以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、後述する外枠11に対して内枠12と前面枠セット14とを開放した状態を示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。よって、釘やリベットを使って各板材を組み付けていた従来構造と比べて、構成部材の再利用が容易にされている。本実施の形態では、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。なお、外枠11を樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成するようにしてもよい。
内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂により構成されている。ABS樹脂は、材料コストが安価で、メッキ等ののりが良く装飾性に優れ、耐衝撃性が大きいので、内枠12の構成材料として好適である。内枠12の開閉軸線は、パチンコ機10の正面からみて遊技球発射ハンドル18の設置箇所の反対側に上下に延設されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に開放できるようにされている。開閉軸線は遊技球発射ハンドル18の反体側に設けられているので、内枠12を大きく開放することができる。通常パチンコホールでは、パチンコ機10は互いに隣接して配設されるので、開閉軸線を遊技球発射ハンドル18側に設けると、内枠12と共に開放される遊技球発射ハンドル18が隣のパチンコ機10に当接して開放量が減少してしまうからである。
内枠12には、その最下部に下皿ユニット13が取り付けられると共に、下皿ユニット13を除く範囲で内枠12を覆うようにして前面枠セット14が取り付けられている。下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。また、前面枠セット14は、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。この内枠12の外周には、前面側へ突設された外周壁が形成されており、その外周壁の内側に前面枠セット14が配設される。即ち、内枠12に前面枠セット14を取り付けた状態では、前面枠セット14の側面外周は、内枠12の外周壁により囲繞されるので、内枠12と前面枠セット14との間への針金等の挿入を困難なものにして、不正行為を抑制することができる。
内枠12の上部には、円柱状に突出した押しボタン型の開閉スイッチ25が設けられている。この開閉スイッチ25は、前面枠セット14の開閉状態を検出するためのスイッチである。前面枠セット14が内枠12に対して閉じられている場合には開閉スイッチ25が押圧状態となり、逆に、前面枠セット14が内枠12に対して開放されている場合には開閉スイッチ25は非押圧の突出状態となって、前面枠セット14の開閉状態を検出する。また、内枠12の左上部(図2参照)には、配線孔26が穿設されている。配線孔26は、前面枠セット14の配線を内枠12を通過させて遊技盤30の裏面に配設するための孔である。配線孔26の角部にはRが形成されており、配線孔26内に配線される各コードが、角部で損傷しないようにされている。なお、図4に示す通り、遊技盤30の左上部にも配線孔26に対応して、配線孔27が穿設されている。
図3は、パチンコ機10から前面枠セット14を取り外した状態を示した正面図である。図3では、便宜上、遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している。図3に示すように、下皿ユニット13には、ほぼ中央部に球受皿としての下皿15が設けられ、排出口16から排出された遊技球が下皿15内に貯留可能に構成されている。下皿ユニット13は、内枠12と同様に、難燃性のABS樹脂により形成されている。必ずしも、この下皿15のすべてをABS樹脂で形成することは必要でないが、少なくとも下皿15の表面部分、即ち下皿15の表面層と下皿15奥方の前面パネルとをABS樹脂で形成することが好ましい。下皿15には、火のついた煙草が放置される危険があるので、少なくともその表面部分を難燃性のABS樹脂で形成することにより、パチンコ機10の損傷や火災の発生を抑止できるからである。なお、前面パネルには、図示しないスピーカからの音を出力するためのスピーカ孔24が穿設されている。
下皿15の正面下方部には、下皿15に貯留された遊技球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー17が設けられている。この球抜きレバー17は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿15の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から遊技球が自然落下して排出される。かかる球抜きレバー17の操作は、通常、下皿15の下方に、下皿15から排出された遊技球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。また、下皿15の右方には、遊技球発射ハンドル18が下皿ユニット13から手前側へ突出した状態で配設されると共に、下皿15の左方には灰皿が片持状に取着されている。灰皿は下皿15に回転可能に取着された軸と共に手前方向及び奥方向へ回転可能にされている。このように、下皿15の一側に遊技球発射ハンドル18を、他側に灰皿を配設することにより、下皿ユニット13の左右の美的バランスを保ってパチンコ機10の装飾性を向上させている。
一方、図1に示すように、下皿15の上方における前面枠セット14には、球受皿としての上皿19が一体的に設けられている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置へ導出するためのものである。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方において内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたが、本実施の形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。これは、本実施の形態の前面枠セット14は、従来のパチンコ機より大きく形成した遊技領域を外部から視認できるようにするために略楕円形状に大きく欠成された窓部101を備えているので、前面枠セット14の強度を少しでも向上させるべく、該前面枠セット14に上皿19を一体化して形成しているのである。この上皿19も下皿15と同様に、少なくとも表面層が難燃性のABS樹脂にて形成されている。なお、遊技領域が、従来のパチンコ機に比べて如何に大きく形成されているかについては後述する。
また、図3において、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。この樹脂ベース20の後側には、遊技盤30が内枠12に対して着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板より構成され、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、遊技盤30の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは452mmとなっている(従来と同等サイズ)。即ち、遊技盤30を、従来のパチンコ機と同等サイズで形成しつつ、遊技領域を、従来のパチンコ機より大きく形成しているのである。
次に、図4を参照して遊技盤30の構成を説明する。遊技盤30には、複数の一般役物入賞装置31と、遊技球が入賞することによって後述する可動片33a1(図6参照)を所定駆動させ得る第1抽選口32aと、同じく遊技球が入賞することによって後述する可動片33a1を所定駆動させる第2抽選口32bと、遊技球が入賞することによって可動片33a1を2回開放駆動させる2回開放口32cと、遊技球が入賞することによって遊技者に所定の遊技価値(大当たり)を付与するV入賞口33b5を有した役物可変入賞装置33等とがルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30の前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般役物入賞装置31、第1抽選口32a、第2抽選口32b、2回開放口32c、並びに、役物可変入賞装置33に遊技球が入球し、後述する各検出スイッチから所定の出力がなされると(所謂、入賞)、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
第1抽選口32aは、遊技盤30下方左側に設けられ、この第1抽選口32aに配設された第1抽選口スイッチ32a1(図28参照)によって遊技球が検出されると、後述する抽選カウンタ503e(図28参照)の値に応じて、可動片33a1を0回、1回又は2回開放駆動させるように構成されている。また、この第1抽選口32aには、第1抽選ランプ33a2が設けられており、第1抽選口32aに入賞した遊技球に基づく抽選結果を報知するように構成されている。具体的には、可動片33a1を0回開放駆動させる抽選結果が導出された場合、即ち、可動片33a1を開放駆動させない場合には、「×」ランプ(バツ表示ランプ)を点灯させる一方、可動片33a1を1回開放駆動させる抽選結果が導出された場合には、「○」ランプ(マル表示ランプ)を点灯させ、また、可動片33a1を2回開放駆動させる抽選結果が導出された場合には、「V」ランプ(V表示ランプ)を点灯させるように構成されている。
第2抽選口32bは、遊技盤30下方左側に設けられ、この第2抽選口32bに配設された第2抽選口スイッチ32b1(図28参照)によって遊技球が検出されると、後述する抽選カウンタ503e(図28参照)の値に応じて、可動片33a1を0回、1回又は2回開放駆動させるように構成されている。また、この第2抽選口32bには、第2抽選ランプ33b2が設けられており、第2抽選口32bに入賞した遊技球に基づく抽選結果を報知するように構成されている。具体的には、可動片33a1を0回開放駆動させる抽選結果が導出された場合、即ち、可動片33a1を開放駆動させない場合には、「×」ランプ(バツ表示ランプ)を点灯させる一方、可動片33a1を1回開放駆動させる抽選結果が導出された場合には、「○」ランプ(マル表示ランプ)を点灯させ、また、可動片33a1を2回開放駆動させる抽選結果が導出された場合には、「V」ランプ(V表示ランプ)を点灯させるように構成されている。
本実施の形態では、第1抽選口32aに遊技球が入賞した場合には第1抽選ランプ33a2を点灯するように構成し、また、第2抽選口32bに遊技球が入賞した場合には第2抽選ランプ32b2を点灯するように構成されている。よって、遊技球が入賞した抽選口32a,32bの抽選口ランプ32a2,32b2をそれぞれ点灯することができるので、遊技球の流入方向に応じた遊技結果を示唆することができる。
2回開放口32cは、遊技盤30下方中央位置に設けられ、この2回開放口32cに配設された2回開放口スイッチ32c1(図28参照)によって遊技球が検出されると、可動片33a1を2回開放駆動させるように構成されている。
ここで、図5及び図6を参照して、役物可変入賞装置33について説明する。図5は、役物可変入賞装置33の斜視図であり、図6は、役物可変入賞装置33の分解斜視図である。役物可変入賞装置33は、複数の部材を組み立てて構成しており、役物部33aと、振分部33bとで構成されている。
役物部33aは、可動片33a1と、その可動片33a1を開閉駆動させる可動片駆動ソレノイド33a2と、役物可変入賞装置33に流入した遊技球を検出する役物入賞検出スイッチ33a3と、役物可変入賞装置33に入賞した球をV入賞部33b4へ入賞させ易くするための役物33a4と、その役物33a4を駆動させる役物駆動モータ33a5と、大当たりのラウンド数を表示するラウンド表示部33a6とを備えている。また、振分部33bは、役物可変入賞装置33へ流入した遊技球を後述するV入賞口33b5へ搬送するために傾斜が設けられた搬送板33b2と、その搬送板33b2の上方中央位置に配設されて該搬送板33b2を流下する遊技球を左右方向のいずれかに振り分ける突起33b3と、搬送板33b2にそれぞれ穿設されて後述する2のロケット部材33b7を駆動可能にする2のロケット孔33b4と、大当たりを発生させるV入賞口33b5と、そのV入賞口33b5を流下する遊技球を検出するV入賞検出スイッチ33b6と、搬送板33b2を流下する遊技球の流下方向に可変的に干渉する2のロケット部材33b7と、その2のロケット部材33b7をそれぞれ駆動するロケット駆動モータ33b8とを備えている。
ここで、役物可変入賞装置33の各部材について説明する。可動片33a1は、遊技領域に打ち込まれた遊技球を役物可変入賞装置33内へ流入させ易くするための部材であり、役物可変入賞装置33の左右両側に配設されている。この可動片33a1は、第1抽選口32a、第2抽選口32b又は2回開放口32cに遊技球が入賞することによって、可動片駆動ソレノイド33a2により所定回数開閉駆動するように構成されている。
可動片駆動ソレノイド33a2は、上記した可動片33a1を駆動するために可動片33a1と連結されており、役物部33aの背面側(図6の紙面右側)、即ち、遊技盤30に役物可変入賞装置33を配設した場合に遊技者から視認できない位置に配設されている。この可動片駆動ソレノイド33a2は、第1抽選口32a、第2抽選口32b又は2回開放口32cに遊技球が入賞して可動片33a1を開放駆動する場合にオンされ、この可動片駆動ソレノイド33a2がオンされることによって、可動片駆動ソレノイド33a2と連結された可動片33a1が開放駆動し、役物可変入賞装置33内に遊技球が入賞し得る状態となるように構成されている。
役物入賞検出スイッチ33a3は、役物可変入賞装置33内に入賞した遊技球を検出するためのスイッチであり、後述する第1球搬送路33aI(図7参照)に配設されている。本実施の形態のパチンコ機10では、この役物入賞検出スイッチ33a3によって遊技球が検出されることによって、所定数の遊技球を払い出すように構成されている。
役物駆動モータ33a5は、役物33a4を所定駆動させるためのものであり、役物部33aの背面側(図6の紙面右側)、即ち、遊技盤30に役物可変入賞装置33を配設した場合に遊技者から視認できない位置に配設されている。この役物駆動モータ33a5は、第1抽選口32a、第2抽選口32b又は2回開放口32cによって遊技球が検出された場合に、その検出から所定時間(本実施の形態では、略2.0秒)経過した場合に役物33a4を所定駆動させ、遊技球が役物33a4に設けられた役物内部通路33a4IIを通過するように構成されている。
ここで、図7を参照して、役物可変入賞装置33に入賞した遊技球の流入パターンについて説明する。図7は、図5のVII−VII線における役物入賞装置33の模式的断面図である。図7(a)は、役物駆動モータ33a5によって役物33a4が駆動されていない場合の遊技球の流入経路を示した図であり、図7(b)は、役物駆動モータ33a5によって役物33a4が駆動されている場合の遊技球の流入経路を示した図である。なお、この図7において、遊技球の流入経路を明確にするために、役物駆動モータ33a5を図示することを省略する。
図7(a)は、役物駆動モータ33a5によって役物33a4が駆動されておらず、役物突起33a4Iが球流路33aI,33aIIに露出している状態を示した図である。この状態において、役物可変入賞装置33に入賞した遊技球は、役物部33の第1球流路33aIを通って、役物33a4の役物突起33a4Iと衝突する。そして、役物突起33a4Iと衝突した遊技球は、役物部33aの第2球流路33aIIを通過して、搬送板33b2の突起33b3へと搬送され、突起33b3と衝突し、搬送板33b2の左右方向(図7の紙面手前側又は紙面奥側)へ振り分けられる。そして、図7において図示しないロケット部材33b7と衝突した場合は流下方向が変更され、V入賞口33b5、又は、V入賞口33b5の両脇に配設されたハズレ口(図示せず)のいずれかへと流下する。この場合において、V入賞口33b5へ遊技球が入賞する確率を略10%となるように予め役物入賞可変装置33が設計されている。
一方、図7(b)は、役物駆動モータ33a5によって役物33a4が駆動されており、役物突起33a4Iが該役物突起33a4Iが格納可能な球導出部33aIIIに格納されている状態を示した図である。この状態において、役物可変入賞装置33に入賞した遊技球は、役物部33の第1球流路33aIを通って、役物33a4の役物突起33a4Iと衝突せずに球導出部33aIIIと衝突する。そして、球導出部33aIIIと衝突した遊技球は、役物33a4に形成された役物内部通路33aIIを通過して、役物搬送部33a4IIIによって搬送板33b2の突起33b3を回避して搬送板33b2へと搬送され、V入賞口33b5、又は、V入賞口33b5の両脇に配設されたハズレ口(図示せず)へと流下する。この場合において、V入賞口33b5へ遊技球が入賞する確率を略95%となるように予め役物入賞可変装置33が設計されている。
搬送部33bは、搬送板33b2が設けられており、この搬送板33b2は、傾斜を利用して役物可変入賞装置33に入賞した遊技球をV入賞口33b5及びハズレ口(図示せず)へ搬送(導出)するためのものである。この搬送板33b2には、役物33a4が駆動されていない場合に搬送板33b2を流下する遊技球を搬送板33b2の左右方向のいずれかに振り分ける突起33b3と、その突起33b3によって左右方向に振り分けられた遊技球の流下方向に可変的に干渉するロケット部材33b7を搬送板33b2の上方面に露出可能にするための2のロケット孔33b4と、大当たりを発生させるV入賞口33b5が一体成形させている。
V入賞検出スイッチ33b6は、V入賞口33b5へ入賞した遊技球を検出するためのスイッチであり、V入賞口33b5の流下方向側に配設されている。このV入賞検出スイッチ33b6によって遊技球が検出されることにより、後述する主制御装置261においてラウンド抽選を行い、そのラウンド抽選の抽選結果に基づいた大当たりが発生するように構成されている。なお、ラウンド抽選の抽選結果は、役物部33aに配設されたラウンド表示部33a6に表示されるように構成されている。
