JP5958138B2 - 非同期全加算回路、非同期相関演算回路、演算装置及び相関演算装置 - Google Patents

非同期全加算回路、非同期相関演算回路、演算装置及び相関演算装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5958138B2
JP5958138B2 JP2012160509A JP2012160509A JP5958138B2 JP 5958138 B2 JP5958138 B2 JP 5958138B2 JP 2012160509 A JP2012160509 A JP 2012160509A JP 2012160509 A JP2012160509 A JP 2012160509A JP 5958138 B2 JP5958138 B2 JP 5958138B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
unit
value
asynchronous full
full adder
bit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012160509A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014021762A (ja
Inventor
信雄 唐木
信雄 唐木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2012160509A priority Critical patent/JP5958138B2/ja
Priority to US13/944,346 priority patent/US8995500B2/en
Publication of JP2014021762A publication Critical patent/JP2014021762A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5958138B2 publication Critical patent/JP5958138B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Position Fixing By Use Of Radio Waves (AREA)

Description

本発明は、非同期で全加算を行う非同期全加算回路等に関する。
所与の入力データの加算を行うための演算器として全加算器が広く知られている。1ビットの全加算器を縦続接続した全加算回路はリプルキャリー型と呼ばれ、下位桁からのキャリー出力を上位桁のキャリー入力に接続することによって、任意の桁数のデータの加算を可能にしている(例えば特許文献1,2)。
特開平11−143684号公報 特開2004−265204号公報
通常、演算桁数分の全加算器を縦続接続するため、桁数が増えれば回路規模が増大するのが一般的である。例えば、所与の入力データを累積的に加算する全加算回路を構成する場合、最終的な累積値として想定される桁数分の全加算器を縦続接続する。しかし、最終的な累積値の桁数が大きくなればなるほど回路規模が増大してしまう。回路規模の増大は、消費電力の増加やコスト増につながるため、できるだけ抑制したい。また、例えば相関演算回路のような駆動率が高く、最終的な累積値に比べて1回の加算に係る桁数が小さい回路であれば、回路規模を低減させる要請は尚強いと言える。
加えて、全加算回路を含む従来の回路は、所定のクロック信号に同期して動作する同期式が一般的である。同期式における回路規模の増大はクロック信号の大電流化やクロックスキューの問題も生じる。また、何よりも、同期式では、クロック周波数以上の回路動作の高速化は図れない。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものである。
以上の課題を解決するための第1の形態は、所与の入力データを2線符号化する第1の2線符号化部と、入力される加算結果を記憶する記憶部と、前記記憶部の記憶値を2線符号化する第2の2線符号化部と、M個の1ビット非同期全加算器が縦続接続されて構成され、前記第2の2線符号化部の出力値に前記第1の2線符号化部の出力値を加算して最上位桁を符号ビットとするMビットの加算結果を出力する非同期全加算部と、前記非同期全加算部による2線符号の出力値を復号して前記記憶部に出力する2線復号部と、前記非同期全加算部の最上位桁の前記1ビット非同期全加算器のキャリー出力と、最上位桁の1つ下の桁の前記1ビット非同期全加算器のキャリー出力とに基づいて前記非同期全加算部のオーバーフローの発生を検知するオーバーフロー検知部と、前記オーバーフロー検知部の検知回数を前記符号ビットの値に従って加算或いは減算して計数するカウンタと、を備えた非同期全加算回路である。
この第1の形態によれば、所与の入力データが第1の2線符号化部によって2線符号化される。また、記憶部の記憶値が第2の2線符号化部によって2線符号化される。非同期全加算部は、M個の1ビット非同期全加算器が縦続接続されて構成され、第2の2線符号化部の出力値に第1の2線符号化部の出力値を加算して最上位桁を符号ビットとするMビットの加算結果を出力する。この非同期全加算部による2線符号の出力値は2線復号部で復号されて記憶部に出力される。
オーバーフロー検知部は、非同期全加算部の最上位桁の1ビット非同期全加算器のキャリー出力と、最上位桁の1つ下の桁の1ビット非同期全加算器のキャリー出力とに基づいて非同期全加算部のオーバーフローの発生を検知する。カウンタは、オーバーフロー検知部の検知回数を符号ビットの値に従って加算或いは減算して計数する。符号ビットの値が正の値を表すビット値であれば検知回数を加算し、符号ビットの値が負の値を表すビット値であれば検知回数を減算することで、オーバーフローが正の数値範囲と負の数値範囲との何れで発生した場合であっても、計数値を適切に求めることができる。
1ビット非同期全加算器の個数とカウンタの計数値とがあれば、記憶部の記憶値から累積値を正しく算出することができる。そのため、最終的な累積値として想定される桁数分の全加算器は必ずしも必要ではなく、縦続接続する全加算器の個数を減らすことができるため、回路規模を低減させつつ、高桁数の累積加算が可能となる。また、本形態の非同期全加算回路は非同期式で作動するため、クロック信号による動作上の上限速度が無く、高速動作が可能である。さらに、クロック信号が不要であるため、クロック信号に伴う電力も不要である。
また、第2の形態として、第1の形態の非同期全加算回路におけるオーバーフロー検知部は、前記非同期全加算部の最上位桁の前記1ビット非同期全加算器のキャリー出力と、最上位桁の1つ下の桁の前記1ビット非同期全加算器のキャリー出力との排他的論理和に基づいてオーバーフローの発生を検知する、非同期全加算回路を構成することとしてもよい。
符号付きの数値表現では、MSB(Most Significant Bit)2ビットに対応する1ビット非同期全加算器からのキャリー出力を用いることで、オーバーフローの発生を検知することができる。つまり、オーバーフローが発生する場合、非同期全加算部の最上位桁の1ビット非同期全加算器のキャリー出力と、最上位桁の1つ下の桁の1ビット非同期全加算器のキャリー出力とは異なる値となる。そのため、第2の形態のように、最上位桁の1ビット非同期全加算器のキャリー出力と、最上位桁の1つ下の桁の1ビット非同期全加算器のキャリー出力との排他的論理和に基づくことで、オーバーフローの検知を簡易且つ適切に行うことができる。
また、第3の形態として、第1又は第2の形態の非同期全加算回路において、前記非同期全加算器全ての演算完了を検知する演算完了検知部を更に備え、前記オーバーフロー検知部は、前記演算完了検知部による検知がなされた際の、最上位桁の前記1ビット非同期全加算器のキャリー出力と最上位桁の1つ下の桁の前記1ビット非同期全加算器のキャリー出力とに基づいて、オーバーフローの発生を検知する、非同期全加算回路を構成することとしてもよい。
