JP5942513B2 - 電気接続構造、シール装置、及びインバータ一体型モータ - Google Patents

電気接続構造、シール装置、及びインバータ一体型モータ Download PDF

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Description

本発明は、筐体に形成された貫通孔を介して電気的な接続を行う電気接続構造、シール装置、及びインバータ一体型モータに関する。
従来、例えば車両用駆動装置として、インバータとモータが一体化されたインバータ一体型モータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の車両用駆動装置は、インバータケース内に収容されたパワーモジュールと、モータケース内に収容されたモータのステータ部とを、複数のバスバー及びプラグ部材からなる配線部材で電気的に接続している。このプラグ部材は、インバータケース及びモータケースに形成された貫通孔を挿通する保持部材に保持されている。保持部材の外面とインバータケース及びモータケースの貫通孔の内面との間には、それぞれ環状のシール部材が配置されている。これらのシール部材は、インバータケース及びモータケースを密封し、ケース内に水分等が浸入することを抑制している。
特開2007−221962号公報
上記のように構成されたインバータ一体型モータにおいて、インバータケースの貫通孔の中心軸とモータケースとの貫通孔の中心軸とが一致している場合には、シール部材によるシール性が保たれ、ケース内に水分等が浸入することを防ぎ得る。しかし、貫通孔の寸法精度やインバータケースとモータケースとの組付精度が十分でなく、2つの貫通孔の中心軸にずれが生じている場合には、保持部材が傾き、これに伴い、シール部材が傾いたまま貫通孔に配置されてしまい、シール性が低下するおそれがある。
そこで、本発明は、2つの筐体にそれぞれ形成された2つの貫通孔を介して電気的な接続を行う場合に、2つの貫通孔の中心軸にずれが生じても、シール性を保つことが可能な電気接続構造、シール装置、及びインバータ一体型モータを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、第1の筐体の内部に収容されている第1の内部装置と、前記第1の筐体に隣接して配置されている第2の筐体の内部に収容されている第2の内部装置とを、前記第1の筐体に形成されている第1の貫通孔及び前記第2の筐体に形成されている第2の貫通孔を介して電気的に接続する電気接続構造であり、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔に挿通されているケーブルと、前記第1の貫通孔の内面と前記ケーブルの外面との間をシールする第1のシール部材と、前記第2の貫通孔の内面と前記ケーブルの外面との間をシールするシールリング、及び前記ケーブルの中心軸に沿って前記シールリングと並んで配置されており、前記ケーブル挿通されている挿通孔が形成されている環状部材を有して構成されている第2のシール部材と、前記ケーブルの中心軸に沿って前記第1のシール部材と前記第2のシール部材との間に配置されており、前記ケーブル挿通されている中空のスペーサと、を備え、前記スペーサの内面と前記ケーブルの外面との間には隙間が形成されており、前記ケーブルは、前記隙間の範囲内で屈曲可能であり、前記環状部材は、前記第1のシール部材に対して前記ケーブルの中心軸に交差する方向に相対移動可能であり、前記シールリングよりも高い剛性を有して前記シールリングの内周側における前記第2の貫通孔に対する前記ケーブルの位置を規制する電気接続構造を提供する。
また、前記第2のシール部材は、少なくとも1つの前記環状部材を前記シールリングと前記スペーサとの間に有するとよい。
また、前記第2のシール部材は、前記環状部材を、前記シールリングを挟んで前記シールリングの前記スペーサ側及びその反対側に有するとよい。
また、前記シールリングは、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、及びナイロン系エラストマーからなる群より選択される一種からなり、前記環状部材は、ポリスチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、銅、アルミニウム、マグネシウム、及び鉄系金属からなる群より選択される一種からなるとよい。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、ケーブルの中心軸に沿って配置されており、前記ケーブル挿通されている第1のシール部材及び第2のシール部材と、前記ケーブルの中心軸に沿って前記第1のシール部材と前記第2のシール部材との間に配置されており、前記ケーブル挿通されている中空のスペーサと、を備え、前記スペーサの内面と前記ケーブルの外面との間には隙間が形成されており、前記ケーブルは、前記隙間の範囲内で屈曲可能であり、前記第2のシール部材は、当該第2のシール部材が挿入されている貫通孔の内面と前記ケーブルの外面との間をシールするシールリング、及び前記ケーブルの中心軸に沿って前記シールリングと並んで配置されており、前記ケーブル挿通されている挿通孔が形成されている環状部材を有して構成されており、前記環状部材は、前記第1のシール部材に対して前記ケーブルの中心軸に交差する方向に相対移動可能であり、前記シールリングよりも高い剛性を有して前記シールリングの内周側における前記貫通孔に対する前記ケーブルの位置を規制するシール装置を提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置、及び前記電力変換装置を収容するインバータケースを有するインバータと、前記電力変換装置によって変換された前記交流電力によって磁力を発生する固定子、及び前記固定子を収容し、前記インバータケースに一体化されているモータケースを有するモータと、前記電力変換装置と前記固定子とを、前記インバータケースに形成されている第1の貫通孔及び前記モータケースに形成されている第2の貫通孔を介して電気的に接続する接続部材とを備え、前記接続部材は、ケーブルと、前記第1の貫通孔の内面と前記ケーブルの外面との間をシールする第1のシール部材と、前記第2の貫通孔の内面と前記ケーブルの外面との間をシールするシールリング、及び前記ケーブルの中心軸に沿って前記シールリングと並んで配置されており、前記ケーブル挿通されている挿通孔が形成されている環状部材を有して構成されている第2のシール部材と、前記ケーブルの中心軸に沿って前記第1のシール部材と前記第2のシール部材との間に配置されており、前記ケーブル挿通されている中空のスペーサと、を備え、前記スペーサの内面と前記ケーブルの外面との間には隙間が形成されており、前記ケーブルは、前記隙間の範囲内で屈曲可能であり、前記環状部材は、前記第1のシール部材に対して前記ケーブルの中心軸に交差する方向に相対移動可能であり、前記シールリングよりも高い剛性を有して前記シールリングの内周側における前記第2の貫通孔に対する前記ケーブルの位置を規制するインバータ一体型モータを提供する。
本発明に係る電気接続構造、シール装置、及びインバータ一体型モータによれば、2つの筐体にそれぞれ形成された貫通孔を介して電気的な接続を行う場合に、貫通孔の中心軸にずれが生じても、シール部材によるシール性を保つことが可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係るインバータ一体型モータを示す概略図である。 接続部材の構成例を示し、(a)は外観図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(b)のB部拡大図である。 インバータケースの貫通孔及びモータケースの本体部に形成された貫通孔に介挿された接続部材及びその周辺部を示す断面図である。 インバータケースの貫通孔の中心軸とモータケースの貫通孔の中心軸とがずれた状態で、インバータケースとモータケースとが一体化された場合を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る接続部材を、インバータケースの貫通孔及びモータケースの貫通孔に沿った断面で示す断面図である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について、図1から図4を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係るインバータ一体型モータを示す概略図である。このインバータ一体型モータ100は、インバータ110とモータ120とが一体化され、例えば車両の走行用の駆動源として用いられる。
インバータ110は、インバータケース111と、インバータケース111の内部に収容された電力変換装置としてのIPM(Intelligent Power Module)112とを有している。IPM112は、電力を制御するパワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などのパワーデバイス、及びその駆動回路、ならびに自己保護機能を組み込んだモジュールであり、駆動回路による制御によって、直流電力を交流電力に変換する機能、及び交流電力を直流電力に変換する機能を有している。インバータケース111は、本発明の第1の筐体の一例であり、IPM112は、第1の内部装置の一例である。
