JP5943338B2 - 糖尿病網膜症未発症の時期の糖尿病患者の網膜の外顆粒層の厚みに対する内網状層の相対的な厚みの変化、前記外顆粒層の厚みに対する内顆粒層の相対的な厚みの変化、及び神経節細胞層の厚みの変化の測定方法 - Google Patents

糖尿病網膜症未発症の時期の糖尿病患者の網膜の外顆粒層の厚みに対する内網状層の相対的な厚みの変化、前記外顆粒層の厚みに対する内顆粒層の相対的な厚みの変化、及び神経節細胞層の厚みの変化の測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、糖尿病網膜症未発症の時期の糖尿病患者の網膜の外顆粒層の厚みに対する内網状層の相対的な厚みの変化、前記外顆粒層の厚みに対する内顆粒層の相対的な厚みの変化、及び神経節細胞層の厚みの変化の測定方法に関する。
糖尿病網膜症は、糖尿病によって網膜が損傷して起こる合併症の1つである。近年では、糖尿病網膜症は緑内障についで中途失明の原因の第2位となっている。また、糖尿病網膜症は若年層における失明の原因の一つでもあり、その予防又は治療方法の開発が急務となっている。
糖尿病網膜症は、その進行の程度によって、(1)単純糖尿病網膜症、(2)前増殖糖尿病網膜症、(3)増殖糖尿病網膜症に分類される。
日本眼科学会では、単純糖尿病網膜症を初期の糖尿病網膜症、前増殖糖尿病網膜症を単純糖尿病網膜症より一歩進行した状態、増殖糖尿病網膜症を進行した糖尿病網膜症で重症な段階と定義している。単純糖尿病網膜症及び前増殖糖尿病網膜症の段階では、しばしば自覚症状がなく、症状が現れた時にはかなり進行した段階(増殖糖尿病網膜症)に至っている場合が多い。
糖尿病網膜症はできるだけ初期の段階で予防、治療することが重要となるが、自覚症状があまり見られない初期段階ではその症状を的確に捉えることが難しく、実用的な予防、治療方法の発見には至っていない。
現在、糖尿病網膜症の検査に最も良く用いられている方法は精密眼底検査である。精密眼底検査は、散瞳後に検眼鏡や眼底カメラ等を用いて網膜の毛細血管の出血や破損を調べる検査であるが、糖尿病網膜症の初期段階では毛細血管の出血や破損が見られないことも多く、糖尿病網膜症の早期発見に必ずしも十分とはいえない。
一方、近年、糖尿病網膜症の患者においてカロチノイド類が減少すること等が報告されている(非特許文献1参照)。
また、カロチノイド類の一種であるゼアキサンチンが糖尿病網膜症の改善に寄与することを示唆する報告もある(非特許文献2)。非特許文献2には、糖尿病網膜症の患者で低下することが知られているMnSOD(マンガンスーパーオキサイドディスムターゼ)の低下率が、ゼアキサンチン投与によって軽減されたことが記載されている。
更に、複数のカロチノイド類を組み合わせて用いることにより、眼科領域における疾患を治療しようとする試みも提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。これら特許文献1〜3には、カロチノイド類としてリコピンやゼアキサンチン、ルテイン等が挙げられており、対象疾患の一つとして糖尿病網膜症が例示されている。
しかし、これら特許文献1〜3には、カロチノイド類が一般に抗酸化作用を有すること等を根拠に眼科領域における疾患での効果を期待することが記載されているに過ぎない。また、治療対象となる眼科領域における疾患の種類や、治療剤の組成や投与量が例示されているものの、その効果を実証するデータは記載されていない。
特表2009-515821号公報 特表2008-520576号公報 特表2005-526719号公報
Brazionis, L., Rowley, K., Itsiopoulos, C. and O'Dea, K. "Plasma carotenoids and diabetic retinopathy." British Journal of Nutrition, volume 101, 2009, pp. 270-277 Kowluru, R.A., Menon, B. and Gierhart, D.L. "Beneficial effect of zeaxanthin on retinal metabolic abnormalities in diabetic rats." Investigative Ophthalmology of Visual Science, vol.49, 2008, pp. 1645-1651
