JP5937782B2 - V型コラーゲン遺伝子転写促進剤 - Google Patents

V型コラーゲン遺伝子転写促進剤 Download PDF

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本発明は、線維芽細胞におけるV型コラーゲン遺伝子の転写を活発化し、V型コラーゲンの産生を促す作用を有するV型コラーゲン遺伝子転写促進剤に関する。このようなV型コラーゲン遺伝子転写促進剤は、皮膚化粧料などに用いることにより、皮膚に柔軟性及びしなやかさをもたらす質感改善作用を該皮膚化粧料に付与し得る。
皮膚は、外気に接する比較的薄い表皮(主として表皮角化細胞からなる層)と、内部に位置する真皮とからなる。真皮の主要構造は、コラーゲン、エラスチンなどのタンパク質と、ヒアルロン酸などのムコ多糖類とにより形成され、これらの成分を産生する線維芽細胞が真皮中に疎らに存在する。
真皮の物理構造を担う主要成分のひとつであるコラーゲンは、三本のポリペプチド鎖からなる3重らせん状の細長いタンパク質として細胞から分泌され、段階を追って線維状に会合し、コラーゲン線維となって沈着する。コラーゲンには多くの遺伝子が存在し、3重らせんのタンパク質分子としては20を超える型があるが、生体においては、I型コラーゲンが占める量が最も多い。通常、単にコラーゲンといえばI型コラーゲンを指すことが多い。
一方、V型コラーゲンは、I型コラーゲンと同様に、細長い構造のタンパク質であり線維を形成し得るが、その真皮中の存在量はI型コラーゲンのものよりかなり少ない。しかし、V型コラーゲンは、I型コラーゲンに混ざって線維を形成し、V型コラーゲンが占める割合が多くなる程、細い線維となることが知られている(非特許文献1及び2)。
ところで、生薬として知られる植物の抽出物が示す、皮膚のしわ防止をはじめとする老化防止作用については、様々な技術が知られている。生薬による老化防止効果の作用機序は種々であり、エラスターゼ阻害、ヒアルロニダーゼ阻害、活性酸素除去、抗酸化、メラニン生成抑制、コラーゲン合成促進、メイラード反応阻害、ラミニン5産生促進等がある。
例えば、特開平11−246338号(特許文献1)には、ムラサキの抽出物を含む抗老化剤(エラスターゼ阻害)が開示されている。
特開2001−316240号(特許文献2)には、Saussurea属植物の抽出物を含むコラーゲン産生促進剤が開示されている。
上記のコラーゲン産生促進作用とは、皮膚(真皮)を構成する主要構造タンパク質であるコラーゲンの量的な不足を補うため、コラーゲンタンパク質(実質的にI型コラーゲン)の産生を促すものである。その結果、産生されたコラーゲンタンパク質がコラーゲン線維を形成し、皮膚(真皮)にコラーゲン線維が補充され、しわやたるみといった老化に伴う現象が修復され、換言すれば、皮膚の張りを取り戻す。
特開平11−246338号公報 特開2001−316240号公報
J Cell Sci. 1990 Apr;95 (Pt 4):649-57. Birk DE, Fitch JM, Babiarz JP, Doane KJ, Linsenmayer TF. Collagen fibrillogenesis in vitro: interaction of types I and V collagen regulates fibril diameter. Connect Tissue Res. 1986;14(4):257-66. Adachi E, Hayashi T., In vitro formation of hybrid fibrils of type V collagen and type I collagen. Limited growth of type I collagen into thick fibrils by type V collagen.
