JP5953989B2 - 画像処理装置 - Google Patents
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Description
シート搬送装置としては、シートの搬送路に沿ってシートの搬送方向長さよりも短い間隔をおいて複数の搬送ローラーを配置し、シート搬送方向の上流側のローラーから下流側のローラーにシートを次々に引き渡すことにより搬送する構成がとられる。
レジスト動作は、搬送方向に沿って搬送ローラーと、これよりも下流側のレジストローラーが配されている場合に、搬送ローラーで1枚のシートを搬送しつつ、そのシートの搬送方向先端を、下流側で停止している一対のレジストローラーに突き当てて、そのシートの先端側に、スキュー(斜行)を補正するための所定量のループ(撓み)を形成した後、一旦搬送ローラーを停止し、その後、読取または画像形成のタイミングに合わせて搬送ローラーとレジストローラーの双方の回転を開始(搬送再開)するものである。
すなわち、ループ形成から搬送再開までの間は、1枚のシートが、停止している一対の搬送ローラーの間に介在された状態、かつそのシートの先端が、停止している一対のレジストローラーに突き当たった状態で、搬送ローラーからレジストローラーまでの間のシート部分にループが形成された状態になっている。
ホールド機能を作用させれば、ループによるシートの復元力に抗してモーターの回転軸が回転しないようにロックすることができるが、モーターの回転軸の停止位置は、予め決められた複数の回転角度位置に限定されてしまう。仮に、複数の回転角度位置が、0°、20°、40°・・340°といった20°ごとの角度で設定されていれば、20°単位でしか停止させることができない。
上記の20°単位の例で、回転方向に進む側をプラス、戻る側をマイナスとすれば、プラス、マイナスで最大10°、回転軸が回転することになり、最大で10°、周方向に停止位置がずれて、そのずれ量の分、目標の大きさのループ形成後にループ量が増減することが生じる。
下流側のレジストローラーについては、ループ形成中に停止しているために、レジストモーターについては、上記のホールド機能による停止位置ずれの問題は生じない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、搬送用の第1ローラーと第2ローラーを別々に回転駆動する構成において、シート搬送性をより向上することが可能な画像処理装置を提供することを目的としている。
さらに、前記制御切替部は、前記シートの先端が前記第2ローラーに到達した以降に当該シートの先端部を、前記停止中の第2モーターの駆動により、前記第2制御と第3制御を実行したならば過剰になるであろうループ量に相当する分だけ、前記第2ローラーで搬送させる制御を第4制御としたとき、前記指標値が前記閾値th2以下の場合には、前記第2制御と第3制御とは別に、前記第4制御を実行し、前記指標値が前記閾値th2よりも大きい場合には、前記第1制御とは別に第4制御を実行するとしても良い。
さらに、前記制御切替部は、前記閾値th2よりも大きい所定の閾値を閾値th3としたとき、前記指標値が、前記閾値th3よりも大きい場合には、前記第1制御に代えて前記第2制御を実行するとしても良い。
また、前記制御切替部は、前記本来の停止位置が、前記隣り合う2つの回転角度位置の間に存する中間位置Bcを含む所定の範囲Δp内に入っている場合には、前記本来の停止位置を、前記隣り合う2つの回転角度位置間の角度差よりも小さい所定の角度の相当分だけ回転方向に進んだ位置に変更する制御を実行するとしても良い。
また、前記第1モーターは、DCブラシレスモーターであるとしても良い。
<実施の形態1>
〔1〕プリンターの全体構成
図1は、プリンター100の全体の構成を示す図である。
作像部10Yは、感光体ドラム11と、その周囲に配設された帯電部12、露光部13、現像部14、一次転写ローラー15、感光体ドラム11を清掃するためのクリーナ16などを備えており、感光体ドラム11上にY色のトナー像を作像する。この構成は、他の作像部10M,10C,10Kについて同様であり、同図では符号を省略している。各感光体ドラム11上にその対応する色のトナー像が作像される。
給送部30は、シート搬送装置として機能し、記録用のシートとしての用紙Sを収容する給紙カセット31と、給紙カセット31から用紙Sを搬送路39に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラー32と、繰り出しローラー32により搬送路39に繰り出された用紙Sを矢印Aで示す方向(用紙搬送方向)に搬送する一対の搬送ローラー(第1ローラー)33と、搬送ローラー33よりも用紙搬送方向下流側に配され、搬送ローラー33により搬送されて来た用紙Sを二次転写ローラー35に送り出すタイミングをとるための一対のレジストローラー(第2ローラー)34を備える。
搬送モーターM1は、DCブラシレスモーターであり、モーターの回転軸を、周方向に間隔をおいた所定の複数の回転角度位置(例えば、18箇所)のうち、いずれかの位置で停止、維持させるホールド機能を有している。
搬送モーターM1の回転駆動力は、ギア列を含む駆動伝達部1を介して搬送ローラー33に伝達され、レジストモーターM2の回転駆動力は、ギア列を含む駆動伝達部2を介してレジストローラー34に伝達される構成になっている。駆動伝達部1,2のそれぞれには、歯合する2つのギアを含むギア列が設けられ、その2つのギア間には所定の大きさのバックラッシが存在する構成になっている。
そこで、本実施の形態では、ループ形成時に用紙1枚単位で、搬送モーターM1のホールド機能による回転軸の本来の目標停止位置に対するずれ量を推定し、用紙Sの搬送方向先端がレジストローラー34に突入する前に、推定したずれ量の大きさに基づいて、停止しているレジストモーターM2を逆転駆動してバックラッシを吸収する(詰める)動作と、レジストモーターM2を停止したままバックラッシを吸収しない動作とを切り替えることにより、ループ量の変動を抑制する制御を行っている。この制御の詳細については、後述する。
定着部40は、定着ローラーと加圧ローラーを備え、所定の定着温度で用紙Sを加熱、加圧してトナー像を定着させる。
この露光走査を受ける前に作像部10Y〜10K毎に、その感光体ドラム11が帯電部12により一様に帯電されており、レーザービームの露光により感光体ドラム11上に静電潜像が形成され、その静電潜像が現像部14に設けられた現像ローラー19に担持されている現像剤により現像されて、感光体ドラム11上にトナー像が形成される。
中間転写ベルト21上に多重転写された各色トナー像は、中間転写ベルト21の周回走行により、二次転写ローラー35が中間転写ベルト21に圧接される位置である二次転写位置351に移動する。
搬送路39の近傍であり、搬送ローラー33よりも用紙搬送方向下流かつレジストローラー34よりも用紙搬送方向上流の位置には、搬送されている用紙Sを検出するためのレジストセンサー38が配置されている。
搬送制御部60は、全体制御部50からの用紙搬送指示とレジストセンサー38からの検出信号に基づき、搬送モーターM1とレジストモーターM2の回転と停止、レジスト動作の実行などの制御を行う。
図2は、1枚の用紙Sに対するレジスト動作のタイミングチャートを示す図であり、(a)がバックラッシを吸収しない場合の例を、(b)がバックラッシを吸収する場合の例を示している。なお、図2(b)については、図2(a)と異なる部分だけを抜き出して示している。
時点t0でレジストセンサー38からの用紙先端検出信号(ON)を受信すると、搬送制御部60は、バックラッシ吸収の要否を判断する。この判断方法については後述する。
所定時間taは、1枚の用紙Sの先端がレジストセンサー38により検出されてから、停止中のレジストローラー34のニップ(対向するローラーが相互に当接する部分)に到達(突入)して(時点t1)、用紙Sの先端部に所定の大きさのループRを形成するのに要する時間として予め決められた時間である。時点t0〜t1までの時間tbが用紙Sの先端がレジストセンサー38により検出されてからその先端がレジストローラー34に突入するまでに要する時間に相当する。また、時点t1〜t2までの時間がループ形成時間に相当し、用紙Sの先端部(搬送ローラー33とレジストローラー34の間に存する用紙部分)にループR(図1)が形成される。
