以下、本発明を実施するための形態の一例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、遊技場に設置される遊技機の一例であるスロットマシン1、およびスロットマシン1に並設して使用される遊技用装置の一例であるメダル貸出機50の全体正面図である。図2は、メダル貸出機50の内部構成を右側面からみた断面図である。図3は、メダル貸出機50の内部構成を上面からみた断面図である。
まず、図1および図2を参照して、メダル貸出機50の構成について詳細に説明する。メダル貸出機50は、前面を形成する第1〜第4前面枠50a〜50dと、各種装置が設けられた本体部50eとから構成されている。
第1〜第4前面枠50a〜50dのうち、まず、第3前面枠50cについて説明する。第3前面枠50cには、価値媒体としての紙幣を挿入するための紙幣挿入口60aと、価値媒体としてのICカードを挿入するためのICカード挿入口61aとが設けられている。
紙幣挿入口60aに対する本体部50e内部には、紙幣挿入口60aから挿入された紙幣を受付けて挿入された紙幣の真贋や紙幣種別を判別する紙幣識別機60が設けられている。紙幣識別機60は、真の紙幣と判別したことを条件として、該紙幣から特定される額の範囲内の所定額(たとえば、1000円)に相当する枚数(たとえば、50枚)分のメダルを貸出可能にするための信号を出力する。すなわち、紙幣識別機60は、受付けた紙幣から特定される額の範囲内でメダルを貸出すことにより遊技を可能にするための遊技可能化制御を行なう。紙幣識別機60は、受付けた紙幣を複数枚重ねて貯留する紙幣貯留箱を含む。
ICカードには、ビジターカードと、会員カードとが含まれる。ビジターカードは、一般カードともいい、会員登録をしていない一般の遊技者に対して発行されるプリペイド機能を備えるICカードである。会員カードは、該遊技場に会員登録した会員遊技者に対して発行されるICカードである。
ICカード挿入口61aに対する本体部50e内部には、ICカード挿入口61aから挿入されたICカードを受付けるカードリーダライタ(以下、カードR/Wという)61が設けられている。カードR/W61は、受付けたICカードの記録情報の読み取り並びに書き込みを実施し、該ICカードに記憶された情報から特定される遊技者所有の遊技価値(たとえばカード残高、持メダル数、あるいは貯メダル数等)の範囲内でメダルを貸出あるいは払出可能にするための信号を出力する。すなわち、カードR/W61は、受付けたICカードから特定される遊技者所有の遊技価値の範囲内でメダルを貸出・払出可能にし、操作に応じてメダルを貸出・払出することにより遊技を可能にするための遊技可能化制御を行なう。なお、以下では、“貸出”と“払出”とをまとめて“供給”ともいう。
また、第3前面枠50cの下端は、回動自在に軸支されており、第3前面枠50cの裏面に設けられた施錠装置の鍵穴52に所定のキーを挿入し、時計回り方向に回動操作することにより施錠が解除されて第3前面枠50cを開放することができるようになっている。遊技場店員は、第3前面枠50cを開放し、紙幣挿入口60aから挿入された紙幣の回収や、各種メンテナンス等を行なう。
第1前面枠50aには、状態表示灯71が設けられている。状態表示灯71は、複数色に点灯可能であり、点灯色および点灯パターンによってメダル貸出機50に関する状態が報知される。たとえば、正常動作時には青色で点灯し、エラー発生時には赤色で点灯する。また、紙幣挿入中には緑色で点灯させ、メダル貸出あるいは払出(メダル供給)中には第1の態様(たとえば間隔が長い)で緑色点滅させる。また、ビジターカード挿入中には黄色で点灯させ、メダル供給中には第1の態様(たとえば間隔が長い)で黄色点滅させる。また、会員カード挿入中には紫色で点灯させ、メダル供給中には第1の態様(たとえば間隔が長い)で紫色点滅させる。また、後述する計数が行なわれているときには、点灯していた点灯色により、第2の態様(たとえば間隔が短い)で点滅させる。
また、第1前面枠50aの下端は、回動自在に軸支されており、第1前面枠50aの裏面に設けられた施錠装置の鍵穴51に所定のキーを挿入し、時計回り方向に回動操作することにより施錠が解除されて第1前面枠50aを開放することができるようになっている。遊技場店員は、第1前面枠50aを開放し、メダルの供給に用いるメダルを補充する。
第2前面枠50bには、上方から、表示器70、誘導ノズル90、スピーカ72が設けられている。なお、第2前面枠50bには、スピーカ72に対応して報音用の穴が形成されている。
表示器70は、各種情報や操作ボタンを表示可能であるとともに、表面が透明タッチパネルで構成されており、表示器70の表示部に表示された各種表示項目を指でタッチすることにより各種操作が入力可能となるように構成されている。
各種情報には、挿入されている紙幣の残額、ICカードから特定される持メダル数、貯メダル数、エラーを報知するエラー情報などが含まれる。また、操作ボタンには、貸出ボタン、持メダル払出ボタン、貯メダル払出ボタン、計数ボタン、貯メダルボタン、返却ボタンが含まれる。
貸出ボタンは、挿入されている紙幣の額の範囲で所定枚数(50枚)のメダルの貸出を行なわせるためのボタンである。
持メダル払出ボタンとは、挿入されているICカードに持メダルが記録されているときに、その持メダル数の範囲でメダルの払出を行なわせるためのボタンである。たとえば、持メダル払出ボタンが押圧操作されている間、持メダル数の範囲で、メダルの払出が行なわれる。なお、持メダル払出ボタンを操作すると、持メダル数の範囲でメダルの払出枚数を入力するための画面に切り替わり、入力された枚数分メダルが払い出されるようにしてもよい。
貯メダル払出ボタンとは、挿入されているICカードの識別情報に対応付けて、ホール管理用コンピュータ100に貯メダルが記録されているときに、その貯メダル数の範囲でメダルの払出を行なわせるためのボタンである。たとえば、貯メダル払出ボタンが押圧操作されている間、貯メダル数の範囲で、メダルの払出が行なわれる。なお、貯メダル払出ボタンを操作すると、貯メダル数の範囲でメダルの払出枚数を入力するための画面に切り替わり、入力された枚数分メダルが払い出されるようにしてもよい。なお、挿入されているICカードに持メダルが記録されているときには、貯メダル払出ボタンが操作されても、貯メダルよりも持メダルが優先的に引き落とされる。
ここで、ホール管理用コンピュータ100とは、遊技場に設置されているスロットマシン1などの遊技機と、当該遊技機に対応して設けられているメダル貸出機50などの遊技用装置と接続され、遊技機および遊技用装置からの情報に基づき各種集計を行なうとともに、貯メダル数など会員毎の情報などを管理するコンピュータをいう。メダル貸出機50は、ホール管理用コンピュータ100と双方向通信することにより、当該メダル貸出機50に対応するスロットマシン1の遊技情報を特定するとともに、貯メダル数などを特定するための情報を出力する。
計数ボタンとは、後述するメダル貸出機50にメダルの計数を行なわせるためのボタンである。計数が行なわれることにより、遊技者の手持ちメダルが持メダルに変換される。
貯メダルボタンとは、挿入されているICカードに記録されている持メダル数の範囲で、メダルを遊技場に預け入れるためのボタンである。貯メダルボタンが操作されると、挿入されているICカードに記録されている持メダルが引き落とされる一方、当該ICカードの識別情報に対応付けてホール管理用コンピュータ100等に記録されている貯メダルに加算される。たとえば、貯メダルボタンが押圧操作されている間、持メダル数の範囲で、持メダルを貯メダルに変換するための処理が行なわれる。なお、貯メダルボタンを操作すると、持メダル数の範囲で持メダルを貯メダルに変換する枚数を入力するための画面に切り替わり、入力された枚数分の持メダルが貯メダルに変換されるようにしてもよい。