本発明が解決しようとする課題は、糖尿病網膜症の初期段階に、特には糖尿病網膜症の自覚症状等が現れる前に的確な予防又は治療を施すことのできる、糖尿病網膜症の予防又は治療剤及び糖尿病網膜症の各種兆候の改善剤並びに糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期を決定するための測定方法を提供することにある。
本発明は、糖尿病網膜症の早期発見手法を研究する過程で、糖尿病網膜症において自覚症状のない初期段階から網膜電図の測定値に影響が見られるとの報告(Kawasaki, K. and Shirao, Y. "Electrical response from diabetic retina." Progress in Retinal and Eye Research, vol. 17, 1998, pp. 59-76.)に着目し、網膜電図の改善効果を有する物質を探索した結果、成されたものである。
具体的には、本発明者は、糖尿病網膜症のごく初期段階において、被検体であるマウスにルテインを投与する実験を行い、網膜電図の測定値が改善されることを見出した。この結果成されたものが本発明に係る糖尿病網膜症の予防又は治療剤であり、ルテインを含むことを特徴とするものである。
また、本発明は、ルテインを含む糖尿病網膜症の予防又は治療剤であって、単純糖尿病網膜症又は前増殖糖尿病網膜症を含む糖尿病網膜症の初期段階において投与するためのものである。
さらに本発明は、上記した糖尿病網膜症の予防又は治療剤を含む食品である。
また、本発明は、ルテインを含むことを特徴とする、単純糖尿病網膜症又は前増殖糖尿病網膜症を含む糖尿病網膜症の初期段階で摂取する食品である。
本発明は、糖尿病網膜症の各種兆候の改善剤であり、具体的には、ルテインを含むことを特徴とする、酸化ストレス抑制剤、ルテインを含むことを特徴とする、網膜電図の改善剤である。
また、本発明は、ルテインを含むことを特徴とする、ERK活性化抑制剤である。ここで、ERK活性化の抑制とはERK (extracellular signal-regulated kinase)がリン酸化されることを抑制することをいう。
また、本発明は、ルテインを含むことを特徴とする、神経伝達関連分子の減少抑制剤であり、ルテインを含むことを特徴とする、脳由来神経栄養因子の減少抑制剤である。
さらに、本発明は、ルテインを含むことを特徴とする、網膜神経節細胞のアポトーシス抑制剤である。
本発明は、上記した糖尿病網膜症の各種兆候の改善剤を含む食品である。
また、本発明は、網膜電図の測定値を正常時の網膜電図の測定値と比較することによって、ルテインを含んだ糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期を決定する方法である。
さらに、本発明は、網膜の内網状層、内顆粒層、神経節細胞層の厚みの変化を光干渉断層法(Optical Coherent Tomography、OCT)で観察することによって、ルテインを含んだ糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期を決定する方法である。
ルテインはゼアキサンチンの構造異性体であり、ゼアキサンチンと同様、網膜に存在する物質である。ルテインの発見当初は、その機能もゼアキサンチンと共通しているのではないかと考えられていたが、近年では、同じ網膜内であってもルテインは黄斑の周辺部において、ゼアキサンチンは黄斑の中心部において分布割合が高いことが分かってきており、ルテインとゼアキサンチンの機能においても異なる点があると考えられるようになってきている。ルテイン以外の物質について、糖尿病網膜症の網膜電図の改善効果が確認された例は報告されていない。
なお、日本眼科学会では、単純糖尿病網膜症を初期の糖尿病網膜症と定義するが、本発明では、糖尿病網膜症の初期段階には単純糖尿病網膜症だけでなく前増殖糖尿病網膜症の段階をも含むものとする。さらに、「単純糖尿病網膜症又は前増殖糖尿病網膜症を含む糖尿病網膜症の初期段階」には、単純糖尿病網膜症又は前増殖糖尿病網膜症と診断された段階だけでなく、糖尿病を発症したが糖尿病網膜症は未発症或いは糖尿病網膜症の診断がつかない段階をも含むものとする。即ち、本発明の予防又は治療剤、食品の適用対象には、将来的に糖尿病網膜症を発症する可能性がある糖尿病患者の全てが含まれる。