これに対し、バックラッシ吸収が必要と判断されると、図2(b)に示すように用紙Sの先端がレジストローラー34に突入する時点t1までの間に、停止しているレジストモーターM2を、バックラッシの吸収に必要な量だけ逆転させることによりバックラッシを吸収するバックラッシ吸収動作を行う。なお、時点t1以降は、バックラッシを吸収しない場合と同タイミングになる。
以下、搬送制御部60によるバックラッシ吸収要否判断の方法を、搬送制御部60と駆動伝達部2の構成と共に図3〜図9を用いて説明する。
図3は、搬送制御部60の構成を示すブロック図である。
同図に示すように搬送制御部60は、レジストモーター制御部61と、搬送モーター制御部62と、STMドライバー63を有する。
〔3−1〕搬送モーター制御部62の構成
搬送モーター制御部62は、位相検出部81と位置ずれ推定部82を有し、DCブラシレスモーターである搬送モーターM1に制御信号を出力して搬送モーターM1を回転駆動する。制御信号は、所定のシステム速度Vに相当する回転速度を示す信号である。また、ホールド機能を作用させるためのホールド指示(図2)を搬送モーターM1に出力する。
〔3−1−1〕ホールパルスの説明
図4(a)は、ホールパルスu,v,wの波形図であり、図4(b)は、エンコーダーパルスとホールパルスの関係を示す波形図である。
3つのホールパルスu,v,wの立ち上がりエッジと立下りエッジを合成してなる波形が3相合成のパルス波形であり、3相合成のパルス波形の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジを時間順にB0、B1・・B17、B0、B1・・とすると、B0から次のB0までの時間が搬送モーターM1の回転軸が1回転するのに要する時間に相当し、隣り合うエッジ同士の間隔Tが20°(=360°/18)の回転に要する時間に相当する。
〔3−1−2〕回転角度位置の説明
図5は、ホールド機能により停止可能な搬送モーターM1の回転角度位置を示す模式図であり、1周を20°間隔で18等分した0°、20°、40°・・340°が停止可能角度位置を示している。同図では、0°がB0、20°がB1・・340°がB17に対応しており、例えば回転中にホールパルスのエッジB0が出力される時点の回転角度を0°とすると、エッジB1が出力される時点で回転角度が20°に、エッジB17が出力される時点で回転角度が340°まで回転していることになる。
例えば、レジストセンサー38による用紙Sの先端検出時t0(図2のt0に相当)における回転軸Maの回転角度位置を、回転軸Maの基準位置Mbが位置B0から角度Hだけ回転したときの角度位置Bsとして、先端検出時t0から回転軸Maが所定角度Qだけ回転して停止したときに所定の大きさのループRを得られることが構成上、予め決められているとする。
従って、所定の大きさのループRを得るには、搬送モーターM1を角度位置Bsから角度Qだけ回転したときの角度位置Bp(本来の停止位置)に至った時点で停止してその角度位置Bpでホールド機能により回転軸Maをロックさせれば良い。
停止位置のずれがプラスになるということは、上流側の搬送ローラー33が本来の停止位置から搬送方向に余分に回転することになるので、ホールド機能が作用する直前に形成されていたループRのループ量がホールド機能の作用により所定の大きさよりも増える方向になる。逆に、停止位置のずれがマイナスになるということは、搬送ローラー33が搬送方向とは逆方向に戻るように回転することになるので、ループ量が所定の大きさよりも減る方向になる。
搬送モーターM1の回転軸Maの回転角度位置Bsの検出は、搬送モーターM1に内蔵されたエンコーダー(不図示)から出力される矩形波のエンコーダーパルスをカウントすることにより行われる。エンコーダーパルスは、ホールパルスより分解能が高く、ここでは10倍とされ、2°の回転角に対して1P(パルス)が出力される関係になっている。
エンコーダーパルスとホールパルスの関係は、図4(b)に示すように、ホールパルス(3相合成)の立ち下がりエッジB0と次の立ち上がりエッジB1との間に10個のエンコーダーパルスが存在する関係になる。この関係は、他のエッジB1とB2間、B2とB3間などについて同じである。
〔3−1−3〕位相検出部81の構成
図6は、位相検出部81の構成を示すブロック図である。
同図に示すように位相検出部81は、エッジ検出部91,92,93と、カウンター94と、位相値保持部95を有する。
カウンター94は、エッジ検出部91からのパルスエッジ信号を受信する度に、その数を1,2・・と1つずつ値が加算されようにカウントしつつ(図4(b))、エッジ検出部92からのリセット信号を受信する度に、現在のカウント値を0にリセットする処理を繰り返し実行する(図4(b))。
カウンター94は、上記のカウントを行いつつ、ロード信号を受信した時点でのカウント値(図4の例では、7)を位相値hとして位相値保持部95に書き込む。この位相値hの書き込みは、用紙Sの1枚ごとに、その用紙Sに対する位相値hが上書きされる(過去のものを消去して当該用紙Sの位相値hに書き換える)ことにより実行される。書き込まれた位相値hは、位置ずれ推定部82による停止位置のずれ量Eの推定に用いられる。
停止位置のずれ量Eの推定は、以下の方法によって行われる。
(a)位相値保持部95に書き込まれている位相値hを読み出して、読み出した位相値(カウント値)hから回転角Hを求める。
回転角H=位相値h×(360/d)・・・(式1)
ここで、dは、搬送モーターM1の回転軸Maが1周するときのエンコーダーパルスの立ち上がりエッジの合計数であり、上記の例であれば、d=180になる。
ずれ量e〔°〕=(H+Q)mod(360/k)・・・(式2)
ここで、kは、搬送モーターM1のホールド機能による停止可能な停止可能角度位置の数であり、ここでは3相6極のモーターにより18になる。これにより、(360/k)は、20°になる。
(c)搬送モーターM1のホールド機能を作用させた場合、位置B10とB11のうち、停止位置Bpと近い方の位置がホールド位置になる。ここでは、中間の角度位置である10〔°〕を境に、0≦e<10の関係を満たせばホールド位置がB10になり、10≦e<20の関係を満たせばホールド位置がB11になるとして、次の(式3)と(式4)を用いて停止位置のずれ量E〔°〕を求める。
10≦e<20のとき ずれ量E=(360/k)−e・・・(式4)
なお、(360/k)は、ここでは20°である。
例えば、図5の例でH=14°の場合、(式4)から停止位置のずれ量E=+6になり、H=6°の場合、(式3)から停止位置のずれ量E=−6になる。ずれ量Eが+6の場合、本来の停止位置Bpよりもホールド機能により搬送モーターM1の回転軸が6°だけ進んだ位置B11がホールド位置になり、ずれ量Eが−6の場合、停止位置Bpよりも6°だけ戻った位置B10がホールド位置になることを示している。
(d)停止位置推定ずれ量E〔°〕を求めると、式(5)を用いて、単位を角度から用紙搬送距離に換算する。
ここでは、1°の角度が用紙搬送距離の0.05〔mm〕に予め対応しており、係数aが0.05になる。これにより、本実施の形態では、ずれ量Eがプラス、マイナスの最大で0.5〔mm〕ということになる。換算後の停止位置推定ずれ量Eを示す情報は、レジストモーター制御部61に送信される。
図3に戻り、レジストモーター制御部61は、バックラッシ吸収制御切替部71を有しており、STMドライバー63に対し、ステッピングモーターであるレジストモーターM2を駆動させるための駆動パルス、ホールド機能の指示と解除を示す信号、回転方向指示を出力する。
STMドライバー63は、レジストモーター制御部61からの駆動パルスと回転方向指示に基づきレジストモーターM2を回転駆動させる。
例えば、用紙Sを搬送する場合、レジストモーター制御部61は、システム速度Vに相当する周波数の駆動パルスと正転を示す回転方向指示を出力する。STMドライバー63は、受信した駆動パルスの周波数に基づきレジストモーターM2をシステム速度Vに相当する回転速度で正転させるための駆動電流を生成し、生成した駆動電流をレジストモーターM2に供給して、レジストモーターM2を回転駆動させる。
さらに、レジストモーターM2の停止時に、レジストモーター制御部61は、ホールド指示を出力する。STMドライバー63は、ホールド指示を受信している間、レジストモーターM2の回転軸をロックさせるための駆動電流を生成し、生成した駆動電流をレジストモーターM2に供給し続ける。
