以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態による製造方法で製造する流量調節装置の構成について説明する。
本実施形態で製造する流量調節装置(風量調節ダンパ)は、流通空間を流通する空気の流量を調節するためのものであり、流通空間の開閉及び開度調節を行うものである。この流量調節装置は、例えば、鉄道車両の屋根等に設置され、車外から車内への外気の取入量を調節する。また、流量調節装置は、建物に設けられてその建物の室内と室外との間の換気量を調節する。
本実施形態で製造する流量調節装置は、図1に示すように、枠体2と、2つの流量調節羽根4(以下、単に羽根4という)と、アクチュエータ6と、複数の軸受8と、複数のワッシャ9と、リンク機構10とを備えている。
枠体2は、略矩形状を呈しており、空気が流通する流通空間Sの外側を囲む。枠体2は、2つの側部枠材12と上部枠材14と下部枠材16とが互いに組み付けられることによって形成されている。各枠材12,14,16は、アルミ合金を押出成形することによって形成された形材である。2つの側部枠材12は、水平方向において互いに間隔をあけて配置されている。上部枠材14は、2つの側部枠材12の上端部同士の間に配置されており、各側部枠材12の上端部と上部枠材14の対応する端部とが互いに螺子17で締結されている。下部枠材16は、2つの側部枠材12の下端部同士の間に配置されており、各側部枠材12の下端部と下部枠材16の対応する端部とが互いに螺子17で締結されている。
2つの側部枠材12は、水平方向において互いに対称となるように構成されている。2つの側部枠材12は、互いに対向する平板状の板部18をそれぞれ有する。各側部枠材12の板部18には、図4に示すように、2つの取付穴20がそれぞれ形成されており、この2つの取付穴20は、上下に間隔をあけて配置されている。各取付穴20には、軸受8がそれぞれ嵌め込まれて固定されている。
上部枠材14と下部枠材16とは、水平方向と直交する上下方向において互いに対称となるように構成されている。上部枠材14は、下方を向く平板状の上板部22を有しており、下部枠材16は、上方を向く平板状の下板部24を有している。上部枠材14の上板部22と下部枠材16の下板部24とは、互いに対向するように配置されている。
上部枠材14の上板部22の上面から上側へ突出するように2つの螺子受部26が設けられている。螺子受部26は、各側部枠材12と上部枠材14との締結のために螺子17がねじ込まれる部分である。螺子受部26は、上板部22と一体成形されている。また、各螺子受部26は、上板部22の一方の側部枠材12側の端部から他方の側部枠材12側の端部までに亘って水平方向に延びている。上部枠材14は、螺子受部26の延びる方向に押出成形することによって形成されている。
上部枠材14の上板部22の下面には、羽根4が後述する遮断位置Bに回動したときにその羽根4の幅方向の端部に当接してそれ以上の羽根4の回動を阻止するストッパ28が設けられている。ストッパ28は、上板部22に対して分離可能に取り付けられている。ストッパ28は、2つの側部枠材12の対向方向に延びている。ストッパ28は、上板部22の下面に沿って配置されて螺子等によって上板部22に固定される取付部28a(図1参照)と、その取付部28aから垂直に立ち下げられて、羽根4の幅方向の端部に当接してその羽根4のそれ以上の回動を阻止する当接部28bとを有する。
下部枠材16としては、上部枠材14と同様に形成された形材が用いられており、上部枠材14と上下反転した状態で配置されている。
2つの羽根4は、枠体2の内側において回動することにより、その枠体2の内側の流通空間S、すなわち枠体2の各枠材12,14,16によって囲まれた流通空間Sの開口度を調節し、それによって流通空間Sを通って流れる空気の流量を調節するものである。2つの羽根4は、流通空間Sにおいて上下に並んで配置されている。2つの羽根4のうち上側に配置された羽根4を上羽根4aといい、下側に配置された羽根4を下羽根4bという。
各羽根4は、アルミ合金を押出成形することによって形成されており、一体成形された回動軸32と羽根部34とを有する。回動軸32は、直線的に延びる棒状に形成されている。回動軸32には、図7に示すように当該回動軸32をその軸心方向に貫通する穴35が形成されており、その穴35は、回動軸32の径方向において一方側に開口している。この穴35の開口部35aは、回動軸32の軸心方向における一端から他端までに亘って形成されている。回動軸32の外周部には複数の突条36が形成されており、この複数の突条36によって、回動軸32の外周部は凹凸形状となっている。突条36は、本発明の突起部の一例である。複数の突条36は、図5に示すように回動軸32の一端から他端までに亘って当該回動軸32の軸心方向に延びているとともに、図7に示すように回動軸32の周方向に間隔をおいて配置されている。回動軸32の径方向における各突条36の外端面36aは、回動軸32の軸心に直交する断面において当該軸心を中心とした円弧を形成する曲面となっている。
