以下、添付図面を参照して、超音波診断装置の実施形態を詳細に説明する。
(実施形態)
まず、本実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、心電計4と、装置本体10とを有する。
超音波プローブ1は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送受信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ1は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層及び音響レンズ、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移(ドプラ偏移)を受ける。
なお、本実施形態は、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである超音波プローブ1により、被検体Pを2次元でスキャンする場合であっても、1次元超音波プローブの複数の圧電振動子を機械的に揺動する超音波プローブ1や複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである超音波プローブ1により、被検体Pを3次元でスキャンする場合であっても、適用可能である。
入力装置3は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール等を有し、超音波診断装置の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体10に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
例えば、入力装置3が有するフリーズボタンを操作者が押下すると、本実施形態に係る超音波診断装置は、超音波の送受信を停止した一時的な停止状態となり、リアルタイム表示モードから再生モードに移行する。
モニタ2は、超音波診断装置の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された各種画像や、装置本体10による計測結果等を表示したりする。
心電計4は、装置本体10と接続され、超音波走査が行なわれる被検体Pの生体参考信号として、心電図(ECG: Electrocardiograph)を計測する。心電計4は、計測した心電図を装置本体10に送信する。なお、本実施形態は、生体参考信号として、心音図(PCG:phonocardiography)や、呼吸(respiration)信号を計測する機器が被検体Pに取り付けられる場合であっても適用可能である。
装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10は、図1に示すように、送受信部11と、Bモード処理部12と、ドプラ処理部13と、収集部14と、画像生成部15と、画像メモリ16と、内部記憶部17と、表示データ処理部18と、制御部19とを有する。
送受信部11は、トリガ発生回路、送信遅延回路及びパルサ回路等を有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定の繰り返し周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)の送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。なお、PRFは、レート周波数とも呼ばれる。また、送信遅延回路は、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの送信遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える送信遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
なお、送受信部11は、後述する制御部19の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信部11は、アンプ回路、A/D変換器、受信遅延回路、加算器等を有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換する。受信遅延回路は、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間を与える。加算器は、受信遅延回路により受信遅延時間が与えられた反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
ここで、送信遅延時間及び受信遅延時間は、超音波ビームの送信フォーカス及び受信フォーカスの音響レンズからの位置(深さ)によって決定される。送受信部11は、送信遅延時間及び受信遅延時間等の送受信条件により、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。また、送受信部11は、送受信条件に応じて、超音波プローブ1の送受信に用いる圧電振動子(送信用口径及び受信用口径)を変更可能である。
Bモード処理部12は、送受信部11から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