この第3の形態によれば、演算完了検知部は、1ビット非同期全加算器全ての演算完了を検知する。そして、オーバーフロー検知部は、演算完了検知部による検知がなされた際の、最上位桁の1ビット非同期全加算器のキャリー出力と最上位桁の1つ下の桁の1ビット非同期全加算器のキャリー出力とに基づいて、オーバーフローの発生を検知する。これにより、1ビット非同期全加算器の個々の動作タイミングの違いを考慮した上で、適切なタイミングでオーバーフローの発生を検知することができる。
また、第4の形態として、所与の1ビットデータを2線符号化する第3の2線符号化部と、第1〜第3の何れかの形態の非同期全加算回路と、を備え、前記非同期全加算部が、前記第2の2線符号化部の出力値に、前記第3の2線符号化部の出力値に応じた符号で前記第1の2線符号化部の出力値を加算することで、前記非同期全加算回路が前記所与の入力データと前記所与の1ビットデータとの相関値を算出することを特徴とする非同期相関演算回路を構成することとしてもよい。
この第4の形態によれば、所与の1ビットデータが第3の2線符号化部によって2線符号化される。そして、非同期全加算回路の非同期全加算部は、第2の2線符号化部の出力値に、第3の2線符号化部の出力値に応じた符号で第1の2線符号化部の出力値を加算することで、非同期全加算回路が所与の入力データと所与の1ビットデータとの相関値を算出する。つまり、上記の形態の非同期全加算回路を用いて、非同期で動作する相関演算回路を構成することができる。
また、第5の形態として、第1〜第3の何れかの形態の非同期全加算回路と、前記1ビット非同期全加算器の個数M、前記カウンタの計数値及び前記記憶部の記憶値を用いて、前記非同期全加算回路での累積加算値を算出する算出部と、を備えた演算装置を構成することとしてもよい。
この第5の形態によれば、上記の形態の非同期全加算回路を備え、当該非同期全加算回路が備える1ビット非同期全加算器の個数M、カウンタの計数値及び記憶部の記憶値を用いて、非同期全加算回路での累積加算値を算出する演算装置を構成することができる。
また、第6の形態として、第4の形態の非同期相関演算回路と、前記1ビット非同期全加算器の個数M、前記カウンタの計数値及び前記記憶部の記憶値を用いて、前記非同期全加算回路での累積加算値を、前記所与の入力データと前記所与の1ビットデータとの相関値として算出する算出部と、を備えた相関演算装置を構成することとしてもよい。
この第6の形態によれば、上記の形態の非同期相関演算回路を備え、当該非同期相関演算回路の1ビット非同期全加算器の個数M、カウンタの計数値及び記憶部の記憶値を用いて、非同期全加算回路での累積加算値を、所与の入力データと所与の1ビットデータとの相関値として算出する相関演算装置を構成することができる。
GPS受信機の機能構成の一例を示すブロック図。 非同期相関演算回路の回路構成の一例を示す図。 非同期全加算部の回路構成の一例を示す図。 2線復号部の回路構成の一例を示す図。 演算完了検知部及びオーバーフロー検知部の回路構成の一例を示す図。 オーバーフローカウンタ部の構成の一例を示す図。 相関値の算出処理の流れを示すフローチャート。 相関値の算出の原理の説明図。
以下、図面を参照して、本発明を適用した好適な実施形態の一例について説明する。本実施形態は、衛星測位システムの一種であるGPSの受信機に本発明を適用した実施形態である。本発明を適用可能な形態が以下説明する実施形態に限定されるわけでないことは勿論である。
GPS衛星から送出されるGPS衛星信号は、C/A(Coarse and Acquisition)コードと呼ばれるGPS衛星毎に異なる拡散符号で変調されている。GPS受信機は、微弱な受信信号の中からGPS衛星信号を捕捉するために、受信信号とC/Aコードを模擬したレプリカコードとの相関演算を行ってGPS衛星信号を捕捉する。そして、捕捉したGPS衛星信号を利用して、例えば擬似距離を利用した位置計算を行って、GPS受信機の位置を算出する。
1.GPS受信機
図1は、GPS衛星信号を受信する衛星信号受信装置の一種であるGPS受信機1の機能構成の一例を示すブロック図である。GPS受信機1は、不図示のGPSアンテナで受信されたRF(Radio Frequency)信号からGPS衛星信号を捕捉し、捕捉したGPS衛星信号を利用して、位置を算出可能に構成された装置である。本実施形態では、GPS受信機はGPS衛星信号の受信信号とレプリカコードとの相関演算を行う相関演算装置として機能する。
GPS受信機1は、RF受信回路部10と、ベースバンド処理回路部20とを備えて構成される。なお、RF受信回路部10と、ベースバンド処理回路部20とは、それぞれ別のLSI(Large Scale Integration)として製造することも、1チップとして製造することも可能である。
RF受信回路部10は、GPSアンテナから出力されるRF信号を受信する受信回路と、受信した信号(アナログ信号)を所与のサンプル時間間隔でサンプリングすることでA/D変換するA/D変換回路とを有し、受信信号を受信系列データとして出力する。
本実施形態では、1ミリ秒分の受信信号をN個にサンプリングして、D1〜DNのN個の受信データを得るものとして説明する。受信データD1〜DNはそれぞれ、量子化によってMビットのデジタルデータに変換される。但し、最上位のビットは符号ビットである。すなわち、2の補数表現により、符号ビットが“0”であれば正の数を表し、符号ビットが“1”であれば負の数を表す。本実施形態では、受信データの番号を“i”を用いて表記する。すなわち、“Di”は第i番目の受信データであることを意味する。
ベースバンド処理回路部20は、RF受信回路部10から出力される受信系列データに対して、搬送波(キャリア)の除去や相関演算等を行ってGPS衛星信号を捕捉する。そして、捕捉したGPS衛星信号から抽出した時刻情報や衛星軌道情報等を利用して、位置や時計誤差を算出する。
本実施形態において、ベースバンド処理回路部20は、主要な構成として、非同期相関演算回路100と、レプリカコード生成部200と、処理部300と、記憶部400とを有して構成される。
非同期相関演算回路100は、RF受信回路部10から出力される受信系列データと、レプリカコード生成部200から出力されるレプリカコードとの相関演算を行う非同期式の相関演算回路である。非同期相関演算回路100の構成及び動作については、詳細に後述する。
レプリカコード生成部200は、GPS衛星信号の拡散符号であるC/A(Coarse and Acquisition)コードを模擬した擬似的なコードであるレプリカコードを生成する回路である。レプリカコード生成部200は、処理部300から出力されるPRN番号(衛星番号)に従って、当該PRN番号が割り当てられたGPS衛星に係るレプリカコードを生成する。レプリカコード生成部200は、コードNCO(Numerical Controlled Oscillator)等の発振器を有して構成される。
本実施形態において、レプリカコードは、受信信号と同じサンプリングレートでサンプリングされる。具体的には、1ミリ秒分のレプリカコードは、受信データと同数のN個のレプリカデータC1〜CNにサンプリングされる。本実施形態では、レプリカデータの番号を“j”を用いて表記する。すなわち、“Cj”は第j番目のレプリカデータであることを意味する。レプリカデータは“0”又は“1”の1ビットで表される。
処理部300は、ベースバンド処理回路部20の各機能部を統括的に制御する制御装置及び演算装置であり、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサーを有して構成される。
