JP5956017B2 - 牛の判別方法、及び牛の判別用キット - Google Patents

牛の判別方法、及び牛の判別用キット Download PDF

Info

Publication number
JP5956017B2
JP5956017B2 JP2015099337A JP2015099337A JP5956017B2 JP 5956017 B2 JP5956017 B2 JP 5956017B2 JP 2015099337 A JP2015099337 A JP 2015099337A JP 2015099337 A JP2015099337 A JP 2015099337A JP 5956017 B2 JP5956017 B2 JP 5956017B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
amino acid
cattle
acid sequence
content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015099337A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015148630A (ja
JP2015148630A5 (ja
Inventor
松本 和也
和也 松本
康一 森本
康一 森本
春香 池上
春香 池上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kinki University
Original Assignee
Kinki University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kinki University filed Critical Kinki University
Priority to JP2015099337A priority Critical patent/JP5956017B2/ja
Publication of JP2015148630A publication Critical patent/JP2015148630A/ja
Publication of JP2015148630A5 publication Critical patent/JP2015148630A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5956017B2 publication Critical patent/JP5956017B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Description

この発明は、枝肉重量やBMSナンバーなどの経済形質が優れた牛を判別する牛の判別方
法、及びそれに使用する牛の判別用キットに関する。
現在、肉用牛、特に日本固有の肉用専門種である黒毛和種牛の育種改良の多くは、これ
まで蓄積された表現型情報と血統情報に基づく統計遺伝学的解析を基盤として牛の遺伝的
能力を推定する統計遺伝学的育種改良方法に基づいて行われている。そして、この育種改
良方法の確立は、黒毛和種の遺伝的能力の向上に多大な貢献をしている。
ただ、この統計遺伝学的育種改良方法は、肉用牛集団で有する優良遺伝子型が後代の集
団に受け継がれる確率を推定する方法であり、個々の肉用牛が有する脂肪交雑、枝肉重量
、ロース芯面積、バラ厚などの経済形質に関する遺伝的情報を把握することはできなかっ
た。
また、経済形質は遺伝的要因だけではなく環境の影響を受けることも多いため、遺伝的
要因に基づいて優良な個体を厳格に選抜するのは困難であった。さらに、統計遺伝学的方
法に基づく育種改良方法は、牛の交配・肥育などのプロセスを必要とするため、育種には
多大なコストと時間が掛かっていた。
そこで、1980年代後半から、遺伝子を利用した育種方法、具体的には、肉用牛の経済形
質などの量的形質に関与する遺伝子の数やそれらの連鎖地図上での位置を明らかにする量
的形質遺伝子座(QTL)解析が行われている。この解析方法は、肉用牛の経済形質に関す
る責任遺伝子の同定に画期的な成果をもたらすものとして期待されており、牛DNAマーカ
ーを利用した育種方法の開発を目指した研究が進められている(非特許文献1及び2を参
照。)。
ただ、これまでのところ、この方法はクローディン16欠損症など劣性遺伝病の原因遺伝
子の同定には寄与しているものの、経済形質に関与する責任遺伝子を同定し、それを利用
した肉用牛の育種改良法を確立するまでには至っていない。
また、最近、経済形質の表現型には、責任遺伝子だけでなく、その遺伝子の発現を調節
する遺伝子、DNAのメチル化などのエピジェネティック修飾も関与しているため、解析を
行う際にはこれらについても考慮しなければならないと考えられている。さらに、QTL解
析は、適当な交配親を選択するのが困難であり、家系育成というプロセスを必要とするた
め、育種には統計遺伝学的方法と同じように多大なコストと時間を必要とする。
一方、現在の生命科学全体の研究では、ゲノム研究の次の段階の研究(ポストゲノム研
究)、具体的には、トランスクリプトーム解析、プロテオーム解析、メタボローム解析な
どの解析手法を利用したオミックス研究に注目が集まっており、中でも、網羅的・系統的
に蛋白質の機能やその関連性を分析するプロテオーム解析が盛んに行なわれている。
この理由として、遺伝子の最終産物である蛋白質は、直接生理学的機能を発揮する分子
であり、その発現量や分子修飾によって変化した蛋白質が、細胞・組織・個体レベルで生
理機能に直接に関与していることが挙げられている。また、別の理由として、プロテオー
ム解析では、交配・飼育や家系育成などの時間とコストの掛かるプロセスを必要としない
ことが挙げられている。
プロテオーム解析は様々な分野で応用が広がっているが、特に、医学分野での研究が進
んでいる。例えば、遺伝子の変異と病態との因果関係が少ない遺伝子疾患以外の疾患では
、細胞内プロセスの蛋白質機能の変化が発症に直接の引き金となっていると考えられてい
るため、プロテオーム解析により疾患で変化する蛋白質を捉えて、疾患の有無や病態を診
断するためのバイオマーカーの同定と開発が活発に行われている(特許文献1〜4及び非
特許文献3を参照。)。
しかし、プロテオーム解析の畜産分野への応用は大変遅れており、肉用牛の経済形質に
関与する蛋白質を同定し、これらの蛋白質を利用して有用な経済形質を有する牛の判別は
、発明者らによって研究されてはいるものの(特許文献5を参照。)、全てが明らかにさ
れたわけではない。
特開2006−308533号公報 特開2007−93597号公報 特開2007−139742号公報 特開2007−523346号公報 特許4722224号公報
動物遺伝研究所年報(第11号)、社団法人畜産技術協会付属動物遺伝研究所発行、2004年 肉用牛遺伝資源活用体制整備事業報告書、社団法人畜産技術協会発行、2005年 「疾患プロテオミクスの最前線」、(株)メディカルドゥ発行、2005年
そこで、この発明は、プロテオーム解析によって肉用牛の経済形質に関与する蛋白質を
同定し、これらの蛋白質をバイオマーカーとして有用な経済形質を有する牛を個別に判別
する方法、及びこの方法に使用する牛の判別用キットを提供することを課題とする。
発明者らは、牛の経済形質に関係するバイオマーカーとして利用可能な蛋白質を探索す
るため、二次元電気泳動、質量分析、統計学的手法によるデータ解析を併用して、牛の血
清に含まれる蛋白質とその牛の経済形質との相関を網羅的に調べた。その結果、特定蛋白
質の含有量と経済形質との間に有意に相関があることを発見し、この発明を完成させた。
