリフィス139から退出オリフィス138へと流れるのを防止する。それに加えて、または代替として、アクチュエータに結合されたプランジャが、弁136をさらに閉じるための膜140の圧縮に使用され得る。本開示のさらなる付加的な一実施形態において、正圧または負圧が、弁136の制御のため、膜140の上部に加えられ得る。
図48は、本開示の一実施形態による、密封を施すための傾斜面を有する摺動弁141を示す図である。摺動弁141は、シーリング面142と取付面143とを含む。図49、すなわち摺動弁141の側面図から分かる通り、摺動弁141はばねアーチ144と、図50に記載のような台座147のポート146を密封するための下向きの力を生み出すウェッジ145とを含む。
ばねアーチ144に掛かる下向きの力によって、摺動弁141が摺動して取付面143から離れ、弁ポート146が露出する。解除されると、ばねアーチ144がシーリング・アーム148を取付面143に押し付け、下向きの力のウェッジ145が台座147側の成形された相手方と接触し、シーリング面142を弁シーリング面のポート146に押し付ける。
図51〜図55は、本開示の一実施形態による、リザーバ150の通気孔149を示す図である。通気孔149は、図1の流体リザーバ2、3または4上で、もしくは図3に記載のように、エア・フィルタ50上で、またはポンプ19の排液室53と共に使用され得る。通気孔はセプタム151、透気性フィルタおよびチューブ153を含む。本開示の一部の実施形態において、注入剤用リザーバ150は、硬質の点滴袋または他の流体ポンプ輸送装置用流体リザーバなど、硬質のものである。リザーバ150は、透気性フィルタ152を有する流体リザーバ150を通気させながら硬質のリザーバ150から流体が流れ出ることを可能にする、通気孔149を含み得る。一部の実施形態において、通気孔152は水蒸気に対して不透過性であってはならない。ただし、流体リザーバ150とエア・フィルタ152の間のインラインでオイル・プラグ154を配置することにより、オイル154は注入剤がオイル・プラグ154を通過して蒸発するのを防止することから、注入剤155の損失が低減される。
オイル・プラグ154は、図51、図52、図53、図54および図55に記載の通り、リザーバ150の断面が比較的狭い区間でセプタム151をリザーバ150の上流に配置することによって創出される。図52に記載の通り、オイル154が充填針156経由でセプタム151を通って注入され、その後、注入剤155が注入される(図53および図54で順を追って示されている通り)。充填終了時、エア・フィルタ152と注入剤155の間に一定量のオイル154が残る。空気がエア・フィルタ152を通ってリザーバ150へ引き込まれると、図55に記載の通り、オイル154は注入剤155と共に前進し、蒸発損失を防ぐ。
それに加えて、または代替として、一部の実施形態において、オイル・プラグ154はセプタム151とエア・フィルタ152の間のチューブ153内へ事前充填される。例えば、充填手順が図52に記載のように始まる場合が該当する。
図56〜図58は、本開示の一実施形態による、流量計157の複数の段階を示す図である。図56は第1の段階、図57は第2の段階、図58は第3の段階を示す図である。図56〜図58の各段階は、本開示の一実施形態による1つの方法として実施され得る。本開示で開示されるポンプは、入力ポート162を介して上流に結合され得る、および/または注入ポンプは流体が入力ポート162から流量計157経由で出力ポート163へ流れるよう、下流の出力ポート163へ結合され得る。
流量計157は、膜159で仕切られた室158を含む。膜159は室158を第1の区間160と第2の区間161とに仕切る。流量計157は入力ポート162と出力ポート163とを含む。流量計157は第1の弁164、第2の弁167、第3の弁166および第の4弁165を含む。入力ポート162は、第1の弁164を介して第1の区間160と、また第の4弁165を介して第2の区間161と流体連通する。出力ポート163は、第3の弁166を介して第1の区間160と、また第2の弁167を介して第2の区間161と流体連通する。室158は、球形または円筒形であってもよい。室158は硬質であってもよく、例えば室158は樹脂製、金属製もしくは他の硬質または半硬質の材料製であってもよい。
入力ポート162から出力ポート163への流れは、可撓性膜159の使用によって監視され得る。流体の通路は、第1の弁164、第2の弁167、第3の弁166および第4の弁165の作動を介して制御され得る。室158の第2の区間161を充填し、室158の第1の区間160を排出するには、第1の弁164と第の2弁167が閉じられる一方、第3の弁166と第4の弁165が開放される。これにより、図57に記載の通り、ダイヤフラムまたは膜159が室159の上側へ押される。図58に記載の通り、このプロセスは、第1の弁164と第2の弁167を開く一方、第3弁の166と第4の弁165を閉じることにより、第1の区間160を充填し第2の区間161を排出する形で逆転され得る。室158の容積が既知であることから、入力ポート162を通って出力ポート163へ至る流体の体積は、膜の動きによって推定することができ、何故なら膜159は室158の内側表面と面一になると予想されるからである。
膜159(すなわちダイヤフラム)が室158の上部または底部に到達した時期を決定するため、圧力センサが入力弁162へ追加され得る。膜159が移動終了に達すると、入力ポート162からの流れが閉塞され、圧力が上昇する。この時点で、(図58に記載の通り)弁を切り替え、反対側の室でプロセスを継続することができる。
本開示の一部の実施形態において、弁164、165、166および167は機械的に切り替えられ得る。入力ポート162の圧力は潜在的に、図56〜図57または図58に記載のような個々の状態において2組の弁を交互に開閉するスイッチを機械的に切り替えるために使用され得る。例えば、入口圧力は、弁164、165、166および167を制御する掛止機構を押す、ばね荷重式ダイヤフラムを拡張し得る。
それに加えて、または代替として、一部の実施形態において、室158は透明な材料(ポリカーボネート、トパーズ等)製であってもよく、ダイヤフラム159は不透明な材料製であってもよく、またカメラが、室158を観察し、ダイヤフラム159が移動終了に達したことを感知するために使用され得る。さらに別の実施形態において、「標的」画像をダイヤフラム159上に配置し、一対のステレオ・カメラ(不記載)を使用して、この標的が室158のハウジングの端部に到達して可視状態となったことを感知することができる。例えば、第1の区間160を外部から見るカメラと、第2の区間161を外部から見る別のカメラを配置してもよい。
図59は、本開示の一実施形態による、流量計の使い捨て部分168を示す図である。使い捨て部分168は、注入部位モニタ26内での使用に向けた図1の流量計10、11または12、図2の流量計169の一部、もしくはポンプ19との併用に向けた図3の流量計48(一部の実施形態において、流量計48はチューブ56に結合される)であってもよい。さらなる付加的実施形態において、使い捨て部分168は一体型流量計および膜ポンプの一部である。使い捨て部分168は、上方クラムシェル音響容積感知(AVS)アセンブリおよび下方クラムシェルAVSアセンブリ(例えば下記の図70の上方クラムシェルAVSアセンブリ192および下方クラムシェルAVSアセンブリ193)と連結してもよい。音響容積感知については、「音響容積感知」と題した詳細な説明のセクションで詳述されている。
使い捨て部分168は、入口チュービング170、入口閉塞解除用カラー171、入口用カモノハシ型閉塞弁172、使い捨て本体173、流体通路174および181、AVS室175(後述)、空気パージおよびスペクトル分析用窓176、ならびに出口アセンブリ177を含む。出口アセンブリ177は、閉塞弁178、解除用カラー179および出口チュービング180を含む。
カモノハシ型弁172と178は、AVSクラムシェル(図70参照)がAVS流体室175の上方で閉じられる場合にカモノハシ型部材を変形させる(スロットを挟む)ことによって作動され開かれ得る、および/または弁172と178を手動で(例えばそれを開くために、カモノハシ型部材の上方で楕円リングを摺動させるなど)開くよう設定された別個の部材をチュービング上に配置してもよい。
AVS室175は、使い捨て部分168を通って流れる流体の測定に利用され得る。つまり、下記のAVSシステムはAVS室175内の流体の体積を測定できる。流量は、例えば有線接続または無線接続を介して、プロセッサによって監視クライアント6へ伝達され得る。AVS室175から取得される測定結果は、AVS室175を通って流れる流体の測定を制御する目的で、図2の注入部位モニタ26のプロセッサ37または図3のポンプ19のプロセッサ38などのプロセッサへ、動作可能に伝達され得る。
図1および図59を参照すると、使い捨て部分168は(下記の全クラムシェルAVSアセンブリと共に)、(直接または監視クライアント6内の制御システム経由で)ポンプ19、20および/または21の流れの制御に使用することができる、もしくは所定の量の流体が患者5へ供給されたことを示す目的で使用することができ、後者の場合、流体の流れを止めるための信号が(直接または監視クライアント6内の制御システム経由で)ポンプ19、20および/または21へ送られる。一部の実施形態において、使い捨て部分168は、全クラムシェルAVSアセンブリと共に流量計として使用する場合、充填時間および/または排出時間が可変の固定容積モードでのポンプの稼働に使用され得る、または充填時間または排出時間が固定および/または可変の可変容積内での稼働に使用され得る、もしくは固定測定間隔で稼働され得る。それに加えて、または代替として、使い捨て部分168は、使い捨て部分168を使用する流量計が例えば直接または監視クライアント6へアラームまたは警報を発する原因となり得る、エラー状態または暴走状態(例えば流体が所定の閾値を超えて流れている状態)を感知し得る。アラームまたは警報は、弁16、17、18および/または25のうち1つまたは複数に対して流体流の増加を防止させる目的で使用され得る。
再び図59を参照すると、使い捨て部分168は、2枚以上のバリア・フィルムまたは複数のバリア・フィルム層および硬質樹脂板を一体的に熱融着させたものによって形成され得る。使い捨て部分168は、図60〜62の使い捨て部分194、図63〜図65の使い捨て部分201、図66〜図68の使い捨て部分208、および図69の使い捨て部分220と共に使用され得る(またはこれらの一部である)。流体通路はフィルムおよび/または硬質樹脂へ組み込まれ得る(例えば熱的に形成されたもの、もしくは単純に、熱融着されないフィルムの一領域であってもよい)。例えば、硬質部分は流体通路174と181、およびAVS室175を画定し得る。可撓性層は、硬質層の上方で加圧されない状態の場合に可撓性層が概して平坦となるよう、硬質板の上方に配置され得る。
例えば、使い捨て部分168は、硬質樹脂板に設けられた貫通穴(複数可)(「ビア」など)によって接続される片側(または両側)を通る流体通路を含む、バリア・フィルム/膜を片側に有する硬質樹脂板を使用する3つの層から形成され得る。
AVS室175は、膜および/または硬質樹脂へ組み込まれ得る(例えば熱的に形成されたもの、もしくは単純に、熱融着されないフィルムの一領域であってもよく、つまり、室は充填時の弾性潜在性を伴って拡張する)。流体は、例えば三層設計を使用する場合、フィルム/膜内の流体通路経由でAVS室175へ送達され得る。例えば、AVS室175は、流体通路174と181が反対側にあるAVS室175内の穴によって供給され得る。一部の実施形態において、これらの穴は、反対側の流体通路に対して作用する弁調節システムの一部である。チューブ170と180は、流体通路174へと連結してもよい。チューブ170と180はそれぞれ、通常閉じている閉塞弁172と178を含む。それに加えて、または代替として、本開示の一部の実施形態において、閉塞弁172および/または178は一方向弁であってもよい。
空気パージおよびスペクトル分析用窓176は、その中身の流体のスペクトル撮像および/または組成分析用に透明であってもよい。例えば、スペクトル分析用窓176は、中身の血液を感知する目的で、またはその内容物のスペクトル吸収または反射を決定してそれをデータベースと比較し、可能性のある流体の組成および/または物質の濃度を決定する目的で、カメラによって使用され得る。
空気パージ用窓176は、片側が注入流体と接触し反対側が大気へ露出する、微孔質疎水性膜を含み得る。微孔質疎水性膜は、一部の特定の実施形態において、流路の加圧区間に配置され得る。空気パージおよびスペクトル分析用窓176は、気泡の自由流れを防ぐ一体型気泡トラップを含む、および/または流体がトラップを通過する間に圧力が膜全体にわたってトラップされた気泡を追い出すものであってもよい。
使い捨て部分168は選択的に、複数の位置合わせ機能182を含んでよく、これらはインク・マーカー、穴、圧痕または他の位置合わせ機能(複数可)であってもよい。使い捨て部分168は、押印、真空形成および熱融着を使用して構成され得、また注入流体と適合することが既知の材料(点滴袋材料、ポリカーボネート、トパーズ等)を使用し得る。
図60〜図62は、本開示の一実施形態による、流量計の片面型使い捨て部分194を示す複数の図である。図60は流量計の使い捨て部分194の側面図、図61は流量計の使い捨て部分194の上面図、図62は流量計の使い捨て部分194の端面図である。
使い捨て部分194は、底部フィルム197で流体空間196を画定する1つまたは複数のフィルム層195を含み、底部フィルム197は硬質であってもよい(一部の実施形態において、底部フィルム197は半硬質または可撓性である)。図61で容易に分かる通り、フィルム195はAVS室198も形成する。図62で分かる通り、AVS室198は、流体通路199経由でAVS室198へ流入し退出する流体を測定するよう配置される。流体通路199は、流体が流体通路199からAVS室198へ進入する際にAVS室198が拡張できるよう、AVS室198と連結する。流体通路199は、一部の特定の実施形態において、1時間当たり最大300ミリリットルの流量を許容できるよう、0.025ccの容積を保持し得る。層195は、長さ200に沿って熱接着される。
図62に記載の通り、層195によって形成される流体通路199が見え、AVS室198も見える。ただし、層195は、一部の実施形態において、図61に記載の通り、使い捨て部分194の左側から右側へ遷移する場合、流体通路199からAVS室198へと遷移する。例えば、図62において、流体通路層199はAVS室198(図62の長さ285に沿っている)に対して(図61の長さ284に沿って)相対的に近位にあるが、図62に記載の図では遠位にある。
図63〜図65は、本開示の一実施形態による、流量計の両面型使い捨て部分201を示す複数の図である。使い捨て部分201は、流体空間204を一体的に画定する1つまたは複数の上部フィルム202および1つまたは複数の底部フィルム203を含む。フィルム202および/または203のうちいずれか1つは硬質、半硬質、可撓性または弾性であってもよい。別の特定の実施形態において、硬質の平面層が、可撓性の層202と203(不記載)の間に配置され得る。
図64で容易に分かる通り、フィルム202と203はAVS室205を形成する。図65で容易に分かる通り、AVS室205は流体通路206から受ける流体を測定し得る。また流体は流体通路206を通ってAVS室205を離脱し得る。同じく図65に記載の通り、熱融着および/または熱接着された界面207が示されている。前述の通り、一部の実施形態において、硬質部材(不記載)が層202と203の中心に配置されることにより、2つのAVS室205と2つの流体通路206を画定し得る。この特定の実施形態において、2つの流体通路206および/または2つのAVS室206の間に、これらの間に均圧を提供する小さい穴が存在し得る。流体通路206のいかなる共通モード適合も、複数のAVS室205のうち1つによって対処され、それによりAVS測定の自己平衡がもたらされることになる。
図66〜図68は、本開示の一実施形態による、流量計の三層構造、対面型の使い捨て部分208を示す複数の図である。使い捨て部分208は、硬質樹脂層210を間に挟む上部層209と底部層212によって形成される。硬質樹脂層210は2つの穴217と218を有し、これらにより流体が流体空間211とAVS室213の間を通過できるようになる。
流体は流体通路215から穴217と218を通り、AVS室213を通過する。また使い捨て部分208は熱接着部分219をも含む。
図69は、本開示の別の実施形態による、流量計の別の使い捨て部分220の上面図である。使い捨て部分220は、硬質本体259へ接着された1つまたは複数の層を含む。硬質本体259は、切り抜き部分260を含む。AVS室261は硬質本体259の両側から突き出ることにより、AVS室261を包囲するAVSアセンブリ(不記載)がAVS室261の容積を推定できるようにし得る。可変容積が完全に(または実質的に)AVS室261の周囲に位置し得るよう、空気は切り抜き部分260を完全に通過し得る。使い捨て部分220は、硬質本体259に対して密封された1つまたは複数の弾性層から形成され得る。使い捨て部分220は、流体がAVS室261を通過し退出することを可能にする流体通路262と263とを含む。
図70は、本開示の一実施形態による、全AVSクラムシェル・アセンブリと片面型使い捨て部分(例えば図62の使い捨て部分194)とを含む流量計221を示す図である。流量計221は0.025ccの液体を1時間当たり最大300ミリリットル充填し得る。
AVSクラムシェル・アセンブリは、上方クラムシェル・AVSアセンブリ192と下方クラムシェルAVSアセンブリ193とを含む。下方クラムシェルAVSアセンブリ192は、下方裏当て233内に適切に収まるよう若干付勢され得る、および/または通気孔224を補う硬質樹脂板または補強材を含み得る。上方および下方のクラムシェルAVSアセンブリ192および193は、AVS流体容積224の周囲を、例えば凹凸型「ピンチ」を使用して熱シールのすぐ外側を包囲するものであってもよく、またAVS流体容積224を密封するため、Oリングが選択的に使用され得る。流量計221は選択的に、閾値を超える空気が患者へ送達されているかどうか判定するため、本開示に記載のような空気センサ、例えば超音波空気センサおよび/またはカメラ式空気センサを含み得る。閾値を超える空気に対応して、アラームまたは警報が発せられ得る。それに加えて、または代替として、空気は、流量計221を通過する液体の推定容積から減算され得る。
流量計221は、AVS基準室222、基準マイクロフォン223、共鳴ポート224、一体型周囲密封弁225(開状態で記載)、別の一体型周囲密封弁230(密封状態で記載)、可変容積マイクロフォン226、スピーカ227および可変容積228を含む。流量計221は、ばねディスク229をも含む。ばねディスク229は、均圧用の小さい穴を含み得る。ばねディスク229は、一部の実施形態において、弾性のフィルムまたは層から形成され得る。一部の実施形態において、ばねディスク229は流体をAVS流体容積224へ流入させるために使用される。ばねディスク229は予備成形を介してばねを提供し得る、および/または可変容積228は周辺大気および/またはAVS流体容積224を通過する流体と相対的に負圧または正圧を有し得る。
弁225と230は、流体のAVS流体容積224への進入またはAVS流体容積224からの離脱を可能にするまたは閉塞するよう、上方クラムシェルAVSアセンブリ192の本体に沿って摺動する。弁225と230は、弁225と230の弁状態を制御するアクチュエータ(回転カム等へ結合されたリニア・サーボ、リニア・ステッパ・モータ、カム・フォロワなど)へ結合される。弁225および/または230は、通常は閉鎖され得る;(例えばソレノイドおよび/またはニチノールを使用して)開動作され得る;位置センサを含み得る;円錐形であってもよい(例えば流体通路側からの円錐形プランジャがエラストマーをAVS室の入口/出口の穴へ押し込んで密封状態を形成する);そして弁が十分な圧力を加えているかどうか判定するための対抗圧力シールを含み得る。アクチュエータは、本開示で開示されるプロセッサ(例えば図2または図3のプロセッサ37)へ結合され得る。弁225および/または230はいずれも、エラー状態の場合、例えば図2または図3のプロセッサ37および/または230監視クライアント6が、患者への流体流の停止を必要とするエラー状態が存在すると決定した場合、流体が患者へ送られるのを防ぐよう閉鎖し得る。プロセッサは、例えば脈動ポンプが液体を下流へポンプ輸送する場合に、AVS容積224が満たされるよう、弁225と230の動作を調整し得る。流量計221は、例えば流量、パルス回数、パルス持続時間、パルスの大きさ、パルス周波数など、ポンプから受ける無線情報を介して、ポンプとの動作を調整し得る。
スピーカ227は、基準マイクロフォン223と可変容積マイクロフォン226とによって受け取られる1つまたは複数の音響周波数を発する。マイクロフォン223と226の間での音響利得は、流量計221を通る体積の判定のため、可変容積228の容積と相互に関連付けられ得る。それに加えて、または代替として、マイクロフォン223と226の間での位相変動は、可変容積228の容積と相互に関連付けられ得る。スピーカ227およびマイクロフォン223と226は、AVSを使用する体積を決定するアルゴリズムを実装するための1つまたは複数のプロセッサ、例えば図2または3のプロセッサ37と動作可能に通信し得る。AVSの動作に関する付加的詳細は、「音響容積感知」と題した下記のセクションに記載されている。
フィルム231と233は、流体空間232を画定する。流体は流体空間232を介して進入および離脱することによりAVS流体容積224内で変化することから、流量計221経由で流量を決定するため容積の差が計算される。つまり、可変容積228は、AVS流体容積224の判定に使用され得る音響応答を有する。流量計221は、AVS流体容積224を画定するフィルム233の下方での空気の蓄積を防ぐための通気経路225をも含む。
本開示のさらなる付加的な一実施形態において、流量計221は膜ポンプの一部として利用され得る。例えば、アクチュエータ(不記載)はAVS流体容積224へポンプ輸送作用を提供するようばねディスク229(またはフィルム231)と連動してもよい。アクチュエータは可変容積内に存在してもよく、あるいは(適切な防音を施した)上方クラムシェル・アセンブリ192を貫通するシャフトを介してばねディスク229と連動してもよい。シャフトの容積はAVS測定で対処されてもよく、および/またはアクチュエータ全体が可変容積内に存在してもよい。
図71は、本開示の一実施形態による一体型周囲密封弁239と240とを有する、上部AVSアセンブリ236および底部AVSアセンブリ238を含む流量計234の側面図である。流量計234は、図63〜図65の使い捨て部分201を含み得る。流量計234は、1時間当たり最大300ミリリットルの充填1回につき最大0.25ccの流れを、また一部の特定の実施形態においては、例えば各側で1時間当たり150ミリリットル向けに各側につき0.125ccを許容し得る。
上部AVSアセンブリ236は上部可変容積241の音響応答を測定し、底部AVSアセンブリ238は底部可変容積242の音響応答を測定する。上部と底部の可変容積241と242の音響応答測定結果は、上部と底部の可変容積241と242に相互に関連付けられ得る。AVS流体室243の容積は、AVS室241と242の容積から所定の合計容積を減算することによって推定され得る。本開示で開示されるプロセッサ(例えば図2または図3のプロセッサ37)は、AVS流体室243の容積を推定し得る。
本開示のさらなる付加的な一実施形態において、流量計234は膜ポンプの一部として利用され得る。例えば、1つまたは複数のアクチュエータ(不記載)はAVS流体容積243へポンプ輸送作用を提供するようばねディスク235および/または237(またはAVS流体室243)と連動してもよい。アクチュエータは可変容積243および/または242内に存在し得る、もしくは(適切な防音を施した)AVSアセンブリ236および/または238を貫通するシャフトを介してばねディスク235および/または237と連動してもよい。シャフトの容積はAVS測定で対処されてもよく、および/またはアクチュエータ全体が可変容積内に存在してもよい。
図72は、本開示の別の実施形態による、周囲可変容積246および247付き片面型AVSアセンブリ245を含む、別の流量計244の側面図である。流量計244は、図69の使い捨て部分220を使用し得る。可変容積246と247は、AVS流体室248の端部周囲で相互に流体連通し得る。AVSアセンブリ245は、AVS室246と247の容積を相互に関連付けるため、室246と247の音響応答を測定する。AVS室246と247の合計容積は、AVS流体容積248内の流体の体積を推定するために所定の合計容積から減算される。
本開示のさらなる付加的な一実施形態において、流量計244は膜ポンプの一部として利用され得る。例えば、1つまたは複数のアクチュエータ(不記載)はAVS流体容積248へポンプ輸送作用を提供するようばねディスク286および/または287(またはAVS流体室248)と連動してもよい。アクチュエータは可変容積246および/または247内に存在し得る、もしくは(適切な防音を施した)AVSアセンブリ245を貫通するシャフトを介してばねディスク286および/または287と連動してもよい。シャフトの容積はAVS測定で対処されてもよく、および/またはアクチュエータ全体が可変容積内に存在してもよい。
図73は、本開示の別の実施形態による、2つのピストン弁250と251とを含む、さらに別の流量計249の側面図である。ピストン弁250と251はアクチュエータへ結合され得、次いでこれらのアクチュエータはプロセッサ、例えば図2または図3のプロセッサ37へ結合される。流量計249は、上部AVSクラムシェル・アセンブリ252と底部VASクラムシェル・アセンブリ253とを含む。流体は流体通路254から穴255を通ってAVS流体室256へと流入する。その後、流体は穴257を通って(弁251が開状態の場合は流体通路258を通って)流れ、最終的に流量計249から退出し得る。ピストン弁250および/または251は、片方のピストン弁が閉じている間にもう片方のピストン弁が開く形で交互に開閉し得る。ばねディスク229は、AVS流体室256での流体の吸入または吐出を補助し得る。
本開示のさらなる付加的な一実施形態において、流量計249は膜ポンプの一部として利用され得る。例えば、1つまたは複数のアクチュエータ(不記載)はAVS流体容積257へポンプ輸送作用を提供するようばねディスク288(またはAVS流体室257)と連動してもよい。アクチュエータは可変容積289内に存在し得る、もしくは(適切な防音を施した)AVSアセンブリ252を貫通するシャフトを介してばねディスク289と連動してもよい。シャフトの容積はAVS測定で対処されてもよく、および/またはアクチュエータ全体が可変容積内に存在してもよい。
図74は、本開示の一実施形態による、半連続的流れを提供する上部と下部のAVSアセンブリ(それぞれ262と263)を有する流量計259を示す図である。流量計259は弁260、261、264および265を含む。弁260、261、264および265は、AVS流体容積266と267を充填するよう一体的に、順番に、ただし逆の形で動作し得る。例えば、弁260、261、264および265は、AVS流体容積266を充填する一方で他方のAVS流体容積267を排出するよう動作し、逆の形でも動作し得る。つまり、1つのAVS流体容積が充填されている場合、他のAVS流体容積はそれぞれのAVSアセンブリによってAVS測定されてもよい。
流量計259は、ポンプから流れてくる流体を緩衝する小型リザーバ268と、プロセッサへ結合され得る可変オクルーダ269をも含む。可変オクルーダ269は、AVS流体容積266と267の排出が「平滑化」されて患者への半連続的な流れを生み出すよう変化し得る(例えばAVS流体容積266と267は流体を強制排出するために、ディスクばねなどばね荷重式であってもよい)。プロセッサは、患者への目標流量を達成するよう可変オクルーダ269を調節するため、AVSアセンブリ262と263からのフィードバックを使用し得る。
特定の一実施形態において、流量計259は、0.1〜300ml/時の範囲にわたり流れを測定し;300ml/時超〜2000ml/時の計量対象外流量を許容し;流れ抵抗は0.1〜2000ml/時の範囲にわたり1PSIを超えず;能動的容積蓄積(active volume accumulation)は2ミリリットルを超えず;保持容積は0.5ml未満であり;使い捨て部分のサイズは1インチ×3インチ×1インチ未満であり;電池または有線接続によって電力を供給され電池駆動の場合8時間にわたり100ml/時の定格で稼働することができ;弁、センサおよび構成部品すべてと無線通信を行うユーザ・インターフェースを含み得る。
図75は、本開示の一実施形態による、通過流体を制御するための複数の弁272、273、274、275および277を備えた2つの直列AVSアセンブリ270と271とを有する、流量計276を示す図である。弁275は最小量の流体がAVS容積278からAVS容積279へ流入することを可能にし、弁274はより多くの流体がAVS容積278からAVS容積279へ流入することを可能にし、弁273は最大量の流体がAVS容積278からAVS容積279へ流入することを可能にする。弁273、274および275は、ポンプから患者への流れを制御するよう制御され得る。
2つのAVSアセンブリ270と271はそれぞれ、AVS流体容積278と279を測定し得る。AVS容積278と279は、流体がポンプから患者へと流れる際に弁273、274および275によって生じる圧力差が原因で異なり得る。連続流体流は、ベルヌーイの法則に基づいて圧力差を生み出す。
連続流センサは、ベルヌーイの法則を利用し得る。例えば、流体の流路内での固定オリフィスまたは他の制限(例えばオリフィス板によって生じる制限)は、以下の通り式(33)で示されるベルヌーイの法則に基づく流量判定のため、オリフィス全体に及ぶ圧力低下の測定に使用され得る。
式中、Qは体積流量を表し、Cdは流れの撹乱に関連する流量係数を表し、ρは流体の密度を表し、A1は制限の直前の断面積を表し、A2は制限部分の断面積を表し、Δpは制限部分全体に及ぶ圧力低下を表す。式(33)は以下の通り、式(34)へと簡略化することができる。
A0はオリフィスの面積を表し、Cfは制限要素の設計に特有の撹乱と流れ形状に関連する定数を表す(Cfは概して、経験的に導き出された0.6と0.9の間の範囲の値を有する)。したがって、推定流量は、オリフィスの面積および測定された圧力低下の平方根に関連する。推定流量は、測定される流体の密度とオリフィスの形状にも関連する。
したがって、流量計276の弁273、274および275は、AVS容積278と279の間に測定可能な圧力差を生み出す制限要素(例えば連続流量計内のオリフィス板の役割を果たす)を見なされ得る。AVS容積278と279を形成するそれぞれの膜は内部圧力を基に伸展することから、AVS容積278と279はそれぞれの圧力と相互に関連付けられ得る。
例えば、弁272と277は開かれることにより、流体がポンプから患者へと連続的に流れることを可能にし得る。AVS容積278と279は、弁273、274および275(一部の実施形態ではオリフィスとしてモデル化され得る)のうち1つまたは複数からの全体的制限によって生じる圧力に差が出る。
AVS室278と279の間での差分AVS容積測定は、流量に比例する(圧力差は経験的に流量と相互に関連付けられ得る)。いかなる共通モードの下流圧力変化も、AVS室278と279両方の容積増大という結果に繋がることにより、AVS室278と279の増加が少なくなる。それに加えて、AVS容積測定における所定のプラスの変化は閉塞の指標と見なすことができ、また流量における所定の変化はアラームおよび/または警報の誘因となり得る。
弁273、274および275は、ポンプから患者への一定範囲の流量を使用できるようにし、また流量計276の測定範囲を変える。プロセッサは弁273、274および275のうち1つまたは複数を作動することができ、また弁273、274および275によって生じる閉塞の全体的制限を決定付けることができる。つまり、弁273、274および275の構成は、流量を決定するためのモデル、例えば式(33)または(34)を使用する制限部分の断面積と相互に関連付けられ得る。プロセッサは、望ましい流量測定範囲内での流量を決定するため、弁273、274および275を変化させ得る。
AVSアセンブリ270と271は、所定の長さの時間内、例えば2分の1秒または20分の1秒以内に、音響周波数の掃引(本開示にて記載の通り)によって測定を行う。一部の実施形態において、AVSアセンブリ270と271は2種類の周波数掃引、例えば短時間周波数掃引(より短い時間内に行われるものなど)および/または全周波数掃引、例えば音響漏洩(複数可)のチェックなど他のエラー・チェックを行うことができる。流量計276は、一部の実施形態において、流量計276の較正および/またはエラー・チェックのため、周期的撹乱を導入するためのポンプとの調整を行うことができる。それに加えて、または代替として、小型リザーバ400と401は、一部の実施形態において流れを「平滑化」するため流体を湿らせることができる。流体リザーバ400と401は、気泡型可撓性ブラッダを規定する弾性材料から形成され得る。
弁272と277は、エラー状態のチェックのため動作調整を施され得る。例えば、弁272は、エラー・チェック(閉塞チェックなど)のために、流体が患者へと放出されているかどうかの判定のため弁277が開いたままの状態の間は閉鎖され得る。
一部の実施形態において、弁272、273、274、275および277は、AVS容積のうち1つが流体で満たされる一方で他のAVS容積が流体を排出することにより、AVS容積278と270を使用しての区分的連続流量測定が可能となるようにAVS容積278と279が操作されるよう、使用される。それに加えて、または代替として、弁272、273、274、275および277は、「流量ゼロ」補正(例えばAVS容積測定の容積ドリフト向けの補正)を実行するための「流量ゼロ」試験を実行するためにも使用され得る。
特定の一実施形態において、流量計276は、0.1〜300ml/時の範囲にわたり(一部の実施形態では最大2000ml/時)連続的な流れを測定することができ;0.1〜2.5ml/時の範囲では+/−0.02ml、またはそれ以外の範囲では5%の測定正確性を有し;1秒間に流れが10%変化する流れ撹乱に対して反応しないほど十分に迅速に測定し;頭部高さでの+/−2PSIの圧力変化範囲で測定し;0.1〜2000ml/時の流れの範囲にわたり1PSIを超える流れ抵抗を加えず;使い捨て部分のサイズは1インチ×3インチ×1インチ未満であり;電池または有線接続によって電力を供給され電池駆動の場合8時間にわたり100ml/時の定格で稼働することができ;弁、センサおよび構成部品すべてと無線通信を行うユーザ・インターフェースを含み得る。
図76は、本開示の一実施形態による、負圧源281を有する膜ポンプ280を示す図である。膜ポンプ280は、可変容積290に負圧を加える動作と可変容積290に大気圧を加える動作を交互に行うことができる弁282と283を含む。弁282と283は、例えば一部の特定の実施形態における0.020インチなど、音響アーチファクトをもたらさない十分に小さいサイズのポート403を介してAVS基準容積402と流体接続される。プロセッサ、例えば図3のプロセッサ37は、圧力センサ404によって測定される通り、基準容積402内で目標圧力を達成するよう、弁282および/または283を制御し得る。プロセッサ、例えば図3のプロセッサ37は、弁282および283と、また圧力センサ404と、動作可能に通信し得る。
弁282が閉じられ、弁283が開かれることにより、可変容積290が負圧源281と流体連通され得る。その後、弁283が閉じられ、弁282が開かれると、可変容積290は大気と流体連通され得る。これは可変容積290内の圧力を繰り返し振動させるよう、継続的に反復され得る。一部の特定の実施形態において、AVS測定は、可変容積402が静圧状態に置かれ(例えば周囲圧力、静的負圧に設定されている、もしくは弁282と283を閉じることによる)、AVS流体容積293が静圧状態に置かれている(例えばピストン弁291と292が閉じられている)場合に行われる。
前述の通り、負圧源281は、弁283の開放と弁282の閉鎖によって可変容積290へ加えられ得る。負圧が可変容積290へ加えられると、AVS流体容積293へ流体を引き込むよう、ピストン弁291が開かれ、ピストン弁292が閉じられ得る。その後、弁283とピストン弁291が閉じられる結果、AVSアセンブリ249によってAVS測定結果が取得され得る(AVSアセンブリ294は下方AVSクラムシェル・アセンブリ296を含む)。選択的に、ピストン弁291と292はAVS測定の前または途中、閉じておいてもよい。その後、弁282とピストン弁292が開かれ、流体はAVS室293から流体チャネル295へと流入できるようになる。次に、ピストン弁292と弁282が閉じられ、別のAVS測定結果がAVS室293から取得される。これらのAVS測定結果の差異は、個々のポンプ輸送サイクルについて、ポンプ輸送された流体の量と相互に関連付けられ得る。つまり、患者への液体の各パルスは1つのAVS測定結果から別のAVS測定結果を差し引くことによって推定され得る。一部の特定の実施形態において、AVS測定は、正圧と負圧が気泡体積に及ぼす効果に対処するよう、AVS容積290の同じ圧力条件で個々に行われる(例えば圧力センサ404によって決定される通り、大気圧または静的負圧の条件で)ことにより、気泡が流体容積流量測定に及ぼす効果を軽減する。
図77は、本開示の一実施形態による、それぞれ、弁298へ結合された負圧源296と弁299へ結合された正圧源297とを有する、膜ポンプ300を示す図である。負圧源296は、流体をAVS室302内へ引き込む際、可変容積301と流体連通し得る。同様に、正圧源297は、流体をAVS室302から排出する際、可変容積301と流体連通し得る。可変容積は、AVS測定結果が取得される際、弁304を介して大気圧303へ結合され得る。
図77に記載の実施形態ではディスクばねを使用しないという点に留意されたい。AVS流体容積302は、可変容積301内に圧力をほとんどまたは全く発生させない弛緩性材料で形成される。本開示の一部の実施形態において、ポンプ300は気泡サイズに対する圧力の効果に対処するよう、すべて同じ圧力条件でAVS測定する。例えばAVS容積測定結果は以下のように取得され得る:(1)ピストン弁405を閉じ、ピストン弁406を開き、弁298を開き、弁299を閉じ、そして弁304を閉じることにより、負圧源296から負圧を加えられているAVS室302内へ流体を引き込ませる;(2)ピストン弁406を閉じ、弁298を閉じる;(3)弁304を開くことにより、可変容積301の圧力を大気圧303へ到達させる;(4)弁304を閉じる;(5)AVS測定する;(6)弁299を開き、ピストン弁405を開くことにより、流体をAVS容積302から排出する;(7)ピストン弁405を閉じ、弁299を閉じる;(8)弁304を開いて可変容積の圧力を大気圧303と均一にする;(9)弁304を閉じる;(10)AVS測定する;(11)AVS容積測定結果を比較して排出された容積を決定し、例えば流量を推定する。上記の例は、正圧、負圧、大気圧、もしくはこれらのいくつかを組み合わせた条件での1つまたは複数のAVS測定結果の取得を目的に修正され得る。
さらなる付加的な一実施形態において、正圧源297は、可変容積301が正圧下にある場合のAVS測定結果の取得に使用される。例えば、本開示の一部の実施形態において、ポンプ300は気泡サイズに対する圧力の効果に対処するよう、すべて正圧条件でAVS測定する。例えば、AVS容積測定結果は以下のように取得され得る:(1)ピストン弁405を閉じ、ピストン弁406を開き、弁298を開き、弁299を閉じ、そして弁304を閉じることにより、負圧源296から負圧を加えられているAVS室302内へ流体を引き込ませる;(2)ピストン弁406を閉じ、弁298を閉じる;(3)弁299を開くことにより、可変容積301の圧力を、圧力センサ407によって示される通りの所定の正圧へ到達させる;(4)弁299を閉じる;(5)AVS測定する;(6)弁304を開き、ピストン弁405を開くことにより、流体をAVS容積302から排出する;(7)ピストン弁405を閉じ、弁304を閉じる;(8)弁299を開くことにより、可変容積の圧力301を、圧力センサ407によって示される通りの所定の正圧へ到達させる;(9)弁299を閉じる;(10)AVS測定する;(11)AVS容積測定結果を比較して排出された容積を決定し、例えば流量を推定する。上記の例は、正圧、負圧、大気圧、もしくはこれらのいくつかを組み合わせた条件での1つまたは複数のAVS測定結果の取得を目的に修正され得る。
ポンプ300はまた、一部の実施形態において、空気によって生じるコンプライアンスなど、システムにコンプライアンスが存在するかどうか、2通りの異なる圧力でのAVS容積測定結果の取得によって判定し得る。例えば、2通りの異なる圧力(例えば負圧と周囲圧力、または他の何らかの組合せ)での充填段階の間、および/または2通りの異なる圧力(例えば負圧と周囲圧力、または他の何らかの組合せ)での排出段階の間に、2通りのAVS測定結果が取得され得る。2通りの圧力での容積変化は、流体に気泡が混入していた場合など、AVS容積302のコンプライアンスと相互に関連付けられ得る。所定の量のAVS容積302の変動が存在すると決定される場合、プロセッサはエラー状態が存在すると決定し、アラームまたは警報を発し得る。さらに別の実施形態において、流量測定結果は取得された空気体積測定結果について補正され得る。例えば、プロセッサは、インスリンなどの薬物の代わりに患者へ送達された空気の体積を決定し、そして処方された用量のインスリンが送達されることを確保するよう、インスリンの送達を補償し得る。例えば、以下の付加的実施形態を考察してみる。
本開示の一部の実施形態において、コンプライアンスは、気泡に対処するよう異なる圧力でのAVS測定結果を少なくとも2通り取得することによってポンプ300において推定され得る。例えば、AVS容積測定結果は以下のように取得され得る:(1)ピストン弁405を閉じ、ピストン弁406を開き、弁298を開き、弁299を閉じ、そして弁304を閉じることにより、負圧源296から負圧を加えられているAVS室302内へ流体を引き込ませる;(2)ピストン弁406を閉じ、弁298を閉じる;(3)基準容積301が負圧にある間にAVS測定する;(3)弁304を開くことにより、可変容積301の圧力を大気圧303へ到達させる;(4)弁304を閉じる;(5)基準容積301が大気圧のままの間にAVS測定する;(6)(3)と(5)からの2通りのAVS測定結果を比較してAVS容積302のコンプライアンスを決定する;(7)弁299を開き、ピストン弁405を開くことにより、流体をAVS容積302から排出する;(8)ピストン弁405を閉じ、弁299を閉じる;(9)可変容積301が正圧下にある間にAVS測定する;(10)弁304を開いて可変容積の圧力を大気圧303と均一にする;(11)弁304を閉じる;(12)可変容積302が大気圧下にある間にAVS測定する;(13)(9)と(12)からの2通りのAVS測定結果を比較してAVS容積302のコンプライアンスを決定する;(14)少なくとも2通りのAVS容積測定結果を比較して排出された容積を決定し、例えば流量を推定する。上記の例は、2通りの異なる圧力を有する2通りのAVS測定が充填段階、排出段階、ポンプ輸送における任意の他の段階で発生し得るよう、正圧測定、負圧測定、大気圧測定のうち1つまたは複数、もしくはこれらのいくつかの組合せを使用して、様々な形で修正され得る。
さらに別の実施形態を考察してみる。AVS容積測定およびポンプ輸送作用は以下のように発生し得る:(1)ピストン弁405を閉じ、ピストン弁406を開き、弁298を開き、弁299を閉じ、そして弁304を閉じることにより、負圧源296から負圧を加えられているAVS室302内へ流体を引き込ませる;(2)ピストン弁406を閉じ、弁299を閉じる;(3)可変容積301が負圧のままの場合にAVS測定する;(4)弁299を開くことにより、可変容積301の圧力を、圧力センサ407によって示される通りの所定の正圧へ到達させる;(5)弁299を閉じる;(6)可変容積301が正圧の状態にある場合にAVS測定する;(7)(3)と(6)からの2通りのAVS測定結果を比較してAVS容積302のコンプライアンスを決定する;(8)弁304を開き、ピストン弁405を開くことにより、流体をAVS容積302から排出する;(9)ピストン弁405を閉じ、弁304を閉じる;(10)可変容積301が大気圧の状態にある間にAVS測定する(別の実施形態ではAVS容積測定結果は負圧の状態で取得される);(11)弁299を開くことにより、可変容積301の圧力を、圧力センサ407によって示される通りの所定の正圧へ到達させる;(12)弁299を閉じる;(13)AVS測定する;(14)2通りのAVS容積測定結果を比較して排出された容積および/または可変容積のコンプライアンスを決定し、例えば流量を推定する。上記の例は、2通りの異なる圧力を有する2通りのAVS測定が充填段階、排出段階、ポンプ輸送における任意の他の段階で発生し得るよう、正圧測定、負圧測定、大気圧測定のうち1つまたは複数、もしくはこれらのいくつかの組合せを使用して、様々な形で修正され得る。
特定の一実施形態において、膜ポンプ300は、流量目標を0.1〜2000ml/時とし、少なくとも最大3PSI〜最大10PSIを生み出すことができ;最大負圧が少なくとも−2PSIのリザーバから流体を引き出すことができ;電池式でもよく;有線給電式でもよく;アクチュエータ、弁、圧力センサおよび他の装置すべてに結合されたプロセッサと無線通信を行うユーザ・インターフェースを有し得る。
図78は、本開示の一実施形態による光センサ式流量計305を示す図である。流量計305は、可撓性膜307に光を反射するIR光源306を含む。反射されたIR光は、センサ308によって受光される。IR光源306とIRセンサ308によって形成されるセンサは、シャープ株式会社製の部品番号GP2S60を有するセンサであってもよい。膜307に反射した光は、容積309と相互に関連付けられ得る。上流または下流のポンプ(不記載)を入口弁および出口弁(不記載)と併用して、流量は膜307に反射する光の測定によって計算され得る。チューブ内の流体圧力が変化すると、エラストマー膜307が変位する結果となることから、センサ308との間隔は流体チューブ内の圧力の関数として変動する。したがって、センサの出力は流体チューブ内の圧力に比例し、また圧力および/または容積と相互に関連付けられ得る。
流量計305は、本開示で開示される膜ポンプによって、正圧および/または負圧の測定を円滑化する目的で使用され得る。圧力感度は、膜の弾性特性ならびにAVS容積309を形成する膜との流体接触面積を選定することによって、調整され得る。弾性膜の反射特性は、金属、樹脂、フィルムまたは他の反射材を使用して強化され得る。AVS容積309を形成する材料の熱効果に対処するように、温度センサを追加することができる。エラストマーAVS室309周囲のヒート・シンクおよび/または熱制御装置が、一部の特定の実施形態において、熱効果の軽減に使用され得る。
IR光源306はパルスを加えられ得る、および/または多重化が複数のIR光源306および複数のセンサ307と共に、クロストーク・エラー防止のため使用され得る。初期読み取りはオフセット・ゼロとして使用され得、またセンサ出力の変化はAVS容積308内の圧力変化と相互に関連付けられ得る。焦点調節用光学部材は使い捨て部分、例えば膜と共に、IR光源306およびIRセンサ308の範囲調整および位置合わせを容易にする目的で使用され得る。別の実施形態において、超音波近接センサがIR光源306およびIRセンサ308の代わりに使用される。
特定の一実施形態において、流量計305は、−2〜+10PSIの範囲にわたりチューブ圧力に対する感度を有し得る;1〜10PSIの範囲にわたり+/−20%の許容範囲内でチューブ圧力を測定し得る;少なくとも10ビットの分解能を有し得る;低電力であってもよい。
図79は、本開示の一実施形態による圧力制御膜ポンプ322を示す図である。図80〜図82は、本開示における参照用の凡例を示す図である。つまり、図83、図85、図87、図88、図90、図91、図93、図95および図97の記号の凡例については図80〜図82を参照されたい。再び図79を参照すると、膜ポンプ322は、基準容積324と可変容積325とを有するAVSアセンブリ323を含む。基準容積324は、ポート357を通って可変容積325へと移動する基準室324内の音響信号を生成するためのスピーカ326を含む。音響信号は、基準マイクロフォン327と可変容積マイクロフォン328によって受信される。マイクロフォン327と328からの信号は、AVS室335の容積を測定するための音響応答を決定するため比較される。任意の光センサ329は、AVS室335を形成する膜からの光を反射するために使用され得る。光センサ329は、AVS室335の容積推定を容易にする目的で使用され得る。一部の実施形態において、複数の光センサ329が使用され得る。
ポンプ353は、6035 Parkland Boulevard, Cleveland, Ohio 44124−4141に所在のParker Hannifin Corporation製の部品番号T3CP−1HE−06−1SNBを有するものなど、ダイヤフラム・ポンプであってもよい。それに加えて、または代替として、他の種類のポンプおよび/または任意の他の製造者によって製造されたポンプを利用してもよい。
ポンプ353へ加えられる可変電圧(図79参照)は、圧力センサ340によって測定される通りの望ましい圧力に到達するよう、リアルタイムで調節され得る。ポンプ353は、1分当たり数リットルの流量を有し得る。可変容積325は0.5ccの空気体積を有してよく、また圧力を1〜10PSIの範囲に制限され得る。一部の実施形態において、ポンプ353は1Hzの充填・排出サイクル時間および0.5ccの流体室を有し、その結果、最大流量は例えば1800cc/時となる。付加的実施形態において、可変圧力は数十ミリ秒持続する破裂の際に制御され得、また6回分の分割量が、0.1cc/時の流量を達成するよう、1時間の間隔にわたり送達され得る。付加的実施形態において、空気圧式流れ制限を有する別の空気圧式流路(不記載)が、可変容積324に対する作動圧力をより下げることにより、高低の体積流量範囲を容易にする目的で使用され得る。
流体リザーバ331は、流路を介して一方向弁332へ結合される。弁332はピンチ弁であってもよい。光センサ333は弁が閉じられる時期を測定し、例えばピンチ弁332が開いていると光学ビームが遮断され得る、またはピンチ弁332が閉じていると光学ビームが遮断される。
流体は流体チューブ334を通って移動し、AVS容積335へ入る。流体は流路を通って一方向弁336へと排出され得、この排出も光センサ337を使用して測定される。最終的に、流体は患者338の体内に入る。
基準室324および可変容積325は、チューブ339と流体連通する。圧力センサ340はチューブの圧力を、そして結果的に室324と325の圧力を測定する。それに加えて、または代替として、ポンプ322は温度センサ330を含む。圧力センサ340からの圧力および/または温度センサ330からの温度は、AVS測定結果の正確性を高める目的で使用され得る。
