JP5941562B2 - 熱電変換素子および熱電変換モジュール - Google Patents

熱電変換素子および熱電変換モジュール Download PDF

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Description

本発明は、人工的もしくは自己組織化を利用し、ナノサイズの格子もしくは微粒子を有する材料を用いた熱電変換素子および熱電変換モジュールに関する。
近年、環境・エネルギー問題や資源枯渇を背景に、化石燃料に依存せず、温室効果ガスの発生を伴わない、太陽光や風力、地熱等の自然エネルギーの積極的活用が望まれている。環境負荷が低い太陽光発電や風力発電などの普及が行われる中、熱エネルギーの有効利用も注目されている。実際、身近に存在するゴミ焼却所、地下鉄や変電所において排出されている熱エネルギーは膨大な量である。ゴミ焼却場などにおいて排出される排熱は300〜600℃と高く、地下鉄や変電所における排熱は40〜80℃と低い。比較的低い(200℃以下の)また、コンピュータなどの身近な電化製品も多くの排熱を発生しており、様々なものから排熱は発生している。排熱のエネルギー総量は膨大であるが、有効なエネルギー回収技術は確立されていない。排熱のエネルギー利用方法の一つとして、古くから知られる熱電変換素子が存在する。熱電変換では、駆動部がなく温度差から電気を直接発生させるため、火力や原子力の熱から水蒸気を発生しタービンを回し発電する方法より損失が少ない。さらに、老廃物を発生しないため環境にもやさしい。また、熱電変換素子の両端に電圧をかけると温度差が発生し、この熱電変換のゼーベック効果は1821年に発見されていたが、変換効率が低いことが問題であった。現在、200℃以下の温度で比較的効率の良い熱電変換材料としてBiTeが実用化されている。
また、Bi−Teの様に室温近傍で変換効率の良い熱電変換材料はペルチェ素子として、冷却素子としても使うことが可能であり、冷媒を用いない環境負荷の少ない冷却装置に利用可能である。近年、コンピュータの速度が上昇し続けるにつれて、コンピュータ内の回路で発生する熱量も増加し続けている。多くの回路および応用例については、熱が増加するとコンピュータの性能が落ちてしまう。これらの回路は、効率的に動作するために冷却する必要がある。コンピュータ内の回路のみでなく、インバータなどのパワーデバイスにおいても素子の冷却が必要となる場合がある。また、局所的に簡便に熱を制御でき、冷却などの熱制御が可能になれば、低温でのみ動作する素子と発熱する素子とが混載された回路素子を大規模な冷却装置無しで応用可能となる。これらの半導体デバイス等の冷却には、シリコンと整合性の高い熱電変換材料系が有利だと考えられる。
以上のように、排熱の再利用およびデバイス冷却の観点双方で、高性能な熱電変換素子が求められている。
このような熱電変換材料の性能は無次元性能指数(ZT)で評価される。
Figure 0005941562
ここで、σは電気伝導率、Sはゼーベック係数、κは熱伝導率であり、数式(1)の両辺に温度Tを掛けたものがZTである。一般に、ZTが高いものほど性能が良いため、数式(1)により、分子のゼーベック係数Sおよび電気伝導率σが高く、分母の熱伝導率κの低い材料が熱電変換材料として望ましいことが分かる。Bi−Te系材料は性能指数ZT>1と変換効率が高いが、BiおよびTeはともに高価であり、Teは極めて毒性が強いため、大量生産や低コスト化、環境負荷低減のために、BiTeに代わる高効率熱電変換材料が求められている。
低環境負荷である材料系として、シリサイド半導体やフルホイスラー合金FeVAlを基本とした熱電変換材料が特許文献1、2に報告されている。シリサイド半導体は、シリコンと金属との化合物で半導体となる材料であり、非常に安価な材料系で構成可能である。MgSiは安価なMgとSiを基本としているため、低価格で無毒な材料系で構成される。またフルホイスラー合金も同様に、Fe、V、Alなど低環境負荷でかつ低コストな元素によって構成されているため、Bi−Te系材料のように有毒なレアメタルを使用せず、産業応用上価値のある材料系である。しかしながら、200℃以下の温度領域において、Bi−Te系を超える熱電変換特性には至っておらず、今後より一層の研究開発が必要となる。
上記のように材料のバルク特性によっても大きく熱電変換素子の性能は変わるが、微粒子化のようなサイズ効果も熱電変換素子の性能を大きく改善できることも報告されている。材料をナノメートルサイズまで微粒子化することにより、粒子同士の界面が増加する。粒子同士の界面が増加するとフォノンを散乱する要因となり、熱伝導率を大幅に低減させることが可能となる。一般に熱電変換素子の性能指数ZTは熱伝導率に反比例することから、熱伝導率の低減は熱電変換素子の性能向上に極めて重要な設計指針となる。
また、低環境負荷で低コスト化の可能性のある熱電変換材料としてFeやNiなどの遷移金属硫化物も非特許文献1で報告されている。しかしながら、非特許文献1では、遷移金属硫化物へのドーピング元素種および濃度の依存性やキャリア密度の制御が行われていないため、高い熱電変換特性を発現させるために、より最適なドーピング元素の選択とキャリア密度の制御が必要である。