すなわち、本発明にかかる牛の判別方法は、(1)牛から血液を採取する採取工程と、(2)採取した血液から全蛋白質を抽出する抽出工程と、(3)抽出した全蛋白質中に含有される下記(a)及び(b)に記載の特定蛋白質のうち、牛個体の特定の経済形質と関係する1つ以上の特定蛋白質の含有量を測定する測定工程と、(4)測定工程で測定された特定蛋白質の含有量に基づいて、経済的形質に優れる牛個体を判別する判別工程と、を含む牛の判別方法である。
なお、(a)は配列番号1から40に記載のアミノ酸配列によって構成されている牛の
蛋白質、(b)は(a)の蛋白質を構成するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミ
ノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列によって構成されている牛の蛋白
質、(c)は(a)及び(b)の前駆体蛋白質及び成熟体蛋白質、(d)は(a)、(b
)、及び(c)の修飾蛋白質である。
また、経済形質とは、具体的には、枝肉重量、ロース芯面積、バラの厚さ、皮下脂肪の
厚さ、歩留基準値、BMSナンバー(脂肪交雑度合い)等のことである。
本発明にかかる牛の判別方法は、上記測定工程において、特定蛋白質を電気泳動により測定する方法であってもよい
本発明にかかる牛の判別方法は、上記測定工程において、特定蛋白質を抗原抗体反応により測定する方法であってもよい
本発明にかかる牛の判別用キットは、少なくともロース芯面積に係る特定蛋白質に対して特異的に結合する抗体を含む、ロース芯面積の大きな牛個体を判別する判別用キットである。
この発明の牛の判別方法及び判別用キットを利用することによって、BMSナンバーが高
い等の経済形質に優れた牛個体を容易に判別することができる。また、判別された牛は高
い生産性を備えている。そのため、この発明の牛の判別方法などを利用することによって
、畜産における生産性を向上し、畜産に従事する農家の生活をより向上・安定させること
ができる。
枝肉重量と関連する蛋白質スポットを明示した牛血清のメジャー画分蛋白質の二次元電気泳動写真である。 枝肉重量と関連する蛋白質スポットを明示した牛血清のマイナー画分蛋白質の二次元電気泳動写真である。 ロース芯面積と関連する蛋白質スポットを明示した牛血清のメジャー画分蛋白質の二次元電気泳動写真である。 ロース芯面積と関連する蛋白質スポットを明示した牛血清のマイナー画分蛋白質の二次元電気泳動写真である。 バラの厚さと関連する蛋白質スポットを明示した牛血清のメジャー画分蛋白質の二次元電気泳動写真である。 バラの厚さと関連する蛋白質スポットを明示した牛血清のマイナー画分蛋白質の二次元電気泳動写真である。 皮下脂肪の厚さと関連する蛋白質スポットを明示した牛血清のメジャー画分蛋白質の二次元電気泳動写真である。 皮下脂肪の厚さと関連する蛋白質スポットを明示した牛血清のマイナー画分蛋白質の二次元電気泳動写真である。 歩留基準値と関連する蛋白質スポットを明示した牛血清のメジャー画分蛋白質の二次元電気泳動写真である。 歩留基準値と関連する蛋白質スポットを明示した牛血清のマイナー画分蛋白質の二次元電気泳動写真である。 BMSナンバーと関連する蛋白質スポットを明示した牛血清のメジャー画分蛋白質の二次元電気泳動写真である。 BMSナンバー関連する蛋白質スポットを明示した牛血清のマイナー画分蛋白質の二次元電気泳動写真である。 枝肉重量において上位群に含まれる牛で、発現量が有意に増加するメジャー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 枝肉重量において上位群に含まれる牛で、発現量が有意に減少するマイナー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 枝肉重量において上位群に含まれる牛で、発現量が有意に減少するマイナー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。(続き) 枝肉重量において上位群に含まれる牛で、発現量が有意に増加するマイナー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 ロース芯面積において上位群に含まれる牛で、発現量が有意に減少するメジャー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 ロース芯面積において上位群に含まれる牛で、発現量が有意に増加するメジャー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 ロース芯面積において上位群に含まれる牛で、発現量が有意に減少するマイナー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 バラの厚さにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に減少するメジャー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 バラの厚さにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に減少するマイナー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 バラの厚さにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に増加するマイナー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 バラの厚さにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に増加するマイナー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。(続き) 皮下脂肪の厚さにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に減少するメジャー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 皮下脂肪の厚さにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に増加するメジャー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 皮下脂肪の厚さにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に増加するメジャー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。(続き1) 皮下脂肪の厚さにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に増加するメジャー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。(続き2) 皮下脂肪の厚さにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に減少するマイナー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 皮下脂肪の厚さにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に減少するマイナー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。