上羽根4aの回動軸32の一端部32aは、ワッシャ9に挿通されるとともに、一方の側部枠材12に設けられた2つの軸受8のうち上側の軸受8に挿通されており、上羽根4aの回動軸32の他端部32bは、ワッシャ9に挿通されるとともに、他方の側部枠材12に設けられた2つの軸受8のうち上側の軸受8に挿通されている(図1参照)。すなわち、一方の側部枠材12に設けられた上側の軸受8と上羽根4aの羽根部34の対応する一方側の端縁との間にワッシャ9が介在する状態で上羽根4aの回動軸32の一端部32aがそのワッシャ9及び上側の軸受8に挿通され、他方の側部枠材12に設けられた上側の軸受8と上羽根4aの羽根部34の対応する他方側の端縁との間にワッシャ9が介在する状態で上羽根4aの回動軸32の他端部32bがそのワッシャ9及び上側の軸受8に挿通されている。
各軸受8は円筒状の内周面を有しており、上羽根4aの回動軸32のうち各軸受8に挿通された部分の各突条36の外端面36a(図7参照)は、軸受8の内周面に接触した状態でその内周面に対して回動軸32の周方向に摺動可能となっている。これにより、上羽根4aの回動軸32は、その軸心回りに回動自在となるようにその回動軸32が挿通された軸受8によって支持されている。上羽根4aの回動軸32の一端部32aは、それが挿通された軸受8から枠体2の外側へ僅かに突出している。また、上羽根4aの回動軸32の他端部32bは、それが挿通された軸受8から枠体2の外側へ大きく突出している。
上羽根4aの羽根部34は、その上羽根4aの回動軸32の軸心回りにその回動軸32とともに回動して流通空間S(図1参照)の開口度を変化させ、それによって空気の流通量を調節する。羽根部34は、図5に示すように、上羽根4aの回動軸32の開口部35aに向き合う方向から見て当該回動軸32の両外側で且つ当該回動軸32の径方向外側へ突出するように延びる略平板状に形成されている。上羽根4aの回動軸32の両端部32a,32bは、当該回動軸32の軸心方向において羽根部34の両端縁から突出している。上羽根4aの回動軸32の前記他端部32bが羽根部34の対応する端縁から突出している長さは、当該上羽根4aの回動軸32の前記一端部32aが羽根部34の対応する端縁から突出している長さよりも大きくなっている。
下羽根4bの回動軸32の一端部32cは、ワッシャ9に挿通されるとともに、一方の側部枠材12に設けられた2つの軸受8のうち下側の軸受8に挿通されており、下羽根4bの回動軸32の他端部32dは、ワッシャ9に挿通されるとともに、他方の側部枠材12に設けられた2つの軸受8のうち下側の軸受8に挿通されている(図1参照)。すなわち、一方の側部枠材12に設けられた下側の軸受8と下羽根4bの羽根部34の対応する一方側の端縁との間にワッシャ9が介在する状態で下羽根4bの回動軸32の一端部32cがそのワッシャ9及び下側の軸受8に挿通され、他方の側部枠材12に設けられた下側の軸受8と下羽根4bの羽根部34の対応する他方側の端縁との間にワッシャ9が介在する状態で下羽根4bの回動軸32の他端部32dがそのワッシャ9及び下側の軸受8に挿通されている。
下羽根4bの回動軸32のうち各軸受8に挿通された部分の各突条36の外端面36a(図6参照)は、軸受8の内周面に接触した状態でその内周面に対して回動軸32の周方向に摺動可能となっている。これにより、下羽根4bの回動軸32は、その軸心回りに回動自在となるようにその回動軸32が挿通された軸受8によって支持されている。下羽根4bの回動軸32の両端部32c,32dは、それらが挿通された各軸受8から枠体2の外側へ僅かに突出している。下羽根4bの回動軸32の一端部32cと他端部32dとが当該下羽根4bの羽根部34のそれぞれ対応する端縁から突出している長さは等しくなっている。下羽根4bの上記以外の構成は、上羽根4aの構成と同様である。
アクチュエータ6は、図1及び図2に示すように前記他方の側部枠材12の外側に配置されてその他方の側部枠材12に固定されている。アクチュエータ6は、電動モータであり、図略の電源から電力が供給されて作動し、上羽根4a及び下羽根4bを駆動するための動力を供給するものである。上羽根4aの回動軸32の他端部32bのうちそれが挿通された軸受8から枠体2の外側へ突出した部分は、アクチュエータ6の動力伝達部6aに取り付けられており、その動力伝達部6aからアクチュエータ6の動力が伝えられて上羽根4aの回動軸32がその軸心回りに回動するようになっている。
リンク機構10は、上羽根4aと下羽根4bとが連動して回動するようにそれらの羽根4a,4b同士を連結するものである。リンク機構10は、図1及び図3に示すように、前記一方の側部枠材12の外側、すなわちアクチュエータ6が設けられた側と反対側の枠体2の側部に配置され、上下の軸受8から突出した上羽根4aの回動軸32の一端部32aと下羽根4bの回動軸32の一端部32cとを連結する。リンク機構10は、上羽根4aの回動軸32の回動力を下羽根4bの回動軸32に伝達して下羽根4bを上羽根4aと連動してその下羽根4bの回動軸32の軸心回りに回動させる。リンク機構10は、上リンク部材38と、上リンク軸39と、下リンク部材40と、下リンク軸41と、中間リンク部材42とを有する。