返却ボタンとは、挿入している紙幣の残額やICカードを排出させるためのボタンである。なお、紙幣の残額については、残額分の紙幣を排出するようにしてもよく、また、残額を特定するための情報をストックされているカード(会員カード、ビジターカード)に直接書込んで排出するようにしてもよい。
ここで、持メダルと貯メダルとについて、各々を対比して説明する。まず、「持メダル」とは、遊技者が遊技機により遊技を行なった結果遊技者の所有となった手持ちメダルのうち計数してカードに記録したものであって、未だに遊技場に預け入れられていないメダルをいう。また、「貯メダル」とは、遊技場に預け入れられたメダルであり、一般的に当該遊技場に設置された管理コンピュータにより管理されるメダルをいう。一般的には、遊技場において当日遊技者が獲得したメダルを「持メダル」と言い、前日以前に遊技者が獲得したメダルであって遊技場に預け入れられたメダルを「貯メダル」と言う。なお、持メダルを遊技場に設定された持メダル管理用の管理装置で管理してもよい。要するに、「貯メダル」と「持メダル」との違いは、遊技場に預け入れるための貯メダル操作が行なわれて遊技場に預け入れられたメダルであるか、あるいは、未だに遊技場に預け入れられていない段階のメダルであるかの点である。
本実施形態では、貯メダルデータは会員カードに直接記録させずホール管理用コンピュータ100等の遊技場に設置されたホールサーバに識別番号である会員カード番号と対応付けて記憶させ、会員カード番号に基づいて対応する貯メダルを検索できるように構成されている。一方、持メダルは、カードに直接記録している。しかし、それに限定されるものではなく、両者ともにホールサーバにカード番号と対応付けて記憶させてもよい。ビジターカードの場合も、持メダルは、ビジターカードに直接記録している。しかし、それに限定されるものではなく、持メダルをホールサーバにカード番号と対応させて記憶させてもよい。
誘導ノズル90は、変位部および角度変更部を有し、これら変位部および角度変更部を隣接するスロットマシンの機種に合わせて調整することにより、先端をスロットマシン1のメダル投入口34に対向させた状態に保持することができるように構成されている。これにより、メダル供給時に、スロットマシン1のメダル投入口34までメダルを誘導し投入させることができる。紙幣やICカードが受付けられてメダル供給可能となったとき、あるいはメダル供給可能なメダルが存在する場合に、貸出ボタン、持メダル払出ボタン、あるいは貯メダル払出ボタンのいずれかが操作されたときに、メダルが誘導ノズル90へ供給されて、スロットマシン1のメダル投入口34に投入される。誘導ノズル90から排出されるメダルは、ノズルセンサ68により検出され、スロットマシン1のメダル投入口34に投入される。なお、メダル貸出機50は、誘導ノズル90を備えるものに限らず、メダル供給に応じて、メダルを払い出す払出手段を備えるものであればよい。
スピーカ72は、各種情報を効果音や音声により報知するものである。各種情報としては、エラー発生時や、計数し忘れ時などが含まれる。情報の種類に応じて予め定められた効果音や音声がスピーカ72から発せられる。
第4前面枠50dには、離席センサ83、計数用ボタン85、および、メダルを本体部50e内部に受入れるためのメダル受入口54を形成するための投入トレー55が設けられている。
離席センサ83は、赤外線センサにより構成されている。メダル貸出機50に対応するスロットマシン1の前面には、当該スロットマシン1において遊技者が遊技を行なう際に着席するための座席が設けられている。離席センサ83は、当該座席の上方に位置する所定範囲の温度分布を検知する。すなわち、赤外線センサにより、座席の情報に位置する所定範囲に人が存在するか否かを検知する。
後述する制御用マイクロコンピュータ3は、離席センサ83から受信する検知信号に基づいて、遊技者が座席に着席している状態から離席した状態に変化したことを特定する。本実施の形態では、赤外線センサを採用した例について説明するが、座席に遊技者が着席している状態から離席した状態に変化したことを特定可能にするものであればこれに限らず、たとえば、カメラを採用して、カメラで取得される画像を制御用マイクロコンピュータ3が解析することにより遊技者が座席に着席している状態から離席した状態に変化したことを特定するようにしてもよい。
計数用ボタン85は、後述する計数を行なわせるためのボタンである。操作されたときの機能は、表示器70に表示される計数ボタンが押圧操作されたときと同じであるが、計数用ボタン85は物理的な検出スイッチにより構成されている点で表示器70に表示される仮想の計数ボタンと異なる。また、計数用ボタン85は、投入トレー55と同じ第4前面枠50dに設けられており、かつ投入トレー55の直上方に設けられているため、投入トレー55にメダルを投入した後計数操作するのを忘れてしまうことを極力低減することができる。
投入トレー55は、メダル受入口54を形成し、当該メダル受入口54を介して遊技者が所有しているメダル(メダル貸出機50あるいはスロットマシン1から払い出されたメダル)を、メダル貸出機50の内部に投入できるように構成されている。
投入トレー55の上端は、回動自在に軸支されており、下端を手前側に引くことにより投入トレー55を開放することができるようになっている。遊技場店員は、投入トレー55を開放し、各種メンテナンス等を行なう。投入トレー55に対する本体部50e内部には、当該投入トレー55が開放されている状態を検出するための開放検知センサ63が設けられている。
次に、メダル貸出機50の本体部50e内部の構成について説明する。メダル貸出機50の本体部50e内部には、前述した表示器70、紙幣識別機60、カードR/W61に加え、貯留用トレー55a、計数したメダルをメダル貸出機50の外部に排出するための排出部材94、メダル供給に用いるメダルを貯留するための供給メダル貯留タンク57a、および各種ボタンからの操作信号に基づき各種装置を制御するための制御基板2(図4参照)を収納した制御基板ボックス73が設けられている。
供給メダル貯留タンク57aは、誘導ノズル90より上方に設けられており、回転部材を回転させて貯留したメダルを1枚ずつ排出口57bから払出す供給用ホッパモータ57と、排出口57bから排出されるメダルを検出する供給センサ64とを備えている。このように、供給用ホッパモータ57が回転部材を回転駆動させることにより、供給メダル貯留タンク57aに貯留されたメダルが1枚ずつ誘導ノズル90へ供給される。
遊技場店員は、第1前面枠50aを開放することで、メダル供給に用いる多量のメダルが貯留された供給メダル貯留タンク57aに、メダルを補給することができる。なお、供給メダル貯留タンク57aへのメダル補給は、遊技場の各島に設置されている自動メダル補給装置(図示せず)によって補給されるものであってもよい。
貯留用トレー55aは、メダル貸出機50の奥に向かって下方向に傾斜し所定量のメダルを貯留可能であって、メダル受入口54から受入れられたメダルの自重によって計数用ホッパモータ58により計数可能となる所定位置まで流下させるように形成されている。
メダルを計数するための装置は、回転部材を回転させて貯留用トレー55a上に貯留されているメダルを1枚ずつ取り込んで貯留用トレー55aから排出部材94側に排出するための計数用ホッパモータ58と、排出部材94側に排出されるメダルを検出する計数センサ65とを含む。なお、排出部材94により排出されたメダルは、遊技場の各島に設置されているメダル回収装置などによって回収される。
図3(a)は、計数用ホッパモータ58付近を上面からみた断面図である。図3(a)を参照して、貯留用トレー55aを流下してきたメダルは、計数用ホッパモータ58により回転部材を回転駆動されることにより、1枚ずつ取り込まれて、貯留用トレー55a側とは反対側に送り出される。送り出されたメダルは、計数センサ65により検出され、排出部材94によってメダル貸出機50の外部に排出される。
