JP5931429B2 - 耐雷ファスナ - Google Patents

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Description

本発明は、航空機の機体を構成する部材どうしを締結し、落雷によるアークを封止する耐雷ファスナに関する。
航空機の機体を構成する翼は一般に中空構造となっており、翼表面を形成する翼面パネルは、翼内部にある構造部材にファスナ部材(留め具)によって固定されている。
このとき、ファスナ部材は、ピン状のファスナ本体を、翼面パネルおよび翼内部の構造部材の双方に形成された貫通孔に翼の外部側から挿入し、その先端部を翼の内部側から固定金具で固定することで、翼面パネルと構造部材とを締結する。
また、この他にも翼内部や胴体部で、翼面パネル以外の構造部材や装備品の固定用の部材もファスナ部材(留め具)によって締結・固定されている。
このとき、ファスナ部材は、ピン状のファスナ本体を、互いに固定される部材の双方に形成された貫通孔の双方を通過するように挿入し、その先端部を固定金具で固定することで双方の部材を締結する。
なお、固定される翼面パネルまたは部材は2つに限らない。
ところで、航空機においては、防爆のための被雷対策を万全に期す必要がある。航空機に被雷が発生して主翼等の翼面パネルや構造部材に大電流が流れると、上記の各種締結部にその一部、場合によっては全部が流れる。その電流値が各締結部における通過許容電流の限界値を超えると、電気的アーク(あるいはサーマルスパーク)と呼ばれる放電が発生する(以下、本明細書中ではこれをアークと称する。)。これは、締結部を通過する電流により締結部を構成する主として導電部材からなる部材の締結界面の局部に急激な温度上昇が生じて溶融し近傍の大気中に放電が発生する現象で、多くの場合、溶融部分からホット・パーティクルと言われる溶融物の飛散が発生する。一般に翼の内部空間は燃料タンクを兼ねているため、この被雷時において、アークの発生を抑えるか、あるいは、アークを封止することによって発生したアークの放電とそこから飛散するホット・パーティクルが可燃性の燃料蒸気に接触しないようにして発火を防止し、防爆構造とする必要がある。
航空機が被雷すると、図5に示すように、電流は、翼面パネルに相当する第一のパネル2からファスナ部材4を介して流れる。このとき、第一のパネル2と翼の内部に取り付けられる第二の部材3と、これらを締結するファスナ部材4との界面においてアークが発生しやすい。
発生したアークは、第一のパネル2、第二の部材3に形成されたピン孔2a、3aとファスナ部材4との隙間を通り、さらに、第二の部材3とキャップ6との隙間を通して外に飛び出そうとする。
これに対し、従来、翼の内部側において、第一の部材と第二の部材を貫通し、翼の内部側に突出したファスナ部材の先端部に、絶縁材料からなるキャップを被せ、さらにキャップとファスナ部材の先端部との間に絶縁性のシーラント材を充填させた構成が提案されている。
この構成によれば、絶縁材料からなるキャップおよびシーラント材により、アークを封じ込めるようになっている(特許文献1参照。)。
特開2010−254287号公報
しかしながら、キャップやシーラントを用いる構成では、それらにコストがかかるうえ、現場でキャップを被せたりシーラントを充填したりする手間がかかる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、低コストで、アークを確実に封じ込めてその耐雷性能をさらに向上させつつ、さらに低コスト化を図ることのできる耐雷ファスナを提供することを目的とする。
かかる目的のもとになされた本発明の耐雷ファスナは、航空機を構成する第一の部材と第二の部材とを締結するため、第一の部材に形成された第一の孔と第二の部材に形成された第二の孔とを第一の部材側から貫通させて設けられるファスナ本体と、第二の部材側に突出したファスナ本体に装着され、第二の部材に対向する側であって第二の孔の外周部に溝を有する締結部材と、溝内に設けられたリング部材と、を備え、リング部材は、締結部材をファスナ本体に装着した状態で、溝の断面積よりも小さな断面積を有して、溝内においてファスナ本体に近接する側に空隙が形成されており、かつ、第二の部材に押し付けられてシールする第一シール部と、ファスナ本体の外周面に押し付けられてシールする第二シール部と、を有していることを特徴とする。