従来のコラーゲン産生促進剤により産生が促進され得るI型コラーゲンではなく、V型コラーゲンの産生を促すことができれば、皮膚を構成するコラーゲン線維中のV型コラーゲンの割合が増え、細いコラーゲン線維とすることができるので、皮膚をしなやかにし得ると考えられる。
よって、本発明の目的は、線維芽細胞によるV型コラーゲンの産生を促進させることにより、皮膚にしなやかさをもたらし得るV型コラーゲン遺伝子転写促進剤を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、紫根及び/又は木香の含水低級脂肪族アルコール抽出物を有効成分として含む組成物を用いることにより、V型コラーゲン遺伝子の転写を促進できることを見出して、本発明を完成した。
よって、本発明は、紫根及び/又は木香の含水低級脂肪族アルコール抽出物を有効成分として含む、V型コラーゲン遺伝子転写促進剤を提供する。
本発明のV型コラーゲン遺伝子転写促進剤は、V型コラーゲン遺伝子の転写を促進し、V型コラーゲンの産生を促進することにより、皮膚のしなやかさを増進できる。
本発明のV型コラーゲン遺伝子転写促進剤が皮膚のしなやかさを増進できる作用機序としては、次のようなことが考えられる。
本発明のV型コラーゲン遺伝子転写促進剤に含まれる有効成分は、細胞に働きかけてV型コラーゲン遺伝子の転写を促進し、その産生を促し、I型コラーゲンに対するV型コラーゲンの量比が高まるように誘導する作用を有する。V型コラーゲンは、I型コラーゲンと比べると、量的にはかなり少ない成分であるが、I型コラーゲンに混ざってコラーゲンの線維を形成する。このとき、V型コラーゲンの量比が多い程、径の細い線維構造体が形成される。したがって、皮膚のV型コラーゲンの割合を多くすることにより、よりしなやかな皮膚構造になると考えられる。
一般に、老化に伴い皮膚(真皮)の細胞によるコラーゲン産生が少なくなるとされているが、I型コラーゲンとV型コラーゲンの組成比率は、老化や病態等の指標とされるものではない。したがって、本発明は、老化等によって生じた「劣化」状態からの「回復」を図るものではなく、正常な状態からいわば別の体質への改質を可能にし得ると考えられる。
本発明のV型コラーゲン遺伝子転写促進剤は、例えば皮膚外用剤として用いることもできる。
また、本発明によれば、V型コラーゲン遺伝子転写促進剤を含む皮膚化粧料を提供することができる。
本発明のV型コラーゲン転写促進剤は、紫根及び/又は木香の含水低級脂肪族アルコール抽出物を有効成分として含む。
紫根(シコン)は、ムラサキ科(Boraginaceae)のムラサキLithospermum erythrorhizon Sieb.et.Zucc.の根を乾燥したものの他、Onosma paniculatum Bur.et.Fr.、O.tsiangii I.M.Johnston、Arnebia guttata Bunge、Lithospermum arvense L.、Arnebia saxatilis Benth.et.Hook.及びMacrotomiae euchromaの根を乾燥したものを含む。
木香(モッコウ)は、キク科(Compositae)のAucklandia lappa Dcne.、Vladimiria souliei Ling、Vladimiria denticulata Ling、Inura helenium L.の乾燥根の他、ウマノスズクサ科(Aristolochiaceae)のAristolochia debilis Sieb. et Zucc.、A. contorta Bungeの乾燥根を含む。
上記の植物は、通常、生薬として用いられているものを使用できる。
上記の生薬からの抽出物は、生薬からの通常の抽出法に従って得ることができる。例えば、生薬原末を粉砕し、原末の重量の1〜50倍(重量)、好ましくは1〜30倍、より好ましくは1〜15倍程度の適切な抽出溶媒を加えて抽出し、抽出液をろ過し、ろ液を適宜濃縮することにより得ることができる。
上記の抽出溶媒としては、含水低級脂肪族アルコールが用いられる。低級脂肪族アルコールとしては、炭素数1〜4の脂肪族アルコールが挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール等を用い得る。また、抽出溶媒の含水率は、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは50%である。含水低級脂肪族アルコールは、好ましくは50%含水エタノールである。
抽出は、室温にて行うことが好ましいが、温浸または熱浸等でも行うことができる。抽出は、例えば、室温で、撹拌下又は非撹拌下に、上記の生薬を上記の抽出溶媒に浸漬することによって行うのが適当である。撹拌下に浸漬する場合には1時間〜2日間程度行うのが適当であり、非撹拌下に浸漬する場合は5日〜20日間程度行うのが適当である。抽出処理は、同一原料について1回のみ行ってもよいし、複数回、例えば、2〜5回程度行ってもよい。
得られた抽出液をろ過し、ろ液として回収したものをそのまま用いてもよいが、ろ液を濃縮して濃縮抽出物として用いるのが好ましい。濃縮は減圧下で行うのが好ましい。この濃縮は、抽出物が乾固するまで行ってもよい。また、抽出物は、濃縮したままの状態であってもよいし、粉末状又は凍結乾燥品等としてもよい。濃縮する方法、粉末状又は凍結乾燥品とする方法は、当該分野で公知の方法を用いることができる。
得られた抽出液は、濃縮する前後に、精製処理に付してもよい。精製処理は、クロマトグラフ法、イオン交換樹脂を使用する溶離法、溶媒による分配抽出等を単独又は組み合わせて用いることができる。例えば、クロマトグラフ法としては、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、遠心液体クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等のいずれか又はそれらを組み合わせて行う方法が挙げられる。この際の担体、溶出溶媒等の精製条件は、各種クロマトグラフィーに対応して適宜選択することができる。
本発明においては、上記の生薬を、水/エタノールの1:1混液を用いて抽出し、抽出液をろ過し、得られたろ液を減圧乾固して得られる物質を生薬抽出物として用いるのがより好ましい。
本発明のV型コラーゲン遺伝子転写促進剤は、上記の有効成分をそのまま用いるものであってもよいし、上記の有効成分の効果を妨げない範囲で、適当な添加剤を含み得る。
適当な添加剤としては、防腐剤(例えばパラベンなど)、酸化防止剤(例えばアスコルビン酸など)、着色料、界面活性剤(セチル硫酸ナトリウムなどのアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのノニオン界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム塩などのカチオン界面活性剤など)、油性溶剤(オリーブ油、ひまし油などの植物油、ミツロウなどのロウ、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン油など)、水性溶剤(水、エタノールなどの低級アルコール、プロピレングリコールなど)、紫外線吸収剤、香料、薬効成分などが挙げられる。
本発明のV型コラーゲン遺伝子転写促進剤中の上記の有効成分の量は、用途に応じて適宜決定できる。上記の有効成分の含有量は、濃縮乾固物として、V型コラーゲン遺伝子転写促進剤の0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明のV型コラーゲン遺伝子転写促進剤は、皮膚への局所的な塗布に好適に用いることができる。その使用量は特に限定されないが、1回当たり0.1〜100mg程度が望ましい。
本発明の実施形態においては、V型コラーゲン遺伝子転写促進剤を皮膚化粧料に添加することにより、該促進剤を含む皮膚化粧料、特に皮膚のしなやかさを増進させるための皮膚化粧料を提供することができる。
本発明の皮膚化粧料に含まれるV型コラーゲン遺伝子転写促進剤の量は、特に制限されず、該皮膚化粧料の形態に応じて適宜決定できる。一例を挙げれば、皮膚化粧料の全重量に対して0.001〜20重量%、より好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明の皮膚化粧料の形態としては、例えば、クリーム、ローション(化粧水)、乳液、ファンデーション、エッセンス(エキス)、オイル、パックなどが挙げられる。
本発明は、また、上記の紫根及び/又は木香の含水低級脂肪族アルコール抽出物を用いて、V型コラーゲン遺伝子転写促進剤を製造する方法も提供する。
本発明は、上記の紫根及び/又は木香の含水低級脂肪族アルコール抽出物を培養細胞に与えることを含む、細胞によるV型コラーゲンの産生を促進する方法も含む。
上記の培養細胞は哺乳動物の細胞が好ましく、例えばヒト、マウス、ブタ、ウシなどの細胞が挙げられる。
上記の抽出物は、細胞培養において、培地中に0.001〜0.5重量%となるように添加するのが好ましい。
細胞培養の条件は、細胞の種類に応じて適宜決定でき、このような条件は、当業者に公知である。
上記の方法によりV型コラーゲンの産生を促進させて得られるV型コラーゲンは、皮膚化粧料などに混合して用いることができる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は当該実施例により限定されるものではない。
