JP5933352B2 - 補助軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動回転する軸部材を回転可能に支持する軸受が設けられた支持部材に対して追加して補助的に設けられる補助軸受装置に関する。
従来、工作機械において工具が設けられる軸部材としての主軸には、加工対象のワークに応じて種々の特性が要求される。そして、場合によっては、二律背反の特性が要求されることもある。例えば、重切削や重研削をする場合には、主軸に対して高速回転性(つまり回転し易さのこと(あるいは回転抵抗が低いこと))よりも高剛性や高回転精度が要求される一方、切削荷重や研削荷重が軽い場合には、工作時間低減などが優先されて、高剛性や高回転精度よりも高速回転性が要求される。
この点につき、特許文献1には、主軸を支持する軸受に対して予圧付与機構を設け、主軸の回転数(rpm)に応じて予圧の大きさを変更することが記載されている。すなわち、低速回転で重切削する場合には、予圧を大きくし、これにより、軸受の転動体を外輪及び内輪に大きな圧接力で圧接して主軸の剛性や回転精度を高める一方、高速回転で軽切削する場合には、予圧を小さくすることにより上記の圧接力を小さくして主軸の回転抵抗を低減することが開示されている。
実開平6−15904号公報
しかしながら、この特許文献1の場合には、高速回転であっても上記の軸受は主軸を支持しなければならないため、小さいながらも予圧を付与せざるを得ず、軸受の回転抵抗を大幅に下げることはできない。つまり、回転抵抗の下げ代が制限されてしまう。
ここで、例えば、主軸を常時支持する常用軸受以外に更に補助軸受を追加して設け、この補助軸受の主軸の支持機能を有効状態及び無効状態に切り換え可能に構成すれば、実現可能な最大剛性を大幅に拡大しながらも、高速回転性が要求される際には主軸の回転抵抗を常用軸受のみの回転抵抗まで下げることができて、これにより、常用軸受の高速回転性を最大限に引き出すことができるものと考えられる。
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、駆動回転する主軸等の軸部材の実現可能な最大剛性を大幅に拡大しながらも、当該軸部材を回転可能に支持する軸受の高速回転性についても最大限に引き出し可能にすることにある。
上記目的を達成するための主たる発明は、
駆動回転する軸部材を回転可能に支持する軸受が設けられた支持部材に対して追加して補助的に設けられる補助軸受装置であって、
複数の転動体と、
前記軸部材に環状に設けられ前記転動体が転動可能な軸部材側転動面と、
前記支持部材に環状に設けられ前記転動体が転動可能な支持部材側転動面と、
前記転動体が前記支持部材側転動面及び前記軸部材側転動面の両者に接触する接触状態と、前記転動体が前記軸部材側転動面から浮いた状態になる非接触状態とを切り換える切り換え機構と、を有し、
前記支持部材に固定される環状の外輪相当部材を有し、前記外輪相当部材の内周面に前記支持部材側転動面が形成されており、
前記切り換え機構は、
前記転動体が前記軸部材側転動面からラジアル方向の外方に離れる方向の浮力を前記転動体に与える浮力発生機構と、
前記外輪相当部材の前記支持部材側転動面がラジアル方向の内方へ移動するような予圧を付与することによって前記転動体を前記軸部材側転動面に押し付け可能な予圧付与機構と、を有し、
前記予圧を付与することにより前記接触状態にし、前記予圧の付与を解除することにより前記非接触状態にすることを特徴とする補助軸受装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、駆動回転する主軸等の軸部材の実現可能な最大剛性を大幅に拡大しながらも、当該軸部材を回転可能に支持する軸受の高速回転性についても最大限に引き出すことができる。
第1実施形態の補助軸受装置10が適用された軸部材5の支持構造の概略中心断面図である。 図2Aは、工作機械の停止状態に相当する図1中のII部拡大図であり、図2Bは、図2A中のB−B矢視図であり、図2Cは、図2B中のC−C矢視図である。 図3Aは、工作機械の運転状態且つ補助軸受装置10の無効状態に相当する図1中のII部拡大図であり、図3Bは、図3A中のB−B矢視図であり、図3Cは、図3B中のC−C矢視図である。 図4Aは、工作機械の運転状態且つ補助軸受装置10の有効状態に相当する図1中のII部拡大図であり、図4Bは、図4A中のB−B矢視図である。 補助軸受装置10が設けられた主軸5に付与される予圧の合計値と、主軸5の回転数との関係を示すグラフである。 図6Aは、補助軸受装置10の第1変形例に係り軸受有効状態を示す図であって図1中のII部拡大図に相当する図であり、図6Bは、図6A中のB−B矢視図であり、図6Cは、図6B中のC−C矢視図である。 図7Aは、補助軸受装置10の第1変形例に係り軸受無効状態を示す図であって図1中のII部拡大図に相当する図であり、図7Bは、図7A中のB−B矢視図である。 補助軸受装置10の第2変形例の説明図であって図1中のII部拡大図に相当する図である。 補助軸受装置10の第2実施形態に係る補助軸受311の概略中心断面図である。 図9中のX部拡大図である。 第2実施形態の補助軸受装置10の第1変形例の説明図である。 第2実施形態の補助軸受装置10の第2変形例の説明図である。 第2実施形態の補助軸受装置10を適用した工作機械の主軸5の支持構造の第1例の概略中心断面図である。 第2実施形態の補助軸受装置10を適用した工作機械の主軸5の支持構造の第2例の概略中心断面図である。 特殊玉軸受411の概略中心断面図である。 図15中のXVI部拡大図である。 図17Aは、一般的な転がり軸受11’の概略中心断面図であり、図17Bは、図17A中のB−B断面図である。 転がり軸受11’の動摩擦損失特性のグラフである。 本願発明者が実験で取得した保持器60’の回転数N60の低下率Rと、転がり軸受11’の動摩擦係数との関係のグラフである。 常用軸受に係る予圧自動調整軸受装置410の構成を示す概略図である。 図21Aは、補助軸受装置10と予圧自動調整軸受装置410とが連携して行う予圧の制御パターンの一例の説明図であり、図21Bは、常用軸受411,510の予圧の制御を主軸5の回転数Nに基づいて行った場合の予圧の制御パターンの一例の説明図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
駆動回転する軸部材を回転可能に支持する軸受が設けられた支持部材に対して追加して補助的に設けられる補助軸受装置であって、
複数の転動体と、
前記軸部材に環状に設けられ前記転動体が転動可能な軸部材側転動面と、
前記支持部材に環状に設けられ前記転動体が転動可能な支持部材側転動面と、
前記転動体が前記支持部材側転動面及び前記軸部材側転動面の両者に接触する接触状態と、前記転動体が前記軸部材側転動面から浮いた状態になる非接触状態とを切り換える切り換え機構と、を有することを特徴とする補助軸受装置。
このような補助軸受装置によれば、軸部材に対する補助軸受装置の支持機能を、切り換え機構によって有効状態にしたり無効状態にしたりすることができる。すなわち、上記の接触状態にすれば、軸部材を補助軸受装置で支持する有効状態となり、他方、上記の非接触状態にすれば、軸部材を補助軸受装置で支持しない無効状態となる。そして、後者の無効状態を選択すれば、軸部材に余計な回転抵抗を付加しないようにすることができて、これにより、支持部材に設けられた上記軸受の固有の高速回転性を損ねずに最大限に引き出すことができる一方、前者の有効状態を選択すれば、上記の軸受のみで支持する場合と比べて、軸部材の支持剛性や回転精度を大幅に高めることができる。
かかる補助軸受装置であって、
前記支持部材に固定される環状の外輪相当部材を有し、前記外輪相当部材の内周面に前記支持部材側転動面が形成されており、
前記切り換え機構は、
前記転動体が前記軸部材側転動面からラジアル方向の外方に離れる方向の浮力を前記転動体に与える浮力発生機構と、
前記外輪相当部材の前記支持部材側転動面がラジアル方向の内方へ移動するような予圧を付与することによって前記転動体を前記軸部材側転動面に押し付け可能な予圧付与機構と、を有し、
前記予圧を付与することにより前記接触状態にし、前記予圧の付与を解除することにより前記非接触状態にするのが望ましい。
このような補助軸受装置によれば、予圧付与機構による予圧の付与及びその解除によって、補助軸受装置を有効状態と無効状態とに容易且つ確実に切り換え可能となる。
かかる補助軸受装置であって、
前記複数の転動体のうちで前記軸部材の回転方向に隣り合う転動体同士が互いの間に間隔を空けた状態で前記回転方向に沿って並ぶように保持する環状の保持器を有し、
ラジアル方向の前記保持器の位置は、前記保持器が前記外輪相当部材に接触することによって規制されているのが望ましい。
このような補助軸受装置によれば、補助軸受装置の保持器が外輪相当部材に接触することにより、ラジアル方向の保持器の位置が規制されているので、軸部材と一体となって回転する適宜な部材の方に保持器を接触させてその位置を規制せずに済む。これにより、補助軸受装置の無効状態において概ね回転停止状態の保持器が、軸部材の回転を阻害することは有効に防止され、結果、当該無効状態の選択時に最大限に発揮されるべき、上記軸受の固有の高速回転性能を、より確実に発揮させることができる。
かかる補助軸受装置であって、
前記保持器は、ラジアル方向に貫通した孔部を前記転動体毎に有し、
前記孔部との間に間隙を有しながら前記転動体が前記孔部に挿入されることにより、前記転動体の前記保持器に対するラジアル方向の相対移動が許容されているのが望ましい。
このような補助軸受装置によれば、転動体は、保持器の孔部との間に間隙を有しながら同孔部に挿入されている。よって、保持器にほぼ拘束されること無く予圧付与機構から付与される予圧に応じてラジアル方向に速やかに移動することができて、その結果、補助軸受装置に係る有効状態と無効状態との間の切り換えを円滑に行うことができる。
かかる補助軸受装置であって、
前記軸部材側転動面が設けられる内輪相当部材を有し、
前記浮力発生機構は、前記保持器と前記内輪相当部材との間の隙間に圧縮空気を供給することにより、ラジアル方向の外方の浮力を前記転動体に付与するのが望ましい。
このような補助軸受装置によれば、保持器と内輪相当部材との間の隙間に圧縮空気を供給するという簡単な構成によって、転動体にラジアル方向の外方の浮力を確実に付与可能となる。
かかる補助軸受装置であって、
アキシャル方向の一端側から前記圧縮空気は前記隙間に供給され、
前記一端側における前記保持器と前記内輪相当部材との間の隙間の大きさよりも、アキシャル方向の他端側における前記保持器と前記内輪相当部材との間の隙間の方が小さいのが望ましい。
このような補助軸受装置によれば、アキシャル方向の他端側の隙間は小さいので、一端側から供給された圧縮空気は、他端側にて効果的に堰き止められ、これにより、圧縮空気の圧力を、ラジアル方向の外方の浮力に効率良く変換することができる。よって、転動体にラジアル方向の外方の浮力を確実に付与可能となる。
かかる補助軸受装置であって、
アキシャル方向の前記他端側における前記保持器と前記外輪相当部材との間の隙間は、前記他端側における前記保持器と前記内輪相当部材との間の隙間よりも大きいのが望ましい。
このような補助軸受装置によれば、無効状態において転動体を軸部材側転動面から浮かせ易くなる。詳しくは次の通りである。先ず、保持器と内輪相当部材との間に供給された圧縮空気は、保持器の孔部と転動体との間の上記間隙を通って保持器と外輪相当部材との間の隙間に至る。そして、このとき、この隙間に圧縮空気が滞留すると、当該隙間内の圧力が高まって、保持器と内輪相当部材との間の隙間との間の圧力差が小さくなり、これにより、転動体をラジアル方向の外方に浮かせ難くなる。この点につき、上述の構成によれば、他端側における保持器と外輪相当部材との間の隙間は、他端側における保持器と内輪相当部材との間の隙間よりも大きくなっているので、保持器と外輪相当部材との間の隙間の圧縮空気は、速やかに他端側から補助軸受装置の外部へと排出されて、当該隙間の圧力は低くなる。よって、上述の圧力差を発生させ易くなり、その結果、転動体を軸部材側転動面から浮かせ易くなる。
かかる補助軸受装置であって、
アキシャル方向の前記一端側には、前記圧縮空気を供給するための供給室が、前記保持器に隣接して環状に区画形成されており、
前記一端側における前記保持器と前記外輪相当部材との間の隙間は、前記一端側における前記保持器と前記内輪相当部材との間の隙間よりも小さいのが望ましい。
