JP5964228B2 - 蒸気表値演算システム、蒸気表値演算方法及び制御装置 - Google Patents
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Description
一般的に、ボイラーにおける流体(液体及び気体、すなわち水及び水蒸気)の温度制御のみであると、温度が飽和温度を越えると、燃料の制御が困難となるため、エンタルピーを制御の指標として用いられている。
温度、圧力及びエンタルピーの関係は、日本機械学会から発行されている蒸気表に示されている。ボイラーにおける流体の温度及び圧力を測定することにより、流体のエンタルピーは、この測定された温度及び圧力を用いて、上記蒸気表により求めることができる。
この安全基準には、エンタルピーの計算過程における異常を検出できることが挙げられている。
このため、異常を検出する方法としては、予め計算時間の上限値及び下限値を設定しておき、計算時間が設定した上限値と下限値とで規定される範囲を外れる場合を異常としている。
このため、温度や圧力の数値によって、エンタルピーを算出するまでの繰り返しの回数が変化し、演算時間が長くなる場合がある。
特に、温度が飽和温度である場合、エンタルピーが飽和水エンタルピーから飽和蒸気エンタルピーへと変化する特異点であるため、飽和温度近傍においては収束計算を行う必要があり、演算の繰り返し回数が大幅に増加する。
しかしながら、エンタルピーの算出にかかる時間が飽和温度近傍とそれ以外の温度領域で大幅に異なる場合、それぞれの場合の異常を判定する異なる時間を規定する必要があり、この判定処理を含むことで信頼性が低下することになる。
これにより、ルックアップテーブルからエンタルピーの数値を読み出す処理であるため、エンタルピーの演算を一定時間かつ高速に行うことができる。
また、ルックアップテーブルにおいて、飽和温度近傍における温度の刻み幅を細かくしたとしても、誤差が無くなることはなく、この誤差を無視できるまでの時間の刻み幅とすると、さらに記憶容量が増加することになる。
このため、この発明によれば、第1の関数と第2の関数とは特異点を含まない簡易な構成とすることができ、特異点近傍であっても、それ以外の領域であっても同一の関数でかつ計算回数も一定とすることができ、従来のように変数の数値領域毎に異なった回数の繰り返し計算を行うことがなくなる。
したがって、本発明によれば、特異点である飽和温度近傍においても、他の温度領域と同様のエンタルピーの演算処理を行うことにより、エンタルピーの演算時間の等時性を満足させ、かつ計算機の記憶容量を増大させずに高速にエンタルピーの演算を行うことができる。
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、この発明の第1の実施形態による蒸気表値演算システムの構成例を示す概略ブロック図である。この第1の実施形態は、蒸気表値としての圧力、温度及びエンタルピーにおいて、エンタルピーを未知数としている。そして、本実施形態においては、外部装置から与えられる圧力及び温度からこの未知数であるエンタルピーを求める構成である。この外部装置は、圧力及び温度を変数値として供給する入力手段、あるいはボイラーに設けられた流体(例えば、水なとの液体、蒸気などの気体)の圧力を検出する圧力計、及び流体の温度を検出する温度計である。圧力計は流体の圧力値を検出して出力し、温度計は流体の温度値を検出して出力する。
本実施形態においては、温度値Trとエンタルピー値hが急激に変化する(後述する図2において、飽和水エンタルピー値h’sから飽和蒸気エンタルピーhsに変化する)温度である特異点である飽和温度値Tsとの差分値ΔTに対応し、未知数としてのエンタルピーhの数値を示す関数を、上記データベース4に予め書き込んで記憶させている。
Tr − Ts = ΔT …(1)
ここで、差分値算出部1は、圧力値毎の飽和温度値Tsを内部記憶部に予め書き込まれて記憶されており、供給される圧力値に対応した飽和温度値Tsにより、上記差分値ΔTを算出する。
そして、供給された圧力値における温度値Trが飽和温度値Tsである場合、関数読出部2は、データベース4から飽和値関数を読み出し、この飽和値関数に対して圧力値を代入してエンタルピー値hを求める。
これにより、本実施形態によれば、計算回数の等時性を実現するとともに、計算回数を低減することができるため、エンタルピー値hの算出を高速化することができる。
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の構成は、第1の実施形態による蒸気表値演算システムの図1の構成と同様である。この第2の実施形態は、蒸気表値としての圧力、温度及びエンタルピーにおいて、温度を未知数としている。そして、本実施形態においては、外部装置から与えられる圧力及びエンタルピーからこの未知数である温度を求める構成である。この外部装置は、圧力及びエンタルピーを変数値として供給する入力手段、あるいはボイラーに設けられた流体(例えば、水なとの液体、蒸気などの気体)の圧力を検出する圧力計、及び流体のエンタルピーを検出するエンタルピー検出計である。圧力計は流体の圧力値を検出して出力し、エンタルピー検出計は流体のエンタルピーを検出して出力する。
h − h’s = Δh
一方、差分値算出部1は、エンタルピー値hが飽和水エンタルピー値hsを越える場合、以下に示す式で差分値Δhを算出する。
h − hs = Δh
ここで、差分値算出部1は、圧力値毎の飽和蒸気エンタルピー値hsあるいは飽和水エンタルピー値h’sが内部記憶部に予め書き込まれて記憶されており、供給される圧力値に対応した飽和蒸気エンタルピー値hs及び飽和水エンタルピー値h’sにより、上記差分値Δhを算出する。
