以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は本実施形態の 保守計画立案システム100を含むネットワーク構成例を示す図である。図1に示す保守計画立案システム100は、保守員のスキル等に依存せずに効果的な保守計画を効率的に立案可能とするためのコンピュータシステムである。
本実施形態では、作業機械の例として、大型の鉱山機械をとりあげて説明を行うものとする。この鉱山機械は、すでに上述したように、世界的な資源需要の高まりによって市場が急拡大する一方、機械メーカー側での部品供給能力が市場需要に追い付いていない現状がある。他方、鉱山機械の保守に際しては、最新版である新品の部品、遡及対策が未実施である古いバージョンの旧版部品、および、故障した部品を修理、再生した再生部品といった、共通に使用できる程度に機能は同一ながら、状態や由来の異なる様々な部品らを、熟練した保守員らが使い分けることがなされていた。しかしながら、そうした様々な属性の部品らは、世界規模で点在する倉庫に保管されており、未熟な保守員が属性や所在、在庫等を的確に認識し、鉱山機械保守計画へ適切に取り入れることは従来困難であった。本実施形態の保守計画立案支援システム100は、未熟な保守員でも、上述した様々な属性の部品を的確に採用し、複雑な保守計画を適切に立案可能とするものとなる。
こうした保守計画立案支援システム100はネットワーク180に接続され、監視システム170、およびクライアント端末190とデータ通信可能となっている。なお、監視システム170は、鉱山機械10に設置されたセンサ11での計測値すなわちセンサデータを監視するか、あるいは、センサデータを適宜なアルゴリズムに適用して算出したパラメータを監視して、鉱山機械10における異常を検出するコンピュータシステムである。監視システム170は、センサデータあるいは算出したパラメータが、所定の閾値を超えることをトリガとして異常を検出し、その異常検出の旨を保守計画立案支援システム100に送信する。上述のセンサ11は、例えば、鉱山機械10のモータ回転数、ポンプ内圧、各所の温度や振動等を計測するセンサを想定できる。また、鉱山機械10に設置されたセンサ11は、鉱山機械10の備える通信装置、あるいはセンサ11自身が備える通信装置を利用して、センサデータを監視システム170に送信している。
一方、クライアント端末190は、保守計画立案支援システム100にアクセスし、キーボードやマウス等における、保守員からのデータ入力の受付処理や、保守計画立案支援システム100から得たデータのディスプレイ等における表示処理、の各処理を担っている。
また、保守計画立案システム100のハードウェア構成は以下の如くとなる。保守計画立案システム100は、ハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶装置で構成される記憶装置115、RAMなど揮発性記憶装置で構成されるメモリ113、記憶装置115に保持されるプログラムをメモリ113に読み出すなどして実行しシステム自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPU114(演算装置)、ネットワーク180と接続し他装置との通信処理を担う通信装置112を備える。
上述したプログラムの実行により実装される機能としては、現象診断機能121、故障診断機能122、対策抽出機能131、計画作成機能141、定期保守計画調整機能142、寿命算出機能151、ダウンタイム算出機能152、がある。図1で示す保守計画立案支援システム100の例では、こうした各機能群と、各機能が利用するデータを記憶するデータベース群とをセットにした機能部を例示している。この機能部としては、異常診断部120、対策抽出部130、計画作成部140、性能予測部150、および出力管理部160がある。各機能部間のデータの伝送はBUSを介してI/O111によって管理される。各機能部のデータベースについては後述する。
なお、本実施形態では、クライアント端末190によってデータ入出力を行うことを想定しているが、保守計画立案支援システム100が入出力機能及びデバイス(ディスプレイやキーボード等)を有しているとしてもよい。
続いて、本実施形態の保守計画立案システム100が備える機能について説明する。上述したように、以下に説明する機能は、例えば保守計画立案支援システム100が備えるプログラムを実行することで実装される機能と言える。なお、ここでの説明におけるデータベースの詳細については後述する。
保守計画立案支援システム100は、監視システム170より、ある所在地の鉱山機械10に発生した現象の情報をネットワーク180を介して受信し、当該受信した現象の情報を、現象履歴データベース123や故障履歴データベース124(いずれも第1データベース)に照合して、該当現象の発生後に起こり得る故障を推定し、該当故障に際して鉱山機械10に実施された保守作業の情報を作業履歴データベース132(第1データベース)にて特定する機能を有する。
また、保守計画立案支援システム100は、上述にて特定した保守作業の情報を保守作業データベース133(第2データベース)に照合し、上述した鉱山機械10に対して実施が予想される標準の保守作業の情報を特定し、該当保守作業の情報が指定する保守作業用の人員および機材の稼働可能時期を保守実施候補日として日程データベース143(第3データベース)で特定する機能を有する。
また、保守計画立案支援システム100は、上述した保守作業の情報が指定する部品ないしその旧版部品または再生部品を在庫し、該当部品ないしその旧版部品または再生部品を、該当鉱山機械10の所在地に輸送手段により納品する場合の納期が、現時点から保守実施候補日までの猶予期間に収まる倉庫と、納期に対応した輸送手段及びその輸送コストを、部品調達データベース144(第4データベース)で特定し、当該特定した、保守作業に用いる部品ないしその旧版部品または再生部品に関する、納期、倉庫、輸送手段、及び輸送コストの情報と、保守実施候補日の情報とを保守計画情報として生成し、保守計画データベース161に格納するか、あるいはクライアント端末190に出力する機能を有する。
また、保守計画立案支援システム100は、鉱山機械10に関する現象の情報(監視システム170由来のもの)が含む、鉱山機械10ないし現象発生箇所の部品の負荷率の情報を、顧客知識データベース145(第5データベース)に照合して、鉱山機械10ないし現象発生箇所の部品の残寿命を推定し、当該残寿命が、現時点から保守実施候補日までの猶予期間を下回る程度に応じて低下させた負荷率を該当鉱山機械10における負荷率とし、当該負荷率での経済損失を顧客知識データベース145(第5データベース)にて特定し、低下させた負荷率および当該負荷率での経済損失の情報を、上述した保守計画情報に含めて保守計画データベース161に格納するか、クライアント端末190に出力する機能を有する。
また、保守計画立案支援システム100は、上述した保守計画情報が示す、保守作業に用いる部品ないしその旧版部品または再生部品に関し、部品履歴データベース153(第6データベース)における、同一種類の部品ないしその旧版部品または再生部品の取付と取外の履歴を特定し、当該特定した取付と取外との間の時間を寿命として算出し、当該寿命の情報を保守計画情報に含めて保守計画データベース161に格納するか、あるいはクライアント端末190に出力する機能を有する。
また、保守計画立案支援システム100は、上述した保守計画情報が示す、保守作業に用いる部品ないしその旧版部品または再生部品に関し、故障履歴データベース124(第1データベース)における、同一種類の部品ないしその旧版部品または再生部品の、故障の情報の有無を特定し、故障の情報が存在する場合に、該当故障に対して実施された保守作業の情報を作業履歴データベース132(第1データベース)にて特定し、該当保守作業の情報が示す、作業開始から作業終了までの間の時間をダウンタイムとして算定し、当該ダウンタイムの情報を、上述した保守計画情報に含めて保守計画データベース161に格納するか、あるいはクライアント端末190に出力する機能を有する。
また、保守計画立案支援システム100は、上述した保守計画情報が示す、保守作業に用いる部品ないしその旧版部品または再生部品に関し、部品稼働データベース154の稼働実績テーブル1010(第7データベース)における、同一種類の部品ないしその旧版部品または再生部品についての測定値の情報を特定し、当該特定した測定値の情報を部品稼働データベース154の稼働判定テーブル1000(第8データベース)に照合して、該当部品ないしその旧版部品または再生部品の稼働停止期間をダウンタイムとして算定し、当該ダウンタイムの情報を、上述した保守計画情報に含めて保守計画データベース161に格納するか、あるいはクライアント端末190に出力する機能を有する。
また、保守計画立案支援システム100は、現時点から、上述した保守計画情報が示す保守実施候補日までの期間内に、定期保守の日程が含まれているか、定期保守データベース146(第9データベース)にて判定し、保守計画情報が示す保守実施候補日までの期間内に定期保守の日程が含まれている場合、該当定期保守日で保守実施候補日を置換し、保守計画情報の生成を再度実行する機能を有する。
こうした機能を、図1の機能部に対応づけて、より具体的に説明すると以下の通りとなる。保守計画立案支援システム100が備える異常診断部120は、現象診断機能121によって、鉱山機械10らに過去生じた現象履歴を蓄積した現象履歴データベース122と、監視システム170から受信したセンサデータ若しくはパラメータとを参照比較することで、監視システム170が鉱山機械10について検出した異常がどのような現象であるかを診断する。
また、保守計画立案支援システム100が備える異常診断部120は、故障診断機能122によって、鉱山機械10らに過去生じた故障履歴を蓄積した故障履歴データベース124と、現象診断機能121が特定した現象とを参照比較することで、現象診断機能121が特定した現象がどのような故障の前兆であるかを診断する。
こうして保守計画立案支援システム100の異常診断部120は、上述した機能群によって、監視システム170が検出した異常がどのような故障に結びつくかを特定する。また、異常診断部120の現象診断機能121及び故障診断機能122は、特定した現象及び故障を出力管理部160に送信する。出力管理部160は、これを保守計画データベース161に格納し管理する。
また、保守計画立案支援システム100が備える対策抽出部130は、対策抽出機能131によって、鉱山機械10らの過去の故障に対する保守作業履歴を蓄積した作業履歴データベース132と、故障診断機能122が特定した故障とを参照比較することで、監視システム170が検出した異常に対して、取るべき対策を抽出する。また、対策抽出機能131は、保守作業データベース133を参照して、作業履歴データベース132から抽出した保守作業の実施に必要な保守員技能や機材、作業費用や作業時間を抽出する。また、対策抽出機能131は、上述で抽出した、取るべき対策の情報を出力管理部160に送信する。出力管理部160は、これを保守計画データベース161に格納し管理する。
また、保守計画立案支援システム100が備える計画作成部140は、計画作成機能141によって、上述した対策抽出部130が抽出した対策に関して、日程データベース143から該当する保守員、機材のスケジュールを抽出して保守実施候補日を抽出する。なお、対策抽出部130が抽出した対策が、部品交換を含む保守作業であった場合、計画作成機能141は、部品調達データベース144を参照し、調達に係る調達計画を立案する。この立案手順の詳細については後述する。また、計画作成機能141は、顧客知識データベース145における、運用ロス情報および残寿命情報から運用計画を立案する。この立案手順の詳細については後述する。また、計画作成部140における定期保守計画調整機能142は、定期保守データベース146の定期保守日程と、前述の調達計画及び運用計画の日程を調整し、保守日程の調整を行う。この調整手順の詳細については後述する。
