JP5929228B2 - 電気コネクタ及び電気回路装置 - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁ハウジングの内部に挿入された信号伝送媒体を略不動状態に保持する係止ロック部の係合状態を解除させるロック解除操作部を備えた電気コネクタ及び電気回路装置に関する。
一般に、種々の電気機器等において、フレキシブル・プリンテッド・サーキット(FPC)や、フレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)等の各種信号伝送媒体を電気的に接続するための手段として種々の電気コネクタが広く用いられている。例えば、下記の特許文献1のように印刷配線回路基板上に実装されて使用される電気コネクタでは、FPCやFFC等からなる信号伝送媒体が、絶縁ハウジング(インシュレータ)の前端側開口部から内部に挿入され、その後にアクチュエータ(接続操作手段)が、作業者の操作力でコネクタ前方側又は後方側の接続作用位置に向かって押し倒されるように回動される。これによって、信号伝送媒体の端末部分に設けられた係合部にロック部材の一部が落ち込んで係合状態になされ、信号伝送媒体の端末部分がロック部材により略不動状態に保持される構成になされている。
このように、アクチュエータを備えた電気コネクタは、接続解除位置と接続作用位置との間でアクチュエータを回動操作することによってロック部材の係合・離脱を操作する構成になされているが、信号伝送媒体(FPC,FFC等)の挿入作業とは別個にアクチュエータを操作する必要があるために作業効率が問題となる場合がある。そのため、例えば下記の特許文献2及び3のように、絶縁ハウジングの内部に挿入された信号伝送媒体に対してロック部材の一部が乗り上げるようにして弾性変位し、その後に信号伝送媒体の係合部にロック部材の一部が落ち込んで係合が行われるように構成された、いわゆるワンアクションオートロック機構を備えた電気コネクタが従来から開発されている。このようなワンアクションオートロック機構を備えた電気コネクタを用いれば、電気コネクタの内部の所定位置まで信号伝送媒体を挿入するだけで、信号伝送媒体が略不動状態に保持されることとなり、作業効率の向上が図られる。
このときの係止ロック部は、弾性変位するように設けられたロックアーム部を介して往復移動可能に支持されており、信号伝送媒体を抜去可能とする場合には、ロック解除操作部の操作によってロックアーム部を弾性変位させ、そのロックアーム部の弾性変位に伴って係止ロック部を信号伝送媒体から離間させるように移動させて係合状態を解除させるようにしている。
しかしながら、このような従来の信号伝送媒体に対するロック機構及びロック解除機構においては、絶縁ハウジング、係止ロック部、ロックアーム部、及びロック操作部等からなる各部材が、別個の構成部品から形成されていることから、部品点数増大の原因になっている。一部の部材同士を一部共用化することは行われているものの、機構の全体からしてみると未だ部品点数が多く、生産性の低下を招来することがある。
特開2003−100370号公報 特開2009−231069号公報 特開2011−040246号公報
そこで本発明は、簡易な構成で、信号伝送媒体の保持及び解除を良好に行わせることができるようにしたロック機構及びロック解除機構を備えた電気コネクタ及び電気回路装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明では、絶縁ハウジングの内部に挿入された信号伝送媒体の端末部分に係合して前記信号伝送媒体を略不動状態に保持する係止ロック部を、弾性変位可能に設けられたロックアーム部を介して往復移動可能に支持するように構成されたロック機構と、前記係止ロック部をロック解除操作部の押圧操作により所定の解除方向に移動させて前記信号伝送媒体を抜去可能とするロック解除操作部を備えたロック解除機構とを備えた電気コネクタにおいて、前記ロック機構のロックアーム部が、絶縁ハウジングから前記信号伝送媒体の挿入・抜去方向に片持ち状をなして一体的に延出する第1アームと、その第1アームから前記ロック解除操作部の押圧操作方向に片持ち状をなして一体的に延出し、その延出端側部分に前記係止ロック部が設けられた第2アームと、を有し、前記ロックアーム部の第アームが、前記ロック解除操作部を兼用するように構成されたものであって、前記係止ロック部には、前記信号伝送媒体の挿入・抜去方向に対して傾斜するように延在する媒体ガイド面が一体的に形成されているとともに、前記係止ロック部又は絶縁ハウジングの少なくとも一方には、前記ロック解除操作部の操作方向に対して傾斜するように延在する操作ガイド面が一体的に形成された構成が採用されている。