ロケット部材33b7は、ロケット駆動モータ33b8によって搬送板33b2の上面側と下面側とを上下方向に繰り返し駆動可能に構成されている。搬送板33b2上を流下する遊技球がこのロケット部材33b7との衝突することによって、搬送板33b2を流下する遊技球の流下方向が変更される。
ロケット体駆動モータ33b8は、2のロケット部材33b7をそれぞれ駆動させるために2のロケット部材33b7とそれぞれ連結されており、2のロケット部材33b7の下側にそれぞれ配設されていると共に、遊技盤30に役物可変入賞装置33を配設した場合に遊技者から視認できない位置に配設されている。このロケット駆動モータ33b8は、ステッピングモータで構成されており、後述する主制御装置261から出力されるパルス信号に基づいてロケット部材33b7を駆動させるように構成されている。
次に、図8及び図9を参照して、一般役物入賞装置31について説明する。図8は、一般役物入賞装置31の斜視図であり、図9は、一般役物入賞装置31の分解斜視図である。一般役物入賞装置31は、その正面視略中央に、上下移動する可動部材31aと、その可動部材31aを収容する可動装置ケース31bと、その可動装置ケース31bの背面に取着され各種部品を固定する部品固定部材31cと、その部品固定部材31cの背面に設けられる可動部材駆動ソレノイド31dとから構成されている。
可動部材31aは、宇宙人を模して形成されたキャラクタ本体31a1と、キャラクタ本体31a1を支持する支持部材31a2と、可動部材31aを取り付けるための突出部材31a3とから構成されている。
可動部材31aは、支持部材31a2と、キャラクタ本体31a1と、突出部材31a3とをネジ等によって一体化して形成されている。突出部材31a3には、可動部材31aの背面に向かって突出する突出部が設けられ、突出部を後述する部品固定部材31cの連結部に連結させて、連結部の背面からネジ等によって可動部材駆動ソレノイド31dと連結固定されている。
可動装置ケース31bは、可動部材31aを収容するためのものであり、前面枠部材31b1と、一般役物入賞装置31を遊技盤30に装着するための取付部材31b2と、無色透明の合成樹脂で形成された背面部材31b3と、部品固定部材31b4とを備えている。この可動装置ケース31bは、背面部材31b3の前面側に前面枠部材31b1と取付部材31b3とをネジ等で固定し、背面部材31b3の背面側に部品固定部材31b4をネジ等で固定して一体化されたものである。
可動装置ケース31bの背面部材31b3は、図9に示すように、中央下部に横長略矩形状の貫通孔を有する形状に形成され、その周縁部は前方(図9の左下方向)に僅かに突出している。前面枠部材31b1は、背面部材31b3の周縁とほぼ同一の断面を有した筒状に形成されている。取付部材31b2は、板状に形成されており、その中央下部には前面枠部材31b1の内周に沿って開口が設けられている。取付部材31b2を挟んで背面部材31b3と前面枠部材31b1とが可動装置ケース31bとして一体化されると、一面側が開口した開口空間が形成され、その開口空間内に可動部材31aが収容される。即ち、背面部材31b3が、開口空間の背面を形成すると共に、前面枠部材31b1が、背面部材31b3の周縁部から前方に突出した筒状の部位を形成し、可動部材31aの周囲と背面とが可動装置ケース31bに囲われて収容された状態となる。
また、可動装置ケース31bは、その可動部材31aを遊技者側に向けつつ、取付部材31b2をビス止めすることにより遊技盤30に装着される。なお、可動部材31aを遊技者側に向けるとは、可動装置ケース31bに対して可動部材31aを遊技者側に配置することを意味しており、可動部材31aを構成するキャラクタの向き(例えば、キャラクタを構成する宇宙人の顔の向き)を意味するものではない。
ここで、前面枠部材31b1は、遊技盤30に装着された状態において取付部材31b2よりも遊技盤30の前面側に配置されるので、遊技盤30に対して前面枠部材31b1が遊技者側に突出する。よって、遊技者に対して一般役物入賞装置31の存在を強く印象づけることができ、一般役物入賞装置31の存在価値を向上させることができる。
また、遊技盤30より突出した前面枠部材31b1は、その開口の口元が遊技盤30の前面側に配設されるガラス板に僅かな隙間を隔てて配置される。このため、パチンコ機10のガラス板で、可動装置ケース31bの開口が封鎖された状態となり、遊技盤30とガラス板との間に形成される遊技領域を流下する遊技球は、可動装置ケース31bの外周面によって囲われた開口空間内に進入することがない。よって、遊技領域を流下する球が可動部材31aに衝突して可動部材31aが破損することを防止することができる。
更に、前面枠部材31b1の中央上部には、上方に開口した入賞口が設けられ、その入賞口の両脇から左右両側に向けては、下降傾斜した正面視略円弧状の傾斜面が形成されている。遊技領域を流下する遊技球が前面枠部材31b1の真上にくると、その球は入賞口に入賞して、その入賞口に配設された検出スイッチ(図示せず)により遊技球が検出されることに基づいて、所定数(例えば、15個)の賞球の払い出しが行われる。入賞口から逸れた遊技球は、入賞口の左右両脇を頂部として左右両側に下降傾斜した傾斜面に沿って下方(下流側)へ流下する。よって、前面枠部材31b1の外周に沿って球が円滑に流下することとなり、前面枠部材31b1の内側に配置される可動部材31aの前面側を遊技球が流下することがなく、可動部材31aの視認性を高めてその動作時に遊技者に注意を向けさせることができる。なお、必ずしも前面枠部材31b1の中央上部に入賞口を設ける必要はなく、上面を正面視円弧状又は三角形状に形成して、頂部および下降傾斜した傾斜面を形成しても良い。
また、可動装置ケース31b内の可動部材31aは、可動部材駆動ソレノイド31dが非通電の状態においては開口空間の下側に配置され、可動部材駆動ソレノイド31dが通電状態になると、上方に一定量移動する。この可動部材駆動ソレノイド31dの通電によって可動部材31aが最高の高さに達した位置においても、可動装置ケース31bは、上部に隙間が残るように十分に大きく形成されている。このため、可動部材31aは、隙間の大きさ分だけ更に大きな別形状の可動部材(例えば、リーチ棒を模した部材)に交換しても、上下移動による可動部材の動作を損なうことがない。即ち、可動部材31aが上方に移動した場合に可動部材31aが可動装置ケース31bと接触する大きさまでは、可動部材の移動量を確保しつつ可動部材を拡張または変形させることができるのである。よって、可動部材の移動量を確保しつつ一般役物入賞装置31に適用し得る可動部材の形状の適用範囲を広くすることができ、可動部材31aとは形状の異なる多様な形状の可動部材を一般役物入賞装置31に交換して使用することができる。
部品固定部材31b4は、可動部材駆動ソレノイド31dを支持して可動装置ケース31bに連結するするための部材であり、無色透明の合成樹脂で形成されており、背面部材31b3の背面からネジ等によって該背面部材31b3と連結されている。また、部品固定部材31b4の下部には、前記した突出部31a3を貫通させるための貫通孔が穿設されている。
背面部材31b3の下部にも、可動部材31aの突出部31a3を貫通させるための貫通孔が穿設されており、可動部材31aの突出部31a3は、背面部材31b3及び部品固定部材31b4の各貫通孔に差し込まれて貫通している。これにより、可動装置ケース31bの前面側に配置される可動部材31aは、可動装置ケース31b(部品固定部材31b4)の背面側に固定される可動部材駆動ソレノイド31dに連結される。
可動部材駆動ソレノイド31dは、可動部材31aに駆動力を付与して可動部材31aを上方へ移動させるものであり、一般的な電磁ソレノイドで構成されたものである。可動部材駆動ソレノイド31dは、左右両側に突出した部分に穴が設けられ、ネジ等でねじ止めすることによって部品固定部材31b4の背面に固定されている。
可動部材駆動ソレノイド31dの下端には、突出部材31a3と可動部材駆動ソレノイド31dとを連結するための連結部材31d1が設けられており、可動部材駆動ソレノイド31dが駆動することによって、可動部材31aが上下移動する。連結部材31d1は、正面視略矩形状に形成され、その上部に可動部材駆動ソレノイド31dを固定する固定部を有し、その下部に突出部材31a3の突出部を連結するための連結部を有している。この連結部には、前面側に突出して突出部材31a3の突出部先端を外方より支持する円筒状の部分と、その背面側に穿設されてネジ等を挿通するためのねじ穴とが設けられている。可動部材31aは、この連結部において、突出部材31a3の突出部の先端を支持しつつ連結部材31d1の背面側から挿通されるネジ等によって連結部材31d1と連結固定される。
連結部材31d1と連結する突出部材31a3の突出部は、可動装置ケース31bの背面を貫通し、可動装置ケース31bの背面に取り付けられた可動部材駆動ソレノイド31dの連結部材31d1と直接的に連結される。このため、可動部材31aと可動部材駆動ソレノイド31dとの間にリンク機構を介さずに可動部材31aと可動部材駆動ソレノイド31dとを連結することができる。よって、可動部材31aと可動部材駆動ソレノイド31dとの間の構成を簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
また、突出部材31a3の突出部は、ネジ等によって連結部材31d1と連結固定される。このため、可動部材31aと可動部材駆動ソレノイド31dとを連結固定した後にも、ネジ等を操作して(緩めて)、可動部材31aと可動部材駆動ソレノイド31dとの連結固定を解除し、可動部材31aを取り外すことができる。よって、可動部材31aの脱着が可能となる。
ここで、可動装置ケース31bが遊技盤30に装着された状態で可動部材31aを脱着する方法について説明する。可動部材31aを取り外す場合には、まず、連結部材31d1の背面側(遊技盤30の背面側)から、連結部材31d1と可動部材31aの突出部材31a3の突出部とを連結固定しているネジ等を外す。その後、可動装置ケース31bの開口側から、部品固定部材31b4に穿設された貫通孔と背面部材31b3に穿設された貫通孔とから突出部材31a3の突出部を抜き出しつつ、可動部材31aを可動装置ケース31bの開口から取り出す。以上の作業によって、可動装置ケース31bが遊技盤30に装着された状態で可動部材31aを取り外すことができる。
一方、可動部材31aを取り付ける場合には、まず、可動部材31aを、可動装置ケース31bの開口から、突出部材31a3の突出部を背面部材b3に穿設された貫通孔と部品固定部材31b4に穿設された貫通孔とに貫通させつつ差し込む。その後、突出部材の突出部を連結部材31d1の連結部に連結させ、連結部材31d1の背面側(遊技盤30の背面側)からネジ等によって連結部材31d1と可動部材31aとを連結固定する。以上の作業によって、可動装置ケース31bが遊技盤30に装着された状態で可動部材31aを取り付けることができる。
このように、一般役物入賞装置31の背面における連結部材31d1の背面からネジ等を止める、または、外すことにより、可動装置ケース31bが遊技盤30に装着された状態で、可動部材31aを脱着することができる。よって、突出部材31a3と連結部材31d1とが開口空間内においてネジ等によって連結固定する場合に比べて、脱着作業の作業スペースが制限されず、作業性が向上する。従って、可動部材31aが故障或いは破損した場合には、一般役物入賞装置31が遊技盤30に装着された状態で可動部材31aを容易に脱着することができるので、脱着作業に要する時間が短くなり、稼働中の遊技機の停止時間を短くすることができる。従って、ホール営業中における可動部材の故障等があっても迅速に対処することができる。
更に、可動装置ケース31bの背面を貫通する突出部材31a3の突出部を共通の形状とした可動部材であれば、他の部分の形状が異なっていても容易に可動部材同士を交換することができる。即ち、可動部材を他の可動部材と交換することにより容易に同一機種のバリエーションを増加させることができる。例えば、一の遊技場における同一機種間で、半分の遊技機にはマンモスを模した可動部材を使用し、残りの半分の遊技機にはマンモスからカラスを模した可動部材に交換して使用することができ、同一機種のバリエーションを多様にすることができる。更に、一の遊技場において、複数種類の可動部材を用意しておけば、例えば、所定期日毎に可動部材を交換して、同一機種のバリエーションを多様にすることができる。
図4に戻って説明する。遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて遊技領域に案内される。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール部51と外レール取付部52とを有する。内レール部51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成されると共に、外レール取付部52は、その一部(主に左側部)が内レール部51に向かい合うようにして形成されている。これら内レール部51と外レール取付部52とにより誘導レールが構成され、この内レール部51と外レール取付部52とが所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、即ち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール部51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール部51及び外レール取付部52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、外レール取付部52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図4の右上部:外レール取付部52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって、勢いが減衰されて跳ね返される。外レール取付部52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、長尺状のステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなれる。更に、本実施の形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、即ち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。
内レール部51及び外レール取付部52間の球案内通路の入口には、その球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール部51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路63(図3参照)へ導くためのものである。なお、遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙等のシールやプレートを貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられており、この貼着スペースK1,K2を確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。このように、遊技盤30自体に証紙等の貼着スペースK1,K2を設けているので、証紙を遊技盤30に直接貼付することにより、その証紙により遊技盤30を一義的に特定することができる。即ち、遊技盤の不正な交換を容易に発見することができる。
従来のパチンコ機では、レールは遊技盤に直接打ち込まれていた。しかし、上述するように本実施の形態のパチンコ機10では、レールユニット50は、フランジ56にネジ等が挿通されて遊技盤30に締結されている。即ち、本実施の形態では、遊技盤30を、従来のパチンコ機と同等サイズで形成しつつ、遊技領域を、従来のパチンコ機より大きく形成しているので、レールを遊技盤に直接打ち込むことができないため、レールユニット50をフランジ56と共に樹脂で一体成形し、このフランジ56をネジ止め等して遊技盤30に締結している。かかる構成を採用した本実施の形態によれば、廃棄時にレールユニット50を遊技盤30から容易に取り外すことができるので、樹脂成形されるレールユニット50を容易にリサイクルすることができる。なお、遊技球の発射を安定して行わせるために、遊技球の発射側のレールユニット50は、より多くのネジにより他のレールユニット50の部分に増してしっかりと固定されている。このレールユニット50を構成する樹脂材料としては、摩擦抵抗の小さいフッ素入りのポリカーボネートが好適である。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部に略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール取付部52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール取付部52の極左位置から内レール部51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール部51の極左位置から内レール部51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール部51及び外レール取付部52によって囲まれる領域のうち、内レール部51及び外レール取付部52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域と言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール取付部52によってではなく内レール部51によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール部51によって特定される。また、遊技領域の下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール取付部52によって特定される。従って、本実施の形態では、遊技領域の幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域の高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