これら、計画作成機能141、定期保守計画調整機能142らによって立案された運用計画及び調達計画から成る保守計画に関する情報は、計画作成部140によって出力管理部160に送信される。出力管理部160は、これを保守計画データベース161に格納し管理する。
また、対策抽出部130によって、取るべき対策として部品交換の必要が認められ、また、その部品交換に関して、計画作成部140において使用部品が特定されたとき、性能予測部150における寿命算出機能151は、部品履歴データベース153に記録されている各部品に対する作業の履歴を参照して、使用部品の寿命実績を算出する。また、寿命算出機能151は、算出した寿命実績の情報を出力管理部160に送信する。出力管理部160は、これを予測結果データベース162に格納し管理する。また、このとき、性能予測部150のダウンタイム算出機能152は、部品履歴データベース153において、ステータスが交換済みとなっている、すなわち寿命をすでに迎えている部品を特定し、その部品の故障履歴を故障履歴データベース124から読み込み、その故障履歴にもとづいたダウンタイムを算出する。この算出手法の詳細は後述する。また、ダウンタイム算出機能152は、これと同時に、部品稼働データベース154が保持する、各鉱山機械10の負荷率(鉱山機械10に取り付けられた各種センサ11から得ているセンサデータ)の記録から、使用部品のダウンタイムを算出する。この算出手法の詳細は後述する。
ダウンタイム算出機能152は、こうして得られた、故障履歴に基づくダウンタイムと、センサデータに基づくダウンタイムとに差異があるか判定し、その判定結果をクライアント端末190に送信してユーザに提示し、ユーザにいずれかのダウンタイムを選択させても良い。あるいは、ダウンタイム算出機能152は、クライアント端末190を介して、いずれかのダウンタイムの修正をユーザから受け付けても良い。性能予測部150は、こうして一意に定めたダウンタイムについて、出力管理部160に送信する。出力管理部160は、これを予測結果データベース162に格納し管理する。なお、ダウンタイムの修正に関しては、鉱山機械10における異常発生時のみならず、平時であっても、ダウンタイム算出機能152がユーザからの指示を受けて実行するとしても良い。
また、保守計画立案支援システム100が備える出力管理部160は、上述した異常診断部120、対策抽出部130、および計画作成部140が出力した結果を、保守計画データベース161に、性能予測部150が出力した結果を予測結果データベース162に、それぞれ保持し、管理する。また、ネットワーク180を介してアクセスしてきたクライアント端末190に対し、保守計画データベース161や予測結果データベース162のデータを出力する。この出力に当たっては、クライアント端末190からのユーザ要求に応じて、クライアント端末190に出力する内容を変更しても良い。
続いて、本実施形態の保守計画立案支援システム100が用いるデータベース類について説明する。図2Aに、本実施形態における現象履歴データベース123の一例を示す。現象履歴データベース123は、過去に、鉱山機械10について観測された現象の履歴を蓄積したデータベースである。そのデータ構造は、現象ID201をキーとして、発生日時202と、サイトID203と、機械ID204と、型名205と、現象コード206と、現象内容207と、部位コード208と、部位名209と、n個のセンサデータ210から成るレコードの集合体である。
上述の現象ID201には、鉱山機械10について過去に観測された現象を一意に特定するためのIDが格納されている。また、発生日時202には、該当現象が生じた日時が格納されている。また、サイトID203には、該当現象が観測された鉱山機械10が運用されていたサイトすなわち鉱山のIDが格納されている。また、機械ID204には、該当現象が観測された鉱山機械10のIDが格納されている。また、型名205には、鉱山機械10の型名が格納されている。また、現象コード206には、該当現象を示すコードが格納されており、そのコードに対応する現象の内容が現象内容207に格納されている。また、部位コード208には、該当現象が観測された鉱山機械10の部位を示すコードが格納されており、部位名209にはその部位の名称が格納されている。なお、上述した各コードとコードの示す内容や名称については、別途マスタテーブルを作成し、管理しても良い。また、n個のセンサデータ210には、各センサ11の観測した情報が格納されている。センサデータ210に格納される情報は、異常の有無を示すものであっても良いし、センサ11が観測した値そのものであっても良い。なお、この現象履歴データベース123において、上述のセンサデータ210に加えて、1または複数のセンサデータから監視システム170が算出した、異常検出用のパラメータを格納するとしても良い。
図2Bに故障履歴データベース124の一例を示す。故障履歴データベース124は、鉱山機械10において過去に生じた故障の履歴を蓄積したデータベースである。この故障履歴データベース124は、故障ID211をキーとして、現象ID212と、発生日時213と、機械ID214と、型名215と、部品シリアル番号216と、部位コード217と、部位名218と、原因部品番号219と、原因部品再生品判定220と、アワメータ221と、故障コード222と、故障内容223から成るレコードの集合体である。
上述の故障ID211には、鉱山機械10において過去に生じた故障を一意に特定するためのIDが格納されている。また、現象ID212には、該当故障に先立って鉱山機械10にて観測された現象を特定するIDが格納されている。この現象ID212は、上述した現象履歴データベース123における現象ID201と共通する。また、発生日時213には、該当故障が発生した日時が格納されている。また、機械ID214には、該当故障が発生した鉱山機械10を特定するIDが格納されており、型名215には該当鉱山機械10の型名が格納されている。また、部品シリアル番号216のは、該当鉱山機械10において故障した部品を一意に特定するための番号が格納されている。また、部位コード217及び部位名218には、故障した鉱山機械10の部位を示すコードと、その名称が格納されている。また、原因部品番号219には、故障した部品の製品番号が格納されている。また、原因部品再生品判定220には、故障した部品が再生部品であるか新品であるかを判定するフラグが格納されている。また、アワメータ221には、鉱山機械10に備わる稼働時間計測用のアワメータの指示値が格納されている。このアワメータの指示値は、該当部品が故障した時点での指示値となる。また、故障コード222には、発生した故障の内容を示すコードが格納されており、故障内容223には、発生した故障の内容が格納されている。なお、上述した故障履歴データベース124における、各コードと内容の関係も、上述した現象履歴データベース123における現象や部位と同様に、別途マスタテーブルを作成して管理することもできる。
図3に、本実施形態の作業履歴データベース132の一例を示す。作業履歴データベース132は、鉱山機械10において過去に発生した故障に対し行われた保守作業の履歴を蓄積したデータベースである。この作業履歴データベース132は、作業ID301をキーとして、故障ID302と、対応開始日時303と、対応終了日時304と、機械ID305と、故障コード306と、故障内容307と、部位コード308と、部位名309と、原因部品シリアル番号310と、原因部品番号311と、作業コード312と、作業内容313と、交換部品シリアル番号314と、交換部品番号315と、交換部品再生品判定316から構成されるレコードの集合体となっている。そのうち故障ID302は、故障履歴データベース124と共通する。
上述の作業ID301には、故障ID302に対応した故障に対して実施された作業を特定するIDが格納されている。また、対応開始日時303及び対応終了日時304には、該当作業が開始された時間と該当作業が終了した時間が格納されている。また、機械ID305には、故障が発生し保守作業を実施した鉱山機械10を特定するIDが格納されている。また、故障コード306及び故障内容307には、発生した故障を示すコードとその内容が格納されている。また、部位コード308及び部位名309には、故障が発生した部位を示すコードとその名称が格納されている。また、原因部品シリアル番号310には、故障した部品を一意に特定する番号が格納され、原因部品番号311にはその製品番号が格納されている。また、作業コード312には、実施した保守作業の内容に対応したコードが格納されており、作業内容313にはその保守作業の内容が格納されている。該当保守作業が部品交換を伴うものであった場合、故障した部品に代えて新たに鉱山機械10に取り付けることになった部品のIDが、交換部品シリアル番号314に格納されている。また、交換部品番号315に、その交換した部品の製品番号が格納され、交換部品再生品判定316に、その部品が再生部品であるか否かを示すフラグが格納されている。
以上、図2A及び図3に一例を示した各履歴データベースは、本発明における第1データベースにあたり、保守業務実施者によって作成、管理される性質のものであり、保守業務を実施することで継続して拡充される。
図4に本実施形態における、保守作業データベース133の一例を示す。保守作業データベース133は、作業機械別に規定された標準の保守作業の情報を保持する本発明における第2データベースに該当する。この保守作業データベース133は、鉱山機械10の型ごとに、実施される標準的な保守作業の必要資源やコストの情報を格納したデータベースである。保守作業データベース133は、型名401をキーとして、作業コード402と、作業内容403と、部位コード404と、部位名405と、部品番号406と、交換部品番号407と、作業費用408と、標準作業時間409と、必要機材410と、必要保守員技能411から構成されるレコードの集合体となっている。
上述の型名401は、保守作業を実施する対象の鉱山機械10の型名が格納されている。また、作業コード402と、作業内容403には、それぞれ作業内容を特定するコードと、その内容が格納されている。また、部位コード404と、部位名405と、部品番号406には、鉱山機械10において保守作業を実施する対象部位を示すコードと、その名称と、対象部品の製品番号がそれぞれ格納されている。なお、作業コード402は、同じ作業内容であっても、鉱山機械10の種別や部位、部品の差異によって、費用や作業時間、必要となる資源が異なる場合は、異なるコードとなっている。また、交換部品番号407には、該当保守作業において部品交換を伴う場合の、新たに取付ける部品の製品番号が格納されている。他方、該当保守作業において部品交換を伴わない場合、交換部品番号407は空白となっているか、或いは所定の判定記号が格納されている。また、作業費用408と、標準作業時間409と、必要機材410と、必要保守員技能411には、該当保守作業に要する費用と、保守作業に要する時間と、保守作業に要する機材名と、保守作業に要する保守員の技能名がそれぞれ格納されている。