ング部材、第二の部材に押し付けられてシールする第一シール部と、ファスナ本体の外周面に押し付けられてシールする第二シール部と有するので、締結部材をファスナ本体に締結したときに、リング部材は、第二の部材とファスナ本体とにそれぞれ密着して、被雷時に発生するアークを封じ込める。
このとき、リング部材は、締結部材をファスナ本体に装着した状態で、弾塑性変形域で変形するよう設けられるのが好ましい。締結前の状態と締結後の状態での弾塑性変形域の変形量は、弾性変形域における変形量よりも大きいため、溝やリング部材の加工精度を低くしても支障は生じない。
ここで、第一シール部は、第二の部材において締結部材に対向する表面と第二の孔の内周面とが交差する角部よりも外周側にて、第二の部材の表面に押し付けられている構成とするのが好ましい。これにより、リング部材により、第二の部材の角部に応力が作用するのを防ぐことができる。
このようなリング部材は、いかなる構成のものであっても良いが、例えば、溝の底面に沿った基部と、基部の外周部から溝の外周面に沿って立ち上がる立ち上がり部とを有する断面L字状とすることができる。
また、溝の横断面に沿った断面が環状であるように、リング部材を形成することもできる。
さらに、リング部材は、第一のリングと、溝の底面に沿って設けられ、第一のリングよりも小さな径を有した第二のリングと、からなる構成とすることもできる。
また、溝の外周面は、溝の底面から離間するに従いその内径が漸次拡大するテーパ状としても良い。
本発明によれば、締結部材をファスナ本体に締結したときに、締結部材に形成された溝の内部において、リング部材が第二の部材とファスナ本体とにそれぞれ密着して、被雷時に発生するアークを封じ込める。これにはリング部材が必要なのみであるため、アークを確実に封じ込めてその耐雷性能を確保しつつ、低コスト化を図ることができる
第一の実施の形態における耐雷ファスナの断面図およびカラーを示す断面図である。 耐雷ファスナの要部を示す拡大断面図である。 第二の実施の形態における耐雷ファスナの断面図およびカラーを示す断面図である。 第三の実施の形態における耐雷ファスナの断面図およびカラーを示す断面図である。 従来の耐雷ファスナにおいてアークが生じる様子を示す断面図である。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
[第一の実施形態]
図1に示すように、翼20は、その外殻が、例えばアルミ合金等の金属材料からなる翼パネル(第一の部材)21によって形成されている。翼20の内部に設けられる、補強のための構造材や燃料タンク、各種の機器が、アルミ合金等の金属材料により形成されたステー等の構造部材(第二の部材)22を介して翼パネル21に固定されている。そして、ステー等の構造部材22は、ファスナ部材24によって翼パネル21に取り付けられている。
ファスナ部材24は、ピン状のファスナピン(ファスナ本体)25と、翼20の内部側でファスナピン25に装着されるカラー(締結部材)26と、リング部材50Aと、から構成される。
ファスナピン25およびカラー26は、強度の面から一般に、チタン合金や、ジュラルミン等の金属材料により形成される。
ピン状をなしたファスナピン25は、先端部にネジ溝25aが形成され、後端部は先端部側より拡径した頭部25bとされている。このファスナピン25は、翼パネル21および構造部材22を貫通して形成された孔(第一の孔)21a、孔(第二の孔)22aに翼20の外側から挿入され、後端部の頭部25bを孔21aの周囲面に突き当てた状態で、先端部を翼20の内方に突出させる。
カラー26は、筒状で、その内周面にはファスナピン25のネジ溝25aに噛み合うネジ孔26aが形成されている。このカラー26のネジ孔26aには、翼20の内方に突出したファスナピン25のネジ溝25aがねじ込まれる。これによって、翼パネル21と構造部材22とは、ファスナピン25の頭部25bとカラー26とによって挟み込まれ、構造部材22が翼パネル21に固定されている。ここで、カラー26は、ファスナピン25にねじ込んだ後の緩みを防止できるセルフロック式とするのが好ましい。
図1(a)、(b)に示すように、このようなカラー26には、構造部材22に対向する座面26b側において、ネジ孔26aの外周部に、その周方向に連続して形成された段部27が形成されている。この段部27は、カラー26の周方向全周にわたって連続して形成されている。そして、ネジ孔26aにファスナピン25がねじ込まれた状態では、この段部27とファスナピン25とに囲まれた空間が周方向に連続する溝28を形成している。