弁341はチューブ339を周囲圧力342へと接続する。圧力センサ343は周囲圧力を測定する。弁341は弁344にも結合され、次いで弁344は負圧源347および正圧源345へと接続される。正圧源345は圧力センサ346へ結合され、負圧源347は別の圧力センサ348へ結合される。一部の特定の実施形態において、正圧源345と負圧源347は、所定の圧力が内部で設定され、(弁344、341、350および349を介して)基準容積324へ送られて特定の圧力を発達させるアキュムレータであってもよい。
可変流量/圧力ポンプ353は、正圧リザーバ345を正圧に、また負圧リザーバ347を十分に低めの圧力に維持するため、弁349と350両方へ結合される。弁350と349はそれぞれ、大気通気孔354と351にも結合される。可変流量/圧力ポンプ353は、356にて信号を供給され、この信号はプロセッサ、例えば図2のプロセッサ37による検証用の出力ピンへフィードバックされ得る。また、スイッチ355もポンプ353を有効化および/または無効化し得る。
一部の実施形態において、1つまたは複数の光センサ329が、送達する目標アリコート体積を有する制御ループの内側部分として使用され得る。例えば、1つまたは複数の光センサ329は、図2のプロセッサ37内の制御装置(例えばPID制御装置)へ、1つまたは複数の光センサ329により測定されたAVS室335の膜の偏向に基づく充填容積または排出容積の推定値を提供し得る。1つまたは複数の光センサ329からのフィードバックは、AVSポンプ室内の空気圧装置、例えば弁231、344、349および350の、圧力流またはタイミングの制御に使用され得る。
複数の光センサ329が、AVS室335の膜位置を三角形にするために使用され得る。それに加えて、または代替として、この膜は光センサ329用の反射面を提供するようAVS室335の膜の表面を配置する、反射性の特徴を有し得る。一部の特定の実施形態において、制御ループの外側部分は、個々のアリコート体積を調整するため、患者へ送達される軌跡送達体積を目標とし得る。例えば、1つまたは複数の光センサ329によって行われる光学的容積感知機能は、AVS式容積測定および/または容積推定誤差計算に対するチェックとして使用される独立的容積測定結果を提供し得る。付加的実施形態において、光学的容積測定のみ行われ、すなわちこの特定の例示的実施形態ではAVSが使用されない。
図83は、本開示の一実施形態による流量制御膜ポンプ358を示す図である。流量制御膜ポンプ358は図79の圧力制御ポンプ322と類似するが、流量制御膜ポンプ358には図79に記載のリザーバ345と347がない。
図84は、本開示の一実施形態による、図83の流量制御膜ポンプ358の動作状態図359である。状態図359は、状態360〜368を含む。状態360〜368は図85〜図98によって示される。
次に図84、図85および図86を参照すると、アイドル状態360が図84と図86で描写され、図86に詳細が示されている。アイドル状態360は、二次的状態370〜371を含む。二次的状態370において、複数の変数が設定される。二次的状態370が変数を設定してから所定の長さの時間が経過した後、二次的状態371は、所定の範囲を基準にチェックされる複数の値を測定する。
図85は、本開示の一実施形態による、図84の状態図のアイドル状態360にある場合の弁の動作を示す、図79の流量制御膜ポンプ358を示す図である。アイドル状態360において、弁341は基準容積324を大気圧源342へと結合する。注意点として、アイドル状態360を示す図85に記載の通り、AVS容積335を形成する膜は収縮する。
図86に記載の通り、二次的状態370は、例えば入力電圧を適切な入力へ印加することにより(図83参照)、変数PCadj、PCenb1、PCenb2、PCv1、PCv2、PCv3、HCv1およびHCv2を設定する。図85および図86を参照しながら、変数PCadjはポンプ353を設定し、変数PCenb1はポンプ353への入力を有効化し、変数PCenb2はスイッチ355を有効化し、変数PCv1は弁350を制御し、変数PCv2は弁349を制御し、変数PCv3は弁341を制御し、変数HCv1は弁332を制御し、そして変数HCv2は弁336を制御する。
同じく図86に記載の通り、二次的状態370でパラメータが設定された後、二次的状態371は複数の測定をする。二次的状態371では、PSavs、PSatm、PCmon、OPTvar、OPThvl、OPThc2およびTavsの値が取得され、所定の範囲と比較される。測定値がいずれかでも所定範囲を外れる場合、例えば図86の予想列373に記載のような場合、エラー状態372が存在すると決定され、エラー状態372への対応として警報またはアラームが発せられ得る。
PSavsは圧力センサ340から決定された値、PSatmは圧力センサ343から決定された値、PCmonは入力電圧356から正しい電圧をポンプが受けているかどうか判定するためセンサ369から決定された値、OPTvarは光センサ329からの測定結果、OPThv1は弁332が閉じているか開いているか判定するための光センサ333からの測定結果、OPThc2は弁336が閉じているか開いているか判定するための光センサ337からの測定結果、そしてTavsは温度センサ330からの温度測定結果である。
再び図84を参照しながら、アイドル状態360の後、状態図359は正圧弁漏れ試験状態361へと続く。図87〜図88は、本開示の一実施形態による、図84の正圧弁漏れ試験状態の間に使用中の図83の流量制御膜ポンプ358を示す図である。図87に記載の状態から基準容積324へ圧力をポンプ輸送できるよう、弁349が変化していることに留意されたい。図88は、弁349が再び切り替わり、基準容積324が流体源から分離されている状態を示す図である。
図89は、本開示の一実施形態による、図84の状態図の正圧弁漏れ試験状態361をさらに詳細に示す図である。図89は、図84の状態364も表し得る。正圧弁漏れ試験状態361は、二次的状態374〜380を含む。
二次的状態374は、基準容積324へ正圧が加えられるよう、ポンプ353を起動し、弁350、249および341を設定する。弁222と337は閉じたままである。二次的状態374では測定結果が取得される。測定値が所定の許容範囲から外れていると、二次的状態379はエラー状態が発生したと決定する。平均圧力目標Pmaxに達しない場合、状態361は二次的状態378へと続き、所定の長さの時間、待機する。このプロセスは図87で描写されている。二次的状態374、375および378は、二次的状態378が所定の回数発生するまで、または所定の長さの時間に達し、二次的状態379にエラー状態が存在すると決定されるまで、反復し得る。
状態361は選択的に、二次的状態375から376へと遷移する際、一定の長さの時間、待機し得る。二次的状態376では、ポンプ353が停止され、弁350と349がポンプ353からの可変容積324の接続を解除する(図88で描写されている通り)。状態361は選択的に、二次的状態377から378へと遷移する際、一定の長さの時間、待機し得る。二次的状態377では、例えば、AVS容積335が変化していることにより漏れ状態を示すかどうか判定するため(音響応答を使用して)可変容積325の容積を測定する、スピーカ326およびマイクロフォン327と328を有するAVSシステムなどを使用してのAVS測定など、様々な測定結果が取得される。それに加えて、または代替として、光センサ330は、漏れ状態が存在するかどうか判定するため、膜335の所定の動きが発生するかどうか感知し得る。これらの測定結果が所定の範囲を外れる、および/または所定の閾値を超える場合、二次的状態380にエラー状態が存在すると決定される。
再び図84を参照すると、正圧弁漏れ試験状態361が発生した後、負圧弁漏れ試験状態362が発生する。正圧弁漏れ試験状態362の説明については図90、図91および図92を参照されたい。図90〜図91は、本開示の一実施形態による、図84の負圧弁漏れ試験状態の間に使用中の図83の流量制御膜ポンプ358を示す図であり、図92は、本開示の一実施形態による、図84の状態図の負圧弁漏れ試験状態362をさらに詳細に示す図である。図92に記載の通り、状態362は二次的状態381〜387を含む。図92は、図84の状態365を示す目的でも使用され得る。
二次的状態381は、基準容積324へ負圧が加えられるよう、ポンプ353を起動し、弁350、249および341を設定する。弁222と337は閉じたままである。二次的状態382では測定結果が取得される。測定値が所定の許容範囲から外れていると、二次的状態382はエラー状態が発生したと決定し、状態385へと続く。平均圧力目標Pminに達しない場合、状態382は二次的状態386へと続き、所定の長さの時間、待機する。このプロセスは図90で描写されている。二次的状態381、382および386は、二次的状態378が所定の回数発生するまで、または所定の長さの時間に達し、二次的状態385が、エラー状態が存在すると判定するまで、反復し得る。
状態362は選択的に、二次的状態382から383へと遷移する際、一定の長さの時間、待機し得る。二次的状態383では、ポンプ353が停止され、弁350と349がポンプ353からの可変容積324の接続を解除する(図91で描写されている通り)。状態362は選択的に、二次的状態383から384へと遷移する際、一定の長さの時間、待機し得る。二次的状態383では、例えば、AVS容積335が変化していることにより漏れ状態を示すかどうか判定するため(音響応答を使用して)可変容積325の容積を測定する、スピーカ326およびマイクロフォン327と328を使用するAVSシステムなど、様々な測定結果が取得される。それに加えて、または代替として、光センサ330は、漏れ状態が存在するかどうか判定するため、膜335の所定の動きが発生するかどうか感知し得る。これらの測定結果が所定の範囲を外れる、および/または所定の閾値を超える場合、二次的状態387にエラー状態が存在すると決定される。
図93は、本開示の一実施形態による、図84の充填状態363の間に使用中の図83の流量制御膜ポンプ358を示す図である。図94は、本開示の一実施形態による、図84の充填状態363をさらに詳細に示す図である。
状態363は二次的状態388〜391を含む。二次的状態388は、可変容積324へ負圧が加えられるよう、弁350と351、およびポンプ353を設定する。弁332も開かれ、AVS容積335は流体リザーバ331からの流体を充填する。状態389は、AVS容積335を画定する膜が充填中かどうか判定するため、光センサ330からの光学的測定を含め、複数の測定をする。未充填であれば、二次的状態391は所定の長さの時間、待機する。その後、二次的状態388、389および391は、少なくとも所定のサイクル数、および/または所定の長さの時間が経過するまで反復され得、その後、二次的状態390は、例えばリザーバ331が空である、および/または弁332が閉じたまま動かないなど、弁が不作動の状態である場合など、エラー状態が存在すると決定する。それに加えて、または代替として、二次的状態389の間に取得された測定結果が所定の範囲から外れている、および/または所定の閾値を超える場合、二次的状態390は、エラー状態が存在すると決定することができる。
再び図84を参照すると、状態363が行われた後、状態364の間に正圧弁漏れ試験がもう1回行われ、また状態365の間に負圧弁漏れ試験がもう1回行われる。
状態366は、AVS室355の容積を決定するためのAVS測定する(図95参照)。次に図95および図96を参照すると、図95は、AVS測定状態366の間に使用する図83の流量制御膜ポンプ358を示す図であり、図96は、図84のAVS測定状態366をさらに詳細に示す図である。
状態366は二次的状態392と393を含む。二次的状態392はスピーカ329に1つまたは複数の音響周波数を放射させ、また二次的状態393は、マイクロフォン327と328から測定して音響応答を決定する。音響応答はAVS室335の容積と相互に関連付けられ、その結果、AVS室335内の流体とも相互に関連付けられる。音響応答および他の測定結果は、二次的状態393の間に取得される。二次的状態392と393は選択的に、例えば二次的状態395として示されているように反復され得る。二次的状態392からの1つまたは複数の測定結果が所定の範囲から外れている、および/または所定の閾値を超える場合、二次的状態394は、エラー状態が存在すると決定することができる。
再び図84を参照すると、状態366でAVS測定結果が取得された後、排出状態367はAVS容積335を排出する。図97は、図84の排出状態367の間に使用中の図83の流量制御膜ポンプ358を示す図であり、図98は、図84の排出状態をさらに詳細に示す図である。
図98に記載の通り、排出状態367は二次的状態396〜399を含む。二次的状態396は、基準容積324へ正圧が加えられるよう、弁350と349、およびポンプ353を設定する。二次的状態396は弁336も開き、流体が患者338へ流れることができるようにする。二次的状態387の間に複数の測定結果が取得され、二次的状態397は二次的状態399へと続き、所定の長さの時間、待機する。二次的状態396、397および399は、AVS容積が所定の量未満であると光センサ329が判定するまで反復する。二次的状態397の間に取得された測定結果が所定の範囲から外れている、および/またはある測定結果が所定の閾値を超える(すなわち閾値を超えるまたは閾値未満)場合、二次的状態398は、エラー状態が存在すると決定する。二次的状態399が所定の回数反復する、および/または所定の長さの時間にわたり続く場合、二次的状態398は、例えば弁336などの弁の不作動および/または下流の閉塞がAVS容積から患者338への液体排出を妨げていると考えられるなど、エラー状態が存在すると決定することができる。
再び図84を参照すると、状態367の後、状態368はAVS測定する。AVS測定結果368は、患者338へ送達された流体の量を決定するため、AVS測定結果366と比較され得る。例えば、排出状態367では、流体の一部がAVS容積335内に残留し得る。AVS測定結果の差の比較により、チューブ経由で患者338へ排出された流体の量を推定することができる。
図99は、本開示の一実施形態による、使い捨て部分413とぴったり重なって液体に力を加える弾性膜412を有する、膜ポンプ411を示す図である。つまり、膜412の作用は流体を膜ポンプ411で動かす作動を提供する。膜ポンプ411は、使い捨て部分418へと結合するAVSアセンブリ417を含む。AVSアセンブリ417は、使い捨て部分418への嵌め込み式、ねじ留め式、もしくは掛け留め式であってもよい。膜ポンプ411は、空気圧式充填ポート414を含む。空気圧式充填ポート414は、本開示に記載のどの空気ポンプにも接続され得る。さらなる付加的実施形態において、空気圧式充填ポート414は注射器ポンプまたは他の液体ポンプなどの液体ポンプへ接続され得る。一部の実施形態において、流体をポンプ輸送するため弁415および416と併用される空気圧式充填ポート414へ、正圧と負圧が交互に加えられる。一部の実施形態において、負圧が空気圧式充填ポート414へ加えられ、膜412の弾性特性が弁416経由での液体吸引に使用される。一部の実施形態において、正圧が空気圧式充填ポート414へ加えられ、膜412の弾性特性が弁415経由での液体吐出に使用される。
図100〜図101は、本開示の実施形態による肺型ポンプの2通りの実施形態を示す図である。図100は肺型ポンプ419を、図101は肺型ポンプ420を示す図である。
図100の肺型ポンプ419は、可撓性であるリザーバ425の容積を測定するためのAVSまたはFMSポート425を有する硬質本体421を含む。FMSは、米国特許第4,808,161号、第4,826,482号、第4,976,162号、第5,088,515号、第5,193,990号および第5,350,357号に記載されている。一部の実施形態において、肺型ポンプ419のポンプ輸送作用を促すため、正圧および/または負圧がポート425へ加えられる。リザーバ424は弁422および423と流体連通する。リザーバ424はチューブ431へ成形または接着されたものであってもよい、もしくはブリスタなどチューブ431から真空形成される。硬質本体421は、チューブ431が硬質本体を通過し、リザーバ424へ接続する状態で、チューブ431の周囲を完全密封し得る。ポート425経由で正圧または負圧を加えることにより、流体がリザーバ424へ引き込まれ、排出され得る。この正圧および負圧は、ポート425経由でのFMS測定を可能にする基準室をも含むマニホールドによって供給され得る。それに加えて、または代替として、硬質本体421は、例えば弁422と425を制御するプロセッサ、ポート425へ結合されたAVSアセンブリなどのハードウェアを含み得る。液体は弁422から引き込まれ、弁423を通って離脱する。弁422と423はピンチ弁であってもよい。弁422と423は互いに交互に開閉され、ポート425経由で加えられる任意の正圧および/または負圧と同期され得る。例えば、ポンプ輸送の順序は以下のように発生し得る:(1)弁413を閉じ、弁422を開く;(2)負圧をポート425へ加える;(3)弁422を閉じる;(4)リザーバ425内の流体の体積を推定する(例えばAVSまたはFMSを使用);(5)ステップ(1)〜(4)を、所定の量がリザーバに溜まるまで繰り返す;(6)弁425を開く;(7)正圧を弁425へ加える;(8)弁423を閉じる;(9)リザーバ内の流体容積を推定する;(10)ステップ(9)と(4)の間に測定された容積を比較して液体の排出量を決定する;(11)所定の量の液体のポンプ輸送が完了するまで(1)〜(10)を繰り返す。
図101の肺型ポンプ420は、可撓性であるリザーバ429の容積を測定するためのAVSまたはFMSポート430を有する硬質本体426を含む。一部の実施形態において、肺型ポンプ420のポンプ輸送作用を促すため、正圧および/または負圧がポート430へ加えられる。リザーバ429は弁427および428と流体連通する。肺型ポンプ420は図99の肺型ポンプ419と類似し得るが、流体をリザーバ内へポンプで送り込む際は弁427が開き、弁428が閉じ、流体をポンプ輸送してリザーバから排出する際は弁428が開き、弁427が閉じる。
図102〜図104は、本開示の付加的実施形態による、肺型ポンプを密封するための様々なガスケットを示す図である。図102は、肺型ポンプの硬質本体(図99の硬質本体421または図100の硬質本体426など)の区間433と434によって密封され得るチューブ432を示す図である。別の実施形態において、422と424はハウジング機構、掛止機構またはドア開閉機構の一部であってもよい。図103は、ガスケット・シール426を含むチューブ425を示す図である。ガスケット・シール426は左右へ押すことにより、密封面の2つの側が合わさる部分(すなわち422および/または424)の密封状態を高め得る。図104は、谷状構造427と加圧板429の間で加圧されることによって密封するガスケット427を含む場合の、チューブ432の別の密封方法を示す図である。
図105は、本開示の別の実施形態による別の肺型ポンプ430を示す図である。肺型ポンプ430は、チューブ432の周囲に接着された硬質片431を含み、硬質片431は圧力を加えられると環状構造433と合わさって密封する前面密封ガスケットを創出する。硬質片431は、ワッシャに似た環状構造など、円形構造であってもよい。
図106〜図112は、本開示の一実施形態による、様々なチェックを実行中のピストン・ポンプの動作を示す図である。図106〜図112のピストン・ポンプと関連して記述されるチェックはまた、本開示に記載のばねバイアス・プランジャを有する蠕動ポンプと共に使用され得る。図106は、ピストン435、ダイヤフラム436、入口弁437、出口弁438およびポンプ室439を含むポンプ434を示す図である。ピストン435は、制御用プロセッサ37(図3参照)へ結合されるリニア・アクチュエータ(図106〜図112には不記載)へと結合され得る。
弁437と438の開口は、ポンプ動作中に弁全体が周期的にチェックされることを可能にするよう、ピストン435の動きと同期され得る。ピストン435は、弁437と438のうち1つまたは両方について、他方の弁が開く前に漏れていないかどうか検証するため圧力または真空を加える。このプロセスは、自由流れ状態の防止に使用され得る。1つの弁が適切に密封されていない場合、他方の弁は開かれない。同じ構成が、ポンプ室内の空気混入、上流閉塞および下流閉塞のチェックに使用され得る。
一部の実施形態において、ピストン435ならびに弁437と438は、単一のモータによって駆動される一連のカムによって駆動され得る。それに加えて、一部の実施形態において、ピストン435は、カムがピストン435を上昇させ、ばねがピストン435を下方位置へ戻す、ばね荷重式である。この特定の実施形態は、比較的一定した送達圧力を有し得る。
本開示の一部の実施形態において、ピストン435の位置および/またはダイヤフラム436の位置は、センサを使用して決定され得る。一部の実施形態において、ピストン435の位置は、エンコーダ、磁気センサ、ポテンショメータ、またはカム・シャフト上の回転センサ等を使用して決定され得る。付加的実施形態において、ピストン435の位置は、光センサ、LVDT(リニア可変差動変圧器)センサ、ホール効果センサ、または他のリニア・センサの使用により直接測定される。ダイヤフラム436の位置は、本開示で別途記載のAVSアセンブリを使用して感知され得る(例えば図98のAVSアセンブリ417が、ダイヤフラム436の位置の判定に使用され得る)。一部の付加的実施形態において、ピストンが使用されず、ダイヤフラムは本開示で開示される空気圧を使用して動かされる。
図107〜図112は、図106のピストン・ポンプの様々な段階を示す図である。図107は、空気チェックおよび入口437の漏れチェックを示す図である。ピストン435は、弁437と438が閉じている間、下向きの力を加える。ピストン435が所定の距離動く、および/または所定の速度を超えて動く場合、プロセッサ37は、過剰な空気がポンプ室439内に存在すると決定することができる。ピストン435がある量を圧縮し、そしてポンプ室439の底部へ向かってゆっくり動き続ける場合、プロセッサは弁437および/または438の1つが漏れていると決定することができる。例えば、弁437および/または438が漏れている場合、ポンプ室439に付帯する容積は減少し続ける。ポンプ室439内の過剰な空気によって生じる動き(または速度)は、漏れによって生じる動きと速度が異なり得る。一部の特定の実施形態において、プロセッサ37は、ポンプ室439内の過剰な空気および/または弁437と438のうち1つでの漏れを区別し得る。例えば、ピストン435は第1の速度で下方へ動き、素早く超低速へ近付き得る。低速が続く場合、突発的減速後に続く低速の動きは弁437と438のうち1つでの漏れの指標であると決定され得る。
図108は、下流閉塞チェックが行われる段階を示す図である。出口弁438が開き、ポンプ室439内の流体が患者へ送達される。容積が変化しない場合、下流閉塞が存在し得る。それに加えて、または代替として、ピストン435が閾値より遅く動く、および/または従前の流体排出よりも所定の量遅く動く場合、プロセッサ37(図3参照)は、下流閉塞が発生したと決定することができる。それに加えて、または代替として、ピストン435が所定の運動量(例えば所定の力がピストン435へ加えられる状態)に達しないうちに動きを止める場合、プロセッサ37は、下流閉塞が発生したと決定することができる。
図109は、出口弁438が閉じた段階を示す図である。図110は、ピストン435が引き上げられる段階を示す図である。出口弁438は閉じたままである。ダイヤフラム436が伸展する結果、ポンプ室439内に真空が生じる。弁437と438のうち1つが漏れている場合、ポンプ室439内の流体が増加する。ダイヤフラム436が所定の量動く場合、プロセッサ37は、弁が漏れていると決定し、警報および/またはアラームを発し得る。
図111は、ポンプ室438が充填され、上流閉塞チェックが行われる段階を示す図である。入口弁437が開き、ポンプ室438は液体が充填される。ポンプ室が所定の量充填されない場合、プロセッサは、上流閉塞が存在するまたは点滴袋が空であると決定することができる。それに加えて、または代替として、室438の充填が過剰に遅いまたは従前の充填より所定の量遅い場合、プロセッサ37は、上流閉塞が存在すると決定することができる。図112は、入口弁437が閉じた段階を示す図である。図107〜図112に記載の段階は、所定の量の流体が患者へ送達されるまで反復され得る。
図113および図114は、本開示の別の実施形態によるピストン・ポンプ441を示す図である。図113に記載の通り、ピストン・ポンプ441は、予備成形膜440とカセット本体445とを含む使い捨てカセット442を含む。予備成形膜440は、Sarlink、Pebax、Kraton、SantopreneなどのPVCエラストマーのうち1つまたは複数であってもよい。予備成形膜440は、熱接着、レーザ溶接、溶媒または接着剤による接着、超音波溶接または付着、RF溶接、もしくはオーバーモールディングを含む任意の方法を使用して、カセット本体445へ付着され得る。予備成形膜440は、図114に記載のように圧縮されると、膜はピストン443が引き戻された後、図113に記載のように元の形状へ戻る。図115および図116は、複数の膜ポンプ441を有するカセット444を示す2通りの図である。カセット444は、硬質本体周囲に配置された2つの弾性層でカセット本体を画定する硬質本体によって形成され得る。硬質本体は、図113および図114に記載の通り、弾性層が予備成形膜を形成するようにリザーバを形成し得る。
図117は、本開示の一実施形態による、膜ポンプ451および火山型弁449と450を含むカセット447を有する、アセンブリ446を示す図である。膜ポンプ451は、膜451と連動するポンプ・プランジャ452を含む。プランジャ451の往復運動に応じて、流体は流路454から引き込まれ、流路456から排出される。火山型弁449は、流体を火山型弁449から流体容積455へ流入させる一方向弁であるが、逆の流れは生じない。一部の実施形態において、アクチュエータが膜456を再び押して火山型弁449の一方向作用を補助し得る。
火山型弁450は、流路456と火山型弁450を介して流体を流体容積455から排出させる一方向弁である(ただし逆の流れは生じない)。一部の実施形態において、アクチュエータが膜457を再び押して火山型弁450の一方向作用を補助し得る。
アセンブリ446は、AVSアセンブリ448をも含む。AVSアセンブリは、スピーカ459とマイクロフォン460とを有する基準容積458を含む。可変容積461はマイクロフォン462を含む。スピーカ459およびマイクロフォン460と462は、流体容積455の容積測定および本開示に記載のプランジャ452の動作調整を行うプロセッサ37へ結合される。
プランジャ452は、AVSアセンブリ448へ結合された1つまたは複数の音響密封と連動してもよい。プロセッサ37は、プランジャ452の位置を決定するための位置センサ(例えばプランジャのリニア・アクチュエータへ結合されたもの)と動作可能に通信し得る。プロセッサ37は、プランジャ37が往復運動する際に可変容積461へ吸引し排出する容積の量に対処することができる。この容積補正は、プランジャ452の変位の測定により直接、もしくはカムへ結合されプランジャ452を動かす駆動シャフトの角度の測定により、行われ得る。
図118は、本開示の一実施形態によるカセット式ポンプのローラ機構463を示す図である。ローラ機構463はローラ464、464および466を含む。ローラ464、465および466は円形方向に動き、カセット本体468と膜469とを有するカセット467へ再び下方圧力を加える。ローラ464、465および466はレール上に配置されていてもよく、また少なくとも1つのローラがカセット467に係合するような間隔で配置され得る。ローラ機構463は、ステッパ・モータによって制御され得る。ローラ機構463は、例えば0.1ml/時の流量での液体のポンプ輸送を補助し得る。
ローラ機構463は、例えばその運動速度に基づく流体流の推定に使用され得る。ローラ464、465および466は、閉塞のない流れの促進および/または望ましい自由流れ状態の創出のため、カセット467から係合解除され得る。
図119は、本開示の一実施形態による図118のローラ機構との併用に向けたカセット式ポンプの流路470を示す図である。流路470は、流路472とバイパス流路473とを有するローラ相互作用区域471を含む。流路470は、隆起した可撓性機能を形成するよう隆起後部へ接着された、真空成形フィルムを含み得る。流路470は、オクルーダ474と475を含む。オクルーダ474と475は独立的に閉塞され得る。流路472と473は、断面積が同じであっても異なっていてもよい。ローラ機構463は、ローラ機構463の運動速度ならびに(例えばオクルーダ機能474と475が係合するチャネルのうち)閉塞されないすべてのチャネルの合計断面積に基づいて異なる流量を生み出すよう、ローラ相互作用区域471と相互作用し得る。オクルーダ機能474と475は、流体が任意の方向に流れるのを止めるよう火山型弁の膜に対して適用され得るプランジャ付き火山型弁であってもよい。別の実施形態において、オクルーダ機能474と475は、ソレノイドなどのアクチュエータへ結合されたピンチ弁であってもよい。
流路470は、液体の流れを緩衝する(例えば液体を平滑化する)流体キャパシタ476を含み得る。それに加えて、または代替として、そこを通過する流体を測定するためのAVSアセンブリが、流体キャパシタ476へ結合され得る。
別の一実施形態において、流路472または473のうち1つまたは複数が、硬質裏当て(カセット本体)内に成形された特徴を有する隆起後部へ接着された、平坦な可撓性フィルムを含む。この実施形態において、ローラ463は、チャネル478を狭窄するためチャネル478を凹ませる特徴を有する。この実施形態は、頭部が球状のピストンがチャネル478を通る流れを可変的に制限可能な、モールド成形された特徴をも有し得る(例えばオクルーダ機能474と475)。チャネルを凹ませる特徴とピストン頭部の形状は、ピストンの線形係合に基づいて様々な流れのプロファイルを許容できるよう調節され得る。一実施形態において、使い捨て部分はローラ機構463用の1つのチャネル472と、ローラ区域からのバイパスの役割を果たす第2のチャネル473とを有する。オクルーダ機能474と475に付随する2つのチャネル472と473は、カセット(使い捨てであってもよい)がバイパス・モードまたはポンプ・モードで使用されることを可能にする。一部の実施形態において、図119のローラ機構463は常にチャネル478の上方で係合するが、バイパス・チャネル473の上方では係合しない。
一実施形態において、ローラ機構463は高い流量向けに使用され得、バイパス474は低い流量向けに使用され得る。例えば、一部の特定の実施形態において、流路472と473は0.4cm2の断面積を有し、またローラを250cm/時〜2500cm/時の範囲で直線移動させるステッパ・モータの使用により、流量は100ml/時〜1000ml/時の範囲となり得る。バイパス473は100cm/時未満の流量の達成に使用される。
図120は、本開示の一実施形態による図118のローラ機構との併用に向けたカセット式ポンプの流路478を示す図である。流路478は2つの流路479と480、およびバイパス流路481を含む。図118のローラ機構463は流路470および480と連結する。流路478は、オクルーダ482、483および484にも結合される。
図121は、本開示の一実施形態による浸透試験の複数の段階310、311および312を示す図である。図121によって示される浸透試験は、チューブ314に対して圧縮され(段階311に記載)、その後、回転運動を介して引き戻される(段階314に記載)、オクルーダ・ローラ313を含む。オクルーダ・ローラ313は、ポンプ19、20もしくは/または21(図1参照)内または注入部位モニタ26(図2参照)内に存在し得る。監視クライアント6は、オクルーダ・ローラ313に浸透試験の実行を命令し得る。例えば、監視クライアント6は、ローラ・オクルーダ313へ結合されたステッパ・モータに、患者5から液体を引き出すよう命令し得る(図1参照)。監視クライアント6はその後、注入部位モニタ26(図1参照)へ進入する血液の量の推定値を、浸透感知器32(図2参照)から受信し得る。浸透感知器32は、浸透試験の複数の段階の間に適切な量の血液が注入部位モニタ26へ引き込まれるかどうか判定し、または代替として、監視クライアント6は浸透感知器32から原データを受信して、適切な量の血液が注入部位モニタ26へ引き込まれているかどうか判定し得る(図1および図2参照)。
前述の通り、図2の浸透感知器32は、図37と図38に記載の画像を捉えるために使用される場合、図33のシステム108との関連で上記のカメラ式浸透感知器32であってもよい。図37および図38は、浸透試験時に図2の注入部位モニタ26へ進入する血液を推定するために図33のシステム108のカメラ109によって取得された画像を示す図である。つまり、図33のシステム108は、図121のローラ・オクルーダ313が作動して図2の注入部位モニタ26へ引き込む場合に血液を感知するため、注入部位モニタ26(図2参照)の浸透感知器32内に存在し得る。
段階312の間、この段階による戻り容積315が患者5から引かれる。図33のカメラ109は注入部位モニタ26にて(例えば浸透感知器32内)、図37と図38に記載のように血液が患者から引き戻されているかどうか判定し得る。注入部位モニタ26(図2参照)内のチューブに血液が全く引き込まれない場合、浸透が発生した指標であると考えられる。それに加えて、または代替として、図33のカメラ109は、圧力センサ33および/または容積センサ169と共に、血液がチューブ41へ引き戻される原因となる圧力の量の判定に使用され得る。
一部の実施形態において、流体は、回転オクルーダ313を反転させることにより、またはオクルーダ313を上昇させてチューブ314から離すことにより、患者5へ戻される。付加的な一実施形態において、引き戻し流体を保持する、適合上流リザーバが含まれ得る(弁は流体の方向を逆転させて適合上流リザーバへ送り込み得る)。上流リザーバは、本開示に記載のAVS室へ結合されてもよい、もしくは別個の室である。AVS室は引き戻し流体容積を、AVS室へ結合されたプロセッサに測定させる、および/または監視クライアント6へ伝達させることができる。それに加えて、または代替として、ポンプ19、20および21は浸透試験中に停止される、もしくは回転オクルーダ313と共にまたは回転オクルーダ313の代わりに流体の引き戻しを補助し得る。
付加的実施形態において、適合する室がローラ・オクルーダ313と患者5の間で使用される。引き戻し中の室膜の排出容積は、例えばAVSまたは光センサを使用して監視される。室膜の偏向は流体チューブ314内の圧力に比例し、膜の偏向量は血液をチュービングへ引き込もうとする力に比例する。血液を患者5から引き出すために必要な引き戻し圧力の閾値量は、浸透が存在しているかどうかの判定に使用される。それに加えて、閾値量の時間が引き戻しに必要な場合、これは下流閉塞または浸透が存在することの指標として使用され得る。したがって、室膜は経時的に監視され得、また引き戻し効果の指標となる圧力変化率を感知し得る(図2のプロセッサ37による判定通り)。
図122は、本開示の一実施形態による浸透試験の段階316および317を示す図である。ピストン319は流体チューブ沿いの随所にまたは図2のポンプ19、20もしくは21内に配置され得る、あるいはピストン319は図2の注入部位モニタ26内に配置され得る。段階316では、弁318は開いたままで、ピストン319は膜320に対して圧迫されるが、流体は患者へと流れ続ける。段階317では、弁318が閉じられ、ピストン319が上昇し、その後、膜320の弾力性によって流体が引き戻される。引き戻された流体は、段階316に記載の通り、ピストンが作動して静止状態へ戻る時点で患者へ戻る。図33のカメラ109は浸透感知器32内の注入部位モニタ26にて(図2参照)、前述の通り、血液が患者から引き戻されているかどうか判定し得る。注入部位モニタ26(図2参照)内のチューブに血液が全く引き込まれない場合、浸透が発生した指標であると考えられる。
一部の実施形態において、引き戻し中に加えられる最大の決定された流体圧力が存在するよう、エラストマー表面積とエラストマー特性が室容積と共に選定され、例えば特性は、監視区域へ血液を引き戻すための十分な引き戻し圧力が存在するよう選択され得るが、浸透が発生した場合、血液を監視区域へ引き戻すための圧力は不十分となる。それに加えて、または代替として、血液は所定の長さの時間内に引き戻されなければならない。さもなければ、浸透状態が存在すると決定され得る。引き戻しのために考慮される時間の長さは、浸透が発生したかどうか判定するための所定の基準と共に使用され得る(すなわち、引き戻し室が所定の長さの時間にわたり引き戻しに耐える一方、所定の長さの時間が経過する前にカメラ109を使用して血液の指標を探索し、浸透センサ32(図2および図33参照)、例えばカメラ109によって血液が感知されない場合は浸透が発生したと判定する)。
図123および図124は、本開示の一実施形態によるセル式リザーバ485を示す図である。セル式リザーバ485は、図1のリザーバ2、3または4であってもよい。セル式リザーバ485は、注入剤の動きの緩和に適する材料で構築された、液体吸収能力のあるセル・フォーム486を含む。セル・フォーム486は膜487を含み得る。リザーバ・ベース488は、流体剪断発生時に注入剤の安定性を高めるよう、硬質、半硬質または非硬質の流体リザーバを使用して構築され得る。
例えば、半硬質のベース488を使用する場合、セル・フォーム486は、通常は空のリザーバ空隙を充填するためのオープン・セル・シリコン・フォームを含み得る。セル・フォーム486は、一部の実施形態において、注入剤の安定性保持に役立つよう、リザーバ内容物のスロッシング防止に役立ち得る。折り畳み式膜487のばねレートとポンプ輸送機構両方に対して高度な圧縮性を有するフォームを選択することにより、セル・フォーム486の残存容積は一部の実施形態において最小限となり得る。
図125および図126は、本開示の一実施形態によるチューブ式リザーバ489を示す図である。チューブ式リザーバ489は、図1のリザーバ2、3または4であってもよい。チューブ式リザーバ489は、液体を収容できるチュービング・リザーバ490を含む。チューブ式リザーバ489は、フィルタ491を介して通気され得る。フィルタ491は、図51〜図55の通気孔の一部であってもよい。例えば、ポンプ輸送機構(例えば本開示に記載されているが図125および図126には不記載のポンプ)は、硬質リザーバの空隙492に貯蔵された流体をチュービング・リザーバ490から引き出し得る(ベース492は可撓性、硬質、半硬質であってもよく、および/または一部の実施形態においてカセットの一部であってもよい)。チュービング・リザーバ490は、一部の実施形態において、リザーバ内容物のスロッシング防止に役立つことにより、注入剤の安定性保持に役立ち得る。
図127は、本開示の一実施形態による、AVSアセンブリ494と併せてプランジャ・ポンプ493を操作する方法を示す複数の段階1〜8を示す図である。流路495は弁496、497および498を含む。
段階1は、弁498が閉じ、弁496と497が開いた状態を示す。弁497は、弁498と497が漏れているかどうかチェックするため、プランジャ499が引き上げられている間に閉鎖され得る。例えば、プランジャ499を(例えばばねから)後退させるためにプランジャ499へ一定の力が加えられ、弁496および/または弁497が閉鎖され得る。プランジャ499が所定の量を超えてまたは所定の速度より速く上方へ動く場合、プロセッサ37(図2参照)は、漏れが発生したと決定することができる。それに加えて、または代替として、弁496を閉じてもよく、プランジャ499は所定の長さの時間まで上方へ力を加え、その後、下方へ力を加える。AVSアセンブリ494はその後、AVS掃引を実行し得る。AVSアセンブリ内の流体(例えば流体容積の容積によって測定される)が所定の量を超える場合、プロセッサは弁496と498のうち1つが漏れている可能性があると決定することができる。
段階2は、流体がプランジャ・ポンプ493へ引き込まれている状態を示す。段階3はAVS掃引を実行する。段階3と4の間で漏れチェックが実行され得、例えば弁497と498は、プランジャ493が下方へ力を加える間、閉じた状態を維持し得る。動きが所定の量を超える場合、プロセッサにより、弁497と498のうち1つまたは両方が漏れていると決定され得る。段階4では、プランジャ・ポンプ493からの流体の体積が、AVSアセンブリ494の膜へと移送される。段階5では、AVSアセンブリ494内の流体を決定するAVS掃引が行われる。段階6では、弁497が開き、流体の体積がAVSアセンブリ494からプランジャ・ポンプ493へと移送される。段階5と6の間で、弁497は、別の弁の漏れチェックを実行するため一時的に閉じたままにされ得る。
段階7では弁497が閉じられる。段階8では、プランジャ・ポンプ493内の流体が排出される。段階7と8の間で、弁498は、弁497と498のうち1つまたは両方が漏れているかどうか判定するため、当初から閉じたままの状態を維持し得る。
図128は、本開示の別の実施形態による、AVSアセンブリと併せてプランジャ・ポンプを操作する方法を示す複数の段階を示す図である。段階1と2の間で、プランジャ499に上方への力が加えられている間に弁500を一時的に閉じたままにしておくことにより、漏れ試験が実行され得る。段階2で、流体がプランジャ・ポンプ493へ引き込まれる。段階2ではまた、AVSアセンブリ494によるAVS掃引も実行され得る。段階3では、流体がAVSアセンブリ494へ移送される。段階2中ではまた、AVSアセンブリ494によるAVS掃引も実行され得る。漏れ試験は段階2と3の間で(例えばプランジャ499に下方への力を加えながら弁501を閉じたままにしておくことにより)実行され得る。段階4では、流体がAVSアセンブリ494からプランジャ493へ引き込まれる。段階2ではまた、AVSアセンブリ494によるAVS掃引も実行され得る。段階3と4の間で、プランジャ499に上方への力が加えられている間に弁501を一時的に閉じたままにしておくことにより、漏れ試験が実行され得る。段階5では、流体がプランジャ493から患者へ排出される(すなわちAVSアセンブリ494を通過する)。段階4と5の間で、弁501を一時的に閉じたままにしておくことにより、および/または逆流をチェックするため、漏れ試験が実行され得る。逆流をチェックするための漏れ試験は、段階5でも実行され得る。
図129は、本開示の一実施形態によるAVSアセンブリ504を有するプランジャ・ポンプ503を使用する方法を示す複数の段階を示す図である。段階1では、AVS掃引が実行される。段階2では、流体が可変容積506へ引き込まれる。段階2では、流体が可変容積453へ引き込まれた後、別のAVS掃引が実行される。段階3で流体が排出される。段階3では、流体が排出された後、AVS掃引が実行され得る。アクチュエータ507が可変容積506内にあるという点に留意されたい。したがって、アクチュエータ507の動きは可変容積506の容積に影響しない。
図130は、本開示の一実施形態によるAVSアセンブリ509を有するプランジャ・ポンプ508を使用する方法を示す複数の段階を示す図である。アクチュエータ507は可変容積509外に位置する。プランジャ・ポンプ508は、チュービング510のコンプライアンスにより段階4で液体を引き込めるよう、標準的な点滴チューブ・セット510を使用する。段階2で液体が排出される。段階1〜4は反復され得る。
段階1では、AVSアセンブリ509によるAVS掃引が実行され、またピンチ弁513と514両方を有するプランジャ512に下方への力が加えられ得る。段階2で流体容積が排出される。段階3では、プランジャ512が格納され、その後、弁513と514が漏れていないか判定するためのAVS掃引が実行され得る(例えばチュービング455のコンプライアンスにより、チュービング510内に負圧がもたらされ得る)。
図131は、本開示の一実施形態によるAVSアセンブリ516を有するプランジャ・ポンプ515を使用する方法を示す複数の段階1〜5を示す図である。プランジャ・ポンプ515は、空気圧式アクチュエータ518を介して流体を可変容積517へ引き込み、排出する。段階1の間、弁519と520両方が閉じた状態で、可変容積518へ正圧および/または負圧が加えられ得る。段階1の間、AVSアセンブリ516による1回または複数回のAVS掃引が実行され得る。弁519と520両方が閉じた状態でAVSアセンブリ516による推定容積が変化する場合、プロセッサ37は、弁519および/または520のうち1つまたは両方に漏れが存在すると決定することができる。
段階3の間、弁519と520両方が閉じた状態で、可変容積518へ正圧および/または負圧が加えられ得る。段階1の間、AVSアセンブリ516による1回または複数回のAVS掃引が実行され得る。弁519と520両方が閉じた状態でAVSアセンブリ516による推定容積が変化する場合、プロセッサ37は、弁519および/または520のうち1つまたは両方に漏れが存在すると決定することができる。
図132は、本開示の一実施形態による、標準的な点滴用チュービング・セット524との併用に向けた、可変容積523内にアクチュエータ522を有するプランジャ・ポンプ521を示す図である。
図133は、本開示の一実施形態による、可変容積526内にピンチ弁523と524およびプランジャ525を有するカム駆動リニア蠕動ポンプ522の様々な状態を示す図である。断面図527と528は、プランジャ525の下方における標準的な点滴チューブ・セット529の、2通りの異なる構成を示す図である。
図134は、本開示の一実施形態による、可変容積533の外にアクチュエータ532を有する標準的な点滴用チュービング・セット531内での使用に向けたプランジャ・ポンプ530を示す図である。図135は、本開示の一実施形態による、可変容積538内にピンチ弁535と536およびプランジャ537とを有し、可変容積538外に対応するカム機構539を有する、カム駆動リニア蠕動ポンプ534の様々な状態を示す図である。カム・フォロワ540、541および542が可変容積535へ進入および退出する形で動くにつれ、図2のプロセッサ37は、カム・フォロワ540、541および542が可変容積に影響を及ぼす容積変化に対処するよう、測定される容積を調節し得る。断面図543と544は、プランジャ537が連動する標準的な点滴用チュービング・セット545の2通りの異なる構成を示す図である。
図136は、本開示の一実施形態による、可変容積548内にプランジャ547を有し、可変容積548外にアクチュエータ549を有する、プランジャ・ポンプ546を示す図である。プロセッサ37は、プランジャ547のシャフトが可変容積548へ進入および退出する際のシャフトの容積に対処するよう、図2の位置センサへ結合される。
図137は、本開示の一実施形態による、可変容積552内にプランジャ551を有し、可変容積552外に対応するカム機構553を有し、可変容積552のハウジング上にピンチ弁554と555を有する、カム駆動リニア蠕動ポンプ550を示す図である。ピンチ弁554と555は、可変容積552と標準的な点滴チューブ・セット556との界面の防音シールも形成し得る。2つの断面図557と558は、プランジャ551と標準的な点滴チューブ・セット556との界面の構成を示す形で示されている。
図138は、本開示の一実施形態による、可変容積561内にプランジャ560を有し、可変容積561外にピンチ弁562と563を有する、プランジャ・ポンプ559を示す図である。アクチュエータ564(カム機構、リニア・モータ、リニア・アクチュエータなど)は可変容積561外に位置する。図2のプロセッサ37は、プランジャ560のシャフトが可変容積561へ進入し退出する際、シャフトの動きを補償し得る。
図139は、本開示の一実施形態による、可変容積564内にプランジャ563を有し、可変容積564外に対応するカム機構565およびピンチ弁566と567を有する、カム駆動リニア蠕動ポンプ562の様々な状態を示す図である。断面図569と570は、標準的な点滴チューブ・セット568の2通りの異なる構成を示す図である。標準的な点滴チューブ・セット568は、配管を使用して配置してもよい(例えばチュービング568の下方、上方および/または周囲に画定)。
図140は、本開示の一実施形態による、可変容積574内にAVSアセンブリ572とばねバイアス式狭窄機構573とを有するプランジャ・ポンプ571を使用しての閉塞感知の段階1〜5を示す図である。プランジャ・ポンプ571はピンチ弁575、576および577を含む。
段階1では、ピンチ弁575、576および577は閉じている。可変容積574は、ばねバイアス式狭窄機構573がチューブ578を圧縮する際に測定され得る。可変容積の容積が増加する(例えば可変容積574内のチューブ直径が減少する)場合、図2のプロセッサ37は、弁576と577のうち1つまたは両方が漏れていると決定することができる。それに加えて、または代替として、ばねバイアス式狭窄機構573は、可変容積574内のチューブ573内の液体の体積を推定するセンサを含み得る。センサは、例えばリニア・ホール効果センサであってもよい。ピンチ弁575、576および577が閉じているにもかかわらず、狭窄機構573がゆっくり閉まっていることをセンサが示す場合、プロセッサ37は、エラー状態が存在すると決定することができる(図2参照)。
段階2では、弁576が開き、アクチュエータ579がチューブ573を圧縮することにより、可変容積内のチューブを液体で満たす。段階3では弁576が閉じられる。段階4では弁577が開く。液体閉塞が発生していなければ、ばねバイアス式狭窄機構573内の液体が排出される。図140において、段階4は、閉塞が発生しておらず、ばねバイアス式狭窄機構573が液体を排出する状態の投影図580を示し、また段階4は、ばねバイアス式狭窄機構573が液体を排出しない(または十分に排出しない)状態の投影図581も示す。本開示の一部の実施形態において、段階4でのばねバイアス式狭窄機構573の位置は、閉塞状態が下流に存在するかどうかの判定に使用される(例えばプロセッサ37は閉塞が存在すると決定することができる)。段階5は、2つの投影図582と583を示す。段階5の投影図582は、下流閉塞が存在しない状態を示し、段階5の投影図583は下流閉塞が存在する状態を示す(2つの投影図582と583におけるばねバイアス式狭窄機構573の容積差に留意されたい)。ばねバイアス式狭窄機構573のAVS掃引および/または位置センサは、段階5において、可変容積573内の液体の体積が所定の閾値を超えるかどうかの判定に使用されることにより、図2のプロセッサ37は、下流閉塞が存在すると決定することができる。
図141は、本開示の一実施形態による、可変容積605外で作動するプランジャ604を有するAVSアセンブリ606の可変容積605内にばね荷重式プランジャ604を有するポンプ600を示す図である。プランジャ604が格納された状態でチューブ607がプランジャ604下方の流体を引き込めるよう、弁602が閉じられ、弁601が開かれ得る。