図5に本実施形態における日程データベース143の一例を示す。日程データベース143は、保守作業用の各人員および各機材の稼働可能時期の情報を保持する本発明における第3データベースに該当する。日程データベース143は、日付500と、保守員日程501と、機材日程502から構成されたレコードの集合体となっている。日程データベース143は、保守事業者が保有する機材及び雇用する保守員のスケジュールを格納するデータベースと言える。図5に示す日程データベース143の例では、機材及び保守員が保守作業に対応可能な期間を"1"で、対応不可能な期間を"0"で表している。なお、図5に示す日程データベース143の例では、日付500を一日単位で表記しているが、1時間毎や8時間毎、1週間単位など、保守作業の管理者等が任意に設定してよい。
図6Aに本実施形態の部品調達データベース144が含む部品在庫テーブル600の一例を示す。なお、部品調達データベース144は、部品在庫テーブル600と、輸送手段テーブル610と、互換部品テーブル620から構成され、保守作業に用いられる部品ないしその旧版部品または再生部品の各在庫と価格、および、輸送先別および輸送手段別の納期および輸送コストの情報とを、倉庫別に保持する、本発明における第4データベースに該当する。
部品在庫テーブル600は、部位コード601と、部位名602と、部品番号603と、再生品判定604と、倉庫605と、在庫606と、価格607から成るレコードの集合体となっている。各レコードは、どの部品がどの倉庫にどれだけ在庫されており、価格はいくらであるかを示している。部位コード601と、部位名602と、部品番号603と、再生品判定604は、在庫部品の該当属性の情報である。鉱山機械10の保守に用いる交換用の部品には、既に上述したように、最新版である新品の部品、遡及対策が未実施である古いバージョンの旧版部品、および、故障した部品を修理、再生した再生部品がある。このうち再生部品は、その消耗度によってランク分けされている。ここでは、新品を"N"、再生部品を、消耗度が低いもの、すなわちランクの高い物から"Re−A"、"Re−B"、"Re−C"、と表記している。旧版部品は型番が古いだけで未使用の新品であるから、図6Aの例では"N"とされているが、勿論、旧版部品を特定する表記を行ってもよい。また、倉庫605には、在庫部品が保管されている倉庫の名称が、在庫606には、在庫部品の員数が、価格607には、在庫部品の単価がそれぞれ格納されている。在庫606及び価格607は、時間によって変わる変数であるが、ここでは常に最新の値を格納しているものとする。
図6Bに、本実施形態の部品調達データベース144が含む輸送手段テーブル610の一例を示す。部品調達データベース144が含む輸送手段テーブル610は、倉庫611と、輸送先612と、輸送手段613と、納期614と、輸送費615から構成されるレコードの集合体となっている。このレコードは、輸送元たる倉庫から輸送先たるサイトまで、どのような輸送手段があり、その所要時間と費用はいくらになるかを示したものとなる。そのうち、倉庫611には、部品の輸送元となる倉庫の名称が格納されている。また、輸送先612には、部品の輸送先となるサイト名が格納されている。また、輸送手段613には、部品輸送に用いる手段の名称が格納されている。また、納期614と、輸送費615には、各ケースにおける納期と、その費用がそれぞれ格納されている。
図6Cに、本実施形態の部品調達データベース144が含む互換部品テーブル620の一例を示す。部品調達データベース144が含む互換部品テーブル620は、型名621と、部位コード622と、部位名623と、部品番号624と、定期交換間隔625から成るレコードの集合体となっている。このレコードは、ある鉱山機械10の、ある部位に使用可能な互換部品の一覧とその定期交換間隔を示している。このうち、型名621には、対象とする鉱山機械10の型名を示す情報が、部位コード622には、該当鉱山機械10における対象部位を特定する情報が、部位名623には、部位コード622が示す部位の名称が、それぞれ格納されている。これらの、型名621、部位コード622、部位名623の各情報によって、対象とする鉱山機械10とその部位を特定できる。また、部品番号624には、対象とする鉱山機械10の部位に取付けて使用可能な部品の製品番号が格納されている。型名621、部位コード622、部位名623の各情報によって特定される、或る鉱山機械10の所定部位に適用できる部品らとしては、仕様や機能がほぼ同一である、型番が最新の新品部品、その旧版部品、再生部品、の3種類の部品が含まれている。また、定期交換間隔625には、部品メーカーが推奨する部品交換間隔が格納されている。
図7Aに本実施形態の顧客知識データベース145が含む、運用ロステーブル700の一例を示す。顧客知識データベース145は、各鉱山機械10の、故障時における負荷率別の残寿命および負荷率低下に伴う鉱山機械10の使用者における経済損失の情報とを対応づけて保持する、本発明における第5データベースに該当する。なお、顧客知識データベース145は、運用ロステーブル700と、残寿命テーブル710と、顧客テーブル730で構成される。顧客とは、鉱山機械10の使用者であり、鉱山機械10の保守サービスの顧客である。
運用ロステーブル700は、顧客ID701と、サイトID702と、型名703と、部位コード704と、部位名705と、負荷率706と、運用ロス707から成るレコードの集合体となっている。運用ロステーブル700は、ある顧客の、あるサイトにおいて、鉱山機械10における或る部位の負荷率を制限した場合に生じる、顧客の経済損失を示している。
顧客ID701には、顧客を特定するIDを、サイトID702には、該当鉱山機械10が運用されているサイトを特定するIDが格納されている。型名703と、部位コード704と、部位名705には、鉱山機械10の型名と、その部位を示すコードと、部位の名称が格納されている。また、負荷率706には、鉱山機械10における通常の定格稼働における負荷を100とした場合の負荷制限率が格納されている。ここで「負荷」とは、例えば「部位」がモータであれば、その回転数やトルクに該当する。また、運用ロス707には、負荷に制限を課した場合に生じる、鉱山機械10を運用する顧客の単位時間あたりの経済損失の情報が格納されている。この運用ロス707は、顧客の運用方針や、サイトで採掘する資源の種別、負荷を制限する部位によって特徴づけられるものとなる。
図7Bに、本実施形態の顧客知識データベース145が含む、残寿命テーブル710の一例を示す。残寿命テーブル710は、顧客ID711と、サイトID712と、型名713と、部位コード714と、部位名715と、現象コード716と、現象内容717と、故障コード718と、故障内容719と、負荷率720と、残寿命721から構成されるレコードの集合体となっている。
このうち、顧客ID711には、顧客を特定するIDが格納され、サイトIDには、サイトを特定するIDが格納されている。また、型名713と、部位コード714と、部位名715には、対象とする鉱山機械10の型名と、部位を示すコードと、該当部位の名称が格納されている。また、現象コード716と、現象内容717には、該当部位に生じた現象を示すコードと、それに対応する現象の内容が格納されている。また、故障コード718と、故障内容719には、現象と対応する故障を示すコードと、その故障の内容が格納されている。また、負荷率720には、型名713、部位コード714、部位名715で特定できる鉱山機械10の該当部位における負荷率が格納されている。また、残寿命721には、該当部位にて異常を検知してから故障が発生するまでの時間が格納されている。 残寿命721は、サイトID712で指定されるサイトにおいて、顧客ID711で指定される顧客が運用する、型名713の鉱山機械10の、部位コード714、部位名715で指定する部位にて、現象コード716及び現象内容717の現象が生じたとき、負荷率720の負荷率で該当部位を稼働させると、どのくらいの時間で、故障コード718及び故障内容719に格納した故障に至るかを意味している。
図7Cに、本実施形態の顧客知識データベース145が含む、顧客テーブル730の一例を示す。顧客テーブル730は、顧客ID731と、顧客名732と、サイトID733と、サイト名734と、サイト種別735と、国名コード736から構成されるレコードの集合体となっている。そのうち顧客ID731には、顧客を特定するIDが、顧客名732にはその顧客の名称が、サイトID733には、該当顧客が運営するサイトを特定するIDが、サイト名734には、そのサイトの名称が、サイト種別735には、そのサイトで採掘される資源の種別が、国名コード736は、サイトが存在する国を表す国名コードがそれぞれ格納されている。上述した運用ロステーブル700と、残寿命テーブル710と、顧客テーブル730は、顧客IDと、サイトIDをキーとして互いのレコードが関連付けられる。
図8に本実施例の定期保守データベース146の一例を示す。定期保守データベース146は、保守事業者が鉱山機械10に関して計画する定期保守のスケジュールを格納する本発明の第9データベースに該当する。図8に例示する定期保守データベース146では、定期保守が計画されている日を"1"で表し、定期保守実施の予定がない日を"0"で表している。また、図5に例示した日程データベース143と同様に、日程の単位はユーザが任意に設定してもよい。
図9に本実施例の部品履歴データベース153の一例を示す。部品履歴データベース153は、個々の部品ないしその旧版部品または再生部品の、鉱山機械10への取付及び鉱山機械10からの取外に関する情報を格納した本発明の第6データベースに該当する。この部品履歴データベース153は、部品シリアル番号901と、部位コード902と、部位名903と、部品番号904と、再生品判定905と、顧客ID906と、サイトID907と、取付機械ID908と、状況フラグ909と、取付日時910と、取外日時911から構成されるレコードの集合体となっている。
そのうち、部品シリアル番号901には、保守事業者が保守を実施する部品を一意に特定する番号が格納されている。また、部位コード902と部位名903は、該当部品が取付けられる部位を示すコードと、その名称が格納されている。また、部品番号904と、再生品判定905は、上述した部品シリアル番号901で指定される部品の製品番号と、再生品判定フラグがそれぞれ格納されている。部品は、取付→取外→再生→取付のサイクルを経て、再生部品として市場に出回る。こうした過程で、再生部品は、前述のように消耗の度合いによってランク付けされている。再生部品は、再生を繰り返すにつれ、再生品判定905のランクが下がっていく傾向にある。
ある部品の取付→取外→再生→取付→…のサイクルを例として示したものが、図9の部品シリアル番号"100100−103"、"100100−151"、"100100−182"、"100100−213"の各レコードである。これらレコードの関係は、同一個体の部品が再生され繰り返し使用されている様子を示している。
本実施形態においては、部品の取付から取外までを寿命と呼ぶ。この寿命は、同一個体の部品であっても、再生機会ごとに区別するために、それぞれ異なる部品シリアル番号901を付与して管理している。また、取付機械ID909には、該当部品が取付けられた鉱山機械10のIDが格納されている。また、顧客ID907と、サイトID908には、その鉱山機械10を運用する顧客のIDと、その鉱山機械10が稼働するサイトのIDがそれぞれ格納されている。また、状況フラグ910には、その部品の現在のステータスが格納されている。また、取付日時911と取外日時912には、該当部品が鉱山機械10に取付けられた日時と、鉱山機械10から取り外された日時が格納されている。
