JP5960560B2 - 延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は、延伸フィルムの製造方法に関する。
光学用途をはじめとする種々の分野において、熱可塑性樹脂フィルムをTDに延伸して得られた延伸フィルムが用いられている。位相差板用途では、TD延伸に加えて熱可塑性樹脂フィルムをMDに収縮させることにより配向角や位相差のバラツキを抑制する技術が提案されており(例えば、特許文献1)、偏光板用途では、TD延伸に加えて熱可塑性樹脂フィルムをMDに収縮させることにより光学特性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献2)。
TD延伸に加えて熱可塑性樹脂フィルムをMDに収縮させる方法の一つとして、同時二軸延伸機を用いて熱可塑性樹脂フィルムを延伸する方法が挙げられる。しかし、得られる延伸フィルムの端辺において、クリップで把持されていない部分が内方に湾曲(以下、ネックインという)して、均一性が低いという問題がある。
特開2006−133720号公報 特開2003−43257号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ネックインの発生を抑制して、均一性に優れた延伸フィルムを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、TD延伸倍率と同時二軸延伸機の搬送方向のクリップ間距離との関係がネックインの発生に大きく影響していることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の延伸フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムを搬送しながら、同時二軸延伸機を用いてTDに延伸しながらMDに収縮させる工程を含み、TD延伸倍率(M(倍))と、TD延伸倍率がM倍のときの同時二軸延伸機の搬送方向のクリップ間距離(L(mm))が下記式(1)の関係を満たす。
M≦55L−0.6 (1≦M、10≦L)・・・・・(1)
好ましい実施形態においては、上記同時二軸延伸機のクリップサイズ(D(mm))が下記式(2)を満たす。
5≦D≦30・・・・・(2)
好ましい実施形態においては、延伸温度が、上記熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)−10℃以上Tg+60℃以下である。
好ましい実施形態においては、上記TD延伸倍率(M(倍))と、MD収縮率(S(%))とが下記式(3)の関係を満たす。
S≧(1−1/√M)×100 (1≦M)・・・・・(3)
好ましい実施形態においては、上記熱可塑性樹脂フィルムが、MDに熱収縮可能な熱可塑性樹脂基材を含む。
好ましい実施形態においては、上記熱可塑性樹脂フィルムを搬送しながら、TDに固定端延伸する工程をさらに含む。
好ましい実施形態においては、総TD延伸倍率が3.0倍を超える。
本発明によれば、TD延伸倍率と同時二軸延伸機の搬送方向のクリップ間距離とが特定の関係を満足することにより、ネックインの発生を抑制して、均一性に優れた延伸フィルムを製造することができる。
同時二軸延伸機を用いた収縮・延伸工程を説明する概略図である。 各実施例および比較例における、クリップ間距離とTD延伸倍率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
本発明の延伸フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムを搬送しながら、同時二軸延伸機を用いてTDに延伸しながらMDに収縮させる工程を含む。熱可塑性樹脂フィルムは、代表的には、長尺状に形成される。
A.熱可塑性樹脂フィルム
熱可塑性樹脂フィルムの形成材料としては、目的に応じて任意の適切な材料を用い得る。例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、シクロオレフィン系樹脂(例えば、ノルボルネン系樹脂)、非晶質のポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール系樹脂である。非晶質のポリエチレンテレフタレート系樹脂の具体例としては、ジカルボン酸としてイソフタル酸をさらに含む共重合体や、グリコールとしてシクロヘキサンジメタノールをさらに含む共重合体が挙げられる。
熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、好ましくは50μm〜250μmである。50μm未満であると、延伸時に破断するおそれがある。また、延伸後に厚みが薄くなり過ぎて、搬送が困難になるおそれがある。250μmを超えると、延伸機に過大な負荷が加わるおそれがある。また、搬送が困難になるおそれがある。