そして、供給された圧力値におけるエンタルピー値hが飽和水エンタルピー値h’sから飽和蒸気エンタルピー値hsの間に含まれる場合、関数読出部2は、データベース4から飽和値関数を読み出し、この飽和値関数に対して圧力値を代入して温度値Trを求める。
これにより、本実施形態によれば、計算回数の等時性を実現するとともに、計算回数を低減することができるため、温度値Trの算出を高速化することができる。
以下、図面を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の構成は、第1の実施形態による蒸気表値演算システムの図1の構成と同様である。この第3の実施形態は、蒸気表値としての圧力、温度及びエンタルピーにおいて、エンタルピーを未知数としている。そして、本実施形態においては、外部装置から与えられる圧力及び温度からこの未知数であるエンタルピーを求める構成である。この外部装置は、圧力及び温度を変数値として供給する入力手段、あるいはボイラーに設けられた流体(例えば、水なとの液体、蒸気などの気体)の圧力を検出する圧力計、及び流体の温度を検出する温度計である。圧力計は流体の圧力値を検出して出力し、温度計は流体の温度値を検出して出力する。
図3(A)は、圧力毎に設定された飽和温度値Ts未満の温度領域におけるエンタルピー値hを求める第1関数を用い、所定間隔の点列の差分値ΔTの各々を代入して求めたエンタルピー値hと、求めた際の差分値ΔTとの関係を示す第1関数テーブルを示している。この第1関数テーブルは、圧力毎に設けられている。
また、図3(B)は、圧力毎に設定された飽和温度Tsを越える温度領域におけるエンタルピー値hを求める第2関数を用い、所定間隔の点列の差分値ΔTの各々を代入して求めたエンタルピー値hと、求めた際の差分値ΔTとの関係を示す第2関数テーブルを示している。この第2関数テーブルは、第1関数テーブルと同様に、圧力毎に設けられている。
また、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される差分値ΔT1が正または負のいずれかであるかの判定を行い、差分値ΔT1が正の場合に圧力値P1における第2関数テーブルを選択し、一方、差分値ΔT1が負の場合に圧力値P1における第1関数テーブルを選択する。同様に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される差分値ΔT2が正または負のいずれかであるかの判定を行い、差分値ΔT2が正の場合に圧力値P2における第2関数テーブルを選択し、一方、差分値ΔT2が負の場合に圧力値P2における第1関数テーブルを選択する。
そして、関数読出部2は、未知数演算部3に対し、圧力値P1及びP2の関数テーブルを用いること、またこの圧力値P1及びP2における第1関数テーブルまたは第2関数テーブルのいずれをエンタルピー値hの算出に用いるかを示すテーブル情報を未知数演算部3に対して出力する。
また、圧力値P1の第2関数テーブルの場合と同様に、未知数演算部3は、圧力値P2の第2関数テーブルから、差分値の点列から差分値ΔT2近傍の差分値ΔTd(差分値ΔT2を挟む点列の隣接する差分値における、差分値ΔT2以下の差分値)及びΔTe(差分値ΔT2を挟む点列の隣接する差分値における、差分値ΔT2以上の差分値)の各々を検索し、それぞれ差分値ΔTdの点Dにおけるエンタルピー値hdと、差分値ΔTeの点Eにおけるエンタルピー値heとを読み出す。
例えば、未知数演算部3は、以下のように、補間演算を行うことにより、エンタルピー値hb、hc、hd及びheから差分値ΔTにおけるエンタルピー値hを算出する。
まず、未知数演算部3は、圧力値P1における差分値ΔTのエンタルピー値h1を、以下の式により算出する。
h1=[hb×(ΔT−ΔTb)+hc×(ΔTc−ΔT)]/(ΔTc−ΔTb)
次に、未知数演算部3は、圧力値P2における差分値ΔTのエンタルピー値h2を、以下の式により算出する。
h2=[hd×(ΔT−ΔTd)+he×(ΔTe−ΔT)]/(ΔTe−ΔTd)
h=[h1×(P1−P)+h2×(P−P2)]/(P1−P2)
上述した補間の演算においては、差分値ΔTと差分値ΔP1及び差分値P2の各々との距離の比、及び圧力値Pと圧力値P1及び差分値P2の各々との距離の比を用いた。
しかしながら、単純に、エンタルピー値hb、hc、hd及びheの4点の平均を求める補間を行って、エンタルピー値hを求めるように、未知数演算部3を構成しても良い。
ステップS1:
蒸気表値演算システムに対して、外部装置から圧力値P及び温度値Trがエンタルピー値hを算出することを要求する制御信号とともに供給される。
関数読出部2は、圧力値Pが供給されると、データベース4における圧力値の点列から圧力値Pを隣接して挟む、2つの圧力値P1及びP2を検出する。
そして、関数読出部2は、この検出した圧力値P1及びP2の関数テーブルを用いることを示す情報を、差分値算出部1に対して出力する。
次に、差分値算出部1は、関数読出部2から供給される圧力値P1及びP2の関数を用いることを示す情報により、圧力値P1及びP2の各々における飽和温度値Ts1及びTs2を、自身内部の内部記憶部から読み出す。
また、この圧力値毎の飽和温度値を示すテーブルは、データベース4に予め書き込んで記憶させておいても良い。この場合、差分値算出部1は、圧力値に対応する飽和温度値を、データベース4における圧力値とこの圧力値における飽和温度値との関係を示すテーブルから読み出す。
