JP5963161B2 - 内部状態解析方法およびプログラム並びに内部状態解析システム - Google Patents

内部状態解析方法およびプログラム並びに内部状態解析システム Download PDF

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Description

本発明は、内部状態解析方法およびプログラム並びに内部状態解析システムに関する。
従来、12本×12本のミュオンセンサーモジュールが直交して並べられてなる2層の検出器からなるホドスコープと、各センサーモジュールが接続されたミュオンリードアウトモジュールと、を有するミュオンの計測装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この計測装置では、ミュオンリードアウトモジュールを、基盤と、基盤に実装されると共にミュオンセンサーモジュールに接続されてミュオンセンサからの信号を処理して角度分布ヒストグラムを生成してメモリに蓄積するミュオンリードアウト処理回路と、基盤に実装されてヒストグラムデータをメモリから呼び出して外部システムに出力するイーサネット(登録商標)インタフェースと、を有するモジュールとすることにより、巨大物体の内部構造を遠隔地からリアルタイムで可視化して解析することができるようにしている。
特開2010−101892号公報
一般に、ミュオン(ミュー粒子)などの高透過性を有する高透過性粒子を検出可能な検出部(上述のホドスコープなど)を山や産業プラントなどの測定対象の周辺に配置して検出部による検出結果を用いて測定対象の内部の状態を解析する場合、検出部の各部分のバラツキなどによる影響をより抑制して、測定対象の内部の状態をより適正に解析できるようにすることが望まれている。
本発明の内部状態解析方法およびプログラム並びに内部状態解析システムは、測定対象の内部の状態をより適正に解析できるようにすることを主目的とする。
本発明の内部状態解析方法およびプログラム並びに内部状態解析システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の内部状態解析方法は、
所定の高透過性を有する高透過性粒子の通過を検出可能な検出部を有する検出装置が測定対象の周辺に配置されたときの前記検出部による検出結果を用いて前記測定対象の内部の状態を解析する内部状態解析方法であって、
前記検出装置が前記測定対象の周辺に配置された第1状態での前記検出部による検出結果に応じた前記高透過性粒子のフラックスである第1状態検出フラックスと、前記検出部で前記高透過性粒子の通過を検出可能な該検出部から見た方向の範囲である検出方向範囲が前記第1状態から変更された第2状態での前記検出部による検出結果に応じた前記高透過性粒子のフラックスである第2状態検出フラックスと、の比を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算する、
ことを特徴とする。
この本発明の内部状態解析方法では、所定の高透過性を有する高透過性粒子の通過を検出可能な検出部を有する検出装置が測定対象の周辺に配置された第1状態での検出部による検出結果に応じた高透過性粒子のフラックスである第1状態検出フラックスと、検出部で高透過性粒子の通過を検出可能な検出部から見た方向の範囲である検出方向範囲が第1状態から変更された第2状態での検出部による検出結果に応じた高透過性粒子のフラックスである第2状態検出フラックスと、の比を用いて測定対象の密度関連物理量を演算する。即ち、第1状態検出フラックスと第2状態検出フラックスとの比を用いて測定対象の密度関連物理量を演算するのである。これにより、検出部の各部分のバラツキなどによる影響を抑制することができ、測定対象の内部の状態をより適正に解析することができる。ここで、「高透過性粒子」は、ミュオンである、ものとすることもできる。また、「密度関連物理量」は、密度(方位角方向や仰角方向の平均密度を含む)や、密度分布(上限密度,下限密度)である、ものとすることもできる。
こうした本発明の内部状態解析方法において、前記第2状態は、前記第1状態から前記検出部が方位角方向に所定角度だけ回転された状態であり、前記第1状態における前記検出方向範囲である第1方向範囲の各方向の前記第1状態検出フラックスと、前記第2状態における前記検出方向範囲である第2方向範囲の各方向の前記第2状態検出フラックスと、のうち互いに前記所定角度だけ異なる方向の前記第1状態検出フラックスと前記第2状態検出フラックスとの比である複数の検出比を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算する、ものとすることもできる。ここで、「方位角方向」は、前記第1状態を基準として前記検出部を中心とする水平角度の方向を意味する。
この複数の検出比を用いて測定対象の密度関連物理量を演算する態様の本発明の内部状態解析方法において、前記複数の検出比と、前記第1方向範囲と前記第2方向範囲とからなる全体方向範囲の各方向の前記測定対象の通過経路長に基づく該全体方向範囲の各方向の前記高透過性粒子のフラックスである経路長起因フラックスのうち、互いに前記所定角度だけ異なる方向の前記経路長起因フラックスの比である複数の解析比と、を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算する、ものとすることもできる。
この複数の検出比と複数の解析比とを用いて測定対象の密度関連物理量を演算する態様の本発明の内部状態解析法において、前記全体方向範囲の各仰角について、各方位角の前記測定対象の通過経路長と前記測定対象の方位角方向の平均密度とに基づく各方位角の前記経路長起因フラックスを用いて得られる前記複数の解析比の方位角方向についての総和と、前記複数の検出比の方位角方向についての総和と、の差分が第1許容値以下となるよう前記測定対象の方位角方向の平均密度を演算する、ものとすることもできる。こうすれば、全体方向範囲の各仰角について、測定対象の方位角方向の密度をより適正に演算することができる。ここで、「第1許容値」は、第1状態での検出部による検出結果と第2状態での検出部による検出結果とが共にガウス分布に従うと仮定したときの各検出比の統計誤差の二乗の和の平方根である、ものとすることもできる。
また、複数の検出比と複数の解析比とを用いて全体方向範囲の各仰角における測定対象の方位角方向の密度を演算する態様の本発明の内部状態解析法において、前記第1方向範囲の各方位角,各仰角ついて、前記演算した測定対象の方位角方向の平均密度と前記測定対象の方位角方向の密度勾配と前記測定対象の通過経路長とに基づく前記経路長起因フラックスを用いて得られる前記解析比である勾配起因解析比が前記検出比より大きく該検出比に第2許容値を加えた値より小さくなるよう前記所定角度だけ異なる方位角との前記測定対象の密度比の上限としての上限密度比を演算すると共に前記勾配起因解析比が前記検出比より小さく該検出比から前記第2許容値を減じた値より大きくなるよう前記所定角度だけ異なる方位角との前記測定対象の密度比の下限としての下限密度比を演算し、前記全体方向範囲の各方位角,各仰角について、前記演算した上限密度比を用いて該測定対象の密度分布の上限としての上限密度を演算すると共に前記演算した下限密度比を用いて該測定対象の密度分布の下限としての下限密度を演算する、ものとすることもできる。こうすれば、全体方向範囲の各方位角,各仰角の密度分布(上限密度,下限密度)をより適正に演算することができる。ここで、「第2許容値」は、第1状態での検出部による検出結果と第2状態での検出部による検出結果とが共にガウス分布に従うと仮定したときの検出比の統計誤差である、ものとすることもできる。
さらに、複数の検出比と複数の解析比とを用いて全体方向範囲の各仰角における測定対象の方位角方向の密度を演算する態様の本発明の内部状態解析法において、前記第1方向範囲の各方位角,各仰角ついて、前記演算した測定対象の方位角方向の平均密度と前記測定対象の方位角方向の密度勾配と前記測定対象の通過経路長とに基づく前記経路長起因フラックスを用いて得られる前記解析比である勾配起因解析比と前記検出比との差分が第3許容値以下となるよう前記測定対象の方位角方向の密度勾配を演算し、前記全体方向範囲の各方位角,各仰角について、前記演算した測定対象の方位角方向の密度勾配を用いて前記測定対象の密度を演算する、ものとすることもできる。こうすれば、全体方向範囲の各方位角,各仰角の密度をより適正に演算することができる。ここで、「第3許容値」は、第1状態での検出部による検出結果と第2状態での検出部による検出結果とが共にガウス分布に従うと仮定したときの検出比の統計誤差である、ものとすることもできる。
本発明の内部状態解析方法において、前記第2状態は、前記第1状態から前記検出部が仰角方向に所定角度だけ回転された状態であり、前記第1状態における前記検出方向範囲である第1方向範囲の各方向の前記第1状態検出フラックスと、前記第2状態における前記検出方向範囲である第2方向範囲の各方向の前記第2状態検出フラックスと、のうち互いに前記所定角度だけ異なる方向の前記第1状態検出フラックスと前記第2状態検出フラックスとの比である複数の検出比を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算する、ものとすることもできる。この場合、前記複数の検出比と、前記第1方向範囲と前記第2方向範囲とからなる全体方向範囲の各方向の前記測定対象の通過経路長に基づく該全体方向範囲の各方向の前記高透過性粒子のフラックスである経路長起因フラックスのうち、互いに前記所定角度だけ異なる方向の前記経路長起因フラックスの比である複数の解析比と、を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算する、ものとすることもできる。ここで、「仰角方向」は、前記第1状態を基準として前記検出部を中心とする仰角角度の方向を意味する。
また、本発明の内部状態解析方法において、前記第2状態は、前記第1状態から前記検出部が水平方向および/または鉛直方向に所定距離だけ平行移動された状態であり、前記第1状態における前記検出方向範囲である第1方向範囲の各方向の前記第1状態検出フラックスと、前記第2状態における前記検出方向範囲である第2方向範囲の各方向の前記第2状態検出フラックスと、のうち同一方向の前記第1状態検出フラックスと前記第2状態検出フラックスとの比である複数の検出比を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算する、ものとすることもできる。この場合、前記複数の検出比と、前記第1状態での前記検出部の位置における前記第1方向範囲の各方向の前記測定対象の通過経路長に基づく該第1方向範囲の各方向の前記高透過性粒子のフラックスと、前記第2状態での前記検出部の位置における前記第2方向範囲の各方向の前記測定対象の通過経路長に基づく該第2方向範囲の各方向の前記高透過性粒子のフラックスと、のうち同一方向の前記高透過性粒子のフラックスの比である複数の解析比と、を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算する、ものとすることもできる。ここで、「平行移動」は、第1状態か第2状態かに拘わらず検出方向範囲が同一となる移動を意味する。
本発明のプログラムは、
コンピュータを、所定の高透過性を有する高透過性粒子の通過を検出可能な検出部を有する検出装置が測定対象の周辺に配置されたときの前記検出部による検出結果を用いて前記測定対象の内部の状態を解析する装置として機能させるプログラムであって、
