JP5930830B2 - インスタントコーヒーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インスタントコーヒーの製造方法に関する。
コーヒーはリフレッシュ作用や、それに含まれるクロロゲン酸類の生理機能が注目されるに伴い、その消費量が増加する傾向にある。しかし、共存するヒドロキシヒドロキノンにより、その生理機能が阻害されることが見出されており、そのため、コーヒー抽出液を多孔質吸着剤で処理することにより、ヒドロキシヒドロキノンを低減する技術が提案されている(特許文献1及び2)。
また、コーヒーは淹れたての風味が格段に優れているが、淹れる作業や廃棄物の処理等の点で利便性に劣る。その利便性を改善するために、インスタントコーヒー等が開発され、広く利用されているが、近年、利便性とは異なる観点で付加価値を高めたインスタントコーヒーが提案されている。
例えば、アロマを強化したインスタントコーヒーとして、焙煎コーヒー豆を大気圧抽出して得た第1抽出液と、圧力抽出して得た第2抽出液との混合抽出液を所定濃度に濃縮した混合濃縮液に、第1抽出液の蒸発蒸気を凝縮して得たアロマ含有濃縮液を添加して粉末にするか、上記混合濃縮液の粉末にアロマ含有濃縮液を添加したインスタントコーヒー(特許文献3)、焙煎豆の粉砕中に放出されたコーヒーアロマガスを、コーヒー豆を圧搾して得られたコーヒーオイルで捕集し、それをインスタントコーヒーに添加したインスタントコーヒー(特許文献4)等が提案されている。
特開2007−54057号公報 特開2007−54058号公報 特開平5−219890号公報 特開2006−20599号公報
コーヒー飲料の風味には、コク、キレ、香り等の多くの要素がある。特許文献1及び2に記載の多孔質吸着剤でコーヒー抽出液を処理すると、ヒドロキシヒドロキノンと共に香りや味といった有用成分も吸着除去される場合があるため、コーヒー本来のコク及び香りが損なわれやすかった。
また、多孔質吸着剤処理後のコーヒー抽出液を濃縮、乾燥等して得られたインスタントコーヒーは、香りの低下が特に著しかった。この場合、特許文献3及び4に記載の方法を適用することが考えられるが、インスタントコーヒーの香りの強化に有効であるものの、コクについては改善されず、コク、香り及び後味のキレの両立について、なお改善が求められていた。
したがって、本発明の課題は、コクと香りに富み、かつ後味のキレの良いインスタントコーヒーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討した結果、焙煎コーヒー豆を水蒸気蒸留することにより香気成分を留分として分離し、水蒸気処理後の焙煎コーヒー豆から原料コーヒー抽出液を得、当該原料コーヒー抽出液に多孔質吸着体処理を施し、次いで該吸着体処理物を乾燥させコーヒー固形物を得、該コーヒー固形物と上記留分とを混合することにより、コクと香りに富み、かつ後味のキレの良いインスタントコーヒーを製造できることを見出した。ここで、本明細書において「後味」とは、JIS Z 8144:2004に記載の「口内に残る感覚」をいう。
すなわち、本発明は、
焙煎コーヒー豆を水蒸気蒸留し留分を得る第1の工程、
水蒸気蒸留後の焙煎コーヒー豆を水系溶媒と接触させ原料コーヒー抽出液を得る第2の工程、
該原料コーヒー抽出液を多孔質吸着体に接触させ吸着体処理物を得る第3の工程、
該吸着体処理物を乾燥させコーヒー固形物を得る第4の工程、及び
該コーヒー固形物と上記留分とを混合する第5の工程
を含むインスタントコーヒーの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、コクと香りに富み、かつ後味のキレのよいインスタントコーヒーを提供することができる。
(インスタントコーヒーの製造方法)
本発明のインスタントコーヒーの製造方法は、第1の工程から第5の工程を含むものである。以下、各工程について詳細に説明する。
〔第1の工程〕
第1の工程は、焙煎コーヒー豆を水蒸気蒸留し留分を得る工程である。これにより、トップノートとミドルノートの一部を構成する香気成分を回収することができる。
(コーヒー豆)
コーヒーの木の種類としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種及びリベリカ種等を挙げることができる。また、コーヒー豆の種類は特に限定されないが、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジェロ、マンデリン、ブルーマウンテン等が挙げられる。中でも、コーヒー豆としては、コク、香り及び後味のキレのバランスの観点から、ブラジル産アラビカ種を含むことが好ましい。コーヒー豆は1種でもよいし、複数種をブレンドして用いてもよい。
(焙煎)
コーヒー豆を焙煎により焙煎コーヒー豆とする方法については、特に制限はなく、焙煎温度、焙煎環境についても制限はないが、好ましい焙煎温度は100〜300℃であり、更に好ましくは150〜250℃である。好ましい焙煎方法としては、直火式、熱風式、半熱風式があり、回転ドラムを有している形式が更に好ましい。また、風味の観点より、焙煎後1時間以内に0〜100℃まで冷却することが好ましく、更に好ましくは10〜60℃である。
焙煎コーヒー豆の焙煎度としては、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアンがあり、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティが好ましい。焙煎度を色差計で測定したL値としては、通常10〜35、好ましくは15〜30、より好ましくは16〜28、更に好ましくは18〜26である。また、本発明においては、焙煎コーヒー豆として焙煎度の異なるコーヒー豆を混合してもよく、例えば、L値が15〜20のコーヒー豆と、L値が30〜35のコーヒー豆を混合し、L値の平均値が上記範囲内となるように組み合わせて使用することもできる。なお、L値の平均値は、使用する焙煎コーヒー豆のL値に、当該焙煎コーヒー豆の含有比率を乗じた値の総和として求められる。
(仕込み)