そして、差分値算出部1は、圧力値P1における温度値Tr及び飽和温度値Ts1間の差分値ΔT1と、圧力値P2における温度値Tr及び飽和温度値Ts2間の差分値ΔT2とを求め、関数読出部2及び未知数演算部3に対して出力する。
次に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P1における差分値ΔT1の正負判定により、圧力値P1における第1関数テーブル及び第2関数テーブルのいずれを、エンタルピー値hの算出に用いるかの判定を行う。
同様に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P2における差分値ΔT2の正負判定により、圧力値P2における第1関数テーブル及び第2関数テーブルのいずれを、エンタルピー値hの算出に用いるかの判定を行う。
ここで、関数読出部2は、例えば、差分値ΔT1及びΔT2の双方が正である場合、圧力値P1及びP2ともに第2関数を用いると判定する。
そして、関数読出部2は、圧力値P1及びP2ともに、エンタルピーを算出するために第2関数を用いることを示すテーブル情報を、未知数演算部3に対して出力する。
次に、未知数演算部3は、データベース4における圧力値P1の第2関数テーブルにおける差分値ΔT1に隣接する差分値ΔTb及びΔTcを検出する。
そして、未知数演算部3は、データベース4の圧力値P1の第2関数テーブルから、差分値ΔTb及びΔTcの各々に対応するエンタルピー値hb及びhcを読み出す。
また、未知数演算部3は、データベース4における圧力値P2の関数テーブルにおける差分値ΔT2に隣接する差分値ΔTd及びΔTeを検出する。
そして、未知数演算部3は、データベース4の圧力値P2の第2関数テーブルから、差分値ΔTd及びΔTeの各々に対応するエンタルピー値hd及びheを読み出す。
これにより、未知数演算部3は、データベース4から、エンタルピー値hb、hc、hd及びheの4点のエンタルピー値hを得る。
次に、未知数演算部3は、エンタルピー値hb、hc、hd及びheから、補間演算によって、圧力値P及び温度値Trの場合のエンタルピー値hを算出する。
そして、未知数演算部3は、エンタルピー値hを算出することを指示する制御信号を出力した外部装置に対して、算出したエンタルピー値hを出力する。
図6は、差分値ΔTが30℃の場合における圧力変化に対応したエンタルピー値hの変動幅を示す図である。図6において、横軸が圧力値Pを示し、縦軸が1at(気圧)当たりのエンタルピーの変動値を示している。この図から、圧力値Pが小さいほどエンタルピー値hの変動幅が大きくなることが解る。
これにより、本実施形態によれば、従来のように、単純にルックアップテーブルにおける圧力値の点列の幅を、飽和温度値近傍で細かくするのに比較し、エンタルピー値hの変動幅に合わせて、補間演算(例えば、直線補間)が容易に行える圧力値幅にて点列を作成することで、精度を保持しかつテーブルの記憶容量を低下させることができる。
この図7は、差分値ΔTが1℃変化する際に変化するエンタルピー値hの変化量が、差分値が小さくなるほど(温度値Trが飽和温度値Tsに近くなるほど)大きくなることを示している。そして、0<ΔT<50の差分値の温度範囲において、差分値ΔTが1℃変化する際に変化するエンタルピー値hの変化量が急激に大きくなっていることが解る。
これにより、本実施形態によれば、従来のように、単純にルックアップテーブルにおける温度値の点列の幅を、飽和温度値近傍で細かくするのに比較し、エンタルピー値hの変動幅に合わせて、補間演算が行える温度値幅にて点列を作成することで、精度を保持しかつテーブルの記憶容量を低下させることができる。
また、図では明確に記載されていないが、各圧力値において差分値ΔTが小さくなるほど、エンタルピー値hの単位温度当たりの変化量が大きくなるため、差分値ΔTの点列の刻み幅は、差分値ΔTが小さくなるにつれて、徐々に小さく設定されている。
以下、図面を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態の構成は、第1の実施形態による蒸気表値演算システムの図1の構成と同様である。この第4の実施形態は、蒸気表値としての圧力、温度及びエンタルピーにおいて、温度を未知数としている。そして、本実施形態においては、外部装置から与えられる圧力及びエンタルピーからこの未知数である温度を求める構成である。この外部装置は、圧力及びエンタルピーを変数値として供給する入力手段、あるいはボイラーに設けられた流体(例えば、水なとの液体、蒸気などの気体)の圧力を検出する圧力計、及び流体のエンタルピーを検出するエンタルピー検出計である。圧力計は流体の圧力値を検出して出力し、エンタルピー検出計は流体のエンタルピーを検出して出力する。
図9(A)は、圧力毎に設定された飽和水エンタルピー値h’s未満のエンタルピー領域における温度値Tを求める第1関数を用い、所定間隔の点列の差分値Δhの各々を代入して求めた温度値Tと、求めた際の差分値Δhとの関係を示す第1関数テーブルを示している。この第1関数テーブルは、圧力毎に設けられている。
また、図9(B)は、圧力毎に設定された飽和蒸気エンタルピー値hsを越えるエンタルピー領域における温度値Tを求める第2関数を用い、所定間隔の点列の差分値Δhの各々を代入して求めた温度値Tと、求めた際の差分値Δhとの関係を示す第2関数テーブルを示している。この第2関数テーブルは、第1関数テーブルと同様に、圧力毎に設けられている。