上リンク部材38は、上側の軸受8から突出した上羽根4aの回動軸32の一端部32aに結合されている。上リンク部材38は、細長い板材の小片の一部を折り返すことによって形成されており、図8に示すように上リンク本体部43と折返部44とを有する。
上リンク本体部43は、折返部44よりも大きな長さを有しており、折返部44は、上リンク本体部43から折り返されて当該上リンク本体部43の一部と重ね合わされている。上リンク本体部43のうち折返部44と重ねられた部分には、上羽根4aの回動軸32の一端部32aが挿嵌される嵌合穴43aが形成されている。この嵌合穴43aは、回動軸32の軸心方向に直交する断面形状に対応した形状を有する。具体的には、嵌合穴43aの周縁部には、複数の突条36が形成された回動軸32の外周部の凹凸形状と嵌合する凹凸が形成されている。この嵌合穴43aの周縁部に形成された凹凸は、本発明の係合部の一例である。上羽根4aの回動軸32の一端部32aは、上リンク部材38にその回動軸32の回動力を伝達するように嵌合穴43aに挿嵌され、当該一端部32aがその軸心回りに上リンク部材38に対して空転するのが阻止されるように複数の突条36によるその一端部32aの外周部の凹凸形状と嵌合穴43aの周縁部の凹凸とが嵌合している。また、上リンク本体部43には、その長手方向において嵌合穴43aから離れた位置にリンク軸取付穴43bが形成されている。
折返部44は、嵌合穴43aを覆っており、嵌合穴43aに挿嵌された上羽根4aの回動軸32の一端部32aの端面に当接している。折返部44のうち回動軸32の穴35(図7参照)と対向する位置には螺子挿通穴44aが形成されている。この螺子挿通穴44aに螺子45(図1及び図3参照)が挿通されるとともにその螺子45が上羽根4aの回動軸32の穴35にねじ込まれることによって、上羽根4aの回動軸32の一端部32aが嵌合穴43aに挿嵌された状態で上リンク部材38に固定されている。
下リンク部材40(図1及び図3参照)は、下側の軸受8から突出した下羽根4bの回動軸32の一端部32cに結合されている。下リンク部材40は、上リンク部材38と同様に構成されており、上リンク部材38と上羽根4aの回動軸32の一端部32aとの結合構造と同様の結合構造で下羽根4bの回動軸32の一端部32cと結合している。
中間リンク部材42は、上リンク部材38と下リンク部材40とを連結する細長い板状の部材である。中間リンク部材42は、図3に示すようにその長手方向において2箇所で屈曲している。中間リンク部材42の長手方向の一端部は上リンク軸39を介して上リンク部材38に接続され、中間リンク部材42の長手方向の他端部は下リンク軸41を介して下リンク部材40に接続されている。具体的に、中間リンク部材42の長手方向の一端部と他端部には、図略の貫通穴がそれぞれ形成されている。中間リンク部材42の一端部に形成された貫通穴と上リンク部材38に形成されたリンク軸取付穴43b(図8参照)とに上リンク軸39が挿通されることによって中間リンク部材42の一端部と上リンク部材38とが接続され、中間リンク部材42の他端部に形成された貫通穴と下リンク部材40に形成されたリンク軸取付穴(図示せず)とに下リンク軸41が挿通されることによって中間リンク部材42の他端部と下リンク部材40とが接続されている。上リンク軸39及び下リンク軸41は、上羽根4a及び下羽根4bの回動軸32と略平行に延びている。上リンク部材38と中間リンク部材42とは上リンク軸39を中心として相対的に回動可能となっており、下リンク部材40と中間リンク部材42とは下リンク軸41を中心として相対的に回動可能となっている。
上羽根4aと下羽根4bは、以上のような構成のリンク機構10により互いに逆向きに回動するようになっている。そして、上羽根4a及び下羽根4bは、それらの羽根部34が略水平姿勢を取るように配置されて枠体2の内側の流通空間Sを最も開放する開放位置Aと、それらの羽根部34が水平方向に対して略垂直な姿勢を取るように配置されて流通空間Sをほぼ完全に遮断する遮断位置Bとの間で連動して回動する(図3参照)。
具体的に、流通空間Sを通じて流れる空気の流量を減少させる場合には、上羽根4aが開放位置A側から遮断位置B側へ回動するようにアクチュエータ6が上羽根4aを回動させ、この上羽根4aの回動力がリンク機構10を通じて下羽根4bへ伝達される。この際、上羽根4aの回動に伴い、上リンク部材38の上リンク軸39側が上方へ向かうように上リンク部材38が回動し、それによって中間リンク部材42が引き上げられる。これにより、下リンク部材40の下リンク軸41側が上方へ向かうように下リンク部材40が回動され、それによって下羽根4bが遮断位置B側へ回動される。このとき、下羽根4bは、上羽根4aと逆向きに回動する。上羽根4a及び下羽根4bが各々の遮断位置Bへ近づくほど、流通空間Sの開口度は低下し、それによって流通空間Sの空気の流通量は低下する。そして、上羽根4a及び下羽根4bが遮断位置Bに達した状態では、流通空間Sはほぼ完全に遮蔽され、空気の流通が遮断される。なお、この状態において、上羽根4aの羽根部34の下端部と下羽根4bの羽根部34の上端部とは互いに重なるように配置される。また、上羽根4aのそれ以上の回動は、上羽根4aの羽根部34の上端部が上側のストッパ28の当接部28bに当接することによって阻止され、下羽根4bのそれ以上の回動は、当該下羽根4bの羽根部34の下端部が下側のストッパ28の当接部28bに当接することによって阻止される。