このような補助軸受装置によれば、一端側における保持器と外輪相当部材との間の隙間は、一端側における保持器と内輪相当部材との間の隙間よりも小さい。よって、一端側に隣接する供給室からの圧縮空気の供給は、概ね保持器と外輪相当部材との間の隙間に対してはなされずに、専ら保持器と内輪相当部材との間の隙間に対してなされることになる。その結果、当該保持器と内輪相当部材との間の隙間の圧力を有効に高めることができて、軸部材側転動面から転動体をより一層浮かせ易くなる。
かかる補助軸受装置であって、
アキシャル方向の前記一端側には、前記圧縮空気を供給するための供給室が、前記保持器に隣接して環状に区画形成されており、
アキシャル方向の前記他端側における前記保持器と前記外輪相当部材との間の隙間は、前記一端側における前記保持器と前記外輪相当部材との間の隙間よりも大ききのが望ましい。
このような補助軸受装置によれば、アキシャル方向の他端側における保持器と外輪相当部材との間の隙間は、一端側における保持器と外輪相当部材との間の隙間よりも大きくなっている。よって、保持器と外輪相当部材との間の隙間の圧縮空気は速やかに他端側から補助軸受装置の外部へと排出される。よって、保持器と外輪相当部材との間の隙間に存在する圧縮空気が、供給室へと逆流することを有効に防ぐことができる。
かかる補助軸受装置であって、
前記切り換え機構を制御する制御部を有し、
前記軸部材が、第1範囲の回転数で回転する場合には、前記制御部は、前記切り換え機構を前記接触状態に切り換え、前記軸部材が前記第1範囲の回転数よりも速い第2範囲の回転数で回転する場合には、前記制御部は、前記切り換え機構を前記非接触状態に切り換えるのが望ましい。
このような補助軸受装置によれば、例えば、軸部材が上記第1範囲の回転の一例として低速回転する場合には、上記の接触状態に切り換えることで軸部材の剛性及び回転精度を高める一方、軸部材が上記第2範囲の回転の一例として高速回転する場合には、上記の非接触状態に切り換えることで軸部材が回転し易い状態にすることができる。そして、かかる低速回転での支持剛性の向上や高速回転での回転性能(回転し易さ)の向上は、特に工作機械で要求されることであり、よって、上述のように軸部材の回転数に基づいて接触状態及び非接触状態を切り換える補助軸受装置は、工作機械に好適なものとなる。
かかる補助軸受装置であって、
前記軸部材には、ワークを加工する工具が固定され、
前記補助軸受装置は、アキシャル方向において、前記軸受よりも前記工具に近い位置に設けられているのが望ましい。
このような補助軸受装置によれば、補助軸受装置は、工具に近い位置に設けられている。よって、ワークの加工時の加工荷重が大きい場合には、補助軸受装置を上記の接触状態に切り換えれば、工具から近い位置で軸部材の剛性を高めることができて、これにより、当該加工荷重をしっかりと受け止めることができる。よって、加工時の軸部材の支持安定性を高めることができる。
===第1実施形態===
図1は、第1実施形態の補助軸受装置10が適用された軸部材5の支持構造の概略中心断面図である。また、図2Aは、図1中のII部拡大図であり、工作機械の停止状態を示している。そして、図2Bは、図2A中のB−B矢視図であり、図2Cは、図2B中のC−C矢視図である。なお、図3Aも、図1中のII部拡大図であるが、工作機械の運転状態であって補助軸受装置10の無効状態を示している。そして、図3Bは、図3A中のB−B矢視図であり、図3Cは、図3B中のC−C矢視図である。更に、図4Aも、図1中のII部拡大図であるが、工作機械の運転状態であって補助軸受装置10の有効状態を示している。そして、図4Bは、図4A中のB−B矢視図である。
なお、以下の説明では、補助軸受装置10に係る軸受11の軸方向のことを「アキシャル方向」又は「前後方向」と言い、同軸受11の半径方向のことを「ラジアル方向」又は「内外方向」と言い、同軸受11の周方向のことを単に「周方向」とも言う。なお、この周方向は、軸受11の「回転方向」に相当する。また、以下で用いる断面図については、本来断面部に示すべきハッチングの一部を、図の錯綜防止目的で省略していることがある。
この第1実施形態では、補助軸受装置10は工作機械の主軸5(軸部材に相当)の支持に適用されている。すなわち、工作機械は、ハウジング3(支持部材に相当)と主軸5との間に介装されて主軸5を常時支持する常用軸受510を有し、当該常用軸受510に追加される形で補助軸受装置10が設けられている。なお、この例では、常用軸受510には、ラジアル荷重及びアキシャル荷重を受け止め可能な一対のアンギュラ玉軸受510,510が使用されているが、何等これに限らない。例えば四点接触玉軸受や円筒ころ軸受を用いても良いし、更には、これら転がり軸受以外に、滑り軸受や空気軸受を用いても良い。
補助軸受装置10は、アキシャル方向において常用軸受510の支持位置よりも主軸5の工具に近い位置を支持位置として配された補助軸受11と、この補助軸受11が主軸5を支持する「軸受有効状態」及び支持しない「軸受無効状態」のどちらかを択一的に選択して切り換える切り換え機構と、切り換え機構を制御する制御部90と、を有している。
補助軸受11は、図2A乃至図2Cに示すように、例えば転動体50が円柱体の円筒ころ軸受であり、内輪相当部材としての内輪20と、外輪相当部材としての外輪30と、複数の円柱形状の転動体50,50…と、保持器60と、を有する。内輪20は、円環状部材であり、その内周側に主軸5が通されて同主軸5に内輪20が同芯且つ相対移動不能に固定されている。そして、内輪20の外周面には転動体50が転動する内輪側転動面20a(軸部材側転動面に相当)が、周方向の全周に亘って形成されている。外輪30も、円環状部材であり、上記のハウジング3の取り付け孔3h(図1)に設けられている。そして、外輪30の内周面には、周方向の全周に亘って円環状の溝部30tが形成されており、この溝部30tの底面30tbを、外輪側転動面30a(支持部材側転動面に相当)として転動体50が転動するようになっている。なお、転動体50のアキシャル方向の移動は、溝部30tの一対の側面30ts,30tsによって規制されている。転動体50は、断面正円形状の円柱体であり、その自転軸C50の向きをアキシャル方向と平行に向かせつつ、内輪20と外輪30との間に介装されている。保持器60は、周方向(回転方向)に互いに隣り合う転動体50,50同士の接触を防ぐべく、同転動体50,50同士が互いの間に間隔を空けた状態で周方向に沿って並ぶように保持するものである。具体的には、保持器60は、円環状部材を本体とし、かかる保持器60には、転動体50を挿入する複数の孔部60hが各転動体50に対応させてそれぞれラジアル方向に貫通形成されている。ちなみに、各孔部60hの孔形状は、転動体50が円柱体であることから、この円柱体形状に対応させて矩形形状に形成されている。
切り換え機構は、転動体50が内輪側転動面20aからラジアル方向の外方に離れる方向の浮力を転動体50に与える浮力発生機構70と、外輪側転動面30aが転動体50をラジアル方向の内方に押すような力を、予圧として外輪側転動面30aに付与することにより、転動体50を内輪側転動面20aに押し付け可能な予圧付与機構80と、を有している。
そして、基本的には、浮力は工作機械の運転中に亘って転動体50に付与されている。また、予圧を付与しない状態においては、図3A及び図3Bのように内輪側転動面20a或いは外輪側転動面30aと転動体50との間には隙間G50が形成されるような寸法に内輪20及び外輪30は形成されている。例えば、内輪側転動面20aと外輪側転動面30aとの間のラジアル方向の間隔D23は、転動体50の直径D50よりも若干大きくなるように設定されている。
よって、同図3A及び図3Bに示すように浮力によって転動体50が内輪側転動面20aから離れた状態において、図4A及び図4Bのように予圧を付与すれば、外輪側転動面30aが転動体50を内輪側転動面20aに押し付けるので、これら両方の転動面30a,20aに転動体50が接触した接触状態となって、これにより、当該補助軸受11が主軸5を支持する軸受有効状態になる。一方、予圧を解除すれば、図3A及び図3Bのように外輪側転動面30aは外輪30の弾性復元変形などに基づいてラジアル方向の外方へ復位するとともに、転動体50は、上記の浮力に基づいて内輪側転動面20aから浮いた状態の非接触状態となって、これにより、当該補助軸受11が主軸5を支持しない軸受無効状態となる。そして、前者の軸受有効状態においては(図4A及び図4B)、常用軸受510に加えてこの補助軸受11も主軸5の支持に大きく寄与するので、主軸5の剛性を大幅に高めることができる一方、後者の軸受無効状態においては(図3A及び図3B)、この補助軸受11は主軸5の支持に全く寄与しなくなるため、この補助軸受11起因で主軸5の回転抵抗が増大することは無く、結果、回転抵抗は常用軸受510に固有の回転抵抗のみとなり、これにより常用軸受510の固有の高速回転性能を最大限に発揮可能となる。つまり、あたかも補助軸受装置10が全く存在しないかのような高速回転性能を実現することができる。
なお、浮力発生機構70は、例えば圧縮空気を保持器60と内輪20との間の隙間S20(以下、内輪側隙間S20とも言う)に供給する供給室R70を有する(図3A)。そして、この供給室R70には適宜な流路3ka,7cka(図13)を介して圧縮空気が例えば所定圧力で常時供給されている。よって、この内輪側隙間S20の圧縮空気の圧力がラジアル方向の外方の浮力として転動体50に作用し、これにより、予圧の解除下においては、図3A及び図3Bの如く転動体50はラジアル方向の外方へと移動されて内輪側転動面20aから浮き上がった非接触状態となる。なお、以下では、上記の「内輪側隙間S20」に対応させて、保持器60と外輪30との間の隙間S30のことを「外輪側隙間S30」とも言う。
上述の供給室R70は、保持器60及び外輪30(場合によっては更に内輪20)に対してアキシャル方向の一端側の方から隣接して環状に区画形成されている。また、図3Aに示すようにアキシャル方向の他端側における内輪側隙間S20の大きさS20e2は、一端側における内輪側隙間S20の大きさS20e1よりも小さく設定されている。よって、一端側の内輪側隙間S20を通って供給された圧縮空気は、他端側において有効に堰き止められ、これにより、圧縮空気の圧力を、ラジアル方向の外方の浮力に効率良く変換することができる。かかる内輪側隙間S20を他端側にて小さくし得る構造例としては、保持器60の内周面60aにおけるアキシャル方向の他端部にラジアル方向の内方に突出する環状の壁部60w2を設けることが挙げられ、ここではそのようにしている。
また、既述のように保持器60には転動体50を挿入する孔部60hが転動体50毎に形成されている。そして、図3A乃至図3Cに示すように、この孔部60hは、その形状がラジアル方向に亘って同形のストレート孔であるとともに、転動体50との間には微小間隙G60hが設けられている。よって、転動体50の孔部60hに対するラジアル方向の相対移動は許容されており、これにより、予圧の付与によって外輪側転動面30aから押された際に、転動体50は内輪側転動面20aへと円滑に移動する。
但し、内輪側隙間S20に供給した圧縮空気が、この孔部60hの微小間隙G60hを通って外輪側隙間S30に漏出して当該外輪側隙間S30に滞留する虞があり、そうすると、内輪側隙間S20との間で圧力差が生じ難くなって転動体50が内輪側転動面20aから浮き上がり難くなる。そのため、アキシャル方向の他端側における外輪側隙間S30の大きさS30e2は、同他端側における内輪側隙間S20の大きさS20e2よりも大きく設定されており、これにより、外輪側隙間S30に漏れ出た圧縮空気を速やかに補助軸受11の外へと排出するようにしている。
また、外輪側隙間S30の圧縮空気が供給室R70へと逆流しないように、一端側における外輪側隙間S30の大きさS30e1は、他端側における外輪側隙間S30の大きさS30e2よりも小さくなっている。すなわち、一端部には、保持器60の外周面60bからラジアル方向の外方に突出する環状の壁部60w1が設けられており、これにより、外輪側隙間S30の大きさは一端側において小さく絞られている。よって、外輪側隙間S30の圧縮空気は一端側において有効に堰き止められ、これにより、外輪側隙間S30の圧縮空気は、他端側から速やかに補助軸受11の外へと排出される。
更に、上述の壁部60w1によって一端側における外輪側隙間S30の大きさは、一端側における内輪側隙間S20の大きさS20e1よりも小さく設定されている。よって、供給室R70の圧縮空気は、専ら内輪側隙間S20へと供給されて、これにより、内輪側隙間S20の圧力を有効に高めることができて、その結果、ラジアル方向の浮力を効率良く転動体50に付与することができる。