〔3−3〕バックラッシ吸収の説明
図7は、駆動伝達部2のギア列に含まれるギア1Aと1Bが歯合している様子を示す図であり、(a)は、ギア1Aと1B間に存在するバックラッシの吸収を行っていない場合の例を示し、(b)は、バックラッシの吸収を行っている場合の例を示している、
ギア1Aは、レジストモーターM2の回転駆動力をギア1Bに伝達し、ギア1Bは、ギア1Aからの回転駆動力をレジストローラー34に伝達する構成になっている。例えば、ギア1AをレジストモーターM2の回転軸に取り付けられたモーターギアとし、ギア1Bをレジストローラー34の軸の一方端に取り付けられたローラーギアとすることができるが、これに限られず、3以上のギアを有するギア列とすることもできる。
具体的には、ベルトを張架する2つのプーリーAとBのうち、プーリーAをレジストモーターM2の回転軸に取り付け、プーリーBの軸と同軸上にギア1Aを設け、ギア1Aに歯合するギア1Bをレジストローラー34の軸に取り付ける構成が考えられる。レジストモーターM2の回転駆動力は、その回転軸からプーリーA、ベルト、プーリーB、ギア1A、ギア1Bを介してレジストローラー34に伝達される。
ギア1Aが同図に示す時計周りの方向に回転するときをレジストモーターM2の正転、反時計周りの方向に回転するときをレジストモーターM2の逆転としたときに、レジストモーターM2を正転させると、レジストローラー34が用紙Sを搬送する方向に回転するようになっている。
すなわち、搬送ローラー33による搬送される用紙Sの先端が停止中のレジストローラー34に突入して、用紙Sの先端部にループが形成されるときに、用紙Sにおけるループ形成部分には、その腰の強さによりループの撓みを解消しようとする復元力が生じる。
このとき、ギア1Aと1B間に隙間BLが介在していれば、ギア1Bは、ギア1Aとの間で用紙搬送方向への回転負荷を受けない、いわばブレーキがかかっていない状態になっているので、停止中のレジストローラー34が用紙Sの復元力を受けて、隙間BL分だけ用紙搬送方向に回転してしまうことが発生し易い。
この余分な搬送をなくす方法として、図7(b)に示すようにバックラッシを吸収、すなわちレジストモーターM2の逆転によりギア1Aを、隙間BLの最大量、上記例では0.5〔mm〕相当分、逆転させた後、停止させることにより、ギア1Aの1つの歯における歯面1Aaと、ギア1Bの1つの歯における歯面1Baとを当接させて隙間BLが生じない状態にする方法がある。
具体的には、搬送モーターM1のホールド機能による停止位置推定ずれ量Eがプラスになる場合、すなわち停止位置推定ずれ量Eだけ搬送モーターM1により用紙Sが余分に搬送される場合である。この場合、ギア1Aと1B間のバックラッシを吸収していれば、1枚の用紙Sは、その先端が下流側のレジストローラー34で停止されつつ、上流側の搬送ローラー33では停止位置推定ずれ量Eだけ余分に搬送されることになり、用紙Sの先端部に形成されたループRのループ量が所定の大きさよりも増えることになる。
〔3−2−2〕停止位置推定ずれ量Eとループずれ量Δの関係
図8は、停止位置推定ずれ量Eとループずれ量Δの関係を説明するための図であり、(a)は、バックラッシ吸収切替制御を実行しない場合の例を示しており、(b)は、バックラッシ吸収切替制御を実行する場合の例を示している。
本実施の形態では、停止位置推定ずれ量Eが、−0.5≦E≦+0.5〔mm〕の範囲になり、バックラッシを吸収しない場合の余分な搬送量(バックラッシによるずれ量)の最大(隙間BLに相当)が用紙搬送距離の単位に換算した場合、0.5〔mm〕の一定値になっている。なお、バックラッシによるずれ量は、ループ量が減る方向に働くので、ホールド機能による停止位置のずれと正負の符号を合わせれば、−0.5〔mm〕になる。
図8(a)の破線のグラフ101は、バックラッシを吸収しない場合のずれ量の関係を示しており、実線のグラフ102は、用紙先端突入前にバックラッシを吸収する場合のずれ量の関係を示している。
すなわち、停止位置推定ずれ量Eが−0.5〔mm〕であれば、ホールド機能による停止位置のずれとバックラッシによるずれの双方がループ量を小さくする方向に働くことにより、停止位置推定ずれ量Eとバックラッシによるずれ量を足し合わせた値である−1〔mm〕がループずれ量Δになる。
さらに、停止位置推定ずれ量Eが+0.5〔mm〕であれば、ホールド機能による停止位置のずれがループ量を大きくする方向に働きつつ、逆にバックラッシによるずれがループ量を少なくする方向に働いて、双方が相殺されることにより、ループずれ量Δが0になるものである。
一方、グラフ120で示すようにバックラッシを吸収する場合には、ループずれ量Δは、停止位置推定ずれ量Eが−0.5〔mm〕の場合、−0.5〔mm〕になり、停止位置推定ずれ量Eが0〔mm〕の場合、0〔mm〕になり、停止位置推定ずれ量Eが+0.5〔mm〕の場合、+0.5〔mm〕になっている。
図8(a)において、バックラッシを一切吸収しなければ、グラフ101からループずれ量Δは、ホールド機能による停止位置のずれとバックラッシによるずれの影響を受けて、−1.0≦Δ≦0〔mm〕の範囲内で、最大1〔mm〕幅でばらつくことが判る。
これに対し、図8(b)の実施の形態に係るバックラッシ吸収切替制御を行う場合のグラフ100は、停止位置推定ずれ量Eを所定の閾値th1を境に、閾値th1以下の領域Z1のグラフ112と、閾値th1よりも大きい領域Z2のグラフ111とからなる。ここで、閾値th1は、0である。また、グラフ112は、グラフ102における閾値th1以下の直線部分と同じであり、グラフ111は、グラフ101の閾値th1よりも大きい直線部分と同じものである。
このようにバックラッシ吸収切替制御を行うことにより、ループずれ量Δは、−0.5≦Δ≦0〔mm〕の範囲内に収まることになり、図8(a)のバックラッシ吸収切替制御を行わない場合よりも、ループ量の変動を抑制することができる。
ループずれ量Δをマイナス側に片寄らせることにより、ループRが所定の大きさよりも大きめに変動することを抑制して、用紙Sが屈曲するのを防止して搬送性を向上することができるからである。
〔3−4〕バックラッシ吸収切替制御の処理内容
図9は、バックラッシ吸収切替制御の処理内容を示すフローチャートであり、搬送制御部60において1枚の用紙Sが搬送される毎に繰り返し実行される。
用紙Sの先端が検出されたことを判断すると(図2の時点t0)(ステップS1で「YES」)、位相値hを取得する(ステップS2)。位相値hの取得は、現に位相値保持部95に書き込まれている位相値hを示す情報を読み出すことにより行われる。
停止位置推定ずれ量Eが閾値th1以下であるか否かを判断する(ステップS4)。ステップS1〜S4までの処理は、図2の時点t0〜t5間に実行される。
ステップS6では、レジストセンサー38による用紙Sの先端検出時(時点t0)から時間taが経過したか否かを判断する。この時間taは、図2に示す時間taに等しく、図5に示す角度Qだけ搬送モーターM1が回転するのに要する時間に相当する。
搬送モーターM1は、本来の停止位置Bp(図5)まで回転した時点で停止が実行され、停止してからホールド機能の作用により、停止位置Bpに近い側の停止可能角度位置まで回転した状態でロックされ、最終的に搬送モーターM1は、そのロックされた停止可能角度位置で停止状態が維持されることになる。
<実施の形態2>
上記実施の形態1では、停止位置推定ずれ量Eが閾値th1以下の場合には、バックラッシを吸収する第1制御を行い、閾値th1よりも大きい場合には、バックラッシを吸収しない第2制御を行うとしたが、本実施の形態2では、閾値より大きい場合に第1制御を行い、閾値以下の場合に第2制御に加えて第3制御を行うとしており、この点で実施の形態1と異なっている。以下、説明の重複を避けるため、実施の形態1と同じ内容についてはその説明を省略し、同じ構成要素については、同符号を付すものとする。
図10(a)の破線のグラフ101は、バックラッシを吸収しない場合のずれ量の関係を示しており、実線のグラフ102は、用紙先端突入前にバックラッシを吸収する場合のずれ量の関係を示しており、図8(a)のグラフ101,102と同じものである。
図11は、停止位置Bpを1つ進める制御の内容を説明するための図である。