焙煎コーヒー豆は粉砕を行わないまま水蒸気蒸留カラムへ仕込んでも差し支えないが、水蒸気蒸留カラム中で次工程の抽出操作をそのまま行う場合にはあらかじめ粉砕した上でカラムへ仕込むことが好ましい。その際の粉砕度合いは、極細挽き(0.250-0.500mm)、細挽き(0.300-0.650mm)、中細挽き(0.530-1.000mm)、中挽き(0.650-1.500mm)、中粗挽き、粗挽き(0.850-2.100mm)、極粗挽き(1.000-2.500mm)、あるいは平均粒径3mm、同5mm又は同10mm程度のカット品が挙げられる。
(水蒸気蒸留)
本発明では、焙煎コーヒー豆中の香気成分を水蒸気により留出させる。
水蒸気蒸留は、公知の方法及び装置で行えばよく、特に制限されるものではない。
水蒸気蒸留の温度条件としては、香気成分を十分に留出させるために、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましく、90℃以上が更に好ましい。また、香気成分の変質防止の観点から、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましい。水蒸気蒸留の温度範囲としては、60〜150℃が好ましく、70〜120℃がより好ましく、80〜120℃が更に好ましく、80〜100℃が更に好ましく、90〜100℃が更に好ましい。
水蒸気蒸留は、減圧、常圧、及び加圧のいずれの条件を採用することができる。すなわち、絶対圧で10〜1000kPaで行うことができるが、香気成分の確保の面から、50〜300kPaが好ましく、常圧が更に好ましい。
水蒸気の供給量は、十分に香気成分を流出させるという観点より、焙煎コーヒー豆の質量に対して、0.05〜5倍が好ましく、0.1〜2倍がより好ましい。また、流速は、焙煎コーヒー豆の質量に対して、毎分0.01〜1倍、更に毎分0.02〜0.5倍、更に毎分0.03〜0.2倍で行うことが好ましい。
焙煎コーヒー豆を2種類以上使用する場合は、求める風味に応じて、1種類あるいは、複数種類の焙煎コーヒー豆に水蒸気蒸留を施せばよく、使用するすべてのコーヒー豆から香気成分を回収しなくてもよい。
(凝縮)
焙煎コーヒー豆から留出された蒸気は、凝縮器により液化され回収される。
留分の回収量(凝縮量)は、十分に香気成分を回収するという観点より、焙煎コーヒー豆の質量に対して0.01倍以上が好ましく、0.02倍以上がより好ましく、0.04倍以上がより好ましい。また、雑味発生を抑制する観点より、凝縮量は、焙煎コーヒー豆質量に対して3倍以下が好ましく、2倍以下がより好ましく、1.5倍以下が更に好ましく、1倍以下が更に好ましく、0.5倍以下が更に好ましく、0.4倍以下が殊更に好ましく、0.3倍以下が殊更好ましい。留分の凝縮量の範囲としては、焙煎コーヒー豆の質量に対して、好ましくは0.01〜3倍、より好ましくは0.01〜2倍、更に好ましくは0.02〜1.5倍、更に好ましくは0.02〜1倍、更に好ましくは0.02〜0.5倍、更に好ましくは0.04〜0.4倍、更に好ましくは0.04〜0.3倍である。かかる範囲にすることにより、程良い苦味のコーヒー抽出液を得ることができる。
また、本発明においては、凝縮温度を高く設定して蒸気の一部のみを回収することで、自然でバランスのよいコーヒー抽出液を得ることができる。凝縮温度は通常0℃以上であるが、かかる観点より、20℃以上が好ましく、70℃以上が更に好ましく、75℃以上が更に好ましく、80℃以上が殊更好ましい。液の回収率の観点より、凝縮温度は120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、95℃以下が更に好ましい。凝縮温度の範囲としては、通常0〜120℃、好ましくは20〜120℃、より好ましくは70〜120℃、更に好ましくは75〜100℃、更に好ましくは75〜95℃、更に好ましくは80〜95℃である。
凝縮率は、程良い苦味のコーヒー抽出液を得るという観点から、水蒸気供給量に対して80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。また、十分な香気成分を回収するという観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、25質量%以上が更に好ましい。凝縮率の範囲としては、水蒸気供給量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは10〜50質量%、更に好ましくは15〜40質量%、更に好ましくは20〜40質量%、更に好ましくは25〜40質量%である。
〔第2の工程〕
第2の工程は、水蒸気蒸留後の焙煎コーヒー豆に水系溶媒を接触させて抽出する工程である。これにより、ミドルノートの一部とラストノートを構成する香味成分を含む原料コーヒー抽出液を得ることができる。
(抽出)
抽出方法は特に制限されないが、例えば、ボイリング式、エスプレッソ式、サイホン式、ドリップ式(ペーパー、ネル等)等が挙げられる。また、水蒸気蒸留カラム中でそのまま抽出を行うことも差し支えない。抽出時間は抽出方法により適宜選択可能であるが、例えば、10秒〜120分、好ましくは10〜30分である。
水系溶媒としては、水、アルコール水溶液、ミルク、炭酸水等が挙げられる。
水系溶媒のpH(20℃)は、通常4〜10であり、風味の観点から、5〜7が好ましい。なお、水系溶媒中にpH調整剤、例えば、重炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、L−アルコルビン酸Naを含有させ、pHを適宜調整しても良い。
水系溶媒の温度は、60℃以上が好ましく、90℃以上が更に好ましい。なお、温度の上限は、100℃であることが好ましい。
水系溶媒の使用量は、焙煎コーヒー豆の質量に対して、1〜12倍が好ましく、2〜7倍がより好ましく、2〜5倍が更に好ましい。
原料コーヒー抽出液の固形分量は、抽出液のハンドリング効率の観点より1%以上が好ましく、2%以上がより好ましい。また、多孔質吸着体処理においてクロロゲン酸類の損失を防ぐという観点から、通常70%以下、30%以下が好ましく、25%以下がより好ましく、20%以下が更に好ましい。原料コーヒー抽出液の固形分量の範囲としては、好ましくは1〜70%、より好ましくは1〜30%、更に好ましくは2〜30%、更に好ましくは2〜25%、更に好ましくは2〜20%である。ここでいう「固形分量」は、後掲の実施例に記載の「固形分の測定」にしたがうものとする。