処理部300は、本実施形態に関わる主要な機能部として、受信データ読出制御部310と、レプリカデータ読出制御部320と、相関値算出部330とを有する。これらの機能部については後述する。
記憶部400は、ベースバンド処理回路部20のシステムプログラムや、衛星捕捉・追尾制御機能、位置算出機能といった各種機能を実現するための各種プログラム、データ等を記憶する。また、各種処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを有する。
2.非同期相関演算回路
図2は、非同期相関演算回路100の回路構成の一例を示す図である。以下参照する図面では、2線符号化されたデータの流れを太線で図示し、2線符号化されていないデータと区別する。
非同期相関演算回路100は、受信データ記憶部110と、レプリカデータ記憶部120と、受信データ2線符号化部130と、レプリカデータ2線符号化部140と、非同期全加算部150と、2線復号部160と、加算結果記憶部170と、加算結果2線符号化部180と、演算完了検知部185と、オーバーフロー検知部190と、オーバーフローカウンタ部195とを有して構成される。
受信データ2線符号化部130と、非同期全加算部150と、2線復号部160と、加算結果記憶部170と、加算結果2線符号化部180と、演算完了検知部185と、オーバーフロー検知部190と、オーバーフローカウンタ部195とによって、非同期全加算回路100Aが構成される。
受信データ記憶部110は、RF受信回路部10から出力される受信系列データを構成するMビットの受信データDiを記憶する記憶回路である。受信データ記憶部110は、例えば、受信データDiそれぞれに対応して、当該受信データDiを記憶する受信データレジスタ群を有して構成される。
レプリカデータ記憶部120は、レプリカコード生成部200から出力されるレプリカコードを構成する1ビットのレプリカデータCjを記憶する記憶装置である。レプリカデータ記憶部120は、例えば、レプリカデータCjそれぞれに対応して、当該レプリカデータCjを記憶するレプリカデータレジスタ群を有して構成される。
受信データ2線符号化部130は、受信データ記憶部110から出力される受信データDiを2線符号化方式に従って2線符号化する。受信データ2線符号化部130は、例えば、受信データ記憶部110を構成する受信データレジスタそれぞれに対応する2線符号化器を有して構成される。受信データ2線符号化部130は、第1の2線符号化部に相当する。
レプリカデータ2線符号化部140は、レプリカデータ記憶部120から出力されるレプリカデータCjを2線符号化方式に従って2線符号化する。レプリカデータ2線符号化部140は、例えば、レプリカデータ記憶部120を構成するレプリカデータレジスタそれぞれに対応する2線符号化器を有して構成される。レプリカデータ2線符号化部140は、第3の2線符号化部に相当する。
表1に、2線符号化方式の真理値表を示す。
Figure 0005958138
2線符号化方式は、1ビットのデータbを2本の信号線対“(b_1,b_0)”を用いて表現する方式である。“b_1”が肯定の信号線に対応し、“b_0”が否定の信号線に対応する。
2線符号化方式では、データbは、有効符号語である“1”或いは“0”、又は無効符号語である“Null”の何れかをとる。2線符号化により、有効符号語である“0”は“(0,1)”に変換され、有効符号語である“1”は“(1,0)”に変換される。無効符号語である“Null”は“(0,0)”に変換される。なお、“(1,1)”は“Inhibit”と呼び、動作上とり得ない不正値である。
非同期回路では、この2線符号化方式に従って2線符号化したビット値を用いて、回路ブロック間でのデータの入出力を行う。データの入出力は、有効符号語“1”或いは“0”を用いて行われる。無効符号語“Null”は、非演算時や、各データ間の区切りに用いられる。同一の有効符号語が連続して送信されると、受信側ではデータの区切りを識別することができないため、有効符号語と無効符号語とを交互に伝送することで、有効符号語の識別を可能にしている。
本明細書及び図面では、Mビットで表されるデータのビットに下位のビットから順に1からMまでの番号を割り当て、データや信号を表す文字の直後に括弧書きで表記する。例えば、受信データDiのうちの最下位のビットはDi(1)と表記し、最上位のビットはDi(M)と表記する。これは、2線符号化されたデータについても同様である。例えば、2線符号化された受信データDiのうちの最下位のビットを(Di(1)_1,Di(1)_0)と表記し、最上位のビットを(Di(M)_1,Di(M)_0)と表記する。他のデータや信号についても同様である。
非同期全加算部150は、加算結果2線符号化部180の出力値に、受信データ2線符号化部130の出力値を、レプリカデータ2線符号化部140の出力値に応じた符号で加算して出力する。非同期全加算部150は、M個の1ビット非同期全加算器が縦続接続されて構成される。非同期全加算部150は、第1の入力ポートXと、第2の入力ポートYと、キャリー入力ポートCinと、出力ポートZと、キャリー出力ポートCoutとを有する。
第1の入力ポートXには、受信データ2線符号化部130によって2線符号化された受信データ(Di_1,Di_0)が入力される。受信データDiはMビットであるため、より具体的には、(Di(1)_1,Di(1)_0),(Di(2)_1,Di(2)_0),・・・,(Di(M)_1,Di(M)_0)のM個の2線符号化された受信データの組が入力される。
第2の入力ポートYには、加算結果2線符号化部180によって2線符号化された加算結果記憶部170の記憶値(ACC_1,ACC_0)がフィードバック入力される。記憶値ACCもMビットであるため、より具体的には、(ACC(1)_1,ACC(1)_0),(ACC(2)_1,ACC(2)_0),・・・,(ACC(M)_1,ACC(M)_0)のM個の2線符号化された記憶値の組が入力される。
キャリー入力ポートCinには、レプリカデータ2線符号化部140によって2線符号化されたレプリカデータ(Cj_1,Cj_0)が入力される。
非同期全加算部150は、1ビットのレプリカデータCjをキャリー入力とし、加算結果2線符号化部180によって2線符号化された記憶値ACCに、受信データDiを、レプリカデータCjに応じた符号で加算する。つまり、レプリカデータCjが“0”である場合は、記憶値ACCに受信データDiを足し込み(すなわち加算する)、レプリカデータCjが“1”である場合は、記憶値ACCに受信データDiの符号を反転して足し込む(すなわち減算する)。そして、加算結果である加算値Bを出力ポートZから出力し、キャリー出力値(桁上げ出力値)Coutをキャリー出力ポートCoutから出力する。
処理部300の機能部である受信データ読出制御部310及びレプリカデータ読出制御部320は、それぞれ受信データDi及びレプリカデータCjを受信データ記憶部110及びレプリカデータ記憶部120から順次に読み出して、受信データ2線符号化部130及びレプリカデータ2線符号化部140にそれぞれ出力させるように制御する。これにより、2線符号化された受信データDi及びレプリカデータCjが順次に非同期全加算部150に供給され、非同期全加算部150では、受信データDiとレプリカデータCjとの相関演算が行われる。
2線復号部160は、非同期全加算部150から出力される2線符号化された加算値Bとキャリー出力値Coutとを2線符号化方式に従って復号する。非同期全加算部150では、2線符号化されたデータを用いた演算が行われ、その演算結果も2線符号化されているため、表1の真理値表に従って加算値Bを復号して、加算結果記憶部170に出力する。また、2線復号部160は、後述する復号完了信号RCVを演算完了検知部185に出力する。
