JP5964770B2 - 位相誤差推定方法及び装置 - Google Patents

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Description

本開示は、無線通信装置に適用される位相誤差推定方法及び装置に関する。
無線通信システムにおいては、送信機と受信機の間に発生する、キャリア周波数誤差、
、及びシンボル同期ずれ補正が行われる。例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Div
ision Multiplexing)の無線通信方式に対応した無線通信装置では、キャリア周波数誤差
の補正方法として、通常、粗い周波数補正、及び粗いシンボル同期ずれ補正を行った後、
残留キャリア周波数オフセット及び残留シンボル同期ずれにより生じる位相誤差を補正す
る方法が採用されている。
残留キャリア周波数オフセット及び残留シンボル同期ずれを補正する際に、位相誤差が
大きくなると、位相は−π〜π[rad]の範囲を超えることがある。この場合、−π〜
π[rad]の範囲で検出される位相誤差として、不連続な位相の変化が起こる。そのた
め、周波数に対する位相の直線性が損なわれ、位相補正値が正しく得られなくなる。
従来の位相誤差推定方法の例として、例えば特許文献1に示されるものがある。この従
来例は、判定器により、位相の不連続を検出しない場合、得られた位相誤差の補正値を算
出し、位相補正を行う。一方、位相の不連続性を検出した場合、ひとつ前で用いられた補
正値を用いて、位相補正を行う。また、隣り合う位相の差の絶対値がπを超えたと判定さ
れた場合に、一方の位相に±2πを加算することにより位相の連続化を行う、位相アンラ
ッピング(Phase Unwrapping)処理という手法も一般に知られる。
特開2004−104744号公報
上記従来例では、位相誤差または雑音レベルが大きい状況において、正しい補正値が得
られない課題が生じる。位相誤差または雑音レベルが大きく、例えば最初期に位相の不連
続が発生した場合、従来例のひとつ前の補正値を用いる方法では、正しい補正値が得られ
ない。また、最初期に正しい補正値を得られたとしても、その後、位相の不連続が発生し
続けた場合、補正値が更新されないので、本来算出されるべき補正値から乖離していく。
また、位相アンラッピング(Phase Unwrapping)処理を用いる場合は、位相差の絶対値が
πを超えたかの判定を、受信信号に含まれる雑音により誤ることがある。特に、ミリ波帯
を使用する無線通信規格WiGig(登録商標、以下同様)(Wireless Gigabit)では、
PER(Packet Error Rate)に対する要求が厳しいため、精度の高い位相誤差推定が必
要となる。
本開示の目的は、位相誤差または雑音レベルが大きい場合でも、高精度の位相補正値を
得ることができる位相誤差推定方法及び装置を提供することである。
本開示の位相誤差推定方法は、受信部において、特定の参照信号を有する送信信号を受
信した受信信号の中から、前記特定の参照信号を抽出して、周波数領域の受信参照信号を
取得し、前記周波数領域の受信参照信号と前記送信信号における特定の参照信号を周波数
領域で表した送信参照信号とを周波数ごとに比較して複数の誤差ベクトルを得て、前記複
数の誤差ベクトルを、2つ以上のグループに分け、グループごとの代表値を求めて複数の
代表ベクトルを取得し、前記複数の代表ベクトルに基づき、前記受信参照信号が有する周
波数領域における位相誤差の傾きと位相誤差のオフセットとを求め、前記位相誤差の傾き
と前記位相誤差のオフセットとによって周波数に応じた位相誤差を推定する。
本開示の受信方法は、上記の位相誤差推定方法の位相誤差推定によって周波数に応じた
位相誤差を求め、受信信号に対して前記位相誤差の補正を行う。
本開示の受信方法は、上記の位相誤差推定方法の位相誤差推定によって周波数に応じた
位相誤差を求め、伝送路推定によって送信機と受信機の間の伝送路が持つ伝達特性による
位相を求め、前記位相誤差推定により求めた前記位相誤差と、前記伝送路推定により求め
た前記伝達特性の位相とを合わせて、位相補正を行う。
本開示の位相誤差推定装置は、受信部において、特定の参照信号を有する送信信号を受
信した受信信号の中から、前記特定の参照信号を抽出して、周波数領域の受信参照信号を
取得する信号抽出部と、前記周波数領域の受信参照信号と前記送信信号における特定の参
照信号を周波数領域で表した送信参照信号とを周波数ごとに比較して複数の誤差ベクトル
を得る誤差ベクトル算出部と、前記複数の誤差ベクトルを、2つ以上のグループに分け、
グループごとの代表値を求めて複数の代表ベクトルを取得する代表ベクトル算出部と、前
記複数の代表ベクトルに基づき、前記受信参照信号が有する周波数領域における位相誤差
の傾きと位相誤差のオフセットとを求め、前記位相誤差の傾きと前記位相誤差のオフセッ
トとによって周波数に応じた位相誤差を推定する補正値算出部と、を有する。
本開示の受信装置は、上記の位相誤差推定装置と、受信信号に対して前記位相誤差の補
正を行う位相補正部と、を有する。
本開示の受信装置は、上記の位相誤差推定装置と、伝送路推定によって送信機と受信機
の間の伝送路が持つ伝達特性による位相を求める伝送路推定部と、前記位相誤差推定装置
により求めた前記位相誤差と、前記伝送路推定部により求めた前記伝達特性の位相とを合
わせて、位相補正を行う伝送路補正部と、を有する。
本開示によれば、位相誤差または雑音レベルが大きい場合でも、高精度の位相補正値を
得ることができる。
WiGigに対応した無線通信装置の受信部の構成を示すブロック図 実施の形態1における位相誤差補正部の構成を示すブロック図 周波数領域における参照信号GIのスペクトラムと誤差ベクトル算出に用いられる周波数番号を示す図 誤差ベクトル算出部の構成を示す図 代表ベクトル算出部の構成を示す図 低SNRの場合の周波数領域における残留キャリア周波数オフセット及び残留シンボル同期ずれによる位相誤差を示す図 低SNRの場合の位相誤差の誤差ベクトルを示す図 位相誤差の誤差ベクトルの代表ベクトルを示す図 低周波代表ベクトルと高周波代表ベクトルの位相誤差を示す図 補正値算出部の構成を示す図 通常の加減算と折り返し加減算との関係を示す図 ±πの位相を4ビットの値に割り当てた場合の各位相と数値の対応を示す図 補正値算出部における位相オフセット算出部の判定器の構成を示す図 補正値算出部における周波数毎補正値算出部の構成を示す図 位相補正部の構成を示す図 本実施形態の位相誤差補正部による位相誤差推定結果の一例を示す図 本実施形態の位相誤差補正部をOFDMに対応した無線通信装置の受信部に適用した構成を示すブロック図 実施の形態2に係る周波数領域における参照信号GIのスペクトラムと低周波領域及び高周波領域を指定する周波数番号を示す図 実施の形態3における位相誤差補正部の構成を示すブロック図 低SNRの場合の周波数領域における残留キャリア周波数オフセット及び残留シンボル同期ずれによる位相誤差を示す図 低SNRの場合の位相誤差の誤差ベクトルを示す図 位相誤差の誤差ベクトルの代表ベクトルを示す図 実施の形態3における補正値算出部の構成を示す図 実施の形態4における補正値算出部の構成を示すブロック図 実施の形態5における無線通信装置の受信部の構成を示すブロック図 実施の形態5における位相誤差補正部の構成を示すブロック図 実施の形態5における伝送路補正部の構成を示す図 WiGigの信号フォーマットを示す図 周波数領域における残留キャリア周波数オフセット及び残留シンボル同期ずれを示す図 周波数領域における位相の不連続性の発生例を示す図 従来の位相誤差推定方法を用いた無線通信装置の受信部の構成を示すブロック図
<本開示の各実施形態の内容に至る経緯>
本開示では、例えば、無線LAN規格のIEEE 802.11a、g、nのようなO
FDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、あるいはWiGigのような
SC−FDE(Single Carrier Frequency Domain Equalizer)など、受信部にDFT(D