〔第3の工程〕
第3の工程は、原料コーヒー抽出液を多孔質吸着体で処理し、吸着体処理物を得る工程である。これにより、不要成分を除去することができる。ここで、本明細書において「吸着体処理物」とは、吸着体処理液、その濃縮物、及びその乾燥物も含む概念である。
(多孔質吸着体)
本発明に用いる多孔質吸着体の種類としては、吸着技術便覧―プロセス・材料・設計−(平成11年1月11日、エヌ・ティー・エス発行、監修者:竹内 雍)に記載されている、炭素質吸着材、シリカ・アルミナ系吸着材、高分子吸着材、キトサン樹脂などが使用できる。コーヒー風味を残存させる観点から、炭素質吸着材が好ましい。
炭素質吸着材としては、ヒドロキシヒドロキノンを高い選択性をもって吸着する観点から、粉末状活性炭、粒状活性炭、活性炭繊維等の活性炭が好ましい。
粉末状及び粒状活性炭の由来原料としては、オガコ、石炭やヤシ殻等があるが、ヤシ殻由来のヤシ殻活性炭が好ましく、水蒸気等のガスにより賦活した活性炭が更に好ましい。このような水蒸気賦活活性炭の市販品としては、白鷺WH2c(日本エンバイロケミカルズ株式会社)、太閣CW(二村化学工業株式会社)、クラレコールGL、クラレコールGW(以上、クラレケミカル株式会社)等が挙げられる。
多孔質吸着体の使用量は、後味の雑味の原因物質を十分に除去するために、原料コーヒー抽出液の固形分量に対して0.1倍以上が好ましく、0.2倍以上がより好ましく、0.3倍以上が更に好ましく、0.4倍以上が殊更に好ましい。また、コクを残すために、2倍以下が好ましく、1.8倍以下がより好ましく、1.5倍以下が更に好ましく、1.2倍以下が殊更に好ましい。多孔質吸着体の使用量の範囲としては、原料コーヒー抽出液の固形分量に対して、好ましくは0.1〜2倍、より好ましくは0.2〜1.8倍、更に好ましくは0.2〜1.5倍、更に好ましくは0.3〜1.2倍、更に好ましくは0.4〜1.2倍である。なお、ここでいう「固形分量」は、後掲の実施例に記載の「固形分の測定」にしたがうものとする。
(接触処理)
接触処理手段としては、例えば、バッチ法又はカラム通液法が挙げられる。
バッチ法としては、原料コーヒー抽出液に、多孔質吸着剤を加え−10〜100℃で0.5分〜5時間撹拌した後、吸着剤を除去すればよい。処理時の雰囲気としては、空気下、不活性ガス下(窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、二酸化炭素)が挙げられるが、風味の観点より不活性ガス下が好ましい。
カラム通液法としては、吸着カラム内に吸着剤を充填し、原料コーヒー抽出液をカラム下部又は上部から通液させ、他方から排出させる。吸着剤の充填高さL及びD(径)の比L/Dは0.1〜10が好ましい。吸着剤のカラム内への充填量は、通液前に吸着カラムに充填できる量であれば良い。吸着カラムは、その上段又は下段の少なくとも1つにメッシュ(網)又はパンチングメタルなどの、実質的に吸着剤が漏れ出さない分離構造体を有していることが好ましい。分離構造体の開口径は、吸着剤の平均粒径より小さければ特に限定されず、好ましくは吸着剤の平均粒径の1/2以下、更に好ましくは1/3以下の目開きが良い。具体的な開口径は、0.1〜1000μmが好ましい。
吸着処理温度は、−10℃〜100℃が好ましく、風味の観点より、0〜98℃がより好ましい。
なお、カラム通液法では、同一のカラム内に吸着剤と焙煎コーヒー豆を同時に仕込み、第1の工程から第3の工程を同一容器内で行うこともできる。容器としては、例えば、槽型抽出機やカラム型抽出機が挙げられ、中でも、カラム型抽出機が好ましい。
カラム型抽出機としては、例えば、抽出溶媒の供給口と、原料コーヒー抽出液の排出口とを備えるものであれば特に限定されないが、抽出機の底部に抽出溶媒を供給するためのバルブと、上部に抽出溶媒を供給するためのシャワーノズルと、原料コーヒー抽出液を排出するためのバルブと、多孔質吸着体及び焙煎コーヒー豆を保持するための保持板を備えるものが好適に使用される。
また、抽出機に、多孔質吸着体及び焙煎コーヒー豆を仕込む方法としては、多孔質吸着体及び焙煎コーヒー豆をそれぞれ層状に仕込むことが好ましく、その場合、原料コーヒー抽出液の排出側に多孔質吸着体が位置するように仕込むことが好ましい。なお、多孔質吸着体及び焙煎コーヒー豆は各々複数層有することができる。
抽出通液倍数(コーヒー抽出液/コーヒー豆)は、1〜12が好ましく、2〜7がより好ましく、2〜5倍が更に好ましい。
抽出溶媒の温度は、0〜100℃、好ましくは50〜98℃、更に好ましくは75〜98℃である。抽出溶媒の供給速度は適宜設定可能であるが、例えば、カラム型抽出機を使用する場合の線速度は10〜120mm/min、より好ましくは10〜100mm/min、更に好ましくは10〜90mm/minである。
〔第4の工程〕
第4の工程は、第3の工程で得られた吸着体処理物を乾燥させ、コーヒー固形物を得る工程である。
吸着体処理物をそのまま乾燥してコーヒー固形物を得ることができるが、濃縮を行って固形分が25〜60質量%の吸着体処理物とし、その後に乾燥することが好ましい。乾燥は、フリーズドライあるいはスプレードライする方法が例示される。フリーズドライの場合、吸着体処理物を−27〜−70℃に冷却して凍結させ、凍結したまま粉砕し、1〜100Paに減圧にすることにより乾燥させてコーヒー固形物を得ることができる。また、スプレードライの場合は、吸着体処理物を熱風に噴霧することで乾燥を行う。噴霧圧は10〜500kPaが好適であり、乾燥機の条件は入口熱風温度150〜300℃、出口熱風温度100〜130℃の条件が好適に用いられる。
〔第5の工程〕
第5の工程は、コーヒー固形物と留分とを混合する工程である。これにより、香りの強化されたインスタントコーヒーを得ることができる。
コーヒー固形物と留分の混合は、コーヒー固形物に留分を混合すればよく、混合方法・装置に特に制限はない。例えば、スプレーノズル等を用いてコーヒー固形物に直接留分を噴霧する方法や、流動層にスプレー装置を備えた造粒コーティング装置を用いて留分を噴霧する方法等を挙げることができる。