加算結果記憶部170は、2線復号部160によって2線復号された加算値Bを記憶する記憶回路であり、例えばアキュムレーターによって構成される。本実施形態では、加算結果記憶部170の有効桁数をM桁として説明する。加算結果記憶部170に記憶された加算値Bは、記憶値ACCとして処理部300に出力されるとともに、加算結果2線符号化部180にフィードバック出力される。
加算結果2線符号化部180は、加算結果記憶部170から入力した記憶値ACCを2線符号化する。2線符号化された記憶値ACCは、非同期全加算部150の第2の入力ポートYに出力される。加算結果2線符号化部180は、第2の2線符号化部に相当する。
演算完了検知部185は、2線復号部160から出力される復号完了信号RCVに基づいて、非同期全加算部150による1回分の演算が完了したことを検知する。演算完了検知部185は、非同期全加算部150を構成する1ビット非同期全加算器全ての演算完了を検知した場合に、演算完了信号DataReadyをオーバーフロー検知部190に出力する。
オーバーフロー検知部190は、非同期全加算部150から出力される最上位桁の1ビット非同期全加算器のキャリー出力と、最上位桁の1つ下の桁の1ビット非同期全加算器のキャリー出力とに基づいて非同期全加算部150のオーバーフローの発生を検知する。そして、演算完了検知部185から出力される演算完了検知信号DataReadyに従って、オーバーフロー検知信号OverFlowをオーバーフローカウンタ部195に出力する。
オーバーフローカウンタ部195は、加算結果記憶部170から出力される加算値ACCの最上位ビットACC(M)と、オーバーフロー検知部190から出力されるオーバーフロー検知信号OverFlowとに基づいて、オーバーフロー検知部190の検知回数を計数するカウンタを有して構成される。オーバーフローカウンタ部195は、計数値Countを処理部300に出力する。また、オーバーフローカウンタ部195は、処理部300から出力されるリセット信号Resetに従ってリセット制御される。
3.非同期全加算部
図3は、非同期全加算部150の回路構成の一例を示す図である。非同期全加算部150は、M個の1ビット非同期全加算器150(1)〜150(M)を縦続接続して構成される。各1ビット非同期全加算器150(1)〜150(M)には、受信データDiの対応する番号の2線符号化されたデータと、記憶値ACCの対応する番号の2線符号化されたデータとが入力される。各1ビット非同期全加算器150(1)〜150(M)で演算された2線符号化された加算値Bは2線復号部160に出力され、キャリー出力値Coutは1つ上位の1ビット非同期全加算器にキャリー出力される。
最下位桁の1ビット非同期全加算器150(1)には、2線符号化された受信データ(Di(1)_1,Di(1)_0)と、2線符号化された記憶値(ACC(1)_1,ACC(1)_0)とが入力される。また、2線符号化されたレプリカデータ(Cj_1,Cj_0)がキャリー入力される。そして、加算結果である加算値(B(1)_1,B(1)_0)が2線復号部160に出力される。また、キャリー出力値(Cout(1)_1,Cout(1)_0)が、その上位桁の1ビット非同期全加算器150(2)にキャリー出力される。
以下同様であるが、第(M−1)桁の1ビット非同期全加算器150(M−1)のキャリー出力値(Cout(M−1)_1,Cout(M−1)_0)は、第M桁(最上位桁)の1ビット非同期全加算器150(M)にキャリー出力される。また、肯定の信号線を伝送するキャリー出力値Cout(M−1)_1は、オーバーフロー検知部190に出力される。
第M桁(最上位桁)の1ビット非同期全加算器150(M)のキャリー出力値(Cout(M)_1,Cout(M)_0)は、当該非同期全加算部150のキャリー出力値Coutとして2線復号部160に出力される。また、肯定の信号線を伝送するキャリー出力値Cout(M)_1は、オーバーフロー検知部190に出力される。
4.2線復号部
図4は、2線復号部160の回路構成の一例を示す図である。
2線復号部160は、非同期全加算部150から出力される2線符号化されたM組の加算値(B(1)_1,B(1)_0)〜(B(M)_1,B(M)_0)をそれぞれ2線復号するM組の加算値用の2線復号器160(1)〜160(M)と、非同期全加算部150から出力されるキャリー出力値(Cout(M)_1,Cout(M)_0)を2線復号するキャリー出力値用の2線復号器160(Cout)との、全部でM+1個の2線復号器を有して構成される。
加算値用の2線復号器160(1)〜160(M)は、加算値(B(1)_1,B(1)_0)〜(B(M)_1,B(M)_0)をそれぞれ2線復号し、その復号結果である加算値B(1)〜B(M)を加算結果記憶部170にそれぞれ出力する。また、2線復号器160(1)〜160(M)は、復号の完了を示す復号完了信号RCV(1)〜RCV(M)を演算完了検知部185にそれぞれ出力する。
キャリー出力値用の2線復号器160(Cout)は、キャリー出力値(Cout(M)_1,Cout(M)_0)を2線復号し、その復号結果であるキャリー出力値Cout(M)を加算結果記憶部170に出力する。また、2線復号器160(Cout)は、復号の完了を示す復号完了信号RCV(Cout)を演算完了検知部185に出力する。
表2に、2線復号部160の復号に係る真理値表を示す。
Figure 0005958138
加算値及びキャリー出力値に対する復号は、表1に示した2線符号化の真理値表に準じて行われる。つまり、入力が(0,0)の場合は“Null”に復号し、入力が(0,1)の場合は“0”に復号し、入力が(1,0)の場合は“1”に復号する。なお、(1,1)は不正値であるため、この値が入力された場合は、例えば回路動作に異常が発生していることをシステムに通知するなどすると好適である。
復号完了信号RCVは、入力が(0,0)の場合は“0”を出力し、入力が(0,1)或いは(1,0)の場合は“1”を出力するように定められている。つまり、有効符号語を入力した場合は復号完了信号RCVを“HIGH”とし、無効符号語を入力した場合は復号完了信号RCVを“LOW”とする。
5.演算完了検知部及びオーバーフロー検知部
図5は、演算完了検知部185及びオーバーフロー検知部190の回路構成の一例を示す図である。
演算完了検知部185は、M+1入力のランデブー回路185Aを有して構成される。具体的には、2線復号器160(1)〜160(M)からそれぞれ出力される復号完了信号RCV(1)〜RCV(M)と、2線復号器160(Cout)から出力される復号完了信号RCV(Cout)とのM+1個の復号完了信号RCVがランデブー回路185Aに入力される。
このランデブー回路185Aは、全ての入力値が“0”で揃った場合に“0”を出力し、全ての入力値が“1”で揃った場合に“1”を出力する回路である。内部に記憶素子を有しており、1つでも異なる入力値が存在する場合は、直前の値を保持し、その出力を変化させない。従って、演算完了検知部185は、2線復号部160の全ての2線復号器から出力される復号完了信号RCVが“HIGH”となった場合に、出力値として“1”を出力することになる。演算完了検知部185からの出力は、演算完了検知信号DataReadyとしてオーバーフロー検知部190の保持回路190Bに出力される。
オーバーフロー検知部190は、EXOR(EXclusive OR)回路190Aと、保持回路190Bとを有して構成される。EXOR回路190Aは、2入力の排他的論理和を演算する回路であり、最上位桁の1ビット非同期全加算器150(M)のキャリー出力値Cout(M)_1と、最上位桁の1つ下の桁の1ビット非同期全加算器150(M−1)のキャリー出力値Cout(M−1)_1とが入力される。
2の補数表現を用いる場合、非同期全加算部150のオーバーフローは、MSB2ビットからのキャリー出力値を用いて検出することができる。例えば、4ビットの全加算器を想定し、負の数値範囲でオーバーフローが発生する場合を例示する。