また、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される差分値Δh1が正または負のいずれかであるかの判定を行い、差分値Δh1が正の場合に圧力値P1における第2関数テーブルを選択し、一方、差分値Δh1が負の場合に圧力値P1における第1関数テーブルを選択する。同様に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される差分値Δh2が正または負のいずれかであるかの判定を行い、差分値Δh2が正の場合に圧力値P2における第2関数テーブルを選択し、一方、差分値Δh2が負の場合に圧力値P2における第1関数テーブルを選択する。
そして、関数読出部2は、未知数演算部3に対し、圧力値P1及びP2の関数テーブルを用いること、またこの圧力値P1及びP2における第1関数テーブルまたは第2関数テーブルのいずれをエンタルピー値hの算出に用いるかを示すテーブル情報を未知数演算部3に対して出力する。
次に、図10は、圧力値P毎、例えば圧力P1及び圧力P2の各々の差分値ΔTとエンタルピー値hとの対応を示す第2関数のグラフである。この図10のグラフは、縦軸が差分値ΔTを示し、横軸がエンタルピー値hを示している。第1関数も図示はしないが、この図10の第2関数と同様である。
また、圧力値P1の第2関数テーブルの場合と同様に、未知数演算部3は、圧力値P2の第2関数テーブルから、差分値の点列から差分値Δh2近傍の差分値Δhd(差分値Δh2を挟む点列の隣接する差分値における、差分値Δh2以下の差分値)及びΔhe(差分値Δh2を挟む点列の隣接する差分値における、差分値Δh2以上の差分値)の各々を検索し、それぞれ差分値Δhdの点D’における温度Tdと、差分値Δheの点E’における温度Teとを読み出す。また、点A’が求める未知数の温度値に対するエンタルピー値の差分値Δhと圧力値Pの点である。
例えば、未知数演算部3は、以下のように、補間演算を行うことにより、温度Tb、Tc、Td及びTeから差分値Δhにおける温度Tを算出する。
まず、未知数演算部3は、圧力値P1における差分値Δhの温度T1を、以下の式により算出する。
T1=[Tb×(Δh−Δhb)+Tc×(Δhc−Δh)]/(Δhc−Δhb)
次に、未知数演算部3は、圧力値P2における差分値Δhの温度T2を、以下の式により算出する。
T2=[Td×(Δh−Δhd)+Te×(Δhe−Δh)]/(Δhe−Δhd)
T=[T1×(P1−P)+T2×(P−P2)]/(P1−P2)
上述した補間の演算においては、差分値Δhと差分値Δh1及び差分値Δh2の各々との距離の比、及び圧力値Pと圧力値P1及び差分値P2の各々との距離の比を用いた。
しかしながら、単純に、温度Tb、Tc、Td及びTeの4点の平均を求める補間を行って、温度Tを求めるように、未知数演算部3を構成しても良い。
ステップS11:
蒸気表値演算システムに対して、外部装置から圧力値P及びエンタルピー値hが温度Tを算出することを要求する制御信号とともに供給される。
関数読出部2は、圧力値Pが供給されると、データベース4における圧力値の点列から圧力値Pを隣接して挟む、2つの圧力値P1及びP2を検出する。
そして、関数読出部2は、この検出した圧力値P1及びP2の関数テーブルを用いることを示す情報を、差分値算出部1に対して出力する。
次に、差分値算出部1は、関数読出部2から供給される圧力値P1及びP2の関数を用いることを示す情報により、圧力値P1における飽和水エンタルピー値h’s1及び飽和蒸気エンタルピー値hs1と、圧力値P2における飽和水エンタルピー値h’s2及び飽和蒸気エンタルピー値hs2とを、自身内部の内部記憶部から読み出す。
また、この圧力値毎の飽和水エンタルピー及び飽和蒸気エンタルピーを示すテーブルは、データベース4に予め書き込んで記憶させておいても良い。この場合、差分値算出部1は、圧力値に対応する飽和水エンタルピー及び飽和蒸気エンタルピーを、データベース4における圧力値とこの圧力値における飽和水エンタルピー及び飽和蒸気エンタルピーとの関係を示すテーブルから読み出す。
このとき、差分値算出部1は、エンタルピー値hが飽和蒸気エンタルピー値hs1を越えるため、h−hs1により、圧力値P1の差分値Δh1を算出する。
また、差分値算出部1は、圧力値P2において、エンタルピー値hが飽和水エンタルピー値h’s2未満か飽和蒸気エンタルピー値hs2を越えるかの判定を行う。
このとき、差分値算出部1は、エンタルピー値hが飽和蒸気エンタルピー値hs2を越えるため、h−hs2により、圧力値P2の差分値Δh2を算出する。
そして、差分値算出部1は、算出した差分値Δh1及びΔh2を、関数読出部2及び未知数演算部3に対して出力する。
次に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P1における差分値Δh1の正負判定により、圧力値P1における第1関数テーブル及び第2関数テーブルのいずれを、温度値Tの算出に用いるかの判定を行う。
同様に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P2における差分値Δh2の正負判定により、圧力値P2における第1関数テーブル及び第2関数テーブルのいずれを、温度値Tの算出に用いるかの判定を行う。
ここで、関数読出部2は、例えば、差分値Δh1及びΔh2の双方が正である場合、圧力値P1及びP2ともに第2関数を用いると判定する。
そして、関数読出部2は、圧力値P1及びP2ともに、エンタルピーを算出するために第2関数を用いることを示すテーブル情報を、未知数演算部3に対して出力する。