コーヒー固形物と留分の混合比率は、それぞれ全量混合してもよく、あるいは、求める風味に応じて任意に変えても良い、また、留分についてはそのまま混合してもよいが、適宜濃縮して用いることもできる。
また、本発明においては、第2の工程から第5の工程のいずれか1以上の工程、あるいは第5の工程後において、原料コーヒー抽出液とは別のコーヒー豆から得られたコーヒー抽出液、その吸着体処理物及びそれらの固形物から選ばれる少なくとも1種を添加してもよい。具体的には、例えば、以下の態様を挙げることができる。
1)第3の工程において、原料コーヒー抽出液に、これとは別のコーヒー豆から得たコーヒー抽出液(以下、「独立したコーヒー抽出液」とも称する)を添加し、多孔質吸着体と接触処理する。なお、独立したコーヒー抽出液は、例えば、コーヒー豆から第2の工程と同様の抽出操作により調製することができる。
2)第4の工程において、吸着体処理物に、独立したコーヒー抽出液又はその吸着体処理物(以下、「独立した吸着体処理物」とも称する)を添加し、乾燥する。独立した吸着体処理物は、例えば、独立したコーヒー抽出液を、第3の工程と同様の接触処理に供することにより調製することができる。
3)第5の工程において、留分との混合前に、コーヒー固形物と、独立したコーヒー抽出液の固形物(以下、「独立したコーヒー固形物」とも称する)を混合し、その後得られた混合物を留分と混合する。なお、独立したコーヒー固形物は、独立したコーヒー抽出液又は独立した吸着体処理物を、第4の工程と同様の乾燥処理に供することにより調製することができる。
4)第5の工程において、コーヒー固形物と、独立したコーヒー固形物と、留分を混合する。
5)第5の工程後において、インスタントコーヒーに、独立したコーヒー固形物を混合する。
本発明においては、クロロゲン酸類の含有量の増量の観点から、独立したコーヒー抽出液として、生コーヒー豆及び浅焙煎コーヒー豆から選らばれる少なくとも1種のコーヒー豆から得られた抽出液を使用することができる。浅焙煎コーヒー豆のL値は、クロロゲン酸類の含有量の点から、23以上、更に27以上が好ましく、他方L値の上限は、風味の点から、62未満、更に60以下、更に55以下が好ましい。浅焙煎コーヒー豆のL値の範囲としては、好ましくは23以上62未満、より好ましくは23〜60、更に好ましくは27〜55である。なお、浅焙煎コーヒー豆は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することが可能であり、またL値が23未満の焙煎コーヒー豆と組み合わせて使用することも可能である。この場合、焙煎コーヒー豆のL値の平均値が上記範囲内となるように調整される。なお、2種以上組み合わせて使用する場合のL値の平均値は、前述と同様に、使用する焙煎コーヒー豆のL値に、当該焙煎コーヒー豆の含有質量比率を乗じた値の総和とする。
また、独立した吸着体処理物及び独立したコーヒー固形物としては、生コーヒー豆及び浅焙煎コーヒー豆から選らばれる少なくとも1種のコーヒー豆から得られた抽出液から調製されたものが好ましい。
このようにして、本発明のインスタントコーヒーを得ることができる。ここで、本明細書において「インスタントコーヒー」とは、水分量3質量%以下であって、飲用時に水、熱水、ミルク等の液体で還元される多孔質粒状濃縮コーヒー組成物をいう。インスタントコーヒーの形態としては、例えば、スプーンで計量して調製するもの、透過性浸出パッケージ又はカップ1杯分毎に小分けしたスティックタイプが挙げられる。
本発明のインスタントコーヒーには、クロロゲン酸類が含まれており、インスタントコーヒー中のクロロゲン酸類の含有量は、コク、香り及び後味のキレのバランス、生理効果の観点から、0.5〜80質量%、更に0.7〜70質量%、更に3.5〜35質量%、殊更に5〜20質量%であることが好ましい。ここでいう「固形分」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分をいう。また、本明細書において「クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸と、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸のジカフェオイルキナ酸を併せての総称である。クロロゲン酸類の含有量は上記9種の合計量に基づいて定義される。
また、本発明のインスタントコーヒーは、カフェインを含有していてもよく、インスタントコーヒー中のカフェインの含有量は、風味及び生理効果の観点から、0.01〜10質量%、更に0.01〜8質量%、更に0.05〜6質量%、殊更に0.1〜5質量%であることが好ましい。
更に、本発明のインスタントコーヒーは、ヒドロキシヒドロキノンを含有していてもよく、インスタントコーヒー中のヒドロキシヒドロキノンの含有量は、風味及び生理効果の観点から、0.01×10-5〜50×10-4質量%、更に0.01×10-5〜30×10-4質量%、更に0.05×10-5〜15×10-4質量%、殊更に0.1×10-5〜10×10-4質量%であることが好ましい。また、インスタントコーヒー中の(A)クロロゲン酸類に対する(B)ヒドロキシヒドロキノンの含有質量比[(B)/(A)]は、風味及び生理効果の観点から、0.01×10-4〜10×10-4、更に0.02×10-4〜8×10-4、更に0.1×10-4〜7×10-4、殊更に0.2×10-4〜5×10-4であることが好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の製造方法を開示する。
<1>
焙煎コーヒー豆を水蒸気蒸留し留分を得る第1の工程、
水蒸気蒸留後の焙煎コーヒー豆を水系溶媒と接触させ原料コーヒー抽出液を得る第2の工程、
該原料コーヒー抽出液を多孔質吸着体に接触させ吸着体処理物を得る第3の工程、
該吸着体処理物を乾燥させコーヒー固形物を得る第4の工程、及び
該コーヒー固形物と前記留分とを混合する第5の工程
を含むインスタントコーヒーの製造方法。
<2>
前記前記第1の工程で使用する焙煎コーヒー豆のL値が、通常10〜35、好ましくは15〜30、より好ましくは16〜28、更に好ましくは18〜26である、前記<1>記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<3>