4ビットの全加算器で扱える数値範囲は「−8〜+7」である。この場合、例えば「−8」と「−1」とを加算するとオーバーフローが発生する。符号付きの2進数で「−8」は「1000」であり、「−1」は「1111」である。この2つの数値を加算すると「10111」となり、4ビットの全加算器で扱える数値範囲を超えるため、オーバーフローとなる。
この場合、最上位桁の1ビット非同期全加算器からのキャリー出力値は「1」となり、最上位桁の1つ下の桁の1ビット非同期全加算器からのキャリー出力値は「0」となる。2つのキャリー出力値が異なっていることから、オーバーフローが発生したと判断することができる。正の値同士の加算によってオーバーフローが発生する場合も同様に考えることができる。従って、MSB2ビットからのキャリー出力値の排他的論理和により、オーバーフローの発生を簡単に検知することができる。
なお、本実施形態では、EXOR回路190Aに、非同期全加算部150から出力される肯定の信号線を伝送するキャリー出力値Cout(M)_1及びCout(M−1)_1を入力してオーバーフローの発生を検知することとしているが、否定の信号線を伝送するキャリー出力値Cout(M)_0及びCout(M−1)_0を入力してオーバーフローの発生を検知するように構成してもよい。
保持回路190Bは、EXOR回路190Aの出力値を、演算完了検知部185から出力される演算完了検知信号DataReadyの立ち上がりで保持するラッチ回路である。つまり、保持回路190Bは、演算完了検知信号DataReadyが“0”から“1”に立ち上がった際に、EXOR回路190Aの演算値をラッチし、オーバーフロー検知信号OverFlowとしてオーバーフローカウンタ部195に出力する。
6.オーバーフローカウンタ部
図6は、オーバーフローカウンタ部195の回路構成の一例を示す図である。
オーバーフローカウンタ部195は、所定数のビットのカウンタ195Aを有して構成される。カウンタ195Aには、処理部300から出力されるリセット信号Resetと、加算結果記憶部170から出力される記憶値の最上位ビットACC(M)と、オーバーフロー検知部190から出力されるオーバーフロー検知信号OverFlowとが入力される。
カウンタ195Aは、正論理のオーバーフロー検知信号OverFlowを入力する毎に計数値を1ずつ増減させる。計数値の増減は、記憶値の最上位ビットACC(M)によって決定する。ACC(M)は符号ビットであるため、ACC(M)が“0”であれば正の数値範囲でオーバーフローが発生したと判断し、計数値を増加させる。それに対し、ACC(M)が“1”である場合は、負の数値範囲でオーバーフローが発生したと判断し、計数値を減少させる。カウンタ195Aは、計数値を処理部300に出力する。
7.相関値の算出処理
図7は、ベースバンド処理回路部20の処理部300が実行する相関値の算出処理の流れを示すフローチャートである。処理部300は、記憶部400に記憶されたプログラムに従ってこの処理を行う。
最初に、処理部300は、受信データ及びレプリカデータの読出開始位置をそれぞれ初期設定する(ステップA1)。第1回目の相関演算では、例えば、N個の受信データDiのうちの第1番目のデータD1の記憶位置を読出開始位置とし、N個のレプリカデータCjのうちの第1番目のデータC1の記憶位置を読出開始位置とする。
次いで、受信データ読出制御部310は、受信データ記憶部110の現在設定されている読出位置から受信データDiを読み出し、受信データ2線符号化部130に出力させる(ステップA3)。同様に、レプリカデータ読出制御部320は、レプリカデータ記憶部120の現在設定されている読出位置からレプリカデータCjを読み出し、レプリカデータ2線符号化部140に出力させる(ステップA3)。
次いで、処理部300は、演算完了検知部185から演算完了検知信号を入力するまで待機し(ステップA5;No)、演算完了検知信号を入力したならば(ステップA5;Yes)、受信データDi及びレプリカデータCjのN個全てのデータについて非同期全加算部150での演算が完了したかを判定する(ステップA7)。
まだ演算が完了していないと判定した場合は(ステップA7;No)、処理部300は、受信データ及びレプリカデータの読出位置を1データ分シフトする(ステップA9)。そして、ステップA3に戻る。
一方、全てのデータについて非同期全加算部150での演算が完了したと判定した場合は(ステップA7;Yes)、相関値算出部330が、受信系列データとレプリカコードとの相関値を算出する(ステップA11)。
図8は、相関値の算出方法の説明図である。図8において、横軸は時間軸であり、縦軸は非同期全加算部150の積和演算値を示す。時間軸と平行に示した2本の破線のラインで囲まれる数値範囲は、加算結果記憶部170の有効桁数を表す数値範囲である。本実施形態では加算結果記憶部170の有効桁数をM桁としているため、数値範囲は「−2M-1〜2M-1−1」となる。
図8には、受信データDiとレプリカデータCjとの積和演算を行うことで得られる積和演算値の時間変化の一例を示している。図中の太点線が、積和演算値である。また、図中に太実線は、加算結果記憶部170に記憶される記憶値ACCである。
図8では、最初に積和演算値が減少していき、加算結果記憶部170の数値範囲を下回ると、非同期全加算部150ではオーバーフローが発生し、計数値は「−1」となる。この場合、負の数値範囲でオーバーフローが発生したことで、負の値であるはずの積和演算値は、加算結果記憶部170では正の値として記憶される。
その後、積和演算値が増加していき、加算結果記憶部170の数値範囲内になると、再び非同期全加算部150においてオーバーフローが発生し、計数値は「−1」から「0」となる。その後、積和演算値が増加していき、加算結果記憶部170の数値範囲を上回ると、非同期全加算部150においてオーバーフローが発生し、計数値は「+1」となる。この場合、正の数値範囲でオーバーフローが発生したことで、正の値であるはずの積和演算値は、加算結果記憶部170では負の値として記憶される。
その後、例えば、積和演算値が減少する方向に変化し、加算結果記憶部170の数値範囲を下回ることで計数値が「−1」となり、その後も積和演算値が減少する方向に変化し続けたことで、更にもう1回オーバーフローが発生し、計数値が「−2」になったとする。そして、その後、全てのデータについて演算が完了したとする。
この場合、相関値算出部330は、加算結果記憶部170に記憶された記憶値ACC(図中の黒丸)から相関値Corr(図中の白丸)を算出する。図8では、記憶値ACCと相関値Corrとの差は、加算結果記憶部170の数値範囲2個分、つまり「2×(2M−1)」である。このため、相関値Corrは「Corr=ACC+(−2)×(2M−1)」と計算することができる。
これを一般化すると、相関値Corrは、非同期全加算器150の個数M、オーバーフローカウンタ部195の計数値Count及び加算結果記憶部170の記憶値ACCを用いて、次式(1)のように算出することができる。
Figure 0005958138
図7の説明に戻り、処理部300は、算出した相関値を記憶部400に記憶させる(ステップA13)。そして、処理部300は、リセット信号をオーバーフローカウンタ部195に出力することでカウンタ195Aをリセット制御する(ステップA15)。ここまでの処理で、1回分の相関演算が終了となる。
受信データに対するレプリカデータのずらし量を“k”とする場合、相関値“Corr(k)”は次式(2)のように定式化することができる。
Figure 0005958138
第1回目の相関演算では、受信データに対するレプリカデータのずらし量をゼロとするため(k=0)、算出される相関値“Corr(0)”は次式(3)のようになる。
Figure 0005958138