iscrete Fourier Transformation)及びIDFT(Inverse Discrete Fourier Transform
ation)を含む無線通信装置の例を示す。
この種の無線通信装置における、送信機と受信機の間に発生する、残留キャリア周波数
オフセット及び残留シンボル同期ずれにより生じる位相誤差の補正について、以下に説明
する。
図1は、WiGigに対応した無線通信装置の受信部の構成を示すブロック図である。
図1に示す無線通信装置は、RF(Radio Frequency)処理部1、ADC(Analog-Digita
l Converter)部2、同期検出部4、周波数補正部5、S/P(serial-parallel)変換部
6、DFT部7、伝送路補正部8、位相誤差補正部9、IDFT部10、P/S(parall
el-serial)変換部11、復調部13、セレクタ15を有する。
RF処理部1は、アンテナにて受信された無線周波数の受信信号を複素信号のベースバ
ンド信号に変換する。ADC部2は、複素信号のベースバンド信号を一定周期でサンプリ
ングし、デジタル複素ベースバンド信号に変換する。
同期検出部4は、複素ベースバンド信号から同期用の既知のプリアンブル信号(後述す
るSTF)を検出する。周波数補正部5は、既知のプリアンブル信号(後述するSTF)
を用いてキャリア周波数の誤差を算出し、粗いキャリア周波数オフセットの補正を行う。
S/P変換部6は、シリアル信号の複素ベースバンド信号をパラレル信号に変換する。D
FT部7は、粗いキャリア周波数オフセット補正を行った時間領域の複素ベースバンド信
号を、同期検出部4によって検出されたプリアンブル信号のタイミングに従った粗いシン
ボル同期の後、周波数領域の複素信号に変換する。
伝送路補正部8は、既知のプリアンブル信号(後述するCEF)を用いて、送信機と受
信機の間の伝送路誤差を補正する。セレクタ15は、周波数補正部5またははP/S変換
部11の出力信号を選択し、伝送路補正部8に出力する。位相誤差補正部9は、既知の参
照信号(後述するGI)を用いて、残留キャリア周波数オフセット及び残留シンボル同期
ずれにより生じる残留位相誤差を補正する。
IDFT部10は、位相誤差補正部9から出力される位相誤差補正後の周波数領域の信
号を時間領域の複素ベースバンド信号に変換する。P/S変換部11は、IDFT部10
の出力のパラレル信号をシリアル信号に変換する。復調部13は、IDFT部10によっ
て時間領域に変換された複素ベースバンド信号を用いて、デジタル変調された信号を復調
する。
図28は、WiGigの信号フォーマットを示す図である。WiGigの無線通信シス
テムにおいて伝送される信号は、先頭より、STF(Short Training Field)、CEF(
Channel Estimation Field)、GI(Guard Interval)、ヘッダ(Header)、…デ
ータ部(Data1、Data2…)を有する。ここでは、プリアンブル信号としてST
F、CEFを有する。
STFは、図1の同期検出部4、周波数補正部5において用いられる既知のプリアンブ
ル信号の繰り返しである。STFの先頭からのAGC期間においてAGC部(図示せず)
によるAGC動作が行われ、残りの粗いCFO期間において周波数補正部5による粗いキ
ャリア周波数オフセットの算出が行われる。STFの最終の1シンボルは同期検出期間で
あり、同期検出部4によるプリアンブル信号の検出により粗いシンボル同期が行われる。
CEFは、図1の伝送路補正部8において用いられる、前述のSTFとは異なる既知の
プリアンブル信号である。
ヘッダには、変調方式、及び送信シンボル数などの伝送データの属性を示す情報が含ま
れる。データ部には、伝送したいデータ自体が含まれている。GIは、前述のSTF、C
EFとは異なる、ヘッダ及びデータ部において一定間隔ごとに繰り返し挿入される既知の
参照信号である。GIは、図1の位相誤差補正部9において、位相誤差の推定(位相誤差
補正値の算出)に用いられる。
次に、位相誤差補正部9において補正する、残留キャリア周波数オフセット及び残留シ
ンボル同期ずれについて説明する。キャリア周波数オフセットは、送信機(図示せず)の
RF処理部において複素ベースバンド信号を直交変調する際に用いるキャリア周波数と、
受信機のRF処理部1において直交復調に用いるキャリア周波数とが微小に異なることを
原因とする位相誤差である。
周波数補正部5は、キャリア周波数の誤差(粗いキャリア周波数オフセット)を推定し
て補正を行うが、信号雑音及びキャリアの位相雑音の影響により、キャリア周波数オフセ
ットの推定に誤差が生じるため、位相誤差は残留し、累積する。これが残留キャリア周波数オフセットである。このため継続して位相誤差の補正値を更新し続けて、残留キャリア周波数オフセットを補正する必要がある。
残留シンボル同期ずれは、送信機(図示せず)における複素ベースバンド信号を生成す
るDAC(Digital Analog Converter)部のサンプリング周波数と、受信機のADC部2
のサンプリング周波数とが微小に異なることを原因とする位相誤差である。送信機と受信
機の間のサンプリング周波数の誤差により、最初期に位相誤差補正を行っても、時間の経
過と共に、シンボル同期ずれが残留して累積し、シンボルのタイミング誤差が広がる。こ
のため、継続して位相誤差の補正値を更新し続けて、残留シンボル同期ずれを補正する必
要がある。
DFT部7では、同期検出部4にて検出されるプリアンブル信号により、CEFの先頭
に合わせてDFTのタイミングを制御する。シンボルのタイミング誤差が広がると、DF
T部7における窓同期がずれてしまう。
図29は、周波数領域における残留キャリア周波数オフセット及び残留シンボル同期ず
れを示す図である。図29において、横軸は周波数を示し、縦軸は位相誤差を−π〜π[
rad]の範囲で示している。図示されるように、位相誤差は直線性を持つため、位相誤
差のオフセット(各周波数の位相誤差の平均、すなわち周波数の平均値におけるオフセッ
ト量)は残留キャリア周波数オフセット、位相誤差の傾き(周波数に対する位相誤差の変
化量)は残留シンボル同期ずれを表すものとなる。
ここで位相誤差は、受信された信号から抽出した参照信号GIと送信されるべき既知の
参照信号GIとの位相差である。位相誤差をyとし、周波数をx、位相誤差の傾きをa、
位相誤差のオフセットをbとすると、次に示す数式[1]のような直線補間式によって位
相誤差を表現できる。
y=ax+b …[1]
位相誤差は、複数の周波数における位相誤差の測定値に対して、直線近似を行うことに
よって求められる。直線近似には、例えばLSM(Least Squares Method)が用いられる
。LSM処理は、一般的に知られている近似による手法を用いて実現できる。
図30は、周波数領域における位相の不連続性の発生例を示す図である。位相誤差が大
きくなると、図30の例に示すように、位相(8)はπ[rad]から−π[rad]へ
と変化し、不連続な位相の変化が起こる。この場合、周波数に対する位相の直線性が損な
われ、位相補正値が正しく取得できない。
従来では、不連続な位相の変化への対策として、前述の特許文献1に示されるように、
位相の不連続性を検出した場合、ひとつ前で用いられた補正値を用いて、位相補正を行う
方法がとられていた。図31は、従来の位相誤差推定方法を用いた無線通信装置の受信部
の構成を示すブロック図である。この従来例では、判定器596により、位相の不連続を
検出しない場合、補正値算出部593にて算出した位相誤差の補正値を補正値出力部59
5より出力し、位相補正部594にて位相補正を行う。一方、判定器596において位相
の不連続性を検出した場合、補正値出力部595よりひとつ前で用いられた補正値を出力
し、位相補正を行う。
また、位相アンラッピング(Phase Unwrapping)処理を用いて、隣り合う位相の差の絶
対値がπを超えたと判定された場合に、一方の位相に±2πを加算することにより位相の
連続化を行う方法もある。図30の例では、位相(7)と(8)の比較により、(8)の
位相に+2πを加算することで、位相を戻すアンラッピング処理を行う。
従来例において、位相の不連続発生時にひとつ前の補正値を用いる方法では、例えば最
初期に位相の不連続が発生した場合、誤った補正値が用いられる。また、最初期に正しい