この停止位置を1つ進める第3制御は、上記の所定角度Qを、これに停止可能位置間角度γ(=20°)を加算してなる角度Q1に変更することにより行うことができ、ここでは後述のようの上記の時間taを、搬送モーターM1が所定角度Qだけ回転するのに要する時間に、停止可能位置間角度γだけ回転するのに要する時間td分、長くした時間(角度Q1だけ回転するのに要する時間に相当)に変更することにより行われる。
下流側の駆動伝達部2のバックラッシを吸収しない場合、用紙Sのループ量が減る方向に働くことから、バックラッシを吸収せず、かつ上流側の搬送モーターM1の停止位置を1つ進める制御を行えば、バックラッシを吸収しないことによるループ量の減少分(マイナス)と、停止位置を1つ進めることによるループ量の増加分(プラス)が相殺されて、形成後の用紙Sのループ量の変動が抑制されることになる。
これに対し、図10(b)のバックラッシ吸収切替制御を行う場合のグラフ200は、停止位置推定ずれ量Eを所定の閾値th2を境に、閾値th2以下の領域Z21のグラフ201と、閾値th2よりも大きい領域Z22のグラフ202とからなる。ここで、閾値th2は、−0.25である。グラフ201は、グラフ103における閾値th2以下の直線部分と同じであり、グラフ202は、グラフ102の閾値th2よりも大きい直線部分と同じものである。
このようにバックラッシ吸収切替制御を行うことにより、ループずれ量Δは、−0.25≦Δ≦+0.5〔mm〕の範囲内に収まることになり、図10(a)のバックラッシ吸収切替制御を行わない場合よりも、ループ量の変動を抑制することができる。
閾値th2を、例えば0にすれば、ループずれ量Δが、0≦Δ≦+0.5〔mm〕の範囲内に収まることになり、ループずれ量Δをプラス側に片寄らせる、すなわちループ量の変動があったとしてもループ量を所定の大きさよりも大きめにした状態にすることができる。このことは、0<th2<+0.5の範囲内に設定することでも同じである。
図12は、本実施の形態2に係るバックラッシ吸収切替制御の処理内容を示すフローチャートである。当該処理では、実施の形態1のステップS4〜S5に代えて、ステップS21〜S23を実行しており、この点が実施の形態1と異なっている。
停止位置推定ずれ量E≦閾値th2ではない、すなわち停止位置推定ずれ量E>閾値th2であることを判断すると(ステップS21で「NO」)、用紙先端突入前にレジストモーターM2の逆転によるバックラッシを吸収する制御(第2制御)を実行し(ステップS23)、ステップS6に移る。このステップS23の処理は、実施の形態1のステップS5と同じものである。
ステップS6では、変更後の時間taの経過を判断し、変更後の時間taが経過すると、ステップS7で搬送モーターM1が停止、ホールド機能が実行される。
なお、図12では、ステップS22において時点taを、時間tdだけ長くした時間に変更するとしたが、時間taを変更する構成に限られない。
図13に示すように停止位置推定ずれ量E≦閾値th2であることを判断すると(ステップS21で「YES」)、用紙Sの先端検出時から時間taが経過したか否かを判断する(ステップS221)。時間taが経過したときは、搬送モーターM1が用紙先端検出時から所定角度Qだけ回転して本来の停止位置Bpに到達したときに一致する。
なお、停止位置推定ずれ量E>閾値th2の場合(ステップS21で「NO」)、ステップS23を介して、ステップS6に移ることは、上記と同じである。
本実施の形態3は、実施の形態1と2を組み合わせる、具体的には第1制御〜第3制御を2つの閾値との大小関係に基づき切り替える構成になっている。
図14は、本実施の形態3における停止位置推定ずれ量Eとループずれ量Δの関係を説明するための図である。
このことから、グラフ300は、(a)停止位置推定ずれ量Eが閾値th2以下の領域Z31では、バックラッシを吸収しない第2制御と停止位置を1つ進める第3制御を実行し、(b)閾値th2よりも大きく閾値th3以下の領域Z32では、バックラッシを吸収する第1制御を実行し、(c)閾値th3よりも大きい領域Z33では、バックラッシを吸収しない第2制御をそれぞれ切り替えて実行する場合のループずれ量Δと停止位置推定ずれ量Eの関係を示すものといえる。
図15は、本実施の形態に係るバックラッシ吸収切替制御の処理内容の一部を示すフローチャートであり、実施の形態1と異なる部分を抜き出して示している。具体的には、実施の形態1のステップS4〜S5に代えて、本実施の形態3では、ステップS31〜S34を実行しており、この点が実施の形態1と異なっている。
停止位置推定ずれ量E≦閾値th3を判断すると(ステップS33で「YES」)、用紙先端突入前にレジストモーターM2の逆転によるバックラッシを吸収する第1制御を実行し(ステップS34)、ステップS6に移る。ステップS34は、上記ステップS5と同じ内容の処理である。一方、停止位置推定ずれ量E>閾値th3を判断すると(ステップS33で「NO」)、そのままステップS6に移る。この場合、バックラッシを吸収しない第2制御が実行される。
<実施の形態4>
上記実施の形態1〜3では、1枚の用紙Sの先端がレジストローラー34に突入する前にレジストモーターM2によりバックラッシを吸収する制御と吸収しない制御を切り替える構成例を説明したが、本実施の形態4では、この制御切り替えに加えて、レジストモーターM2に対して別の回転制御を施すことにより、ループずれ量Δを0にするとしており、この点で実施の形態1〜3と異なっている。
同図に示す一点鎖線のグラフ401は、バックラッシを吸収せず、かつ搬送モーターM1の停止位置を1つ進める場合のグラフ(図10のグラフ103に相当)における閾値th2以下の直線部分に相当する。
停止位置推定ずれ量Eが閾値th2以下の領域Z41の場合に、バックラッシを吸収しない第2制御と停止位置を1つ進める第3制御を実行すれば、上記実施の形態2のようにループずれ量Δを、0≦Δ≦+0.5の範囲内に抑制することはできるが、抑制されたとはいえ、その範囲内で未だループずれ量Δが存在していることになる。このループずれ量Δは、プラスであり、ループ量が増える方向のずれ量になる。
この意味で、第4制御は、第2制御と第3制御を実行したならば、過剰になる(大きくなる)であろうループ量の相当分をレジストローラー34で搬送する制御といえる。
なお、用紙送り込み動作は、停止位置推定ずれ量Eに対するループずれ量Δがプラスの場合にだけ効果を発揮するので、この意味で第4制御は、ループずれ量Δ>0の範囲に適用されるものといえる。
領域Z42は、搬送モーターM1の停止位置のずれによりループ量が0〜0.5〔mm〕増えるが、バックラッシを吸収しないことにより、バックラッシによる隙間BLが最大の場合にそのバックラッシにより生じるループずれ量の最大値BM(0.5〔mm〕)分、ループ量が減ることになり、その相殺により、ループずれ量Δがマイナス、すなわちループ量が減る方向のずれ量になっている。
一部を吸収した後のバックラッシによる隙間BLが停止位置推定ずれ量Eの相当分と同じ大きさになり、隙間BLのバックラッシにより減るループ量と、停止位置推定ずれ量Eにより増えるループ量とが相殺されて、ループずれ量Δが0になる(矢印Y42)。
領域Z41に対する第2制御と第3制御と第4制御を組み合わせた制御と、領域Z42に対する第5制御を実行することにより、グラフ400に示すように停止位置推定ずれ量Eの値に関わらずループずれ量Δが0になり、用紙Sに所定の大きさのループを形成することができるようになる。
図17(a)に示すように停止位置推定ずれ量E≦閾値th2の場合、バックラッシを吸収しない第1制御と、搬送モーターM1の停止位置を1つ進める第3制御を実行しつつ、用紙先端突入後に第4制御としての用紙送り込み動作が実行される。
また、搬送モーターM1の停止位置を1つ進める処理(第3制御)は、時点t0〜t2間の時間taを、停止可能位置間角度γだけ回転するのに要する時間td(図17(b))だけ長くした時間に変更することにより実行される。
ステップS3に続いて、ステップS41では、停止位置推定ずれ量Eが閾値th2以下であるか否かを判断する。
ステップS43では、停止位置推定ずれ量Eに対するループずれ量Δを取得する。この取得は、例えば図16のグラフ401で示されるような停止位置推定ずれ量Eとループずれ量Δとの対応関係を示す情報を予め記憶しておいて、その情報を参照することにより行うことができる。例えば、テーブル形式や計算式などを用いるとしても良い。