熱可塑性樹脂フィルムの幅は、代表的には200mm〜2000mm、好ましくは200mm〜1000mmである。本発明によれば、このように広範囲のフィルム幅において、ネックインの発生を抑制して、均一性に優れた延伸フィルムを製造することができる。
熱可塑性樹脂フィルムは、目的に応じて、任意の適切な構成が採用され得る。具体的には、熱可塑性樹脂基材から構成される単層体であってもよいし、少なくとも熱可塑性樹脂基材を有する積層体であってもよい。また、熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂基材)は、例えば、他のフィルム(層)との密着性を向上させるため、表面改質処理(例えば、コロナ処理等)が施されていてもよいし、易接着層が形成されていてもよい。
上記熱可塑性樹脂基材は、MDに熱収縮可能であることが好ましい。このような熱可塑性樹脂基材は、後述のTDへの延伸、熱等により、MDに均一に収縮させることができ(特に、積層体)、極めて優れた面内均一性を達成することができる。また、高い収縮率を達成することができる。MDに熱収縮可能な熱可塑性樹脂基材は、例えば、予め、MDに延伸処理を施すことにより作製することができる。
熱可塑性樹脂基材の延伸方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。具体的には、固定端延伸でもよいし、自由端延伸(例えば、周速の異なるロール間に熱可塑性樹脂基材を通して一軸延伸する方法)でもよい。熱可塑性樹脂基材の延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。多段階で行う場合、後述の熱可塑性樹脂基材の延伸倍率は、各段階の延伸倍率の積である。また、本工程における延伸方式は、特に限定されず、空中延伸方式でもよいし、水中延伸方式でもよい。
熱可塑性樹脂基材の延伸温度は、熱可塑性樹脂基材の形成材料、延伸方式等に応じて、任意の適切な値に設定され得る。延伸温度は、代表的には、熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度(Tg)以上であり、好ましくはTg+10℃以上、さらに好ましくはTg+15℃〜Tg+30℃である。延伸方式として水中延伸方式を採用し、熱可塑性樹脂基材の形成材料として非晶質のポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いる場合、延伸温度を熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度(例えば、60℃〜100℃)より低くすることができる。
上記予めMDに延伸する場合の熱可塑性樹脂基材の延伸倍率は、熱可塑性樹脂基材の元長に対して、好ましくは1.5倍以上であり、さらに好ましくは1.75倍以上である。延伸倍率を1.5倍以上とすることにより、より均一に収縮させることができる。一方、延伸倍率は、好ましくは2.5倍以下である。
上記積層体としては、例えば、熱可塑性樹脂基材と塗布層との積層体が挙げられる。以下、具体例として、偏光膜(好ましくは、10μm未満)を作製する場合について説明する。
偏光膜を作製する場合、積層体は、好ましくは、熱可塑性樹脂基材と、この熱可塑性樹脂基材上にポリビニルアルコール(PVA)系樹脂を含む塗布液を塗布し、乾燥することにより形成されたPVA系樹脂層とを有する。
上記熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは170℃以下である。このような熱可塑性樹脂基材を用いることにより、PVA系樹脂の結晶化が急速に進まない温度での積層体の延伸を可能とし、当該結晶化による不具合(例えば、延伸によるPVA系樹脂層の配向を妨げる)を抑制することができる。なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じて求められる値である。
上記PVA系樹脂としては、任意の適切な樹脂を用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。PVA系樹脂のケン化度は、通常85モル%〜100モル%であり、好ましくは95.0モル%〜99.95モル%、さらに好ましくは99.0モル%〜99.93モル%である。ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光膜を得ることができる。ケン化度が高すぎる場合には、塗布液がゲル化しやすく、均一な塗布膜を形成することが困難となるおそれがある。
PVA系樹脂の平均重合度は、目的に応じて適切に選択され得る。平均重合度は、通常1000〜10000であり、好ましくは1200〜4500である。なお、平均重合度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