ドプラ処理部13は、送受信部11から受信した反射波データから速度情報を周波数解析することでドプラ偏移を抽出し、ドプラ偏移を用いることで、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
なお、本実施形態に係るBモード処理部12及びドプラ処理部13は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である場合であっても良い。
収集部14は、心電計4からECGを取得して、被検体Pが超音波走査される期間の心電図を収集する。そして、収集部14は、取得したECGを後述する画像メモリ16に格納する。
画像生成部15は、Bモード処理部12及びドプラ処理部13が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成部15は、Bモード処理部12が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像データを生成する。また、画像生成部15は、ドプラ処理部13が生成したドプラデータから移動体情報(血流情報や組織の移動情報)を表す平均速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらの組み合わせ画像としてのカラードプラ画像データを生成する。
ここで、画像生成部15は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビなどに代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用画像としての超音波画像を生成する。具体的には、画像生成部15は、超音波プローブ1による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用画像としての超音波画像を生成する。また、画像生成部15は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)などを行なう。
更に、画像生成部15は、ドプラ処理部13が生成したドプラデータから、血流の速度情報を時系列に沿ってプロットしたドプラ波形を生成する。
また、画像生成部15は、超音波画像(Bモード画像、カラードプラ画像、ドプラ波形等)に、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマークなどを合成した合成画像を生成することもできる。本実施形態では、画像生成部15は、表示用の超音波画像データを時系列に沿って生成するとともに、表示用の超音波画像データと「収集部14が収集したECGを表示するための波形」とを同時に表示するための合成画像データを生成する。また、本実施形態では、画像生成部15は、超音波画像データの時相に対応するマーカをECG波形上に重畳した合成画像データを生成する。画像生成部15は、上記の生成処理を、リアルタイム表示モードでも、再生モードでも行なう。
画像メモリ16は、画像生成部15が生成した各種画像を記憶するメモリである。また、画像メモリ16は、収集部14が収集した生体参考信号(ECG)を記憶するメモリである。画像メモリ16は、画像生成部15が生成したBモード画像データとともに、当該Bモード画像データを生成するために行なわれた超音波走査の時間情報を記憶する。また、画像メモリ16は、収集部14が収集したECGの波高を時間情報とともに記憶する。なお、画像メモリ16は、Bモード処理部12やドプラ処理部13が生成したデータを記憶することも可能である。
内部記憶部17は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶部17は、必要に応じて、画像メモリ16が記憶する画像データ等の保管等にも使用される。また、内部記憶部17が記憶するデータは、図示しないインターフェースを経由して、外部の周辺装置へ転送することができる。
表示データ処理部18は、画像生成部15が行なう表示用の画像データの生成処理を制御するための処理部である。具体的には、表示データ処理部18は、再生モード実行時に画像生成部15が行なう画像生成処理の制御を行なう。かかる制御を行なうため、表示データ処理部18は、判定部181と、調整部182とを有する。なお、判定部181及び調整部182が行なう処理については、後に詳述する。
制御部19は、超音波診断装置の処理全体を制御する。具体的には、制御部19は、入力装置3を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部17から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信部11、Bモード処理部12、ドプラ処理部13、画像生成部15及び表示データ処理部18の処理を制御する。また、制御部19は、画像メモリ16が記憶する画像データや、入力装置3を介して操作者が各種設定処理を行なうためのGUI等をモニタ2にて表示するように制御する。