また、後述の実施例においてマウスを用いて行った実験について説明しているが、マウス等の実験動物では、一般的に血糖値を指標とし、糖尿病を発症させてから1ヶ月位を初期段階という。
ここで、ヒトの糖尿病網膜症の初期段階で見られる症状を示す。特に次の(1)〜(6)等がある。
(1)糖尿が出る
血糖値が160mg/dl程度を超え、尿中に糖分が含まれる。
(2)尿の回数が多くなる(多尿症)
尿の糖分を薄めるために多量の水を排泄する結果、尿の回数や量が多くなる。
(3)のどが渇き水を大量に飲む(多渇症)
多尿のため、身体が水分を大量に欲しくなり、大量に水を飲むようになる。
(4)身体がだるく、疲れやすくなる
糖尿病でインスリンが機能しなくなると食べた糖分や脂肪分を身体の細胞に吸収することができないため、エネルギー不足となり、疲れやすくなる。
(5)やせてくる
摂取した食物のエネルギーが利用できないため、身体は筋肉を分解してエネルギーを得ようとし、その結果、やせてしまったり、ミネラル分が尿に溶け出て、疲労感が加速されたりする。
(6)食欲が異常に強くなる
身体がエネルギー不足となるとなるため、強い空腹感を感じ、食欲が旺盛になる。
従って、上記初期症状のいずれか1つ或いは複数の症状が見られる時期を、ルテインを含む糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期とすることができる。
ただし、以上の初期症状は、糖尿病患者において一般的に見られると言われているが、患者によっては初期症状が現れない場合もある。また、糖尿病がかなり進行して初めて自覚症状として感じられる場合もある。
そこで、網膜電図の波形の変化を正常時の網膜電図の測定値と比較することによって、ルテインを含む糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期を決定する。
また、網膜の内網状層、内顆粒層、神経節細胞層の厚みの変化を光干渉断層法で観察することによって、ルテインを含む糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期を決定することもできる。
これらのルテインを含む糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期を決定する方法は、糖尿病患者だけでなく糖尿病マウス等の実験動物に対する、ルテインを含む糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期の決定する方法として用いることができる。
本発明の予防又は治療剤は、糖尿病網膜症の初期段階で投与することによって、より確実に、糖尿病網膜症を予防又は治療することができる。
また、本発明の各種改善剤(酸化ストレス抑制剤,網膜電図の改善剤, ERK活性化抑制剤,神経伝達関連分子の減少抑制剤,脳由来神経栄養因子の減少抑制剤,網膜神経節細胞のアポトーシス抑制剤等)は、糖尿病網膜症の兆候の一部をそれぞれ改善できるため、糖尿病網膜症の予防又は治療剤としての効果も有するほか、試験・研究における、実験試薬等としても有用である。
さらに、本発明の食品は、上述の糖尿病網膜症の予防又は治療剤、あるいは、各種改善剤を含むため、糖尿病網膜症の初期段階で摂取することによって、上述の糖尿病網膜症の予防又は治療剤、あるいは、各種改善剤と同等の作用、効果を得ることができる。
さらにまた、本発明は、網膜電図の測定値を利用する方法によって、あるいは、網膜の内網状層、内顆粒層、神経節細胞層の厚みの変化を光干渉断層法で観察することでも糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期を的確に決定することができる。また、これらの方法を用いることにより、糖尿病網膜症の早期発見、早期予防にも役立つ。
ルテイン添加餌及び対照餌の摂取開始から1ヶ月及び4ヶ月経過後の糖尿病マウス及び非糖尿病マウスの代謝パラメータ(体重及び血中グルコース濃度)を示す表。 糖尿病マウスにルテイン添加餌及び対照餌を摂取させた場合の餌摂取開始から1ヶ月経過後の網膜中に存在する活性酸素の蛍光(赤色)観察像(A)及び内顆粒層(INL)における蛍光強度(B)を示す図。 対照餌を摂取させた非糖尿病マウスとルテイン添加餌または対照餌を摂取させた1ヶ月糖尿病マウスの網膜電図(A)、各OP波(OP2,OP3,OP4)及び全OP波(OPs)の振幅の積算値(ΣOPs)を比較した図(B)。 