上記塗布液は、代表的には、上記PVA系樹脂を溶媒に溶解させた溶液である。溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドN−メチルピロリドン、各種グリコール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、好ましくは、水である。溶液のPVA系樹脂濃度は、溶媒100重量部に対して、好ましくは3重量部〜20重量部である。このような樹脂濃度であれば、熱可塑性樹脂基材に密着した均一な塗布膜を形成することができる。
塗布液に、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。これらは、得られるPVA系樹脂層の均一性や染色性、延伸性をより一層向上させる目的で使用し得る。
塗布液の塗布方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレコート法、ナイフコート法(コンマコート法等)等が挙げられる。
上記乾燥温度は、熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度(Tg)以下であることが好ましく、さらに好ましくはTg−20℃以下である。このような温度で乾燥することにより、PVA系樹脂層を形成する前に熱可塑性樹脂基材が変形するのを防止して、得られるPVA系樹脂層の配向性が悪化するのを防止することができる。こうして、熱可塑性樹脂基材がPVA系樹脂層とともに良好に変形し得、後述の積層体の収縮および延伸を良好に行うことができる。その結果、PVA系樹脂層に良好な配向性を付与することができ、優れた光学特性を有する偏光膜を得ることができる。ここで、「配向性」とは、PVA系樹脂層の分子鎖の配向を意味する。
PVA系樹脂層の厚みは、好ましくは3μm〜20μmである。PVA系樹脂層の含有水分率は、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。
上述のように、上記熱可塑性樹脂基材は、MDに熱収縮可能であることが好ましい。このような熱可塑性樹脂基材は、後述のTDへの延伸、熱等により、延伸前の状態に戻ろうとし得、積層体をMDに均一に収縮させることができる。その結果、高い収縮率(例えば、25%を超える)であっても、優れた面内均一性を達成することができる。なお、積層体をMD収縮させてTD延伸することで、実質的に、TDが得られる偏光膜の吸収軸方向となり、TDの一軸性を高めて、優れた光学特性を得ることができる。例えば、偏光膜を作製する場合、後述の(総)TD延伸倍率は、好ましくは4.0倍以上である。
B.収縮・延伸工程
上記熱可塑性樹脂フィルムを搬送しながら、同時二軸延伸機を用いてTDに延伸しながらMDに収縮させる。MD(搬送方向)は、好ましくは、長尺状の熱可塑性樹脂フィルムの長尺方向であり、熱可塑性樹脂フィルムの長尺方向に対して反時計回りに−5°〜+5°の方向を包含し得る。TD(搬送方向に直交する方向)は、好ましくは、長尺状の熱可塑性樹脂フィルムの幅手方向であり、熱可塑性樹脂フィルムの長尺方向に対して反時計回りに85°〜95°の方向を包含し得る。なお、本明細書において、「直交」とは、実質的に直交する場合も包含する。ここで、「実質的に直交」とは、90°±5.0°である場合を包含し、好ましくは90°±3.0°、さらに好ましくは90°±1.0°である。
図1は、収縮・延伸工程を説明する概略図である。同時二軸延伸機を用いて、熱可塑性樹脂フィルム10をTDに延伸しながらMDに収縮させる。具体的には、テンター入口の左右のクリップ21,21で把持された熱可塑性樹脂フィルム10を、所定の速度で搬送しながらTD延伸する。MD収縮は、好ましくは、クリップの搬送方向の移動速度を徐々に減速させ、クリップ間距離を縮めることにより制御する。なお、図1において、破線はクリップ21のレールを示す。
上記収縮・延伸工程において、TD延伸倍率(M(倍))と、TD延伸倍率がM倍のときの搬送方向のクリップ間距離(L(mm))とは、下記式(1)の関係を満たす。このような関係を満たすことにより、ネックインの発生を抑制して、均一性に優れた延伸フィルムを製造することができる。
M≦55L−0.6 (1≦M、10≦L)・・・・・(1)
ここで、本明細書において「クリップ間距離(L)」とは、図1に示すように、隣り合うクリップの端部から端部の距離をいう。
上記収縮・延伸工程における最終TD延伸倍率は、目的に応じて、任意の適切な値に設定され得る。代表的には、2.0倍以上であり、好ましくは2.0倍〜5.0倍である。
上記搬送方向のクリップ間距離(L)は、任意の適切な値に設定され得る。例えば、MD収縮を大きくしたい場合、TD延伸前(M=1)の搬送方向のクリップ間距離(L)は大きく設定される。一方で、搬送方向のクリップ間距離(L)を小さくするほど、均一性を保持しながら高TD延伸倍率を達成することができる。具体的には、搬送方向のクリップ間距離(L)は10mm以上であり、好ましくは15mm以上である。一方で、搬送方向のクリップ間距離(L)は、好ましくは400mm以下であり、さらに好ましくは300mm以下である。