その後、処理部300は、次の相関演算を行うか否かを判定する(ステップA17)。次の相関演算を行うと判定した場合は(ステップA17;Yes)、処理部300は、受信データ及びレプリカデータの読出開始位置を再設定する(ステップA19)。
具体的には、受信系列データとレプリカコードとの相関演算を位相をずらして行うために、受信データ及びレプリカデータの何れか一方のデータの読出開始位置を1データ分だけシフトさせ、他方のデータの読出開始位置は変化させずにそのままとする。そして、処理部300は、ステップA3に戻る。
例えば、レプリカコードの位相をずらすこととし、レプリカデータの読出開始位置を1データ分シフトさせることで、次回の相関演算のステップA11では、次式(4)で与えられる相関値“Corr(1)”が算出されることになる。
Figure 0005958138
一方、ステップA17において次の相関演算を行わないと判定した場合は(ステップA17;No)、処理部300は、相関値の算出処理を終了する。
8.作用効果
非同期相関演算回路100において、GPS衛星信号の受信データが受信データ2線符号化部130(第1の2線符号化部)によって2線符号化される。また、加算結果記憶部170の記憶値が加算結果2線符号化部180(第2の2線符号化部)によって2線符号化される。非同期全加算部150は、M個の1ビット非同期全加算器150(1)〜150(M)が縦続接続されて構成される。そして、加算結果2線符号化部180の出力値に、レプリカデータ2線符号化部140の出力値に応じた符号で受信データ2線符号化部130の出力値を加算することで、受信データとレプリカデータとの積和演算を行う。
1ビット全加算器を縦続接続して構成されるリプルキャリー型の全加算回路では、キャリー出力が最下位ビットから最上位ビットまで順番に伝搬していく。このため、キャリー出力の伝搬経路がクリティカル・パスとなり、最上位ビットの演算結果及びそのキャリー出力が確定するまでに、加算対象とするデータのビット長に比例した遅延時間が生じてしまう。しかし、本実施形態の非同期全加算部150は非同期式であるため、遅延時間の期待値は、個々の1ビット非同期全加算器の平均的な演算時間によって決定付けられる。従って、本実施形態の非同期全加算回路100Aでは、同期式の全加算回路と比べて遅延時間を短縮する効果が期待できる。
また、本実施形態の非同期相関演算回路100では、オーバーフロー検知部190が、非同期全加算部150の最上位桁の非同期全加算器のキャリー出力と、最上位桁の1つ下の桁の非同期全加算器のキャリー出力とに基づいて非同期全加算部150のオーバーフローの発生を検知する。そして、オーバーフローカウンタ部195が、オーバーフロー検知部190の検知回数を符号ビットの値に従って加算或いは減算して計数する。
具体的には、オーバーフローは正の数値範囲及び負の数値範囲の何れにおいても発生し得るため、符号ビットの値が“0”(すなわち正数)であれば計数値を増加させ、符号ビットの値が“1”(すなわち負数)であれば計数値を減少させる。これにより、処理部300は、1ビット非同期全加算器の個数M、カウンタ190Aの計数値及び加算結果記憶部170の記憶値を用いることで、式(1)から受信データとレプリカデータとの相関値を正しく算出することができる。
従って、最終的な相関値として想定される桁数分の全加算器は必ずしも必要ではなく、縦続接続する全加算器の個数を減らすことができるため、回路規模を低減させつつ、高桁数の相関演算が可能となる。また、同期設計手法で相関演算回路を構成した場合は、クロック信号の周波数に比例して消費電力が増大する傾向がある。しかし、本実施形態の非同期相関演算回路100はクロックを持たないため、クロック信号に伴う電力消費が存在しない分、消費電力の削減になる。また、クロック周波数による高速動作の上限がなく、高速動作が可能である。
9.変形例
本発明を適用可能な実施例は、上記の実施例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。以下、変形例について説明する。
9−1.適用例
上記の実施形態では、本発明の非同期全加算回路を、GPS衛星信号の受信信号とレプリカコードとの相関演算を行う非同期相関演算回路に備えて利用する場合の実施形態について説明したが、非同期全加算回路の適用例はこれに限られない。本発明の非同期全加算回路では、非同期で入力データの累積加算を行うことが可能である。
例えば、非同期全加算回路を備える演算装置を構成することが可能である。この場合、非同期全加算回路の非同期全加算部は、所与の入力データの累積加算を行う。非同期全加算回路のオーバーフロー検知部は、上記の実施形態と同様に、非同期全加算部のオーバーフローの発生を検知し、その検知回数をオーバーフローカウンタ部が計数する。そして、演算装置の処理部(算出部)は、非同期全加算器の個数M、カウンタの計数値及び加算結果記憶部の記憶値を用いて、上記の実施形態と同様の手法で、非同期全加算回路での累積加算値を算出する。
また、CDMA(Code Division Multiple Access)方式でデータ通信を行うシステムでは、送信機側で拡散符号を用いて送信データを拡散変調し、受信機側で拡散変調されたデータを逆拡散して送信データを復調する。逆拡散では、受信信号の拡散符号の位相を知る必要があるため、受信信号と擬似的な拡散符号との相関演算が必要となる。従って、衛星測位システム以外の通信システムに本発明の非同期相関演算回路を適用することも可能である。
9−2.回路の並列化
上記の実施形態では、非同期相関演算回路の個数を1つとし、受信データ或いはレプリカデータの読出開始位置をずらして、1つの非同期相関演算回路で相関演算を繰り返し実行することとして説明した。しかし、複数個の非同期相関演算回路を配置構成し、それぞれの非同期相関演算回路に異なる位相で受信信号とレプリカコードとの相関演算を並列的に行わせることとしてもよい。
これは、非同期全加算回路についても同様である。つまり、複数個の非同期全加算回路を配置構成し、それぞれの非同期全加算回路に入力データの累積加算を並列的に行わせ、これらの加算値を用いて最終的な累積加算値を算出するように回路を構成することとしてもよい。
9−3.電子機器
上記の実施形態の非同期全加算回路や非同期相関演算回路は、種々の演算装置や相関演算装置に備えて利用することが可能である。また、このような演算装置や相関演算装置を具備する電子機器として、例えば、携帯型電話機やカーナビゲーション装置、携帯型ナビゲーション装置、パソコン、PDA(Personal Digital Assistance)、歩数計、腕時計といった種々の電子機器を想定することが可能である。
9−4.衛星測位システム
上記の実施形態では、衛星測位システムとしてGPSを適用した場合の実施形態について説明したが、WAAS(Wide Area Augmentation System)やQZSS(Quasi Zenith Satellite System)、GLONASS(GLObal NAvigation Satellite System)、GALILEO等の他の衛星測位システムとしてもよいことは勿論である。
1 GPS受信機、 10 RF受信回路部、 20 ベースバンド処理回路部、 100 非同期相関演算回路、 100A 非同期全加算回路、 110 受信データ記憶部、 120 レプリカデータ記憶部、 130 受信データ2線符号化部、 140 レプリカデータ2線符号化部、 150 非同期全加算部、 160 2線復号部、 170 加算結果記憶部、 180 加算結果2線符号化部、 185 演算完了検知部、 190 オーバーフロー検知部、 195 オーバーフローカウンタ部、 200 レプリカコード生成部、 300 処理部、 310 受信データ読出制御部、 320 レプリカデータ読出制御部、 330 相関値算出部、 400 記憶部