また、同壁部60w1によって、一端側における外輪側隙間S30の大きさS30e1は、他端側における内輪側隙間S20の大きさS20e2よりも小さく設定されている。すなわち、既述のように他端側にも、保持器60の内周面60aからラジアル方向の内方に突出する環状の壁部60w2が設けられているが、この壁部60w2の位置における内輪側隙間S20の大きさS20e2は、上述の一端側の壁部60w1の位置における外輪側隙間S30の大きさS30e1よりも大きく設定されている。そして、これにより、保持器60のラジアル方向の移動は、専ら保持器60の上記壁部60w1と外輪30の内周面30bとの当接によって規制され、保持器60が内輪20の外周面20bと当接することがないようにされている。よって、軸受無効状態下において概ね回転停止中の保持器60が、主軸5と一体となって回転する内輪20に当接して内輪20の回転を阻害することは確実に防止され、このことも、補助軸受11の無効状態下において、常用軸受510の固有の高速回転性能を発揮することに大きく寄与する。
なお、上述の圧縮空気中に潤滑油を含ませても良く、そうすれば、補助軸受11の損傷を有効に防ぐことができる。
予圧付与機構80は、例えば、外輪側転動面30aがラジアル方向の内方へ移動するような外力を予圧として補助軸受11に付与可能なアクチュエータ82を有する。そして、この予圧の付与による外輪側転動面30aの移動を介して、転動体50を内輪側転動面20aに押し付け、これにより、外輪30と転動体50と内輪20とを圧接する。上述のアクチュエータ82は、後述の制御部90から送信される予圧の制御信号S90に基づいて作動する。なお、かかる予圧付与機構80には、種々の周知構成を用いることができる。そして、ここでは周知構成の説明については省略するが、新規な予圧付与機構380の構成については後述する。
制御部90は、主に予圧付与機構80の動作を制御するものであり、例えばコンピュータやPLC(プログラマブルロジックコントローラ)等である。また、制御部90には不図示の操作盤が付属しており、操作盤は、操作ボタンとして、軸受有効状態に対応して軸受有効モードボタンと、軸受無孔状態に対応して軸受無効モードボタンとを有している。そして、作業者のボタン操作により軸受有効モードが選択されると、制御部90は、予圧の制御信号S90として例えば所定の大きさの予圧の値を予圧付与機構80へ向けて送信する。すると、予圧付与機構80のアクチュエータ82は補助軸受11に予圧を付与して、当該補助軸受11は、主軸5を支持する軸受有効状態となる。一方、軸受無効モードが選択されると、制御部90は、予圧の制御信号S90として例えば零値を予圧付与機構80へ向けて送信する。すると、予圧付与機構80のアクチュエータ82は補助軸受11への予圧の付与を解除して、当該補助軸受11は、主軸5を支持しない軸受無効状態となる。
なお、かかる切り換え動作は、何等作業者のボタン操作に限るものではなく、制御部90が自動で行うようにしても良い。例えば、図5のグラフに示すように、主軸5の回転数に連動させて自動的に切り換えるようにしても良い。詳しく説明すると、先ず、主軸5の回転数を検出するパルスジェネレータやエンコーダ等の回転数検出センサーを設け、このセンサーが計測した主軸5の回転数の計測データをリアルタイムで制御部90へ送信する。そして、この計測データの回転数の計測値が、予め制御部90のメモリに格納されてなる閾値Nth以下の場合には、制御部90は、軸受有効モードを選択して、予圧付与機構80のアクチュエータ82に予圧の制御信号S90として所定の大きさの予圧の値を送信する。一方、回転数が上記閾値Nthを超える場合には、制御部90は、軸受無効モードを選択して、予圧付与機構80のアクチュエータ82に予圧の制御信号S90として零値を送信する。そして、このようにすれば、一般に低速回転でなされる重切削に対しては、自動的に主軸5が高剛性に切り換えられる一方、一般に高速回転でなされる軽切削に対しては、自動的に主軸5の回転抵抗が低減するように切り換えられることになる。
そして、その結果として、補助軸受11及び常用軸受510を有する主軸5の支持構造は、図5のグラフのような剛性特性を奏するようになる。グラフの縦軸は主軸5の支持に寄与する予圧の合計値であり、横軸は主軸5の回転数である。高速回転域では、所謂定位置予圧法に基づいて常用軸受510の予圧のみが作用するので、予圧の合計値は低くなっており、これにより高速回転性能が担保されているが、低速回転域では、これに加えて補助軸受11の予圧も作用するので、予圧の合計値は大幅に高くなっており、これにより、高速回転性の代わりに高剛性が担保されるようになっている。
図6A乃至図7Bは、補助軸受装置10の第1変形例の説明図である。図6Aは、図1中のII部拡大図に相当する図であり、軸受有効状態を示している。また、図6Bは、図6A中のB−B矢視図であり、図6Cは、図6B中のC−C矢視図である。なお、図7Aも、図1中のII部拡大図に相当する図であるが、軸受無効状態を示している。そして、図7Bは、図7A中のB−B矢視図である。
この第1変形例では、補助軸受111として四点接触玉軸受が使用されており、主にこの点で第1実施形態と相違し、これ以外の構成は概ね第1実施形態と同様である。よって、以下の説明では、この相違点について主に説明し、同じ内容についての説明は省略する。
図6A乃至図6Cのように四点接触玉軸受であることから、球状の各転動体150は、内輪120(内輪相当部材に相当)の外周面に凹設された内輪側転動面120aにおいてアキシャル方向の二箇所の位置を接触位置P1,P2としてそれぞれ接触角α1及びα2で接触し、また、外輪130(外輪相当部材に相当)の内周面に凹設された外輪側転動面130aにおいてもアキシャル方向の二箇所にてそれぞれ接触角α3及びα4で接触している。そして、かかる内輪側転動面120a(軸部材側転動面に相当)の各接触位置P1,P2は、転動体150の球心C150の位置をアキシャル方向の両側から挟むように位置されている一方、外輪側転動面130a(支持部材側転動面に相当)の各接触位置P3,P4も、転動体150の球心C150の位置をアキシャル方向の両側から挟むように位置されている。よって、主軸5に作用するラジアル荷重を受け止め可能であるとともに、両方向のアキシャル荷重も受け止め可能である。
また、この第1変形例でも、浮力は、工作機械の運転中に亘って転動体150に付与されている。そして、図7A及び図7Bの如き予圧を付与しない状態においては、内輪側転動面120a或いは外輪側転動面130aと転動体150との間に隙間G150が形成されるような寸法に内輪120及び外輪130は形成されている。例えば、内輪側転動面120aと外輪側転動面130aとの間の間隔D1213であって、転動体150の球心C150の位置を通る直線上での間隔D1213は、転動体150の直径D150よりも若干大きくなるように設計されている。よって、予圧を付与しない軸受無効状態においては、浮力発生機構70の圧縮空気の作用により転動体150を内輪側転動面120aから確実に浮かせることができて、これにより、かかる補助軸受111を確実に軸受無効状態にすることができる。
また、内輪120と外輪130と保持器160と転動体150とを図6Aの状態まで組み立てる際の組み付け性の観点からは、望ましくは、内輪120又は外輪130の少なくとも一方を、二つの接触位置P1,P2(P3,P4)同士の間の位置を分割位置Pbとして2分割された一対の円環状分割体130p1,130p2で構成すると良い。図6Aの例では、外輪130が2分割されているが、内輪120を2分割しても良い。
なお、保持器160については、各転動体150を挿入する孔部160hが、転動体150の形状たる球状に対応させて正円形状のストレート孔に形成されている点を除けば、第1実施形態の保持器60と同構造であるので、その説明については省略する。
図8は、補助軸受装置10の第2変形例の説明図であり、図1中のII部拡大図に相当する図である。この第2変形例では、補助軸受211としてアンギュラ玉軸受が使用されており、主にこの点で第1実施形態と相違し、これ以外の構成は概ね第1実施形態と同様である。よって、以下の説明では、この相違点について主に説明し、同じ内容についての説明は省略する。
アンギュラ玉軸受であることから、各転動体250は、内輪220の外周面に略円弧状に形成された内輪側転動面220aにおいてアキシャル方向の一箇所の位置を接触位置P1として接触角α1で接触し、また、外輪230(外輪相当部材に相当)の内周面に略円弧状に形成された外輪側転動面230aにおいてもアキシャル方向の一箇所を接触位置P4として接触角α4で接触している。そして、かかる内輪側転動面220a(軸部材側転動面に相当)の接触位置P1と外輪側転動面230a(支持部材側転動面に相当)の接触位置P4とは、転動体250の球心C250の位置をアキシャル方向の両側から挟むように位置されている。よって、主軸5に作用するラジアル荷重を受け止め可能であるとともに、片方向のアキシャル荷重も受け止め可能である。
また、この第2変形例でも、浮力は、工作機械の運転中に亘って転動体250に付与されている。そして、予圧を付与しない状態においては、前述の第1変形例の場合と同様に、内輪側転動面220a或いは外輪側転動面230aと転動体250との間に隙間が形成されるような寸法に内輪220及び外輪230は形成されている。よって、浮力発生機構70の圧縮空気の作用により転動体250を内輪側転動面220aから確実に浮かせることができて、これにより、かかる補助軸受211を確実に軸受無効状態にすることができる。
また、保持器260については、各転動体250を挿入する孔部260hが、転動体250の形状たる球状に対応させて正円形状のストレート孔に形成されている点を除けば、第1実施形態の保持器60と同構造であるので、その説明については省略する。
===第2実施形態===
図9及び図10は、補助軸受装置10の第2実施形態の説明図である。この第2実施形態では、補助軸受311に予圧を付与する予圧付与機構380の一部が補助軸受311に内蔵されており、主にこの点で第1実施形態と相違し、これ以外の構成は概ね第1実施形態と同様である。よって、以下の説明では、この相違点について主に説明し、同じ内容についての説明は省略する。
図9は、補助軸受311の概略中心断面図である。また、図10は、図9中のX部拡大図である。
この補助軸受311は、所謂単列円筒ころ軸受の範疇に属する。すなわち、単列であることから、内輪側転動面320aと外輪側転動面330aとの間には、複数の転動体350が周方向に一列に並んだ状態で配置されている。また、円筒ころ軸受311であることから、転動体350として、断面形状が正円形状の円柱体が使用されているとともに、転動体350の回転軸C350はアキシャル方向と平行になっている。これにより、ラジアル荷重の高い支持能力を発揮する。なお、周方向に互いに隣り合う転動体350,350同士の接触は、円環状の保持器360によって回避されている。例えば、保持器360は、転動体350を収容する孔部360hを転動体350毎に有し、これにより転動体350,350同士の接触を回避する。
図9に示すように、内輪側転動面320a(軸部材側転動面に相当)は、主軸5の断面正円形状の外周面に直接形成されている。つまり、この例では内輪は省略されており、これにより、主軸5の回転精度及び剛性の向上が図られている。かかる内輪側転動面320aは、アキシャル方向に平行であり、同転動面320aには転動体350が転動する。なお、この主軸5の外周面のうちで内輪側転動面320aが形成されている部分が、請求項に係る「内輪相当部材」に相当し、以下では、主軸5の外周面のことを「内輪相当部材320」とも言う。また、この例では内輪を省略しているが、内輪を設けても良い。
外輪330(外輪相当部材に相当)は、全体として断面正円形状の鋼製円筒体をなしており、詳しくは、転動体350が転動する転動面330aを内周面に有する円環状の環状部332と、工作機械のハウジング3に外輪330を固定するための固定部336と、を有する。固定部336は、上記の環状部332におけるアキシャル方向の他端部332ebに一体に連続しつつラジアル方向の外方に円環状に突出した突出部336であり、例えば、突出部336のアキシャル方向の他端面336eをハウジング3のアキシャル方向の一端面に当接されて外輪130はハウジング3に固定される。そして、この固定状態においては、主軸5に作用するラジアル荷重は、内輪相当部材320及び転動体350を介して外輪330の環状部332及び固定部336(突出部336)に順次伝達され、当該固定部336を通して速やかにハウジング3に伝達される(図13を参照)。よって、主軸5に作用するラジアル荷重をハウジング3に確実に支持させることができる。