ここで、遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは390mm以上、400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、更に460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上であってもよい。即ち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、更には460mm以上であることがより望ましい。もちろん、470mm以上、480mm以上、490mm以上としてもよい。即ち、遊技領域の高さは、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。なお、上記幅及び高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとしてもよい。
本実施の形態では、遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、遊技盤30面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤30を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。尚、パチンコ機10の外形は遊技場への設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤30の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。更に好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。更には、80%以上であってもよい。
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
なお、遊技領域が左右方向に拡張されているので、風車、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための誘導釘)、他の役物を種々配設することができ、役物可変入賞装置33の左右両側の遊技領域での遊技球の挙動を一層面白くすることができる。また、遊技領域が上下方向にも拡張されているので、更に風車、複数の釘、他の役物を種々配設することができ、遊技領域での上下方向の遊技球の挙動をより一層面白くすることができる。
図3に戻って説明する。前記樹脂ベース20において、窓孔21の下方(遊技盤30の下方)には、遊技球発射装置より発射された直後の遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後、前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて遊技領域に案内される。
本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されることは既に述べたが、かかる構成下では、誘導レールの曲率を小さくせざるを得ないので、打出球を安定化させるための工夫を要する。そこで本実施の形態では、遊技球の発射位置を低くすると共に発射レール61の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくし(即ち発射レール61を立ち上げるようにし)、更に発射レール61の長さを既存のものよりも長くして十分な長さの球誘導距離を確保している。これにより、遊技球発射装置から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合、特に、発射レール61を、遊技球発射装置の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口36)を越える位置まで延びるよう形成している。
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との間には所定間隔の隙間が形成され、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15へ排出される。本実施の形態の場合、発射レール61の長さは約240mm、発射レール61の先端部の隙間の長さ(発射レール61の延長線上の長さ)は約40mmである。
ファール球が誘導レール内を逆流してくる際、その多くは外レール取付部52に沿って流れ、外レール取付部52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は誘導レール内で暴れ、内レール部51側へ跳ね上がるものもある。跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路63に誘導される。これにより、ファール球の全てがファール球通路63に確実に案内される。よって、ファール球と次に発射される遊技球との干渉を抑制することができる。
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。この際、本実施の形態では遊技球の発射位置を低くしたため、前面枠セット14側の球出口から前記発射位置への落差が大きくなるが、発射レール61の基端部付近にはその右側と手前側とにそれぞれガイド部材65,66を設置したので、前面枠セット14側の球出口から供給される遊技球は常に所定の発射位置にセットされ、安定した発射動作を実現できる。
また、遊技球発射装置には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射される。この打球槌に関しては軽量化が望まれているので、アルミニウム等の軽金属への材料変更や軸部寸法の縮小化により打球槌の軽量化を図る一方で、十分な発射力を確保すべく、打球槌のヘッド部(軸部と反対側の端部)に重り部を設けている。これにより、十分でかつ安定した遊技球の発射が実現できる。打球槌の重り部を上方に突出して設けることにより、打球槌を容易に摘んだりひっかけたりすることができ、槌先の打球強さの調整等がし易くなる。
排出口67は上皿19に通じており、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される(払い出される)。排出口67には開閉式のシャッタ68が取り付けられており、前面枠セット14を開放した状態(図3の状態)ではバネ等の付勢力によりシャッタ68が排出口67を閉鎖するように構成されている。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられるように構成されている。従って、前飾り枠が省略され前面枠セット14に対して上皿19が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
図3に示すように、樹脂ベース20には、窓孔21の右下部に略四角形状の小窓71が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部の貼着スペースK1に張られたシール等は、この小窓71を通じて視認できるようになっている。また、この小窓71からシール等を貼り付けることも可能となっている。
図3における内枠12の左端部には、前面枠セット14の支持機構として、支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には図の手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には鉛直方向に突出した突起軸84が設けられている。また、前面枠セット14の図10の右端部(パチンコ機10正面から見ると左端部)には、内枠12の支持機構として、支持金具151,152が取り付けられている。従って、内枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前面枠セット14側の支持金具151,152を組み付けることで、内枠12に対して前面枠セット14を開閉可能に装着することができる。更に、支持金具81の支持孔83は切欠を有し、且つ図10に図示する通り支持金具151の下端部は補足形成されているので、支持金具151を支持孔83から完全に抜かなくても、支持金具151の細い部分を支持孔83の切欠に通すことによって前面枠セット14を内枠12(パチンコ機10)から容易に取り外すことができる。
次に、図1及び図10を参照して、前面枠セット14について説明する。図10は、前面枠セット14の背面図である。前面枠セット14には、遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。この窓部101の略中央部を直線状に形成してもよい。本実施の形態において、窓部101の上端(外レール取付部52の最上部、遊技領域の上端)と、前面枠セット14の上端との間の距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は61mmとなっており、85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べて著しく短くなっている。これにより、遊技領域の上部領域が確保されやすくなるとともに、大型の役物可変入賞装置30を比較的上方に配置することができる。なお、前面枠セット14の上端との間の距離は80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、更に望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
また、パチンコ機10の正面から見て窓部101の左端と前面枠セット14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図10では右側に示されている)、即ち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠セット14自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。この場合、図1及び図3を相互に比較すると明らかなように、前面枠セット14が閉じられた状態において、外レール取付部52の左端部はもちろん、内レール部51の左端部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。つまり、誘導レールの少なくとも一部が、パチンコ機10の正面からみて前面枠セット14の左側部フレーム部分と重複し覆い隠される。このように遊技球が一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球が遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、前面枠セット14の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。ちなみに、パチンコ機10の正面から見て外レール取付部52の左端位置と外枠11の左端位置との左右方向の距離は21mm、遊技領域の右端位置(内レール部51の右端位置)と外枠11の右端位置との左右方向の距離は44mmとなっている。
加えて、前面枠セット14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行って、大当たり中であることを報知する。更に、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。
また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂が取り付けられた小窓107が設けられている。環状電飾部102が手前に凸に形成されているのに対し、小窓107は平らに形成されている。前述した通り、小窓107の背面には、証紙等のシールやプレートを貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられているので、そこに貼着されたシール等の内容を、スキャナなどの読み取り装置によって光学的に読み取り可能とするために平らにされているのである。また、小窓107部分を平らに形成することによって、2台のパチンコ機10間に配設される球貸機(図示せず)の貸し球レールがパチンコ機10から遊技者側へ出っ張らないようにして、球貸機を配設することができる。
窓部101の下方には貸球操作部120が配設されている。貸球操作部120には、球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されたカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化を図ることができる。
図10に示すように、前面枠セット14の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、前面枠セット14の裏側にあって窓部101の上下左右の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図10の左側及び上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。この樹脂パーツ135により、金属製の補強板131〜134が前面枠セット14にて環状にループ接続されるのを防いでいる。金属製の補強板131〜134が環状にループ接続されていると、遊技球の発射動作に伴う電磁ノイズが遊技盤30の前面に配設された前面枠セット14の周囲をループし、遊技盤30に悪影響を及ぼして、パチンコ機10の誤動作を誘発するが、本実施の形態のパチンコ機10では、樹脂パーツ135により、金属製の補強板131〜134の環状接続を回避しているので、かかるノイズの悪影響を抑制することができる。なお、金属製の補強板131〜134の一部に樹脂パーツ135を使用することによる強度の低下は、その樹脂パーツ135にリブを設けたり、樹脂パーツ135の厚さを増して、補っている。
図10の右側の補強板131には、その中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前面枠セット14を閉じた状態で内枠12の孔部12a(図3参照)に係合されるように構成されている。この構成により、上皿19を含む形態で前面枠セット14が構成され、その上下の軸支位置が延長されたとしても、中間位置における前面枠セット14の浮き上がりを防止することができる。それ故、前面枠セット14を浮かしての不正行為等を抑制することができる。
また、下側の補強板134には、前記発射レール61(図3参照)に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材136が設けられている。このレール側壁部材136は、前面枠セット14を閉じた際に発射レール61の側壁となって、発射レール61から遊技球がこぼれ落ちないように機能している。
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の一部が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。このガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着される。
前述の通り本実施の形態のパチンコ機10では遊技領域の拡張を図っていることから、前面枠セット14を閉じた状態にあっては、内レール部51及び外レール取付部52により構成された誘導レールの一部が前面枠セット14により覆い隠される構成となっている。それ故、当該誘導レールでは手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射装置より発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らず戻ってくると、当該遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール取付部52とガラス137との間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、前面枠セット14に、誘導レールの手前側開放部を被覆するためのレールカバー140を取り付けている。
レールカバー140は略円弧状をなす略平板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記誘導レールの形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、誘導レールの基端部から先端部近傍までの区間を覆うように前面枠セット14の裏側に取着されている。特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール部51のそれにほぼ一致する。レールカバー140が取着された状態では、その表面側がガラス137に当接した状態となる。前面枠セット14が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が誘導レールのほぼ全域を覆うこととなる。これにより、誘導レールのほとんどの区間において遊技球のガラス137への衝突を防止できる。従って、ガラス137への接触による破損等の悪影響を抑制することができる。
また、レールカバー140の右端部(即ち、レールカバー140を前面枠セット14に取着した図10の状態で右端となる部位)には、誘導レールがガラス137の側縁部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。これにより、遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール取付部52とガラス137との間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
更に、レールカバー140には、その内側縁に沿って円弧状に延び且つ図10の手前側に突出した突条142が形成されている。突条142は、前面枠セット14が閉じられた場合には、誘導レール内に入り込んだ状態で内レール部51にほぼ一体的に重なり合うよう構成されている。従って、例えば前面枠セット14と内枠12との隙間から針金等を侵入させて不正行為を行おうとしても、誘導レールの内側にある遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良い。かかる構成によれば、より広い範囲で針金等を侵入させ難くなり、針金等を利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