図10Aに本実施形態の部品稼働データベース154が含む、稼働判定テーブル1000の一例を示す。なお、部品稼働データベース154は部品に取り付けたセンサ11から取得できる値を用いて部品の稼働/停止の判定を行う情報を格納したものであり、鉱山機械10の或る部位に取り付けられた部品が稼働しているか否か判定するための判定式を格納した稼働判定テーブル1000と、ユーザが指定した期間の鉱山機械10に関するセンサデータを格納した稼働実績テーブル1010から構成される。また、本実施形態の部品稼働データベース154は、部品履歴データベース153(図9)の部品シリアル番号901="100100−103"で指定されるモータに関するものとなっている。
図10Aに示す稼働判定テーブル1000は、型名1001と、部位コード1002と、部位名1003と、判定項目1004と、判定値1005と、判定条件1006の各情報から構成されている。稼働有無の判定対象の部位名1003が「モータ」である場合を例にとると、判定項目1004は回転数やトルクといった値になる。図10Aの稼働判定テーブル1000では、例として判定項目1004の「回転数」が、判定値1005として「2000」以上となる期間を「稼働」と判定する条件になっている。
図10Bに本実施形態の部品稼働データベース154が含む、稼働実績テーブル1010の一例を示す。稼働実績テーブル1010は、部品シリアル番号1011と、項目1012と、期間1013と、平均値1014から構成されるレコードの集合体となっている。 そのうち、部品シリアル番号1011には、センサ11が計測を行っている部品を一意に識別する部品番号が格納されている。また、項目1012には、該当部品に関して格納しているセンサデータの種別が格納されている。また、期間1013には、部品シリアル番号1011が示す該当部品に関してセンサ11が計測を行った期間の情報が格納されている。また、平均値1014には、部品シリアル番号1011が示す該当部品に関してセンサ11が計測したセンサデータの、期間1013における平均値が格納されている。本実施形態において、期間1013は1時間を単位時間としているが、ユーザ操作によって適宜に変更可能としてもよい。
図11Aに本実施形態の保守計画データベース161が含む異常診断結果テーブル1100の一例を示す。なお、保守計画データベース161は、異常診断結果テーブル1100と、対策抽出結果テーブル1120と、実施候補テーブル1130、調達/運用計画テーブル1140から構成される。また、これらテーブル1100〜1140らは、異常診断部120と、対策抽出部130と、計画作成部140と、性能予測部150の出力として作成される。
異常診断結果テーブル1100は、異常診断部120が出力するテーブルであり、異常ID1101と、発生日時1102と、アワメータ1103と、顧客ID1104と、サイトID1105と、機械ID1106と、部品シリアル番号1107と、現象コード1108と、現象内容1109と、故障コード1110と、故障内容1111から成るレコードの集合体となっている。
異常ID1101は、上述した異常診断部120が特定した異常であり、故障の予兆であると見做した異常を一意に識別するIDが格納されている。また、発生日時1102及びアワメータ1103は、該当異常の検出時の日時及びアワメータの値が格納されている。また、顧客ID1104、サイトID1105、機械ID1106、部品シリアル番号1107は、それぞれ異常を検出した鉱山機械10を保有する顧客を特定するIDと、その鉱山機械10が稼働しているサイトを特定するIDと、その鉱山機械10を特定するIDと、異常が検出された部品を特定するIDが格納されている。また、現象コード1108と現象内容1109には、上述した現象診断機能121が診断した結果が、故障コード1110と故障内容1111には、故障診断機能122が診断した結果が格納されている。
図11Bに本実施形態の保守計画データベース161が含む対策抽出結果テーブル1120の一例を示す。対策抽出結果テーブル1120は、上述した対策抽出部130が出力した、対策ID1121と、異常ID1122と、作業コード1123と、作業内容1124と、標準作業時間1125と、作業費用1126と、必要機材1127と、必要保守員技能1128から構成されるレコードの集合体となっている。
そのうち対策ID1121には、上述の異常診断結果テーブル1100における異常ID1101に対応した異常に対して計画した対策すなわち保守作業を一意に特定するIDが格納されている。また、異常ID1122には、上述の異常診断結果テーブル1100における異常ID1101と共通する異常ID1122が格納されている。また、作業コード1123と作業内容1124には、作業履歴データベース132から抽出された保守作業のコードとその内容が格納されている。また、標準作業時間1125と、作業費用1126と、必要機材1127と、必要保守員技能1128には、該当保守作業に関して保守作業データベース133から抽出された、保守作業に要する時間と、費用と、機材と、保守員技能の各情報が格納されている。
図11Cに本実施形態の保守計画データベース161が含む実施候補テーブル1130の一例を示す。実施候補テーブル1130は、計画作成部140の計画機能141が、対策抽出部130の出力である対策抽出結果テーブル1120と日程データベース143から抽出し出力したテーブルとなる。この実施候補テーブル1130は、日程ID1131、対策ID1132、実施候補1133、実施可能日1134、対応保守員1135、対応機材1136、tx1137から構成されるレコードの集合体となっている。
そのうち日程ID1131には、保守作業を実施する候補期間を特定するIDが格納されている。また、対策ID1132には、上述した対策抽出結果テーブル1120における対策ID1121と共通し、実施される対策を特定するIDが格納されている。また、実施候補1133には、日程ID1131に合致した値が格納されている。また、実施日1134には、上述した計画作成機能141が抽出した、保守作業を実施可能な日程が格納されている。また、保守員1135及び機材1136には、それぞれ対応に当たる保守員名と機材名が格納されている。また、tx1137には、現時点から保守作業の実施候補日までの猶予時間が格納されている。
図11Dに本実施形態の保守計画データベース161が含む調達/運用テーブル1140の一例を示す。調達/運用テーブル1140は、上述した計画作成部140の計画作成機能141が、在庫部品データベース145及び顧客知識データベース145を参照して出力した結果が格納されている。図11Dに示す調達/運用テーブル1140は、部品交換作業を含む保守作業に関して計画した内容を示すテーブル構成例である。
調達/運用テーブル1140は、計画ID1141と、日程ID1142と、部品番号1143と、再生品判定1144と、倉庫1145と、輸送手段1146と、納期1147と、部品価格1148と、輸送費1149と、負荷率1150と、運用ロス1151と、作業ロス1152から構成されるレコードの集合体となっている。
そのうち計画ID1141には、調達/運用計画を一意に特定するためのIDが格納されている。なお、保守作業として部品交換を含まず、従って部品調達を要しない計画である場合、この計画ID1141は、運用計画を特定するためのIDとなる。
また、日程ID1142には、上述した実施候補テーブル1130の日程ID1131に対応するIDが格納されている。また、部品番号1143と再生品判定1144には、部品の交換作業で新たに取り付ける部品の部品番号と、該当部品の再生品判定フラグが格納されている。なお、保守作業が部品交換作業を含まない場合、これら部品番号1143と再生品判定1144は、空白とするか或いは何らかの判定記号が格納されている。
また、倉庫1145、輸送手段1146、納期1147、部品価格1148、輸送費1149には、それぞれ、交換用の部品を調達する倉庫名、輸送手段、納期、該当部品の価格、輸送に要する費用がそれぞれ格納されている。なお、上述した部品番号1143、再生品判定1144と同様に、保守作業が部品交換作業を含まない場合、これら倉庫1145、輸送手段1146、納期1147、部品価格1148、輸送費1149には、空白あるいは何らかの判定記号が格納されている。
また、負荷率1150には、保守計画実施の際の鉱山機械10における該当部位(部品交換の対象部位)の負荷率の上限が格納されている。また、運用ロス1151には、前記の負荷率1150が示す値に鉱山機械10における負荷を制限することで生じる、顧客の経済損失が格納されている。また、作業ロス1152には、保守作業を実施する際の鉱山機械10の稼働停止に伴う顧客の経済損失が格納されている。なお、調達/運用テーブル1140に関しては、部品の調達に係る調達テーブルと、負荷率や運用ロスなど運用に係る運用テーブルに分けて管理しても良い。
図12に本実施形態における、予測結果データベース162の一例を示す。予測結果データベース162は、対象1201と、部位コード1202と、部位名1203と、部品番号1204と、再生品判定1205と、定期交換間隔1206と、平均寿命1207と、履歴ベース平均DT(ダウンタイム)1208と、稼働ベース平均DT1209と、サンプル数1210から構成されるレコードの集合体となっている。このレコードは性能予測部150の寿命算出機能151と、ダウンタイム算出機能152の出力である。
このうち対象1201は、上述した寿命算出機能151とダウンタイム算出機能152が性能予測の対象とした鉱山機械10の範囲を特定するもので、該当鉱山機械10らを示す、国別コード、顧客ID、サイトIDによって指定されている。図12の例では、この対象1201としてサイトIDの値が設定されている。また、部位コード1202と部位名1203には、性能予測の対象とした部位を示すコードと、その名称が格納されている。また、部品番号1204と再生品判定1205には、性能予測の対象とした部品の製品番号と、再生品判定フラグが格納されている。
また、定期交換間隔1206には、性能予測の対象の部品、すなわち部品番号1204が示す部品の定期交換間隔が格納されている。この定期交換間隔1206の値は、例えば、部品メーカーが規定した設計上の交換間隔の値となる。また、平均寿命1207には、上述した寿命算出機能151が部品履歴データベース153に基づいて算出した平均寿命の値が格納されている。この平均寿命1207の値は、上述した定期交換間隔1206の値との比較対象となる。
また、履歴ベース平均DT1208には、上述したダウンタイム算出機能152が、部品履歴データベース153と故障履歴データベース124に基づいて算出した平均ダウンタイムの値が格納されている。また、稼働ベース平均DT1209には、上述したダウンタイム算出機能152が、部品履歴データベース153と部品稼働データベース154に基づいて算出した平均ダウンタイムの値が格納されている。また、サンプル数1210には、寿命算出機能151とダウンタイム算出機能152が処理対象とした部品の点数が格納されている。
以下、本実施形態における保守計画立案方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する保守計画立案方法に対応する各種動作は、保守計画立案システム100がメモリ113に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、これらのプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
図13は、本実施形態における保守計画立案方法の処理手順例1を示すフロー図である。このフローは、保守計画立案支援システム100が、監視システム170より、センサ11のセンサデータの値が所定の閾値を超えたとの通知を受けたことをトリガとして、実行されるものとなる。