可変容積605内に配置されたチューブ607の領域へ流体を押し込めるよう、プランジャ604がチューブ607を圧縮している間、弁601と603が閉じ、弁602が開く。これにより、ばね荷重式(またはばねバイアス式)プランジャ604が作動して、ばねに蓄えられるエネルギー量が増える。弁602が閉じ、AVS測定結果が取得される。その後、ピンチ弁603が開くことにより、可変容積605内の流体がチューブ607から排出され、患者へと向かう。その後、弁602が閉じ、AVS掃引がもう1回実行される。AVS容積測定結果の比較により、ポンプ600経由で排出された流体の量が決定される。ばねバイアス式プランジャ604は、チューブ607に下方の力を加えるよう、シャフトにばねが取り付けられた単一のプランジャであってもよい。
図142は、本開示の一実施形態による、ばねバイアス式狭窄機構614(投影図615参照)を内部に有するAVSアセンブリ613の可変容積612内にピンチ弁609および610とカム・シャフト611が配置され、可変容積612外にプランジャ616とピンチ弁617とを有する、リニア蠕動ポンプ608を示す図である。動作形態は図141のポンプ600と同じであってもよい(例えばプランジャ616が流体に力を加えて狭窄機構614を拡張し、付帯するばねに荷重を加える)。
図143は、本開示の一実施形態による、AVSアセンブリ624の可変容積623外にピンチ弁619、620および621とプランジャ622が配置された、リニア蠕動ポンプ618を示す図である。動作形態は図141のポンプ600と同じであってもよい。
図144は、本開示の一実施形態による、室628内に存在するチューブ627内の容積を測定するための光センサまたはカメラ626を有する、プランジャ・ポンプ625の複数の段階1〜5を示す図である。プランジャ・ポンプ625は、ばねバイアス式狭窄機構629を含む。アクチュエータ634が、図141のポンプ600と同様の形で、室628内のチューブ627の領域へ流体を押し込むよう、ポンプ輸送力を加える。
段階1では、弁630、631および632は閉じている。光センサまたはカメラ626は、室628内に配置されたチューブ627の領域内の容積を推定する。プランジャ633は、弁630と631のチェックを実行する目的で、チューブ627を圧縮して、プランジャ633が所定の量を超えて動いていないか判定し得る。つまり、プランジャ633が閾値量を超えて動く場合、プロセッサ37は、弁630と631のうち1つが漏れていると決定することができる。
段階2では、弁631が開き、流体がプランジャ633の作動によって室628内へ押し込まれる。段階3では、弁631と632両方が閉じた後に光学的容積推定がもう1回行われる。段階4では弁632が開く。閉塞が存在している場合、ばねバイアス式狭窄機構629は室628内のチューブ627からすべての流体を排出することができない。閉塞が存在していない場合、ばねバイアス式狭窄機構629は流体を排出することができる。段階5の間、流体が閾値を超えて排出されたかどうか判定するため、容積測定が行われる。流体が閾値を超えて排出されていない場合、図3のプロセッサ37は、閉塞が存在すると決定する。
図145は、本開示の一実施形態による、チューブ638の周囲にばねバイアス式狭窄機構639を有するチューブ638の流体容積を推定するための光センサ637を有する室636とプランジャ640とピンチ弁641、642および643とを有するプランジャ・ポンプ635を示す図である。光センサ637は、LED光時間装置またはカメラであってもよい。プランジャ・ポンプ635の動作形態は、図144のプランジャ・ポンプ625と同じであってもよい。
図146は、本開示の一実施形態による、チューブ647の周囲にばねバイアス式狭窄機構648を有するチューブ647の流体容積を推定するための光センサ646を有する室645を有し、室645外にプランジャ649とピンチ弁650、651および652とを有する、プランジャ・ポンプ644を示す図である。プランジャ・ポンプ644は、図144のプランジャ・ポンプ625と同じ形態で動作し得る。
図147は、本開示の一実施形態による、AVSアセンブリ659の可変容積658内にピンチ弁656と657が配置されたAVSアセンブリ655と可変容積658外に配置されたプランジャ660およびピンチ弁661とを有する、プランジャ・ポンプ653の様々な状態を示す図である。ピンチ弁656と657が可変容積658を完全に横断するという点に留意されたい。図148は、本開示の一実施形態による図147のプランジャ・ポンプの2通りの断面図である。図149は、本開示の一実施形態による図147のプランジャ・ポンプの代替的な2通りの断面図である。図148の2つの投影図ではピンチ弁がチューブの周囲に配置され、図149ではピンチ弁がチューブの片側に配置されているという点に留意されたい。
図150は、本開示の一実施形態による、ばねバイアス・プランジャ663を有するプランジャ・ポンプ662の通常動作時の複数の段階1〜4を示す図である。段階1では、プランジャ663が引っ張られてチューブ664から離れ、ピンチ弁665が開く。AVS測定結果が取得される。段階2では、ピンチ弁665が閉じ、プランジャ663がチューブ664を圧縮する。AVS測定結果がもう1回取得される。段階3では、ピンチ弁666が開かれ、プランジャ663がチューブ664から流体を押し出す。送達された流体の体積を推定するためのAVS掃引が実行される。一部の実施形態において、プランジャ663は、段階2と3の間のプランジャの動きを相互に関連付けて流体排出量を推定するリニア・ホール効果センサを含む。
図151は、本開示の一実施形態による、図150のプランジャ・ポンプ662の閉塞感知の複数の段階を示す図である。段階3では、閉塞が発生した場合、AVS測定結果を正常な流体送達と比較する。図3のプロセッサ37は、不十分な流体が送達されたことにより閉塞が発生したことがプロセッサで示される状況を感知し得る。
図152は、本開示の一実施形態による、図150のプランジャ・ポンプ662の漏れ感知の段階1〜2を示す図である。段階1では、ピンチ弁665が開かれ、プランジャ663が開かれることによりチューブ664へ流体を引き込む。段階2では、ピンチ弁665がチューブ664の方向へ圧縮された後、プランジャがチューブ664に力を加える。弁665と666のうち1つが漏れている場合、段階2において、AVS測定結果は流体の漏れ(すなわち可変容積の増加)を示すことになる。
図153は、本開示の一実施形態による、プランジャ・ポンプ662の弁故障感知および/または気泡感知の段階1〜2を示す図である。段階2に記載の通り、可変容積が所定の閾値を超えて増加し、減少へと続かない場合、図3のプロセッサ37は、チューブ664内に気泡が存在すると決定することができる。
図154は、本開示の一実施形態による、プランジャ・ポンプ662の空リザーバ感知および/または上流閉塞感知の複数の段階を示す図である。段階2に記載の通り、AVS掃引の結果、流体がチューブ664へ引き込まれていないことを示す場合、図3のプロセッサ37は、上流リザーバが空であると決定することができる。
図155は、本開示の一実施形態による、プランジャ・ポンプ662の自由流れ防止の複数の段階を示す図である。つまり、自由流れ状態が感知された場合、プランジャ663はチューブ664を圧縮して自由流れを止め得る。
図156は、本開示の一実施形態による、プランジャ・ポンプ662の負圧弁チェックの複数の段階を示す図である。段階1では、プランジャ663がチューブ664の方向へ圧縮され、弁665と666両方が閉じる。段階2では、プランジャ663が上昇してチューブ664から離れる。漏れが生じている場合、チューブ664のコンプライアンスにより流体が引き込まれ、AVS掃引によって感知される。段階3に記載の通り、弁665と666が開く。
図157〜図158は、本開示の一実施形態による、AVSアセンブリ673の可変容積672を横断するカム・シャフト671を有するプランジャ・ポンプ670を示す図である。
図159〜図162は、本開示の複数の実施形態による複数のカム・プロファイルを示す図である。図159〜図162のカム・プロファイルは、図150〜図158の蠕動ポンプ662と、もしくは本開示で開示される任意の十分なポンプと併せて使用され得る。
図159は、負圧弁チェックを除き、図150〜図158に記載の完全性チェックを使用するカム・プロファイルを示す図であり、前方ポンプ輸送と後方ポンプ輸送向けに使用され得る。後方ポンプ輸送は、本開示に記載の浸透試験の際に使用され得る。図160は、負圧チェックを除き、図150〜図158に記載の完全性チェックを使用するカム・プロファイルを示す図である。前後方向でのカムの回転により、カムが0〜155度の範囲で揺動する場合、図160のカム・プロファイルでの流体流が生じる。後方ポンプ輸送は、カム・シャフトを315度〜160度の範囲で前後に回転させることにより、図160のカム・プロファイルで完遂される。図161では、負圧弁チェックを除き、図150〜図158に記載の完全性チェックを使用するカム・プロファイルが示されている。図161のカム・プロファイルは、ポンプの前方流体流を提供する際に使用され得る。図161は、合計流体流がゼロの一方向での連続回転時に流体にパルスを与えるカム・プロファイルを示す図である。図162の右下隅に記載のチャートは、前方、後方および共鳴音を発する流体の動きを達成する動きを示す。
図163は、本開示の一実施形態による、AVS可変容積678の界面に2つのピンチ弁679と680とを有するAVS可変容積678の外部にプランジャ676とピンチ弁677とを有する蠕動ポンプ675を示す図である。図164は、本開示の一実施形態による図163(簡略版)の蠕動ポンプの動作の複数の段階1〜5を示す図である。
図165は、本開示の一実施形態による、AVS可変容積684外に2つのプランジャ682と683とを有する蠕動ポンプ681を示す図である。図166は、本開示の一実施形態による図165の蠕動ポンプ681の複数の段階1〜6を示す図である。
図167は、本開示の一実施形態による、リニア・センサ687付きプランジャ686を有する蠕動ポンプ685を示す図である。図168は、本開示の一実施形態による、図167の蠕動ポンプ685のリニア・センサ687からのデータのグラフを示す図である。図168に記載の通り、加圧段階(例えばピンチ弁688と689両方が閉じ、およびプランジャ686のばねが再びチューブ690に力を加える段階)と送達段階(例えば出口ピンチ弁689が開く)の間でのプランジャ686の運動量は、流体排出量と相互に関連付けられる。流体排出量とセンサ687からのデルタ出力との相互関連は、経験的に決定され得る。プランジャ686は、プランジャ686を上昇させてチューブ690から離すために、プランジャ686へ結合されたカム・フォロワのみとカムが接触する形となる、チューブ690に対するばね荷重式であってもよい。
図169は、本開示の一実施形態による図167の蠕動ポンプの複数の段階を示す図である。図170は、本開示の一実施形態による、非閉塞状態と比較した閉塞状態の感知を示す図である。つまり、プランジャ位置データが、通常状態と閉塞状態を対比する形で示されている。閉塞が生じた場合、流体は排出されず、したがってプランジャ位置もその分動かないという点に留意されたい。これは図3のプロセッサ37によって感知され得る。図171は、弁漏れ感知を弁完全密封状態と対比する図である。図172は、チューブ内の過剰な空気または弁故障の感知を、適切な動作と対比する図である。
図173は、本開示の別の実施形態による蠕動ポンプの電子装置を示すブロック図である。つまり、図173は特定の一実施形態における図1のポンプ16、17および18のうち1つの電子機器を示す図である。図174は、図1のポンプ16、17および18のうち1つの蠕動ポンプの別の実施形態における電子機器を示すブロック図である。
図175は、本開示の一実施形態による蠕動ポンプ700の透視図である。蠕動ポンプはAVS室を含む(図184のAVS室714参照)。蠕動ポンプ700は、ギア705を介してモータへ結合されたカム・シャフト704に沿って回転するカム701、702および703を含む。カム701は入口ピンチ弁を制御し、カム702はプランジャを制御し、カム703は出口ピンチ弁を制御する。
カム701〜703は、チューブ707に沿った蠕動ポンプ輸送作用を提供する形状であってもよい。カム701〜703は、3段階のポンプ輸送作用または4段階のポンプ輸送作用を提供する形状であってもよい。
3段階のポンプ輸送作用は段階1、2および3を含む。段階1では、出口弁が閉じ、入口弁が開き、そしてプランジャが上昇してチューブから離れる。一実施形態において、出口弁は入口弁が実質的に開く前に実質的に閉じる。段階2では、入口弁が閉じ、ばねバイアス・プランジャがカムによって、チューブ707に対して圧縮力を加えられるようになる。段階3では、出口弁が開くことにより、ばねのプランジャの圧縮力が流体を患者へ向けて押し出す。リニア・センサ(光センサまたはホール効果センサなど)がプランジャの位置を測定する。カム・シャフト704を制御するモータへ結合され、またリニア・センサへ結合されたプロセッサは、段階2においてプランジャが動きを止めてチューブ707を完全に圧縮する時点でのプランジャの位置と段階3終了時点(すべての流体が排出され患者へと向かい、プランジャはチューブから押し出され得る流体がそれ以上ないため動きを止める)でのプランジャの位置の差を比較し得る。別の一実施形態において、カム・シャフト704を制御するモータへ結合され、リニア・センサへ結合されたプロセッサへ結合されたプロセッサが、段階2においてプランジャの運動速度が所定の閾値未満に落ちる時点でのプランジャの位置と、段階3においてプランジャの運動速度が任意の閾値未満に落ちる時点もしくはプランジャの位置が所定の値未満に低下する時点でのプランジャの位置の差を比較し得る。プランジャの運動速度の閾値および位置の閾値は、較正実験によって決定される。プロセッサは、これら2つの位置の変位間で測定された差を、(例えばデルタ値(2つの測定結果間の差)とルックアップ・テーブル内の値の差の比較によって)ポンプ輸送される流体の体積と相互に関連付ける。選択的に、段階3では、出口弁の開放は目標流体排出速度プロファイルを達成するよう、カム704の回転によって制御され、例えばデルタが段階2の測定結果と段階3で出口弁が開く実時間との間で使用される(例えばデルタは連続的に計算される)。
段階2の間、プランジャが所定の閾値を超えて動く、および/または所定の勾配を超えて動く場合、入口弁と出口弁のうち1つが漏れている可能性がある。例えば、プランジャが素早く動いてチューブを圧縮し、(例えば所定の勾配を超えて)動き続ける場合、プロセッサは、入口弁と出口弁のうち1つが漏れていると決定することができる。リニア・センサへ結合されたプロセッサ(図3のプロセッサ37)は、アラームおよび/または警報を発し得る。
段階2の間、カムがばねの圧縮によるチューブの圧縮を可能にする時点でプランジャが所定の閾値を超えて動く場合、もしくはプランジャがチューブに衝突する際に動きが遅くなり、その後さらに所定の閾値を超えて動く(気泡が圧縮されているため)場合、それはチューブ内に気泡が存在することの指標となり得る。例えば、カム・フォロワがばねバイアス・プランジャをチューブ方向へ動かす際にプランジャが動いた後で一瞬止まり、そして再び動く場合、プロセッサは、チューブ内の空気が圧縮されていると決定することができる。一部の実施形態において、所定の閾値を超える動きは、チューブ内に空気が存在することを示唆し得る。リニア・センサへ結合されたプロセッサは、アラームおよび/または警報を発し得る。一部の実施形態において、漏れている弁と気泡とを区別するため、下流の気泡センサ(不記載)が、2つのエラー状態を区別するプロセッサによって使用され得る。
一部の実施形態において、ばねバイアス・プランジャが段階2でチューブに向かって動くが、所定の閾値を過ぎるまでチューブに係合しない場合、プロセッサは、上流閉塞が存在し、チューブが段階1の間に流体で満たされなかったと決定することができる。
一部の実施形態において、ばねバイアス・プランジャが段階3で所定の閾値を超えて動かない場合、プロセッサは、下流閉塞が存在する(例えばチューブが流体を下流へ排出できない)と決定することができる。それに加えて、または代替として、プロセッサは、段階1〜3の各サイクルにおいて患者へ排出される流体量が減少し続ける(すなわちコンプライアンスが増大して下流の流体を取り込んでいる)場合、下流閉塞が存在すると決定することができる。
本開示の一部の実施形態において、カム701、702および703は、4段階のポンプ輸送作用を有する形状であってもよい。
段階1では、出口弁が閉じ、入口弁が開き、そしてプランジャが上昇してチューブから離れる。段階2では、入口弁が閉じ、ばねバイアス・プランジャがカムによって、チューブ707に対して圧縮力を加えられるようになる。段階3では、プランジャが上昇してチューブから離れ、出口弁が開く。段階4では、カム702によりプランジャが、流体を患者へ向けて押し出すばねのプランジャの圧縮力を加えることができるようになる。リニア・センサ(光センサまたはホール効果センサなど)がプランジャの位置を測定する。カム・シャフト704を制御するモータへ結合され、またリニア・センサへ結合されたプロセッサは、段階2においてプランジャが動きを止めてチューブ707を完全に圧縮する時点でのプランジャの位置と段階4終了時点(すべての流体が排出され患者へと向かい、プランジャはチューブから押し出され得る流体がそれ以上ないため動きを止める)でのプランジャの位置の差を比較し得る。プロセッサは、これら2つの位置の変位間で測定された差を使用して、(例えばデルタ値(2つの測定結果間の差)とルックアップ・テーブル内の値の差の比較によって)ポンプ輸送される流体の体積と相互に関連付ける。選択的に、段階4では、プランジャの圧縮力を使用してチューブを圧縮するプランジャの運動(カム702によって可能になる)は、目標流体排出速度プロファイルを達成するよう、カム704の回転によって制御され、例えばデルタが、段階2でプランジャがチューブを完全に圧縮する時点での測定結果とプランジャがチューブ707を圧縮できるようになる実時間でのプランジャの運動との間で使用される(例えばデルタは連続的に計算される)。
一部の実施形態において、下流オクルーダは、患者への流体の流れを平滑化するよう調節され得る。
一部の実施形態において、AVSがリニア位置センサの代わりに使用され得る。一部の実施形態において、リニア位置センサのみ使用される。さらなる付加的実施形態において、AVSとリニア位置センサ両方が使用される。
図176〜図180は、本開示の一実施形態による複数のAVS掃引からのデータを示す図である。図176〜図180のAVS掃引は、図175の蠕動ポンプ700が対象である。
図176は、基準室と相対的な図175の蠕動ポンプ700のチューブ707周囲の可変容積に関する、大きさおよび位相応答を含むデータを示す図である。つまり、図176に記載のデータは、図184に記載の防音シール領域(すなわち可変容積室)内のチューブ707(図175参照)周囲の空気体積と相互に関連付けられる。
図177は、図175の蠕動ポンプ700を使用して実行される様々なAVS掃引を示す図である。プランジャは掃引3でチューブ707に対してばね荷重を掛け、出口弁がカム703によって開かれるが、流体は患者へ向かって下流に排出されるわけではないという点に留意されたい。図3のプロセッサ37は、この状況で下流閉塞が存在すると決定することができる。
図178は、図175のポンプ700を使用する様々なAVS掃引を示す図である。図178の掃引2と3では、カム702により、プランジャのばねがチューブ707に対して圧縮できるようになるが、カム701と703はピンチ弁を強制的に閉じる。掃引3では、入口弁と出口弁が閉じたままであるが、可変容積が増大することにより、流体が入口弁と出口弁のうち1つから排出されていることを示す。図3のプロセッサ37は、入口弁と出口弁が閉じたままであるにもかかわらず、掃引2と3に見られる掃引データから、入口弁と出口弁のうち1つが漏れていると決定することができる。
図179は、図175のポンプ700を使用する様々なAVS掃引を示す図である。掃引1では、カム701と703が弁を閉じ、カム702が、プランジャのばねがチューブ707に対して圧縮できるようにする。掃引2では、カム701と703が弁を閉じたままにしているが、プランジャのばねがプランジャを所定の量を超えて動かしている。プロセッサ37は、プランジャの運動はプランジャ下方のチューブ内の空気が原因であると決定することができる。プランジャ下方のチューブ707内に空気が存在する場合の空気の圧縮性に起因する運動と、入口または出口のピンチ弁の漏れに起因する運動を区別するため、下流空気感知器(図1参照)が使用され得る。
図180は、下流閉塞が発生している場合に、患者へ向けた複数回(全サイクル)の流体排出の間に図175のポンプ700を使用して実行されるAVS掃引を示す図である。つまり、毎回の掃引は、プランジャが流体を患者へ向けて排出すると予想される後に実行され得る。掃引4に記載の通り、ポンプ700は流体を排出していない。例えば、ポンプ700は、チューブがそれ以上拡張できなくなるまでチューブ707の下流コンプライアンスをゆっくり充填し得る。この場合、ポンプ700は追加の液体を下流へポンプ輸送するのが難しくなり、それはプランジャのばねが追加の液体を下流へポンプ輸送するための力を十分に加えることができないからである。プロセッサ37(図3参照)は、ポンプ700の各サイクルにおける液体送達減少は下流閉塞の存在の指標であると決定することができる。
図181〜図183は、本開示の一実施形態による図175の蠕動ポンプのカム機構の複数の側面図である。図181は、プランジャ706の側方断面図である。プランジャ706とカム・フォロワ709の運動は、光カム・フォロワ位置センサ711によって監視される。
様々な装置が、図175のポンプのポンプ・プランジャ706とピンチ弁の位置の感知に使用され得る。これらは以下のうち1つまたは複数を含むが、これらに限定されない:超音波式、光学式(反射型、レーザ干渉計、カメラなど)、直線ノギス、磁気式、機械接触スイッチ、赤外光測定器など。一実施形態において、例えば本開示に示し、記載のような蠕動ポンプ175の例示的実施形態に適合する、小型反射光センサ・アセンブリ(以下「光センサ」という)が使用され得る。様々な実施形態における光センサは、例えば一部の実施形態におけるプランジャ706など、光センサが感知し得る部品に適応する感知範囲を有する。例示的実施形態において、日本の大阪府のシャープ株式会社の米国子会社であるSharp Electronics Corporation製のSharp GP2S60を含め、ただしこれに限定せず、どのような光センサでも使用できる。
様々な実施形態において、ばね式装置によるチュービング部分に対する力の回復の応用を通じた、可撓性チューブ部分の間接圧縮の原理に基づく、ポンプ輸送装置が使用され得る。図181に記載の通り、カム・ローブまたはカム要素702は、カム要素702の回転に応じてカム・フォロワ709を往復運動させるよう、シャフト705上に偏心配置され得る。この図に記載のプランジャばね710は、蠕動ポンプ700内に位置する可撓性チューブ部分707をプランジャ706に圧縮させるよう付勢される。したがって、この構成では、ばね710の作用によりプランジャが可撓性チューブ部分707を圧縮できるよう、予め選定された粘度範囲を有する液体がチューブ部分の内部に存在する場合にチューブ部分の壁を変形させるのに必要な範囲で、また可撓性チューブの末端に取り付けられたカテーテルまたはカニューレの端部に対する流体柱の所定の流れ抵抗について、ばね定数が選定され得る。このように、プランジャ706がチュービング部分707を圧縮するために動く際の距離と速度は、チュービング部分707に対して遠位のチュービングの状態に関する情報、例えばチューブまたは取り付けられたカテーテルが関係する完全閉塞または部分閉塞が生じているかどうか、あるいはカテーテルが血管または体腔から外れて血管外組織空間へ進入してしまっているかどうか、といった情報を提供し得る。ばねまたは付帯要素(プランジャなど)の運動は1つまたは複数のセンサによって監視され得、データはチューブ部分の圧縮に応じた運動の速度およびパターンを分析する制御装置(図3のプロセッサ37など)へ伝送される。この目的に適するセンサの例として、様々な形式のパターン認識ソフトウェアを採用する制御装置へデータを伝送する能力のある、LED式、レーザ式またはカメラ式の感知システムを含め、ホール効果センサ、ポテンショメータまたは光センサなどが挙げられる。
図175の蠕動ポンプ700の作用が、図182で示されている。図182aは、カム・フォロワ709と接触し、ばね710を圧縮し、そしてプランジャ706を動かしてチューブ部分707から離す、カム・ローブまたはカム要素704を示す図である。図182bは、カム・ローブ704がカム・シャフト705を中心に回転してカム・フォロワ709から離れ、ばね710を伸展させ、そしてプランジャ706がチューブ部分707の圧縮を開始できるようにした状態を示す図である。図182cでは、プランジャ706がチューブ部分707を完全に圧縮できるようばね710が十分に伸展するようにカム・フォロワ709を完全に解除するよう、カム・ローブ704が十分に回転しきっている。ポンプ707へ進入するチューブ部分707に作用する入口弁が閉じており、ポンプ700を離脱するチューブ部分707に作用する出口弁が開いていると想定すると、チューブ部分707内の液体の体積は、遠位的にチューブ部分707から押し出されることになる。図182に記載の側面図はプランジャの側面図であるが、入口弁と出口弁の動作も同様および/または同一となり得る。
図183は、チューブ部分707内の液柱の流れに対する抵抗が、ポンプ700について選定されたばねの所定の機能範囲を超えて増大するというシナリオを示す図である。カム・ローブ704が図183aでのばね圧縮位置から図183bのばね圧縮解除位置へと動くにつれ、ばねの力はチューブ部分707を素早く圧縮するには不十分となり、また図183cに記載の通り、チューブ部分707を部分的にしか圧縮することができない場合もある。プランジャ/ばね/カム・フォロワからなるアセンブリの部材の運動速度および端部位置は、例えばプランジャ706の付近にまたは隣接して取付可能な、この作業に適する1つまたは複数のセンサ(カメラ式センサなど)によって感知され得る。この情報は、従前に経験的に決定された保存データに照らして信号パターンを解釈するようプログラム可能な制御装置へ伝送され得る。図180に記載のものなど、圧縮されたチューブ部分の容積変化と時間を対比したパターンは、一部の事例において、プランジャ/ばね/カム・フォロワからなるアセンブリの部材の相対位置が追跡される場合に、運動と時間の対比について予想されるパターンを反映し得る。
図184は、本開示の一実施形態による図175の蠕動ポンプのピンチ弁715と716およびプランジャ718の断面図である。様々な実施形態において、ポンプ輸送装置内のチューブ部分は、プランジャによって圧縮される間、アンビル・プレートを背にして保持される。チューブ部分は、チューブ部分の壁が圧縮に応じて横方向に変位できるよう十分な空間を有する形状追従管路内に固定されることにより、所定の位置に保持され得る。ただし、これはチューブ部分が非圧縮状態でも多少の横方向の運動を考慮し得る。図185は、チューブ部分が圧縮される際の側面拡張に適応するよう弾性的に分散し得る可撓性の側方アームまたはフィンガによって、チューブ部分が所定の位置に保持され得る、代替的構成を示す図である。図185は、非圧縮状態と圧縮状態の両方でチューブ部分を掴んで比較的不動の状態に保つ可撓性の側方アームまたはフィンガを備えたプランジャを示す図である。非圧縮または「非狭窄」状態では、可撓性フィンガがチューブ部分の側面にぴったり適合し、ポンプ輸送装置内でのチューブの横方向運動を防止する。圧縮状態または「狭窄」状態では、チューブが圧縮される際、チューブ部分の壁の横方向変位に適応するよう可撓性フィンガが弾性的に分散し、ポンプ輸送装置内でのチューブ部分の総体的な位置を維持する。
図186は、本開示の一実施形態による蠕動ポンプ719のカム機構の一実施形態を示す図である。カム720はピンチ弁721を制御する。カム722はプランジャ723、724および725を制御する。カム726は別のピンチ弁727を制御する。掛止機構(磁気掛止など)は、図187に記載の通り、プランジャ723と725が動いてチューブ728を圧縮するのを防止し得る。
図188、図189、図189および図190Aは、本開示の一実施形態による蠕動ポンプ729を示す複数の図である。蠕動ポンプ729は、カム・フォロワ735、736、737および738にそれぞれ係合するカム731、732、733および734へ結合された、カム・シャフト730を含む。カム・フォロワ735は第1のピンチ弁739へ結合され、カム・フォロワ736と737はプランジャ740へ結合され、カム・フォロワ738は別のピンチ弁741へ結合される。図190B〜図190Cに記載の通り、プランジャ740は、管路を形成するフィンガ743に係合するペンチ744を含む
図191〜図195は、本開示の付加的な一実施形態による蠕動ポンプ745を示す複数の図である。図190〜図195の蠕動ポンプ745は、図188〜図190Cの蠕動ポンプ729と類似するが、例外として図190〜図195の蠕動ポンプ745は、カム・シャフト748の回転トルクを平滑化するため一体的に動作する、カム・フォロワ747へ結合されたトルク平衡化カム746を含む。
図196Aは、本開示の一実施形態による図188〜図190Cの蠕動ポンプおよび図191〜図195の蠕動ポンプの回転カム・シャフトのトルク・プロファイルを示す図である。トルク・プロファイル749は、図188〜図190Cの蠕動ポンプのトルクを示す。トルク750は、図191〜図195の蠕動ポンプのトルク平衡化カム746によって生み出されるトルクを示す。トルク・プロファイル751は、トルク平衡化カム746の平滑化動作によって生じる、カム・シャフト748に対する結果的な正味トルクを示す(図196Bも参照のこと)。
図197は、本開示の一実施形態による蠕動ポンプの複数のカムのカム・プロファイルを示す図である。カム・プロファイルは、上記の4段階ポンプ輸送作用を表す。実線は、カムの直線位置を表す。破線は、プランジャと弁の位置をプロットする。ポンプ・カムとプランジャの経時的位置が、1300でプロットされている。入口弁カムと入口弁の位置が、1302でプロットされている。出口弁カムと出口弁の位置が、1304でプロットされている。段階1において、出口弁は1306の時点で閉じる。入口弁は1308の時点で開く。プランジャは1310の時点で上昇してチューブから離れ、これにより流体がプランジャ下方のチューブへ進入できるようになる。段階2において、入口弁が1312の時点で閉じる一方、プランジャはチューブから上昇して離れたままである。段階3で、プランジャがチューブを圧縮できるようになる。プランジャの位置1314は、チューブ内に流体が存在するため、カム位置から離れる。制御装置は、段階3の間に測定されるプランジャの位置および運動に基づく、漏れ試験、ライン内の空気、閉塞を含め、ただしこれらに限定せず、多数の診断試験を実行し得る。段階4において、出口弁は1316の時点で開く。出口弁が開いた後、プランジャはチューブを圧縮して液体をポンプから排出できるようになる。プランジャの力は、プランジャに作用するばねまたはプランジャ・カム・フォロワに作用するばねによって供給される。カムは、段階4におけるプランジャの降下を制限する形状であってもよい。プランジャの実際の位置は、チューブから出る流体流によってさらに制限され得る。ポンプ上のプロセッサは、プランジャ位置測定結果を基にカム回転を制御することにより、プランジャ位置を能動的に制御し得る。モータに対するこの閉ループ制御は、低い流量を提供し得る(図198)。より流量の多い、別の実施形態においては、カムおよび/またはモータが開ループで制御される。
図198は、本開示の一実施形態による蠕動ポンプの様々なフィードバック・モードを示す図である。閉ループ・モードでは、AVS測定および/またはリニア・センサからのフィードバックがカム・シャフトの速度制御に使用される。開ループ・モードでは、目標流体流量に対応する形でルックアップ・テーブルを参照することにより、回転速度が選定される。
図199は、本開示の一実施形態による流体流の推定に使用するリニア・センサのデータを示すグラフを示す図である。デルタ値は、流体で満たされたチューブをプランジャが十分に圧縮している状態の蠕動ポンプ内で入口弁と出口弁両方が閉じられることによって生じる停滞期752と、出口弁が開き、すべての流体が蠕動ポンプから排出され、プランジャがばねからの力によってチューブを十分に圧縮した後に生じる停滞期753からの値である。
図200〜図206は、モータ1204がギア・トレーン1208を介してカム・シャフト1206を駆動し得る、蠕動ポンプ1200の代替的実施形態を示す図である。カムは、共通の軸を中心に回転するレバーを介して、1つまたは複数の弁1226、1228とプランジャ1222を作動させ得る。チューブ1202は、ドア1212によって所定の位置に保持される。蠕動ポンプ1200は、摺動オクルーダ1210用のレセプタクルと、蠕動ポンプ1200内のチューブ装着時に自由流れ状態がチューブに生じるのを防止する機構とを含み得る。
カム・シャフト1206は、複数のカム1232A〜Eを含み得る。カム1232A〜Eは、以下を含め、ただしこれらに限定せず、複数の品目の位置を制御し得る:入口ピンチ弁1224、プランジャ1222、出口ピンチ弁1226およびトルク・バランサ。カム1232A〜Eは、カム・フォロワ1216A〜E上のホイール1214A〜Eが接触し得る。カム・フォロワ1216A〜Eは、磁石1218A〜Eを含み得る。各磁石の位置は、センサのアレイ1220によって感知され得る。ポンプ制御装置は、磁石1218A〜Eによって生成されるセンサ信号から、ポンプ・プランジャ1222と弁1224、1226の位置を計算し得る。蠕動ポンプ1200は、ポンプを退出する流体内の気泡の存在を感知する超音波センサ1228を含み得る。超音波センサ1228は、ポンプ制御装置と通信し得る。
カム・フォロワ1214A〜EはL字形であってもよく、また1230の中心軸を中心として枢動し得る。カム・フォロワは、カム1232A〜Eを背にして、ばね1234A〜Eによって保持される。ばね1234Cは、トルク平衡化荷重を提供し得る。ばね1234Bと1234Dは、プランジャをアンビル・プレート1236の方向へ押す力を提供し得る。ばね1234Aと1234Eは、ピンチ弁1224、1226をアンビル・プレート1236に対して閉じる力を提供し得る。
図207は、チューブを摺動オクルーダと共に蠕動ポンプ1200内に装着する手順を示す図である。ステップ1で、ドア1212が開く。ステップ2で、チューブ1202と摺動オクルーダ1210が蠕動ポンプ1200内の所定の位置に配置される。ステップ3で、摺動オクルーダ1210が蠕動ポンプ1200へ摺動挿入され、スライド1242とレバー1240を移動させてドアから離し、ボタン1248を前方に移動させる。チューブ1202は、チューブ1202がスロットの狭い部分に収まり狭窄閉鎖されるよう、摺動オクルーダ1210同様に蠕動ポンプ1200の前部付近に保持される。ステップ4で、ドアが閉じる。ステップ5で、摺動オクルーダ1210は蠕動ポンプ1200の後部へ向かうボタン1248の動きによって押し出される。ボタン1248はレバー1240を動かし、レバー1240はスライド1242を前方へ引き出す。摺動オクルーダ1210の前方への動きにより、摺動オクルーダ1210によるチューブ1202の狭窄が解除される。
図210〜図212は、ユーザが正しい摺動オクルーダを使用せずにチューブを装着することを防止する機能を示す図である。タブ1250は、スロット1252に一致しない摺動オクルーダ1210の装着を防ぐ。シャッタ1254は、ドア1212の閉鎖を防ぐ。シャッタ1254は、図207のステップ3で摺動オクルーダ1210と入れ替わる。
図213〜図220は、チューブ1202の装填時および/または除去時に蠕動ポンプ1200が自由流れ状態を防止する状況を示す図である。ドア1212は蠕動ポンプ1200の前部から90度の位置へ容易に開く。小さい力を加えるとドア1212をさらに回転させることができ、この力によりプランジャ1222とピンチ弁1224、1226が開位置となる。ドア1212の動きはL字形カム・フォロワ1218A〜Eを前部に向かって引くことにより、プランジャ1222とピンチ弁1224、1226をチューブ1202から離す。
図221は、ポンプのピンチ弁1226の下流の流体内の一定のサイズの気泡を感知し得る、超音波空気センサ1228を示す図である。圧力センサ1260は、ポンプ下流の流体内の静圧を測定し得る。圧力センサ1260および空気センサ1228は、ポンプ制御装置と通信し得る。
図222〜図223は、本開示の一実施形態による蠕動ポンプ754を示す2通りの図である。蠕動ポンプ754は、ドア・レバー755およびドア756を含む。図224は、チューブ758を背にして開位置の摺動オクルーダ757を示す図である。摺動オクルーダ757は、摺動オクルーダ・キャリッジ760内に担持される。摺動オクルーダ・キャリッジ760は、図225のプランジャ昇降レバー759と機械的に連通するピン761に係合する。図225は、ドア・レバー755が開き(図244参照)、プランジャ昇降レバー759がプランジャ1310とピンチ弁を持ち上げていない状態を示す図である。図226は、ドア・レバー755が開く際、キャリッジ760がドアへ向かって前進し、チューブ758を通過する形で摺動オクルーダ757を動かすことにより、チューブ758が摺動オクルーダ757の狭い区間へ入り込むにつれ閉鎖される状況を示す図である。チューブ758が摺動オクルーダ757によって狭窄閉鎖されるのとほぼ同時に、図227に記載の通り、キャリッジ760が前方へ動いてピン761を回転させ、ピン761がプランジャ昇降レバー759を動かしてプランジャ1310とピンチ弁を上昇させ、チューブ758から離す。図228では、ドア・レバー755が全開となり、キャリッジ760の動きが止まる。図229に記載の通り、ドア・レバー755が全開の場合、プランジャ昇降レバー759が中心位置上方で安定した状態となることにより、プランジャ1310がチューブ758から離れた状態を維持する。
図230〜図233は、ドア756が最初に閉じられない状況において、摺動オクルーダ・キャリッジ760が動いてプランジャ1310と弁1312を閉じてしまうことを防止し得る、インターロックを示す図である。図230は、ドア756が開き、解除タブ1316が露出した状態を示す図である。インターロック・ピン1318は、摺動オクルーダ・キャリッジ760の動きを防止するインターロック位置にある状態で示されている。ばね1320がインターロック・ピン1318を摺動オクルーダ・キャリッジ760へ向かって押し、摺動オクルーダ・キャリッジ760が所定の位置にある場合にインターロック・ピンをマッチング穴に係合させる。
図231〜図233は、ドア756が開き、そして解除タブ1316を引き戻すことによってインターロック・ピン1318を解除する順序を示す図である。タブが引き戻される際、インターロック・ピン1318は摺動オクルーダ・キャリッジ760へ向かって押される。
図234は、ドア756が開き、摺動オクルーダ757が持ち上げられて摺動オクルーダ・キャリッジ760から出ている状態を示す図である。チューブ758は、摺動オクルーダ757の狭い区間内にあり、そこで狭窄閉鎖されている。図235は、チューブ758をポンプのアンビル・プレート1324とプランジャ1310と弁1312の間に挿入する状態を示す図である。図236は、摺動オクルーダ757とチューブ758がポンプ754へ完全に装着され、摺動オクルーダ757がチューブ758を狭窄閉鎖している状態を示す図である。図237は、ドア756とドア・レバー755が閉じられ、摺動オクルーダ・キャリッジ760をポンプ754の後部へ向かって摺動させた状態を示す図である。摺動オクルーダ・キャリッジ760が動き、チューブ758を通過する形で摺動オクルーダ757を押したことにより、チューブが開いてピン761が回転し、次いでピン761がプランジャ昇降レバー759を回転させ、レバー759がプランジャ1310と弁1312を解除して降下させ、チューブ758を閉じた。図238は、ドア756が閉じられた状態の前面図である。
図239〜図245は、本開示の一実施形態による図222〜図238の蠕動ポンプを示す複数の図である。モータ2001がギアを回転させ、次いでギアがカム・シャフト772を回転させる。カム・シャフト772が回転すると、カム2003、2004、2005、2006および2007がカム・シャフト772と共に回転する。カム2003は、ピンチ弁770を動かすため枢軸763に沿って枢動するカム・フォロワ769に係合する。カム2004および2006は、プランジャ767を動かすため枢軸763に沿って枢動するカム・フォロワ766および765に係合する。カム2007は、ピンチ弁764を動かすカム・フォロワ762に係合する。それに加えて、カム2005はカム・フォロワ768に係合する。カム2005は、カム・フォロワ768との係合が少なくとも部分的にトルクを平衡化するような形状である(例えばピーク・トルク低減のため)。一部の実施形態において、カム2005とカム・フォロワ768は任意である。入口弁770(ピンチ弁である)、プランジャ767および出口弁764(ピンチ弁である)は、上記のような3段階または4段階のポンプ輸送作用を使用して、チューブ771に係合し得る。気泡センサ2008は、上記のような気泡と弁764または770(例えばピンチ弁)の漏れとの区別に使用され得る。
カム・シャフト772の回転は、プランジャ位置センサによって測定される通り目標排出速度プロファイル(例えば排出速度の平滑化)を達成するために、流体がプランジャ767によって圧縮されている間、出口弁764がPID制御ループによって開かれるよう、モータ2001によって制御され得る。一部の実施形態において、ある範囲の角度のみ、出口弁(出口ピンチ弁など)を動かす。さらなる付加的実施形態において、上記の4段階ポンプ輸送作用において、プランジャ767の動きは、プランジャ767の位置センサによって測定される通り目標排出速度プロファイル(例えば排出速度の平滑化)を達成するために、出口弁764が開いた後で閉じられる。
図241で容易に分かる通り、カム2002、2003、2004、2005および2006はそれぞれカム・フォロワ769、766、768、765および762に係合している状態で示されている。図242は、チューブ771に係合するよう配置されたプランジャ767とピンチ弁764および770とを含む、蠕動ポンプの前面図である。
光学監視システムを有する標準的なチュービング・ポンプ1000が、図251と図252で示されている。光学監視システムは、プランジャ1004の一部または全部を含み得る視野を有するカメラ1010、ピンチ弁1002、チューブ1006の一部分、ピンチ弁上の基準マーク1014、プランジャ上の基準マーク1016、逆転防止装置上の基準マーク1018、カメラ1010と向かい合う表面を照らす光源(不記載)および導光装置1012を備える。光学監視システムはさらに、プランジャ1004の前部を含む視野を有するカメラ1010、追加のピンチ弁1002、チューブ1006の一部分、ピンチ弁上の基準マーク1014、プランジャ上の基準マーク1016、逆転防止装置上の基準マーク1018、カメラ1010と向かい合う表面を照らす光源(不記載)および導光装置1012をも備え得る。光学監視システムはさらに、カメラ1010と向かい合うチューブ1006の後面を照らすための1つまたは複数の光源1102、後部導光装置1104および透明プランジャ1006をも備え得る。カメラ1010と照明装置は、紫外線から赤外線に至るスペクトルの範囲で動作し得る。
光学システムはさらに、逆転防止装置1005と相対的なプランジャの位置、逆転防止装置1005と相対的なピンチ弁の位置、プランジャ1004とピンチ弁1002の速度と方向、チューブ1006の存在、チューブ1006内の液体または気体の存在、チューブ1006内の気泡の存在、チューブ1006内の変形の存在を含む、ただしこれらに限定されない、ポンプ、チュービングおよび流れの状態に関する一連の情報を提供するための画像の解釈を可能にし得る、プロセッサ、メモリおよびソフトウェアをも備え得る。プロセッサはさらに、流体流量、チューブ内の閉塞の存在、チュービングにおける漏れの存在を決定するため、プランジャと弁の位置に関する情報をも解釈し得る。
光学監視システムは、アンビル・プレート1005と相対的なプランジャ1004と弁1002の位置を認識および測定する。アンビル・プレート1005はポンプの静止部分であり、他ではカウンタ面または閉塞ベッドとも呼ばれ得る。ポンプ制御装置は光学監視システムに対し、カメラ1010と前部または後部の光源を使用して画像を取得するよう命令し得る。カメラ内または別の場所に位置するプロセッサは、アンビル・プレート1005に対して相対的なプランジャ1004と弁1002の距離と配向を識別するソフトウェアを使用して、画像を処理し得る。一実施形態において、マシン・ビジョン・ソフトウェアが、要素1002、1004および1005、ならびに視野内でのそれらの位置を、上記のような端部感知アルゴリズムを介して識別し得る。感知された端部は、視野内での端部位置に基づき、各要素1002、1004および1005へと割り当てられ得る。一例として、視野の上方3分の1内で感知された端部はアンビル・プレート1005として割り当てられ得る一方、左下の象限で感知された端部は、図251に記載の通りカメラ1010が左側にある場合、ピンチ弁1002として割り当てられ得る。
別の一実施形態において、マシン・ビジョン・ソフトウェアはピンチ弁1002、プランジャ1004およびアンビル・プレート1005、ならびに視野内でのそれらの位置を、各要素1002、1004および1005上に配置された基準マークを使用して識別し得る。各要素は、カメラ1010の視野内に位置する1つまたは複数の基準マークを含み得る。基準マークは、感知される視野内の領域に基づき、各要素1002、1004および1005へ割り当てられる。一例として図251の左側のカメラ1010を考察しながら、左下の領域内の基準マークはピンチ弁1002として割り当てられ得る一方、右下の領域内の基準マークはプランジャ1004として割り当てられ、上方の領域内の基準マークはアンビル・プレート1005として割り当てられ得る。単一の基準マークは、光学監視システムがアンビル・プレート1005と相対的なピンチ弁1002およびプランジャ1004の動きを測定することを可能にし得る。単一の要素上の複数の基準マークは、各要素の運動面内で回転した要素を光学監視システムが識別することを可能にし得る。プロセッサは、要素1002、1004および/または1005のうち1つまたは複数が許容量を超えて回転した場合、警告またはアラームを発し得る。著しい回転は、ピンチ弁1002またはプランジャ1004の機械的破壊、もしくはカメラがカメラ・ドア1020上の土台内で回転したことを示唆し得る。
マシン・ビジョン・ソフトウェアは、保存されたテンプレートを画像とマッチングさせることにより、基準要素を識別し得る。ビジョン・ソフトウェアは、OpenCVと呼ばれインターネットからのダウンロード向けに用意されている、Open Source Computer Visionなど、既製品であってもよい。ビジョン・ソフトウェアは、保存されたテンプレートから基準マークを識別するため、TemplateMatchingという機能またはモジュールを使用し得る。
マシン・ビジョン・ソフトウェアはその後、ピンチ弁1002、プランジャ1004およびアンビル・プレート1005についてカメラの視野内で観察された位置と保存された幾何学データから、要素1002、1004および1005の相対的な位置と配向を計算し得る。マシン・ビジョン・ソフトウェアによって決定された位置と配向は、その後、以下を含む、ただしこれらに限定されない特定の情報を識別するアルゴリズムへ渡され得る:ピンチ弁の開放、ピンチ弁の閉鎖、最大ストロークでのプランジャ、最小ストロークでのプランジャ。他のアルゴリズムが、マシン・ビジョンによって決定された位置と配向のデータを処理して、以下を含む、ただしこれらに限定されないパラメータを決定し得る:プランジャの速度、流体流量、チューブ内の閉塞、チューブ内の空気、外部漏洩。これらの状態およびパラメータは、上記の、プランジャ1004およびピンチ弁1002の位置を測定するホール効果センサからの判定と同様に決定される。
別の実施形態において、マシン・ビジョン・ソフトウェアは状態を識別し、上記のパラメータを決定し得る。別の実施形態において、ピンチ弁1002、プランジャ1004およびアンビル・プレート1005の相対的な位置と配向は、マシン・ビジョン・ソフトウェア以外のアルゴリズムによって計算され得る。
マシン・ビジョン・ソフトウェアまたはマシン・ビジョン・ソフトウェアの出力を処理するアルゴリズムは、以下を含む、ただしこれらに限定されない多数の状態を認識し得る:チュービングが存在していない状態、チュービングが正しく配置されていない状態、チュービングに流体が存在しない状態、チュービングが流体で満たされている状態、チュービングが変形した状態、液体内に気泡が存在している状態。
光学監視システムは、図252に記載の通り、カメラ1010に対して相当な角度で取り付けられた追加のカメラ1011からのデータを使用して、より少ない想定で、チューブの容積を計算し得る。バック・ライト1102、導光装置1104は、プランジャ1004の後部へ赤外線照明を供給し得る。プランジャ1004は、赤外放射に対して透明なナイロンまたは類似の材料製であってもよい。プランジャは、赤外線スペクトルにおいてプランジャ1004を通るチューブの明瞭な画像を提供するよう、カメラ1011の視野内では被覆されない。マシン・ビジョン・ソフトウェア・パッケージは、チューブ1006について、カメラ1010からのプロファイルとカメラ1011からのプロファイルを決定し得る。アルゴリズムは、カメラ1010から見たチューブの第1の厚さと、カメラ1011から見た第2の距離を計算し得る。その後、チューブの容積は、2つの距離と、チューブの既知の円周から計算され得る。2つの距離とチューブの円周の比較により、チューブ内の液体の体積を著しく変化させる、チューブ形状の座屈を識別し得る。
チューブ1006内の流体の体積は、ピンチ弁1002が閉じている場合、充填されたチューブによって取られる形状に依存し得る。ピンチ弁1002付近のチューブ1006の形状は、ポンプの較正後、チューブの材料、製造の変化、湿度や温度の変化を含め、ただしこれらに限定されず、多数の要因が原因で変化し得る。カメラ1010は、ピンチ弁1002付近のチューブ1006の形状を観察し得る。チューブは、前方または後方から、可視光または赤外光で照明され得る。好適な実施形態において、チューブは背後から赤外光で照明され得る。ここでいう背後からの照明とは、照明の光源をカメラ1010から見てチューブ1006の反対側に置くことを指す。
一実施形態において、マシン・ビジョン・ソフトウェアは端部感知を使用してチューブ形状を感知し得る。アルゴリズムは観察されたチューブ形状を、メモリに保存された形状と比較し得る。一実施形態において、アルゴリズムはチューブ形状の変化に対処するよう、ストロークごとの流体の体積を補正し得る。別の実施形態において、チューブ形状を評価するアルゴリズムは、より高水準のアルゴリズムへ警告またはアラームを発し得る。別の実施形態において、マシン・ビジョン・ソフトウェアは、許容されたチューブ形状のテンプレートと画像のマッチングを試みることにより、許容可能なチューブ形状を確認し得る。マシン・ビジョン・ソフトウェアまたは次に高水準のソフトウェア制御は、許容可能なチューブ形状が識別されない場合、警告またはアラームを発し得る。