次に、未知数演算部3は、データベース4における圧力値P1の第2関数テーブルにおける差分値Δh1に隣接する差分値Δhb及びΔhcを検出する。
そして、未知数演算部3は、データベース4の圧力値P1の第2関数テーブルから、差分値Δhb及びΔhcの各々に対応する温度Tb及びTcを読み出す。
また、未知数演算部3は、データベース4における圧力値P2の関数テーブルにおける差分値Δh2に隣接する差分値Δhd及びΔheを検出する。
そして、未知数演算部3は、データベース4の圧力値P2の第2関数テーブルから、差分値Δhd及びΔheの各々に対応する温度Td及びTeを読み出す。
これにより、未知数演算部3は、データベース4から、温度Tb、Tc、Td及びTeの4点の温度Tを得る。
次に、未知数演算部3は、温度Tb、Tc、Td及びTeから、補間演算によって、圧力値P及びエンタルピー値hの場合の温度Tを算出する。
そして、未知数演算部3は、温度Tを算出することを指示する制御信号を出力した外部装置に対して、算出した温度Tを出力する。
以下、図面を参照して、本発明の第5の実施形態について説明する。図12は、この発明の第5の実施形態による蒸気表値演算システムの構成例を示す概略ブロック図である。この第5の実施形態は、蒸気表値としての圧力、温度及びエンタルピーにおいて、エンタルピーを未知数としている。そして、本実施形態においては、外部装置から与えられる圧力及び温度からこの未知数であるエンタルピーを算出し、その算出時間に基づいてエンタルピーの算出に異常があるか否かを判定する構成である。この外部装置は、圧力及び温度を変数値として供給する入力手段、あるいはボイラーに設けられた流体(例えば、水なとの液体、蒸気などの気体)の圧力を検出する圧力計、及び流体の温度を検出する温度計である。圧力計は流体の圧力値を検出して出力し、温度計は流体の温度値を検出して出力する。
計時部5は、算出開始から未知数の演算結果出力までに要する時間を計時する。異常検出部6は、計時部5が計時した時間が所定の範囲内であるか否かに基づいて、未知数の演算に異常があるか否かを判定する。
例えば、第1関数の区間(第1区間)がTs−ΔTTh(ΔTThは正数)超かつTs未満であり、第2関数の区間(第2区間)がTs超Ts+ΔTTh未満である場合、第3関数の区間(第3区間)は、Ts−ΔTTh以下の値を下限値とし、Ts+ΔTTh以上の値を上限値とする。
図13(A)は、圧力毎に設定された飽和温度値Ts未満かつTs−ΔTTh超の温度領域におけるエンタルピー値hを求める第1関数を用い、所定間隔の点列の差分値ΔTの各々を代入して求めたエンタルピー値hと、求めた際の差分値ΔTとの関係を示す第1関数テーブルを示している。この第1関数テーブルは、圧力毎に設けられている。
また、図13(B)は、圧力毎に設定された飽和温度Ts超かつTs+ΔTTh未満の温度領域におけるエンタルピー値hを求める第2関数を用い、所定間隔の点列の差分値ΔTの各々を代入して求めたエンタルピー値hと、求めた際の差分値ΔTとの関係を示す第2関数テーブルを示している。この第2関数テーブルは、第1関数テーブルと同様に、圧力毎に設けられている。
また、図13(C)は、圧力毎に設定された、入力されうる温度値Trの下限値以上かつ入力されうる温度値Trの上限値以下における温度領域におけるエンタルピー値hを求める第3関数を用い、所定間隔の点列の温度Tの各々を代入して求めたエンタルピー値hと、求めた際の温度値Trとの関係を示す第3関数テーブルを示している。なお、第3関数テーブルの周期は、第1関数テーブル及び第2関数テーブルの周期より長い値であって、第3関数テーブルの点列の数が、第1関数テーブル及び第2関数テーブルの点列の数と同じになるような値である。この第3関数テーブルは、第1関数テーブルと同様に、圧力毎に設けられている。
ステップS21:
蒸気表値演算システムに対して、外部装置から圧力値P及び温度値Trがエンタルピー値hを算出することを要求する制御信号とともに供給される。
次に、計時部5は、現在時刻からの経過時間の計時を開始する。
関数読出部2は、圧力値Pが供給されると、データベース4における圧力値の点列から圧力値Pを隣接して挟む、2つの圧力値P1及びP2を検出する。
そして、関数読出部2は、この検出した圧力値P1及びP2の関数テーブルを用いることを示す情報を、差分値算出部1に対して出力する。
次に、差分値算出部1は、関数読出部2から供給される圧力値P1及びP2の関数を用いることを示す情報により、圧力値P1及びP2の各々における飽和温度値Ts1及びTs2を、自身内部の内部記憶部から読み出す。
また、この圧力値毎の飽和温度値を示すテーブルは、データベース4に予め書き込んで記憶させておいても良い。この場合、差分値算出部1は、圧力値に対応する飽和温度値を、データベース4における圧力値とこの圧力値における飽和温度値との関係を示すテーブルから読み出す。
そして、差分値算出部1は、圧力値P1における温度値Tr及び飽和温度値Ts1間の差分値ΔT1と、圧力値P2における温度値Tr及び飽和温度値Ts2間の差分値ΔT2とを求め、関数読出部2及び未知数演算部3に対して出力する。
次に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P1における差分値ΔT1の正負判定、及びΔT1の絶対値と閾値ΔTThとの比較により、圧力値P1における第1関数テーブル、第2関数テーブル及び第3関数テーブルのいずれを、エンタルピー値hの算出に用いるかの判定を行う。