インバータケース111の内部には、端子台113が設けられ、この端子台113とIPM112とがバスバー114によって接続されている。バスバー114は、その両端部が、ボルト113a,112aによって端子台113及びIPM112に固定されている。また、インバータケース111の外面には、IPM112に対応する部位に、冷却用のフィン115が設けられている。
インバータケース111には、貫通孔111Aが形成されている。この貫通孔111Aは、インバータケース111の内部と外部とを連通している。
モータ120は、モータケース121と、モータケース121の内部に収容された固定子124及び回転子125とを有している。回転子125は円筒状であり、その外周面に等間隔に配置された複数の磁石126を有している。回転子125には、出力軸127が一体回転するように固定されている。出力軸127は、軸受128,129によって回転可能に軸支されている。固定子124は、IPM112によって変換された交流電力によって磁力を発生する電磁コイルを有し、回転子125は、この磁力を受けて回転する。モータケース121は、本発明の第2の筐体の一例であり、固定子124は、第2の内部装置の一例である。
モータケース121は、本体部122と蓋部123とからなり、本体部122と蓋部123とが、複数のボルト121aによって連結されている。固定子124は、本体部122の内面に固定されている。また、モータケース121の本体部122には、その内部と外部とを連通する貫通孔122Aが形成されている。
モータケース121は、インバータケース111に一体化されている。モータケース121とインバータケース111とは、その外面における平坦な部分同士が接触するように隣接して配置され、例えば図略のボルトによって相互に固定されている。貫通孔111A及び貫通孔122Aは、モータケース121及びインバータケース111が互いに接触する部分に形成され、モータケース121とインバータケース111との一体化により、相互に連通するように形成されている。
IPM112と固定子124とは、接続部材1によって電気的に接続されている。接続部材1は、IPM112と固定子124とを、インバータケース111の貫通孔111A及びモータケース121の貫通孔122Aを介して電気的に接続する。
接続部材1は、貫通孔111A、122Aに挿通されたケーブル11と、ケーブル11と貫通孔111A,122Aとの間を液密にシールするシール装置10と、ケーブル11の両端に圧着して固定された第1及び第2の端子12,13とを有している。
第1の端子12は、その一端がケーブル11の一方の端部に固定され、他端がバスバー114と共にボルト113aによって端子台113に固定されている。第2の端子13は、その一端がケーブル11の他方の端部に固定され、他端が固定子124にボルト124aによって固定されている。これにより、IPM112と固定子124とが、バスバー114,第1の端子12,ケーブル11,及び第2の端子13によって電気的に接続される。
本実施の形態では、モータ120が三相交流モータであり、インバータケース111及びモータケース121にそれぞれ3つの貫通孔111A,122Aが形成され、各相のモータ電流が、3つの貫通孔111A,122Aのそれぞれに挿通された3本のケーブル11によってモータ120に供給される。図1では、3本のケーブル11のうち1本のケーブル11の断面、及びシール装置10の断面を図示している。
図2は、接続部材1の構成例を示し、(a)は外観図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(b)のB部拡大図である。図2に示すように、接続部材1は、互いに平行な3本ケーブル11と、各ケーブル11を挿通させる3つのシール装置10と、各ケーブル11の一端及び他端に接続された第1及び第2の端子12,13と、3本のケーブル11を所定の間隔を開けて保持する保持部材14とを有している。
ケーブル11は、銅などの導電性の金属からなる芯線11aと、絶縁性の樹脂からなるシース11bとからなり、屈曲可能な可撓性を有している。ケーブル11の両端では、シース11bが取り除かれて芯線11aが露出し、この露出した部分に第1及び第2の端子12,13がそれぞれ圧着されている。第1の端子12には、ボルト113a(図1に示す)を挿通させる固定用の孔12aが形成され、第2の端子13には、ボルト124a(図1に示す)を挿通させる固定用の孔13aが形成されている。