補正値を得られたとしても、その後、位相の不連続が発生し続けた場合、補正値が更新さ
れないので、本来算出されるべき補正値から乖離していく。また、位相アンラッピング処
理を用いる場合は、位相差の絶対値がπを超えたかの判定を、受信信号に含まれる雑音に
より誤ることがある。
これらの課題は、低SNR(Signal-to-Noise Ratio)の状況で位相誤差の測定値が乱
される時に発生することが多い。例えば、無線LAN規格ではPER=10%が要求仕様
であるのに対し、WiGigでは低SNRにおいてもPER=1%とPERに対する要求
が厳しい。PERを劣化させないために、更に精度の高い位相誤差補正を実現する必要が
ある。
上述した課題を鑑み、本開示では、位相誤差または雑音レベルが大きい場合でも、位相
誤差において位相の不連続が発生したときに、位相の不連続性を容易に精度良く判定でき
、高精度の位相補正値を得ることができる位相誤差推定方法及び装置を提供する。
<本開示の実施形態>
以下、図面を参照しながら本開示に係る実施形態を詳細に説明する。本開示に係る位相
誤差推定方法、及び位相誤差推定装置は、実施形態の無線通信装置において実現される。
なお、以下の説明において用いる図について、同一の構成要素には同一の符号を付し、重
複する説明を省略する。
(実施の形態1)
図2は、本開示の実施の形態1における位相誤差補正部の構成を示すブロック図である
。ここでは、図1に示したWiGigに対応した無線通信装置の受信部における構成及び
動作を例示する。
図1において、RF処理部1は、アンテナにおいて受信された無線周波数の受信信号を
増幅し、直交変調を行ってベースバンド信号に変換する。直交変調後のベースバンド信号
は複素信号である。
ADC部2は、RF処理部1での直交変調後の信号を、一定周期でサンプリングし、デ
ジタル複素ベースバンド信号に変換する。
同期検出部4は、複素ベースバンド信号から同期用の既知のプリアンブル信号(STF
)を検出し、同期用のタイミング信号を出力する。プリアンブル信号は、DFT部7の窓
同期、すなわち粗いシンボル同期に用いられる。
周波数補正部5は、既知のプリアンブル信号(STF)を用いてキャリア周波数誤差と
して粗いキャリア周波数オフセットを算出し、粗いキャリア周波数オフセットを補正した
複素ベースバンド信号を出力する。
S/P変換部6は、DFT部7を動作させるためのバッファであり、シリアル信号の複
素ベースバンド信号をパラレル信号に変換する。DFT部7は、時間−周波数変換部の一
例に相当し、粗いキャリア周波数オフセットの補正を行った時間領域の複素ベースバンド
信号について、同期検出部4によって検出されたSTFのタイミングに従って時間−周波
数変換を行い、周波数領域の複素信号を出力する。
伝送路補正部8は、既知のプリアンブル信号(CEF)を用いて、送信機と受信機の間
の伝送路が持つ伝達特性である振幅及び位相を算出し、伝送路誤差を補正する。
セレクタ15は、周波数補正部5またはP/S変換部11の信号を選択し、伝送路補正
部8に出力する。伝送路誤差補正に用いる信号の選択は、設計者によって決定される。周
波数補正部5からの信号を選択すれば、早く補正値を算出できる。P/S変換部11から
の信号を選択すれば、回路化において発生するDFT部7からIDFT部10の間に発生
誤差を加味した補正値を算出できる。
位相誤差補正部9は、特定の参照信号として、周期的に挿入される既知の参照信号(G
I)を用いて、残留キャリア周波数オフセット及び残留シンボル同期ずれを算出し、周波
数領域において、残留キャリア周波数オフセット及び残留シンボル同期ずれによる位相誤
差を補正する。
IDFT部10は、周波数−時間変換部の一例に相当し、位相誤差補正部9の出力信号
の周波数−時間変換を行い、時間領域の複素ベースバンド信号に変換する。
P/S変換部11は、IDFT部10の出力のパラレル信号をシリアル信号に変換する
復調部13は、時間領域に変換された残留位相誤差補正後の複素ベースバンド信号を用
いて、デジタル変調された信号を復調し、受信データを得る。
上記構成において、同期検出部4、周波数補正部5、S/P変換部6、DFT部7、伝
送路補正部8、位相誤差補正部9、IDFT部10、P/S変換部11、復調部13は、
プロセッサ、メモリを含む情報処理回路により実現可能であり、プロセッサにおいてソフ
トウェアプログラムを動作させて所定の処理を実行することによって、各機能を実現でき
る。
図2において、位相誤差補正部9は、信号抽出部90、誤差ベクトル算出部91、代表
ベクトル算出部92、補正値算出部93、位相補正部94を有する。ここで、信号抽出部
90、誤差ベクトル算出部91、代表ベクトル算出部92、及び補正値算出部93が位相
誤差推定部95に相当する。
信号抽出部90では、周波数領域において、受信信号の中から、周期的に繰り返し受信
される参照信号(GI)(受信参照信号の一例に相当する)を抽出する。誤差ベクトル算
出部91では、受信された信号から抽出した参照信号と送信されるべき既知の参照信号(
GI)(送信参照信号の一例に相当する)とを比較し、両者の差分による複数の誤差ベク
トルを算出する。
代表ベクトル算出部92では、誤差ベクトル算出部91にて得られた誤差ベクトルを、
周波数によって2つ以上のグループに分け、グループごとの代表値を算出する。ここでは
、代表値の例として、各グループにおける誤差ベクトルの平均値を算出し出力する。平均
値の算出方法として、単純なベクトル平均を用いてもよいし、周波数によって所定の重み
付けを行って平均を算出してもよい。なお、代表値としては、グループごとの中央値など
、他の値を用いることも可能であるが、本実施形態にて想定する低SNR環境下でランダ
ムな雑音成分による位相誤差が付加される状況においては、平均値を用いるのが好ましい
補正値算出部93では、代表ベクトル算出部92にて得られたグループごとの複数の代
表ベクトル(ベクトル平均値)に基づいて、各周波数に合わせて周波数毎の位相補正値を
算出する。位相補正部94では、補正値算出部93にて算出された位相補正値を用いて、
各周波数の位相誤差を補正する。
図3は、周波数領域における参照信号GIのスペクトラムと誤差ベクトル算出に用いら
れる周波数番号を示す図である。図3において、横軸は各周波数に対応する周波数番号を
示し、縦軸はGIのスペクトラムの振幅の絶対値を示している。
信号抽出部90では、受信信号から参照信号GIを抽出し、図3に示す64シンボルの
参照信号GIをフーリエ変換したスペクトラムを得る。ここで、周波数番号とは、WiG
ig規格のシンボルレートである1.76GHz(−880MHz〜+880MHz)を
64シンボルで割った27.5MHzを1単位とし、各周波数を表す番号である。
周波数領域のスペクトラムのうち、特に絶対値が大きいものはノイズ耐性が強く、位相
雑音の影響が少ない。よって、ここでは一例として、振幅の絶対値が大きいものから所定
数(図示例では8シンボル分)のスペクトラムを代表値として使用するものとし、図3の
黒丸で示される周波数番号−25、−22、−10、−7、及び、8、13、19、24
を更に抽出する。
図4は、誤差ベクトル算出部91の構成を示す図である。誤差ベクトル算出部91は、
複素乗算器910−00〜910−07を有する。ここでは、8個の周波数について参照
信号GIの誤差ベクトルを算出するため、8系統の回路が並列に設けられる。誤差ベクト
ルを算出するために、複素乗算器910−00〜910−07を用いて、受信された信号
から抽出した参照信号と送信されるべき既知の参照信号との比較を行う。
各複素乗算器910−00〜910−07には、基準となる既知の参照信号の係数re
f00〜ref07がそれぞれ与えられ、信号抽出部90にて抽出された各周波数の参照
信号GIの値S1−00〜S1−07と係数ref00〜ref07とが周波数ごとに複
素乗算される。係数ref00〜ref07は、既知の参照信号の共役の複素数となって
おり、複素乗算することによって、周期的に受信される参照信号との誤差ベクトルS2−
00〜S2−07が得られる。なお、係数に予め重み係数を加えることで、誤差ベクトル
の大きさを揃えることも可能である。
図5は、代表ベクトル算出部92の構成を示す図である。代表ベクトル算出部92は、
