ところで,全国の中学校,高校,大学などの受験校は,偏差値によって合格の難易度がランク付けされており,学習塾も,一般的に,この偏差値を基準として生徒の進路指導を行ったり,教育内容を調整したりしている。偏差値は,受験校の合格難易度や生徒の成績を知るための最も汎用的な基準であるため,生徒の偏差値が志望校の偏差値に到達するように指導を行うことが,教育機関における基本的な指導方針となっている。このため,従来の学習支援システムは,このような偏差値を基準として設計・開発されたものとなっている。
しかしながら,全国の受験校にはそれぞれ偏差値が割り当てられるものの,それは飽くまで目安に過ぎない。実際には,学校毎あるいは学校群毎に,合格するのに記憶の定着が必要な学習単元や履修範囲が異なったり,入学試験で出題される問題の内容や傾向が異なったり,あるいは教科ごとの合格基準点が異なっていることがある。例えば,ある学校に合格するためには,英語の知識(英単語や文法など)を問う問題よりも英語の解法テクニック(リスニングや英作文など)を問う問題が重要視される傾向にあったり,あるいは入試問題特有の難問が出題されるなど,学校の合格基準や入試問題には特有の傾向が存在している場合がある。このため,志望校の合格基準や入試問題における特有の傾向を把握せずに,偏差値のみを基準として指導を行っていると,全国模試などで得られた偏差値は志望校の合格基準に達しているものの,志望校の入試本番で,知識や解法テクニックの弱点が露呈したり,未だ学習したことのない問題が出題されたりするという問題が発生するおそれがある。特に,私立の学校では,合格基準や入試問題の特有の傾向の差が顕著であり,また都立高校の一部においても難度の高い問題を選択採用するなど,学校によって傾向の差が顕れる。さらに,将来的には,公立高校毎に独自の合格基準や入試問題が策定されることも十分に考えられる。その場合には,偏差値だけに頼らずに,高校ごとに入試対策を行っていく必要性が高まるといえる。
従って,生徒に対して学習指導を行う際には,生徒や志望校の偏差値のみに着目するのではなく,生徒毎に学力と志望校を把握し,その志望校の合格基準や入試問題の特有の傾向を把握して,その生徒がその志望校に合格できるように,効率的で漏れのない丁寧な指導を行う必要がある。そこで,本発明は,生徒一人ひとりをより確実に志望校合格へと導くことができる適切な学習支援システムを提供することを,第1の目的とする。
また,学習塾は,中期的には学校での成績を向上させ,最終的には志望校合格へと導くことを使命としている。しかし,従来の学習支援システムは,短期的な学習カリキュラムや,現時点において不足している学力を補うための演習問題を提示するのみであり,中長期的な学習計画や学力向上保証を提示するものではない。このため,従来の学習支援システムによる教育は,中長期的な生徒のやる気や集中力の維持が図られていないものであった。
これに対して,本願出願人の学習塾においては,まず入塾した時点の生徒の学力を把握し,この塾に通って勉強を続ければ学力が段階的にレベルアップすることを保証したり,最終的には確実に合格することのできる学校を保証したりすることで,生徒の勉強に対するやる気や集中力を維持することとしている。このように,入塾時点で受験直前に達成されるべき成績向上保証値を設定し,それに向けた中間目標を設定し,その中間目標を一つひとつ達成していくことで,段階的な学力のレベルアップを図り,生徒の学習意欲を常に喚起しながら,入塾時に定めた成績向上保証値を無理なく達成できるように指導を行うことが理想である。そこで,本発明は,入塾時に成績向上保証値を定めて,生徒の学習意欲を常に喚起しながら学習指導を行うことのできる学習支援システムを提供することを,第2の目的とする。
本発明は,上記した第1の目的と第2の目的の少なくともいずれか一方を達成することのできる学習支援システム及び学習支援プログラムを提供することを解決課題とする。
本発明の第1の側面は,学習支援システムに関する。本発明の学習支援システムは,以下に説明するように,学習進捗票データを作成する機能,問題集データを作成する機能,学力グラフデータを作成する機能を有する。
まず,学習進捗票データを作成する機能の概要について説明する。詳しくは後述するが,学習進捗票データの例は,図10から図12に示されている。
本発明の学習支援システムは,学習単元データベースと,必要単元データベースと,定着単元データベースと,学習進捗票作成部とを備える。なお,以下では,「データベース」を「DB」とも表記する。
学習単元DBは,全体の学習単元に関する学習単元データを記憶する。学習単元は,例えば,学習指導要領に基づく単元であってもよいし,学習塾などにおいて独自に作成・編集した単元であってもよい。
必要単元DBは,学校毎又は学校群毎に,全体の学習単元のうち合格に必要な単元に関する必要単元データを記憶する。学校毎又は学校群毎の必要単元データは,基本的に,学習指導要領等の公式資料に掲載されたものではないため,学校の偏差値や入学試験の問題傾向に応じて,学習塾が独自に作成・編集するものである。ここに,学習塾が長年培ったノウハウが表れる。
定着単元DBは,生徒毎に,学習単元のうち学習済みの単元に関する定着単元データを記憶する。定着単元DBは,生徒の学習進捗に応じて適宜更新されるものであり,生徒のテスト結果や授業理解度に応じて,担当講師が更新することとしてもよいし,システムが生徒のテスト結果などに基づいて自動的に更新するものであってもよい。
学習進捗票作成部は,各種DBに記憶されているデータを利用して,生徒毎に学習進捗票データを作成し,出力又は保存する。学習進捗票作成部は,まず,学習単元DBから学習単元データを読み出し,必要単元DBから特定の学校又は特定の学校群についての必要単元データを読み出し,定着単元DBから特定の生徒についての定着単元データを読み出す。そして,学習進捗票作成部は,読み出した各種のデータをマトリクス状にして統合した形式で提示する学習進捗票データを作成する。
特に,本発明の学習支援システムにおいて,学習進捗票データは,学習単元データのマトリクスの上に,必要単元データのマトリクスと定着単元データのマトリクスを重ねた形式で提示するものであることが好ましい。
上記構成のように,学習単元データ,必要単元データ,及び定着単元データをマトリクス状に統合した学習進捗票データを作成することで,生徒毎に志望校に合格するのに必要な学習単元を一覧的に把握することができる。すなわち,必要単元データと定着単元データを比較すれば,志望校に合格するのに記憶の定着が必要な単元のうち,未だ記憶の定着ができていない単元を把握することができる。そこで,そのような未定着単元を集中的に指導することで,生徒の弱点を克服し,志望校合格に向けて効率的で漏れのない指導を行うことができる。また,本発明によって出力される学習進捗票データには,志望校の偏差値に基づいた学習進捗ではなく,志望校の合格基準や入試問題の特有の傾向に基づいた学習進捗が表れる。従って,生徒一人ひとりに対して志望校特有の傾向に対応できるような指導が可能となるため,より確実に志望校合格へと導くことができる。
続いて,問題集データを作成する機能の概要について説明する。問題集データは,フォロープリントなどとも呼ばれる。
本発明の学習支援システムは,演習問題DBと,学習達成度確認部と,問題集作成部とをさらに備える。
演習問題DBは,学習単元に対応付けて問題データを記憶する。このため,演習問題DBは,学習単元DBとリンクしている。
学習達成度確認部は,まず,必要単元DBから特定の学校又は特定の学校群についての必要単元データを読み出し,定着単元DBから特定の生徒についての定着単元データを読み出す。そして,学習達成度確認部は,読み出した必要単元データと定着単元データを比較することによって,生徒毎に未定着の単元を抽出する。つまり,ある学校に合格するのに必要な単元と生徒の現在の定着単元を比較することで,その学校に合格するのに必要な単元のうち,現在,生徒の知識が定着していない未定着単元を確認することができる。
