JP5925122B2 - 新規ペプチダーゼ基質 - Google Patents
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Description
本発明の化合物は基質として使用される場合に組織酵素学における使用に適しており、それは加水分解の産物が酵素活性を発現する細胞に主として局在化されたままであるためであり、組織内でこの活性を発現する細胞又はオルガネラを特異的に同定することが可能である。
それらの低い毒性のために、本発明の化合物は、pH指示薬として、または細胞培養のペプチダーゼ活性を監視するために、それぞれ非常に適している。
本出願において、「呈色」なる用語は、可視スペクトルにおける光の吸収である呈色、又はある波長での吸収(λex)とより高い波長での放出である蛍光(λem、λem>λex)をカバーするために使用される。
本発明の化合物は、塩を形成してもよく、すなわち塩化物、臭化物、ヨウ化物またはトリフルオロ酢酸塩のような塩の形態でもよい。
「ペプチダーゼ」なる用語は、加水分解によって、ペプチドのアシル残基と一級アミンとの間で形成されるアミド基を切断することができる酵素を意味することを目的とする。
「アミノペプチダーゼ」なる用語は、加水分解によって、アミノ酸のアシルと一級アミンとの間で形成されるアミド基を切断することができる酵素を意味することを目的とする。
本出願において、「ペプチダーゼ」なる用語は、適切には、上に定義のペプチダーゼとアミノペプチダーゼを意味することができる。
「ペプチド」なる用語は、1から10アミノ酸、好ましくは1から4アミノ酸を含むペプチド鎖を意味することを目的とする。ペプチドはジアラニンまたはトリアラニンであることが望ましい。「アミノ酸」なる用語は、当業者に知られている任意の天然または非天然アミノ酸を意味することを目的とする。本発明のある実施形態によれば、アミノ酸はβ−アラニンまたはL−アラニンまたはD−アラニン、またはグリシン、ピログルタミル等である。
上記ペプチドは、そのN末端終端に遮断剤を含んでもよい。本発明に係る遮断剤は、アミンを保護することができる当業者に知られている任意の遮断剤を含む。例えば、t−ブトキシカルボニル(N−tBOC)、9−フルオレニルオキシカルボニル、サクシニルのような可溶化剤、または非代謝性アミノ酸、すなわち、ピペコリン酸のような非天然アミノ酸またはD−フェニルアラニンようなD型のアミノ酸を挙げることができる。遮断剤は、本発明の化合物に体系的に存在しない。
「アリール基」なる用語は、芳香環、例えばC6−C10芳香環、特にフェニル、ベンジル、1−ナフチルまたは2−ナフチルに由来する官能基(または置換基)を意味することを目的とする。
「カルボキシル基」なる用語は、第1の酸素原子に二重結合により、及び第2の酸素原子(それ自体が負に荷電しているか、又は水素原子に結合している)に単結合により結合された炭素原子から成る官能基を意味することを目的とする。分子のpKa及び培地のpHに応じて、カルボキシル基はイオン化型、すなわち第2の酸素原子に結合するHを有さないで負に帯電していてもよい。
「反応培地」なる用語は、微生物、細胞又はオルガネラの代謝の発現および/または増殖のために必要な全ての成分を含んで成る培地を意味することを目的とする。この反応培地は、フローサイトメトリ、組織酵素学、細胞培養などにおいて、又は微生物を検出及び/又は同定するための培地として使用することができる。
反応培地は、一つ以上の成分、例えばアミノ酸、ペプトン、糖質、ヌクレオチド、ミネラル、抗生物質、界面活性剤、バッファー、リン酸塩、アンモニウム塩、ナトリウム塩又は金属塩を組合せて含むことができる。培地は、着色剤を更に含んでもよい。例えば、着色剤として、エバンスブルー、ニュートラルレッド、ヒツジの血液、ウマの血液、乳白剤(例えば酸化チタン)、ニトロアニリン、マラカイトグリーン、ブリリアントグリーンなどを挙げることができる。
反応培地は、検出(revealing)及び/又は同定培地、すなわち検出培地又は培養且つ検出培地であってもよい。前者の場合、微生物の培養は接種される前に実施され、後者の場合は検出及び/又は同定培地は更に培養培地も構成する。
グラム陰性菌について、以下の属のバクテリアを挙げることができる:シュードモナス属、エシェリヒア属、サルモネラ属、赤痢菌属、エンテロバクター属、クレブシェラ属、セラシア属、プロテウス属、カンピロバクター属、ヘモフィルス属、モルガネラ属、ビブリオ属、エルシニア属、アシネトバクター属、ブランハメラ属、ナイセリア属、バークホルデリア属、シトロバクター属、ハフニア属、エドバルシエラ属、エーロモナス属、モラクセラ属、パスツレラ属、プロビデンシア属、アクチノバチルス属、アルカリゲネス属、ボルデテラ属、セデセア属、エルウィニア属、パントエア属、ラルストニア属、ステノトロホモナス属、キサントモナス属及びレジオネラ属。