(続き) 皮下脂肪の厚さにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に増加するマイナー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 皮下脂肪の厚さにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に増加するマイナー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。(続き) 歩留基準値において上位群に含まれる牛で、発現量が有意に減少するメジャー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 歩留基準値において上位群に含まれる牛で、発現量が有意に減少するマイナー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 BMSナンバーにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に減少するメジャー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 BMSナンバーにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に増加するメジャー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 BMSナンバーにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に増加するメジャー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。(続き) BMSナンバーにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に減少するマイナー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。 BMSナンバーにおいて上位群に含まれる牛で、発現量が有意に増加するマイナー画分蛋白質由来の蛋白質スポットの散布図である。
1.判別方法
この発明の牛の判別方法は、(1)牛から体液・体組織を採取する採取工程と、(2)
採取した体液・体組織から全蛋白質を抽出する抽出工程と、(3)抽出した全蛋白質中に
含まれる特定蛋白質の量を測定する測定工程と、(4)測定した特定蛋白質の量に基づい
て牛の経済形質を判別する判別工程と、を含む方法である。そこで、各工程の詳細等につ
いて以下に説明する。
(1)採取工程
採取工程は、体液・体組織を採取する工程であり、採取する体液・体組織としては、蛋
白質を含有している体液・体組織であればよく、具体的には、血液、尿、脂肪組織、筋肉
組織、皮膚組織、内蔵組織などが挙げられる。中でも、採材時に検体への侵襲が少なく採
取が容易な血液が好ましい。
体液・体組織の採取方法は、公知の方法であれば特に限定することなく使用できる。具
体的には、注射による吸引、局所麻酔下での外科手術、脂肪吸引法が挙げられる。なお、
脂肪吸引法とは、美容成形外科などで一般的に行なわれている方法であり、具体的には、
超音波脂肪吸引、カニューレ等を使用するパワードリポサクション、シリンジ吸引等によ
る方法が例示できる。
(2)抽出工程
抽出工程は、体液・体組織から全蛋白質を抽出する工程であり、後述する測定工程で使
用できる量と質の全蛋白質を抽出できる公知の方法であれば特に限定することなく使用す
ることができる。具体的には、体組織を適当なpHを有する緩衝液等に入れ、ホモジナイザ
ーによって組織、細胞を破砕し、遠心分離して上清を得る方法などが挙げられる。なお、
必要に応じて、酵素処理や有機溶媒による処理を加えてもよい。
(3)測定工程
測定工程は、抽出した全蛋白質中に含まれている特定蛋白質の量を電気泳動、抗原抗体
反応等を使用して測定する工程である。測定工程の詳細については、以下に説明する。
1)特定蛋白質
特定蛋白質とは、具体的には、(a)配列番号1から40に記載のアミノ酸配列によっ
て構成されている牛の蛋白質、(b)(a)の蛋白質を構成するアミノ酸配列において1
若しくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列によって構成
されている牛の蛋白質、(c)(a)及び(b)の前駆体蛋白質及び成熟体蛋白質、(d
)(a)、(b)、及び(c)の修飾蛋白質である。
なお、前駆体蛋白質とは、蛋白質が酵素等による切断をうけて成熟体となる前の蛋白質
であり、成熟体蛋白質とは、アミノ酸の部分配列が酵素等による切断をうけた蛋白質のこ
とである。また、修飾蛋白質とは、糖鎖修飾、リン酸化、アセチル化、メチル化などの化
学修飾をうけた蛋白質のことである。
2)電気泳動による測定
電気泳動による測定は、蛋白質の電荷や等電点の違いを利用して蛋白質を分離したのち
、特定蛋白質を測定する公知の方法であればよい。具体的には、下記の(a)一次元電気
泳動による測定、及び(b)二次元電気泳動による測定が挙げられる。
(a)一次元電気泳動による測定
一次元電気泳動による測定は、例えば、ウエスタンブロッティング法によって行う。よ
り具体的には、次のようにして行う。まず、ネイディブゲルやSDSポリアクリルアミドゲ
ルを利用する電気泳動によって蛋白質を分離し、分離した蛋白質をPVDF膜などに転写する
。次に、特定蛋白質に対する抗体や当該抗体に対する抗体(二次抗体)を使用する抗原抗
体反応により、PVDF膜を発色させる。最後に、発色後のPVDF膜の画像をスキャナーやCCD
カメラによってコンピュータに取り込み、取込んだ画像のノイズの低減やバックグラウン
ドの補正をしたのち、特定蛋白質バンドを測定することにより、特定蛋白質の含有量を測
定する。
なお、前記抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、一本鎖抗体、ヒ
ト化抗体、キメラ抗体、2つのエピトープを同時に認識することができる二機能性抗体等
を例示することができる。なお、これら抗体は、ハイブリドーマ法などの慣用のプロトコ
ールを使用して、ヒト以外の動物に、1)の特定蛋白質やその断片を投与することにより
産生することができる。
また、前記抗体は、FITC(フルオレセインイソシアネート)又はテトラメチルローダミ
ンイソシアネート等の蛍光物質や、125I、32P、14C、35S又は3H等のラジオアイソトープ
や、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ又はフィコエリ
トリン等の酵素で標識してもよく、前記抗体とグリーン蛍光蛋白質(GFP)等の蛍光発光
蛋白質などと融合させてもよい。
(b)二次元電気泳動による測定
二次元電気泳動による測定は、二次元電気泳動とその泳動像の分析によって行う。この
発明で使用する二次元電気泳動法は、等電点と分子量という蛋白質の有する2つの物性を
利用して分離する方法であれば、特に制限することなく公知の方法を利用することができ
る。具体的には、キャピラリーゲルやストリップゲルなどを使用して一次元目の等電点電
気泳動を行い、泳動後のゲルをSDS-ポリアクリルアミドゲル(SDS-PAGE)あるいはアガロ
ースゲルに載せ、等電点電気泳動の展開方向に対して直角の方向に電気泳動することによ
り行う方法が挙げられる。
二次元電気泳動像の分析は、ゲルをクマシーブリリアントブルー(CBB)、SYPRO Ruby
(登録商標)、銀染色法等の公知の方法により染色し、染色したゲルの画像をスキャナー
やCCDカメラによってコンピュータに取り込み、取込んだ画像の歪みやノイズの低減、バ
ックグラウンドの補正等をしたのち、特定蛋白質スポットを測定することによって行う。