問題集作成部は,演習問題データベースから,学習達成度確認部によって抽出された未定着の単元に対応付けられた問題データのうちの少なくとも一部と,その他任意の問題データとを読み出して,これらの問題データをまとめた問題集データを作成する。つまり,問題集データは,その一部に,生徒の未定着の単元に対応する問題データが含まれていればよい。また,問題集データは,生徒の未定着の単元に対応する問題データのみから構成されていてもよい。
上記構成によれば,必要単元データと定着単元データの比較によって,生徒毎に未定着単元を把握し,その未定着単元を学習するのに効率的な問題集データが作成される。従って,生徒は,その問題集データを利用して,志望校合格に向けた効率的な学習を進めることができる。
次に,学力グラフを作成する機能の概要について説明する。詳しくは後述するが,学力グラフデータの例は,図9に示されている。
本発明の学習支援システムは,学校情報DBと学校決定部とをさらに備える。
学校情報DBは,学校又は学校群に関する情報を偏差値に対応付けて記憶する。
学校決定部は,特定の生徒について,例えば,入塾時の偏差値(第1の偏差値)に基づいて,学校情報DBを参照し,その入塾時の偏差値(第1の偏差値)に対応した「学力校」を決定する。「学力校」は,入塾時の生徒の実力だけで合格可能な学校であり,生徒の最初期の実力を確認するために決定される。
また,学校決定部は,例えば,入塾時の偏差値(第1の偏差値)から所定の演算によって算出される入塾時の目標偏差値(第1の目標偏差値)に基づいて,学校情報DBを参照し,その入塾時の目標偏差値(第1の目標偏差値)に対応した「目標校」を決定する。「目標校」は,例えば,学習塾への入塾者に対して,本塾で学習すればその「目標校」に合格できるようになるという保証を提供するために決定される。
さらに,学校決定部は,例えば,入塾後の月例テストなど塾における定期テストの偏差値(第2の偏差値)から所定の演算によって決定される現時点での目標偏差値(第2の目標偏差値)に基づいて,学学校情報DBを参照し,その定期テストの偏差値(第2の偏差値)に対応した「適正校」を決定する。ここで,入塾時の目標偏差値(第1の目標偏差値)と現時点での目標偏差値(第2の目標偏差値)を算出するための演算式は,同一であることが好ましい。「適正校」は,例えば,生徒に対して,本塾での学習をこのままのペースで続ければ最終的に合格可能な学校を提示するために決定される。
上記構成のように,入塾時点の学力に対応した「学力校」,入塾時点の学力に基づいて最終的な合格が保証される「目標校」,及び各定期テストを受けた段階での学力に基づいて合格が保証される「適正校」を決定することで,生徒に対して,常に,自身の学習進捗状況を提示することができる。このため,生徒は自身の学力向上を実感することができるため,これによって生徒の学習意欲を常に喚起し続けることが可能となる。
本発明の学習支援システムは,学力グラフ作成部をさらに備える。学力グラフ作成部は,例えば,上記した入塾時の偏差値(第1の偏差値)から入塾時の目標偏差値(第1の目標偏差値)への推移,入塾時の偏差値(第1の偏差値)から定期テスト時の偏差値(第2の偏差値)への推移,さらには定期テスト時の偏差値(第2の偏差値)から現時点での目標偏差値(第2の目標偏差値)への推移を提示する学力グラフデータを作成する。さらに,学力グラフ作成部は,学力グラフデータに,学校決定部によって決定された学力校,目標校,及び適正校を提示する。
上記構成のように,学力グラフデータを作成し,生徒の偏差値の推移とともに,「学力校」,「目標校」,及び「適正校」を提示することで,生徒に対して,自身の学力の推移を提示することができる。このため,生徒は,自身の学力が志望校に到達していれば,志望校をさらに上の学校に変更するといった判断を行ったり,あるいは自身の学力が志望校に到達していなければ,学力向上のために奮起するなどといった判断をおこなうことができる。
本発明の学習支援システムは,学習履歴DBとやる気推定部とをさらに備える。
学習履歴DBは,生徒毎に,少なくとも偏差値の履歴に関する情報を記憶する。偏差値の履歴に関する情報としては,少なくとも,ある時点における第1の偏差値と,その後の時点における第2の偏差値が含まれることが好ましい。また,学習履歴DBは,その他に授業の出欠状況や,宿題の実施履歴や,演習問題の実施履歴などの学習履歴に関するデータを記憶することができる。
やる気推定部は,特定の生徒の偏差値の履歴に関する情報(少なくとも2点の偏差値)に基づいて,生徒のやる気推定値を算出する。やる気推定値を算出するための演算式は,適宜設定することができる。また,やる気推定値を算出するためのパラメータも適宜選択することができる。
ここで,学校決定部は,例えば,入塾時の目標偏差値(第1の目標偏差値)又は現時点での目標偏差値(第2の目標偏差値)にやる気推定値を加えて,やる気推定値を加味した目標偏差値(第3の目標偏差値)を算出する。そして,学校決定部は,やる気推定値を加味した目標偏差値(第3の目標偏差値)に基づいて,学校情報DBを参照し,この目標偏差値に対応した「挑戦校」を決定する。「挑戦校」は,生徒のやる気を評価し,本塾で学習すれば合格可能な「目標校」を超えて,生徒のやる気次第で合格可能性のある学校を提示するために決定される。なお,やる気推定値は,入塾時の目標偏差値(第1の目標偏差値)又は現時点での目標偏差値(第2の目標偏差値)のいずれか高い方に加算されることが好ましい。
上記構成のように,「学力校」,「目標校」,及び「適正校」に加えて,生徒のやる気を加味した「挑戦校」を決定することで,生徒の志望校選択の幅を広げることができる。また,生徒に対して「挑戦校」の存在を認知させることで,学習に対する意欲をさらに向上させることができる。
本発明の学習支援システムにおいて,学力グラフ作成部は,例えば,入塾時の目標偏差値(第1の目標偏差値)と現時点での目標偏差値(第2の目標偏差値)を比較する。そして,学力グラフ作成部は,現時点での目標偏差値(第2の目標偏差値)が入塾時の目標偏差値(第1の目標偏差値)を上回っている場合に限り,さらに,定期テスト時の偏差値(第2の偏差値)からやる気推定値を加味した目標偏差値(第3の目標偏差値)への推移とともに,挑戦校を提示する学力グラフを作成する。
上記構成のように,本発明のシステムでは,現時点での目標偏差値(第2の目標偏差値)が入塾時の目標偏差値(第1の目標偏差値)を上回っている場合,その生徒は学習に対する意欲を持っていると考えられる。そのような生徒に対しては,「挑戦校」を提示することで,さらに学習意欲を高めることができる。反対に,現時点での目標偏差値(第2の目標偏差値)が入塾時の目標偏差値(第1の目標偏差値)を下回っている場合,その生徒は,まずは「目標校」に向けた着実な学力向上が必要となる。そのような生徒に対して「挑戦校」を提示してしまうと,逆に学習意欲を削ぐ恐れがあり好ましくない。そこで,上記構成のように,「挑戦校」を提示するか否かは,入塾時の目標偏差値(第1の目標偏差値)と現時点での目標偏差値(第2の目標偏差値)の比較に基づいて判断することが好ましい。
本発明の第2の側面は,コンピュータプログラムに関する。本発明の第2の側面に係るプログラムは,コンピュータを,上記した第1の側面に係る学習支援システムとして機能させるためのものである。
上記した通り,本発明によれば,生徒一人ひとりをより確実に志望校合格へと導くことができる適切な学習支援システムやプログラムを提供することができる。あるいは,本発明によれば,入塾時に成績向上保証値を定めて,生徒の学習意欲を常に喚起しながら学習指導を行うことのできる学習支援システムやプログラムを提供することができる。
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
図1は,本発明に係る学習支援システム100の全体構成を示したブロック図である。学習支援システム100は,一台のコンピュータによって構築されたものであってもよいし,複数台のコンピュータによって構築されたものであってもよい。また,学習支援システム100は,一部の機能ブロックをウェブサーバに構築し,他の機能ブロックをウェブサーバとインターネットを介して接続されたクライアントに構築したサーバクライアントシステムであってもよい。図1は,このような学習支援システム100を概念的に機能ブロックに分けて示したものである。