同様に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P2における差分値ΔT2の正負判定、及びΔT2の絶対値と閾値ΔTThとの比較により、圧力値P2における第1関数テーブル、第2関数テーブル及び第3関数テーブルのいずれを、エンタルピー値hの算出に用いるかの判定を行う。
ここで、関数読出部2は、例えば、差分値ΔT1及びΔT2の双方が負であり、かつΔT1及びΔT2の双方の絶対値が閾値ΔTTh未満である場合、圧力値P1及びP2ともに第1関数を用いると判定する。また、関数読出部2は、例えば、差分値ΔT1及びΔT2の双方が正であり、かつΔT1及びΔT2の双方の絶対値が閾値ΔTTh未満である場合、圧力値P1及びP2ともに第2関数を用いると判定する。また、関数読出部2は、ΔT1及びΔT2の双方の絶対値が閾値ΔTTh以上である場合、圧力値P1及びP2ともに第3関数を用いると判定する。
そして、関数読出部2は、圧力値P1及びP2ともに、エンタルピーを算出するために用いる関数を示すテーブル情報を、未知数演算部3に対して出力する。
次に、未知数演算部3は、選択した関数テーブルが第1関数テーブルまたは第2関数テーブルである場合、圧力値P1についての関数テーブルから、差分値ΔT1に隣接する差分値ΔTb及びΔTcを逐次探索により検出する。本明細書において「逐次探索」とは、関数テーブルの先頭から末尾までの全ての値と差分値ΔT1とを比較する探索であって、目的の値が検出されたとしても残りの探索を継続するものである。
また、未知数演算部3は、選択した関数テーブルが第3関数テーブルである場合、圧力値P1についての関数テーブルから、温度値Trに隣接する温度値Tb及びTcを逐次探索により検出する。
そして、未知数演算部3は、データベース4の圧力値P1の関数テーブルから、検出した差分値ΔTb及びΔTc、または温度値Tb及びTcの各々に対応するエンタルピー値hb及びhcを読み出す。
同様に、未知数演算部3は、データベース4における圧力値P2の関数テーブルを逐次探索して、差分値ΔT2に隣接する差分値ΔTd及びΔTe、または温度値Trに隣接する温度値Td及びTeに対応するエンタルピー値hd及びheを読み出す。
これにより、未知数演算部3は、データベース4から、エンタルピー値hb、hc、hd及びheの4点のエンタルピー値hを得る。
次に、未知数演算部3は、エンタルピー値hb、hc、hd及びheから、補間演算によって、圧力値P及び温度値Trの場合のエンタルピー値hを算出する。
そして、未知数演算部3は、エンタルピー値hを算出することを指示する制御信号を出力した外部装置に対して、算出したエンタルピー値hを出力する。
次に、計時部5は、ステップS25で開始した経過時間の計時を終了する。
次に、異常検出部6は、計時部5が計時した経過時間、つまりエンタルピーの算出による計算時間が、所定範囲内であるか否かを判定する。ここで、所定範囲とは、第1関数テーブル、第2関数テーブル及び第3関数テーブルの逐次探索及び補間計算に要する時間を基準とした、キャッシュメモリの参照による計算時間のずれの許容範囲である。
異常検出部6は、計時部5が計時した経過時間が所定範囲内であると判定した場合(ステップS29:YES)、エンタルピーの算出に異常がないと判定する。
異常検出部6は、計時部5が計時した経過時間が所定範囲内でないと判定した場合(ステップS29:NO)、エンタルピーの算出に異常があると判定する。例えば、経過時間が所定範囲より短い場合は、差分値算出部1、関数読出部2、未知数演算部3のいずれかによる演算が異常終了したことが考えられる。また、経過時間が所定範囲より長い場合は、差分値算出部1、関数読出部2、未知数演算部3のいずれかによる演算におけるエラーによる遅延が発生したことが考えられる。
以下、図面を参照して、本発明の第6の実施形態について説明する。
第6の実施形態の構成は、第5の実施形態による蒸気表値演算システムの図12の構成と同様である。この第6の実施形態は、蒸気表値としての圧力、温度及びエンタルピーにおいて、温度を未知数としている。そして、本実施形態においては、外部装置から与えられる圧力及びエンタルピーからこの未知数である温度を求める構成である。この外部装置は、圧力及びエンタルピーを変数値として供給する入力手段、あるいはボイラーに設けられた流体(例えば、水なとの液体、蒸気などの気体)の圧力を検出する圧力計、及び流体のエンタルピーを検出するエンタルピー検出計である。圧力計は流体の圧力値を検出して出力し、エンタルピー検出計は流体のエンタルピーを検出して出力する。
計時部5は、算出開始から未知数の演算結果出力までに要する時間を計時する。異常検出部6は、計時部5が計時した時間が所定の範囲内であるか否かに基づいて、未知数の演算に異常があるか否かを判定する。
例えば、第1関数の区間(第1区間)がh’s−ΔhTh(ΔhThは正数)超かつh’s未満であり、第2関数の区間(第2区間)がhs超hs+ΔhTh未満である場合、第3関数の区間(第3区間)は、h’s−ΔhTh以下の値を下限値とし、hs+ΔhTh以上の値を上限値とする。
図3(A)は、圧力毎に設定された飽和水エンタルピー値h’s未満かつh’s−ΔhTh超の温度領域における温度Tを求める第1関数を用い、所定間隔の点列の差分値Δhの各々を代入して求めた温度Tと、求めた際の差分値Δhとの関係を示す第1関数テーブルを示している。この第1関数テーブルは、圧力毎に設けられている。
また、図3(B)は、圧力毎に設定された飽和温度水エンタルピー値hs超かつhs+ΔhTh未満の温度領域における温度Tを求める第2関数を用い、所定間隔の点列の差分値Δhの各々を代入して求めた温度Tと、求めた際の差分値Δhとの関係を示す第2関数テーブルを示している。この第2関数テーブルは、第1関数テーブルと同様に、圧力毎に設けられている。