このような構成を有する本発明によれば、係止ロック部を有するロック機構、及びロック解除操作部を有するロック解除機構が、絶縁ハウジングから一体に延出するロックアーム部を含むようにして絶縁ハウジングと一体的に形成されているため、電気コネクタ全体の生産性が大幅に高められる。
また、本発明における第1アームは、前記係止ロック部の解除方向における厚さ寸法t1に対して前記ロック解除操作部の操作方向における厚さ寸法t2が小さくなるように形成されているとともに、前記第2アームは、前記信号伝送媒体の挿入・抜去方向における厚さ寸法t3に対して前記係止ロック部の解除移動方向における厚さ寸法t4が小さくなるように形成されていることが望ましい。
このような構成を有する本発明によれば、ロック解除操作部を兼用するロックアーム部の第1アームが、ロック解除操作の方向に小さな剛性を有し且つ係止ロック部の移動方向において大きな剛性を有するとともに、係止ロック部を有するロックアーム部の第2アームが、係止ロック部の移動方向に小さな剛性を有し且つ信号伝送媒体Fの挿入・抜去方向に大きな剛性を有していることから、信号伝送媒体の挿入に対応して係止ロック部が良好かつ安定的に移動するとともに、ロック解除操作部の操作力に対応して当該ロック解除操作部が良好かつ安定的に行われる。
また、本発明における前記第1アームと前記第2アームとは、平面略L字形状をなすように形成されていることが望ましい。
このような構成を有する本発明によれば、ロック部に設けられた2つの傾斜ガイド面によって、信号伝送媒体の挿入・抜去に対応する動作、及びロック解除操作部の操作に対応した動作が、安定的に行われる。
また、本発明における電気回路装置においては、上述した電気コネクタが接続される配線回路基板に対して、上述した電気コネクタに挿入される信号伝送媒体重なり合うように配置されることが可能である。


以上述べたように本発明にかかる電気コネクタ及び電気回路装置は、係止ロック部を有するロック機構とロック解除操作部を有するロック解除機構とを、絶縁ハウジングから一体に延出するロックアーム部として一体に形成し、ロック機構のロックアーム部をロック解除機構のロック解除操作部と兼用させることよって、電気コネクタ全体の生産性を高めるように構成したものであるから、簡易な構成で、信号伝送媒体の保持及び解除を良好に行わせることができ、電気コネクタの信頼性を低廉かつ大幅に向上させることができる。
本発明の第1の実施形態にかかる電気コネクタを底面側から表した外観斜視説明図である。 図1に表された電気コネクタの底面説明図である。 図1及び図2に表された電気コネクタの背面説明図である。 図1及び図2に表された電気コネクタの正面説明図である。 図1〜図4に表された電気コネクタの平面説明図である。 図1〜図5に表された電気コネクタの側面説明図である。 図3中のA−A線に沿った横断面説明図である。 図3中のB−B線に沿った横断面説明図である。 図1〜図8に表された電気コネクタの使用状態を底面側から見た外観斜視説明図である。 図1〜図8に表された電気コネクタの使用状態を平面側から見た外観斜視説明図である。 図1〜図10に表された電気コネクタに信号伝送媒体が差し込まれる直前の状態を示した外観斜視説明図である。 図11に表された状態から更に信号伝送媒体が差し込まれて電気コネクタに対する信号伝送媒体の差し込みが完了し、信号伝送媒体が係止ロック部により係止された状態を示した外観斜視説明図である。 図10に表された使用状態にある電気コネクタの背面説明図である。 図13中のC−C線に沿った横断面説明図である。 図13中のD−D線に沿った横断面説明図である。 図13中のE−E線に沿った横断面説明図である。 信号伝送媒体の差し込みが完了したロック状態からロック解除操作が行われ状態を示した平面説明図である。 ロック解除操作が行われた状態を表した図16相当の横断面説明図である。 ロック解除操作が行われた状態を表した図13相当の背面説明図である。 図19中のF部を拡大して表した部分背面説明図である。 本発明の第2の実施形態にかかる電気コネクタに信号伝送媒体が差し込まれる直前の状態を示した外観斜視説明図である。 図21に表された電気コネクタの図15相当の横断面説明図である。 図21に表された電気コネクタにおいてロック解除操作が行われた状態を表した図18相当の横断面説明図である。