前記第1の工程において、水蒸気蒸留を、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上であって、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは100℃以下の水蒸気を用いて行う、前記<1>又は<2>記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<4>
前記第1の工程において、水蒸気蒸留を、好ましくは60〜150℃、より好ましくは70〜120℃、更に好ましくは80〜120℃、更に好ましくは80〜100℃、更に好ましくは90〜100℃である、前記<1>又は<2>記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<5>
前記第1の工程において、水蒸気蒸留を、絶対圧で好ましくは10〜1000kPa、より好ましくは50〜300kPa、更に好ましくは常圧にて行う、前記<1>〜<4>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<6>
前記第1の工程において、水蒸気の供給量が、焙煎コーヒー豆の質量に対して、好ましくは0.05〜5倍、より好ましくは0.1〜2倍である、前記<1>〜<5>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<7>
前記第1の工程において、供給する水蒸気の流速が、焙煎コーヒー豆質量に対して、好ましくは毎分0.01〜1倍、より好ましくは毎分0.02〜0.5倍、更に好ましくは毎分0.03〜0.2倍である、前記<1>〜<6>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<8>
前記第1の工程において、焙煎コーヒー豆の質量に対して、好ましくは0.01倍以上、より好ましくは0.02倍以上、更に好ましくは0.04倍以上であって、好ましくは3倍以下、より好ましくは2倍以下、更に好ましくは1.5倍以下、更に好ましくは1倍以下、更に好ましくは0.5倍以下、更に好ましくは0.4倍以下、殊更に好ましくは0.3倍以下の留分を得る、前記<1>〜<7>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<9>
前記第1の工程において、焙煎コーヒー豆の質量に対して、好ましくは0.01〜3倍、より好ましくは0.01〜2倍、更に好ましくは0.02〜1.5倍、更に好ましくは0.02〜1倍、更に好ましくは0.02〜0.5倍、更に好ましくは0.04〜0.4倍、更に好ましくは0.04〜0.3倍の留分を得る、前記<1>〜<7>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<10>
前記第1の工程において、留出した蒸気を、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上、更に好ましくは80℃以上であって、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは95℃以下で凝縮して留分を得る、前記<1>〜<9>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<11>
前記第1の工程において、留出した蒸気を、通常0〜120℃、好ましくは20〜120℃、より好ましくは70〜120℃、更に好ましくは75〜100℃、更に好ましくは75〜95℃、更に好ましくは80〜95℃で凝縮して留分を得る、前記<1>〜<9>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<12>
前記第1の工程において、水蒸気供給量に対して、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下であって、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上の留分を得る、前記<1>〜<11>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<13>
前記第1の工程において、水蒸気供給量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは10〜50質量%、更に好ましくは15〜40質量%、更に好ましくは20〜40質量%、更に好ましくは25〜40質量%の留分を得る、前記<1>〜<11>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<14>
前記第2の工程で使用する水系溶媒が水、アルコール水溶液、ミルク又は炭酸水である、前記<1>〜<13>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<15>
前記第2の工程で使用する水系溶媒のpHが、好ましくは4〜10、より好ましくは5〜7である、前記<1>〜<14>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<16>
前記第2の工程で使用する水系溶媒の温度が、好ましくは60℃以上、より好ましくは90℃以上であって、好ましくは100℃以下である、前記<1>〜<15>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<17>
前記第2の工程における水系溶媒の使用量が、焙煎コーヒー豆の質量に対して、好ましくは1〜12倍、より好ましくは2〜7倍、更に好ましくは2〜5倍である、前記<1>〜<16>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<18>
第2の工程において得られる原料コーヒー抽出液の固形分量が、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上であって、好ましくは70%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下、更に好ましくは20%以下である、前記<1>〜<17>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<19>