本発明に係る学習支援システム100は,一般的なコンピュータと同様に,データの入力を受け付ける入力部と,データを記憶する記憶部と,データに対する各種演算を行う演算部と,データの出力を行う出力部と,これらを全体制御する制御部とを備える。制御部は,記憶部に記憶されたプログラムを読み出し,読み出したプログラムに従って,各種の機能を実行するための全体制御を行う。図1に示した各機能ブロックは,これらのコンピュータを構成する要素によって実現されている。
図1に示されるように,学習支援システム100は,学習単元DB11,必要単元DB12,定着単元DB13,演習問題DB14,学校情報DB15,生徒情報DB16,学習履歴DB17,及びテスト結果DB18を有している。これらの各種DB(データベース)は,コンピュータの記憶部の機能の一部である。また,学習支援システム100は,情報入力部21,制御演算部22,学校決定部23,学力グラフ作成部24,やる気推定部25,学習進捗票作成部26,学習達成度確認部27,問題集作成部28,及び情報出力部29を有している。情報入力部21は,コンピュータの入力部の機能の一部であり,情報出力部29は,コンピュータの出力部の機能の一部である。また,その他の機能ブロックは,コンピュータの演算部や制御部(CPUなどのプロセッサ)によって実現される。ここでは,各種DBの構成について,図2を参照して説明したのち,各機能ブロックの構成について,図3から図8に示したフロー図を参照して説明する。
図2は,学習支援システム100が備える各種DBの構成を示している。
学習単元DB11は,全ての学習単元に関する学習単元データを網羅的に記憶するデータベースである。例えば,学習単元DB11は,日本の文部科学省が定める学習指導要領に基づいて体系化した学習単元を記憶させておくこととしてもよいし,学習指導要領に基づく学習単元を学習塾などで独自に編集した学習単元を記憶させておくこととしてもよい。また,学習単元は,学習塾において独自に作成したものであってもよい。学習単元DB11は,基本的に,受験年度ごとに,科目,分類,難易度に分けて,学習単元データを単元コードに対応付けて記憶する。このため,学習単元DB11は,受験年度を示す受験年度フィールド,科目フィールド,分類フィールド,難易度フィールド,学習単元データフィールド,及び単元コードフィールドを有している。科目フィールドには,英語,数学,国語,理科,社会などといった教科に関する情報が格納される。分類フィールドには,知識や,解法テクニック,難問といったような学習単元の性質を分類するための情報が格納される。例えば,英語を例に挙げると,知識の学習単元は,単語,イデオム,文法,穴埋め,書き換え,基本例文記述など,いわゆる暗記系の単元であり,解法テクニックの学習単元は,リスクニング,長文読解,要約,英作文など,いわゆる応用系の単元である。各科目における知識と解法テクニックの分類例は,例えば図10から図12の下欄にも示されている。難易度フィールドは,学習単元ごとにその難易度に関する情報が格納される。難易度は,例えば1〜100等の数値で設定される。学習単元データフィールドには,例えば,学習単元の名前や,その学習内容の要約,学習すべき時期など,学習単元に関する種々の情報が格納される。単元コードフィールドには,学習単元を一意に特定するための単元コードが格納される。
このようにして学習単元DB11に体系的に記憶された学習単元データは,2次元のマトリクス状(行列状)に展開することができる。例えば,図10から図12は後述する学習進捗票データを示すものであるが,これらの図には,マトリクス状に展開された学習単元データの例が示されている。図10等の例においては,1マス1マスが学習単元を示している。例えば,学習進捗票データにおけるマスを選択(クリック)することで,学習単元データフィールドに記憶されているデータが読み出されて表示されるようにしてもよい。図10等に示された例では,学習単元が,英語,数学,国語,理科,社会の5科目ごとに,知識,解法テクニック,難問の3つに分類されている。また,学習単元は,図10等の左側から右側に向かって難易度が向上するように配置されている。このように,学習単元データは,例えば,直交する第一軸と第二軸のうち,第一軸(縦軸)を科目や分類とし,第二軸(横軸)を難易度として,二次元のマトリクス状に展開可能である。本願明細書では,このように学習単元データをマトリクス状に展開したデータを,学習単元マトリクスともいう。
必要単元DB12は,学校毎又は学校群毎に,上記した学習単元のうち,その学校又は学校群の合格に必要な単元に関する必要単元データを記憶するデータベースである。学校毎あるいは学校群毎の合格に必要となる単元は,公表されていないことが多いため,学習塾が独自に調査を行って,作成したり編集したりする必要がある。このため,必要単元DB12の構築には,豊富な経験と実績が必要となる。必要単元DB12には,基本的に,学校を一意に特定する学校コード若しくは学校群を特定する学校分類コードに対応付けて,科目,分類,難易度に分けて,その学校又は学校群の合格に必要な単元に関する必要単元データが記憶される。このため,図2に示されるように,必要単元DB12は,学校分類コードフィールド(又は学校コードフィールド),科目フィールド,分類フィールド,難易度フィールド,必要単元データフィールド,及び単元コードフィールドを有している。学校分類コードフィールドには,学校群を特定する学校分類コードが格納される。学校分類コードフィールドは,学校を一意に特定する学校コードを格納するための学校コードフィールドに置き換えることも可能である。学校分類コードや学校コードによって,必要単元DB12は,後述する学校情報DB15とリンクされる。また,科目フィールド,分類フィールド,及び難易度フィールドは,上述した学習単元DB11と同様である。必要単元データフィールドには,その学習単元を学習することの要否に関する情報(必要単元データ)が格納される。また,学習単元について学習の要否の判断が難しい場合には,必要単元データフィールドには,その中間的なデータ(学習する必要性が高い旨や,学習する必要性が低い旨など)を格納することもできる。また,単元コードフィールドには,学習単元を一意に特定するための単元コードが格納される。単元コードによって,必要単元DB12は,上述した学習単元DB11とリンクされる。必要単元DB12に記憶されている定着単元データは,学習単元DB11と同様に,2次元のマトリクス状に展開することが可能である。本願明細書では,必要単元データをマトリクス状に展開したデータを,必要単元マトリクスともいう。
定着単元DB13は,生徒毎に,上記した学習単元のうち,その生徒が既に学習済みの単元に関する定着単元データを記憶するデータベースである。ある学習単元について,生徒が学習済みであり記憶が定着しているか否かの判断は,担当講師が行うこともできるし,定期テスト等の正誤結果に基づいて自動的に判定することもできる。定着単元DB13には,基本的に,生徒を一意に特定する生徒コードに対応付けて,科目,分類,難易度に分けて,その生徒が既に学習済みの単元に関する定着単元データが記憶される。このため,図2に示されるように,定着単元DB13は,生徒コードフィールド,科目フィールド,分類フィールド,難易度フィールド,定着単元データフィールド,及び単元コードフィールドを有している。生徒コードフィールドには,生徒を一意に特定するための生徒コードが格納される。生徒コードによって,定着単元DB13は,後述する生徒情報DB16や,学習履歴DB17,あるいはテスト結果DB18とリンクされる。また,科目フィールド,分類フィールド,及び難易度フィールドは,上述した学習単元DB11や必要単元DB12と同様である。定着単元データフィールドには,その学習単元について,生徒が学習済みであり記憶が定着しているか否かに関する情報(定着単元データ)が格納される。定着単元データは,単純に記憶定着の有無であってもよいし,その単元に関するテストの正誤結果や,その単元に関する学習時間,あるいはその単元に関する演習問題の実施履歴であってもよい。例えば,記憶定着の有無は担当講師が手動で更新できる。また,単元に関するテストの正誤結果は,テスト結果DB18に記憶されている単元毎のテストの結果に基づいて自動的に更新できる。また,単元に関する演習問題の実施履歴は,学習履歴DB17に記憶されている演習履歴データ等に基づいて更新できる。学習支援システム100は,これらのテストの正誤結果や,学習時間,あるいは演習問題の実施履歴に関する情報に基づいて,各単元について生徒の知識が定着したか否かを自動判定するためのプログラムを有していてもよい。また,学習単元について記憶定着の有無の判断が難しい場合には,定着単元データフィールドには,その中間的なデータ(記憶定着の確認が必要である旨)を格納することもできる。また,単元コードフィールドには,学習単元を一意に特定するための単元コードが格納される。単元コードによって,定着単元DB13は,上述した学習単元DB11や必要単元DB12とリンクされる。定着単元DB13に記憶されている定着単元データは,学習単元DB11と同様に,2次元のマトリクス状に展開することが可能である。本願明細書では,定着単元データをマトリクス状に展開したデータを,定着単元マトリクスともいう。