以下、フレキシブル・プリンテッド・サーキット(FPC)やフレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)等からなる信号伝送媒体の電気接続を行うべく配線回路基板上に実装して使用される電気コネクタ及び電気回路装置に本発明を適用した実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
[第1の実施形態にかかる電気コネクタの全体構成について]
まず、図1〜図20に示されている本発明の第1実施形態にかかる電気コネクタ10は、いわゆるノン・ジフ(NON-ZIF)タイプのワンアクションオートロック機構を備えた電気コネクタからなるものであって、上述した信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの端末部分を、絶縁ハウジング11の前端縁部(図15の右端縁部)に設けられた媒体挿入口11aを通して絶縁ハウジング11の内部の所定位置まで挿入した際に、信号伝送媒体Fのロックが自動的に行われる構成になされたものである。
[絶縁ハウジングについて]
このとき、前記絶縁ハウジング11は、細長状に延在する中空枠体状の絶縁部材から形成されているが、その絶縁ハウジング11における長手の横幅方向を、以下、「コネクタ長手方向」と呼び、また信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの端末部分を挿入又は離脱させる方向を「コネクタ前後方向」と呼ぶこととする。
その絶縁ハウジング11のコネクタ長手方向における両側部分には、当該電気コネクタ10が使用される図10に示される電気機器の製品シャシパネルSPに設置するための固定フランジ部11b,11bが、当該絶縁ハウジング11の外方側に向かって板状をなして突出するように設けられている。それらの各固定フランジ部11bには、取付フック11cがそれぞれ立設されており、製品筐体のシャシパネルSPに設けられたコネクタ取付穴の周端縁部分に取付フック11cの爪部が嵌合されることによって、電気コネクタ10の全体がシャシパネルSPの所定位置に保持されるようになっている。
このときの絶縁ハウジング11は、シャシパネルSPのコネクタ取付穴を貫通するように取り付けられ、シャシパネルSPの両表面から外方に突出するように配置される。そして、そのシャシパネルSPの一方の表面から突出している絶縁ハウジング11の一方側部分(図15の上半部分)に、上述した信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの端末部分が挿入される媒体挿入口11aが設けられているとともに、シャシパネルSPの他方の表面から突出している絶縁ハウジング11の片側他方部分(図15の下半部分)には、配線回路基板PBが紙面左右方向の両側より挿入される基板挿入口11dが設けられている。以下において、基板挿入口11dから媒体挿入口11aに向かう方向を「上方向」と呼び、その反対の媒体挿入口11aから基板挿入口11dに向かう方向を「下方向」と呼ぶこととする。
このうちの媒体挿入口11aは、上述したように絶縁ハウジング11の前端縁部分(図8及び図15の右端縁部分)に、コネクタ長手方向に沿って細長状をなすように開口して形成されており、当該媒体挿入口11aからコネクタ奥側に向かって、フレキシブル・プリンテッド・サーキット(FPC)やフレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)等からなる信号伝送媒体Fの端末部分を挿入可能とする媒体挿入通路が延出している。
一方、基板挿入口11dは、絶縁ハウジング11の前端縁部分(図8及び図15の右端縁部分)及び後端縁部分(図8及び図15の左端縁部分)の双方に、同じくコネクタ長手方向に沿って細長状をなすようにしてそれぞれ設けられている。そして、これらの各基板挿入口11d,11dからコネクタ奥側に向かって配線回路基板PBの各々を挿入可能とする基板挿入通路が延出している。このように本実施形態にかかる電気回路装置においては、電気コネクタ10の媒体挿入口11a及び基板挿入口11dに、それぞれ配線回路基板PB及び信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fが挿入されることによって、両部材PB,F同士が上下方向において略平行に重なり合うように配置される構成になされている。