以上、上記のような材料のサイズおよび特性を制御する試みがこれまでの熱電変換素子において行われてきた。
特開2004−253618号公報 特開2002−270907号公報
A. Mielke, J. Phys. A: Math. Gen. 24 (1991) L73.
今後、環境・エネルギー問題はより一層重要となり、化石燃料に依存しないクリーンな発電システムへ移行して行くと思われる。その中で、地熱や排熱などこれまでにあまり利用されていないエネルギー源を活用する必要性が高まることが予想される。また、コンピュータ内の回路の排熱の再利用もしくは、コンピュータの冷却等に利用可能な室温近傍で性能が高い熱電変換素子が必要である。しかしながら、比較的低温(200℃以下)の熱電変換材料として実用化されているBi−Te系のような有毒性のあるレアメタルを用いた熱電変換素子では、大量に安価で安定的に市場に供給できないため、一般に広く普及する可能性は低い。
本発明の目的は、低環境負荷および低コスト化可能な材料系を用いた場合であっても、高いゼーベック係数を有しかつ低熱伝導率で高性能な熱電変換素子およびそれを用いた熱電変換モジュールを提供することにある。
上記目的を達成するための一実施形態として、二種類以上の格子点に分類でき、種類の異なる格子同士が連結され、前記種類の異なる格子の数が異なり、格子構造はナノ粒子もしくは半導体量子ドットを配列することによって構成された、互いに導電型の異なる領域を有することを特徴とする熱電変換素子とする。
また、格子の単位構造が完全グラフであり、格子構造はナノ粒子もしくは半導体量子ドットを配列によって構成された、互いに導電型の異なる領域を有することを特徴とする熱電変換素子とする。
また、平面グラフでかつ種類の異なる格子の副格子構造である格子をライングラフ化した格子構造が、ナノ粒子もしくは半導体量子ドットを配列することにより構成された、互いに導電型の異なる領域を有することを特徴とする熱電変換素子。
また、上記熱電変換素子を用いて熱電変換モジュールとする。
本発明によれば、低環境負荷および低コスト化可能な材料系を用いた場合であっても、高いゼーベック係数を有しかつ低熱伝導率で高性能な熱電変換素子およびそれを用いた熱電変換モジュールを提供することができる。
グラフ理論におけるグラフの説明図である。 完全グラフの一例である三角格子を示す。 リープ(Lieb)型格子の例であり、(a)(a)’はユニットセルの図、(b)は(a)に示すユニットセルを2次元方向に周期的に配列させた図、(c)は(a)’ユニットセルを1次元方向に周期的に配列させた図である。 田崎(Tasaki)型格子の単位セルの例であり、(a)は三角単位セルを、(b)は拡張三角単位セルを示す。 田崎格子を作る手順を説明するための図で、(a)は拡張単位セル、(b)は連結セルを示す。 田崎格子を作る手順を説明するための図で、振幅0の端で連結したセル構造を示す。 ライングラフの作り方を説明するための図で、(a)は六角格子、(b)は六角格子からカゴメ格子へ変化する第1段階、(c)は六角格子からカゴメ格子へ変化する第2段階、(d)はカゴメ格子を示す。 カゴメ格子のバンド図である。 本発明の第1の実施例に係る熱電変換素子を構成する微粒子熱電素子の形成工程を説明するための斜視図であり、SOI基板を準備する工程を示す。 本発明の第1の実施例に係る熱電変換素子を構成する微粒子熱電素子の形成工程を説明するための斜視図であり、SOI基板表面にレジストを塗布する工程を示す。 本発明の第1の実施例に係る熱電変換素子を構成する微粒子熱電素子の形成工程を説明するための斜視図であり、SOI基板表面に塗布して形成されたレジスト膜に対するリソグラフィ工程を示す。 本発明の第1の実施例に係る熱電変換素子を構成する微粒子熱電素子の形成工程を説明するための斜視図であり、パターニングされたレジスト膜をマスクとしてSOI基板のSi層にイオン打込みにより所望の金属元素をドープする工程を示す。 本発明の第1の実施例に係る熱電変換モジュールを構成する微粒子熱電素子の形成工程を説明するための斜視図であり、イオン打込みされたSi層をシリサイド化してSi人工格子を形成する工程を示す。 本発明の第1の実施例に係る熱電変換モジュールを製造する工程を説明するための斜視図であり、SOI基板上のSi層に図9Aから図9Eに示した工程により複数のN型領域および複数のP型領域が形成された状態を示す。 本発明の第1の実施例に係る熱電変換モジュールを製造する工程を説明するための斜視図であり、複数のN型領域および複数のP型領域が全て直列接続され、2つの引き出し電極が形成された状態を示す。 図10Bに示す熱電変換モジュールに電圧を印加したときの電子の流れを説明するための斜視図である。 図11Aに示すように熱電変換モジュールに電圧を印加したときの熱電変換モジュールの温度変化を説明するための斜視図である。 