次に、図11から図16を参照して、パチンコ機10の背面の構成を詳しく説明する。図11はパチンコ機10の背面図であり、図12はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示した分解斜視図である。図13は、パチンコ機10裏面における第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203の配置を示す模式図であり、図14は、内枠12及び遊技盤30の構成を示す背面図である。図15は、内枠12を後方より見た斜視図であり、図16は、遊技盤30を後方より見た斜視図である。
先ずはじめに、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10の背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)には、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、更に、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称する。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成について後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、更にこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
実際には、図13の概略図に示すように、各ユニット201〜203が配置され、取り付けられている。なお、図13において、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重なる領域に、裏パックユニット203が配置されている。
第1制御基板ユニット201には、パチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1の軸線Aを中心に当該第1制御基板ユニット201が開閉可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部(即ち支軸部と反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201がパチンコ機10の本体に対して固定保持される。
また、第2制御基板ユニット202には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4の軸線Bを中心に当該第2制御基板ユニット202が開閉可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部(即ち支軸部と反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202がパチンコ機10の本体に対して固定保持される。
更に、裏パックユニット203には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に当該裏パックユニット203が開閉可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部(即ち支軸部と反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられると共に上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット203がパチンコ機10の本体に対して固定保持される。
各ユニット201〜203の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット201は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、同右開きになるよう構成されている。
一方、図14は、内枠12に遊技盤30を組み付けた状態を示す背面図である。また、図15は、内枠12を後方より見た斜視図であり、図16は、遊技盤30を後方より見た斜視図である。ここでは図14〜図16を用いて、内枠12及び遊技盤30の裏面構成を説明する。
遊技盤30は、樹脂ベース20に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠12に設けられた複数(本実施の形態では4カ所)の係止固定具211,212によって脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り替え可能に構成されている。図14は、係止固定具211,212がロック位置にある状態を示している。遊技盤30の左右3カ所の係止固定具211は、金属片を折り曲げ形成したL型の金具で構成され、遊技盤30を固定した状態では内枠12の外方へ張り出さないよう構成されている。なお、遊技盤30の下部1カ所の係止固定具212は樹脂製のI型の留め具で構成される。
遊技盤30の中央には、役物可変入賞装置ユニット35が配置されている。役物可変入賞装置ユニット35においては、センターフレーム47(図3参照)を背後から覆う樹脂製(例えばABS製)のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、役物可変入賞装置33が前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤30の裏面には、役物可変入賞装置ユニット35を取り囲むようにして裏枠セット215が取り付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成型品(例えばABS製)であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット215の下方には、前述した一般役物入賞装置31、役物開放口32及び役物可変入賞装置33(それぞれ図3参照)の遊技盤開口部に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、樹脂製(例えばポリカーボネート樹脂製)の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10の外部へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、図14に仮想線で例示するように、一般役物入賞装置31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の回収通路216を介して集合し、更に排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36(図3参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10の外部に排出される。
上記構成では、遊技盤30の下端面を境界にして、上方に裏枠セット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤30に対して前後方向に重複(オーバーラップ)せずに設けられている。従って、遊技盤30を内枠12から取り外す際において、排出通路盤217が遊技盤30の取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
なお、排出通路盤217は、パチンコ機10前面の上皿19の丁度裏側辺りに設けられているので、上皿19に至る球排出口(図2の球通路樋69)より針金等を差し込み、更にその針金等を内枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10では、排出通路盤217の上皿19の丁度裏側辺りに、内枠12にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機10の前方に延びるプレート219が設けられている。従って、内枠12と排出通路盤217との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金等を利用して可変入賞装置32(大入賞口)を強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などへの遊技球の通過を検出するための入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤30表側の一般役物入賞装置31に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、役物開放口32には開放口スイッチ222が設けられ、V案内部33b4にはV入賞検出スイッチ223が設けられている。V入賞検出スイッチ223は、通常遊技状態では、大当たりが発生するか否かを判定するスイッチであると共に、大当たり状態でV案内部33b4に遊技球が入ったことを判定するスイッチである。
入賞口スイッチ221、開放口スイッチ222及びV入賞検出スイッチ33b8は、図示しない電気配線を通じて盤面中継基板(図示せず)に接続され、更にこの盤面中継基板が後述する主基板(主制御装置261)に接続されている。その他図示は省略するが、図14において、パチンコ機10の裏面左下方部には打球槌等を備えるセットハンドル228が配設され、その右横には発射モータ229が配設されている。
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(即ち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。
裏枠セット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤30の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる支持金具231が設けられ、この支持金具231には同一軸線上に上下一対の支持孔231aが形成されている。その他、遊技盤30の右下部には上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)232が設けられ、同左上部には係止爪片233が設けられている。
内枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、内枠12の右端部には、図17に示す長尺状の支持金具235が取り付けられている。図17に示すように、支持金具235は長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット202用の支持孔部237が形成されると共に、上方2カ所に裏パックユニット203用の支持孔部238が形成されている。それら支持孔部237,238にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。その他、第2制御基板ユニット202用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)239が設けられている。また、裏パックユニット203用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)240が設けられている。但し、第2制御基板ユニット202用の支持金具と裏パックユニット203用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。符号241,242,243は、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挟み込んで支持するための回動式の固定具である。
その他、内枠12の背面構成において、遊技盤30の右下部には、後述する払出機構より払い出される遊技球を上皿19、下皿15、又は排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。即ち、遊技球分配部245の開口部245aは上皿19に通じ、開口部245bは下皿15に通じ、開口部245cは排出通路218に通じる構成となっている。また、内枠12の下端部には、下皿15に設置されたスピーカ(図示せず)の背後を囲むための樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、このスピーカボックス246により低音域の音質改善が図られている。
次に、図18〜図21を参照して、第1制御基板ユニット201を説明する。図18は第1制御基板ユニット201の正面図であり、図19は同ユニット201の斜視図であり、図20は同ユニット201の分解斜視図であり、図21は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、この取付台251に主制御装置261と音声ランプ制御装置262とが搭載されている。ここで、主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット264(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
封印ユニット264はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図19等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結される。封印ユニット264による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。即ち、封印ユニット264を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス265に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して音声ランプ制御装置262に出力される。
取付台251は、有色(例えば緑、青等)の樹脂材料(例えばポリカーボネート樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。但し、取付台251は無色透明又は半透明の樹脂成型品であっても良い。
一方の基板搭載面252上には、主制御装置261が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面253上には、音声ランプ制御装置262(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置される。特に、主制御装置261は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置262はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているので、これら基板搭載面252,253に主制御装置261及び音声ランプ制御装置262を搭載した状態において各制御装置261,262はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、図19等にも見られるように、主制御装置261はその一部(本実施の形態では1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。故に、主制御装置261に重なる領域まで音声ランプ制御装置262を拡張することが可能となり、当該制御基板の大型化にも良好に対処できると共に、各制御装置を効率良く設置できる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、役物可変入賞装置33やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
図20及び図21に示すように、主基板用の基板搭載面252には、左右2カ所に横長形状の貫通孔254が形成されている。これに対応して、主制御装置261の基板ボックス263には、その裏面の左右2カ所に回動式の固定具267が設けられている。主制御装置261を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔254に固定具267が通され、その状態で固定具267が回動されて主制御装置261がロックされる。従って、上述の通り主制御装置261はその一部が浮いた状態で配置されるとしても、当該主制御装置261の脱落等の不都合を回避できる。また、主制御装置261は第1制御基板ユニット201(基板搭載面252)の裏面側から固定具267をロック解除しなければ、取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。主基板用の基板搭載面252にはその裏面に格子状のリブ255が設けられている。
取付台251には、図19等の左端面に上下一対の支軸256が設けられており、この支軸256を図14等に示す支持金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して開閉可能に支持される。また、取付台251には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ257が設けられると共に上端部に長孔258が設けられており、ナイラッチ257を図14等に示す被締結孔232にはめ込むと共に、長孔258に図14等に示す係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定される。なお、支持金具231及び支軸256が前記図13の支軸部M1に、被締結孔232及びナイラッチ257が締結部M2に、係止爪片233及び長孔258が係止爪部M3に、それぞれ相当する。
次に、図22〜図24を参照して、第2制御基板ユニット202を説明する。図22は第2制御基板ユニット202の正面図であり、図23は同ユニット202の斜視図であり、図24は同ユニット202の分解斜視図である。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、この取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機10の前面の貸球操作部120及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314は不要である。