演習問題DB14は,学習単元に対応付けて,問題データや解答データを記憶するデータベースである。演習問題DB14に記憶する問題データ等は,入学試験の過去の問題であってもよいし,学習塾が独自に作成した問題であってもよい。演習問題DB14には,基本的に,学習単元コードに対応付けて,問題データと解答データが記憶される。このため,演習問題DB14は,単元コードフィールド,問題データフィールド,及び解答データフィールドを有している。演習問題DB14においては,学習単元ごとに,問題データを難易度に分類して格納しておくこともできる。このため,演習問題DB14には,難易度に関する情報を格納するための難易度フィールドを設けてもよい。
学校情報DB15は,学校に関する種々の情報を記憶するデータベースである。図2に示した例において,学校情報DB15は,学校コードフィールド,学校分類コードフィールド,学校名フィールド,学科名フィールド,及び偏差値フィールドを有している。学校名フィールドには,学校を一意に特定するための学校コードが格納される。また,学校分類フィールドには,学校を分類するための学校分類コードが格納される。例えば,学校は,地域や,合格基準の傾向,偏差値,男子校・女子校の別などに基づいて分類され,分類した学校群(学校のグループ)のそれぞれについて,学校分類コードが割り当てられる。学校名フィールドと学科フィールドには,それぞれ学校名と学科に関する情報が格納される。偏差値フィールドには,その学校の偏差値に関する情報が格納される。偏差値フィールドの偏差値は適宜更新可能である。
生徒情報DB16は,生徒に関する種々の情報を記憶するデータベースである。図2に示した例において,生徒情報DB16は,生徒コードフィールド,氏名フィールド,学年フィールド,入塾時偏差値フィールド,入塾時目標偏差値フィールド,現在偏差値フィールド,現在目標偏差値フィールド,やる気推定値フィールド,挑戦偏差値フィールド,志望校フィールド,通知票の評定フィールドを有する。生徒コードフィールドには,生徒を一意に特定する生徒コードが格納される。氏名フィールドと学年フィールドには,それぞれ氏名と学年に関する情報が格納される。入塾時偏差値フィールドには,生徒が入塾時に受けたテスト結果に基づく入塾時偏差値や,その入塾時偏差値に対応した学校(「学力校」)の学校コードなどが格納される。入塾時目標偏差値フィールドには,入塾時偏差値から所定の演算によって算出された入塾時目標偏差値や,その入塾時目標偏差値に対応した学校(「目標校」)の学校コードなどが格納される。ここでの入塾時目標偏差値は,学習塾が生徒に対して最終的に到達可能であることを保証する偏差値である。このため,入塾時偏差値から入塾時目標偏差値を求めるための所定の演算式などは,学習塾が独自に定めることができる。現在偏差値フィールドには,最新の定期テストの結果に基づく現在偏差値などが格納される。現在偏差値フィールドの値は,定期テストごとに随時更新できる。現在目標偏差値フィールドには,現在偏差値から所定の演算によって算出された現在目標偏差値や,その現在目標偏差値に対応した学校(「適正校」)の学校コードなどが格納される。現在偏差値から現在目標偏差値を求めるための所定の演算式は,入塾時偏差値から入塾時目標偏差値を求めるための演算式と同一とすることが好ましい。やる気推定値フィールドには,生徒のやる気推定値が格納される。やる気推定値の算出方法の詳細は,後述する。挑戦偏差値フィールドには,入塾時目標偏差値又は現在目標偏差値のいずれか高い方に上記のやる気推定値を加えて算出された挑戦偏差値や,その挑戦偏差値に対応した学校(「挑戦校」)の学校コードなどが格納される。志望校フィールドには,生徒が希望する現在の志望校の学校コードなどが格納される。通知票の評定フィールドには,生徒の学校における通知票の評定データ(例:中学1年学年評定,中学2年学年評定,中学3年学年評定)が格納される。入学試験(特に県立高校入試)では,本試験の得点に加えて「通知票の評定」(いわゆる内申点)も考慮される。通知票の評定フィールドに格納された評点データは,後述する学力グラフ(図9)に時系列的に並べて表示することができる。
学習履歴DB17は,生徒の学習履歴に関する情報を記憶するデータベースである。学習履歴DB17は,基本的に,生徒の生徒コードと対応付けて,出席データや,欠席データ,遅刻データなどの授業の出欠状況に関する情報を記憶している。このため,学習履歴DB17は,は,生徒コードフィールド,出席データフィールド,欠席データフィールド,及び遅刻データフィールドを含む。生徒コードフィールドには生徒コードが格納される。出席データフィールドには,出席日や出席した授業などに関する出席データが格納されており,出席データを参照することで,その生徒が所定期間内に何回授業に出席したかを確認できる。欠席データフィールドには,欠席日や欠席した授業などに関する欠席データが格納されており,欠席データを参照することで,その生徒が所定期間内に何回授業に欠席したかを確認できる。遅刻データフィールドには,遅刻日や,遅刻時間,遅刻した授業などに関する出席データが格納されており,遅刻データを参照することで,その生徒が所定期間内に何回授業に遅刻したかを確認できる。これらの出欠状況に関する情報は,後述するやる気推定値の算出に利用される。また,学習履歴DB17は,上記に加えて,宿題履歴データフィールドや,ダブレット学習データフィールド,演習履歴データフィールド,実施テストデータフィールド,及び偏差値履歴データフィールド等を含んで構築されている。宿題履歴データフィールドには,宿題提出の有無やその成績に関する宿題履歴データが格納される。タブレット学習データフィールドには,本発明に係る学習支援システム100とインターネットを通じて接続されたタブレット端末(図示省略)を利用して,生徒が学習を行った学習時間や,学習内容,小テストの結果に関するタブレット学習データが格納される。演習履歴データフィールドには,本発明に係る学習支援システム100を通じて演習問題集を出力した回数や,演習問題を解いた枚数,その演習問題の採点結果などに関する演習履歴データが格納される。実施テストデータフィールドには,生徒が受けたテストを一意に特定するためのテストコードなどの実施テストデータが格納される。テストコードによって,学習履歴DB17は,後述するテスト結果DB18にリンクされる。偏差値履歴データフィールドには,生徒が受けた定期テストに基づく偏差値が時系列的に示された偏差値履歴データが格納される。偏差値履歴データを参照することで,生徒の偏差値の推移を確認できる。また,偏差値履歴データのうち,ある時点における第1の偏差値とその後の時点における第2の偏差値とを比較することで,生徒の偏差値の伸び率を把握できる。このような偏差値履歴データは,後述するやる気推定値の算出に利用できる。これらの宿題履歴データや,タブレット学習データ,演習履歴データ,実施テストデータ,あるいは偏差値履歴データも,やる気推定値の算出に利用することが可能である。なお,上記した学習履歴DB17の構成は一例であり,学習履歴DB17には,生徒の学習履歴に関する様々な情報を記憶しておくことができる。