以上、本実施形態に係る超音波診断装置の全体構成例について説明した。かかる構成のもと、本実施形態に係る超音波診断装置は、フリーズボタン押下により再生モードに移行し、再生用に画像メモリ16に保存された超音波画像データ群(例えば、Bモード画像データ群)と生体参考信号とを同時に再生表示する。この際、本実施形態に係る超音波診断装置は、再生される各超音波画像データの時相を示すマーカを、生体参考信号を表示する波形に重畳表示する。かかるマーカとしては、再生表示されている超音波画像データの時相を示す表示時相マーカが挙げられる。また、かかるマーカとしては、超音波画像データ群を動画再生やコマ送り再生する際の再生開始フレームの時相を示す再生開始マーカ及び再生終了フレームの時相を示す再生終了マーカが挙げられる。
ここで、超音波画像データ群の再生時に、超音波画像データと生体参考信号との時相を正確に一致させるためには、超音波画像データと同じ時相分の生体参考信号が取り込まれている必要がある。
例えば、1フレーム分の超音波画像データを生成するために行なわれる超音波走査の走査時間(単位フレーム当たりの走査時間)を「t」とする。また、例えば、再生用に保存された超音波画像データ群のフレーム数(以下、画像フレーム数と記載)が「N」であるとする。かかる場合、第1フレームの走査開始時間から最終フレームの走査終了時間までに要する時間は、「N×t」となる。また、超音波画像データと生体参考信号との時相を正確に一致させるためには、生体参考信号の収集期間が「N×t」である必要がある。
しかし、生体参考信号の収集は、例えば、図1に示す心電計4及び収集部14のように、生体参考信号収集用のハードウェアが実行する。一方、超音波画像データの生成及び収集は、制御部19の制御により、送受信部11、Bモード処理部12(又は、ドプラ処理部13)及び画像生成部15が協働して実行する。超音波画像データの生成及び収集は、その全てがハードウェア又はソフトウェアにより実行される場合や、ハードウェア及びソフトウェアにより実行される場合がある。このように、生体参考信号の収集と超音波画像データの生成とは、異なる経路で行なわれている。
このため、従来では、超音波診断装置に、超音波画像データと生体参考信号との時相を正確に一致させる同期回路を搭載していた。しかし、安価で単純な同期回路では、同期精度が悪く、例えば、フリーズしてから1フレームの超音波データ用の走査が完了するまでにECGの収集が終了し、一部の超音波画像データに対応するECGが取得できていない場合が生じる。かかる場合の「一部の超音波画像データ」とは、再生用に保存された超音波画像データ群の最終フレームである。
また、安価で単純な同期回路では、例えば、撮像開始直後の1フレームの超音波データ用の走査が開始された後から、ECG画像の収集が開始されたことで、一部の超音波画像データに対応するECG画像が取得できていない場合が生じる。かかる場合の「一部の超音波画像データ」とは、再生用に保存された超音波画像データ群の第1フレームである。
ここで、『再生用に保存された超音波画像データ群の生成時に収集された被検体の生体参考信号の収集期間と当該超音波画像データ群の「単位フレーム当たりの走査時間」とから算出されるフレーム数』を信号フレーム数と定義する。例えば、収集期間を「T」とすると、信号フレーム数「M」は、「T/t」の値の小数点第1位を切り捨てた整数となる。この定義を用いて説明すると、安価で単純な同期回路では、最終フレームに対応する生体参考信号のフレーム(以下、信号フレーム)が取得できないために、信号フレーム数が画像フレーム数より1つ少ない場合や、第1フレーム及び最終フレームに対応する信号フレームが取得できないために、信号フレーム数が画像フレーム数より2つ少ない場合が生じることとなる。
このようなことから、生体参考信号上に時相を示すマーカを表示するためには、現状では、同期精度が高い、高価で複雑な同期回路を搭載する必要があった。或いは、超音波画像データと同じ時相分の生体参考信号が取り込まれるまで撮影を行なわせるために、例えば、信号フレーム数が画像フレーム数より少ないことを検知してエラーを表示するといった仕組みを設ける必要があった。
そこで、本実施形態に係る超音波診断装置は、一部の超音波画像データに対応する生体参考信号が取得されない場合であっても、時相を示すマーカの表示を簡易に行なうために、以下に説明する判定部181及び調整部182の処理を行なう。
まず、判定部181は、再生用に保存された超音波画像データ群の生成時に収集された被検体の生体参考信号の信号フレーム数が、当該超音波画像データ群の画像フレーム数より少ないか否かを判定する。判定部181は、再生対象の超音波画像データ群を保存する画像メモリ16を参照して、画像フレーム数を取得する。また、判定部181は、再生用に保存された超音波画像データ群の送受信条件を制御部19から取得し、画像メモリ16に保存された生体参考信号の収集期間を取得することで、信号フレーム数を算出する。なお、本実施形態は、収集部14が信号フレーム数を算出し、算出した信号フレーム数を判定部181に通知する場合であっても良い。
そして、調整部182は、信号フレーム数が画像フレーム数より少ない場合、生体参考信号を表示する波形に重畳表示されるマーカであって、再生される各超音波画像データの時相を示すマーカの位置を、単位フレーム当たりの走査時間に応じて調整する。具体的には、調整部182は、上述した「表示時相マーカ」、「再生開始マーカ」及び「再生終了マーカ」の位置を調整する。より具体的には、調整部182は、「表示時相マーカ」、「再生開始マーカ」及び「再生終了マーカ」の位置を調整した結果を、画像生成部15に通知する。画像生成部15は、調整部182が決定した各マーカの位置に基づいて、生体参考信号を表示するための波形に各マーカを重畳する。