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス315(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット319(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ358a部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータ358aが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されるので、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入することとしている。
取付台301は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。この場合、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は取付台301の基板搭載面302に横並びの状態で直接搭載され、電源装置313の基板ボックス317上に払出制御装置311が搭載されている。
また、取付台301には、図22等の右端部に上下一対の支軸305が設けられており、この支軸305を図14等に示す支持孔部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、取付台301には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を図14等に示す被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。なお、支持孔部237及び支軸305が前記図13の支軸部M4に、被締結孔239及びナイラッチ306が締結部M5に、それぞれ相当する。
次に、図25及び図26を参照して、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、図25はパチンコ機10の背面から見た裏パックユニット203の背面図を示しており、図26はその分解斜視図を示している。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機10後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも役物可変入賞装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する(但し本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置45等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。即ち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、更にタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図26に示す払出通路359等を通じて前記上皿19に供給される。
タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360が取り付けられている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際には、バイブレータ360を駆動することによって球詰まりを解消できるようになっている。このバイブレータ360は、ユニット化されているので、タンクレール356へ容易に取り付けることができる。
図27を参照してタンクレール356の構成ついて詳述すると、タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有し、レール本体361の始端部には球面状の球受部362が設けられている。この球受部362により、タンク355から落下してきた遊技球が円滑にレール本体361内に取り込まれる。また、レール本体361には長手方向に延びる仕切壁363が設けられており、この仕切壁363により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁363により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁363により仕切られた各球通路の底面には、1筋又は2筋の突条364が設けられると共に、その突条364の側方に開口部365が設けられている。
また、レール本体361には、その下流側半分程度の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。この整流板367は、下流側になるほどタンクレール356内の球通路高さを制限するよう弓なりに反った形状をしており、更にその下面には長手方向に延びる凸部368が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる各遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。従って、タンクレール356に多量の遊技球群が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが防止され、タンクレール356内における球詰まりが解消される。なお、レール本体361は、黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により成形されるのに対し、整流板367は透明のポリカーボネート樹脂により成形されている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。
図25及び図26に戻って説明する。払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
タンク355から払出通路359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
また、裏パック351には、図25等の右端部に上下一対の支軸385が設けられており、この支軸385を図14等に示す支持孔部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を図14等に示す被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に図14等に示す固定具242を係止させることで、裏パックユニット203が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。固定具242及び係止孔387の部分にナイラッチを使用しないのは、図25における係止孔387の左隣に遊技球を貯留するタンク355が設けられるので、この部分を強固に固定するためである。固定具242の固定時には、図14等に示す固定具241,243によっても裏パックユニット203が内枠12に固定される。なお、支持孔部238及び支軸385が前記図13の支軸部M6に、被締結孔240及びナイラッチ386が締結部M7に、固定具242及び係止孔387が係止部M8に、それぞれ相当する。また、固定具243が係止部M9に相当する。
次に、図28を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データである可動片33a1の駆動パターン等を記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア503aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア503aへの書き込みはNMI割込処理(図33参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図29参照)において実行される。なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
また、RAM503は、バックアップエリア503aの他に、V入賞フラグ503bと、ラウンド抽選カウンタ503cと、ラウンドメモリ503dと、抽選カウンタ503eと、可動片開放カウンタ503fと、役物入賞カウンタ503gと、可動片カウンタ503hとを備えている。
V入賞フラグ503bは、大当たり中か否かを認識するためのフラグである。このV入賞フラグ503bは、通常遊技状態、即ち、既にV入賞フラグ503bがオンされていない状態において、V入賞検出スイッチ33b6によって遊技球が検出された場合にオンされ、逆に、大当たり発生時に設定されたラウンド数を実行した場合(即ち、後述するラウンドメモリ503dの値が「0」となった場合)、又は、大当たり中に役物駆動モータ33a5がオフされてから所定時間(例えば、1秒)が経過してもV入賞検出スイッチ33b6によって遊技球が検出されなかった場合に(所謂、パンク)、オフされるように構成されている。
ラウンド抽選カウンタ503cは、大当たりのラウンド数を決定するためのカウンタであり、「0」〜「2」の範囲で更新されるように構成されている。このラウンド抽選カウンタ503cは、大当たりが発生した場合、即ち、通常遊技状態においてV入賞検出スイッチ33b6によって遊技球が検出された場合に参酌され、その時点でのラウンド抽選カウンタ503cの値に基づいて、その大当たりのラウンド数が決定される。具体的には、V入賞検出スイッチ33b6によって遊技球が検出された時点において、ラウンド抽選カウンタ503cの値が「0」であった場合には1ラウンドの大当たり遊技が選定され、また、ラウンド抽選カウンタ503cの値が「1」であった場合には7ラウンドの大当たり遊技が選定され、更に、ラウンド抽選カウンタ503cの値が「2」であった場合には15ラウンドの大当たり遊技が選定されるように構成されている。
ラウンドメモリ503dは、前記したラウンド抽選カウンタ503cによって抽選された大当たりのラウンド数を記憶しておくためのメモリである。このラウンドメモリ503dの値は、大当たりが発生した場合にラウンド抽選カウンタ503cで抽選された値が加算されるように構成されている。具体的には、大当たりが発生した場合にラウンドメモリ503dに加算される値は、ラウンド抽選カウンタ503cの値が「0」であったときには「1」が加算され、ラウンド抽選カウンタ503cの値が「1」であったときには「7」が加算され、ラウンド抽選カウンタ503cの値が「2」であったときには「15」が加算される。逆に、大当たり時にV入賞検出スイッチ33b6によって遊技球が検出される毎に「1」ずつ減算されるように構成されている。また、大当たりのラウンド中に所定時間が経過してもV入賞検出スイッチ33b6によって遊技球が検出されない場合(所謂、パンク)には、ラウンドメモリ503dの値が「0」クリアされるように構成されている。
抽選カウンタ503eは、第1抽選口スイッチ32a1又は第2抽選口スイッチ32b1によって遊技球が検出された場合に、可動片33a1を2回開放駆動させるか、1回開放駆動させるか、或いは、開放駆動させないかの抽選を行うためのカウンタである。この抽選カウンタ503fは、「0」〜「7」の範囲で更新されるように構成されており、主制御装置261の通常処理が1ループする毎に、即ち、4msが経過する毎に「1」ずつ更新されるように構成されている。本実施の形態では、第1抽選口スイッチ32a1又は第2抽選口スイッチ32b1によって遊技球が検出された場合に、この抽選カウンタ503eの値が「7」であれば後述する可動片開放カウンタ503fの値に「2」を加算して可動片33a1を2回開放駆動させるように構成されていると共に、第1抽選口スイッチ32a1又は第2抽選口スイッチ32b1によって遊技球が検出された場合に、この抽選カウンタ503eの値が「4」〜「6」のいずれかの値であれば後述する可動片開放カウンタ503fの値に「1」を加算して可動片33a1を1回開放駆動させるように構成されている一方、抽選カウンタ503eの値が「0」〜「3」のいずれかの値であれば可動片開放カウンタ503fの値に何も加算しないと共に可動片33a1を開放駆動しないように構成されている。
可動片開放カウンタ503fは、可動片33a1の開放回数を記憶するためのカウンタである。この可動片開放カウンタ503fは、第1抽選口スイッチ32a1又は第2抽選口スイッチ32b1によって遊技球が検出された場合に、抽選カウンタ503eの値が「7」であれば「2」が加算されると共に、抽選カウンタ503eの値が「4」〜「6」であれば「1」が加算される一方、抽選カウンタ503eの値が「0」〜「3」であれば可動片開放カウンタ503fの値に何も加算されないように構成されている。本実施の形態では、この可動片開放カウンタ503fの値を参酌することによって、可動片33a1が開放され、該可動片開放カウンタ503fの値が「0」となった場合に、可動片33a1の開放駆動を実行しないように構成されている。
役物入賞カウンタ503gは、大当たり中において役物可変入賞装置33に入賞した遊技球を計数するためのカウンタである。この役物入賞カウンタ503gは、大当たり遊技中において役物入賞検出スイッチ33a3によって遊技球が検出された場合に「1」加算され、逆に、1のラウンドが終了した場合、即ち、ラウンドメモリ503dの値が「1」減算された場合に、「0」クリアされるように構成されている。本実施の形態のパチンコ機10では、1ラウンドの大当たり遊技において、この役物入賞カウンタ503gの値が「10」となった場合、即ち、1のラウンドが開始されてから(可動片駆動ソレノイド33a2が通電されてから)、役物可変入賞装置33内に10個の遊技球の入賞が確認された場合に、予め定めた1ラウンドの遊技価値が付与されたと判断して、そのラウンドを終了させるように構成されている。
可動片カウンタ503hは、大当たり中において可動片33a1の開放回数、即ち、可動片駆動ソレノイド33a2の通電回数を計数するためのカウンタである。この可動片カウンタ503hの値は、大当たり時おいて可動片駆動ソレノイド33a2をオン(通電)した場合に「1」加算され、逆に、1ラウンドの大当たり遊技が終了した場合(ラウンドメモリ503dの値が「1」減算された場合)、又は、大当たりのラウンド中に所定時間が経過してもV入賞検出スイッチ33b6によって遊技球が検出されない場合(所謂、パンク)に、「0」クリアされるように構成されている。本実施の形態のパチンコ機10では、1ラウンドの大当たり遊技において、この可動片カウンタ503hの値が「18」となった場合、即ち、可動片駆動ソレノイド33a2の通電が18回行われた場合に、予め定めた1ラウンドの遊技時間が経過したと判断して、そのラウンドを終了させるように構成されている。
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、第1抽選口スイッチ32a1、第2抽選口スイッチ32b1、2回開放口スイッチ32c、役物入賞検出スイッチ33a3、V入賞検出スイッチ33b6、可動片駆動ソレノイド33a2、役物駆動モータ33a5、ロケット駆動モータ33b8、第1抽選ランプ32a2及び第2抽選ランプ32b2等と接続された音声ランプ制御装置262、又は、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
音声ランプ制御装置262は、主制御装置261からの各種コマンドに応じてランプ104等の点灯制御を行うように構成されており、例えば、主制御装置261から第1V表示コマンドを受信した場合には、第1抽選ランプにおいて略0.8秒間の変動表示(Vランプとマルランプとバツランプとを点滅表示)を実行し、V表示ランプを点灯させるように構成されている。また、主制御装置261から第1マル表示コマンドを受信した場合には、第1抽選ランプにおいて略0.8秒間の変動表示(V表示ランプとマル表示ランプとバツ表示ランプとを点滅表示)を実行し、マル表示ランプを点灯させるように構成されている。更に、主制御装置261から第1バツ表示コマンドを受信した場合には、第1抽選ランプにおいて略0.8秒間の変動表示を実行し、バツ表示ランプを点灯させるように構成されている。また、主制御装置261から第2V表示コマンドを受信した場合には、第2抽選ランプにおいて略0.8秒間の変動表示を実行し、V表示ランプを点灯させるように構成されている。また、主制御装置261から第2マル表示コマンドを受信した場合には、第2抽選ランプにおいて略0.8秒間の変動表示を実行し、マル表示ランプを点灯させるように構成されている。また、主制御装置261から第2バツ表示コマンドを受信した場合には、第2抽選ランプにおいて略0.8秒間の変動表示を実行し、バツ表示ランプを点灯させるように構成されている。
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時には、このバックアップエリア513aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア513aへの書き込みはNMI割込処理によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射モータ229による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータ229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータ229が駆動され、遊技球発射ハンドル18の操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323を有するRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては、払出制御装置311を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323が押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップエリア503a,513aのデータをクリアする。