Claims (6)

  1. 所与の入力データを2線符号化する第1の2線符号化部と、
    入力される加算結果を記憶する記憶部と、
    前記記憶部の記憶値を2線符号化する第2の2線符号化部と、
    M個の1ビット非同期全加算器が縦続接続されて構成され、前記第2の2線符号化部の出力値に前記第1の2線符号化部の出力値を加算して最上位桁を符号ビットとするMビットの加算結果を出力する非同期全加算部と、
    前記非同期全加算部による2線符号の出力値を復号して前記記憶部に出力する2線復号部と、
    前記非同期全加算部の最上位桁の前記1ビット非同期全加算器のキャリー出力と、最上位桁の1つ下の桁の前記1ビット非同期全加算器のキャリー出力とに基づいて前記非同期全加算部のオーバーフローの発生を検知するオーバーフロー検知部と、
    前記オーバーフロー検知部の検知回数を前記符号ビットの値に従って加算或いは減算して計数するカウンタと、
    を備えた非同期全加算回路。
  2. 前記オーバーフロー検知部は、前記非同期全加算部の最上位桁の前記1ビット非同期全加算器のキャリー出力と、最上位桁の1つ下の桁の前記1ビット非同期全加算器のキャリー出力との排他的論理和に基づいてオーバーフローの発生を検知する、
    請求項1に記載の非同期全加算回路。
  3. 前記1ビット非同期全加算器全ての演算完了を検知する演算完了検知部を更に備え、
    前記オーバーフロー検知部は、前記演算完了検知部による検知がなされた際の、最上位桁の前記1ビット非同期全加算器のキャリー出力と最上位桁の1つ下の桁の前記1ビット非同期全加算器のキャリー出力とに基づいて、オーバーフローの発生を検知する、
    請求項1又は2に記載の非同期全加算回路。
  4. 所与の1ビットデータを2線符号化する第3の2線符号化部と、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の非同期全加算回路と、
    を備え、
    前記非同期全加算部が、前記第2の2線符号化部の出力値に、前記第3の2線符号化部の出力値に応じた符号で前記第1の2線符号化部の出力値を加算することで、前記非同期全加算回路が前記所与の入力データと前記所与の1ビットデータとの相関値を算出することを特徴とする非同期相関演算回路。
  5. 請求項1〜3の何れか一項に記載の非同期全加算回路と、
    前記1ビット非同期全加算器の個数M、前記カウンタの計数値及び前記記憶部の記憶値を用いて、前記非同期全加算回路での累積加算値を算出する算出部と、
    を備えた演算装置。
  6. 請求項4に記載の非同期相関演算回路と、
    前記1ビット非同期全加算器の個数M、前記カウンタの計数値及び前記記憶部の記憶値を用いて、前記非同期全加算回路での累積加算値を、前記所与の入力データと前記所与の1ビットデータとの相関値として算出する算出部と、
    を備えた相関演算装置。
JP2012160509A 2012-07-19 2012-07-19 非同期全加算回路、非同期相関演算回路、演算装置及び相関演算装置 Expired - Fee Related JP5958138B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012160509A JP5958138B2 (ja) 2012-07-19 2012-07-19 非同期全加算回路、非同期相関演算回路、演算装置及び相関演算装置
US13/944,346 US8995500B2 (en) 2012-07-19 2013-07-17 Asynchronous correlation circuit, asynchronous full adder circuit, calculation device, correlation device, asynchronous maximum value N detection circuit, and satellite signal acquisition device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012160509A JP5958138B2 (ja) 2012-07-19 2012-07-19 非同期全加算回路、非同期相関演算回路、演算装置及び相関演算装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014021762A JP2014021762A (ja) 2014-02-03
JP5958138B2 true JP5958138B2 (ja) 2016-07-27