対照餌を摂取させた非糖尿病マウスとルテイン添加餌または対照餌を摂取させた糖尿病マウスの網膜におけるリン酸化(活性化)ERK、シナプトフィジン、及びBDNFの発現量をイムノブロットで分析した結果(A〜C)、及びそれらのシグナル強度を数値化して比較したグラフ(D〜F)。 対照餌を摂取させた非糖尿病マウスとルテイン添加餌または対照餌を摂取させた糖尿病マウスの外顆粒層(ONL)の厚みに対する内網状層(IPL)、内顆粒層(INL)の厚さを比較したグラフ(A)及び神経節細胞層(GCL)中の神経細胞(neuronal cell)の数を比較したグラフ(B)。 対照餌を摂取させた非糖尿病マウスとルテイン添加餌または対照餌を摂取させた糖尿病マウスの網膜におけるアポトーシス・マーカーである活性化カスパーゼ3(cleaved caspase3)の局在を示す写真。 対照餌を摂取させた非糖尿病マウスとルテイン添加餌または対照餌を摂取させた糖尿病マウスの網膜中でのTUNEL陽性細胞の存否を示す写真。 対照餌を摂取させた非糖尿病マウスとルテイン添加餌または対照餌を摂取させた糖尿病マウスの神経節細胞層(GCL)中における活性化カスパーゼ3(cleaved caspase3)が検出された細胞の数を比較したグラフ。 対照餌を摂取させた非糖尿病マウスとルテイン添加餌または対照餌を摂取させた糖尿病マウスの神経節細胞層(GCL)中におけるTUNEL陽性細胞の数を比較したグラフ。
[本発明の糖尿病網膜症の予防又は治療剤]
本発明の糖尿病網膜症の予防又は治療剤は、ルテインを含むことを特徴とするものである。
1.投与形態
本発明の糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与形態としては、全身投与と局所投与があり、いずれでも良く、具体的には、経口投与のほか、点眼投与,静注等の静脈投与,筋肉内投与, 経皮投与,経鼻投与,皮内投与,皮下投与,腹腔内投与,直腸内投与,粘膜投与, 吸入,関節腔内投与,等が挙げられるが、適用が容易という点では、経口投与や点眼投与等が好ましい。
2.剤形
本発明の糖尿病網膜症の予防又は治療剤の剤形は、固形剤,半固形剤,液剤等が挙げられ、特に制限されるものでは無いが、経口投与の場合には、例えば錠剤,カプセル剤,顆粒剤,散剤,丸剤,トローチ,もしくはシロップ剤等の形態で、点眼投与の場合には、点眼剤の形態で投与される。
3.含有量
本発明の糖尿病網膜症の予防又は治療剤中のルテインの含有量は、剤形によって様々であり、一概に限定できず、各種剤形化が可能な範囲で、投与量との関係で適宜選択すれば良い。例えば液剤の場合、好ましくは0.001〜50(w/v%)、より好ましくは0.01〜20(w/v%)、さらに好ましくは0.1〜10(w/v%)として調できる。また、特に注射剤の場合、好ましくは0.0002〜0.2(w/v%)、より好ましくは0.001〜0.1(w/v%)、固形剤の場合、好ましくは0.01〜50(w/w%)、より好ましくは0.02〜20(w/w%)等として調製できるが、必ずしもこの範囲に限定されるものでは無い。
4.投与量
本発明の糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与量は、投与経路,症状,年齢,体重,予防又は治療剤の形態等によって異なる。例えば、経口投与の場合、糖尿病網膜症の予防又は治療剤中の有効成分の量が、処置を必要としている対象体重1kg当たり好ましくは0.005〜500mg,より好ましくは、0.1〜100mg、但し、成人に対して1日あたり、下限として好ましくは0.01mg(より好ましくは0.1mg)、上限として、好ましくは20g(より好ましくは2000mg、更に好ましくは500mg、特に好ましくは100mg)となるように、1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。
5.その他の成分
本発明の糖尿病網膜症の予防又は治療剤は、ルテインを必須の構成成分とするが、当該予防又は治療剤には本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分、例えば、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、増粘剤、油剤(カロテノイド、天然色素)、粉体(色素、天然色素、樹脂、顔料、)、防腐剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、パール化剤、中和剤、pH調整剤、乳化剤、酵素等の成分を適宜配合することができる。