グラム陽性菌について、以下の属のバクテリアを挙げることができる:アエロコッカス属、エンテロコッカス属、ストレプトコッカス属、スタフィロコッカス属、桿菌属、乳酸桿菌属、リステリア属、クロストリジウム属、ガルドネレラ属、コクリア属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、ミクロコッカス属、ファルカミア属(Falkamia)、ゲメラ属、ペジオコックス属、マイコバクテリア属及びコリネバクテリウム属。
酵母について、以下の属の酵母を挙げることができる:カンジダ属、クリプトコックス属、サッカロミセス属及びトリコスポロン属。
好ましくは、微生物は、大腸菌、セラチア・マルセスセンス、エンテロバクター・クロアカ、エンテロバクター・アエロゲネス、サイトロバクター・フレウンディイ、肺炎桿菌、緑濃菌、及びエンテロコッカス・フェカーリスから選択される。
[式中、
・Y1は、ペプチド、H又はアルキルである;
・W1、W2、W3及びW4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アルコキシ、チオメチル、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル(それらのエステルまたはアミドを含む)またはそれらの任意の組合せである;
・n=0、1又は2;
・U及びVはN、N+RまたはCZ4であり、RはH、アルキル、アラルキル、アリール、アルカノイル又はアルキルスルホニルである。好ましくは、UがCZ4の場合にVはN又はN+Rであり、VがCZ4の場合にUはN又はN+Rである;
・Z1、Z2、Z3、及びZ4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アリール、アルコキシ、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、スルホニル(カルボキシルまたはスルホニル・エステルまたはアミドを含む)である]
及びその塩類の使用に関する。
前記式(I)の化合物がpHの変化だけを検出するために使われる場合、Y1はH又はアルキルである。
前記式(I)の化合物がペプチダーゼ活性の検出のために使われる場合、Y1はペプチドである。
前記式(I)の化合物がペプチダーゼ活性及びpHの変化の検出のために使われる場合、Y1はペプチドである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、Y1はペプチドであり、好ましくはグリシン及びアラニンから選択され、好ましくはアラニンである。
本発明の好ましい一実施形態によれは、n=1である。
本発明の好ましい一実施形態によれば、W1、W2、W3及びW4は独立にHである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、UはCZ4、好ましくはCHである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、VはN+Rであり、好ましくはN+CH3である。
本発明の好ましい一実施形態によれば、Z1、Z2、Z3、及びZ4は、Hである。
本発明の好ましい一実施態様によれば、前記化合物は、グリシル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウムクロリド、L−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウムTFA、β−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウム クロリド及びL−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)ピリジンペルクロラート(非4級化)から選択される。
本発明の好ましい一実施態様によれば、
・前記ペプチドはアラニンであり、
・n=1であり、
・W1、W2、W3及びW4は独立にHであり、
・UはCZ4、好ましくはCHであり、
・VはN+Rであり、好ましくはN+CH3であり、
・Z1、Z2、Z3、及びZ4はHである。
a)以下の式(I)の化合物:
[式中、
・Y1は、ペプチド、H又はアルキルである;
・W1、W2、W3及びW4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アルコキシ、チオメチル、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル(それらのエステルまたはアミドを含む)またはそれらの任意の組合せである;
・n=0、1又は2;
・U及びVはN、N+RまたはCZ4であり、RはH、アルキル、アラルキル、アリール、アルカノイル又はアルキルスルホニルである。好ましくは、UがCZ4の場合にVはN又はN+Rであり、VがCZ4の場合にUはN又はN+Rである;