図10に示すように、環状部332の内周面には、凹状に溝部332tが周方向の全周に亘って形成されている。そして、この溝部332tの底面332tbはアキシャル方向と平行に形成されており、かかる底面332tbを外輪側転動面330a(支持部材側転動面に相当)として転動体350が転動する。また、外輪側転動面330aのアキシャル方向の両脇には、それぞれ溝部332tの側面332ts,332tsが有るので、各側面332ts,332tsに転動体350の端面が当接して転動体350のアキシャル方向の移動が規制される。
環状部332の外周面332bには、予圧付与機構380の一部が設けられている。かかる予圧付与機構380の一部は、環状部332の外周面332bとの間に所定の隙間G340をあけながら対向配置された金属製のリング状部材340を本体とし、かかるリング状部材340と環状部332との間には円環状の圧力室R340が区画されている。よって、圧力室R340に加圧流体を供給して環状部332を縮径変形することにより、環状部332の外輪側転動面330aにて転動体350は内輪相当部材320(前述したが、内輪側転動面320aが直接形成された主軸5の外周面のこと)の方へ押圧されて、その結果、転動体350は外輪330及び内輪相当部材320に圧接された状態となる。
そして、上述から明らかなように、かかる圧接過程においては、金属接触部分同士の相対移動はほぼ皆無であり、所謂スティックスリップ現象は発生し難い。そのため、加圧流体の供給圧の増減に連動して、転動体350と外輪330及び内輪相当部材320との圧接力は円滑且つ速やかに変化するようになる。その結果、圧接力を正確に付与することができて、圧接力の変更(予圧の変更)を正確に行うことができる。
また、予圧を付与しない状態、つまり加圧流体を圧力室R340に供給しない状態においては、主軸5の内輪側転動面320a或いは外輪330の環状部332の外輪側転動面330aと転動体350との間に隙間が形成されるような寸法に主軸5の内輪側転動面320a及び外輪330の環状部332は形成されている。例えば、内輪側転動面320aと外輪側転動面330aとの間のラジアル方向の間隔D3233は、転動体350の直径D350よりも若干大きくなるように設計されている。よって、予圧を付与しない状態においては、既述の浮力発生機構70に係る圧縮空気の作用により転動体350を内輪側転動面320aから確実に浮かせることができて、これにより、かかる補助軸受311を確実に軸受無効状態にすることができる。
図10に示すように、リング状部材340におけるアキシャル方向の両端部には、それぞれ、圧力室R340から外部への加圧流体の漏出を防ぐパッキン347,347が設けられている。すなわち、リング状部材340の内周面の両端部には、それぞれ全周に亘って溝340t,340tが形成され、各溝340tには環状のパッキン347が挿入されている。そして、同パッキン347は、環状部332の外周面332bと溝340tの底面との両者に当接されつつ若干弾性圧縮変形した状態でこれら環状部332とリング状部材340との間に介装されており、これにより、圧力室R340からの加圧流体の漏出は有効に防止される。また、かかるパッキン347の介装によって、環状部332とリング状部材340とは非接触状態に保持されており、更に、同パッキン347はゴム製或いは樹脂製である。よって、環状部332及びリング状部材340の両者が金属製である場合に、これらの間の金属接触に起因したスティックスリップ現象の発生を確実に回避することができる。
圧力室R340への加圧流体の供給は、外輪330内に穿孔された供給孔330hを通して行われる。すなわち、この図10の例では、アキシャル方向に沿った供給孔330hが環状部332及び固定部336に形成されており、供給孔330hの一端開口は圧力室R340に至り、他端開口は、固定部336の他端面336eに至っている。そして、かかる供給孔340hの他端開口に、例えばハウジング3に穿孔された加圧流体の流路3k(図13)を接続することで、圧力室R340に加圧流体を供給可能となる。供給孔340hの数は、一つでも良いし複数でも良い。また、場合によっては、上記の供給孔330hに代えてリング状部材340の方に供給孔を形成しても良い。加圧流体としては、油圧に用いる作動油が一般的であるが、圧縮空気でも良いし、これら以外の流体でも良い。
なお、上述のハウジング3に穿孔された加圧流体の流路3k(図13)も、上述のリング状部材340と同様に、予圧付与機構380の一部をなす。詳しくは、予圧付与機構380は、上記のリング状部材340と、上記のハウジング3内の流路3kと、この流路3kに接続される適宜な配管等の不図示の流路形成部材と、この流路形成部材に接続されて加圧流体の供給源となる不図示のポンプと、上記流路形成部材の一部に設けられた不図示の圧力調整弁と、を有している。そして、圧力調整弁は、前述の制御部90から送信される予圧の制御信号S90に基づいて、圧力室R340への供給圧を調整する。よって、かかる供給圧の調整により、転動体350と外輪330及び内輪相当部材320との圧接力を所望の任意値に調整することができる。つまり、所定の大きさの予圧を軸受311に付与することができる。
なお、保持器360については、第1実施形態の保持器60と同構造であるので、その説明については省略する。また、当該保持器360や外輪330のアキシャル方向の一端側に隣接して浮力発生機構70に係る供給室R70が位置している点や、この供給室R70から保持器360と内輪相当部材320との間の内輪側隙間S20に圧縮空気が供給される点についても、第1実施形態と同様であるので、その説明についても省略する。
図11は、第2実施形態の補助軸受装置10の第1変形例の説明図である。この第1変形例は、四点接触玉軸受の範疇に入るように第2実施形態の補助軸受311を変更したものであり、主にこの点で第2実施形態と相違し、これ以外の構成は概ね第2実施形態と同様である。よって、以下の説明では、この相違点について主に説明し、同じ構成については同一の符号を付してその説明については省略する。
図11に示すように、四点接触玉軸受であることから、球状の各転動体350aは、主軸5の外周面に直接凹状に形成された内輪側転動面320aにおいてアキシャル方向の二箇所の位置を接触位置P1,P2としてそれぞれ接触角α1及びα2で接触し、また、外輪330の環状部332の内周面に凹設された外輪側転動面330aにおいてもアキシャル方向の二箇所の位置を接触位置P3,P4としてそれぞれ接触角α3及びα4で接触している。そして、かかる内輪側転動面320aの各接触位置P1,P2は、転動体350aの球心C350aの位置をアキシャル方向の両側から挟むように位置されている一方、外輪側転動面330aの各接触位置P3,P4も、転動体350aの球心C350aの位置をアキシャル方向の両側から挟むように位置されている。よって、主軸5に作用するラジアル荷重を受け止め可能であるとともに、両方向のアキシャル荷重も受け止め可能である。
また、予圧を付与しない状態、つまり加圧流体を圧力室R340に供給しない状態においては、主軸5の内輪側転動面320a或いは外輪330の環状部332の外輪側転動面330aと転動体350aとの間に隙間が形成されるような寸法に主軸5の内輪側転動面320a及び外輪330の環状部332は形成されている。例えば、内輪側転動面320aと外輪側転動面330aとの間の間隔D3233であって、転動体350aの球心C350aの位置を通る直線上の間隔D3233は、転動体350aの直径D350aよりも若干大きくなるように設定されている。よって、予圧を付与しない状態においては、浮力発生機構70の圧縮空気の作用により転動体350aを内輪側転動面320aから確実に浮かせることができて、これにより、かかる補助軸受311aを確実に軸受無効状態にすることができる。
図12は、第2実施形態の補助軸受装置10の第2変形例の説明図である。この第2変形例は、アンギュラ玉軸受の範疇に入るように第2実施形態の補助軸受311を変更したものであり、主にこの点で第2実施形態と相違し、これ以外の構成は概ね第2実施形態と同様である。よって、以下の説明では、この相違点について主に説明し、同じ構成については同一の符号を付してその説明については省略する。
図12に示すように、アンギュラ玉軸受であることから、球状の各転動体350aは、主軸5の外周面に直接略円弧状に形成された内輪側転動面320aにおいてアキシャル方向の一箇所の位置を接触位置P1として接触角α1で接触し、また、外輪330の環状部332の内周面に略円弧状に形成された外輪側転動面330aにおいてもアキシャル方向の一箇所の位置を接触位置P4として接触角α4で接触している。そして、かかる内輪側転動面320aの接触位置P1と外輪側転動面330aの接触位置P4とは、転動体350aの球心C350aの位置をアキシャル方向の両側から挟むように位置されている。よって、主軸5に作用するラジアル荷重を受け止め可能であるとともに、片方向のアキシャル荷重も受け止め可能である。
また、予圧を付与しない状態、つまり加圧流体を圧力室R340に供給しない状態においては、主軸5の内輪側転動面320a或いは外輪330の環状部332の外輪側転動面330aと転動体350aとの間に隙間が形成されるような寸法に主軸5の内輪側転動面320a及び外輪330の環状部332は形成されている。例えば、内輪側転動面320aと外輪側転動面330aとの間の間隔D3233であって、転動体350aの球心C350aの位置を通る直線上の間隔D3233は、転動体350aの直径D350aよりも若干大きくなるように設定されている。よって、予圧を付与しない状態においては、浮力発生機構70の圧縮空気の作用により転動体350aを内輪側転動面320aから確実に浮かせることができて、これにより、かかる補助軸受311bを確実に軸受無効状態にすることができる。
図13は、前述の第2実施形態の補助軸受装置10を適用した工作機械の主軸5の支持構造の第1例の概略中心断面図である。なお、主軸5の軸芯C5は、この補助軸受装置10に係る補助軸受311のアキシャル方向に沿っており、以下では、アキシャル方向の両端のうちで工具が取り付けられる側(図13中では左側)のことを「一端側」と言い、その逆側(図13中では右側)のことを「他端側」と言う。
図13に示すように、この主軸5の支持構造では、主軸5を常時支持する常用軸受として、一対の単列アンギュラ玉軸受510,510が背面組み合わせで使用されている。よって、基本的には、これらアンギュラ玉軸受510,510によって主軸5は支持される。すなわち、主軸5に作用するラジアル荷重及びアキシャル荷重は、これら一対のアンギュラ玉軸受510,510によって受け止められる。
但し、この工作機械では、主軸5におけるアキシャル方向の一端部5eaに、不図示の工具が取り付けられることから、重切削の時などに、当該一端部5eaに大きなラジアル荷重が作用する虞がある。そのため、上述のアンギュラ玉軸受510,510の支持位置よりもアキシャル方向の一端寄りの位置を支持位置として、補助軸受装置10に係る補助軸受311が設けられている。より詳しくは、主軸5は一端側に工具のテーパー円錐形状の保持部(不図示)を収容固定するためのテーパー円錐形状の孔部5hを有し、この孔部5hに対応するアキシャル方向の位置が支持位置となるように補助軸受311が配置されている。そして、この補助軸受311は、既述のように単列円筒ころ軸受の範疇に属するものである。よって、当該補助軸受311は、ラジアル荷重の支持に特化しており、これにより、重切削時などのラジアル荷重が大きいときに、補助軸受311を軸受有効状態に切り替えれば、当該大きなラジアル荷重も確実に受け止め可能となる。
ちなみに、この図13の例では、一対のアンギュラ玉軸受510,510が背面組み合わせで配置されているが、何等これに限るものではない。すなわち、背面組み合わせと同様に、両方向のアキシャル荷重を受け止め可能な正面組み合わせで一対の単列アンギュラ玉軸受510,510を配置しても良い。ちなみに、アンギュラ玉軸受510は、内輪520と、外輪530と、これら内輪520及び外輪530の両者にそれぞれ対応する接触角で接触する複数の球状の転動体550と、を有する。そして、この例では、これら一対のアンギュラ玉軸受510,510は、ナット部材などの押さえ部材4m,6mを用いて定位置予圧法(内輪520及び外輪530を定位置に固定することにより予圧を付与する方法)により予圧が付与されているが、この定位置予圧法は周知技術であるので、その説明については省略する。
以下、この第1例の主軸5の支持構造について詳しく説明する。
