JP5943969B2 - レール溝部用弾性スペーサ - Google Patents

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Description

本発明は、レール溝部用弾性スペーサに関するものである。
鉄道車両の製造工場や整備工場等の床面に敷設された引き込み線の線路は、まくらぎや敷石等を用いる一般的な路盤構造ではなく、レールの首部以下の部分が埋められ頭部から上の部分のみが露出したレール溝部が構成される場合がある。
このレール溝部の断面形状は概略矩形をなしており、レール溝部には、異物の堆積防止や、台車等の通行の安全確保を目的として、従来からゴム製スペーサが詰められている。従来のスペーサは、ゴム製の表皮と内部に充填された発砲ゴムとからなる二重構造を有した、矩形断面形状をなしており、鉄道車両がレール溝部を通過又は滞留する場合には、スペーサは、車輪のフランジ形状に応じて柔軟に変形し、通過後は形状復帰して、作業者の足や台車の車輪がレール溝部に嵌まり込むことを防止するものである。なお、比較的類似した従来技術として、踏切のレール溝部を対象とする踏切用防護材が発明されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−254303号公報
ところで、従来の二重構造のゴム製スペーサは、表皮のゴムと発泡ゴムとの弾性の違い等から、表皮のゴムが比較的短時間で変形、割れ等を起し、内部の発泡ゴムがレール溝から飛び出してしまうといった不具合が報告されている。
又、レール溝部の断面形状は概略矩形をなしているが、経年変化と共に、溝部壁面、溝部床面及びこれらの突合せ角部に錆等の突起物が堆積し、又、溝部の断面形状に高精度が要求されないことから、当初より溝部の断面形状が正確な矩形ではなく、コンクリート等の突起物が残っているような場合もある。このようなレール溝に対し、従来の矩形断面形状のゴム製スペーサでは、溝内の凹凸形状を十分に吸収することができず、その結果、レール溝部から不用意に飛び出してしまうおそれがある等の理由から、ゴム製スペーサの上面がレール溝部の開口端部の高さよりも相当に低い寸法となるものが用いられていた。
なお、従来の、踏切のレール溝を対象とする踏切用防護材は、鉄道車両が踏切を高速かつ短時間で通過することから、本発明に係るスペーサとは求められる機械的性質が異なり、かつ、レール溝部からの脱落を確実に防ぐ必要があるための、着脱を容易にはできなくする形状的特徴を備えており、更に、設置対象のレール溝部の構造も全く異なることから、本発明に係るレール溝部用弾性スペーサとは、技術思想を異にするものである。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、レール溝部用弾性スペーサによって、鉄道車両の製造工場や整備工場等に敷設された引き込み線を構成するレール溝部を、適切に覆うことにある。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
(1)レールの首部以下の部分が埋められ頭部から上の部分のみ露出したレール溝部に対し、着脱自在に装着される弾性スペーサであって、
前記レールの頭部側面と前記レール溝部の縦壁面及び底面とに当接するベース部と、
前記レールの頭部側面及び前記レール溝部の縦壁面に当接しないように、前記ベース部よりも狭幅に形成されたトップ部と、
前記ベース部が前記レール溝部の底面に当接した状態で、前記トップ部が前記レール溝部の開口端部の高さと一致ないし略一致する高さとなるように、前記ベース部及び前記トップ部をつなぐ一対のサイド部と、によって閉断面状をなし、
前記ベース部及び前記トップ部と、前記一対のサイド部との接続部のうち、少なくとも前記ベース部と前記一対のサイド部との接続部が、前記ベース部の幅方向端部から所定距離を置いた幅方向内側の位置に形成され、かつ、前記トップ部と前記一対のサイド部との接続部が、前記ベース部と前記一対のサイド部との接続部よりも、幅方向外側の位置に形成されているレール溝部用弾性スペーサ(請求項1)。