リング部材50Aは、この段部27内に収容される。リング部材50Aは、断面L字状で、段部27の底面27aに沿う基部51と、基部51の外周側端部からカラー26の座面26b側に向けて立ち上がる立ち上がり部52とを有する。
基部51は、内径および外径が、段部27(溝28)の底面27aの内径および外径と同寸法に設定されている。
また、立ち上がり部52は、その高さが、段部27の深さよりも大きくなるよう形成されている。これにより、リング部材50Aを段部27にセットした状態で、立ち上がり部52は、その先端部52aがカラー26の座面26bよりも突出する。
さらに、立ち上がり部52の外径は、段部27の外径と同寸法に設定され、その内径は、段部27の内径よりも大きく、かつ構造部材22の孔22aの内径よりも大きくなるよう設定されている。これにより、立ち上がり部52の先端部52aは、構造部材22の内周側の角部22Cよりも外周側に位置することとなる。
このようなリング部材50Aは、構造部材22がアルミニウム合金からなる場合、純アルミニウムにより形成するのが好ましい。リング部材50Aの材質は、純アルミニウムに限定する訳ではなく銅や、金等でも構わない。また劣化が少なく、弾性変形をするのであればゴム等の樹脂を用いても良い。
このようなリング部材50Aは、カラー26をファスナピン25のネジ溝25aにねじ込むに際し、予め、カラー26の段部27に収容された状態とされる。この状態でカラー26をねじ込むと、まず、カラー26の座面26bよりも先に、リング部材50Aの立ち上がり部52の先端部52aが、構造部材22の表面22bに突き当たる。
その状態から、カラー26をさらにねじ込むと、図2に示すように、リング部材50Aの立ち上がり部52が、構造部材22の表面22bと段部27の底面27aとの間で圧縮されて変形する。すると、立ち上がり部52の下端部に連続する基部51は、外周側は段部27によって拘束されているため、その結果、基部51が内周側に伸びる方向に変形する。
このようにして、リング部材50Aは、立ち上がり部52の先端部52aは構造部材22の表面22bに押し付けられ、基部51の内周側端部51qがファスナピン25の外周面に押し付けられる。
このとき、カラー26を、座面26bが構造部材22の表面22bに突き当たるまでねじ込んだ状態で、上記のようなリング部材50Aの変形が弾性変形領域を越えた弾塑性変形となるようにするのが好ましい。
カラー26のねじ込みが完了した状態において、断面L字状のリング部材50Aの立ち上がり部52の内周側に空間Sが形成されている。これは、押しつぶされた後のリング部材50Aの断面積が、溝28の断面積よりも小さいことによる。
上述したようにして、カラー26に形成された段部27に、断面L字状のリング部材50Aを備えることにより、このリング部材50Aが、構造部材22の表面22bと、ファスナピン25の外周面とに押し付けられて密着することで、翼パネル21および構造部材22の孔21a、22aの内周面とファスナピン25の外周面とのクリアランス部分に繋がる空間の一端が、このリング部材50Aによって閉塞(密封)されることとなる。
これによって、翼パネル21と構造部材22との境界部分においてアークが発生した場合にも、このアークをリング部材50Aによって閉塞された空間内に封じ込めることができる。したがって、ファスナ部材24の耐雷性能を高めることができる。
このとき、リング部材50Aが断面L字状とされることで、立ち上がり部52の内周側に空間Sを有しているため、アークが生じたときの圧力上昇を、この空間Sがあることによって緩和することができる。
さらに、断面L字状のリング部材50Aの立ち上がり部52の先端部52aは、構造部材22の内周側の角部22Cよりも外周側に位置する。これにより、構造部材22の内周側の角部22Cにリング部材50Aを介して応力が集中して作用するのを防ぐことができ、この部分におけるクラック発生を抑えることができる。
また、このようなリング部材50Aは、施工時に段部27に嵌め込むだけで良く、現場でのシーラント剤の塗布等も不要であるために施工のバラツキが出にくく、品質の安定化、施工の容易化、低コスト化に繋がる。
加えて、リング部材50Aに、純アルミ、銅、金等、シーラントに比べて融点の高い材料を使うことで、アークによるリング部材50Aの融解を抑制し、圧力上昇を有効に抑えることができる。