工作機械のハウジング3は、主軸5を挿入する挿入孔3hとしてアキシャル方向の一端から他端に沿った貫通孔3hを有する。そして、かかる貫通孔3h内に主軸5を挿入した状態で、貫通孔3hの一端部に設けられたアンギュラ玉軸受510及び他端部に設けられたアンギュラ玉軸受510を介して主軸5をその軸芯C5回りに回転自在に支持している。
なお、このハウジング3のアキシャル方向の一端面3eaからは、貫通孔3hと同芯の小径円筒部3cがアキシャル方向に沿って一体に突出しており、この小径円筒部3cの内周面に上述の一端部のアンギュラ玉軸受510が設けられている。また、この小径円筒部3cのラジアル方向の外方の空間は、補助軸受311の一部の配置スペースとして使用される。すなわち、小径円筒部3cはそのアキシャル方向の他端縁部にて、ハウジング3の一端面3eaに一体に繋がっており、当該ハウジング3の一端面3eaには、補助軸受311の外輪330の固定部336の他端面336eが当接されてボルト等により相対移動不能に固定されている。そして、この固定により、外輪330はハウジング3の貫通孔3hと同芯に配されている。
また、外輪330の環状部332の一端側におけるラジアル方向の内方には、上記の小径円筒部3cは存在せず、これにより、同環状部332と主軸5の外周面との間には、転動体350を配置するための円環状の空間が区画されている。よって、当該空間に転動体350が配置されている。更に、既述のように第2実施形態に係る補助軸受311は、内輪レス構成のため、この主軸5の外周面に直接内輪側転動面320aが形成されている。また、外輪330と内輪側転動面320aとの間には、保持器360も配置されており、更に、外輪330の環状部332のラジアル方向の外方には、予圧付与機構380の一部をなすリング状部材340が設けられている。
また、外輪330及び保持器360に対してアキシャル方向の一端側から隣接するように、浮力発生機構70に係る圧縮空気の供給室R70を円環状に区画形成する目的で、補助軸受311をアキシャル方向の一端側及びラジアル方向の外方から囲むようにキャップ部材7cが設けられている。すなわち、キャップ部材7cは、補助軸受311のリング状部材340の外周面との間に空間を空けて配される筒状部7c1と、筒状部7c1のアキシャル方向の一端縁部からラジアル方向の内方に突出した円環状の蓋部7c2を有し、この蓋部7c2の中央には、主軸5の一端面をキャップ部材7cの外に出すための円孔7c2hが形成されている。そして、筒状部7c1の他端縁部7c1eが、外輪330の固定部336の一端面に当接して、ボルト等で固定されることにより、蓋部7c2及び筒状部7c1にて補助軸受311がアキシャル方向の一端側及びラジアル方向の外方から囲まれて、これにより、外輪330及び保持器360の一端側の隣には概ね閉じた空間R70が区画形成され、この空間R70が、上述の圧縮空気の供給室R70として機能する。なお、この供給室R70への圧縮空気の供給は、蓋部7c2に穿孔された圧縮空気の流路7ckaや、ハウジング3に穿孔された圧縮空気の流路3kaを介して適宜なポンプ等の圧縮空気源によってなされる。
ちなみに、供給室R70から補助軸受311に供給された圧縮空気は、転動体350の浮上の用途以外に、補助軸受311を冷却する冷却材としても使用される。そして、かかる圧縮空気は、保持器360と内輪相当部材320たる主軸5の外周面との間の内輪側隙間S20等を通って他端側から補助軸受311の外に排出されるが、この排出位置Pexよりも更に他端側には、前述の常用軸受たるアンギュラ玉軸受510が位置している。よって、このアンギュラ玉軸受510用の冷却材としても、圧縮空気は使用される。そして、更に、このアンギュラ玉軸受510の他端側には、もう一方のアンギュラ玉軸受510が位置しており、これら玉軸受510,510同士の間には筒状空間SP510が設けられている。よって、圧縮空気は、この筒状空間SP510を通って他端側のアンギュラ玉軸受510まで到達し、その冷却に供される。そして、ハウジング3が有する適宜な隙間や、ハウジング3に穿孔された排気孔3kae等を通ってハウジング3の外に排出される。
なお、図13の下部に示すように、かかるキャップ部材7cは、補助軸受311の外輪330のリング状部材340の外周面との間に空間SP3を空けて配置されているが、この空間SP3は、リング状部材340の弾性拡径変形を許容する空間(以下、許容空間SP3とも言う)として機能する。すなわち、転動体350にラジアル方向の圧接力を付与すべく圧力室R340に加圧流体を供給する際には、外輪330の環状部332の縮径変形に伴ってリング状部材340は弾性拡径変形するが、その際の弾性拡径変形が、当該許容空間SP3内に収まるように同空間SP3のサイズが予め設定されており、これにて、リング状部材340の外周面340aがキャップ部材7cの内周面と接触しないようにされている。よって、リング状部材340の外周面340aの外方には、反力を取り得る部材が何も存在していない状態となっており、それ故に、圧力室R340に加圧流体を供給した際には、かかる圧力室R340内の加圧流体の供給圧が忠実にラジアル方向の圧接力に変換されることとなる。そして、これにより、環状部332は、加圧流体の供給圧のみに基づいて縮径変形するので、同環状部332は、その全周に亘って概ね均等に縮径変形するようになる。その結果、転動体350に付与される圧接力も、補助軸受311の全周に亘って略均等化されて、補助軸受311の回転精度や回転剛性の向上を図ることができる。
図14は、第2実施形態の補助軸受装置10を適用した工作機械の主軸5の支持構造の第2例の概略中心断面図である。前述の第1例では、常用軸受たる一対のアンギュラ玉軸受510,510に対して定位置予圧法で予圧を付与しており、予圧の大きさを任意に変更できないものであった。この点につき、この第2例では、上記の定位置予圧法のアンギュラ玉軸受510に代えて、常用軸受411の状態を監視しながら予圧の値を適値に変更する予圧自動調整軸受装置410が適用されている点で主に相違する。つまり補助軸受装置10については、第1例と同じであるが、常用軸受の構成の点で異なっている。よって、以下では、常用軸受に適用される予圧自動調整軸受装置410について詳しく説明し、補助軸受装置10については説明を省略する。
図14に示すように、常用軸受としての一対のアンギュラ玉軸受411,510同士は、所謂背面組み合わせで配置されており、これにより、ラジアル荷重及び両方向のアキシャル荷重を受け止め可能である。そして、そのうちの一端側のアンギュラ玉軸受510には、第1例と同じく汎用のアンギュラ玉軸受510が使用されているが、他端側のアンギュラ玉軸受411には、予圧付与機構480の一部、すなわち転動体450を内輪420及び外輪430に圧接する圧接機構480の一部が内蔵された特殊なアンギュラ玉軸受411が使用されている。そして、この圧接動作は、外輪430内の圧力室R430に加圧流体を供給して、後述の薄肉部434を弾性変形することで行われ、これにより、加圧流体の供給圧の調整によって、供給圧に応じた圧接力で転動体450を外輪430及び内輪420に圧接可能としている。つまり、予圧の値の大きさを任意値に変更可能に構成されている。
なお、後述するが、この圧接力のアキシャル方向の分力は、図14のハウジング3やスペーサー6a等を介して一端側のアンギュラ玉軸受510にも伝達される。よって、上述の予圧付与機構480による予圧の付与に伴って、この一端側のアンギュラ玉軸受510にも予圧が付与されるとともに、この予圧の値は、上述の他端側のアンギュラ玉軸受411の予圧の値と連動して変更される。
また、以下では、一対のアンギュラ玉軸受510,411のうちの一端側に設けられる汎用の単列アンギュラ玉軸受510のことを「汎用玉軸受510」とも言い、他端側に設けられる特殊なアンギュラ玉軸受411のことを「特殊玉軸受411」とも言う。
図15は、特殊玉軸受411の概略中心断面図であり、図16は、図15中のXVI部拡大図である。図15に示すように、内輪420は、鋼製の円筒体を本体とする。そして、図16に示すように、内輪420の外周面には、転動体450が転動すべき内輪側転動面420aが全周に亘って溝状に凹設されている。内輪側転動面420aは、その断面形状が略円弧状の凹曲面420aに形成されており、その略円弧形状は、当該円弧形状におけるアキシャル方向の一箇所の位置P1にて転動体50が接触角α1で接触するように形成されている。これにより、転動体450は、転動面420a上においてラジアル方向から角度α1だけ他端側に傾いた位置を接触位置P1として内輪420と接触する。
外輪430は、転動体450が転動する外輪側転動面430aを有した内側環状部432と、内側環状部432からラジアル方向の外方に延出して一体に且つ内側環状部432と同芯に設けられた円板状の薄肉部434と、薄肉部434を介して内側環状部432をアキシャル方向に移動可能に支持すべく薄肉部434の外周縁部434e1に一体且つ内側環状部432と同芯に設けられた外側環状部436と、を有する。そして、薄肉部434は、アキシャル方向に関しては、外側環状部436の略中央位置に設けられ、また、内側環状部432は、薄肉部434の内周縁部434e2を起端としてアキシャル方向の一端側に延在して設けられている。これにより、薄肉部434よりも一端側の位置には、外側環状部436と薄肉部434と内側環状部432とで区画された環状空間SPが存在しており、当該環状空間SPは、転動体450に圧接力を付与するための圧力室R430として機能する。
内側環状部432の内周面には、転動体450が転動すべき既述の外輪側転動面430aが全周に亘って直接形成されている。外輪側転動面430aは、その断面形状が略円弧状の凹曲面430aに形成されており、当該略円弧形状は、転動体450が接触角α4で接触するように形成されている。これにより、この転動面430aは、内輪420の転動面420aと協同しながら、これら接触角α1,α4で転動体450をラジアル方向の内外及びアキシャル方向の両側から挟み込み可能となっている。
詳しくは、内側環状部432は、既述のように外側環状部436におけるアキシャル方向の略中央位置よりも一端側に設けられ、これにより、転動体450との接触位置P4は転動体450の球心C450よりもアキシャル方向の一端側に位置しており、他方、内輪420の接触位置P1はアキシャル方向の略中央位置よりも他端側に位置しており、これにて、接触位置P1は転動体450の球心C450よりも他端側に位置している。よって、外輪430と内輪420とは、それぞれ対応する接触角α4,α1でもって転動体450をラジアル方向の内外及びアキシャル方向の両側から挟み込み可能となっている。
また、図16に示す圧力室R430に係る環状空間SP内には、アキシャル方向の一端側からリング状の栓部材440が挿入されて外輪430に固定されており、これにより、同環状空間SPのうちの他端側領域に圧力室R430分の容積を確保しながら同空間SPは封止されている。ここで、この栓部材440の外輪430への固定は、外側環状部436に対してのみ行われ、内側環状部432に対しては行われない。すなわち、栓部材440は、外側環状部436の内周面に螺合等されて相対移動不能に固定されているが、内側環状部432に対しては所定の隙間Gを介して対向し、つまり栓部材440と内側環状部432とは非接触状態になっている。
よって、圧力室R430への加圧流体の供給及び加圧によって、薄肉部434が、アキシャル方向に弾性変形する際には、この弾性変形に応じて内側環状部432は円滑にアキシャル方向に移動し、かかる内側環状部432のアキシャル方向の移動を通して転動体450の圧接動作が円滑に行われる。
すなわち、加圧流体の供給圧を高くして薄肉部434をアキシャル方向の他端側へ弾性変形すれば、内側環状部432は他端側へ移動し、これにより、図16に示す接触角α4で内側環状部432から転動体450は押されて接触角α1でもって内輪420の転動面420aに押圧され、以上の結果、転動体450は外輪430及び内輪420に圧接された状態となる。
他方、加圧流体の供給圧を下げれば、薄肉部434のアキシャル方向の他端側への弾性変形は小さくなってこれと伴に内側環状部432はアキシャル方向の一端側へ復位して、転動体450の圧接状態が緩和され、そして、例えば加圧流体の供給圧を零まで下げれば、転動体450の外輪430及び内輪420への圧接状態は完全に解除され、つまり非圧接状態となる。
そして、このような圧接過程においては、上述のように薄肉部434がアキシャル方向に弾性変形するとともに内側環状部432がアキシャル方向に移動するが、その際には、上述から明らかなように、金属接触する部分同士の相対滑りがほぼ生じない。よって、スティックスリップ現象は、ほぼ完全に防止されることになる。従って、供給圧の増減に連動して、転動体450の外輪430及び内輪420との圧接力は円滑且つ速やかに変化するようになり、これにより、圧接力を正確に付与することができて、圧接力の変更(予圧の変更)を正確に行うことができる。また、圧接力は、加圧流体の供給圧に連動して滑らかに変化するので、圧接力を任意の目標値に円滑且つ自在に増減調整可能である。