カメラ1010、1011は、画像生成向けに処理され得る電気信号へ光を変換する、CCD(電荷結合素子)チップまたはCMOS(相補型金属酸化膜半導体)チップいずれかを含み得る。カメラの一例は、Irvine、California、USAのHimax Imaging, Inc.製のHM0357−ATC−00MA31である。カメラ1010、1011および光1012は、電力消費を削減するよう、測定を行う場合のみ電源を投入してもよい。
ピンチ弁1002、プランジャ1004、チューブ1006およびアンビル・プレート1005は、前方から照明され得る。前方照明とは、対象物におけるカメラ1010と同じ側にあり、対象物からの反射によってカメラ1010へ照明を供給する光源を指す。前方照明供給の一実施形態は、カメラ・ドア1020に取り付けられたLEDからの光を伝送する照明バー1012を備える。照明バー1012の一実施形態が図253で示されている。光は、カメラ・ドア1020に取り付けられたLEDまたは他の光源から、照明バー端部表面1032へ供給される。前部表面1030および後部表面(不記載)は、供給される光を反射する材料で被覆される。一実施形態において、前部表面と後部表面はアルミめっきテープで被覆される。穴1036は、カメラ1010向けの明瞭な視野を提供する。照明バーは、ピンチ弁1002、プランジャ1004、チューブ1006およびアンビル・プレート1005の前部を照らす分散光を提供するよう粗面化された、穴1036それぞれの周囲の表面を含み得る。穴1036の周囲の区域は凹状にされた後、より多くの分散光を提供するよう粗面化されてもよい。
カメラ1010と相対的なチューブ1006の反対側からのバックライティングまたは照明の提供が有利であり得る。バックライティングは、チューブ1006のチューブ形状および/または内部容積形状の、より明瞭な可視化を可能にし得る。一実施形態では、後部光源をポンプ1000の後部に配置する。後部光源1102は、紫外光、可視光または赤外光の範囲で照明を提供するLEDまたは他の光源であってもよい。導光装置1104は、光をプランジャ1004の後部へ誘導し得る。プランジャは、光源1102から放射される光のスペクトルに対して透明な材料製であってもよい。一実施形態において、プランジャはナイロン製で、光源1102はカメラ1010が感知し得る赤外線照明を提供する。一部の実施形態において、バック・ライトは複数の光源であってもよい。複数の光源は、露出されるピクセルの照明に必要な特定の光だけが提供されるよう制御および/または変調され得る。例えば、カメラは対象領域を有する場合があり、対象領域の照明に必要な光だけが、対象領域内のピクセルの露出時間中に提供される。一部の実施形態において、光は、光の行および/もしくは列、あるいは/または光の画素(例えばLED光のアレイなど)であってもよい。
後部光源1102のスペクトルおよびカメラ1010は、チューブ内の流体の視認性を最大化するよう選定され得る。一実施形態において、スペクトルはチューブを可視化する最大の光を提供する広範囲に及び得る。別の一実施形態において、後部光源1102の前部の一連のフィルタが、導光装置1104、プランジャ1004およびチューブ1006を通過する狭い範囲の赤外線スペクトルを放射するが、チューブ内の液体によって吸収される。光源1102は、導光装置1104を通過する狭い範囲の赤外線スペクトルも放射し得る。別の一実施形態において、望ましい帯域の赤外線のみ許容するフィルタが、カメラ1010の前部に配置される。
音響容積感知
以下の議論では、本開示で開示されるプロセッサにより、本開示で開示される蠕動ポンプなど蠕動ポンプの1つのスピーカと2つのマイクロフォン(例えば基準マイクロフォンと可変容積マイクロフォン)を使用して実行され得る音響容積感知について記述する。AVSは、本開示で開示されるリザーバ内の液体の推定、本開示で開示されるリザーバから排出される液体の量の推定、および/または本開示で開示されるリザーバの液体排出速度の推定に使用され得る。表1は以下の通り、様々な用語の定義を示す。
音響容積センサ(「AVS」)は、音響ハウジングなどAVS室内のリザーバの非液体側によって変位される流体容積またはリザーバ内の流体容積などを測定する。センサは流体容積を直接測定するのではなく、AVS室内の空気の可変容積、V2を測定する。AVS室の合計容積が一定のままの場合、V2の変化は流体容積の変化の正反対となる。AVS室は、音響ポートより先の可変容積マイクロフォンと流体連通する空気の容積である。
空気の容積V2は、音響共鳴を使用して測定される。時間依存性の圧力は、スピーカを使用して、基準室の固定容積、V1で確立される。この圧力摂動は、2つの容積を接続する音響ポート内に周期的な気流を生じさせ、これが転じて可変容積内の圧力摂動を引き起こす。システム力学はヘルムホルツ・オシレータの力学と類似する。2つの容積が一体的に「ばね」の役割を果たし、2つの容積を接続するポート内の空気は共鳴質量の役割を果たす。この共鳴の自然周波数は、ポート形状、音の速度および可変容積の関数である。ポート形状は固定されており、音の速度は温度測定によって判明し得る。したがって、これら2つのパラメータを所与として、可変容積は自然周波数から判明し得る。本開示の一部の実施形態において、温度センサが音響ハウジング内および/またはリザーバの非液体側内で使用される。一部の実施形態において、温度は所定の固定値と見なされ、例えば室温などと想定される。
システムの自然周波数は、スピーカによって創出される異なる周波数摂動に対する、2つの容積内の圧力の相対的応答の測定によって推定される。典型的なAVS測定は、初期測定結果の取得からなる。その後、液体が1つまたは複数のリザーバの液体側から放出され、患者へ送達される(その後、第2の容積測定結果が取得される)。これらの測定結果間の差が、患者へ送達される液体の体積となる。一部の実施形態において、1つまたは複数のリザーバの液体側を充填する前に、および/または液体を排出する前に、例えば注射器ポンプが事前充填される前に、任意の流体システムの故障を感知するための測定結果が取得される。
AVS測定は、以下の順序で発生し得る:(1)プロセッサがAVS電子機器の電源を投入し、プロセッサのADCを有効化し、AVSアルゴリズムを初期化する;(2)AVS測定は、多数の異なる周波数でのデータ収集からなる;(3)任意で温度を測定する;そして(4)収集されたデータを基に通常の推定手順を実行して、リザーバの液体側内の液体の体積を推定する。
各周波数でのデータを収集するため、スピーカは目標周波数にて正弦波的に駆動され、測定結果は整数の波長を対象に2つのマイクロフォン、例えば基準マイクロフォンと可変容積マイクロフォン(上記の通り)から取得される。データ収集が完了すると、本開示で開示されるプロセッサがデータに対して離散フーリエ変換アルゴリズムを実行して、マイクロフォンからの時系列データを単一の複素振幅へと変換する。データが有効かどうか、例えば応答が所定の位相内および/または音響周波数の振幅範囲内にあるかどうか判定するため、マイクロフォンからのデータに対して完全性チェックが実行される。
周波数測定結果は、多数の異なる周波数について取得される。この正弦波掃引はその後、可変容積を推定する通常の推定手順によって使用される。推定完了後、正弦波掃引全体について他の完全性チェックが、本開示で開示されるプロセッサによる二次チェックを含め、実行され得る。
一部の実施形態において、本開示で開示されるプロセッサが測定結果の完全性を検証した後、容積推定が最終決定され、センサの電源が切られる。
AVS共鳴モデル
AVSシステム向けの支配的方程式は、簡略化するいくつかの想定を前提に、第一原理から判明し得る。システムは、理想化された音響ポートによって接続される2つの線形化音響容積としてモデル化される。
音響容積のモデル化
理想的な断熱ガスの圧力と容積は、以下の通り、式(35)によって関連付けられ得る。
PVγ=K (35)
式中、Kはシステムの初期状態によって定義される定数である。式(35)は、平均圧力P、容積V、そしてこれらの圧力に加えての小さい時間依存性摂動p(t)、v(t)に関して、以下の式(36)の通り記述され得る。
(P+p(t))(V+v(t))γ=K (36)
式(36)を微分すると、以下の式(37)の通りとなる。
式(37)は以下の通り、式(38)へと簡略化される。
音響圧力レベルが周囲圧力より大幅に低い場合、式(38)はさらに、以下の通り、式(39)へと簡略化され得る。
断熱関係を使用して、式(40)は以下の通りとなり得る。
したがって、誤差想定は以下の式(41)の通りである。
非常に大音量の音響信号(例えば120dB)は、振幅が約20パスカルの圧力正弦波に相当する。大気条件での空気がパラメータr=1.4およびP=101325Paを有すると想定すると、結果的な誤差は0.03%である。dBからPaへの換算は、以下の通り、式(42)で示される。
式中、pref=20・μPaである。
理想的なガスの法則P=ρRTを適用し、圧力を代入すると、結果は以下の式(43)の通りとなる。
これは音の速度に関して、以下の式(44)の通り記述される。
また、式(44)を式(43)に代入すると、以下の通り、式(45)となる。
ある容積の音響インピーダンスは、以下の通り、式(46)で定義される。
音響ポートのモデル化
音響ポートは、ポート内の流体がすべて本質的に、軸方向で往復運動する硬質円柱として動くと想定してモデル化される。チャネル内の流体はすべて同じ速度で移動すると想定され、チャネルは断面が一定であると想定され、チャネルに進入し離脱する流体から生じる末端効果は無視される。
という形の層流摩擦を想定する場合、チャネル内の流体の質量に作用する摩擦力は
と記述され得る。次に、チャネル内の流体の力学についての二次微分方程式は、以下の式(47)の通り記述され得る。
または、容積流量に関しては、以下の式(48)の通りとなる。
次に、チャネルの音響インピーダンスは以下の式(49)の通り記述され得る。
システム伝達関数
上記で定義される容積およびポート力学を使用して、AVSシステムは以下の式(50)〜(53)によって記述され得る。
p0が
に代入される入力として扱われる場合、式(54)〜(56)で示される通り、1つの式が排除され得る。
音響ポートの各側における2つの容積間の関係は、クロス・ポート伝達関数と呼ばれる。この関係は、以下の通り、式(57)で示される。
式中、
この関係は、極が可変容積のみに依存し、基準容積には依存しないという利点がある。共鳴ピークは実際、基準容積圧力の応答における零の反転に起因するという点に留意されたい。これは、基準室内の圧力測定結果が、測定結果におけるノイズに影響し得る共鳴の付近で振幅が少なくなることを意味する。
共鳴Q係数およびピーク共鳴
共鳴の質は、蓄積エネルギーと電力損失の比率に共鳴周波数を乗じたものである。純粋な二次システムの場合、性質係数は式(58)で示される減衰比の関数として表され得る。
ピーク応答と低周波応答との比率も、式(59)で示される減衰比の関数として記述され得る。
これは減衰後の自然周波数で発生する。
電気的および機械的類似性
音響共鳴因子は、例えば抵抗器、インダクタおよびキャパシタを直列に結合したものなど、ばね質量ダンパ・システムまたはLRC回路いずれかと類似している、
複素応答の計算
AVSを実装するには、システムはスピーカによって設定される音波に対する2つのマイクロフォンの相対応答を取得しなければならない。これはスピーカを既知の周波数での正弦波出力で駆動することによって完遂される。そうすると、各マイクロフォンの複素応答は、その駆動周波数で判明する。最後に、2つのマイクロフォンの相対応答が判明し、そして本開示で開示されるプロセッサへ結合されたアナログ・ツー・デジタル変換器の交互サンプリング向けに補正される。
それに加えて、総信号分散が計算され、そして離散フーリエ変換(「DFT」)を使用して抽出された純音の分散と比較される。これは信号電力がノイズ源または歪みに由来する度合いの尺度となる。本開示の一部の実施形態において、この値は不良測定結果の拒絶および反復に使用され得る。
離散フーリエ変換の計算
各マイクロフォンからの信号は、固定された数の点Nが波長ごとに取得されるよう、スピーカへの出力と同期してサンプル抽出される。波長の各点で測定された信号は、整数倍の波長Mにわたり合計され、そして当該周波数についてすべてのデータが収集された後、本開示で開示されるプロセッサ内の割り込み処理ルーチン(「ISR」)によって、配列xに保存される。
離散フーリエ変換は、スピーカの被駆動周波数に対応する整数値でのデータに対して実行される。DFTの基本成分の一般的表現は、以下の式(61)の通りである。
積MNは点の合計数で、そして係数2が加算されることにより、式(62)で示される通り、解の実数部分と虚数部分が正弦波の振幅と一致する。
この式の実数部分は、式(63)で示される。
DFTの計算に必要な計算回数を減らすため、余弦関数の対称性を利用することができる。上記の式は以下の式(64)に等しい。
同様に、式の虚数部分は以下の式(65)で示される。
被駆動周波数での信号の分散は、以下の通り、式(67)で示される。
トーン分散は、被駆動周波数での音響出力に比例する。xの実数部分および虚数部分の最大可能値は211で、これはA/Dレンジの半分に相当する。トーン分散の最大値は221、すなわちADレンジの二乗の半分である。
総信号分散の計算
測定結果の完全性を示す良い尺度は、すべての周波数での総音響出力に対する、被駆動周波数での音響出力の比率である。総信号分散は、式(68)での表現によって付与される。
ただし、一部の特定の実施形態において、総和はA/D割り込み処理ルーチン(ISR)内で行われ、その場合、時間の制約がある、および/またはすべてのマイクロフォン・データが事後処理向けに保存されなければならない。一部の実施形態において、効率を高めるため、単一の平均波長を基に疑似分散が計算される。信号の疑似分散は、以下の通り、式(69)で示される関係を使用して計算される。
結果は、ADカウントの二乗の単位である。総和は12ビットADCの場合、およそ
となる。N<2
7=128かつM<2
6=64の場合、総和は2
43未満となり、64ビット整数で保存され得る。個々の連続的サンプルについて0〜2
12の値の範囲でADCが振動した場合、分散は最大可能値となる。これはピーク分散が
となる結果となり、したがって結果は符号付き32ビット整数でのQ9分解能の最大限で保存され得る。
マイクロフォンの相対応答の計算
次に、2つのマイクロフォンの相対応答Gが、式(70)〜(72)で示される通り、各マイクロフォンの複素応答から計算される。
いずれの式の分母も、前節で計算される基準トーン分散に関して以下の式(73)の通り表現され得る。
A/Dスキュー補正
スピーカ出力は、サンプルごとに固定の32回更新され得る。例えば、駆動周波数の変化に応じて、スピーカ出力周波数も、固定された32回のサイクルを維持するよう更新される。2つのマイクロフォンはスピーカ出力と同期してサンプル抽出され、したがってサンプリング周波数は駆動周波数の固定間隔で持続する。ただし、マイクロフォンのA/D測定結果は同時にサンプル抽出されるわけではなく、A/D ISRは2つのマイクロフォンの間で交代し、各マイクロフォンについて波長ごとにN個のサンプルの合計を取得する。結果は、2つのマイクロフォン間の位相オフセット、
となる。この位相オフセットを補正するため、前節で計算された相対周波数応答に対し、複合的回転が適用される。
角度
を乗じる。結果は、以下の通り、式(74)で示される。
時間遅延
一部の実施形態において、AVS計算式を導き出す際の想定の1つは、圧力が音響容積内で均一であるという想定である。この想定は、AVS室の寸法と比較して音響波長が大きい場合に当てはまる。任意の周波数での音波の波長は、以下の式(75)で計算され得る。
例えば、波長は1kHzで約246mm、5kHzでは約49.2mmである。AVS室は、容積を通って移動する音波に付随する時間遅延が、小さいが測定可能な効果を及ぼすような直径を有し得る。この効果は時間遅延(またはマイクロフォンの配向次第で時間前進)としてモデル化され得る。純粋な時間遅延のラプラス変換dは、以下の通り、式(76)で示される。
G=eds (76)
位相は時間遅延の影響を受けるが、システム応答の大きさには影響されない。時間遅延を補正するため、モデル適合アルゴリズムの適用により、周波数応答データが事前に補正され得る。複素振幅は、上記の時間遅延方程式に従った周波数の関数として回転され得る。時間遅延は固定と想定され得るため、回転は単に周波数の関数である。
時間遅延は、モデル適合エラーを最小化するよう、時間遅延を見つけ出す最適化ルーチンの実行によって決定され得る。それに加えて、または代替として、見掛け上の「時間前進」がデータに存在し得る。例えば、基準マイクロフォンは音響ポートより若干早く圧力摂動を受ける可能性があり、また可変マイクロフォンは音響ポートより若干遅れて圧力摂動を受ける可能性がある。これらの「前進」と「遅延」は圧力波の伝播の効果と考えられ、また例えばこれらの効果が説明となり得る、システムの「共鳴」力学に加わるものである。
増幅平準化
任意のスピーカ駆動信号の圧力測定結果の振幅は、装置によって、また被駆動周波数の関数としても変動し得る。装置間変動は、マイクロフォンとスピーカの感度の部分差に起因する(例えば約+/−3dB)。周波数ベースの依存性は、周波数に対するスピーカの感度の変動のほか、予想される音響共鳴の力学にも起因する。
補償するため、一部の実施形態において、スピーカ利得が自動的に、AVS測定の間に調整される。スピーカ利得は、例えば図2のメモリ22内など、正弦波掃引周波数それぞれについて1つが入力される配列に保存される。(可変マイクロフォンまたは基準マイクロフォンいずれかからの)マイクロフォン信号の増幅は、目標増幅に照らしてチェックされ得る。増幅が過度に大きい、または過度に小さい場合、当該周波数でのスピーカ利得を更新するための二分探索ルーチンが採用され得る。
個々の測定結果の完全性チェック
部材のエラー、故障または外部障害により、誤った測定結果が発生し得る。部材故障の例として、スピーカ出力の歪曲またはマイクロフォンの故障が挙げられる。外部障害の例として、ポンプ・ハウジングに対する機械的衝撃または極端に大きな外部ノイズが挙げられる。こうした類の故障は、2通りの異なる完全性チェック、すなわちマイクロフォン飽和および帯域外分散を使用して感知され得る。
マイクロフォン飽和チェックでは、マイクロフォンごとの波長平均信号の最大値と最小値を検査する。これらの値がA/Dの限度に近い場合、本開示で開示されるプロセッサ内で、測定結果の振幅が範囲外であったことを示すフラグが設定される。
帯域外分散チェックでは、トーン分散を、マイクロフォンごとの総信号分散と比較する。これらの信号の理想的な比率は1となる、すなわちすべての音響出力が被駆動周波数で発生する。衝撃または極端に大きい外部音響ノイズが発生した場合、より大きい電力が他の周波数で存在することになり、この値は1より低くなる。一部の実施形態において、正常動作時は比率が0.99より大きいと見なされ得る。
一部の実施形態において、個々のデータ・ポイントがこれらの完全性チェックのいずれかで不合格となる場合、当該チェックを反復してよい、もしくはAVSの頑健性推進に役立つよう、正弦波掃引全体を反復しなくても当該チェックを除外してよい。完全な正弦波掃引に基づき、他の完全性チェックを行うことができ、これらについては後述する。
掃引正弦波を使用しての容積推定−一般解
システムの共鳴周波数は、掃引正弦波システム識別を使用して推定され得る。この方法では、正弦波圧力変動に対するシステムの応答が、多数の異なる周波数で判明し得る。この周波数応答データは、その後、線形回帰を使用してのシステム伝達関数の推定に使用され得る。
システムの伝達関数は、sに関する有理関数として表現され得る。一般的な事例は、n番目の次数の分子とm番目の次数の分母での伝達関数について、以下のように表される。NとDはそれぞれ分子と分母の係数である。式は式(77)および(78)で示される通り、分母の首位係数が1となるよう正規化されている。
または
この式は以下の通り、式(79)の形に書き換えられ得る。
式(80)は、この総和を行列表記法で示す式である。
式中、kは掃引正弦波内で収集されたデータ・ポイントの数を表す。表記を簡略化するため、この式は式(81)で示されるベクトルyを使用して要約され得る。
y=Xc (81)
式中、y=k×1、x=k(m+n−1)、c=(m+n−1)×1である。次に、係数は最小二乗法を使用して判明し得る。誤差関数は、式(82)のように記述され得る。
e=y−Xc (82)
最小化される関数は、誤差関数の加重二乗である。Wは式(83)〜(84)で示される通り、k×kの対角行列である。
eTWe=(y−Xc)TW(y−Xc) (83)
eTWe=yTWy−(yTWXc)T−yTWXc+cTxTWXc (84)
中央の2つの項はスカラーであるため、式(85)〜(87)で示される通り、転置は無視してよい。
eTWe=yTWy−2yTWXc+cTxTWXc (85)
c=(XTWX)−1XTWy (87)
一部の実施形態において、これらの事例すべてにおける複素応答が利用される。この手法は結果として複素係数に至り得るが、プロセスは、すべての係数が実数であることを確保するよう修正され得る。最小二乗最小化は、誤差関数が式(88)へと変わる場合、実数の係数のみ付与するよう修正され得る。
eTWe=Re(y−Xc)TWRe(y−Xc)+Im(y−Xc)TWIm(y−Xc) (88)
次に、係数は式(89)で判明し得る。
c=(Re(X)TWRe(X)+Im(X)TWIm(X))−1(Re(X)TWRe(y)+Im(X)TWIm(y)) (89)
掃引正弦波解を使用しての容積推定−二次システム向けの解
分子が零次で分母が二次のシステムの場合、式(90)で示される伝達関数となる。
この伝達関数の係数は、以下の式(92)の通り、前節に記載の式に基づいて判明し得る。
c=(Re(X)TWRe(X)+Im(X)TWIm(X))−1(Re(X)TWRe(y)+Im(X)TWIm(y)) (92)
式(93)は以下の通りである。
アルゴリズムを簡略化するため、以下の式(94)〜(96)で示される通り、項の一部を結合することができる。
c=D−1b (94)
式中
D=Re(X)TWRe(X)+Im(X)TWIm(X) (95)および
b=Re(X)TWRe(y)+Im(X)TWIm(y) (96)。
複素応答ベクトルGと自然周波数s=jωに関して、Dを表す式を求めるには、以下の式(97)および(98)でそれぞれ示される通り、まずXを実数部分と虚数部分とに分割する。
次に、上記のDを表す式の実数部分と虚数部分はそれぞれ、以下の式(99)および(100)になる。
これらの項を結合すると、D行列の最終表現を求められる。この行列は、以下の式(101)で示される通り、実数値のみ含む。
Gとωに関してbベクトルを表す式を見出す場合も、同じ手法を採ることができる。yの実数部分と虚数部分は以下の式(102)〜(103)で示される。
これら2つを結合すると、以下の式(104)で示される通り、bベクトルを表す式を求められる。
次のステップは、D行列の反転である。この行列は対称形かつ正定値であり、したがって反転を見出すのに必要な計算回数は一般的な3×3の場合より少なくなる。一般的な行列反転の表現は、以下の式(105)の通りである。
Dが式(106)として表される場合、以下の通りとなる。
次に、随伴行列は以下の式(107)の通り記述され得る。
対称形であるため、上部の対角行列のみ計算すればよい。次に、行列式は、以下の式(108)で示される通り、元の配列における零要素を利用して、随伴行列の値に関して計算され得る。
det(D)=a12d12+a22d22 (108)
最後に、Dの反転は以下の式(109)で示される形で記述され得る。
一部の実施形態において、式(110)の値を解くことができる。
その結果、式(111)が使用される。
モデルに対するデータの適合度を定量的に評価するため、式(112)で示される通り、誤差を表す元来の表現が利用される。
eTWe=Re(y−Xc)TWRe(y−Xc)+Im(y−Xc)TWIm(y−Xc) (112)
これはD行列とbベクトルおよびcベクトルに関して、以下の式(113)の通り表現され得る。
eTWe=h−2cTb+cTDc (113)
式中、
h=Re(yT)WRe(y)+Im(yT)WIm(y) (114)、および
一部の実施形態において、異なる正弦波掃引からの誤差を比較するため、以下の式(116)の行列による加重の二乗により、適合誤差が正規化され、式中、hはスカラーを表す。
eTWeh−1=(h−2cTb+cTDc)h−1 (116)
掃引正弦波を使用しての容積推定−容積推定
モデル適合は、ポートの共鳴周波数を正弦波掃引データから抽出するために使用され得る。送達体積はこの値に関連付けられ得る。これらの2つの理想的関係は、以下の式(117)で示される関係で表現され得る。
音の速度は温度と共に変動することから、以下の式(118)で示される通り、温度効果を分離すると有用である。
次に、容積は、以下の式(119)の通り、測定された共鳴周波数および温度の関数として表現され得る。
式中、Cは以下の式(120)で示される較正定数である。
掃引正弦波を使用しての容積推定−容積推定完全性チェック
一部の実施形態において、第2の一連の完全性チェックが、モデル適合および容積推定のルーチンの出力を基に実行され得る(第1の一連のチェックはFFTレベルで行われる)。チェックは、冗長性を通じて、または以下のような複数の値の範囲チェックを通じて実行され得る:(1)モデル適合誤差、(2)推定減衰比、(3)推定伝達関数利得、(4)推定自然周波数、(5)推定可変容積、および(6)AVSセンサ温度。
それに加えて、一部の特定の実施形態において、AVS計算の複数の部分が、単独の温度センサと、RAM故障に備えて防護するための較正パラメータの独立的コピーとを使用して、本開示で開示されるプロセッサ上で冗長的に実行され得る。
掃引正弦波を使用しての容積推定−使い捨て部分感知
使い捨て部分、例えば着脱可能なカートリッジまたはリザーバなどは、一部の特定の実施形態において、磁気スイッチや機械式インターロックを使用して感知され得る。一方、1)使い捨て部分に取り付けられたポンプとチャージャを区別するため、また2)主要な感知方法のバックアップを提供するため、第2の感知方法が使用され得る。
使い捨て部分が存在しない場合、可変容積V2は事実上、非常に大きい。結果として、基準マイクロフォンから正常な信号が発せられるが、可変マイクロフォンからの信号は微小となる。正弦波掃引中の基準マイクロフォンの平均振幅が正常で(これはスピーカが作動している証拠である)、可変マイクロフォンの平均振幅が小さい場合、使い捨て部分が存在しないことを示すフラグが、本開示で開示されるプロセッサ内で設定される。
実装の詳細−V2と相対的なV1のサイジング
V1のサイジングは、音響容積と、伝達関数における極と零との相対位置の相殺を含み得る。V1およびV2両方についての伝達関数は、以下の式(121)〜(124)の通り、スピーカの容積置換と相対的である。
式中
V1が増加するにつれ利得が減少し、スピーカは、同じ音圧レベルを得るには、より高い振幅で駆動されなければならない。一方、V1の増加は、p1伝達関数における複合的な零を複合的な極へと動かすという便益がある。V1→∞となり、次いでα→1となる限定的事例において、極零点相殺と平坦な応答が発生する。したがって、V1が増加すると、p1伝達関数における共鳴とノッチ両方が減少し、p2の極はωnへ向かって移動する。その結果、p2/p1伝達関数を計算する場合の測定誤差に対する感度が低くなる。
実装の詳細−エイリアシング
高めの周波数は、エイリアシングによって対象周波数へ下げることができる。エイリアシングされた周波数は、以下の式(125)の通り表現され得る。
f=|fn−nfs| (125)
式中、fsはサンプリング周波数、fnはノイズ源の周波数、nは正の整数、fはエイリアシングされたノイズ源の周波数を表す。
復調ルーチンは、特定の復調周波数を除き、ノイズを除去し得る。サンプル周波数が動的に、復調周波数の固定倍数に設定される場合、復調周波数へとエイリアシングされ得るノイズの周波数は、基本周波数について固定された一連の倍音となる。
例えば、サンプリング周波数が復調周波数の8倍である場合、その周波数へとエイリアシングされ得るノイズの周波数は以下の通りである。
式中、
AVS測定誤差発生源−AVS室の動き
一部の実施形態において、AVS測定に関する想定の1つは、総AVS容積(V2に、他の部品によって吸入される容積を加えた容積)は一定であるという想定である。一方、AVSハウジングが収縮する場合、AVS室の総容積は若干変化し、示差容積測定に影響を及ぼし得る。一部の実施形態において、容積誤差の寄与は流体送達の1.0%未満に維持される。
AVS測定誤差発生源−外部ノイズ
一部の実施形態において、外部ノイズ発生源が除去され得る。
AVS測定誤差発生源−機械的衝撃
AVS測定中のポンプ・ハウジングに対する機械的衝撃は、マイクロフォン測定に影響を及ぼし、また周波数応答データ誤差の原因となり得る。しかし、この誤差は、本開示で開示されるプロセッサによって、復調ルーチンでの帯域外分散チェックを使用して感知され得る。そうした誤差が感知された場合、そのデータ・ポイントを反復(例えば別のサンプルを取得)することにより、AVS測定結果に対する影響を微小または皆無とすることができる。
AVS測定誤差発生源−AVS室内の空気
気泡がAVS測定に影響を及ぼす機序は、二次共鳴を通じた影響である。この二次共鳴はシステムを四次システムにし、また二次共鳴の周波数や大きさ次第では、推定が二次モデルを使用している場合、何らかの誤差の原因となり得る。
AVS測定誤差発生源−電気部品故障
概して、電気部品の故障は、信号がない状態または高調波歪みの原因となる。いずれの場合も、故障はAVS完全性チェックによって感知され、測定結果は無効となる。
特定されている例外は、DACおよびADCの制御に使用されるオシレータの故障である。このオシレータが許容範囲を外れたとすると、低レベルの完全性チェックでは感知されない測定誤差をもたらすことになる(極端な場合、上記の容積完全性チェックによって感知される)。この故障を防止するため、一部の実施形態において、オシレータは、AVS測定が開始される都度、専用クロックを基準にチェックされる。
L字形カム・フォロワ蠕動ポンプ
図255〜図302は、蠕動ポンプ2990の別の実施形態を示す図である。
図255は、ポンプ輸送機構3000、ディスプレイ2994、ボタン2996、シャーシ2992およびクランプ2998を備える、蠕動ポンプ2990を示す図である。シャーシ2992は、液体を機構内部からそらす、ポンプ輸送機構3000上方のエクステンション2992Aを含む。
図256A〜Bは、L字形カム・フォロワ3090、3100、3110(図274参照)を有する蠕動ポンプ輸送機構3000の分解図である。ハウジングは選択的に2つの部分3005、3010で構成され、カム・シャフト3080、メインPCB3002、カム・フォロワ・シャフト3120、ギア・ヘッド・アセンブリ3070、およびドア3020取付用ヒンジ・ポイント3010Aの取付ポイントを提供する。2つの部分3005、3010は、上半分3010と下半分3005であってもよい。センサ・ハウジング3015は、ハウジングの部分3005、3010へ取付可能で、センサ・マウント3060および回転センサ・ボード3130の取付ポイントを提供する(図257)。ライン内空気感知器3066(図257参照)および圧力センサ3068(図257)は、センサ・マウント3060へ取付可能である。
図257は、L字形カム・フォロワ3090、3100、3110(図274参照)を有するポンプ輸送機構3000の、ドア・アセンブリ3021が全開し、注入チューブ3210および摺動オクルーダ3200がドア3020に取り付けられた状態を示す図である。ドア・アセンブリ3021は、2つのヒンジ3010Aとヒンジ・ピン3012とを介して(図258)、ハウジング部分3010、3005へ取り付けられる(図256A)。開位置にある場合、ドア・アセンブリ3021は、ドア・アセンブリ3021上に注入チューブ3210を配置するのに役立ち得る便利な受容要素を提供し得る。受容要素は、注入チューブ3210が蠕動ポンプ2990のセンサおよび能動要素と適切に連動または整列するよう、注入チューブ3210を配置し得る。センサは、例えば圧力センサ3068(図257)および/またはライン内空気センサ3066(図257)を含み得る。能動要素は、例えばプランジャ3091、入口弁3101および出口弁3111を含み得る(図260)。プランジャ3091、入口弁3101および出口弁3111は、本書ではまとめて簡単に能動要素3091、3101、3111と呼ばれることもある。、入口弁3101および出口弁3111は、本書ではまとめて簡単に弁3101、3111と呼ばれることもある。能動要素3091、3101、3111はそれぞれ、L字形カム・フォロワ3090、3100、3110の一部に含まれてもよい。ドア3020内の受容要素は、以下のうち1つまたは複数を含み得る:ドア3020Kの溝(図259参照)、クリップ3062A(図257)、クリップ・インサート3024(図257)、圧盤3022(図257)。圧盤3022は、チューブ圧盤(すなわち、静脈注入チューブのようなチューブを受容するようになされた圧盤3022)であってもよい。いくつかの実施の形態では、圧盤3022は、注入チューブ圧盤(すなわち、注入チューブを受容するようになされた圧盤3022)であってもよい。圧盤3022は、窪みまたは深い溝を画定して注入チューブ3210を受容する。クリップ3062A(図257)および3024(図257)は、適切な、非変形性で、コンプライアンスが全くないまたは最小限の材料から製造されたものであってもよい。クリップ3062Aは、好適にはナイロンなどの樹脂から成形されるが、ABS樹脂、アルミニウム、鋼またはセラミックを含め、他の多数の材料も使用され得る。
ドア・アセンブリ3021(図257)は、摺動オクルーダ3200用の受容要素を含み得る。ドア・アセンブリ3021内の摺動オクルーダ3200受容要素は、摺動オクルーダ3200がポンプ本体3001の受容開口へ進入できるよう、摺動オクルーダ3200を所定の位置に保持し得る(図265)。摺動オクルーダ3200受容要素の一部は、注入セットの不適切な装填を防ぐ特徴を含み得る。いくつかの実施形態において、ドア分割キャリッジ3040は、ドア・アセンブリ3021がポンプ本体3001に対して閉じられる際に摺動オクルーダ3200を受容し、それを注入チューブ3210に対して直角に保持するための、スロットを含む。ドア分割キャリッジ3040は、カットアウト3200A(図261)がタブ3040C(図59に最もよく示される)と整列する形に限り摺動オクルーダ3200を挿入できるようにする、タブ3040C(図259)を含み得る。別の一実施形態において、ドア3020は、カットアウト3200A(図261)がタブ3020F(図262)と整列する形に限り摺動オクルーダ3200を挿入できるようにする、タブ3020F(図262、263)を含み得る。ドア3020(図259)は、摺動オクルーダ3200(図259)がタブ3200B(図259)と共に好ましくない配向で挿入されるのを防ぐ。タブ3020D(図259)と、ドア3020上に位置するタブ3020F(図262)および/またはドア分割キャリッジ3040(図259)上のタブ3040Cは、摺動オクルーダ3200(図261)が1つの配向に限り挿入されることを可能にすることにより、注入セットとポンプ輸送機構3000との間の適正な配向を強制し得る。圧盤3022(図257)は注入チューブ3210を受容し、また一般的な「U字」形を提供することにより、ポンプ輸送時にプランジャ3091が注入チューブ3210を変形させる際に注入チューブ3210を制約する。
図264は、レバー3025(すなわち、レバー・ハンドル305)およびドア分割キャリッジ3040と本体分割キャリッジ3045の2部分からなる分割キャリッジ3041(すなわち、キャリア3041)を含む、ドア・アセンブリ3021の分解図である。注入ライン3210受容要素3062、3022(図260)、3024(図257)はそれぞれ、ドア3020の凹部3020A、3020B、3020E(図264)に取り付けられ得る。ドア・アセンブリ3021は、リンク3035(図292)を介してレバー3025へ接続されるドア分割キャリッジ3040を含み得る。ドア・アセンブリ3021はまた、ドアばね3032(図264)をも含み得る。ドアばね3032は、ばね鋼など弾性材料でできた実質的に平らなシートでもよい。ドアばね3032は、レバー3025がポンプ本体3001上のボディ・ピン3011(図297)を掴み、掛止ピン3034をポンプ本体3001へ向かって引き込む際、掛止ピン3034によってドア3020に対して圧迫され得る。図297を参照すると、掛止ピン3034は、掛止フック3025Cがボディ・ピン3011に係合する際、ドア3020内のスロット3020Cに沿って動く。
図265では、ドア・アセンブリ3021が開き、レバー3025が格納されている。制御プロセッサと一部のセンサとを含むメインPCB3002は、上部ハウジング3010の上部に取り付けられた状態で示されている。モータ3072およびギアヘッド3070は、上部ハウジング3010の片方の端部に配置された状態で示されている。回転センサ・アセンブリ3130は、下部ハウジングの部分3005に取り付けられ得る。ポンプ本体3001は、ハウジングの部分3005、3010、ハウジング部分3005、3010の内部の回転機構および往復運動機構、モータ3072およびギアボックス3070、センサならびに上記が取り付けられる構造を備え得る。
図260は、L字形カム・フォロワ3090、3100、3110(図274参照)を有する蠕動ポンプ2990(図255)の一部の、ドア3020が開き、いくつかの要素が取り外されてカム・シャフト3080、プランジャ3091および弁3101、3111が見える状態を示す図である。モータ3072はギアボックス3070を介してカム・シャフト3080を駆動する。モータ3072は、ドライブ・シャフトを有し得る。このような実施形態において、ドライブ・シャフトの速さおよび/または位置は、制御され得る。いくつかの実施形態では、モータ3072は、メインPCB3002に取り付けられ得るモータ制御装置3430(図325B参照)によって制御されるブラシレスDCサーボ・モータ3072である。代替的実施形態において、モータ3072は、適切な制御装置を有するステッパ・モータ3072、ブラシDCモータ3072またはACモータ3072であってもよい。
モータ3072は、モータ/ギアボックス・ユニットが1つのユニットとしてカム・シャフト3080および上部ハウジング3010へ取り付けられるよう、ギアボックス3070へ固定結合され得る。ギアボックス3070のギア減速はトルクを増やす一方、カム・シャフト3080の1回転当たりのモータ3072の回転数も増やす(図260)。一実施形態において、ギアボックス3070の減速比は19:1である。ギア減速は、モータ3072内のホール・センサの数が比較的少ない状態でのカム・シャフト3080(図260)の位置に対して合理的な分解能を可能にする。いくつかの実施形態において、3つのホール・センサと8つの巻線が、1回転当たり24回の交差を生み出す。24回の交差を19:1のギア比と組み合わせると、カム・シャフト3080(図260)の配向に対して0.8度より良好な角度分解能を提供する。
カム・シャフト3080(図260)の配向は、カム・シャフト3080(図260)の端部に取り付けられた磁石3125(図260)の位置を感知する回転センサ3130(図257)で直接測定され得る。一実施形態において、センサ3130は、磁石3125(図260)の位置を感知する4つの一体型ホール要素、高分解能アナログ・ツー・デジタル変換器および高性能電源管理制御装置を採用する、シングル・チップ磁気ロータリ・エンコーダICである。角度位置、アラーム・ビットおよび磁界情報は、標準的な3ワイヤまたは4ワイヤのSPIインターフェースを介して、ホスト制御装置へ伝送され得る。ロータリ・エンコーダの一例は、オーストリアのAustriamicrosystems製のAS5055型で、これは1回転当たり4096のインクリメントを提供する。
弁3101、3110およびプランジャ3091の動きは、カム・シャフト3080の回転によって制御される。図266で最もよく示されるように、カム・シャフト3080の回転は、個々のカム3083、3084、3082を回転させ、これらのカムは、順にL字形フォロワ3090、3100、3110(図274)のローラ端部3092、3102、3112(図274)を下方へ偏向させる。
プランジャ3091は、カム3083がプランジャ3091をチューブ3210から離れて持ち上げるように(ドア3020が閉じているとき)、ばね付勢される。ばね3091はプランジャ3091をチューブ3210に向けて押し、カム3083はカム・フォロワに加圧期間を画定させる。加圧期間中のプランジャ3091の位置は、どれだけ多くの液体がチューブ3210内にあるかを推定する基準値として用いられ、よって、プロセスは、出口弁3111が開いているときに排出される液体量を推定することができる。このプロセスは、図197に示される。
図266は、カム・シャフト3080、出口弁カム3084、プランジャ・カム3083および入口弁カム3082を含むアクチュエータ機構3081を示す。出口弁カム3084、プランジャ・カム3083および入口弁カム3082は、本書ではまとめて簡単にカム3084、3082、3082と称されることもある。図271は出口弁カム3084のプロファイルを示し、図272はプランジャ・カム3083のプロファイルを示し、図273は入口弁カム3082のプロファイルを示す。
ここで図274を参照すると、L字形フォロワ3090、3100、3110は、カム・フォロワ・シャフト3120を中心に回転し、その結果、ローラ端部3092、3102、3112の下方運動によって能動要素3091、3101、3111を注入チューブ3210から引き離される(図276)。L字形フォロワ3090、3100、3110上のそれぞれの付勢部材3094、3104、3114は、各L字形フォロワ3090、3100、3110上のローラ3092、3102、3112を、各L字形フォロワ3090、3100、3110上のカム3083、3082、3084に対して上方に押してもよい(図260)。付勢部材3094、3104、3114はまた、能動端部3901、3101、3111を注入ライン3210へ押してもよい(図276)。付勢部材3094、3104、3114は、トーションばねであってもよい。
図276は、プランジャ用L字形フォロワ3090用の付勢部材3094がトーションばねであり、プランジャ用L字形フォロワ3090のローラ3092をカム3083に対して押しているところの断面図である。付勢部材3094はまた、プランジャ用L字形フォロワ3090のプランジャ3091を注入チューブ3210に向けて押している。
上述のように、出口弁カム3084、プランジャ・カム3083、および入口弁カム3082のプロファイルが図271〜図273に描画されている。これらのプロファイルは、図197で図示されているものと類似の弁動作順序を生み出す。カム3084、3083、3082は、接着、圧着、キー付きシャフトを含め、任意の標準的な方法でカム・シャフト3080へ接続され得る。いくつかの実施形態において、カム3084、3083、3082は、カム・シャフト3080へ単一部品として物理的に一体化され得る。いくつかの実施形態において、カム3084、3083、3082は、キー・スロット3082A、3083A、3084Aを有し、キー(不記載)付きのショルダー(不記載)を背にしてカム・シャフト3080へ押し当てられることにより、カム・シャフト3080表面に対する回転からカム3084、3083、3082を固定する。カム・シャフト3080の軸に沿った位置にカム3084、3083、3082を保持する円形クリップ3085もまた、含まれてもよい。カム・シャフト3080は上部および下部のハウジング3005、3010内に、軸受3086(図278)によって取り付けられてもよい。一実施形態において、軸受3086は密封ローラ軸受である。
図274は、プランジャ用L字形カム・フォロワ3090、弁用L字形カム・フォロワ3100、3110およびカム・フォロワ・シャフト3120の分解図である。プランジャ用L字形カム・フォロワ3090と出口弁用L字形カム・フォロワ3110はそれ自体、それぞれ図267〜268と図269〜270に示される。L字形カム・フォロワ3090、3100、3110はカム・フォロワ・シャフト3120に取り付けられ、カム・フォロワ・シャフト3120上で自由に回転してもよい。L字形カム・フォロワ3090、3100、3110のカム・フォロワ・シャフト3120上での回転は、軸受によって円滑化され得る。いくつかの実施形態において、軸受は、L字形カム・フォロワ3090、3100、3110のL字形構造3093、3103、3113へ頑丈なフランジ付きブッシング3095、3105、3115を圧入したものであってもよい。軸受は、ブロンズ、真鍮、樹脂、ナイロン、ポリアセタール、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、Rulon、PEEK、ウレタンおよびベスペルを含むが、これらには限られない、任意の低摩擦ブッシングであってもよい。ブッシング3095、3105、3115上のフランジは、隣接するL字形カム・フォロワ3090、3100、3110の間の、また弁用L字形カム・フォロワ3100、3110とハウジング部分3005、3010との間の、軸方向軸受表面の役割を果たし得る(図278)。ブッシング3095、3105、3115上のフランジ(図274)はまた、ドア・アセンブリ3021(図257)上の圧盤3022(図257)と相対的な、L字形カム・フォロワ3090、3100、3110(図274)の能動端部3091、3100、3111(図274)の、ドア・アセンブリ3021(図257)上の圧盤3022(図257)の空間を適切に保つ役割も果たし得る。
カム・フォロワ・シャフト3120(図274)は、カム・フォロワ・シャフト3120(図274)の中央区間3120B(図274)と相対的に偏心の端部区間3120A(図274)を含み得る。カム・シャフト3080(図260)および/または圧盤3022(図260)と相対的なカム・フォロワ・シャフト3120(図274)の位置は、偏心端部3120A(図274)を回すことによって微調整され得る。偏心端部3120A(図274)を回すことにより、ローラ3092、3102、3112(図274)と、カム・シャフト3080(図260)上のカム3084、3083、3082(図271〜図273)との間での素早い調節が可能となる。
カム・フォロワ・シャフト3120(図274)の端部区間3120Aは、スクリュ・ドライバ、六角キーまたはその他、カム・フォロワ・シャフト3120(図274)にトルクを加えることができる工具などを受容する特徴3120Cを含み得る。いくつかの実施形態において、この特徴3120Cは、平頭スクリュ用ドライバを受容するようにサイズを合わせた溝である。偏心端部3120Aは、ハウジング部分3005、3010それぞれに設けられたカットアウト3005D、3010D(図278参照)によって形成される穴に適合する。一実施形態において、カットアウト3005D、3010D(図278)によって形成される穴は、調節を可能にするようカム・フォロワ・シャフト3120(図274)を拘束しない。カム・フォロワ・シャフト3120(図274)の回転位置を確保するため、クランプ要素が追加され得る。いくつかの実施形態において、クランプ要素はねじ部3120A内のねじ穴にねじ込まれるセット・スクリュである。
L字形カム・フォロワ3090、3100、3110(図274)またはアクチュエータは、カム3084、3083、3082(図271〜図273)と接触する、実施例ではローラ3092、3102、3112である接触要素を、それぞれ備えてもよい。L字形カム・フォロワ3090、3100、3110は、カム3084、3083、3082の表面に向かって要素接触を押す付勢要素3094、3104、3114を備えてもよい。L字形カム・フォロワ3090、3100、3110は、カム・フォロワ・シャフト3120に取り付けられ、ボアを含むL字形構造3093、3103、3113を備えてもよい。L字形構造3093、3103、3113は、ローラ3092、3102、3112を能動要素3091、3101、3111へ接続してもよい。能動要素3091、3101、3111は、次に注入チューブ3210(図276)と接触してもよい。L字形カム・フォロワ3090、3100、3110(図274)は、それに加えて、それぞれの構造3093、3103、3113のボアに取り付けられたフランジ付きブッシング3095、3105、3115を含む(図274)。
いくつかの実施形態において、ここで図247を参照すると、ローラ3092、3102、3112は、構造3093、3103、3113に取り付けられたシャフト3096、3106、3116を中心に回転する。別の実施形態において、異なる種類の適切な接触要素が使用され得る。
いくつかの実施形態において、能動要素3091、3101、3111、または入口弁3101、プランジャ3091、出口弁3111は、L字形カム・フォロワ3090、3100、3110(図274)の一部として形成されてもよい。いくつかの実施形態において、能動要素3091、3101、3111は、L字形カム・フォロワ3090、3100、3110それぞれの構造3093、3103、3113(図274)へ着脱可能に取り付けられてもよい。一実施形態において、能動要素3091、3101、3111(図274)は、スクリュあるいは他の適切な締結具を使用して機械的に取り付けられ得てもよい。別の実施形態において能動要素3091、3101、3111(図274)は、構造3093、3103、3113(図274)内の穴を通過してナットで所定の位置に保持されるスタッドを含み得る、別の実施形態では、能動要素3091、3101、3111は、他の適切なあるいは自明な接続方法で、構造3093、3103、3113に固定接続されてもよい。
付勢要素3094、3104、3114(図274)は、L字形カム・フォロワ3090、3100、3110(図274)を、カム3084、3083、3082(図271〜図273)のカム表面に対して、また圧盤3022(図260)および注入チューブ3210(図276)に向かって押す。いくつかの実施形態において、付勢要素3094、3104、3114(図274)は、ボアを含む構造3093、3103、3113(図274)の区間の周囲を包む、コイル型トーションばねである。このような実施形態では、トーションばねの一部は、L字形カム・フォロワ3090、3100、3110の構造3093、3103、3113の一部(図274)を、ボアとローラ3092、3102および3112との間で圧迫する。トーションばねの他の部分は、蠕動ポンプ2990の固定構造と接触する。いくつかのこのような実施形態において、固定構造は、トーションばねの一部を捕捉するスロット3140Aを含み得るばねまたは付勢部材リテーナ3140(図275、図276)であってもよい。リテーナ・セット・スクリュ3142(図275)は、ねじ込まれることによって、上部ハウジング3010内でばねまたは付勢部材リテーナ3140を動かし、付勢要素3094、3104、3114に荷重を加えることができる。カム3084、3083、3082(図271〜図273)の回転位置の一部において、付勢要素3094、3104、3114に加えられた荷重は次に、能動端部3091、3101、3111によって注入チューブ3210へ加えられる。注入チューブ3210に対する各能動端部3091、3101、3111(図274)の圧縮荷重は、対応するリテーナ・セット・スクリュ3142を回すことによって調節され得る。