6.合剤
本発明の糖尿病網膜症の予防又は治療剤は、従来知られている糖尿病網膜症の予防又は治療成分との合剤としても良い。その予防又は治療成分としては、ルテイン以外のカルテノイド、ビタミン類、ミネラル類等が挙げられる。
7.投与時期
本発明の糖尿病網膜症の予防又は治療剤は、糖尿病網膜症の初期段階、特に、糖尿病網膜症未発症の時期、初期の糖尿病網膜症である単純糖尿病網膜症又は前増殖糖尿病網膜症の時期に投与することが好ましい。ここで、「糖尿病網膜症未発症の時期」とは、糖尿病であるが網膜症の診断がついていない時期全てをいう。例えば、糖尿病網膜症の各種の症状は観察されないものの糖尿病網膜症の兆候が観察される時期が挙げられる。糖尿病網膜症の兆候は、例えば網膜電図の測定値の変化や、網膜の内網状層、内顆粒層、神経節細胞層の厚みの変化によって観察される。
本発明の糖尿病網膜症の予防又は治療剤は、糖尿病網膜症の初期段階に適切に用いることによって、より確実に糖尿病網膜症を予防又は治療することができる。
[本発明の各種改善剤]
本発明の各種改善剤は、ルテインを含むことを特徴とするものである。本発明の各種改善剤としては、糖尿病網膜症において見られる各種の症状を軽減するものがあり、酸化ストレス抑制剤、網膜電図の改善剤、ERK活性化抑制剤(ERKのリン酸化抑制剤)、神経伝達関連分子の減少抑制剤、脳由来神経栄養因子の減少抑制剤、網膜神経節細胞のアポトーシス抑制剤等が挙げられる。
酸化ストレス抑制剤とは、糖尿病に誘発される網膜中の酸化ストレスを抑制するものである。
網膜電図の改善剤とは、糖尿病網膜症において、網膜電図の波形の減衰を、予防又は改善するものである。
ERK活性化抑制剤とは、糖尿病患者等においてpERK(リン酸化細胞外シグナル制御キナーゼ:phosphorylated extracellular signal-regulated kinase)の量が増加し、そのことによってシナプスの伝達が悪くなるのを抑制し、シナプスにおける信号伝達機能を維持させるものである。
神経伝達関連分子の減少抑制剤とは、糖尿病患者等において、神経伝達関連分子が減少するのを、予防又は抑制するものである。神経伝達関連分子とは、神経の伝達に必要なシナプス小胞を作る蛋白質(シナプス小胞タンパク質:synaptophysin)等を意味する。
脳由来神経栄養因子の減少抑制剤とは、糖尿病患者等において、脳由来神経栄養因子の減少を抑制するものである。
脳由来神経栄養因子とは、脳細胞の生存には不可欠な神経系の液性蛋白質であり、BDNF(Brain-derived neurotrophic factor)とも呼ばれるものである。
このBDNFは標的細胞の表面にあるBDNFに特異的なレセプター(TrkB)に結合して、神経細胞の成長(生存,成長,シナプス機能亢進等)を調節することによって、脳細胞を生存させる。
網膜神経節細胞のアポトーシス抑制剤とは、糖尿病患者等において、網膜神経節細胞が細胞死を起こすのを、予防又は抑制するものである。
本発明の各種改善剤の、投与形態,剤形,ルテイン含有量,投与量,第三成分,合剤,投与時期等については、上述の本発明の糖尿病網膜症の予防又は治療剤と同様である。
これらの本発明の各種改善剤を用いることによって、糖尿病網膜症,特に初期の、単純網膜症や前増殖網膜症における、各種の病態を是正することができ、糖尿病網膜症の早期治療に役立つ可能性が高い。
本発明の各種改善剤は、試験・研究における実験試薬として用いることができる。本発明の各種改善剤を実験試薬として用いる場合のルテインの含有量は、例えば液剤の場合、好ましくは0.0001〜10(w/v%),より好ましくは0.001〜5(w/v%)特に注射剤の場合、好ましくは0.0002〜0.2(w/v%),より好ましくは0.001〜0.1(w/v%),固形剤の場合、好ましくは0.01〜50(w/w%),より好ましくは0.02〜20(w/w%)、さらに好ましくは0.05〜10(w/w%)等として調製できるが、必ずしもこの範囲に限定されるものでは無い。
[本発明の糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期を決定する方法]