Family

ID=50196559

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012160509A Expired - Fee Related JP5958138B2 (ja) 2012-07-19 2012-07-19 非同期全加算回路、非同期相関演算回路、演算装置及び相関演算装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5958138B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3487783B2 (ja) * 1999-03-17 2004-01-19 富士通株式会社 加算回路、それを利用した積分回路、及びそれを利用した同期確立回路
JP3912545B2 (ja) * 2004-03-24 2007-05-09 セイコーエプソン株式会社 非同期加算器、非同期プロセッサ、及び電子機器
JP5929583B2 (ja) * 2012-07-19 2016-06-08 セイコーエプソン株式会社 非同期最大n値検出回路及び衛星信号捕捉装置
JP5920081B2 (ja) * 2012-07-19 2016-05-18 セイコーエプソン株式会社 非同期相関演算回路

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014021762A (ja) 2014-02-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8634504B2 (en) Correlation calculating method, satellite signal capturing method, and correlation calculating circuit
US8406277B2 (en) Signal processor and signal processing method
US7430196B2 (en) Transmission systems
US20140219320A1 (en) Accumulating Data Values
US7558312B2 (en) Parallel correlator implementation using block integration for spread-spectrum communication
JP5958138B2 (ja) 非同期全加算回路、非同期相関演算回路、演算装置及び相関演算装置
JPWO2011001601A1 (ja) キャリア周波数同期検出回路及び相関演算器
US8995500B2 (en) Asynchronous correlation circuit, asynchronous full adder circuit, calculation device, correlation device, asynchronous maximum value N detection circuit, and satellite signal acquisition device
JP5920081B2 (ja) 非同期相関演算回路
JP5929583B2 (ja) 非同期最大n値検出回路及び衛星信号捕捉装置
KR100392137B1 (ko) 포착 방법 및 상기 방법을 실시하기 위한 장치
US9032009B2 (en) Multiplier circuit
EP3511741B1 (en) Positioning receiver
US8437435B2 (en) Correlation computation method, device and system
KR940009238B1 (ko) 디지탈 거리 상관장치 및 방법
US7391364B2 (en) Global positioning system receiver and correlating circuit thereof
TWI842503B (zh) 相關值計算方法及裝置
JP2005333456A (ja) スペクトラム拡散信号受信装置
US5602546A (en) Method and apparatus for the rapid testing and elimination of hypothesis code sequences
RU123543U1 (ru) Блок обработки сигналов глобальных навигационных спутниковых систем
RU107613U1 (ru) Устройство для приема дискретных сигналов
RU2284665C1 (ru) Устройство для цикловой синхронизации
EP3920053A1 (en) Computation circuit, digital filter, transmission device, relay device, satellite, and computation method
CN101506680A (zh) 涉及接收机中的非相干积分的改进过程
CN118033685A (zh) 钟差基准跳变偏差确定方法、装置、设备及介质

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150622

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160524

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160525

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160606

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5958138

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees