JP2013501706A - 網膜色素上皮におけるa2eの形成を軽減するための組成物および方法 - Google Patents
網膜色素上皮におけるa2eの形成を軽減するための組成物および方法 Download PDFInfo
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Abstract
療法上有効量の黄斑カロテノイド配合物を投与することにより、対象における2-(2,6-ジメチル-8-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1E,3E,5E,7E-オクタテトラエニル)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-(4-メチル-6-(2,6,6-トリメチル-1シクロヘキセン-1-イル)-1E,3E,5E-ヘキサトリエニル-ピリジニウム(A2E)およびその異性体の含有量を減少させる方法。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
関連する出願への相互参照
[0001] この出願は2008年6月13日に出願された米国特許出願シリアル番号61/131,885に対して優先権を主張し、それをそのまま本明細書に援用する。
[0001] この出願は2008年6月13日に出願された米国特許出願シリアル番号61/131,885に対して優先権を主張し、それをそのまま本明細書に援用する。
[0002] 本発明は、概して網膜色素上皮における2,6-ジメチル-8-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1E,3E,5E,7E-オクタテトラエニル)-1-1(2-ヒドロキシエチル)-4-4(4-メチル-6-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1E,3E,5E-ヘキサトリエニル-ピリジニウム(A2E)の形成を軽減するための組成物および方法に、ならびに、より具体的には、眼疾患の危険性がある人におけるA2Eのレベルを低減するための療法上有効量のキサントフィル類の投与に関し、それにはルテインおよびゼアキサンチンが含まれるがそれらに限定されない。
[0003] 加齢黄斑変性(AMD)は先進国における不可逆的失明の主な原因であるが、その分子的な病態生理はまだ十分に理解されていない(1)。高レベルの酸化的ストレスによる細胞の損傷は、AMDを含む加齢と関連する眼疾患に関する主な病理学的説明の1つであるようであり(2)、高度に蛍光性のレチノイドおよびリン脂質代謝産物の複合混合物であるリポフスチンの細胞蓄積は、網膜色素上皮(RPE)における老化の主な病原のバイオマーカーであると考えられている(3)。
[0004] A2EはRPEにおいて同定された主要な蛍光体である。化学的には、それは2個の全トランスレチナール分子および1個のエタノールアミン分子の組み合わせである(4)。A2Eおよび他のリポフスチン構成要素のレベルは年齢と共に、光曝露と共に、およびAMDの発現と共に上昇し、スターガルト病およびベスト病のような早発性黄斑障害はヒトにおける、および動物モデルにおける異常に高レベルのA2Eに関して注目に値する(5〜9)。A2Eおよびそのシス異性体は、黄斑において損傷および細胞死を引き起こす可能性があり中心視覚の喪失につながる可能性がある活性酸素種の生成に関する、青色光に仲介される光感受性物質として働いている可能性があることが研究により示されている(10〜11)。
[0005] 一方、食品キサントフィルカロテノイド類であるルテインおよびゼアキサンチンは、ヒトの黄斑において非常に高レベルで、および周辺網膜においてより低い程度で濃縮され、そこでそれらは入射する青色光を吸収することにより、および/または活性酸素中間体を抑える(quenching)ことにより網膜の酸化的損傷を制限していると考えられている(12〜13)。インビトロでの研究は、その眼性カロテノイド類(ocular carotenoids)はA2Eに仲介される酸化的損傷を、光毒性青色光を直接消光することまたはそれを遮ることのどちらかにより緩和している可能性があることを示唆したが(14)、部分的にはヒトの眼組織を得ることの難しさならびにA2Eおよび眼性カロテノイド類の両方をかなりのレベルで蓄積する非霊長類の小動物モデルが稀であることにより、インビボでの証拠は明らかに不足している。ここで、我々は大量に収集したヒトの眼の黄斑および周辺網膜におけるA2Eおよびカロテノイド類の関係を報告し、我々は眼に相当なレベルのA2Eおよびカロテノイド類の両方を有する鳥類であるニホンウズラ(Japanese quail Coturnix japonica)において食品カロテノイド類によるA2Eの形成の抑制を試験する。
[0006] A2Eおよびその異性体であるイソ−A2Eは、ヒトの網膜色素上皮(RPE)におけるリポフスチンの主要な蛍光体であり、それらは老化および他の眼の障害と関係する光に誘発される酸化的損傷の重要な媒介物質であると考えられている。黄斑カロテノイド類のこれらの損傷に対する保護作用の可能性を評価するため、上を覆っている網膜組織中の眼性カロテノイド類を、質量スペクトル検出と組み合わせたHPLC(HPLC−MS)により測定し、それらはA2Eのレベルと相関していた。ヒトのRPE/脈絡膜において、年齢に伴う総A2Eレベルの統計学的に有意な増大(N=66,P,0.0001)が見出された。A2Eのモノフラノイドおよびモノペルオキシドと推定されるm/z 608および624における質量スペクトルのピークは、専ら老齢の提供者において検出された。加えて、黄斑領域におけるA2Eのレベル(2.7±1.1ng/8−mmパンチ、n=31)は、同じ大きさの周辺網膜の領域における(9.1±4.6ng/8−mmパンチ、n=31)よりもおおよそ3分の1の低さであることが分かった。周辺網膜のカロテノイド類ならびに周辺RPE/脈絡膜のA2Eおよびイソ−A2Eの間には統計学的に有意な逆相関があった。ニホンウズラ(Coturnix japonica)における前向き(Prospective)カロテノイド補充の試験は、A2E形成のほぼ完全な抑制を実証した。AMDによる視覚の喪失の危険性のある人は、黄斑カロテノイド類を含む栄養サプリメントを摂取することにより、その影響を低減することができる。
定義
[0012] 本明細書で用いられる用語“眼疾患”は、ある場合において酸化的プロセスの結果である可能性がある急性または慢性のどちらかの病気を指し、それには黄斑変性、加齢黄斑変性;スターガルト病、ベスト病、色素性網膜炎、および白内障が含まれる。
[0012] 本明細書で用いられる用語“眼疾患”は、ある場合において酸化的プロセスの結果である可能性がある急性または慢性のどちらかの病気を指し、それには黄斑変性、加齢黄斑変性;スターガルト病、ベスト病、色素性網膜炎、および白内障が含まれる。
[0013] “視覚性能”は対象の視覚的な性能を指す。視覚性能には、視力、低コントラスト視力(low contract acuity)、薄明視力、文字コントラスト感度(letter contract sensitivity)、格子コントラスト感度、減能グレア、眼内迷光、および視野が含まれる。視覚性能の向上には、視覚の見え方(aspect)の向上、例えば視力、低コントラスト視力、薄明視力、文字コントラスト感度、格子コントラスト感度もしくは視野の向上または減能グレアもしくは眼内迷光の低減が含まれる。
[0014] “黄斑カロテノイド配合物”は、眼の黄斑において見つかるカロテノイド類、主にルテインおよびゼアキサンチンを含む組成物を指す。
[0015] 本明細書で用いられる用語“療法上有効量”は、対象に投与した際に有効な応答(すなわち、研究者、獣医師、医師または他の臨床家により求められる、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答)をもたらすのに十分である化合物または医薬組成物の量/用量を指す。“療法上有効量”は、特に疾患およびその重篤さ、ならびに処置すべき対象の年齢、体重、体調および応答性に依存して異なるであろう。
[0015] 本明細書で用いられる用語“療法上有効量”は、対象に投与した際に有効な応答(すなわち、研究者、獣医師、医師または他の臨床家により求められる、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答)をもたらすのに十分である化合物または医薬組成物の量/用量を指す。“療法上有効量”は、特に疾患およびその重篤さ、ならびに処置すべき対象の年齢、体重、体調および応答性に依存して異なるであろう。
[0016] 本明細書で用いられる用語“処置した”および“処置する”は、その疾患または病気で苦しむ可能性がある、またはそれにかかりやすい可能性があるがその疾患または病気の臨床または不顕性症状をまだ経験していない、または示していない対象において、疾患または病気の臨床症状の出現を予防する、または遅らせることを指す。“処置する”は、その疾患または病気を抑制すること、すなわちそれの発現またはその少なくとも1種類の臨床もしくは不顕性症状を止める、または低減することも指す。“処置する”はさらに、その疾患または病気を和らげる、すなわちその疾患もしくは病気またはその臨床もしくは不顕性症状の少なくとも1種類の後退を引き起すことも指す。処置される対象に対する利益は、統計学的に有意であるか、少なくともその対象および/またはその医師に認知され得るかのどちらかである。
配合物
[0017] 本発明は上記のような使用を提供し、ここでその組成物は単位用量としての投与のためのものである。本発明の別の態様において、その単位用量はその有効成分(単数または複数)を約10μg/kgから10mg/kg体重まで、別の態様において約25μg/日/kgから1.0mg/日/kgまで、さらに別の態様において約0.1mg/日/kgから1.0mg/日/kg体重までの量で含む。別の態様において、その単位用量はその有効成分を0.1mg/日/kgから1.0mg/日/kg体重までの量で含んでいる。
[0017] 本発明は上記のような使用を提供し、ここでその組成物は単位用量としての投与のためのものである。本発明の別の態様において、その単位用量はその有効成分(単数または複数)を約10μg/kgから10mg/kg体重まで、別の態様において約25μg/日/kgから1.0mg/日/kgまで、さらに別の態様において約0.1mg/日/kgから1.0mg/日/kg体重までの量で含む。別の態様において、その単位用量はその有効成分を0.1mg/日/kgから1.0mg/日/kg体重までの量で含んでいる。
[0018] 本発明に従って、上記の化合物はあらゆる適切な方法で、例えば経口または非経口で投与されてよく、それはその投与に適したあらゆる形で、例えば錠剤、カプセル、粉末、シロップまたは注射のための溶液もしくは分散液の形で与えられてよい。別の態様において、および本発明の目的に従って、本発明の化合物は固体の医薬的単位の形で、適切には錠剤もしくはカプセルとして、または注射のための懸濁液、溶液もしくは分散液の形で投与される。本発明の化合物は、有効成分を約10μg/kgから10mg/kg体重まで、例えば25μg/日/kgから1.0mg/日/kgまでの量で含む単位剤形、例えば錠剤またはカプセルで経口投与されるのが最も好都合である。
[0019] 本発明の化合物は、経口投与形、例えば固体の経口投与形、典型的には錠剤もしくはカプセルとして、もしくは液体の経口投与形として投与されてよく、または即時放出剤形もしくは制御もしくは持続放出剤形で投与されてよい。その化合物は、有効成分を約0.1から約150mg/日まで、約0.2から約100mg/日まで、約0.5から約50mg/日まで、約0.1から約50mg/日まで、約1から約15mg/日まで、または約2から約5mg/日までの量で含む単位剤形、例えば錠剤またはカプセルで好都合に経口投与されてよい。典型的には、その医薬組成物は約0.5mgから約20mgまで、例えば約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mg、約5mg、約5.5mg、約6mg、約6.5mg、約7mg、約7.5mg、約8mg、約8.5mg、約9mg、約9.5mg、約10mg、約10.5mg、約11mg、約11.5mg、約12mg、約12.5mg、約13mg、約13.5mg、約14mg、約14.5mg、約15mg、約15.5mg、約16mg、約16.5mg、約17mg、約17.5mg、約18mg、約18.5mg、約19mg、約19.5mgまたは約20mgの1種類以上のその化合物を含む。
[0020] 1態様において、本発明の化合物(単数または複数)は1日1回(例えば朝または午後に)、約2.5mg〜約20mgの用量を用いて投与される。別の態様において、その化合物(単数または複数)は、より延長された持続性の放出で、例えば低用量で1日2〜3回の投与で、または当技術で既知の一般に行われる方法を用いて調製された調節放出(modified release)配合物で、対象に24時間の期間あたり約5〜約50mgが投与されるように投与される。
[0021] 本発明に従って、本発明の化合物(単数または複数)またはその医薬的に許容できる塩は、あらゆる適切な方法で、例えば経口または非経口で投与されてよく、それはその投与に適したあらゆる形で、例えば錠剤、カプセル、粉末、シロップまたは注射のための溶液もしくは分散液の形で、または吸入剤として与えられてよい。別の態様において、および本発明の目的に従って、本発明の化合物(単数または複数)は固体の医薬的単位の形で、適切には錠剤もしくはカプセルとして、または注射のための懸濁液、溶液もしくは分散液の形で投与される。加えて、本発明の化合物(単数または複数)は、医薬的に許容できるキャリヤー、例えば補助剤および/または希釈剤と共に投与されてよい。
[0022] 固体または液体の医薬製剤の調製のための方法は、当技術で周知である。例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 第21版, Lippincott Williams & Wilkins (2005)を参照。このように、錠剤は有効成分を通常のキャリヤー、例えば補助剤および/または希釈剤と混合し、続いてその混合物を錠剤機で圧縮することにより調製することができる。補助剤および/または希釈剤の限定的では無い例には次のものが含まれる:コーンスターチ、ラクトース、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、ラクトース、ゴム類、および同様のもの。あらゆる他の補助剤または添加剤、例えば着色剤、アロマ、および保存剤も、それらが有効成分と共存可能であるならば、用いられてよい。従って、本発明の医薬組成物は、典型的には有効量の本発明の化合物(単数または複数)および医薬的に許容できるキャリヤーを含む。
[0023] その化合物は、次のものからなるグループから選択される形で全身投与されてよい:呼吸可能な粒子のエアロゾル懸濁液;点鼻剤または鼻内スプレーとしての投与のための液体または液体懸濁液;口または鼻咽頭気道への投与のための噴霧液;経口の形;注射可能な形;坐剤の形;および経皮パッチまたは経皮パッド。
[0024] 1つのその手段には、有効化合物からなる呼吸可能な粒子のエアロゾル混合物が含まれ、対象はそれを吸入する。その療法化合物は医薬的に有効な量で肺を経由して血流中に吸収される。その呼吸可能な粒子は液体または固体であってよく、吸入の際に口および喉頭を通過するのに十分に小さい粒子の大きさを有する;通常、約1から10ミクロンまで、より好ましくは1〜5ミクロンの範囲の大きさの粒子が呼吸可能であると考えられる。
[0025] A2Eが眼のリポフスチンの主要な蛍光体として同定されて以来、A2Eは老化および網膜変性に関わる病理(pathalogical)プロセスの重要な媒介物質であると考えられてきた(3〜6)。臨床的には、ヒトの網膜色素上皮中の自己蛍光化合物は自己蛍光イメージングにより測定した際に年齢と共に増加しており(17〜18)、早発性黄斑ジストロフィー、例えばスターガルトおよびベスト病も同様に高レベルのリポフスチンの沈着を示す(7、9)。乾燥型加齢黄斑変性では、さらなる萎縮の拡大が起こっていそうである領域における地図状萎縮の境界において、しばしば強い自己蛍光が見られる(19)。A2Eの増大したレベルは、高齢者の解剖用の眼において、および黄斑ジストロフィーを有する人からの提供者の眼において生化学的に確かめられている(4〜9)。Abca4ノックアウトマウス(ヘテロ接合性およびホモ接合性)およびElov14トランスジェニックマウスのような優性および劣性のスターガルト病の動物モデルが開発されており、それらはA2Eを蓄積する(7〜8)。インビトロの研究は、A2EがそのRPEに対する毒性作用を、青色光に仲介されるフリーラジカルの生成により、または界面活性剤様の、およびpHを変える作用を通したリソソームの機能不全の誘導により発揮している可能性があることを示している(10〜11、20〜21)。
[0026] A2Eの形成を制限することはAMDおよび関連する疾患に対する薬理学的介入のための価値のある目標であるという一般的合意があり、学会および産業における多くのグループがこの仕事に専念してきた。A2Eの形成は強い光曝露と結びつけられており、それは視覚サイクルにおけるレチノイド類の高い度合いの処理量を引き起し、高い量の、A2Eの前駆体である全トランスレチナールのホスファチジルエタノールアミンとの様々なシッフ塩基付加物の形成を促進する(22〜23)。動物モデルでは厳しい光制限はA2Eの形成を抑制するが(22)、このアプローチはヒトではおそらく現実的では無い。従って、視覚サイクルの阻害剤が主な焦点であった。これらには、アルコールデヒドロゲナーゼおよび/またはイソメラーゼの阻害を通して暗順応を阻害する、FDAに認可されたニキビの医薬品である13−cis−レチノイン酸(24)、ビタミンAの穏やかな計画的な欠乏を誘導するレチノイドアナログであるフェンレチニド(fenretinide)(25)、および全トランスレチノイド類を11−cis−レチノイド類に異性化する脊椎動物の機構の重要な段階を阻害することを標的としたRPE−65拮抗薬(26)が含まれる。これらの薬剤の全てがある程度の夜盲を引き起すと考えられ、それは患者にとって不快である可能性があり、レチノイドに基づく化合物は長期にわたって用いられると重大な全身性の副作用および催奇形作用を引き起す可能性がある。非レチノイドRPE−65拮抗薬は動物モデルにおいて十分に許容されるようであるが、これらの化合物を用いたヒトでの経験はたとえあったとしてもほとんど無い。
[0027] 黄斑カロテノイド類であるルテインおよびゼアキサンチンも、A2Eの形成および毒性作用に対する拮抗薬である可能性のあるものと考えられてきた(14)。多数の疫学的研究が、これらのキサントフィル類の高い食事での摂取、血中レベル、および黄斑でのレベルとAMDの危険性の間の逆相関を実証しており(27〜30)、AREDS2試験は現在AMDに対するそれらの有効性を、大規模な、ランダム化された、プラセボ対照の、前向きの方式で評価している。黄斑カロテノイド類は、最もA2Eからフリーラジカルを生成しそうな可視スペクトルの領域である青色光を効率的に吸収し、インビトロでそれらはA2Eおよびその前駆体の光酸化を阻害することができる(14)。
材料および方法
化学物質
[0028] 有機溶媒は、Fisher Scientific(ニューハンプシャー州ハンプトン)からのHPLCグレードのものであった。A2Eおよびイソ−A2Eの標準物質は、ユタ州プロボ、ブリガムヤング大学化学生化学科のDr.Heidi R. Volmer−Snarrの研究室で調製されカラム精製された。それらはメタノール(MeOH)中で1μg/mlの濃度で溶解し、−70℃で保管し、使用前に室温に戻した。A2Eのストック溶液の濃度は、公表された吸光係数(4)を用いて分光学的に[439nmにおけるE(1M)=36900]確認した。ルテイン(Kemin Health,アイオワ州デモイン)およびゼアキサンチン(DSM,スイス、カイゼルオーガスト)の同様の標準のストック溶液を調製し、公表された吸光係数(33)を用いて濃度を確認した。
化学物質
[0028] 有機溶媒は、Fisher Scientific(ニューハンプシャー州ハンプトン)からのHPLCグレードのものであった。A2Eおよびイソ−A2Eの標準物質は、ユタ州プロボ、ブリガムヤング大学化学生化学科のDr.Heidi R. Volmer−Snarrの研究室で調製されカラム精製された。それらはメタノール(MeOH)中で1μg/mlの濃度で溶解し、−70℃で保管し、使用前に室温に戻した。A2Eのストック溶液の濃度は、公表された吸光係数(4)を用いて分光学的に[439nmにおけるE(1M)=36900]確認した。ルテイン(Kemin Health,アイオワ州デモイン)およびゼアキサンチン(DSM,スイス、カイゼルオーガスト)の同様の標準のストック溶液を調製し、公表された吸光係数(33)を用いて濃度を確認した。
組織の調達および処理
[0029] ヒトの提供者の眼は、ユタ州ライオンズアイバンクから、死後24時間以内に、角膜を移植のために採取した後に得た。眼疾患の既知の病歴を有していた提供者はいなかった。組織の調達および分配は、ヘルシンキ宣言の主義に従った。提供者の死と眼球摘出(enucleation)の間の時間は4時間を超えていなかった。解剖は提供者の死の6〜24時間後に薄明環境で行われた。これらのデータは、死の前に高い用量のルテインサプリメントを定期的に消費していた48歳以上の高齢の異常値(older outliers)を排除している(34)。全てのアイカップ(eyecups)を、手持ち式拡大鏡を用いて視覚的に検査し、明らかな眼の病理、例えば中程度の、または大きなドルーゼン、出血、または傷跡の存在を排除した。付着した硝子体を注意深く除去した後、黄斑および中周辺の網膜組織を8mmの円形穿孔器で切り取った。次いで下にあるRPE/脈絡膜層を、同じ穿孔器を用いて注意深く切り取った。様々な非ヒト哺乳類の眼を、近隣の研究室または地元の屠殺場から得た。非霊長類の動物の眼は黄斑を有していないため、小さい眼に関しては網膜およびRPE/脈絡膜全体を分離して処理し、大きい眼に関しては無作為な領域で8mm穿孔器を用いた。全ての集めた組織に関して、過剰な水分を吸い取った後に重量を記録した。それぞれブラッドフォードアッセイにより、および1次元SDSゲル電気泳動により決定された総タンパク質レベルおよびタンパク質の分離パターンは、ヒトからの黄斑および網膜のRPE/脈絡膜のパンチの両方において類似していた(約250μ/8mmの組織)。
[0029] ヒトの提供者の眼は、ユタ州ライオンズアイバンクから、死後24時間以内に、角膜を移植のために採取した後に得た。眼疾患の既知の病歴を有していた提供者はいなかった。組織の調達および分配は、ヘルシンキ宣言の主義に従った。提供者の死と眼球摘出(enucleation)の間の時間は4時間を超えていなかった。解剖は提供者の死の6〜24時間後に薄明環境で行われた。これらのデータは、死の前に高い用量のルテインサプリメントを定期的に消費していた48歳以上の高齢の異常値(older outliers)を排除している(34)。全てのアイカップ(eyecups)を、手持ち式拡大鏡を用いて視覚的に検査し、明らかな眼の病理、例えば中程度の、または大きなドルーゼン、出血、または傷跡の存在を排除した。付着した硝子体を注意深く除去した後、黄斑および中周辺の網膜組織を8mmの円形穿孔器で切り取った。次いで下にあるRPE/脈絡膜層を、同じ穿孔器を用いて注意深く切り取った。様々な非ヒト哺乳類の眼を、近隣の研究室または地元の屠殺場から得た。非霊長類の動物の眼は黄斑を有していないため、小さい眼に関しては網膜およびRPE/脈絡膜全体を分離して処理し、大きい眼に関しては無作為な領域で8mm穿孔器を用いた。全ての集めた組織に関して、過剰な水分を吸い取った後に重量を記録した。それぞれブラッドフォードアッセイにより、および1次元SDSゲル電気泳動により決定された総タンパク質レベルおよびタンパク質の分離パターンは、ヒトからの黄斑および網膜のRPE/脈絡膜のパンチの両方において類似していた(約250μ/8mmの組織)。
RPE/脈絡膜からのA2Eの抽出
[0030] A2Eおよびその異性体を、以前に記述した方法(8)を用いてRPE/脈絡膜から抽出および単離した。RPEの試料を、1:1 CHCl3/MeOH(2ml)および0.01Mリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(1ml)中でホモジナイズした。ホモジナイザーを1:1 CHCl3/MeOH(2ml)、0.01M PBS(1ml)で洗浄し、次いでCHCl3(2ml)およびCH2Cl2(2ml)を添加してあらゆる残留した物質を除去した。全ての溶液を合わせ、有機層を水層から抽出した。有機性抽出物を合わせ、室温において真空下で蒸発させて乾燥させた。残留物をHPLCのためにMeOH中で溶解させた。分析の前に、バイアルをおおよそ2000gで遠心分離して少量の不溶性の固体粒子を除去した。
[0030] A2Eおよびその異性体を、以前に記述した方法(8)を用いてRPE/脈絡膜から抽出および単離した。RPEの試料を、1:1 CHCl3/MeOH(2ml)および0.01Mリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(1ml)中でホモジナイズした。ホモジナイザーを1:1 CHCl3/MeOH(2ml)、0.01M PBS(1ml)で洗浄し、次いでCHCl3(2ml)およびCH2Cl2(2ml)を添加してあらゆる残留した物質を除去した。全ての溶液を合わせ、有機層を水層から抽出した。有機性抽出物を合わせ、室温において真空下で蒸発させて乾燥させた。残留物をHPLCのためにMeOH中で溶解させた。分析の前に、バイアルをおおよそ2000gで遠心分離して少量の不溶性の固体粒子を除去した。
網膜からのカロテノイド類の抽出
[0031] 組織を0.1%ブチル化ヒドロキシトルエンを含むテトラヒドロフランを用いて3回、各回5℃〜10℃での30分間の超音波処理によりホモジナイズおよび抽出した。有機性抽出物を合わせ、室温において真空下で蒸発させて乾燥させた。乾燥した残留物を1mlのHPLC移動相中で再溶解し、分析の前におおよそ2000gで10分間遠心分離して少量の不溶性の固体粒子を除去した。トリの網膜中のカロテノイド類の大部分はエステル化されており(32)、従って最初の抽出の後、乾燥したカロテノイド残留物をヘキサン中で再溶解し、1.8%(w/v)メタノール性水酸化カリウム(KOH)中で室温において2時間鹸化を施した。鹸化の後、試料が中性pHを得るまで試料を水で洗浄した。バイアルをおおよそ2000gで遠心分離して少量の不溶性の固体粒子を除去した。溶液をロータリーエバポレーター上で減圧下で室温において蒸発させて乾燥させ、適切なHPLC溶媒中で再構成した。
[0031] 組織を0.1%ブチル化ヒドロキシトルエンを含むテトラヒドロフランを用いて3回、各回5℃〜10℃での30分間の超音波処理によりホモジナイズおよび抽出した。有機性抽出物を合わせ、室温において真空下で蒸発させて乾燥させた。乾燥した残留物を1mlのHPLC移動相中で再溶解し、分析の前におおよそ2000gで10分間遠心分離して少量の不溶性の固体粒子を除去した。トリの網膜中のカロテノイド類の大部分はエステル化されており(32)、従って最初の抽出の後、乾燥したカロテノイド残留物をヘキサン中で再溶解し、1.8%(w/v)メタノール性水酸化カリウム(KOH)中で室温において2時間鹸化を施した。鹸化の後、試料が中性pHを得るまで試料を水で洗浄した。バイアルをおおよそ2000gで遠心分離して少量の不溶性の固体粒子を除去した。溶液をロータリーエバポレーター上で減圧下で室温において蒸発させて乾燥させ、適切なHPLC溶媒中で再構成した。
HPLCの条件
[0032] HPLC分析は、バイナリーグラジエントポンプ、冷却式オートサンプラー、UV6000フォトダイオードアレイ検出器(PDA)、およびMSQシングル四重極質量分析器を備えたThermo Separations(カリフォルニア州サンノゼ)HPLCシステム上で行った。ピークの同一性は、PDAおよび質量スペクトルにより、ならびに必要に応じて信頼できる標準物質との共溶出により確認した。キャリブレーションは信頼できる標準物質を用いた外部標準曲線により行った。我々は内部標準を日常的には用いておらず、それはそれらが小さい生物学的試料における低レベルの分析物を妨害する可能性があるためである(35)。我々の研究室における外部標準を用いた典型的な再現性は±5%である。
[0032] HPLC分析は、バイナリーグラジエントポンプ、冷却式オートサンプラー、UV6000フォトダイオードアレイ検出器(PDA)、およびMSQシングル四重極質量分析器を備えたThermo Separations(カリフォルニア州サンノゼ)HPLCシステム上で行った。ピークの同一性は、PDAおよび質量スペクトルにより、ならびに必要に応じて信頼できる標準物質との共溶出により確認した。キャリブレーションは信頼できる標準物質を用いた外部標準曲線により行った。我々は内部標準を日常的には用いておらず、それはそれらが小さい生物学的試料における低レベルの分析物を妨害する可能性があるためである(35)。我々の研究室における外部標準を用いた典型的な再現性は±5%である。
[0033] A2EのHPLC分析:乾燥したA2E試料を100μlのMeOH中で再溶解した。84〜100%アセトニトリル(A)およびH2O中0.05%トリフルオロ酢酸(B)の35分間にわたる勾配を用いて、逆相C18カラム(4.6×250mm、Phenomenex、ジョージア州アトランタ)上で1.0ml分−1の流速でA2Eを分離した。カラムは室温で維持し、HPLC PDA検出器は440nmで作動させた。
[0034] カロテノイドのHPLC分析:乾燥した抽出物を100μlのHPLC移動相[ヘキサン:ジクロロメタン:メタノール:N,N−ジ−イソプロピルエチルアミン(80:19.2:0.7:0.1 v v−1)]中で再溶解した。HPLCでの分離は、シアノカラム(Microsorb 長さ25cm×4.6mm id、粒子サイズ5μm、Rainin Instrument Co.、マサチューセッツ州ウォーバーン)上で1.0ml分−1の流速で行った。カラムは室温で維持し、HPLC PDA検出器は450nmで作動させた。
質量分析(MS)の設備および条件
[0035] MS分析は、電子スプレーイオン化(ESI)源および大気圧化学イオン化(APCI)源を備えたThermo Separations(カリフォルニア州サンノゼ)MSQシングル四重極質量分析器を用いて行った。A2Eおよびカロテノイド類をそれぞれ陽イオンESIおよびAPCIモードでイオン化した。質量分析器における溶離した溶媒の分子のオーバーローディングを避けるため、およびイオン化条件を最適化するため、溶離物の50%をPDA検出器の後のダイバーターバルブの助けにより廃棄(waste)へ向かわせた。PDAからMSまでの遅延時間は0.13分であった。プロトン化された前駆体分子イオンを最初にフルスキャンモードで300から1000Daまで0.2ステップサイズで獲得し、構成要素の分子質量を明らかにした。それぞれのチャンネルに関して200msの滞在時間(dwell time)を用いて選択イオンモニタリング(SIM)を行った。SIMモードでは、A2Eおよびその酸化生成物に関してm/zチャンネル592±3、608±1.5、624±1.5、および640±1.5を用いた。A2Eに関する典型的な検出条件は次のものであった:RFレンズバイアス電圧0.1V、コーン電圧80V、およびヒーター温度550℃。イオン源およびチューニングレンズのパラメーターは、A2E試料をインジェクターを通して注入することにより自動的に最適化された。カロテノイド類に関して、ルテインに関して551±0.7および569±0.7、ならびにゼアキサンチンに関して569±0.8のm/zチャンネルを用いた。典型的な検出条件は次のものであった:コロナ放電電流5μA、コーン電圧80V、およびプローブ温度500℃。
[0035] MS分析は、電子スプレーイオン化(ESI)源および大気圧化学イオン化(APCI)源を備えたThermo Separations(カリフォルニア州サンノゼ)MSQシングル四重極質量分析器を用いて行った。A2Eおよびカロテノイド類をそれぞれ陽イオンESIおよびAPCIモードでイオン化した。質量分析器における溶離した溶媒の分子のオーバーローディングを避けるため、およびイオン化条件を最適化するため、溶離物の50%をPDA検出器の後のダイバーターバルブの助けにより廃棄(waste)へ向かわせた。PDAからMSまでの遅延時間は0.13分であった。プロトン化された前駆体分子イオンを最初にフルスキャンモードで300から1000Daまで0.2ステップサイズで獲得し、構成要素の分子質量を明らかにした。それぞれのチャンネルに関して200msの滞在時間(dwell time)を用いて選択イオンモニタリング(SIM)を行った。SIMモードでは、A2Eおよびその酸化生成物に関してm/zチャンネル592±3、608±1.5、624±1.5、および640±1.5を用いた。A2Eに関する典型的な検出条件は次のものであった:RFレンズバイアス電圧0.1V、コーン電圧80V、およびヒーター温度550℃。イオン源およびチューニングレンズのパラメーターは、A2E試料をインジェクターを通して注入することにより自動的に最適化された。カロテノイド類に関して、ルテインに関して551±0.7および569±0.7、ならびにゼアキサンチンに関して569±0.8のm/zチャンネルを用いた。典型的な検出条件は次のものであった:コロナ放電電流5μA、コーン電圧80V、およびプローブ温度500℃。