また、図3に示されるように、絶縁ハウジング11のコネクタ長手方向の両端部分であって、前記媒体挿入口11a及び基板挿入口11dの両側外方部分には、電気コネクタ10に挿入される信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fを略不動状態に保持するロック部材12がそれぞれ装着されているとともに、絶縁ハウジング11の内部には、コネクタ長手方向に適宜の間隔をなして導電コンタクト13が多極状に配置されている。
[導電コンタクトについて]
上述した絶縁ハウジング11の前端面(図8及び図15の右端面)、並びに後端面(図8及び図15の左端面)には、上下方向に延在するスリット穴からなるコンタクト取付口が複数設けられており、それらの各コンタクト取付口を通して導電コンタクト13が絶縁ハウジング11の内部に圧入されている。このとき、絶縁ハウジング11の前端面側(図8の右端面側)から後方に向かって挿入された導電コンタクト13と、絶縁ハウジング11の後端面側(図7の左端面側)から前方に向かって挿入された導電コンタクト13’とが、コネクタ長手方向において交互に配置されているが、それらの導電コンタクト13と導電コンタクト13’とは、同一の形状をなすように形成されていて、コネクタ前後方向において互いに反対向きになるように対称的な配置関係になされている。以下の説明においては、導電コンタクト13についてのみ説明を行うこととする。
各々の導電コンタクト13は、適宜の形状をなす薄板状金属製部材により形成されていて、信号伝送用又はグランド接続用のいずれかとして、配線回路基板PB上に形成された導電路に圧接して電気的な接続が行われるようになっている。すなわち、絶縁ハウジング11の内部に装着された各導電コンタクト13の配置位置は、上述した媒体挿入口11aを通して絶縁ハウジング11の内部に挿入される信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fに設けられた配線パターンに対応した設定になされている。その信号伝送媒体Fに設けられた配線パターンは、信号伝送用導電路(信号線パッド)又はシールド用導電路(シールド線パッド)を適宜のピッチ間隔で配置したものである。
それらの各導電コンタクト13は、信号伝送媒体F及び配線回路基板PBの挿脱方向(図15の左右方向)であるコネクタ前後方向に沿って延在するように配置されていて、より具体的には、コネクタ前後方向に沿って細長ビーム状に延在するコンタクト基部13aが、媒体挿入口11aと基板挿入口11dとの間部分からコネクタ奥側(図15の左方側)に向かって延出するように配置されているとともに、当該コンタクト基部13aにおけるコネクタ奥側の後端部(図15の左端部)からは、配線回路基板PBの挿入通路側(図15の下方側)に向かって基板接触ビーム13bが片持ち状をなして一体的に延出している。また、コンタクト基部13aにおける前端部分(図15の右端部分)からは、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの挿入通路側(図15の上方側)に向かって媒体接触ビーム13cが片持ち状をなして一体的に延出している。
そのうちの基板接触ビーム13bは、上述したコンタクト基部13aの後端部(図15の左端部)から前方側(図15の右方側)に向かって、略U字状に反転するように延在しており、当該基板接触ビーム13bとコンタクト基部13aとの間に形成された空間部分に、配線回路基板PBが挿入されるようになっている。その片持ち状に延出している基板接触ビーム13bの自由端部分(図15の右端部分)には、配線回路基板PBの表面に圧接される接点部13b1が上向きの突形状をなすように形成されている。
これに対して、媒体接触ビーム13cは、コンタクト基部13aの前端部(図15の右端部)から後方(図15の左方側)に向かって、略U字状に反転するように延在している。その媒体接触ビーム13cは、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの挿入通路の下方に延在しており、当該媒体接触ビーム13cにおける片持ち状の自由端部分(図15の左端部分)には、信号伝送媒体Fの表面に圧接される接点部13c1が上向きの突形状をなすように形成されている。
[ワンアクションオートロック機構について]