この用紙送り込み動作によりループ量が減少するが、搬送モーターM1の停止時に停止位置が1つ進むことによりループ量が増加する分と相殺されて、搬送モーターM1のホールド機能が作用した後では、ループずれ量Δが0になる。
そして、用紙先端突入前に、ループずれ量Δの絶対値に相当する分だけバックラッシを吸収する制御を実行する(図17の時点t5)(ステップS47)。このステップS47のバックラッシの一部だけを吸収する処理が第5制御に相当する。
バックラッシ吸収後にギア1Aと1B間の隙間BLが停止位置推定ずれ量Eの相当分の大きさに調整されているので、用紙Sの先端がレジストローラー34に突入すると(ステップS48で「YES」)、その隙間BLだけレジストローラー34の回転によりループ量が減る。しかしながら、停止位置推定ずれ量Eがプラスであり、搬送モーターM1のホールド機能が作用すればループ量が停止位置推定ずれ量Eの分、増えることになるので、搬送モーターM1のホールド機能が作用した後には、隙間BLによる減少分と、ホールド機能による増加分との相殺により、ループずれ量Δが0になる。
なお、上記では、第4制御(用紙送り込み動作)により、ループ形成後の用紙Sの先端部をループずれ量Δの分だけ搬送するとしたが、この搬送量は、最大値でも0.5〔mm〕にすぎず、二次転写位置351における転写位置のずれの公差は、通常、3〜5〔mm〕程度あるので、用紙送り込み動作を行っても二次転写位置のばらつきに至ることはなく、二次転写ずれによる画質低下が生じることはない。
例えば、停止位置推定ずれ量Eとバックラッシの最大値BMが共に0.5〔mm〕の場合、HB型のステッピングモーターを使用すれば、その分解能が2相駆動で1.8°、1−2相駆動で0.9°、W1−2相駆動で0.45°、2W駆動で0.225°、4W駆動で0.1125°になるため、DCブラシレスモーターの上記の20°に対して10倍〜170倍程度の精度を実現することができる。
上記実施の形態4では、停止位置推定ずれ量E≦閾値th2の場合に第2、3、4制御を組み合わせた制御を、停止位置推定ずれ量E>閾値th2の場合に第5制御を実行するとしたが、本実施の形態5では、第1制御と第4制御を組み合わせた制御を別途、実行するとしており、この点で実施の形態4と異なっている。
同図に示すように停止位置推定ずれ量Eの範囲を、閾値th2以下の領域Z41、閾値th2よりも大きく閾値th3以下の領域Z51、閾値th3よりの大きい領域Z42の3つに分けた場合に、停止位置推定ずれ量Eとループずれ量Δの関係を、領域Z41では、バックラッシを吸収せず、搬送モーターM1の停止位置を1つ進める場合をグラフ401で示し、領域Z42では、バックラッシを吸収せず、搬送モーターM1の停止位置を進めない場合をグラフ402で示し、領域Z51では、バックラッシを吸収し、搬送モーターM1の停止位置を進めない場合をグラフ501で示している。
一方、領域Z51に対しては、用紙先端突入前にバックラッシを吸収する第1制御と、搬送モーターM1の停止位置を進めることなく、さらに、用紙突入後にループずれ量Δの分だけ用紙先端部をレジストローラー34で搬送する第4制御を実行する。
これによりグラフ500で示すように、領域Z41,Z51,Z42に亘ってループずれ量Δを0にすることができる。
図20は、本実施の形態5に係るバックラッシ吸収切替制御の処理内容の一部を示すフローチャートであり、上記実施の形態4におけるバックラッシ吸収切替制御にステップS51〜S55の処理が追加された内容になっている。
停止位置推定ずれ量E>閾値th2であることを判断すると(ステップS41で「NO」)、停止位置推定ずれ量E≦閾値th3であるか否かを判断する(ステップS51)。
停止位置推定ずれ量E≦閾値th3であることを判断すると(ステップS51で「YES」)、第1制御と第4制御を組み合わせた制御を開始する。
そして、停止位置推定ずれ量Eに対するループずれ量Δを取得し(ステップS53)、用紙先端の突入を判断すると(ステップS54で「YES」)、レジストモーターM2を回転して、停止位置推定ずれ量Eに対応するループずれ量Δに相当する分だけ、用紙Sの先端部をレジストローラー34で搬送する用紙送り込み動作(第4制御)を実行して(ステップS55)、ステップS6に移る。
<実施の形態6>
上記実施の形態1〜5では、停止位置推定ずれ量Eの絶対値の最大値Emとバックラッシの最大値BMとが用紙搬送距離の換算値で等しい構成例を説明したが、本実施の形態6では、Em<BMの関係になっており、この点で実施の形態1〜5と異なっている。
図21(a)の破線のグラフ601は、バックラッシを吸収しない場合のずれ量の関係を示しており、停止位置推定ずれ量Eからバックラッシの最大値BMを差し引いた値がループずれ量Δになることを示している。
グラフ602では、例えば停止位置推定ずれ量Eが0のときループずれ量Δが+0.4〔mm〕になり、停止位置推定ずれ量Eが−0.5〔mm〕のときループずれ量Δが−0.1〔mm〕になっている。
これに対して、バックラッシ吸収切替制御を実行する場合、図21(b)に示すように停止位置推定ずれ量Eの範囲を、閾値th4以下の領域Z61、閾値th4よりも大きく閾値th2以下の領域Z62、閾値th2よりも大きい領域Z63の3つに分けた場合に、停止位置推定ずれ量Eとループずれ量Δの関係を、領域Z61では、グラフ611で示し、領域Z62では、グラフ621で示し、領域Z63では、グラフ631で示している。ここで、閾値th4は、−0.4であり、閾値th2は、0である。
グラフ611は、グラフ602の閾値th4以下の直線部分に相当し、グラフ621は、グラフ602の閾値th4〜th2までの間の直線部分に相当し、グラフ631は、グラフ601の閾値th2よりも大きい直線部分に相当する。
一方、領域Z61に対しては、第5制御と第3制御を組み合わせた制御を実行する。
すなわち、用紙先端突入前に、搬送モーターM1のホールド機能による停止位置推定ずれ量Eに対応するループずれ量Δの絶対値に相当する分だけバックラッシを吸収する第5制御を実行し(矢印Y6)、用紙先端突入後に搬送モーターM1を停止させるときに停止位置を1つ進める第3制御を行うものである。
上記の例では、用紙先端突入時に隙間BLの相当分である0.55〔mm〕だけループ量が減り、停止位置が1つ進められることにより、ループ量が1〔mm〕増え、ホールド機能により停止位置推定ずれ量Eの相当分である0.45〔mm〕だけループ量が減ることから、これらの増減を合計すると、ループずれ量Δが0になる。
なお、領域Z61に対する第5制御と第3制御を組み合わせた制御は、停止位置推定ずれ量E<0かつループずれ量Δ<0の範囲に適用することができる。
図22は、本実施の形態に係るバックラッシ吸収切替制御の処理内容の一部を示すフローチャートであり、実施の形態4に係るバックラッシ吸収切替制御と異なる部分だけを示している。具体的には、実施の形態4のステップS41に代えて、ステップS61,S66が実行され、S62〜S65の処理が追加された内容になっている。
停止位置推定ずれ量E≦閾値th4であることを判断すると(ステップS61で「YES」)、時間taを時間td分、長くした時間に変更する(ステップS62)。これにより、搬送モーターM1の停止時における停止位置が1つ進んだ位置に設定される(第3制御)。
そして、用紙先端突入前に、ループずれ量Δの絶対値に相当する分だけバックラッシを吸収する第5制御を実行する(ステップS64)。このバックラッシの吸収により、ギア1Aと1B間の隙間BLが停止位置推定ずれ量Eの相当分の大きさに調整される。ステップS64の処理内容は、上記ステップS47と同じである。
用紙先端突入前のバックラッシの吸収により、ギア1Aと1B間の隙間BLが停止位置推定ずれ量Eの相当分の大きさに調整されているので、用紙先端突入時に、その隙間BLだけ用紙Sのループ量が減るが、用紙先端突入後の搬送モーターM1の停止位置が1つ進むことにより用紙Sのループ量が増え、その後の搬送モーターM1のホールド機能によりループ量が減って、この増減が相殺されることにより、ループずれ量Eが0になる。
<実施の形態7>
上記実施の形態6では、停止位置推定ずれ量Eの絶対値の最大値Em<バックラッシの最大値BMの関係を有する構成例を説明したが、本実施の形態7では、Em>BMの関係になっており、この点で実施の形態6と異なっている。