3)抗原抗体反応による測定
抗原抗体反応による測定は、特定蛋白質と特異的に結合する抗体とを使用する公知の免
疫学的測定方法であればよい。具体的には、ELISA法、AlphaLISA法、RIA法、蛍光抗体法
、免疫組織化学法等が挙げられる。なお、これらに使用する抗体は前記一次元電気泳動で
使用したものと同一である。
(4)判別工程
判別工程は、全蛋白中の特定蛋白質の含有量に基づいて牛の経済形質を判別する工程で
ある。具体的には、特定蛋白質の含有量について予め閾値を計算しておき、この閾値に基
づいて各個体を判別する。より具体的には、例えば、以下のようにして判別する。
まず、予め複数の牛について、ある特定の経済形質、例えば枝肉重量を測定して、その
平均値と標準偏差を求める。ここで、判別の精度を上げるためには、測定する牛の数は多
ければ多いほどよい。
つぎに、枝肉重量がその平均値+標準偏差の値よりも大きい牛からなる群(以下、上位
群と省略する。)と、平均値−標準偏差の値よりも小さい牛からなる群(以下、下位群と
省略する。)を選抜する。
さらに、選抜した上位群と下位群に属する牛の特定蛋白質の含有量をそれぞれ測定し、
群ごとの平均値(閾値)を求める。
そして、被判別個体の特定蛋白質の含有量が、上位群の平均値(閾値)よりも大きい(
又は小さい)場合には枝肉重量が大きく(又は小さく)なる可能性が高くなると判断し、下
位群の平均値(閾値)よりも小さい(又は大きい)場合には枝肉重量が小さく(又は大きく)
なると判断する。
なお、上記の例では、平均値と標準偏差の値を使用して各群に含まれる牛を選抜したが
、上位α%及び下位α%に含まれる牛を選抜するようにしてもよい。この場合、αの値を小
さくすればするほど、判別の確度を高くすることができる。
2.判別用キット
抗原抗体反応による特定蛋白質の測定に必要な抗体、二次抗体、発色剤、緩衝液等は、
市販のものを別々に購入して使用してもよい。しかし、これらを組み合わせて予めキット
としておけば、各構成要素を別々に購入する手間を省き、抗原抗体反応による測定を容易
に行うことができる。また、蛋白質の抽出に必要な緩衝液なども併せてキット化しておけ
ば、牛個体の経済形質の判別をより容易に行うことができる。
以下、この発明について実施例に基づいてより詳細に説明するが、以下の実施例によっ
て、この発明の特許請求の範囲は如何なる意味においても制限されるものではない。
1.バイオマーカーとして利用可能な蛋白質の探索
血統・肉質が既に分かっている去勢牛の血清サンプルから、全蛋白質(プロテオーム)
を抽出して、各個体の肉質などの形質とプロテオームとを相関分析することによって、バ
イオマーカーとして利用可能な蛋白質を探索した。以下にその詳細を示す。なお、特に記
載しない限り、以下の%は体積%を意味する。
(1)蛋白質抽出
牛血清サンプルには、血統、枝肉重量、ロース芯面積、BMSナンバー等の経済形質が判
明している牛個体から採取され、岐阜県畜産試験場で冷凍保存されている血清サンプルを
使用した。
全蛋白質は次のようにして抽出した。まず、血清1mlをProteoMiner Protein Enrichmen
t kit(バイオラッド社製)を使用して高含有量蛋白質画分(以下、メジャー画分と省略
する。)と低含有量蛋白質画分(以下、マイナー画分と省略する。)に分画した。
メジャー画分については、抽出溶液(420mg/ml尿素, 140.3mg/ml チオ尿素,40mg/ml CH
APS,0.5% IPG緩衝液(IPG Buffer pH 3-11 NL,GEヘルスケア社製),0.05% Tributylphosp
hin(以下、TBPと省略する。),0.1mg/ml ブロモフェノールブルー(以下、BPBと省略する
。)を含む溶液)に溶解した。
マイナー画分については、マイナー画分の溶液の体積の3倍量のアセトンを加えて脱塩
し、メジャー画分の蛋白質を溶解したものと同じ組成の抽出溶液に溶解した。
つぎに、プロテインアッセイ(バイオラッド社製)と分光光度計(Nanovue Plus,GE H
ealthcare社製)を使用して、Bradford-HCl変法(Electrophoresis 1985, 6, 559-563.を
参照。)により全蛋白質濃度を測定した。なお、測定では、標準蛋白質として牛γ−グロ
ブリンを使用し、595nmの吸光度を測定した。
(2)二次元電気泳動
1)一次元目(等電点電気泳動)
(1)で得たサンプルの内、メジャー画分蛋白質については、膨潤液(420mg/ml尿素,
140.3mg/mlチオ尿素,40mg/ml CHAPS,0.5% IPG緩衝液(IPG Buffer pH 3-11 NL(GEヘルス
ケア社製),0.05% TBP,0.1 mg/ml BPBを含む。)に蛋白質濃度が0.25mg/mlとなるように
混和・希釈した。サンプルを含む膨潤液400μl(蛋白質100μg)を膨潤トレイ(GEヘルス
ケア社製)に注入し、その上側からドライストリップゲル(Immobiline DryStrip pH3-11
NL 18cm,GEヘルスケア社製)で覆った。
マイナー画分蛋白質については、同膨潤液に蛋白質濃度が0.33mg/mlとなるように混和
・希釈した。サンプルを含む膨潤液300μl(蛋白質100μg)を膨潤トレイ(GEヘルスケア
社製)に注入し、その上側からドライストリップゲル(Immobiline DryStrip pH3-11 NL
13cm,GEヘルスケア社製)で覆った。
ドライストリップの乾燥を防ぐため、ドライストリップの上にミネラルオイル(Immobi
line DryStrip Cover Fluid,GEヘルスケア社製)を重層するとともに、膨潤トレイにカバ
ーをして6時間以上静置し、ドライストリップを膨潤させた。ドライストリップをMultiph
or II(GEヘルスケア社製)にセットして、15℃で等電点電気泳動した。
2)二次元目(SDS-PAGE)
等電点電気泳動が完了したドライストリップをSDS平衡化緩衝液(a)(6.057mg/ml Tris-
HCl(pH8.8),360.4mg/ml 尿素,30%グリセロール,20mg/ml SDS, 10mg/ml DTTを含む。)に1
5分間浸透し、SDS平衡化緩衝液(a)を捨てSDS平衡化緩衝液(b)(6.057mg/ml Tris-HCl(pH8
.8),360.4mg/ml尿素,30% グリセロール,20mg/ml SDS,25mg/ml ヨードアセトアミドを含む
。)に15分間浸透して平衡化した。平衡化したドライストリップをSDS-PAGEゲル(ゲル濃
度:メジャー画分12.5%、マイナー画分10.5%)の上部に置いた。
スラブ電気泳動装置(メジャー画分:Tetra-200,アナテック社製、マイナー画分:Dual
-160,アナテック社製)にゲルをセットして、泳動バッファー(3mg/mgトリス,14.4mg/ml
グリシン,1mg/ml SDS)を満たし、ゲル一枚につき30mAで、BPBバンドがゲル下端に見える
まで泳動した。
3)染色
電気泳動が完了したゲルをプラスチック容器に移し、ゲルが充分に浸る量の固定液(10
%メタノール、7%酢酸水溶液)を加え、室温で約30分間静かに振盪した。固定液を新しい
ものに交換し、さらに、室温で約30分間静かに振盪した。
プラスチック容器から固定液を捨て、固定液で4倍希釈したSYPRO Ruby染色液(登録商
標、Molecular Probes社製)を加え、プラスチック容器全体を遮光するため、アルミホイ
ルで覆った。プラスチック容器を、室温で約12時間静かに振盪した。
プラスチック容器から染色液を除き、ゲルが充分浸る量の脱色液(10%エタノール)を
加え、プラスチック容器全体を遮光するため、アルミホイルで覆った。プラスチック容器