一方、本実施形態にかかる電気コネクタ10は、前述したようにワンアクションオートロック機構を備えたものであるが、その前提として信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの端末部分には、特に図11に示されているように、幅方向両側の端縁部分に、切り欠き状の凹部からなる係合位置決め部Fa,Faが形成されている。そして、この信号伝送媒体Fに設けられた係合位置決め部Fa,Faに対応して電気コネクタ10側に一対のロック部材12,12’が設けられており、それらロック部材12,12’の係止作用(ロック作用)によって信号伝送媒体Fの挿入状態が保持される構成になされている。
[ロック部材について]
上述したように両ロック部材12,12’は、絶縁ハウジング11のコネクタ長手方向における両端部分に配置されており、電気コネクタ10の内部に信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fが差し込まれた際に、それらの各ロック部材12の一部、より具体的には、後述する係止ロック部12aが信号伝送媒体Fの表面上に乗り上げ、それによってロック部材12が上方に弾性変位した状態となり、その後、係止ロック部12aが信号伝送媒体Fの係合位置決め部Faの内部に向かって落ち込むことによって係合状態(ロック状態)になされる構成になされている。なお、これらの両ロック部材12,12’は、同一の構成を左右対称とした関係になされていることから、以下、正面左側に配置されたロック部材12についてのみ説明を行い、他方のロック部材12’については説明を省略することとする。
そのロック部材12は、上述した絶縁ハウジング11と一体的に形成された樹脂部材から構成されており、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fに対するロック機構とロック解除機構とを兼用する構成になされている。より具体的には、特に図5,図11及び図12に示されているように、絶縁ハウジング11の長手方向両端部分において、信号伝送媒体Fの挿入・抜去方向と略平行に延在するロックアーム部12bを有しているとともに、そのロックアーム部12bの延出側の先端部分に設けられた係止ロック部12aが、信号伝送媒体Fの係合位置決め部Faに係合することによって当該信号伝送媒体Fが略不動状態に保持される構成になされている。また、上述したロックアーム部12bの一部を、コネクタ長手方向の外方側から中心側に向かって押圧するロック解除操作が行われることによって、係止ロック部12aが信号伝送媒体Fの係合位置決め部Faから離脱して信号伝送媒体Fの係止状態が解除されるようになっている。
ここで、上述したロックアーム部12bは、絶縁ハウジング11のコネクタ前端部(図5の下端部)からコネクタ後方側(図5の上方側)に向かって片持ち状をなして一体的に延出する第1アーム12b1を有しているとともに、その第1アーム12b1の延出方向の先端部(図5の上端部)からは、第2アーム12b2が、ロック解除操作方向、すなわちコネクタ長手方向の外方側から中心側に向かって片持ち状をなして一体的に延出している。このように第1アーム12b1と第2アーム12b2とを有するロックアーム部12bは、平面略L字形状をなすように延在する片持ち状部材から形成されており、コネクタ前後方向に延在している第1アーム12b1が、その片持ち構造の根本部分である絶縁ハウジング11との連結部分を中心としてコネクタ長手方向に揺動可能なロック解除操作部を兼用するように構成されている。また、第2アーム12b2の延出側先端部分に一体的に設けられた係止ロック部12aが、第1アーム12b1及び第2アーム12b2を介して上下方向(図5の紙面垂直方向)に揺動可能となるように構成されている。
このとき、上述した係止ロック部12aには、図16に示されるように、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの挿入・抜去方向に対して傾斜するように延在する媒体ガイド面12a1が、係止ロック部12aの前端側部分(図5の下端側部分)に形成されており、絶縁ハウジング11の内部に挿入された信号伝送媒体Fの端末部分に対して、当該媒体ガイド面12a1の案内作用によって係止ロック部12aが信号伝送媒体Fの表面に乗り上げるように弾性変位される構成になされている。