テスト結果DB18は,生徒が受けたテストに関する情報を記憶するデータベースである。テスト結果DB18には,本システムを運用する学習塾内で実施されたテストだけでなく,生徒が通う学校で実施された定期テストや,その他の民間業者によって実施されたテストなどの結果をまとめて登録することができる。テスト結果DB18は,生徒コードフィールド,テストコードフィールド,テスト実施日フィールド,テスト種類フィールド,点数フィールド,偏差値フィールド,単元コードフィールド,正誤結果フィールドを有する。生徒コードフィールドには,生徒コードが格納される。テストコードフィールドには,テストを一意に区別するためのテストコードが格納される。テスト実施日フィールドとテスト種類フィールドには,テストの実施日やテストの種類(学習塾内テストと学校内テストの別など)に関する情報が格納される。点数フィールドと偏差値フィールドには,それぞれテストの点数と偏差値が格納される。単元コードフィールドには,テストに含まれる問題の学習単元を特定するための単元コードが格納される。テスト内の問題がどの学習単元に相当するかについては,コンピュータで自動解析してテスト結果DB18に登録することとしてもよいし,講師が人手で解析してテスト結果DB18に登録することもできる。正誤結果フィールドには,各学習単元に対応する問題について,生徒が正答したか誤答したかに関する正誤結果に関する情報が格納される。正誤結果に関する情報は,上述した定着単元DB13の定着単元データに反映することも可能である。
以上,学習支援システム100が備える各種DBについて説明したが,学習支援システム100はその他のDBを有するものであってもよく,また,各種DBの構成は上述したものに限定されない。以下では,学習支援システム100が,これらの各種DBに記憶された情報を利用して,生徒の学習支援を行う処理について,図3から図8のフロー図を参照して説明を行う。
図3は,生徒が学習塾に入塾したときに行う入塾時テストに関連する処理のフロー図である。ここでは,入塾初期の進路指導で利用できる学力グラフデータを作成し出力する処理について説明する。学力グラフデータの一例は,図9に示されている。入塾初期の学力グラフには,生徒の現在の学力とそれに対応した「学力校」に加えて,学習塾が生徒の成績向上を保証する入塾時目標偏差値とそれに対応した「目標校」が掲載される。このため,この学力グラフを利用して,入塾初期の段階で生徒に対して最終目標を与えて,生徒の学習意欲を喚起するとともに,生徒の学力に応じた適切な志望校を提案できる。
図3に示されるように,学習支援システム100に対し,情報入力部21を介して,入塾時テストの結果が入力される(S3−1)。入塾時テストがマークシート形式で行われる場合,学習支援システム100は,生徒の正誤結果を自動解析することができる。また,入塾時テストが記述形式で行われる場合,採点者が,各問題についての正誤結果を学習支援システム100に手入力することもできる。また,この際に,生徒コードや,テストコード,テスト実施日,テスト種類,単元コード,点数,入塾時偏差値などの入塾時テストの結果に関する情報が学習支援システム100に入力される。入塾時テストの結果に関連する種々の情報の入力が完了すると,制御演算部22は,これらの情報をテスト結果DB18に登録する(S3−2)。また,制御演算部22は,生徒の入塾時偏差値を生徒情報DB16に登録する(S3−3)。なお,S3−3においては,学習支援システム100が,入塾時テストの結果から入塾時偏差値を自動計算して生徒情報DB16に登録することとしてもよいし,上記のように講師が人手で計算して学習支援システム100に入力するようにすることもできる。その後,制御演算部22は,入塾時偏差値に基づいて所定の演算を行い,入塾時目標偏差値を算出し,これを生徒情報DB16に登録する(S3−4)。入塾時目標偏差値の演算は,入塾時偏差値に所定の値(例えば偏差値10)を加算するという単純な計算であってもよいし,所定の方程式を利用した計算であってもよい。ここまでが入塾時テストに関する情報の入力処理である。
続いて,学習支援システム100は,情報の出力処理を行う。学習支援システム100の学校決定部23は,生徒情報DB16から入塾時偏差値を読み出す。そして,学校決定部23は,この入塾時偏差値に基づいて学校情報DB15を参照することにより,この入塾時偏差値に対応した学校又は学校群を,学校情報DB15から読み出し,これを「学力校」として決定する(S3−5)。このように,「学力校」は,生徒の入塾時点の学力でも合格可能な学校であるといえる。「学力校」は複数であってもよい。また,学校決定部23は,生徒情報DB16から入塾時目標偏差値を読み出す。そして,学校決定部23は,この入塾時目標偏差値に基づいて学校情報DB15を参照することにより,この入塾時目標偏差値に対応した学校又は学校群を,学校情報DB15から読み出し,これを「目標校」として決定する(S3−6)。この「目標校」は,生徒の入塾時点の学力を鑑みて,学習塾での勉強を続ければ最終的に合格可能であることが保証された学校である。「目標校」は複数であってもよい。学校決定部23は,「学力校」と「目標校」を決定した後に,それらの学校コードを生徒情報DB16に登録する。また,学校決定部23は,各種DBから読み出した情報とともに,「学力校」と「目標校」に関する情報を学力グラフ作成部24へと伝達する。その後,学力グラフ作成部24は,これらの情報に基づいて,入塾初期の学力グラフデータを作成する(S3−7)。入塾初期の学力グラフデータには,少なくとも,生徒の入塾時偏差と入塾時目標偏差値,入塾時偏差値から入塾時目標偏差値への推移,及び「学力校」と「目標校」の名前と偏差値が含まれることが好ましい。また,学力グラフには,生徒の通知票の評定データを掲載することもできる。例えば,図9には,学力グラフの一例が示されている。図9の学力グラフは入塾初期に作成されたものではないが,入塾初期の学力グラフも図9とフォーマットは同一である。つまり,学力グラフは,縦軸に偏差値が示され,横軸に時間軸が示されたグラフである。学力グラフでは,入塾時テストを受けた時期と入塾時偏差値との交点に最初期のプロットがなされ,入試(試験本番)の時期と入塾時目標偏差値との交点に最終期のプロットがなされて,それを結ぶ直線によって偏差値の推移が示される。また,横軸の時間軸には,入試までのイベントを表示することもできる。このように,入塾初期の学力グラフは,入塾時初期の進路指導に好適に利用できるものである。学力グラフ作成部24によって作成された学力グラフデータは,情報出力部29を介して出力される。情報出力部29は,内部又は外部の記憶装置に学力グラフデータを保存することとしてもよいし,プリンタに学力グラフデータを出力して,学力グラフを印刷するようにしてもよい。
図4は,入塾後の定期テストに関連する処理のフロー図である。定期テストには,本システムを運用する学習塾内で実施されたテストだけでなく,生徒が通う学校で実施された定期テストや,その他の民間業者によって実施されたテストなども含まれる。まず,学習支援システム100に対し,情報入力部21を介して,定期テストの結果が入力される(S4−1)。このS4−1の処理は,既に説明したS3−1の処理と同様である。また,定期テストの結果に関連する種々の情報の入力が完了すると,制御演算部22は,これらの情報をテスト結果DB18に登録する(S4−2)。また,制御演算部22は,定期テストの結果から算出された生徒の現在偏差値を生徒情報DB16に登録する(S4−3)。S4−3においては,コンピュータが定期テストの結果から現在偏差値を自動計算して生徒情報DB16に登録することとしてもよいし,講師が人手で計算して学習支援システム100に入力するようにすることもできる。その後,制御演算部22は,現在偏差値に基づいて所定の演算を行い,現在目標偏差値を算出し,これを生徒情報DB16に登録する(S4−4)。現在目標偏差値の演算は,現在偏差値に所定の値(例えば偏差値10)を加算するという単純な計算であってもよいし,所定の方程式を利用した計算であってもよい。現在目標偏差値の計算方法は,上述した入塾時目標偏差値の計算方法と同一であることが好ましいが,これとは異なる計算方法であってもよい。ここまでが,定期テストに関する情報の入力処理である。