別の実施形態において、付勢要素3094、3104、3114(図274)は、L字形カム・フォロワ3090、3100、3110(図274)と、ポンプ本体3001の構造との間に位置するらせんばねであってもよい。らせんばねは、L字形カム・フォロワ3090、3100、3110(図274)の一端部をカム3082、3083、3084(図271〜図273)に向かって押すように配置される。らせんばねは、L字形カム・フォロワ3090、3100、3110(図274)の能動要素3091、3101、3111を圧盤3022(図260)に向かって押す場合もある。らせんばねとL字形カム・フォロワ3090、3100、3110の一構成例が図205、図206、図219、図220で示されている。
図276は、プランジャ・カム3083、プランジャ3091および圧盤3022の部分を含むポンプ輸送機構3000の断面図である。カム・シャフト3080は、3084Aでシャフトにキー留めされるプランジャ・カム3083を回転させる。カム3083は、プランジャ用L字形カム・フォロワ3090の一部であるカム接触要素またはカム・ローラ3092を動かす。プランジャ用L字形カム・フォロワ3090は、カム・フォロワ・シャフト3120を中心に回転する。プランジャ3091用L字形カム・フォロワ3090は、付勢要素3094によって、プランジャ・カム3083を背にして保持される。付勢要素3094の片方の端部3094Aは構造3093と接触する一方、付勢要素の自由端部3094Bはばねまたは付勢要素リテーナ3140と接触する。図276に示されるように、プランジャ3091は、注入チューブ3210を圧盤3022を背にして圧縮する。プランジャ3091は、プランジャ・カム3083がカム・ローラ3092を押し下げると、圧盤3022から後退する。
図277は、プランジャ3091のストロークの下死点でのプランジャ3091、圧盤3022および注入チューブ3210の断面図である。プランジャ3091のストロークの上死点では、注入チューブ3210は実質的に非圧縮状態で、最大体積を収容する通常は円形の断面を有する。ここでまた図276を参照すると、ポンプ輸送機構3000は、注入チューブ3210がプランジャ3091のストロークの上死点で実質的に完全充填し、プランジャ3091のストロークの下死点で注入チューブ3210内の容積を最小化することを可能にすることによって、ストロークごとのポンプ輸送を最大化する。ポンプ輸送される容積の量は、プランジャ3091の形状、プランジャ3091のストローク長および圧盤3022の形状に影響され得る。プランジャ3091および圧盤3022の設計は、プランジャ3091に対する荷重増加に対して増加した容積のバランスを取るよう選定され得る。いくつかの実施形態において、プランジャ3091と圧盤3022は、注入チューブ3210の肉厚の2倍よりもう少し大きめの隙間をプランジャ3091と圧盤3022との間に設けることにより、注入チューブ3210の壁の圧縮を回避するよう設計される。
いくつかの実施形態において、プランジャ・カム3083とプランジャ用L字形カム・フォロワ3090は、プランジャの先端3091B(例えば、丸い先端)と圧盤の底3022Dとの間に最小限のクリアランス3022Gを提供するよう設計される。一例において、クリアランス3022Gは注入チューブ3210の肉厚の2倍〜3倍で、注入チューブ3210の壁がプランジャの先端3091Bと圧盤の底3022Dとの間で接触しないようにする上で十分である。一例において、プランジャの先端3091Bと圧盤の底3022Dとの間のクリアランス3022Gは約0.048インチ(1.2mm)で、これは一例の注入チューブ3210の肉厚の2倍より9%大きい。別の例では、クリアランス3022Gは一例の注入チューブ3210の肉厚の2倍より2%大きい程度であってもよい。別の例では、クリアランス3022Gは一例の注入チューブの肉厚の2倍より50%大きくてもよい。
いくつかの実施形態において、圧盤3022とプランジャの先端3091Bの寸法は、注入チューブ3210の単一の肉厚の2倍〜3倍のクリアランス3022Gを提供するよう選定される。一例において、プランジャの先端3091Bと圧盤3022との間のクリアランス3022Gは、一例の注入チューブ3210の肉厚の2倍より8%〜35%大きい。クリアランス3022Gは、注入チューブ3210の側面が折り曲がっても折り目が狭窄閉鎖されないようにする。いくつかの実施形態において、プランジャの先端3091Bは半径0.05インチ(1.3mm)で、両側面3091C間の角度は35度である。両側面3091Cはプランジャの先端3091Bの半径と接線角で接触し得る。プランジャ先端3091Bの長さは、0.116インチ(2.95mm)であってもよい。圧盤の底3022Dは、平坦で各側に曲がった部分3022Cを有するものであってもよい。圧盤の底3022Dは、チューブ圧盤3022であるように壁を形成する。圧盤の底3022Dの長さと曲がった部分3022Cの半径は、プランジャの先端3901Bと圧盤3022との間のクリアランス3022Gを注入チューブ3210の肉厚の2倍超に維持するよう選定される。一例において、圧盤の底3022Dは長さ0.05インチ(1.3mm)、各曲がった部分3022Cの半径は0.06インチ(1.5mm)である。側方3022Bはプランジャ3091から離れるよう角度が付けられる。短い側方3022Eはほぼ垂直である。側方3022Fは、プランジャの壁3901Cより鉛直角が小さいことにより、ドア・アセンブリ3021が閉じる際にプランジャの先端3091Bが圧盤3022へ進入できるようになっている。
プランジャ3091と圧盤3022は、機械的停止を提供する2つの実質的平坦区間3091Aと3022Aとを含み得る(すなわち、3091Aと3022Aは接触区間であり得る)。平坦区間3091Aおよび3022Aは、本開示にて、止め具3901Aおよび3022Aとも呼ばれ得る。機械的止め具3901A、3022Aは、チューブ3210がプランジャ3091の各作動とほぼ同じ量だけ変形することを確実にする。別途記載の通り、容積は移動ストロークの開始からストロークの終了に至るまでのプランジャ3091のピストン位置の変化から決定される。プランジャ・カム3083のプロファイルは、液体を排出するときに平坦区間3091Aが3022Aで圧盤3022と接触する場合にローラ3092から離れて上昇させるよう設計され得る。
プランジャ3091と圧盤3022は、PVCまたは非DEHPの注入チューブ3210の材料上を容易に摺動する表面でまたは表面と共に形成され得る。いくつかの実施形態において、プランジャ3091と圧盤3022は、ナイロン製であってもよい。別の実施形態において、プランジャ3091と圧盤3022は、PTFEで被覆された金属(アルミニウムなど)製であってもよい。別の実施形態において、他の樹脂が使用され得る、もしくは他の被覆が金属製のプランジャ3091および/または圧盤3022に施され、PVC製または非DEHP製の注入チューブ3210との摩擦係数を低減してもよい。
カム・シャフト3080(図276)とカム・フォロワ・シャフト3120(図276)は、図278に記載の通り、上部および下部のハウジング3005、3010内のカットアウト3005C、3005D、3010Cに取り付けられる。弁3101、3111およびプランジャ3091の動きの正確性はもとより、ローラ要素3092、3102、3112およびカム3082〜3084の使用期間も、2つのシャフト3080、3120(図276)の平行位置合わせの向上と適正な間隔によって改善される。2つのシャフト3080、3120(図276)の平行位置合わせと間隔は、部分的に、カットアウト3005C、3005D、3010Cの平行位置合わせと間隔とによって制御される。いくつかの実施形態において、ハウジングの2つの部品3005、3010は、カットアウト3005C、3005D、3010Cなしで最初は形成される。その後、図279〜図280への経過で示されるように、ハウジング3005、3010の2つの部品は機械的に接合される。その後、穴3006、3007が、同じ設定の同じ機械によって同時に穿孔されてもよい。そのよおうな工程で2つの穴3006、3007が作られた後のハウジング3005、3010の2つの部品を図281に示す。いくつかの実施形態において、ハウジングの2つの部品3005、3010は、組立時に相互に固定された位置合わせでこれらを保持する特徴を含む。一例において、ハウジング3005、3010の位置合わせ特徴は、ハウジング部品3005、3010の片方に圧入されたピンと、それに適合するもう片方の部品の穴である。別の例において、片方の部品の特徴が分割線3008と交差して伸び、もう片方の部品の特徴に係合する。正確な穿孔操作は、ライン・ボーリングと呼ばれることもある。ライン・ボーリングは、カットアウト3005C、3005D、3010Cの平行位置合わせを改善し得る。接合されたハウジング部品3005、3010のカットアウト3005C、3005D、3010Cのライン・ボーリングは、より正確に円形の穴3006、3007と、互いの平行度がより高い穴3006、3007を一体的に形成するカットアウト3005C、3005D、3010Cを、低費用で創出する。
ポンプ輸送容積の測定は、プランジャ3091の位置の測定結果に基づく。図282に記載のような一実施形態において、プランジャ3091の位置は、プランジャ用L字形カム・フォロワ3090に接触することなく遠隔測定される。いくつかの実施形態において、プランジャ3091の位置は、リニア・ホール効果エンコーダIC6001(および/または6002)と、単純な2極磁石3196(または3197)とを使用して測定される。リニア・エンコーダ6001(図282)はメインPCB3002上に位置し(図282で透視されるように)、そしてプランジャ用L字形カム・フォロワ3090上に位置する磁石3196の位置を制御装置へ報告する。リニア・エンコーダIC6001は有利に、可動部品から機械的に接続解除されるため、センサの使用に伴う摩耗、劣化または破損が発生しない。いくつかの実施形態において、リニア・エンコーダIC6001は、オーストリアのAustriamicrosystems製の部品AS5410であったもよい。AS5410は、曲線運動、非線形スケールおよび傾斜チップ/磁石形状を含め、広範な幾何学情報をリニア出力信号へと変換可能にする。リニア・エンコーダIC6001の柔軟性により、プランジャ磁石3196と相対的なメインPCB3002の配置における許容範囲を拡大することができる。代替として、プランジャ3091の位置は、プランジャ用L字形カム・フォロワ3090上に位置する端部または基準点を使用するビジョン・システムで測定され得る。代替として、プランジャ3091の位置は、リニア・ポテンショメータ、回転ポテンショメータ、ロータリ・エンコーダ、リニア・エンコーダまたはLVDTの1つまたは複数を含め、当業者に既知の様々な他のセンサのいずれかを使用して測定され得る。これらのセンサのうち1つをプランジャ用L字形カム・フォロワ3090へ機械的に接続する方法は、当業者にとって明らかな方法であってよい。加えて、あるいは代替として、リニア・エンコーダ6002を、磁石3197を用いてプランジャ3091の位置の測定に用いてもよい。2つのリニア・エンコーダ6001、6002からの結果は、それらの結果を平均することで用いてもよく、および/または、いくつかの特定の実施形態においては1つは他のバックアップであってもよい。例えば、2つのリニア・エンコーダ6001、6002の冗長性は、2つのリニア・エンコーダ6001、6002の1つが故障し、あるいは別に障害を生じているときに、呼称運転モードでの運転を可能にする。この冗長性は、2つのリニア・エンコーダ6001、6002の1つからの結果を2つのリニア・エンコーダ6001、6002の他の1つとクロスチェックするのにも用いることができ、2つのリニア・エンコーダ6001、6002の両方が的性に機能していることを確認できる。2つのリニア・エンコーダ6001、6002の作動しない一つのエンコーダを識別すると、RTP300(図324参照)はその作動しないエンコーダを無視する。2つのリニア・エンコーダ6001、6002をモータ・ホール・センサ5043および/または回転位置センサ5042と比較し、作動しない1つを決めてもよい(図346参照)。
摺動オクルーダ3200は、図261に記載されている。摺動オクルーダ3200は、注入ライン3210が開口3200Dの狭い部分にある場合に、注入チューブ3210を狭窄閉鎖し、流れを阻止する役割を果たす。注入チューブ3210が摺動オクルーダ3200の前部の開口3200Cの幅広端部に位置する場合、流れは注入ライン3210を通ることができる。摺動オクルーダ3200上での開位置は、注入チューブ3210が開口3200Cの幅広端部に位置する状態を指す。摺動オクルーダ3200上での閉位置は、注入チューブ3210が開口3200Dの狭い部分に位置する状態を指す。摺動オクルーダ3200は、少なくとも1つの開口3200Aを、摺動オクルーダ3200の周囲に沿って走る構築壁3200E中の摺動オクルーダ3200の前端部に含む。タブ3200Bは摺動オクルーダ3200の後端部に位置する。
摺動オクルーダ3200を解除するためのドア3020の閉鎖および摺動キャリッジ3041の挿入のプロセスは、図283〜図293を参照して記述される。図283は、摺動オクルーダ3200がドア分割キャリッジ3040へ完全に挿入され、注入チューブ3210がクリップ3062A、3024(図257)へ挟み込まれた状態を示す図である。ドア・アセンブリ3021は、ヒンジ3010Aを中心とする回転によって閉じられてもよい。ポンプ本体3001の本体分割キャリッジ3045の初期位置は、図284に記載されている。本体分割キャリッジ3045内のスロット3045Eは、ドア・アセンブリ3021がポンプ本体3001に対して閉じるとき、摺動オクルーダ3200を受容する。本体分割キャリッジ3045内の開口3045Bは摺動オクルーダ3200のタブ3200Bに適応することにより、摺動オクルーダ3200の後端部が本体分割キャリッジ3045へ進入し、ドア・アセンブリ3021が閉じることが可能となる。本体分割キャリッジ3045および/または上部ハウジング3010は、摺動オクルーダ3200が誤った方向を向いている場合に、ドア・アセンブリ3021の閉鎖を防止し得る。本体分割キャリッジ3045の側面の、開口3045Bと反対側は、摺動オクルーダ3200上のタブ3200Bに適応可能な開口またはスロットを提供しない。いくつかの実施形態において、上部ハウジング3010は、タブ3200Bを阻止するレール3010E(図287)を含む。
図285は、2つの部品からなる分割キャリッジ・アセンブリ3041の開位置の例を示す図である。開位置は、ドア・アセンブリ3021が開くときに到達され得る。図286は、2つの部品からなる分割キャリッジ・アセンブリ3041の閉位置の状態を示す図である。閉位置は、ドア・アセンブリ3021がポンプ本体3001に対して閉じるときに到達され得る。ヒンジ3040Bの軸は、ドア・アセンブリ3021が開いている場合、上部ハウジング3010のヒンジ3010Aの軸とおおよそ一直線である。ヒンジ・ピン30410は、ヒンジ3040Bの軸に沿って延在し、ヒンジ連結された本体分割キャリッジ3045とドア分割キャリッジ3040に一緒に含まれてもよい。2つの部品からなる分割キャリッジ・アセンブリ3041(キャリア)は、第1部分3045(すなわち、本体分割キャリッジ3045)と第2部分3040(ドア分割キャリッジ3040)を含む。ドア分割キャリッジ3040は、ドア3020上の少なくとも1つのタブ3020Dと上部ハウジング3010内のレール3010E(図287)とにドア分割キャリッジ3040が適応できるようにする、少なくとも1つのスロット3040Dを含む。図262〜図263に記載の代替的実施形態において、スロット3040Dはタブ3020D、3020Fに適応し得る、またはこれらのタブ上で誘導され得る(図285で容易に見てとれるように)。本体分割キャリッジ3045は、上部ハウジング3010上のレール3010E(図287)および/またはセンサ・ハウジング3015上のレール3015E(図256A)に適応するよう、少なくとも1つのスロット3045Dを含む。スロット3040Dと3045Dは、ドア3020が本体3001に対して閉じるとき、分割キャリッジ3041がポンプ本体3001とドア3020の内部へ摺動できるようにする。
図287は、ポンプ本体3001の一部のドア3020を部分的に閉じ、一部の要素を取り外して、閉じられた分割キャリッジ3041内の摺動オクルーダ3200が分かる状態を示す図である。ドア・アセンブリ3021は閉じており、レバー3025はまだボディ・ピン3011との係合を開始していない。部品3045と3040とを備える分割キャリッジ3041の位置は、レバー3025の位置によって制御される。分割キャリッジ3041は、レバー3025が閉じるまたはポンプ本体3001に向かって回転する際、リブ3025Fによってポンプ本体3001へ押し込まれる。分割キャリッジ3041は、レバー3025が開くまたは回転してポンプ本体3001から離れる際、レバー・リンク3035によって、ポンプ本体3001から部分的に引き出される(図290〜293に最もよく示される)。ドア分割キャリッジ3040は、キャリッジ・ピン3040Aの上方で適合するレバー・リンク3035C(図264)の閉鎖端部を介してレバー3025へ接続され、開放端部3035B(図264)は、レバー3025上のスロット付きリブ3025A(図264)へ摺動して入り込むピン3026を保持する。分割キャリッジ3041の移動は、摺動オクルーダ3200の長さによって制限される。分割キャリッジ3041のトラベルは、摺動オクルーダの開口3200C、3200Dを収容するために制限される(図261で最も良く見える)。このような実施形態では、摺動オクルーダ3041の制限されたトラベルは、レバー3025が本体ピン3011と係合し、注入チューブ3210を入口および/または出口弁3101、3111に押し付けるように、レバー3025が回転している間に最適な量の機械効率を生み出さないかもしれない。一つの解決は、レバー3025が、分割キャリッジ3014を動かさずにその全動作の一部分の間に回転するようにすることである。一実施の形態では、レバー3025は、ドア・アセンブリ3021に回転可能に取り付けられてもよい。ドア・アセンブリ3021を閉じると、ドア・アセンブリ3021は分割キャリッジ3041に接触し、分割キャリッジ3041をポンプ本体3001に含まれる窪み内に押し込む。ドア・アセンブリ3021は、部材により分割キャリッジ3041に接続されてもよい。その部材は、レバー3025が開いているときに窪みから分割キャリッジ3041を引き出すように構成されてもよい。レバー3025を開くと、接続する部材の少なくとも一部は、接続する部材が窪みから分割キャリッジ3041を引き出す前に、所定の量または距離を動くようになされてもよい。この実施形態では、接続する部材は、以下の段落で詳細に説明されるいくつかの形を有してもよい。図287では、接続する部材は、ドア分割キャリッジ3040の柱上に取り付けられるリンク3035であり、スロット3025Aを介してレバー3025に接続される。図288では、接続する部材は、ドア分割キャリッジ3040の柱3040Aに接続される2つのヒンジ付きリンク3036、3037であり、3025Gでレバー3025に回転可能にピン留めされる。代替として、2つのヒンジ付きリンク3036、3037柔軟なコード、または、ドア分割キャリッジまたはレバー3025に付着する延びる部材で取って変わられる得る。
レバー3025、分割キャリッジ3041およびドア・アセンブリ3021は、ドア3020の開閉プロセス中は常時、注入チューブ3210の閉塞を維持するよう設計される。注入チューブ3210は、ドア3020の閉鎖動作中に摺動オクルーダ3200が分割キャリッジ3041によって動かされる前に、ドア3020を本体3001に対して押すことによって閉塞される。開放プロセスにおいて、ドア3020が本体3001との係合を解除され、上記のように注入チューブ3210を維持する前にまず、摺動オクルーダ3200が動かされて注入チューブ3210を閉塞する。
ここで特に図287を参照すると、スロット付きリブ3025Aとレバー・リンク3035は、レバー3025を閉じる場合に分割キャリッジ3041を動かさなくても、レバー3025が数度回転して掛止フック3025Cでボディ・ピン3011に係合し始めることを可能にする。開放後、スロット付きリブ3025Aとレバー・リンク3035は、ボディ・ピン3011の係合を解除して弁3101、3111からの注入チューブ3210を解除する前に、レバー3025が分割キャリッジ3041を格納して注入チューブ3210を閉塞することを可能にする。レバー・リンク3035はレバー3025をドア分割キャリッジ3041へ機械的に接続し、その結果、レバー3025はレバー・リンク3035へ張力を加える役割しか果たさなくてもよい。レバー・リンク3035に対する力を張力に限定すると、レバー・リンク3035が耐座屈性であることを確保する必要がなくなり、レバー・リンク3035を小型軽量化することができる。
レバー3025はドア3020および本体3001の方向へ回転することにより、圧盤3022と弁3101、3111およびプランジャ3091との間の注入チューブ3210を圧縮し、ドア3020を掛け止めして閉じ、摺動オクルーダ3200を開位置まで動かす。レバー・リンク3035とスロット付きリブ3025A、ならびに掛止フック3025Cの形状は、レバー3025が閉じる際に摺動オクルーダ3200が開位置まで動かされる前に、注入チューブ3210が弁3101、3111の少なくとも1つで閉塞されることを保証する。レバー・リンク3035とスロット付きリブ3025A、ならびに掛止フック3025Cの形状はまた、レバー3025が開く際に弁3101、3111によって注入チューブ3210の閉塞が解除される前に、摺動オクルーダ3200が閉塞位置まで動かされることも保証する。第2の要素の解除前に注入チューブ3210を通る流れを1つの要素で閉塞するというこの順序は、蠕動ポンプ2990内の注入チューブ3210の装填時に注入チューブ3210が決して自由流れ状態にならないことを保証する。
代替として、ドア分割キャリッジ3040は、図288に記載の通り、2つのリンク3036、3037によってドア分割キャリッジ3040へ接続されたレバー3025によって、ポンプ本体3001から引き出され得る。第1のリンク3036は、分割キャリッジ・ピン3040Aの上方で適合し、ヒンジ3036Aで第2のリンク3037へ接続する。第2のリンクは第1のリンク3036を、枢着部3025Gでレバー3025へ接続する。2つのリンク3036、3037はそれぞれ、リンク3036、3037の相対的回転を制限する平坦部3036B、3037Bを有し、その結果、決して中心点で交差せず、また常に、互いに向き合って同じ方向で折れ曲がる。図示された実施形態において、リンク3036、3037は、レバー3025が閉じる際、相互の枢着部3036Aがレバー枢軸3025Bから遠ざかる形でしか折れ曲がることができない。2つのリンク3036、3037は、分割キャリッジ3041を動かさなくても、レバー3025が数度回転して掛止フック3025Cでボディ・ピン3011に係合し始め、弁3101、3111のうち少なくとも1つに対して注入チューブ3210を閉塞することを可能にする。2つのリンク3036、3037が折れ曲がって閉じると、リブ3025Fがドア分割キャリッジ3040と接触する。リブ3025Fは、レバー3025がドア・アセンブリ3021の方向への回転を完了すると、分割キャリッジ3041をポンプ本体3001へ押し込む。
レバー3025が開くと、またはレバー3025を回転させてドア・アセンブリ3021から遠ざけると、2つのリンク3036、3037は展開し、そしてレバー3025の回転の初期量の後に分割キャリッジ3041を格納し始めるだけである。レバー3025の回転の第2の部分の間、分割キャリッジ3041はポンプ本体3001から戻って摺動オクルーダ3200を動かし、摺動オクルーダ3200は、ボディ・ピン3011の係合解除および弁3101、3111からの注入チューブ3210の解放の前に、注入チューブ3210を閉塞する。注入チューブ3210は、弁3101、3111によって閉塞を解除されるが、レバー3025の回転の第3の部分の間、摺動オクルーダ3200により閉塞される。
代替として、2つのリンク3036、3037は、分割キャリッジ3041をポンプ本体3001から引き出す可撓性のケーブルまたはワイヤに置き換えられ得る。可撓性ケーブルは、ドア分割キャリッジ3040へ、そしてレバー3025上の固定された箇所へ取り付けられ得る。分割キャリッジ3041は、レバー3025がポンプ本体3001の方向へ回転する際、リブ3025Fによってポンプ本体3001へ押し込まれる。
図274では、ドア3020は閉じ、レバー3025は掛け止めが掛かった状態である。分割キャリッジ3041は、ドア3020を通って本体3001へと摺動した状態である。分割キャリッジ3041が動くと摺動オクルーダ3200をポンプ本体3001へと動かす一方、注入チューブ3210は所定の位置に保持されたままである。注入チューブ3210と相対的な摺動オクルーダ3200の動きは、注入チューブ3210を摺動オクルーダ3200の幅広端部3200Cへと動かし、流れは注入チューブ3210を通過できるようになる。
図290〜図293は、ドア3020を閉じる4つのステップを示す図である。図290では、ドア・アセンブリ3021が開き、注入チューブ3210および摺動オクルーダ3200が装着されている。図291では、ドア・アセンブリ3021が閉じ、レバー3025が開いて分割キャリッジ3041が完全に格納される結果、注入チューブ3210が摺動オクルーダ3200によって閉塞される。図292では、レバー3025が本体3001に向かって部分的に回転するが、この段階では分割キャリッジ3041はまだ動いておらず、摺動オクルーダ3200が注入チューブを閉塞しているが、掛止フック3025Cがボディ・ピン3011に係合し、また、ドア・アセンブリ3021と、弁3101、3111のうち少なくとも1つとの間で注入チューブ3210を閉塞したところである。図293では、レバー3025がポンプ本体3001に向かって完全に回転し、すなわち閉じた状態である。図293では、摺動キャリッジ3041が完全にポンプ本体3001へ挿入される結果、注入チューブ3210は摺動オクルーダ3200によって、もはや閉塞されておらず、ドア3021は、ポンプ本体3001に対して完全に事前荷重された状態である。弁3101、3111のうち少なくとも1つは、図292に示されるように、未だに注入チューブ3210を閉塞している。いくつかの実施形態では、ドア・アセンブリ3021をポンプ本体3001に掛け止めするレバー・ハンドル3025の作動は、注入チューブ3210を閉塞するように入口弁3103または出口弁3111(図274参照)を作動する(例えば、ドア・アセンブリ3021をポンプ本体の近くに引き寄せ、および/または、RTP3500(図324参照)がモータ3072(図324参照)を制御してカム・シャフト3080(図266参照)を回転させ、結果として入口弁3103および出口弁3111の1つまたは両方が注入チューブ3210を閉塞することによって)。
図294〜図298は、ドア・アセンブリ3021、ポンプ本体3001およびレバー3025の要素が一体的に、ドア3020を掛け止めして閉じ、ドア・アセンブリ3021を上部ハウジング3010の前面と平行に配置し、そして圧盤3022と、弁3101、3111のうち少なくとも1つおよび/またはプランジャ3091との間で注入チューブ3210を閉塞する状態を示す図である。ドア・アセンブリ3021は、ヒンジ・ピン3012に荷重を加えることなく、またはヒンジ・ピン3012と枢動穴3020J、3010F(図258)に対して精密さを要求することなく、配置され、上部ハウジング3010に押し付けられる。
上記および図287の図解の通り、2つの掛止フック3025Cが、上部ハウジング3010のタブ3010Bに取り付けられたボディ・ピン3011に係合し、この時点でドア・アセンブリ3021は既に回転して上部ハウジング3010と接触しており、レバー3025はドア3020の方向へ回転する。掛止フック3025Cは、ドア・アセンブリ3021(図257)と上部ハウジング3010(図258)との間の広範囲に及ぶ初期位置での係合を保証するよう、テーパ加工された開口を有する。掛止フック3025Cの開口は、レバー3025(図296)の回転時に、掛止ピン3034(図295)をボディ・ピン3011にさらに近付けて引っ張ることができる形状である。掛止ピン3034(図295)は、ボディ・ピン3011(図294)に向かって動く際、スロット3020Cに沿ってドア3020内で自由に動くことができる。図294のドア3020の上部に設けられたスロット構造3020Cは、図295のドア3020の底部にかけて繰り返され、そこで第2の掛止フック3025Cがピン3034(例えば、掛止ピン3034)に係合する。
図298では、上部ハウジング3010に向かう掛止ピン3034の動きが、ドアばね3032の各端部3032Aでドア3020に支持されるドアばね3032を偏向させる。ドアばね3032の偏向は、上部ハウジング3010とポンプ本体3001の方向でドア3020に加えられる力を生み出す。図296に示されるように、ドア3020は、弁3101、3111およびプランジャ3091(図260)の周囲に分散する3箇所以上で上部ハウジング3010の前面と接触する、突起または絶縁体302おHを含んでもよい。いくつかの実施形態において、絶縁体3020Hは、ドアばね3032とドア3020との間の接触域内で接触域に対して均等な距離で配置され、その結果、ばねの力は各絶縁体3025Hへ均等に分配される。いくつかの実施形態において、絶縁体3020Hは、ばね力が各絶縁体3020Hに均等に分配されるようになされる。いくつかの実施形態では、図296で例示されるように、ドア3020は、4つの絶縁体3020Hが圧盤3022の周囲に配置され、その近くで弁3101、3111(図260)が注入チューブ3210と接触する。ドア3020内の枢動穴3020Jはヒンジ・ピン3012(図295)向けに若干大きめであることにより、ドア3020はヒンジ・ピン3012に制約されずに絶縁体3020Hに載せることができる。
図297は、掛止ピン3034を通る断面図で、掛止フック3025Cがボディ・ピン3011に完全に係合している状態を含む。いくつかの実施形態において、ボディ・ピン3011は、摩耗や摩擦を低減するための滑り軸受3011Aを含む。滑り軸受3011Aは、掛止フック3025Cの摩耗を低減するようボディ・ピン3011上で回転可能な、硬質材料製のチューブであってもよい。掛止ピン3034は、レバー枢動穴3025Bを通過し、またスロット3020C内で自由に動き、ドアばね3032を偏向させることができる。図297では、プランジャ3091が圧盤3022に対して注入チューブ3210を圧縮する位置にある。偏向されたドアばね3032の力は、圧盤3022側から注入チューブ3210を圧縮する力を供給する一方、プランジャ付勢部材3094(図267)がプランジャ3091側に力を供給する。
図298は、ドアばね3032の中央線を横断し、掛止ピン3034に対し直角の断面図である。掛止ピン3034とドアばね3032の両端3020Fとばねカットアウト3020Gとの間での、ドアばね3032の偏向が明白である。図296は、絶縁体3020Hが、ドアばね3032がドア3020と接触する箇所の間に、これらの箇所に対して均等な距離で位置する、一実施形態を示す図である。
図299〜図300の実施形態に示されるように、掛止フック3025Cのうち1つは、戻り止め3025G、3025Jと、戻り止め3025G、3025Jに係合するばねピン3027またはボールを備え得る。図299は、レバー3025がドア3020に対して完全に閉じた状態を示す図である。掛止フック3025Cは、ばねピン3027が係合する第1の戻り止め3025Gを含む。ばねピン3027は、レバー3025が閉じる際にばねピン3027が第1の戻り止め3025Gに係合する位置で、ドア3020に取り付けられる。
図300は、レバー3025がドア3020と相対的に全開し、ドア分割キャリッジ3040が格納された状態を示す図である。ばねピン3027は、ドア3020が全開位置にあるとき、第2の戻り止め3025Jに係合する。一部の実施形態において、掛止フック3025C内の戻り止め3025G、3025Jは、レバー3025がドア3020と相対的な1つまたは複数の位置を保持できるようにし得る。
図301は、ドア・アセンブリ3021とレバー3025(図265)が完全に閉じる際に摺動オクルーダ3200によって移動させられる、感知レバー3150を示す図である。感知レバー3150は、上部ハウジング3010に取り付けられたピン上で回転し、本体分割キャリッジ3045内のスロット3045Fを通って揺動する。ドア3020が閉じる際に摺動オクルーダ3200が分割キャリッジ3041内に存在していると、摺動オクルーダ3200は感知レバー3150を上方へ、メインPCB3002に向けて偏向させる。メインPCB3002上のセンサ3152は、感知レバー3150上の磁石3150Aの近さを感知する。感知レバー3150、磁石3150Aおよびセンサ3152は、特定の摺動オクルーダ3200の形状のみ感知するよう設計され得る。他の摺動オクルーダ3200または摺動オクルーダ3200の形状は、センサ3152が磁石3150Aを感知するほど感知レバー3150を十分に偏向させること、あるいは感知レバー3150をメインPCB3002と接触させて、分割キャリッジ3041の完全挿入およびレバー3025の閉鎖を防ぐことはできない。制御装置は、適切な摺動オクルーダ3200の存在を示す感知レバー3150の移動をセンサ3152が感知した場合に限り、動作を許可し得る。
図302は、ドア・アセンブリ3021とレバー3025が完全に閉じる際に掛止フック3025Cによって移動させられる、掛止フック感知スライド3160を示す図である。掛止フック感知スライド3160は、上部ハウジング3010内に取り付けられたスクリュまたは柱を通過する形でスライドを誘導する、1つまたは複数のスロット3160Aを含んでもよい。ばね3164は、掛止フック3025Cがボディ・ピン3011に係合していない場合、掛止フック感知スライド3160を非移動位置へ戻す。掛止フック感知スライド3160は、感知スライド3160が完全に移動した場合に限り、メインPCB3001上に取り付けられたセンサ3163が磁石の存在を感知するように配置された、少なくとも1つの磁石を含んでもよい。いくつかの実施形態において、掛止フック感知スライド3160は、掛止フック感知スライド3160が完全に格納された場合に限りセンサ3163によって感知される、少なくとも1つの第2の磁石3162を含み得る。制御装置は、レバー3025が完全に閉じていること示す掛止フック感知スライド3160の移動をセンサ3163が感知した場合に限り、動作を許可し得る。
図303〜図310は、システム3200に関連する様々な投影図である。図303は、複数のポンプ3201、3202および3203を含むシステム3200を示す図である。ポンプ3201、3202、3203は、極3208へ接続可能な一群のポンプを形成するよう、一体的に結合され得る。システム3200は、2つの注射器ポンプ3201、3202および蠕動ポンプ3203を含む。ただし、他の様々な医療機器も組み合わせて採用され得る。
ポンプ3201、3202、3203は、ポンプ3201、3202、3203の制御に使用され得るタッチ画面3204を含む。ポンプ(3201、3202,3203など)のタッチ画面3204のうち1つは、ポンプ3201、3202、3203すべての動作の調整および/または他のポンプ3201、3202、3203のうち1つまたは複数の制御にも使用され得る。
ポンプ3201,3202および3203は、相互に電気通信するよう一体的にデイジー・チェーン接続される。それに加えて、または代替として、ポンプ3201、3202および/または3203は、電力を相互に共有し得る。例えばポンプ3201、3202および/または3203のうち1つは、AC電源を他のポンプ3201、3202、3203への給電に適するDC電源に変換するAC/DC変換器を含み得る。
システム3200内で、ポンプ3201、3202および3203は、それぞれのZフレーム3207を使用して一体的に積層される。Zフレーム3207はそれぞれ、下部3206と上部3205とを含む。Zフレーム3207の下部3206(例えばポンプ3201の下部3206)は、別のZフレーム3207の上部3205(例えばポンプ3202のZフレーム3207の上部3205)に係合し得る。
クランプ3209は、ポンプ3201、3202、3203のうち1つへ結合され得る(例えば図304に記載のポンプ3202)。つまり、クランプ3209はポンプ3201、3202および/または3203のうちいずれか1つへ結合され得る。クランプ3209はポンプ3201、3202および/または3203のうちいずれか1つの後部へ取付可能である。図306で容易に分かる通り、ポンプ3201、3202、3203はそれぞれ、上部アタッチメント部材3210と下部アタッチメント部材3211とを含む。クランプ・アダプタ3212は、それぞれのポンプ(例えば3201、3201または3203)の上部アタッチメント部材3210と下部アタッチメント部材3211とを介したポンプ3202へのクランプ3209の取付を容易にする。一部の実施形態において、クランプ・アダプタ3212はクランプ3209と一体型でもよい。
図307は、本開示の一実施形態による図304〜図306に記載のポンプ3202(またはポンプ3201もしくは3203)に取付可能なクランプの界面の一部分(すなわちクランプ・アダプタ3212)を示す拡大図である。クランプ・アダプタ3212は、下部アタッチメント部材3211(図306参照)を取付可能な穴3213を含む。つまり、下部アタッチメント部材3211は、曲線状のフック型突起であるが、穴3213へ挿入し、その後、回転させて穴に固定することができる。
図308で容易に分かる通り、クランプ・アダプタ3212は、掛止3214をも含む。掛止3214は、枢軸3216を介してクランプ・アダプタ3212へ枢動可能に取り付けられる。掛止3214は、フック3220へ結合されたばね3218を介してばね付勢され得る。制止部材3219は、掛止3214が所定の量を超えて枢動することを防止する。穴3213が下部アタッチメント部材3211上に配置された後、クランプ・アダプタ3212は、突起3215が上部アタッチメント部材3210の補完空間へ嵌合するまで掛止3214が上部アタッチメント部材3210によって下方へ圧迫されるまで、掛止3214を上部アタッチメント部材3210の方向へ押す形で回転させることができる。フック3220は、クランプ・アダプタ3212をポンプ3202へ固定する際に役立つ。
ポンプ3201、3202、3203それぞれに使用するZフレーム3207はそれぞれ、上部3205上の凹部3223(図306参照)を含み、また各ポンプ3201、3202、3203は突起3224を含む(図309参照)。1つのポンプ(例えばポンプ3201、3202または3203)の突起3224は、ポンプ3201、3202、3203を互いの上部に積み重ねられるよう、別のZフレームの凹部3223に係合し得る。ポンプ3201、3202、3203はそれぞれ、ポンプ3201、3202、3203のうち別のポンプへ掛止3222を介して取り付けられるようにする掛止係合部材3221を含む(図309参照)。掛止3222は、掛止係合部材3221の下方に形成された空間へ「嵌合」可能な、小さいばね荷重式フランジを含み得る。掛止3222は、Zフレーム3207の下部3206へ枢動可能に結合され得る。
図304で分かる通り、ポンプ3201のZフレームの掛止3222を引っ張ると、ポンプ3202の掛止係合部材3221下方の空間から掛止3222の一部を引き出すことができる。その後、ポンプ3201は、ポンプ3202、3203の積層から取り外すことができるよう、ポンプ3202のZフレームの凹部3223からポンプ3201の突起3224を引き出す目的で回転させることができる(図305参照)。
ポンプ3201、3202、3203はそれぞれ、上部コネクタ3225(図310参照)と底部コネクタ3226(図309参照)とを含む。コネクタ3225と3226は、積み重ねられたポンプ3201、3202および3203の相互通信および/または相互電力供給を可能にする。例えば、中段のポンプ3202(図303参照)の電池が故障した場合、ポンプ3201、3202、3203のうち1つまたは複数が可聴アラームを発している間、上段のポンプ3201および/または下段のポンプ3203が予備として中段のポンプ3202へ給電し得る。
グラフィック・ユーザ・インターフェース(以下、GUIと略す)3300の例示の実施形態が図311に示されている。GUI3300は、ある薬剤を注入可能な方法を、様々なプログラミングの選択肢のカスタマイジングによってユーザが修正できるようにする。例示のため、GUI3300は、以下に詳述する通り、画面3204を使用し、これはユーザとの対話手段としてのタッチ画面である。別の実施形態において、ユーザとの対話手段は異なっていてもよい。例えば、代替的実施形態はユーザが押し下げる形式のボタンまたは回転ダイヤル、音声コマンドなどを備え得る。別の実施形態において、画面3204は液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマ・ディスプレイなど、任意の電子画像表示装置であってもよい。
先行段落で詳述の通り、GUI3300はポンプ3203の画面に表示される。図303〜図305に記載の通り、ポンプ3201、3202、3203はすべて、それ自体の個々の画面3204を有し得る。ポンプ3201、3202、3203のうち1つがポンプ3201、3202、3203すべての制御に使用されている構成では、主ポンプのみ、画面3204を必要とし得る。記載の通り、ポンプはZフレーム3207に収容される。記載の通り、GUI3300は多数のインターフェース・フィールド3250を表示し得る。インターフェース・フィールド3250は、ポンプまたは注入状態、薬剤などに関する様々な情報を表示し得る。一部の実施形態において、GUI3300上のインターフェース・フィールド3250は、様々なメニューへの誘導、インターフェース・フィールド3250の拡張、データ入力などを行うためのタッチ式、タップ式などの形式であってもよい。GUI3300に表示されるインターフェース・フィールド3250は、メニュー次第で変化し得る。
GUI3300は、多数の仮想ボタンをも有し得る。図311の非限定的実施形態において、ディスプレイは仮想電源ボタン3260、仮想開始ボタン3262および仮想停止ボタン3264を有する。仮想電源ボタン3260はポンプ3201、3202、3203の電源を投入または切断し得る。仮想開始ボタン3262は、注入を開始し得る。仮想停止ボタン3264は、注入を一時停止または停止し得る。仮想ボタンは、ユーザによるタッチ、タップ、ダブル・タップなどの操作によって起動され得る。GUI3300の様々なメニューが、他の仮想ボタンを備え得る。仮想ボタンは、それぞれの機能をより即座に理解可能または認識可能にするため、スキュアモーフィックであってもよい。例えば、仮想停止ボタン3264は、図305に記載のような停止標識に似たものであってもよい。代替的実施形態において、仮想ボタンの名称、機能、数などは異なっていてもよい。
図312の例示の実施形態に記載の通り、GUI3300のインターフェース・フィールド3250(図311参照)は、多数の異なるプログラミング・パラメータ入力フィールドを表示し得る。GUI3300がパラメータ入力フィールドを表示する際、ユーザは1つまたは複数のメニューの検索を要求され得る。それに加えて、ユーザは任意のパラメータ入力フィールドを操作可能となる前にパスワードの入力を要する場合がある。
図312では、薬剤パラメータ入力フィールド3302、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304、容器合計容積パラメータ入力フィールド3306、濃度パラメータ入力フィールド3308、用量パラメータ入力フィールド3310、容積流量(以下、単に流量という)パラメータ入力フィールド3312、注入予定容積(以下、VTBIという)パラメータ入力フィールド3314、そして時間パラメータ入力フィールド3316が表示される。パラメータ、パラメータの数、パラメータの名称などは、代替的実施形態において異なり得る。例示の実施形態において、パラメータ入力フィールドは、実質的に四角形で四隅が丸い、図式的に表示されるボックスである。別の実施形態において、パラメータ入力フィールドの形状やサイズは異なり得る。
例示の実施形態において、GUI3300は直観的で柔軟性を持たせるよう設計されている。ユーザは、ユーザにとって最も簡単または最も便利なパラメータ入力フィールドを組み合わせて入力することを選択し得る。一部の実施形態において、ユーザによって空欄のまま残されたパラメータ入力フィールドは、空欄のフィールドが入力済みのパラメータ入力フィールドと無関係に動作せず、入力済みのフィールドから十分な情報を集めて空欄の1つまたは複数のフィールドを計算可能である範囲で、GUI3300によって自動的に計算および表示され得る。図312〜図316全体を通じて、別のフィールドに依存するフィールドは、曲線の二重先端矢印記号で括られている。
薬剤パラメータ入力フィールド3302は、注入予定の注入薬剤の種類をユーザが設定するパラメータ入力フィールドであってもよい。例示の実施形態において、薬剤パラメータ入力フィールド3302は入力済みで、注入薬剤は「0.9%生理食塩水」と定義済みである。記載の通り、特定の注入剤が設定された後、GUI3300はその特定の注入剤の名称を薬剤パラメータ入力フィールド3302に表示することにより、薬剤パラメータ入力フィールド3302を埋めることができる。
注入予定の特定の注入薬剤を設定する際、ユーザはGUI3300上の薬剤パラメータ入力フィールド3302をタッチし得る。一部の実施形態において、この操作は可能性のある様々な注入剤のリストを選抜し得る。ユーザは、所望の注入剤が見つかるまで、このリストを探索し得る。別の実施形態において、薬剤パラメータ入力フィールド3302をタッチすると、仮想キーボードが表示され得る。次いでユーザは正しい注入剤を仮想キーボードでタイプ入力することができる。一部の実施形態において、ユーザは注入剤名を数文字、仮想キーボードにタイプ入力するだけで、GUI3300が多数の候補を表示し得る。例えば、「ノルエ」とタイプ入力した後、GUI3300は「ノルエピネフリン」を候補に挙げ得る。正しい注入剤が見つかった後、ユーザは当該注入剤のタップ、ダブル・タップまたはタッチ・アンド・ドラッグなど、ただしこれらに限定せず、ある行動の実行を要求され得る。要求された行動がユーザによって完了した後、当該注入剤がGUI3300により、薬剤パラメータ入力フィールド3302に表示され得る。注入剤選定手段の別の例について詳しくは、図322を参照されたい。
図312で例示の実施形態において、パラメータ入力フィールドはユーザによって、容積ベース注入(mL、mL/時など)を実行するよう整理されている。結果的に、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304と容器合計容積パラメータ入力フィールド3306は未実装である。濃度パラメータ入力フィールド3308と用量パラメータ入力フィールド3310も未実装である。一部の実施形態において、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304、容器合計容積パラメータ入力フィールド3306、濃度パラメータ入力フィールド3308および用量パラメータ入力フィールド3310は、容積ベース注入が選択されている場合、GUI3300上ではロック、グレー表示、または非表示となり得る。容器薬物量パラメータ入力フィールド3304、容器合計容積パラメータ入力フィールド3306、濃度パラメータ入力フィールド3308および用量パラメータ入力フィールド3310については後続の段落でさらに詳しく説明する。
容積ベース注入をプログラムするためにGUI3300が使用されている場合、流量パラメータ入力フィールド3312、VTBIパラメータ入力フィールド3314および時間パラメータ入力フィールド3316は、相互に独立的に動作しない。ユーザは、流量パラメータ入力フィールド3312、VTBIパラメータ入力フィールド3314および時間パラメータ入力フィールド3316のうちいずれか2つのみ定義するよう要求され得る。ユーザによって定義される2つのパラメータは、ユーザが設定する際に最も便利なパラメータであってもよい。ユーザによって空欄のまま残されたパラメータは、GUI3300によって自動的に計算および表示され得る。例えば、ユーザが流量パラメータ入力フィールド3312に125mL/時という値(図の通り)を入力し、VTBIパラメータ入力フィールド3314に1000mLという値(図の通り)を入力した場合、時間パラメータ入力フィールド3316は、VTBIパラメータ入力フィールド3314の値を流量パラメータ入力フィールド3312の値で割ることにより計算され得る。例えば、図312で例示の実施形態において、上記の計算の商、8時間0分が適正に、GUI3300によって時間パラメータ入力フィールド3316へ入力される。
ユーザは、流量パラメータ入力フィールド3312、VTBIパラメータ入力フィールド3314および時間パラメータ入力フィールド3316を入力したい場合、GUI3300上の所望のパラメータ入力フィールドをタッチまたはタップし得る。一部の実施形態において、これは0〜9など範囲または数字が個別に選択可能な仮想ボタンとして表示される数字パッドを表示させ得る。ユーザは、所望の数字を個別にタップ、ダブル・タップ、タッチ・アンド・ドラッグするなどの操作により、パラメータを入力するよう要求され得る。所望の値がユーザによって入力されると、ユーザはフィールドを埋めるため仮想の「確認」、「入力」などのボタンをタップ、ダブル・タップなどで操作するよう要求され得る。数値定義方法の別の例について詳しくは、図322を参照されたい。
図313は、プログラムされた注入パラメータが容積ベース注入のパラメータでないというシナリオを示す図である。図313では、注入プロファイルは連続的な容積/時間の投薬速度でのプロファイルである。図313で例示の実施形態において、パラメータ入力フィールドはすべて入力済みである。記載の通り、GUI3300上の薬剤パラメータ入力フィールド3302は、定義済みの注入剤として「ヘパリン」が入力されている。記載の通り、図313では容器薬物量パラメータ入力フィールド3304、容器合計容積入力フィールド3306、および濃度パラメータ入力フィールド3308が入力される。それに加えて、容積/時間注入がプログラムされていることから、図312に記載の用量パラメータ入力フィールド3310は、投薬速度パラメータ入力フィールド3318に置き換えられている。
容器薬物量パラメータ入力フィールド3304は、図313で例示の実施形態ではフィールドが2つに分かれている。図313で例示の実施形態において、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304の左側のフィールドは、数値が入力され得るフィールドである。数値は、ユーザが流量パラメータ入力フィールド3312、VTBIパラメータ入力フィールド3314および時間パラメータ入力フィールド3316に入る値を定義する場合と同じ方法で定義され得る。図313で例示の実施形態において、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304の左側のフィールドにGUI3300によって表示される数値は「25,000」である。