シール装置10は、第1のシール部材2と、第2のシール部材4と、ケーブル11の中心軸に沿って第1のシール部材2と第2のシール部材4との間に配置されたスペーサ3と、キャップ部材5とを備えている。
第1のシール部材2は、その全体がケーブル11を挿通させる環状の弾性部材であり、保持部材14とスペーサ3との間に配置されている。第1のシール部材2の内周面は、ケーブル11の外面に密着している。
スペーサ3は、例えばポリイミド等の樹脂からなり、ケーブル11を挿通させる中空の部材である。図2(c)に拡大して示すように、スペーサ3の内面3aとケーブル11の外面111bとの間には、環状の隙間Sが形成されている。
第2のシール部材4は、リング状の弾性部材からなるシールリング40と、ケーブル11の中心軸に沿ってシールリング40と並んで配置され、ケーブル11を挿通させる挿通孔が形成された第1の環状部材41及び第2の環状部材42を有して構成されている。シールリング40と、第1の環状部材41及び第2の環状部材42とは、例えば二色成型(ダブルモールド)によって一体に成型されている。
なお、ここで二色成型とは、相異なる複数の材質を組み合わせて一体に成形することを言い、例えば第1の金型によってシールリング40を成型した後に、このシールリング40を第2の金型にセットして、第1の環状部材41及び第2の環状部材42となる樹脂材料を流し込むことにより、これらが一体となった第2のシール部材4を得ることができる。ただし、シールリング40、第1の環状部材41、及び第2の環状部材42は、別体であってもよい。
第1の環状部材41及び第2の環状部材42は、シールリング40よりも高い剛性を有している。また、第1の環状部材41及び第2の環状部材42は、第1のシール部材2及びスペーサ3に対してケーブル11の中心軸Cに交差する方向に相対移動可能である。
シールリング40は、第1の環状部材41と第2の環状部材42との間に挟まれて配置されている。より具体的には、第2のシール部材4は、第1の環状部材41をシールリング40のスペーサ3側に有し、第2の環状部材42をシールリング40のキャップ部材5側(スペーサ3とは反対側)に有している。第1の環状部材41とシールリング40、及び第2の環状部材42とシールリング40は、ケーブル11の中心軸Cに沿った方向における端面同士が互いに接している。
シールリング40、第1の環状部材41、及び第2の環状部材42の内径は、スペーサ3の内面3aにおける内径よりも小さく形成されている。また、シールリング40、第1の環状部材41、及び第2の環状部材42の外径は、スペーサ3の外径よりも大きく形成されている。
第1のシール部材2及びシールリング40は、例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、及びナイロン系エラストマーからなる群より選択される一種からなる。
第1の環状部材41及び第2の環状部材42は、例えばポリスチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、銅、アルミニウム、マグネシウム、及び鉄系金属からなる群より選択される一種からなる。なお、第1の環状部材41の材質と第2の環状部材42の材質は、同一でもよく、異なっていてもよい。
キャップ部材5は、スペーサ3との間に第2のシール部材4を挟むように配置され、ケーブル11の中心軸Cの径方向に対して平行な円板部5aと、ケーブル11の外面111bに沿って延びる筒部5bとを一体に有している。円板部5aには、その中心部にケーブル11を挿通させる開口が形成され、筒部5bは、この開口の外縁に立設されている。
図3は、インバータケース111の貫通孔111A及びモータケース121の本体部122に形成された貫通孔122Aに介挿された接続部材1及びその周辺部を示す断面図である。この図では、ケーブル11の中心軸Cと、貫通孔111Aの中心軸Cと、貫通孔122Aの中心軸Cとが互いに一致している場合を示している。
第1のシール部材2は、ケーブル11の外面111bと貫通孔111Aの内面111aとの間を液密にシールしている。第2のシール部材4は、シールリング40が、ケーブル11の外面111bと貫通孔122Aの内面122aとの間を液密にシールしている。つまり、シールリング40は、その内周面40aがケーブル11の外面111bに密着し、外周面40bがケーブル11の貫通孔122Aの内面122aに密着している。