2つの複素加算器920−L、920−Hを有する。代表ベクトル算出部92では、誤差
ベクトル算出部91から出力される誤差ベクトルS2−00〜S2−07を、低周波と高
周波の2つのグループに分け、それぞれ複素加算器920−L、920−Hによってグル
ープごとに複素加算する。これにより、低周波と高周波の2つのグループの代表ベクトル
S3L、S3Hが得られる。代表ベクトルは各グループの平均値を意味するので、複素加
算器の入力数で除してもよい。ただし、重要なのは代表ベクトルの位相であるので、平均
値の正実数倍であれば問題なく、特に除する必要は無い。
ここで、図6〜図9を用いて、受信信号のSNRが低い場合の各信号値の挙動を説明す
る。図6〜図9は、誤差ベクトル算出部91、代表ベクトル算出部92における動作例を
示すものである。
図6は、低SNRの場合の周波数領域における残留キャリア周波数オフセット及び残留
シンボル同期ずれによる位相誤差を示す図である。図6において、横軸は周波数を示し、
縦軸は位相誤差を−π〜π[rad]の範囲で示している。誤差ベクトル算出部91にて
算出される受信信号の各シンボルの位相誤差の例を黒丸にて表している。
図6において、位相(5)、(7)、(8)は、残留キャリア周波数オフセットと残留
シンボル同期ずれによる位相誤差が大きくなったことと、低SNRによる位相の乱れが大
きくなったことによって、位相の不連続が起こっている。これらの不連続な位相について
LSMを用いて直線近似を行うと、得られる直線は実際の位相誤差とは大きく異なったも
のになる。
図7は、図6に示した低SNRの場合の位相誤差の誤差ベクトルを示す図である。図7
は、誤差ベクトルを複素IQ平面上に表したものである。予め定めた周波数範囲により、
位相(1)〜(4)が低周波ベクトルに、位相(5)〜(8)が高周波ベクトルにグルー
プ分けされている。
図8は、図7に示した位相誤差の誤差ベクトルの代表ベクトルを示す図である。図8は
、図7と同様に誤差ベクトルの代表ベクトルを複素IQ平面上に表したものである。代表
ベクトル算出部92の複素加算器920−Lにより、誤差ベクトル(1)〜(4)のベク
トル平均によって求められた低周波代表ベクトルS3Lが算出される。また、複素加算器
920−Hにより、誤差ベクトル(5)〜(8)のベクトル平均によって求められた高周
波代表ベクトルS3Hが算出される。図を見やすくするため、複素加算器920−L、9
20−Hの出力を各複素加算器の入力数で除したものを代表ベクトルとしている。このよ
うに、位相の演算ではなくベクトル平均演算を用いたことにより、誤差ベクトル(5)〜
(8)の高周波代表ベクトルS3Hについて、良好な平均値が得られることがわかる。
図9は、図8に示した低周波代表ベクトルと高周波代表ベクトルの位相誤差を示す図で
ある。図9において、横軸は周波数を示し、縦軸は位相誤差を−π〜π[rad]の範囲
で示している。
図9に示すように、位相の不連続性を図6の位相(1)〜(8)の各位相誤差によって
判定するのに比べ、低周波代表ベクトルの位相S3PLと高周波代表ベクトルの位相S3
PHの2つの位相により判定する方が、判定誤りを少なくできる。これは、各グループの
代表ベクトルを平均により求めることによって、判定する回数が減少するとともに、低S
NRにおける位相雑音の影響が平均演算により緩和されるからである。
次に、補正値算出部93の構成及び動作について説明する。図10は、補正値算出部9
3の構成を示す図である。補正値算出部93は、ベクトル−位相変換(vector to phase
)部930−L、930−H、位相傾き算出部931、位相オフセット算出部932、周
波数毎補正値算出部933を有する。補正値算出部93は、代表ベクトル算出部92によ
り求められた代表ベクトルから、周波数毎の位相誤差の補正値を求める。
補正値算出部93では、ベクトル−位相変換部930−L、930−Hにより、低周波
代表ベクトルS3Lと高周波代表ベクトルS3Hを、それぞれ位相に変換する。ベクトル
−位相変換は、例えばarctan演算、あるいはCORDICによって実現できる。
次いで、位相傾き算出部931により、2つの代表ベクトルの位相誤差から位相誤差の
傾きS4aを求める。位相傾き算出部931は、折り返し減算器9310、ゲイン乗算部
9311を有する。折り返し減算器9310では、2つの代表ベクトルの位相について折
り返し減算を行い、代表ベクトルの位相間の位相差を−π〜π[rad]の範囲で求める
ゲイン乗算部9311では、代表ベクトル間の周波数差を周波数番号で表した量(整数
とは限らない)の逆数であるゲインを乗算する。ゲイン乗算部9311において乗算する
ゲインは、例えば、図3にて選択された低周波領域の周波数番号−25、−22、−10
、−7の平均である−16と、高周波領域の周波数番号8、13、19、24の平均であ
る16との差分の逆数1/32とする。この場合、折り返し減算器9310の出力の位相
差にゲイン1/32を乗算する。ゲイン乗算により、グループ間の代表ベクトルの位相差
が周波数差によって除算され、位相誤差の傾きS4aが得られる。
また、位相オフセット算出部932により、2つの代表ベクトルの位相誤差から位相誤
差のオフセットS4bを求める。位相オフセット算出部932は、加算器9320、ゲイ
ン乗算部9321、折り返し加算器9322、セレクタ9323、判定器9324を有す
る。
加算器9320では、2つの代表ベクトルの位相同士を加算し、ゲイン乗算部9321
では、加算器9320の加算結果を1/2倍する。ゲイン乗算部9321の出力は、その
まセレクタ9323の一方の入力に入力されるとともに、折り返し加算器9322により
πが折り返し加算された値がセレクタ9323の他方の入力に入力される。判定器932
4では、位相の不連続性の有無を判定する。セレクタ9323では、判定器9324の判
定結果に応じて、入力のいずれか一方を位相誤差のオフセットS4bとして出力する。す
なわち、判定器9324により位相が不連続でないと判定された場合、セレクタ9323
からゲイン乗算部9321の出力をそのまま出力し、判定器9324により位相が不連続
であると判定された場合、セレクタ9323からゲイン乗算部9321の出力をπずらし
た値を出力する。
位相の不連続とは、代表ベクトルのいずれかに±2πの余分な位相が含まれることを意
味する。このため、代表ベクトルの位相の加算結果について、1/2倍後にπずらす(−
πずらすことも同じ)ことにより、位相の不連続を補正できる。したがって、位相オフセ
ット算出部932において精度良く位相誤差のオフセットS4bを算出できる。
ここで、折り返し減算器9310による折り返し減算、及び折り返し加算器9322に
よる折り返し加算について説明する。折り返し減算と折り返し加算とは、和と差の違いが
あるものの、折り返し演算については同じであるため、以下ではまとめて折り返し加減算
として説明する。
図11は、通常の加減算と折り返し加減算との関係を示す図である。折り返し加減算は
、加減算値が±πの範囲を超える場合は2πの整数倍を加えることにより、演算結果を±
πの範囲に収めるものである。実際の演算回路においては、例えば、±πの範囲を符号付
き2進整数±(2のN−1乗)の範囲に対応させ、加減算結果の下位Nビットを取り出す
演算を行うことにより、簡単に実現できる。
折り返し加減算の具体例として、±πを4ビットで表現する場合を例示する。4ビット
のMSB(Most Significant Bit)は正負を表し、±πは、−8〜+7で表現される。図
12は、±πの位相を4ビットの値に割り当てた場合の各位相と数値の対応を示す図であ
る。図12に示すように、−π〜πの各位相がπ/8ステップで−8〜+7の整数値に割
り当てられ、各整数値がそれぞれバイナリ表現される。各整数値のバイナリ表現は、0→
0000、+1→0001、+2→0010、+3→0011、+4→0100、+5→
0101、+6→0110、+7→0111、−8→1000、−7→1001、−6→
1010、−5→1011、−4→1100、−3→1101、−2→1110、−1→
1111となる。
−1と−3を折り返し加算する場合、−1はバイナリ表現では1111、−3は110
1であり、下記の数式[2]に示すように、通常のバイナリ加算をすると桁上がりが発生