本発明の第1の実施例に係る他の熱電変換モジュールを製造する工程を説明するための斜視図であり、SOI基板上のSi層に図9Aから図9Eに示した工程によりp型領域およびn型領域が形成された状態を示す。 本発明の第1の実施例に係る熱電変換モジュールを製造する工程を説明するための斜視図であり、P型領域およびN型領域が部分的に直列接続され、周囲に多数の引き出し電極が形成された状態を示す。 従来の熱電変換モジュールを説明するための斜視図であり、複数の下部電極上に複数のP層とN層とが配置された状態を示す。 従来の熱電変換モジュールを説明するための斜視図であり、図13Aに示す複数のP層とN層の全てが直列接続されるように複数の下部電極に対して複数の上部電極がずれて配置された状態を示す。 本発明の第2の実施例に係る熱電変換モジュールの組み立て直前の状態を示す斜視図である。 本発明の第2の実施例に係る熱電変換モジュールの斜視図である。
Siなどの半導体デバイスと整合性が良く、安価な材料系としては、まずSiおよびGeを主としたIV族半導体材料があげられる。また、Siと金属の化合物であるシリサイドやGeの金属の化合物であるゲルマニドも整合性の良い材料である。熱起電力は、物質の電子状態に強く依存し、フェルミレベル近傍の状態密度の変化が急峻な材料が良い。状態密度の変化が大きい材料としては、局在した電子状態である必要があるため、遷移金属のようなd軌道の電子がフェルミレベル近傍の電子状態に寄与している材料系が一つの候補となる。
比較的安価な遷移金属としては、鉄(Fe)やマンガン(Mn)が挙げられる。このFeの3dに由来する状態がフェルミレベル近傍にある材料系を母相とする材料系であれば、地殻埋蔵量が多く、低環境負荷の熱電変換材料の作製が可能となる。そこで、Si、Geなどの材料とともに、MnSiおよびβ−FeSiなどのシリサイド半導体微粒子を用いることが望ましい。MoSi、TiSi、TiGe、ZrSn、V17Ge31、Cr11Ge19、MoGe16、Mo13Ge23、RuGe、RuSi、OsGe、OsSi、Rh17Ge22、MnSi、ReGe、Mn11Si19、Mn15Si26、Mn27Si47、Mn26Si45、MnSi12、Mn19Si33、Mn39Si68、IrGe、CoSiなどの材料系を用いても良い。Siなど半導体デバイス上で作製が困難な材料であるBi−Te系材料やパイライト構造のFeS、AuSb、CaC、CoS、MnS、NiS、NiSe、OsS、OsTe、PdAs、PtAs、PtBi、RhSe、RuSなどや酸化物、ホイスラー合金、クラスレート材料などを用いても良い。
上記材料系をナノ粒子にして分散もしくは、人工格子として規則的に配列させることによって、単純な材料系より、さらに高い状態密度および熱起電力を実現する。そのためには、人工格子として好ましい形状は、フラットバンドを形成する可能性のある人工格子が考えられる。フラットバンドは、電子のエネルギー分散が波数依存性をほとんど持たないバンド構造のことであり、このようなバンド構造を人工的に作ることができれば、大きな熱起電力が期待できる。フラットバンドを有する格子が多数存在することは、リープ(Lieb)、田崎、ミールケ(Mielke)らによって明らかにされている。これらの3つの格子構造を以下で説明する。
フラットバンドを有する格子を説明するために、形状を定義するためのグラフ理論について必要な概念の定義を示す。
1.Qを有限集合、EをQの2点からなる集合とする。QとEからなる組をグラフ、Qの元をグラフの頂点(vertex)、Eの元をグラフの辺(edge)と呼ぶ。また、Qを頂点集合、Eを辺集合とよび、グラフをGと記す。
2.Q={1、2、……n}に対して、Eが個からなる全ての頂点対であるとき、QとEからなるグラフをn頂点の完全グラフとよぶ。
3.平面グラフ:複数の辺(edge)が頂点(vertex)でのみ交わっているグラフを平面グラフとする。
図1にグラフの例を示す。図1では、グラフGの頂点(黒丸)集合をQ={1、2、3、4}、辺集合をE={{3、2}、{2、1}、{3、4}}とした例を示している。図1に示すように、頂点(黒丸)と辺(頂点同士を結ぶ線)の集合により格子同士がどのようにつながっているかを定義可能である。また、図2に完全グラフの一例である三角格子を示す。図2のように全ての頂点集合が辺によって全ての頂点とつながっているとき完全グラフと言う。このようにグラフを単位として、周期的に配列させる事によって、次元の人工格子の形状を定義できる。グラフにおける頂点部分を微粒子もしくは量子ドットを配列させる位置とし、辺を電子の飛び移りの可能な半導体細線や金属細線もしくは微粒子間の接合部と対応させることにより実際の人工格子の設計指針が得られる。
人工格子の望ましい形状の例1:リープ型
図3はリープ(Lieb)型格子の例であり、(a)(a)’はユニットセルの図、(b)は(a)に示すユニットセルを2次元方向に周期的に配列させた図、(c)は(a)’ユニットセルを1次元方向に周期的に配列させた図を示す。リープ型は図3(a)に示すようなAおよびBの二つの副格子からなる格子であり、AとBの間に辺(edge)がある構造である。またAとBの格子点の数が異なることを特徴としている。図3では格子点の比(A:B)が2:1となっている例を示している。図3(a)では、4隅の頂点Bはそれぞれ1/4と数え合計1点であり、4辺Aはそれぞれ1/2と数え合計2点となる。そこで、図3(a)’のように書くこともできる。このような格子構造のハミルトニアンを考えると、
Figure 0005941562
上記の数式(2)のようにとることができる。ここで、TBAおよびTABはAからBサイトへの飛び移り積分であり、TABは「Aサイトの数」×「Bサイトの数」行列である。数式(2)を行と列の変換を行うと、
Figure 0005941562
上記の数式(3)のようになる。AとBの格子点の数が異なるので、「Aサイトの数」>「Bサイトの数」とすると、Hは少なくとも「Aサイトの数」−「Bサイトの数」個のゼロ固有値をもつ。これは、周期的な格子の場合、フラットバンドとなることを意味している。従って、リープ型で重要な規則は、AおよびBの二つの副格子からなる格子からなり、AとBの格子点の数が異なることを特徴としており、この条件を満たす構造が望ましい。図3の構造はその一例であり、AおよびBの二つの副格子からなる格子からなり、図3(a)に示すAとBの格子点の数が異なる単位ユニットを2次元に周期的に配列した2次元格子(図3(b))でも、図3(a)’に示す形状を1次元に周期的に配列した1次元格子(図3(c))でも良い。なお、図3(c)は、1次元方向にしか周期的ではないため、図3(a)のように4隅のすべてのBサイトが現れるわけではなく、上の列のサイトは存在しないが、ユニットセルとの対応を分かり易くするために、点線部分を記載している。
人工格子の望ましい形状の例2:田崎型
田崎型では、単位となるセルが完全グラフであるという特徴を持つ。田崎格子は基本となるセルの選び方が重要で、単位となるセルに生じた局在固有状態がセルを連結していっても形を変えず局在固有状態であり続けることによって、フラットバンドが作られる格子である。図2に示す三角格子は完全グラフの一例であり、全ての格子点間が辺でつながっている。図4(a)に示すような三角単位セルのハミルトニアンは飛び移り積分の値を1、オンサイトエネルギーも1とすると、
Figure 0005941562
上記のような数式(4)のように表される。この固有値は2重縮退したゼロ固有値をとる。田崎型では、このようなゼロの固有状態を持つ固有状態をうまく連結していくことによって、局在固有状態を維持することにより、フラットバンドを有する格子を作ることができる。以下、田崎型の格子をつくる手順は、まず、完全グラフとなる単位セルのゼロ固有値を有する固有状態に着目する。図4(b)のような拡張三角単位セルのハミルトニアンHは、
Figure 0005941562
上記のような数式(5)のように表される。ここで、tは飛び移り積分の値、λは定数。このような系のゼロ固有値の固有状態一つΨaは、
Figure 0005941562
上記のような数式(6)のように表される。従ってこのような固有状態では、図5(a)に示すように各サイト(1〜3)で電子はそれぞれの振幅(0、1/λ、−1)の状態となる。次に、図5(a)のような2つの単位セルを、図5(b)のように−1の振幅をもつサイトが重なるように結合する。図5(b)のような連結系のハミルトニアンHは、
Figure 0005941562
上記のような数式(7)のように表される。この時のゼロ固有値の固有状態の一つΨH2は、
Figure 0005941562
上記のような数式(8)のように表される。これは端の振幅が0となる局在状態である。図6は田崎格子を作る手順を説明するための図で、振幅0の端で連結したセル構造を示す。このような端の振幅が0の状態を有する連結セルができたら、次に振幅が0のサイト同士を連結していっても、局在状態は形を維持して全ハミルトニアンのゼロ固有値の固有関数であり続けることが確認できる。そして、この局在固有状態は隣のユニットセルに広がる局在固有状態と重なりを持ち、リープ型と同様にフラットバンドの固有状態は多重縮退した非直交局在状態である。以上の手順により、フラットバンドを有する格子を作製できる。従って、完全グラフである単位セルを連結して形成した格子を用いることによって、フラットバンドを実現可能であり、局在状態を有する完全グラフ形状の単位セルを有する格子が望ましい形状の一つである。
人工格子の望ましい形状の例3:ミールケ型
ミールケ型の格子は、平面グラフでかつ、Aという格子およびBという格子の二つのAB副格子における格子をグラフGとした時のライングラフLの構造を格子としたものであるという特徴をもっている。以下、ライングラフの作り方を、図7を用いて具体的に説明する。図7(a)に六角格子の形をしたグラフGを示す。この六角格子は同一種類の格子が副格子をなしている構造と見ることができる。この六角格子系のグラフGの各辺の中点に新たな頂点を置く。そのように頂点を配置すると図7(b)のようになる(第1段階)。新たに配置した相異なる頂点が乗っているGの辺が、一つのGの頂点で繋がっていたら、その二つを新たな辺で結ぶと図7(c)のようになる(第2段階)。図7(d)に示すような、上記一連の操作によりできた新しいグラフを「Gのライングラフ」と呼び、Lと表す。図7(a)と図7(d)の関係性により、六角格子形状のグラフのライングラフは、カゴメ格子(結晶格子において原子などが籠目状に配列したパターンをいう)となることがわかる。従って、カゴメ格子はミールケ型格子の一種であることがわかる。また、上記のような構造を有するミールケ型の格子において、タイトバインディングモデルを用いて、ハミルトニアンを解くとフラットバンドが存在する。カゴメ格子を飛び移り積分の値を1として、タイトバインディングモデルで解いた時のバンド図を図8に示す。実際、エネルギーE=−2においてフラットバンドがあることがわかる。従って、上記のような平面グラフでかつ、Aという格子およびBという格子の二つのAB副格子における格子をグラフGとした時のライングラフLの構造を格子とした構造を有する人工格子形状が望ましい。
以上のような、格子はナノ粒子もしくは量子ドットを並べることによって、構成することができる。ナノ粒子自体を格子点に配置させることによって人工格子を作っても良い。また、半導体細線の交差する領域は量子ドットとして作用することが知られており、そのような量子ドット領域を格子点としても良い。上記のような、格子構造は、電子線リソグラフィを用いて、格子構造を作製しても良い。また、微粒子の自己組織化を用いても良い。いずれの方法によって作製しても、熱電変換材料の結晶構造は、X線回折(XRD)によって容易に確認ができる。また、TEM(Transmission Electron Miroscope)などの電子顕微鏡により格子像を観察することや電子線回折像においてスポット状パターンやリング状パターンから単結晶もしくは多結晶の結晶構造を確認することができる。試料の組成分布はEDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy)などのEPMA(Electron Probe MicroAnalyser)や、SIMS(Secondary Ionization Mass Spectrometer)、X線光電子分光、ICP(Inductively Coupled Plasma)ななどの手法を用いて確認できる。また、材料の状態密度の情報に関しては、紫外線光電子分光法やX線光電子分光などによって確認できる。電気伝導率およびキャリア密度は4端子法を用いた電気測定およびホール効果測定によって確認できる。ゼーベック係数は、試料両端に温度差をつけ、両端の電圧差を測定することによって確認できる。熱伝導率はレーザーフラッシュ法によって確認できる。また、人工格子の配列はSEM(Scanning Electron Miroscope)やTEMで容易に確認できる。
以下、上記構成を有する試料作製の一例を示す。ここで、作製例は一例であって、当該作製条件に限定されるものではないことは云うまでも無い。
(試料作製例1)
熱酸化膜を有するSi基板に、SiとMnの組成が3:1混合ターゲットを用いて、スパッタリングすることにより300nm程度の膜厚の薄膜を作製し、窒素雰囲気中で800℃の条件で、1時間熱処理を行った。その後、1mol/lの水酸化カリウム水溶液に20秒程度浸した。原子間力顕微鏡(AFM)で表面の粗さを測定した結果、表面粗さが増大した。これは水酸化カリウムに浸すことによって、Si領域が溶かされ、MnSi1.75を表面に露出したことによる。薄膜のX線回折を行って構造解析した結果、MnSi結晶のピークが観測できた。また、AFMおよびTEMを用いて粒径を測定したところ5〜20nmの微粒子の作製を確認することができた。
(試料作製例2)
酸化膜を有するSi基板上に厚さ100nmのSi単結晶を有するSOI(Silicon on insulator)基板に対して、イオン打ち込み法によりMnを注入し、窒素雰囲気中で700℃の条件で、1時間熱処理を行った。その後、TEMを用いて粒径を測定したところ5〜10nmの微粒子観測でき、電子線回折から、SiをホストとしたMnSi結晶の微粒子が分布した薄膜を作製することができた。
(試料作製例3)
20nm程度のSi単結晶層を有するSOI基板上に、ポジ型の電子線リソグラフィ用レジスト膜をスピンコートによって形成し、カゴメ格子構造となるようにレジスト膜をパターニングした。その後、150℃でポストベークを行い、その後、数秒ほど5%程度の濃度のHFに浸した後、純粋でリンスし、1mol/lの水酸化カリウム水溶液に2分程度浸した。その後、レジスト膜を除去し、カゴメ格子構造のSiの人工格子構造を得た。