スペーサ3の外面3bと貫通孔111Aの内面111a及び貫通孔122Aの内面122aとの間には、環状の隙間Sが形成されている。
貫通孔122Aの一端(内面122aにおけるモータケース121の内側の端部)には、貫通孔122Aの内方に突出した鍔部122bが形成されている。この鍔部122bにキャップ部材5が当接することで、シール装置10の構成部材がモータケース121側に抜け出すことが規制されている。
シール装置10は、インバータケース111とモータケース121とを一体化した後、インバータケース111の内部からモータケース121側に向かって、貫通孔111A,122Aに挿入される。第2の端子13は、貫通孔122Aを通過してモータケース121内に進入する。
この挿入の際には、保持部材14からの押圧力が直接的に第1のシール部材2に作用すると共に、スペーサ3を介して間接的に第2のシール部材4に作用し、第1のシール部材2が貫通孔111A内の所定の位置に、また第2のシール部材4が貫通孔122A内の所定の位置に、それぞれ配置される。
図4は、貫通孔111Aの中心軸Cと貫通孔122Aの中心軸Cとが一致せず、貫通孔122Aの中心軸Cが貫通孔111Aの中心軸Cよりも図面右方向にずれた状態で、インバータケース111とモータケース121とが一体化された場合を示す断面図である。
この場合、スペーサ3は、外面3bと貫通孔111Aの内面111a及び貫通孔122Aの内面122aとの間に隙間Sが形成されているので、この隙間Sの幅(中心軸Cに対する径方向の幅)の範囲内で貫通孔111Aと貫通孔122Aとの芯ずれが許容される。
また、スペーサ3の内部には、内面3aとケーブル11の外面111bとの間に環状の隙間Sが形成されているので、ケーブル11は、貫通孔111Aと貫通孔122Aとの芯ずれに応じて、この隙間Sの幅(中心軸Cに対する径方向の幅)の範囲内で屈曲される。これにより、ケーブル11の中心軸Cは、第1のシール部材2の内周側では貫通孔111Aの中心軸Cに実質的に一致し、シールリング40の内周側では貫通孔122Aの中心軸Cに実質的に一致する。
つまり、スペーサ3の内部でケーブル11が屈曲することにより、貫通孔111Aの中心軸Cと貫通孔122Aの中心軸Cとがずれても、貫通孔111A及び貫通孔122A内におけるケーブル11のずれが主としてスペーサ3内で吸収され、第1のシール部材2及び第2のシール部材4の内部におけるケーブル11の屈曲が抑制される。
また、第2のシール部材4を構成する第1の環状部材41及び第2の環状部材42ならびにシールリング40は、第1のシール部材2及びスペーサ3に対してケーブル11の中心軸Cに交差する方向に相対移動可能であるので、第1の環状部材41及び第2の環状部材42ならびにシールリング40は、貫通孔111Aの中心軸Cと貫通孔122Aの中心軸Cとが一致しない場合でも、それぞれの外周面41b,42b,40bと貫通孔122Aの内面122aとの接触により、貫通孔122Aと同軸上に配置される。
またさらに、本実施の形態では、第1の環状部材41及び第2の環状部材42がシールリング40よりも高い剛性を有しているので、第1の環状部材41及び第2の環状部材42によって、シールリング40の内周側におけるケーブル11の位置が規制されている。つまり、第1の環状部材41の内周面41a及び第2の環状部材42の内周面42aがケーブル11の外周面11aに接触することで、シールリング40の内周側におけるケーブル11の位置の変位(ずれ)が抑制され、ケーブル11の中心軸Cが貫通孔122Aの中心軸Cに一致するように、ケーブル11が位置決めされている。このように、シールリング40を挿通する部位におけるケーブル11の中心軸Cの中心軸Cに対する変位が第1の環状部材41及び第2の環状部材42によって規制されている。
つまり、第1の環状部材41及び第2の環状部材42の剛性がシールリング40と同等もしくはシールリング40の剛性よりも低い場合には、シールリング40の内周側でも、ケーブル11の中心軸Cが貫通孔122Aの中心軸Cに対して大きく傾斜又は変位する。しかし、本実施の形態では、第1の環状部材41及び第2の環状部材42によって、シールリング40の両側でケーブル11が支持されるので、ケーブル11の中心軸Cと貫通孔122Aの中心軸Cとの傾斜又は変位が抑制される。これにより、ケーブル11の外面111bとシールリング40の内周面40aとの接触圧力が周方向で均等化され、シールリング40のシール性が保たれる。
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下に述べる作用及び効果が得られる。