さらには、リング部材50Aを、構造部材22と同種の金属(および接触電位差の小さな金属)で形成することによって、構造部材22とリング部材50Aの接触部分における腐食を抑えることができる。また、リング部材50Aを、構造部材22を形成する材料と熱歪みの差が小さくなる材料で形成することで、熱歪みによる構造部材22とリング部材50Aとの間での応力集中を緩和し、構造部材22におけるクラック等の発生を抑えることができる。
さらに、リング部材50Aを、純アルミ、銅、金等の金属(劣化の少ない材料)で形成することで、経年劣化によるリング部材50Aにおけるクラック発生や弾性力減少を防止でき、密封圧力を長期間にわたって安定的に保つことができる。
[第二の実施形態]
次に、本発明に係る耐雷ファスナの第二の実施形態について説明する。
以下に示す第二の実施形態では、上記第一の実施形態に対し、リング部材50Bの断面形状が異なるのみであるため、上記第一の実施形態と共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
図3に示すように、翼パネル21と構造部材22とを締結するファスナ部材24は、ピン状のファスナピン25と、翼20の内部側でファスナピン25に装着されるカラー26と、リング部材50Bと、から構成される。
リング部材50Bは、カラー26に形成された段部とファスナピン25とに囲まれて形成された溝28内に収容される。リング部材50Bは、上記第一の実施形態におけるリング部材50Aと同様の材料からなり、断面円形をなしている。
リング部材50Bが、内径および外径が、段部27(溝28)の底面27aの内径および外径と同寸法に設定されている。
また、段部27の深さは、リング部材50Bの高さよりも小さくなるよう形成されている。これにより、リング部材50Bを段部27にセットした状態で、その頂部(第一シール部)50pがカラー26の座面26bよりも突出する。
このようなリング部材50Bは、カラー26をファスナピン25のネジ溝25aにねじ込むに際し、予め、カラー26の段部27に収容された状態とされる。この状態でカラー26をねじ込むと、まず、カラー26の座面26bよりも先に、リング部材50Bの頂部50pが、構造部材22の表面22bに突き当たる。このとき、頂部50pは、構造部材22の内周側の角部22Cよりも外周側に位置するようにされている。
その状態から、カラー26をさらにねじ込むと、リング部材50Bが、構造部材22の表面22bと段部27の底面27aとの間で圧縮されて変形する。すると、リング部材50Bは、外周側は段部27によって拘束されているため、その結果、内周側に伸びるよう、押しつぶされて変形する。
このようにして、リング部材50Bは、頂部50pが構造部材22の表面22bに押し付けられ、内周側端部(第二シール部)50qがファスナピン25の外周面に押し付けられる。
このとき、カラー26を、座面26bが構造部材22の表面22bに突き当たるまでねじ込んだ状態で、上記のようなリング部材50Bの変形が弾性変形領域を越えた弾塑性変形となるようにするのが好ましい。
カラー26のねじ込みが完了した状態において、押しつぶされたリング部材50Bの周囲に空間Sが形成されている。これは、押しつぶされた後のリング部材50Bの断面積が、溝28の断面積よりも小さいことによる。
上述したようにして、リング部材50Bが、構造部材22の表面22bと、ファスナピン25の外周面とに押し付けられて密着することで、翼パネル21および構造部材22の孔21a、22aの内周面とファスナピン25の外周面とのクリアランス部分に繋がる空間の一端が、このリング部材50Bによって閉塞(密封)されることとなる。
これによって、翼パネル21と構造部材22との境界部分においてアークが発生した場合にも、このアークをリング部材50Bによって閉塞された空間内に封じ込めることができる。したがって、ファスナ部材24の耐雷性能を高めることができる。
このとき、リング部材50Bの周囲に空間Sを有しているため、アークが生じたときの圧力上昇を、この空間Sがあることによって緩和することができる。
さらに、リング部材50Bの頂部50pは、構造部材22の内周側の角部22Cよりも外周側に位置する。これにより、構造部材22の内周側の角部22Cにリング部材50Bを介して応力が集中して作用するのを防ぐことができ、この部分におけるクラック発生を抑えることができる。