本項に記載のレール溝部用弾性スペーサは、レールの首部以下の部分が埋められ頭部から上の部分のみが露出したレール溝部に対し、着脱自在に装着されるものであり、ベース部と、トップ部と、一対のサイド部と、によって閉断面状をなし、全体としては、中空管状に形成されているものである。そして、ベース部がレールの頭部側面とレール溝部の縦壁面及び底面とに当接することで、ベース部が適切に弾性変形しつつこれら各面に弾性力を付勢して密着し、レール溝部内での安定性を確保するものとなる。一方、トップ部が、レールの頭部側面及びレール溝部の縦壁面に当接しないように、ベース部よりも狭幅に形成されていることで、レール溝部に対し着脱する際の、トップ部による接触抵抗を抑えるものとなる。又、ベース部がレール溝部の底面に当接した状態で、トップ部がレール溝部の開口端部の高さに対し一致ないし略一致する高さとなるように、ベース部及びトップ部が一対のサイド部でつながれていることで、レール溝部を適切に塞ぐものとなる。なお、「略一致する高さ」は、作業者の足や台車の車輪がレール溝部に嵌まり込むことや、レール溝部から本弾性スペーサが突出することによる、往来の支障を防止することが可能な範囲内で、トップ部がレール溝部の開口端部の高さよりも低く、もしくは、若干高く飛び出すような状態については、寸法許容差を認める趣旨である。
そして、ベース部及びトップ部と、一対のサイド部との接続部のうち、少なくともベース部と一対のサイド部との接続部が、ベース部の幅方向端部から所定距離を置いた、幅方向内側の位置に形成されていることで、一対のサイド部の外側面と、レールの頭部側面及びレール溝部の縦壁面との間には、直接的に接触することのない空間が形成される。この空間は、鉄道車両の通過時又は滞留時に、車輪のフランジがトップ部を下方へと押すことで、トップ部及び一対のサイド部が大きく弾性変形する際の、変形した一対のサイド部の逃げ代となる。これによって、本スペーサの弾性変形を促すと共に、過剰な圧縮応力が生じることを防ぎ、本スペーサの耐久性の低下を回避するものとなる。
又、トップ部と一対のサイド部との接続部が、ベース部と一対のサイド部との接続部よりも、幅方向外側の位置に形成されていることで、一対のサイド部はベース部とトップ部との間で逆ハの字状をなすように配置され、車輪のフランジがトップ部を下方へと押すことによる、一対のサイド部の幅方向外側への変形を促すものとなる。
(2)上記(1)項において、前記ベース部、前記トップ部及び前記一対のサイド部は、前記ベース部と前記一対のサイド部との接続部、及び、前記トップ部と前記一対のサイド部との接続部を除き、一定の厚みの平板状をなしているレール溝部用弾性スペーサ(請求項2)。
本項に記載のレール溝部用弾性スペーサは、ベース部、トップ部及び一対のサイド部が、ベース部と一対のサイド部との接続部、及び、トップ部と一対のサイド部との接続部を除き、一定の厚みの平板状をなしていることにより、ベース部、トップ部及び一対のサイド部の強度や弾性変形の予測性を高めるものとなる。又、例えば、押し出し成型による場合の生産性を向上させるものとなる。
(3)上記(1)(2)項において、前記ベース部の、幅方向端面と底面とに跨る面取り部が形成されているレール溝部用弾性スペーサ(請求項3)。
本項に記載のレール溝部用弾性スペーサは、ベース部の、幅方向端面と底面とに跨るように形成された面取り部が、レール溝部の、レールの頭部側面及び溝部壁面と、溝部床面との突合せ角部に突起物が堆積している場合における、突起物の逃げ代を構成することで、ベース部がこれら各面に当接し、レール溝部内での安定性を確保するものとなる。なお、ベース部の、幅方向端面と底面とに跨るように角アール形状や溝状の肉抜き部を形成して、面取り部に代用することとしても良い。
(4)上記(1)から(3)項において、前記トップ部と前記一対のサイド部との接続部は、前記トップ部の幅方向端面と前記一対のサイド部の外側面とが連続する態様で形成されているレール溝部用弾性スペーサ(請求項4)。
本項に記載のレール溝部用弾性スペーサは、トップ部の幅方向端面と一対のサイド部の外側面とが連続する態様で形成されていることにより、仮に、本スペーサがレール溝部に対し傾斜した状態で嵌め込まれたとしても、トップ部と一対のサイド部との接続部がレール溝部の端縁に引っ掛かることなく、トップ部の幅方向端面と一対のサイド部の外側面との連続面に案内されてレール溝部内へと円滑に収まり、トップ部の幅方向端部がレール溝部の開口端部から突出して障害物となることを回避するものとなる。
(5)上記(1)から(4)項において、天然ゴムで構成されているレール溝部用弾性スペーサ。
本項に記載のレール溝部用弾性スペーサは、天然ゴムで構成されていることで、機械的強度及び耐摩耗性に優れ、耐寒性も良好となる。なお、本スペーサをクロロプレーンゴム等の合成ゴムで構成した場合には、耐油性、耐熱性、耐薬品性、耐候性に優れたものとなるが、鉄道車両用工場建屋内での使用や、レール溝部に嵌め込まれ、トップ部のみレール溝部の開口から露出する使用態様では、天然ゴムで構成することによる不具合は、別段生じないものである。