図3(b)は、供給用ホッパモータ57付近を上面からみた断面図である。図3(b)を参照して、供給用ホッパモータ57により回転部材を回転駆動させることにより、供給メダル貯留タンク57aに貯留されたメダルが1枚ずつ払出される。払出されたメダルは、供給部材79を介して、誘導ノズル90へ供給され、誘導ノズル90の先端から排出される。
制御基板ボックス73は、後述するメダルの供給制御や計数制御を行なう制御基板2が収容されている。ここで、図4を参照して、制御基板2と当該制御基板2に接続されている各種電気部品等との関係を説明する。図4は、制御基板2と各種電気部品等との関係を示すブロック図である。
制御基板2には、プログラムに従ってメダル貸出機50を制御する制御用マイクロコンピュータ3が搭載されている。制御用マイクロコンピュータ3は、プログラムに従って接続された各種電気部品を制御するCPU4、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM5、メダル供給制御用のプログラム等を記憶するROM6、および各種電気部品と信号を送受信するI/Oポート部7を含む。RAM5に記憶されているデータは、バックアップ電源(図示略)によりバックアップされている。このため、制御用マイクロコンピュータ3は、停電の回復時に停電発生前に記憶されていたデータに基づく制御を再開できる。
制御用マイクロコンピュータ3には、紙幣識別機60、カードR/W61、表示器70、およびホール管理用コンピュータ100が接続されており、双方向通信が可能となっている。制御用マイクロコンピュータ3は、紙幣識別機60、カードR/W61からの信号やホール管理用コンピュータ100からの信号に基づき、特定される投入金額、持メダル数、および貯メダル数をRAM5に記憶するとともに、特定された投入金額、持メダル数、および貯メダル数と、対応する操作ボタンを表示するための信号を表示器70に出力して表示させるための処理を行なう。また、制御用マイクロコンピュータ3は、表示器70のタッチパネルからの操作信号などに基づき対応する処理を行なう。
また、制御用マイクロコンピュータ3には、状態表示灯71やスピーカ72が接続されている。制御用マイクロコンピュータ3は、メダル貸出機50の状態に応じて状態表示灯71やスピーカ72を制御するための処理を行なう。
また、制御用マイクロコンピュータ3には、離席センサ83からの信号が入力される。制御用マイクロコンピュータ3は、離席センサ83からの信号に基づき、遊技者が座席に着席している状態から離席した状態に変化したか否かを判定するための処理を行なう。
また、制御用マイクロコンピュータ3には、計数用ボタン85やリセットボタン86が接続されている。制御用マイクロコンピュータ3は、操作に対応する処理を行なう。なお、リセットボタン86は、後述するエラー状態などを解除するための操作手段であって、本体部50e内部の遊技場店員が操作可能な位置に設けられている。
また、制御用マイクロコンピュータ3には、供給センサ64、計数センサ65、開放検知センサ63、ノズルセンサ68からの信号が入力される。制御用マイクロコンピュータ3は、供給センサ64からの信号に基づき、供給メダル貯留タンク57aからメダルが供給されたことを特定し、計数センサ65からの信号に基づき貯留用トレー55a上のメダルが取り込まれて排出されたことを特定し、開放検知センサ63からの信号に基づき投入トレー55が開放されていることを特定し、ノズルセンサ68からの信号に基づき誘導ノズル90からスロットマシン1のメダル投入口34へメダルが排出されたことを特定する。
また、制御用マイクロコンピュータ3は、供給用ホッパモータ57、および計数用ホッパモータ58の駆動制御を行なう。
次に、図1を参照して、スロットマシン1の構成について説明する。スロットマシン1は、前面が開口する筐体2aと、この筺体2aの側端に回動自在に枢支された前面扉2bとから構成されており、前面扉2bの裏面に設けられた施錠装置の鍵穴3aに挿入した所定のキーを時計回り方向に回動操作することにより施錠が解除されて前面扉2bを開放することができるようになっている。
前面扉2bの前面上部には、上部飾り枠4が設けられており、上部には遊技効果ランプ部41、および液晶表示部15が設けられており、下部には遊技パネル6やクレジット表示部31が設けられている。上部飾り枠4の下部は、遊技パネル6から前方に突出するように形成されており、この突出部には遊技媒体であるメダルを投入可能なメダル投入口34や各種操作ボタン36a、36b、37、40L、40C、40R、およびスタートレバー38等が設けられている。
上部飾り枠4の下方には、下部飾り枠7が設けられており、この枠内にはスロットマシン1の機種名称等が描かれたタイトルパネルが設けられている。さらに下部飾り枠7の下方には、遊技媒体の一例となるメダルが払出されるメダル払出穴9が設けられているとともに、端部に灰皿10が設けられたメダル受皿11が設けられている。メダル受皿11は、最大で約1000枚のメダルを貯留させることができる程度の容量となるように形成されている。
上部飾り枠4の上部左右側には、内部に設けられる高音用のスピーカから出力される音を放音する放音部12a、12bがそれぞれ設けられており、これら放音部12a、12bからは、演出効果を高めるための音声やメロディ等の効果音が放音されるようになっている。
遊技パネル6には、スロットマシン1の筐体2aに内設されたリール51L、51C、51Rを透視可能な透視窓14と、透視窓14の下側に位置するクレジット表示部31とが設けられている。
クレジット表示部31は、クレジットが表示される。クレジットとは、遊技者所有の有価価値としてスロットマシン1内部の記憶部(図示省略)に記憶されているメダル数であり、メダル投入口へのメダルの投入、およびメダルの払出を伴う入賞の発生等によって加算更新され、賭数を設定したり、精算操作に基づいてメダルを外部に排出したりすることによって減算更新される。このスロットマシン1では、クレジットとして記憶可能な価値の上限値が最大でメダル50枚分とされている。そして、上限値を越えるクレジットの加算更新の要求が発生した場合にはその上限を越えるメダルがメダル払出穴9から払出される。更にクレジット表示部31は、スロットマシン1に発生した各種の異常、特にはメダルの払出に起因して発生した異常を表示するエラー表示器としても機能する。
遊技パネル6から前面側に突出するように形成された上部飾り枠4の下部上面右側には、メダル投入口が形成されたメダル投入口34が設けられているとともに、左側には精算ボタン37、1枚BETボタン36a、MAXBETボタン36bがそれぞれ設けられている。
1枚BETボタン36aは、1クレジットを賭ける際に押圧するボタンであり、MAXBETボタン36bは、1ゲームにおいて許容される賭数の最大数(本実施の形態ではメダル3枚分)をクレジットに記憶されている範囲内でゲームに賭ける際に押圧するボタンである。
精算ボタン37は、記憶部に記憶されているクレジットの精算操作をする際に押圧するボタンであり、この精算ボタン37の押圧操作に伴い、クレジット表示部31に表示されているクレジット数が0になるまで減算更新されるとともに、クレジット相当数のメダルがメダル払出穴9から払出されるようになっている。
前面扉2bの裏面略中央部には、メダル投入口34から投入されたメダルをホッパタンクに導く投入メダルセレクタ(図示省略)が固設されている。この投入メダルセレクタの上流側には不正メダル排出部(図示省略)が設けられており、大きさや厚みが適正メダルと異なる不正メダルは、投入メダルセレクタの下方に設けられる返却メダル流路の上部投入口に排出され、メダル払出穴9を介してメダル受皿11に返却されるようになっている。
上部飾り枠4の下部における前側面には、スタートレバー38、ストップボタン40L、40C、40Rがそれぞれ設けられている。
スタートレバー38は、ゲームを開始する際に操作するレバーであり、賭数の設定終了後においてスタートレバー38を操作することにより各リール51L、51C、51Rの回転が開始される。
各ストップボタン40L、40C、40Rは、ゲームが開始した後にリール51L、51C、51Rの回転を停止させる際に操作するボタンである。