容器薬物量パラメータ入力フィールド3304の右側のフィールドで定義されるパラメータは、測定単位である。容器薬物量パラメータ入力フィールド3304の右側のフィールドを定義する場合、ユーザはGUI3300上の容器薬物量パラメータ入力フィールド3304をタッチし得る。一部の実施形態において、この操作は可能性のある許容可能な測定単位のリストを選抜し得る。係る実施形態において、所望の測定単位は、正しい注入剤の定義と同じ方法でユーザによって定義され得る。別の実施形態において、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304をタッチすると、仮想キーボードが表示され得る。次いでユーザは正しい測定単位を仮想キーボードでタイプ入力することができる。一部の実施形態において、ユーザは容器薬物量パラメータ入力フィールド3304の左側のフィールドを埋めるため、仮想の「確認」、「入力」などのボタンをタップ、ダブル・タップなどで操作するよう要求され得る。
一部の実施形態において、図313に記載の実施形態も含め、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304の右側のフィールドは、他の1つまたは複数のパラメータ入力フィールドへのパラメータ入力に依存し得る1つまたは複数の許容値を有し得る。例示の実施形態において、測定単位「UNITS」の意味は、薬剤パラメータ入力フィールドで設定される注入剤に応じて異なり得る。またGUI3300は、ユーザが容器薬物量パラメータ入力フィールド3304の右側のフィールドに非メートル法の測定単位を入力した場合、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304の左側フィールドの値と右側のフィールドの測定単位をそれぞれ、自動的にメートル法の値および測定単位に変換し得る。
容器合計容積パラメータ入力フィールド3306は、容器の合計容積を定義する数値が入力され得る。一部の実施形態において、GUI3300は、1つまたは複数のセンサによって生成されたデータを基に、容器合計容積パラメータ入力フィールド3306に自動的に入力し得る。別の実施形態において、容器合計容積パラメータ入力フィールド3306は、ユーザによって手入力され得る。数値は、ユーザが流量パラメータ入力フィールド3312、VTBIパラメータ入力フィールド3314および時間パラメータ入力フィールド3316に入る値を定義する場合と同じ方法で定義され得る。図313で例示の実施形態において、容器合計容積パラメータ入力フィールド3306は「250」mLという値が入力されている。容器合計容積パラメータ入力フィールド3306は、記載のmLなど1つの測定単位に制限され得る。
濃度パラメータ入力フィールド3308は、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304同様、フィールドが2つに分かれている。図313で例示の実施形態において、濃度パラメータ入力フィールド3308の左側のフィールドは、数値が入力され得るフィールドである。数値は、ユーザが流量パラメータ入力フィールド3312、VTBIパラメータ入力フィールド3314および時間パラメータ入力フィールド3316に入る値を定義する場合と同じ方法で定義され得る。図313で例示の実施形態において、濃度パラメータ入力フィールド3308の左側のフィールドにGUI3300によって表示される数値は「100」である。
濃度パラメータ入力フィールド3308の右側のフィールドで定義されるパラメータは、測定単位/容積である。濃度パラメータ入力フィールド3308の右側のフィールドを定義する場合、ユーザはGUI3300上の濃度パラメータ入力フィールド3308をタッチし得る。一部の実施形態において、この操作は可能性のある許容可能な測定単位のリストを選抜し得る。係る実施形態において、所望の測定単位は、正しい注入剤の定義と同じ方法でユーザによって定義され得る。別の実施形態において、濃度パラメータ入力フィールド3308をタッチすると、仮想キーボードが表示され得る。次いでユーザは正しい測定単位を仮想キーボードでタイプ入力することができる。一部の実施形態において、ユーザは選択を保存し、そして許容可能な容積測定のリストへ移行するため、仮想の「確認」、「入力」などのボタンをタップ、ダブル・タップなどで操作するよう要求され得る。所望の容積測定は、正しい注入剤の定義と同じ方法でユーザによって定義され得る。図313で例示の実施形態において、濃度パラメータ入力フィールド3308の右側のフィールドは、「UNITS/mL」という測定単位/容積が入力されている。
容器薬物量パラメータ入力フィールド3304、容器合計容積パラメータ入力フィールド3306、および濃度パラメータ入力フィールド3308は、相互に独立的ではない。相応に、ユーザは、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304、容器合計容積パラメータ入力フィールド3306、および濃度パラメータ入力フィールド3308のうちいずれか2つのみ定義するよう要求され得る。例えば、ユーザが濃度パラメータ入力フィールド3308と容器合計容積パラメータ入力フィールド3306とを入力したとすると、容器薬物量パラメータ入力フィールドはGUI3300上で自動的に計算され、入力され得る。
図313のGUI3300は、連続的な容積/時間の用量についてプログラムされていることから、投薬速度パラメータ入力フィールド3318が入力されている。ユーザは、投薬速度パラメータ入力フィールド3318に入力することにより、注入剤の注入速度を定義することができる。図313で例示の実施形態において、投薬速度パラメータ入力フィールド3318は、上記の容器薬物量パラメータ入力フィールド3304や濃度パラメータ入力フィールド3308同様、フィールドが2つに分かれている。数値は、ユーザが流量パラメータ入力フィールド3312の値を定義する場合と同じ方法で、投薬速度パラメータ入力フィールド3318の左側のフィールドにて定義され得る。図313で例示の実施形態において投薬速度パラメータ入力フィールド3318の左側のフィールドは「1000」という値が入力されている。
投薬速度パラメータ入力フィールド3318の右側のフィールドは、測定単位/時間を定義し得る。投薬速度パラメータ入力フィールド3318の右側のフィールドを定義する場合、ユーザはGUI3300上の投薬速度パラメータ入力フィールド3318をタッチし得る。一部の実施形態において、この操作は可能性のある許容可能な測定単位のリストを選抜し得る。係る実施形態において、所望の測定単位は、正しい注入剤の定義と同じ方法でユーザによって定義され得る。別の実施形態において、投薬速度パラメータ入力フィールド3304をタッチすると、仮想キーボードが表示され得る。次いでユーザは正しい測定単位を仮想キーボードでタイプ入力することができる。一部の実施形態において、ユーザは選択を保存し、そして許容可能な時間測定のリストへ移行するため、仮想の「確認」、「入力」などのボタンをタップ、ダブル・タップなどで操作するよう要求され得る。所望の時間測定は、正しい注入剤の定義と同じ方法でユーザによって定義され得る。図313で例示の実施形態において、投薬速度パラメータ入力フィールド3318の右側のフィールドは、「UNITS/時」という測定単位/時間が入力されている。
例示の実施形態において、投薬速度パラメータ入力フィールド3318と流量パラメータ入力フィールド3312は、相互に独立的ではない。ユーザが投薬速度パラメータ入力フィールド3318または流量パラメータ入力フィールド3312に入力した後、ユーザによって空欄のまま残されたパラメータ入力フィールドは、濃度パラメータ入力フィールド3308が定義済みである限り、GUI3300によって自動的に計算および表示され得る。図313で例示の実施形態において、流量パラメータ入力フィールド3312は「10mL/時」という注入剤流量が入力されている。投薬速度パラメータ入力フィールド3318には「1000」「UNITS/時」と入力されている。
図313で例示の実施形態において、VTBIパラメータ入力フィールド3314と時間パラメータ入力フィールド3316も入力済みである。VTBIパラメータ入力フィールド3314と時間パラメータ入力フィールド3316は、図306との関連での記述と同じ方法で、ユーザによって入力され得る。GUI3300が、連続的な容積/時間の投薬速度での注入についてプログラムされている場合、VTBIパラメータ入力フィールド3314と時間パラメータ入力フィールド3316は、相互に依存する。ユーザは、VTBIパラメータ入力フィールド3314または時間パラメータ入力フィールド3316、いずれか1つを入力するだけでよい。ユーザによって空欄のまま残されたフィールドは、GUI3300に自動的に計算および表示され得る。
図314は、プログラムされた注入パラメータが、本開示において断続的注入と呼ばれる薬物量ベース注入のパラメータであるというシナリオを示す図である。図314で例示の実施形態において、パラメータ入力フィールドはすべて入力済みである。記載の通り、GUI3300上の薬剤パラメータ入力フィールド3302は、定義済みの注入剤として抗生剤「バンコマイシン」が入力されている。
記載の通り、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304、容器合計容積パラメータ入力フィールド3306、および濃度パラメータ入力フィールド3308のレイアウトは図314と同じである。図314で例示の実施形態において、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304の左側のフィールドは「1」が入力されている。容器薬物量パラメータ入力フィールド3304の右側のフィールドは「g」が入力されている。つまり、容器内のバンコマイシンの合計量は、1グラムと定義されている。容器合計容積パラメータ入力フィールド3306は、「250」mlが入力されている。濃度パラメータ入力フィールド3308の左側のフィールドは「4.0」が入力されている。濃度パラメータ入力フィールドの右側のフィールドは「mg/mL」が入力されている。
ユーザがGUI3300を通じてプログラム可能となり得る、他に可能性のある種類の注入に関して前述の通り、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304、容器合計容積パラメータ入力フィールド3306、および濃度パラメータ入力フィールド3308は、相互に依存する。上記の通り、これはパラメータ入力フィールド名を繋ぐ曲線の二重矢印記号で示されている。これらのパラメータのうちいずれか2つの入力により、第3のパラメータは自動的に計算され、GUI3300上の適正なパラメータ入力フィールドに表示され得る。
図314で例示の実施形態において、用量パラメータ入力フィールド3310が入力済みである。記載の通り、用量パラメータ入力フィールド3310は左右のフィールドを備える。数値は、数値を定義する他のパラメータ入力フィールドの値をユーザが定義する場合と同じ方法で、用量パラメータ入力フィールド3310の右側のフィールドにて定義され得る。図314で例示の実施形態において、用量パラメータ入力フィールド3310の左側のフィールドは「1000」という値が入力されている。
用量パラメータ入力フィールド3310の右側のフィールドは、質量測定単位を定義し得る。用量パラメータ入力フィールド3310の右側のフィールドを定義する場合、ユーザはGUI3300上の用量パラメータ入力フィールド3310をタッチし得る。一部の実施形態において、この操作は可能性のある許容可能な測定単位のリストを選抜し得る。係る実施形態において、所望の測定単位は、正しい注入剤の定義と同じ方法でユーザによって定義され得る。別の実施形態において、用量パラメータ入力フィールド3310をタッチすると、仮想キーボードが表示され得る。次いでユーザは正しい測定単位を仮想キーボードでタイプ入力することができる。一部の実施形態において、ユーザは選択を保存し、そして許容可能な質量測定のリストへ移行するため、仮想の「確認」、「入力」などのボタンをタップ、ダブル・タップ、スライドなどで操作するよう要求され得る。所望の質量測定は、正しい注入剤の定義と同じ方法でユーザによって定義され得る。図314で例示の実施形態において、用量パラメータ入力フィールド3310の右側のフィールドは、「mg」という測定単位が入力されている。
記載の通り、流量パラメータ入力フィールド3312、VTBIパラメータ入力フィールド3314および時間パラメータ入力フィールド3316は入力済みである。記載の通り、流量パラメータ入力フィールド3312は「125」mL/時が入力されている。VTBIパラメータ入力フィールド3314は「250」mLと定義されている。時間パラメータ入力フィールド3316は「2」時間「00」分と定義されている。
ユーザは、用量パラメータ入力フィールド3310、流量パラメータ入力フィールド3312、VTBIパラメータ入力フィールド3314および時間パラメータ入力フィールド3316の各々を個別に定義しなくてもよい。曲線の二重矢印記号で示されている通り、用量パラメータ入力フィールド3310とVTBIパラメータ入力フィールド3314は相互に依存する。1つの値を入力すれば、他の値がGUI3300によって自動的に計算および表示され得る。流量パラメータ入力フィールド3312と時間パラメータ入力フィールド3316も相互に依存する。ユーザは、1つの値を定義し、その後、未定義の値が自動計算されGUI3300上に表示されるようにするだけでよい。一部の実施形態において、流量パラメータ入力フィールド3312、VTBIパラメータ入力フィールド3314および時間パラメータ入力フィールド3316は、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304、容器合計容積パラメータ入力フィールド3306および濃度パラメータ入力フィールド3308の定義が済むまで、GUI3300上でロックされ得る。これらのフィールドがロックされ得る理由は、流量パラメータ入力フィールド3312、VTBIパラメータ入力フィールド3314および時間パラメータ入力フィールド3316の自動計算が、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304、容器合計容積パラメータ入力フィールド3306および濃度パラメータ入力フィールド3308の値に依存するという点にある。
注入剤が体重ベース投与を必要とするシナリオでは、体重パラメータ入力フィールド3320も、GUI3300に表示され得る。図315に記載のGUI3300の例は、ユーザが体重ベース投与をプログラムできるよう配置されている。パラメータ入力フィールドは、上記にて詳述の通り、ユーザによって定義され得る。例示の実施形態では、薬剤パラメータ入力フィールド3302の注入剤が、「ドーパミン」と定義済みである。容器薬物量パラメータ入力フィールド3304の左側のフィールドは、「400」と定義されている。容器薬物量パラメータ入力フィールド3304の右側のフィールドは、「mg」と定義されている。容器合計容積パラメータ入力フィールド3306は「250」mlと定義されている。濃度パラメータ入力フィールド3308の左側のフィールドは「1.6」と定義されている。濃度パラメータ入力フィールド3308の右側のフィールドは「mg/mL」と定義されている。体重パラメータ入力フィールド3320は「90」kgと定義されている。投薬速度パラメータ入力フィールド3318の左側のフィールドは「5.0」と定義されている。投薬速度パラメータ入力フィールド3318の右側のフィールドは「mcg/kg/min」と定義されている。流量パラメータ入力フィールド3312は「16.9」mL/時と定義されている。VTBIパラメータ入力フィールド3314は「250」mLと定義されている。時間パラメータ入力フィールド3316は「14」時間「48」分と定義されている。
体重パラメータ入力フィールド3320を定義する場合、ユーザはGUI3300上の体重パラメータ入力フィールド3320をタッチまたはタップし得る。一部の実施形態において、これは0〜9などの数字の範囲が個別に選択可能な仮想ボタンとして表示される数字パッドを表示させ得る。ユーザは、所望の数字を個別にタップ、ダブル・タップ、タッチ・アンド・ドラッグするなどの操作により、パラメータを入力するよう要求され得る。所望の値がユーザによって入力されると、ユーザはフィールドを埋めるため仮想の「確認」、「入力」などのボタンをタップ、ダブル・タップなどで操作するよう要求され得る。
曲線の二重矢印記号で示されている通り、GUI3300に表示される一部のパラメータ入力フィールドは相互に依存し得る。上記の例同様、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304、容器合計容積パラメータ入力フィールド3306、および濃度パラメータ入力フィールド3308は相互に依存し得る。図315において、体重パラメータ入力フィールド3320、投薬速度パラメータ入力フィールド3318、流量パラメータ入力フィールド3312、VTBIパラメータ入力フィールド3314および時間パラメータ入力フィールド3316はすべて、相互に依存する。これらのパラメータ入力フィールドにおいて、十分な情報がユーザによって定義されれば、ユーザによって入力されないパラメータ入力フィールドは自動計算され、GUI3300に表示され得る。
一部の実施形態において、特定のパラメータ入力フィールドを自動計算するために十分な情報が定義済みであっても、ユーザは当該フィールドの定義を要求され得る。これは、ユーザによる入力エラーを把握する機会を増やすことにより、使用の安全性を改善し得る。ユーザが入力した値が、定義済みの値と適合しない場合、GUI3300は、ユーザが既に入力した値の二重チェックをユーザに求める警報またはアラームメッセージを表示し得る。
一部のシナリオにおいて、注入剤の送達について、患者の体表面積(BSA)が情報源となり得る。図316において、GUI3300は体表面積ベース注入向けに設定されている。記載の通り、BSAパラメータ入力フィールド3322がGUI3300に表示され得る。パラメータ入力フィールドは、上記にて詳述の通り、ユーザによって定義され得る。例示の実施形態において、注入剤は薬剤パラメータ入力フィールド3302で「フルオロウラシル」と定義されている。容器薬物量パラメータ入力フィールド3304の左側のフィールドは、「1700」と定義されている。容器薬物量パラメータ入力フィールド3304の右側のフィールドは、「mg」と定義されている。容器合計容積パラメータ入力フィールド3306は「500」mlと定義されている。濃度パラメータ入力フィールド3308の左側のフィールドは「3.4」と定義されている。濃度パラメータ入力フィールド3308の右側のフィールドは「mg/mL」と定義されている。BSAパラメータ入力フィールド3322は「1.7」m2と定義されている。投薬速度パラメータ入力フィールド3318の左側のフィールドは「1000」と定義されている。投薬速度パラメータ入力フィールド3318の右側のフィールドは「mg/m2/day」と定義されている。流量パラメータ入力フィールド3312は「20.8」mL/時と定義されている。VTBIパラメータ入力フィールド3314は「500」mLと定義されている。時間パラメータ入力フィールド3316は「24」時間「00」分と定義されている。依存性のパラメータ入力フィールドは図309の場合と同じであるが、例外としてBSAパラメータ入力フィールド3322が体重パラメータ入力フィールド3320に取って代わっている。
BSAパラメータ入力フィールド3322に入力する場合、ユーザはGUI3300上のBSAパラメータ入力フィールド3322をタッチまたはタップし得る。一部の実施形態において、これは0〜9などの数字の範囲が個別に選択可能な仮想ボタンとして表示される数字パッドを表示させ得る。一部の実施形態において、数字パッドおよび上記で詳述の任意の数字パッドは、小数点などの記号も特徴とし得る。ユーザは、所望の数字を個別にタップ、ダブル・タップ、タッチ・アンド・ドラッグするなどの操作により、パラメータを入力するよう要求され得る。所望の値がユーザによって入力されると、ユーザはフィールドを埋めるため仮想の「確認」、「入力」などのボタンをタップ、ダブル・タップなどで操作するよう要求され得る。
一部の実施形態において、患者のBSAは自動計算され、GUI3300に表示され得る。係る実施形態において、GUI3300はユーザがBSAパラメータ入力フィールド3322をタッチ、タップなどで操作する際、患者に関する情報をユーザに照会することができる。例えば、ユーザは患者の身長と体重とを定義するよう求められ得る。これらの値はユーザが定義した後、患者のBSAを求める適切な計算式を経て処理され得る。計算されたBSAはその後、GUI3300上のBSAパラメータ入力フィールド3322への入力に使用され得る。
動作中、パラメータ入力フィールドに表示される値は、現在の注入状態を反映するよう、プログラムされた注入の過程全体を通じて変化し得る。例えば、注入剤が患者へ注入されるにつれ、容器薬物量パラメータ入力フィールド3304と容器合計容積パラメータ入力フィールド3306でGUI3300によって表示される値は、容器の残存内容物の容積を反映する形で減少し得る。それに加えて、VTBIパラメータ入力フィールド3314と時間パラメータ入力フィールド3316の値も、注入剤が患者へ注入されるにつれ減少し得る。
図317は、1回の注入過程にわたるポンプ3201、3202、3203(図303参照)の1つの挙動構成を詳細に示す、経時的流量グラフの一例である。図317のグラフは、ポンプ3201、3202、3203について、注入が連続注入(ある投薬速度での注入)である場合の挙動構成の例の詳細である。記載の通り、図317のグラフは注入開始で始まる。記載の通り、注入はある期間にわたり一定の流量で投与される。注入が進行するにつれ、注入剤の量が枯渇する。注入剤の残量が所定の閾値に達すると、「注入終了接近警報」が発せられ得る。「注入終了接近警報」はGUI3300上のメッセージ形式であってもよく、また点滅光や、一連の警告音など可聴ノイズが付随してもよい。「注入終了接近警報」は、必要であれば介護者および薬局が注入続行のための材料を準備する時間を考慮する。記載の通り、注入速度は「注入終了接近警報時間」にわたり変化しなくてもよい。
ポンプ3201、3202、3203(図303参照)がVTBIを患者へ注入し終えた場合、「VTBIゼロ警報」が発せられ得る。「VTBIゼロ警報」はGUI3300上のメッセージ形式であってもよく、また点滅光や、警告音など可聴ノイズが付随してもよい。記載の通り、「VTBIゼロ警報」は、新規の注入剤容器が準備できるまで、ポンプを静脈解放維持(以下、KVOという)速度へ切り替えさせる。KVO速度は低い注入速度である(例えば5〜25mL/時)。この速度は、新規の注入を開始できるまで、注入部位を忍耐強く維持するよう設定される。KVO速度はグループ(詳しくは後述)または薬剤別に設定可能で、またポンプ3201、3202、3203上で修正可能である。KVO速度は、連続注入速度を超えてはならない。KVO速度をそれ以上持続できなくなり、空気がポンプ輸送チャネルに到達すると、「ライン内空気警報」が発せられ得る。「ライン内空気警報」が発せられると、すべての注入が停止され得る。「ライン内空気警報」はGUI3300上のメッセージ形式であってもよく、また点滅光や、警告音など可聴ノイズが付随してもよい。
図318は、1回の注入過程にわたるポンプ3201、3202、3203(図303参照)の1つの挙動構成を詳細に示す、経時的流量グラフの別の一例である。図318のグラフは、ポンプ3201、3202、3203について、注入が連続注入(ある投薬速度での注入)である場合の挙動構成の例の詳細である。図318に記載のグラフにおける警報は、図317のグラフに記載の警報と同じである。警報を伝播する条件も同じである。ただし、「ライン内空気警報」が発せられ、注入が止まるまで、グラフ全体にわたり速度は一定を維持する。一定の速度での注入を継続するポンプ設定は、注入剤が半減期の短い薬物である場合に望ましいと考えられる。一定の速度での注入継続により、薬物の血漿中濃度が治療効果を発揮する水準を維持することが確保される。
ポンプ3201、3202、3203(図303参照)は、第1または第2の断続的注入の送達にも使用され得る。断続的注入の間、ある量の薬物(用量)が患者へ投与され、対照的に連続注入では、薬物が指定の投薬速度(量/時間)で投与される。断続的注入は、所定の期間にわたり送達されるが、期間と用量は相互に依存しない。前述の図313は、連続注入向けのGUI3300のセットアップを示す図である。前述の図314は、断続的注入向けのGUI3300のセットアップを示す図である。
図319は、1回の断続的注入過程にわたるポンプ3201、3202、3203(図303参照)の1つの挙動構成を詳細に示す、経時的流量グラフの一例である。記載の通り、断続的注入は、断続的注入向けにプログラムされた注入剤がすべて枯渇するまで、一定の速度で提供される。挙動構成例において、ポンプ3201、3202、3203は、注入剤をすべて使い切った時点で「VTBIゼロ警報」を発し、注入を止めるようプログラムされている。この構成では、ユーザは別の注入を開始または再開できるようになる前に、警報を手動で解除するよう要求され得る。
別の構成が、ポンプ3201、3202、3203(図303参照)の挙動を異なるものにし得る。例えば、断続的注入が第2の注入である場合、ポンプ3201、3202、3203は随伴ポンプ3201、3202、3203と通信し、第2の断続的注入が完了した旨の通知を出した後、自動的に切り替わって第1の注入へ戻るよう構成され得る。代替的構成において、ポンプは、断続的注入完了後、「VTBIゼロ警報」を発し、注入速度をKVO速度まで落とすよう構成され得る。係る構成において、ユーザは第1の注入が再開される前に、警報を手動で解除するよう要求され得る。
より高い血漿中薬物濃度の達成またはより即時の治療効果の顕在化に必要または望ましいと考えられる場合、ボーラスも第1の断続的注入として送達され得る。そのような場合、ボーラスは第1の注入を実行するポンプ3201、3202、3203(図303参照)によって送達され得る。ボーラスは、第1の注入の送達元と同じ容器から送達され得る。ボーラス投与は、ボーラスの送達に十分な注入剤が存在することを前提に、注入過程の任意の時点で実行され得る。ボーラスを介して患者へ送達される容積は、第1の注入についてVTBIパラメータ入力フィールド3314によって表示される値に含まれる。
注入剤次第で、ユーザはボーラス投与の実行を禁じられ得る。ボーラスの用量は、使用される特定の注入剤に応じて事前設定され得る。それに加えて、ボーラス投与が発生する期間も、使用される特定の注入剤に応じて事前設定され得る。一部の実施形態において、ユーザはGUI3300の様々な設定の調節によってこれらの事前設定を調整する能力を有し得る。注入される薬物の半減期が長い(バンコマイシン、テイコプラニンなど)状況など、状況によっては、ボーラスは、治療効果の高い血漿中薬物濃度へより迅速に到達するための負荷用量として投与され得る。
図320は、注入剤に対して患者を「強化」するために注入剤の流量が漸増されている、別の経時的流量グラフを示す図である。タイトレーションは大抵、治療効果は素早いが半減期の短い薬物(ノルエピネフリンなど)で用いられる。タイトレーションを行っている場合、ユーザは、望ましい治療効果が顕在化するまで、注入剤の送達速度を調節し得る。調節は毎回、患者へ投与されている特定の注入剤について定義された一連の限度を基準にチェックされ得る。所定の割合を超えて注入が変化した場合、警報が発せられ得る。図320に記載の例示的グラフでは、流量が1回、漸増されている。必要な場合、流量は複数回漸増され得る。それに加えて、ある薬物から患者を「引き離す」ためにタイトレーションが用いられている場合、流量は適切な回数、漸減され得る。
図321は、注入が多段階注入として構成されている、別の経時的流量グラフを示す図である。多段階注入は、異なる多数の段階に分けてプログラムされ得る。各段階はVTBI、時間および投薬速度によって定義され得る。多段階注入は、非経口栄養補給に使用されるものなど、一定の種類の注入剤に有用となり得る。図321で例示のグラフでは、注入が5段階注入として構成されている。第1段階では「VTBI1」をある長さの時間「時間1」にわたり、一定の速度「速度1」で注入する。第1段階の時間区間が経過すると、ポンプは多段階注入の第2段階へ移行する。第2段階では「VTBI2」をある長さの時間「時間2」にわたり、一定の速度「速度2」で注入する。記載の通り、「速度2」は「速度1」より高速である。第2段階の時間区間が経過すると、ポンプは多段階注入の第3段階へ移行する。第3段階では「VTBI3」をある長さの時間「時間3」にわたり、一定の速度「速度3」で注入する。記載の通り、「速度3」は多段階注入のどの段階でも最高速である。「時間3」も、多段階注入のどの段階でも最長の持続時間である。第3段階の時間区間が経過すると、ポンプは多段階注入の第4段階へ移行する。第4段階では「VTBI4」をある長さの時間「時間4」にわたり、一定の速度「速度4」で注入する。記載の通り、「速度4」は「速度3」から漸減されている。「速度4」は「速度2」とおおよそ同じである。多段階注入の第4段階の時間区間が経過すると、ポンプは第5段階へ移行する。第5段階では「VTBI5」をある長さの時間「時間5」にわたり、一定の速度「速度5」で注入する。記載の通り、「速度5」は「速度4」から漸減され、「速度1」とおおよそ同じである。
「注入終了接近警報」は、図321で例示の注入の第4段階で発せられる。多段階注入の第4段階終了時と最終段階で、「VTBIゼロ警報」が発せられる。図321のグラフで例示の構成において、速度は、多段階注入が完了して「VTBIゼロ警報」が発せられた後、KVO速度にまで落ちる。他の構成は異なり得る。
多段階注入における毎回の速度変化は、様々な情報方法で処理され得る。一部の実施形態において、ポンプ3201、3202、3203(図303参照)は通知を表示し、自動的に速度を調節して次の段階へ移行し得る。別の実施形態において、ポンプ3201、3202、3203は速度が変わる前に警報を発し、そして速度を調節して次の段階へ移行する前にユーザからの確認を待機し得る。そのような構成において、ポンプ3201、3202、3203はユーザからの確認を受け取るまで、注入を停止またはKVO速度まで減速し得る。
一部の実施形態において、ユーザが事前に注入プログラムを設定可能であってもよい。ユーザは、一定の時間区間の経過後(例えば2時間後)に注入が自動的に開始するよう、事前にプログラムすることができる。注入はまた、1日の特定の時刻(例えば午後12時30分)に自動的に開始するようプログラムされ得る。一部の実施形態において、ユーザは、事前にプログラムされた注入の開始時刻になったときに、ポンプ3201、3202、3203(図303参照)がコールバック機能と併せてユーザに警報を発するよう、プログラム可能であってもよい。ユーザは、事前にプログラムされた注入の開始の確認を要する場合がある。コールバック機能は、一連の可聴警告音、点滅光などであってもよい。
複数のポンプ3201、3202、3203(図303参照)が存在する構成の場合、ユーザは中継注入をプログラム可能であってもよい。中継注入は、第1のポンプ3201、3202、3203が注入を完了した後、第2のポンプ3201、3202、3203が自動的に第2の注入を開始し、以後同様となるようプログラムされ得る。ユーザはまた、中継の発生前にコールバック機能を介して警報を受けられるよう、中継注入をプログラムすることができる。そのようなプログラムされた構成において、中継注入は、ユーザからの確認を受け取るまで開始しなくてもよい。ポンプ3201、3202、3203は、ユーザからの確認を受け取るまでKVO速度で続行し得る。
図322は、「薬物投与ライブラリ」のブロック図の例である。右上隅に、実質的に四角形であるが四隅が丸いボックスがある。このボックスは「全般設定」という名称が付いている。「全般設定」は現場名(XYZ病院など)、言語、共通パスワードなど、施設内のすべての装置に共通すると思われる設定を含み得る。
図322において、「薬物投与ライブラリ」は「グループ設定(ICU)」および「グループ設定」という名称が付いた2つのボックスを有する。これらのボックスはそれぞれ固有の列を表す見出しを形成する。これらのボックスは、施設内で当該装置が設置されているグループ(例えば小児集中治療室、救急処置室、亜急性処置室など)の定義に使用され得る。グループは、例えば患者の自宅、または救急車など病院間輸送手段など、親施設外の区域であってもよい。各グループは、施設内の様々なグループ特有の設定(体重、タイトレーション限度など)に使用され得る。これらのグループは、他の方法で代替的に定義され得る。例えば、グループはユーザの訓練水準で定義され得る。グループは、事前に指定された個人または事前に指定された多数の個人のうち任意の個人によって定義され、関連する患者または装置が、施設内の特定のグループから別のグループへ移動した場合は変更され得る。
例示の実施形態において、左の列は「グループ設定(ICU)」で、蠕動ポンプ2990が施設の集中治療室に設置されていることを示している。右の列は「グループ設定」であるが、それ以上詳細な定義は為されていない。一部の実施形態において、この列は例えば操作員の訓練水準など、従属グループの指定に使用され得る。「グループ設定(ICU)」および「グループ設定」の列からのブロック図の左側へ外れたボックスへ伸びる線で示されている通り、これらのグループ向けの設定は、事前に数が設定された初期設定をも含み得る。
グループ設定は、患者体重制限、患者BSA制限、空気アラーム感度、閉塞感度、KVO速度初期設定、VTBI限度などを含み得る。グループ設定はまた、高リスク注入についてプログラムされた注入の再検討が必要か否か、ユーザは注入開始前に身元を証明しなければならないか否か、ユーザは限度を超えた場合にコメント文を入力しなければならないか否か、といったパラメータをも含み得る。ユーザはまた、画面輝度またはスピーカ音量など様々な属性の初期設定も定義し得る。一部の実施形態において、ユーザは時刻など、ただし時刻に限らず、1つまたは複数の条件に関連して画面輝度を画面が自動調節するようプログラム可能であってもよい。
同じく図322のブロック図の左に記載の通り、各施設は施設内で使用され得るすべての注入剤を定義する「マスタ薬剤リスト」を有し得る。「マスタ薬剤リスト」は、有資格者が更新または維持し得る多数の薬剤を含み得る。例示の実施形態において、「マスタ薬剤リスト」は3種類の薬剤、すなわちヘパリン、0.9%生理食塩水およびアルテプラーゼのみ掲載している。施設内の各グループは、グループ内で使用する薬剤のリストを独自に有し得る。例示の実施形態において、「グループ薬剤リスト(ICU)」は1つの薬剤、ヘパリンのみ含む。
記載の通り、各薬剤は1つまたは複数の臨床使用と関連付けられ得る。図322において、「臨床使用記録」はグループ薬剤リスト内の薬剤ごとに定義され、毎回の注入について展開後の小見出しとして現れる。臨床使用は、注入の臨床使用について限度や既定の設定を個別に調整する際に使用され得る。ヘパリンの場合、体重ベース投与と非体重ベース投与が、図322において、可能な臨床使用として示されている。一部の実施形態において、注入開始前に患者の体重(またはBSA)の再検討または再入力をユーザに要求する、「臨床使用記録」設定が設けられ得る。
臨床使用はまた、各注入剤の様々な医療用途(脳卒中、心臓発作など)について、当該注入剤の投与モードに代わり、またはそれに加えて定義され得る。臨床使用はまた、注入剤の投与形態が第1の連続注入、第1の断続的注入、第2の注入などのうちどれであるかの定義にも使用され得る。臨床使用はまた、用量、速度、VTBI、持続時間などに対する適切な制限の賦課にも使用され得る。臨床使用はまた、タイトレーション変更限度、ボーラスの可用性、負荷用量の可用性およびその他多数の注入特有のパラメータをも提供する。一部の実施形態において、グループ薬剤リストにおける各注入剤について、少なくとも1つの臨床使用の提供が必要となり得る。
それに加えて、各臨床使用は、濃度も定義され得る、別の、展開後の小見出しを含み得る。一部の事例において、1つの注入剤について複数の可能な濃度が存在し得る。図322で例示の実施形態において、体重ベース投与の臨床使用は、400mg/250mLの濃度と800mg/250mLの濃度を有する。非体重ベース投与の臨床使用は、1つの濃度、400mg/mLのみ有する。濃度はまた、例えばユーザが注入剤の濃度をカスタマイズし得る許容可能範囲の定義にも使用され得る。濃度設定は、薬物濃度(記載の通り)、希釈剤容積または他の関連情報を含み得る。
一部の実施形態において、ユーザは図312〜図316に記載のパラメータ入力フィールドの一部の入力に際し、「薬物投与ライブラリ」を探索し得る。ユーザはまた、蠕動ポンプ2990が投与する注入の種類を各注入剤の臨床使用から選択する際も、「薬物投与ライブラリ」を探索し得る。例えば、ユーザが図322に記載のヘパリンの体重ベース投与を選択したとすると、GUI3300は図315に記載の注入プログラミング用画面を、薬剤パラメータ入力フィールド3302が「ヘパリン」と入力された状態で表示し得る。薬物の臨床使用を選択すると、ユーザは薬物濃度の選定も促され得る。この濃度はその後、濃度パラメータ入力フィールド3308の入力に使用され得る(図312〜図316参照)。一部の実施形態において、「薬物投与ライブラリ」は、蠕動ポンプ2990の外部で更新および維持され、そして何らかの適切な手段を介して蠕動ポンプ2990へ伝達され得る。係る実施形態において、「薬物投与ライブラリ」は蠕動ポンプ2990側で変更可能でなくてもよいが、図312〜図316に記載のパラメータ入力フィールドにユーザが入力するためのプログラミングの選択肢に制限および/または制約を課すことのみ可能であってもよい。
前述の通り、グループ薬剤リストから薬剤と臨床使用を選択することにより、ユーザは、注入プログラミング用画面向けの他のパラメータ入力フィールドに対する制限も設定し得る。例えば、「薬物投与ライブラリ」内の薬剤を定義することにより、ユーザは用量パラメータ入力フィールド3310、投薬速度パラメータ入力フィールド3318、流量パラメータ入力フィールド3312、VTBIパラメータ入力フィールド3314および時間パラメータ入力フィールド3316などについても制限を定義し得る。これらの制限は、ある注入剤の臨床使用の都度、ユーザによる注入プログラムに先立って事前に定義され得る。一部の実施形態において、柔軟な制限と厳格な制限両方を設けることができ、厳格な制限は柔軟な制限の上限に当たる。一部の実施形態において、グループ設定はグループが利用可能なすべての薬剤についての制限を含み得る。そのような場合、臨床使用制限は、特定の薬剤の毎回の臨床使用に合わせてグループ制限をさらに調整するよう定義され得る。
例示のバッテリおよびスピーカ・テスト
図323は、本開示の一実施形態に従ったスピーカ3615およびバッテリ3420を有する回路図13420を示している。バッテリ3420をバックアップのバッテリ3450(図325A)とすることがあり、かつ/またはスピーカ3615をバックアップのアラーム・スピーカ3468(図325B)とすることがある。すなわち回路13420を、例えば蠕動ポンプ2900などの医用デバイス内にあるバックアップ・アラーム回路などのバックアップ・アラーム回路とすることがある。
本開示のいくつかの実施形態ではそのバッテリ3420は、スピーカ3615と同時にテストされることがある。スイッチ13422が開位置にあるとき、バッテリ3420の開回路電圧を測定するために電圧計13425を用いることがある。その後で、スイッチ13422が閉じられることがあり、またバッテリ3420からの閉回路電圧が測定されることがある。バッテリ3420の内部抵抗は、スピーカ3615の既知のインピーダンスZを用いて推定されることがある。バッテリ3420の内部抵抗を推定するためにはプロセッサ(例えば、蠕動ポンプ2900のプロセッサ)を用いることがある。このプロセッサは、バッテリ3420の内部抵抗をバッテリ3420の健全性と相関させることがある。本開示のいくつかの実施形態では、バッテリ3420の閉回路電圧が所定のレンジ(このレンジはバッテリ3420の開回路電圧の関数とすることがある)域内にない場合に、そのスピーカ3615が故障したと判定することがある。
本開示のいくつかの追加の実施形態ではそのスイッチ13422は、スピーカ3615がバッテリ3420と同時にテストされるように調整されることがある。スピーカ3615が所定の動作パラメータ(例えば、ボリューム、周波数、スペクトル組成、その他)の域内にある信号を聴取可能に放送しているか否か判定するためにマイクロフォン3617を用いることがあり、かつ/またはバッテリ3420の内部インピーダンスが所定の動作パラメータ(例えば、複素インピーダンスなど)の域内にあるか否か判定するためにこのバッテリ3420の内部インピーダンスが推定されることがある。マイクロフォン3617(図325C)はプロセッサと結合させることがある。それに加えて、または代替として、スピーカ3615に対して(例えば、スイッチ13422を調整することによって)テスト信号を加えることがありかつスピーカ3615の電流波形を電流センサ13426によって監視してスピーカ3615の総高調波歪みおよび/または電流の大きさを決定することがあり、電流センサ13426を用いてスピーカ3615内に故障条件が存在する(例えば、総高調波歪みまたは電流の大きさが所定のレンジ域内にない)か否か判定するためにプロセッサによってこれらの値を監視することがある。
スピーカ3615のインピーダンスを測定するためおよび/またはバッテリ3420のインピーダンスを測定するためには、様々な正弦波、周期性波形および/または信号がスピーカ3615に加えられることがある。例えば、本明細書に開示した蠕動ポンプ2900のプロセッサは、バッテリ3420およびスピーカ3615が所定のレンジ域内のインピーダンスを有するか否か判定するためにスイッチ13422を調整しかつバッテリ3420にまたがる電圧を測定することがあり、バッテリ3420の推定インピーダンスが第1のレンジ外にある場合にプロセッサはバッテリ3420が故障条件にあると判定することがあり、かつ/またはスピーカ3615の推定インピーダンスが第2のレンジ外にある場合にプロセッサはスピーカ3615が故障条件にあると判定することがある。それに加えて、または代替として、プロセッサがバッテリ3420またはスピーカ3615が故障条件を有するか否か判定することは不可能であるが、故障条件にあるものが少なくとも1つ存在すると決定された場合に、プロセッサは回路13420が故障条件にあるとの警報またはアラームを発生させることがある。プロセッサは、ユーザまたはリモートのサーバに対して故障条件に関するアラームまたは警報を出すことがある。本開示のいくつかの実施形態ではその蠕動ポンプ2990は、その故障が対処、緩和および/または矯正を受けるまで動作することがない。
電気システム
図324、325A〜325Gのブロック概略図は、蠕動ポンプ2990の電気システム4000を説明している。電気システム4000は、ユーザ・インターフェース3700およびセンサ3501からの入力に基づいて蠕動ポンプ2990の動作を制御する。電気システム4000は、充電式メイン・バッテリ3420とACメインにプラグ接続したバッテリ充電3422とからなる電力システムとすることがある。電気システム4000は、冗長式セーフティ・チェックによって安全な動作を提供するように構築されるとともに、蠕動ポンプ2990に対していくつかのエラーについては故障動作モードでまたそれ以外についてはフェールセーフでの動作を可能にさせることがある。
電気システム4000の高レベルのアーキテクチャを図324に示している。電気システム4000は、図255に示すポンプ2990(または本書で記載した他の如何なるポンプ)を制御し、運転し、監視するのに用いられ、あるいは一緒に用いられてもよい。一例では電気システム4000は、2つのメイン・プロセッサと、リアルタイム・プロセッサ3500と、ユーザ・インターフェースおよびセーフティ・プロセッサ3600と、からなる。この電気システムはまた、ウォッチ・ドッグ回路3460と、モータ制御素子3431と、センサ3501と、入力/出力素子と、を備えることがある。リアルタイム・プロセッサ(RTP)3500と呼ばれる1つのメイン・プロセッサによって、プランジャ3091および弁3101、3111を作動させるモータ3072の速度および位置を制御することがある。RTP3500は、センサ3501からの入力ならびにユーザ・インターフェースおよびセーフティ・プロセッサ(UIP)3600からのコマンドに基づいてモータ3072を制御する。UIP3600は、遠隔通信の管理、ユーザ・インターフェース3701の管理、ならびにRTP3500に対するセーフティ・チェックの提供を行うことがある。UIP3600は、モータ・エンコーダ3438の出力に基づいてポンピングされる容積を推定しており、またその推定容積が所望の容積またはRTP3500により報告される容積からある指定量を超えて異なったときにアラームまたは警報を信号伝達することがある。ウォッチ・ドッグ回路3460は、RTP3500の機能を監視している。RTP3500がウォッチ・ドッグ3460を予定通りにクリアできなかった場合、ウォッチ・ドッグ3460はモータ制御器を無効化し、アラームを鳴動させかつユーザ・インターフェース3701の位置にある故障ライトを点灯させることがある。センサ3130は、カム・シャフト3080およびプランジャ3901の回転位置を測定することがある。RTP3500は、以下で説明するような閉ループ制御器内においてモータ3072の位置および速度を制御するためにセンサ入力を用いることがある。この遠隔通信は、中央のコンピュータまたは付属装置と通信するためのWIFIドライバおよびアンテナと、付属装置、タブレット、携帯電話機その他と通信するためのブルートゥース・ドライバおよびアンテナと、RFIDタスクおよびブルートゥース向けの近距離通信(NFC)ドライバおよびアンテナと、を含むことがある。図324ではこれらの構成要素を一括して参照番号3721で示している。ユーザ・インターフェース3701はユーザと通信するために、ディスプレイと、タッチ画面と、1つまたは複数のボタンと、を含むことがある。
電気システム4000に関する詳細な電気的接続および構成要素については図325A〜325Gに示している。図325Aには、センサ3130、3530、3525、3520およびRTP3500の一部分を示している。RTP3500に接続された蠕動ポンプ2990を監視するセンサは、カム・シャフトの位置を監視する回転位置センサ3130と、図示したようなプランジャ3091の位置を測定する2つのリニア・エンコーダ3520、3525と、を備えることがある。一方のリニア・エンコーダ6001は、プランジャ3091の上流側にあるマグネット(図268および282の3196)の位置を測定している。もう一方のリニア・エンコーダ6002は、プランジャ3091の下流側にある第2のマグネット3197(図268および282参照)の位置を測定している。別の実施形態ではそのプランジャの位置は、単一のマグネットおよびリニア・エンコーダによって測定されることがある。別法としてRTP3500は、一方のリニア・エンコーダのみの出力を用いることがある(もう一方が故障している場合)。サーミスタ3540によって、注入チューブ3210の温度を表している信号をRTP3500に提供する。別法としてサーミスタ3540は、蠕動ポンプ2990の温度を測定することがある。
図示したように電気システム4000は、如何なる適切な構成要素部品番号を使用してもよい。例えばサーミスタ3540は、「2X SEMITEC 103JT−050 ADMIN Set THERMISTOR」であってもよい。しかし、電気システム4000は、如何なる特定の部品番号のセットに限定されず、本開示は、電気システム4000の構成要素を特定の部品番号に限定していると解してはならない。種々の実施形態では、図325A〜325Gにリストした電気システム4000の部品の代わりに適当な代用構成要素を用いることがある。いくつかの実施形態では、その電気システム4000は追加の構成要素を備えることがある。いくつかの実施形態ではその電気システム4000は、図325A〜325Gに示した構成要素の数と比べてより少ない構成要素を備えることがある。
蠕動ポンプ2990の下流側に配置させた2つの注入チューブ・センサと、エア・イン・ライン・センサ3545と、閉塞センサ3535と、をRTP3500に接続させることがある。エア・イン・ライン・センサ3545は、注入チューブ3210のエア・イン・ライン・センサ3545の近くにある区画における空気の有無を検出する。一例ではそのエア・イン・ライン・センサ3545は、超音波センサ3545Bと、論理ユニット3545Aと、信号条件付けユニット3545Cと、を備えることがある。
閉塞センサ3535は、注入チューブ3535内における流体の内部圧力を測定する。例示の一実施形態ではその閉塞センサ3535は、力センサ3535Bと、電流励起IC3535Aと、信号増幅器3535Cと、データ・バッファ3535Dと、を備えることがある。データ・バッファ・チップ3535Dは、力センサ3535Bに加えられた圧力からの大きな力に由来する過剰電圧からRTP3500を保護することがある。
図325A〜325Cにはウォッチ・ドッグ回路3460を示している。このウォッチ・ドッグ回路は、RTP3500からのI2Cコマンドによって有効化される。ウォッチ・ドッグ回路3460は、RTP3500からの信号が指定された周波数で受け取れない場合に、エラーを信号伝達するとともにモータ制御3430を無効化する。ウォッチ・ドッグ回路3460は可聴アラームを介してユーザに信号伝達する。この可聴アラームは、増幅器3464および/またはバックアップ・スピーカ3468を介して発せられることがある。ウォッチ・ドッグ回路3460は、視覚的アラームLED3750(図325Dに図示)によってユーザに信号伝達することがある。一実施形態ではそのRTP3500は、ウォッチ・ドッグ回路の最終の「クリア(clear)」後10msから200msの間にウォッチ・ドッグ回路3460をクリアしなければならない。一実施形態ではそのウォッチ・ドッグ回路3460は、ウィンドウ・ウォッチ・ドッグ3450Aと、1つまたは複数のフリップフロップ・スイッチを含んだ論理回路3460Bと、I2Cバスを介してRTP3500と通信するIOエキスパンダ3460Cと、からなる。バックアップ・バッテリ3450はメイン・バッテリ3420が故障した場合に、ウォッチ・ドッグ回路3460と、バックアップ・スピーカ・システム(オーディオ増幅器3464およびバックアップ・スピーカ3468を備えることがあり得る)と、に電力を提供する。バックアップ・バッテリ3450は、内部計時を維持するためにRTP3500とUIP3600とに電力を提供する(このことはメイン・バッテリ3420を交換する際に特に望ましいものとなり得る)。RTP3500はまた、図325Aに示した「FAIRCHILD FPF1005 LOAD SWITCH」3452などのスイッチによってバックアップ・バッテリ3450の電圧を監視することがある。
RTP3500は、プランジャおよび弁の位置および速度を制御するモータ3072の速度および位置を直接制御する。モータ3072は、ブラシDCモータ、ステッパ・モータまたはブラシレスDCモータを含む多くのタイプのモータのうちのいずれとすることもできる。図325〜325Gに示した実施形態では、蠕動ポンプ2990は回転位置センサ3130がカム・シャフトの位置を測定した位置においてブラシレス直流(BLDC)サーボ・モータ3072によって駆動されている。例示の一実施形態ではRTP3500は、ブラシレスDCモータ3072のホール・センサ3436から信号を受け取るとともに、所望の速度または位置を達成するためのモータ3072の巻線への電力を算定するための計算を行う。この算定信号は、巻線をモータ電源3434に選択的に接続するモータ・ドライバ3430に送られる。モータ3072は、電流センサ3432および温度センサ3072aを介して損傷性の動作や危険な動作の有無について監視を受けている。