するため、11100となり、5ビットになる。本例では、5ビットのうち下位4ビット
を取り出して1100、すなわち−4であり、−1と−3の折り返し加算結果として−4
を得る。
−6と−3を折り返し加算する場合、通常の加算結果では−9となるが、±πの範囲を
超えるため、図11及び図12より、折り返し加算結果は+7となる。−6はバイナリ表
現では1010、−3は1101であり、下記の数式[3]に示すように、通常のバイナ
リ加算をすると5ビットの10111となる。ここで、下位4ビットを取り出して011
1、すなわち−6と−3の折り返し加算結果として+7を得る。このような演算により、
加減算結果が±πの範囲を超える場合でも2πシフトさせて±πの範囲に収めた結果を得
る折り返し加減算を実現できる。
Figure 0005964770
Figure 0005964770
図13は、補正値算出部93における位相オフセット算出部932の判定器9324の
構成を示す図である。判定器9324は、減算器93240、不等号判定器93241a
、93241b、OR回路93242を有する。減算器93240では、2つの代表ベク
トルの位相S3PL、S3PH同士を減算する。不等号判定器93241aでは、減算器
93240の減算結果がπ以上であるか、すなわち(S3PL−S3PH)≧πを判定し
、判定結果が真の場合は“1”を出力する。不等号判定器93241bでは、減算器93
240の減算結果が−πより小さいか、すなわち(S3PL−S3PH)<−πを判定し
、判定結果が真の場合は“1”を出力する。OR回路93242では、2つの入力、すな
わち不等号判定器93241aと93241bのいずれかの出力が“1”の場合、“1”
を出力する。OR回路93242の出力が不連続判定値C1となる。
これにより、判定器9324は、算出された2つの代表ベクトルの位相の差分の絶対値
がπ以上となる場合、位相の不連続が起こっていることを判定し、不連続判定値C1とし
て“1”を出力する。受信信号のシンボル同期がとれている状態では、位相の不連続が生
じていない場合、位相誤差がπ以上大きくなることは無い。このため、位相差の絶対値が
π以上か否かによって、位相雑音の影響により位相の不連続が発生したか否かを判定でき
る。
図14は、補正値算出部93における周波数毎補正値算出部933の構成を示す図であ
る。周波数毎補正値算出部933では、図29及び数式[1]に示した位相誤差の直線性
より、位相誤差の傾きS4aと位相誤差のオフセットS4bとから各周波数番号の位相補
正値を求める。
周波数毎補正値算出部933は、乗算器9330−00〜9330−63と、加算器9
331−00〜9331−63とを有する。ここでは、64個(元のGIの64シンボル
分)の周波数について周波数毎補正値を算出するため、64系統の回路が並列に設けられ
る。
乗算器9330−00〜9330−63では、各周波数番号の位相誤差の補正値を算出
するために、位相傾き算出部931にて得られた位相誤差の傾きS4aに対して各周波数
に対応する係数を乗算する。乗算の係数は周波数番号−32〜+31である。加算器93
31−00〜9331−63では、乗算器9330−00〜9330−63の各乗算結果
に対し、位相オフセット算出部932にて得られた位相誤差のオフセットS4bを加算す
る。これらの演算により、周波数毎補正値S5−00〜S5−63を算出する。
図15は、位相補正部94の構成を示す図である。位相補正部94は、位相−ベクトル
変換(phase to vector)部940−00〜940−63、共役変換(conj)部941−
00〜941−63、複素乗算器942−00〜942−63を有する。ここでは、64
個(元のGIの64シンボル分)の周波数について残留シンボル同期ずれの補正を行うた
め、64系統の回路が並列に設けられる。
位相−ベクトル変換部940−00〜940−63では、補正値算出部93にて得られ
た各周波数の位相誤差の補正値(周波数毎補正値)S5−00〜S5−63を、複素ベク
トルに変換する。共役変換部941−00〜941−63では、周波数毎補正値の複素ベ
クトルを共役の複素数に変換する。複素乗算器942−00〜942−63では、伝送路
補正部8による伝送路誤差補正後の周波数領域の受信信号S0−00〜S0−63に対し
て、周波数毎補正値の共役複素ベクトルを乗算する。これにより、受信信号の位相を逆回
転させ、位相誤差を補正し、補正後の信号S6−00〜S6−63を得る。位相−ベクト
ル変換は、例えばtan演算、あるいはCORDICによって実現できる。
なお、位相補正部94は、周波数毎補正値の共役複素ベクトルを乗算する構成に限らず
、例えば、ゲイン乗算部及びCORDIC部によって位相を回転させる構成、補正テーブ
ルを用いて位相補正する構成といった各種構成を適用可能である。
図16は、本実施形態の位相誤差補正部による位相誤差推定結果の一例を示す図である
。図16では、ADCのサンプリング周波数ずれにより、シンボル同期ずれが例えば0.
2シンボルになっている場合に、位相誤差補正時に得られるシンボル推定誤差のシミュレ
ーション結果を示しており、本実施形態と従来例の位相誤差推定方法による性能を比較し
た図となっている。
図16のグラフにおいて、本実施形態を○、従来例を×で示しており、シンボル推定誤
差の値を示す点が図中下にいくほど誤差が小さく、高精度の補正が可能である。特に、特
にCNRが2dB以下と低い場合に、従来例に比べてシンボル推定誤差が著しく小さくな
っていることがわかる。
なお、上述した実施形態では、低周波代表ベクトルと高周波代表ベクトルを求めるため
にそれぞれ4個ずつ合計8個の周波数を用いた例を説明した。一方、図16の例では、有
効な測定値をより多く用いるため、低周波領域と高周波領域でそれぞれ8個ずつ合計16
個の周波数を用いた場合のシミュレーション結果を示している。
上述したように、本実施形態では、周期的に繰り返し送信される特定の参照信号(参照
信号GI)を用いて、位相誤差補正部9によって、周波数領域に変換された受信信号の中
から特定の参照信号(参照信号GI)を抽出し、送信されるべき特定の参照信号と比較す
ることにより、周波数領域において位相誤差の誤差ベクトルを算出する。そして、複数の
誤差ベクトルを、2つ以上の誤差ベクトルのグループに分け、グループごとに誤差ベクト
ルの代表値を求めて代表ベクトルを算出し、複数の代表ベクトルに基づいて位相誤差の傾
きとオフセットを算出する。そして、周波数毎の位相誤差の補正値を算出し、各周波数の
位相誤差補正を行う。代表ベクトルを求める場合、各グループにおける代表値を算出する
誤差ベクトルの数は少なくとも2つ、分割するグループの数は少なくとも2つあればよく
、最低4つの値に基づいて位相誤差を算出できる。
例えば、複数の代表ベクトルの位相の差分から位相誤差の傾きを求め、複数の代表ベク
トルの位相の和から位相誤差のオフセットを求める。ただし、位相誤差のオフセットを求
める際、代表ベクトルの位相の差分によって位相の不連続性を判定し、位相が不連続であ
る場合は、複数の代表ベクトルの位相の和にπを加えて演算結果が±πの範囲に収まるよ
うにし、これを位相誤差のオフセットとする。
これにより、位相誤差において位相の不連続が発生した場合においても、位相の不連続
性を容易に精度良く判定でき、高精度の位相補正値を毎回得ることができる。したがって
、低SNRの状況でも高精度の位相補正値を得て精度の高い位相誤差補正を実現でき、低
SNRにおいてもPERに対する要求が高い、例えばWiGigといった高速伝送を行う
無線通信システムにも対応可能である。
(実施の形態1の応用例)
図17は、本実施形態の位相誤差補正部をOFDMに対応した無線通信装置の受信部に
適用した構成を示すブロック図である。図17に示す無線通信装置は、RF処理部101
、ADC部102、同期検出部104、周波数補正部105、S/P変換部106、DF
T部107、伝送路補正部108、位相誤差補正部109、復調部113を有する。
図17のOFDMに対応した無線通信装置は、図1のWiGigに対応した無線通信装
置の構成と比較して、IDFT部が無く周波数領域の信号を復調するという点、及び参照
信号が特定の時間に割り当てられたGIではなく特定の周波数に割り当てられたパイロッ