本発明の糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期を決定する方法は、網膜電図の測定値を、正常時の網膜電図の測定値と比較することによって、糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期を決定する方法である。
網膜電図とは、目に光刺激を与えたときに生じる網膜の反応を記録したもので、視細胞が正常に機能していることを確認するための指標となる。目に光刺激を与える装置の例としては、Ganzfeld System SG-2002(LKC Technologies,Inc., Gaithersburg, Maryland, USA)が、網膜電図の記録装置の例としては、PowerLab System 2/25(AD Instruments, New South Wales, Australia)がそれぞれ挙げられる。網膜電図の測定方法は、「Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 50,pp. 1433-1439.(2009)」に詳しく記載されている。
また、本発明の別の糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期を決定する方法は、網膜の内網状層、内顆粒層、神経節細胞層の厚みの変化を光干渉断層法によって観察することによって、糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期を決定する方法である。
光干渉断層法では、目を摘出することなく網膜の構造を観察できる。
網膜電図の測定値の比較によって、あるいは、光干渉断層法による網膜の内網状層、内顆粒層、神経節細胞層の観察によって、従来では発見が困難であった、糖尿病網膜症の早期発見が可能となる。
以下、マウスを用いて行った実験について説明する。
[実験手順]
実験には、8週齢のC57BL/6マウス(日本クレア株式会社)を用いた。まず、このマウスに体重1kg当たり60mgのストレプトゾトシン(streptozotosin(STZ),シグマ社)を、腹腔内に投与することで糖尿病を誘発させた。投与は1日1回、3日間行った。
次に、メディセーフミニGR-102(テルモ株式会社製)を用いてマウスの尾静脈の血中グルコース濃度(血糖値)を測定した。そして、STZの最初の投与から7日後に血中グルコース濃度が250mg/dl以上であったマウスを糖尿病が発症したものとした。糖尿病が発症したマウスを2群に分け、一方に0.1%ルテイン添加餌を、他方にルテイン無添加餌(以下では「対照餌」ともいう)を、それぞれ自由に与えた。また、対照群として、糖尿病マウスと年齢を適合させた非糖尿病マウスを用意し、この非糖尿病マウスも2群に分けてルテイン添加餌及び対照餌を与えた。ルテイン添加餌として、マウス・ラット・ハムスター用の粉末飼料(コバルト60照射飼料、CE-2粉、日本クレア株式会社)にルテイン粉末(95%含有、株式会社わかさ生活より供与された)を0.1(w/w%)となるように加えたものを使用した。
以下、糖尿病が発症したマウスを「糖尿病マウス」とし、糖尿病発症から(即ちルテイン添加餌或いは対照餌の投与開始から)1ヶ月および4ヶ月経過した糖尿病マウスをそれぞれ1ヶ月および4ヶ月糖尿病マウスと表記する。
図1は、ルテイン添加餌及び対照餌の投与開始から1ヶ月及び4ヶ月経過後における糖尿病マウス及び非糖尿病マウスの体重及び血中グルコース濃度を示す表である。図1に示すように、ルテイン添加餌を1ヶ月間与えた糖尿病マウス、及び4ヶ月間与えた糖尿病マウスの間では、体重及び血中グルコース濃度に有意な差はなかった。
なお、表には示していないが、ルテイン添加餌を与えた非糖尿病マウスと、対照餌を与えた非糖尿病マウスの間では、体重及び血中グルコース濃度に差が無かった。このため、以下では、対照餌を与えた非糖尿病マウスを対照群とする。
[活性酸素種(Reactive oxygen species;ROS)の測定]
マウスから眼球を摘出し、OCTコンパウンド(サクラファインテックジャパン株式会社)中で凍結させた。非固定化凍結切片(10μm)を作成した後、この非固定化凍結切片をジヒドロエチヂウム(DHE、5μM)と共に37℃で20分間インキュベートし、この後、蛍光顕微鏡によって後極部網膜(posterior retina)の4箇所の内顆粒層(INL)における発光強度を測定した。DHEは細胞内のスーパーオキサイドアニオン(ROS)を特異的に検出することができる蛍光プローブである。