本発明はこのように構成したので、レール溝部用弾性スペーサによって、鉄道車両の製造工場や整備工場等に敷設された引き込み線を構成するレール溝部を、適切に覆うことが可能となる。
本発明の実施の形態に係るレール溝部用弾性スペーサが、レール溝部に嵌め込まれた状態を示すものであり、(a)は模式断面図、(b)は本スペーサが鉄道車両の車輪のフランジによって変形を受けた状態を示す立体断面図であり、便宜上、レール溝部用弾性スペーサとレール溝部との断面位置を、レール溝部の長手方向にずらして示したものである。 本発明の実施の形態に係るレール溝部用弾性スペーサを示すものであり、(a)は正面図、(b)は別例に係る正面図、(c)は(a)(b)の例に共通する平面図、(d)は同底面図、(e)は同側面図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態に係るレール溝部用弾性スペーサ10は、図1に示されるレール溝部60に対して、着脱自在に装着されるものである。図示のレール溝部60は、レール50の首部54以下の部分が、コンクリート等の床材56に埋められ、頭部52から上の部分のみが露出している。図示の例では、レール溝部60の側壁面62はL型鋼等のガイドレールによって構成され、床面64は床材56を平坦に均して構成されている。又、レール50の頭部の、レール溝部60に露出する頭部側面52aとは反対側の頭部側面52bは、床材56に覆われ、頭部上面52cと床面56aとは、略同一平面となっている。
例示されるレール溝部用弾性スペーサ10は、ベース部12、トップ部14及び一対のサイド部16によって、幅方向対称形の閉断面状をなしており、全体的には、図2(a)、(b)に示されるように、中空管状に形成されているものである。又、レール溝部用弾性スペーサ10は、天然ゴムを用い、押し出し成型による一体成型品となっている。なお、本説明における「幅方向」は、図1に示されるように、レール溝部用弾性スペーサ10のベース部12を下に、トップ部14を上に置いて、レール溝部用弾性スペーサ10の長手方向と直交する断面で切断した時の、左右方向を意味するものである。
ベース部12は、レール50の頭部側面52aとレール溝部60の縦壁面62及び底面64とに当接するものである。又、トップ部14は、レール50の頭部側面52a及びレール溝部60の縦壁面62に当接しないように、ベース部12よりも狭幅に形成されている。一対のサイド部16は、ベース部12がレール溝部60の底面64に当接した状態で、トップ部14がレール溝部60の開口端部66の高さに対し一致ないし略一致する高さとなるように、ベース部12及びトップ部14をつないでいる。
そして、ベース部12と一対のサイド部16との接続部18が、ベース部12の幅方向端部から所定距離を置いた、幅方向内側の位置に形成されており、かつ、トップ部14と一対のサイド部16との接続部20が、ベース部12と一対のサイド部16との接続部18よりも、幅方向外側の位置に形成されている。
又、ベース部12、トップ部14及び一対のサイド部16は、ベース部12と一対のサイド部16との接続部18、及び、トップ部14と一対のサイド部16との接続部20を除き、一定の厚みの平板状をなしている。各接続部18、20については、各接続部18、20に必要な強度や、押し出し成型による場合の成形金型の構造等を考慮して、角アール形状などが付され、結果、前記一定の厚みよりも肉厚となるように構成されている。
更に、ベース部12の、幅方向端面12aと底面12bとに跨るようにして、面取り部22が形成されている。
更に、図1、図2(a)の例では、一対のサイド部16の外側面16aの上端部がトップ部14の幅方向端面14aから始まっている、すなわち、トップ部14の幅方向端面14aと一対のサイド部16の外側面とが、連続する態様で形成されている。
一方、図2(b)に示される別例では、一対のサイド部16の外側面16aの上端部がトップ部14の幅方向端面14aから幅方向内側に入り込んだ位置から始まっている、すなわち、トップ部14の幅方向端面14aと一対のサイド部16の外側面とが、不連続の態様で形成されている。
更に、図示は省略するが、必要に応じ、図2(a)に例示される形状的特徴と、図2(b)に例示される形状的特徴とを、幅方向中心線を挟んで一方側と他方側とに有する形態、すなわち、上記二つの例を半割にして、合体させたような閉断面形状を採用することも可能である。
さて、上記構成をなす、本発明の実施の形態に係るレール溝部用弾性スペーサ10によれば、次のような作用効果を得ることが可能となる。