トキャリアであるという点が異なる。その他の構成及び動作は図1の無線通信装置と同様
である。
このように、OFDMに対応した無線通信装置においても、本実施形態の位相誤差補正
部を適用することによって、位相誤差または雑音レベルが大きい場合でも、高精度の位相
補正値を得ることができ、精度の高い位相誤差補正を実現できる。
(実施の形態2)
図18は、本開示の実施の形態2に係る周波数領域における参照信号GIのスペクトラ
ムと低周波領域及び高周波領域を指定する周波数番号を示す図である。
実施の形態2は、誤差ベクトル算出に用いる位相誤差の抽出数を変更した例である。信
号抽出部90において、図18に示すように周波数領域の信号全てを抽出し、誤差ベクト
ル算出部91にて誤差ベクトルを算出した後、代表ベクトル算出部92において、高周波
領域と低周波領域に分けてそれぞれ代表ベクトルS3L、S3Hを算出する。
ただし、誤差ベクトル算出部91では、算出に用いる係数refの大きさについて、G
Iのスペクトラムが大きい場合は大きく重み付けし、GIのスペクトラムが小さい場合に
は小さく重み付けし、スペクトラムの絶対値の大小に応じて周波数毎に重み付けを行う。
これにより、代表ベクトル算出部92における誤差ベクトルの合成により得られる代表ベ
クトルにおいて、雑音が抑制されるようにする。
この場合、補正値算出部93において、位相傾き算出部931のゲイン乗算部9311
により代表ベクトルに対応する周波数番号を演算する際にも、GIのスペクトルの大きさ
に応じて、各周波領域において平均される周波数に重み付けを与える。
このように、多数の周波数領域の信号を抽出して位相誤差を求めることにより、より精
度の高い位相補正値を得ることができる。
(実施の形態3)
図19は、本開示の実施の形態3における位相誤差補正部の構成を示すブロック図であ
る。実施の形態3は、代表ベクトルを算出する周波数領域のグループ分けを変更し、低周
波領域、中周波領域、高周波領域の3つのグループの代表ベクトルを求める例である。
位相誤差補正部9は、低周波領域、中周波領域、高周波領域の3グループに対応する3
つの代表ベクトルを算出する代表ベクトル算出部92Aと、3つの代表ベクトルから補正
値を算出する補正値算出部93Aとを有する。その他の構成及び動作は図2に示した実施
の形態1の位相誤差補正部と同様である。
図20〜図22を用いて、受信信号のSNRが低い場合の実施の形態3における代表ベ
クトル算出部92Aの動作例を説明する。
図20は、低SNRの場合の周波数領域における残留キャリア周波数オフセット及び残
留シンボル同期ずれによる位相誤差を示す図である。図20において、横軸は周波数を示
し、縦軸は位相誤差を−π〜π[rad]の範囲で示している。誤差ベクトル算出部91
にて算出される受信信号の各シンボルの位相誤差の例を黒丸にて表している。本例では、
低周波領域を位相(1)〜(3)、中周波領域を位相(4)〜(5)、高周波領域を位相
(6)〜(8)とする。なお、各周波数の位相誤差の値は図6に示した実施の形態1と同
様である。
図21は、図20に示した低SNRの場合の位相誤差の誤差ベクトルを示す図である。
図21は、誤差ベクトルを複素IQ平面上に表したものである。予め定めた周波数範囲に
より、位相(1)〜(3)が低周波ベクトルに、位相(4)〜(5)が中周波ベクトルに
、位相(6)〜(8)が高周波ベクトルにグループ分けされている。
図22は、図21に示した位相誤差の誤差ベクトルの代表ベクトルを示す図である。代
表ベクトル算出部92Aにより、誤差ベクトル(1)〜(3)のベクトル平均によって低
周波代表ベクトルS3Lが算出され、誤差ベクトル(4)〜(5)のベクトル平均によっ
て中周波代表ベクトルS3Mが算出され、誤差ベクトル(6)〜(8)のベクトル平均に
よって高周波代表ベクトルS3Hが算出される。
図23は、実施の形態3における補正値算出部93Aの構成を示す図である。補正値算
出部93Aは、ベクトル−位相変換部930−L、930−M、930−H、位相傾き算
出部931−LM、931−MH、位相オフセット算出部932−LM、932−MH、
位相傾き平均部934、位相オフセット平均部935、周波数毎補正値算出部933を有
する。
補正値算出部93Aでは、ベクトル−位相変換部930−Lにより低周波代表ベクトル
S3Lを、ベクトル−位相変換部930−Mにより中周波代表ベクトルS3Mを、ベクト
ル−位相変換部930−Hにより高周波代表ベクトルS3Hを、それぞれ位相に変換する
次いで、位相傾き算出部931−LMにより代表ベクトルS3L、S3Mの位相誤差か
ら低周波と中周波の間の位相誤差の傾きを、位相傾き算出部931−MHにより代表ベク
トルS3M、S3Hの位相誤差から中周波と高周波の間の位相誤差の傾きをそれぞれ算出
する。位相傾き算出部931−LM、931−MHは、実施の形態1の位相傾き算出部9
31と同じである。
そして、位相傾き平均部934により、低周波−中周波間、中周波−高周波間の2つの
位相誤差の傾きの平均を算出し、位相誤差の傾きS4aを得る。位相傾き平均部934は
、加算器9340とゲイン乗算部9341とを有する。加算器9340では、2つの異な
る周波数領域間の位相誤差の傾き同士を加算し、ゲイン乗算部9341では、加算器93
40の加算結果を1/2倍することにより、位相誤差の傾きの平均演算を行う。位相傾き
平均部934の出力が、低周波領域、中周波領域、高周波領域の3つの代表ベクトルから
得られる位相誤差の傾きS4aである。
また、位相オフセット算出部932−LMにより代表ベクトルS3L、S3Mの位相誤
差から低周波と中周波における位相誤差のオフセットを、位相オフセット算出部932−
MHにより代表ベクトルS3M、S3Hの位相誤差から低周波と中周波における位相誤差
のオフセットをそれぞれ算出する。位相オフセット算出部932−LM、932−MHは
、実施の形態1の位相オフセット算出部932と同じである。
そして、位相オフセット平均部935により、低周波及び中周波、中周波及び高周波の
2つの位相誤差のオフセットの平均を算出し、位相誤差のオフセットS4bを得る。位相
オフセット平均部935は、実施の形態1の位相オフセット算出部932と同じであり、
加算器9350、ゲイン乗算部9351、折り返し加算器9352、セレクタ9353、
判定器9354を有する。
すなわち、位相オフセット平均部935では、加算器9350及びゲイン乗算部935
1によって位相誤差のオフセットの平均演算を行い、判定器9354にて位相の不連続の
有無を判定を行う。位相が不連続でないと判定された場合、セレクタ9353からゲイン
乗算部9351の出力をそのまま出力し、位相が不連続であると判定された場合、セレク
タ9353からゲイン乗算部9351の出力をπずらした値を出力する。位相オフセット
平均部935の出力が、低周波領域、中周波領域、高周波領域の3つの代表ベクトルから
得られる位相誤差のオフセットS4bである。
周波数毎補正値算出部933は、実施の形態1と同様であり、位相誤差の直線性より、
位相誤差の傾きS4aと位相誤差のオフセットS4bとから各周波数番号の位相補正値を
求める。
このように、実施の形態3では、低周波領域、中周波領域、高周波領域の3つの誤差ベ
クトルのグループに分け、グループごとに誤差ベクトルの代表ベクトルを算出し、3つの
代表ベクトルによって位相誤差の傾きとオフセットを算出する。これにより、実施の形態
1と同様、低SNRの状況でも高精度の位相補正値を得ることができ、精度の高い位相誤
差補正を実現できる。
なお、4つ以上のグループに分けて、グループごとの代表ベクトルの算出、及び位相誤
差の傾きとオフセットの算出を行う場合についても、上記と同様にして位相誤差の補正値
を算出できる。
(実施の形態4)
図24は、本開示の実施の形態4における補正値算出部の構成を示すブロック図である
。実施の形態4は、前述した実施の形態3における補正値算出部93Aの変形例である。
実施の形態4では、位相誤差の傾きとオフセットの算出にLSMを用いる例を示す。
実施の形態4の補正値算出部93Aは、ベクトル−位相変換部930−L、930−M
、930−H、位相アンラッピング(Phase Unwrapping)部938、LSM近似部939