第2の工程において得られる原料コーヒー抽出液の固形分量が、好ましくは1〜70%、より好ましくは1〜30%、更に好ましくは2〜30%、更に好ましくは2〜25%、更に好ましくは2〜20%である、前記<1>〜<17>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<20>
前記第3の工程で使用する多孔質吸着体が活性炭である、前記<1>〜<19>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<21>
前記活性炭が、ヤシ殻活性炭、水蒸気賦活活性炭である、前記<20>記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<22>
前記第3の工程において、原料コーヒー抽出液の固形分量に対して、好ましくは0.1倍以上、より好ましくは0.2倍以上、更に好ましくは0.3倍以上、更に好ましくは0.4倍以上であって、好ましくは2倍以下、より好ましく1.8倍以下、更に好ましくは1.5倍以下、更に好ましくは1.2倍以下の多孔質吸着体を接触させる、前記<1>〜<21>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<23>
前記第3の工程において、原料コーヒー抽出液の固形分量に対して、好ましくは0.1〜2倍、より好ましくは0.2〜1.8倍、更に好ましくは0.2〜1.5倍、更に好ましくは0.3〜1.2倍、更に好ましくは0.4〜1.2倍の多孔質吸着体を接触させる、前記<1>〜<21>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<24>
前記第4の工程において、第3の工程で得られた吸着体処理物をフリーズドライ又はスプレードライにより乾燥させる、前記<1>〜<23>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<25>
前記第2の工程から第5の工程のいずれか1以上の工程において、あるいは前記第5の工程後において、原料コーヒー抽出液とは別のコーヒー豆から得られたコーヒー抽出液、その吸着体処理物及びそれらの固形物から選ばれる少なくとも1種を添加し処理する、前記<1>〜<24>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<26>
前記原料コーヒー抽出液とは別のコーヒー豆から得られたコーヒー抽出液、その吸着体処理物及びそれらの固形物から選ばれる少なくとも1種を添加し処理する態様が下記の1)〜5)のうちのいずれかである、前記<25>記載のインスタントコーヒーの製造方法。
1)前記第3の工程において、前記原料コーヒー抽出液に、これとは別のコーヒー豆から得たコーヒー抽出液を添加し、多孔質吸着体と接触処理する。
2)前記第4の工程において、前記吸着体処理物に、前記原料コーヒー抽出液とは別のコーヒー豆から得たコーヒー抽出液又はその吸着体処理物を添加し、乾燥する。
3)前記第5の工程において、前記留分との混合前に、前記コーヒー固形物と、前記原料コーヒー抽出液とは別のコーヒー豆から得たコーヒー抽出液の固形物を混合し、その後得られた混合物を留分と混合する。
4)前記第5の工程において、前記コーヒー固形物と、前記原料コーヒー抽出液とは別のコーヒー豆から得たコーヒー抽出液の固形物と、留分を混合する。
5)前記第5の工程後において、インスタントコーヒーに、前記原料コーヒー抽出液とは別のコーヒー豆から得たコーヒー抽出液の固形物を混合する。
<27>
インスタントコーヒー中のクロロゲン酸類の含有量が、好ましくは0.5〜80質量%、より好ましくは0.7〜70質量%、更に好ましくは3.5〜35質量%、殊更に好ましくは5〜20質量%である、前記<1>〜<26>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<28>
インスタントコーヒー中のカフェインの含有量が、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.01〜8質量%、更に好ましくは0.05〜6質量%、殊更に好ましくは0.1〜5質量%である、前記<1>〜<27>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<29>
インスタントコーヒー中のヒドロキシヒドロキノンの含有量が、好ましくは0.01×10-5〜50×10-4質量%、より好ましくは0.01×10-5〜30×10-4質量%、更に好ましくは0.05×10-5〜15×10-4質量%、殊更に好ましくは0.1×10-5〜10×10-4質量%である、前記<1>〜<28>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
<30>
インスタントコーヒー中の(A)クロロゲン酸類に対する(B)ヒドロキシヒドロキノンの含有質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.01×10-4〜10×10-4、より好ましくは0.02×10-4〜8×10-4、更に好ましくは0.1×10-4〜7×10-4、殊更に好ましくは0.2×10-4〜5×10-4である、前記<1>〜<29>のいずれか一に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
1.クロロゲン酸類、カフェインの分析
クロロゲン酸類の分析法は次の通りである。分析機器はHPLCを使用した。
装置の構成ユニットの型番は次の通り。
UV−VIS検出器:L−2420((株)日立ハイテクノロジーズ)、
カラムオーブン:L−2300((株)日立ハイテクノロジーズ)、
ポンプ:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ)、
オートサンプラー:L−2200((株)日立ハイテクノロジーズ)、
カラム:Cadenza CD−C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト(株))。
分析条件は次の通りである。
サンプル注入量:10μL、
流量:1.0mL/min、
UV−VIS検出器設定波長:325nm(クロロゲン酸類)、270nm(カフェイン)
カラムオーブン設定温度:35℃、
溶離液A:0.05M 酢酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液、
溶離液B:アセトニトリル。
濃度勾配条件
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
HPLCでは、試料1gを精秤後、溶離液Aにて10mLにメスアップし、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過後、分析に供した。
クロロゲン酸類の保持時間(単位:分)9種のクロロゲン酸類
・モノカフェオイルキナ酸:5.3、8.8、11.6の計3点
・フェルラキナ酸:13.0、19.9、21.0の計3点
・ジカフェオイルキナ酸:36.6、37.4、44.2の計3点。
ここで求めた9種のクロロゲン酸類の面積値から5−カフェオイルキナ酸を標準物質とし、質量%を求めた。
カフェインの保持時間:18.9分。
ここで求めたカフェインの面積値から試薬カフェインを標準物質とし、質量%を求めた。
2.ヒドロキシヒドロキノンの分析
ヒドロキシヒドロキノンの分析法は次の通りである。
分析機器はHPLC−電気化学検出器(クーロメトリック型)であるクーロアレイシステム(モデル5600A、開発・製造:米国ESA社、輸入・販売:エム・シー・メディカル(株))を使用した。
装置の構成ユニットの名称・型番は次の通りである。
アナリティカルセル:モデル5010、クーロアレイオーガナイザー、
クーロアレイエレクトロニクスモジュール・ソフトウエア:モデル5600A、
溶媒送液モジュール:モデル582、グラジエントミキサー、
オートサンプラー:モデル542、パルスダンパー、
デガッサー:Degasys Ultimate DU3003、
カラムオーブン:505。
カラム:CAPCELL PAK C18 AQ 内径4.6mm×長さ250mm、粒子径5μm((株)資生堂)。
分析条件は次の通りである。
サンプル注入量:10μL、
流量:1.0mL/min、
電気化学検出器の印加電圧:0mV、
カラムオーブン設定温度:40℃、
溶離液C:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液、
溶離液D:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、50(V/V)%メタノール溶液。
溶離液C及びDの調製には、高速液体クロマトグラフィー用蒸留水(関東化学(株))、高速液体クロマトグラフィー用メタノール(関東化学(株))、リン酸(特級、和光純薬工業(株))、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(60%水溶液、東京化成工業(株))を用いた。
濃度勾配条件
時間 溶離液C 溶離液D
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
10.1分 0% 100%
20.0分 0% 100%
20.1分 100% 0%
50.0分 100% 0%
分析試料の調製は、試料5gを精秤後、0.5(W/V)%リン酸、0.5mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液にて10mLにメスアップし、この溶液について遠心分離を行い上清を得た。この上清について、ボンドエルートSCX(固相充填量:500mg、リザーバ容量:3mL、ジーエルサイエンス(株))に通液し、初通過液約0.5mLを除いて通過液を得た。この通過液について、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過し、速やかに分析に供した。
HPLC−電気化学検出器の上記の条件における分析において、ヒドロキシヒドロキノンの保持時間は、6.38分であった。得られたピークの面積値から、ヒドロキシヒドロキノン(和光純薬工業(株))を標準物質とし、質量%を求めた。
3.L値の測定
試料を、色差計((株)日本電色社製 スペクトロフォトメーター SE2000)を用いて測定した。
4.固形分の測定
コーヒー中の可溶性固形分量は20℃における糖用屈折計示度(Brix)で表され、Atago RX-5000α-Bev(Atago社製)にて分析した。
5.官能評価
容器詰コーヒー飲料の味と香りについて、専門パネラー2人による飲用試験を行った。飲用試験では、比較例1のインスタントコーヒー液を標準とする相対評価とし、下記の基準にしたがって評価した。そして、各インスタントコーヒー液についての各パネラーの評点を合計した。
基準:
(i)コクの強さ
5点 コクが強い
4点 コクがやや強い
3点 標準のコク
2点 コクがやや弱い
1点 コクが弱い
(ii)キレ(後味)
5点 キレが良い
4点 キレがやや良い
3点 標準のキレ
2点 後味がやや残る
1点 後味が強く残る
(iii)香り
5点 香りが強い
4点 香りがやや強い
3点 標準の香り
2点 香りがやや弱い
1点 香りが弱い
(iv)苦味
5点 苦味が強い
4点 苦味がやや強い
3点 標準の苦味
2点 苦味がやや弱い
1点 苦味が弱い
以下の2種の焙煎コーヒー豆を使用した。
焙煎コーヒー豆1:ブラジル産アラビカ種の焙煎コーヒー豆(焙煎度L値18)
焙煎コーヒー豆2:ベトナム産ロブスタ種豆の焙煎コーヒー豆(焙煎度L値35)とブラジル産アラビカ種の焙煎コーヒー豆(焙煎度L値18)とを質量比80:20でブレンドしたもの
実施例1
(コーヒー固形物1)
活性炭100g(クラレケミカル社 クラレコールGW32/60)をカラムに仕込み、その上に焙煎コーヒー豆1を400g仕込んだ。
カラム下部から100℃の常圧の水蒸気を流量23g/minにて供給し、158秒間水蒸気蒸留を行った。カラム上部から出てきた蒸気を、凝縮温度85℃にて凝縮させ、焙煎コーヒー豆の質量に対して0.05倍量(20g)の留分を得た。凝縮率は、水蒸気供給量に対して33%であった。