図2は、ルテイン添加餌及び対照餌の摂取開始から1ヶ月経過後における凍結切片の蛍光観察像を示す。対照餌を与えた1ヶ月糖尿病マウスでは、網膜の各層のROSの存在が赤色の蛍光として観察されたが、ルテイン添加餌を与えた糖尿病マウスでは網膜全体にわたって蛍光が観察されなかった(図2A)。さらに、各切片での蛍光強度を数値化し比較しても、ルテイン添加餌を与えた糖尿病マウスでの強度は対照餌を摂食させた糖尿病マウスに比べ有意に弱くなった(図2B)。従って、糖尿病によって誘発される網膜中の酸化ストレスが、ルテイン添加餌の摂取により減少することが分かった。
[網膜電図(ERG)分析]
マウスを少なくとも12時間連続で暗所においた(完全暗順応)後、ペントバルビタールナトリウムを腹腔内注射(70 mg/Kg)することでマウスに麻酔をかけた。さらに散瞳させるために0.5%のトロピカミド(tropicamide)と0.5%のフェニレフリン(phenylephrine)の溶液(Mydrin-P;参天製薬株式会社製)を点眼した。
次に、角膜中央部に探査用のコンタクトレンズ電極(active contact lens electrodes)を設置し、両目の間の皮下に対照電極(reference electrode)を設置し、マウス尾部の皮下にアース用電極(ground electrode)を針入した。そして、Ganzfeld System SG-2002(LKC Technologies,Inc., Gaithersburg, MD)を用いて800 cd-s/m2、4ミリ秒の光パルスで刺激した。この装置では、OP1(OP:Oscillatory potential)はa波の反応と区別されない。従って、OP2,OP3,OP4の大きさ及び潜時(implicit times)を分析した。また、OP2,OP3,OP4の振幅を加算したものをΣOPsとした。
なお、記録の際の電極の設置など、全ての操作を赤色灯下で行った。また、a波、b波の振幅が温度に依存して変化しうることから、安定した網膜電図を得るために測定中はマウスをヒーティングパッド上に置き、体温を37度に保温した。
ERGの測定データを図3Aに、OP2,OP3,OP4の振幅とそれらの積算値(ΣOPs)を図3Bに示す。これら図3A及び3Bから明らかなように、対照餌を与えた1ヶ月糖尿病マウスではOP波(OP3及びΣOPs)の振幅が減少するが、糖尿病の発症初期からの継続的なルテイン摂取により、OP波の振幅の減少が抑えられた。各OP波の振幅の大きさは、網膜内層の機能状態を反映している。なお、データには示さないが、ルテイン添加餌を摂取させた非糖尿病マウス及び糖尿病マウスのいずれにおいても、OPsの潜時、及び、a波、b波については変化がなかった。
以上より、ルテイン添加餌の継続的な摂取が、糖尿病に起因する機能障害から網膜内層を保護することが分かった。
[イムノブロット分析]
マウスの網膜を取り出し、溶解緩衝液(10mM Tris-HCl(pH7.6), 100mM NaCl, 1mM EDTA, 1% Triton X-100, プロテアーゼインヒビター)中で組織を可溶化させた後、試料をSDS-PAGEで分離し、PVDF膜に転写した。このPVDF膜を4%のスキムミルクでブロッキングした後、抗リン酸化ERK抗体、または抗シナプトフィジン抗体、または抗BDNF抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。また、比較したいサンプル間のタンパク質量を補正するための内部標準タンパク質としてチューブリンを用いた。それらの抗体を化学発光法により検出した。
図4ではルテイン添加餌または対照餌を与えた1ヶ月糖尿病マウス(Diabetes+Lutein, Diabetes)及び対照餌を与えた非糖尿病マウス(Non-Diabetes)の網膜における各種タンパク質の発現量をイムノブロット分析で調査した。
図4Aは、網膜中の活性化ERK(つまりリン酸化ERK、pERK)のイムノブロット分析の結果を、図4Dは、図4Aの対照餌を食べさせた非糖尿病マウスでのシグナル強度を1とした時の相対値を示す。これらのことから1ヶ月糖尿病マウスの網膜における活性化ERK(pERK)の量はルテイン添加餌の摂取により有意に抑制された。