また、その係止ロック部12aには、図13に示されるように、ロック解除操作方向、すなわちコネクタ長手方向の外方側から中心側に向かう方向に対して傾斜するように延在する操作ガイド面12a2が形成されている。一方、その係止ロック部12aの操作ガイド面12a2に対応して、絶縁ハウジング11側に操作作用面11eが、同じくロック解除操作方向(コネクタ長手方向)に対して傾斜するように形成されている。これらの操作ガイド面12a2と操作作用面11eとは、ロック解除操作方向において互いに対面するように配置されており、上述したようにロック解除操作部を兼用している第1アーム12b1が、コネクタ長手方向の外方側から中心側に向かう方向に押圧されて係止ロック部12aが同方向に移動する際に、当該係止ロック部12aに設けられた操作ガイド面12a2が、絶縁ハウジング11側に設けられた操作作用面11eに当接し、それによって両傾斜面12a2,11e同士の間に上方向に向かう分力が生じ、その上方作用力で係止ロック部12aが上方向に押し上げられる構成になされている。
このとき、図11に示されているように、上述したロックアーム部12bの第1アーム(ロック解除操作部)12b1は、係止ロック部12aの解除移動方向(上下方向)において比較的大きな厚さ(高さ)寸法t1を有するように形成されているとともに、それに直交するロック解除操作方向における厚さ寸法t2が大幅に小さく(薄く)なるように形成されている(t2<t1)。このように第1アーム(ロック解除操作部)12a1の断面剛性が二方向において大幅に異なることによって、当該第1アーム(ロック解除操作部)12a1の弾性変位が、ロック解除操作方向に容易に行われる構成になされている。
これに対して、上述したロックアーム部12bの第2アーム12b2は、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの挿入・抜去方向(コネクタ前後方向)において比較的大きな厚さ(高さ)寸法t3を有するように形成されているとともに、それに直交する係止ロック部12aの移動方向(上下方向)における厚さ寸法t4が大幅に小さく(薄く)なるように形成されている(t4<t3)。このように第2アーム12b2の断面剛性が二方向において大幅に異なることによって、当該第2アーム12b2の弾性変位が、係止ロック部12aの移動方向(上下方向)に容易に行われる構成になされている。
ここで、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの挿入から係合(ロック)及び係合解除(ロック解除)までの状態を具体的に説明しておく。まず、図11に示されているように、絶縁ハウジング11の前方側に対面するように配置された信号伝送媒体Fの端末部分が、図12に示されているように、媒体挿入口11aを通して絶縁ハウジング11の内部に挿入されてくると、その信号伝送媒体Fの挿入側の先端縁部分が、ロック部材12に設けられた係止ロック部12aの前端部分に設けられた媒体ガイド面12a1に当接し、当該係止ロック部12aが信号伝送媒体Fの表面上に乗り上げる。これにより、ロックアーム部材12aの全体が、その根本部分である絶縁ハウジング11との連結部分及びその近傍を中心として上方側に持ち上げられるように弾性変位し、その状態から信号伝送媒体Fの端末部分が後方側に向かって更に押し込まれて、当該信号伝送媒体Fの係合位置決め部Faが係止ロック部12aの直上位置まで移動して来たとき、図16に示されているように、ロックアーム部材12g全体の弾性復元力によって係止ロック部12aが信号伝送媒体Fの係合位置決め部Faの内部に落ち込むように移動される。その結果、信号伝送媒体Fの係合位置決め部Faに対して係止ロック部12aが係合状態となり、信号伝送媒体Fが抜け出すことのないように保持される。
一方、前述したように係止ロック部12aが、信号伝送媒体Fの係合位置決め部Faに係合されて信号伝送媒体Fが保持された状態から、図17〜図20に示されているようにロック解除操作部を兼用するロックアーム部材12aの第1アーム12b1がコネクタ中心側に向かって押し込まれることによってロック解除操作が行われると、ロックアーム部材12aの弾性力に抗して係止ロック部12aもコネクタ中心側に向かって移動し、その際に、当該係止ロック部12aの操作ガイド面12a2が、絶縁ハウジング11側に設けられた操作作用面11eの表面上に乗り上げる。これにより、ロックアーム部材12aの全体が、その根本部分である絶縁ハウジング11との連結部分及びその近傍を中心として上方側に持ち上げられるように弾性変位し、係止ロック部12aが信号伝送媒体Fの係合位置決め部Faから離脱されて、ロック部材12による係合状態(ロック状態)が解除される。