以下、調整部182が行なう調整処理について、具体的に説明する。以下では、再生用に保存された超音波画像データ群が、2次元(2D)のBモード画像データ群である場合について説明する。ただし、本実施形態は、再生用に保存された超音波画像データ群が、2次元のカラードプラ画像データ群や、3次元のBモード画像データ群、3次元のカラードプラ画像データ群である場合であっても適用可能である。また、以下では、表示時相マーカを直線マーカと記載する場合がある。また、以下では、再生開始マーカを左端(Left Point)マーカと記載し、再生終了マーカを右端(Right Point)マーカと記載する場合がある。通常、ECG等の生体参考信号は、左から右に向かって時相が最新となることから、再生開始マーカは、左側となり、再生終了マーカは右側となる。
まず、信号フレーム数と画像フレーム数とが同じ場合に、調整部182が第1アルゴリズムに基づいて行なう表示時相マーカの調整処理と、調整部182が第2アルゴリズムに基づいて行なう「再生開始マーカ及び再生終了マーカ」の調整処理について、図2及び図3それぞれを用いて説明する。図2は、第1アルゴリズムに基づいて調整部が行なう調整処理の一例を示す図であり、図3は、第2アルゴリズムに基づいて調整部が行なう調整処理の一例を示す図である。
図2及び図3に示す一例では、画像フレーム数及び信号フレーム数がともに「6」であった場合を示している。また、以下の説明では、取得された画像フレーム数が「6」であった場合、図2に示すように、各画像フレームのID(画像ID)を時系列に沿って「画像ID(1)、画像ID(2)、・・、画像ID(6)」と記載する。また、以下の説明では、取得された信号フレーム数が「6」であった場合、図2に示すように、各信号フレームのID(信号ID)を時系列に沿って「信号ID(1)、信号ID(2)、・・、信号ID(6)」と記載する。
まず、調整部182は、信号フレーム数と画像フレーム数との大小関係に関わらず、画像フレーム数と、モニタ2においてECG波形を表示する領域の横方向の長さから、1つの信号フレームを表示する単位長さを算出する(図2に示す「L」を参照)。
そして、調整部182は、信号フレーム数と画像フレーム数とが同じ場合、第1アルゴリズムに基づいて、各フレームの走査期間の中央付近の位置を表示時相マーカ(直線マーカ)の位置とする(図2に示すハッチングされた数字の位置を参照)。これにより、例えば、画像生成部15は、図2に示すように、画像ID(1)のフレーム(第1フレーム)を表示する場合には、信号ID(1)の信号フレームの中央付近に対応するECG波形の位置に直線マーカを重畳する。また、例えば、画像生成部15は、図2に示すように、画像ID(6)のフレーム(最終フレーム)を表示する場合には、信号ID(6)の信号フレームの中央付近に対応するECG波形の位置に直線マーカを重畳する。
信号フレーム数と画像フレーム数とが同じ場合、モニタ2に表示される画像フレームの画像IDが(1)〜(6)に変化するに従って、ECG波形上の直線マーカの位置は、第1アルゴリズムに基づいて、移動する。これにより、操作者は、どの位相上の画像データがモニタ2に表示されているかを把握できる。
また、調整部182は、信号フレーム数と画像フレーム数とが同じ場合、第2アルゴリズムに基づいて、再生開始フレームとして設定されたフレームについては再生開始マーカ(左端マーカ)の位置を当該フレームの走査開始時の時相とする(図3の「Left Point」の列に示すハッチングされた数字の位置を参照)。また、調整部182は、信号フレーム数と画像フレーム数とが同じ場合、第2アルゴリズムに基づいて、再生終了フレームとして設定されたフレームについては再生終了マーカ(右端マーカ)の位置を当該フレームの走査終了時の時相とする(図3の「Right Point」の列に示すハッチングされた数字の位置を参照)。
これにより、例えば、画像生成部15は、図3に示すように、画像ID(1)のフレーム(第1フレーム)が再生開始フレームとして設定された場合には、信号ID(1)の信号フレームの左端、すなわち、ECG波形の始端に左端マーカを重畳する。また、例えば、画像生成部15は、図3に示すように、画像ID(6)のフレーム(最終フレーム)が再生終了フレームとして設定された場合には、信号ID(6)の信号フレームの右端、すなわち、ECG波形の終端に右端マーカを重畳する。なお、図3に示すように、左端マーカは、時間軸に対して垂直方向となる線分と、当該線分の上部左側に接する「左方向の白抜き矢頭」とから構成される。また、図3に示すように、右端マーカは、時間軸に対して垂直方向となる線分と、当該線分の上部右側に接する「右方向の白抜き矢頭」とから構成される。
第2アルゴリズムに基づいて調整された左端マーカの位置を「1〜6」へと操作者がマウス等を用いて移動させるに従って、モニタ2に表示される画像フレームが画像ID(1)〜画像ID(6)へと変化する。これにより、操作者は、再生を開始する所望の画像フレームを指定することができる。また、第2アルゴリズムに基づいて調整された右端マーカの位置を「1〜6」へと操作者がマウス等を用いて移動させるに従って、モニタ2に表示される画像フレームが画像ID(1)〜画像ID(6)へと変化する。これにより、操作者は、再生を終了する所望の画像フレームを指定することができる。