ここで、リング部材50Bは断面円形であるために、非常に低コストでこれを製作することができる。また、リング部材50Bを変形させるにも、より小さい力で済むため、低トルクでカラー26を締め付ければ良い。
[第三の実施形態]
次に、本発明に係る耐雷ファスナの第三の実施形態について説明する。
以下に示す第三の実施形態では、上記第一の実施形態に対し、リング部材50Cの構成が異なるのみであるため、上記第一の実施形態と共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
図4に示すように、翼パネル21と構造部材22とを締結するファスナ部材24は、ピン状のファスナピン25と、翼20の内部側でファスナピン25に装着されるカラー26と、リング部材50Cと、から構成される。
リング部材50Cは、カラー26に形成された段部とファスナピン25とに囲まれて形成された溝28内に収容される。リング部材50Cは、第一リング55と第二リング56とからなる。第一リング55、第二リング56は、上記第一の実施形態におけるリング部材50Aと同様の材料からなり、それぞれ断面円形をなしている。
第一リング55は、断面D字状とされ、その平面部55aを構造部材22に対向する側に向けて段部27内に収められている。
また、第二リング56は、その外径が、第一リング55の外径よりも小さく、かつ第一リング55の内径よりも大きくなるよう形成されている。この第二リング56は、断面D字状とされ、その平面部56aがファスナピン25側を向くようにして、段部27内に収められている。そして、この第二リング56の内径は、段部27の底面27aの内径と同寸法に設定されている。
まだ、カラー26に形成された段部27は、その外周面27cが、底面27a側から離間するにつれて内径が漸次拡大するテーパ形状とされている。
このようなリング部材50Cは、カラー26をファスナピン25のネジ溝25aにねじ込むに際し、予め、第二リング56をカラー26の段部27の底面27a側にセットし、第一リング55を第二リング56上にセットする。
この状態でカラー26をねじ込むと、まず、カラー26の座面26bよりも先に、第一リング55の平面部55aが構造部材22の表面22bに突き当たる。このとき、第一リング55の平面部55aは、構造部材22の内周側の角部22Cよりも外周側に位置するようにされている。
その状態から、カラー26をさらにねじ込むと、第一リング55が第二リング56をファスナピン25の軸線方向に押圧する。すると、第一リング55は第二リング56の外周側に位置するので、第二リング56を内周側に押圧することになる。すると、第二リング56が圧縮されて変形し、平面部56aがファスナピン25の外周面に押し付けられる。
このようにして、リング部材50Cは、第一リング55の平面部55aが構造部材22の表面22bに押し付けられ、第二リング56の平面部56aがファスナピン25の外周面に押し付けられる。
このとき、カラー26を、座面26bが構造部材22の表面22bに突き当たるまでねじ込んだ状態で、上記のようなリング部材50Cの変形が弾性変形領域を越えた弾塑性変形となるようにするのが好ましい。
カラー26のねじ込みが完了した状態において、押しつぶされたリング部材50Cの周囲に空間Sが形成されている。これは、押しつぶされた後のリング部材50Cの断面積が、溝28の断面積よりも小さいことによる。
上述したようにして、リング部材50Cを構成する第一リング55、第二リング56が、構造部材22の表面22bと、ファスナピン25の外周面とに押し付けられて密着することで、翼パネル21および構造部材22の孔21a、22aの内周面とファスナピン25の外周面とのクリアランス部分に繋がる空間の一端が、このリング部材50Cによって閉塞(密封)されることとなる。
これによって、翼パネル21と構造部材22との境界部分においてアークが発生した場合にも、このアークをリング部材50Cによって閉塞された空間内に封じ込めることができる。したがって、ファスナ部材24の耐雷性能を高めることができる。
このとき、リング部材50Cの周囲に空間Sを有しているため、アークが生じたときの圧力上昇を、この空間Sがあることによって緩和することができる。
さらに、第一リング55の平面部55aは、構造部材22の内周側の角部22Cよりも外周側に位置する。これにより、構造部材22の内周側の角部22Cにリング部材50Cを介して応力が集中して作用するのを防ぐことができ、この部分におけるクラック発生を抑えることができる。