(試料作製例4)
20nm程度のSi単結晶層を有するSOI基板上に、ネガ型の電子線リソグラフィ用レジスト膜をスピンコートによって形成し、カゴメ格子構造のレジストが除去された領域をパターニングした。その後、レジスト膜が付いた試料に、スパッタリング装置によりMn金属膜を10nm積層した後、リフトオフしカゴメ格子構造のMn金属膜が丈夫に積層したSOI基板を得た。その後、窒素雰囲気中で700℃の条件で、1時間熱処理を行った。その試料を1mol/lの水酸化カリウム水溶液に2分程度浸した。SEMで薄膜を確認するとカゴメ格子構造が得られ、XRDで確認すると、カゴメ格子構造の薄膜はMnSi結晶膜であった。
(試料測定例1)
作製例3と作製例4で作製した試料に室温と20℃の温度差を作り、ゼーベック係数を測定した。その結果、それぞれ350μV/K、300μV/Kの高いゼーベック係数を得た。これにより、カゴメ格子構造の薄膜には、高いゼーベック係数を発現し、高い熱起電力を有する材料系であることを確認した。
薄膜等の試料作製方法は、上記以外の分子線エピタキシーのような真空蒸着法でも、遷移金属錯体などを用いた化学気相成長を用いても良い。一般的な化学蒸着(CVD)の方法を用いて人工的に微粒子やナノワイヤーを作製して、その後、分散し自己組織化等の手法を用いて格子構造を作製しても良い。自己組織化させる微粒子の作製方法としては、Siや遷移金属錯体を含む分子を有機溶媒中で加熱還流し、有機溶媒中で分子を熱分解させ、微粒子を作製しても良い。
ここでは、カゴメ格子にした材料としてSiおよびMnSiについての実施例を記したが、その他、TiSi、TiGe、V17Ge31、Cr11Ge19、MoGe16、や、フルホイスラー合金もしくはハーフホイスラー合金、β−FeSiなどの材料系を母材料としてドーピングを行った材料系でも良い。
上述したように、様々な材料系の格子構造を制御することにより、人工的なバンド構造を構築し、フェルミレベルにおける電子状態を変調し、高い熱起電力を実現できる。また、安価で枯渇の懸念が少ない材料を組み合わせることによって、Bi−Te系と比較し大幅なコスト低減が可能となる。
本発明の第1の実施例について図9A〜図12Bを用いて説明する。なお、発明を実施するための形態の欄に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が無い限り本実施例にも適用することができる。
まず、本発明の第1の実施例に係る熱電変換素子を構成する微粒子熱電素子の製造工程について図9A〜図9Eを用いて説明する。図9Aは、Si基板101上にSiO層102と単結晶のSi層103とが順次積層されたSOI基板100を準備する工程を示す。Si層103の厚さは20nmとした。次いで、SOI基板100のSi層103の表面に電子線リソフラフィ用のポジ型レジストを塗布してレジスト膜104を形成した(図9B)。引き続き、電子線リソグラフィによってレジスト膜104をパターニングし、複数の開口部を有するレジスト膜104’とした(図9C)。開口部にはSi層103が露出された状態となる(Si層103の表面にSiO等の絶縁膜を有する場合もある)。次に、イオン打込み120により、パターニングされたレジスト膜104’をマスクとして所望の金属元素(ここではMn)をSOI基板100のSi層103にドープする(図9D)。なお、キャリアタイプは価電子数の異なるFeやCrなどを導入することにより変えることができる。次に、レジスト膜104’を除去後、700℃で熱処理を行って金属元素がドープされた領域をシリサイド層130とし、微粒子熱電素子を形成した(図9E)。なお、N型領域とP型領域とを造り分け、これらの領域を直列接続することにより熱電変換素子を製造することができる。また、本実施例では微粒子として説明したが量子ドットで構成してもよい。また、シリサイド層の抵抗率としては、10μΩm〜1000μΩmを用いることができる。本実施例に係る微粒子人工格子系を用いた熱電変換素子は室温近傍で無次元性能指数ZTが3を超えており、従来のBiTeを用いた場合に(ZT≒1)に比べて熱電変換効率を50%〜100%向上することが可能である。
次に、本実施例に係る熱電変換モジュールの製造工程について図10Aおよび図10Bを用いて説明する。図10Aは、本実施例に係る熱電変換モジュールを製造する工程を説明するための斜視図であり、SOI基板100に図9Aから図9Eに示した工程により複数のN型領域140および複数の(ここでは、N型領域と同数の)P型領域145が形成された状態を示す。なお、N型領域140およびP型領域145の詳細構成は、図10Aの左側の拡大図に示すように図9Eと同様である。引き続き、複数のN型領域及び複数のP型領域を全て直列接続する電極と2つの引き出し電極150を形成する(図10B)。電極作製の方法としては、イオン打ち込みや真空蒸着等を用いる。これにより、面内温度制御型熱電変換モジュールを製造することができる。