続いて、信号フレーム数が画像フレーム数より1フレーム分少ない場合に、調整部182が第3アルゴリズムに基づいて行なう表示時相マーカの調整処理と、調整部182が第4アルゴリズムに基づいて行なう「再生開始マーカ及び再生終了マーカ」の調整処理について、図4及び図5それぞれを用いて説明する。図4は、第3アルゴリズムに基づいて調整部が行なう調整処理の一例を示す図であり、図5は、第4アルゴリズムに基づいて調整部が行なう調整処理の一例を示す図である。
図4及び図5に示す一例では、画像フレーム数が「6」であり、信号フレーム数が「5」であった場合を示している。すなわち、図4及び図5に示す一例では、「画像ID(1)、画像ID(2)、・・、画像ID(6)」が取得され、「信号ID(1)、信号ID(2)、・・、信号ID(5)」が取得されている。換言すると、図4及び図5に示す一例では、「画像ID(1)〜画像ID(5)」の画像フレームに対応する「信号ID(1)〜信号ID(5)」のECG波形の信号フレームが取得されているが、画像ID(6)の最終フレームに対応するECG波形の信号フレームが取得されなかった場合を示している。
まず、調整部182は、上述したように、画像フレーム数と、モニタ2においてECG波形を表示する領域の横方向の長さから、1つの信号フレームを表示する単位長さを算出する(図4に示す「L」を参照)。
そして、調整部182は、信号フレーム数が画像フレーム数より1フレーム分少ない場合、第3アルゴリズムに基づいて、表示時相マーカ(直線マーカ)の位置を調整する。すなわち、調整部182は、超音波画像データ群の最終フレーム以外のフレームについては当該フレームの走査開始時の時相の位置を直線マーカの位置とする(図4に示すハッチングされた数字「1〜5」の位置を参照)。これにより、画像生成部15は、例えば、図4に示すように、画像ID(1)の画像フレームが表示される場合には、信号ID(1)の信号フレームの左端に対応するECG波形の位置に直線マーカを重畳する。同様に、画像生成部15は、例えば、画像ID(2)の画像フレームが表示される場合には、信号ID(2)の信号フレームの左端に対応するECG波形の位置に直線マーカを重畳する。
一方、調整部182は、最終フレームについては直前のフレームの走査終了時の時相の位置を直線マーカの位置とする(図4に示すハッチングされた数字「6」の位置を参照)。これにより、画像生成部15は、例えば、図4に示すように、画像ID(6)の最終フレームが表示される場合には、信号ID(5)の信号フレームの右端に対応するECG波形の位置に直線マーカを重畳する。
モニタ2に表示される画像フレームの画像IDが(1)〜(5)に変化するに従って、ECG波形上の直線マーカの位置は、第3アルゴリズムにより、「信号ID(1)の信号フレームの左端、・・・、信号ID(5)の信号フレームの左端」となる。また、モニタ2に表示される画像フレームの画像IDが(6)になると、第3アルゴリズムにより、ECG波形上の直線マーカの位置は、信号ID(5)の信号フレームの右端となる。第3アルゴリズムを適用することで、画像フレーム数が「6」であっても、全画像フレームの時相を、信号フレーム数「5」の生体参考信号の波形上に表示することができる。
また、調整部182は、信号フレーム数が画像フレーム数より1フレーム分少ない場合、第4アルゴリズムに基づいて、「再生開始マーカ(左端マーカ)及び再生終了マーカ(右端マーカ)」の位置を調整する。すなわち、調整部182は、超音波画像データ群の最終フレームが再生開始フレームとして設定された際には、直前のフレームの走査終了時の時相の位置を左端マーカの位置とする(図5の(A)の「Left Point」の列に示すハッチングされた数字「6」の位置を参照)。
これにより、画像生成部15は、例えば、画像ID(6)の最終フレームが再生開始フレームとして設定された際には、信号ID(5)の信号フレームの右端に対応するECG波形の位置に左端マーカを重畳する。
また、調整部182は、最終フレームが再生終了フレームとして設定された際には、波形の終端近傍の外側を再生終了マーカの位置とする(図5の(A)の「Right Point」の列に示すハッチングされた数字「6」の位置を参照)。これにより、画像生成部15は、例えば、図5の(B)に示すように、ECG波形の終端を構成する画素の右隣に位置する画素を通る縦方向の画素群を用いて、画像ID(6)の最終フレームが再生終了フレームとして設定された際の右端マーカを生成する。
なお、超音波画像データ群の最終フレーム以外のフレームが再生開始フレームとして設定された際には、第4アルゴリズムでは、第2アルゴリズムと同様に、当該フレームの走査開始時の時相の位置を左端マーカの位置とする(図5の(A)の「Left Point」の列に示すハッチングされた数字「1〜5」の位置を参照)。また、超音波画像データ群の最終フレーム以外のフレームが再生終了フレームとして設定された際には、第4アルゴリズムでは、第2アルゴリズムと同様に、当該フレームの走査終了時の時相の位置を右端マーカの位置とする(図5の(A)の「Right Point」の列に示すハッチングされた数字「1〜5」の位置を参照)。
図5の(A)では、画像ID(1)の第1フレームが再生開始フレームである場合の左端マーカを例示している。かかる左端マーカは、図5の(A)に示すように、ECG波形の始端と重なっている。すなわち、図5の(A)に示す左端マーカは、ECG波形の始端を構成する画素を通る縦方向の画素群により生成されている。また、図5の(A)では、画像ID(6)の最終フレームが再生終了フレームである場合の右端マーカを例示している。かかる右端マーカは、図5の(A)に示すように、ECG波形の終端に接している。