続いて,学習支援システム100は,情報の出力処理を行う。学校決定部23は,生徒情報DB16から現在目標偏差値を読み出す。そして,学校決定部23は,この現在目標偏差値に基づいて学校情報DB15を参照することにより,この現在目標偏差値に対応した学校又は学校群を,学校情報DB15から読み出し,これを「適正校」として決定する(S4−5)。この「適正校」は,生徒の現時点での学力を鑑みて,このままのペースで学習塾での勉強を続ければ最終的に合格可能性がある学校であるといえる。「適正校」は複数であってもよい。その後,学校決定部23は,生徒情報DB16を参照して,以前に決定した「目標校」及び/又はその目標校に対応した生徒の入塾時目標偏差値を読み出す(S4−6)。そして,学校決定部23は,「適正校」に対応する現在目標偏差値が「目標校」に対応する入塾時目標偏差値よりも高いかどうかを判断する(S4−7)。このとき,学校決定部23は,「適正校」の偏差値が「目標校」の偏差値よりも高いかどうかを判断するようにしてもよい。
S4−7において,「適正校」が「目標校」よりも高くはない(No)と判断した場合,学校決定部23は,生徒情報DB16を参照して,以前に決定した「学力校」及び/又はその学力校に対応した生徒の入塾時偏差値を読み出す(S4−8)。また,学校決定部23は,各種DBから読み出した情報とともに,「適正校」,「目標校」,及び「学力校」に関する情報を学力グラフ作成部24へと伝達する。その後,学力グラフ作成部24は,これらの情報に基づいて,現在の学力グラフを作成する(S4−9)。現在の学力グラフには,少なくとも,生徒の入塾時偏差,入塾時目標偏差値,現在偏差値,現在目標偏差値や,入塾時偏差値から入塾時目標偏差値への推移,現在偏差値から現在目標偏差値への推移,さらには「学力校」,「目標校」,「適正校」の名前と偏差値が含まれることが好ましい。例えば,図9には,学力グラフの一例が示されている。図9においては,現在の「適正校」が「目標校」よりも高くはない場合の例として,現在偏差値が[現在B]として示され,現在目標偏差値が[現在B時点での適正校]として示されている。このように,現在の学力レベル(現在偏差値)が[現在B]の位置にある場合,入塾時目標偏差値(目標校)に達するまでに中間目標を下回っていることが一見して理解できる。このままで,入塾時に定めた「目標校」の合格が危うくなる。そこで,「目標校」合格のために,フォロープリントなどを利用して,弱点克服の取り組みを強化し,生徒の個別フォローを手厚く行い,入試本番までに学力の引き上げを行う必要がある。このように,生徒としては,現在の学力グラフを現状を確認するための資料として役立てることができ,講師としては,現在の学力グラフを今後の指導方針の計画に役立てることができる。また,入学試験(特に県立高校入試)では,本試験の得点に加えて「通知票の評定」も考慮される。このため,学力グラフに生徒の通知票の評定データを掲載しておくことで,このような評定データを考慮した適切な進路指導が可能となる。なお,フォロープリントの出力処理については,図8を参照して詳しくは後述する。
他方,S4−7において,学校決定部23によって「適正校」が「目標校」よりも高い(Yes)と判断された場合,やる気推定部25が,やる気推定値を算出する(S4−10)。やる気推定値は,学習履歴DB17に記憶されている学習履歴に関する情報に基づいて算出することができる。例えば,学習履歴DB17には,生徒毎に,少なくとも授業の出欠状況に関する情報が記憶されている。そこで,やる気推定部25は,生徒の出欠状況に関する情報に基づいて,生徒のやる気推定値を算出することが好ましい。具体的には,学習履歴DB17には,生徒の出欠状況に関する情報として,出席データや,欠席データ,遅刻データが記憶されており,これらを参照することで,各生徒について授業の出席日数や,欠席日数,遅刻日数を求めることができる。やる気推定部25は,これらの出席日数・欠席日数・遅刻日数に基づいて所定の演算を行い,各生徒のやる気推定値を算出することが好ましい。また,学習履歴DB17には,上記出欠状況に関する情報の他に,宿題履歴データや,タブレット学習データ,演習履歴データ,実施テストデータ,偏差値履歴データなどが記憶されている。やる気推定部25は,上記出欠状況に関する情報に加えて,あるいは出欠状況に関する情報の代わりに,宿題履歴データや,タブレット学習データ,演習履歴データ,実施テストデータ,偏差値履歴データから得られる数値データを利用して,各生徒のやる気推定値を算出することもできる。また,生徒情報DB16には,生徒の入塾時偏差値や現在偏差値が記憶されている。そこで,やる気推定部25は,これらの入塾時偏差値や現在偏差値を生徒情報DB16から読み出し,入塾時偏差値や,現在偏差値,あるいはこれらの偏差値の差分値などを,やる気推定値を算出する要因として用いることも可能である。また,図9に示されるように,入塾時偏差値及び入塾時目標偏差値を繋ぐ直線と定期テスト時の交点を参照すれば,「中間目標」の偏差値を求めることができる。この「中間目標」の偏差値は,入塾時目標偏差値を目指すにあたり,定期テスト時において到達しておくべき偏差値を示す。そこで,やる気推定部25は,この「中間目標」の偏差値を,やる気推定値を算出する要因として用いることも可能である。このように,偏差値履歴データは生徒のやる気推定値を算出するためのデータとして有用である。なお,やる気推定部25がやる気推定値を算出する方法は特に限定されるものではなく,基本的には,学習履歴DB17に記憶されている情報や,これに加えて生徒情報DB16に記憶されている情報を利用して,種々の方法により,やる気推定部25を求めることが可能である。
例えば,やる気推定値の算出方法の具体例を以下に示す。
[小学生]
(出席日数×90)+(欠席日数×0)+(遅刻日数×45)=A
(宿題実施回数×15)+(タブレット学習時間)=B
演習問題の実施枚数×10=C
現在偏差値−中間目標=D
(A+B+2C)÷90+D=やる気推定値
※ただし,小数点以下繰上げ・負の数は0とみなす。
[中1・中2]
(出席日数×110)+(欠席日数×0)+(遅刻日数×55)=A
(宿題実施回数×15)+(タブレット学習時間)=B
演習問題の実施枚数×10=C
現在偏差値−中間目標=D
(A+B+2C)÷110+D=やる気推定値
※ただし,小数点以下繰上げ・負の数は0とみなす。
[「やる気推定値」からの「挑戦校」算出方法]
「入塾時目標偏差値」と「現在目標偏差値」の高い方+やる気推定値=E
E(挑戦偏差値)にて学校情報DBを参照し「挑戦校」を読み出す。
やる気推定部25は,上記のようにして算出したやる気推定値を,学校決定部23に伝達する。また,やる気推定部25は,やる気推定値を生徒情報DB16に記録しておくこともできる。その後,学校決定部23は,生徒情報DB16に記憶されている入塾時目標偏差値又は現在目標偏差値に対して,上記のやる気推定値を加算し,挑戦偏差値を算出する。基本的に,学校決定部23は,現在目標偏差値に対してやる気推定値を加算して,挑戦偏差値を求めることが好ましい。ただし,入塾時目標偏差値が現在目標偏差値を上回っている場合には,入塾時目標偏差値に対してやる気推定値を加算して,挑戦偏差値を求めるようにしてもよい。学校決定部23は,このようにして算出した挑戦偏差値を生徒情報DB16に記録しておくことができる。そして,学校決定部23は,上記の挑戦偏差値に基づいて学校情報DB15を参照することにより,この挑戦偏差値に対応した学校又は学校群を,学校情報DB15から読み出し,これを「挑戦校」として決定する(S4−11)。このように,「挑戦校」や挑戦偏差値は,生徒の学習履歴を参照して得られたやる気推定値に基づいて決定される。「挑戦校」は,授業への出欠状況などから推定される生徒自身のやる気を加味して決定されるため,生徒のやる気に応じて,志望校選択の幅を広げることが可能である。「挑戦校」は複数であってもよい。なお,学校決定部23は,「挑戦校」を決定した後に,その学校コードを生徒情報DB16に登録する。