筐体2a内略中央部には、複数種の図柄(たとえば、「黒7」、「白7」、「BAR」、「スイカ」、「ベル」、「チェリー」、「プラム」等)が印刷された透光性を有する帯状のリールシートが外周に巻回されたリール51L、51C、51R(ゲームの進行を実行するために用いるゲーム用リール)を有するリールユニットからなる可変表示装置(図示省略)が設けられている。それぞれのリール51L、51C、51Rは、各々に対応して設けられたステッピングモータからなるリールモータによりそれぞれ独立して縦方向に回転(駆動)、停止するように構成されており、各リール51L、51C、51Rが回転することにより、表示窓14には前記各種図柄が連続的に変化しつつ表示されるようになっている。
次に、遊技者が遊技(ゲーム)を行なうための操作や、該操作に伴う各種装置の作動状況を説明する。ゲームを開始する場合は、メダルやクレジットを使用して所望の大きさの有価価値を賭けて所望の大きさの賭数を設定する。賭数は、メダルをメダル投入口34から投入するか、あるいはMAXBETボタン36bやまたは1枚BETボタン36aを押圧操作しクレジットを使用することにより設定できるようになっている。遊技者により1枚のメダルがメダル投入口34から投入されるか、1枚BETボタン36aが押圧操作されると賭数が「1」に設定され、2枚目のメダルがメダル投入口34から投入されるか、1枚BETボタン36aが2回押圧操作されると賭数が「2」に設定され、3枚目のメダルがメダル投入口34から投入されるか、1枚BETボタン36aが3回押圧操作されるか、あるいはMAXBETボタン36bが押圧されると賭数が「3」に設定され、賭数に応じた所定の入賞ラインが有効となる。
そして上記のように少なくとも最小数である「1」の賭数が設定された時点でスタートレバー38の操作が有効に受付けられる状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。
ゲームが開始可能な状態でスタートレバー38を押圧操作すれば、可変表示装置が作動して各リール51L、51C、51Rが回転し、透視窓14には複数種類の図柄が連続的に変化するように表示される。リール51L、51C、51Rの回転が開始されてから所定時間が経過すれば各ストップボタン40L、40C、40Rの操作が有効になる。操作有効ランプが点灯している状態で遊技者がいずれかのストップボタン40L、40C、40Rを押圧操作すれば、対応するリール51L、51C、51Rの回転が停止され、透視窓14からは対応する可変表示部の上、中、下段に図柄が表示される。
全てのリール51L、51C、51Rが停止された時点で、賭数に応じて有効化されたいずれかの入賞ライン上に予め定められた図柄の組み合わせが表示された場合には入賞(所定の入賞)が発生し、入賞ラインに対応するリールランプ(図示省略)等が点灯するとともに、効果音等が出力されること等による演出が実行される。そして、入賞内容に対応して予め定められた所定枚数のメダルが遊技者に対してクレジットとして払出されてクレジット表示部31に表示されたクレジット数が加算更新される。また、クレジット数が上限数である50枚に達した場合には、メダル払出用のホッパモータが駆動されてメダル貯留タンクに貯留されているメダルがメダル払出穴9から払い出される。また、精算操作が行なわれた場合にも、メダル払出用のホッパモータが駆動されてメダル貯留タンクに貯留されているメダルがメダル払出穴9から払い出される。
なお、遊技者は、メダル払出穴9から払出されたメダルを、メダル貸出機50のメダル受入口54へ投入し、表示器70に表示される計数ボタンか計数用ボタン85を操作することにより、投入したメダルを計数させて持メダルに加算させることができる。
遊技場に設置されているスロットマシン1を含む複数の遊技機は、各々、ホール管理用コンピュータ100と接続されており、各遊技機における遊技の進行に応じた情報が、各遊技機からホール管理用コンピュータ100に出力される。
スロットマシン1は、メダル投入口34から投入されたメダルであって有効に受付けられたメダルを検出する投入メダル検出手段(メダル検出センサ)と、メダル払出用のホッパモータが駆動されることにより払い出されるメダルを検出する払出メダル検出手段(メダル検出センサ)とを備えている。
スロットマシン1は、投入メダル検出手段によりメダルが検出されたときに、投入情報をホール管理用コンピュータ100に出力し、払出メダル検出手段によりメダルが検出されたときに、払出情報をホール管理用コンピュータ100に出力する。
ホール管理用コンピュータ100は、スロットマシン1からの投入情報や払出情報に基づいて、当該スロットマシン1において投入されたメダルと払い出されたメダルとの差し引きなどを算出して集計するとともに、投入情報や払出情報に相当する情報を遊技機側情報として、当該スロットマシン1に対応するメダル貸出機50に出力する。
次に、この実施形態におけるメダル貸出機50による供給制御および計数制御の概念を説明する。紙幣やICカードが挿入されるか、あるいはすでに挿入されている状態において貸出操作あるいは払出操作が受付けられたときには、供給制御が行なわれて、供給メダル貯留タンク57aに貯留されているメダルが誘導ノズル90へ供給される。以下では、貸出操作および払出操作各々をまとめて供給操作ともいう。
また、表示器70に表示される計数ボタンか計数用ボタン85が操作されたときや、これらの操作がされずとも予め定められた自動計数条件が成立したときに、計数制御が行なわれて、貯留用トレー55a上のメダルを計数した後、メダル貸出機50の外部に排出される。以下では、計数ボタンの操作および計数用ボタン85の操作各々をまとめて計数操作ともいう。
次に、制御用マイクロコンピュータ3により実行される制御内容について詳細に説明する。図5は、制御用マイクロコンピュータ3が実行する制御内容を示すフローチャートである。
まず、S101においては、電源の立上げに伴う初期設定が行なわれる。具体的には、制御用マイクロコンピュータ3に接続された各種電気部品等との接続状況および作動状況を確認するとともにバックアップデータの有無を確認し、バックアップデータが存在する場合には、電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。また、バックアップデータが存在しない場合には、RAM5の各種レジスタの設定等を実行する。
設定処理が終了すると、S102において、メダル貸出機50が、遊技場に設置されているホール管理用コンピュータ100と接続されているか否かを判定する処理が行なわれる。ホール管理用コンピュータ100と接続されているときにのみ、S103以降の処理が実行され、接続されていないときにはS103以降の処理を実行させない。
S103においては、予め定められている自動計数条件が成立しているか否かを判定する自動計数条件成否判定処理が実行される。自動計数条件成否判定処理については、図6を用いて後述するように、自動計数条件が成立していると判定されたときに自動計数フラグがRAM5の所定領域にセットされる。
S104においては、貸出操作あるいは払出操作が受付けられたか、すなわち供給操作が検出されたか否かが判定される。供給操作が検出されたときには、S105において、該検出された操作に応じて供給用ホッパモータ57を回転駆動させて、供給メダル貯留タンク57aからメダルを供給するための供給制御処理が実行され、S113へ移行される。
S105における供給制御処理においては、投入金額、持メダル数、および貯メダル数の範囲内で、メダルを供給するための制御が行なわれる。投入金額、持メダル数、および貯メダル数は、紙幣識別機60、カードR/W61からの信号やホール管理用コンピュータ100からの信号に基づき特定されRAM5に記憶されており、実行された供給制御に応じて更新される。供給制御処理では、差数を算出するために、供給センサ64からの信号に基づいて、供給されたメダル枚数を計数する処理も行なわれる。