圧力室R430への加圧流体の供給は、栓部材440に穿孔された供給孔440hにより行われる。図16の例では、アキシャル方向に沿って供給孔440hが栓部材440を貫通して形成されており、つまり、栓部材440の他端面440efには供給孔440hの一方の口部が圧力室R430に対向して露出し、栓部材440の一端面440ebには同他方の口部が外輪430の外方に露出している。そして、後者の口部に加圧流体の流路となる配管やマニホールド部材等を接続することで、圧力室R430へ加圧流体を供給可能となる。これについては、後述する。供給孔440hの数は、一つでも良いし複数でも良い。また、加圧流体としては、油圧に用いる作動油が一般的であるが、圧縮空気でも良いし、これら以外の流体でも良い。
更に、この第2例では、かかる加圧流体の圧力室R430からの漏出を防ぐべく、図16に示すように外側環状部436の内周面と栓部材440の外周面との間に環状のパッキン445が介装され、また、栓部材440の内周面と内側環状部432の外周面との間には環状のパッキン447が介装されている。ここで、後者のパッキン447については、ゴム製或いは樹脂製のものが使用されており、これにより、内側環状部432のアキシャル方向の移動の際に相対滑りをするパッキン447の内周面と内側環状部432の外周面との接触も金属接触ではなくなるため、スティックスリップ現象の発生を完全に抑え込むことができる。ちなみに、かかるパッキン445及びパッキン447の栓部材440からの脱落を防ぐべく、栓部材440の外周面及び内周面には、それぞれ全周に亘って、パッキン445を係止する溝440t1及びパッキン447を係止する溝440t2が形成されている。
そして、このような予圧付与機構480の一部を内蔵した特殊玉軸受411は、図14を参照して既述のように、ハウジング3の貫通孔3hにおける他端側の部分に設けられており、他方、一端側の部分には、汎用玉軸受510が設けられている。そして、これら玉軸受411,510によって、貫通孔3h内に挿入された主軸5はその軸芯C5回りに回転自在に支持されている。
図14に示すように、汎用玉軸受510は、内輪520と、外輪130と、これらの間に一列に介装された複数の球状の転動体550と、これら転動体550を互いに非接触状態に保持する保持器560と、を有する。また、かかる汎用玉軸受510は、既述のように特殊玉軸受411との関係において所謂背面組み合わせで配置されている。よって、特殊玉軸受411と汎用玉軸受510とは互いに協働することで、ラジアル荷重及び両方向のアキシャル荷重を受け止めることができる。例えば、一端側(右側)を向いたアキシャル荷重が主軸5に作用した場合には、これを特殊玉軸受411で受け止める一方、他端側(図中の左側)を向いたアキシャル荷重が作用した場合には、これを汎用玉軸受510で受け止める。
汎用玉軸受510の外輪530は、ハウジング3の貫通孔3h内に挿入されつつアキシャル方向の一端側の所定位置に配置されている。そして、ハウジング3に対してラジアル方向及びアキシャル方向のそれぞれにつき相対移動不能にハウジング3に固定されている。また、同汎用玉軸受510の内輪520は、その内周側に主軸5が挿入されつつアキシャル方向の一端側の所定位置に配置されている。そして、主軸5に対してラジアル方向及びアキシャル方向のそれぞれにつき相対移動不能に主軸5に固定されている。
他方、特殊玉軸受411の外輪430は、ハウジング3の貫通孔3h内に挿入されつつアキシャル方向の他端側の所定位置に配置されている。そして、ハウジング3に対してラジアル方向及びアキシャル方向のそれぞれにつき相対移動不能にハウジング3に固定されている。また、特殊玉軸受411の内輪420は、その内周側に主軸5が挿入されつつアキシャル方向の他端側の所定位置に配置されている。そして、主軸5に対してラジアル方向及びアキシャル方向のそれぞれにつき相対移動不能に主軸5に固定されている。
そして、かかる構成において、特殊玉軸受411の圧力室R430に加圧流体を供給して予圧を付与すれば、この特殊玉軸受411だけでなく、汎用玉軸受510にも予圧が付与される。以下、これについて説明する。
先ず、特殊玉軸受411は、背面組み合わせでアキシャル方向の他端側に配置されており、これにより、一端側を向いたアキシャル荷重を受け止められるような向きに配置されている。つまり、圧力室R430へ加圧流体を供給すると外輪430の薄肉部434が他端側に弾性変形して同方向に内側環状部432が移動するような向きに配置されている。
そして、かかる特殊玉軸受411の圧力室R430へ加圧流体を供給すると、上述の如き他端側への薄肉部434の弾性変形を通して内側環状部432が転動体450を他端側に押し、転動体450は、その接触角α1で内輪420を他端側へ押す。すると、これにより、先ず特殊玉軸受411の転動体450が、内輪420と外輪430とで圧接された状態となる。つまり、特殊玉軸受411は、予圧が付与された状態になる。
一方、上記の内輪420は、主軸5に固定されているので、同内輪420が他端側に押されることにより、主軸5も他端側に押される。そして、これにより、この主軸5に固定されている汎用玉軸受510の内輪520も一緒に他端側へと押されて、かかる内輪520は、その接触角α1で転動体550を他端側へ押して、その結果、転動体550は、ハウジング3に固定されている外輪530に接触角α4で押し付けられる。これにより、汎用玉軸受510の転動体550は、内輪520と外輪530とで圧接された状態になり、以上をもって、汎用玉軸受510にも予圧が付与されることとなる。
ちなみに、この第2例にあっては、ハウジング3への各玉軸受510,411の外輪530,430の固定、及び主軸5への各玉軸受510,411の内輪520,420の固定は、例えば次のようにしてなされている。
先ず、汎用玉軸受510の外輪530は、ハウジング3の一端面3eaに突出する既述の小径円筒部3cから貫通孔3h内に挿入されている。ここで、貫通孔3hの内径は、小径円筒部3cからアキシャル方向の所定位置までの範囲Aeaに亘り外輪530の外径とほぼ同径であり、その嵌め合い公差は、この工作機械の運転下において貫通孔3hの内周面と外輪530の外周面とが全周に亘って当接するような公差に設定されている。これにより、貫通孔3hに挿入された外輪530は、ハウジング3に対してラジアル方向に相対移動不能に固定される。また、貫通孔3hの上記所定位置には、貫通孔3hの内径が縮径してなる段差面3hs1が形成されている。よって、この段差面3hs1に外輪530の他端面が当接し、これにより外輪530はハウジング3に対してアキシャル方向に相対移動不能に固定される。
一方、汎用玉軸受510の内輪520の内周側には、主軸5が挿通されている。ここで、主軸5の外径は、同主軸5の略他端からアキシャル方向の一端側の所定位置までの範囲に亘って内輪520の内径とほぼ同径であり、その嵌め合い公差は、この工作機械の運転下において内輪520の内周面と主軸5の外周面とが全周に亘って当接するような公差に設定されている。これにより、主軸5が挿入された内輪520は、主軸5に対してラジアル方向に相対移動不能に固定される。また、主軸5の上記所定位置には、主軸5の外径が拡径してなる段差面5s1が形成されている。よって、この段差面5s1に内輪520の一端面が当接し、更に内輪520の他端面には、後述のスペーサー6aが当接し、これにより内輪520は主軸5に対してアキシャル方向に相対移動不能に固定される。
同様に、特殊玉軸受411の外輪430は、ハウジング3の他端面3ebの他端側開口部3hebから貫通孔3h内に挿入される。ここで、貫通孔3hの内径は、他端側開口部3hebからアキシャル方向の所定位置までの範囲Aebに亘り外輪430の外径とほぼ同径であり、その嵌め合い公差は、この工作機械の運転下において貫通孔3hの内周面と外輪430の外周面とが全周に亘って当接するような公差に設定されている。これにより、貫通孔3hに挿入された外輪430は、ハウジング3に対してラジアル方向に相対移動不能に固定される。また、貫通孔3hの上記所定位置には、貫通孔3hの内径が縮径してなる段差面3hs2が形成されている。よって、この段差面3hs2に外輪430の一端面が当接し、そして、他端側開口部3hebの側から抜け止め用の押さえ部材4bが外輪430の他端面に当接し、これにより外輪430はハウジング3に対してアキシャル方向に相対移動不能に固定される。なお、押さえ部材4bは、螺着やボルト止め等でハウジング3に移動不能に固定されている。
一方、特殊玉軸受411の内輪420の内周側には、主軸5が挿通されている。ここで、主軸5の外径は、少なくとも同主軸5の他端から上記所定位置までの範囲に亘って内輪420の内径とほぼ同径であり、その嵌め合い公差は、この工作機械の運転下において内輪420の内周面と主軸5の外周面とが全周に亘って当接するような公差に設定されている。これにより、主軸5が挿入された内輪420は、主軸5に対してラジアル方向に相対移動不能に固定される。また、主軸5における汎用玉軸受510の内輪520と特殊玉軸受411の内輪420との間の部分には、筒状のスペーサー6aが主軸5の外周面を覆って配されており、かかるスペーサー6aのアキシャル方向の全長は、上述した貫通孔3hの段差面3hs1と段差面3hs2との間の距離Lsと概ね同値に設定されている。よって、このスペーサー6aの一端面に汎用玉軸受510の内輪520の他端面が当接し、同スペーサー6aの他端面に特殊玉軸受411の内輪420の一端面が当接し、更に同内輪420の他端面には、ナット6nやカラー部材6c等を有した適宜な抜け止め用押さえ部材6bが当接し、これにより内輪420は主軸5に対してアキシャル方向に相対移動不能に固定される。なお、押さえ部材6bは、螺着等で主軸5に移動不能に固定されている。
ちなみに、図14の例では、ハウジング3には、栓部材440の供給孔440hに加圧流体を供給する流路3k2が、マニホールド状に穿孔されており、これにより、特殊玉軸受411の圧力室R430に加圧流体が供給されるようになっている。
ところで、このような特殊玉軸受411及び汎用玉軸受510からなる常用軸受の予圧の値は、常用軸受の状態を監視しながら適値になるように変更される旨を前述したが、以下、これについて詳しく説明する。
<<<常用軸受に係る予圧制御の基本的考え方について>>>
図17Aは、一般的な転がり軸受11’の概略中心断面図であり、図17Bは、図17A中のB−B断面図である。また、図18は、一般的に知られている転がり軸受11’の動摩擦損失特性のグラフである。グラフの縦軸は、転がり軸受11’の動摩擦損失(W)であり、横軸は、転がり軸受11’が支持する主軸5の回転数(rpm(min−1))である。
図18に示すように、主軸5の駆動回転によって主軸5の回転数Nが大きくなると、転がり軸受11’の動摩擦損失も大きくなるが、これは、主軸5の回転数Nの増加に伴って、転動体50’と内輪20’の転動面20a’又は外輪30’の転動面30a’との間の相対滑りが大きくなるためである。すなわち、主軸5の回転数N(rpm)が大きくなると、図17Bに示す主軸5回りの転動体50’の回転数N50(以下、公転速度V50とも言う)も大きくなるので、転動体50’の遠心力Fcも大きくなるが、そうすると、主軸5と一体となって回転する内輪20’の転動面20a’から転動体50’がラジアル方向に離れ易くなって同転動体50’は内輪20’から駆動力を得難くなり、その結果として、転動体50’は、内輪20’の転動面20a’に対して遅れる側に大きく相対滑りをするようになって、動摩擦損失が大きくなるためである。
よって、転がり軸受11’の状態の監視は、相対滑りに注目して行うのが良いと考えられる。
一方、この相対滑りの影響は、巨視的には主軸5の回転数Nに対する保持器60’の回転数N60の遅れとして現れるものと考えられる。詳しくは次の通りである。保持器60’は、既述のように、転動体50’毎に転動体50’を収容する孔部60h’を有した環状部材である。そして、同保持器60’は、内輪20’を転動する転動体50’から主軸5回りの駆動力を得て転動体50’と一緒に略一体となって同主軸5回りに回転している。つまり、転動体50’の公転速度V50に相当する回転数N50で保持器60’は回転している。そのため、転動体50’の相対滑りの影響は、転動体50’の公転速度V50の低下を介して、保持器60’にも回転数N60の低下の形で現れるものと考えられ、よって、保持器60’の回転数N60を監視することで、巨視的に転動体50’と内輪20’の転動面20a’との間の相対滑りの状態、つまり転がり軸受11’の状態を把握できるものと考えられる。