ホール・センサ3436からの信号はRTP3500とエンコーダ3438との両方に供給されることがある。一実施形態では、3つのホール・センサ信号が生成される。この3つのホール信号のうちの任意の2つがエンコーダ3438に送られる。エンコーダ3438はこれらの信号を用いて、UIP3600に位置信号を提供することがある。UIP3600は、エンコーダ3438の位置信号を解釈することによって蠕動ポンプ2990が分配する流体の総容積を推定する。UIP3600は、カム・シャフトの全回転回数に所与のストローク容積を掛け算することによって総容積を推定する。UIP3600の総容積推定では、各プランジャ・ストロークによって所与の流体量が供給されることを前提としている。1回のストロークで供給される流体の量は、開発中に実験的に決定されてメモリ内に保存される。別法として各蠕動ポンプ2990は、メモリ内に保存されることがある公称の容積/ストロークを確立するために組み上げの間に較正されることがある。UIP3600の推定した容積は次いで、指令された治療が期待する容積と定期的な間隔で比較されることがある。いくつかの実施形態では、その比較間隔は特定の注入剤(例えば、短半減期の注入剤)では短くすることがある。治療では、パラメータの中でもとりわけ、流量、持続時間または注入しようとする総容積(VTBI)を指定することがある。いずれの場合でも、当該治療中の所与の時点におけるプログラムされた治療に関して期待される容積が計算されてUIP3600によって推定した容積と比較されることがある。UIP3600は、UIP3600による推定容積と治療が期待する容積の間の差が事前定義の閾値の域外にある場合に警報を信号伝達することがある。UIP3600は、UIP3600による推定容積と治療が期待する容積の間の差が別の事前定義の閾値の域外にある場合にアラームを信号伝達することがある。
UIP3600はまた、推定した回転角をRTP3500によって報告された容積と比較することがある。UIP3600は、UIP3600による推定容積とRTP3500の報告容積の差が事前定義の閾値の域外にある場合に警報を信号伝達することがある。UIP3600は、UIP3600による推定容積とRTP3500の報告容積の差が第2の閾値の域外にある場合にアラームを信号伝達することがある。
UIP3600はまた、推定した容積またはRTP3500によって報告された回転パルスの数を比較することがある。UIP3600は、UIP3600による推定回転角または回転パルス数とRTP3500が報告した値の差が事前定義の閾値の域外にある場合に警報を信号伝達することがある。UIP3600は、UIP3600とRTP3500の値の差が第3の閾値の域外にある場合に警報を信号伝達することがある。
いくつかの実施形態ではそのUIP3600は、RTP3500の報告容積を治療が期待する容積と比較するとともに、この2つの値が事前定義の閾値を超えて異なる場合に警報を信号伝達することがある。UIP3600は、RTP3500の報告容積と治療が期待する容積の間の差が事前定義の閾値を超えて異なる場合にアラームを信号伝達することがある。警報およびアラームの閾値の値は、UIP3600による推定容積、RTP3500による計算容積および治療が期待する容積を含む異なる容積の組の間での比較について異なることがある。これらの閾値はメモリ内に保存されることがある。これらの閾値は、薬剤、薬剤濃度、治療種別、臨床用途、患者または箇所(ただし、これらに限らない)など多くの他のパラメータに依存して変化することがある。これらの閾値は、DERSデータベース内に含めておくとともに、デバイス・ゲートウェイ・サーバからダウンロードされることがある。
摺動クランプまたは摺動オクルーダ・センサ3152とドア・センサ3162とは、図325B、325Fに示したようにRTP3500とUIP3600の両者と連絡している。一実施形態ではこれらのセンサは、例えば摺動オクルーダ3200が検出されたときまたはドア・ラッチ・フック3025Cがポンプ本体を係合しているときに状態を変化させる磁気ヌル・センサである。RTP3500またはUIP3600は、プロセッサが摺動オクルーダ3200が適所にありかつドア・アセンブリ3021が適正に閉じられたことを示す信号を受け取っている間だけモータ電源3434を有効化することがある。
RFIDタグ3670(図325C)は、I2CバスによってUIP3600と近距離アンテナ3955とに接続させることがある。RFIDタグ3670は、蠕動ポンプ2990が電力未供給状態にあるときに情報を収集または保存するために医療技術者またはその他のユーザや担当者によって用いられることがある。UIP3600は、RFIDリーダによってアクセスを受けることが可能なRFIDタグ3670内に、サービス・ログまたはエラー・コードを保存することがある。医療技術者は例えば、格納してある電力未供給の蠕動ポンプ2990を検査することや、RFIDリーダを用いてRFIDタグ3670に問い合わせすることによって機能不良の蠕動ポンプ2990を評価することが可能である。別の例では医療技術者は、蠕動ポンプ2990に対してサービスを実行し、その関連するサービス情報をRFIDタグ3670内に保存することがある。UIP3600は次いで、最新のサービス情報をRFIDタグ3670から引き出し、これをメモリ3605内に保存することがある。
メイン・バッテリ3420は、蠕動ポンプ2990に対してすべての電力を供給することがある。メイン・バッテリ3420は、システム電力ゲート制御素子3424を介してモータ電源3434に接続されている。これらのセンサおよびプロセッサはすべて、いくつかの電圧レギュレータ3428のうちの1つによって電力供給を受けることがある。メイン・バッテリ3420は、バッテリ充電器3422およびAC/DC変換器3426を介してAC電力により充電される。UIP3600は、1つまたは複数のメモリ・チップ3605に接続されることがある。
UIP3600は、メイン・スピーカ3615およびオーディオ・チップ3610、3612を備えたメイン・オーディオ・システムを制御する。このメイン・オーディオ・システムは、例えば警報やアラームを示すあるレンジの音を発生可能とし得る。このオーディオ・システムはまた、タッチ画面3755およびディスプレイ3725とのユーザのやり取りを容易にしかつ改善するための確認音を提供することがある。メイン・オーディオ・システムは、メイン・スピーカ3615およびバックアップ・スピーカ3468の動作の確認に使用し得るマイクロフォン3617を含むことがある。このメイン・オーディオ・システムは1つまたは複数の音色、変調シーケンスおよび/または音調パターンを発生させることがあり、またオーディオcodecチップ3610はマイクロフォン3617から受け取った信号をメイン・スピーカ3615に送られる信号と比較することがある。1つまたは複数の音色の使用および信号の比較によってこのシステムは、周囲のノイズと無関係にメイン・スピーカ3615の機能を確認することが可能となる。別法としてUIP3600またはオーディオcodec3610は、マイクロフォン3617がスピーカ増幅器3612に信号が送られたのと同時に信号を発生させたことを確認することがある。
UIP3600は、あるレンジの異なるワイヤレス信号を異なる用途のために提供することがある。UIP3600は、チップ3621、3620および3622ならびにアンテナ3720、3722を用いたデュアル・バンドwifiを介して病院ワイヤレス・ネットワークと通信することがある。空間ダイバーシティとしたデュアル・アンテナによれば、室内にある複数の経路および相殺に由来するデッドスポットの克服を可能とし得るので望ましいものとなり得る。病院デバイス・ゲートウェイは、DERS(薬物過誤削減システム:Drug Error Reduction System)、CQI(継続的品質改善:Continuous Quality Imporvement)、処方、その他をwifiシステムを介して蠕動ポンプ2990に伝達することがある。
同じチップ3621、3620および3622とアンテナ3720、3722とを用いたブルートゥース・システムは、蠕動ポンプ2990に対してパルス・オキシメータ、血圧リーダ、バーコード・リーダ、タブレット、電話機、その他を含み得る補助装置を接続するための都合の良い方法を提供する。このブルートゥースは、例えば更新値を1分間に1回送るような連続式の血糖値計など、蠕動ポンプ2990と周期的に通信することがある低電力の補助装置に対応するバージョン4.0を含むことがある。
NFCシステムは、NFC制御器3624とアンテナ3724とからなる。制御器3624はまた、RFIDリーダと呼ぶこともある。NFCシステムは、薬物やその他の在庫情報を識別するRFIDチップの読み取りのために用いられることがある。このRFIDタグはまた、患者やケア提供者を識別するために用いられることもある。NFC制御器3624はまた、処方、バーコード情報、患者、ケア提供者ID、その他を含む情報を入力するために、例えば電話機やタブレット・コンピュータ上にある同様のRFIDリーダとやり取りすることがある。NFC制御器3624はまた、電話機やタブレット・コンピュータに対して蠕動ポンプ2990の履歴やサービス条件などの情報を提供することがある。RFIDアンテナ3720および3722またはNFCアンテナ3724は表示画面の周囲またはその近くに配置させることが好ましく、これによってポンプとのやり取りはすべて、RFIDタグの読み取りであるかディスプレイのタッチ画面3725、3735とのやり取りであるかに関わらず画面上またはその近くで行われる。
UIP3600は、その他の医用デバイスを蠕動ポンプ2990にプラグ接続しかつ追加の能力を提供できるような医療グレードのコネクタ3665を含むことがある。コネクタ3665はUSBインターフェースを実装することがある。
ディスプレイ3700は、アンテナ3720、3722、3725と、タッチ画面3735と、LEDインジケータ・ライト3747と、3つのボタン3760、3765、3767と、を含む。ディスプレイ3700は、画面輝度が周辺光に自動的に応答できるようにしたバック・ライト3727と周辺光センサ3740とを含むことがある。第1のボタン3760を「パワー」ボタンとすることがあり、また別のボタン3765を注入中止ボタンとすることがある。これらのボタン3760、3765、3767は、蠕動ポンプ2990に対する直接制御を提供せず、むしろ注入の開始と終了のいずれかをさせる信号をUIP3600に提供することがある。第3のボタン3767は、メイン・スピーカにおいてまた副次的スピーカにおいてアラームを鳴動停止させる。アラームが鳴動停止しても故障が排除されるのではなく、可聴アラームが終了することになる。上述した電気システム4000または上述した電気システム4000の代替実施形態は、リニア位置センサを伴う蠕動ポンプのいずれかと一緒に用いられることがある。
制御
このポンピング・アルゴリズムは、1回の全回転にわたるモータ3072の回転速度を変更することによって実質的に均一な流れを提供する。流れが少ない場合にモータ3072は、その回転のうちのプランジャ3091が患者に向けて流体を移動させていない部分において比較的高い速度率で回転する。流量が多くなるとモータ3072は、電力消費を最小化するためにその回転全体にわたってほぼ一定の速度で回転する。流量が多い場合にモータ3072の回転率は所望の流量に比例する。ポンプ・アルゴリズムは、患者に向けてポンピングされる流体の体積を測定するためにプランジャ3091の上側にあるリニア・エンコーダ3520、3525(図325A)を用いる。ポンプ・アルゴリズムは、患者に向けて導かれる空気に関する下流側閉塞、上流側閉塞/バッグの空き、漏れおよび量という条件のうちの1つまたはいくつかを検出するために、プランジャ3091の上側にあるリニア・エンコーダ3520、3525(図325A)と、カム・シャフト3080の近くにある回転エンコーダ3130(図325A)と、プランジャ3091の下流側にあるエア・イン・ライン・センサ3545と、を用いる。
弁3101、3111の開口およびプランジャ3091の位置に関する一実施形態を図326にプロットしている。図326には、再充填826、加圧835および送達840の期間840を含む3つの時間期間が識別される。さらに、期間「A」は加圧期間835と送達期間840の間に生じており、また期間「B」は送達期間840と再充填期間830の間に生じている。カム・シャフト3080の一回の全回転にわたってカム角度に対するセンサ信号のグラフ上に入口弁位置820、出口弁位置825およびプランジャ位置815をプロットしている。
再充填期間830は、入口弁820が注入チューブ3210から離れて保持されかつプランジャ3091がプランジャ・カム3083によって注入チューブ3210から持ち上げられている間に生じている。入口弁3101が閉じるのに伴って再充填期間830が終わりかつ加圧期間835が始まる。プランジャ・カム3083は、プランジャ3091が満たされた注入チューブ3210の上に着地できるように加圧期間835の間は完全に引っ込められている。加圧期間835は、プランジャ・カム3083がその最小値に到達する点をカム角度で数度過ぎると終わっている。待機期間「A」の後で、プランジャ3091に期待される高さに至るまでプランジャ・カム3083が持ち上げられる。送達期間840は、出口弁3111が開き始める時点で始まるとともに、出口弁3111が再度閉じられるまで継続する。プランジャ・カム3083が回転し、これにより患者に向けて流体を押し出す送達期間840の間にプランジャ3091が降下することになる。
いくつかの実施形態では、加圧期間837の間にプランジャ3091が圧盤3022(図257および259参照)に向かって事前定義の速さ(すなわち、プランジャ3091の速度)を超えて動くと、RTP3500は入口弁3101および出口弁3111の少なくとも1つが漏れていると判断し得る。加えて、代替として、あるいは、選択として加圧期間837の間にプランジャ3091の静止位置が圧盤3022(図296参照)に向けて閾値を超えている場合、RTP3500によりアンダーフィル状態(1種の異常)が生じていると考えられてもよい。加圧期間837の間のプランジャ3091の静止位置は、チューブ内の液体量に関係する。したがって、チューブが予測される液体量で満たされないと、加圧期間837の間のプランジャ3091の位置は、圧盤3022(図257および259参照)に近づくであろう。アンダーフィル状態は、チューブ内の空気、上流での閉塞、またはチューブに連結する流体源が空であることなどのために生じ得る。空気は、プランジャ3091によりチューブ内で容易に圧縮される。エア・イン・ライン感知器3066(図257)は、アンダーフィルがプランジャ3091下のチューブ内の空気により引き起こされているのか、アンダーフィルが上流側の閉塞または空の流体源(たとえば、IVバッグ)により引き起こされているのかを区別するのに、プロセッサにより用いられてもよい。RTP3500は、エア・イン・ライン感知器3066に結合され、出口弁3111(図257および260参照)が開いているときに液体がプランジャ3091により下流に排出されると排出された液体中にどれだけの空気があるのかを検査することによりアンダーフィルの原因を決定してもよい。仮にアンダーフィルが空気により引き起こされているならば、RTP3500は、閾値をこえたプランジャ3091の移動量に対応する空気の量を検出するであろう。RTP3500は、ルックアップ・テーブルを用いて、閾値を超えたプランジャ3091の移動量がルックアップ・テーブル内の範囲に対応するのかを判断してもよい。対応するならば、RTP3500は、空気がアンダーフィルを引き起こしたと判断してもよい。対応しないならば、RTP3500は、上流の閉塞および/または空の流体源がアンダーフィルを引き起こしたと判断してもよい。アンダーフィルの原因を、ポンプ2990のディスプレイ2994(図255参照)に表示してもよい。
RTP3500は、カム・シャフト3080の角度を測定している回転エンコーダ3130からの信号およびプランジャ3091の位置を測定しているリニア・エンコーダ3525、3520からの信号に基づいて各ストロークごとに患者に向けて送達される流体の体積を決定することがある。各ストロークの容積は、加圧期間835の終了時点のプランジャ3091の高さから送達期間840の終了時点のプランジャ3091の高さを差し引くことによって測定されることがある。プランジャ3091の高さは、その高さがプランジャ先端3091Bの圧盤3022からの距離に近い場合にリニア・エンコーダ3020、3025のうちの一方または両方の信号から決定されることがある。送達期間840の終わりおよび加圧期間835の終わりは、クランク・シャフトの角度を測定している回転エンコーダ3130から決定されることがある。測定された高さの差845は、ポンピングした容積および制御器にあるルックアップ・テーブルまたはメモリ内に保存された結果と実験的に関連付けされることがある。容積対ストロークのテーブルは、開発中に決定されることおよび製造時に各蠕動ポンプ2990内にプログラミングされることがある。別法としてプランジャ3091の高さに関して測定された変化は、製造プロセスの間において各蠕動ポンプ2990またはポンピング機構3000に関するポンピングした容積に合わせ較正されることがある。
一実施形態では、ポンピングされた容積がプランジャ3091の位置により次式のように較正される。
Vi=A+B*(hP−hD)
上式において、Viはポンピングした容積であり、AおよびBはフィッティング係数であり、hPは加圧期間835の終了時点のプランジャ3091の位置であり、かつhDは送達期間840の終了時点のプランジャ3091の位置である。
モータ3072の速度は、流量に伴って変化するとともに、流量がより少ない場合は単一の回転にわたって変化する。一例ではモータ3072の回転は、概ね750ml/時を超える指令流量では比較的一定である。モータ3072の速度は、取り込み中および概ね750ml/時未満の指令流量の送達流量では比較的緩慢な速度となるように制御される。
モータ3072は、加圧期間835の間はすべてのポンピング速度に関して一定速度で動いている。一例ではそのモータ3072は、最高流量での流体の送達に必要な速度で回転する。一例ではそのモータ3072は、加圧期間835の間は1200mL/Hrを送達する蠕動ポンプ2990に対応する800°毎秒で回転する。加圧期間835の間に固定の速い速度でモータ3072を動かすと、流体の流れの均一性を向上させる無流れの期間が最小化されるので有利となり得る。加圧期間835の間に固定の速い速度でモータ3072を動かすと、注入チューブ3210のプラスチック壁が各時点で同じ率で圧縮されることによって満たされた注入チューブ3210の高さに関して一貫した測定値が生成されるので有利となり得る。単一の理論に限定されるものではないがある理論では、プラスチック注入チューブ3210は圧縮を受けた後も屈曲状態(yield)を継続し、これにより圧縮と測定の間の時間が長い程、満たされた注入チューブ3210について得られる高さがそれだけ低くなる。このプラスチックは、圧縮率に伴ってプラスチックの歪み量が変化し、これが次いでプラスチック注入チューブ3210の測定高さを変化させることになるような粘弾性特性を示すことがある。
「低流量モード」
所望の流量を得るためのポンピング・アルゴリズムは、より大きな流量と比べて比較的少ない流量に関しては再充填期間と送達期間830、840の間におけるモータ3072の速度について異なった制御をし得る。
低流量モードではモータ3072は送達期間840の間において、カム・シャフト3080の位置を制御して事前定義の容積軌道を生成するように制御を受ける。この容積軌道とは、時間に対する患者に送達される流体の体積のことである。この事前定義の容積軌道は通常は、カム・シャフト3080の多くの回転にわたって生じており、このため送達期間840は1回の全回転分の流体をそれだけ短い送達期間840において軌道速度で送達しなければならない。
再充填期間830の間のモータ3072の速度は、プランジャ3091の位置における加圧期間835の終了時点での測定に従ってフル注入チューブ3210が生成されるように調整される。注入チューブ3210が直前のポンプ・サイクルにおいて満たされていなければ制御器はモータ3072の速度を減速させることになる。再充填期間830は、キャビテーションおよび気泡発生を最小化するためにプランジャ3091がハード・ストップ3022A(図277)からゆっくりと(より低流量で)引き上げられるように選択される。
その他のすべての時点においてはモータ3072は送達ストローク速度で回っている。簡単にいえばこれは、軌道容積に対応するためにカム・シャフト3080が回転を完了しなければならない速度であり、毎秒500°を超える値に制限される。
「大流量モード」
大流量モードでは、再充填期間と送達期間830、840は送達ストローク速度で生じる。加圧期間835は毎秒800°で生じ続ける。この送達ストローク速度は、直前の容積測定に基づいて継続して更新される。
送達ストローク速度
送達ストローク速度とは、制御器が必要とする流量を維持するためにカム・シャフト3080が回転する必要がある速度である。この値は、毎秒500°(概ね700mL/時)を超える速度に制限される。この値はまた、蠕動ポンプ2990が1回のストローク当たり80μLしか送達しないような場合に必要とされる流量の維持に要する速度未満に制限される。これでは、かなりの充填不足となり、また蠕動ポンプ2990の上流側における何らかの問題の帰結である可能性がある。この速度は、図327に示したように送達される目下の容積、送達される必要容積、直前のストローク容積、および必要流量を用いて計算される。
A=直前ストロークの終了時点の軌道容積
B=直前ストロークに関する計測送達体積
D=期待されるストローク容積
C=B+D−A
T=必要とされる軌道流量
C=T(t)
一貫した流量を達成するためには、特に低流量送達の間において、プランジャ3091を下げる速度を制御しなければならない。その目標は、その流れをできる限り連続的としかつ軌道容積の近くに維持することにある。このことは、蠕動ポンプ2990が送達(再充填、加圧、その他)をしていない期間のために複雑となる。
連続した流れを達成するためには送達ストロークの開始時において、直前のストロークの一部として送達される容積を軌道容積と等しくすべきである。このことによって、円滑な初期送達が保証される(キャッチアップのための初期「ラッシュ」が回避される)。これを実現するには、直前のストロークの終了までに蠕動ポンプ2990が再充填および加圧830、835フェーズの間に得られる容積だけ過剰送達していなければならない。この過剰送達体積は送達ストロークの全体にわたって加えられており、このため開始時点では全く加えられていないが、終了時点までにその全容積が追加されている。
追加の検討は充填容積である。図328は、数ポンプ・サイクルの間における送達体積対カム角度を様々な充填容積にわたって示したグラフである。完全に満たされたポンピング・チェンバ(概ね、150μL)の場合、出口弁3111が最初に開くと流体の噴出が発生する。別法として、充填容積が約130μLより少ない場合、流体を引き込む傾向がある。これらの現象はいずれも流れの連続性にマイナスの影響を及ぼす。これを緩和するためにいくつかの実施形態では、これらの影響を最小化するように目標充填容積が設定される。
図328のグラフは、複数の送達ストロークについて送達体積を135μLに正規化して表している。充填容積に関する調整がされていればこのストロークの大部分は反復可能である。このすべてに関する結果は、必要容積が与えられたときにカム・シャフト3080の所望の角度を計算するような3次関数となる。関連する式については以下を参照されたい。
変数
n=目下の送達ストローク
i=目下のモータ制御ISRサイクル
f(x)=3次多項式当てはめ
En=目下の1送達ストロークごとの充填容積が与えられたときの期待されるパルスの大きさ
Pn=1送達ストロークごとのf(x)当たりのパルスの大きさ(一定値)
Sn=目下のストロークの期待される容積不足
Ti=軌道を介した目下の目標容積
Vn−1=直前の送達ストロークの完了時点で計測した送達体積
Qi=時刻iにおいて送達する目標容積
Fi=ストロークのうち時刻iにおいて完了した比率
On=過剰容積(サイクルの非送達部分の間の軌道容積増加)
θi=必要とするカム・シャフト角度
θ0=送達ストロークの開始時点の初期カム・シャフト角度
式
いくつかの実施形態では、送達ストローク中のモータ3072の速度は送達ストローク速度を超えないように制限される。この結果、速い速度では、必要とされる位置が常に速度制限位置の前側に来ることになる。流量がより少ない場合は、カム・シャフト3080の位置は計算された位置に速やかに到達し、続いて上のアルゴリズムに従う。
「下流側閉塞検出」
制御器は、送達期間840の間、直前の再充填期間830の間に閉塞検出器3535(図257の3068)の位置で測定した圧力または力と、直前のポンプ・サイクルからのフィルタ処理済みの圧力データと、の比較によって下流側閉塞が存在するか否か判定することがある。ここでポンプ・サイクルとは、再充填、加圧および送達の期間(830、835、840)を生成するようなカム・シャフト3080の1回の全回転のことである。下流側閉塞は、閉塞状態が生じた場合にプロセッサが存在すると判定することになる。いくつかの実施形態では、閉塞状態は以下のパラグラフに記載した等式を用いて存在すると判断され得る。
f=低域通過フィルタ定数
IPMIN=治療が始まってからのPMINの変化の合計
PMINi=ポンプ・サイクルi中で出力弁が閉じている間の最小圧力
PMAXi=ポンプ・サイクルi中で出力弁が閉じている間の最大圧力
ΔFPMINi=最小圧力の低域通過フィルタで処理した変化を減じたポンプ・サイクルiの最小圧力の変化
ΔPL=治療中に記録された最低圧力を減じた第1ポンプ・サイクルの最小圧力
ΔPMINi=ポンプ・サイクルiの最小圧力(PMINi)と直前のポンプ・サイクルの最小圧力PMINi−1の差に等しい最小圧力の変化
ΔP* MINi=最小圧力の変化の低域通過フィルタで処理した値
ΔPPi=1ポンプ・サイクルでの圧力の最大変化
ΣΔPMINi=治療の開始から目下のサイクルiまでの最小圧力(PMIN)の変化の合計
センサ3545Bによって測定された圧力または力は、スプリアス・ノイズを拒絶するために低域通過フィルタ処理されることがある。一実施形態ではその低域通過フィルタは、1000Hzを超えるノイズを拒絶することがある。図329にはフィルタ処理済みの仮想圧力を時間の経過に対してプロットして示しており、この中で圧力は、出口弁3111(図259)が閉じているときのより低い圧力850と、出口弁3111が開いており注入チューブ3210を通して流れに力が加わって圧力センサ3535Bに押し当てられている高い圧力851と、の間で往来している。下流側閉塞があると、流体が患者の方向に押される際に生成される流れ抵抗が大きくなり、このために拘束された流体が部分閉塞部を通過してゆっくりと流れることによってピーク圧力が高くなりかつ/または出口弁3111が閉じているときの圧力が高くなる。
下流側閉塞テストの例示の実施形態はΔPMINiを一定の値と比較してもよい。ここで、ΔPMINiは、(1)ポンプ・サイクルiの最小圧力(PMINi)と(2)直前のポンプ・サイクルの最小圧力PMINi−1との差に等しい連続したサイクルの最小圧力の差である。ΔPMINiが事前定義の値より大きい場合、プロセッサは閉塞を宣言してもよい。すなわち、プロセッサ(例えば、図324のRTP3500)は、圧力センサ368(図357参照)からの圧力信号を用いて、第1のサイクルの第1の底の圧力レベルと第2のサイクルの第2の底の圧力レベルが所定の閾値より大きいときに下流側閉塞が存在すると判断するようになされる。圧力センサ368からの圧力信号は、フィルタ処理(アナログまたはデジタル・フィルタ処理)をされても、フィルタ処理をされなくてもよい。第1のサイクルと第2のサイクルとは互いに連続している。用語「第1の」と「第2の」は、サイクルの順番や先行を示すことを意味するのではなく、判断のために用いられる2つのサイクルがあることを示すために用いられる。各サイクルの圧力または容積データは、0からnサイクルまで各ポンプ・サイクルで値を増加するカウンタで参照されてもよい。目下のポンプ・サイクルはサイクルiとして参照される。ここで、所与のサイクルの圧力、容積、その他のデータは、PMINiがサイクルi中の最初圧力であるように、添え字で識別される。ΔPMINiは、目下のポンプ・サイクルの最小圧力(PMINi)と直前のポンプ・サイクルの最小圧力PMINi−1との差である。
代替として、最小圧力の変化の低域通過フィルタで処理した値(ΔP* MINi)が第1の所与の閾値を超えた場合に、プロセッサはサイクルiに対して下流側閉塞を宣言してもよい。アスタリスクは、一連の圧力データが時間領域で低域通過フィルタ処理されることを示す。最小圧力の変化(底−底の圧力)の低域通過フィルタで処理した値は、最小圧力の新しい変化の重み付け値(ΔP* MINi)を最小圧力の変化の直前のフィルタ処理された値(ΔP* MINi−1)に加算することで算定してもよい。
ΔP* MINi=f*ΔPMINi+(1−f)*ΔP* MINi−1
上式において、fは最新のデータに対する重み付け値である。一例では、fに関する重み付け値は0.05である。フィルタ処理された圧力データΔP* MINiの本当に最初のサンプルは、ΔPMINi(ここで、i=1,2,3等)に設定されてもよい。別の実施形態では、以下の等式を用いて低域通過フィルタ処理をする:
ΔP* MINi=ΔP* MINi−1+f((Pmini−Pmini−1)−2ΔP* mini−1)
別の実施形態では、目下の最小圧力の変化(ΔPMINi)と低域通過フィルタ処理した最小圧力の変化(ΔP* MINi)の差が第2の所与の閾値より大きい場合に、プロセッサはサイクルiに対し下流側閉塞を宣言してもよい。目下の最小圧力の変化と低域通過フィルタ処理した最小圧力の変化の差は、ΔFPMINi=ΔPMINi−ΔP* MINiとして算定される。すなわち、プロセッサ(例えば、図324のRTP3500)は、圧力センサ368(図357参照)からの圧力信号を用いて、差が所定の閾値より大きいときに下流側閉塞が存在すると判定するようになされる。ここで、差は、(1)複数のサイクルの一連の連続した底−底の圧力値のフィルタ処理した値を(2)底−底の圧力値から引いた値である。圧力センサ368からの圧力信号は、フィルタ処理(アナログまたはデジタルフィルタ処理)されても、フィルタ処理されなくてもよい。
別の実施形態では、最小圧力の変化(サイクルとサイクルの変化)の合計が第3の所与の閾値を超えたときに下流側閉塞が宣言され、PMINの変化の合計(IPMIN)は、治療の始めから最小圧力の全ての変化を合計し、第1のポンプ・サイクルの最小圧力(PMIN0)と目下の治療中に記録された最小圧力との差を加えて算定し:
IPMIN=ΣΔPMINi+ΔPL
上式においてΔPLは、初期圧力から記録された最低圧力を減じた値である。IPMINが第3の所与の値を超えたとすると、制御器は閉塞を宣言してもよい。すなわち、プロセッサ(例えば、図324のRTP3500)は、圧力センサ368(図357参照)からの圧力信号を用いて、複数のサイクルの各連続した底−底の圧力値の合計が所定の閾値より大きいときに下流側閉塞が存在すると判断するようになされる。プロセッサ(例えば、図324のRTP3500)は、いくつかの特定の実施形態では、目下のサイクルの目下の最小圧力を、それより前の全てのサイクルの最低の監視された最小圧力と比較することにより、このテストを実行してもよい。例えば、プロセッサ(例えば、図324のRTP3500)は、圧力センサ368(図357参照)からの圧力信号を用いて、複数のサイクルのうちの1サイクルの底が複数のサイクルの全てのうちで最低の底より所定量大きいときに下流側閉塞が存在すると判断するようになされてもよい。圧力センサ368からの圧力信号は、フィルタ処理(アナログまたはデジタルフィルタ処理)されても、フィルタ処理されなくてもよい。
下流側閉塞テストの第4の例は、目下のサイクルの最小圧力(PMINi)を同じサイクルの最大圧力(PMAXi)から減じることにより、1サイクルでの圧力の最大変化(ΔPPi)を評価してもよく:
ΔPPi=PMAXi−PMINi
上式で、PMAXiは、送達期間840の間の最大圧力である。制御器は、1サイクルでの圧力の最大変化が第4の所与の閾値を超えた場合に下流側閉塞を宣言してもよい。すなわち、プロセッサ(例えば、図324のRTP3500)は、圧力センサ368(図357参照)からの圧力信号を用いて、複数のサイクルのうちの1サイクルでピークの圧力レベルと底の圧力レベルの差が所定の閾値よりも大きいときに下流側閉塞が存在すると判断するようになされる。圧力センサ368からの圧力信号は、フィルタ処理(アナログまたはデジタルフィルタ処理)されても、フィルタ処理されなくてもよい。下流側閉塞が発生すると、制御器はポンプに対して、閉塞部に加わる圧力を軽減するために蠕動ポンプ2990を通して流体を逆流させるように指令することがある。閉塞が軽減されるときに患者に流体ボーラスが向かうのを回避するために閉塞に加わる圧力を軽減することが有益となり得る。一例ではその閉塞は、蠕動ポンプ2990と患者の間で注入チューブ3210の挟まりやよじれを除くことによってクリアにさせることがある。
「上流側閉塞/エア・イン・ライン測定」
制御器は、1回のストローク当たりの測定容積および1回のストローク当たりの履歴容積の平均値に基づいて、上流側閉塞を検出するまたは患者に向けてポンピングされた空気の体積を決定することがある。制御器は、次式のようにして各ストロークごとの過少送達体積VUDiを計算する。
VUDi=Vavgi−Vi
Vavgi=fv*Vi+(1−fv)*Vavgi−1
上式において、fvは容積に関する重み付け係数であり、またViはサイクルiの間にポンピングされる流体の体積である。さらに追加の実施形態では、制御器は下記のようにVavgiを計算する:
Vavgi=Vavgi−1+fv(Vi−2Vavgi−1)
制御器は、直近のVUDが追加されるにつれて最も古い値を落としながら、いくつかのVUD値のバッファをメンテナンスしている。エア・イン・ライン検出器3545(図257の3066)が気泡を検出した場合、制御器はVUDiが気泡を表すものと見なすことになる。エア・イン・ライン検出器3545が空気を検出しない場合は、VUDiは過少送達の容積であると見なされる。制御器は、VUDiが所与の値を超えておりエア・イン・ライン検出器3545が空気を検出しない場合に、上流側閉塞を宣言することがある。制御器は、患者に向けてポンピングされた空気の体積を決定することがあるとともに、空気体積が第1の時間期間にわたって第1の値を超える場合に警報を、また空気体積が第2の時間期間にわたって第2の値を超える場合にアラームを信号伝達することがある。一例では制御器は、エア・イン・ライン検出器3545が空気の存在と第1の空気検出の前のある数のVUDiとを信号伝達しているときの各ストロークごとの過少送達体積(VUDi)の総和をとることによって気泡体積(VBUBBLE)を計算する。
VBUBBLE=ΣVUDi
一例ではVBUBBLEは、エア・イン・ライン検出器3545が空気の存在と第1の空気検出の前におけるこの3つのVUDiとを信号伝達しているときに各ストロークごとに計算される。
代替的な一実施形態では制御器は、各ストロークごとに過少送達体積VUDiを次式のようにして計算する。
VUDi=VT−Vi
上式において、VTは制御器内に格納されたあるポンプ・サイクルの公称容積である。この代替実施形態では制御器は、エア・イン・ライン検出器3545が空気の存在と第1の空気検出前のある数のVUDiとを信号伝達しているときに各ストロークごとの過少送達体積(VUDi)の総和をとることによって次式のようにして気泡の総容積(VBUBBLE)を計算する。
VBUBBLE=(VUDI−V* UDi)
V* UDi=fv*V* UDi+(1−fv)*V* UDi−1
上式において、V* UDiはVUDのフィルタ処理済み値であり、またfvは重み付け平均値である。他の実施形態では、V* UDiは以下のように計算される。
V* UDi=V* UDi-1+(fv*((VUDi+YUDi−1)−(2*V* UDi−1)))
一例ではVBUBBLEは、エア・イン・ライン検出器3545が空気の存在と第1の空気検出前の3つのVUDiとを信号伝達しているときに各ストロークごとに計算される。
一実施形態では、各気泡体積VBUBBLEがある設定時間期間をカバーする気泡体積のバッファに追加されるとともに、このバッファ内の気泡体積の総和が標準に対して評価される。気泡体積の総和が所与の閾値を超えているとき、制御器はライン内の空気(すなわち、チューブ内空気)についてアラームを出す。制御器は、患者から空気を引き戻すように蠕動ポンプ2990を逆転されることがある。一例ではそのバッファは、最も最近の15分間の動作を取り込んでおり、またその空気体積閾値は50から1000マイクロリットルの間の値に設定される。一例では、所与の値より少ない気泡体積が気泡体積の和の中に算入されることがある。一例では、10マイクロリットル未満の気泡体積を無視することがある。空気体積閾値は、ユーザ設定可能とすることがあり、またはデバイス・サーバ・ゲートウェイからダウンロードしたDERSデータの一部とすることがある。DERSおよびデバイス・サーバ・ゲートウェイについては、SYSTEM, METHOD, AND APPARATUS FOR ELECTRONIC PATIENT CAREに関する相互参照の本出願(整理番号第J85号)に詳細に記載されている。
「漏れテスト」
加圧期間835の終了時点において、プランジャL字形カム・フォロワ3090がプランジャ・カム3083上に載っておらずかつプランジャ先端3091Bが注入チューブ3210上に載っている間にプランジャ3091の位置を監視することによって漏れが決定される。プランジャ3091が所与の時間にわたって所与の値を超えるだけ移動していれば、流体が弁3101、3111を通過して漏れたことを示す。一実施形態では、プランジャ3091の位置を監視して弁3101、3111の間に漏れが存在するか否か判定するために、蠕動ポンプ2990を、加圧期間835の終了時点で毎6秒ごとに2分の1秒間停止させている。
「蠕動ポンプによる流体送達に関する状態図」
流体の送達を制御するソフトウェアに関する状態図を図330に示している。[送達トップ状態](本明細書において大文字表記のフェーズ(訳文では、[]内に入れて表記)は、その文脈に応じて、変数、プロセスまたはデータ構造、その他を示すことがあり得る)は、全ポンプ制御器3430に関する[上位状態]であるとともに、[待機状態]と[作動状態]とを備える。ポンプ制御器3430の開始、送達の完了または送達の中止/アボートがあると、この[待機状態]に入る。[作動状態]は、モータ3072の作動または送達の実行を要するすべての状態に関する[上位状態]である。[作動状態]はまた、[フリーズ]コマンドを扱う。
[送達状態]は、送達の実行を要するすべての状態に関する[上位状態]である。この状態は、その目下の状態に応じて2つの挙動を有する中止コマンドを扱う。能動的な送達の間に指令があると蠕動ポンプ2990は目下のストロークが完了した後で送達を終了させることになる。蠕動ポンプ2990が現在フリーズ状態にある場合は、送達を即座に終わらせることになる。
[送達開始状態]は、送達サイクルの開始またはカム・シャフト3080の1回転を意味する。蠕動ポンプ2990は、目下の条件に応じて3つの状態のうちの1つに遷移することになる。直前の漏れチェック以降に十分な時間が経過していれば、[漏れチェック位置へ移動状態]がコールされる。直前の送達がフリーズして中間ストロークでアボートした場合、直前の送達が終了した箇所で送達を再開するために[プランジャの降下移動状態]に入る。そうでない場合は、モータ制御器3430は[被加圧位置へ移動状態]に遷移する。
[漏れチェック位置へ移動状態]は、モータ制御器3430に対して[弁閉鎖プランジャ降下]位置まで移動しその位置を保持するように指令する。モータ3072の速度は、毎秒800°で動くように指令される。カム・シャフト3080が所望の位置に達したとの通知を受け取ると、容積計算のために被加圧位置測定値が取られるとともに、[漏れチェック待ち状態]がコールされる。
[漏れチェック待ち状態]は、ある設定量の時間を経過し終えるまでアイドリング状態とし、これにより注入チューブ3210を整理させ、また漏れの場合には流体をポンピング・チェンバから逃がすことが可能となる。この時間が経過した後に、プランジャ3091の位置が再度測定されるとともに、漏れ条件の有無を決定するためにこれがその被加圧位置と比較される。故障検出器には、空気および閉塞に関する監視のために送達ストロークが開始されようとしていること、ならびに[プランジャ降下位置へ移動状態]がコールされたことが伝えられる。
[被加圧位置へ移動状態]は、モータ制御器3430に対して[弁閉鎖プランジャ降下]位置に向けて移動しその箇所に到達した時点で通知を送るように指令する。この位置に到達すると新たなコマンドが発せられるまで移動を続けることになる。モータ3072の速度は、毎秒800°で動くように指令される。
カム・シャフト3080が所望の位置に達したとの通知を受け取ると、容積計算のために被加圧位置測定値が取られるとともに、[プランジャ降下位置へ移動状態]がコールされる。故障検出器には、空気および閉塞に関する監視のために送達ストロークが開始されようとしていることが伝えられる。
[プランジャ降下位置へ移動状態]は、カム・シャフト3080の回転のうちの出口弁3111が開いている部分の全体にわたってカム・シャフト3080の位置を制御する。カム・シャフト3080の位置は、その流れの一貫性をできる限り維持しようと試みるような方式で制御を受ける。この状態の間では、モータ3072の速度はここでも、計算された送達ストローク速度を超えないように制限されている。モータ制御器3430がこの状態を抜け得るための経路は2つ存在する。第1のケースではこの状態は、カム・シャフト3080が[出口開放プランジャ降下]位置に達した後に通知される。別法として、ストローク中に総送達体積が指令された容積に達した場合に、カム・シャフト3080の位置がフリーズされるとともにその状態はストロークが完了したとの通知を受ける。
カム・シャフト3080が[出口開放プランジャ降下]位置に達したとの通知を受けると、そのプランジャ3091の位置が送達後位置測定値として保存されるとともに、故障検出器にはその送達ストロークが完了したことが伝えられる。この測定を用いることによって、送達された容積が(セクション3の較正を用いて)計算される。蠕動ポンプ2990が中間ストロークで停止となった場合に、送達された容積は目下の位置と充填容積とを用いて推定される。更新された送達体積情報を用いて、更新済みの送達ストローク速度が計算される。最後に、送達体積に到達したようなケースでは、蠕動ポンプ2990は[送達終了状態]をコールする。そうでない場合は、[充填位置へ移動状態]に入る。
[充填位置へ移動状態]はモータ制御器3430に対して[入口弁開放プランジャ上昇]位置([充填前ウィンドウ]を差し引く)に向けて移動しその箇所に到達した時点で通知を送るように指令する。この位置に到達すると新たなコマンドが発せられるまで移動を続けることになる。モータ3072の速度は、計算された送達ストローク速度で動くように指令される。所望の位置に到達すると、[充填位置通過状態]がコールされる。
[充填位置へ移動状態]はモータ制御器3430に対して[入口弁開放プランジャ上昇]位置([充填後ウィンドウ]を加える)に向けて移動しその箇所に到達した時点で通知を送るように指令する。この位置に到達すると新たなコマンドが発せられるまで移動を続けることになる。モータ3072の速度は、計算された再充填ストローク速度で動くように指令される(セクション8.3参照)。再充填ストローク速度は、この状態に入った時点で新たなモータ3072コマンドが発せられる前に計算される。所望の位置に到達すると、[送達終了状態]がコールされる。
[送達終了状態]は、その送達体積が得られたか否かまたは中止の要求がなされたか否かをチェックする。諾の場合には、モータ制御器3430が[待機状態]に入るとともに、カム・シャフト3080の位置は[入口弁開放プランジャ上昇]位置まで進むように指令される。そうでない場合は[送達開始状態]がコールされるとともに、新たな送達サイクルが始まる。
[作動状態]が[フリーズ]コマンドを処理しているときは[フリーズ状態]がコールされる。カム・シャフト3080の位置がその目下の位置にフリーズされるとともに、故障検出器および容積推定器は送達がフリーズされているとの通知を受ける。
[フリーズ状態]にある間に送達再開コマンドを受け取った場合は、状態マシンは[フリーズ状態]に入る前にあった状態に戻される。故障検出器と容積推定器の両者に対して、送達が再開されていることが知らされる。送達中止コマンドを受け取った場合は、[待機状態]がコールされる。
[較正状態]は、カム・シャフト3080およびプランジャ3091の位置の較正に伴う各状態に関する[上位状態]である。
[ホーム検出状態]はカム・シャフト3080の較正を実行する。この状態に入ると、[IOアクセス]クラスは較正が始まっているためある種のセンサ保護がオフになっている可能性があることが通知される。この状態は、そのプロセスが完了したのちに通知を受け取る。この通知を受け取ると、その較正値が不揮発メモリに送られる。最後に、[ホームへ移動状態]がコールされる。
[ホームへ移動状態]は単に蠕動ポンプ2990に対して、[入口弁開放プランジャ上昇]位置まで移動するように指令するだけである。この位置に到達すると、蠕動ポンプ2990は[待機状態]に戻る。
図331は、蠕動ポンプ2990の故障を検出するためのコードに関する可能状態チャートを示しており、また図332は本開示の一実施形態に従った蠕動ポンプ2990の閉塞を検出するための閉塞検出状態チャートを示している。図333は、本開示の一実施形態に従った蠕動ポンプ2990内の蠕動ポンプ2990用モータ3072の速度を制御するためのフィードバック制御ループを表している。
「ソフトウェア・アーキテクチャ」
蠕動ポンプ2990のソフトウェア・アーキテクチャについて図334に概略を示している。このソフトウェア・アーキテクチャでは、要求されるポンピング作用を実行するために相互作用する協働型のサブシステムにソフトウェアを分割している。このソフトウェアは、本明細書に記載したすべての実施形態に等しく適用可能とし得る。このソフトウェアはまた、本明細書には記載しないことがあるようなその他のポンプ実施形態に関して使用されることがある。各サブシステムは、基礎にあるオペレーティング・システムによって制御される1つまたは複数の実行ストリームから構成されることがある。本技術分野で使用される有用な用語には、オペレーティング・システム、サブシステム、プロセス、スレッドおよびタスクが含まれる。
宛先のタスクまたはプロセスへの情報の「プッシュ」のためには、非同期メッセージ4130が使用される。送り手プロセスまたはタスクではメッセージ送達の確認を取得しない。この方式で送達されるデータは、その性質が反復性であるのが典型的である。メッセージが一貫したスケジュールに基づくことが予測される場合、受け手プロセスまたはタスクはメッセージが時間通りに届かないときに障害を検出する可能性がある。
タスクまたはプロセスにコマンドを送るため、あるいはプロセスまたはタスクからの情報を要求(プル)するためには、同期メッセージ4120を使用することがある。コマンド(または、要求)を送った後で、発側のタスクまたはプロセスは応答を待っている間は実行を中断する。この応答は要求された情報を包含することがあり、または単に送信メッセージの受け取りの確認だけのことがある。応答が適時に受け取れない場合は、送り側プロセスまたはタスクはタイムアウトすることがある。こうしたことが起きた場合、送り側プロセスまたはタスクは実行を再開すること、かつ/またはエラー条件を信号伝達することがある。
オペレーティング・システム(OS)とは、コンピュータ・ハードウェア・リソースを管理するとともにコンピュータ・プログラムに対して共通のサービスを提供するソフトウェアの集合体である。オペレーティング・システムは、プログラムとコンピュータ・ハードウェアとの間の媒介体の役割をする。ハードウェアによってある種のアプリケーション・コードが直接実行されることがあるが、そのアプリケーション・コードがOS機能へのシステム・コールを頻繁に出すことやこれによって中断されることがある。
RTP3500は、医用デバイスに関するセーフティ・レベルに合うように認定を受けたリアルタイム・オペレーティング・システム(RTOS)上で動作する。RTOSは、リアルタイムのアプリケーション実行を目標とするマルチタスク型オペレーティング・システムである。リアルタイム・オペレーティング・システムは、挙動の決定論的性質を達成できるようにした特殊なスケジュール調整式アルゴリズムを使用することが多い。UIP3600は、Linuxオペレーティング・システム上で動作する。Linuxオペレーティング・システムは、Unix様のコンピュータ・オペレーティング・システムである。
サブシステムとは、ある指定された(関連の)システム機能組が割り当てられたソフトウェア(および、恐らくはハードウェア)の集合体である。サブシステムは、担当内容を明瞭に規定しており、またその他のサブシステムに対するインターフェースを明瞭に規定している。サブシステムは、1つまたは複数のプロセス、スレッドまたはタスクを使用するソフトウェアに関するアーキテクチャ上の一機構である。
プロセスは、それ自体の仮想アドレス空間で動作するLinuxオペレーティング・システムの上で動作する独立の実行体である。保護用コード空間への書き込みおよびプロセスのメモリ領域外部でのデータアクセスの禁止によって当該メモリの完全性および分離性を強化するために、CPU上にあるメモリ管理ハードウェアを用いることがある。プロセスは単に、プロセス間通信機構を用いてその他のプロセスにデータを渡すことだけが可能である。
Linuxではスレッドは、別々にスケジュール設定された並行プログラム実行パスである。Linux上においてスレッドは常に、プロセス(少なくとも1つのスレッドを有さねばならないとともに、複数のスレッドを有することが可能)と関連付けされている。スレッドはその「ペアレント」プロセスと同じメモリ空間を共有する。あるプロセスに属しているスレッドのすべての間でデータを直接共有することが可能であるが、共有された項目に適正に同期してアクセスするためには注意をしなければならない。各スレッドは、割り当てられた実行優先度を有する。
RTOS(リアルタイム・オペレーティング・システム)上のタスクは、Linuxの「スレッド」に類似した別々にスケジュール設定された並行プログラム実行パスである。すべてのタスクはCPUメモリ・マップ全体からなる同じメモリ・アドレス空間を共有している。メモリ保護を提供するRTOSを用いているとき、各タスクの有効なメモリ・マップはメモリ保護ユニット(MPU)ハードウェアによって共通コード空間とタスクのプライベート・データおよびスタック空間とに制限されている。