一方、流通空間Sを通じて流れる空気の流量を増加させる場合には、アクチュエータ6が上羽根4aを上述の空気の流量を減少させる場合と反対側(開放位置A側)へ回動させる。この上羽根4aの回動に伴い、リンク機構10の上リンク部材38、中間リンク部材42及び下リンク部材40が空気の流量を増加させる場合と逆向きに動作し、それによって下羽根4bが開放位置A側へ回動される。このときも、下羽根4bは、上羽根4aと逆向きに回動する。上羽根4a及び下羽根4bが各々の開放位置Aへ近づくほど、流通空間Sの開口度は増加し、それによって流通空間Sの空気の流量は増加する。アクチュエータ6は、流通空間Sの開口度が所望の開口度となる回動位置で上羽根4a及び下羽根4bの回動を停止させる。
次に、図9〜図11を参照して、本実施形態の流量調節装置の製造方法について説明する。
従来の流量調節装置の製造方法では、一般的に、流量調節羽根の羽根部と回動軸とを別体に形成し、その形成した羽根部の軸取付用の孔部に回動軸を挿嵌して固定することによって流量調節羽根を形成する。また、羽根部の形成時には、金属板から羽根部の基材を打ち抜くとともにその基材に曲げ加工等を施すことで羽根部を形成することが一般的である。しかし、このような方法では、流量調節羽根の部品点数が増大するとともに、羽根部の煩雑な加工及び羽根部と回動軸との煩雑な組付作業を行わざるを得ない。そこで、本実施形態の流量調節装置の製造方法では、このような問題点を解消できるようにしている。
本実施形態の製造方法では、枠体2を構成する各枠材12,14,16を製造する枠材製造工程と、複数の羽根4を製造する羽根製造工程と、流量調節装置を組み立てる組立工程とを行う。
枠材製造工程では、アルミ合金を材料として押出成形を行うことにより、各枠材12,14,16を形成する。このとき、側部枠材12は、図1の流量調節装置において側部枠材12が上下方向に延びる方向が押出方向となるように成形する。また、上部枠材14及び下部枠材16は、それらの螺子受部26が延びる方向が押出方向となるように成形する。押出成形により形成した側部枠材12には、軸受8を取り付けるための取付穴20及び螺子17を挿通するための穴などを形成する。また、上部枠材14及び下部枠材16には、ストッパ28を締結するための穴を形成する。
羽根製造工程では、まず、アルミ合金を材料として、複数の羽根4を形成するための素材となる形材50(図9参照)を押出成形する成形工程を行う。形材50は、回動軸32の軸心に直交する断面形状と同じ断面形状を有するとともに多数の回動軸32の合計長さ以上の長さを有する軸形成部52と、回動軸32の軸心に直交する方向における羽根部34の断面形状と同じ断面形状を有するとともに軸形成部52と同じ長さを有する羽根部形成部54とを備えるものである。この成形工程では、軸形成部52の延びる方向(軸形成部52の軸心方向)に形材50を押し出す。この成形により、軸形成部52と羽根部形成部54とは一体成形される。
次に、成形工程によって成形された形材50を回動軸32の長さに相当する寸法ごとに切断して複数の基材56(図10及び図11参照)を形成する基材形成工程を行う。上羽根4aの回動軸32は、下羽根4bの回動軸32よりも長いため、上羽根4a用の基材56(図10参照)は、下羽根4b用の基材56(図11参照)よりも大きな長さで切断する。
次に、基材形成工程によって形成された各基材56の羽根部形成部54のうち軸形成部52の長手方向における両端からそれぞれ内側へ所定長さの範囲を切除して羽根部34を形成するとともに回動軸32の両端部を形成する羽根形成工程を行う。
上羽根4aを形成する場合と下羽根4bを形成する場合とでは、羽根部形成部54の切除範囲が異なる。上羽根4aを形成する場合には、図10に示すように羽根部形成部54の一端側の切除範囲R1よりも他端側の切除範囲R2の方がかなり大きい。この切除範囲R1は、上羽根4aにおいて回動軸32の一端部32aが羽根部34の対応する側の端縁から突出する長さに相当する範囲であり、切除範囲R2は、上羽根4aにおいて回動軸32の他端部32bが羽根部34の対応する側の端縁から突出する長さに相当する範囲である。また、下羽根4bを形成する場合には、図11に示すように羽根部形成部54の一端側の切除範囲R3と他端側の切除範囲R4とがほぼ同じ大きさである。切除範囲R3は、下羽根4bにおいて回動軸32の一端部32cが羽根部34の対応する側の端縁から突出する長さに相当する範囲であり、切除範囲R4は、下羽根4bにおいて回動軸32の他端部32dが羽根部34の対応する側の端縁から突出する長さに相当する範囲である。