次に、図29から図33のフローチャートを参照して、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2ミリ秒(以下「ms」で表す)周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図32は、タイマ割込処理を示したフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御装置261のMPU501により例えば2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず、第1抽選口スイッチ32a1がオンされたか否かを確認する(S251)。確認の結果、第1抽選口スイッチ32a1がオンされていなければ(S251:No)、処理をS259へ移行する一方、第1抽選口スイッチ32a1がオンされていれば(S251:Yes)、次に、第1抽選ランプ32a2又は第2抽選ランプ32b2において変動表示が実行されているか否か、即ち、既に第1抽選口32a又は第2抽選口32bに遊技球が入賞してその入賞に基づく抽選が行われている最中か否かを確認し(S252)、変動表示中であれば(S252:Yes)、重複した可動片33a1の駆動を防ぐために可動片33a1を駆動させ得る抽選を実行せずに、処理をS259へ移行する。一方、変動表示中でなければ(S252:No)、次に、抽選カウンタ503eの値を確認する(S253)。確認の結果、抽選カウンタ503eの値が「7」である場合には(S253:「7」)、可動片33a1を2回開放駆動させるために、可動片開放カウンタ503fの値に「2」を加算して(S254)、音声ランプ制御装置262に第1V表示コマンドを送信し(S255)、処理をS259へ移行する。抽選カウンタ503eの値が「4」〜「6」である場合には(S253:「4」〜「6」)、可動片33a1を1回開放駆動させるために、可動片開放カウンタ503fの値に「1」を加算して(S256)、音声ランプ制御装置262に第1マル表示コマンドを送信し(S257)、処理をS259へ移行する。抽選カウンタ503eの値が「0」〜「3」である場合には(S253:「0」〜「3」)、可動片33a1を開放駆動させないために、可動片開放カウンタ503fに値を加算せず、音声ランプ制御装置262に第1バツ表示コマンドを送信し(S258)、処理をS259へ移行する。
S259の処理では、第2抽選口スイッチ32b1がオンされたか否かを確認する(S259)。確認の結果、第2抽選口スイッチ32b1がオンされていなければ(S259:No)、処理をS267へ移行する一方、第2抽選口スイッチ32b1がオンされていれば(S259:Yes)、次に、第1抽選ランプ32a2又は第2抽選ランプ32b2において変動表示が実行されているか否か、即ち、既に第1抽選口32a又は第2抽選口32bに遊技球が入賞してその入賞に基づく抽選が行われている最中か否かを確認し(S260)、変動表示中であれば(S260:Yes)、重複した可動片33a1の駆動を防ぐために可動片33a1を駆動させ得る抽選を実行せずに、処理をS267へ移行する。一方、変動表示中でなければ(S260:No)、次に、抽選カウンタ503eの値を確認する(S261)。確認の結果、抽選カウンタ503eの値が「7」である場合には(S261:「7」)、可動片33a1を2回開放駆動させるために、可動片開放カウンタ503fの値に「2」を加算して(S262)、音声ランプ制御装置262に第2V表示コマンドを送信し(S263)、処理をS267へ移行する。抽選カウンタ503eの値が「4」〜「6」である場合には(S261:「4」〜「6」)、可動片33a1を1回開放駆動させるために、可動片開放カウンタ503fの値に「1」を加算して(S264)、音声ランプ制御装置262に第2マル表示コマンドを送信し(S265)、処理をS267へ移行する。抽選カウンタ503eの値が「0」〜「3」である場合には(S261:「0」〜「3」)、可動片33a1を開放駆動させないために、可動片開放カウンタ503fに値を加算せず、音声ランプ制御装置262に第2バツ表示コマンドを送信し(S266)、処理をS267へ移行する。
S267の処理では、V入賞検出スイッチ33b6がオンされたか否かを確認する(S267)。V入賞検出スイッチ33b6がオンされていれば(S267:Yes)、次に、V入賞フラグ503bがオンされているか否か、即ち、既に大当たり中か否かを確認する(S268)。V入賞フラグ503bがオンされていなければ(S268:No)、通常遊技状態中におけるV入賞口33b5への入賞であるので、V入賞フラグ503bをオンして(S269)、その時点におけるラウンド抽選カウンタ503cの値をラウンドメモリ503dへ加算し(S270)、その他のスイッチ読み込み処理を行い(S271)、このスイッチ読み込み処理を終了する。
なお、S267の処理において、V入賞検出スイッチ33b6がオンされていなければ(S267:No)、処理をS271へ移行する。また、S268の処理において、V入賞フラグ503bがオンされている場合は(S268:Yes)、大当たり中におけるV入賞口33b5への入賞であるので、ラウンドメモリ503dへの加算は行わずに、処理をS271へ移行する。
ここで、図39を参照して、第1抽選口32a、第2抽選口32b及び2回開放口32cの入賞に基づく可動片33a1と役物33a4との駆動パターンについて説明する。図39は、第1抽選口スイッチ32a1、第2抽選口スイッチ32b1及び2回開放口スイッチ32c1の入賞に基づく可動片駆動ソレノイド33a2と役物駆動モータ33a5との駆動状態を示したタイミングチャートである。
本実施の形態のパチンコ機10では、第1抽選口32a、第2抽選口32b又は2回開放口32cのいずれかに遊技球が入賞した場合に、その入賞に基づいて可動片33a1を1回開放駆動させるとき、略0.8秒後に可動片33a1を1回開放駆動するように構成されている。また、第1抽選口32a、第2抽選口32b又は2回開放口32cのいずれかに遊技球が入賞した場合に、その入賞に基づいて可動片33a1を2回開放駆動させるとき、第1抽選口スイッチ32a1、第2抽選口スイッチ32b1又は2回開放口スイッチ32c1のいずれかのスイッチの検出から略0.8秒後に可動片33a1を略0.2秒間開放駆動し、その開放駆動から略1.0秒後に2回目の開放駆動を実行するように構成されている。更に、第1抽選口32a、第2抽選口32b又は2回開放口32cのいずれかに遊技球が入賞した場合には、可動片33a1の開放回数によらず、遊技球の入賞から略2.0秒後に役物33a4を駆動させて、役物内部通路33a4IIによって役物33a4が駆動されたタイミングで役物可変入賞装置33に入賞した遊技球をV入賞口33b5へ導出し得るように構成されている。また、本実施の形態のパチンコ機10では、役物可変入賞装置33に入賞した遊技球は、略1.0秒前後にV入賞口33b5又はハズレ口(図示せず)のいずれかに入賞し得るように構成されている。よって、可動片33a1の1回目の開放駆動時に比べて、2回目の開放駆動時に遊技球が役物可変入賞装置33に入賞した場合に、役物33a4によってV入賞口33b5に遊技球が導出され易いように構成されている。
具体的に説明すると、第1抽選口スイッチ32a1、第2抽選口スイッチ32b1又は2回開放口スイッチ32c1のいずれかによって遊技球が検出された場合に、可動片33a1を1回開放する遊技が選定されていたときには、遊技球の検出から略0.8秒後に可動片駆動ソレノイド33a2をオンして可動片33a1を開放駆動させて役物可変入賞装置33内に遊技球が入賞し得る状態にし、また、遊技球の検出から略2.0秒後に役物駆動モータ33a5をオンするように構成されている。しかしながら、役物可変入賞装置33に入賞した遊技球は、略1.0秒前後にV入賞口33b5又はハズレ口(図示せず)のいずれかに入賞し得るように構成されているので、可動片33a1が1回しか開放駆動されない場合は、役物33a4によるV入賞口33b5への導出が行われ難い。
一方、第1抽選口スイッチ32a1、第2抽選口スイッチ32b1又は2回開放口スイッチ32c1によって遊技球が検出された場合に、可動片33a1を2回開放する遊技が選定されていたときには、遊技球の検出から略0.8秒後に可動片駆動ソレノイド33a2をオンして1回目の可動片33a1の開放駆動を実行して役物可変入賞装置33内に遊技球が入賞し得る状態にし、また、遊技球の検出から略1.8秒後に可動片駆動ソレノイド33a2をオンして2回目の可動片33a1の開放駆動を実行して役物可変入賞装置33内に遊技球が入賞し得る状態にし、更に、遊技球の検出から略2.0秒後に役物駆動モータ33a5をオンするように構成されている。この場合において、役物可変入賞装置33への遊技球の入賞タイミングと、役物33a4の駆動タイミングが同調するので、2回目の可動片33a1の開放駆動時に役物可変入賞装置33に遊技球が入賞した場合には、該遊技球が役物33a4によってV入賞口33b5へ導出され易くなる。
なお、本実施の形態のパチンコ機10では、可動片33a1を開放駆動しない抽選結果が導出された場合に、可動片33a1を開放駆動する変動表示と同等の演出後に第1抽選ランプ32a2又は第2抽選ランプ32b2のバツ表示ランプを点灯するように構成されている。具体的には、第1抽選口32a又は第2抽選口32bに遊技球が入賞した場合に、第1抽選ランプ32a2又は第2抽選ランプ32b2において変動表示を行って、変動表示の開始から略0.8秒後にV表示ランプ、マル表示ランプ又はバツ表示ランプのいずれかを点灯させるが、その変動表示の変動態様(変動パターン及び音楽)は、抽選結果の如何を問わず同じとするように構成されている。このように構成することによって、変動表示の変動パターンを記憶するデータ量を少量にすることができるので、パチンコ機10の遊技の制御を安定させることができる。また、可動片33a1が開放駆動する前に抽選内容の当否を遊技者に事前に把握させ難くすることができるので、可動片33a1が開放駆動している状態のみ遊技を行って、V入賞口33b5への入賞率を意図的に向上させるという行為(所謂、狙い打ち)の効果を低下させることができるので、狙い打ち行為を抑制することができる。
また、本実施の形態のパチンコ機10では、第1抽選口32a又は第2抽選口32bに遊技球が入賞した場合に、可動片33a1を2回開放駆動させるか、可動片33a1を1回開放駆動させるか、或いは、可動片33a1を開放駆動しないかの抽選を行うように構成されている。本実施のパチンコ機10では、可動片33a1を開放駆動しなければ、V入賞口33b5に遊技球が入賞しないように構成されているので、第1抽選口32a又は第2抽選口32bに遊技球が入賞した場合に実行される抽選において、可動片33a1を開放駆動させないという抽選結果を抽選に採用することで、V入賞口33b5への遊技球の入賞率を調整し易くなると共に、該パチンコ機10における出球量の設定を行い易くすることができる。
本実施の形態のパチンコ機10では、本来、可動片33a1を1回開放駆動させる第1抽選口32a1又は第2抽選口33b2に遊技球が入賞した場合に、その入賞に基づいた抽選結果に応じて可動片33a1を駆動するように構成されている。よって、第1抽選口32a又は第2抽選口32bに遊技球が入賞した場合における可動片33a1の駆動パターンを可変的に構成することで、単調な遊技を解消することができる。また、第1抽選口32a又は第2抽選口32bに遊技球が入賞した場合における可動片33a1の駆動パターンを可変的に構成することで、遊技者に役物33a4の駆動パターンを把握された場合にも、遊技球の役物可変入賞装置33への入賞をランダムにすることができるので、公正な抽選を行うことができる。更に、第1抽選ランプ32a2又は第2抽選ランプ32b2で実行される変動表示は略0.8秒間であり、その変動表示の終了直後に略0.2秒間可動片33a1を開放駆動することで、遊技者が変動表示の表示結果を確認してから遊技を行っても役物可変入賞装置33に遊技球を入賞させることが困難となるように構成されている。よって、狙い打ち等によって不正に大当たり確率を上昇させることを防止することができるので、不正行為を抑制することができる。
図29は、主制御装置261内のMPU501により実行されるメイン処理を示したフローチャートである。このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。メイン処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置262、払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(例えば1秒程度)を実行する。払出制御装置311に対して払出許可コマンドを送信した後(S102)、RAM503のアクセスを許可する(S103)。
その後は、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323がオンされているか否かを判別し(S104)、オンされていれば(S104:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS114へ移行する。一方、RAM消去スイッチ323がオンされていなければ(S104:No)、更にRAM503のバックアップエリア503aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S105)、記憶されていなければ(S105:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS114へ移行する。バックアップエリア503aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS114へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323が押されていれば、RAMの初期化処理(S114〜S116)に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(S114〜S116)に移行する。即ち、S114からのRAMの初期化処理では、RAM503の使用領域を0にクリアし(S114)、RAM503の初期値を設定する(S115)。その後、割込みを許可して(S116)、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323がオンされておらず(S104:No)、電源遮断の発生情報が記憶されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、処理をS108へ移行して復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、復電時の処理では、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S108)、電源遮断の発生情報をクリアする(S109)。次に、サブ側の制御装置を電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時のコマンドを送信し(S110)、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる(S111)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S112)、割込みが許可状態であれば(S112:Yes)、割込みを許可し(S113)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S112:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
次に、図30のフローチャートを参照して通常処理を説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms周期の定期処理としてS201〜S204の各処理が実行され、その残余時間でS205が実行される構成となっている。
通常処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する(S201)。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置311に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。
次に、ラウンド抽選カウンタ503c及び抽選カウンタ503eの各値を更新する(S202)。具体的には、ラウンド抽選カウンタ503c及び抽選カウンタ503eの値を「1」加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではラウンド抽選カウンタ503cは「2」、抽選カウンタ503eは「7」)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、ラウンド抽選カウンタ503c及び抽選カウンタ503eの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
次に、払出制御装置311より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S203)、次に、可動片開放カウンタ503fの値が「0」より大きい値か否かを確認し(S204)、可動片開放カウンタ503fの値が「0」であった場合には(S204:No)、処理をS209へ移行する一方、可動片開放カウンタ503fの値が「0」でなければ(S204:Yes)、可動片開放カウンタ503fに値が書き込まれてから略0.8秒が経過しているか否か、即ち、第1抽選ランプ32a2又は第2抽選ランプ32b2における変動表示が終了しているか否かを確認する(S205)。可動片開放カウンタ503fに値が書き込まれてから略0.8秒が経過していなければ(S205:No)、処理をS209へ移行する一方、可動片開放カウンタ503fに値が書き込まれてから略0.8秒が経過していれば(S205:Yes)、第1抽選ランプ32a2又は第2抽選ランプ32b2において変動表示が終了しているので、可動片駆動ソレノイド33a2をオフしてから所定時間(本実施の形態では、略0.2秒)が経過しているか否かを確認する(S206)。確認の結果、可動片駆動ソレノイド33a2をオフしてから所定時間が経過していなければ(S206:No)、処理をS209へ移行する一方、可動片駆動ソレノイド33a2をオフしてから所定時間が経過していれば(S206:Yes)、可動片開放カウンタ503fの値から「1」を減算すると共に(S207)、可動片駆動ソレノイド33a2をオンして(S208)、処理をS209へ移行する。