その後,学校決定部23は,生徒情報DB16を参照して,以前に決定した「学力校」及び/又はその学力校に対応した生徒の入塾時偏差値を読み出す(S4−12)。また,学校決定部23は,各種DBから読み出した情報とともに,「適正校」,「目標校」,「挑戦校」,及び「学力校」に関する情報を学力グラフ作成部24へと伝達する。その後,学力グラフ作成部24は,これらの情報に基づいて,現在の学力グラフを作成する(S4−13)。この学力グラフには,少なくとも,生徒の入塾時偏差値,入塾時目標偏差値,現在偏差値,現在目標偏差値,挑戦偏差値や,入塾時偏差値から入塾時目標偏差値への推移,現在偏差値から現在目標偏差値への推移,現在偏差値から挑戦偏差値への推移,さらには「学力校」,「目標校」,「適正校」,「挑戦校」の名前と偏差値が含まれることが好ましい。例えば,図9には,学力グラフの一例が示されている。図9においては,現在の「適正校」が「目標校」よりも高い場合の例として,現在偏差値が[現在A]として示され,現在目標偏差値が[現在A時点での適正校]として示され,さらに挑戦偏差値が[現在A時点からの挑戦校]として示されている。このように,現在の学力レベル(現在偏差値)が[現在A]の位置にある場合,学力が順調に向上しており,現在の学力が,入塾時目標偏差値(目標校)に達するための学習計画の「中間目標」を上回っていることが一見して理解できる。その場合,「目標校」を超えて,さらなるランクアップが可能である。そこで,図9に示されるように,「挑戦校」と挑戦偏差値を学力グラフに示すことで,生徒に対してランクアップの可能性を提示し,生徒の学習意欲をさらに向上させることができる。また,「挑戦校」の合格を目指すことを生徒が希望する場合には,フォロープリントなどを利用して,入試本番までに学力をさらに引き上げるように指導することもできる。学力グラフ作成部24によって作成された学力グラフデータは,情報出力部29を介して出力される。情報出力部29は,内部又は外部の記憶装置に学力グラフデータを保存することとしてもよいし,プリンタに学力グラフデータを出力して,学力グラフを印刷するようにしてもよい。
図5は,学習進捗票データの出力処理に関するフロー図を示している。学習進捗票データの一例は,図10から図12に示されている。図10から図12に示されるように,学習進捗票には,全体の学習単元のマトリクス上に,志望校に合格するのに必要となる単元(必要単元)が示されるとともに,生徒の知識が定着している単元(定着単元)が示される。このため,学習進捗票を参照すれば,志望校に合格するためにはどの単元を勉強すればよいかを一見して把握でき,さらに,志望校合格に必要な単元のうち,どの単元の知識が定着済みであり,どの単元の知識が未定着であるかを確認できる。従って,この学習進捗票は,生徒一人ひとりの学習指導に大いに役立てることができる。
図5のフロー図に示されるように,学習支援システム100に対し,情報入力部21を介して,学習進捗票の作成要求が入力される(S5−1)。学習進捗票の作成要求には,少なくとも,学習進捗票を作成する学校又は学校群の選択情報と,学習進捗票を提供する生徒の選択情報が含まれる。学校又は学校群の選択情報は,生徒の志望校を選択するものであってもよいし,その他の学校であってもよい。また,学校又は学校群の選択情報は,上述した学力グラフデータ(図9)からのリンクによって入力することも可能である。例えば,上述したとおり,生徒毎に作成される学力グラフデータには,「学力校」や,「目標校」,「適正校」,「挑戦校」などが表示される。このため,生徒や講師は,学力グラフデータが画面に表示されているコンピュータを操作して,その生徒の「学力校」,「目標校」,「適正校」,「挑戦校」のうちのいずれかを選択(クリック)することで,その選択した学校について,学習進捗票の作成要求を学習支援システム100に入力することができる。
学習進捗票の作成要求が入力されると,学習進捗票作成部26は,まず,学習単元DB11にアクセスし,その生徒の学年に対応した受験年度の学習単元データを読み出す(S5−2)。上述したとおり,学習単元DB11に体系的に記憶された学習単元データは,2次元のマトリクス状に展開することができる。つまり,図10等に示された例では,学習単元が,英語,数学,国語,理科,社会の5科目ごとに,知識,解法テクニック,難問の3つに分類されている。また,学習単元は,図10等の左側から右側に向かって難易度が向上するように配置されている。このように,学習単元データは,例えば,直交する第一軸と第二軸のうち,第一軸(縦軸)を科目や分類とし,第二軸(横軸)を難易度として,二次元のマトリクス状に展開可能である。学習進捗票作成部26は,このような学習単元データをマトリクス状のデータに展開して読み出す。
次に,学習進捗票作成部26は,必要単元DB12にアクセスし,選択された学校又は学校群について,そこに合格するのに必要な必要単元データを読み出す(S5−3)。上述のように,必要単元DB12に記憶されている定着単元データは,学習単元DB11と同様に,2次元のマトリクス状に展開することが可能である。そこで,学習進捗票作成部26は,このような必要単元データをマトリクス状のデータに展開して読み出す。
さらに,学習進捗票作成部26は,定着単元DB13にアクセスし,学習進捗票作成の対象となる生徒について,各学習単元につき既に学習済みであり記憶が定着しているか否かを示す定着単元データを読み出す(S5−4)。上述のように,定着単元DB13に記憶されている定着単元データは,学習単元DB11と同様に,2次元のマトリクス状に展開することが可能である。そこで,学習進捗票作成部26は,このような定着単元データをマトリクス状のデータに展開して読み出す。
そして,学習進捗票作成部26は,学習単元DB11,必要単元DB12,定着単元DB13から読み出したマトリクスデータを統合して,学習進捗票データを作成する(S5−5)。学習進捗票データの例は,図10から図12に示されている。図10等に示された例では,学習単元マトリクスが,英語,数学,国語,理科,社会の5科目ごとに,知識,解法テクニック,難問の3つに分類され,左側から右側に向かって難易度が向上するように配置されている。そして,学習進捗票データは,この学習単元マトリクスの上に,必要単元マトリクスと定着単元マトリクスが重ねられた形式となる。このため,学習進捗票データには,全体の学習単元のうち,選択された学校又は学校群の合格に必要となる単元と,生徒の知識が定着している単元とが明確に比較できるように示される。従って,特定の学校(志望校)の合格に向けて,知識が未定着である単元を確認し,その弱点克服のための学習を効率的に進めることが可能となる。学習進捗票作成部26によって作成された学習進捗票データは,情報出力部29を介して出力される。情報出力部29は,内部又は外部の記憶装置に学習進捗票データを保存することとしてもよいし,プリンタに学習進捗票データを出力して,学習進捗票を印刷するようにしてもよい。
図6は,生徒の弱点を克服するための問題集データを作成する処理に関するフロー図である。上述したように,学習進捗票データを参照すれば,生徒ごとに,志望校の合格に必要な単元のうち,知識が未定着である単元を細かく把握することができる。そこで,本発明に係る学習支援システム100は,知識が未定着である単元を効率的に学習することのできる問題集データを作成する機能を持つ。