以上説明したように本実施形態においては、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fに対するロック機構とロック解除機構とを兼用するロック部材12が、絶縁ハウジング11から一体に延出するロックアーム部12bを含むようにして絶縁ハウジング11と一体的に形成されているため、電気コネクタ10全体の生産性が大幅に高められる。
このとき、ロック解除操作部を兼用しているロックアーム部12bの第1アーム12b1が、ロック解除操作方向(コネクタ長手方向)に小さな剛性を有し、かつ係止ロック部12aの移動方向(上下方向)において大きな剛性を有するとともに、係止ロック部12aを有するロックアーム部12bの第2アーム12b2が、係止ロック部12aの移動方向に小さな剛性を有し、かつ信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの挿入・抜去方向に大きな剛性を有していることから、信号伝送媒体Fの挿入に対応して係止ロック部12aが良好かつ安定的に移動するとともに、ロック解除操作部であるロックアーム部12bの第1アーム12b1がロック解除操作力に対応して良好かつ安定的に行われる。
特に、本実施形態においては、係止ロック部12aに設けられた2つの傾斜ガイド面12a1,12a2によって、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの挿入・抜去に対応する動作、及びロック解除操作部であるロックアーム部12bの第1アーム12b1に対する押圧操作に対応した動作が安定的に行われる。
[第2の実施形態にかかる電気コネクタについて]
一方、上述した第1の実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した図21〜図23に表された第2の実施形態にかかる電気コネクタ10’は、配線回路基板PB’の片側表面上に実装されて使用されるものであって、絶縁ハウジング11の内部に多極状をなすように配列された導電コンタクト23の各々に設けられた基板接続部23aが、配線回路基板(図示省略)上に形成された信号伝送用導電路(信号線パッド)に半田接続されるようになっている。
その導電コンタクト23の基板接続部23aは、特に図22に示されているように、絶縁ハウジング11のコネクタ後端部から後方側に突出しており、当該基板接続部23aから上方段部を介して前方側に延出する細長状のビーム部材からなる可撓性アーム23bに連接されている。すなわち、その可撓性ビーム23bは、上述した基板接続部23aとの連接部分において略直角に立ち上がるように折り曲げ形成されているとともに、その立ち上り端において前方側に向かって更に略直角に折り曲げられており、絶縁ハウジング11における図示上方側の天井板の内壁面に沿って片持ち状をなすように延出している。このようにして導電コンタクト23に設けられた可撓性ビーム23bは、基板接続部23aとの連接部分又はその近傍を中心として、図22の紙面内において上下の方向に揺動する構成になされている。
そして、当該可撓性ビーム23bにおける前端側の延出部分(図4の左端側部分)には、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fに形成された信号伝送用導電路又はシールド用導電路(配線パターン)のいずれかに対応して端子接触凸部23cが図示下向きの突形状をなすように設けられている。この端子接触凸部23cは、上述したように信号伝送媒体Fが絶縁ハウジング11の内部に挿入されて来た際に、当該信号伝送媒体Fに設けられた配線パターン上に乗り上げる配置関係になされており、その信号伝送媒体Fが所定の最終位置まで挿入されたときに、可撓性ビーム23bの弾性力によって圧接されて電気的に接続された状態に維持されるようになっている。
ここで、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fに対するロック機構とロック解除機構とを兼用するロック部材12、12´が、絶縁ハウジング11と一体的に形成されている点については前述した第1の実施形態と同様であるので説明は省略することとするが、このような第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様な作用・効果が得られる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