まず、処理S1301は、異常診断部120の現象診断機能121によって実行される。現象診断機能121は、監視システム170が検出した或る部品に関するセンサデータの異常と、現象履歴データベース123のセンサデータ210とを比較することで、監視システム170が検知した現象を特定し、対応する現象ID201、現象コード206、現象内容207といった該当現象に関する情報を現象履歴データベース123から抽出する。
現象診断機能121は、こうして自身が特定した現象に関する情報と、上述した監視システム170がセンサデータの異常を検出した部品に関する情報(例:顧客ID、サイトID、機械ID、部品シリアル番号等)とを、保守計画データベース161における異常診断結果テーブル1100に出力する。
次に、処理S1302は、異常診断部120の故障診断機能122によって実行される。故障診断機能122は、上述した処理S1301において抽出した現象ID201の値をキーとして、故障履歴データベース124を参照し、監視システム170が検知した現象に対応する故障を特定し、その故障ID211及び故障コード222を抽出する。故障診断機能122は、こうして抽出した故障に関する情報を、保守計画データベース161における異常診断結果テーブル1100に出力する。
次に、処理S1303は、対策抽出部130の対策抽出機能131によって実行される。対策抽出機能131は、上述した処理S1302において、故障診断機能122によって抽出された故障ID211の値をキーとして、作業履歴データベース132を参照し、過去の同様の故障に対して実施された保守作業を特定し、その作業コード312を抽出する。対策抽出機能131は、抽出した結果を対策抽出結果テーブル1120に出力する。
次に、処理S1304は、対策抽出部130の対策抽出機能131によって実行される。対策抽出機能131は、処理S1303において抽出した作業コード312をキーとして、保守作業データベース133を参照し、該当保守作業に要する作業費用408と、標準作業時間409と、必要機材410と、保守員技能411の値を抽出する。対策抽出機能131は、ここで抽出した結果を対策抽出結果テーブル1120に出力する。
次に、処理S1305は、計画作成部140の計画作成機能141によって実行される。計画作成機能141は、上述した処理S1304において抽出された必要機材410に対応する機材と、保守員技能411が示す技能を保有する保守員のスケジュールを、日程データベース143から読み込む。計画作成機能141は、ここで読み込んだスケジュールから、該当機材及び該当保守員が保守作業に対応出来る、すなわち他に作業予定が入っていない「空き日」を実施候補日として特定し、現時点から実施候補日までの期間txを算定する。計画作成機能141は、特定した実施候補日(実施候補テーブル1130では、"実施日"に該当)と期間txの情報を実施候補テーブル1130に出力する。
続いて処理S1306は、計画作成機能141によって実行される。計画作成機能141は、上述した処理S1303において対策抽出機能131によって特定された保守作業が、部品交換作業を含むものであるか否かを判定する。保守作業が部品交換作業を含まない場合(S1306:No)、計画作成機能141は、処理S1307を実行する。一方、保守作業が部品交換作業を含む場合(S1306:Yes)、計画作成機能141は処理S1308を実行する。
次に、処理S1307は、計画作成部140の計画作成機能141によって実行される。計画作成機能141は、実施候補テーブル1130と、顧客知識データベース145とを参照して運用計画を作成し、調達/運用テーブル1140に出力する。この運用計画作成の詳細手順については、図14を用いて後述する。
一方、処理S1308は、計画作成部140の計画作成機能141によって実行される。計画作成機能141は、実施候補テーブル1130と、部品調達データベース144と、顧客知識データベース145とを参照し、調達/運用計画を作成し、調達/運用計画テーブル1140に出力する。この調達/運用計画作成の詳細手順については、図15を用いて後述する。
次に、処理S1309は、性能予測部150によって実行される。性能予測部150の寿命算出機能151は、上述した処理S1308で作成した調達/運用計画に示されている交換用の部品について、部品履歴データベース153に基づいて該当部品の平均寿命を算定する。また、性能予測部150のダウンタイム算出機能152は、部品履歴データベース153と、故障履歴データベース124と、部品稼働データベース154とに基づいて、該当部品のダウンタイムを算出する。寿命算出機能151が算定した平均寿命の値と、ダウンタイム算出機能152が算定したダウンタイムの値は、それぞれの機能が予測結果データベース162に出力する。寿命算出機能151とダウンタイム算出機能152での各処理については図16から図18を用いて後述する。
次に、処理S1310は、計画作成部140の定期保守計画調整機能142によって実行される。定期保守計画調整機能142は、上述した計画作成機能141によって作成された運用/調達計画テーブル1140と、定期保守データベース146とを参照し、運用/調達計画が示す実施候補日と定期保守の実施予定日とが合致するか否か判定する。実施候補日と定期保守の実施予定日とが合致する場合(S1310:Yes)、定期保守計画調整機能142は、処理S1311を実行する。他方、実施候補日と定期保守の実施予定日とが合致しない場合(S1310:No)、定期保守計画調整機能142は処理S1312を実行する。
また、処理S1311は、計画作成部140の計画作成機能141によって実行される。計画作成機能141は、定期保守の実施予定日を唯一の実施候補日とし、上述した運用/調達計画が部品交換作業を含まない場合は処理S1307を実行して運用計画を作成する。また、計画作成機能141は、上述した運用/調達計画が部品交換作業を含む場合は処理S1308を実行して調達/運用計画を作成する。計画作成機能141は、こうして作成した運用/調達計画や運用計画を、調達/運用計画テーブル1140に出力する。
次に、処理S1312は、出力管理部160によって実行される。出力管理部160は、これまでの手順において出力管理部160の保守計画データベース161および予測結果データベース162に保存された保守計画及び予測結果を、クライアント端末190に出力する。クライアント端末190は、保守計画及び予測結果をディスプレイ上に出力し、該当ユーザによる保守計画の評価、検討に供する。
図14は本実施形態における、運用計画作成手順(処理S1307)の一例である。処理S1307は、計画作成部140の計画作成機能141によって実行される。また、計画作成機能141は、上述した処理S1301から処理S1305において出力された、保守計画データベース161の異常診断結果テーブル1100と、対策抽出結果テーブル1120と、実施候補テーブル1130を参照可能であるものとする。
この場合、処理S1401において、計画作成機能141は、実施候補テーブル1130における各レコードのうち、例えば最も実施日1134が早い実施候補に関するものを抽出し(実施候補x)、抽出したレコード中より、現時点から実施日1134までの時間txの値を取得し、メモリ113に格納する。
次に処理S1402において、計画作成機能141は、上述で抽出したレコードが示す対策ID1132の値をキーに、対策抽出結果テーブル1120で異常ID1122を特定し、この異常ID1122をキーに異常診断結果テーブル1100にて、保守対象である部品に関する、顧客ID、サイトID、現象コード、現象内容、故障コード、故障内容といった情報を特定する。また、計画作成機能141は、ここで特定した情報を、顧客知識データベース145の残寿命テーブル710に照合して、該当部品の残寿命721の値を取得する。計画作成機能141は、こうして取得した残寿命の値と、現時点から実施日1134までの時間txとを比較し、保守作業実施までに故障が発生するか否かを判定する。
上述の判定の結果が、残寿命>txであった場合(S1402:残寿命>tx)、計画作成機能141は、実施日1134までに該当部品は故障しないと推定し、該当部品の負荷率="100"とし、次なる処理S1405を実行する。
一方、上述の判定の結果が、残寿命<txの場合(S1402:残寿命<tx)、計画作成機能141は、実施候補xの実施日1134までに該当部品が故障すると推定し、次なる処理S1403を実行する。なお、上述の処理S1402で取得した残寿命が"0"である場合とは、突発故障によって既に該当部品の機能が停止していることを意味する。この場合(S1402:残寿命=0)、計画作成機能141は、処理S1404において該当部品の負荷率="0"をセットし、以降の処理S1405を実行する。
ここで、残寿命と実施日1134との関係を図19Aを用いて説明する。図19Aは残寿命と現時点から実施日1134までの時間txとの関係を示している。例えば、実施候補1は、t1<残寿命、の関係にあり、保守作業の実施日1134までに部品の故障が起きないと予想される。また、実施候補2は、t2>残寿命、の関係にあり、保守作業の実施日1134までに部品が故障することが予想される。この実施候補2に基づいて保守作業を実施するためには、該当部品に関して異常検知後に該当部品の負荷率を制限した運用を行い、残寿命を延長させる必要がある。
処理S1403において、計画作成機能141は、顧客知識データベース145の残寿命テーブル710を参照し、保守作業の実施日までに該当部品が故障しない負荷率、つまり残寿命>txとなる最大の負荷率を特定する。例えば、残寿命がtxより2日短い場合、残寿命テーブル710において、負荷率が"100"の場合より、残寿命が3日長くなる、負荷率"90"を特定すればよい。
また、処理S1405において、計画作成機能141は、運用ロスと作業ロスを算出する。上述したように、保守作業の実施日まで部品の負荷率を制限して運用する必要がある場合、その間は鉱山機械10がフル稼働していない期間となって顧客の利益は減少し、経済損失を生じることになる。図19Bに示すように、この経済損失を運用ロスとする。計画作成機能141は、処理S1402あるいは処理S1403、処理S1404で取得した負荷率を、顧客知識データベース145の運用ロステーブル700に照合し、該当運用ロス707の値を特定する。また、計画作成機能141は、特定した運用ロス707の値を、上述したtx(現時点から保守作業の実施日1134までの猶予時間)の値に乗算し、運用ロスを算定する。
また、保守作業中は鉱山機械10を停止するので、保守作業中における該当部品の負荷率は"0"となる。その場合、その間は鉱山機械10が停止した期間となって顧客の利益は減少し、経済損失を生じる。この経済損失を作業ロスとする。計画作成機能141は、対策抽出結果テーブル1120から抽出した標準作業時間1125と、顧客知識データベース145の運用ロステーブル700における負荷率"0"の場合の運用ロス707の値とを乗算し作業ロスを算出する。
処理S1406において、計画作成機能141は、実施候補xに対応する、負荷率と、運用ロスと、作業ロスを、保守計画データベース161の調達/運用計画テーブル1140に出力する。なお、処理S1307では、部品交換作業を含まない保守作業を対象としており、この場合、計画作成機能141は、調達/運用計画テーブル1140における、部品番号1143と、再生品判定1144と、倉庫1145と、輸送手段1146と、納期1147と、部品価格1148と、輸送費1149の値は空白とするか、あるいは何らかの判定記号を出力する。
次に処理S1407では、計画作成機能141は、保守計画データベース161の実施候補テーブル1130を参照し、まだ上述した処理S1401〜S1406の処理を未実施である他の実施候補があるか否か判定する。実施候補が他に存在する場合(S1407:Yes)、計画作成機能141は、再び処理S1401を実行する。他方、実施候補が他に存在しない場合(S1407:No)、計画作成機能141は、当該フローすなわち処理S1307を終了する。