また、このようなリング部材50Cは、二つの第一リング55、第二リング56を組み合わせて用いるので、第一の実施形態に比較して、低コストでリング部材50Cを形成することができる。
加えて、リング部材50Cが収容されるカラー26の段部27は、その外周面27cをテーパ状としたので、第一リング55がファスナピン25の軸方向に押圧されたときに、第一リング55を内周側、つまり第二リング56側に効率よく変形させることができる。
なお、上記第三の実施形態では、第一リング55、第二リング56をそれぞれ断面D字状としたが、これらを断面円形としても良い。
さらに、上記第三の実施形態において、段部27の外周面27cをテーパ状としたが、この構成は上記第一の実施形態に組み合わせることも可能である。
なお、上記実施の形態では、翼パネル21、構造部材22、ファスナピン25やカラー26について構成を示したが、その形状や材質は適宜変更することが可能である。また、翼20に限らず、他の部分に用いるファスナ部材24としても本発明は適用することが可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
20 翼
21 翼パネル(第一の部材)
21a 孔(第一の孔)
22 構造部材(第二の部材)
22a 孔(第二の孔)
22b 表面
22C 角部
24 ファスナ部材
25 ファスナピン(ファスナ本体)
26 カラー(締結部材)
26b 座面
27 段部
27a 底面
27c 外周面
28 溝
50A、50B、50C リング部材
50p 頂部(第一シール部)
50q 内周側端部(第二シール部)
51 基部
52 立ち上がり部
52a 先端部
55 第一リング
56 第二リング

Claims (7)

  1. 航空機を構成する第一の部材と第二の部材とを締結するため、前記第一の部材に形成された第一の孔と前記第二の部材に形成された第二の孔とを前記第一の部材側から貫通させて設けられるファスナ本体と、
    前記第二の部材側に突出した前記ファスナ本体に装着され、前記第二の部材に対向する側であって前記第二の孔の外周部に溝を有する締結部材と、
    前記溝内に設けられたリング部材と、を備え、
    前記リング部材は、前記締結部材を前記ファスナ本体に装着した状態で、前記溝の断面積よりも小さな断面積を有して、前記溝内において前記ファスナ本体に近接する側に空隙が形成されており、かつ、前記第二の部材に押し付けられてシールする第一シール部と、前記ファスナ本体の外周面に押し付けられてシールする第二シール部と、を有していることを特徴とする耐雷ファスナ。
  2. 前記リング部材は、前記締結部材を前記ファスナ本体に装着した状態で、弾塑性変形域で変形していることを特徴とする請求項1に記載の耐雷ファスナ。
  3. 前記第一シール部は、前記第二の部材において前記締結部材に対向する表面と前記第二の孔の内周面とが交差する角部よりも外周側にて、前記第二の部材の前記表面に押し付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の耐雷ファスナ。
  4. 前記リング部材は、前記溝の底面に沿った基部と、前記基部の外周部から前記溝の外周面に沿って立ち上がる立ち上がり部とを有する断面L字状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の耐雷ファスナ。
  5. 前記リング部材において前記溝の横断面に沿った断面が環状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の耐雷ファスナ。
  6. 前記リング部材は、第一のリングと、前記溝の底面に沿って設けられ、前記第一のリングよりも小さな径を有した第二のリングと、からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の耐雷ファスナ。
  7. 前記溝の外周面は、前記溝の底面から離間するに従いその内径が漸次拡大するテーパ状とされていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の耐雷ファスナ。
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