図11Aは、図10Bに示す熱電変換モジュールに電圧を印加したときの電子の流れを説明するための斜視図である。引き出し電極間に電圧を印加することにより、電子は図面右端上部の引き出し電極150(電源の陰極側に接続)からP型領域145に流入し、直列接続されたN型領域140へ、更にP型領域へと破線の矢印に示したように順次各領域を流れ、図面上端右寄り部の引き出し電極150(電源の陽極側に接続)から流れ出る。図11Bは、図11Aに示すように熱電変換モジュールに電圧を印加したときの熱電変換モジュールの温度変化を説明するための斜視図である。このように電子を流すことにより、図11Bに示すように、温度制御可能部分160である熱電変換モジュールの中央領域が冷却され、周囲の温度が上昇する。即ち、本熱電変換モジュールにより、面内の温度を制御することが可能である。
本実施例に係る他の熱電変換モジュールの製造工程について図12Aおよび図12Bを用いて説明する。図12Aは、本実施例に係る熱電変換モジュールを製造する工程を説明するための斜視図であり、SOI基板100に図9Aから図9Eに示した工程により複数のN型領域140および複数の(ここでは、N型領域と同数の)P型領域145が形成された状態を示す。なお、N型領域140およびP型領域145の詳細構成は、図10Aの左側の拡大図に示すように図9Eと同様である。引き続き、複数のN型領域及び複数のP型領域を部分的に直列接続する電極と複数の引き出し電極150を形成する(図12B)。領域毎に印加する電圧を変えることができるため、図10Bに示す熱電変換モジュールよりも精密な温度制御が可能な面内温度制御型熱電変換モジュールを製造することができる。
以上、本実施例によれば、低環境負荷および低コスト化可能な材料系を用いた場合であっても、高いゼーベック係数を有しかつ低熱伝導率で高性能な熱電変換素子およびそれを用いた熱電変換モジュールを提供することができる。
本発明の第2の実施例について説明する。なお、発明を実施するための形態の欄及び実施例1のいずれかに記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が無い限り本実施例にも適用することができる。
図13A、図13Bは、従来の熱電変換モジュールを説明するための斜視図であり、図13Aは複数の下部電極250の上に複数のN層240と複数のP層245とが配置された状態を、図13Bは図13Aに示す複数のN層240と複数のP層245の全てが直列接続されるように複数の下部電極に対して複数の上部電極がずれて配置された状態を示す。本熱電変換モジュールは、全て直列接続されたN層とP層に対して、例えば、下部電極の下端右側の引き出し電極250に電源の陰極側を接続した場合、この引き出し電極からN層を介して上部電極へ電子が流れる。電子は更にこの上部電極から隣接するP層を介して下部電極へ流れ、最終的には下部電極の下端左側の引き出し電極(電源の陽極側に接続)から流れ出る。本従来の熱電変換モジュール280はデバイス面に垂直方向に温度勾配を有する面直温度制御型熱電変換モジュールである。
本実施例では、実施例1に示した面内温度制御型熱電変換モジュールと上記従来の面直温度制御型熱電変換モジュールとを組み合わせた構成について説明する。
図14Aは、本発明の第2の実施例に係る熱電変換モジュールの組み立て直前の状態を示す斜視図である。本熱電変換モジュールは、従来の面直温度制御型熱電変換モジュール280と、中間デバイスの外周のみ熱を伝えるための層170と、図10Bに示した実施例1の面内温度制御型熱電変換モジュール180(中間デバイス)と、中間デバイスの外周のみ熱を伝えるための層170と、従来の面直温度制御型熱電変換モジュール280とを構成要素として含む。図14Bは、本発明の第2の実施例に係る熱電変換モジュールの斜視図である。この構成とすることにより、中心部の温度をより低温化可能な熱電変換モジュールとすることができる。
以上、本実施例によれば、低環境負荷および低コスト化可能な材料系を用いた場合であっても、高いゼーベック係数を有しかつ低熱伝導率で高性能な熱電変換素子を用いた熱電変換モジュールを提供することができる。また、従来の面直温度制御型熱電変換モジュールと組み合わせることにより、中心部の温度をより低温化することが可能となる。
以上、本願発明を詳細に説明したが、以下に主な発明の特徴を列挙する。