S209の処理では、可動片駆動ソレノイド33a2をオンしてから所定時間(本実施の形態では、略0.2秒)経過したか否かを確認し(S209)、可動片駆動ソレノイド33a2をオンしてから所定時間が経過していれば(S209:Yes)、可動片駆動ソレノイド33a2をオフして(S210)、処理をS211へ移行する。一方、可動片駆動ソレノイド33a2をオンしてから所定時間が経過していなければ(S209:No)、S210の処理をスキップして、処理をS211へ移行する。
S211の処理では、大当たり処理を行い(S211)、大当たり判定や大当たり遊技等が実行される。その後は、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S212)、所定時間が経過していなければ(S212:No)、所定時間が経過するまで待機する一方、所定時間が経過していれば(S212:Yes)、処理をS201へ移行し、前述したS201以降の各処理を繰り返し実行する。
ここで、図31を参照して、大当たり処理(S211)について説明する。図31は、大当たり処理のフローチャートである。この大当たり処理では、大当たり遊技において各スイッチの検出結果等に応じて各役物の駆動制御等が実行される。
大当たり処理(S211)では、まず、V入賞フラグ503bがオンされているか否かを確認する(S221)。確認の結果、V入賞フラグ503bがオンされていなければ(S221:No)、大当たりが発生していないので、この大当たり処理を終了する。一方、V入賞フラグ503bがオンされていれば(S221:Yes)、大当たり中であるので、次に、ラウンドメモリ503dの値が「0」より大きいか否か、即ち、大当たりのラウンドが残っているか否かを確認する(S222)。確認の結果、ラウンドメモリ503dの値が「0」より大きければ(S222:Yes)、大当たりのラウンドが残っている状態であるので、次に、ラウンド開始時から略2.0秒が経過したか否かを確認する(S223)。ラウンド開始時から略2.0秒が経過していれば(S223:Yes)、役物駆動モータ33a5をオンして(S224)、役物33a4によってV入賞口33b5へ遊技球を入賞させ易くし、処理をS225へ移行する。一方、ラウンド開始時から略2.0秒が経過していなければ(S223:No)、S224の処理をスキップして、処理をS225へ移行する。
S225の処理では、可動片駆動ソレノイド33a2がオンされているか否かを確認する(S225)。可動片駆動ソレノイド33a2がオンされていなければ(S225:No)、可動片33a1を開放させるために可動片駆動ソレノイド33a2をオンして(S226)、可動片33a1が1回開放されたことを示すために可動片カウンタ503hの値に「1」を加算し(S227)、処理をS228へ移行する。一方、可動片駆動ソレノイド33a2がオンされている場合は(S225:Yes)、S226及びS227の処理をスキップして、処理をS228へ移行する。
S228の処理では、可動片駆動ソレノイド33a2がオンされてから所定時間(例えば、1秒)経過したか否かを確認する(S228)。可動片駆動ソレノイド33a2がオンされてから所定時間が経過している場合は(S228:Yes)、可動片駆動ソレノイド33a2をオフして(S229)、可動片カウンタ503hの値が「18」か否かを確認する(S230)。本実施の形態では、大当たり中における1のラウンド遊技の時間を定期的又は略定期的に開閉駆動する可動片33a1の駆動回数で計数しており、この可動片カウンタ503hの値を確認することによって、1のラウンド遊技における規定時間が経過したか否かを確認することができる。可動片カウンタ503hの値を確認した結果、可動片カウンタ503hの値が「18」でなければ(S230:No)、処理をS231へ移行する。なお、S228の処理において、可動片駆動ソレノイド33a2がオンされてから所定時間が経過していない場合は(S228:No)、S229及びS230の処理をスキップして、処理をS231へ移行する。また、S230の処理において、可動片カウンタ503hの値が「18」であった場合には(S230:Yes)、処理を後述するS234へ移行する。
S231の処理では、役物入賞検出スイッチ33a3がオンされたか否かを確認する(S231)。役物入賞検出スイッチ33a3がオンされていれば(S231:Yes)、役物入賞カウンタ503gの値に「1」を加算し(S232)、次に、役物入賞カウンタ503gの値が「10」であるか否かを確認する(S233)。確認の結果、役物入賞カウンタ503gの値が「10」であれば(S233:Yes)、1のラウンド遊技において役物可変入賞装置33に10個の遊技球が入賞したということなので、そのラウンド遊技を終了させるために、役物駆動モータ33a5をオフし(S234)、処理をS235へ移行する。
なお、S231の処理において、役物入賞検出スイッチ33a3がオンされていない場合は(S231:No)、S232〜S234の処理をスキップして、処理をS235へ移行する。また、S233の処理において、役物入賞カウンタ503gの値が「10」でない場合には(S233:No)、役物可変入賞装置33内に10個の遊技球が入賞していないので、S234の処理をスキップして、処理をS235へ移行する。
S235の処理では、役物駆動モータ33a5をオフしてから所定時間(例えば、1秒)が経過したか否かを確認する(S235)。確認の結果、役物駆動モータ33a5をオフしてから所定時間が経過していなければ(S235:No)、次に、V入賞検出スイッチ33b6がオンされたか否かを確認する(S236)。V入賞検出スイッチ33b6がオンされていれば(S236:Yes)、ラウンドメモリ503dの値から「1」減算し(S237)、可動片カウンタ503hの値を「0」クリアすると共に(S238)、役物入賞カウンタ503gの値を「0」クリアして(S239)、この大当たり処理を終了する。一方、S236の処理において、V入賞検出スイッチ33b6がオンされていない場合は(S236:No)、1のラウンド遊技中であるので、S237〜S239の処理をスキップして、この大当たり処理を終了させる。
なお、S222の処理においてラウンドメモリ503dの値が「0」であった場合(S222:No)、又は、S235の処理において役物駆動モータ33a5をオフしてから所定時間が経過した場合には(S235:Yes)、大当たり遊技を終了させるために、処理をS240へ移行し、V入賞フラグ503bをオフして(S240)、ラウンドメモリ503dの値を「0」クリアし(S241)、処理をS238へ移行する。
図33は、NMI割込処理を示したフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置261のMPU501により実行される。このNMI割込処理により、電源遮断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路542から主制御装置261内のMPU501のNMI端子に出力され、MPU501は実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始する。図33のNMI割込処理のプログラムは、主制御装置261のROM502に記憶されている。停電信号SG1が出力された後所定時間は、主制御装置261の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
NMI割込処理では、まず、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aに退避し(S801)、スタックポインタの値を同バックアップエリア503aに記憶する(S802)。更に、電源遮断の発生情報をバックアップエリア503aに設定し(S803)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置に対して送信する(S804)。RAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する(S805)。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。その後は、RAM503のアクセスを禁止して(S806)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、停電の発生等による電源遮断時の払出制御装置311の状態がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。停電信号SG1が出力された後所定時間は、払出制御装置311の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされるのも同様である。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路542から払出制御装置311内のMPU511のNMI端子に出力され、MPU511は実行中の制御を中断して図33のNMI割込処理を開始する。その内容はステップS804の電源遮断通知コマンドの送信を行なわない点を除き上記説明と同様である。
次に、図34を参照して、音声ランプ制御装置262で実行されるコマンド受信処理について説明する。図34は、音声ランプ制御装置262で実行されるコマンド受信処理を示したフローチャートである。このコマンド受信処理では、まず、主制御装置261から第1V表示コマンドを受信したか否かを確認する(S811)。確認の結果、第1V表示コマンドを受信していれば(S811:Yes)、第1抽選ランプ32a2に略0.8秒間の変動表示を行わせた後にV表示ランプを点灯させ(S812)、処理をS813へ移行する。一方、第1V表示コマンドを受信していない場合は(S811:No)、S812の処理をスキップして、処理をS813へ移行する。
S813の処理では、主制御装置261から第1マル表示コマンドを受信したか否かを確認する(S813)。確認の結果、第1マル表示コマンドを受信していれば(S813:Yes)、第1抽選ランプ32a2に略0.8秒間の変動表示を行わせた後にマル表示ランプを点灯させ(S814)、処理をS815へ移行する。一方、第1マル表示コマンドを受信していない場合は(S813:No)、S814の処理をスキップして、処理をS815へ移行する。
S815の処理では、主制御装置261から第1バツ表示コマンドを受信したか否かを確認する(S815)。確認の結果、第1バツ表示コマンドを受信していれば(S815:Yes)、第1抽選ランプ32a2に略0.8秒間の変動表示を行わせた後にバツ表示ランプを点灯させ(S816)、処理をS817へ移行する。一方、第1バツ表示コマンドを受信していない場合は(S815:No)、S816の処理をスキップして、処理をS817へ移行する。
S817の処理では、主制御装置261から第2V表示コマンドを受信したか否かを確認する(S817)。確認の結果、第2V表示コマンドを受信していれば(S817:Yes)、第2抽選ランプ32b2に略0.8秒間の変動表示を行わせた後にV表示ランプを点灯させ(S818)、処理をS819へ移行する。一方、第2V表示コマンドを受信していない場合は(S817:No)、S818の処理をスキップして、処理をS819へ移行する。
S819の処理では、主制御装置261から第2マル表示コマンドを受信したか否かを確認する(S819)。確認の結果、第2マル表示コマンドを受信していれば(S819:Yes)、第2抽選ランプ32b2に略0.8秒間の変動表示を行わせた後にマル表示ランプを点灯させ(S820)、処理をS821へ移行する。一方、第2マル表示コマンドを受信していない場合は(S819:No)、S820の処理をスキップして、処理をS821へ移行する。
S821の処理では、主制御装置261から第2バツ表示コマンドを受信したか否かを確認する(S821)。確認の結果、第2バツ表示コマンドを受信していれば(S821:Yes)、第2抽選ランプ32b2に略0.8秒間の変動表示を行わせた後にバツ表示ランプを点灯させ(S822)、処理をS823へ移行する。一方、第2バツ表示コマンドを受信していない場合は(S821:No)、S822の処理をスキップして、処理をS823へ移行する。S819の処理では、その他のコマンド受信処理を実行し(S819)、このコマンド受信処理を終了する。
次に、図35を参照して、払出制御装置311内のMPU511により実行される払出制御について説明する。図35は、払出制御装置311のメイン処理を示したフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。
まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S901)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。次に、主制御装置261から送信される払出許可コマンドの受信を待機する(S902:No)。そして、払出許可コマンドを受信すると(S902:Yes)、RAMアクセスを許可すると共に(S903)、外部割込ベクタの設定を行う(S904)。
その後は、MPU511内のRAM513に関してデータバックアップの処理を実行する。具体的には、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押されているか否かを判別し(S905)、オンされていれば(S905:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS915へ移行する。一方、RAM消去スイッチ323がオンされていなければ(S905:No)、更にRAM513のバックアップエリア513aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S906)、記憶されていなければ(S906:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS915へ移行する。バックアップエリア513aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S906:Yes)、RAM判定値を算出し(S907)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S908:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS915へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S915からのRAMの初期化処理では、RAM513の使用領域を0にクリアし(S915)、RAM513の初期値を設定する(S916)。その後、MPU511周辺デバイスの初期設定を行うと共に(S917)、割込みを許可して(S918)、後述する払出制御処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323が押されておらず(S905:No)、電源遮断の発生情報が設定されており(S906:Yes)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S908:Yes)、復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S909)、電源遮断の発生情報をクリアする(S910)。また、MPU511周辺デバイスの初期設定を行い(S911)、使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる(S912)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S913)、割込みが許可状態であれば(S913:Yes)、割込みを許可し(S914)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S913:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
次に、図36のフローチャートを参照して、払出制御処理を説明する。この払出制御処理は、払出制御装置311のメイン処理に続いて実行される。払出制御処理では、まず、主制御装置261からのコマンドを取得し、賞球の総賞球個数を記憶する(S1001)。発射制御装置312に対して発射許可の設定を行い(S1002)、状態復帰スイッチ321をチェックした結果、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する(S1003)。
その後、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する(S1004)。即ち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿15の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時に、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時に、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する(S1005)。即ち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時に、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時に、タンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する(S1006)。
次に、S1007〜S1009の各処理により、賞球払出の処理を実行する。即ち、賞球の払出不可状態でなく且つS1001の処理で記憶した総賞球個数が0でなければ(S1007:No,S1008:No)、図37に示す賞球制御処理を開始する(S1009)。一方、賞球の払出不可状態(S1007:Yes)または総賞球個数が0であれば(S1008:Yes)、貸球払出の処理に移行する。なお、賞球制御処理は後述する。
S1010〜S1012の貸球払出の処理では、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(S1010:No,S1011:Yes)、図38に示す貸球制御処理を開始する。一方、貸球の払出不可状態(S1010:Yes)または貸球払出要求を受信していなければ(S1011:No)、後続の球抜き処理を実行する(S1013)。なお、貸球制御処理は後述する。