同時二軸延伸機のクリップサイズ(D(mm))は、好ましくは5≦D≦30の関係を満たし、さらに好ましくは15<D≦25の関係を満たす。クリップサイズが5mm未満であると、熱可塑性樹脂フィルムを把持するための十分な強度が得られないおそれがある。また、クリップ間距離が極端に小さくなり装置コストが増えるおそれがある。一方、クリップサイズが30mmを超えると、クリップによる把持部が大きく、MD収縮の均一性が低下するおそれがある。本明細書において、「クリップサイズ(D)」とは、図1に示すように、クリップの搬送方向の長さをいう。
クリップの形状としては、上記クリップサイズ(D)を満足し得る限り、任意の適切な形状を選択し得る。クリップの形状としては、例えば、丸型、楕円型、四角型が挙げられる。好ましくは、丸型、楕円型が用いられる。
TD延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。多段階で行う場合、上記最終TD延伸倍率は、各段階の延伸倍率の積である。また、収縮・延伸工程における各段階の延伸が上記式(1)を満たすように行われる。延伸方式は、特に限定されず、空中延伸方式でもよいし、水中延伸方式でもよい。
延伸温度は、形成材料等に応じて、任意の適切な値に設定され得る。延伸温度は、代表的には、熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂基材)のガラス転移温度(Tg)以上であり、好ましくはTg+10℃以上、さらに好ましくはTg+15℃以上である。熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂基材)が非結晶化高分子材料で形成される場合、延伸温度は、Tg−10℃以上Tg+60℃以下であることが好ましく、さらに好ましくはTg以上Tg+50℃以下である。Tg−10℃未満であると、延伸時に熱可塑性樹脂フィルムが破断(延伸切れ)するおそれがあり、Tg+60℃を超えると、延伸時に破断(融解切れ)するおそれがある。
偏光膜を作製する場合、延伸温度は、好ましくは170℃以下である。このような温度で延伸することで、PVA系樹脂の結晶化が急速に進むのを抑制して、当該結晶化による不具合(例えば、延伸によるPVA系樹脂層の配向を妨げる)を抑制することができる。
延伸方式として水中延伸方式を採用して偏光膜を作製する場合、延伸温度は、好ましくは85℃以下、さらに好ましくは30℃〜65℃である。85℃を超えると、PVA系樹脂に吸着させたヨウ素が溶出する、PVA系樹脂が溶出する等の不具合が発生するおそれがあり、得られる偏光膜の光学特性が低下するおそれがある。この場合、上記温度でも延伸可能な熱可塑性樹脂基材を選択する。好ましくは、その形成材料として、非晶質のポリエチレンテレフタレート系樹脂、オレフィン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテン)等を用いる。
延伸方式として水中延伸方式を採用して偏光膜を作製する場合、ホウ酸水溶液中で延伸することが好ましい。ホウ酸水溶液を用いることで、PVA系樹脂層に、延伸時にかかる張力に耐える剛性と、水に溶解しない耐水性とを付与することができる。具体的には、ホウ酸は水溶液中でテトラヒドロキシホウ酸アニオンを生成してPVA系樹脂と水素結合により架橋し得、剛性と耐水性を付与し得る。その結果、例えば、より高い偏光膜コントラスト比の実現を図ることができる。ホウ酸水溶液は、溶媒である水にホウ酸および/またはホウ酸塩を溶解させることにより得られる。ホウ酸濃度は、水100重量部に対して、通常、1重量部〜10重量部である。積層体の延伸浴への浸漬時間は、好ましくは15秒〜5分程度である。
熱可塑性樹脂フィルムのMD収縮率は、テンター入口の搬送方向のクリップ間隔Lとテンター出口の搬送方向のクリップ間隔L(クリップの搬送方向の移動速度)とを調整することにより制御することができる。具体的には、クリップのテンター出口の速度を、テンター入口の速度×収縮率とすることで、所望の収縮率を達成し得る。なお、収縮率を算出する際のクリップ間隔は、図1に示すように、隣り合うクリップの中心から中心の距離をいう。
上記TD延伸倍率(M(倍))と、MD収縮率(S(%))とは、好ましくは、下記式(3)の関係を満たす。このような関係は、例えば、熱可塑性樹脂フィルムがMDに熱収縮可能な熱可塑性樹脂基材を含むことにより、良好に満足し得る。
S≧(1−1/√M)×100 (1≦M)・・・・・(3)
MD収縮率は、目的に応じて、任意の適切な値に設定され得る。MD収縮率は、好ましくは25%を超え、さらに好ましくは30%を超え50%未満である。
熱可塑性樹脂フィルムは、一段階で収縮させてもよいし、多段階で収縮させてもよい。なお、延伸とは別に熱可塑性樹脂フィルムを収縮させる方法としては、好ましくは、熱可塑性樹脂フィルムを加熱する(熱収縮させる)方法が挙げられる。当該加熱温度は、好ましくは、熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂基材)のガラス転移温度(Tg)以上である。