図15は本実施形態における、調達/運用計画の作成手順(処理S1308)の一例である。処理S1308は、計画作成部140の計画作成機能141によって実行される。また、計画作成機能141は、上述した処理S1301から処理S1305において出力された、保守計画データベース161の異常診断結果テーブル1100と、対策抽出結果テーブル1120と、実施候補テーブル1130を参照可能である。
まず、処理S1501において、計画作成機能141は、実施候補テーブル1130より、例えば、実施日1134が最も直近となっている実施候補を抽出し(実施候補x)、現時点から実施日1134までの時間txを該当レコード中より抽出し、メモリ113に格納する。
次に処理S1502において、計画作成機能141は、保守計画データベース161の現象診断結果テーブル1100から、異常が検出された部品のIDである、部品シリアル番号1107の値を抽出する。計画作成機能141は、ここで抽出した部品シリアル番号1107の値をキーにして、部品履歴データベース153を参照し、部品番号と、再生品判定の各値を抽出する。また、計画作成機能141は、抽出した部品番号と再生品判定の各値をキーにして、部品調達データベース144の部品在庫テーブル600を読み込み、対応する部品の在庫606の値を取得しメモリ113に格納する。
処理S1503において、計画作成機能141は、上述したS1502で読み込んだ部品調達データベース144の在庫606の値から、在庫が一つ以上ある倉庫605を選択する。
次に処理S1504において、計画作成機能141は、上述した実施候補xの異常IDをキーに、異常診断結果テーブル1100にて該当レコードを特定し、このレコード中より、異常が検出された鉱山機械10が稼働しているサイトのサイトID1105の値を抽出する。また、計画作成機能141は、このサイトID1105の値を、顧客知識データベース145における顧客テーブル730に照合して、"siteA"といったサイト名734の値を特定する。計画作成機能141は、このサイト名(="siteA")と、上述の処理S1503で選択した倉庫605の値をキーにし、部品調達データベース144の輸送手段テーブル610における輸送先612の値が上述のサイト名で、輸送手段テーブル610における倉庫611の値が上述の倉庫605の値である、輸送手段613を選択する。
処理S1505において、計画作成機能141は、上述した処理S1502で抽出した部品の価格と、上述した処理S1504で選択した輸送手段と、この輸送手段に対応する輸送費、及び納期の各値を、保守計画データベース161の調達/運用計画テーブル1140の該当欄に格納する。
また、処理S1506において、計画作成機能141は、保守作業の実施日1134までに、保守作業に用いる交換用の部品が倉庫から納品されるか否かを判定する。この場合、計画作成機能141は、調達/運用計画テーブル1140に格納した納期1147の値と、上述した現時点から実施日1134までの時間txとを比較し、納期>txであった場合(S1506:Yes)、保守作業の実施日1134までに該当部品は納品される予定であると推定し、処理S1507を実行する。他方、納期<txであった場合(S1506:Yes)、計画作成機能141は、保守作業の実施日1134までに該当部品の納品がされないと推定し、処理S1515を実行する。
続いて処理S1507において、計画作成機能141は、上述した処理S1402と同様に、残寿命とtxとを比較し、保守作業の実施日1134までに交換対象の部品に故障が発生するか否かを判定する。残寿命>txの場合(S1507:残寿命>tx)、計画作成機能141は、該当部品を通常通りにフル稼働させても保守作業の実施日まで問題ないと判定し、調達/運用計画テーブル1140における、該当部品の負荷率="100"と設定し、処理S1510を実行する。
他方、残寿命<txの場合(S1507:残寿命<tx)、計画作成機能141は、処理S1508を実行する。また、残寿命="0"の場合(S1507:残寿命=0)、計画作成機能141は、S1509において、調達/運用計画テーブル1140における該当部品の負荷率="0"と設定し、処理S1510を実行する。
処理S1508において、計画作成機能141は、上述した処理S1403と同様に、顧客知識データベース145の残寿命テーブル710を参照し、保守作業の実施日1134までに該当部品が故障しない負荷率、つまり残寿命>txとなる最大の負荷率を特定する。例えば、残寿命がtxより2日短い場合、残寿命テーブル710において、負荷率が"100"の場合より、残寿命が3日長くなる、負荷率"90"を特定すればよい。
また、処理S1510において、計画作成機能141は、上述した処理S1405と同様に運用ロスと作業ロスを算出する。上述したように、保守作業の実施日まで部品の負荷率を制限して運用する必要がある場合、その間は鉱山機械10がフル稼働していない期間となって顧客の利益は減少し、経済損失を生じることになる。計画作成機能141は、処理S1507あるいは処理S1508、処理S1509で取得した負荷率を、顧客知識データベース145の運用ロステーブル700に照合し、該当運用ロス707の値を特定する。また、計画作成機能141は、特定した運用ロス707の値を、上述したtx(現時点から保守作業の実施日1134までの猶予時間)の値に乗算し、運用ロスを算定する。
また、保守作業中は鉱山機械10を停止するので、保守作業中における該当部品の負荷率は"0"となる。その場合、その間は鉱山機械10が停止した期間となって顧客の利益は減少し、経済損失を生じる。この経済損失を作業ロスとする。計画作成機能141は、対策抽出結果テーブル1120から抽出した標準作業時間1125と、顧客知識データベース145の運用ロステーブル700における負荷率"0"の場合の運用ロス707の値とを乗算し作業ロスを算出する。
また、処理S1511において、計画作成機能141は、上述した処理S1406と同様に調達/運用計画を保守計画データベース161の調達/運用テーブル1140に出力する。なお、計画作成機能141は、調達/運用計画テーブル1140における、部品番号1143と、再生品判定1144には、上述した処理S1502で抽出した対応部品の部品シリアル番号1107の値と、再生品判定フラグをそれぞれ格納する。また、計画作成機能141は、調達/運用計画テーブル1140における倉庫1145には、上述の処理S1503で選択した倉庫605の値を格納する。また、計画作成機能141は、調達/運用計画テーブル1140における輸送手段1146には、上述の処理S1504で選択した輸送手段を格納し、同様に、納期1147と、部品価格1148と、輸送費1149には、処理S1505で格納した納期と、価格と、輸送費をそれぞれ格納する。
次に、処理S1512において、計画作成機能141は、部品調達データベース144の輸送手段テーブル610を参照し、処理S1504にて示したサイト名(="siteA")と倉庫605の各値が、輸送手段テーブル610における輸送先612と倉庫611の各値と一致する、他の輸送手段613(上述の処理S1504で選択されていないもの)があるか否かを判定する。他の輸送手段613がある場合(S1512:Yes)、計画作成機能141は、再び処理S1504を実行する。他方、他の輸送手段613がない場合(S1512:No)、計画作成機能141は、処理S1513を実行する。
処理S1513において、計画作成機能141は、上述した処理S1503と同様の手法で部品調達データベース144の部品在庫テーブル600を参照し、対象部品の在庫が他の倉庫にあるか否かを判定する。対象部品が他の倉庫にある場合(S1513:Yes)、計画作成機能141は、処理S1503を実行する。他方、対象部品が他の倉庫にない場合(S1513:No)、計画作成機能141は、処理S1514を実行する。
処理S1514において、計画作成機能141は、部品調達データベース144の互換部品テーブル620を参照し、上述の処理S1502で在庫確認した部品の互換部品があるか否かを判定する。互換部品の有無を判定する場合、計画作成機能141は、処理S1502で在庫確認した部品に関する、サイトID1105、機械ID1106、故障コード1110などの値(異常診断結果テーブル1100にて抽出)をキーに、例えば、故障履歴データベース124にてレコードを検索し、該当レコードより、鉱山機械10の型名215、部位コード217、部位名218を特定する。計画作成機能141は、ここで特定した型名215、部位コード217、部位名218の各値をキーに、互換部品テーブル620で検索を実行し、型名621、部位コード622、部位名623の各値は共通するが、上述の処理S1502で在庫確認した部品の部品番号とは異なる部品、すなわち互換部品があるか判定する。この処理S1514において、互換部品があると判定した場合(S1514:Yes)、計画作成機能141は、再び処理S1502を実行する。他方、互換部品がないと判定した場合(S1514:No)、計画作成機能141は、処理S1515を実行する。
また、処理S1515において、計画作成機能141は、上述した処理S1406と同様に保守計画データベース161の実施候補テーブル1130を参照し、未処理の他の実施候補があるか否かを判定する。この判定にて未処理の実施候補が他に存在する場合(S1515:Yes)、計画作成機能141は、再び処理S1501を実行する。他方、未処理の実施候補が他に存在しない場合(S1515:No)、計画作成機能141は、このフローすなわち処理S1308を終了する。
続いて、図16から図18に、本実施形態における寿命・ダウンタイムシミュレーション実施手順(処理S1309)の一例を示す。寿命・ダウンタイムシミュレーションの処理は、図16に示す寿命シミュレーションS1309(a)と、図17に示すダウンタイムシミュレーションS1309(b)と、図18に示すダウンタイムシミュレーションS1309(c)から構成されるが、これらは互いに独立で、どの処理から実行しても構わない。なお、図16に示す寿命予測シミュレーションは性能予測部150の寿命算出機能151が実行し、図17、18に示すダウンタイムシミュレーションはダウンタイム算出機能152が実行する。また、寿命算出機能151およびダウンタイム算出機能152は、上述した処理S1301から処理S1308によって出力された保守計画データベース161を参照可能である。
図16は、本実施形態における寿命シミュレーションの実施手順の一例である。この寿命シミュレーションのフローにおいて、寿命算出機能151は、部品履歴データベース153を参照し、過去に使用、交換された部品の寿命を算出する。この場合、処理S1601において、寿命算出機能151は部品履歴データベース153を読み込む。
また、処理S1602において、寿命算出機能151は、保守計画データベース161の調達/運用計画テーブル1140から、保守作業に用いる交換用の部品の部品番号1143と、再生品判定1144の各値を抽出し、これらの値をキーとして、部品履歴データベース153を検索し、部品番号1143と再生品判定1144の各値と、部品番号9043と再生品判定905の各値が一致する該当部品に関するレコードを特定する。また、寿命算出機能151は、ここで抽出した各レコードより状況フラグ910の値を読み取り、この値が「交換済」となっている部品のレコードを特定し、そのデータを例えばメモリ113にて格納する。