球抜き処理(S1013)では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ358aを駆動させ球抜き処理を実行する。続いて、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ360の制御(バイブモータ制御)を実行する(S1014)。その後は、本払出制御処理の先頭に戻り、以降は前述した処理を繰り返す。
図37に示す賞球制御処理を説明する。賞球制御処理では、まず、払出モータ358aを正方向回転駆動させて賞球の払出を実行する(S1101)。払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1102)、正常でなければ(S1102:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1103)、その後、図36の払出制御処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば(S1102:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1104)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1104:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1105)、その後、図36の払出制御処理に戻る。
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1104:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別し(S1106)、払出が完了していれば(S1106:Yes)、払出モータ358aの停止処理を実行し(S1107)、その後、図36の払出制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1106:No)、そのまま、図36の払出制御処理に戻る。
図38に示す貸球制御処理を説明する。貸球制御処理では、まず、払出モータ358aを逆方向回転駆動させて貸球の払出を実行する(S1201)。払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1202)、正常でなければ(S1202:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1203)、その後、図36の払出制御処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば(S1202:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1204)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1204:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1205)、その後、図36の払出制御処理に戻る。
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1204:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別し(S1206)、払出が完了していれば(S1206:Yes)、払出モータ358aの停止処理を実行し(S1207)、その後、図36の払出制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1206:No)、そのまま、図36の払出制御処理に戻る。
以上説明したように、本実施の形態のパチンコ機10では、第1抽選口32a又は第2抽選口32bに遊技球が入賞した場合に、抽選カウンタ503fによる抽選結果に応じて、複数設けられたいずれかの駆動パターンで可動片33a1を開放駆動させることができるように構成されている。よって、第1抽選口32a又は第2抽選口32bに遊技球が入賞した場合における可動片33a1の駆動パターンを可変的に構成することで、単調な遊技を解消することができる。また、第1抽選口32a又は第2抽選口32bに遊技球が入賞した場合における可動片33a1の駆動パターンを可変的に構成することで、遊技者に役物33a4の駆動パターンを把握された場合にも、遊技球の役物可変入賞装置33への入賞をランダムにすることができるので、公正な抽選を行うことができる。
また、本実施の形態のパチンコ機10では、第1抽選口32a又は第2抽選口32bに遊技球が入賞した場合に、可動片33a1の開放態様を変化させることで、その開放態様の変化によってV入賞口33b5への遊技球の入賞の期待度も変化させることができるので、単調な遊技を払拭することができる。
更に、本実施の形態のパチンコ機10では、第1抽選口32a又は第2抽選口32bに遊技球が入賞しても、抽選結果如何によって可動片33a1の開放タイミングを変化させることができ、V入賞口33b5へ遊技球が入賞し易いタイミングのみ遊技を行う不正行為(所謂、止め打ち)を行った場合にも、可動片33a1が開放駆動しなければV入賞口33b5を狙い打つ意味がなくなるので、止め打ち等の不正行為の効果を低下させることで、不正行為を抑制することができる。
また、通常、2回開放口32cは、遊技球が入賞した場合に、役物可変入賞装置33への遊技球の入賞率が高く、更には、V入賞口33b5への入賞率も高くなるので、大当たり発生確率を上昇させないために、該2回開放口32cには遊技球が入賞し難いように設定されている。よって、2回開放口32cに遊技球が入賞することによって可動片33a1が2回開放されるという遊技を折角設けても有効的に利用されない場合があった。そこで、本実施の形態のパチンコ機10では、第1抽選口32a又は第2抽選口32bのいずれかに遊技球が入賞した場合に、抽選を行って、2回開放口32cに遊技球が入賞することによって可動片33a1が2回開放させるという遊技を実行するように構成されている。よって、予め設定(記憶)されている可動片33a1を2回開放させるという遊技(データ)を有効活用することができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施の形態のパチンコ機10では、第1抽選口32a又は第2抽選口32bへの遊技球の入賞に基づいて抽選を行い、その抽選結果に基づいて可動片33a1の開放回数を決定していた。これに代えて、第2実施の形態のパチンコ機では、第1抽選口32a又は第2抽選口32bへの遊技球の入賞に基づいて抽選を行い、その抽選結果に基づいて、可動片33a1の開放時間の長さ、又は、可動片33a1の開放タイミング等を決定するように構成しても良い。
本発明を上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
以下に本発明の遊技機及び変形例を示す。遊技媒体が投入される遊技領域と、その遊技領域を流下する前記遊技媒体の流入方向に干渉する可動部材を有すると共に、前記遊技媒体が入球することによって遊技者に所定の遊技価値を付与する特定入球部とその特定入球部と異なる非特定入球部とを内在する特定入球装置と、その特定入球装置に流入した前記遊技媒体を前記特定入球部へ導出可能な導出部材と、その導出部材を駆動する導出部材駆動手段と、前記遊技領域の所定入球部に入球した前記遊技媒体を検出する所定検出手段と、その所定検出手段によって前記遊技媒体が検出された場合に前記可動部材を所定パターンで駆動させる所定遊技を実行する所定遊技実行手段と、その所定遊技実行手段による前記所定遊技において前記特定入球装置に流入した前記遊技媒体が前記特定入球部へ入球することに基づいて遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を実行する特別遊技実行手段とを備え、前記所定遊技実行手段は、前記所定検出手段で前記遊技媒体が検出された場合に、所定期間後に、前記導出部材駆動手段によって前記導出部材を一定のパターンで駆動して、前記特定入球装置へ流入した前記遊技媒体を前記特定入球部へ流入し易くするように構成された遊技機において、前記可動部材の第1駆動態様と、その第1駆動態様より前記所定期間後に一定の駆動パターンで駆動される前記導出部材によって前記遊技媒体を前記特定入球部へ導出させ易い第2駆動態様との複数の駆動態様を記憶した駆動態様記憶手段と、前記所定検出手段における前記遊技媒体の検出に基づいて抽選を行う抽選手段と、その抽選手段の抽選結果を遊技者に示唆可能に構成された抽選結果示唆手段とを備え、前記所定遊技実行手段は、前記抽選結果示唆手段によって前記抽選手段の抽選結果を遊技者に示唆すると共に、前記抽選手段の抽選結果に応じて前記駆動態様記憶手段に記憶されるいずれかの駆動態様で前記可動部材を駆動するように構成されていることを特徴とする遊技機1。
遊技媒体が投入される遊技領域と、その遊技領域を流下する前記遊技媒体の流入方向に干渉する可動部材を有すると共に、前記遊技媒体が入球することによって遊技者に所定の遊技価値を付与する特定入球部とその特定入球部と異なる非特定入球部とを内在する特定入球装置と、その特定入球装置に流入した前記遊技媒体を前記特定入球部へ導出可能な導出部材と、その導出部材を駆動する導出部材駆動手段と、前記遊技領域の所定入球部に入球した前記遊技媒体を検出する所定検出手段と、その所定検出手段によって前記遊技媒体が検出された場合に前記可動部材を所定パターンで駆動させる所定遊技を実行する所定遊技実行手段と、その所定遊技実行手段による前記所定遊技において前記特定入球装置に流入した前記遊技媒体が前記特定入球部へ入球することに基づいて遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を実行する特別遊技実行手段とを備え、前記所定遊技実行手段は、前記所定検出手段で前記遊技媒体が検出された場合に、所定期間後に、前記導出部材駆動手段によって前記導出部材を一定のパターンで駆動して、前記特定入球装置へ流入した前記遊技媒体を前記特定入球部へ流入し易くするように構成された遊技機において、前記可動部材の第1駆動態様と、その第1駆動態様より前記可動部材の駆動された状態から非駆動されるタイミングが前記所定期間後に駆動される前記導出部材の駆動タイミングに近い第2駆動態様との複数の駆動態様を記憶した駆動態様記憶手段と、前記所定検出手段における前記遊技媒体の検出に基づいて抽選を行う抽選手段と、その抽選手段の抽選結果を遊技者に示唆可能に構成された抽選結果示唆手段とを備え、前記所定遊技実行手段は、前記抽選結果示唆手段によって前記抽選手段の抽選結果を遊技者に示唆すると共に、前記抽選手段の抽選結果に応じて前記駆動態様記憶手段に記憶されるいずれかの駆動態様で前記可動部材を駆動するように構成されていることを特徴とする遊技機2。所定検出手段の遊技媒体の検出に基づいて抽選を行い、その抽選結果を遊技者に示唆すると共に、該抽選結果に応じて駆動態様記憶手段に記憶されているいずれかの駆動態様で可動部材を駆動するように構成されている。よって、所定入球部に遊技媒体が入球した場合における可動部材の駆動態様を可変的に構成することで、単調な遊技を解消することができる。また、所定入球部に遊技媒体が入球した場合における可動部材の駆動態様を可変的に構成することで、遊技者に導出手段の駆動パターンを把握された場合にも、遊技媒体の特定入球装置への入球タイミングと導出部材の駆動タイミングをランダムにすることができるので、予め設定された公正な抽選を行うことができる。
遊技機1又は2において、前記駆動態様記憶手段は、前記可動部材を第1所定回数駆動させる第1駆動態様と、前記可動部材を前記第1所定回数より多い第2所定回数駆動させる第2駆動態様とを記憶しており、前記導出部材駆動手段は、前記可動部材の第1所定回数駆動時前後に前記導出部材を駆動せずに、前記特定入球装置に流入した前記遊技媒体を前記特定入球部へ導出し難いように構成されている一方、前記可動部材の第2所定回数駆動時前後に前記導出部材を駆動して、前記特定入球装置に流入した前記遊技媒体を前記特定入球部へ導出し易いように構成されていることを特徴とする遊技機3。可動部材の第1所定回数駆動時に特定入球装置に流入した遊技媒体は導出部材によって特定入球部へ導出され難いように構成されている一方、可動部材の第2所定回数駆動時に特定入球装置に流入した遊技媒体は導出部材によって特定入球部へ導出され易いように構成されている。よって、可動部材の駆動態様によって特定入球部への遊技媒体の入球の期待度を変化させることができるので、単調な遊技を払拭することができる。
遊技機1又は2において、前記駆動態様記憶手段は、前記可動部材を第1所定期間駆動させる第1駆動態様と、前記可動部材を前記第1所定期間より長い第2所定期間駆動させる第2駆動態様とを記憶しており、前記導出部材駆動手段は、前記可動部材の第1所定期間駆動時前後に前記導出部材を駆動せずに、前記特定入球装置に流入した前記遊技媒体を前記特定入球部へ導出し難いように構成されている一方、前記可動部材の第2所定期間駆動時前後に前記導出部材を駆動して、前記特定入球装置に流入した前記遊技媒体を前記特定入球部へ導出し易いように構成されていることを特徴とする遊技機4。可動部材の第1所定期間駆動時に特定入球装置に流入した遊技媒体は導出部材によって特定入球部へ導出され難いように構成されている一方、可動部材の第2所定期間駆動時に特定入球装置に流入した遊技媒体は導出部材によって特定入球部へ導出され易いように構成されている。よって、可動部材の駆動態様によって特定入球部への遊技媒体の入球の期待度を変化させることができるので、単調な遊技を払拭することができる。
遊技機1又は2において、前記駆動態様記憶手段は、前記可動部材を第1所定タイミングで駆動させる第1駆動態様と、前記可動部材を前記第1所定タイミングとは異なる第2所定タイミングで駆動させる第2駆動態様とを記憶しており、前記導出部材駆動手段は、前記可動部材の第1所定タイミングにおける駆動時前後に前記導出部材を駆動せずに、前記特定入球装置に流入した前記遊技媒体を前記特定入球部へ導出し難いように構成されている一方、前記可動部材の第2所定タイミングにおける駆動時前後に前記導出部材を駆動して、前記特定入球装置に流入した前記遊技媒体を前記特定入球部へ導出し易いように構成されていることを特徴とする遊技機5。可動部材の第1所定タイミングにおける駆動時に特定入球装置に流入した遊技媒体は導出部材によって特定入球部へ導出され難いように構成されている一方、可動部材の第2所定タイミングにおける駆動時に特定入球装置に流入した遊技媒体は導出部材によって特定入球部へ導出され易いように構成されている。よって、可動部材の駆動態様によって特定入球部への遊技媒体の入球の期待度を変化させることができるので、単調な遊技を払拭することができる。
遊技機1から5のいずれかにおいて、前記所定入球部は、少なくとも2以上設けられており、前記抽選結果示唆手段は、複数の前記所定入球部のそれぞれに配設されて、前記遊技媒体の入球に基づく前記抽選手段による抽選結果をそれぞれ示唆するように構成されていることを特徴とする遊技機6。1の所定入球部に遊技媒体が入球した場合には、その1の所定入球部に配設された抽選結果示唆手段によって抽選手段による抽選結果を遊技者に示唆し、他の所定入球部に遊技媒体が入球した場合には、その他の所定入球部に配設された抽選結果示唆手段によって抽選手段による抽選結果を遊技者に示唆するように構成されている。よって、遊技媒体が入球した所定入球部において、該入球に基づく抽選結果をそれぞれ遊技者に示唆することができるので、遊技者に遊技媒体の流下方向に応じた遊技結果を示唆することができる。
遊技機6において、前記所定遊技実行手段は、前記所定入球部への前記遊技媒体の入球に基づいて前記抽選手段によって前記可動部材を開閉駆動させるか否かの抽選が行われた場合に、前記抽選結果表示手段において前記抽選手段の抽選結果を表示する前に該抽選結果表示手段で一定期間の動的表示を実行すると共に、前記抽選手段の抽選結果如何を問わず同一の動的パターンで前記動的表示を実行するように構成されていることを特徴とする遊技機7。抽選手段の抽選結果を表示するまでの動的表示の動的パターンを、抽選結果如何を問わず同一の動的パターンで実行することにより、動的表示の動的パターンを記憶するデータ量を少量にすることができるので、遊技機の遊技の制御を安定させることができる。
遊技機7において、前記所定遊技実行手段は、前記動的表示が終了した直後に、前記抽選手段の抽選結果に応じて、前記可動部材を駆動するように構成されていることを特徴とする遊技機8。動的表示の終了直後に、抽選手段の抽選結果に応じて可動部材を駆動するように構成されている。よって、可動部材が駆動する前に抽選内容の当否を遊技者に事前に把握させ難くすることができるので、可動部材が駆動している状態のみ遊技を行って、特定入球部への入球率を意図的に向上させるという行為(所謂、狙い打ち)の効果を低下させることができるので、狙い打ち行為を抑制することができる。
遊技機1から8のいずれかにおいて、前記抽選手段は、前記所定入球部に前記遊技媒体が入球した場合に、前記可動部材の駆動又は非駆動の抽選を行うように構成されていることを特徴とする遊技機9。該遊技機では、可動部材を駆動しなければ、特定入球部へ遊技媒体が入球しないように構成されているので、所定入球部に遊技媒体が入球した場合に実行される抽選において、可動部材を駆動させないという抽選結果を抽選に採用することで、特定入球部への遊技媒体の入球率を調整し易くなると共に、該遊技機における出球量の設定を行い易くすることができる。
遊技機1から9のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機10。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機1から9のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機11。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機1から9のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機12。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。