、周波数毎補正値算出部933を有する。
ベクトル−位相変換部930−L、930−M、930−Hでは、低周波代表ベクトル
S3L、中周波代表ベクトルS3M、高周波代表ベクトルS3Hのベクトル−位相変換を
それぞれ行い、各代表ベクトルの位相誤差を求める。
位相アンラッピング部938では、各代表ベクトルの位相誤差について、位相アンラッ
ピング(Phase Unwrapping)処理を行い、必要に応じて2πの適当な整数倍を加えて位相
を戻し、隣り合う位相差の絶対値がπを越えないようにする。位相アンラッピング(Phas
e Unwrapping)処理は、一般的に知られている位相演算による手法を用いて実現できる。
LSM近似部939では、LSM処理による直線近似を行い、連続性をもった各代表ベ
クトルの位相誤差から、位相誤差の傾きS4aと位相誤差のオフセットS4bを算出する
。LSM処理は、一般的に知られている近似による手法を用いて実現できる。周波数毎補
正値算出部933では、位相誤差の直線性より、位相誤差の傾きS4aと位相誤差のオフ
セットS4bとから各周波数番号の位相補正値を求める。
このように、LSMを用いた方法によっても、3つの代表ベクトルから精度の高い位相
補正値を得ることができる。
(実施の形態5)
図25は、本開示の実施の形態5における無線通信装置の受信部の構成を示すブロック
図である。実施の形態5の無線通信装置は、図1に示したWiGig対応の無線通信装置
の構成を一部変更し、位相誤差補正部9の位相補正部94の機能を伝送路補正部8と統一
した構成例である。
実施の形態5の無線通信装置は、位相誤差補正部9の機能を位相誤差推定部95と位相
補正部94とに分け、位相誤差補正部9の代わりに、位相誤差推定部95と、位相補正部
94の機能を持つ伝送路補正部8Aとを有する。
図26は、実施の形態5における位相誤差補正部の構成を示すブロック図である。伝送
路補正部8AとIDFT部10との間に接続される位相誤差推定部95は、信号抽出部9
0、誤差ベクトル算出部91、代表ベクトル算出部92、補正値算出部93を有する。す
なわち、位相誤差推定部95は、図2に示した位相誤差補正部9において、位相補正部9
4を除いた構成である。各部の構成及び動作は実施の形態1と同様であるため、説明を省
略する。位相誤差推定部95にて算出される各周波数の位相補正値は、伝送路補正部8A
に入力される。
図27は、実施の形態5における伝送路補正部8Aの構成を示す図である。伝送路補正
部8Aでは、送信機と受信機の間の伝送路が持つ伝達特性である振幅及び位相を算出し、
伝送路誤差を補正する。伝送路補正部8Aにおいて、位相誤差推定部95によって求めら
れる位相成分を伝送路の伝達特性の位相と合わせて位相の補正ができるため、補正回路の
削減になる。本実施形態は、図2に示したフィードフォワードによる位相誤差補正とは異
なり、フィードバックによる位相誤差補正を行う方法である。
伝送路補正部8Aは、伝送路推定部80、乗算器81−00〜81−63、回転器82
−00〜82−63、折り返し加算器83−00〜83−63、イネーブル付のフリップ
フロップ回路84−00〜84−63、折り返し加算器85−00〜85−63を有する
。ここでは、64個(元のGIの64シンボル分)の周波数について振幅及び位相の補正
を行うため、64系統の回路が並列に設けられる。
伝送路補正部8Aでは、伝送路推定部80によって得られる振幅補正値と位相補正値を
用いて、位相誤差推定部95によって算出した各周波数の位相補正値を合成し、位相誤差
補正を行いながら、伝送路特性に関する振幅補正及び位相補正を実行する。
伝送路推定部80では、周波数補正部5またはP/S変換部11の出力信号を用いて伝
送路推定を行い、送信機と受信機の間の伝送路が持つ伝達特性に応じた振幅補正値及び位
相補正値を算出する。
乗算器81−00〜81−63では、DFT部7から出力される周波数領域の受信信号
S0−00〜S0−63に対して、伝送路推定部80にて得られる振幅補正値を乗算し、
振幅補正を行う。また、回転器82−00〜82−63では、乗算器81−00〜81−
63の出力に対し、折り返し加算器85−00〜85−63から出力される統合された位
相補正値によって位相を回転させ、位相補正を行う。
この際、折り返し加算器83−00〜83−63では、位相誤差推定部95から出力さ
れる周波数毎の位相誤差の補正値(位相誤差推定出力)S5−00〜S5−63を、フリ
ップフロップ回路84−00〜84−63の出力に折り返し加算する。イネーブル付のフ
リップフロップ回路84−00〜84−63では、イネーブル端子がハイレベルのタイミ
ングで折り返し加算器83−00〜83−63の出力を保持する。フリップフロップ回路
84−00〜84−63は、GIの受信信号が入力されるタイミングでイネーブルとなる
これらの折り返し加算器83−00〜83−63及びフリップフロップ回路84−00
〜84−63によって、位相誤差推定部95から得られる位相誤差の補正値S5−00〜
S5−63が変化する度、位相が累積される。位相誤差の変化は、受信信号がGIを含む
ときに起こる。
折り返し加算器85−00〜85−63では、フリップフロップ回路84−00〜84
−63の出力と、伝送路推定部80にて得られる位相補正値とを折り返し加算する。これ
により、位相誤差の累積結果と伝送路推定による位相補正値とが合成され、回転器82−
00〜82−63に入力されて位相補正が行われる。
このように、実施の形態5では、位相誤差補正のための位相補正部と伝送路補正におけ
る位相補正部とを統一することにより、補正回路を削減でき、回路規模を小型化できる。
また、実施の形態1と同様、低SNRの状況でも高精度の位相補正値を得ることができ、
精度の高い位相誤差補正を実現できる。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限
定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内
において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについて
も当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない
範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
上記各実施形態では、本開示を、ハードウェアを用いて構成する場合を例にとって説明
したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現可能である。
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるL
SIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、各機能ブロックの一
部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の
違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されること
もある。
また、集積回路化の手法にはLSIに限らず、専用回路または汎用プロセッサを用いて
実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field
Programmable Gate Array)、又は、LSI内部の回路セルの接
続、設定が再構成可能なリコンフィグラブル・プロセッサーを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路
化の技術が登場すれば、当然、別技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バ
イオ技術の適用等が可能性としてありえる。
なお、本開示は、無線通信装置において実行される位相誤差補正方法として表現するこ
とが可能である。また、本開示は、位相誤差補正方法を実行する機能を有する装置として
の位相誤差補正装置、あるいは位相誤差補正方法または位相誤差補正装置をコンピュータ
により動作させるためのプログラムとして表現することも可能である。すなわち、本開示