S104において供給操作が検出されていないと判定されたときには、S106において、遊技者の手持ちメダル枚数である差数が0以下であるか否かが判定される。差数が0以下であるときには、遊技者の手持ちメダルが無いはずであり、計数する必要がないため、S112において、計数操作が検出されているときには当該計数操作を無効化するとともに自動計数フラグがセットされているときには当該自動計数フラグをリセットして、S113へ移行される。
一方、差数が0以下でないと判定されたときには、S107において、計数ボタンの操作か計数用ボタン85の操作が受付けられたか、すなわち計数操作が検出されたか否かが判定される。
S107において供給操作が検出されたと判定されたときには、S108において計数操作によって計数が行なわれる旨を報知する操作計数報知が開始されるとともに、検出された計数操作を無効化して、S109に移行させる。
S109おいては、計数用ホッパモータ58を回転駆動させて貯留用トレー55a上のメダルを計数して外部に排出するための計数制御処理が実行される。計数制御処理については、図7を用いて後述する。
S107において計数操作が検出されていないと判定されたときには、自動計数フラグがセットされているか否かがS110において判定される。S110において自動計数フラグがセットされていると判定されたときには、S111において自動計数条件が成立したことによって計数が行なわれる旨を報知する自動計数報知を開始するとともに自動計数フラグをリセットし、S109において計数制御処理を実行させる。
S110において自動計数フラグがセットされていないと判定されたときには、計数制御処理を行なうことなく、S113へ移行する。
S113においては、ホール管理用コンピュータ100を介して、当該メダル貸出機50に対応して設けられているスロットマシン1である遊技機側からの情報である遊技機側情報を新たに受信したか否かが判定される。S113において遊技機側情報を新たに受信していると判定されたときにはS115に移行し、遊技機側情報を新たに受信していないと判定されたときにはS114に移行する。
S114においては、当該メダル貸出機50の供給あるいは計数に関するユニット側情報が更新されたか否かが判定される。S114においてユニット側情報が更新されたと判定されたときにはS115に移行し、ユニット側情報が更新されていないと判定されたときにはS116に移行する。
S115においては、遊技機側情報およびユニット側情報に基づいて、遊技者の手持ちメダル枚数である差数を算出するための差数算出処理を実行する。差数算出処理においては、遊技機側の投入情報と払出情報、およびユニット側の供給数情報と計数情報に基づいて、遊技者の手持ちメダル数である差数を算出する処理が行なわれる。
ここで、遊技機側の投入情報とは、スロットマシン1に投入されて有効に受付けられたメダル数(以下では投入数ともいう)を特定するための情報をいい、遊技機側の払出情報とは、スロットマシン1のメダル払出用のホッパモータが駆動されて払い出されたメダル数(以下では払出数ともいう)を特定するための情報をいう。
また、ユニット側の供給数情報とは、誘導ノズル90から排出されたメダル数(以下では供給数ともいう)を特定するための情報をいい、ユニット側の計数情報とは、計数用ホッパモータ58により取り込まれて計数されたメダル数(以下では取込数ともいう)を特定するための情報をいう。
よって、遊技者の手持ちメダル数である差数は、たとえば、前回算出された差数(初回は0)に対して、変動があった情報から特定される数を加減算することにより算出される。すなわち、前回算出された差数に対して、誘導ノズル90からメダルが排出されたときには供給数を加算し、計数用ホッパモータ58により取り込まれて計数されたときには取込数を減算し、スロットマシン1にメダルが投入されたときには投入数を減算し、スロットマシン1においてメダル払い出しがあったときには払出数を加算することにより、差数を算出する。なお、差数の算出方法については、これに限らず、遊技者の手持ちメダル数を特定できるものであれば、たとえば、スロットマシン1のクレジット数や、メダル貸出機50の持メダル数などを加味して算出してもよく、どのような算出方法を用いてもよい。
S116においては、その他の各種対応する処理を実行しS102へ移行する。各種対応する処理としては、たとえば、ホール管理用コンピュータ100との間において情報を送受信するための処理、表示器70、状態表示灯71、およびスピーカ72を制御するための処理、紙幣識別機60およびカードR/W61を制御(たとえば紙幣やICカードを取り込み・返却するための制御、書き込み制御など)するための処理、および、離席センサ83からの信号に基づいて遊技者が座席に着席している状態から離席した状態に変化したか否かを判定するための処理などが含まれる。
このように、制御用マイクロコンピュータ3は、電源投入後において、S101の処理を実行した後において、S102〜S116の処理を繰り返し実行する。
図6は、制御用マイクロコンピュータ3がS103において実行する自動計数条件成否判定処理の制御内容を示すフローチャートである。自動計数条件成否判定処理においては、まず、S201において、差数が1以上であるか否か、すなわち遊技者の手持ちメダルがあるか否かが判定される。なお、S201における判定対象は、予め定められた値であれば1に限らず、その他の値であってもよい。
S201において差数が1以上であると判定されたときには、差数が1以上であると判定されている期間を特定するための差数有カウンタの値を1加算する。差数有カウンタの値は、RAM5の所定領域において格納され更新される。
S203においては、差数有カウンタの値が30分に相当する値以上となったか否かが判定される。30分に相当する値とは、たとえば、30分経過する間に、図5のうち比較的時間を要するS105やS109の処理が行なわれなかった場合にS103の処理がたとえば90万回実行され得る場合、S203においては差数有カウンタの値が90万以上となったか否かが判定される。これにより、差数が所定数以上有る状態で30分放置されているか否かを判定することができる。なお、S203における判定対象は、予め定められた期間を特定するものであれば、30分という時間に限るものではなくその他の時間であってもよく、また、時間ではなくスロットマシンにおいて所定ゲーム数(たとえば1分間に平均的に10ゲーム消化されるものであれば、10×30=300ゲームなど)消化する期間であってもよい。
S203において、差数有カウンタの値が30分に相当する値以上となったと判定されたときには、自動計数条件が成立したとして、S204において自動計数フラグがRAM5の所定領域にセットされる。
これに対し、S203において、差数有カウンタの値が30分に相当する値以上となっていないと判定されたときには、S205において、差数が1000以上であるか否か、すなわち遊技者の手持ちメダルが1000枚以上あるか否かが判定される。S205において、差数が1000枚以上であると判定されたときには、自動計数条件が成立したとして、S204において自動計数フラグがRAM5の所定領域にセットされる。S205において差数が1000以上でないと判定されたときには、S207に移行する。
なお、S205の判定処理は、S201においてYESと判定されかつS203においてNOと判定されたときに実行するものに限らず、S201やS203の判定結果に関わらず別個独立に実行するようにしてもよい。たとえば、S201よりも以前の段階で実行し、1000以上であると判定されたときには自動計数フラグをセットしS214へ移行させるのに対し、1000以上でないと判定されたときには自動計数フラグをセットすることなくS201に移行させるようにしてもよい。
一方、S201において差数が1以上でないと判定されたときには、遊技者の手持ちメダルが無いため、S206において差数有カウンタの値をリセット(0クリア)し、S207に移行される。