C.その他の工程
本発明の延伸フィルムの製造方法は、その他の工程を含み得る。その他の工程としては、例えば、上記延伸とは別の延伸工程が挙げられる。当該別の延伸工程としては、例えば、上記熱可塑性樹脂フィルムを搬送しながら、TDに固定端延伸する工程が挙げられる。好ましくは、上記収縮・延伸工程後に、TDに固定端延伸する。このように、固定端TD延伸と組み合わせることにより、均一性を保持しながら、より高いTD延伸倍率を達成することができる。なお、収縮・延伸工程において熱可塑性樹脂フィルムにネックインが発生した場合、ネックインした端部を取り除いてから固定端TD延伸するのが好ましい。
テンター延伸機(固定端延伸機)の搬送方向のクリップ間距離は、好ましくは10mm未満である。テンター延伸機のクリップサイズは、好ましくは20mm以上80mm以下である。
本工程におけるTD延伸倍率は、例えば、上記収縮・延伸工程におけるTD延伸倍率に応じて、任意の適切な値に設定され得る。このようにして、所望の総TD延伸倍率を達成することができる。本工程におけるTD延伸は、総TD延伸倍率が3倍を超えるように行われるのが好ましく、さらに好ましくは総TD延伸倍率が4.5倍以上となるように行われる。なお、「総TD延伸倍率」は、固定端TD延伸を行わない場合、上記収縮・延伸工程における最終TD延伸倍率に対応する。
本工程におけるTD延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。延伸方式、延伸温度については、上記B項の記載を援用する。
偏光膜を作製する場合、その他の工程としては、例えば、不溶化工程、染色工程、架橋工程、洗浄工程、乾燥(水分率の調節)工程等が挙げられる。これらの工程は、任意の適切なタイミングで行い得る。
上記染色工程は、代表的には、PVA系樹脂層を二色性物質で染色する工程である。好ましくは、PVA系樹脂層に二色性物質を吸着させることにより行う。当該吸着方法としては、例えば、二色性物質を含む染色液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬させる方法、PVA系樹脂層に染色液を塗布する方法、PVA系樹脂層に染色液を噴霧する方法等が挙げられる。好ましくは、二色性物質を含む染色液に積層体を浸漬させる方法である。二色性物質が良好に吸着し得るからである。なお、積層体両面を染色液に浸漬させてもよいし、片面のみ浸漬させてもよい。
上記二色性物質としては、例えば、ヨウ素、有機染料が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。二色性物質は、好ましくは、ヨウ素である。二色性物質としてヨウ素を用いる場合、上記染色液は、好ましくは、ヨウ素水溶液である。ヨウ素の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜1.0重量部である。ヨウ素の水に対する溶解性を高めるため、ヨウ素水溶液にヨウ化物塩を配合することが好ましい。ヨウ化物塩としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムである。ヨウ化物塩の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.3重量部〜15重量部である。
染色液の染色時の液温は、好ましくは20℃〜40℃である。染色液にPVA系樹脂層を浸漬させる場合、浸漬時間は、好ましくは5秒〜300秒である。このような条件であれば、PVA系樹脂層に十分に二色性物質を吸着させることができる。
上記不溶化工程および架橋工程は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。上記洗浄工程は、代表的には、ヨウ化カリウム水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。上記乾燥工程における乾燥温度は、好ましくは30℃〜100℃である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
熱可塑性樹脂フィルムとして、長尺状で未延伸のシクロオレフィン系樹脂フィルム(厚み:150μm、フィルム幅:400mm、Tg:123℃、JSR社製、商品名「ARTON5」)を用いた。この熱可塑性樹脂フィルムを、図1に示すように、同時二軸延伸機を用いて、MDに35%収縮させると同時に、TDに5.0倍に140℃で空中延伸し、延伸フィルムを得た。具体的には、テンター入口の搬送方向のクリップ間距離L1を70mm、延伸後の搬送方向のクリップ間距離L2を37mm、クリップサイズDを25mmとした(収縮率35(%)={1−(37(mm)+25(mm))/(70(mm)+25(mm)}×100)。
[実施例2]