すなわち、レール溝部用弾性スペーサ10は、ベース部12がレール50の頭部側面52aとレール溝部60の縦壁面62及び底面64とに当接することで、ベース部12が適切に弾性変形しつつこれら各面に弾性力を付勢して密着し、レール溝部60内での安定性を確保することが可能となる。
図2(a)、(b)に示されるように、レール溝部用弾性スペーサ10が幅方向対称形の閉断面状をなす場合には、レール溝部60に嵌め込まれた状態で、幅方向両側に、均一な機械的性質(剛性、着脱の容易さ等)を有するものとなる。特に、レール溝部60の断面形状が概略矩形であることから、レール溝部60に対するレール溝部用弾性スペーサ10の嵌め込み時に、傾きが生じにくくなり、かつ、レール溝部用弾性スペーサ10が、車輪70のフランジ72の形状に応じて変形する際の変形も、幅方向に均等となる。又、押し出し成型による場合の成形金型の構造が幅方向に対称形となり、金型構造の単純化が図られる。
対して、図2(a)に例示される形状的特徴と、図2(b)に例示される形状的特徴とを、幅方向中心線を挟んで一方側と他方側とに有する形態とする場合には、レール溝部用弾性スペーサ10がレール溝部60に嵌め込まれた状態で、幅方向の各側に適切した、異なる機械的性質を有するものとなる。
一方、トップ部14が、レール50の頭部側面52a及びレール溝部60の縦壁面62に当接しないように、ベース部12よりも狭幅に形成されていることで、レール溝部60に対し着脱する際の、トップ部14による接触抵抗を抑えることが可能となる。又、ベース部12がレール溝部60の底面64に当接した状態で、トップ部14がレール溝部60の開口端部66の高さに対し一致ないし略一致する高さとなるように、ベース部12及びトップ部14が一対のサイド部16でつながれている。
従って、鉄道車両の製造工場や整備工場等に敷設された線路の引き込み線の、レール溝部60を適切に覆うことが可能となり、図1(b)に示されるように、鉄道車両の車輪70が通過又は滞留する場合は、レール溝部用弾性スペーサ10は、車輪70のフランジ72の形状に応じて柔軟に変形し、車輪70の通過後は形状復帰して、作業者の足や台車の車輪がレール溝に嵌まり込むことを防止することが可能となる。又、必要に応じて、レール溝部用弾性スペーサ10を、レール溝部60に対して、工具などを用いることなく容易に交換することが可能となる。
そして、ベース部12及びトップ部14と、一対のサイド部16との接続部のうち、少なくともベース部12と一対のサイド部16との接続部18が、ベース部12の幅方向端部12aから所定距離を置いた、幅方向内側の位置に形成されていることで、一対のサイド部16の外側面16aと、レール50の頭部側面52a及びレール溝部60の縦壁面62との間には、図1(a)に示されるように、直接的に接触することのない空間Sが形成される。この空間Sは、図1(b)に示されるように、鉄道車両の通過時又は滞留時に、車輪70のフランジ72がトップ部14を下方へと押すことで、トップ部14及び一対のサイド部16が大きく弾性変形する際の、変形した一対のサイド部16の逃げ代となる。よって、レール溝部用弾性スペーサ10の弾性変形を促すと共に、過剰な圧縮応力が生じることを防ぎ、レール溝部用弾性スペーサ10の耐久性の低下を回避することが可能となる。
又、トップ14と一対のサイド部16との接続部20が、ベース部12と一対のサイド部16との接続部18よりも、幅方向外側の位置に形成されていることで、一対のサイド部16はベース部12とトップ部14との間で逆ハの字状をなすように配置される。その結果として、車輪70のフランジ72がトップ部14を下方へと押すことによる、一対のサイド部16の幅方向外側への変形を促すことが可能となる。
又、レール溝部用弾性スペーサ10は、ベース部12、トップ部14及び一対のサイド16が、ベース部12と一対のサイド部16との接続部18、及び、トップ部14と一対のサイド部16との接続部20を除き、一定の厚みの平板状をなしていることにより、ベース部12、トップ部14及び一対のサイド部16の強度や弾性変形の予測性を高めるものとなる。又、例えば、押し出し成型による場合の、レール溝部用弾性スペーサ10の生産性を向上させることが可能となる。
又、レール溝部用弾性スペーサ10は、ベース部12の、幅方向端面12aと底面12bとに跨るように形成された面取り部22が、レール溝部60の、レールの頭部側面及び溝部壁面と、溝部床面との突合せ角部に錆等の突起物68が堆積している場合における、突起物68の逃げ代を構成することから、ベース部12がこれら各面に確実に当接し、レール溝部60内での安定性を確保するものとなる。