ニホンウズラにおけるキサントフィルの補充の試験
[0036] 成体のニホンウズラ(Coturnix japonica)はB&D飼育場(オクラホマ州ハラー)から入手し、全ての実験はユタ大学の動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)により視察され、認可された。トリを周囲の室内灯の下で12時間の明暗サイクルで維持し、それらを4羽のトリの3個のグループに分けた:ルテインを補充、ゼアキサンチンを補充、および補充無し。全てのトリに毎日標準的なシチメンチョウの餌を与え(約20g/日)(Purina Mills、ミズーリ州セントルイス)、それはカロテノイド類が少ないものであった(1.10ng/g)。補充したトリは、16週間毎日ルテインまたはゼアキサンチンに富む微生物抽出物0.5mlを強制的に与えた(gavaged)(トリごとに1日あたり0.2mgのカロテノイド)。ルテインは淡水性藻類クロレラ・プロトセコイデス(Chlorella protothecoides)CS 41(Microalgae Supply Service, CSIRO,オーストラリアホーバート)から、前に記述された条件の下で調製した(36)。ゼアキサンチンは液体増殖培地で増殖させた非病原性細菌フラボバクテリウム・マルチボラム(Flavobacterium multivorum)ATCC 55238から、前に詳細に記述されたようにして得た(37)。実験の後、トリを屠殺し、上記のようにRPE/脈絡膜および網膜のA2Eおよびカロテノイドの含有量をそれぞれ測定した。
[0036] 成体のニホンウズラ(Coturnix japonica)はB&D飼育場(オクラホマ州ハラー)から入手し、全ての実験はユタ大学の動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)により視察され、認可された。トリを周囲の室内灯の下で12時間の明暗サイクルで維持し、それらを4羽のトリの3個のグループに分けた:ルテインを補充、ゼアキサンチンを補充、および補充無し。全てのトリに毎日標準的なシチメンチョウの餌を与え(約20g/日)(Purina Mills、ミズーリ州セントルイス)、それはカロテノイド類が少ないものであった(1.10ng/g)。補充したトリは、16週間毎日ルテインまたはゼアキサンチンに富む微生物抽出物0.5mlを強制的に与えた(gavaged)(トリごとに1日あたり0.2mgのカロテノイド)。ルテインは淡水性藻類クロレラ・プロトセコイデス(Chlorella protothecoides)CS 41(Microalgae Supply Service, CSIRO,オーストラリアホーバート)から、前に記述された条件の下で調製した(36)。ゼアキサンチンは液体増殖培地で増殖させた非病原性細菌フラボバクテリウム・マルチボラム(Flavobacterium multivorum)ATCC 55238から、前に詳細に記述されたようにして得た(37)。実験の後、トリを屠殺し、上記のようにRPE/脈絡膜および網膜のA2Eおよびカロテノイドの含有量をそれぞれ測定した。
統計
[0037] 報告した値は平均値±標準偏差(SD)である。統計学的分析はMicrocal Originバージョン6.0(マサチューセッツ州ノーサンプトン)を用いて行った。ほとんどの場合では、2母集団(独立)t検定を、有意水準を0.05に設定して行った。
[0037] 報告した値は平均値±標準偏差(SD)である。統計学的分析はMicrocal Originバージョン6.0(マサチューセッツ州ノーサンプトン)を用いて行った。ほとんどの場合では、2母集団(独立)t検定を、有意水準を0.05に設定して行った。
結果
ヒトのRPE/脈絡膜および網膜におけるA2Eおよびカロテノイドのレベル
[0038] 我々はヒトのRPE/脈絡膜からのA2Eおよびその異性体の好都合なインラインHPLC定量および同定のためにフォトダイオードアレイ(PDA)および質量スペクトル(MS)検出を用いた。より若いヒトの眼(<50歳;N=22)は常にm/z 592.6におけるA2Eおよびイソ−A2Eに関する単一の主要な分子イオンのピークを有していたが、50歳より年上の眼(N=31)は検出可能なA2Eのより高い分子量のイオンを示す傾向がより大きく、その内の2つは以前に報告されたm/z 608および624における酸化生成物と一致しており(N=24)(15〜16)、さらに724〜808に未同定のより高いm/zのイオンがある(図1)。これらのイオンの単一イオンモニタリング(SIM)は、m/z 592±3、608±1.5、および624±1.5におけるこれらのピークのA2Eのピークと比較した定量を可能にした。50歳より年上の提供者に存在するm/z 608および624のピークの酸化されていないA2Eに対する比率は0.027±0.008(N=24)であり、一方でこれらの酸化されたピークは50歳以下の提供者には存在しなかった。
ヒトのRPE/脈絡膜および網膜におけるA2Eおよびカロテノイドのレベル
[0038] 我々はヒトのRPE/脈絡膜からのA2Eおよびその異性体の好都合なインラインHPLC定量および同定のためにフォトダイオードアレイ(PDA)および質量スペクトル(MS)検出を用いた。より若いヒトの眼(<50歳;N=22)は常にm/z 592.6におけるA2Eおよびイソ−A2Eに関する単一の主要な分子イオンのピークを有していたが、50歳より年上の眼(N=31)は検出可能なA2Eのより高い分子量のイオンを示す傾向がより大きく、その内の2つは以前に報告されたm/z 608および624における酸化生成物と一致しており(N=24)(15〜16)、さらに724〜808に未同定のより高いm/zのイオンがある(図1)。これらのイオンの単一イオンモニタリング(SIM)は、m/z 592±3、608±1.5、および624±1.5におけるこれらのピークのA2Eのピークと比較した定量を可能にした。50歳より年上の提供者に存在するm/z 608および624のピークの酸化されていないA2Eに対する比率は0.027±0.008(N=24)であり、一方でこれらの酸化されたピークは50歳以下の提供者には存在しなかった。
[0039] 20〜88歳のヒトの眼からのRPE/脈絡膜全体を用いた最初の実験は、A2Eが年齢と共に線形に増加することを明らかにした(N=66,P<0.0001)(図sA)。この同じ年齢に伴う有意な増加は黄斑および周辺網膜の両方に存在したが、A2Eのレベルは周辺において4倍高いのが典型的であった(図2Bおよび2C)。
[0040] 我々は、黄斑におけるA2Eのより低いレベルは、上を覆っている網膜中のカロテノイド類のより高いレベルと関係している可能性があると推測した。表1は、実際にこのようになったことを示している:若い眼および高齢の眼において、黄斑では周辺に対して総カロテノイド類のレベルが10倍高く、周辺では黄斑に対してA2Eのレベルが3倍よりも高かった。