図23(a)の破線のグラフ701は、バックラッシを吸収しない場合のずれ量の関係を示しており、一点鎖線のグラフ702は、バックラッシを吸収せず、搬送モーターM1の停止位置を1つ進める場合のずれ量の関係を示している。
バックラッシを吸収しない場合、グラフ701からループずれ量Δが−0.9〔mm〕〜+0.1〔mm〕の範囲になり、バックラッシを吸収せず、搬送モーターM1の停止位置を1つ進める場合、グラフ702からループずれ量Δが+0.1〔mm〕〜+1.1〔mm〕の範囲になり、いずれにしてもループずれ量Δが大きくなる。
グラフ711は、グラフ702の閾値th2以下の直線部分に相当し、グラフ721は、グラフ701の閾値th2〜th5までの間の直線部分に相当し、グラフ731は、グラフ701の閾値th5よりも大きい直線部分に相当する。
一方、領域Z73に対しては、第2制御と第4制御を組み合わせた制御を実行する。
すなわち、用紙先端突入前に、バックラッシを吸収せず(第2制御)、用紙先端突入後に搬送モーターM1の停止位置を1つ進めることを行わず、さらに用紙先端突入後にループずれ量Δの分、レジストローラー34により用紙Sの先端部を搬送する用紙送り込み動作(第4制御)(矢印Y7)を行う。
図24は、本実施の形態に係るバックラッシ吸収切替制御の処理内容の一部を示すフローチャートであり、実施の形態4に係るバックラッシ吸収切替制御と異なる部分だけを示している。具体的には、実施の形態4のステップS41に代えて、ステップS71,S72が実行され、S73〜S75の処理が追加された内容になっている。
停止位置推定ずれ量E≦閾値th2であることを判断すると(ステップS71で「YES」)、ステップS42に移る。これにより、第2、第3、第4制御が実行される。
停止位置推定ずれ量E≦閾値th2ではなく(ステップS71で「NO」)、停止位置推定ずれ量E≦閾値th5であることを判断すると(ステップS72で「YES」)、ステップS46に移る。これにより、第5制御が実行される。
用紙先端突入を判断すると(ステップS74で「YES」)、レジストモーターM2により、停止位置推定ずれ量Eに対応するループずれ量Δに相当する分だけ、用紙Sの先端部をレジストローラー34で搬送する用紙送り込み動作(第4制御)を実行して(ステップS75)、ステップS6に移る。ステップS75の処理内容は、上記ステップS45と同じである。
Em>BMの関係から、バックラッシを吸収せず、搬送モーターM1の停止位置を1つ進める動作を行わない場合に、ループずれ量Δが0よりも大きくなる領域Z73に対して、ループずれ量Δの分、用紙先端突入後に用紙送り込み動作によりループ量を減らすことにより、ループずれ量Δを0にすることができる。
<実施の形態8>
上記実施の形態5では、図19に示すように停止位置推定ずれ量Eを正の範囲で領域Z51と領域Z42に分けて、領域Z51に対し第1制御と第4制御を実行し、領域Z42に対し第5制御を実行するとしたが、本実施の形態8では、第1制御と第4制御を実行し、第5制御を実行しないとしており、この点で実施の形態5と異なっている。
同図に示すように停止位置推定ずれ量Eの範囲を、閾値th2(ここでは、0)以下の領域Z41、閾値th2よりも大きい領域Z81の2つに分けた場合に、停止位置推定ずれ量Eとループずれ量Δの関係を、領域Z41ではバックラッシを吸収せず、搬送モーターM1の停止位置を1つ進める場合をグラフ401で示し、領域Z81ではバックラッシを吸収し、搬送モーターM1の停止位置を進めない場合をグラフ801で示している。
このように停止位置推定ずれ量Eが正の範囲全体である領域Z81に対して、第5制御を実行せず、第1制御と第4制御の組み合わせだけを実行するのは、次の理由による。
このバックラッシが最大値BMになっていることの前提は、駆動しているレジストモーターM2が停止したときに、図7(a)に示すように駆動側のギア1Aの回転が停止した時点では、ギア1Aの1つの歯の正転方向下流側の歯面1Azと、被駆動側のギア1Bの1つの歯の搬送方向上流側の歯面1Bzとが当たった状態になっていることが多く、この状態でバックラッシが最大値BMになることによる。
レジストローラー34の慣性力が常時一定であるとは限らないことから、レジストローラー34の停止の度にバックラッシが最大値BMになるときもあれば、最大値BMよりも小さくなることもあり、このようになると、上記の前提が崩れて、第5制御では、ループずれ量Δを0にすることができなくおそれが生じる。
そこで、本実施の形態8では、領域Z81に対しては、用紙先端突入前にバックラッシを吸収し(第1制御)、そのバックラッシの吸収により増える分のループずれ量Δを、用紙先端突入後に用紙Sの先端部をレジストローラー34の搬送により減らす用紙送り込み(第4制御)を実行して(矢印Y8)、ループずれ量Δを0にするようにしている。
図26は、本実施の形態に係るバックラッシ吸収切替制御の処理内容の一部を示すフローチャートであり、実施の形態4におけるバックラッシ吸収切替制御のステップS46〜S48に代えて、ステップS52〜S55が実行される内容になっている。
停止位置推定ずれ量E>閾値th2であることを判断すると(ステップS41で「NO」)、ステップS52に移り、ステップS52〜S55の処理を実行して、ステップS6に移る。ステップS52〜S55は、実施の形態5のステップS52〜S55と同じものであり、ステップS52以降において、第1制御と第4制御が実行される。
<実施の形態9>
上記実施の形態8では、停止位置推定ずれ量Eが正の範囲において第1と第4制御を実行するとしたが、本実施の形態9では、これに代えて第6制御を実行するとしており、この点で実施の形態8と異なっている。
同図に示すように停止位置推定ずれ量Eの範囲を、閾値th2(ここでは、0)以下の領域Z41、閾値th2よりも大きい領域Z91の2つに分けた場合に、停止位置推定ずれ量Eとループずれ量Δの関係を、領域Z41ではバックラッシを吸収せず、搬送モーターM1の停止位置を1つ進める場合をグラフ401で示し、領域Z91ではバックラッシによる最大値BMのずれ量が形成されている場合をグラフ901で示している。
一方、領域Z91に対しては、第6制御が実行される。
第6制御は、用紙Sの先端がレジストローラー34に突入する前(用紙先端突入前)に、バックラッシを最大値BMになるように形成してから(矢印Y9)、バックラッシによる隙間BLが停止位置推定ずれ量Eの相当分の大きさになるようにループずれ量Δの絶対値に相当する分だけバックラッシを吸収する(矢印Y91)制御である。
すなわち、上記の実施の形態8で説明したように、レジストローラー34が停止した時点でバックラッシによるずれ量が常時、最大値BMになっているとは限られないことから、実施の形態8では、用紙先端突入前にバックラッシを完全に吸収し(第1制御)、用紙先端突入後に用紙Sの先端部をループずれ量Δの分だけレジストローラー34で搬送することにより(第4制御)、ループずれ量Δを0にするようにした。
図28は、本実施の形態に係るバックラッシ吸収切替制御の処理内容の一部を示すフローチャートであり、実施の形態4におけるバックラッシ吸収切替制御のステップS41とS46の間に、ステップS91が実行される内容になっている。
停止位置推定ずれ量E>閾値th2であることを判断すると(ステップS41で「NO」)、第6制御として、レジストモーターM2を正転させてバックラッシによるずれ量が最大値BMになるようにバックラッシを生成し(ステップS91)、ステップS46に移る。ステップS46以降では、第5制御が実行される。
上記の実施の形態1〜9において実行される制御をまとめると、次のようになる。
実施の形態1では、停止位置推定ずれ量E≦閾値th1の場合に第1制御が実行され、閾値th1<停止位置推定ずれ量Eの場合に第2制御が実行される。
実施の形態3では、E≦閾値th2の場合に第2、第3制御が実行され、閾値th2<E≦閾値th3の場合に第1制御が実行され、閾値th3<Eの場合に第2制御が実行される。
実施の形態5では、E≦閾値th2の場合に第2、第3、第4制御が実行され、閾値th2<E≦閾値th3の場合に第1、第4制御が実行され、閾値th3<Eの場合に第5制御が実行される。