S207においては、前回S103が実行された後のS109における計数制御処理により計数制御が実行されたか否かが判定される。S207において、計数制御が実行されていないと判定されたときには、S208において計数制御が実行されていない期間を特定するための非計数カウンタの値を1加算する。非計数カウンタの値は、RAM5の所定領域において格納され更新される。一方、S207において計数制御が実行されたと判定されたときには、S211において非計数カウンタの値をリセット(0クリア)し、S212に移行される。
S209においては、非計数カウンタの値が30分に相当する値以上となったか否かが判定される。これにより、計数制御が前回実行されてから少なくとも30分経過したか否かが判定される。なお、S209における判定対象は、予め定められた期間を特定するものであれば、30分という時間に限るものではなくその他の時間であってもよく、また、時間ではなくスロットマシンにおいて所定ゲーム数(たとえば1分間に平均的に10ゲーム消化されるものであれば、10×30=300ゲームなど)消化する期間であってもよい。
S209において、非計数カウンタの値が30分に相当する値以上となったと判定されたときには、自動計数条件が成立したとして、S210において自動計数フラグがRAM5の所定領域にセットされる。
一方、S209において、非計数カウンタの値が30分に相当する値以上となっていないと判定されたときには、S212において、紙幣やICカードの返却操作が検出されたか、あるいは離席センサ83からの信号に基づいて遊技者が座席に着席している状態から離席した状態に変化することにより離席が検出されたかを判定する。
S212において返却操作が検出されるかあるいは離席が検出されたと判定されたときには、自動計数条件が成立したとして、S213において自動計数フラグがRAM5の所定領域にセットされる。一方、S212において返却操作が検出されず、かつ離席も検出されなかったときには、自動計数条件成否判定処理を終了する。
S204、S210あるいはS213において、自動計数フラグがセットされたときには、S214において、差数有カウンタの値および非計数カウンタの値をリセット(0クリア)し、S215に移行される。
S215においては、供給操作が検出されているか否かが判定される。S215において、供給操作が検出されていると判定されているときには、図5のS105において供給制御処理が行なわれることから、遊技者所有の手持ちメダルが存在していない可能性が高いため、自動計数フラグをリセットして計数制御処理が行なわれないようにし、自動計数条件成否判定処理を終了する。
図7は、制御用マイクロコンピュータ3がS109において実行する計数制御処理の制御内容を示すフローチャートである。計数制御処理においては、まず、S301において計数用ホッパモータ58の駆動を開始する。これにより、貯留用トレー55a上のメダルの計数が開始される。
S302においては、計数用ホッパモータ58が駆動されることにより取り込まれて排出されたメダルが、計数センサ65により検出されたか否かが判定される。計数センサ65によりメダルが検出されたと判定されたときには、S303において計数用ホッパモータ58の駆動が開始されてから計数されたメダル数を特定するための今回取込数カウンタの値を1加算する。今回取込数カウンタの値は、RAM5の所定領域において加算更新される。
S304においては、今回取込数カウンタの値が差数以下であるか否かが判定される。今回取込数カウンタの値が差数以下でないと判定されたときには、遊技者の手持ちメダル以上のメダルが計数されたこととなり、遊技場外部からメダルが持ち込まれるような不正、あるいはメダルの横流しのような不正が発生していることになる。このため、S305では、不正報知を行なうとともに、不正時信号をホール管理用コンピュータ100に出力し、計数用ホッパモータ58の駆動を停止し、遊技場店員によりリセットボタン86が操作されるまで無限ループに移行する。一方、今回取込数カウンタの値が差数以下であると判定されたときには、S302に移行される。
S302において計数センサ65によりメダルが検出されていないと判定されたときには、S306において前回の計数センサ65によりメダルが検出されてから所定時間(たとえば、3秒)以上経過しているか否かが判定される。すなわち、S306においては、計数センサ65により所定時間メダル検出されないか否かが判定される。S306において所定時間以上経過していないと判定されたときにはそのままS302へ移行する。一方、所定時間以上経過していると判定されたときには、貯留用トレー55a上のメダルが全て計数された可能性が高いため、S307へ移行して、計数ホッパモータ58の駆動を停止する。これにより、計数が終了する。
S308においては、今回取込数カウンタの値をメダル貸出機50のRAM5の所定領域において格納されている持メダル数に加算更新する。S309においては、今回取込数カウンタの値をリセット(0クリア)し、計数制御処理を終了する。
図8は、表示器70の表示状態の一例を説明するための図である。図8(a)は、メダル貸出機50が通常状態であるときの表示状態の一例を説明するための図である。図8(a)では、投入金額として「2000円」が表示され持メダルおよび貯メダルがともに「0枚」であることが表示されている。
図8(a)では、投入金額のみしか表示されておらず、実質的に、貸出、計数、あるいは返却のいずれかしかできない。このため、実質的に操作可能となる「貸出ボタン」、「計数ボタン」、および「返却ボタン」が、実質的に操作不可能な「持メダル払出ボタン」、「貯メダル払出ボタン」、「貯メダルボタン」と異なる態様で表示されている。
図8(b)は、図5のS108における操作計数報知の一例を説明するための図である。操作計数報知が行なわれた場合には、図8(a)で示す操作ボタンの表示に代えて、「計数しています。しばらくお待ちください」、および今回取込数カウンタの値に応じて「計数中…33枚」といったメッセージが表示される。これにより、遊技者は計数中である旨を特定することができる。
図8(c)は、図5のS111における自動計数報知の一例を説明するための図である。自動計数報知が行なわれた場合には、図8(a)で示す操作ボタンの表示に代えて、「自動計数中!!しばらくお待ちください」、および今回取込数カウンタの値に応じて「計数中…33枚」といったメッセージが表示される。これにより、遊技者は自動計数中である旨を特定することができる。
図8(d)は、不正あるいは異常が発生したときの表示状態の一例を説明するための図である。図8(a)で示す操作ボタンの表示に代えて、図8(d)に示すように、「異常発生!! しばらくお待ちください!(E02)」といったメッセージが表示される。これにより、不正あるいは異常が発生している旨を報知することができる。なお、不正あるいは異常が発生している旨が報知されている間においては、スピーカ72から特定の効果音が繰り返し出力される。
次に、前述した実施の形態により得られる主な効果を説明する。
(1) 前述した実施の形態のようなメダル貸出機50は、遊技機と遊技機との台間という非常に狭い限られた空間に設置されているため、メダル受入口54の横幅を狭くせざるを得ず、その結果として貯留用トレー55aにメダルが存在するか否かを目視では確認し難い。このため、メダル受入口54からメダルを投入したものの計数操作することを忘れていたときや、計数可能な位置までメダルが流下せず貯留されたままの状態であることに気付かなかったときなど、計数し忘れが発生し易い。しかし、前述した実施の形態におけるメダル貸出機50では、図5のS110およびS109で示したように、計数操作が行なわれずとも、自動計数条件が成立して自動計数フラグがセットされたときには、貯留用トレー55a上にメダルが実際に貯留されているか否かに関わらず、計数制御が行なわれる。その結果、遊技者自身によってその場にいながらメダル計数を可能にすることにより、遊技場運営に要する店員数を削減しかつ遊技機の稼動率を向上させることができるようにしつつ、計数し忘れが発生していることに気付かずそのまま離席してしまい、遊技者が不利益を被ってしまうような不都合の発生を低減することができる。