第4アルゴリズムにより、指定された再生開始フレームの画像IDが(1)〜(5)に変化するに従って、ECG波形上の左端マーカの位置は、「信号ID(1)の信号フレームの左端、・・・、信号ID(5)の信号フレームの左端」となる。そして、第4アルゴリズムにより、指定された再生開始フレームの画像IDが(6)になると、ECG波形上の左端マーカの位置は、信号ID(5)の信号フレームの右端となる。
また、第4アルゴリズムにより、指定された再生終了フレームの画像IDが(1)〜(5)に変化するに従って、ECG波形上の右端マーカの位置は、「信号ID(1)の信号フレームの右端、・・・、信号ID(5)の信号フレームの右端」となる。そして、第4アルゴリズムにより、指定された再生終了フレームの画像IDが(6)になると、ECG波形上の右端マーカの位置は、信号ID(5)の信号フレームの右端の外側の位置となる。第4アルゴリズムを適用することで、画像フレーム数が「6」であっても、信号フレーム数「5」の生体参考信号の波形上で、再生範囲を指定することが可能となる。
続いて、信号フレーム数が画像フレーム数より2フレーム分少ない場合に、調整部182が第5アルゴリズムに基づいて行なう表示時相マーカの調整処理と、調整部182が第6アルゴリズムに基づいて行なう「再生開始マーカ及び再生終了マーカ」の調整処理について、図6及び図7それぞれを用いて説明する。図6は、第5アルゴリズムに基づいて調整部が行なう調整処理の一例を示す図であり、図7は、第6アルゴリズムに基づいて調整部が行なう調整処理の一例を示す図である。
図6及び図7に示す一例では、画像フレーム数が「7」であり、信号フレーム数が「5」であった場合を示している。すなわち、図6及び図7に示す一例では、「画像ID(1)、画像ID(2)、・・、画像ID(7)」が取得され、「信号ID(1)、信号ID(2)、・・、信号ID(5)」が取得されている。換言すると、図6及び図7に示す一例では、「画像ID(2)〜画像ID(6)」に対応する「信号ID(1)〜信号ID(5)」が取得されているが、画像ID(1)の第1フレームに対応するECG波形の信号フレームが取得されず、画像ID(7)の最終フレームに対応するECG波形の信号フレームが取得されなかった場合を示している。
まず、調整部182は、上述したように、画像フレーム数と、モニタ2においてECG波形を表示する領域の横方向の長さから、1つの信号フレームを表示する単位長さを算出する。
そして、調整部182は、信号フレーム数が画像フレーム数より2フレーム分少ない場合、第5アルゴリズムに基づいて、表示時相マーカ(直線マーカ)の位置を調整する。すなわち、調整部182は、超音波画像データ群の第1フレーム及び最終フレーム以外のフレームについては当該フレームの走査期間の中央付近の位置を直線マーカの位置とする(図6の(A)に示すハッチングされた数字「2〜6」の位置を参照)。これにより、画像生成部15は、例えば、画像ID(2)の画像フレームが表示される場合には、信号ID(2)の信号フレームの中央付近に対応するECG波形の位置に直線マーカを重畳する。
一方、調整部182は、第1フレーム及び最終フレームそれぞれについては波形の両端近傍の外側それぞれを直線マーカの位置とする(図6の(A)に示すハッチングされた数字「1」及び「7」の位置を参照)。これにより、画像ID(1)の第1フレームが表示される場合には、画像生成部15は、例えば、図6の(B)に示すように、ECG波形の始端を構成する画素の左隣に位置する画素を通る縦方向の画素群を用いて、直線マーカを生成する。
図6の(A)では、画像ID(1)の第1フレームが表示される場合の直線マーカを例示している。かかる直線マーカは、図6の(A)に示すように、ECG波形の始端に接している。また、画像ID(7)の最終フレームが表示される場合には、画像生成部15は、図5の(B)を用いて説明したように、ECG波形の終端を構成する画素の右隣に位置する画素を通る縦方向の画素群を用いて、直線マーカを生成する。図6の(A)では、画像ID(7)の最終フレームが表示される場合の直線マーカを例示している。かかる直線マーカは、図7の(A)に示すように、ECG波形の終端に接している。
モニタ2に表示される画像フレームの画像IDが(1)になると、ECG波形上の直線マーカの位置は、第5アルゴリズムにより、信号ID(1)の信号フレームの左端の外側の位置となる。そして、モニタ2に表示される画像フレームの画像IDが(2)〜(6)に変化するに従って、ECG波形上の直線マーカの位置は、第5アルゴリズムにより、「信号ID(2)の信号フレームの中央、・・・、信号ID(5)の信号フレームの中央」となる。そして、モニタ2に表示される画像フレームの画像IDが(7)になると、ECG波形上の直線マーカの位置は、第5アルゴリズムにより、信号ID(5)の信号フレームの右端の外側の位置となる。第5アルゴリズムを適用することで、画像フレーム数が「7」であっても、全画像フレームの時相を、信号フレーム数「5」の生体参考信号の波形上に表示することができる。