実施の形態7(Em>BM)では、E≦閾値th2の場合に第2、第3、第4制御が実行され、閾値th2<E≦閾値th5の場合に第5制御が実行され、閾値th5<Eの場合に第2、第4制御が実行される。
実施の形態9では、E≦閾値th2の場合に第2、第3、第4制御が実行され、閾値th2<Eの場合に第6制御が実行される。
<実施の形態10>
上記実施の形態では、搬送モーターM1のホールド機能によるホールド位置が、隣り合う2つの停止可能角度位置BnとB(n+1)のうち、本来の停止位置Bpに近い方の角度位置になるとみなして、停止位置推定ずれ量Eを求める方法を説明した。
仮に、近い方の停止可能角度位置をB11とみなして停止位置推定ずれ量Eを求めても、ホールド位置がB10になったならば、停止位置推定ずれ量Eが推定値ではプラスのところ、実際のずれ量がマイナスになることになる。これでは、上記の第1制御などを実行しても所期の効果を達し得ない場合が生じ、用紙搬送性の低下に繋がるおそれもある。
例えば、角度位置〔10〕が停止可能角度位置B10、角度位置〔20〕が停止可能角度位置B11、角度位置〔15〕が丁度、停止可能角度位置B10とB11の中間位置Bcに相当し、変更前の位置〔14〕〜〔16〕が所定の範囲Δp(図29)に相当する。
停止位置Bpが変更されると、その変更後の停止位置まで搬送モーターM1の回転軸Maの回転が行われ、変更後の停止位置で停止した後にホールド機能が作用する。上記の例の場合、停止可能角度位置B11まで回転して停止するので、この停止可能角度位置B11が最も近い停止可能角度位置になり、停止可能角度位置B11がホールド位置になる。
すなわち、本来の停止位置Bpが所定の範囲Δp内に入っているか否かを判断する(ステップS101)。この判断は、本来の停止位置Bpの停止可能角度位置B0〜B17に対する位置と所定の範囲Δpとの位置関係を、上記の(式2)などにより求めることにより実行することができる。
このように本来の停止位置Bpが停止可能角度位置BnとB(n+1)との中間位置Bcを含む所定の範囲Δp内にあるときに限り、停止位置Bpを、B(n+1)側に進んだ位置に変更することにより、ホールド位置がばらつくことを防止することができる。
例えば、0よりも大きく(γ/2)以下の範囲の角度などとすることができる。隣り合う2つの停止可能角度位置BnとB(n+1)間の角度差γよりも小さい角度としても、一定の効果は得られる。
搬送モーターM1の回転軸Maの慣性力が大きければ、本来の停止位置Bpからわずかに行き過ぎて(進んで)停止する場合もあり得る。
ところが、仮に、角度位置の〔15〕まで進んで停止してしまうと、ホールド位置が停止可能角度位置B11になり、推定された停止位置推定ずれ量Eがマイナスであるのに対し、実際の停止位置推定ずれ量Eがプラスになって大きく相違することになってしまう。
具体的には、上記の図30において、中間位置Bcよりも回転方向上流側に所定の領域Δqをとり、これを例えば角度位置〔13〕、〔14〕とすれば、本来の停止位置Bpが所定の領域Δq内に入る場合に、本来の停止位置Bpを、数値の4だけ減算した位置に変更する構成としても良い。上記の例において、本来の停止位置Bpが〔14〕の場合、変更後の位置Bpaは、〔10〕になり、この角度位置〔10〕は、停止可能角度位置B10と同じ位置になる。
すなわち、本来の停止位置Bpが所定の範囲Δq内に入っていることを判断すると(ステップS103で「YES」)、時間taを、搬送モーターM1が〔(360/3P)/2〕の角度だけ回転するのに要する分だけ短くした時間に変更して(ステップS104)、ステップS4に移る。
このように停止位置Bpを、Bn側に戻るように変更する制御を行うことでも、ホールド位置がばらつくことを防止することができる。
本発明は、画像形成装置や画像読取装置を含む画像処理装置に限られず、モーターを制御する制御方法であるとしてもよい。また、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。さらに、本発明に係るプログラムは、例えばフレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROMなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、搬送モーターM1をDCブラシレスモーター、レジストモーターM2をステッピングモーターとする構成例を説明したが、使用するモーターの種類はこれに限られない。例えば、搬送モーターM1とレジストモーターM2の両方をDCブラシレスモーターとする構成をとることもできる。
(2)上記実施の形態では、搬送モーターM1における本来の停止位置Bpとホールド機能による停止位置(ホールド位置)との差により生じるループずれ量を指標する指標値として、停止位置推定ずれ量Eを用紙搬送距離に換算したものを用いる構成例を説明したが、これに限られることはない。例えば、回転角度などの他の単位を用いて、その単位でホールド機能によるずれ量やバックラッシによるずれ量を統一するとしても良い。
例えば、ずれ量の単位に代えて、ループ量そのものの単位を用いるとしても良い。具体的には、目標の大きさを例えば10としたとき、ループ量が目標よりも小さくなるにつれて数値が9、8・・というように小さくなり、大きくなるにつれて数値が11、12・・というように大きくなるようにした場合に、ずれ量をその数値(ループ量)で規定する方法をとることができる。この方法を用いれば、マイナスの範囲をとる必要がなくなる。
また、タンデム型のカラープリンターの場合、感光体ドラム11と中間転写ベルト21を像担持体、二次転写位置351を像担持体の転写位置と捉えて、この転写位置に画像形成のタイミングに合わせて用紙Sをレジストローラー34により搬送する構成となるが、例えば、1つの感光体ドラム上に形成された画像を直接、用紙に転写するモノクロの画像形成装置の場合、感光体ドラムが像担持体、感光体ドラムの転写位置を像担持体の転写位置と捉えることもできる。
具体的には、原稿トレイにセットされた原稿を1枚ずつ搬送路に繰り出して、繰り出された原稿を一対の第1ローラー(搬送ローラー33に相当)と、これよりも搬送方向下流側の一対の第2ローラー(レジストローラー34に相当)により、原稿の先端部にループを形成した後、その原稿を画像読取のタイミングに合わせて読取位置に搬送し、搬送される原稿が読取位置を通過する際にその原稿の画像を光学的に読み取る画像読取装置において、第1ローラーを回転駆動する第1モーター(搬送モーターM1に相当)と第2ローラーを回転駆動する第2モーター(レジストモーターM2に相当)をそれぞれ制御する場合に、上記と同様の制御方法をとることができる。
1A,1B ギア
33 搬送ローラー
34 レジストローラー
38 レジストセンサー
39 搬送路
60 搬送制御部
61 レジストモーター制御部
62 搬送モーター制御部
71 バックラッシ吸収制御切替部
81 位相検出部
82 位置ずれ推定部
100 プリンター(画像形成装置)
B0〜B17 停止可能角度位置
Bc 隣り合う2つの停止可能角度位置間に存する中間位置
BL バックラッシによるギアの隙間
BM バックラッシの最大値
Bp 本来の停止位置
Bp1 停止位置を1つ進める場合の停止位置
E 停止位置推定ずれ量
M1 搬送モーター
M2 レジストモーター
th1〜th5 閾値
Δ ループずれ量
Δp、Δq 中間位置を含む所定の範囲
Claims (15)
- 画像処理の対象となるシートを、一対の第1ローラーと当該一対の第1ローラーよりも搬送方向下流側の一対の第2ローラーで搬送する画像処理装置であって、
前記第1ローラーを回転駆動させるモーターであり、回転軸を、1周のうち周方向に間隔をおいた所定の複数の回転角度位置のいずれかの位置に停止した状態で保持させるホールド機能を有する第1モーターと、
第2モーターと、
前記第2モーターの回転駆動力を、駆動側伝達部材から当該伝達部材との間に回転方向の遊びを有する被駆動側伝達部材を介して前記第2ローラーに伝達する駆動伝達部と、
前記第2モーターを停止しつつ前記第1モーターを動作させて、前記第1ローラーにより搬送されるシートの先端が、停止中の第2ローラーに当接した後、前記第1モーターが、当該シートの先端部に目標の大きさのループを形成するのに必要な量だけ回転すると、当該第1モーターを停止させて前記ホールド機能を作用させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