表1.ヒトの眼からの8mmの黄斑および周辺のパンチにおける、RPE/脈絡膜中のA2Eのレベルおよび上を覆っている網膜中のカロテノイド類のレベル(平均±SD)
*
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*これらのデータは、死の前に高い用量のルテインサプリメントを定期的に消費していた48歳以上の高齢の異常値を排除している(34)。
[0041] 黄斑(R=−0.28;N=35;P=0.10)および周辺網膜(R=−0.36;N=40;P=0.20)の両方において、網膜のカロテノイドのレベルは下にあるRPE/脈絡膜中のA2Eのレベルと逆相関していたが、周辺網膜のみが統計学的有意に達していた(図3)。
[0041] 黄斑(R=−0.28;N=35;P=0.10)および周辺網膜(R=−0.36;N=40;P=0.20)の両方において、網膜のカロテノイドのレベルは下にあるRPE/脈絡膜中のA2Eのレベルと逆相関していたが、周辺網膜のみが統計学的有意に達していた(図3)。
動物のRPE/脈絡膜および網膜中のA2Eおよびカロテノイドのレベル
[0042] ヒトの眼は、食餌による操作に応答する黄斑カロテノイドのレベルの変化が遅いことおよびA2Eの分析測定の侵襲的性質により、容易にはカロテノイドおよびA2Eのレベルの実験的操作を受け入れられない。従って我々は様々な高等脊椎動物の眼を調査し、眼性カロテノイドおよびA2Eのレベルを湿重量に基づいて比較した(表2)。
[0042] ヒトの眼は、食餌による操作に応答する黄斑カロテノイドのレベルの変化が遅いことおよびA2Eの分析測定の侵襲的性質により、容易にはカロテノイドおよびA2Eのレベルの実験的操作を受け入れられない。従って我々は様々な高等脊椎動物の眼を調査し、眼性カロテノイドおよびA2Eのレベルを湿重量に基づいて比較した(表2)。
表2:様々な高等脊椎動物におけるRPE/脈絡膜および上を覆っている網膜中のA2Eおよびカロテノイドのレベル。
*ラットおよびマウスに関して、n=6およびn=8の試料をまとめてカロテノイド類およびA2E両方の抽出および検出のために用いた。
[0043] 予想されたように、サルの眼はA2Eおよびカロテノイドの含有量に関してヒトの眼に最も近く似ていたが、これらの実験動物は調達するのに費用がかかり、管理および扱いが難しい。若いラットおよびマウスの目は辛うじて検出できるレベルのカロテノイド類を含んでおり、高い用量のカロテノイドの補充がこれらの非常に低いレベルを変えることができることを示す公開された文献は存在しない。さらに、それらの組織湿重量に対するA2Eのレベルは、リストした他の動物よりも数桁低い。一般に、齧歯類は、Abca4ノックアウトおよびElov14トランスジェニックマウス(7〜8)におけるように、適切に遺伝学的に改変された場合にのみ高レベルのA2Eを有する。ウシおよび、より低い程度で、ブタは、食餌での操作に適した適度なレベルのA2Eおよびカロテノイド類を有するが、これらの動物はかなり大きい。メスのニホンウズラは小さいサイズと適度なレベルの眼のA2Eおよびカロテノイド類の最高の組み合わせを有しており、従ってそれらをさらなる試験のために選択した。
[0043] 予想されたように、サルの眼はA2Eおよびカロテノイドの含有量に関してヒトの眼に最も近く似ていたが、これらの実験動物は調達するのに費用がかかり、管理および扱いが難しい。若いラットおよびマウスの目は辛うじて検出できるレベルのカロテノイド類を含んでおり、高い用量のカロテノイドの補充がこれらの非常に低いレベルを変えることができることを示す公開された文献は存在しない。さらに、それらの組織湿重量に対するA2Eのレベルは、リストした他の動物よりも数桁低い。一般に、齧歯類は、Abca4ノックアウトおよびElov14トランスジェニックマウス(7〜8)におけるように、適切に遺伝学的に改変された場合にのみ高レベルのA2Eを有する。ウシおよび、より低い程度で、ブタは、食餌での操作に適した適度なレベルのA2Eおよびカロテノイド類を有するが、これらの動物はかなり大きい。メスのニホンウズラは小さいサイズと適度なレベルの眼のA2Eおよびカロテノイド類の最高の組み合わせを有しており、従ってそれらをさらなる試験のために選択した。
[0044] 若い成体のメスのニホンウズラに(3R, 3’R, 6’R)-ルテインまたは(3R, 3’R)-ゼアキサンチンを16週間の期間補充し、補充しなかったウズラと比較した。図4および表3において示されているように、総網膜カロテノイドレベルはルテインを補充したグループにおいて基底線と比較して1.6倍に、およびゼアキサンチンを補充したグループにおいて3.1倍に上昇しており、一方で対照の餌のトリでは16%減少していた。総ルテインおよびゼアキサンチンレベルはルテインを補充したグループにおいて基底線と比較して2.8倍に、およびゼアキサンチンを補充したグループにおいて8.1倍に増加しており、一方で対照の餌のトリでは6.5%増加していた。補充したトリにおけるこれらの増加の全てが統計学的に有意であった(P<0.05)。ルテインおよびゼアキサンチンの補充は、RPE中のルテイン、ゼアキサンチンおよびそれらのカロテノイド代謝産物のレベルの、基底および対照グループと比較した有意な増加にもつながった(P<0.05)(表3)。
表3:補充実験の開始および終了の時点でのニホンウズラのRPE/脈絡膜および網膜中のカロテノイド含有量。
[0045] 16週間の期間で、補充しなかった対照グループではA2Eのレベルが基底レベルと比較して6倍より高く上昇したが(P<0.001)、ルテインおよびゼアキサンチンを補充したトリは基底線レベルからの上昇をほとんど示さなかった(P=0.1)。対照グループからのA2Eの質量スペクトルは、ルテインおよびゼアキサンチンを補充したグループからの質量スペクトルと比較してより高いレベルの酸化生成物を有していた(図5)。
考察
[0046] この試験で、我々はまずヒトの提供者の眼における網膜のカロテノイド類およびA2Eの間の関係を調べた。我々は、黄斑および周辺網膜の両方においてA2Eが年齢と共に上昇すること、ならびにそれが年齢と共により酸化された状態になることを確認した。興味深いことに、集中的な光曝露および高い代謝活性にも関わらず、これらの8mmパンチにおける黄斑のA2Eレベルは、黄斑において周辺と比較して約3倍低かった。黄斑および周辺の両方において、A2Eのレベルおよび総カロテノイド類の間に逆相関があったが、統計学的有意に達したのは周辺においてのみであった。まとめると、これらのヒトの死体の眼のデータは網膜のカロテノイド類が下にあるRPEにおけるA2Eの形成および酸化を抑制するという仮説と一致するが、この仮説の証明は前向き臨床試験または適切な動物実験のどちらかを必要とする。ヒトの試験は、非侵襲的な定量的A2E測定を十分な信頼性で行うのが難しいため、および生きているヒトにおいて周辺のカロテノイド類を測定するのが不可能であるため困難であろう。従って、我々はさらなる研究のために動物モデルへと方向を向けた。