例えば、上述した各実施形態では、係止ロック部12aに操作ガイド面12a2が設けられているとともに、絶縁ハウジング11に操作作用面11eが設けられているが、これらを形成している傾斜面は、少なくとも一方が設けられていればよい。
また、上述した各実施形態では、電気コネクタに固定される信号伝送媒体として、フレキシブル・プリンテッド・サーキット(FPC)、及びフレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)を採用しているが、その他の信号伝送用媒体等を用いた場合に対しても本発明は同様に適用することができる。
さらに、上述した実施形態にかかる電気コネクタには、同一形状の導電コンタクトが用いられているが、異なる形状の導電コンタクトを交互に配置した構造であっても本発明は同様に適用することが可能である。
本発明は、各種電気機器に使用する多種多様な電気コネクタに対して広く適用することが可能である。
10 電気コネクタ
11 絶縁ハウジング
11a 媒体挿入口
11b 固定フランジ部
11c 取付フック
11d 基板挿入口
11e 操作作用面
12,12’ ロック部材
12a 係止ロック部
12a1 媒体ガイド面
12a2 操作ガイド面
12b ロックアーム部
12b1 第1アーム
12b2 第2アーム
12c 基板接続部
12d 係止片
12e ロック解除操作部
12f 固定片
12g ロックアーム部材
12g1 折曲げ部
13,13’ 導電コンタクト
13a コンタクト基部
13b 基板接触ビーム
13b1 接点部
13c 媒体接触ビーム
13c1 接点部
SP シャシパネル
PB 配線回路基板
F 信号伝送媒体(FPC又はFFC等)
Fa 係合位置決め部
10’ 電気コネクタ
PB’ 配線回路基板
23 導電コンタクト
23a 基板接続部
23b 可撓性アーム
23c 端子接触凸部

Claims (4)

  1. 絶縁ハウジングの内部に挿入された信号伝送媒体の端末部分に係合して前記信号伝送媒体を略不動状態に保持する係止ロック部を、弾性変位可能に設けられたロックアーム部を介して往復移動可能に支持するように構成されたロック機構と、
    前記係止ロック部をロック解除操作部の押圧操作により所定の解除方向に移動させて前記信号伝送媒体を抜去可能とするロック解除操作部を備えたロック解除機構と、
    を備えた電気コネクタにおいて、
    前記ロック機構のロックアーム部が、絶縁ハウジングから前記信号伝送媒体の挿入・抜去方向に片持ち状をなして一体的に延出する第1アームと、その第1アームから前記ロック解除操作部の押圧操作方向に片持ち状をなして一体的に延出し、その延出端側部分に前記係止ロック部が設けられた第2アームと、を有し、
    前記ロックアーム部の第アームが、前記ロック解除操作部を兼用するように構成されたものであって、
    前記係止ロック部には、前記信号伝送媒体の挿入・抜去方向に対して傾斜するように延在する媒体ガイド面が一体的に形成されているとともに、
    前記係止ロック部又は絶縁ハウジングの少なくとも一方には、前記ロック解除操作部の操作方向に対して傾斜するように延在する操作ガイド面が一体的に形成されていることを特徴とする電気コネクタ。
  2. 前記第1アームは、前記係止ロック部の解除方向における厚さ寸法t1に対して前記ロック解除操作部の操作方向における厚さ寸法t2が小さくなるように形成されているとともに、
    前記第2アームは、前記信号伝送媒体の挿入・抜去方向における厚さ寸法t3に対して前記係止ロック部の解除移動方向における厚さ寸法t4が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
  3. 前記第1アームと前記第2アームとは、平面略L字形状をなすように形成されていることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
  4. 請求項1記載の電気コネクタが接続される配線回路基板に対して、請求項1記載の電気コネクタに挿入される前記信号伝送媒体、重なり合うように配置されることを特徴とする電気回路装置。
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