実施例1 V型コラーゲン遺伝子転写促進剤の製造
ガラス製容器(2L)内において、紫根、木香の乾燥標品各100gに、蒸留水とエタノールを等容量混合したものを抽出溶媒として各1000mL加え、ゆっくり撹拌を行いつつ、室温で1時間抽出し、抽出液を各々ろ過し、ろ液を各々減圧乾固して、紫根及び木香の各抽出物を得た。
得られた抽出物は、紫根抽出物25.2g、木香抽出物14.8gであった。これらの抽出物を、本発明のV型コラーゲン遺伝子転写促進剤として、以下の試験例に用いた。
試験例1 V型コラーゲン遺伝子転写促進活性の評価
上記の各V型コラーゲン遺伝子転写促進剤のV型コラーゲン遺伝子転写促進活性を評価するために、V型コラーゲンα1鎖遺伝子プロモーター活性増強効果を、以下に示すルシフェラーゼアッセイに従って測定した。
ルシフェラーゼアッセイは、プロモーターの転写活性を調べるためのレポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を用いる方法である。ルシフェラーゼの発光活性を測定することにより、解析対象遺伝子の転写活性が測定できる。具体的には、解析対象遺伝子のプロモーター下流にルシフェラーゼ遺伝子を結合させたベクターを細胞にトランスフェクションし、細胞の培養を行う。培養中、プロモーターの転写活性が強ければ細胞内に多くの酵素(ルシフェラーゼ)が産生され、活性が弱ければ酵素(ルシフェラーゼ)の産生量は少なくなる。酵素(ルシフェラーゼ)の量は、発光量により測定できる。
本実施例では、V型コラーゲンα1鎖遺伝子のプロモーターの転写活性を調べるルシフェラーゼアッセイ系を構築し、該アッセイ系の細胞に、実施例1で得られた各V型コラーゲン遺伝子転写促進剤を添加して培養し、添加したV型コラーゲン遺伝子転写促進剤の転写活性増強効果を評価した。
<プラスミドDNAの調製>
ヒトV型コラーゲンα1鎖遺伝子のプロモーター断片を、基本プロモーター領域に対応するプライマーセットを用いるPCR法により得た。該プライマーセットおよび得られたプロモーター断片の塩基配列を以下に示す。
・プライマー1: 5' gagctCCCGGGCCAGCCCCTTCCTCC 3'(配列番号1)
(下線部は、クローニングのためのSacI制限酵素部位)
・プライマー2: 5' ctcgagTCGAGTGAGGTCCTGCGCCA 3'(配列番号2)
(下線部は、クローニングのためのXhoI制限酵素部位)
・プロモーター断片(NCBIアクセッション番号:AL591890):5' CCCGGGCCAGCCCCTTCCTCGCTGCGACTCGCCCGCTGTCCCCACCCCCTCGCCCGCGGCGCCCAGTGGGAGGCGGGGGCTGGCCTCGCCGAGCCCAGCGCCGGGCTCTGATTTGCTGCGGGCGTTGGGGATCGACAGCCTCCGCGGCTGCCTTCCAGGAGAGAGGGAGGGAGGAAAAGGGGGAAAAAAGTGCTCCGCGCCGAAGGCGAGGTCCGCACTCTCCGTCCCCGCGGCTGGCGCAGGACCTCACTCGA 3'(配列番号3)
SacI及びXhoI制限酵素部位を利用して、上記のプロモーター断片をpGL3ルシフェラーゼベクター(プロメガ社)にクローニングした。I及びV型コラーゲンプロモーター断片を含むルシフェラーゼベクターを、1サンプル当たり5μgでトランスフェクションに用いた。ルシフェラーゼ活性の測定における内部標準として用いるために、pRL-TKプラスミドDNAも、1サンプル当たり0.25μg(1/20量)添加して、同時トランスフェクションした。
<細胞培養及びトランスフェクション>
マウスNIH-3T3細胞は、10%胎児ウシ血清(FBS)/ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で培養し、実験には対数増殖期のものを用いた。トランスフェクション前日に、細胞を1.5×105細胞/35 mmディッシュで播種し、37℃、5% CO2条件下で一晩培養した。
翌日、リン酸カルシウム法(Chen, C and Okayama, H (1987), Mol. Cell Biol. 7, 2745〜2752)に従って、リン酸カルシウム-プラスミドDNA混合液(5μg/dish)を調製した。調製した混合液を、一晩培養した細胞培養液に滴下後、さらに6時間培養した。トランスフェクションの効率を上げる為に、6時間後、培養液を除去し、15%グリセロール/PBS(リン酸緩衝生理食塩水)溶液を加えて1分間処理した。PBSで細胞を数回洗浄後、実施例1で得られたそれぞれのV型コラーゲン遺伝子転写促進剤を木香は0.01重量%、紫根は0.005重量%含んだ10% FBS/DMEM培地を加え、さらに1日培養した。