また、調整部182は、信号フレーム数が画像フレーム数より2フレーム分少ない場合、第6アルゴリズムに基づいて、「再生開始マーカ(左端マーカ)及び再生終了マーカ(右端マーカ)」の位置を調整する。すなわち、調整部182は、超音波画像データ群の第1フレームが再生開始フレームとして設定された際には、波形の始端近傍の外側を左端マーカの位置とする(図7の「Left Point」の列に示すハッチングされた数字「1」の位置を参照)。また、調整部182は、超音波画像データ群の第1フレームが再生開始フレームとして設定された際にも、波形の始端近傍の外側を右端マーカの位置とする(図7の「Right Point」の列に示すハッチングされた数字「1」の位置を参照)。
これにより、画像生成部15は、例えば、図6の(B)を用いて説明したように、ECG波形の始端を構成する画素の左隣に位置する画素を通る縦方向の画素群を用いて、画像ID(1)の第1フレームが再生開始フレームとして設定された際の左端マーカを生成する。また、画像生成部15は、画像ID(1)の第1フレームが再生終了フレームとして設定された際の右端マーカも、同様の処理により、生成する。
また、第6アルゴリズムを行なう調整部182は、第4アルゴリズムと同様に、最終フレームが再生開始フレームとして設定された際には、直前のフレームの走査終了時の時相の位置を左端マーカの位置とする(図7の「Left Point」の列に示すハッチングされた数字「7」の位置を参照)。また、第6アルゴリズムを行なう調整部182は、第4アルゴリズムと同様に、最終フレームが再生終了フレームとして設定された際には、波形の終端近傍の外側を右端マーカの位置とする(図7の「Right Point」の列に示すハッチングされた数字「7」の位置を参照)。
なお、超音波画像データ群の第1フレーム及び最終フレーム以外のフレームが再生開始フレームとして設定された際には、第6アルゴリズムでは、第2アルゴリズムと同様に、当該フレームの走査開始時の時相の位置を左端マーカの位置とする(図7の「Left Point」の列に示すハッチングされた数字「2〜6」の位置を参照)。また、第1フレーム及び最終フレーム以外のフレームが再生終了フレームとして設定された際には、第6アルゴリズムでは、第2アルゴリズムと同様に、当該フレームの走査終了時の時相の位置を右端マーカの位置とする(図7の「Right Point」の列に示すハッチングされた数字「2〜5」の位置を参照)。
図7では、画像ID(1)の第1フレームが再生開始フレームである場合の左端マーカを例示している。かかる左端マーカは、図7に示すように、ECG波形の始端に接している。また、図7では、画像ID(7)の最終フレームが再生終了フレームである場合の右端マーカを例示している。かかる右端マーカは、図7に示すように、ECG波形の終端に接している。
再生開始フレームの画像IDが(1)になると、ECG波形上の左端マーカの位置は、第6アルゴリズムにより、信号ID(1)の信号フレームの左端の外側となる。そして、再生開始フレームの画像IDが(2)〜(6)に変化するに従って、ECG波形上の左端マーカの位置は、第6アルゴリズムにより、「信号ID(1)の信号フレームの左端、・・・、信号ID(5)の信号フレームの左端」となる。そして、再生開始フレームの画像IDが(7)になると、ECG波形上の左端マーカの位置は、第6アルゴリズムにより、信号ID(5)の信号フレームの右端となる。
また、再生終了フレームの画像IDが(1)になると、ECG波形上の左端マーカの位置は、第6アルゴリズムにより、信号ID(1)の信号フレームの左端の外側となる。そして、再生終了フレームの画像IDが(2)〜(6)に変化するに従って、ECG波形上の右端マーカの位置は、第6アルゴリズムにより、「信号ID(1)の信号フレームの右端、・・・、信号ID(5)の信号フレームの右端」となる。そして、第6アルゴリズムにより、再生終了フレームの画像IDが(7)になると、ECG波形上の右端マーカの位置は、信号ID(5)の信号フレームの右端の外側の位置となる。第6アルゴリズムを適用することで、画像フレーム数が「7」であっても、信号フレーム数「5」の生体参考信号の波形上で、再生範囲を指定することが可能となる。
ここで、本実施形態に係る調整部182は、上述した第1〜第6アルゴリズムを行なう場合に、更に、以下に説明する第7アルゴリズムを実行しても良い。第7アルゴリズムは、生体参考信号に重畳されるマーカの幅を調整するためのアルゴリズムである。
第7アルゴリズムでは、調整部182は、単位フレーム当たりの走査時間と、波形の時間軸方向における表示幅と、単位画素の大きさに応じて、マーカの時間軸方向における幅を調整する。ここで、単位フレーム当たりの走査時間は、単位時間当たりの画像フレーム数、すなわち、フレームレートに対応する。また、波形の時間軸方向における表示幅は、上述したモニタ2において生体参考信号の波形を表示する領域の横方向の長さに対応する。また、単位画素の大きさは、モニタ2で表示される1ピクセルの大きさである。図8は、第7アルゴリズムに基づいて調整部が行なう調整処理の一例を示す図である。
例えば、マーカの表示幅を1ピクセルに固定して、低フレームレートで収集された超音波画像データ群を動画再生すると、直線マーカは、フレームごとに、同じ位置で一定時間静止した状態となり、操作者に違和感を与える。また、低フレームレートで収集された超音波画像データ群の再生区間を設定するために、操作者がマウス操作で左端マーカや右端マーカを移動させる場合、マウス操作に連動して滑らかにマーカが移動しないために、操作者に違和感を与える。このことから、図8に例示するように、調整部182は、フレームレートが低くなるに従って、マーカの幅を太くする調整を行なうことで、低フレームレートの場合でも、操作者に違和感を与えない幅を有するマーカを表示させる。