上記各切除は、プレス加工機によって行う。各切除範囲のうち回動軸32との境界部57(図10及び図11参照)は、下からの支えがない状態でプレス刃が降下して剪断し、この際、羽根部形成部54が剪断されて回動軸32の側面側に僅かに残った部分は、降下するプレス刃によって押されて回動軸32側へ塑性変形する。その結果、回動軸32の端部の外面からほぼバリが突出しない状態で回動軸32が形成される。
最後に、回動軸32及び羽根部34の表面処理としてアルマイト処理を行う。このアルマイト処理により回動軸32の表面の硬度が高くなり、回動軸32の耐摩耗性が向上する。以上のようにして、羽根4が形成される。
組立工程では、2つの側部枠材12の各取付穴20に軸受8を取り付けるとともに、その両側部枠材12に取り付けた各軸受8に対応する羽根4a,4bの回動軸32の各端部を挿通する。また、上部枠材14及び下部枠材16には、ストッパ28をそれぞれ締結し、その上部枠材14及び下部枠材16と2つの側部枠材12とを螺子17で締結する。一方の側部枠材12の上側の軸受8から突出した上羽根4aの回動軸32の一端部32aを上リンク部材38の嵌合穴43aに挿嵌するとともに螺子45でその一端部32aと上リンク部材38とを締結し、同様にして、一方の側部枠材12の下側の軸受8から突出した下羽根4bの回動軸32の一端部32cと下リンク部材40とを締結する。そして、上リンク部材38と中間リンク部材42とを上リンク軸39によって接続するとともに、下リンク部材40と中間リンク部材42とを下リンク軸41によって接続し、リンク機構10を構成する。また、上羽根4aの回動軸32の他端部32b側の部分であって他方の側部枠材12の軸受8から突出した部分をアクチュエータ6の動力伝達部6aと結合させるとともに、アクチュエータ6を他方の側部枠材12に固定する。
以上のようにして、本実施形態の製造方法により流量調節装置が形成される。
本実施形態で製造される上羽根4a及び下羽根4bでは、回動軸32の一端部32a,32cの外周部が複数の突条36によりリンク部材38,40に対して空転するのを阻止するように嵌合穴43aの周縁部と嵌合するため、上羽根4aが上リンク部材38に対して空転するのを防ぐことができるとともに下羽根4bが下リンク部材40に対して空転するのを防ぐことができる。
また、本実施形態で製造される上羽根4a及び下羽根4bでは、羽根部34が回動軸32と一体成形されているため、上羽根4a及び下羽根4bを構成する部品点数を削減することができる。また、羽根部34が回動軸32と一体成形されることにより、羽根部34と回動軸32との組み付けの手間を省いて上羽根4a及び下羽根4bの生産性を向上することができる。
また、本実施形態で製造される上羽根4a及び下羽根4bの回動軸32の外周部には、複数の突条36が設けられ、それらの突条36による回動軸32の一端部32a,32cの外周部の凹凸形状とリンク部材38,40の嵌合穴43aの周縁部の凹凸形状とが嵌り合うため、各回動軸32とリンク部材38,40との間で回動力が伝達される際に掛かる負荷を複数の突条36に分散させて各突条36に掛かる負荷を軽減することができる。このため、各回動軸32の一端部32a,32cの突条36の損傷を抑制することができる。
また、本実施形態で製造される回動軸32のうち軸受8に挿通される部分の外周部にも周方向に間隔をおいて配置された複数の突条36が設けられるため、軸受8の内周面に対する回動軸32の接触面積を低減することができる。このため、回動軸32が軸受8に対して回動するときの摩擦抵抗を低減することができる。
また、各突条36の外端面36aは、回動軸32の軸心に対して直交する断面においてその軸心を中心とした円弧を形成する曲面となっているため、回動軸32がその軸心回りに軸受8に対して回動する際に各突条36の外端面36aを軸受8の内周面に対して滑らかに摺動させることができる。その結果、回動軸32をよりスムーズに回動させることができる。
また、本実施形態では、上側の軸受8と上羽根4aの羽根部34の対応する側の端縁との間にワッシャ9が介在するとともに、下側の軸受8と下羽根4bの羽根部34の対応する側の端縁との間にワッシャ9が介在するため、上羽根4a及び下羽根4bがそれぞれ回動するときにそれらの羽根部34の端縁によって各軸受8が傷付けられるのをワッシャ9によって防ぐことができる。
また、本実施形態で製造される回動軸32の各突条36は回動軸32の軸心方向に延びているため、複数の突条36が外周部に設けられた回動軸32をその軸心方向における押出成形によって形成することができる。このため、切削加工等により回動軸の外周部に複数の突起部を形成する場合に比べて、回動軸32の形成が容易であり、その結果、上羽根4a及び下羽根4bの生産性を向上することができる。