(1)ケーブル11の中心軸Cに沿ってシールリング40に隣接し、且つシールリング40よりも高い剛性を有する第1の環状部材41及び第2の環状部材42によって、シールリング40の内周側における貫通孔122Aの中心軸Cに対するケーブル11の位置が規制されるので、2つの貫通孔111A,122Aの中心軸にずれが生じても、シールリング40のシール性が保たれる。
(2)スペーサ3によって第1のシール部材2と第2のシール部材4との位置関係が保たれるので、シール装置10を貫通孔111A及び貫通孔122Aに挿入する際、例えば貫通孔111Aと貫通孔122Aとの芯ずれにより、第2のシール部材4と貫通孔122Aとの間で発生する摩擦力が大きくなっても、第2のシール部材4を貫通孔122Aの所定の位置まで押し込むことができる。
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る接続部材1Aを、貫通孔111A及び貫通孔122Aに沿った断面で示す断面図である。この接続部材1Aは、第2のシール部材4Aの形状が第1の実施の形態に係る第2のシール部材4と異なる他は、同様の構成を有している。図5において、第1の実施の形態について説明したものと共通する機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
第1の実施の形態に係る第2のシール部材4は、シールリング40、第1の環状部材41、及び第2の環状部材42を有していたが、本実施の形態に係る第2のシール部材4Aは、このうち第2の環状部材42を有していない。つまり、第2のシール部材4Aは、シールリング40及び第1の環状部材41から構成されている。
本実施の形態によっても、貫通孔111Aと貫通孔122Aとが芯ずれした場合のケーブル11の屈曲が主としてスペーサ3の内部で吸収されると共に、このケーブル11の屈曲がシールリング40のシール性に与える影響が第1の環状部材41によって緩和され、シールリング40のシール性が保たれる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、接続部材1,1Aが3本のケーブル11を有する場合について説明したが、これに限らず、ケーブル11の本数は1本であってもよく、4本以上であってもよい。また、第2のシール部材は、少なくとも1つの第1の環状部材41をシールリング40とスペーサ3との間に有していればよく、シールリング40とスペーサ3との間に複数の第1の環状部材41が配置されていてもよい。
また、第1及び第2の実施の形態では、シールリング40のみがシール性を有するものとしたが、シールリング40のみならず、第1の環状部材41及び第2の環状部材42の一方又は両方がシール性を有していてもよい。
1,1A…接続部材、2…第1のシール部材、3…スペーサ、3a…内面、3b…外面、4…第2のシール部材、5…キャップ部材、5a…円板部、5b…筒部、10…シール装置、11…ケーブル、11a…芯線、11b…シース、12…第1の端子、13…第2の端子、12a,13a…固定用の孔、14…保持部材、40…シールリング、41…第1の環状部材、42…第2の環状部材、100…インバータ一体型モータ、110…インバータ、111…インバータケース(第1の筐体)、111A…貫通孔(第1の貫通孔)、111a…内面、111b…外面、112…IPM(第1の内部装置、電力変換装置)、113…端子台、113a,112a…ボルト、114…バスバー、115…フィン、120…モータ、121…モータケース(第2の筐体)、121a…ボルト、122…本体部、122A…貫通孔(第2の貫通孔)、122a…内面、122b…鍔部、123…蓋部、124…固定子(第2の内部装置)、124a…ボルト、125…回転子、126…磁石、127…出力軸、128,129…軸受、C…中心軸、S,S…隙間

Claims (6)

  1. 第1の筐体の内部に収容されている第1の内部装置と、前記第1の筐体に隣接して配置されている第2の筐体の内部に収容されている第2の内部装置とを、前記第1の筐体に形成されている第1の貫通孔及び前記第2の筐体に形成されている第2の貫通孔を介して電気的に接続する電気接続構造であり、
    前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔に挿通されているケーブルと、
    前記第1の貫通孔の内面と前記ケーブルの外面との間をシールする第1のシール部材と、