(2) 前述した実施の形態では、図5のS115で遊技者の手持ちメダル数である差数が算出され、図6のS201〜S204で示したように、算出された差数が1以上でありかつその状態が少なくとも30分以上維持されているときには、遊技者所有の手持ちメダルがメダル受入口54から投入されて貯留用トレー55a上に貯留されている可能性があるとして、自動計数条件を成立させて計数制御を行なうことができる。これにより、貯留用トレー55a上にメダルが貯留されている可能性があるときに効率よく自動で計数を行なうことができる。
(3) 前述した実施の形態では、図6のS203でNOと判定されたときでも、差数が下皿の最大貯留量である1000枚以上となっているときには、少なくとも下皿に貯留できない遊技者所有の手持ちメダルがメダル受入口54から投入されて貯留用トレー55a上に貯留されている可能性が高いとして、30分経過するまでもなく自動計数条件を成立させて計数制御を行なうことができる。これにより、貯留用トレー55a上にメダルが貯留されている可能性が高いときには30分経過するのを待つことなく即座に自動で計数を行なうことができる。
(4) 前述した実施の形態では、図6のS207〜S210で示したように、計数制御が30分間行なわれなかったときには、遊技者所有の手持ちメダルがメダル受入口54から投入されて貯留用トレー55a上に貯留されている可能性があるとして、自動計数条件を成立させて計数制御を行なうことができる。これにより、貯留用トレー55a上にメダルが貯留されている可能性があるときに効率よく自動で計数を行なうことができる。
(5) 前述した実施の形態では、図6のS212で示したように、紙幣やICカードの返却操作が行なわれたときや、離席センサ83からの信号に基づいて遊技者が座席に着席している状態から離席した状態に変化したか否かを判定するための処理が行なわれて離席したと判定されたときなど、遊技を中断あるいは中止しようとしている行為が検出されたときに、自動計数条件を成立させて計数制御を行なうことができる。これにより、遊技を中断あるいは中止するときに、仮に計数し忘れが発生していたときには、自動で計数が行なわれるため、計数し忘れを防止でき、遊技者が不利益を被ってしまうような不都合の発生を防止することができる。また、手洗い等で一時的に離席する場合にも計数し忘れがある場合には自動で計数が行なわれるが、この場合でも、一時的に離席している間に計数し忘れのメダルを不正行為者によって奪われてしまう不都合の発生を抑止できる点でメリットがある。
(6) 前述した実施の形態では、図5のS106およびS112で示したように、差数が0以下であり、遊技者の手持ちメダルが無いはずであり、計数を行なう必要性が無いときには、計数操作あるいは自動計数条件成立に基づく計数が行なわれない。このため、遊技場外から持ち込まれたメダルや他の遊技機で遊技を行なう他の遊技者から横流しされたメダルを用いて遊技を行なうなどの不正を抑止することができ、遊技場のセキュリティを向上させることができる。
(7) 前述した実施の形態では、図5のS110およびS111で示したように、自動計数条件が成立して自動で計数が行なわれるときに、図8(c)で示した自動計数報知が行なわれる。これにより、自動で計数制御が行なわれることにより、遊技者に対して、メダル貸出機50が故障したのではないかといった不安感や、勝手に取り込まれているのではないかといった不信感を抱かせてしまうといった不都合の発生を防止することができる。
(8) 前述した実施の形態では、図5のS104、S105で示したように、供給操作が行なわれて供給制御処理が行なわれるときには、S109の処理が行なわれることを規制している。また、図6のS215、S216で示したように、仮に供給操作が検出されると同時に自動計数フラグがセットされたときであっても、供給操作が検出されているときには自動計数フラグがリセットされて、以降において自動計数フラグが維持されず自動で計数が行なわれることを規制している。このため、供給操作が行なわれて供給制御が行なわれており、遊技者所有のメダルが存在しない可能性が高いときにまで、無駄に計数制御が行なわれてしまう不都合の発生を防止することができる。
次に前述した実施の形態の変形例を挙げる。
(1) 前述した実施の形態における、図7のS305では、不正が発生しているために、不正報知を行なうとともに、不正時信号をホール管理用コンピュータ100に出力する例について説明した。しかし、不正が発生していると判定されたときには、不正時信号をホール管理用コンピュータ100に出力する一方、不正報知を行なうことなく、かつ不正が発生していないと判定されたときと同じ処理を継続して実行させるようにしてもよい。一例を具体的に説明すると、S304においてNOと判定されたときには、不正時信号をホール管理用コンピュータ100に出力し、全駆動停止や不正報知を行なわずに、S302に移行させて、以降も計数制御を継続して行なうようにしてもよい。これにより、不正行為を行なっている遊技者に対して不正行為が判別されていないのではないかと思わせて当該不正行為者に遊技を継続させている間に、ホール管理用コンピュータ100に入力された不正時信号に基づき不正を認識した遊技場店員は準備を整えて、万全の体制で当該不正行為者を取り押さえることができる。その結果、すぐに不正報知が行なわれるものと比較して、不正行為者に逃走され難くすることができる。
また、上記のように構成する場合、さらに、たとえば不正が発生したことを特定可能な不正フラグをRAM5に格納しておき、不正行為を行なっている遊技者を取り押さえた際に、遊技場店員がリセットボタン86を操作することにより不正フラグに基づいて、不正が行なわれていた旨を証拠として報知するようにしてもよい。これにより、不正行為を行なっていた遊技者に言い逃れされることを防止することができる。
(2) 前述した実施の形態において計数用ホッパモータ58で取り込まれて計数されたメダルは、排出部材94によりメダル貸出機50の外部に排出する例について説明したが、これに限らず、たとえば、計数されたメダルを、外部に排出せずに、当該メダル貸出機50から供給するメダルとして利用可能にしてもよい。たとえば、メダルを上方に揚送する揚送装置をメダル貸出機50に設け、計数用ホッパモータ58で取り込まれて計数されたメダルを、当該揚送装置によって上方に揚送して、供給メダル貯留タンク57aに貯留するようにしてもよい。これにより、供給メダル貯留タンク57aにメダルを補充する回数を低減することができる。
このように構成した場合には、さらに、次のような効果が奏される。各スロットマシンに対応してメダルを計数するための計数装置を島の設備として、たとえばスロットマシンのメダル受皿11の下方に設置することも考えられるが、この場合には、スロットマシンを設置する島自体を大幅に工事する必要があり設備投資が大きくなる。このようなものと比較して、上記のメダル貸出機では、台間に設置されている従来のメダル貸出機と交換するだけで、遊技者自身によってその場にいながらメダル計数を可能にするといった設備環境を容易に整えることができる。
(3) 前述した実施の形態では、図6のS212およびS213で示したように、返却操作が行なわれたときに自動計数フラグがセットされて自動で計数が行なわれる例について説明した。この場合、返却操作が無効化されることがないため、計数が終了したか否かに関わらず、紙幣やICカードが返却される。この場合で、紙幣が返却された後において、計数し忘れのメダルが存在していて自動計数された場合には、メダル貸出機50内部にICカードを予めストックさせておき、当該ストックされているICカードに計数したメダル数を特定するための情報を記憶させて返却する。これに対し、ICカードが返却された後において、計数し忘れのメダルが存在していて自動計数された場合には、メダル貸出機50内部にストックされているICカードに計数したメダル数を特定するための情報を記憶させて返却するか、あるいはICカードを再度挿入する旨の挿入報知を行なって遊技者にICカードを再度挿入させるようにし、挿入されたICカードに計数したメダル数を特定するための情報を記憶させて返却するようにしてもよい。