また、本実施形態では、上羽根4a及び下羽根4bの製造時に成形工程において形材50を押出成形することによって軸形成部52と羽根部形成部54とが一体成形されるので、その後の切断工程と羽根形成工程を経て形成された上羽根4a及び下羽根4bにおいて回動軸32と羽根部34とを一体成形することができる。仮に羽根部と回動軸とを別体に形成する場合には、羽根部を板材から打ち抜くとともに回動軸を取り付けるための取付部を曲げ加工等の各種加工により形成し、回動軸を羽根部の取付部に取り付ける作業を行って上羽根及び下羽根を形成する必要があり、それらの羽根の製造工程が煩雑で生産性が低くなる。これに対して、本実施形態では、押出成形を利用して上羽根4a及び下羽根4bの回動軸32と羽根部34とを一体成形できるので、上記のような煩雑な製造工程を実施することなく多数の羽根4a,4bを短時間で製造することができる。このため、羽根4a,4bの生産性を向上できるとともにその製造にかかるコストを削減できる。
なお、本発明の流量調節羽根の製造方法は、上述した流量調節装置の羽根4a,4bを製造するためのものに限定されない。すなわち、一体成形された回動軸と羽根部を有する流量調節羽根であれば、上述した構成以外の構成を有する流量調節装置に用いられる流量調節羽根や、上記羽根4a,4bと異なる構造を有する流量調節羽根にも、本発明の流量調節羽根の製造方法を適用することが可能である。
また、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
羽根4の回動軸32の外周部の形状は、上記実施形態のような複数の突条36による凹凸形状に限定されず、それ以外の様々な凹凸形状が適用されてもよい。例えば、単一の突起部が設けられた凹凸形状であってもよい。また、回動軸の一端部の外周部の突起部は、その一端部がリンク部材と結合する部分のみに設けられていて、回動軸のそれ以外の部分の外周部には突起部が設けられていなくてもよい。
また、回動軸32の外周部の形状は図12に示すような凹凸形状であってもよい。具体的には、回動軸32のうち両側の羽根部34が設けられる側面58が互いに平行な平面状に形成され、羽根部34の板面に直交する方向における回動軸32の両外端面59が回動軸32の軸心を中心とした円弧面に形成されていてもよい。この場合には、例えば、図13に示すように、上リンク部材38に形成する嵌合穴43aを図12の回動軸32の外径に対応した形状に形成するとともに回動軸32の端部をその嵌合穴43aに挿嵌することによって、回動軸32の端部の外周部の凹凸形状と嵌合穴43aの周辺部の凹凸との嵌合により上リンク部材38に対する回動軸32の空転を防ぐことができる。この構成は、下リンク部材にも同様に適用することができる。
また、回動軸32を図12の形状に形成した場合には、例えば上リンク部材38を図14に示すように細長い小片の板体の一端部を略直角に折り曲げたものとしてもよい。この場合には、回動軸32の端部の平面状の両側面58のうちの一方を上リンク部材38の折曲部46に接触させた状態でその回動軸32の端部と上リンク部材38とを螺子45によって締結することにより、回動軸32の端部の外周部は、当該回動軸32の端部がその軸心回りに上リンク部材38に対して空転するのを阻止するように折曲部46と係合する。この場合、折曲部46は、本発明の係合部の一例である。この構成は、下リンク部材にも適用することができる。
また、リンク機構10を流量調節装置においてアクチュエータ6側に配置し、そのリンク機構10によって、上羽根4aの回動軸32のうちアクチュエータ6側に突出した部分と下羽根4bの回動軸32のうち同じ側に突出した部分とを連結する構成を採用することも可能である。この構成によっても、上羽根4aと下羽根4bを連動して回動させることができる。
また、軸受8と羽根部34の対応する側の端縁との間に介在するワッシャ9は省略してもよい。
また、流量調節羽根を駆動するアクチュエータとして、電動モータ以外に、ソレノイドやエアシリンダなどを適用することが可能である。
また、上記実施形態では、上羽根4aと下羽根4bが互いに逆向きに回動するが、例えば図15に示す第1変形例のように上羽根4aと下羽根4bが同じ向きに回動するようにしてもよい。この第1変形例では、リンク機構10の上リンク部材38と下リンク部材とが互いに平行に延びる姿勢で配置されており、中間リンク部材42が上下方向に直線的に延びる細長い板材によって形成されている。この第1変形例では、上リンク部材38の回動に伴って中間リンク部材42が直線的に上下し、それによって下リンク部材40が上リンク部材38と平行な姿勢を保った状態で上リンク部材38と同じ向きに回動する。これにより、この第1変形例では、上羽根4aの羽根部34と下羽根4bの羽根部34とが互いに平行な状態を保ったまま連動して同じ向きに回動する。
また、図16に示す第2変形例のように中間リンク部材42が直線的に延びる細長い板材からなるとともにその長手方向の中央部を支点として回動するようになっていてもよい。具体的に、この第2変形例では、側部枠材12に設けられた支持軸62によって中間リンク部材42の長手方向の中央部が軸支されている。中間リンク部材42の長手方向の一端部には、当該中間リンク部材42の長手方向に延びる長穴63が形成されており、中間リンク部材42の長手方向の他端部には、前記長穴63と同様の長穴64が形成されている。中間リンク部材42の一方の長穴63には、上リンク軸39がその長穴63の延びる方向に遊動可能な状態で挿通され、中間リンク部材42の他方の長穴64には、下リンク軸41が同様に挿通されている。上リンク部材38が回動するときには、上リンク軸39が一方の長穴63内をスライドしつつ中間リンク部材42を支持軸62を中心として回動させ、それに伴って、下リンク軸41が他方の長穴64内をスライドしつつ中間リンク部材42が下リンク軸41を介して下リンク部材40を上リンク部材38と同じ向きに回動させる。これにより、この第2変形例では、上羽根4aと下羽根4bとが同じ向きに回動するようになっている。