を、室温で約30分間静かに振盪した。なお、染色したゲルは後述の画像解析と蛋白質同定
に使用するまで、脱色液中で保存した。
(3)画像解析
染色したゲルからゲル画像撮影装置(アルファイメージャー,アルファイノテック社製
)を使用して泳動画像を取り込んだ。取込んだ画像は、画像処理ソフト(Progenesis TT9
00,Nonlinear Dynamics社製)を使用して画像のゆがみを補正したのち、画像解析ソフト
(Progenesis PG220,Nonlinear Dynamics社製)を使用して蛋白質スポットの強度(Volume)
の測定、ゲル間(個体間)での蛋白質スポットのマッチング、各スポットの定量を行なっ
た。
2.蛋白質の同定
画像解析により検出された蛋白質スポットのうち、経済形質等に関係する蛋白質スポッ
トを選抜し、選抜した蛋白質を染色したゲルから抽出し、質量分析法を利用して同定した
。具体的には、以下の手順で行った。
(1)経済形質に関係する蛋白質スポットの選抜
まず、経済形質ごとに、上位群と下位群とを選抜した。つぎに、蛋白質スポットごとに
、上位群に属する個体の含有量の平均値と下位群に属する個体の含有量の平均値を計算し
た。そして、上位群に属する個体含有量の平均値と下位群に属する個体の含有量の平均値
との間で、統計学的に有意な差(t検定,p<0.05)がある蛋白質スポットを選抜した。
(2)ゲルからの抽出
ゲルから蛋白質スポットを含む部分をピンセットで切り出し、切り出したゲルを96穴MT
Pプレートのウェルに入れ、脱色液A(メタノールと100mM炭酸水素アンモニウム水溶液
とを等量混合した液)0.1ml中に20分間3回浸した。脱色液Aを除去し、100%アセトニト
リル0.1ml中に5分間浸した。アセトニトリルを蒸発させ、ゲルを完全に乾燥させた。乾燥
させたゲルに、トリプシン溶液(0.83μg/mlトリプシン(Sequencing grade Trypsin,Pro
mega社製),25mM炭酸水素アンモニウム)30μlを加え、30℃で一晩反応させ、抽出液を得
た。
(3)脱塩
マイクロピペットの先端にZipTipμC18ピペットチップ(登録商標,日本ミリポア社製
)を取り付け、90%アセトニトリル水溶液を数回ピペッティングしてピペットチップを洗
浄したのち、0.1%トリフルオロ酢酸(以下、TFAと省略する。)水溶液を数回ピペッティ
ングしてピペットチップを平衡化した。洗浄・平衡化したピペットチップで抽出液を数回
ピペッティングして、抽出液に含まれる蛋白質分解物をピペットチップ中の樹脂に結合さ
せた。このピペットチップで洗浄液(0.1%TFA水溶液)を数回ピペッティングして、ピペ
ットチップに残っている塩分を洗い流した。最後に、このピペットチップからマトリック
ス溶液(2mg/ml CHCA,0.1%TFA,70%アセトニトリルを含む溶液)1μlで蛋白質を溶出し
た。
(4)質量分析
蛋白質を含む溶出液1μlをMALDI-TOF/TOF型質量分析計(Applied Biosystems 4700 Prot
eomics Analyzer,アプライドバイオシステムズ社製)のターゲットプレートに添加し、常
温で静置して結晶化させ、MSスペクトルとMS/MSスペクトルを測定した。
(5)蛋白質の同定
質量分析によって得られたMSスペクトルとMS/MSスペクトルのデータをMASCOT(Matrix S
cience社)に入力して、Swiss Prot (現UniProt,http://www.ebi.ac.uk/uniprot/)やNCBI
nr(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)などの公共の蛋白質配列データベースに対して、ペプ
チドマスフィンガープリント(PMF)分析、MS/MSイオンサーチ分析し、蛋白質を同定した
(6)実験結果
1)全般的なまとめ
「上位群」、「下位群」に属する個体を選抜する基準とした数値及び各群に属する個体
数を表1に示す。また、「上位群」と「下位群」の間で含有量に有意差のある蛋白質スポ
ットの数を表2に示す。
また、各経済形質に関係する蛋白質スポットを明示した二次元電気泳動写真を図1から
図12に示す。図1から図12の内、奇数番号の図はメジャー画分蛋白質の二次元電気泳
動写真であり、図1から図12の内、偶数番号の図はマイナー画分蛋白質の二次元電気泳
動写真である。なお、これらの図において、実線で示した蛋白質スポットは、上位群に含
まれる牛のほうが発現量の多い蛋白質である。また、点線で示した蛋白質スポットは、上
位群に含まれる牛のほうが発現量の少ない蛋白質である。さらに、二次元電気泳動写真の
横軸は等電点(pI)、縦軸は分子量(kDa)である。
さらに、各経済形質に関係する蛋白質スポットの散布図を図13から図38に示す。な
お、散布図は、蛋白質スポットごとに区分して記載している。各区分には、各蛋白質スポ
ットのスポット番号、及び同定したタンパク質の名称及びグラフが記載してある。また、
各区分中のグラフの縦軸は蛋白質スポットごとの定量値、「AVE」は各群の定量値の平均
値、「P」は有意差検定(t検定)のP値(何れもP<0.05で有意差あり。)を、それぞれ示し
ている。さらに、5%水準で有意差のあった蛋白質スポットの散布図には「*」を、1%水
準で有意差のあった蛋白質スポットの散布図には「**」を、0.1%水準で有意差のあった
蛋白質スポットの散布図には「***」をそれぞれ記している。
2)枝肉重量
枝肉重量と関連する蛋白質スポットを明示した二次元電気泳動写真を図1と図2に示す
。また、図1中の蛋白質スポットの散布図を図13に示す。なお、図13は、上位群に含
まれる牛のほうが、発現量が有意に増加する蛋白質スポットの散布図である。さらに、図
2中の蛋白質スポットの散布図を図14〜図16に示す。なお、図14〜図15は、上位
群に含まれる牛のほうが、発現量が有意に減少する蛋白質スポットの散布図である。反対
に、図16は、上位群に含まれる牛のほうが、発現量が有意に増加する蛋白質スポットの
散布図である。
これらの図に基づいて、枝肉重量について有意差が生じた蛋白質スポットを同定した。
その結果(スポット番号,電気泳動ゲル上の等電点と分子量,同定蛋白質名と公共DB上の
ID,配列表番号)を表3〜表6に示す。表3と表4はメジャー蛋白質画分に由来する蛋白
質スポットである。表5と表6はマイナー蛋白質画分に由来する蛋白質スポットである。
なお、発現量が微量であるため同定されていない蛋白質スポットについては、スポット番
号と等電点と分子量のみ記載している(以下すべての表において同じ。)。
以上の結果から、枝肉重量が増すごとに表3と表5に記載の蛋白質の発現量が減少する
ことが分かった。また、枝肉重量が増すごとに表4と表6に記載の蛋白質の発現量が増加
することが分かった。
このことは、全蛋白質に含まれる前記蛋白質の量を測定することによって、枝肉重量が
大きい牛を判別することができる可能性を示している。すなわち、前記の蛋白質が、枝肉
重量の大きさを検定する際のバイオマーカーとして使用できる可能性を備えていることを
示している。
3)ロース芯面積
ロース芯面積と関連する蛋白質スポットを明示した二次元電気泳動写真を図3と図4に
示す。また、図3中の蛋白質スポットの散布図を図17と図18に示す。なお、図17は
、上位群に含まれる牛のほうが、発現量が有意に減少する蛋白質スポットの散布図である
。反対に、図18は、上位群に含まれる牛のほうが、発現量が有意に増加する蛋白質スポ
ットの散布図である。さらに、図4中の蛋白質スポットの散布図を図19に示す。なお、
図19は、上位群に含まれる牛のほうが、発現量が有意に減少する蛋白質スポットの散布
図である。
これらの図に基づいて、ロース芯面積について有意差が生じた蛋白質スポットを同定し