1枚のシートに対し、ループ形成前に、当該ループ形成の終了時における前記第1モーターの回転軸の、前記必要な量だけ回転したときの本来の停止位置と、前記ホールド機能による停止位置との差により生じるループずれ量の指標値を推定する推定部と、
前記シートの先端が前記第2ローラーに達する前に、ループ形成後のループ量の、前記目標の大きさとの差が所定範囲内に収まるように、前記推定された指標値に基づいて前記第2モーターを逆転させて前記駆動伝達部の遊びを吸収する第1制御と、前記第2モーターの停止を継続して前記遊びを許容する第2制御とを切り替えて実行する制御切替部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。 - 前記制御切替部は、
前記指標値を、前記ループ量が目標の大きさよりも大きい範囲にあるときの前記目標の大きさとの差分を正の極性、小さい範囲にあるときの前記目標の大きさとの差分を負の極性で表したとき、
前記指標値が所定の閾値th1以下の場合には前記第1制御を実行し、
前記指標値が前記閾値th1よりも大きい場合には前記第2制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記制御切替部は、
前記指標値を、前記ループ量が目標の大きさよりも大きい範囲にあるときの前記目標の大きさとの差分を正の極性、小さい範囲にあるときの前記目標の大きさとの差分を負の極性で表すと共に、
前記第1モーターの停止前に、前記必要な量を前記隣り合う2つの回転角度位置の間の角度差の分だけ加算してなる量に変更する制御を第3制御としたとき、
前記指標値が所定の閾値th2以下の場合には、前記第2制御と第3制御を実行し、
前記指標値が前記閾値th2よりも大きい場合には、前記第1制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記制御切替部は、
前記シートの先端が前記第2ローラーに到達した以降に当該シートの先端部を、前記停止中の第2モーターの駆動により、前記第2制御と第3制御を実行したならば過剰になるであろうループ量に相当する分だけ、前記第2ローラーで搬送させる制御を第4制御としたとき、
前記指標値が前記閾値th2以下の場合には、前記第2制御と第3制御とは別に、前記第4制御を実行し、
前記指標値が前記閾値th2よりも大きい場合には、前記第1制御を、前記遊びの吸収が終わった時点で前記推定されたループずれ量の指標値に相当する分だけ遊びが残るように前記遊びの吸収を制限して実行することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。 - 前記制御切替部は、
前記閾値th2よりも大きい所定の閾値を閾値th3としたとき、
前記指標値が前記閾値th2よりも大きく前記閾値th3以下の場合には、前記第1制御を前記遊びの吸収を制限しないで実行し、かつ前記第4制御を実行し、
前記指標値が前記閾値th3よりも大きい場合には、前記第1制御を前記遊びの吸収を制限して実行することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。 - 前記制御切替部は、
前記第1モーターによる本来の停止位置と前記ホールド機能による停止位置との差により生じるループずれ量の絶対値の最大値を指標する値をEm、
前記駆動伝達部の遊びにより生じるループずれ量の最大値を指標する値をBM、
前記第1モーターによるループずれ量の最小値から最大値までの範囲のうち、前記第2制御と第3制御を実行したならば前記シートに形成されるループ量が前記目標の大きさに一致することになるずれ量の指標値を閾値th4とし、
閾値th4<閾値th2の関係、およびEm<BMの関係を有するとしたとき、
前記指標値が前記閾値th4以下の場合には、前記第2制御、第3制御、第4制御に代えて、前記第1制御を前記遊びの一部だけを吸収するように実行し、かつ前記第3制御を実行することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。 - 前記制御切替部は、
前記第1モーターによる本来の停止位置と前記ホールド機能による停止位置との差により生じるループずれ量の絶対値の最大値を指標する値をEm、
前記駆動伝達部の遊びにより生じるループずれ量の最大値を指標する値をBM、
前記第1モーターによるループずれ量の最小値から最大値までの範囲のうち、前記第2制御だけを実行したならば前記シートに形成されるループ量が前記目標の大きさに一致することになるずれ量の指標値を閾値th5とし、
閾値th2<閾値th5の関係、およびEm>BMの関係を有するとしたとき、
前記指標値が前記閾値th5よりも大きい場合には、前記第1制御に代えて、前記第2制御と前記第4制御を実行することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。 - 前記制御切替部は、
前記指標値が前記閾値th2よりも大きい場合には、前記シートの先端が前記第2ローラーに到達する前に、前記第2モーターを正転させて前記遊びを最大値まで拡大させた後、前記第1制御を前記遊びの一部だけを吸収するように実行することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。 - 前記制御切替部は、
前記シートの先端が前記第2ローラーに到達した以降に当該シートの先端部を、前記停止中の第2モーターの駆動により、前記第2制御と第3制御を実行したならば過剰になるであろうループ量に相当する分だけ、前記第2ローラーで搬送させる制御を第4制御としたとき、
前記指標値が前記閾値th2以下の場合には、前記第2制御と第3制御とは別に、前記第4制御を実行し、
前記指標値が前記閾値th2よりも大きい場合には、前記第1制御とは別に第4制御を実行することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。 - 前記第2モーターは、
ステッピングモーターであることを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記制御切替部は、
前記閾値th2よりも大きい所定の閾値を閾値th3としたとき、
前記指標値が、前記閾値th3よりも大きい場合には、前記第1制御に代えて前記第2制御を実行することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。 - 前記制御切替部は、
前記本来の停止位置が、前記隣り合う2つの回転角度位置の間に存する中間位置Bcを含む所定の範囲Δp内に入っている場合には、前記本来の停止位置を、前記隣り合う2つの回転角度位置間の角度差よりも小さい所定の角度の相当分だけ回転方向に進んだ位置に変更する制御を実行することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記制御切替部は、
前記本来の停止位置が、前記隣り合う2つの回転角度位置の間に存する中間位置Bcを含む所定の範囲Δq内に入っている場合には、前記本来の停止位置を、前記隣り合う2つの回転角度位置間の角度差よりも小さい所定の角度の相当分だけ回転方向とは逆方向に戻った位置に変更する制御を実行することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記第1モーターは、
DCブラシレスモーターであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記第2ローラーは、
像担持体への画像形成のタイミングに合わせて前記シートを前記像担持体の転写位置に搬送するレジストローラー、または前記シートをその画像読取のタイミングに合わせて読取位置に搬送するレジストローラーであり、
前記第1ローラーは、
前記レジストローラーに向けて前記シートを搬送する搬送ローラーであり、
前記駆動側伝達部材と被駆動側伝達部材のそれぞれは、ギアであり、
前記遊びは、前記2つのギア間のバックラッシであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の画像処理装置。
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