図6のフロー図に示されるように,学習支援システム100に対し,情報入力部21を介して,問題集データの作成要求が入力される(S6−1)。問題集データの作成要求には,少なくとも,問題集を作成する学校又は学校群の選択情報と,問題集を提供する生徒の選択情報が含まれる。また,問題集データの作成要求には,問題集を作成する単元の範囲を指定する選択情報が含まれていてもよい。例えば,単元の範囲の指定には,問題集を作成する学習単元の難易度を指定する情報や,その学習単元を学習すべき学年や時期を指定する情報,あるいは単元を個別に指定する情報が含まれる。また,問題集を作成する学校又は学校群の選択情報は,上述した学力グラフデータ(図9)からのリンクによって入力することも可能である。例えば,上述したとおり,生徒毎に作成される学力グラフデータには,「学力校」や,「目標校」,「適正校」,「挑戦校」などが表示される。このため,生徒や講師は,学力グラフデータが画面に表示されているコンピュータを操作して,その生徒の「学力校」,「目標校」,「適正校」,「挑戦校」のうちのいずれかを選択(クリック)することで,その選択した学校について,問題集データの作成要求を学習支援システム100に入力することができる。
問題集データの作成要求の入力が完了すると,学習達成度確認部27は,必要単元DB12にアクセスし,選択された学校又は学校群について,そこに合格するのに必要な必要単元データを読み出す(S6−2)。また,学習達成度確認部27は,定着単元DB13にアクセスし,問題集データを提供する対象となる生徒について,各学習単元につき既に学習済みであり記憶が定着しているか否かを示す定着単元データを読み出す(S6−3)。そして,学習達成度確認部27は,必要単元DB12から読み出した必要単元データと定着単元DB13から読み出した定着単元データを比較して,生徒の知識がまだ定着していない未定着単元を抽出する(S6−4)。つまり,必要単元データと定着単元データとを比較すれば,志望校合格に向けて知識の定着が必要な単元のうち,既に生徒の知識が定着している単元と,未だ生徒の知識が定着していない単元を把握できる。そして,学習達成度確認部27は,この未だ生徒の知識が定着していない単元を,未定着単元として抽出する。例えば,学習進捗票(図10等)においても,未定着単元が,[目標校合格のために今後定着させるべき学習小単元](濃色)として示されている。学習達成度確認部27は,ここで抽出した未定着単元に関する情報(例えば未定着単元の単元コード)を,問題集作成部28に伝達する。
その後,問題集作成部28は,学習達成度確認部27から得られた未定着単元に関する情報に基づいて演習問題DB14にアクセスし,この未定着単元に対応した問題データを含む複数の問題データを,この演習問題DB14から読み出す(S6−5)。演習問題DB14から読み出される複数の問題データには,少なくとも,学習達成度確認部27から得られた複数の未定着単元のうち,その一部に対応する問題データが含まれていればよい。ただし,未定着単元の全てに対応する問題データを読み出すこともできる。また,問題集作成部28は,演習問題DB14から問題データを読み出す際に,未定着単元以外の単元に対応する問題データも併せて読み出すことも可能である。さらに,問題集作成部28は,演習問題DB14から問題データを読み出す際には,問題集を作成する単元範囲の指定情報を参照する。つまり,問題集作成部28は,指定された単元範囲の中で,未定着単元に対応する問題データ,あるいは未定着単元以外の単元に対応する問題データを,演習問題DB14から読み出す。その後,問題集作成部28は,上記のようにして演習問題DB14から読み出した複数の問題データを,所定の問題集の形式(フォーマット)にまとめて,問題集データを作成する(S6−6)。このようにして作成された問題集データは,生徒の未定着単元に対応する問題が含まれている。このため,生徒は,この問題集データを利用して,効率的に志望校合格に向けた学習を行うことができる。問題集作成部28によって作成された学習進捗票データは,情報出力部29を介して出力される。情報出力部29は,内部又は外部の記憶装置に問題集データを保存することとしてもよいし,プリンタに問題集データを出力して,問題集を印刷するようにしてもよい。
図7は,学習進捗票データからのリンクによって問題集データを作成する処理を示したフロー図である。図10から図12に示されるように,学習進捗票データの1マス1マスは学習単元を示している。そこで,学習進捗票データにおけるマスを一つ又は複数箇所選択(クリック)することで,問題集データに含めることを希望する学習単元を個別に指定することができる。そして,このようにして指定された学習単元について,問題集データを作成する。
図7に示されるように,まず,学習進捗票データにおけるマス(学習単元)を一つ以上選択することで,問題集データの要求が入力される(S7−1)。その後,問題集作成部28は,学習進捗票データからのリンクによって指定された学習単元に関する情報に基づいて演習問題DB14にアクセスし,この指定された学習単元に対応した問題データを含む複数の問題データを,この演習問題DB14から読み出す(S7−2)。そして,問題集作成部28は,演習問題DB14から読み出した複数の問題データを,所定の問題集の形式(フォーマット)にまとめて,問題集データを作成する(S7−3)。問題集データは,例えば,情報出力部29からプリンタに出力し,プリンタから印刷することが可能である。このように,学習進捗票データを生徒や講師に提示することで,学習指導に適した問題集データを迅速に作成することが可能である。
図8は,フォロープリントを作成する処理のフロー図を示している。フォロープリントは,生徒の学力を補うための問題集である。例えば,図9の学力グラフにおいて,現在偏差値が[現在B]の地点にある場合,[現在B時点での適正校](現在目標偏差値)が,[保証値達成時の目標校](入塾時目標偏差値)よりも低くなっている。この場合には,生徒の学力を,[保証値達成時の目標校](入塾時目標偏差値)に引き上げるためのフォロープリントが必要となる。他方で,図9の学力グラフにおいて,現在偏差値が[現在A]の地点にある場合,[現在A時点での適正校](現在目標偏差値)は,[保証値達成時の目標校](入塾時目標偏差値)よりも高い。そこで,そのような場合には,生徒の希望に応じて,[現在A時点での適正校](現在目標偏差値)を,さらに[現在A時点からの挑戦校](挑戦偏差値)まで高めるためのフォロープリントを作成することが好ましい。このため,学習支援システム100は,作成すべきフォロープリントの内容を自動的に判断して,生徒の現在の学力に応じた適切なフォロープリントを作成する機能を有する。
図8に示されるように,学習支援システム100に対し,情報入力部21を介して,フォロープリントの作成要求が入力される(S8−1)。ここで,フォロープリントの作成要求には,フォロープリントを提供する生徒の選択情報が含まれる。また,作成要求には,フォロープリントに含まれる問題の単元範囲を指定する選択情報が含まれていてもよい。フォロープリントの作成要求が入力されると,学校決定部23は,生徒情報DB16に記憶されている現在目標偏差値と入塾時目標偏差値とを読み出し,現在目標偏差値が入塾時目標偏差値よりも低いかどうかを判断する(S8−2)。学校決定部23は,現在目標偏差値が入塾時目標偏差値よりも低い(Yes)と判断した場合,生徒情報DB16を参照して,「目標校」の学校コード等を読み出し(S8−3),この「目標校」を,問題集を作成する対象となる学校として決定する(S8−5)。他方で,学校決定部23は,現在目標偏差値が入塾時目標偏差値よりも高い(No)と判断した場合,生徒情報DB16を参照して,「挑戦校」の学校コード等を読み出し(S8−4),この「挑戦校」を,問題集を作成する対象となる学校として決定する(S8−5)。これにより,生徒の学力を「目標校」まで引き上げるためのフォロープリントを作成するか,若しくは,生徒の学力を「挑戦校」まで高めるためのフォロープリントを作成するかを,自動的に判断することができる。
フォロープリントを作成する対象となる学校が決定した後,フォロープリント(問題集)を作成するまでの処理(S8−6〜S8−10)は,図6に示したS6−2〜S6−6と同様であるため,説明を割愛する。このようにして,生徒の現在の学力に応じた適切なフォロープリントが自動的に作成されるため,生徒としては気軽にフォロープリントに挑戦することができる。また講師としても,生徒の学力を考慮して問題集を編集する手間が省けるため,講師の負担を減らすことができる。
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。