また、図3(C)は、圧力毎に設定された、入力されうるエンタルピー値hrの下限値以上かつ入力されうるエンタルピー値hrの上限値以下における温度領域における温度Tを求める第3関数を用い、所定間隔の点列のエンタルピー値hrの各々を代入して求めた温度Tと、求めた際のエンタルピー値hrとの関係を示す第3関数テーブルを示している。なお、第3関数テーブルの周期は、第1関数テーブル及び第2関数テーブルの周期より長い値であって、第3関数テーブルの点列の数が、第1関数テーブル及び第2関数テーブルの点列の数と同じになるような値である。この第3関数テーブルは、第1関数テーブルと同様に、圧力毎に設けられている。
ステップS41:
蒸気表値演算システムに対して、外部装置から圧力値P及びエンタルピー値hrが温度Tを算出することを要求する制御信号とともに供給される。
次に、計時部5は、現在時刻からの経過時間の計時を開始する。
関数読出部2は、圧力値Pが供給されると、データベース4における圧力値の点列から圧力値Pを隣接して挟む、2つの圧力値P1及びP2を検出する。
そして、関数読出部2は、この検出した圧力値P1及びP2の関数テーブルを用いることを示す情報を、差分値算出部1に対して出力する。
次に、差分値算出部1は、関数読出部2から供給される圧力値P1及びP2の関数を用いることを示す情報により、圧力値P1における飽和水エンタルピー値h’s1及び飽和蒸気エンタルピー値hs1と、圧力値P2における飽和水エンタルピー値h’s2及び飽和蒸気エンタルピー値hs2とを、自身内部の内部記憶部から読み出す。
また、この圧力値毎の飽和水エンタルピー及び飽和蒸気エンタルピーを示すテーブルは、データベース4に予め書き込んで記憶させておいても良い。この場合、差分値算出部1は、圧力値に対応する飽和水エンタルピー及び飽和蒸気エンタルピーを、データベース4における圧力値とこの圧力値における飽和水エンタルピー及び飽和蒸気エンタルピーとの関係を示すテーブルから読み出す。
そして、差分値算出部1は、圧力値P1における飽和水エンタルピー値h’s1及び飽和蒸気エンタルピー値hs1と、圧力値P2における飽和水エンタルピー値h’s2及び飽和蒸気エンタルピー値hs2とを用い、圧力値P1における差分値Δh1と、圧力値P2におけるΔT2とを求める。そして、差分値算出部1は、求めた圧力値P1における差分値Δh1と、圧力値P2における差分値Δh2とを、関数読出部2及び未知数演算部3に対して出力する。
次に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P1における差分値Δh1の正負判定、及びΔh1の絶対値と閾値ΔhThとの比較により、圧力値P1における第1関数テーブル、第2関数テーブル及び第3関数テーブルのいずれを、温度Tの算出に用いるかの判定を行う。
同様に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P2における差分値Δh2の正負判定、及びΔh2の絶対値と閾値ΔhThとの比較により、圧力値P2における第1関数テーブル、第2関数テーブル及び第3関数テーブルのいずれを、温度Tの算出に用いるかの判定を行う。
次に、未知数演算部3は、選択した関数テーブルが第1関数テーブルまたは第2関数テーブルである場合、圧力値P1についての関数テーブルから、差分値Δh1に隣接する差分値Δhb及びΔhcを逐次探索により検出する。また、未知数演算部3は、選択した関数テーブルが第3関数テーブルである場合、圧力値P1についての関数テーブルから、エンタルピー値hrに隣接するエンタルピー値hb及びhcを逐次探索により検出する。
そして、未知数演算部3は、データベース4の圧力値P1の関数テーブルから、検出した差分値Δhb及びΔhc、またはエンタルピー値hb及びhcの各々に対応する温度Tb及びTcを読み出す。
同様に、未知数演算部3は、データベース4における圧力値P2の関数テーブルを逐次探索して、差分値Δh2に隣接する差分値Δhd及びΔhe、またはエンタルピー値hrに隣接するエンタルピー値hd及びheに対応する温度Td及びTeを読み出す。
これにより、未知数演算部3は、データベース4から、エンタルピー値hb、hc、hd及びHeの4点の温度Tを得る。
次に、未知数演算部3は、温度Tb、Tc、Td及びTeから、補間演算によって、圧力値P及びエンタルピーhrの場合の温度Tを算出する。
そして、未知数演算部3は、温度Tを算出することを指示する制御信号を出力した外部装置に対して、算出した温度Tを出力する。
次に、計時部5は、ステップS45で開始した経過時間の計時を終了する。
次に、異常検出部6は、計時部5が計時した経過時間、つまり温度の算出による計算時間が、所定範囲内であるか否かを判定する。ここで、所定範囲とは、第1関数テーブル、第2関数テーブル及び第3関数テーブルの逐次探索及び補間計算に要する時間を基準とした、キャッシュメモリの参照による計算時間のずれの許容範囲である。
異常検出部6は、計時部5が計時した経過時間が所定範囲内であると判定した場合(ステップS49:YES)、温度の算出に異常がないと判定する。
異常検出部6は、計時部5が計時した経過時間が所定範囲内でないと判定した場合(ステップS49:NO)、温度の算出に異常があると判定する。例えば、経過時間が所定範囲より短い場合は、差分値算出部1、関数読出部2、未知数演算部3のいずれかによる演算が異常終了したことが考えられる。また、経過時間が所定範囲より長い場合は、差分値算出部1、関数読出部2、未知数演算部3のいずれかによる演算におけるエラーによる遅延が発生したことが考えられる。