図19は、本願発明者が実験で取得した保持器60’の回転数N60の低下率Rと、転がり軸受11’の動摩擦係数との関係のグラフである。なお、縦軸の転がり軸受11’の動摩擦係数は、上述した転がり軸受11’の動摩擦損失と同義である。また、横軸の保持器60’の回転数N60の低下率R(%)は、下式1で求められるものである。つまり、保持器60’が主軸5に対して遅れることなく回転した理想状態の回転数を保持器60’の理論回転数N(rpm)とした場合に、この理論回転数Nからどれくらい保持器60’の実際の回転数N60(rpm)が低下しているかを示す割合である。ちなみに、理論回転数Nは、主軸5の実際の回転数N(rpm)を下式2によって保持器60’の回転数に換算することで求められ、また、下式2中の「d」は、転動体50’の直径であり、「α」は、軸受11’の内輪20’及び外輪30’と転動体50との接触角であり、「Dp」は、転動体50’のピッチ円径である。
Figure 0005933352
そして、図19には、かかるグラフが、高速回転、中速回転、及び低速回転の3水準の主軸5の回転数Nについて示されているが、各グラフは、それぞれ、次のようにして取得されたものである。先ず、上記の3水準のなかから回転数を選択して、その回転数に主軸5の回転数Nを維持する。そして、この回転数N一定の条件下において、軸受11’に付与する予圧の大きさを徐々に大きくしていき、その漸増過程において、保持器60’の回転数N60の低下率Rと主軸5の駆動モーターの動力値(W)とを対応付けながら記録していき、これにより、図19の各グラフが取得されている。なお、縦軸の動摩擦係数の値は、上記の駆動モーターの動力値(W)を、周知の換算式を用いて動摩擦係数に換算したものである。そのため、前述したように、グラフの縦軸は動摩擦損失と同義である。
図19を参照すると、全体的に、保持器60’の回転数N60の低下率Rが所定範囲の場合に動摩擦係数が極小になることがわかる。例えば、回転数N60の低下率Rが0%よりも大きく10%未満の範囲において、動摩擦係数たる動摩擦損失は極小となっている。
また、同図19中には、予圧の増大方向を矢印で併記しており、更に、予圧が相対的に小さい予圧不足域と、予圧が相対的に大きい予圧過剰域と、これらの間の大きさに予圧が設定された予圧適正域とについても図示しているが、同図19中の左端の予圧過剰域を除いて、概ね予圧の増大に伴って保持器60’の回転数N60の低下率Rが漸減しているのがわかる。従って、予圧の増減調整により保持器60’の回転数N60の低下率Rを増減調整可能と考えられる。
そして、以上の得られた知見に基づき、上述の第2例の常用軸受に係る予圧自動調整軸受装置410では、常用軸受の状態を良好に保つべく、保持器60の回転数N60の低下率Rが予め定められた所定範囲に入るように、予圧の大きさを制御している。
ちなみに、図19の低速回転のグラフと、中速回転のグラフと、高速回転のグラフとを詳細に比較すると、主軸5の回転数Nによって、動摩擦係数が極小となる低下率Rが互いに異なることがわかる。例えば、低速回転では、低下率がa1〜a2の範囲で動摩擦係数が極小となっているが、中速回転では、低下率がb1〜b2の範囲で動摩擦係数が極小となっており、更に、高速回転の場合には、低下率がc1〜c2の範囲で動摩擦係数が極小となっている。そのため、好ましくは、主軸5の回転数N5の各水準に対応させて、それぞれ保持器60’の回転数N60の低下率Rに関して維持すべき目標範囲を設定するのが良いと考えられ、かかる知見も、以下で説明する常用軸受に係る予圧自動調整軸受装置410に反映させている。
<<<常用軸受に係る予圧自動調整軸受装置410>>>
図20は、常用軸受に係る予圧自動調整軸受装置410の構成を示す概略図であり、特殊玉軸受411の部分については、概略中心断面視で示している。
予圧自動調整軸受装置410は、主軸5をハウジング3に支持する常用軸受としての特殊玉軸受411と、特殊玉軸受411に予圧を付与する予圧付与機構480と、予圧付与機構480を制御する制御部490と、軸受411の状態を計測して計測データを制御部490へ出力する各種センサー495,497と、を有する。
図20に示すように基本的には予圧制御対象の常用軸受というのは、特殊玉軸受411の方であり、当該特殊玉軸受411は、内輪420と、圧力室R430が内蔵された外輪430と、転動体450と、保持器460とを有する。但し、既述のように、特殊玉軸受411の予圧が変更されれば、スペーサー6a等によるアキシャル方向の力の伝達を介して図14の汎用玉軸受510の予圧も変更されるので、汎用玉軸受510も間接的に予圧の制御対象となっている。
予圧付与機構480は、例えば外輪側転動面430aが転動体450をラジアル方向の内方に押すような力を、予圧として外輪側転動面430aに付与可能なアクチュエータを有する。この例では、かかるアクチュエータとして、外輪430に内蔵された圧力室R430を有する。そして、このアクチュエータ以外に、予圧付与機構480は、ハウジング3内に穿孔された加圧流体の流路3k2と、この流路に接続される配管等の不図示の流路形成部材482と、この流路形成部材482に接続されて加圧流体の供給源となるポンプ485と、上記流路形成部材482の一部に設けられた圧力調整弁487と、を有している。そして、圧力調整弁487は、制御部490から送信される予圧の制御信号S490に基づいて、圧力室R430への供給圧を調整する。よって、かかる供給圧の調整により、転動体450と外輪430及び内輪420との圧接力を所望の任意値に調整することができる。
各種センサー495,497としては、保持器460の回転数N60を計測して、計測した回転数N60の計測データをリアルタイムで出力する保持器回転数センサー495と、主軸5の回転数Nを計測して、計測した回転数Nの計測データをリアルタイムで出力する主軸回転数センサー495と、を有する。そして、保持器回転数センサー495は、保持器460に近接して配置され、主軸回転数センサー497は、主軸5に近接して配置されている。なお、これらセンサー495,497は、例えばパルスジェネレータやエンコーダを用いて実現され、各計測データは、それぞれ制御部490へ逐次送信される。
制御部490は、例えばコンピュータやPLC(プログラマブルロジックコントローラ)等であり、プロセッサとメモリとを有する。そして、メモリに予め格納された制御プログラムをプロセッサが読み出して実行することにより、図20に示された各種の機能ブロックとして機能する。
すなわち、制御部490は、かかる機能ブロックとして、保持器理論回転数演算部と、保持器回転数低下率演算部と、保持器回転数低下率良否判定部と、を有する。
保持器理論回転数演算部には、主軸回転数センサー497から主軸5の回転数Nの計測データがリアルタイムで逐次送信される。そして、同演算部は、計測データが示す回転数Nの計測値を前述の式2に代入して、保持器460の回転数N60の理論値たる理論回転数Nを算出する。
保持器回転数低下率演算部には、保持器回転数センサー495から保持器460の回転数N60の計測データが逐次送信され、また、上記の保持器理論回転数演算部からは、理論回転数Nが逐次送信される。そして、同保持器回転数低下率演算部は、計測データが示す回転数N60の計測値と、理論回転数Nとを前述の式1に代入して、保持器460の回転数の低下率R(%)を逐次算出する。
保持器回転数低下率良否判定部では、保持器回転数低下率演算部で逐次算出される低下率R(%)を、予め上記メモリに格納してなる所定の閾値データと比較することにより、当該低下率R(%)を良否判定する。そして、判定結果が「良判定」の場合、つまり低下率R%が、上記閾値データの上限値及び下限値で規定された適正範囲内の場合には、現状の予圧の値を維持する。一方、判定結果が「否判定」の場合、つまり低下率R%が上記適正範囲から外れている場合には、上記閾値データの上限値及び下限値によって規定された適正範囲に低下率R(%)が収まる方向に、予圧の制御信号S490を予圧付与機構480へ送信する。
例えば、低下率Rが適正範囲の上限値よりも大きい側に外れているプラス否判定の場合には、予圧不足と判定して、現状の予圧の値よりも所定値だけ大きくなるような制御信号S490を予圧付与機構480へ送信し、他方、低下率Rが適正範囲の下限値よりも小さい側に外れているマイナス否判定の場合には、予圧過剰と判定して、現状の予圧の値よりも所定値だけ小さくなるような制御信号S490を予圧付与機構480へ送信する。
そして、かかる良否判定処理及び制御信号S490の送信処理は、数ミリ秒〜数十ミリ秒などの所定の制御周期で繰り返し実行され、これにより、予圧は、軸受11の状態に応じて常時調整されることになる。
かかる低下率Rの上限値及び下限値は、例えば、既述の図19のグラフから、動摩擦係数が極小となる低下率Rの所定範囲を読み取ることで予め決定されている。例えば、低速回転の例で言えば、低下率がa1〜a2の範囲で動摩擦係数が極小となっているので、下限値はa1と予め決定され、上限値はa2と予め決定され、閾値データとしてメモリに予め格納される。ちなみに、図19のグラフの関係は、予め対象の特殊玉軸受411に対して予備実験などを行って取得される。
また、図19を参照して前述したように、動摩擦係数が極小となる低下率Rの範囲たる適正範囲は、主軸5の回転数Nに応じて変化する。すなわち、低速回転では、低下率Rがa1〜a2の範囲で動摩擦係数が極小となっているが、中速回転では、低下率Rがb1〜b2の範囲で動摩擦係数が極小となっており、更に、高速回転の場合には、低下率Rがc1〜c2の範囲で動摩擦係数が極小となっている。
そのため、制御部490のメモリには、上述の良否判定処理に供する閾値データの下限値及び上限値が、低速回転、中速回転、及び高速回転の各回転数水準に対応させて、それぞれ格納されている。例えば、低速回転では、下限値がa1で上限値がa2であるが、中速回転では、下限値がb1で上限値がb2であり、また高速回転では、下限値がc1で上限値がc2である。
そして、保持器回転数低下率良否判定部では、主軸回転数センサー497から送信される主軸5の回転数Nの計測データに基づいて、これに対応する上限値及び下限値をメモリから取得して、上述の良否判定処理に供している。例えば、主軸5の回転数Nの計測データが低速回転に対応している場合には、メモリの閾値データの下限値a1,b1,c1及び上限値a2,b2,c2の中から、下限値としてa1を選択し上限値としてa2を選択して、上述の良否判定処理を行っている。
なお、かかる低速回転、中速回転、及び高速回転は、それぞれピンポイントではなく回転数Nの範囲でもって予め規定されている。例えば、低速回転はN<N1であり、中速回転はN1≦N<N2であり、高速回転はN2≦Nであるといった具合に回転数Nの範囲で予め規定されている。
なお、上述の例では、閾値データをa1,a2等の百分率表記の数値で与えていたが、何等これに限るものではない。例えば、a1やa2を所定の基準値a0で除算してなる比率で、閾値データを与えても良い。すなわち、低速回転の閾値データで言えば、下限値をa1/a0で与え、上限値をa2/a0で与えても良い。そして、この場合には、低下率Rの方も、基準値a0で除算されることによりR/a0に変更されて、良否判定処理に供されることになる。
また、上述の例では、図14及び図20に示すように主軸5に近接させて主軸5の回転数Nを計測する主軸回転数センサー497を配置し、このセンサー497から出力される主軸5の回転数Nの計測データを用いて保持器460の理論回転数Nを演算していたが、何等これに限るものではない。例えば、主軸5は、一般に電動モーターによって駆動回転され、この電動モーターには、通常主軸5の回転数Nを制御する目的で、当該回転数Nを計測するエンコーダ等のセンサーが設けられている。よって、このセンサーから出力される計測データを上述の制御部490に送信して、理論回転数Nの演算に用いても良く、或いは、場合によっては、電動モーターを回転数制御するための回転数Nの指令信号を上述の制御部490に送信して理論回転数Nの演算に用いても良い。そして、このようにすれば、主軸回転数センサー497を省略することができる。
図21Aは、前述の第2例の主軸5の支持構造(図14)において補助軸受装置10の制御部90と予圧自動調整軸受装置410の制御部490との両者が互いに連携して動作した場合に得られる予圧の制御パターンである。横軸は主軸5の回転数であり、縦軸は、常用軸受411,510及び補助軸受11によって主軸5に付与される予圧の合計値である。