又、トップ部14の幅方向端面14aと一対のサイド部16の外側面16aとが連続する態様で形成されていることにより、仮に、レール溝部用弾性スペーサ10がレール溝部60に対し傾斜した状態で嵌め込まれたとしても、トップ部14と一対のサイド部16との接続部20がレール溝部60の開口端部66に引っ掛かることなく、トップ部14の幅方向端面14aと一対のサイド部16の外側面16aとの連続面に案内されて、レール溝部60内へと円滑に収まり、トップ部14の幅方向端部14aがレール溝部60の開口端部66から突出して障害物となることを、回避することが可能となる。
なお、図2(b)に示される別例では、トップ部14の幅方向端面14aと一対のサイド部16の外側面16aとが非連続であり、トップ部14の幅方向端面14aが、単独で幅方向に突出する態様で構成されている。このため、トップ部14の幅方向端部14aがレール溝部60の開口端部66から突出する可能性はあるが、本発明者らの検証によれば、トップ部14の幅方向端部14aの突出量や、レール溝部60の形態や表面性状の如何によっては、実用上問題ない場合もあることが確認されている。よって、本発明に係るレール溝部用弾性スペーサ10には、図2(b)に示される別例も含まれるものである。
又、図2には、具体的寸法例(単位はmm)が示されているが、これらの寸法値は、レール溝部60の具体的態様や、レール溝部用弾性スペーサ10に求められる耐久性、製造コスト、材料コスト等を適宜勘案して、適切な値が設定されるものである。
なお、本実施の形態に係るレール溝部用弾性スペーサは、天然ゴムで構成されていることで、機械的強度及び耐摩耗性に優れ、耐寒性も良好となる。一方、レール溝部用弾性スペーサ10をクロロプレーンゴム等の合成ゴムで構成した場合には、耐油性、耐熱性、耐薬品性、耐候性に優れたものとなるが、鉄道車両用工場建屋内での使用や、上記実施の形態のごとく、レール溝部60に嵌め込まれ、トップ部14のみレール溝部60の開口66から露出する使用態様では、天然ゴムで構成することによる不具合は、別段生じないことが、本発明者らによって確認されている。
10:レール溝部用弾性スペーサ、 12:ベース部、 12a:幅方向端面、 12b:底面、 14:トップ部、 14a:トップ部の幅方向端面、 16:一対のサイド部、 16a:一対のサイド部の外側面、 18:ベース部と一対のサイド部との接続部、 20:トップ部と一対のサイド部との接続部、 22:面取り部、 50:レール、 52:頭部、 52a:頭部側面、 60:レール溝部、 62:竪壁面、 64:底面、 66:開口端部

Claims (4)

  1. レールの首部以下の部分が埋められ頭部から上の部分のみ露出したレール溝部に対し、着脱自在に装着される弾性スペーサであって、
    前記レールの頭部側面と前記レール溝部の縦壁面及び底面とに当接するベース部と、
    前記レールの頭部側面及び前記レール溝部の縦壁面に当接しないように、前記ベース部よりも狭幅に形成されたトップ部と、
    前記ベース部が前記レール溝部の底面に当接した状態で、前記トップ部が前記レール溝部の開口端部の高さと一致ないし略一致する高さとなるように、前記ベース部及び前記トップ部をつなぐ一対のサイド部と、によって閉断面状をなし、
    前記ベース部及び前記トップ部と、前記一対のサイド部との接続部のうち、少なくとも前記ベース部と前記一対のサイド部との接続部が、前記ベース部の幅方向端部から所定距離を置いた幅方向内側の位置に形成され、かつ、前記トップ部と前記一対のサイド部との接続部が、前記ベース部と前記一対のサイド部との接続部よりも、幅方向外側の位置に形成されていることを特徴とするレール溝部用弾性スペーサ。
  2. 前記ベース部、前記トップ部及び前記一対のサイド部は、前記ベース部と前記一対のサイド部との接続部、及び、前記トップ部と前記一対のサイド部との接続部を除き、一定の厚みの平板状をなしていることを特徴とする請求項1記載のレール溝部用弾性スペーサ。
  3. 前記ベース部の、幅方向端面と底面とに跨る面取り部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のレール溝部用弾性スペーサ。
  4. 前記トップ部と前記一対のサイド部との接続部は、前記トップ部の幅方向端面と前記一対のサイド部の外側面とが連続する態様で形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のレール溝部用弾性スペーサ。
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