上記熱可塑性樹脂フィルムを、図1に示すように、同時二軸延伸機を用いて、MDに35%収縮させると同時に、TDに4.0倍に140℃で空中延伸した。同時二軸延伸機のテンター入口の搬送方向のクリップ間距離L1を100mm、延伸後の搬送方向のクリップ間距離L2を56mm、クリップサイズDを25mmとした。
その後、ネックインした端部を切り除いた熱可塑性樹脂フィルムを、固定端延伸機を用いて、総TD延伸倍率が5.0倍となるように延伸し、延伸フィルムを得た。固定端延伸機のクリップ間距離Lを5mm、クリップサイズDを50mmとした。
[実施例3]
同時二軸延伸機によるTD延伸倍率を3.5倍とし、テンター入口の搬送方向のクリップ間距離L1を150mm、延伸後の搬送方向のクリップ間距離L2を89mmとしたこと以外は、実施例2と同様にして延伸フィルムを作製した。
[実施例4]
同時二軸延伸機によるTD延伸倍率を2.5倍とし、MD収縮率を30%(テンター入口の搬送方向のクリップ間距離L1:200mm、延伸後の搬送方向のクリップ間距離L2:133mm)としたこと以外は、実施例2と同様にして延伸フィルムを作製した。
(比較例1)
同時二軸延伸機による延伸の際、MD収縮率を5%(延伸後の搬送方向のクリップ間距離L2:65mm)としたこと以外は、実施例1と同様にして延伸フィルムを作製した。
(比較例2)
同時二軸延伸機による延伸の際、MD収縮率を5%(延伸後の搬送方向のクリップ間距離L2:94mm)としたこと以外は、実施例2と同様にして延伸フィルムを作製した。
(比較例3)
同時二軸延伸機による延伸の際、MD収縮率を20%(延伸後の搬送方向のクリップ間距離L2:115mm)としたこと以外は、実施例3と同様にして延伸フィルムを作製した。
(比較例4)
同時二軸延伸機による延伸の際、MD収縮率を5%(延伸後の搬送方向のクリップ間距離L2:189mm)としたこと以外は、実施例4と同様にして延伸フィルムを作製した。
各実施例および比較例における、クリップ間距離(D)とTD延伸倍率(M)との関係を図2に示す。
<評価>
1.ネックイン度合
延伸処理後のフィルム端辺の内方への湾曲度合い(TDネックイン長さ)を測定し、フィルム最大幅に対する割合(%)を下記式により算出した。
ネックイン度合(%)=(TDネックイン長さ)/(フィルム最大幅)
2.フィルム厚み均一領域
得られた延伸フィルムにおいて、厚みが±2μmの範囲を厚み均一領域とし、厚み均一領域が占める割合を下記式により算出した。
フィルム厚み均一領域(%)=(厚みが均一な幅)/{(熱可塑性樹脂フィルムの幅)×(総TD延伸倍率)}×100
(評価基準)
◎:80%以上
○:70%以上、80%未満
×:70%未満
各実施例においては、ネックインが抑制され、均一性に優れた延伸フィルムが得られた。これに対し、各比較例においては、ネックインが顕著であり、得られた延伸フィルムの均一性も低かった。
本発明により得られる延伸フィルムは、例えば、光学フィルムとして好適に使用される。
10 熱可塑性樹脂フィルム

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムを搬送しながら、同時二軸延伸機を用いてTDに延伸しながらMDに収縮させる工程を含み、
    TD延伸倍率(M(倍))と、TD延伸倍率がM倍のときの同時二軸延伸機の搬送方向のクリップ間距離(L(mm))が下記式(1)の関係を満たす、延伸フィルムの製造方法:
    M≦55L−0.6 (1≦M、10≦L)・・・・・(1)。
  2. 前記同時二軸延伸機のクリップサイズ(D(mm))が下記式(2)を満たす、請求項1に記載の延伸フィルムの製造方法:
    5≦D≦30・・・・・(2)。
  3. 延伸温度が、前記熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)−10℃以上Tg+60℃以下である、請求項1または2に記載の延伸フィルムの製造方法。
  4. 前記TD延伸倍率(M(倍))と、MD収縮率(S(%))とが下記式(3)の関係を満たす、請求項1から3のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法:
    S≧(1−1/√M)×100 (1≦M)・・・・・(3)。
  5. 前記熱可塑性樹脂フィルムが、MDに熱収縮可能な熱可塑性樹脂基材を含む、請求項1から4のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂フィルムを搬送しながら、TDに固定端延伸する工程をさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
  7. 総TD延伸倍率が3.0倍を超える、請求項1から6のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
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