低速回転域では補助軸受11が軸受有効状態となるので、常用軸受411,510の予圧に加えて補助軸受11の予圧が作用し、予圧は高い状態になる。そして、主軸5の回転数Nが閾値Nthを超えると、補助軸受11は軸受無効状態に切り換えられるので、予圧は常用軸受411,510に基づくものだけとなり、予圧は小さくなる。
また、かかる常用軸受411,510の予圧については、前述した保持器460の低下率Rが、回転数Nに応じて定まる所定範囲a1〜a2,b1〜b2,c1〜c2に入るように制御されるので、結果として、図21Aに示すようなパターンの曲線を描くことになる。ちなみに、高速回転域で予圧の大きさが漸増しているのは、転動体450に作用する遠心力Fcが大きくなって転動体450と内輪420との間の相対滑りが顕著になるためである。つまり、この相対滑りを抑制すべく低下率Rに基づいて常用軸受411,510の予圧が自動的に増大されているためである。
また、場合によっては、常用軸受411,510の予圧の制御を、上述の保持器460の低下率Rに代えて単純に主軸5の回転数Nに基づいて行うようにしても良い。図21Bは、その予圧の制御パターンの一例の説明図である。
この図21Bの場合も、図21Aの場合と同様に、低速回転域では補助軸受11が軸受有効状態となるので、常用軸受411,510の予圧に加えて補助軸受11の予圧が作用し、予圧は高い状態になる。また、この例では、常用軸受411,510に付与する予圧については、低速回転域よりも中速回転域の方をステップ状に低くし、更に中速回転域よりも高速回転域の方をステップ状に低くしているが、この理由は、中速回転域及び高速回転域では、主軸5の剛性よりも高速回転性能を優先させて、回転抵抗を低減するようにしているからである。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
上述の実施形態では、本発明に係る補助軸受装置10の適用例として工作機械の主軸5の支持構造を例示していたが、何等これに限るものではなく、軸部材を支持するものであれば適用可能である。
上述の実施形態では、浮力発生機構70として、保持器60と内輪20との間の内輪側隙間S20に圧縮空気を供給する機構を例示したが、何等これに限るものではない。例えば、転動体50が鉄製等の場合には、外輪30を強力な磁石で構成すれば、その磁力でもって転動体50を内輪20から浮かせることができて、当該構成も本発明の範囲に含まれる。但し、その場合には、転動体50の素材が磁力に反応する素材に制限されてしまうので、圧縮空気の浮力発生機構70の方が好ましい。
上述の実施形態では、アキシャル方向の一端側における内輪側隙間S20の大きさS20e1、アキシャル方向の他端側における内輪側隙間S20の大きさS20e2、アキシャル方向の一端側における外輪側隙間S30の大きさS30e1、アキシャル方向の他端側における外輪側隙間S30の大きさS30e2の大小関係について述べたが、これらの各隙間の大きさの定義についてもう少し詳しく言えば、それぞれ次のような位置での隙間の大きさのことを指す。先ず、アキシャル方向の一端側における内輪側隙間S20の大きさS20e1とは、転動体50(150,250,350,350a)よりもアキシャル方向の一端側の位置(例えば一端部の位置)での内輪側隙間S20の大きさのことであり、アキシャル方向の他端側における内輪側隙間S20の大きさS20e2とは、転動体50(150,250,350,350a)よりもアキシャル方向の他端側の位置(例えば他端部の位置)での内輪側隙間S20の大きさのことである。同様に、アキシャル方向の一端側における外輪側隙間S30の大きさS30e1とは、転動体50(150,250,350,350a)よりもアキシャル方向の一端側の位置(例えば一端部の位置)での外輪側隙間S30の大きさのことであり、アキシャル方向の他端側における外輪側隙間S30の大きさS30e2とは、転動体50(150,250,350,350a)よりもアキシャル方向の他端側の位置(例えば他端部の位置)での外輪側隙間S30の大きさのことである。
3 ハウジング(支持部材)、3c 小径円筒部、3ea 一端面、3eb 他端面、
3h 貫通孔、3heb 他端側開口部、3hs1 段差面、3hs2 段差面、
3k 流路、3k2 流路、3ka 流路、3kae 排気孔、
4b 押さえ部材、4m 押さえ部材、
5 主軸(軸部材)、5ea 一端部、5h 孔部、5s1 段差面、
6a スペーサー、6b 押さえ部材、6c カラー部材、6n ナット、
7c キャップ部材、7c1 筒状部、7c1e 他端縁部、
7c2 蓋部、7c2h 円孔、7cka 流路、
10 補助軸受装置、11 補助軸受、
20 内輪(内輪相当部材)、20a 内輪側転動面(軸部材側転動面)、
20b 外周面
30 外輪(外輪相当部材)、30a 外輪側転動面(支持部材側転動面)、
30b 内周面、30t 溝部、30tb 底面、30ts 側面、
50 転動体、
60 保持器、60a 内周面、60b 外周面、60h 孔部、
60w1 壁部、60w2 壁部、
70 浮力発生機構、
80 予圧付与機構、82 アクチュエータ、
90 制御部、
111 補助軸受、120 内輪、120a 内輪側転動面(軸部材側転動面)、
130 外輪(外輪相当部材)、130a 外輪側転動面(支持部材側転動面)、
130p1 円環状分割体、130p2 円環状分割体、
150 転動体、160 保持器、160h 孔部、
211 補助軸受、220 内輪、220a 内輪側転動面(軸部材側転動面)、
230 外輪(外輪相当部材)、230a 外輪側転動面(支持部材側転動面)、
250 転動体、260 保持器、260h 孔部、
311 補助軸受、311a 補助軸受、311b 補助軸受、
320 内輪相当部材、320a 内輪側転動面(軸部材側転動面)、
330 外輪(外輪相当部材)、330a 外輪側転動面(支持部材側転動面)、
330h 供給孔、
332 環状部、332b 外周面、332eb 他端部、
332t 溝部、332tb 底面、332ts 側面、
336 固定部(突出部)、336e 他端面、
340 リング状部材、340a 外周面、340h 供給孔、
340t 溝、347 パッキン、
350 転動体、350a 転動体、
360 保持器、360h 孔部、
380 予圧付与機構、
410 予圧自動調整軸受装置、
411 特殊玉軸受、
420 内輪、420a 内輪側転動面、
430 外輪、430a 外輪側転動面、
432 内側環状部、434 薄肉部、434e1 外周縁部、434e2 内周縁部、
436 外側環状部、
440 栓部材、440eb 一端面、440ef 他端面、440h 供給孔、
440t1 溝、440t2 溝、445 パッキン、447 パッキン、
450 転動体、460 保持器、
480 予圧付与機構、
482 流路形成部材、485 ポンプ、487 圧力調整弁、
490 制御部、495 保持器回転数センサー、497 主軸回転数センサー、
510 汎用玉軸受、520 内輪、530 外輪、550 転動体、560 保持器、
S20 内輪側隙間、S30 外輪側隙間、
C5 軸芯、C50 自転軸、
P1 接触位置、P2 接触位置、P3 接触位置、P4 接触位置、
Pb 分割位置、Pex 排出位置、
G 隙間、G50 隙間、G60h 微小間隙、G150 隙間、G340 隙間、
G150 隙間、G340 隙間、
R70 供給室、R340 圧力室、R430 圧力室、
SP 環状空間、SP3 許容空間、SP510 筒状空間、
C150 球心、C250 球心、C350 回転軸、
C350a 球心、C450 球心、

Claims (10)

  1. 駆動回転する軸部材を回転可能に支持する軸受が設けられた支持部材に対して追加して補助的に設けられる補助軸受装置であって、
    複数の転動体と、
    前記軸部材に環状に設けられ前記転動体が転動可能な軸部材側転動面と、
    前記支持部材に環状に設けられ前記転動体が転動可能な支持部材側転動面と、
    前記転動体が前記支持部材側転動面及び前記軸部材側転動面の両者に接触する接触状態と、前記転動体が前記軸部材側転動面から浮いた状態になる非接触状態とを切り換える切り換え機構と、を有し、
    前記支持部材に固定される環状の外輪相当部材を有し、前記外輪相当部材の内周面に前記支持部材側転動面が形成されており、
    前記切り換え機構は、
    前記転動体が前記軸部材側転動面からラジアル方向の外方に離れる方向の浮力を前記転動体に与える浮力発生機構と、
    前記外輪相当部材の前記支持部材側転動面がラジアル方向の内方へ移動するような予圧を付与することによって前記転動体を前記軸部材側転動面に押し付け可能な予圧付与機構と、を有し、
    前記予圧を付与することにより前記接触状態にし、前記予圧の付与を解除することにより前記非接触状態にすることを特徴とする補助軸受装置。
  2. 請求項1に記載の補助軸受装置であって、
    前記複数の転動体のうちで前記軸部材の回転方向に隣り合う転動体同士が互いの間に間隔を空けた状態で前記回転方向に沿って並ぶように保持する環状の保持器を有し、
    ラジアル方向の前記保持器の位置は、前記保持器が前記外輪相当部材に接触することによって規制されていることを特徴とする補助軸受装置。
  3. 請求項2に記載の補助軸受装置であって、
    前記保持器は、ラジアル方向に貫通した孔部を前記転動体毎に有し、
    前記孔部との間に間隙を有しながら前記転動体が前記孔部に挿入されることにより、前記転動体の前記保持器に対するラジアル方向の相対移動が許容されていることを特徴とする補助軸受装置。
  4. 請求項2又は3に記載の補助軸受装置であって、
    前記軸部材側転動面が設けられる内輪相当部材を有し、
    前記浮力発生機構は、前記保持器と前記内輪相当部材との間の隙間に圧縮空気を供給することにより、ラジアル方向の外方の浮力を前記転動体に付与することを特徴とする補助軸受装置。
  5. 請求項4に記載の補助軸受装置であって、
    アキシャル方向の一端側から前記圧縮空気は前記隙間に供給され、
    前記一端側における前記保持器と前記内輪相当部材との間の隙間の大きさよりも、アキシャル方向の他端側における前記保持器と前記内輪相当部材との間の隙間の方が小さいことを特徴とする補助軸受装置。
  6. 請求項4又は5に記載の補助軸受装置であって、
    アキシャル方向の前記他端側における前記保持器と前記外輪相当部材との間の隙間は、前記他端側における前記保持器と前記内輪相当部材との間の隙間よりも大きいことを特徴とする補助軸受装置。
  7. 請求項4乃至6の何れかに記載の補助軸受装置であって、
    アキシャル方向の前記一端側には、前記圧縮空気を供給するための供給室が、前記保持器に隣接して環状に区画形成されており、
    前記一端側における前記保持器と前記外輪相当部材との間の隙間は、前記一端側における前記保持器と前記内輪相当部材との間の隙間よりも小さいことを特徴とする補助軸受装置。
  8. 請求項4乃至7の何れかに記載の補助軸受装置であって、
    アキシャル方向の前記一端側には、前記圧縮空気を供給するための供給室が、前記保持器に隣接して環状に区画形成されており、
    アキシャル方向の前記他端側における前記保持器と前記外輪相当部材との間の隙間は、前記一端側における前記保持器と前記外輪相当部材との間の隙間よりも大ききことを特徴とする補助軸受装置。
  9. 駆動回転する軸部材を回転可能に支持する軸受が設けられた支持部材に対して追加して補助的に設けられる補助軸受装置であって、
    複数の転動体と、
    前記軸部材に環状に設けられ前記転動体が転動可能な軸部材側転動面と、
    前記支持部材に環状に設けられ前記転動体が転動可能な支持部材側転動面と、
    前記転動体が前記支持部材側転動面及び前記軸部材側転動面の両者に接触する接触状態と、前記転動体が前記軸部材側転動面から浮いた状態になる非接触状態とを切り換える切り換え機構と、を有し、
    前記切り換え機構を制御する制御部を有し、
    前記軸部材が、第1範囲の回転数で回転する場合には、前記制御部は、前記切り換え機構を前記接触状態に切り換え、前記軸部材が前記第1範囲の回転数よりも速い第2範囲の回転数で回転する場合には、前記制御部は、前記切り換え機構を前記非接触状態に切り換えることを特徴とする補助軸受装置。
  10. 請求項1乃至9の何れかに記載の補助軸受装置であって、
    前記軸部材には、ワークを加工する工具が固定され、
    前記補助軸受装置は、アキシャル方向において、前記軸受よりも前記工具に近い位置に設けられていることを特徴とする補助軸受装置。
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