UIP3600上のプロセスは、図334の片方向矢印で示したようなIPCコールを介して連絡している。各実線矢印は、同期メッセージ4120のコールおよび応答を表しており、また点線矢印は非同期のメッセージ4130である。RTP3500上のタスクも同様に互いに連絡している。RTP3500およびUIP3600は、各側にInterCommプロセス4110またはInterCommタスク4210を備えた非同期シリアル・ライン3601によってブリッジされている。InterCommプロセス4110は、このブリッジの両側に同じ通信API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を設けており、したがってすべてのプロセスおよびタスクは同じメソッド・コールを用いてやり取りすることが可能である。
ここで図324をも参照すると、RTP3500は、ホール・センサ3436(すなわち、回転センサ)からデータを受信し、UI3600は、エンコーダ3438(すなわち、カウンタ)からデータを受信する。RTP3500とUI3600は、互いに動作可能に通信し、RTP3500で判断された監視された複数のパルスがエンコーダ3438からUI3600プロセッサが受信したカウントされたパルスに対応するかを判断する。このことは、それらが、例えばパーセント量、所定のパルス数、所定の角度値、および/または、所定のモータの回転度数のような、所定の量で一致しているか、を判断することでなされ得る。
別の実施形態では、RTP3500とUI3600のそれぞれは、ポンプ輸送された流体量を推定し、ポンプ輸送された推定流体容積が、互いに対して所定の範囲内であるかを判断する。このことは、それらが、例えばパーセント量のような、所定の範囲で一致しているか、を判断することでなされ得る。
管理プロセス4320は、オペレーティング・システム・サービスのすべてが開始済みになった後にLinuxシステムのスタートアップ・スクリプトによって呼び出されることがある。管理プロセス4320は次いで、UIP3600上のソフトウェアを備えた様々な実行可能ファイルを開始することがある。ソフトウェア・コンポーネントのいずれかが予期せずに終了またはフェールになった場合、管理プロセス4320は通知を受けることがあり、また適当なアラームを生成することがある。
システムが動作している間において、管理プロセス4320は様々なシステム・コンポーネントに関するソフトウェアの「ウォッチ・ドッグ」の役割をすることがある。管理プロセス4320による登録の後に、プロセスは管理プロセス4320に「チェックイン」するようにまたはこれに周期的に信号を送るように要求されることがある。要求された間隔で「チェックイン」の不良が管理プロセス4320によって検出されることがある。不良のサブシステムが検出されると管理プロセス4320は、何も行わない、アラームを宣言する、または不良のプロセスをリスタートさせるのうちのいずれかの回復措置を実施することがある。実施する回復措置は、管理プロセス4320内にコンパイルされたテーブル・エントリによって事前決定されることがある。「チェックイン」間隔は、そのプロセスの重要度にその一部で基づいてプロセスごとに様々とすることがある。このチェックイン間隔はまた、コンピュータ・プロセスの最小化によってポンプ制御器4256の応答を最適化するために蠕動ポンプ2990動作の間において様々とすることがある。例示の一実施形態では、チューブの充填の間においてポンプ制御器4256は、能動的なポンピングの間と比べてチェックインをより頻繁としないことがある。
要求されたチェックイン・メッセージに応答して、管理プロセス4320はチェックインを受けるプロセスに、様々なシステム・ステータス項目を返すことがある。このシステム・ステータス項目は、ポンプ上の1つまたは複数のコンポーネントのステータスおよび/またはエラーとすることがある。このシステム・ステータス項目は、バッテリ・ステータス、WiFi接続ステータス、デバイス・ゲートウェイ接続ステータス、デバイス・ステータス(待機、注入実行、診断モード、エラー、その他)、テクニカル・エラー指示、およびエンジニアリング・ログ・レベルを含むことがある。
管理プロセス4320内で実行しているスレッドは、バッテリ3420内の内部監視チップからバッテリ3420の状態を読み取るために用いられることがある。このことは、毎10秒ごとなど比較的頻繁ではない間隔で実施されることがある。
UI View4330は、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)を実装し、表示画面3725上での表示グラフィックスのレンダリングおよびタッチ画面3735やその他のデータ入力手段上での入力への応答を行うことがある。UI View4330の設計はステートレスとすることがある。表示されている画面は、表示しようとする任意の可変データを伴うようにUI Modelプロセス4340によって指令されることがある。指令された表示はデータの変化に関わらず周期的にリフレッシュされる。
ユーザ入力ダイアログ(仮想キーボード、ドロップ・ダウン選択リスト、チェック・ボックス、その他)のスタイルおよび外観は、画面設計によって指定されるとともに、全体としてUI View4330によって実装されることがある。ユーザ入力は、UI View4330によって収集されるとともに、解釈のためにUI Model4340に送られる。UI View4330は、仮想キーボード、ユニコード文字列、ロード可能フォント、右→左入力、翻訳機能(ロード可能な翻訳ファイル)、および構成可能な数値および日付フォーマット(ただし、これらに限らない)を含むリストに関する機能を伴ったマルチ地域、マルチ言語サポートに対応することがある。
UI Model4340は、画面フローを実装し、これによりユーザ経験を制御することがある。USモデル4340は、UI View4330とやり取りし、表示する画面を指定するとともに画面上に表示させようとする任意の過渡値を供給することがある。ここで画面とは、物理的な表示画面3725上に表示される画像のこと、および規定された対話エリアまたはユーザ・ダイアログ(すなわち、タッチ画面3735上のボタン、スライダ、テンキーその他など)のことを指す。UI Model4340は、UI View4330から送られるあらゆるユーザ入力を解釈することがあり、また目下の画面上の値の更新、新たな画面の指令、または適当なシステム・サービスへ要求を渡すこと(すなわち、「ポンピングの開始」をRTP3500に渡すこと)のいずれかを行うことがある。
薬物投与ライブラリから注入する投薬が選択されたときにUI Model4340は、データベース・システム4350の一部とし得るローカル・データベース内に保存された薬物投与ライブラリとやり取りすることがある。ユーザのこの選択によって、所望の投薬のプログラミングおよび投与のためのランタイム構成がセットアップされることがある。
オペレータが注入プログラムに入ることがあり得る間において、UI Model4340は検証および解釈のためにユーザの入力値を[注入マネージャ]4360に伝達する。治療決定は、UI Model4340によってなされないことがある。治療値は[注入マネージャ]4360からUI Model4340にまたUI View4330に渡りユーザに対して表示させることがある。
UI Model4340は、[注入マネージャ]4360から収集したデバイス・ステータス(目下の注入進捗、警報、ドア・センサ3163および摺動クランプ・センサ3152、その他)を、UI View4330によって表示可能にするために連続して監視することがある。警報/アラームおよびシステム状態のその他の変化が、UI Model4340による画面変化を起こさせることがある。
「追加の投与量セーフティ・ソフトウェア・アルゴリズム(複数可)」
注入マネージャ・プロセス(IM)4360は、蠕動ポンプ2990により送達される注入を検証しかつ制御することがある。注入を開始するためには、ユーザはUI View/Model4330/4340とやり取りして指定の投薬および臨床用途を選択することがある。この指定によって、使用するある指定の薬物投与ライブラリ(DAL)エントリが選択されることがある。IM4360は、注入の検証および実行で使用するためにデータベース4350からこのDALエントリをロードすることがある。
薬物投与ライブラリのあるエントリが選択された後にIM4340は、投与量モード、すべてのユーザ入力可能パラメータに関する限界値およびデフォルト値(設定がある場合)をUI Model4340に渡すことがある。このデータを用いてUI Model4340は、ユーザが注入プログラムに入るガイドを行うことがある。
各パラメータがユーザによって入力されるにつれて、その値が検証のためにUI View/Model4330/4340からIM4360に送られることがある。IM4360は、DAL限界とのパラメータの適合に関する指示と一緒にUI View/Model4330/4340にそのパラメータをエコーバックすることがある。これによってUI View/Model4330/4340は、制限外のすべての値についてユーザに通知することが可能となり得る。
有効なパラメータからなる完全な組が入力済みになると、IM4360はさらに有効な注入インジケータを返し、これによってUI View/Model4330/4340に対してユーザへの「開始」制御子の提示を可能とさせることがある。
IM4360は、要求を受けたときにUI View/Model4330/4340に利用可能な注入/ポンプ・ステータスを同時に行うことがある。UI View/Model4330/4340が「ステータス」画面を表示している場合は、このデータのそこへの投入が要求されていることがある。このデータは、注入状態とポンプ状態とからなる複合体とすることがある。
(有効な)注入を実行するように要求されたときに、IM4360はユーザ指定のデータを包含した「注入ワークシート」と、DALからの読み取り専用限界値を包含した「注入テンプレート」と、をCRCを受けたバイナリ・ブロックとしてRTP3500上で実行される注入制御タスク4220に返すことがある。RTP3500上の注入制御タスク4220は、同じユーザ入力、変換およびDERS入力をとるとともに、注入ワークシートを再計算することがある。注入制御タスク4220の計算による結果は第2のCRCを受けたバイナリ・ブロック内に保存されるとともに、UIP3600からの第1のバイナリ・ブロックと比較されることがある。UIP3600上で行われた注入計算は、注入の実行前にRTP3500上で再計算されてダブルチェックされることがある。
入力値(すなわち、?l、グラム、%)をmlなどの標準単位に変換するための係数は、UIP3600のメモリまたはデータベース・システム4350内に保存されることがある。この係数は、ルックアップ・テーブル内または指定の記憶箇所に保存されることがある。このルックアップ・テーブルは、数十個の変換値を包含することがある。単一のビットの反転によって誤った変換係数が使用されることになる恐れを低減するために、変換値に関するアドレスは、ゼロから4294967296すなわち232までの値の間に分散させている。このアドレスは、あるアドレスのバイナリ形式が第2のアドレスのものと1ビットの差だけにならないようにして選択される。
注入が実行されている間においてIM4360は必要に応じて、その進捗、シーケンス、休止、リスタート、副次的注入、ボーラスおよびKVO(静脈開放保持)の状況を監視することがある。注入の間に要求されるあらゆるユーザ警報(注入ほぼ完了、KVOコールバック、副次的完了コールバック、その他)は、IM4360によってトラッキングおよびトリガされることがある。
UIP3600上のプロセスは、Linuxで利用可能なメッセージ・キュー・ライブラリに基づいて独自のメッセージ伝達スキームを介して互いに通信することがある。このシステムは、承認型(同期メッセージ4120)と非承認型(非同期メッセージ4130)の両方のメッセージ受け渡しを提供することができる。
リアルタイム・プロセッサ(RTP)3500を宛先とするメッセージは、InterCommプロセス4310に渡され、InterCommプロセス4310はこのメッセージをシリアル・リンク3601を介してRTP3500に転送する。RTP3500上の同様のInterCommタスク4210は、このメッセージをその目的の宛先までRTP3500のメッセージ伝達システムを介して中継することがある。
このシリアル・リンク3601上で使用されるメッセージ伝達スキームは、傷ついたメッセージに関するエラー検出および再送信を提供することができる。このことは、時折プロセッサ間通信を「歪める(garble)」ことがあるような電気的な外乱をシステムが受けにくくさせるために必要となることがある。
すべてのタスクにわたって一貫したインターフェースを維持するために、メッセージ伝達システムで使用されるメッセージ・ペイロードは共通ベースクラス(メッセージ・ベース)から導出されたデータ・クラスとすることがある。このクラスは、データ同一性(メッセージ種別)とデータ保全性(CRC)の両者をメッセージに追加する。
オーディオ・サーバ・プロセス4370は、システム上の音を演出するために使用されることがある。すべてのユーザ・フィードバック音(キー押下ビープ音)およびアラームまたは警報音は、事前に録音されたサウンド・ファイルを再生することによって作成されることがある。このサウンド・システムはまた、所望の場合に音楽やスピーチを再生するために用いられることがある。
サウンド要求は、実際のサウンド・ファイル選択がオーディオ・サーバ・プロセス4370内に組み込まれた象徴的なもの(「高優先度アラーム音の再生」など)とすることがある。代替的な音環境に切り替える能力を提供することがある。この能力は、地域や言語の違いに応じて音をカスタマイズするために用いられることがある。
デバイス・ゲートウェイ通信マネージャ・プロセス(DGCM)4380は、Wi−Fiネットワーク3620、3622、3720を介したデバイス・ゲートウェイ・サーバとの通信を管理することがある。DGCM4380は、管理プロセス4320によって開始されかつ監視されることがある。DGCM4380が予期せずに終了すると管理プロセス4320によってこれがリスタートされることがある、ただし障害が持続的である場合にシステムはゲートウェイ実行を伴わずに機能を継続することがある。
Wi−Fi接続を確立し維持すること、および次いでデバイス・ゲートウェイへの接続を確立することがDGCM4380の機能であることがある。DGCM4380とデバイス・ゲートウェイの間のすべてのやり取りは、System, Method, and Apparatus for Electronic Patient Careに関する相互参照の本出願(整理番号第J85号)に記載されたシステムなどのシステムとすることがある。
ゲートウェイとの接続が利用不可能であるまたは利用不可能となった場合に、DGCM4380は進行中のあらゆる転送を止め、そのリンクの再接続を試みることがある。リンクが再確立されたときに転送を再開することがある。ネットワークおよびゲートウェイの動作状態は周期的に管理プロセス4320に報告されることがある。管理プロセス4320は、ユーザに表示させるためにこの情報を分配することがある。
DGCM4380は、更新のためにデバイス・ゲートウェイ・サーバをポーリングしかつ利用可能の場合により新しい項目をダウンロードするような自律型サブシステムとして機能することがある。さらにDGCM4380は、データベース内のロギング・テーブルを監視し、利用可能となると直ちに新たなログ・イベントをアップロードすることがある。首尾よくアップロードされたイベントは、データベース内などでそのようにフラグされてもよい。デバイス・ゲートウェイ・サーバに再接続された後でDGCM4380は、ログ・アップロードに「キャッチアップ」し、通信途絶の間に入力されたすべての項目を送ることがある。ゲートウェイから受け取ったファームウェアおよび薬物投与ライブラリの更新は、後続のインストールのためにUIP3600のファイル・システム内にステージングされる(staged)ことがある。そのデバイスに向けられた注入プログラム、臨床的助言、患者識別およびその他のデータ項目をデータベース内にステージングさせることがある。
DGCM4380は、接続ステータスおよび日付/時刻の更新値を管理プロセス4320に報告することがある。DGCM4380とこれ以外の動作ソフトウェアのいずれかの間にその他の直接的な接続は全く存在しないことがある。こうした設計によれば、その動作ソフトウェアがデバイス・ゲートウェイおよびWi−Fiネットワークの潜在的に過渡的な利用可能性から切り離される。
モータ・チェック4383のソフトウェアは、モータ3072の回転を報告するハードウェア・カウンタまたはエンコーダ3438(図325)を読み取る。このモジュールのソフトウェアは、モータ3072の動きを独立に推定するとともに、これらを注入速度に関するユーザ入力に基づいて予測される動きと比較する。これは、適正なモータ制御のための独立チェックである。しかし、RTP3500上において主要モータ制御ソフトウェアを実行することがある。
通常動作の間にロギング・プロセス4386を介してイベント情報がログに書き込まれることがある。これらのイベントは、内部マシン・ステータスおよび測定値、ならびに治療履歴イベントからなることがある。イベント・ログ・データのボリュームおよび頻度に由来して、データベースに書き込むために待機している間はこれらのロギング動作をFIFOキュー内にバッファリングしておくことがある。
薬物投与ライブラリ、ローカル・マシン設定値、注入履歴およびマシン・ログ・データを保存するためには、SQLデータベース(PostgreSQL)を用いることがある。データベース・サーバによって実行される保存済み手続きは、アプリケーションを内部データベース構造から分離するために用いられることがある。
データベース・システム4350は、デバイス・ゲートウェイ・サーバ向けのログ・データ用バッファとして、ならびにゲートウェイからポンプに送られる注入設定値およびウォーニング向けのステージング・エリアとして用いられることがある。
注入の開始が要求されると、DALエントリおよびユーザ選択のすべてのパラメータが注入制御タスク4220に送られることがある。DAL検証のすべて、ならびに要求された投与量に基づいた注入速度および容積に関する再計算が実行されることがある。この結果はUIP3600上のIM4360によって計算された結果と突き合わせてチェックされることがある。これらの結果は、継続のためにマッチングを要することがある。
注入が実行されているとき、注入制御タスク4220は各注入「セグメント」(すなわち、ある注入のうちの容積と速度からなる一部分)の送達を制御することがある。セグメントの例は、主注入、KVO、ボーラス、ボーラス後の主部の残り、滴定後の主部、その他である。注入セグメントは、UIP3600上のIMプロセス4360によって順序設定されている。
ポンプ制御タスク4250は、ポンピング機構を駆動させる制御器を組み込むことがある。所望のポンピング速度および量(VTBI)は、注入制御タスク4220から送られるコマンド内で指定されることがある。
ポンプ制御4250は、センサ・タスク4264から周期的なセンサ読み値を受け取ることがある。モータ3072の速度および位置を決定するためならびにブラシレス・モータ制御IRQ4262に送るための所望のコマンドを計算するために、新たなセンサ読み値が用いられることがある。センサ・メッセージを受け取ることによって、制御器出力の再計算がトリガされることがある。
流体をポンピングする間にポンプ制御タスク4250は、ポンピング速度の制御、送達される容積の測定、検出された空気の(ローリング時間窓にわたる)測定、閉塞に関する流体圧力やその他の指示値の測定、および上流側閉塞の検出といったタスクのうちの少なくとも1つを実行することがある。
関連する測定は、RTPステータス・タスク4230に周期的に報告されることがある。ポンプ制御4250は、同時に1つの注入セグメントを実行し、指令された送達体積に達したときに中止することがある。センサ・タスク4264は、ポンピング・システムに対する動的な制御のために使用されるセンサ・データを読み取りかつ集計することがある。センサ・データは、カム・シャフトを測定する回転エンコーダ3130と、プランジャ3091の位置を測定するリニア・エンコーダ3520、3525と、を含むことがある。
センサ・タスク4264は、専用のカウンタ/タイマを介して一貫した1kHzの速度で(1.0msごとに)実行するようにスケジュール設定されることがある。関連するセンサのすべてが読み取られた後に、そのデータは非同期メッセージ4120を介してポンプ制御タスク4250に渡されることがある。このメッセージの周期的な受け取りは、蠕動ポンプ2990の制御ループを同期させるためのマスタ時間ベースとして用いられることがある。
RTPステータス・タスク4230は、RTP3500上で実行される様々なタスクの状態とステータスの両方に関する中央リポジトリとすることがある。RTPステータス・タスク4230は、UIP3600上で実行されるIM4360、およびRTP3500自体の上で実行されるタスクの両方にこの情報を分配することがある。
RTPステータス・タスク4230はまた、進行中の注入に対応する流体で満たされることがある。ポンプの開始および中止、ならびにポンピングの進捗は、ポンプ制御タスク4256によってRTPステータス4230に報告されることがある。RTPステータス・タスク4230は、総注入容積、主送達体積、主VTBI(カウントダウン式)、ボーラスが進行する間のボーラスの送達体積およびVTBI、ならびに副次的注入が進行する間の副次的注入に関する送達体積およびVTBIのうちの少なくとも1つからなることがある。
RTP3500上で起動されたすべての警報またはアラームは、RTPステータス・タスク4230を通されて、引き続いてUIP3600に渡ることがある。
このユニットが動作している間に、プログラム・フラッシュおよびRAMメモリはメモリ・チェッカ・タスク4240によって連続してテストを受けることがある。この非破壊的テストは、RTP3500上のメモリ空間全体が数時間ごとにテストを受けるようにスケジュール設定されることがある。このタスクの下で必要に応じて追加の周期的チェックがスケジュール設定されることがある。
RTP3500上で実行されるタスクは、互いに通信するようにおよびUIP3600上で実行中のタスクと通信するように要求されることがある。
RTPメッセージ伝達システムは、システム内の任意のタスクにメッセージを渡すことを可能とさせるために統一全域アドレス指定スキームを用いることがある。ローカルのメッセージは、オフチップのメッセージがInterCommタスク4210によって(非同期のシリアル3601)通信リンクを介してルート設定されるようにしてRTOSのメッセージを渡す機能を利用してメモリ内に渡されてもよい。
InterCommタスク4210は、2つのプロセッサの間でシリアル・リンク3601のRTP3500の側を管理することがある。これは、UIP3600上のInterCommプロセス4310に対するRTP3500の等価物である。UIP3600から受け取ったメッセージはRTP3500上のその宛先まで中継されることがある。外向きのメッセージは、UIP3600上のInterCommプロセス4310まで転送されることがある。
RTP3500とUIP3600の間のすべてのメッセージは、エラー検出コード(32ビットCRC)を用いてデータ破損の有無をチェックされることがある。破損が検出された場合は、シリアル・リンク3601を介して送られたメッセージを送り直すことがある。これによってESDに妥当に耐え得るような通信システムを提供できる。プロセス間におけるプロセッサ内部の破損メッセージは、困難なシステム障害として扱われることがある。メッセージ伝達システムで用いられるメッセージ・ペイロードのすべては、可能なメッセージ宛先のすべてにわたる一貫性を保証するために共通ベースクラス(メッセージベース)から導出されるデータ・クラスとすることがある。
ブラシレス・モータ制御4262は、1つのタスクとして実行させないことがあり、厳密なフォアグラウンド(中断文脈)プロセスとして実装されることがある。中断はコミュテータまたはホール・センサ3436から生じることがあり、また算定アルゴリズムはその全体を中断サービス・ルーチン内で実行させることがある。
図335および336は、本開示の実施形態に従った蠕動ポンプ2990と一緒に用い得る2つのデュアルバンド・アンテナの幾何学構成を示している。図335は、プリント回路基板を製造する際に作製されるのが典型的であるような基板上の金属層を用いて製作し得るアンテナに関する上面および底面図である。図336はまた、プリント回路基板製造方法を用いて製作されることがある。
図337は、本開示の一実施形態に従うウォッチ・ドッグ機能を提供する方法5065を示す図である。方法5065は、状態図として示され、状態5067、5069、5099、5072、5075、5077および5079と、遷移状態5066、5068、5070、5071、5073、5074、5076、5078、5080および5081を含む。
方法5065は、ソフトウェア、ハードウェア、実行されているソフトウェアあるいはこれらの組み合わせ(例えば、ハードウェア・ウォッチ・ドッグ・システムとして)で実行され得る。方法5065は、モータ制御装置3431にモータ・イネーブル信号を提供するように図324のウォッチ・ドッグ3460により実行されてもよい。図338A−338Fは、図337の方法5065を実行するシステムのある特定な実施形態を示す。
ここで、図337と図338A−338Fを参照する。ウォッチ・ドッグ・システム(例えば、システム5003)に電力が供給されると、方法5065はウォッチ・ドッグ・システム・オフ状態5067に移り5066、そこでは、モータ・イネーブル信号はオフ(例えば、ライン5015)で、アラームはオフ(例えば、ライン5016)で、タイマは未知の状態である。タイマは、ウォッチ・ドッグIC5012の一部であってもよい。ウォッチ・ドッグIC5012は、ウィンドゥ・ウォッチ・ドッグである。またシステム5003は、IOエキスパンダ5004(または他のハードウェア掛止)とインターフェースを取るI2C制御ライン5013(しかし、他の制御ラインを用いてもよい)も含む。I2C制御ライン5013は、RTP3500から図324のウォッチ・ドッグ3460への接続の一部であってもよい。加えて、ウォッチ・ドッグ進行信号(図338のライン5014)もまた、RTP3500からウォッチ・ドッグ3460に受信されてもよい。すなわち、ウォッチ・ドッグ・クリア・ライン5014は、ウォッチ・ドッグIC5012を「なでる」してもよい。
遷移5068では、RTP3500(図324参照)はウォッチ・ドッグ・クリア・ライン5014経由でウォッチ・ドッグIC5012のタイマをクリアし、RTP3500は、IOエキスパンダ5004に指示してウォッチ・ドッグ・イネーブル・ライン5018を作動させることによりI2C制御ライン5013経由でウォッチ・ドッグIC5012の出力を作動させる。このことにより、方法5065は状態5069に入る。状態5069では、タイマが初期化され(ゼロに設定される)、モータ・イネーブル・ライン5015がオフに設定され、アラーム・ライン5016がオフに設定される。
RTP3500は、D−フリップフロップを真に設定する(D−フリップフロップ5005の初期設定ピンを用いて)ことにより、2C制御ライン5013経由でモータ電力を作動させ、遷移5070で1マイクロ秒間停止する。方法5065は状態5099に移り、そこでは、ウォッチ・ドッグIC5012のタイマが稼働し、モータ・イネーブル・ライン5015が作動し、タイマは2200ミリ秒未満である。RTP3500が、ウォッチ・ドッグが10ミリ秒より大きく200ミリ秒未満のときにウォッチ・ドッグ クリア・ライン5014を設定すると、遷移5071は方法5065を状態5072に写し、タイマがリセットされる。方法5065は、状態5099へ戻されることになる。
タイマが200ミリ秒に達するかタイマが10ミリ秒以下でRTP3500がウォッチ・ドッグ・クリア・ライン5014を設定すると、遷移5074は方法を状態5075に移す。状態5075では、ウォッチ・ドッグIC5012は、バッファ5009に保留された故障信号を送出し、D-フリップフロップ 5005をクリアし、よってモータ・ライン5015をオフにする。状態5075では、ウォッチ・ドッグIC5012はまた、反転された入力経由で、NANDゲート5008により受信される故障信号を送出し、それは、バッファ5009で増幅された信号を出力し、信号はD−フリップフロップ5007をクリアし、それによりアラーム・ライン5016をオンにする。D−フリップフロップ5007の出力は、負荷スイッチ5006により増幅される。
モータ・イネーブル信号ライン5015がモータをオフにするように設定されると、約1ミリ秒後にNANDゲート5008の反転されない入力を通じてオフ信号が進行し、遷移5076を状態5077に移させ、それによってアラームが抑制されるようにする。I2Cコマンドは、遷移5080にシステム5003を状態5067にリセットさせてもよい。
他の状態では、アラーム・ライン5016は、D-フリップフロップ 5007の初期設定に結合されてアラーム・ライン5016をオフに設定する静寂ボタン5017が押されるまでアラームを発し続けるであろう。すなわち、そのボタンは、遷移5078が方法5065を状態5079に移すようにさせる。I2C制御ライン5014を経由しIOエキスパンダ5004へのI2C信号は、方法5065を状態5067に移させる。
図339は、本開示の実施形態に従うL字形プランジャを有する蠕動ポンプ5020の別の実施形態を図示する。ポンプ5020は、クランプ5028経由で極に結合されてもよい。ポンプ5020はレバー5022と切り抜き部分5023を含むドア5100を含む。切り抜き部分5023は緩衝装置5021を収容する。
ポンプ5020はまた、外周5025を介してポンプ5020に結合されるタッチスクリーン5024を含む。外周5025は、インジケータ・ライト5026を含む。インジケータ・ライト5026は、タッチスクリーン5024を全面的に覆う。インジケータ・ライト5026は、埋め込まれた(あるいは、光学的に結合された)複数のLED光を有するタッチスクリーン5024で覆われた散光器を含んでもよい。インジケータ・ライト5026は、ポンプ5020が稼働しているときに点滅し、および/または、ポンプ5020が稼働しているときには、特定の色であってもよい(例えば、赤、青、緑、黄色など)。インジケータ・ライト5026は、ポンプが稼働していないとき、または、待機状態のとき、連続的にオンであってもよい。追加、代替あるいは選択として、インジケータ・ライト5026は、ポンプが稼働していないとき、または、待機状態のとき、特定の色であってもよい(例えば、、赤、青、緑、黄色など)。
ポンプ5020はまた、ジェスチャー認識装置5094を含んでもよく、ジェスチャー認識装置5094はカメラでもよい。ポンプ5020のプロセッサは、ジェスチャー認識装置5094に結合され、ユーザのジェスチャーからユーザ入力を受け取る。すなわち、プロセッサは、ユーザにユーザ・インターフェース5024を介して少なくとも1つの選択肢を提供し、ジェスチャー認識装置5094を介して少なくとも1つの選択肢から選ばれた1つを受け取るようになされる。ユーザ・インターフェース5024に結合されたプロセッサは、複数のポンプ・パラメータ入力を提供するようになされ、複数のポンプ・パラメータ入力のそれぞれは、1つのユーザ入力パラメータを受け取るようになされる。プロセッサは、複数のポンプ・パラメータの全てのユーザ入力パラメータの全てが少なくとも1つの所定の安全基準を満たすかを判断するようになされてもよい。複数のポンプ・パラメータ入力のそれぞれは、複数のポンプ・パラメータ入力のうちのもう1つを有さずに存在してもよい。
プロセッサは、複数のポンプ・パラメータ入力を提供するようになされてもよく、複数のポンプ・パラメータ入力のそれぞれは、1つのユーザ入力パラメータを受け取るようになされる。プロセッサは、複数のポンプ・パラメータ入力の全てが所定の時間内に入力されるように要求するように構成されてもよい。プロセッサは、複数のポンプ・パラメータ入力に対応するユーザ入力パラメータを如何なる順序でも受け取れるように構成される。
図340は、本開示の実施形態に従う、図339の蠕動ポンプ5020の分解図を示す。ポンプ5020は、上部ハウジング部分5029と下部ハウジング部分5030を含む。追加で、または、代替として、ハウジング5029、5030の上部ハウジング部分5029と下部ハウジング部分5030は、特定の実施形態では、一体で形成されてもよい。モジュール・ポンプ輸送機構5103は、ハウジング5029、5030に結合されてもよい。モータ5101は、モジュール・ポンプ輸送機構5103を作動する。モータはモータと種々のセンサ、アクチュエータ、タッチスクリーン5024等に結合される回路基板5102を介して制御され得る。ポンプ5020はまた、タッチスクリーン5024
の背後に配置される(組み立てられたとき)配線5031およびバッテリ5027を含む。図341は、上部ハウジング5029、下部ハウジング5030および電源5032の拡大図を示す。電源が伝導性パス5033経由で下部ハウジング部分5060にどのように熱的に結合されるかに注目されたい。
ポンプ5020は、電源5032を含む。電源5032は、伝導性パス5033に、ハウジング5030、5019に結合される(組み立てられたとき)。伝導性パス5033は、1片の金属でよく、ハウジング5030(または5029)と一体に成形されてもよい。電源5032は、ハウジング5029、5030をヒート・シンクとして用いてもよい。電源5032は、ハウジング5029、5030のどの表面を用いて、熱的に結合され、および/または、熱伝導性パス5033を介してハウジング5029、5030に熱的に結合されてもよい。
本開示の実施形態に従って、図342Aは、ポンプ5020のディスプレイの正面図を示し、図342Bは、ポンプ5020のディスプレイの背面図を示す。タッチスクリーン5024の裏には(図342Bで容易にみられる)近距離アンテナ5034が配置される。図343は、タッチスクリーン5024のセンサ部分5105の背面に隣接して配置された(図342A、342B参照)近距離アンテナ5034を有するタッチスクリーンのセンサ部分5105を図示する。隙間5104内に配置された誘電体5036を有する隙間5104と金属の環を形成するフレーム5035が示される。フレーム5035は、センサ5105および/またはタッチスクリーン5024のフレームでよい。アンテナ5034は、13.56MHzで作動しても、および/または、NFCアンテナであってもよい。金属フレーム5035は、隙間5104および隙間に配置された誘電体5026と協同して、分割リング共振器を形成する。金属フレーム5035は、分割リング共振器の誘導要素を形成し、隙間5014はそこに配置された誘電体5036と共に分割リング共振器の容量性素子を形成する。
図344は、本開示の実施形態に従って、カム・シャフト5106(図345で見える)の回転を測定する回転センサ5037を示すポンプ5020の拡大側面図である。回転センサ5037がカム・シャフト5106の回転を測定できるように、磁石がカム・シャフトに結合されてもよい。回転センサ5037は、ホール効果センサであってもよい。回転センサ5037は、図324のプロセッサ3500に結合されてもよい。
図345は、ほな発明の開示に従ったポンプ5020の切断面付きの拡大側面図を示す。カム・シャフト5106が回転すると、図344の回転センサ5037がカム・シャフト5106の回転を感知する。カム・シャフト5106の回転により、プランジャ5039がカム・シャフト5106へまたはシャフト5106から作動する。プランジャ5039が作動すると、磁石5041、5107が一緒に動く。ホール効果センサ5040が磁石5041の動きを検出し、別のホール効果センサ(図345では不図示)が磁石5107の動きを検出する。
図346は、本発明の開示に従って、1つまたは複数のセンサが使えないときの図399のポンプのセンサを使用を図解する線図を示す。図345は、センサ5042、5043、5044、5045を示す。回転位置センサ5042は、図355の回転センサ5037であってもよい。モータ・ホール・センサ5043はモータ5101上のセンサであってもよい。プランジャ位置センサ5044、5045は、磁石5040、5107の位置を測定するホール効果センサであってもよい(例えば、図345のホール効果センサ5040はプランジャ位置センサ5044でもよい)。
図346は、蠕動ポンプ5020のフィードバック・センサを用いる方法として、実行されてもよい。図324のRTP3500は、センサ5042、5043、5044、5045を受容してもよい。すなわち、センサ5042、5043、5044、5045はポンプ・センサ3501であってもよい。
RTP3500は、互いに関連したセンサ5044、5045で示されるように、プランジャ5039の位置を照合してもよい。それらが所定の量で一致していないと、プロセッサは、それらを回転位置センサ5042とホール効果センサ5043の1つまたは両方と比較し、プランジャ位置センサ5044、5045の作動している1つを決定する。その後は、RTP3500は、プランジャ位置センサ5044、5045の作動している1つを使用する。プランジャ位置センサ5044、5045の両方が使用できないとき(例えば、動作していない)には、RTP3500は、回転位置センサ5042またはホール効果センサ5043を使用して、ポンプ5020の流量を推定する。この場合、RTP3500は、回転位置センサ5042のRPMを、流量を推定するのに関連付け、または、モータ・ホール・センサ5043に基づくモータのRPMを、流量を推定するのに関連付ける。
RTP3500はまた、回転位置センサ5042をモータ・ホール・センサ5043と照合する。回転位置センサ5042が正常に動作しないと、RTP3500はモータ・ホール・センサ5043を使用する。
図347−350は、本開示の実施形態に従った、図399のポンプのドア・ラッチの動作を図示する。図347−350に示される断面図は、ポンプ5020のハウジング5109に掛け止めされたドア5108の掛け止め動作を図解する。図347〜350は、は、レバー5046を用いてドア5108をハウジング5109に掛け止めする順次工程を示す。
は、レバー5046、ピン5058を介してドア5108に枢動可能に結合される。レバー5046が完全に開いた位置(図347に示されるように)にあるとき、インターロック5047は、レバー5046がハウジング5009方向に枢軸5058を介してその回転軸回りに回転できないように、尖った端部5048がレバーの戻り止め5052と係合するような枢軸5095回りの回転角を有する。すなわち、インターロック5047の頂部5048がレバー5046の戻り止め5052内に位置するときは、インターロック5047の係合が解除されない限りレバー5046は閉じられない。
ドア5108がハウジング5109方向に閉じられると、端部5110はハウジング5109に接触し、その結果、図348に示すように、尖った端部5048を戻り止め5052から係合解除する。ばね5096は、端部5110がハウジング5109方向に回転するように(図347−350で反時計回り)インターロック5047を付勢する。
レバー5046がドア5108(およびハウジング5109)に向けて作動すると、キャリッジ5055(すなわち、キャリア)はハウジング5109のスロット内に作動する。レバー5046は、第1リンク5056に枢動可能に結合し、第1リンク5056は第2リンク5057に枢動可能に結合し、第2リンク5057はキャリッジ5055に枢動可能に結合する。レバー5046がドア5108方向に作動すると、キャリッジ5055は、図348および349に示されるように、ハウジング5109のスロット内に押される。
レバー5046がドア5108およびハウジング5109方向に回転すると、フック5053がピン5054に引っ掛かり、ドア5108をハウジング5109に固定する。図350は、感染に閉じた位置のレバー5046を示す。センサ5050が、フック5053がセンサ5050の端部5051に係合してセンサ5050を枢軸5111に従って回転して磁石5112を動かすように、枢軸5111に沿って枢動することにも留意願う。磁石5112の動きは、ホール効果センサによって検知され、レバー5046が完全に閉じた位置にあるのか判断する。
いくつかの実施形態では、レバー・ハンドル5046のハウジング5108方向への最初の作動は、弁(例えば、図274の作動している端部3100または3111)を作動し、チューブが摺動オクルーダにより閉塞されないようにドア5109の第1スロットへのキャリア5055の作動の前に、チューブを閉塞する 。
いくつかの実施形態では、レバー・ハンドル5046は、レバー・ハンドルのハウジングから離れる作動がキャリア5055を第1スロットから離れるように動かし、キャリア5055内に配置された摺動オクルーダを閉塞位置に動かし、レバー・ハンドル5046のハウジングから離れる少なくともある作動が摺動オクルーダを動かすことなく生ずるように、動作可能にキャリア5055に結合される。
別の実施形態では、レバー・ハンドル5046が完全に閉じた位置にあるときのレバー・ハンドル5046のハウジング5109から離れる最初の作動は、弁を閉塞されない位置へ作動する前に、キャリア5055を閉塞位置に作動する。
別の実施形態では、レバー・ハンドル5046のハウジング5109から離れる最初の作動は、弁を閉塞されない位置へ作動する前に、キャリアを閉塞位置に作動する。
図351は、本開示の実施形態に従った流体ラインのパラメータを推定する光センサ5113を示す。図352は、流体ライン5063とともに図351の光センサ5113を示す。光は、導波路5059内に輝く。チューブ5063の位置は、導波路5059内を移動する光に影響を与える。散光器5060は光のあるものを導波路5059から離れさせる。すなわち、総合的な内部反射は、光が導波路5059の底面から空中に離れることを防止する。図352で示されるように、チューブ5063は、導波路5059を離れる光の量を大幅に増大させ、導波路5059は種々の位置で散光器5060から離れる光の量に影響する。ライト・アウト5061は、画像センサ5062により監視され、どこで、どのくらいの量の光が散光器5060から離れるかを判断し、それはチューブ5063の散光器5060との接触を測定するのに用いられる。図352に示すように、チューブ5063が光を引き入れ、結果として(図352の)右側で薄暗い光となるので、出る光は少しかない。画像センサ5062はこのデータを用いて、チューブ5063の形状を判断し、その容積を推定してもよい。画像センサ5062は、図324のRTP3500に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、プランジャ(例えば、図297のプランジャ3091)は、導波路5059、散光器5060、および/または、画像センサ5062を含み、チューブ5064のパラメータを測定する。プランジャは、透き通っていてもよい。さらに追加の実施形態では、導波路5059、散光器5060、および/または、画像センサ5062は、圧盤(例えば、図297の圧盤3022)内に位置してもよい。圧盤は、透き通っていてもよい。
画像センサ5062からの画像データを用いて、送達された容積、ポンプ輸送機構の一部として潰されたチューブ5063の変化の範囲、および/または、チューブ5063に包含される部分の水境界の範囲(例えば、入口弁および出口弁の間)を測定する。偏光子を画像センサ5062の前面で用いて、画像を強調してもよい。
いくつかの実施形態では、2つの偏光子をチューブ5063の両側で用いて、画像センサ5062の画像データを分析することにより判断されるように、チューブ5063のエッジを判断(例えば、複屈折効果を用いて)する。偏光子は、互いに直交する光を偏光する。応力複屈折が、光源、例えば、白色光源と共に、色つきの干渉縞を作り出す。チューブ5063の材料による種々の屈折率により、建設的および相殺的干渉の異なるパターンを生ずる。いくつかの実施形態では、単色光が用いられる。さらに追加の実施形態では、画像センサ5062の画像データを用いて、チューブ5063の幅を、その応力プロフィルを用いて推定する。さらに追加の実施形態では、2つのパターン(例えば、格子パターン)をチューブ5063の両側で用いて、画像センサ5062の画像データを分析することで判断されるように、チューブ5063のエッジを判断(例えば、モアレ・パターンを用いて)する。さらに追加の実施形態では、画像センサ5062はチューブ5063の微粒子を検出する。
図353に示されるように、導光を層状5064にして、各種情報を画像センサ5062に提供できる。各層は、異なった偏光、方向、色等を用いてカメラ5062に空間的に区別できる一組の情報を提供できる。
図354−355は、本開示の実施形態に従ったチューブ回復装置5088の動作を示す。チューブ回復装置5088は、チューブ5082を両側から押して丸い形状を確かにする第1端部5083と第2端部5082を含む。端部5082、5083は、背部5088に結合されてもよい。プランジャ5085がチューブ5082を圧縮すると(図355参照)、プランジャ5085が端部5082、5083をチューブ5082から離れるように押す。プランジャ5085が引っ込むと、ばねの動作は、端部5082、5083がチューブ5082の形状を回復するようにさせる。
図356−357は、本開示の実施形態に従ったチューブ回復装置5114の動作を示す。チューブ回復装置5114は、チューブ5090を両側から押してチューブ5090が丸い形状を維持するのを助ける第1端部5091と第2端部5092を含む。端部5091、5092は、共通の点5089に結合されてもよい。プランジャ5093がチューブ5090を圧縮すると(図357参照)、プランジャ5093は端部5091、5092をチューブ5091から離れるように押す。プランジャ5093が引っ込むと、ばねの動作は、図356に示されるように端部5091、5092がチューブ5090の形状を回復させるようにする。
図358は、本開示の実施形態に従った注入ポンプ(例えば、図255の注入ポンプ2990)と関連するRFIDタグ7008内にデータを記憶する回路7000を示す。図358のRFIDタグ7008は、図325CのRFIDタグ3670であってもよい。図358のアンテナ7001は、図325Cのアンテナ3955であってもよい。
アンテナ7001は、RFID読取装置(すなわち、RFID呼掛器)がRFIDタグ7008と通信できるように、RFIDタグ7008に結合される。回路7000は、平面に固体金属接地を有する1×1PCBインチ・ボード上に配置されてもよい。
キャパシタ7003を有する内部ループ7002は、分割リング共振器を形成し、回路7000の読取範囲性能を高めてもよい。RFIDタグ7008はインピーダンス・マッチング回路7004、7005、7006、7007を介してアンテナ7001に結合されてもよい。回路7000は、900MHzRFID読取装置と共に使用されるように構成されてもよい。
読取チップ7009は、RFIDタグ7008とインターフェースをとり、出た(例えば、ログ・データ)をそこに書き込んでもよい。読取チップ7009は、I2C、CANバス、あるいは他の通信リンクを使ってRFIDタグ7008と通信してもよい。代替として、読取チップ7009は、いくつかの実施形態では、電気コネクタであってもよい。
図359は、本開示の実施形態に従った、図358のRFIDタグ7008から見たインピーダンス用等価回路7010を示す。ループ7011は図358のアンテナ7001を示す。インダクタ7012は図358のインダクタ7004を示す。レジスタ7013および7014は、それぞれレジスタ7006およびレジスタ7005の略図である。キャパシタ7015は図359のキャパシタ7007を示す。回路素子7012−7015は、図358の回路7000のようにRFIDタグ7008が効果的にループ・アンテナ7001に結合されるようにインピーダンス・マッチングに用いられる。
図360は、本開示の実施形態に従った、注入ポンプ(例えば、図255の注入ポンプ2990)と関連するRFIDタグ7022内にデータを記憶する別の回路7016を示す。アンテナ7017が示される。図360のRFIDタグ7022は、図325CのRFIDタグ3670であってもよい。図360のアンテナ7017は、図325Cのアンテナ3955であってもよい。
アンテナ7017は、いくつかの実施形態では、アンテナ7017の隙間に結合されるキャパシタを有してもよい。インピーダンス・マッチング回路7018、7020、7021を用いて、RFIDタグ7022を効果的にアンテナ7017に結合してもよい。インターフェース7023を用いてRFIDタグ7022と通信してもよい(例えば、I2Cインターフェース、CANインターフェースなど)。図361は、本開示の実施形態に従った、図360の回路と用いられる分割リング共振器7026を示す。分割リング共振器7026は、内部ループ7025と外部ループ7024を有するPCBボード上に印刷されてもよい。分割リング共鳴因子7026が図260の回路7016に隣接して配置され、読取範囲を増大してもよい(例えば、2つの回路のPCBボードにより画定される2面が互いに平行になされる)。
当業者であれば本開示を逸脱することなく様々な代替形態や修正形態を考案することができよう。したがって本開示は、このような代替、修正および変更をすべて包含するように意図している。さらに、本開示のいくつかの実施形態について図面に示しかつ/または本明細書で検討してきたが、本技術分野が許容するのと本開示を同じ趣旨広さとすべきでありかつ本明細書を同様に読むべきであることを意図しているため、本開示をこれらに限定しようという意図ではない。したがって上の説明は、限定と解釈すべきではなく、単に特定の実施形態に関する例証と解釈すべきである。また、当業者であれば本明細書に添付した特許請求の範囲の趣旨および精神の域内にあるその他の修正が想起されよう。上述したおよび/または添付の特許請求の範囲内のものと実質的に差がないその他の要素、ステップ、方法および技法もまた、本開示の趣旨域内にあるように意図している。
図面に示した実施形態は、単に本開示のある種の例を論証するために提示したものである。また説明した図面は単なる例示でありかつ非限定的である。例証を目的として図面の中において、その要素のいくつかのサイズが誇張されており、ある特定のスケールに合わせて描かれていないことがある。さらに図面内において同じ番号を有するように示した要素はその文脈に応じて、同一の要素であることがありまたは同様の要素であることがある。
本説明および特許請求の範囲において「を備える(comprising)」という用語を使用する場合、これによってその他の要素やステップを排除するものではない。単数形の名詞に言及する際に例えば「a」、「an」または「the」などの不定冠詞または定冠詞を用いている場合、これには当該の名詞の複数形を含む、ただし特に何か具体的な記述がある場合を除く。したがって、「を備える」という用語はその後にリストされている項目に制限していると解釈すべきではなく、これはその他の要素やステップを排除しておらず、またしたがって「項目AおよびBを備えるデバイス」という表現の趣旨は構成要素AおよびBだけからなるデバイスに限定すべきではない。この表現は、本開示については、本デバイスの唯一の関連する構成要素がAとBであることを意味している。
さらに「第1の」、「第2の」、「第3の」その他の用語は、本説明で使用されているか本特許請求の範囲で使用されているかによらず、同様の要素の間の区別のために提供したものであり、必ずしも順列や時間に関する順序を記述するために提供したものではない。このように使用される用語は適当な状況下では置き換え可能である(明瞭に否定の開示がある場合を除く)こと、ならびに本明細書に記載した開示の実施形態が本明細書に説明または図示したのと異なるその他のシーケンスおよび/または構成で動作可能であることを理解すべきである。