<ルシフェラーゼアッセイ>
プロモーター活性は、デュアルルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ社製)を用いて測定した。具体的には、トランスフェクション後、V型コラーゲン遺伝子転写促進剤の存在下で培養した細胞は、PBSで洗浄後、アッセイシステムに付属した細胞溶解液を用いて処理した。処理した細胞をラバーポリスマンでかきとり、細胞懸濁液を1.5 ml遠心管に回収した。回収したサンプルは、13000 rpm、10分間遠心後、その上清(細胞抽出液)をルシフェラーゼ測定に用いた。細胞抽出液10μlに発光基質液を50μl加え、ルミノメーター(ベルトールド社製Lumat LB9507型)にて発光量を10秒間測定した。すべてのサンプルにおいて、内部標準DNA(pRL-TK)の発光量も測定し、内部標準DNAの発光量で実測値を除した相対発光量をルシフェラーゼ活性の測定値とした。
<データ解析>
得られたデータは、V型コラーゲン遺伝子転写促進剤を添加しなかった場合に測定されたルシフェラーゼ活性に対する、V型コラーゲン遺伝子転写促進剤を添加した場合のルシフェラーゼ活性の倍率で表し、V型コラーゲン遺伝子プロモーター活性の増強効果を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005937782
表1の結果から、紫根、木香の抽出物である本発明のV型コラーゲン遺伝子転写促進剤は、V型コラーゲン遺伝子プロモーターの活性を増強することがわかる。
試験例2 I型コラーゲン遺伝子転写促進活性に対するV型コラーゲン遺伝子転写促進活性の評価
試験例1におけるV型コラーゲンα1鎖遺伝子のプロモーターの代わりに、I型コラーゲンα1鎖遺伝子のプロモーターを用いて、試験例1と同様にしてルシフェラーゼアッセイを繰り返した。
試験例1で得られたV型コラーゲン遺伝子のプロモーターの転写促進活性についてのルシフェラーゼ活性を、I型コラーゲン遺伝子のプロモーターの転写促進活性についてのルシフェラーゼ活性で除して、I型に対するV型コラーゲン遺伝子の転写促進活性の倍率を算出した。結果を表2に示す。
Figure 0005937782
表2の結果から、本発明のV型コラーゲン遺伝子転写促進剤は、I型コラーゲンよりもV型コラーゲンの転写を優先的に促進することがわかる。
試験例1及び2の結果から、本発明のV型コラーゲン遺伝子転写促進剤は、V型コラーゲン遺伝子のプロモーター活性を増強し得るので、V型コラーゲン遺伝子の転写を促進でき、よって、V型コラーゲンの産生を促進できることがわかる。
このような本発明のV型コラーゲン遺伝子転写促進剤によれば、I型コラーゲンに対するV型コラーゲンの量を多くできるので、V型コラーゲンの含有量が向上したコラーゲン線維の産生が増進され、しなやかな皮膚を得ることができると考えられる。
以下に、本発明のV型コラーゲン遺伝子転写促進剤の処方例を示す。なお、各抽出物は、実施例1と同様にして得られたものを用いた。
実施例2〜4
<クリーム>
本発明の皮膚化粧料である、クリームを製造した。各成分の配合割合を、表3に重量%で示す。
(A)の各成分を混合し、80℃に加熱した。一方、(B)の各成分をそれぞれ混合し80℃に加熱した。(A)の混合物に、(B)の混合物を撹拌しながら徐々に加えて乳化させ、その後35℃に冷却して、クリームを得た。
Figure 0005937782
実施例5〜7
<ローション>
本発明の皮膚化粧料である、ローションを製造した。各成分の配合割合を、表4に重量%で示す。
(A)の各成分を混合し、80℃に加熱して、さらに混合、均一化した後、冷却する。これに35℃で(B)の各成分を順次添加し、混合、均一化して、ローションを得た。
Figure 0005937782

Claims (2)

  1. 紫根及び/又は木香の30〜70重量%含水低級脂肪族アルコールによる抽出物を有効成分として含み、線維芽細胞におけるI型コラーゲンに対するV型コラーゲンの量比を高める誘導作用をして皮膚にしなやかさをもたらす、V型コラーゲン遺伝子転写促進剤(ただし、皮膚の老化防止のためのものを除く)
  2. 請求項1に記載のV型コラーゲン遺伝子転写促進剤を含む、皮膚に柔軟性及びしなやかさをもたらすための皮膚化粧料(ただし、皮膚の老化防止のためのものを除く)
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