た。その結果(スポット番号,電気泳動ゲル上の等電点と分子量,同定蛋白質名と公共DB
上のID,配列表番号)を表7〜表10に示す。表7と表8はメジャー蛋白質画分に由来す
る蛋白質スポットである。表9と表10はマイナー蛋白質画分に由来する蛋白質スポット
である。なお、発現量が微量であるため同定されていない蛋白質スポットについては、ス
ポット番号と等電点と分子量のみ記載している。
以上の結果から、ロース芯面積が増すごとに表7と表9に記載の蛋白質の発現量が減少
することが分かった。また、ロース芯面積が増すごとに表8と表10に記載の蛋白質の発
現量が増加することが分かった。
このことは、全蛋白質に含まれる前記蛋白質の量を測定することによって、ロース芯面
積が大きい牛を判別することができる可能性を示している。すなわち、前記の蛋白質が、
ロース芯面積の大きさを検定する際のバイオマーカーとして使用できる可能性を備えてい
ることを示している。
4)バラの厚さ
バラの厚さと関連する蛋白質スポットを明示した二次元電気泳動写真を図5と図6に示
す。また、図5中の蛋白質スポットの散布図を図20に示す。なお、図20は、上位群に
含まれる牛のほうが、発現量が有意に減少する蛋白質スポットの散布図である。さらに、
図6中の蛋白質スポットの散布図を図21〜23に示す。なお、図21は、上位群に含ま
れる牛のほうが、発現量が有意に減少する蛋白質スポットの散布図である。反対に、図2
2と図23は、上位群に含まれる牛のほうが、発現量が有意に増加する蛋白質スポットの
散布図である。
これらの図に基づいて、バラの厚さについて有意差が生じた蛋白質スポットを同定した
。その結果(スポット番号,電気泳動ゲル上の等電点と分子量,同定蛋白質名と公共DB上
のID,配列表番号)を表11〜表14に示す。表11と表12はメジャー蛋白質画分に由
来する蛋白質スポットである。表13と表14はマイナー蛋白質画分に由来する蛋白質ス
ポットである。なお、発現量が微量であるため同定されていない蛋白質スポットについて
は、スポット番号と等電点と分子量のみ記載している。
以上の結果から、バラの厚さが増すごとに表11と表13に記載の蛋白質の発現量が減
少することが分かった。また、バラの厚さが増すごとに表12と表14に記載の蛋白質の
発現量が増加することが分かった。
このことは、全蛋白質に含まれる前記蛋白質の量を測定することによって、バラの厚さ
が厚い牛を判別することができる可能性を示している。すなわち、前記の蛋白質が、バラ
の厚さを検定する際のバイオマーカーとして使用できる可能性を備えていることを示して
いる。
5)皮下脂肪の厚さ
皮下脂肪の厚さと関連する蛋白質スポットを明示した二次元電気泳動写真を図7と図8
に示す。また、図7中の蛋白質スポットの散布図を図24〜図27に示す。なお、図24
は、上位群に含まれる牛のほうが、発現量が有意に減少する蛋白質スポットの散布図であ
る。反対に、図25〜図27は、上位群に含まれる牛のほうが、発現量が有意に増加する
蛋白質スポットの散布図である。さらに、図8中の蛋白質スポットの散布図を図28〜3
1に示す。なお、図28と図29は、上位群に含まれる牛のほうが、発現量が有意に減少
する蛋白質スポットの散布図である。反対に、図30と図31は、上位群に含まれる牛の
ほうが、発現量が有意に増加する蛋白質スポットの散布図である。
これらの図に基づいて、皮下脂肪の厚さについて有意差が生じた蛋白質スポットを同定
した。その結果(スポット番号,電気泳動ゲル上の等電点と分子量,同定蛋白質名と公共
DB上のID,配列表番号)を表15〜表18に示す。表15と表16はメジャー蛋白質画分
に由来する蛋白質スポットである。表17と表18はマイナー蛋白質画分に由来する蛋白
質スポットである。なお、発現量が微量であるため同定されていない蛋白質スポットにつ
いては、スポット番号と等電点と分子量のみ記載している。
以上の結果から、皮下脂肪の厚さが増すごとに表15と表17に記載の蛋白質の発現量
が減少することが分かった。また、皮下脂肪の厚さが増すごとに表16と表18に記載の
蛋白質の発現量が増加することが分かった。
このことは、全蛋白質に含まれる前記蛋白質の量を測定することによって、皮下脂肪の
厚さが厚い牛を判別することができる可能性を示している。すなわち、前記の蛋白質が、
皮下脂肪の厚さを検定する際のバイオマーカーとして使用できる可能性を備えていること
を示している。
6)歩留基準値
歩留基準値と関連する蛋白質スポットを明示した二次元電気泳動写真を図9と図10に
示す。また、図9中の蛋白質スポットの散布図を図32に示す。なお、図32は、上位群
に含まれる牛のほうが、発現量が有意に減少する蛋白質スポットの散布図である。さらに
、図10中の蛋白質スポットの散布図を図33に示す。なお、図33は、上位群に含まれ
る牛のほうが、発現量が有意に減少する蛋白質スポットの散布図である。
これらの図に基づいて、歩留基準値について有意差が生じた蛋白質スポットを同定した
。その結果(スポット番号,電気泳動ゲル上の等電点と分子量,同定蛋白質名と公共DB上
のID,配列表番号)を表19〜表21に示す。表19はメジャー蛋白質画分に由来する蛋
白質スポットである。表20と表21はマイナー蛋白質画分に由来する蛋白質スポットで
ある。なお、発現量が微量であるため同定されていない蛋白質スポットについては、スポ
ット番号と等電点と分子量のみ記載している。
以上の結果から、歩留基準値が増すごとに表19と表20に記載の蛋白質の発現量が減
少することが分かった。また、歩留基準値が増すごとに表21に記載の蛋白質の発現量が
増加することが分かった。
このことは、全蛋白質に含まれる前記蛋白質の量を測定することによって、歩留基準値
の高い牛を判別することができる可能性を示している。すなわち、前記の蛋白質が、歩留
基準値の高さを検定する際のバイオマーカーとして使用できる可能性を備えていることを
示している。
7)BMSナンバー
BMSナンバーと関連する蛋白質スポットを明示した二次元電気泳動写真を図11と図1
2に示す。また、図11中の蛋白質スポットの散布図を図34〜図36に示す。なお、図
34は、上位群に含まれる牛のほうが、発現量が有意に減少する蛋白質スポットの散布図
である。反対に、図35と図36は、上位群に含まれる牛のほうが、発現量が有意に増加
する蛋白質スポットの散布図である。さらに、図12中の蛋白質スポットの散布図を図3
7と図38に示す。なお、図37は、上位群に含まれる牛のほうが、発現量が有意に減少
する蛋白質スポットの散布図である。反対に、図38は、上位群に含まれる牛のほうが発
現量が有意に増加するタンパク質スポットの散布図である。
これらの図に基づいて、BMSナンバーについて有意差が生じた蛋白質スポットを同定し
た。その結果(スポット番号,電気泳動ゲル上の等電点と分子量,同定蛋白質名と公共DB
上のID,配列表番号)を表22〜表25に示す。表22と表23はメジャー蛋白質画分に
由来する蛋白質スポットである。表24と表25はマイナー蛋白質画分に由来する蛋白質
スポットである。なお、発現量が微量であるため同定されていない蛋白質スポットについ
ては、スポット番号と等電点と分子量のみ記載している。
以上の結果から、BMSナンバーが高くなるごとに表22と表24に記載の蛋白質の発現
量が減少することが分かった。また、BMSナンバーが高くなるごとに表23と表25に記
載の蛋白質の発現量が増加することが分かった。
このことは、全蛋白質に含まれる前記蛋白質の量を測定することによって、BMSナンバ
ーが高い牛を判別することができる可能性を示している。すなわち、前記の蛋白質が、BM
Sナンバーを検定する際のバイオマーカーとして使用できる可能性を備えていることを示
している。