SiやGeおよびその金属の化合物(シリサイドやゲルマニド)をリソグラフィ技術もしくは自己組織化技術を用いてナノサイズの微粒子もしくは量子ドットにし、なおかつ微粒子もしくは量子ドットの一部もしくは全体を規則的に配列させることによって、状態密度の向上および熱伝導率を低減させることができる。また、規則的な配列を作ることにより、人工格子形成させ、フラットバンドのような電子のエネルギー分散が波数依存性をほとんど持たないバンド構造を人工的な微粒子の格子により作り、状態密度が巨大な系を作ることを特徴とする。
具体的には、Si、SiGe、シリサイド半導体FeSi、MnSi1.7、β−FeSiもしくはMgSi主成分としたナノ微粒子をホスト材料に分散もしくは規則的な人工格子を形成させた熱電変換材料である。ナノサイズの粒子を人工格子上に配列することによって、エネルギーポテンシャルの高い領域と低い領域が形成され、電子が閉じ込められた量子ドットとなる領域が形成する。隣接した量子ドット間を電子は移動可能であり、特定の形状の人工的な格子形状を作ることによって、電子のエネルギー分散が波数依存性をほとんど持たないフラットバンド構造が電子エネルギーバンドに含まれるようしたことを特徴とする半導体超格子熱電変換材料を提供する。
本発明によれば、半導体材料を微粒子化することによって状態密度を向上させ、ゼーベック係数を増大させることができる。また、ナノ微粒子が分散または規則的な構造を有しており、通常のバルク材料に比べ、微粒子界面が多く存在することにより、熱伝導率を大幅に低減可能である。また、カゴメ格子(結晶格子において原子などが籠目状に配列したパターンをいう)のような人工格子を形成させる事によって微粒子を人工原子と見なした系を作製させることができ、人工原子系によるバンド構造を制御することによって系全体の状態密度を変化させ、より高い熱起電力を実現可能である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
100…SOI基板、
101…Si基板、
102…SiO層、
103…Si層、
104、104’…レジスト膜、
120…イオン打込み、
130…シリサイド層、
140…N型領域、
145…P型領域、
150…電極、
160…温度制御可能部分、
170…中間デバイスの外周のみ熱を伝えるための層、
180…面内温度制御型熱電変換モジュール、
240…N層、
245…P層、
250…電極、
280…従来の熱電変換モジュール。

Claims (13)

  1. 二種類以上の格子点に分類でき、種類の異なる格子同士が連結され、前記種類の異なる格子の数が異なり、格子構造はナノ粒子もしくは半導体量子ドットを配列することによって構成された、互いに導電型の異なる領域を有することを特徴とする熱電変換素子。
  2. 格子の単位構造が完全グラフであり、格子構造はナノ粒子もしくは半導体量子ドットを配列によって構成された、互いに導電型の異なる領域を有することを特徴とする熱電変換素子。
  3. 平面グラフでかつ種類の異なる格子の副格子構造である格子をライングラフ化した格子構造が、ナノ粒子もしくは半導体量子ドットを配列することにより構成された、互いに導電型の異なる領域を有することを特徴とする熱電変換素子。
  4. 請求項3記載の熱電変換素子において、
    前記格子構造はカゴメ格子構造であり、
    前記ナノ粒子の配列もしくは前記半導体量子ドットの配列は、ナノコンポジットもしくは半導体薄膜を用いて形成されたものであることを特徴とする熱電変換素子。
  5. 請求項1に記載の前記格子構造を有する薄膜材料の主成分が、Si、Ge、Fe、Mn、Ti、Moのいずれかであることを特徴とする熱電変換素子。
  6. 請求項2に記載の前記格子構造を有する薄膜材料の主成分がSi、Ge、Fe、Mn、Ti、Moのいずれかであることを特徴とする熱電変換素子。
  7. 請求項3に記載の前記格子構造を有する薄膜材料の主成分がSi、Ge、Fe、Mn、Ti、Moのいずれかであることを特徴とする熱電変換素子。
  8. 請求項1に記載の熱電変換素子を用いたことを特徴とする熱電変換モジュール。
  9. 請求項2に記載の熱電変換素子を用いたことを特徴とする熱電変換モジュール。
  10. 請求項3に記載の熱電変換素子を用いたことを特徴とする熱電変換モジュール。
  11. 請求項8記載の熱電変換モジュールにおいて、
    面内温度制御型熱電変換モジュールと面直温度制御型熱電変換モジュールとが含まれていることを特徴とする熱電変換モジュール。
  12. 請求項9記載の熱電変換モジュールにおいて、
    面内温度制御型熱電変換モジュールと面直温度制御型熱電変換モジュールとが含まれていることを特徴とする熱電変換モジュール。
  13. 請求項10記載の熱電変換モジュールにおいて、
    面内温度制御型熱電変換モジュールと面直温度制御型熱電変換モジュールとが含まれていることを特徴とする熱電変換モジュール。
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