は、装置、方法及びプログラムのうちいずれのカテゴリーにおいても表現可能である。
本開示は、位相誤差または雑音レベルが大きい場合でも、高精度の位相補正値を得るこ
とができる効果を有し、例えば高速伝送を行う無線通信装置に適用される位相誤差補正方
法及び装置等として有用である。
1 RF処理部
2 ADC部
4 同期検出部
5 周波数補正部
6 S/P変換部
7 DFT部
8、8A 伝送路補正部
80 伝送路推定部
81−00〜81−63 乗算器
82−00〜82−63 回転器
83−00〜83−63 折り返し加算器
84−00〜84−63 フリップフロップ回路
85−00〜85−63 折り返し加算器
9 位相誤差補正部
90 信号抽出部
91 誤差ベクトル算出部
910−00〜910−07 複素乗算器
92 代表ベクトル算出部
920−L、920−H 複素加算器
93 補正値算出部
930−L、930−H、930−M ベクトル−位相変換部
931、931−LM、931−MH 位相傾き算出部
9310 折り返し減算器
9311 ゲイン乗算部
932、932−LM、932−MH 位相オフセット算出部
9320 加算器
9321 ゲイン乗算部
9322 折り返し加算器
9323 セレクタ
9324 判定器
93240 加算器
93241a、93241b 不等号判定器
93242 OR回路
933 周波数毎補正値算出部
9330−00〜9330−63 乗算器
9331−00〜9331−63 加算器
934 位相傾き平均部
9340 加算器
9341 ゲイン乗算部
935 位相オフセット平均部
9350 加算器
9351 ゲイン乗算部
9352 折り返し加算器
9353 セレクタ
9354 判定器
938 位相アンラッピング部
939 LSM近似部
94 位相補正部
940−00〜940−63 位相−ベクトル変換部
941−00〜941−63 共役変換部
942−00〜942−63 複素乗算器
95 位相誤差推定部
10 IDFT部
11 P/S変換部
13 復調部
15 セレクタ

Claims (14)

  1. 受信部において、特定の参照信号を有する送信信号を受信した受信信号の中から、前記特定の参照信号を抽出して、周波数領域の受信参照信号を取得し、
    前記周波数領域の受信参照信号と前記送信信号における特定の参照信号を周波数領域で表した送信参照信号とを周波数ごとに比較して複数の誤差ベクトルを得て、
    前記複数の誤差ベクトルを、2つ以上のグループに分け、グループごとの代表値を求めて複数の代表ベクトルを取得し、
    前記複数の代表ベクトルに基づき、前記受信参照信号が有する周波数領域における位相誤差の傾きと位相誤差のオフセットとを求め、前記位相誤差の傾きと前記位相誤差のオフセットとによって周波数に応じた位相誤差を推定する、位相誤差推定方法であって、
    前記複数の代表ベクトルの取得において、前記グループは、前記誤差ベクトルについて、周波数の大きさによって分けられ、振幅の大きいものから所定数抽出された誤差ベクトルのグループとした、位相誤差推定方法
  2. 請求項1に記載の位相誤差推定方法であって、
    前記位相誤差の推定において、前記複数の代表ベクトルをベクトルから位相に変換し、前記複数の代表ベクトル間の位相が不連続である場合、前記位相誤差の傾きと前記位相誤差のオフセットとを求める際に所定の位相値を加減算する、位相誤差推定方法。
  3. 請求項1に記載の位相誤差推定方法であって、
    前記複数の代表ベクトルの取得において、前記グループごとの代表値として、前記複数の誤差ベクトルのベクトル平均により平均値を求める、位相誤差推定方法。
  4. 請求項に記載の位相誤差推定方法であって、
    前記複数の代表ベクトルの取得において、前記複数の誤差ベクトルの加算により、前記平均値を求める、位相誤差推定方法。
  5. 請求項に記載の位相誤差推定方法であって、
    前記複数の代表ベクトルの取得において、前記誤差ベクトルについて周波数によって振幅の大小に応じて所定の重み付けを行った複数の誤差ベクトルを用い、前記複数の誤差ベクトルの加算により、前記平均値を求める、位相誤差推定方法。
  6. 請求項2に記載の位相誤差推定方法であって、
    前記位相誤差の推定において、前記複数の代表ベクトルのうちの対象となる2つの代表ベクトルの位相差の絶対値がπ以上である場合に、前記複数の代表ベクトル間の位相が不連続であると判定する、位相誤差推定方法。
  7. 請求項1に記載の位相誤差推定方法であって、
    前記位相誤差の推定において、前記複数の代表ベクトルをベクトルから位相に変換し、前記複数の代表ベクトルのうちの対象となる2つの代表ベクトルの位相について、周波数の高い位相から周波数の低い位相を演算結果が±πの範囲に収まるよう折り返し減算し、前記2つの代表ベクトル間の周波数差で除算することにより、前記位相誤差の傾きを求める、位相誤差推定方法。
  8. 請求項1に記載の位相誤差推定方法であって、
    前記位相誤差の推定において、前記複数の代表ベクトルをベクトルから位相に変換し、前記複数の代表ベクトルのうちの対象となる2つの代表ベクトルの位相を加算して1/2倍のゲイン乗算を行い、前記複数の代表ベクトル間の位相が不連続である場合は、演算結果が±πの範囲に収まるよう前記ゲイン乗算結果に対しπを折り返し加算することにより、前記位相誤差のオフセットを求める、位相誤差推定方法。
  9. 請求項1に記載の位相誤差推定方法であって、
    前記複数の代表ベクトルの取得において、前記グループを、3つ以上のグループに分けてグループごとの代表値を求め、
    前記位相誤差の推定において、前記複数の代表ベクトルをベクトルから位相に変換し、変換後の位相にアンラッピング処理を施し、LSMによる直線近似を行うことにより、前記位相誤差の傾きとオフセットとを求める、位相誤差推定方法。
  10. 請求項1からのうちのいずれか一項に記載の位相誤差推定方法の位相誤差推定によって周波数に応じた位相誤差を求め、
    受信信号に対して前記位相誤差の補正を行う、受信方法。
  11. 請求項1からのうちのいずれか一項に記載の位相誤差推定方法の位相誤差推定によって周波数に応じた位相誤差を求め、
    伝送路推定によって送信機と受信機の間の伝送路が持つ伝達特性による位相を求め、
    前記位相誤差推定により求めた前記位相誤差と、前記伝送路推定により求めた前記伝達特性の位相とを合わせて、位相補正を行う、受信方法。
  12. 受信部において、特定の参照信号を有する送信信号を受信した受信信号の中から、前記特定の参照信号を抽出して、周波数領域の受信参照信号を取得する信号抽出部と、
    前記周波数領域の受信参照信号と前記送信信号における特定の参照信号を周波数領域で表した送信参照信号とを周波数ごとに比較して複数の誤差ベクトルを得る誤差ベクトル算出部と、
    前記複数の誤差ベクトルを、2つ以上のグループに分け、グループごとの代表値を求めて複数の代表ベクトルを取得する代表ベクトル算出部と、
    前記複数の代表ベクトルに基づき、前記受信参照信号が有する周波数領域における位相誤差の傾きと位相誤差のオフセットとを求め、前記位相誤差の傾きと前記位相誤差のオフセットとによって周波数に応じた位相誤差を推定する補正値算出部と、
    を有する位相誤差推定装置であって、
    前記代表ベクトル算出部は、前記複数の代表ベクトルの取得において、前記グループは、前記誤差ベクトルについて、周波数の大きさによって分けられ、振幅の大きいものから所定数抽出された誤差ベクトルのグループとした、位相誤差推定装置
  13. 請求項12に記載の位相誤差推定装置と、
    受信信号に対して前記位相誤差の補正を行う位相補正部と、
    を有する受信装置。
  14. 請求項12に記載の位相誤差推定装置と、
    伝送路推定によって送信機と受信機の間の伝送路が持つ伝達特性による位相を求める伝送路推定部と、
    前記位相誤差推定装置により求めた前記位相誤差と、前記伝送路推定部により求めた前記伝達特性の位相とを合わせて、位相補正を行う伝送路補正部と、
    を有する受信装置。
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