次いで、カラム下部から98℃温水を250g供給し、その後、上部からの98℃温水を1020g供給し、10分間保持した。その後、上部から98℃温水を100g/minで供給しながら、下部より同一速度で抜き出し、抽出と同時にカラムの下部に充填された活性炭に接触させる処理を行った。12分後、1200gを抜き出した時点で抜き出しを終了し、吸着体処理物(液体1)を得た。抽出通液倍数は焙煎コーヒー豆に対して3質量倍であった。また、活性炭処理前の抽出液の固形分量は7.3%であり、抽出液の固形分量に対する活性炭の使用量は1.1倍であった。
液体1をスプレードライヤー(ヤマト科学社製 Pulvis GB22)によって乾燥し、コーヒー固形物1を得た。なお、スプレードライの条件は、熱風入口温度:170℃、出口温度:92℃、噴霧圧:150kPa、フィード速度:5g/minで行った。
(コーヒー固形物2)
活性炭100g(クラレケミカル社 クラレコールGW32/60)をカラムに仕込み、その上に焙煎コーヒー豆2を400g仕込んだ。
焙煎コーヒー豆2に対しては水蒸気蒸留を行わず、カラム下部から98℃温水を250g供給し、その後、上部からの98℃温水を1020g供給し、10分間保持した。その後、上部から98℃温水を100g/minで供給しながら、下部より同一速度で抜き出し、抽出と同時にカラムの下部に充填された活性炭に接触させる処理を行った。
24分後、2400gを抜き出した時点で抜き出しを終了し、吸着体処理物(液体2)を得た。抽出通液倍数は焙煎コーヒー豆に対して6質量倍であった。また、活性炭処理前の抽出液の固形分量は4.7%であり、抽出液の固形分量に対する活性炭の使用量は0.89倍であった。
液体2を上記の条件でスプレードライヤーによって乾燥し、コーヒー固形物2を得た。
(インスタントコーヒー)
コーヒー固形物1とコーヒー固形物2を20:80の質量比で混合した後、混合後の固形物に対して3質量%の留分を混合し、インスタントコーヒーAを得た。
実施例2
水蒸気供給時間139秒とし、カラム上部から出てきた蒸気を、凝縮温度80℃にて凝縮させたこと以外は、実施例1と同様の操作により、焙煎コーヒー豆1から留分を20g得た。凝縮率は、水蒸気供給量に対して37%であった。その後、実施例1と同様に操作し、液体3を得、スプレードライによりコーヒー固形物3を得た。
コーヒー固形物3とコーヒー固形物2を20:80の質量比で混合した後、混合後の固形物に対して3質量%の留分を実施例1と同様の操作により混合し、インスタントコーヒーBを得た。
実施例3
水蒸気供給時間108秒とし、カラム上部から出てきた蒸気を、凝縮温度5℃にて凝縮させたこと以外は、実施例1と同様の操作により、焙煎コーヒー豆1から留分を20g得た。凝縮率は、水蒸気供給量に対して48%であった。その後、実施例1と同様に操作し、液体4を得、スプレードライによりコーヒー固形物4を得た。
コーヒー固形物4とコーヒー固形物2を20:80の質量比で混合した後、混合後の固形物に対して3質量%の留分を実施例1と同様の操作により混合し、インスタントコーヒーCを得た。
比較例1
活性炭を充填せず、焙煎コーヒー豆1400gをカラムに仕込んだ。
水蒸気蒸留を行わず、カラム下部から98℃温水を250g供給し、その後、上部からの98℃温水を1020g供給し、10分間保持した。その後、上部から98℃温水を100g/minで供給しながら、下部より同一速度で抜き出した。12分後、1200gを抜き出した時点で抜き出しを終了し、コーヒー抽出液(液体5)を得た。抽出通液倍数は焙煎コーヒー豆に対して3質量倍であった。
液体5をスプレードライヤー(ヤマト科学社製 Pulvis GB22)によって乾燥し、コーヒー固形物5を得た。なお、スプレードライの条件は、実施例1と同様である。
コーヒー固形物5とコーヒー固形物2を20:80の質量比で混合し、インスタントコーヒーDを得た。
得られたインスタントコーヒーA〜D 2gを熱水140gに溶解し、成分分析及び官能評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005930830
表1から、本製造方法により得られたインスタントコーヒーは、コクと香りに富み、かつ後味のキレが良いことが示される。

Claims (6)

  1. 焙煎コーヒー豆を水蒸気蒸留し、留出した蒸気を70〜120℃の温度範囲で凝縮して留分を得る第1の工程、
    水蒸気蒸留後の焙煎コーヒー豆を水系溶媒と接触させ原料コーヒー抽出液を得る第2の工程、
    該原料コーヒー抽出液を多孔質吸着体に接触させ吸着体処理物を得る第3の工程、
    該吸着体処理物を乾燥させコーヒー固形物を得る第4の工程、及び
    該コーヒー固形物と前記留分とを混合する第5の工程
    を含むインスタントコーヒーの製造方法。
  2. 前記第1の工程において、焙煎コーヒー豆の質量に対して0.01〜3倍の留分を得る、請求項1記載のインスタントコーヒーの製造方法。
  3. 前記第1の工程において、水蒸気供給量に対して10〜80質量%の留分を得る、請求項1又は2記載のインスタントコーヒーの製造方法。
  4. 前記第3の工程において、原料コーヒー抽出液の固形分に対し0.1〜2倍の多孔質吸着体を接触させる、請求項1〜のいずれか1項に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
  5. 前記第1の工程において、水蒸気蒸留を60〜150℃の水蒸気を用いて行う、請求項1〜のいずれか1項に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
  6. 第2の工程から第5の工程のいずれか1以上の工程において、あるいは第5の工程後において、原料コーヒー抽出液とは別のコーヒー豆から得られたコーヒー抽出液、その吸着体処理物及びそれらの固形物から選ばれる少なくとも1種を添加し処理する、請求項1〜のいずれか1項に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
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