続いて処理S1603において、寿命算出機能151は、上述の処理S1602で得た各部品のデータにおける取付日時911と取外日時912の値の差を、該当部品の寿命として算出する。また、寿命算出機能151は、処理S1602で抽出した全データについて、寿命算出の処理すなわち処理S1603を実行したか判定する、処理S1604の判定を実行することで、処理S1602で抽出したデータ全てに対して上述の寿命算出を実行する。
また処理S1605において、寿命算出機能151は、処理S1603で各データに関して算出した寿命の値の平均値を算定し、これを、予測結果データベース162における平均寿命1208の値として出力する。また、寿命算出機能151は、処理S1603で特定したデータの個数をサンプル数1211として予測結果データベース162に出力する。
また、処理S1606において、寿命算出機能151は、上述の処理S1602にて抽出した、保守作業に用いる交換用の部品の部品番号1143と再生品判定1144の各値のセットで特定される部品とは異なる他の部品を用いた計画が、保守計画データベース161の調達/運用テーブル1140に格納されているか否か判定する。他の部品を用いた計画が存在した場合(S1606:Yes)、寿命算出機能151は、その部品を処理対象として、再び処理S1602以降の処理を実行する。他方、他の部品を用いた計画が存在しなかった場合(S1606:No)、寿命算出機能151は、このフローすなわち処理S1309(a)を終了する。
図17は、本実施形態における、故障履歴データベース124と部品履歴データベース153をベースにダウンタイムシミュレーションを実施する手順の一例である。この場合のダウンタイムシミュレーションにおいて、ダウンタイム算出機能152は、故障履歴データベース124と、部品履歴データベース153を参照し、過去に使用、交換された部品のダウンタイムを算出する。
まず、処理S1701及び処理S1702において、ダウンタイム算出機能152は、上述した処理S1601及び処理S1602と同様に、部品履歴データベース153を読み込み、保守計画データベース161の調達/運用計画テーブル1140から、保守作業に用いる交換用の部品の部品番号1143と、再生品判定1144の各値を抽出し、これらの値をキーとして、部品履歴データベース153を検索し、部品番号1143と再生品判定1144の各値と、部品番号9043と再生品判定905の各値が一致する該当部品に関するレコードを特定する。また、ダウンタイム算出機能152は、ここで抽出した各レコードより状況フラグ910の値を読み取り、この値が「交換済」となっている部品のレコードを特定し、そのデータを例えばメモリ113にて格納する。
また、処理S1703において、ダウンタイム算出機能152は、上述の処理S1702で得たデータから部品シリアル番号を取得する。また、処理S1704において、ダウンタイム算出機能152は、取得した部品シリアル番号をキーとして故障履歴データベース124を参照する。
また、故障履歴データベース124を参照したダウンタイム算出機能152は、処理S1705において、上述の部品シリアル番号が示す部品に故障履歴があるか否かを判定する。該当部品に故障履歴がある場合(s1705:Yes)、ダウンタイム算出機能152は、処理S1706を実行する。一方、該当部品に故障履歴がない場合(s1705:No)、ダウンタイム算出機能152は、処理S1708を実行する。
次に処理S1706において、ダウンタイム算出機能152は、故障履歴データベース124の故障ID211をキーとして作業履歴データベース132を参照し、該当作業の対応開始日時303と対応終了日時304の差を、故障ID211に対応するダウンタイムとして算定する。また、処理S1707において、ダウンタイム算出機能152は、上述の処理S1705で故障があると判定されたすべての部品についてダウンタイムを算出したか否かを判定する。ダウンタイムを判定していない故障がある場合(S1707:No)、ダウンタイム算出機能152は、処理S1706を繰り返し実行し、全ての故障についてダウンタイムを算出した場合(S1707:Yes)、処理S1707を実行する。
また、処理S1708において、ダウンタイム算出機能152は、上述の処理S1702で部品履歴データベース153から抽出したデータの最終行に達したかを判定する。最終行に達している場合(S1708:Yes)、ダウンタイム算出機能152は、処理S1709を実行する。他方、まだデータがある場合(S1708:No)、ダウンタイム算出機能152は、再び処理S1703以降の処理を実行して、該当部品のダウンタイムを算出する。
また、処理S1709において、ダウンタイム算出機能152は、上述の処理S1706で算出したダウンタイムの平均値を算出し、これを性能予測データベース162の履歴ベース平均DT1209の値として格納する。
また、処理S1710において、ダウンタイム算出機能152は、処理S1606と同様にして保守計画データベース161の調達/運用テーブル1140に、他の部品を用いた計画があるか否かを判定する。他の部品を用いた計画がある場合(S1710:Yes)、ダウンタイム算出機能152は、その部品を処理対象の部品として、上述の処理S1702以降の処理を再び実行する。他方、他の部品を用いた計画がない場合(S1710:No)、ダウンタイム算出機能152は、このフローすなわち処理S1309(b)を終了する。
図18は、本実施形態におけるダウンタイムシミュレーション実施手順の一例である。この場合のダウンタイムシミュレーションにおいて、ダウンタイム算出機能152は、故障履歴データベース124と、部品履歴データベース153と、部品稼働データベース154を参照し、過去に使用、交換された部品のダウンタイムを算出する。ここで示す実施手順(S1309(c))の基本的な手順は、上述した処理S1309(b)と同様である。従って、ここでは、処理S1309(b)とは異なる手順となる、ダウンタイムの算出を行う処理S1804から処理S1807の手順と、出力を行う処理S1809について説明する。
この場合、処理S1804において、ダウンタイム算出機能152は、処理S1701から処理S1703と同様にして取得した部品シリアル番号を用いて、部品稼働データベース154のデータを絞り込む。
また、処理S1805において、ダウンタイム算出機能152は、上述のように取り込んだ部品稼働データベース154の稼働実績テーブル1010における、期間1013の値を参照し、判定の単位時間を算出する(図10Bの例では単位時間は1時間)。また、ダウンタイム算出機能152は、部品稼働データベース154の稼働判定テーブル1000における、判定値1005、判定条件1006を参照し、稼働実績テーブル1010の平均値1014が判定値1005の値より小さくなっているレコードを、該当部品が「停止中」のものと特定する。また、ダウンタイム算出機能152は、「停止中」として特定したレコード数だけ、前述の単位時間の値を積算して、「停止中」の判定となっている時間を積算する。
また、処理S1806において、ダウンタイム算出機能152は、部品履歴データベース153の取外日時912と、上述した処理S1805での積算処理の対象となった該当レコード(稼働実績テーブル1010のレコード)の期間1013の値とを比較し、この期間1013の示す日付が、取外日時912の示す日付に達した場合(S1806:Yes)、上述した処理S1805の積算処理を終了し、処理S1807を実行する。他方、期間1013の示す日付が、取外日時912の示す日付に達していない場合(S1806:No)、ダウンタイム算出機能152は、処理を上述の処理S1805に戻す。
また、処理S1807において、ダウンタイム算出機能152は、ここまでで積算した時間すなわちダウンタイムを、該当部品の稼働ベースダウンタイムとしてメモリ113に格納する。また、ダウンタイム算出機能152は、処理S1807までの処理を、処理S1802で得たデータ全てについて実行するまで繰り返す(s1808)。
処理S1809において、ダウンタイム算出機能152は、処理S1802で抽出した各データについて得られたダウンタイムの平均を算出し、これを、稼働ベース平均DT1209として予測結果データベース162に格納する。
図20から図22に本実施形態における出力画面例を示す。これらの出力画面は、出力管理部160が、例えばクライアント端末190からの要求に応じて、保守計画データベース161と予測結果データベース162に格納されているデータから、画面種類ごとに必要なデータを抽出し、このデータを該当画面のフォーマット(出力管理部160が保持)に設定して生成し、クライアント端末190に出力したものとなる。もちろん、必要に応じて、出力管理部160が画面フォーマットのデータをクライアント端末190に出力し、ユーザからの画面構成のカスタマイズ操作を受け付けるとしても良い。
図20は保守計画の候補一覧を表示する画面2000である。この画面2000において、総費用や平均寿命、履歴ベース平均DT、稼働ベース平均DTの昇順あるいは降順で各レコードを列挙している。また、こうした列挙基準に基づいて、ユーザがレコードの並び替えをできるよう、総費用や平均寿命、履歴ベース平均DT、稼働ベース平均DTのいずれかを並べ替え基準として指定するためのラジオボタン2001が画面2000には含まれている。ユーザはこのラジオボタン2001を押下して、保守計画の候補間の評価を行うなどできる。また、各カラムの値を数式を用いて計算するユーザ定義の項目があってもよい。
図21は、図20で示した画面2000に表示された保守計画の候補に関する、調達/運用計画の詳細及び運用の表示画面2100の例を示す。この画面2100は、出力管理部160が、上述した画面2000において、ある候補に関してクライアント端末190から詳細表示の要求を受けた際に、保守計画データベース161と予測結果データベース162に格納されているデータから、該当画面に必要なデータを抽出し、このデータを該当画面のフォーマットに設定して生成し、クライアント端末190に出力したものとなる。この画面2100は、対象となる調達/運用計画に関する、計画ID、実施日、機械ID、部品番号、倉庫、輸送手段、納期、部品価格、輸送費の他に、保守作業に用いる交換用の部品が再生品か否かを示す再生品判定、保守作業実施までの該当部品の負荷率、保守作業の実施日までの時間t、保守作業時間、残寿命、運用ロス、作業ロスといった値を視覚的に表示することで、保守作業に対するユーザの理解を支援する。
図22は、保守作業に係る費用の配分を表す画面2200を示している。この画面2200は、例えば、保守契約において、保守を実施する事業者と、鉱山機械10を運用する顧客との間で、保守費用の分担が定まっている場合などに利用するとよい。例えば、顧客が負担する費用は交換用の部品代のみで、その他の保守費用は保守事業者が負担するような契約の場合、部品価格と、部品価格を除くその他の総費用とで比較検討できるとよい。従って、画面2200には、総費用、部品価格、輸送費、運用ロス、作業費用、作業ロス、ユーザ定義の昇順あるいは降順で各レコードの並び替えをできるよう、総費用、部品価格、輸送費、運用ロス、作業費用、作業ロス、ユーザ定義のいずれかを並べ替え基準として指定するためのラジオボタン2201が画面2200には含まれている。ユーザはこのラジオボタン2201を押下して、保守計画の候補間の評価を費用面で比較して行うことなどができる。また、各カラムの値を数式を用いて計算するユーザ定義の項目があってもよい。