Claims (8)

  1. (1)牛から血液を採取する採取工程と、
    (2)採取した血液から全蛋白質を抽出する抽出工程と、
    (3)抽出した全蛋白質中に含有される下記(a)及び(b)に記載のロース芯面積に係る特定蛋白質のうち1つ以上の含有量を測定する測定工程と、
    (a)配列番号7〜10に記載のアミノ酸配列によって構成されている牛の蛋白質、
    (b)(a)の蛋白質を構成するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列によって構成されている牛の蛋白質
    (4)測定工程で測定されたロース芯面積に係る特定蛋白質の含有量に基づいて、ロース芯面積の大きな牛個体を判別する判別工程と、
    を含む牛の判別方法。
  2. 前記測定工程において、前記抽出工程で抽出した全蛋白質中に含有される下記(a及び(b2)に記載のバラの厚さに係る特定蛋白質のうち1つ以上の含有量を測定
    (a)配列番11〜17に記載のアミノ酸配列によって構成されている牛の蛋白質、
    (b)(a)の蛋白質を構成するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列によって構成されている牛の蛋白質
    前記判別工程において、前記測定工程で測定されたバラの厚さに係る特定蛋白質の含有量に基づいて、バラの厚さが厚い牛個体を判別する、
    請求項1に記載の牛の判別方法。
  3. 前記測定工程において、前記抽出工程で抽出した全蛋白質中に含有される下記(a及び(b3)に記載の皮下脂肪の厚さに係る特定蛋白質のうち1つ以上の含有量を測定
    (a)配列番号18〜31に記載のアミノ酸配列によって構成されている牛の蛋白質、
    (b)(a)の蛋白質を構成するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列によって構成されている牛の蛋白質
    前記判別工程において、前記測定工程で測定された皮下脂肪の厚さに係る特定蛋白質の含有量に基づいて、皮下脂肪の厚さが薄い牛個体を判別する、
    請求項1又は2に記載の牛の判別方法。
  4. 前記測定工程において、前記抽出工程で抽出した全蛋白質中に含有される下記(a及び(b4)に記載の歩留基準値に係る特定蛋白質のうち1つ以上の含有量を測定
    (a)配列番号32〜33に記載のアミノ酸配列によって構成されている牛の蛋白質、
    (b)(a)の蛋白質を構成するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列によって構成されている牛の蛋白質
    前記判別工程において、前記測定工程で測定された歩留基準値に係る特定蛋白質の含有量に基づいて、歩留基準値の高い牛個体を判別する、
    請求項1から3までのいずれかに記載の牛の判別方法。
  5. 前記測定工程において、前記抽出工程で抽出した全蛋白質中に含有される下記(a及び(b5)に記載のBMSナンバーに係る特定蛋白質のうち1つ以上の含有量を測定
    (a)配列番号34〜40に記載のアミノ酸配列によって構成されている牛の蛋白質、
    (b)(a)の蛋白質を構成するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列によって構成されている牛の蛋白質
    前記判別工程において、前記測定工程で測定されたBMSナンバーに係る特定蛋白質の含有量に基づいて、BMSナンバーの高い牛個体を判別する、
    請求項1から4までのいずれかに記載の牛の判別方法。
  6. 前記測定工程において、特定蛋白質を電気泳動により測定する請求項1から5までのいずれかに記載の牛の判別方法。
  7. 前記測定工程において、特定蛋白質を抗原抗体反応により測定する請求項1から5までのいずれかに記載の牛の判別方法。
  8. 少なくとも請求項1に記載のロース芯面積に係る特定蛋白質に対して特異的に結合する抗体を含む、ロース芯面積の大きな牛個体を判別する判別用キット。
JP2015099337A 2015-05-14 2015-05-14 牛の判別方法、及び牛の判別用キット Active JP5956017B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015099337A JP5956017B2 (ja) 2015-05-14 2015-05-14 牛の判別方法、及び牛の判別用キット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015099337A JP5956017B2 (ja) 2015-05-14 2015-05-14 牛の判別方法、及び牛の判別用キット