    前記第2の貫通孔の内面と前記ケーブルの外面との間をシールするシールリング、及び前記ケーブルの中心軸に沿って前記シールリングと並んで配置されており、前記ケーブル挿通されている挿通孔が形成されている環状部材を有して構成されている第2のシール部材と、
    前記ケーブルの中心軸に沿って前記第1のシール部材と前記第2のシール部材との間に配置されており、前記ケーブル挿通されている中空のスペーサと、を備え、
    前記スペーサの内面と前記ケーブルの外面との間には隙間が形成されており
    前記ケーブルは、前記隙間の範囲内で屈曲可能であり、
    前記環状部材は、前記第1のシール部材に対して前記ケーブルの中心軸に交差する方向に相対移動可能であり、前記シールリングよりも高い剛性を有して前記シールリングの内周側における前記第2の貫通孔に対する前記ケーブルの位置を規制する
    電気接続構造。
  2. 前記第2のシール部材は、少なくとも1つの前記環状部材を前記シールリングと前記スペーサとの間に有する
    請求項1に記載の電気接続構造。
  3. 前記第2のシール部材は、前記環状部材を、前記シールリングを挟んで前記シールリングの前記スペーサ側及びその反対側に有する
    請求項2に記載の電気接続構造。
  4. 前記シールリングは、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、及びナイロン系エラストマーからなる群より選択される一種からなり、
    前記環状部材は、ポリスチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、銅、アルミニウム、マグネシウム、及び鉄系金属からなる群より選択される一種からなる
    請求項1乃至3の何れか1項に記載の電気接続構造。
  5. ケーブルの中心軸に沿って配置されており、前記ケーブル挿通されている第1のシール部材及び第2のシール部材と、
    前記ケーブルの中心軸に沿って前記第1のシール部材と前記第2のシール部材との間に配置されており、前記ケーブル挿通されている中空のスペーサと、を備え、
    前記スペーサの内面と前記ケーブルの外面との間には隙間が形成されており
    前記ケーブルは、前記隙間の範囲内で屈曲可能であり、
    前記第2のシール部材は、当該第2のシール部材が挿入されている貫通孔の内面と前記ケーブルの外面との間をシールするシールリング、及び前記ケーブルの中心軸に沿って前記シールリングと並んで配置されており、前記ケーブル挿通されている挿通孔が形成されている環状部材を有して構成されており
    前記環状部材は、前記第1のシール部材に対して前記ケーブルの中心軸に交差する方向に相対移動可能であり、前記シールリングよりも高い剛性を有して前記シールリングの内周側における前記貫通孔に対する前記ケーブルの位置を規制する
    シール装置。
  6. 直流電力を交流電力に変換する電力変換装置、及び前記電力変換装置を収容するインバータケースを有するインバータと、
    前記電力変換装置によって変換された前記交流電力によって磁力を発生する固定子、及び前記固定子を収容し、前記インバータケースに一体化されているモータケースを有するモータと、
    前記電力変換装置と前記固定子とを、前記インバータケースに形成されている第1の貫通孔及び前記モータケースに形成されている第2の貫通孔を介して電気的に接続する接続部材とを備え、
    前記接続部材は、
    ケーブルと、
    前記第1の貫通孔の内面と前記ケーブルの外面との間をシールする第1のシール部材と、
    前記第2の貫通孔の内面と前記ケーブルの外面との間をシールするシールリング、及び前記ケーブルの中心軸に沿って前記シールリングと並んで配置されており、前記ケーブル挿通されている挿通孔が形成されている環状部材を有して構成されている第2のシール部材と、
    前記ケーブルの中心軸に沿って前記第1のシール部材と前記第2のシール部材との間に配置されており、前記ケーブル挿通されている中空のスペーサと、を備え、
    前記スペーサの内面と前記ケーブルの外面との間には隙間が形成されており
    前記ケーブルは、前記隙間の範囲内で屈曲可能であり、
    前記環状部材は、前記第1のシール部材に対して前記ケーブルの中心軸に交差する方向に相対移動可能であり、前記シールリングよりも高い剛性を有して前記シールリングの内周側における前記第2の貫通孔に対する前記ケーブルの位置を規制する
    インバータ一体型モータ。
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