また、図17に示す第3変形例のように中間リンク部材42が形成されていてもよい。この第3変形例では、中間リンク部材42は比較的幅広で上下に延びる板体からなり、その上端から下側へ延びるスリット68と、その下端から上側へ延びるスリット69とが中間リンク部材42に形成されている。上側のスリット68には、上羽根4aの回動軸32の一端部32aがそのスリット68の延びる方向に相対的に遊動可能な状態で嵌まり込み、下側のスリット69には、下羽根4bの回動軸の一端部32cがそのスリット69の延びる方向に相対的に遊動可能な状態で嵌り込んでいる。また、中間リンク部材42の上端近傍の部位には、斜めに延びる長穴66が形成されており、その長穴66には上リンク軸39が当該長穴66の延びる方向へ遊動可能な状態で挿通されている。中間リンク部材42の下端近傍の部位には、上側の長穴66の延びる方向と直交する方向に斜めに延びる長穴67が形成されており、その長穴67には下リンク軸41が当該長穴67の延びる方向へ遊動可能な状態で挿通されている。この第3変形例では、上リンク部材38の回動が、上側の長穴66に沿って上リンク軸39がスライドすることで上下方向への直線運動に変換されて中間リンク部材42に伝達され、さらに、その中間リンク部材42の上下方向への直線運動が、下側の長穴67に沿って下リンク軸41がスライドすることで回転運動に変換されて下リンク部材40に伝達される。以上のような動作により、上リンク部材38と下リンク部材40が互いに逆向きに回動し、それに伴って上羽根4aと下羽根4bが上記実施形態の場合と同様に互いに逆向きに回動するようになっている。
また、図18に示す第4変形例のように、上リンク部材38が上羽根4aの羽根部34に沿う方向に延びるとともに下リンク部材40が下羽根4bの羽根部34に垂直な方向に延び、それらの上リンク部材38と下リンク部材40とを直線的に延びる細長い板状の中間リンク部材42で連結してもよい。この第4変形例では、中間リンク部材42の一端部と上リンク部材38とが上リンク軸39を介して相対回転可能な状態で接続されているとともに、中間リンク部材42の他端部と下リンク部材40とが下リンク軸41を介して相対回転可能な状態で接続されている。この第4変形例では、上リンク部材38の回動が上リンク軸39、中間リンク部材42及び下リンク軸41を介して上リンク部材38の回動と逆向きの回転運動に変換されて下リンク部材40に伝達される。これにより、上羽根4aと下羽根4bとが互いに逆向きに回動する。
また、流量調節装置に設けられる羽根4の数は、必ずしも2枚に限定されるものではなく、3枚以上の羽根4が流量調節装置に設けられていてもよい。図19〜図25には、流量調節装置に4枚の羽根4が設けられた変形例が示されている。
図19に示す第5変形例では、上記実施形態の上羽根4a及び下羽根4bと同様の2つの羽根4を1組として、それらの羽根4が上下に2組並べて配置されている。それに伴い、図3に示した上記実施形態のリンク機構10と同様のリンク機構10が2組設けられており、それら各組のリンク機構10により上側の2つの羽根4同士と下側の2つの羽根4同士がそれぞれ連結されている。また、この第5変形例では、上側のリンク機構10と下側のリンク機構10とが同期して作動するようにそれら両リンク機構10同士を連結する連結部材72が設けられている。連結部材72は、上下方向に直線的に延びる細長い板体であり、上側のリンク機構10の上リンク軸39と下側のリンク機構10の上リンク軸39とを連結している。連結部材72の上端部は、上側のリンク機構10の上リンク軸39に相対回転可能な状態で接続され、連結部材72の下端部は、下側のリンク機構10の上リンク軸39に相対回転可能な状態で接続されている。この第5変形例では、最も上側の羽根4が図略のアクチュエータによって回動されることにより、その羽根4と連動して残りの3つの羽根4が回動するようになっている。そして、上側の2つの羽根4と下側の2つの羽根4とは、連結部材72によって同期された状態で回動され、共に上記実施形態の羽根4a,4bと同様に動作する。