前記検出装置が前記測定対象の周辺に配置された第1状態での前記検出部による検出結果に応じた前記高透過性粒子のフラックスである第1状態検出フラックスと、前記検出部で前記高透過性粒子の通過を検出可能な該検出部から見た方向の範囲である検出方向範囲が前記第1状態から変更された第2状態での前記検出部による検出結果に応じた前記高透過性粒子のフラックスである第2状態検出フラックスと、の比を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算するモジュール、
を備えることを特徴とする。
この本発明のプログラムでは、所定の高透過性を有する高透過性粒子の通過を検出可能な検出部を有する検出装置が測定対象の周辺に配置された第1状態での検出部による検出結果に応じた高透過性粒子のフラックスである第1状態検出フラックスと、検出部で高透過性粒子の通過を検出可能な検出部から見た方向の範囲である検出方向範囲が第1状態から変更された第2状態での検出部による検出結果に応じた高透過性粒子のフラックスである第2状態検出フラックスと、の比を用いて測定対象の密度関連物理量を演算する。即ち、第1状態検出フラックスと第2状態検出フラックスとの比を用いて測定対象の密度関連物理量を演算するのである。これにより、検出部の各部分のバラツキなどによる影響を抑制することができ、測定対象の内部の状態をより適正に解析することができる。ここで、「高透過性粒子」は、ミュオンである、ものとすることもできる。また、「密度関連物理量」は、密度(方位角方向や仰角方向の平均密度を含む)や、密度分布(上限密度,下限密度)である、ものとすることもできる。
本発明の内部状態解析システムは、
所定の高透過性を有する高透過性粒子の通過を検出可能な検出部を有する検出装置と、前記検出装置が測定対象の周辺に配置されたときの前記検出部による検出結果を用いて前記測定対象の内部の状態を解析する解析手段と、を備える内部状態解析システムであって、
前記解析手段は、前記検出装置が前記測定対象の周辺に配置された第1状態での前記検出部による検出結果に応じた前記高透過性粒子のフラックスである第1状態検出フラックスと、前記検出部で前記高透過性粒子の通過を検出可能な該検出部から見た方向の範囲である検出方向範囲が前記第1状態から変更された第2状態での前記検出部による検出結果に応じた前記高透過性粒子のフラックスである第2状態検出フラックスと、の比を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算する手段である、
ことを特徴とする。
この本発明の内部状態解析システムでは、所定の高透過性を有する高透過性粒子の通過を検出可能な検出部を有する検出装置が測定対象の周辺に配置された第1状態での検出部による検出結果に応じた高透過性粒子のフラックスである第1状態検出フラックスと、検出部で高透過性粒子の通過を検出可能な検出部から見た方向の範囲である検出方向範囲が第1状態から変更された第2状態での検出部による検出結果に応じた高透過性粒子のフラックスである第2状態検出フラックスと、の比を用いて測定対象の密度関連物理量を演算する。即ち、第1状態検出フラックスと第2状態検出フラックスとの比を用いて測定対象の密度関連物理量を演算するのである。これにより、検出部の各部分のバラツキなどによる影響を抑制することができ、測定対象の内部の状態をより適正に解析することができる。ここで、「高透過性粒子」は、ミュオンである、ものとすることもできる。また、「密度関連物理量」は、密度(方位角方向や仰角方向の平均密度を含む)や、密度分布(上限密度,下限密度)である、ものとすることもできる。
本発明の一実施例としての内部状態解析システム20の構成の概略を示す構成図である。 内部状態解析システム20の検出装置22の構成の概略を示す構成図である。 検出装置22(ホドスコープ24)や測定対象を天頂から見た様子を模式的に示す模式図である。 実施例の内部状態解析ルーチンの一例を示すフローチャートである。 平均密度計算処理の一例を示すフローチャートである。 第1密度長起因フラックス計算処理の一例を示すフローチャートである。 上下限密度比計算処理の一例を示すフローチャートである。 第2密度長起因フラックス計算処理の一例を示すフローチャートである。 障害物(水相当)の厚さとその障害物を通過するミュオンのフラックスとの関係の一例を示す説明図である。 ホドスコープ24でミュオンの通過を検出可能な方向範囲(第1方向範囲Rdiや第2方向範囲Rdi2)の各方位角φ,各仰角θのホドスコープ24の検出効率ηの一例を示す説明図である。 ミュオンのエネルギとパラメータa,bと通過経路長DLとの関係の一例を示すテーブルである。 実施例の内部状態解析ルーチンの一例を示すフローチャートである。 密度勾配計算処理の一例を示すフローチャートである。 検出装置22(ホドスコープ24)や測定対象を天頂から見た様子を模式的に示す模式図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例として、所定の高透過性を有する高透過性粒子としてのミュオン(ミュー粒子)の性質(障害物を通過する性質)を用いて測定対象(例えば、山や産業プラント,ダムなど)の内部の状態を解析する内部状態解析システム20の構成の概略を示す構成図あり、図2は、内部状態解析システム20の検出装置22の構成の概略を示す構成図である。実施例の内部状態解析システム20は、図1に示すように、測定対象の周辺に配置されてミュオンの通過を検出する検出装置22と、検出装置22による検出結果を用いてミュオンの数をカウントするカウント装置40と、カウント装置40によるカウント結果を用いて測定対象の内部の状態を解析する解析装置50と、を備える。
検出装置22は、図2に示すように、上面が方位角方向に回転可能な回転架台23と、回転架台23の上面に固定されてミュオンを検出するホドスコープ24と、を備える。ホドスコープ24は、略平板状の検出器26,28が若干の間隔を開けて平行となる(対向する)よう回転架台23に固定されて構成されている。検出器26,28は、それぞれ、略四角柱のシンチレータ31とシンチレータ31の長手方向の端部に取り付けられた光電子増倍管32とを有するセンサモジュール30を複数用いて構成されており、10個のセンサモジュール30が配列されたセンサモジュール群26a,28aと10個のセンサモジュール30が配列されたセンサモジュール群26b,28bとが互いの配列方向が略直交するよう隣接配置されて全体として略平板状となるよう構成されている。各センサモジュール30では、シンチレータ31にミュオンが入射されると、シンチレータ31内でフォトンが発生し、そのフォトンが光電子増倍管32で電子に変換され更に増幅されて、カウント装置40に比較的大きな振幅(波高)の信号を出力する。なお、実施例では、1m×10cm×2cmなどのシンチレータ31を用いると共に検出器26と検出器28との間隔を1mなどとするものとした。即ち、ホドスコープ24は、測定対象に対して十分に小さいとみなすことができるものとした。
カウント装置40は、検出器26,28からの出力(信号)に対してノイズを除去して出力するディスクリミネータ42と、ディスクリミネータ42からの出力(信号)のうち検出器26,28で同時にミュオンの通過を検出したとみなされる信号を選択して出力するコインシデンス検出部44と、コインシデンス検出部44からの出力(信号)を用いてホドスコープ24から見た各方向(方位角φ,仰角θ)のミュオンの数を検出データObs[φ,θ]としてカウントするカウント部46と、を備える。ここで、方位角φは、ホドスコープ24から見て北方向を基準(0°)として時計回りに正の角度を定めるものとし、仰角θは、ホドスコープ24から見て水平方向を基準(0°)として上向き(天頂)側に正の角度を定めるものとした。
コインシデンス検出部44は、ディスクリミネータ42からの出力(信号)を用いて、センサモジュール群26a,26bのコインシデンスを取ったり(検出器26におけるミュオンの通過位置α1を特定したり)、センサモジュール群28a,28bのコインシデンスを取ったり(検出器28におけるミュオンの通過位置α2を特定したり)、センサモジュール群26a,26b,28a,28bのコインシデンスを取ったり(通過位置α1,α2に対応する方位角φ,仰角θを特定したり)する。実施例では、検出器26,28の通過位置α1,α2をそれぞれ[x1,y1],[x2,y2](ただし、x1,x2については図2中左側から右側に向けて1〜10とし、y1,y2については図2中下側から上側向けて1〜10とする)として方位角φ,仰角θを特定するものとした。例えば、図2のミュオンの場合には、通過位置α1[8,9],通過位置α2[4,4]に対応する方位角φ,仰角θを特定するものとした。
解析装置50は、図1に示すように、汎用のコンピュータ52にアプリケーションソフトウエアとしての内部状態解析プログラム60がインストールされたものとして構成されている。コンピュータ52は、図示しないCPUやROM,RAM,グラフィックプロセッサ(GPU),グラフィックメモリ(VRAM),システムバス,ハードディスクドライブ(HDD)などを備え、ハードディスクドライブに内部状態解析プログラム60などが記憶されている。内部状態解析プログラム60は、データを入力する入力モジュール62と、入力されたデータを用いて測定対象の内部の状態を解析する解析モジュール64と、解析結果を出力する出力モジュール66と、によって構成されている。なお、コンピュータ50には、表示装置としてのディスプレイ70や、入力装置としてのキーボード72やマウス74などが接続されている。
次に、こうして構成された実施例の内部状態解析システム20の動作、特に、測定対象の内部状態を解析する処理について説明する。なお、実施例では、測定対象の内部の状態を解析する前に以下の準備処理を実行するものとした。
図3は、検出装置22(ホドスコープ24)や測定対象を天頂から見た様子を模式的に示す模式図である。図中、「L[φ,θ]」は、ホドスコープ24から見た各方向(方位角φ,仰角θ)の測定対象の通過経路の長さ(以下、通過経路長という)を示す。この通過経路長L[φ,θ]は、山などを測定対象とする場合には地図などを用いて求めることができ、産業プラントやダムなどを測定対象とする場合には設計図などを用いて求めることができる。また、図中、実線のホドスコープ24は、ホドスコープ24を方位角方向に回転させる前(第1状態)を示し、点線のホドスコープ24は、ホドスコープ24を方位角方向に回転させた後(第2状態)を示す。
準備処理としては、まず、検出装置22(ホドスコープ24)を測定対象の周辺(例えば、長手方向に数km程度の山などを測定対象とする場合には測定対象の中心から測定対象の短手方向に数百m程度離れた位置など)に配置して(第1状態として)、第1方位角範囲Raz1(φ:φ1min〜φ1max)(図3参照),仰角範囲Rel(θ:θmin〜θmax)(図示せず)からなる第1方向範囲Rdi1のミュオンを検出できるようにする。ここで、下限方位角φ1minは、第1状態において検出器26,28の通過位置α1,α2のx座標がx1=1,x2=10となるミュオンの進行方向に相当する方位角φであり、上限方位角φ1maxは、第1状態において検出器26,28の通過位置α1,α2のx座標がx1=10,x2=1となるミュオンの進行方向に相当する方位角φである。また、下限仰角θminは、第1状態および後述の第2状態において検出器26,28の通過位置α1,α2のy座標がy1=y2となるミュオンの進行方向に相当する仰角θであり、上限仰角θmaxは、第1状態および後述の第2状態において検出器26,28の通過位置α1,α2のy座標がy1=10,y2=1となるミュオンの進行方向に相当する仰角θである。