図4Bは、網膜中のシナプトフィジンのイムノブロットの結果を、図4Eは図4Bの非糖尿病マウスでのシグナル強度を1とした時の相対値を示す。シナプトフィジンはシナプス小胞タンパク質であり、視細胞においてOP波の発生、つまりシグナル伝達に重要な役割を果たす。イムノブロット分析の結果、1ヶ月糖尿病マウスでは、シナプトフィジンの発現量は減少するが、糖尿病発症からのルテイン添加餌の継続的な摂取により、その発現レベルが維持された。
また、図には示していないが、ルテイン添加餌を摂取した非糖尿病マウスの網膜では、活性化ERK(pERK)及びシナプトフィジンのレベルは変化しなかった。
以上より、糖尿病マウスの網膜では、活性化ERK(pERK)及びその結果生じるシナプトフィジンの減少が継続的なルテイン添加餌の摂取により抑制されることが示された。
図4Cは、網膜中のBDNFのイムノブロットの分析結果を、図4Fは図4Cの非糖尿病マウス(Non-Diabetes)でのシグナル強度を1とした時の相対値を示す。BDNFは網膜ニューロンの主要な栄養因子のひとつであり、糖尿病によってBDNFが減少することが知られている。しかし、図4Fから明らかなように、ルテイン添加餌の継続的な摂取によりBDNFの減少が抑えられた。
[構造解析及び免疫組織化学]
網膜を4%のパラフォルムアルデヒドで固定し、パラフィン切片(6μm)を作成した。実験には水晶体の中心と視神経乳頭の中心を通るようにカットできた切片を用いた。切片にヘマトキシリン・エオシン染色を施し、内網状層(IPL)、内顆粒層(INL)、外顆粒層(ONL)の厚さを測定した。また、神経節細胞層(GCL)の神経細胞数を計測した。
図5Aに、ルテイン添加餌または対照餌を与えた4ヶ月糖尿病マウス(Diabetes+Lutein, Diabetes)及び対照餌を与えた非糖尿病マウス(Non-Diabetes)の外顆粒層(ONL)の厚さに対する内網状層(IPL)または内顆粒層(INL)の厚さの比率を示す。図5Aでは、外顆粒層(ONL)の厚さを1とした場合の内網状層(IPL)、内顆粒層(INL)の相対的な厚さを示している。それらの比率は、糖尿病マウスの網膜において有意に減少したが、長期間のルテイン投与によりその減少が明らかに抑制された。また、内顆粒層(INL)の厚みの減少も同様に抑制された(図5A参照)。
また、図5Bに、ルテイン添加餌または対照餌を与えた4ヶ月糖尿病マウス及び対照餌を与えた非糖尿病マウスの神経節細胞層(GCL)の神経細胞数を示す。図5Bに示すように、神経節細胞層(GCL)の神経細胞の消失が長期間のルテイン投与により抑えられた。
上述の結果より、糖尿病によって引き起こされる網膜内層細胞、神経突起及び神経節細胞の減少が、ルテインを継続的に摂取することにより抑制されることが分かった。
[アポトーシス・マーカーの発現分析]
アポトーシス・マーカーである活性化カスパーゼ3(cleaved caspase3)の局在及びTUNEL陽性細胞の存否をルテイン添加餌または対照餌を与えた4ヶ月糖尿病マウス及び対照餌を与えた非糖尿病マウスの網膜において観察した。
図6Aは活性化カスパーゼ3の局在を示す。局在を矢じりで示した。さらに、図6Cでは活性化カスパーゼ3のシグナルが得られた細胞の数を示した。その結果、対照餌を摂取させた糖尿病マウスでは活性化カスパーゼ3は神経節細胞層(GCL)に多く存在し、切片あたりの数も多かった。しかし、糖尿病マウスにルテインを摂取させることでその数が有意に減少しただけではなく、非糖尿病マウスとほぼ同程度となった。
図6BではTUNEL染色の結果を示す。陽性細胞(細胞死を起こしている細胞)を矢じりで示している。TUNEL陽性細胞もまた神経節細胞層(GCL)において観察された。しかし、陽性細胞の数は、ルテインを摂取させることで有意に減少した(図6D)。
以上の二点から、糖尿病網膜症で誘発されるアポトーシスとその関連因子がルテイン添加餌の継続的な摂取によって抑制されるまたは減少することを示している。
本発明の予防又は治療剤や各種改善剤、食品を、網膜電図による測定結果をもとに、適切な時期に適用することによって、自覚症状等が現れるよりも早く、的確な予防又は治療を施すことができる。

Claims (1)

  1. ルテインを含んだ糖尿病網膜症の予防又は治療剤の投与時期を決定するための、光干渉断層法を用いた、糖尿病網膜症未発症時期の糖尿病患者の網膜の外顆粒層の厚みに対する内網状層の相対的な厚みの変化、前記外顆粒層の厚みに対する内顆粒層の相対的な厚みの変化、及び神経節細胞層の厚みの変化の測定方法。
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