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011263214A Division JP5984365B2 (ja) 2011-12-01 2011-12-01 牛の判別方法、及び牛の判別用キット

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2015148630A JP2015148630A (ja) 2015-08-20
JP2015148630A5 JP2015148630A5 (ja) 2016-05-19
JP5956017B2 true JP5956017B2 (ja) 2016-07-20

Family

ID=53892046

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015099337A Active JP5956017B2 (ja) 2015-05-14 2015-05-14 牛の判別方法、及び牛の判別用キット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5956017B2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2009234930B2 (en) * 2008-04-08 2011-11-17 Kinki University Method of discriminating bovine, thus discriminated bovine and kit for discriminating bovine

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015148630A (ja) 2015-08-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4722224B2 (ja) 牛の判別方法、及び牛の判別用キット
Schönland et al. Immunohistochemistry in the classification of systemic forms of amyloidosis: a systematic investigation of 117 patients
AU2006248997B2 (en) Extraction of proteins from formalin-fixed tissue
EP3599465A1 (en) Method for determining a specific characteristic of an embryo in an unhatched egg
WO2010150013A2 (en) Identification of sex-linked proteins
KR20200016242A (ko) T-dm1에 의한 암 치료 결과의 예측
JPWO2013080811A1 (ja) リンパ球性漏斗下垂体後葉炎のバイオマーカー及びその用途
Schmitt et al. P53 in breast carcinomas: association between presence of mutation and immunohistochemical expression using a semiquantitative approach
JP5956017B2 (ja) 牛の判別方法、及び牛の判別用キット
JP5985097B2 (ja) 牛の判別方法、及び牛の判別用キット
JP5985102B2 (ja) 牛の判別方法、及び牛の判別用キット
JP5985101B1 (ja) 牛の判別方法、及び牛の判別用キット
JP5984365B2 (ja) 牛の判別方法、及び牛の判別用キット
JP5688381B2 (ja) 牛の判別方法、及び牛の判別用キット
JP5984335B2 (ja) 牛の判別方法、及び牛の判別用キット
KR102130897B1 (ko) 돼지의 산자수 예측용 바이오마커
US20170160291A1 (en) Method for the diagnosis of or risk for a disease mediated via the alternative pathway of the complement system
WO2024057956A1 (ja) p53アイソフォーム変異体のがん診断用途
KR20160107038A (ko) 마이오신 아형을 분석하는 방법
JP6381034B2 (ja) 前立腺基底細胞の検出方法
Atherton Changes in the serum proteome in canine lymphoma
Drobin Antibody-based bead arrays for high-throughput protein profiling in human plasma and serum
Klein et al. Amyloid neuropathy type is distinguished by mass spectrometric based proteomic analysis of nerve tissue
WO2017127703A1 (en) Quantifying kras for optimal cancer therapy
CN102408478A (zh) 一种人少突神经胶质瘤标志物map2蛋白及其用途

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150615

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150615

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160323

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20160323

TRDD Decision of grant or rejection written
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20160513

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160524

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160615

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5956017

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250