そして、その第1状態で、ホドスコープ24によって期間T1(例えば、数週間〜数ヶ月程度)に亘ってミュオンを検出すると共に、ホドスコープ24による検出結果を用いてカウント装置40によって第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θのミュオンの数を検出データObs1[φ,θ](φ:φ1min〜φ1max,θ:θmin〜θmax)としてカウント(検出)する。
その後、ホドスコープ24を第1状態から方位角方向に所定角度Δφ(例えば、数度〜十数度程度)だけ回転させて(第2状態として)、第2方位角範囲Raz2(φ+Δφ:φ2min(=φ1min+Δφ)〜φ2max(=φ1max+Δφ))(図3参照),仰角範囲Rel(θ:θmin〜θmax)(図示せず)からなる第2方向範囲Rdi2のミュオンを検出できるようにする。ここで、下限方位角φ2minは、第2状態において検出器26,28の通過位置α1,α2のx座標がx1=1,x2=10となるミュオンの進行方向に相当する方位角φであり、上限方位角φ2maxは、第2状態において検出器26,28の通過位置α1,α2のx座標がx1=10,x2=1となるミュオンの進行方向に相当する方位角φである。また、上述したように、下限仰角θmin,上限仰角θmaxは、第1状態と第2状態とで同一である。
そして、その第2状態で、ホドスコープ24によって期間T2(例えば、数週間〜数ヶ月程度)に亘ってミュオンを検出すると共に、ホドスコープ24による検出結果を用いてカウント装置40によって第2方向範囲Rdi2の各方位角φ+Δφ,各仰角θのミュオンの数を検出データObs2[φ+Δφ,θ](φ+Δφ:φ2min〜φ2max,θ:θmin〜θmax)としてカウント(検出)する。
ここで、第2状態は、ホドスコープ24を第1状態から方位角方向に所定角度Δφだけ回転させた状態であるから、第1状態における方向[φ,θ]と第2状態における方向[φ+Δφ,θ]とは、ホドスコープ24の検出器26,28における同一のセンサモジュール30の組み合わせ又はそれと同一方向のセンサモジュール30の組み合わせでミュオンを検出したものとして考えることができる。具体的には、同一のセンサモジュール30の組み合わせとは、例えば、第1状態における通過位置α1[8,9],α2[4,4]の組み合わせと第2の状態における通過位置α1[8,9],α2[4,4]の組み合わせとをいい、同一方向のセンサモジュール30の組み合わせとは、例えば、第1状態における通過位置α1[8,9],α2[4,4]の組み合わせと、第2状態における通過位置α1[6,9],α2[2,4]の組み合わせや通過位置α1[10,9],α2[6,4]の組み合わせ,通過位置α1[8,7],α2[4,2]の組み合わせ,通過位置α1[10,7],α2[6,2]の組み合わせなどをいう。
次に、測定対象の内部の状態を解析する処理について説明する。図4は、測定対象の内部の状態の解析に用いられる内部状態解析ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ユーザによって内部状態解析プログラム60の実行が指示されたときに、CPUにより、RAMの所定アドレスに書き込まれて実行される。以下の説明では、第1方位角範囲Raz1(φ1min〜φ1max)と第2方位角範囲Raz2(φ2min〜φ2max)とからなる方位角φの範囲を全体方位角範囲Razto(φ1min〜φ2max)(図3参照)といい、第1方向範囲Rdi1(φ1min〜φ1max,θmin〜θmax)と第2方向範囲Rdi2(φ2min〜φ2max,θmin〜θmax)とからなる方向の範囲を全体方向範囲Rdito(φ1min〜φ2max,θmin〜θmax)という。なお、仰角範囲Rel(θmin〜θmax)は、第1状態と第2状態とで同一である。
内部状態解析プログラム60が実行されると、CPUは、まず、第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの検出データObs1[φ,θ](φ:φ1min〜φ1max,θ:θmin〜θmax、θの範囲については以下同様)や、第2方向範囲Rdi2の各方位角φ+Δφ,各仰角θの検出データObs2[φ+Δφ,θ](φ+Δφ:φ2min〜φ2max),全体方向範囲Rditoの各方位角φ,各仰角θの測定対象の通過経路長L[φ,θ](φ:φ1min〜φ2max)などのデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、検出データObs1[φ,θ]や検出データObs2[φ+Δφ,θ]は、インターネットなどの外部ネットワークを介してカウント装置40から受信して用いたり、カウント装置40から図示しない記憶媒体(例えば、ハードディスクやCD,DVDなど)に記憶させた後にその記憶媒体を解析装置50に接続して読み出して用いたりすることができる。また、通過経路長L[φ,θ]は、地図データや設計図のデータなどを読み出して用いたりすることができる。
こうしてデータを入力すると、次式(1)に示すように、第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの検出データObs1[φ,θ]をそれぞれ第1状態の期間T1で規格化する(除する)ことにより、第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θのミュオンのフラックス(以下、検出フラックスという)Fobs1[φ,θ](φ:φ1min〜φ1max)を計算すると共に、式(2)に示すように、第2方向範囲Rdi2の各方位角φ+Δφ,各仰角θの検出データObs2[φ+Δφ,θ]をそれぞれ第2状態の期間T2で規格化する(除する)ことにより、第2方向範囲Rdi2の各方位角φ+Δφ,各仰角θの検出フラックスFobs2[φ+Δφ,θ](φ+Δφ:φ1min〜φ2max)を計算する(ステップS110)。
続いて、式(3)に示すように、第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの検出フラックスFobs1[φ,θ]をそれぞれ方位角方向に所定角度Δφだけ異なる方向の検出フラックスFobs2[φ+Δφ,θ]で除することにより、各仰角θにおける各方位角φ,φ+Δφ間の検出比Robs[φ,Δφ,θ](φ:φ1min〜φ1max)を計算する(ステップS120)。この処理は、例えば、第1方向範囲Rdi1の下限方位角φ1min,下限仰角θminの検出フラックスFobs1[φ1min,θmin]を、第2方向範囲Rdi2の下限方位角φ2min,下限仰角θminの検出フラックスFobs2[φ2min,θmin]で除することにより、下限仰角θminにおける方位角φ1min,φ1min+Δφ間の検出比Robs[φ1min,Δφ,θmin]を計算する処理である。
そして、第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの検出データObs1[φ,θ]と第2方向範囲Rdi2の各方位角φ+Δφ,各仰角θの検出データObs2[φ+Δφ,θ]とが共にガウス分布に従うと仮定して、第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの検出データObs1[φ,θ]と第2方向範囲Rdi2の各方位角φ+Δφ,各仰角θの検出データObs2[φ+Δφ,θ]と各仰角θにおける各方位角φ,φ+Δφ間の検出比Robs[φ,Δφ,θ]とを用いて、次式(4)により、各仰角θにおける各方位角φ,φ+Δφ間の検出比Robs[φ,Δφ,θ]についての統計誤差ERobs[φ,Δφ,θ](φ:φ1min〜φ1max)を計算する(ステップS130)。
次に、仰角範囲Relのうち解析の対象とする仰角θとしての対象仰角θ*に下限仰角θminを設定し(ステップS140)、設定した対象仰角θ*における測定対象の方位角方向(全体方位角範囲Razto)の平均密度ρm[θ*]を図5に例示する平均密度計算処理により計算する(ステップS150)。以下、図4の内部状態解析ルーチンの説明を一旦中断し、図5の平均密度計算処理について説明する。
図5の平均密度計算処理では、まず、対象仰角θ*における測定対象の方位角方向(全体方位角範囲Razto)の平均密度ρm[θ*]に初期値ρm0(例えば、0.0g/ccなど)を設定し(ステップS300)、次式(5)に示すように、全体方位角範囲Raztoの各方位角φの測定対象の通過経路長L[φ,θ*](φ:φ1min〜φ2max)のそれぞれに方位角方向の平均密度ρm[θ*]を乗じたものを、全体方位角範囲Raztoの各方位角φの測定対象の第1密度長DL1[φ,θ*](φ:φ1min〜φ2max)として計算する(ステップS310)。そして、計算した全体方位角範囲Raztoの各方位角φの測定対象の第1密度長DL1[φ,θ*]を用いて、全体方位角範囲Raztoの各方位角φのミュオンのフラックス(以下、第1密度長起因フラックスという)N1[φ,θ*](φ:φ1min〜φ2max)を図6に例示する第1密度長起因フラックス計算処理により計算する(ステップS320)。以下、図5の平均密度計算処理の説明を一旦中断し、図6の第1密度長起因フラックス計算処理について説明する。
図6の第1密度長起因フラックス計算処理では、まず、全体方位角範囲Raztoの各方位角φの測定対象の第1密度長DL1[φ,θ*](φ:φ1min〜φ2max)を用いて、ミュオンのカットオフエネルギ(以下、第1カットオフエネルギという)Ecut1[φ,θ*]の計算に用いるパラメータa1[DL1[φ,θ*]],b1[DL1[φ,θ*]](φ:φ1min〜φ2max)を設定する(ステップS400)。パラメータa1[DL1[φ,θ*]],b1[DL1[φ,θ*]]の設定は、実施例では、第1密度長DL1[φ,θ*]とパラメータa1[DL1[φ,θ*]],b1[DL1[φ,θ*]]との予め定められた関係に第1密度長DL1[φ,θ*]を適用してパラメータa1[DL1[φ,θ*]],b1[DL1[φ,θ*]]を設定するものとした。例えば、第1密度長DL1[φ,θ*]が4920g/cm2のときには、パラメータa1[DL1[φ,θ*]],b1[DL1[φ,θ*]]にはそれぞれ2.170MeV・cm2/g,0.019MeV・cm2/gを設定し、第1密度長DL1[φ,θ*]が553.4g/cm2のときには、パラメータa1[DL1[φ,θ*]],b1[DL1[φ,θ*]]にはそれぞれ1.808MeV・cm2/g,0.000MeV・cm2/gを設定することができる。
続いて、設定したパラメータa1[DL1[φ,θ*]],b1[DL1[φ,θ*]]を用いて、次式(6)により、全体方位角範囲Raztoの各方位角φの第1カットオフエネルギEcut1[φ,θ*](φ:φ1min〜φ2max)を計算する(ステップS410)。
そして、計算した全体方位角範囲Raztoの各方位角φの第1カットオフエネルギEcut1[φ,θ*]を用いて、次式(7)により、全体方位角範囲Raztoの各方位角φの第1密度長起因フラックスN1[φ,θ*](φ:φ1min〜φ2max)を計算して(ステップS420)、本ルーチンを終了する。ここで、式(7)中、「E」はミュオンのエネルギであり、「θz*」は対象仰角θ*に対応する天頂角(π/2−θ*)である。また、式(7)中、「dN[E,θz*]/dE」は式(8)により表わすことができる。式(8)中、「γ」は値2.7を用いることができ、「A」は式(9)により表わすことができ、「W」は式(10)により表わすことができる。式(8)および式(10)中、「ΔE」は式(11)により表わすことができる。式(10)および式(11)中、「L」は式(12)により表わすことができる。
以上、図6の第1密度長起因フラックス計算処理について説明した。図5の平均密度計算処理の説明に戻る。ステップS320で全体方位角範囲Raztoの各方位角φの第1密度長起因フラックスN1[φ,θ*](φ:φ1min〜φ2max)を計算すると、次式(13)に示すように、第1方位角範囲Raz1の各方位角φの第1密度長起因フラックスN1[φ,θ*](φ:φ1min〜φ1max)をそれぞれ対応する第1密度長起因フラックスN1[φ+Δφ,θ*]で除することにより、全体方位角範囲Raztoの各方位角φ,φ+Δφ間の第1解析比Rest1[φ,Δφ,θ*](φ:φ1min〜φ1max)を計算する(ステップS330)。この処理は、例えば、方位角φ1minの第1密度長起因フラックスN1[φ1min,θ*]を方位角φ2min(=φ1min+Δφ)の第1密度長起因フラックスN1[φ2min,θ*]で除することにより、方位角φ1min,φ1min+Δφ間の第1解析比Rest1[φ1min,Δφ,θ*]を計算する処理である。
続いて、次式(14)に示すように、全体方位角範囲Raztoの各方位角φ,φ+Δφ間の第1解析比Rest1[φ,Δφ,θ*](φ:φ1min〜φ1max)の方位角方向についての総和(方位角φについての総和)を解析比和Sest[θ*]として計算し(ステップS340)、式(15)に示すように、ステップS120で計算した全体方位角範囲Raztoの各方位角φ,φ+Δφ間の検出比Robs[φ,Δφ,θ*](φ:φ1min〜φ1max)の方位角方向についての総和(方位角φについての総和)を検出比和Sobs[θ*]として計算する(ステップS350)。
そして、ステップS130で計算した全体方位角範囲Raztoの各方位角φ,φ+Δφ間の検出比Robs[φ,Δφ,θ]についての統計誤差ERobs[φ,Δφ,θ](φ:φ1min〜φ1max)を用いて、次式(16)により、検出比和Sobs[θ*]についての統計誤差ESobs[θ*]を計算する(ステップS360)。
次に、検出比和Sobs[θ*]と解析比和Sest[θ*]との差分が検出比和Sobs[θ*]についての統計誤差ESobs[θ*]未満であるか否かを判定する(ステップS370)。この処理は、現在の平均密度ρm[θ*]が適正であるか否かを判定する処理である。
検出比和Sobs[θ*]と解析比和Sest[θ*]との差分が検出比和Sobs[θ*]についての統計誤差ESobs[θ*]以上であると判定されたときには、現在の平均密度ρm[θ*]は適正でないと判断し、現在の平均密度ρm[θ*]に所定値dρm0(例えば、0.01g/ccなど)を加えたものを新たな平均密度ρm[θ*]に設定して(ステップS370)、ステップS310に戻る。
こうしてステップS310〜S380の処理を繰り返し実行して、ステップS370で検出比和Sobs[θ*]と解析比和Sest[θ*]との差分が検出比和Sobs[θ*]についての統計誤差ESobs[θ*]未満であると判定されたときには、現在の平均密度ρm[θ*]は適正であると判断し、それを対象仰角θ*における平均密度ρm[θ*]として確定して(ステップS390)、本ルーチンを終了する。
以上、図5の平均密度計算処理について説明した。図4の内部状態解析ルーチンの説明に戻る。ステップS150で対象仰角θ*における測定対象の方位角方向(全体方位角範囲Razto)の平均密度ρm[θ*]を計算すると、計算した平均密度ρm[θ*]を全体方位角範囲Razto(φ1min〜φ2max)の中心方位角φcの密度ρ[φc,θ*]に設定する(ステップS160)。
続いて、第1方位角範囲Raz1のうち解析の対象とする方位角φとしての対象方位角φ*に下限方位角φ1minを設定し(ステップS170)、対象仰角θ*における方位角φ*,φ*+Δφ間の密度比の上下限としての上下限密度比ρfmax[φ*,Δφ,θ*],ρfmin[φ*,Δφ,θ*]を図7に例示する上下限密度比計算処理により計算する(ステップS180)。以下、図4の内部状態解析ルーチンの説明を一旦中断し、図7の上下限密度比計算処理について説明する。
図7の上下限密度比計算処理では、まず、対象仰角θ*における方位角φ*,φ*+Δφの方位角方向の密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]にある程度大きな正の初期値Δρ0(例えば、0.50g/ccなど)を設定し(ステップS500)、設定した密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]とステップS160で設定した中心方位角φcの密度ρ[φc,θ*]とを用いて、次式(17),(18)により、方位角φ*,φ*+Δφの密度ρ[φ*,θ*],ρ[φ*+Δφ,θ*]を計算する(ステップS510)。
続いて、次式(19),(20)に示すように、方位角φ*,φ*+Δφの通過経路長L[φ*,θ*],L[φ*+Δφ,θ*]に方位角φ*,φ*+Δφの密度ρ[φ*,θ*],ρ[φ*+Δφ,θ*]を乗じたものを方位角φ*,φ*+Δφの測定対象の第2密度長DL2[φ*,θ*],DL2[φ*+Δφ,θ*]として計算し(ステップS520)、計算した方位角φ*,φ*+Δφの測定対象の第2密度長DL2[φ*,θ*],DL2[φ*+Δφ,θ*]を用いて、方位角φ*,φ*+Δφのミュオンのフラックス(以下、第2密度長起因フラックスという)N2[φ*,θ*],N2[φ*+Δφ,θ*]を図8に例示する第2密度長起因フラックス計算処理により計算する(ステップS530)。以下、図7の上下限密度比計算処理の説明を一旦中断し、図8の第2密度長起因フラックス計算処理について説明する。
図8の第2密度長起因フラックス計算処理では、まず、方位角φ*,φ*+Δφの測定対象の第2密度長DL2[φ*,θ*],DL2[φ*+Δφ,θ*]を用いてミュオンのカットオフエネルギ(以下、第2カットオフエネルギという)Ecut2[φ*,θ*],Ecut2[φ*+Δφ,θ*]の計算に用いるパラメータa2[DL2[φ*,θ*]],b2[DL2[φ*,θ*]],a2[DL2[φ*+Δφ,θ*]],b2[DL2[φ*+Δφ,θ*]]を設定する(ステップS700)。パラメータa2[DL2[φ*,θ*]],b2[DL2[φ*,θ*]],a2[DL2[φ*+Δφ,θ*]],b2[DL2[φ*+Δφ,θ*]]の設定は、図6の第1密度長起因処理のステップS400の処理と同様に行なうことができる。
続いて、設定したパラメータa2[DL2[φ*,θ*]],b2[DL2[φ*,θ*]],a2[DL2[φ*+Δφ,θ*]],b2[DL2[φ*+Δφ,θ*]]を用いて、次式(21),(22)により、方位角φ*,φ*+Δφの第2カットオフエネルギEcut2[φ*,θ*],Ecut2[φ*+Δφ,θ*]を計算する(ステップS710)。
そして、方位角φ*,φ*+Δφの第2カットオフエネルギEcut2[φ*,θ*],Ecut2[φ*+Δφ,θ*]を用いて、次式(23),(24)により、方位角φ*,φ*+Δφの密度長起因フラックスN2[φ*,θ*],N2[φ*+Δφ,θ*]を計算して(ステップS720)、本ルーチンを終了する。ここで、式(23),(24)は、それぞれ、上述の式(7)の積分開始の値を「E=Ecut1[φ,θ*]」から「E=Ecut2[φ*,θ*]」,「E=Ecut2[φ*+Δφ,θ*]」に置き換えた点を除いて、式(7)と同一である。
以上、図8の第2密度長起因フラックス計算処理について説明した。図7の上下限密度比計算処理の説明に戻る。ステップS530で方位角φ*,φ*+Δφの第2密度長起因フラックスN2[φ*,θ*],N2[φ*+Δφ,θ*]を計算すると、次式(25)に示すように、第2密度長起因フラックスN2[φ*,θ*]を対応する第2密度長起因フラックスN2[φ*+Δφ,θ*]で除することにより、方位角φ*,φ*+Δφ間の第2解析比Rest2[φ*,Δφ,θ*]を計算する(ステップS540)。
続いて、方位角φ*,φ*+Δφ間の上限密度比ρfmax[φ*,Δφ,θ*]を設定済みであるか否かを判定し(ステップS550)、上限密度比ρfmax[φ*,Δφ,θ*]を設定済みでないと判定されたときには、方位角φ*,φ*+Δφ間の第2解析比Rest2[φ*,Δφ,θ]が検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]より大きく検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]と検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]についての統計誤差ERobs[φ*,Δφ,θ*]との和未満であるか否かを判定する(ステップS560)。この処理は、上限密度比ρfmax[φ*,Δφ,θ*]の設定において現在の密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]や密度ρ[φ*,θ*],ρ[φ*+Δφ,θ*]が適正であるか否かを判定する処理である。
第2解析比Rest2[φ*,Δφ,θ]が検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]以下であると判定されたときや、第2解析比Rest2[φ*,Δφ,θ]が検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]と統計誤差ERobs[φ*,Δφ,θ*]との和以上であると判定されたときには、上限密度比ρfmax[φ*,Δφ,θ*]の設定において現在の密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]や密度ρ[φ*,θ*],ρ[φ*+Δφ,θ*]は適正でないと判断し、現在の密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]から所定値dΔρ(例えば、0.01g/ccなど)を減じたものを新たな密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]に設定して(ステップS570)、ステップS510に戻る。
こうしてステップS510〜S570の処理を繰り返し実行して、ステップS560で第2解析比Rest2[φ*,Δφ,θ]が検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]より大きく検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]と統計誤差ERobs[φ*,Δφ,θ*]との和未満であると判定されたときには、上限密度比ρfmax[φ*,Δφ,θ*]の設定において現在の密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]や密度ρ[φ*,θ*],ρ[φ*+Δφ,θ*]は適正であると判断し、次式(26)に示すように、密度ρ[φ*,θ*]を密度ρ[φ*+Δφ,θ*]で除することにより、方位角φ*,φ*+Δφ間の上限密度比ρfmax[φ*,Δφ,θ*]を計算して(ステップS580)、ステップS510に戻る。
こうして方位角φ*,φ*+Δφ間の上限密度比ρfmax[φ*,Δφ,θ*]を設定した後には、ステップS550で上限密度比ρfmax[φ*,Δφ,θ*]を設定済みであると判定され、方位角φ*,φ*+Δφ間の解析比Rest2[φ*,Δφ,θ]が検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]から検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]についての統計誤差ERobs[φ*,Δφ,θ*]を減じた値より大きく検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]未満であるか否かを判定する(ステップS590)。この処理は、下限密度比ρfmin[φ*,Δφ,θ*]の設定において現在の密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]や密度ρ[φ*,θ*],ρ[φ*+Δφ,θ*]が適正であるか否かを判定する処理である。
解析比Rest2[φ*,Δφ,θ]が検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]から統計誤差ERobs[φ*,Δφ,θ*]を減じた値以下または検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]以上であると判定されたときには、下限密度比ρfmin[φ*,Δφ,θ*]の設定において現在の密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]や密度ρ[φ*,θ*],ρ[φ*+Δφ,θ*]は適正でないと判断し、現在の密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]から所定値dΔρ(例えば、0.01g/ccなど)を減じたものを新たな密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]に設定して(ステップS600)、ステップS510に戻る。
こうしてステップS510〜S550,S590,S600の処理を繰り返し実行して、ステップS590で解析比Rest2[φ*,Δφ,θ]が検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]から統計誤差ERobs[φ*,Δφ,θ*]を減じた値より大きく検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]未満であると判定されたときには、下限密度比ρfmin[φ*,Δφ,θ*]の設定において現在の密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]や密度ρ[φ*,θ*],ρ[φ*+Δφ,θ*]は適正であると判断し、次式(27)に示すように、密度ρ[φ*,θ*]を密度ρ[φ*+Δφ,θ*]で除することにより方位角φ*,φ*+Δφ間の下限密度比ρfmin[φ*,Δφ,θ*]を計算して(ステップS610)、本ルーチンを終了する。
以上、図7の上下限密度比計算処理について説明した。図4の内部状態解析ルーチンの説明に戻る。ステップS180で対象仰角θ*における対象方位角φ*と方位角φ*+Δ*との上下限密度比ρfmax[φ*,Δφ,θ*],ρfmin[φ*,Δφ,θ*]を計算すると、対象仰角φ*が上限方位角φ1maxであるか否かを判定し(ステップS190)、対象仰角φ*が上限方位角φ1maxでないと判定されたときには、現在の対象仰角φ*に方位角方向の角度分解能としての角度dφを加えたものを新たな対象仰角φ*に設定して(ステップS200)、ステップS180に戻る。ここで、角度dφは、例えば、検出器26,28のx方向の座標x1,x2を用いて得られる「x1−x2」が値1だけ大きくなるのに相当する角度(値−9から値−8になるとき,値−4から値−3になるとき,値1から値2になるときなどのそれぞれに応じた角度)を用いることができる。
こうしてステップS180〜S200の処理を繰り返し実行して、ステップS190で対象方位角φ*が上限方位角φ1maxであると判定されたときには、ステップS160で設定した中心方位角φcの密度ρ[φc,θ*](=ρm[θ*])と次式(28)〜(31)とを用いて、全体方向範囲Rditoの対象仰角θ*における各方位角φの密度分布の上下限としての上下限密度ρmax[φ,θ*],ρmin[φ,θ*](φ1min〜φ2max)を計算する(ステップS210)。具体的には、式(28)中、「ρ[φ+Δφ,θ*]」,「ρfmax[φ,Δφ,θ*]」にそれぞれ中心方位角φcの密度ρ[φc,θ*],上限密度比ρfmax[φc,Δφ,θ*]を代入して方位角φc−Δφの上限密度ρmax[φc−Δφ,θ*]を計算すると共に同様に方位角φc−2Δφ〜下限方位角φ1minの上限密度ρmax[φc−2Δφ,θ*]〜ρmax[φ1min,θ*]を計算し、式(29)中、「ρ[φ,θ*]」,「ρfmax[φ,Δφ,θ*]」にそれぞれ中心方位角φcの密度ρ[φc,θ*],上限密度比ρfmax[φc,Δφ,θ*]を代入して方位角φc+Δφの上限密度ρmax[φc+Δφ,θ*]を計算すると共に同様に方位角φc+2Δφ〜上限方位角φ2maxの上限密度ρmax[φc+2Δφ,θ*]〜ρmax[φ2max,θ*]を計算する。また、式(30)中、「ρ[φ+Δφ,θ*]」,「ρfmin[φ,Δφ,θ*]」にそれぞれ中心方位角φcの密度ρ[φc,θ*],下限密度比ρfmin[φc,Δφ,θ*]を代入して方位角φc−Δφの下限密度ρmin[φc−Δφ,θ*]を計算すると共に同様に方位角φc−2Δφ〜下限方位角φ1minの下限密度ρmin[φc−2Δφ,θ*]〜ρmin[φ1min,θ*]を計算し、式(31)中、「ρ[φ,θ*]」,「ρfmin[φ,Δφ,θ*]」にそれぞれ中心方位角φcの密度ρ[φc,θ*],下限密度比ρfmin[φc,Δφ,θ*]を代入して方位角φc+Δφの下限密度ρmin[φc+Δφ,θ*]を計算すると共に同様に方位角φc+2Δφ〜上限方位角φ2maxの下限密度ρmin[φc+2Δφ,θ*]〜ρmin[φ2max,θ*]を計算する。
次に、対象仰角θ*が上限仰角θmaxであるか否かを判定し(ステップS220)、対象仰角θ*が上限仰角θmaxでないと判定されたときには、現在の対象仰角θ*に仰角方向の角度分解能としての角度dθを加えたものを新たな対象方位角φ*に設定して(ステップS230)、ステップS150に戻る。ここで、角度dθは、例えば、検出器26,28のy方向の座標y1,y2を用いて得られる「y1−y2」が値1だけ大きくなるのに相当する角度(値1から値2になるとき,値4から値5になるとき,値8から値9になるときなどそれぞれに応じた角度)を用いることができる。こうしてステップS150〜S230の処理を繰り返し実行して、ステップ220で対象仰角θ*が上限仰角θmaxであると判定されたときには、計算結果をディスプレイ70に出力したりハードディスクドライブに記憶させたりして(ステップS240)、本ルーチンを終了する。計算結果の出力では、全体方向範囲Rditoの各仰角θにおける測定対象の方位角方向の平均密度ρm[θ]や、全体方向範囲Rditoの各方位角φ,各仰角θの測定対象の上下限密度ρmax[φ,θ],ρmin[φ,θ]などを出力する。
ここで、第1状態(ホドスコープ24を方位角方向に回転させる前)の第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの検出データObs1[φ,θ](φ:φ1min〜φ1max)に応じた検出フラックスFobs1[φ,θ]と、第2状態(ホドスコープ24を方位角方向に回転させた後)の第2方向範囲Rdi2の各方位角φ+Δφ,各仰角θの検出データObs2[φ+Δφ,θ](φ+Δφ:φ2min〜φ2max)に応じた検出フラックスFobs2[φ,θ]とを用いて各仰角θにおける各方位角φ,φ+Δφ間の検出比Robs[φ,Δφ,θ](φ:φ1min〜φ1max)を計算し、計算した複数の検出比Robs[φ,Δφ,θ]を用いて、全体方向範囲Rditoの各仰角θにおける測定対象の方位角方向の平均密度ρm[θ]を計算したり、全体方向範囲Rditoの各方位角φ,各仰角θの測定対象の上下限密度ρmax[φ,θ],ρmin[φ,θ]を計算したりする理由について説明する。
図9は、障害物(水相当)の厚さとその障害物を通過するミュオンのフラックスとの関係の一例を示す説明図であり、図10は、ホドスコープ24でミュオンの通過を検出可能な方向範囲(第1方向範囲Rdiや第2方向範囲Rdi2)の各方位角φ,各仰角θのホドスコープ24の検出効率η[φ,θ]の一例を示す説明図であり、図11は、ミュオンのエネルギとパラメータa,bと通過経路長DLとの関係の一例を示すテーブル(参考文献1参照)である。図9中、[km・w・e]は水相当の物質の厚さを示し、ハッチングは、ミュオンのフラックスの不定性(バラツキ)を示す。図11中、「T」はミュオンのエネルギ(運動エネルギ)を示し、「Ionization」(電離)はカットオフエネルギEcutの計算に用いるパラメータaを示し、「Brems」(制動輻射)と「Pair prod」(直接電子−陽電子対生成)と「Photonucl」(光核反応)との和はカットオフエネルギEcutの計算に用いるパラメータbを示し、「CSDA range」は障害物(測定対象)の通過経路長DLを示す。
参考文献1:「Table 281: Muons in Standard rock」、[On line]、[平成24年1月23日検索]、インターネット
<http://pdg.lbl.gov/2011/AtomicNuclearProperties/MUON_ELOSS_TABLES/muonloss_281.pdf>
一般に、ミュオンは、地球磁場による方位角依存性を有すると共に、中間エネルギ領域(図9では0.5km・w・e〜3.0km・w・e程度を通過するミュオンのエネルギ領域,図11では297MeV〜693GeV程度の領域)より高エネルギ側の領域や低エネルギ側の領域でフラックスに不定性を有する(バラツキが生じやすい)ことが分かっている(図9参照)。また、ホドスコープ24(検出器26,28)は、通常、センサモジュール30の非一様性(製造バラツキ)に起因して各部分に検出効率ηのバラツキなどが生じる(図10参照)。
高エネルギ領域や低エネルギ領域のミュオンのフラックスの不定性は、ミュオンのカットオフエネルギEcutの決定精度に依存する。以下、具体的に説明する。まず、高エネルギ領域のミュオンのフラックスの不定性は、カットオフエネルギEcutの計算に用いるパラメータbの確度に依存する。パラメータa,bと障害物の密度長DLとその障害物(密度長DL)を通過(透過)するのに要する最低エネルギ(カットオフエネルギ)Ecutとの関係を関係を示す次式(32)(参考文献2参照)の両辺を積分すると、式(33)が得られる(参考文献3参照)。ここで、式(33)中、「E0」は、初期ミュオンエネルギであり、「E」は残存ミュオンエネルギである。この残存ミュオンエネルギEが0GeVのときに、初期ミュオンエネルギE0とカットオフエネルギEcutとが等しくなる。また、式(33)中、パラメータbは、図11(参考文献1参照)などでは、確定値ではなく、平均値で記載されている。パラメータbは、ある確率分布に従ってミュオンがエネルギを失う指標となるが、図11を用いてパラメータa,bを設定する場合、所定エネルギ(Muon critical energyに相当するエネルギ(693GeV))より高い領域ではカットオフエネルギEcutの決定においてパラメータaに比してパラメータbの影響が大きくなる。パラメータaは、確率的にエネルギを失うのではなく、関係式によってどの程度エネルギを失うのか分かっている値である。所定エネルギ(693GeV)以下の中エネルギ領域(297MeV〜693GeV)では、カットオフエネルギEcutの決定にパラメータaが大きく関係し、このパラメータaは、所定エネルギ以下の中エネルギ領域では、それほど大きく変化しないから、カットオフエネルギEcutを精度よく求めることができる。一方、所定エネルギ(693GeV)より高い高エネルギ領域では、カットオフエネルギEcutの決定にパラメータbの影響が大きくなるため、カットオフエネルギEcutを精度よく求めようとするとモンテカルロシミュレーションを行なう必要があり、シミュレーションを行なう毎にカットオフエネルギEcutの値にバラツキが生じる。したがって、高エネルギのミュオンではカットオフエネルギEcutを求める際に不定性が生じるため、ミュオンのエネルギと通過できる障害物の厚さ(密度長DL)との関係にバラツキが生じる(図9参照)。ミュオンのエネルギスペクトルモデルを一つの関係式で確定的に表わせたとしてもカットオフエネルギEcutに不定性が生じるため、ミュオンのフラックスのシミュレーションにおいても不定性が生じる。また、低エネルギ領域の不定性は、ミュオンのエネルギが低い場合には地球磁場の影響によって粒子の進行方向が曲がりやすい、という理由に基づく。図11では、ミュオンのエネルギが297MeV未満の領域でミュオンのエネルギが低いほど急激にパラメータaの値が大きくなっている。したがって、低エネルギのミュオンほど通過経路中の物質量の変化に大きく影響されてカットオフエネルギEcutの値が変化しやすくなり、大気密度の変化に敏感に反応しやすくなる。一方、297MeV以上ではパラメータaがそれほど大きく変化しないため、大気密度の変化に反応しにくくなり、カットオフエネルギEcutが精度よく決定されやすくなる。以上を踏まえると、低エネルギ領域(例えば297MeV未満の領域)では地球磁場や大気密度に敏感に反応してカットオフエネルギEcutの決定精度が低くなり、高エネルギ領域(例えば693GeVより大きな領域)では確率的にエネルギを失う過程の影響が大きくなりカットオフエネルギの決定精度が低くなり、中エネルギ領域(例えば297MeV〜693GeVの領域)では低エネルギ領域や高エネルギ領域に比してカットオフエネルギEcutの決定精度が高くなる(不定性が小さくなる)と言える。
参考文献2:DONALD E. GROOM, NIKOLAI V. MOKHOV, SERGEI I. STRIGANOV, MUON STOPPING POWER AND RANGE TABLES 10 MeV・100 TeV, Atomic Data and Nuclear Data Tables, Vol. 76, No. 2, July 2001, p. 3
参考文献3:K. Nakamura et al. (Particle Data Group), J. Phys. G 37, 075021 (2010), p. 9,[On line]、[平成24年1月23日検索]、インターネット
<http://pdg.lbl.gov/2011/reviews/rpp2011-rev-cosmic-rays.pdf>
また、ホドスコープ24の各部分の検出効率η[φ,θ]のバラツキは、検出器26,28におけるミュオンの通過位置α1[x1,y1],α2[x2,y2]に応じた各方位角φ,各仰角θの検出効率η[φ,θ]が検出器26の各座標[x1,y1]の検出効率η1[x1,y1]と検出器28の各座標[x2,y2]の検出効率η2[x2,y2]とに応じて定まる、ためである。
これらを考慮すると、ホドスコープ24を回転させずに、ホドスコープ24によりミュオンの通過を検出してカウント装置40によりカウントした各方位角φ,各仰角θの検出データObs[φ,θ]を用いて測定対象の内部の状態を解析する従来例の場合、例えば、測定対象を通過したミュオンのフラックスと測定対象を通過せずに飛来するミュオンのフラックスとを比較して測定対象の内部の状態を解析する従来例の場合、上述の種々の影響を十分に抑制できずにこれらの影響が測定対象の内部の状態の解析結果にある程度反映されていたと考えられる。
一方、実施例では、複数の検出比Robs[φ,Δφ,θ](φ:φ1min〜φ1max)を用いて、全体方向範囲Rditoの各仰角θにおける測定対象の方位角方向の平均密度ρm[θ]を計算したり、全体方向範囲Rditoの各方位角φ,各仰角θの測定対象の上下限密度ρmax[φ,θ],ρmin[φ,θ]を計算したりすることにより、上述の影響(ホドスコープ24の回転前か回転後かに拘わらず生じる影響)を抑制して測定対象の内部の状態を解析することができる。
しかも、実施例では、各仰角θについて、各方位角φ,φ+Δφ間の検出比Robs[φ,Δφ,θ](φ:φ1min〜φ1max)の方位角方向の総和としての検出比和Sobs[θ]と、各方位角φ,φ+Δφ間の第1解析比Rest1[φ,Δφ,θ](φ:φ1min〜φ1max)の方位角方向についての総和としての解析比和Sest[θ]と、を用いて方位角方向の測定対象の平均密度ρm[θ]を計算したり、各方位角φ,φ+Δφ間の検出比Robs[φ,Δφ,θ](φ:φ1min〜φ1max)と、各方位角φ,φ+Δφ間の第2解析比Rest2[φ,Δφ,θ](φ:φ1min〜φ1max)と、を用いて各方位角φの上下限密度ρmax[φ,θ],ρmin[φ,θ]を計算したりするから、ユーザの経験則に基づくパラメータの設定を必要とせず、測定対象の内部の状態の解析をより容易に行なう(解析のより自動化を図る)ことができる。
以上説明した実施例の内部状態解析システム20によれば、第1状態(ホドスコープ24の方位角方向の回転前)の第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの検出データObs1[φ,θ](φ:φ1min〜φ1max,θ:θmin〜θmax)に応じた検出フラックスFobs1[φ,θ]と、第2状態(ホドスコープ24の方位角方向の回転後)の第2方向範囲Rdi2の各方位角φ+Δφ,各仰角θの検出データObs2[φ+Δφ,θ](φ+Δφ:φ2min〜φ2max,θ:θmin〜θmax)に応じた検出フラックスFobs2[φ,θ]と、の比としての複数の検出比Robs[φ,Δφ,θ](φ:φ1min〜φ1max,θ:θmin〜θmax)を用いて、全体方向範囲Rditoの各方位角φ,各仰角θの上下限密度ρmax[φ,θ],ρmin[φ,θ](φ:φ1min〜φ2max,θ:θmin〜θmax)を計算するから、ミュオンの性質(地球磁場による方位角依存性や、中間エネルギ領域より低エネルギ側の領域や高エネルギ側の領域のフラックスのバラツキなど)やホドスコープ24の各部分のバラツキなどによる影響を抑制して上下限密度ρmax[φ,θ],ρmin[φ,θ]を計算することができ、測定対象の内部の状態をより適正に解析することができる。
実施例の内部状態解析システム20では、全体方向範囲Rditoの各方位角φ,各仰角θの上下限密度ρmax[φ,θ],ρmin[φ,θ](φ:φ1min〜φ2max,θ:θmin〜θmax)を計算するものとしたが、全体方向範囲Rditoの各仰角θにおける測定対象の方位角方向(全体方位角範囲Razto)の平均密度ρm[θ]を計算するものとしてもよい。この場合、図4の内部状態解析ルーチンのステップS160〜S210の処理を実行しないものとすればよい。この場合でも、ミュオンの性質(地球磁場による方位角依存性や、中間エネルギ領域より低エネルギ側の領域や高エネルギ側の領域のフラックスのバラツキなど)やホドスコープ24の各部分のバラツキなどによる影響を抑制して各仰角θにおける測定対象の方位角方向の平均密度ρm[θ]を計算することができ、測定対象の内部の状態をより適正に解析することができる。
実施例の内部状態解析システム20では、上下限密度比ρfmax[φ*,Δφ,θ*],ρfmin[φ*,Δφ,θ*]の計算において、密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]をある程度大きな正の初期値Δρ0(例えば、0.50g/ccなど)から徐々に小さくしながら上限密度比ρfmax[φ*,Δφ,θ*],下限密度比ρfmin[φ*,Δφ,θ*]の順に計算するものとしたが、密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]をある程度小さな負の初期値Δρ1(例えば、−0.50g/ccなど)から徐々に大きくしながら下限密度比ρfmin[φ*,Δφ,θ*],上限密度比ρfmax[φ*,Δφ,θ*]の順に計算するものとしてもよい。
実施例の内部状態解析システム20では、全体方向範囲Rditoの各方位角φ,各仰角θの上下限密度ρmax[φ,θ],ρmin[φ,θ](φ:φ1min〜φ2max,θ:θmin〜θmax)を計算するものとしたが、全体方向範囲Rditoの各方位角φ,各仰角θの密度ρ[φ,θ](φ:φ1min〜φ2max,θ:θmin〜θmax)を計算するものとしてもよい。この場合の内部状態解析ルーチンの一例を図12に示す。図12の内部状態解析ルーチンは、図4の内部状態解析ルーチンのステップS180,S210の処理に代えて、ステップS180b,S210bの処理を実行する点を除いて、図4の内部状態解析ルーチンと同一である。したがって、同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。図12の内部状態解析ルーチンでは、対象方位角φ*に下限方位角φ1minを設定すると(ステップS170)、対象仰角φ*,対象仰角θ*における測定対象の方位角方向の密度勾配Δρ[φ*,θ*]を図13に例示する密度勾配計算処理により計算する(ステップS180b)。以下、図12の内部状態解析ルーチンの説明を一旦中断し、図13の密度勾配計算処理について説明する。
図13の密度勾配計算処理では、まず、対象仰角θ*における方位角φ*,φ*+Δφの方位角方向の密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]に初期値Δρ2(例えば、0.00g/ccなど)を設定する(ステップS800)。
続いて、図7の上下限密度比計算処理のステップS510〜S540の処理と同様に、方位角φ*,φ*+Δφの密度ρ[φ*,θ*],ρ[φ*+Δφ,θ*]を計算し(ステップS810)、方位角φ*,φ*+Δφの測定対象の第2密度長DL2[φ*,θ*],DL2[φ*+Δφ,θ*]を計算し(ステップS820)、方位角φ*,φ*+Δφの第2密度長起因フラックスN2[φ*,θ*],N2[φ*+Δφ,θ*]を計算し(ステップS830)、方位角φ*,φ*+Δφ間の解析比Rest2[φ*,Δφ,θ*]を計算する(ステップS840)。
そして、方位角φ*,φ*+Δφ間の検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]と解析比Rest2[φ*,Δφ,θ]との差分が検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]についての統計誤差ERobs[φ*,Δφ,θ*]未満であるか否かを判定する(ステップS860)。この処理は、現在の密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]が適正であるか否かを判定する処理である。
検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]と解析比Rest2[φ*,Δφ,θ]との差分が統計誤差ERobs[φ*,Δφ,θ*]以上であると判定されたときには、現在の密度勾配Δρ[φ*、θ*]が適正でないと判断し、現在の密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]を変更して(ステップS870)、ステップS810に戻る。ここで、密度勾配Δρ[φ*,θ*],Δρ[φ*+Δφ,θ*]の変更は、例えば、0.00g/cc,0.01g/cc,−0.01g・cc,0.02g/cc,−0.02g/cc・・・の順に変化するように変更することができる。