しかし、かかる調整を行なうと、フレームレートが高くなるに従って、マーカの幅が細くなり、あるフレームレートで、マーカの幅は、図8に例示するように、表示限界の1ピクセルとなる。しかし、表示幅が1ピクセルのマーカは、操作者にとって視認性が悪い。そこで、調整部182は、マーカの幅が表示限界の1ピクセルとなる場合には、図8に示すように、マーカの幅を太くする。これにより、調整部182は、高フレームレートの場合でも、視認性が確保されたマーカを表示させることができる。
次に、図9を用いて、本実施形態に係る超音波診断装置が備える調整部182の調整処理の一例について説明する。図9は、本実施形態に係る超音波診断装置が行なう調整処理の一例を示すフローチャートである。
図9に例示するように、本実施形態に係る超音波診断装置の制御部19は、フリーズボタンが押下されたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、フリーズボタンが押下されていない場合(ステップS101否定)、制御部19は、フリーズボタンが押下されるまで待機する。
一方、フリーズボタンが押下された場合(ステップS101肯定)、制御部19は、画像メモリ16に超音波画像データ群及び生体参考信号が再生用に保存されたことを、表示データ処理部18に通知する。そして、判定部181は、画像フレーム数が信号フレーム数より多いか否かを判定する(ステップS102)。
ここで、画像フレーム数と信号フレーム数とが同じ場合(ステップS102否定)、調整部182は、1つの信号フレームを表示する単位長さを算出する。そして、調整部182は、直線マーカの位置を第1アルゴリズムで調整し、左端マーカ及び右端マーカの位置を第2アルゴリズムで調整すると決定する(ステップS104)。
一方、信号フレーム数が画像フレーム数より少ない場合(ステップS102肯定)、判定部181は、フレーム数の差が1フレームであるか否かを判定する(ステップS103)。ここで、フレーム数の差が1フレームである場合(ステップS103肯定)、調整部182は、1つの信号フレームを表示する単位長さを算出する。そして、調整部182は、直線マーカの位置を第3アルゴリズムで調整し、左端マーカ及び右端マーカの位置を第4アルゴリズムで調整すると決定する(ステップS105)。
一方、フレーム数の差が2フレームであることから、1フレームでない場合(ステップS103否定)、調整部182は、1つの信号フレームを表示する単位長さを算出する。そして、調整部182は、直線マーカの位置を第5アルゴリズムで調整し、左端マーカ及び右端マーカの位置を第6アルゴリズムで調整すると決定する(ステップS106)。
ステップS104〜ステップS106のいずれかの決定を行なった後、調整部182は、第7アルゴリズムでマーカの幅を決定する(ステップS107)。そして、調整部182は、調整結果を画像生成部15に通知し(ステップS108)、処理を終了する。
上述したように、本実施形態では、第1及び第2アルゴリズムとともに、第3〜第6アルゴリズムによる調整処理を行なうことで、一部の超音波画像データに対応する生体参考信号が取得されない場合であっても、時相を示すマーカの表示を簡易に行なうことができる。すなわち、本実施形態では、超音波画像データと同じ時相分の生体参考信号が取り込まれるまで再撮影を行なうことを回避できる。また、本実施形態では、一部の超音波画像データに対応する生体参考信号が取得されない場合であっても、単純で安価なシステム構成で、時相を示すマーカの表示を確実に行なうことができる。
また、本実施形態では、第7アルゴリズムによる調整処理を行なうことで、時相を示すマーカの幅を適切な幅として、視認性を確保することができる。
なお、本実施形態で説明した画像処理方法は、超音波診断装置とは独立に設置された画像処理装置により行なわれる場合であってもよい。かかる画像処理装置は、再生用に保存された超音波画像データ群及び生体参考信号を取得することで、本実施形態で説明した画像処理方法を行なうことができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、判定部181及び調整部182は、制御部19に統合される場合であっても良い。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、本実施形態で説明した画像処理方法は、あらかじめ用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD、USBメモリ及びSDカードメモリ等のFlashメモリ等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって非一時的な記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上、説明したとおり、本実施形態によれば、一部の超音波画像データに対応する生体参考信号が取得されない場合であっても、時相を示すマーカの表示を簡易に行なうことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。