[0046] この試験で、我々はまずヒトの提供者の眼における網膜のカロテノイド類およびA2Eの間の関係を調べた。我々は、黄斑および周辺網膜の両方においてA2Eが年齢と共に上昇すること、ならびにそれが年齢と共により酸化された状態になることを確認した。興味深いことに、集中的な光曝露および高い代謝活性にも関わらず、これらの8mmパンチにおける黄斑のA2Eレベルは、黄斑において周辺と比較して約3倍低かった。黄斑および周辺の両方において、A2Eのレベルおよび総カロテノイド類の間に逆相関があったが、統計学的有意に達したのは周辺においてのみであった。まとめると、これらのヒトの死体の眼のデータは網膜のカロテノイド類が下にあるRPEにおけるA2Eの形成および酸化を抑制するという仮説と一致するが、この仮説の証明は前向き臨床試験または適切な動物実験のどちらかを必要とする。ヒトの試験は、非侵襲的な定量的A2E測定を十分な信頼性で行うのが難しいため、および生きているヒトにおいて周辺のカロテノイド類を測定するのが不可能であるため困難であろう。従って、我々はさらなる研究のために動物モデルへと方向を向けた。
[0047] 齧歯類はA2E形成の阻害剤を研究するために最も頻繁に用いられてきたが、それらにおいて眼における内在性のA2Eおよびカロテノイド類レベルが低いこと、ならびにそれらが補充に応答してカロテノイド類を網膜中に取り込めないことのために、さらなる研究が不可能になっている。我々は様々な他の可能性のある実験動物を調査し、ニホンウズラは、湿重量を基準としてヒトに匹敵するカロテノイド類およびA2Eの基底線レベルを有しており、眼におけるカロテノイドレベルを食餌によって操作することを受け入れられる(amendable)(31〜32)ため、さらに研究するためには最高の小さい非霊長類の動物モデルであることを見いだした。我々の実験は、高い用量のルテインまたはゼアキサンチンを補充したトリにおいては、カロテノイド類が少ない対照の餌を与えられたトリと比較して、著しくA2E形成が抑制されることを示した。ウズラの網膜中のカロテノイド類の大部分は脂肪酸エステルとして油滴中に隔離されるため、摂取されたカロテノイド類によるA2E形成の抑制は、直接的な抗酸化機構によるよりもむしろ光フィルター作用により仲介されている可能性がより高い。これは補充に応答したRPEのカロテノイド類の有意な増加はあったものの、そのレベルは上を覆っている網膜よりもなお約10倍低いままであったためである。
[0048] 我々の発見は、変性性の眼の障害におけるルテインおよびゼアキサンチンの可能性のある前向き作用−すなわちA2Eの形成および酸化の抑制に関する新規の機構に関する証拠を提供する。リポフスチンの非侵襲的定量が向上すれば、生きているヒトにおいてこの仮説を直接試験することができる。ルテインおよびゼアキサンチンは、現在調査されている他の阻害剤とは異なり、それらは既にヒトにおいて食事用サプリメントとして広く用いられており、今までに毒性が報告されていないため、A2E形成阻害剤としての臨床的用途に関して特に魅力的な薬剤である。さらに、我々の調査はA2E形成の阻害剤の試験に関する非齧歯類の小動物モデルの価値を指摘する。150〜200gで、成体のニホンウズラはラットの大きさであり、世話しやすく、カロテノイド類が少ない対照の餌を与えられると数ヶ月間の期間にわたって数倍に増加したA2Eのレベルを形成する。従って、A2E形成の新規の薬理学的阻害剤の迅速なスクリーニングがかなり実行可能になるはずである。
参考文献−下記の参考文献を本明細書にそのまま援用する:
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Claims (20)
- それを必要とする対象において2-(2,6-ジメチル-8-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1E,3E,5E,7E-オクタテトラエニル)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-(4-メチル-6-(2,6,6-トリメチル-1シクロヘキセン-1-イル)-1E,3E,5E-ヘキサトリエニル-ピリジニウム(A2E)およびその異性体の含有量を減少させる方法であって、療法上有効量の黄斑カロテノイド配合物を投与し、それによりA2Eの含有量を減少させることを含む方法。
- 該カロテノイドがルテインである、請求項1に記載の方法。
- 該カロテノイドがゼアキサンチンである、請求項1に記載の方法。
- 該対象が哺乳類である、請求項1に記載の方法。
- 該対象がヒトである、請求項1に記載の方法。
- 該組成物が経口で与えられる、請求項1に記載の方法。
- 該A2Eが網膜色素上皮/脈絡膜において減少する、請求項1に記載の方法。
- 該A2Eが黄斑において減少する、請求項1に記載の方法。
- 該A2Eが網膜において減少する、請求項1に記載の方法。
- 該A2Eが水晶体において減少する、請求項1に記載の方法。
- ルテインが主要なカロテノイドである、請求項1に記載の方法。
- ゼアキサンチンが主要なカロテノイドである、請求項1に記載の方法。
- それを必要とする対象において眼組織の酸化を減少させる方法であって、療法上有効量の黄斑カロテノイド配合物を投与し、それにより眼組織における酸化を減少させることを含む方法。
- 該眼組織が黄斑および網膜色素上皮からなるグループから選択される、請求項13に記載の方法。
- 該対象が加齢黄斑変性の危険性がある、または加齢黄斑変性に関して処置されている、請求項13に記載の方法。
- 該対象がスターガルト病の危険性がある、またはスターガルト病に関して処置されている、請求項13に記載の方法。
- 該対象が色素性網膜炎の危険性がある、または色素性網膜炎に関して処置されている、請求項13に記載の方法。
- 該対象が白内障の発現の危険性がある、または白内障の発現に関して処置されている、請求項13に記載の方法。
- それを必要とする対象において視覚性能を向上させる方法であって、療法上有効量の黄斑カロテノイド配合物を投与し、それにより対象における視覚性能を向上させることを含む方法。
- 該視覚性能が視力、コントラスト感度および回復の低減(recovery reduction)からなるグループから選択される、請求項19に記載の方法。
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