以下、図23から図29を用いて、顧客にとって最適と推定される保守計画候補を出力する実施例について簡単に説明する。図23は、本実施例において、顧客にとって最適と推定される保守計画候補を提案する出力管理部2300の構成例を示す図である。出力管理部2300は、保守計画評価機能2301と、顧客ポリシー推定機能2302と、保守計画データベース2303と、予測結果データベース2304と、計画評価データベース2305(第10データベース)から構成される。保守計画評価機能2301は、複数の保守計画を、複数の評価指標及び顧客ポリシーから順位付けする。顧客ポリシー推定機能2302は、顧客の保守計画選択履歴から、顧客がどのような保守計画を選択する傾向にあるかを推定する。ここでは、顧客の傾向を顧客ポリシーと呼ぶ。保守計画データベース2303及び予測結果データベース2304は、それぞれ保守計画データベース161及び予測結果データベース162と同じ構造である。計画評価データベース2305は、保守計画評価機能2301による保守計画評価の結果を格納する保守計画評価テーブル2400と、顧客ポリシー推定機能2302が参照する保守選択履歴テーブル2410から構成される。
以下では例として、部品価格1148、輸送費1149、運用ロス1151、作業ロス1152の総和を保守費用とし、保守費用、稼働ベース平均DT1209を評価指標として保守計画を評価する処理を説明する。
図24の保守計画評価テーブル2400は、計画ID2401と、評価指標である保守費用2402と、稼働ベース平均DT2403と、保守計画評価機能2301によって算出されるスコア2412、スコアA2405、スコアB2406を格納する。スコアA2405は保守計画候補をパレート最適解集合を用いたトレードオフ分析によって評価したスコア、スコアB2406は保守計画候補を顧客ポリシーとの一致度で評価したスコアであり、スコア2404はスコアA2405及びスコアB2406から算出する保守計画の総合スコアである。スコアA、スコアB、総合スコアの算出式は後述する。
また、図25の保守選択履歴テーブル2410は、過去に起きた異常ID2411と、異常に対して行った対策ID2412と、異常発生時に顧客に表示した保守計画候補の計画ID2413と、保守計画候補の評価指標である保守費用2402、稼働ベース平均DT2415と、顧客が選択した実施履歴2416を格納する。保守選択履歴テーブル2410によって、過去の異常−対策−保守計画候補−顧客が選択した保守計画が紐付けられる。
図26を用いて、保守計画候補の中から顧客にとって最適な保守計画を推定し、提案する処理S2500を説明する。S2501で保守計画評価機能2301は、保守計画データベース2303の調達/運用テーブル1140及び予測結果データベース2304から、保守費用と、平均寿命1207と、稼働ベース平均DT1209を評価指標として抽出し、保守費用と、稼働ベース平均DT1209は小さいほど良いので、逆数を取る。次に各評価指標の最大値が1となるように規格化を行う。これらの操作により、各指標の最良の値は1となる。
S2502で保守計画評価機能2301は、規格化した3つの評価指標を用いて、複数の保守計画候補からパレート最適解集合を求める。保守費用、稼働ベース平均DT1209の二つの評価軸を用いて、パレート最適解集合を求めた一例を図27の2601に示す。
S2503で顧客ポリシー推定機能2302は、保守選択履歴テーブル2410から、過去に起きた異常・故障・作業の組に対してどのような保守計画候補が挙げられ、その中から顧客がどの保守計画を選択したかを読み込み、規格化した各評価指標の値を抽出する。
S2504で顧客ポリシー推定機能2302は、過去に顧客が選択した保守計画の各評価指標の値から、顧客ポリシーを推定する。一例として、保守費用、稼働ベース平均DTの二つの評価軸における顧客ポリシーを、最小二乗法を用いて推定した結果を図28、2602に示す。
処理S2505で保守計画評価機能2301は、各保守計画候補に対して、パレート最適解集合からスコアAを、推定顧客ポリシーからスコアBをそれぞれ求め、スコアA及びスコアBを用いて各保守計画候補にスコアを付与し、結果を保守計画評価テーブル2400に格納する。
パレート最適解集合から評価したスコアAでは、計画ID=“MP−001”と“MP−008”は同スコアであり、順位付けができないが、顧客ポリシーによるスコアBを評価に加えることで、当該顧客にとっては計画ID=“MP−001”が優先されると推定される。さらに、スコアAのみの評価では、“MP−001”、“MP−008”に劣っていた“MP−002”が当該顧客にとって最も優先される保守計画であると推定される。
処理S2506で出力管理部2300は、ユーザに対して保守計画データベース2303、予測結果データベース2304、計画評価データベース2305に格納された保守計画、予測結果、保守計画評価結果をスコア2404の順に出力し、ユーザの選択を待つ。
処理S2507で顧客ポリシー推定機能2302は、ユーザの選択を保守選択履歴テーブル2410に格納する。
本実施例においては、評価指標として用いた保守費用、稼働ベース平均DTの値を規格化して推定顧客ポリシーを算出した(図28、2602)。これは、保守作業に用いる部品や実施する作業によって保守費用や稼働ベース平均DTが大きく異なることを想定したためであるが、類似する部品、作業では保守費用、稼働ベース平均DTはオーダーとして同程度となる。このような場合は、規格化を用いることなく、各評価指標の値をそのまま用いて、顧客ポリシーを推定することも考えられる。また、本実施例では単一顧客の履歴情報を元にポリシーを推定する手順を説明したが、例えば国毎、地域毎にポリシーに類似性が認められる場合は国毎、地域毎の履歴情報を纏めて評価してもよいし、同一顧客であっても、エンジンやポンプなどの部位毎に傾向が異なる場合は部位毎に細分化して評価を行ってもよい。
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
こうした本実施形態によれば、交換部品を一義的に取り扱うことなく、同様の機能を持つ部品でも旧版部品や再生部品など複数種類の部品を考慮し、これら各種の部品を作業機械の保守計画立案に反映することができる。また、作業機械に生じた現象から異常および故障を推定し、それに応じた保守作業の特定を行うことが出来るため、様々な状況に合わせて生じうる故障を推定し、的確な保守対応を特定することが可能である。また、鉱山機械などの大型機械に於いて保守作業に要する費用や時間の点で重要な検討要素となる部品調達について、旧版部品や再生品についても考慮しつつ、納期や輸送コスト、負荷率、負荷率に応じた経済損失をトータルで踏まえた、複数パターンの保守計画の立案支援が可能となる。こうした本実施形態の保守計画立案支援技術によれば、作業機械に異常や故障を検知した際に旧版部品や再生部品及びそれらの調達計画なども考慮して、いつ、何をすべきかをその評価と共にユーザに提供し、保守計画立案業務を支援することが出来る。
したがって本実施形態によれば、保守員のスキル等に依存せずに効果的な保守計画を効率的に立案可能となる。
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態の保守計画立案支援システムにおいて、前記記憶装置は、各作業機械の、故障時における負荷率別の残寿命および負荷率低下に伴う作業機械使用者における経済損失の情報とを対応づけて保持する第5データベースをさらに備えるものであり、前記演算装置は、前記作業機械に関する前記現象の情報が含む、作業機械ないし現象発生箇所の部品の負荷率の情報を前記第5データベースに照合して、前記作業機械ないし現象発生箇所の部品の残寿命を推定し、当該残寿命が、現時点から前記保守実施候補日までの猶予期間を下回る程度に応じて低下させた負荷率を該当作業機械における負荷率とし、当該負荷率での経済損失を前記第5データベースにて特定し、前記低下させた負荷率および当該負荷率での経済損失の情報を、前記保守計画情報に含めて出力装置に出力する処理を更に実行するものである、としてもよい。これによれば、故障が生じている部品が保守実施日まで稼働し続けられる程度に低下させるべき負荷率を特定し、この負荷率で部品を稼働させた際の顧客側の経済損失をユーザに提示することが可能となり、ユーザ側では、保守計画を決定する際に重要な、事業継続性や経済性といった面で顧客側への配慮を行いやすくなる。
また、本実施形態の保守計画立案支援システムにおいて、前記記憶装置は、個々の部品ないしその旧版部品または再生部品の、作業機械への取付及び作業機械からの取外に関する情報を格納した第6データベースを更に備えるものであり、前記演算装置は、前記保守計画情報が示す、前記保守作業に用いる部品ないしその旧版部品または再生部品に関し、前記第6データベースにおける、同一種類の部品ないしその旧版部品または再生部品の取付と取外の履歴を特定し、当該特定した取付と取外との間の時間を寿命として算出し、当該寿命の情報を前記保守計画情報に含めて出力装置に出力する処理を更に実行するものである、としてもよい。これによれば、保守計画にて採用する交換用の部品が、どれほどの寿命を備えるものかユーザに提示することで、ユーザ側では、例えば、部品コストと寿命のバランスを考えた保守計画立案が行いやすくなるといった効果がある。
また、本実施形態の保守計画立案支援システムにおいて、前記演算装置は、前記保守計画情報が示す、前記保守作業に用いる部品ないしその旧版部品または再生部品に関し、前記第1データベースにおける、同一種類の部品ないしその旧版部品または再生部品の、故障の情報の有無を特定し、故障の情報が存在する場合に、該当故障に対して実施された保守作業の情報を前記第1データベースにて特定し、該当保守作業の情報が示す、作業開始から作業終了までの間の時間をダウンタイムとして算定し、当該ダウンタイムの情報を、前記保守計画情報に含めて出力装置に出力する処理を更に実行するものである、としてもよい。これによれば、保守計画にて採用する交換用の部品が、過去の保守作業によれば、どれほどのダウンタイムの発生が見込まれるのかユーザに提示することで、ユーザ側では、例えば、部品コストとダウンタイムのバランスを考えた保守計画立案が行いやすくなるといった効果がある。
また、本実施形態の保守計画立案支援システムにおいて、前記記憶装置は、作業機械の部品に設置したセンサによる、該当部品の挙動に関する測定値を格納した第7データベースと、作業機械の部品の稼働有無を判定する前記センサによる測定値の条件を格納した第8データベースとを更に備えるものであり、前記演算装置は、前記保守計画情報が示す、前記保守作業に用いる部品ないしその旧版部品または再生部品に関し、前記第7データベースにおける、同一種類の部品ないしその旧版部品または再生部品についての測定値の情報を特定し、当該特定した測定値の情報を前記第8データベースに照合して、該当部品ないしその旧版部品または再生部品の稼働停止期間をダウンタイムとして算定し、当該ダウンタイムの情報を、前記保守計画情報に含めて出力装置に出力する処理を更に実行するものである、としてもよい。これによれば、保守計画にて採用する交換用の部品が、センサデータ由来の過去の稼働実績によれば、どれほどのダウンタイムの発生が見込まれるのかユーザに提示することで、ユーザ側では、例えば、部品コストとダウンタイムのバランスを考えた保守計画立案が行いやすくなるといった効果がある。
また、本実施形態の保守計画立案支援システムにおいて、前記記憶装置は、作業機械に関して実施予定の定期保守の日程を格納する第9データベースを更に備えるものであり、前記演算装置は、現時点から、前記保守計画情報が示す前記保守実施候補日までの期間内に、前記定期保守の日程が含まれているか前記第9データベースにて判定し、前記期間内に前記定期保守の日程が含まれている場合、該当定期保守日で前記保守実施候補日を置換し、前記保守計画情報の生成を再度実行するものである、としてもよい。これによれば、あらかじめ組まれている定期保守の機会を無駄にせず、定期保守の機会を、イレギュラーな故障発生事象に有効活用し、効率的に保守計画を立案することが可能となる。