なお、この場合、返却操作に応じて先に紙幣やICカードが返却されるため、たとえば自動で計数が行なわれていることが遊技者に見逃されて、返却された紙幣やICカードを持って離席されてしまう不都合が生じ得る。このような不都合を事後的に解消するために、次のような処理を行なうようにしてもよい。たとえばICカードを返却した後の自動計数によりメダルが検出されたときには、すでに返却済みのICカードのカード番号と計数し忘れが発生している旨を特定するための計数し忘れ情報とを対応付けてホール管理用コンピュータ100に出力して記憶させるか、あるいはさらにホール管理用コンピュータ100を介して各メダル貸出機に出力して各メダル貸出機のRAMに記憶させる。そして、当該ICカードが当該メダル貸出機に再度挿入されたときには遊技者が自動計数が行なわれていることに気付いたものとしてホール管理用コンピュータ100あるいは当該他のメダル貸出機のRAMに記憶されている計数し忘れ情報を消去するとともに、当該ICカードに計数されたメダル数を特定するための情報を記憶させる一方、当該ICカードが他のメダル貸出機に挿入されたときには、当該ICカードのカード番号に対応付けて計数し忘れ情報がホール管理用コンピュータ100あるいは当該他のメダル貸出機のRAMに記憶されているときには、未だ遊技者が自動計数が行なわれたことや計数し忘れに気付いていないものとして、計数し忘れが発生していた旨を報知するとともに、自動計数されたメダル数を特定するための情報をICカードに記憶するようにしてもよい。これにより、計数し忘れが発生してしまう不都合の発生を低減することができる。
以上では、返却操作が行なわれたときに紙幣やICカードが返却される例について説明したが、これに限らず、返却操作が行なわれた場合には、自動で行なわれる計数が終了(図7のS306でYESと判定)した後であって、計数し忘れのメダルが存在しなかった場合にはそのまま紙幣あるいはICカードを返却し、計数し忘れのメダルが存在していて自動計数された場合には該計数したメダル数を特定するための情報を当該ICカードに記憶させた後に、紙幣を返却させる場合であったときには紙幣とICカードを返却し、ICカードを返却させる場合であったときには当該ICカードを返却するようにしてもよい。これにより、返却操作時に計数されるメダルの受け取りを忘れてしまうことを極力防止することができる。
(4) 前述した実施の形態では、図6を用いて、自動計数条件が成立する例を示したが、自動計数条件は、貯留用トレー55a上にメダルが実際に貯留されているか否かに関わらず、貯留用トレー55a上にメダルが貯留されている可能性がある状況において成立するものであれば、図6に示したものに限るものではない。たとえば、差数が所定数(たとえば、スロットマシン1において1ゲームを実行するためのメダル数に満たない値、2など)以下でないときに、供給操作が行なわれたときには、遊技者所有の手持ちメダルが貯留用トレー55a上に貯留させていることを遊技者が忘れている可能性が高い。このため、差数が所定数以下でないときに供給操作が行なわれたときに、自動計数条件を成立したとして、自動計数フラグをセットして自動で計数が行なわれるようにしてもよい。なお、この場合、検出された供給操作を無効化して、当該供給操作に基づく供給制御処理を実行させないようにしてもよい。これにより、遊技者所有のメダルが存在しているにも関わらず、無駄にメダルを供給してしまうことを防止することができる。
また、図6のS215において供給操作があったと判定されたときに、差数が所定数(たとえば、スロットマシン1において1ゲームを実行するためのメダル数に満たない値、2など)以下であるか否かを判定し、所定数以下であると判定されたときには、S216に移行させてその後供給制御処理を行なわせる一方、所定数以下でないと判定されたときには、遊技者所有の手持ちメダルが貯留用トレー55a上に貯留させていることを遊技者が忘れている可能性が高いとして、自動計数フラグをリセットせずにその後において計数制御処理を実行させるようにしてもよい。この場合、すなわち、供給操作があったと判定されたが、差数が所定数以下でないと判定されたときには、当該供給操作を無効化して、当該供給操作に基づいて供給制御処理が実行されないようにしてもよい。これにより、遊技者所有のメダルが存在しているにも関わらず、無駄にメダルを供給してしまうことを防止することができる。
(5) 前述した実施の形態では、自動計数条件が成立して自動計数フラグがセットされたことを条件として、自動で計数制御を行なう例について説明した。しかし、自動計数条件が成立したときに自動で計数制御を行なうことなく、たとえば、自動計数条件が成立したときには、遊技者所有の手持ちメダルが貯留用トレー55a上に貯留させていることを遊技者が忘れている可能性が高いとして、計数操作を促す計数促進報知を実行するようにしてもよい。計数促進報知は、表示器70やスピーカ72を用いて実行するものであってもよい。たとえば、表示器70において「計数して下さい!」といったメッセージを表示するとともに、スピーカ72から「計数して下さい」といった音声を出力するようにしてもよい。このように構成した場合においても、遊技者所有の手持ちメダルが貯留用トレー55a上に貯留させていることを遊技者が忘れている可能性が高い状況において、計数操作を促すことができ、計数し忘れが発生していることに気付かずそのまま離席してしまい、遊技者が不利益を被ってしまうような不都合の発生を抑止することができる。
なお、自動計数条件が成立したときに計数促進報知を実行する場合、当該計数促進報知をメダル貸出機50の表示器70やスピーカ72を用いて実行するものに限らず、表示器70やスピーカ72に替えてあるいは加えて、メダル貸出機50のその他の構成、たとえば状態表示灯71を用いて実行するようにしてもよい。また、計数促進報知は、メダル貸出機50のみによって実行するものに限らず、その他の機器を用いて実行するように、当該他の機器に対して報知信号を出力するようにしてもよい。その他の機器としては、たとえば、スロットマシン1などの遊技機自体が備える演出手段(演出ランプ、液晶表示器など)であってもよく、また、遊技機の上方に設けられ当該遊技機に関する情報を報知するための情報報知用装置(データ表示器など)であってもよい。また、計数し忘れが発生したまま離席されるときにのみ、その他の機器を用いて計数促進報知を行なうようにしてもよい。
(6) 前述した実施の形態におけるメダル貸出機50は、遊技機側情報がホール管理用コンピュータ100を介して受信する例について説明したが、これに限らず、メダル貸出機50である遊技用装置をスロットマシン1である遊技機と直接電気的に接続し、遊技機側情報を遊技機から直接受信するようにしてもよい。
(7) 前述した実施の形態では、図5のS107あるいはS110においてYESと判定されてから、図7のS306で計数センサ65により所定時間メダル検出されないと判定されるまで、計数用ホッパモータ58を駆動させて計数する計数制御を行なう例について説明した。しかし、計数制御(特に計数用ホッパモータ58を回転駆動させる制御)は、図5のS107あるいはS110においてYESと判定されてから所定の操作(たとえば計数操作)が再度受付けられるまで行なうようにしてもよく、また、図5のS107においてYESと判定された計数制御については計数操作を受付けている間行なうようにしてもよく、また、図5のS107あるいはS110においてYESと判定されてから所定時間経過するまで行なうようにしてもよい。
(8) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。