例えば、ボイラーの制御装置の場合、流体である水や水蒸気の温度や圧力のみでは十分な燃料の制御が行えないため、エンタルピーにより燃料制御を行うことが行われている。
このため、ボイラー内部の流体の温度値T及び圧力値Pを測定し、この測定した温度値T及び圧力値Pを、第1及び第3の実施形態の蒸気表値演算システムに供給すれば、対応するエンタルピー値hが得られ、このエンタルピー値hによりボイラーを加熱するための燃料の供給量を調整することができる。
この圧力P及びエンタルピー値hを、第2及び第4の実施形態の蒸気表値演算システムに供給すれば、対応する温度値Tが得られ、圧力Pでエンタルピー値hを得るためのボイラーの温度を求めることができる。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
Claims (7)
- 流体の温度及び流体のエンタルピーの一方である未知数、前記温度及び前記エンタルピーの他方である変数と当該変数の飽和値との差分である差分値、並びに前記流体の圧力、を関連付けた点列により表される関数テーブルを、前記変数が前記飽和値未満の第1区間の第1関数、及び前記変数が前記飽和値を超える第2区間の第2関数として記憶するデータベースと、
前記変数と前記飽和値との差分である前記差分値を算出する差分値算出部と、
前記差分値が負の場合に前記第1関数を使用関数として読み出し、前記差分値が正の場合に前記第2関数を使用関数として読み出す関数読出部と、
前記使用関数を逐次探索することにより前記未知数を演算する未知数演算部と、
前記未知数演算部が前記未知数の演算に要する時間を計時する計時部と、
前記計時部が計時した時間が所定の範囲内にあるか否かを判定することで、前記未知数演算部による演算に異常があるか否かを判定する異常検出部と
を備え、
前記データベースが記憶する前記第1関数の点列の数と前記第2関数の点列の数とが同じ数である
ことを特徴とする蒸気表値演算システム。 - 前記未知数演算部が、与えられた圧力を挟む2つの参照圧力の各々において、前記差分値算出部の算出した前記差分値とを挟む2つの比較差分値を前記関数テーブルの差分値から検索し、前記比較差分値に対応する前記未知数を読み出し、読み出した4つの未知数を補間し、与えられた前記圧力と前記変数とに対応した前記未知数を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気表値演算システム。 - 前記関数テーブルにおける前記差分値の刻み幅を、当該差分値が小さくなるほど細かくすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蒸気表値演算システム。
- 前記関数テーブルにおける前記圧力の刻み幅を、当該圧力値が小さくなるほど細かくすることを特徴とする請求項1から請求項2の何れか1項に記載の蒸気表値演算システム。
- 前記データベースは、前記第1区間及び前記第2区間を含む第3区間について、前記未知数、前記差分値、及び前記流体の圧力を関連付けた点列により表される関数テーブルである第3関数を記憶し、
前記関数読出部は、前記差分値が前記第1区間の下限値以上かつ負数の場合に前記第1関数を使用関数として読み出し、前記差分値が前記第2区間の上限値以下かつ正数の場合に前記第2関数を使用関数として読み出し、前記差分値が前記第1区間の下限値未満である場合および前記差分値が前記第2区間の上限値超である場合に前記第3関数を使用関数として読み出す
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の蒸気表値演算システム。 - 流体の温度及び流体のエンタルピーの一方を未知数として、前記温度及び前記エンタルピーの他方である変数と当該変数の飽和値との差分である差分値、並びに流体の圧力により、前記未知数を求める蒸気表値を演算する蒸気表値演算方法であり、
前記変数と前記飽和値との差分である前記差分値を算出する差分値算出過程と、
前記未知数、前記差分値、及び前記流体の圧力を関連付けた点列により表される関数テーブルを、前記変数が前記飽和値未満の第1区間の第1関数、及び前記変数が前記飽和値を超える第2区間の第2関数として記憶するデータベースから、前記差分値が負の場合に前記第1関数を使用関数として読み出し、前記差分値が正の場合に前記第2関数を使用関数として読み出す関数読出過程と、
前記使用関数を逐次探索することにより前記未知数を演算する未知数演算過程と、
前記未知数演算過程での前記未知数の演算に要する時間を計時する計時過程と、
前記計時過程で計時した時間が所定の範囲内にあるか否かを判定することで、前記未知数演算過程による演算に異常があるか否かを判定する異常検出過程と
を含み、
前記データベースが記憶する前記第1関数の点列の数と前記第2関数の点列の数とが同じ数である
ことを特徴とする蒸気表値演算方法。 - 流体の温度及び流体のエンタルピーの一方を未知数として、前記流体の圧力、並びに前記温度及び前記エンタルピーの他方である変数により、前記未知数を求めて、前記未知数を制御する制御装置であり、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の蒸気表値演算システムと、
前記蒸気表値演算システムが求めた前記未知数により、前記圧力あるいは前記温度を制御する制御部と
を備えることを特徴とする制御装置。
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