こうしてステップS810〜S870の処理を繰り返し実行して、ステップS860で検出比Robs[φ*,Δφ,θ*]と解析比Rest2[φ*,Δφ,θ]との差分が統計誤差ERobs[φ*,Δφ,θ*]未満であると判定されたときには、現在の密度勾配Δρ[φ*、θ*]は適正であると判断し、それを対象方位角φ*,対象仰角θ*における密度勾配Δρ[φ*,θ*]として確定して(ステップS880)、本ルーチンを終了する。
以上、図13の密度勾配計算処理について説明した。図12の内部状態解析ルーチンの説明に戻る。ステップS180bで対象方位角φ*,対象仰角θ*における測定対象の方位角方向の密度勾配Δρ[φ*、θ*]を計算すると、対象仰角φ*が上限方位角φ1maxであるか否かを判定し(ステップS190)、対象仰角φ*が上限方位角φ1maxでないと判定されたときには、現在の対象仰角φ*に角度dφを加えたものを新たな対象仰角φ*に設定して(ステップS200)、ステップS180bに戻る。
こうしてステップS180b〜S200の処理を繰り返し実行して、ステップS190で対象方位角φ*が上限方位角φ1maxであると判定されたときには、ステップS160で設定した中心方位角φcの密度ρ[φc,θ*](=ρm[θ*])と次式(34),(35)を用いて、対象仰角θ*における各方位角φ(φ1min〜φ2max)の密度ρ[φ,θ]を計算する(ステップS210)。具体的には、式(34)中、「ρ[φ+Δφ,θ*]」,「Δρ[φ,θ*]」にそれぞれ中心方位角φcの密度ρ[φc,θ*],密度勾配Δρ[φc,θ*]を代入して方位角φc−Δφの密度ρ[φc−Δφ,θ*]を計算すると共に同様に方位角φc−2Δφ〜下限方位角φ1minの密度ρ[φc−2Δφ,θ*]〜ρ[φ1min,θ*]を計算し、式(35)中、「ρ[φ,θ*]」,「Δρ[φ,θ*]」にそれぞれ中心方位角φcの密度ρ[φc,θ*],密度勾配Δρ[φc,θ*]を代入して方位角φc+Δφの密度ρ[φc+Δφ,θ*]を計算すると共に同様に方位角φc+2Δφ〜上限方位角φ2maxの密度ρ[φc+2Δφ,θ*]〜ρmax[φ2max,θ*]を計算する。こうした処理により、ミュオンの性質(地球磁場による方位角依存性や、中間エネルギ領域より低エネルギ側の領域や高エネルギ側の領域のフラックスのバラツキなど)やホドスコープ24の各部分のバラツキなどによる影響を抑制して密度ρ[φ,θ]を計算することができ、測定対象の内部の状態をより適正に解析することができる。
次に、対象仰角θ*が上限仰角θmaxであるか否かを判定し(ステップS220)、対象仰角θ*が上限仰角θmaxでないと判定されたときには、現在の対象仰角θ*に仰角方向の角度分解能としての角度dθを加えたものを新たな対象方位角φ*に設定して(ステップS230)、ステップS150に戻る。こうしてステップS150〜S230の処理を繰り返し実行して、ステップ220で対象仰角θ*が上限仰角θmaxであると判定されたときには、計算結果をディスプレイ70に出力したりハードディスクドライブに記憶させたりして(ステップS240)、本ルーチンを終了する。計算結果の出力では、全体方向範囲Rditoの各仰角θにおける測定対象の方位角方向の平均密度ρ[θ]や、全体方向範囲Rditoの各方位角φ,各仰角θの測定対象の密度ρ[φ,θ]などを出力する。
この変形例によれば、第1状態(ホドスコープ24の回転前)の第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの検出データObs1[φ,θ](φ:φ1min〜φ1max,θ:θmin〜θmax)に応じた検出フラックスFobs1[φ,θ]と、第2状態(ホドスコープ24の回転後)の第2方向範囲Rdi2の各方位角φ+Δφ,各仰角θの検出データObs2[φ+Δφ,θ](φ+Δφ:φ2min〜φ2max,θ:θmin〜θmax)に応じた検出フラックスFobs2[φ+Δφ,θ]と、の比としての複数の検出比Robs[φ,Δφ,θ](φ:φ1min〜φ1max,θ:θmin〜θmax)を用いて、全体方向範囲Rditoの各方位角φ,各仰角θの密度ρ[φ,θ](φ:φ1min〜φ2max,θ:θmin〜θmax)を計算するから、ミュオンの性質(地球磁場による方位角依存性や、中間エネルギ領域より低エネルギ側の領域や高エネルギ側の領域のフラックスのバラツキなど)やホドスコープ24の各部分のバラツキなどによる影響を抑制して密度ρ[φ,θ]を計算することができ、測定対象の内部の状態をより適正に解析することができる。
実施例の内部状態解析システム20では、第1状態の第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの検出データObs1[φ,θ](φ:φ1min〜φ1max,θ:θmin〜θmax)と、ホドスコープ24を第1状態から方位角方向に所定角度Δφだけ回転させた第2状態の第2方向範囲Rdi2の各方位角φ+Δφ,各仰角θの検出データObs2[φ+Δφ,θ](φ+Δφ:φ2min〜φ2max,θ:θmin〜θmax)と、を測定対象の内部の状態の解析に用いるものとしたが、これに代えて、第1状態の第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの検出データObs1[φ,θ](φ:φmin〜φmax,θ:θ1min〜θ1max)と、ホドスコープ24を第1状態から仰角方向に所定角度Δθ(例えば、数度〜十数度程度)だけ回転させた第2状態の第2方向範囲Rdi2の各方位角φ,各仰角θ+Δθの検出データObs2[φ,θ+Δθ](φ:φmin〜φmax,θ+Δθ:θ2min(=θ1min+Δθ)〜θ2max(=θ1max+Δθ))と、を測定対象の内部の状態の解析に用いるものとしてもよい。なお、この場合、第1状態か第2状態かに拘わらず方位角範囲(φmin〜φmax)は同一となる。
この場合、検出データObs1[φ,θ]を規格化して検出フラックスFobs1[φ,θ]を計算すると共に検出データObs2[φ,θ+Δθ]を規格化して検出フラックスFobs2[φ,θ+Δθ]を計算し、第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの検出フラックスFobs1[φ,θ]をそれぞれ仰角方向に所定角度Δθだけ異なる方向の検出フラックスFobs2[φ,θ+Δθ]で除して複数の検出比Robs[φ,θ,Δθ]を計算し、計算した複数の検出比Robs[φ,θ,Δθ]を用いて測定対象の内部の状態(各方位角φにおける測定対象の仰角方向の平均密度ρ[φ]や、各方位角φ,各仰角θの上下限密度ρmax[φ,θ],ρmin[φ,θ],各方位角φ,各仰角θの密度ρ[φ,θ]など)を解析するものとしてもよい。
また、この場合、複数の検出比Robs[φ,θ,Δθ]を計算するのに加えて、第1方向範囲Rdi1と第2方向範囲Rdi2とからなる全体方向範囲Rditoの各方位角φ,各仰角θの測定対象の通過経路長L[φ,θ](φ:φmin〜φmax,θ:θ1min〜θ2max)に基づいて実施例と同様の手法により全体方向範囲Rditoの各方位角φ,各仰角θの密度長起因フラックスN[φ,θ]を計算し、第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの密度長起因フラックスN[φ,θ]をそれぞれ所定角度Δθだけ異なる方向の密度長起因フラックスN[φ,θ+Δθ]で除して複数の解析比Rest[φ,θ,Δθ]を計算し、計算した複数の検出比Robs[φ,θ,Δθ]と複数の解析比Rest[φ,θ,Δθ]とを用いて測定対象の内部の状態(各方位角φにおける測定対象の仰角方向の平均密度ρ[φ]や、各方位角φ,各仰角θの上下限密度ρmax[φ,θ],ρmin[φ,θ],各方位角φ,各仰角θの密度ρ[φ,θ]など)を解析するものとしてもよい。
実施例の内部状態解析システム20では、第1状態の第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの検出データObs1[φ,θ](φ:φ1min〜φ1max,θ:θmin〜θmax)と、ホドスコープ24を第1状態から方位角方向に所定角度Δφだけ回転させた第2状態の第2方向範囲Rdi2の各方位角φ+Δφ,各仰角θの検出データObs2[φ+Δφ,θ](φ+Δφ:φ2min〜φ2max,θ:θmin〜θmax)と、を測定対象の内部の状態の解析に用いるものとしたが、これに代えて、第1状態の方向範囲Rdiの各方位角φ,各仰角θの検出データObs1[P,φ,θ](P:第1状態でのホドスコープ24の位置,φ:φmin〜φmax,θ:θmin〜θmax)と、ホドスコープ24を第1状態から水平方向や鉛直方向に所定距離ΔP(例えば、30mや50m,70mなど)だけ平行移動させた第2状態の方向範囲Rdiの各方位角φ,各仰角θの検出データObs2[P+ΔP,φ,θ](P+ΔP:第2状態でのホドスコープ24の位置,φ:φmin〜φmax,θ:θmin〜θmax)と、を測定対象の内部の状態の解析に用いるものとしてもよい。ここで、平行移動とは、第1状態か第2状態かに拘わらず方位角範囲Raz(φmin〜φmax)や仰角範囲Rel(θmin〜θmax)が同一となる移動をいう。図14は、検出装置22(ホドスコープ24)を方位角方向に平行移動させる場合における検出装置22(ホドスコープ24)や測定対象を天頂から見た様子を模式的に示す模式図である。図中、実線のホドスコープ24や第1状態のホドスコープ24を示し、点線のホドスコープ24は第2状態のホドスコープ24を示す。また、平行移動の距離として30mや50m,70mなどを用いるのは、以下の理由による。例えば、山の径が1km程度で、方位角方向の角度分解能が100mrad(約6°)の検出装置22(ホドスコープ24)を山の中心から500m程度離れた位置に配置する場合を考える。この場合、第1方位角範囲Raz1(φ1min〜φ1max)の中心方位角と中心方位角から100mradだけ異なる方向の方位角とは、500m先で50m程度ズレることになる。したがって、このズレに相当する距離だけホドスコー24を平行移動させることにより、実施例と同様に、測定対象の内部の状態を解析できると考えられる。
この場合、検出データObs1[P,φ,θ]を規格化して検出フラックスFobs1[φ,θ]を計算すると共に検出データObs2[P+ΔP,φ,θ]を規格化して検出フラックスFobs2[P+ΔP,φ,θ]を計算し、各方位角φ,各仰角θの検出フラックスFobs1[P,φ,θ]をそれぞれ同一方向の検出フラックスFobs2[P+ΔP,φ,θ]で除して複数の検出比Robs[P,ΔP,φ,θ]を計算し、計算した複数の検出比Robs[φ,θ]を用いて測定対象の内部の状態(各方位角φ,各仰角θの上下限密度ρmax[φ,θ],ρmin[φ,θ],各方位角φ,各仰角θの密度ρ[φ,θ]など)を解析するものとしてもよい。
また、この場合、複数の検出比Robs[φ,θ]を計算するのに加えて、第1状態でのホドスコープ24の位置Pにおける第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの測定対象の通過経路長L[P,φ,θ](φ:φmin〜φmax,θ:θmin〜θmax)に基づいて実施例と同様の手法により第1状態でのホドスコープ24の位置Pにおける第1方向範囲Rdi1の各方位角φ,各仰角θの密度長起因フラックスN[P,φ,θ]を計算し、第2状態でのホドスコープ24の位置P+ΔPにおける第2方向範囲Rdi2の各方位角φ,各仰角θの測定対象の通過経路長L[P+ΔP,φ,θ](φ:φmin〜φmax,θ:θmin〜θmax)に基づいて実施例と同様の方法により第2状態でのホドスコープ24の位置P+ΔPにおける第2方向範囲Rdi2(=Rdi1)の各方位角φ,各仰角θの密度長起因フラックスN[P+ΔP,φ,θ]を計算し、各方位角φ,各仰角θの密度長起因フラックスN[P,φ,θ]を同一方向の密度長起因フラックスN[P+ΔP,φ,θ]で除して複数の解析比Rest[P,ΔP,φ,θ]を計算し、計算した複数の検出比Robs[φ,θ]と複数の解析比Rest[P,ΔP,φ,θ]とを用いて測定対象の内部の状態(各方位角φ,各仰角θの上下限密度ρmax[φ,θ],ρmin[φ,θ]や各方位角φ,各仰角θの密度ρ[φ,θ]など)を解析するものとしてもよい。