図20に示す第6変形例は、上記第5変形例のさらなる変形例であり、上側のリンク機構10と下側のリンク機構10とが、中間連結部材74、上連結部材75、上連結軸76、下連結部材77及び下連結軸78によって連結されている。上連結部材75は、上から2番目の羽根4の回動軸の一端部に固定され、下連結部材77は、上から3番目の羽根の回動軸の一端部に固定されている。上連結部材75及び下連結部材77の対応する各回動軸の端部に対する結合構造は、上リンク部材38又は下リンク部材40の対応する回動軸の端部への結合構造と同様である。中間連結部材74は、中間リンク部材42と同様の形状の部材である。中間連結部材74の一端部は、上連結軸76を介して上連結部材75と相対回転可能な状態で接続されており、中間連結部材74の他端部は、下連結軸78を介して下連結部材77と相対回転可能な状態で接続されている。この第6変形例では、上から2番目の羽根4の回動が上連結部材75、上連結軸76、中間連結部材74、下連結軸78及び下連結部材77を介して上から3番目の羽根4に伝達されるようになっている。これにより、最も上側の羽根4の回動に連動して残りの3つの羽根4が回動する。この第6変形例における4つの羽根4の動作は、上記第5変形例における4つの羽根4の動作と同様である。
図21に示す第7変形例は、図15に示した上記第1変形例を4つの羽根4を連動させて回動させるように変形したものである。この第7変形例では、上下に長い1つの中間リンク部材82によって、最も上側の上リンク軸39と、その下に位置する下リンク軸41と、さらにその下に位置する上リンク軸39と、さらにその下に位置する下リンク軸41とが連結されている。この第7変形例では、中間リンク部材82によって4つのリンク部材38,40が同期して回動させられる。これにより、最も上側の羽根4の回動に連動して残りの3つの羽根4が最も上側の羽根4と同じ向きに回動する。このため、4つの羽根4が互いに平行な状態を保ちながら回動する。
図22に示す第8変形例は、上側の2つの羽根4同士を連結するリンク機構10と下側の2つの羽根4同士を連結するリンク機構10とに図16に示した第2変形例のリンク機構10と同様のものを適用するとともに、上から2番目の羽根4と上から3番目の羽根4とを連結するリンク機構10にも同様のものを適用した例である。
また、図23に示す第9変形例は、図17に示した第3変形例の中間リンク部材42を上下2組のリンク機構10を連動させるために拡張した例である。具体的には、この第9変形例では、上側のリンク機構10の中間リンク部材42と下側のリンク機構10の中間リンク部材42とを繋げて1つの中間リンク部材42としている。
また、図24に示す第10変形例は、上側の2つの羽根4同士を連結するリンク機構10と下側の2つの羽根4同士を連結するリンク機構10とに図18に示した第4変形例のリンク機構10と同様のものを適用するとともに、上から2番目の羽根4と3番目の羽根4とを連結するリンク機構として図18に示したリンク機構10を上下反転させた構成のものを適用した例である。具体的に、上から2番目の羽根4の回動軸の一端部には、上連結部材85が、その回動軸に固定された下リンク部材40と反対側へ延びる状態で固定されている。また、上から3番目の羽根4の回動軸の一端部には、下連結部材87が、その回動軸に固定された上リンク部材38と反対側へ延びる状態で固定されている。中間連結部材84は、細長い板体であり、当該中間連結部材84の一端部は、上連結部材85に上連結軸86を介して相対回転可能な状態で接続され、当該中間連結部材84の他端部は、下連結部材87に下連結軸88を介して相対回転可能な状態で接続されている。上から2番目の羽根4の回動は、上連結部材85、上連結軸86、中間連結部材84、下連結軸88及び下連結部材87を介して逆向きの回転運動に変換されて上から3番目の羽根4に伝達される。これにより、上から2番目の羽根4と上から3番目の羽根4は、互いに逆向きに回動するようになっている。
また、図25に示す第11変形例は、上側の2つの羽根4同士を連結するリンク機構10と下側の2つの羽根4同士を連結するリンク機構10とに図18に示した第4変形例のリンク機構10と同様のものを適用するとともに、上側のリンク機構10と下側のリンク機構10とが同期して作動するように中間連結部材92、上連結部材93、上連結軸94、下連結部材95及び下連結軸96によってそれら両リンク機構10同士が連結されている。上連結部材83は、最も上側の羽根4の回動軸に固定された上リンク部材38と反対側へ延びる状態でその羽根4の回動軸に固定されている。下連結部材95は、上から3番目の羽根4の回動軸に固定された上リンク部材38と反対側へ延びる状態でその羽根4の回動軸に固定されている。中間連結部材92は、上下方向に直線的に延びる細長い板体であり、中間連結部材92の上端部は、上連結部材93に上連結軸94を介して相対回転可能な状態で接続され、中間連結部材92の下端部は、下連結部材95に下連結軸96を介して相対回転可能な状態で接続されている。この第11変形例では、最も上側の羽根4の回動が上連結部材93、上連結軸94、中間連結部材92、下連結軸96及び下連結部材95を介して上から3番目の羽根4に伝達され、それによって最も上側の羽根4と上から3番目の羽根4とが同じ向きに同期して回動し、さらに、最も上側の羽根4と上から2番目の羽根4とが上側のリンク機構10によって連動して回動され、上から3番目の羽根4と上から4番目の羽根4とが下側のリンク機構10によって連動して回動されるようになっている。