実施例の内部状態解析システム20では、ホドスコープ24を用いるものとしたが、ネオンガスが封入された複数のガラス管を電極(金属板)間に積み重ねたいわゆるホドスコープ・チェンバーを用いるものとしてもよい。このホドスコープチェンバーでは、ミュオンの通過の検出に応じて高電圧パルスが電極間に印加されると、複数のガラス管のうちミュオンが通過したガラス管内に放電が生じる。したがって、この放電が生じたガラス管の並びによってミュオンの進行方向(方位角φ,仰角θ)を検出することができる。
実施例の内部状態解析システム20では、検出装置22は、回転架台23とホドスコープ24とを備えるものとしたが、回転架台23に代えて回転できない基盤を用いるものとしてもよい。
実施例の内部状態解析システム20では、ホドスコープ24は、検出器26,28を回転架台23の上面に固定して構成するものとしたが、検出器26,28間の距離を調節できるように回転架台23に取り付けて構成するものとしてもよい。
実施例の内部状態解析システム20では、ホドスコープ24は、2つの検出器26,28を備えるものとしたが、検出器の数は2つに限られず、3つ以上としてもよい。
実施例の内部状態解析システム20では、ホドスコープ23の検出器26,28のセンサモジュール群26a,26b,28a,28bのそれぞれのセンサモジュール30の数は、10個に限定されるものではなく、8個や12個,14個などしてもよい。また、センサモジュール群26a,26b,28a,28bのそれぞれのセンサモジュール30の数は、同一に限定されるものではなく、互いに異なるものとしてもよい。
実施例の内部状態解析システム20では、高透過性粒子としてのミュオン(ミュー粒子)の性質を用いて測定対象(例えば、山や産業プラント,ダムなど)の内部の状態を解析するものとして説明したが、ミュオンに限られず、所定の高透過性(例えば、1メートルの鉄を透過する透過性)を有する粒子(例えば、中性子やX線など)の性質を用いて測定対象の内部の状態を解析するものであればよい。
実施例では、内部状態解析システム20として説明したが、内部状態解析方法の形態としてもよいし、内部状態解析方法を1以上のコンピュータに実現させるためのプログラム(内部状態解析プログラム60)の形態としてもよいし、このプログラムを記憶する記憶媒体の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、回転架台23とホドスコープ24とを備える検出装置22が「検出装置」に相当し、カウント装置40と解析装置50とが「解析手段」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、内部状態解析システムの製造産業や、内部状態解析方法のステップをコンピュータに実現させるためのプログラムの製造産業などに利用可能である。
20 内部状態解析システム、22 検出装置、23 回転架台、24 ホドスコープ、26,28 検出器、26a,26b,28a,28b センサモジュール群、30 センサモジュール、31 シンチレータ、32 光電子増倍管、40 リードアウトモジュール、42 ディスクリミネータ、44 コインシデンス検出部、46 フラックス演算部、50 解析装置、52 コンピュータ、60 内部状態解析プログラム、62 入力モジュール、64 解析モジュール、66 出力モジュール、70 ディスプレイ、72 キーボード、74 マウス。

Claims (10)

  1. 複数のシンチレータを有し且つ該シンチレータの長手方向とは異なる方向で該シンチレータを通過するミュオンを検出可能な検出器を複数備える検出部を有する検出装置が測定対象の周辺に配置されたときの前記検出部による検出結果を用いて前記測定対象の内部の状態を解析する内部状態解析方法であって、
    前記検出装置が前記測定対象の周辺に配置された第1状態での前記検出部による検出結果に応じた前記ミュオンのフラックスである第1状態検出フラックスと、前記検出部で前記ミュオンの通過を検出可能な該検出部から見た方向の範囲である検出方向範囲が前記第1状態から変更された第2状態での前記検出部による検出結果に応じた前記ミュオンのフラックスである第2状態検出フラックスと、の比を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算する、
    ことを特徴とする内部状態解析方法。
  2. 請求項1記載の内部状態解析方法であって、
    前記第2状態は、前記第1状態から前記検出部が方位角方向に所定角度だけ回転された状態であり、
    前記第1状態における前記検出方向範囲である第1方向範囲の各方向の前記第1状態検出フラックスと、前記第2状態における前記検出方向範囲である第2方向範囲の各方向の前記第2状態検出フラックスと、のうち互いに前記所定角度だけ異なる方向の前記第1状態検出フラックスと前記第2状態検出フラックスとの比である複数の検出比を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算する、
    内部状態解析方法。
  3. 請求項2記載の内部状態解析方法であって、
    前記複数の検出比と、前記第1方向範囲と前記第2方向範囲とからなる全体方向範囲の各方向の前記測定対象の通過経路長に基づく該全体方向範囲の各方向の前記ミュオンのフラックスである経路長起因フラックスのうち、互いに前記所定角度だけ異なる方向の前記経路長起因フラックスの比である複数の解析比と、を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算する、
    内部状態解析方法。
  4. 請求項3記載の内部状態解析方法であって、
    前記全体方向範囲の各仰角について、各方位角の前記測定対象の通過経路長と前記測定対象の方位角方向の平均密度とに基づく各方位角の前記経路長起因フラックスを用いて得られる前記複数の解析比の方位角方向についての総和と、前記複数の検出比の方位角方向についての総和と、の差分が第1許容値以下となるよう前記測定対象の方位角方向の平均密度を演算する、
    内部状態解析方法。
  5. 請求項4記載の内部状態解析方法であって、
    前記第1方向範囲の各方位角,各仰角ついて、前記演算した測定対象の方位角方向の平均密度と前記測定対象の方位角方向の密度勾配と前記測定対象の通過経路長とに基づく前記経路長起因フラックスを用いて得られる前記解析比である勾配起因解析比が前記検出比より大きく該検出比に第2許容値を加えた値より小さくなるよう前記所定角度だけ異なる方位角との前記測定対象の密度比の上限としての上限密度比を演算すると共に前記勾配起因解析比が前記検出比より小さく該検出比から前記第2許容値を減じた値より大きくなるよう前記所定角度だけ異なる方位角との前記測定対象の密度比の下限としての下限密度比を演算し、前記全体方向範囲の各方位角,各仰角について、前記演算した上限密度比を用いて該測定対象の密度分布の上限としての上限密度を演算すると共に前記演算した下限密度比を用いて該測定対象の密度分布の下限としての下限密度を演算する、
    内部状態解析方法。
  6. 請求項4記載の内部状態解析方法であって、
    前記第1方向範囲の各方位角,各仰角ついて、前記演算した測定対象の方位角方向の平均密度と前記測定対象の方位角方向の密度勾配と前記測定対象の通過経路長とに基づく前記経路長起因フラックスを用いて得られる前記解析比である勾配起因解析比と前記検出比との差分が第3許容値以下となるよう前記測定対象の方位角方向の密度勾配を演算し、前記全体方向範囲の各方位角,各仰角について、前記演算した測定対象の方位角方向の密度勾配を用いて前記測定対象の密度を演算する、
    内部状態解析方法。
  7. 請求項1記載の内部状態解析方法であって、
    前記第2状態は、前記第1状態から前記検出部が仰角方向に所定角度だけ回転された状態であり、
    前記第1状態における前記検出方向範囲である第1方向範囲の各方向の前記第1状態検出フラックスと、前記第2状態における前記検出方向範囲である第2方向範囲の各方向の前記第2状態検出フラックスと、のうち互いに前記所定角度だけ異なる方向の前記第1状態検出フラックスと前記第2状態検出フラックスとの比である複数の検出比を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算する、
    内部状態解析方法。
  8. 請求項1記載の内部状態解析方法であって、
    前記第2状態は、前記第1状態から前記検出部が水平方向および/または鉛直方向に所定距離だけ平行移動された状態であり、
    前記第1状態における前記検出方向範囲である第1方向範囲の各方向の前記第1状態検出フラックスと、前記第2状態における前記検出方向範囲である第2方向範囲の各方向の前記第2状態検出フラックスと、のうち同一方向の前記第1状態検出フラックスと前記第2状態検出フラックスとの比である複数の検出比を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算する、
    内部状態解析方法。
  9. コンピュータを、複数のシンチレータを有し且つ該シンチレータの長手方向とは異なる方向で該シンチレータを通過するミュオンを検出可能な検出器を複数備える検出部を有する検出装置が測定対象の周辺に配置されたときの前記検出部による検出結果を用いて前記測定対象の内部の状態を解析する装置として機能させるプログラムであって、
    前記検出装置が前記測定対象の周辺に配置された第1状態での前記検出部による検出結果に応じた前記ミュオンのフラックスである第1状態検出フラックスと、前記検出部で前記ミュオンの通過を検出可能な該検出部から見た方向の範囲である検出方向範囲が前記第1状態から変更された第2状態での前記検出部による検出結果に応じた前記ミュオンのフラックスである第2状態検出フラックスと、の比を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算するモジュール、
    を備えるプログラム。
  10. 複数のシンチレータを有し且つ該シンチレータの長手方向とは異なる方向で該シンチレータを通過するミュオンを検出可能な検出器を複数備える検出部を有する検出装置と、前記検出装置が測定対象の周辺に配置されたときの前記検出部による検出結果を用いて前記測定対象の内部の状態を解析する解析手段と、を備える内部状態解析システムであって、
    前記解析手段は、前記検出装置が前記測定対象の周辺に配置された第1状態での前記検出部による検出結果に応じた前記ミュオンのフラックスである第1状態検出フラックスと、前記検出部で前記ミュオンの通過を検出可能な該検出部から見た方向の範囲である検出方向範囲が前記第1状態から変更された第2状態での前記検出部による検出結果に応じた前記ミュオンのフラックスである第2状態検出フラックスと、の比を用いて前記測定対象の密度関連物理量を演算する手段である、
    ことを特徴とする内部状態解析システム。
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