・Z1、Z2、Z3、及びZ4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アリール、アルコキシ、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、スルホニル(カルボキシルまたはスルホニル・エステルまたはアミドを含む)である。]
及びその塩類を含む検出および/または同定培地を提供し、
b)培地に試験される生物試料を接種し、
c)インキュベーションに置き、及び
d)少なくとも一つのペプチダーゼ活性またはpHの変化の存在を明らかにする工程を含むか又はそれからなることを特徴とする方法に関する。
前記方法が微生物のペプチダーゼ活性を検出する方法である場合、Y1はペプチドである。
前記方法が微生物のペプチダーゼ活性及びpHの変化の検出のための方法である場合、Y1はペプチドである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、Y1はペプチドであり、好ましくはグリシン及びアラニンから選択され、好ましくはアラニンである。
本発明の好ましい一実施形態によれは、n=1である。
本発明の好ましい一実施形態によれば、W1、W2、W3及びW4は独立にHである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、UはCZ4、好ましくはCHである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、VはN+Rであり、好ましくはN+CH3である。
本発明の好ましい一実施形態によれば、Z1、Z2、Z3、及びZ4はHである。
本発明の好ましい一実施態様によれば、前記化合物は、グリシル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウムクロリド、L−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウムTFA、β−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウム クロリド及びL−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)ピリジンペルクロラート(非4級化)から選択される。
本発明の好ましい一実施態様によれば、
・前記ペプチドはアラニンであり、
・n=1であり、
・W1、W2、W3及びW4は独立にHであり、
・UはCZ4、好ましくはCHであり、
・VはN+Rであり、好ましくはN+CH3であり、
・Z1、Z2、Z3、及びZ4はHである。
好ましくは、微生物は、大腸菌、セラチア・マルセスセンス、エンテロバクター・クロアカ、エンテロバクター・アエロゲネス、サイトロバクター・フレウンディイ、肺炎桿菌、緑濃菌、及びエンテロコッカス・フェカーリスから選択される。
a)ペプチダーゼ活性及び/又はpHの変化を検出するための酵素基質として、以下の式(I)の化合物:
[式中、
・Y1は、ペプチド、H又はアルキルである;
・W1、W2、W3及びW4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アルコキシ、チオメチル、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル(それらのエステルまたはアミドを含む)またはそれらの任意の組合せである;
・n=0、1又は2;
・U及びVはN、N+RまたはCZ4であり、RはH、アルキル、アラルキル、アリール、アルカノイル又はアルキルスルホニルである。好ましくは、UがCZ4の場合にVはN又はN+Rであり、VがCZ4の場合にUはN又はN+Rである;
・Z1、Z2、Z3、及びZ4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アリール、アルコキシ、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、スルホニル(カルボキシルまたはスルホニル・エステルまたはアミドを含む)である。]
及びその塩類を含む検出および/または同定培地を提供し、
b)培地に試験される生物試料を接種し、
c)インキュベーションに置き、及び
d)少なくとも一つのペプチダーゼ活性の存在を明らかにする工程を含むか、それから成ることを特徴とする方法に関する。
前記方法がペプチダーゼ活性を検出する培地である場合、Y1はペプチドである。
前記方法がペプチダーゼ活性及びpHの変化の検出のための培地である場合、Y1はペプチドである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、Y1はペプチドであり、好ましくはグリシン及びアラニンから選択され、好ましくはアラニンである。
本発明の好ましい一実施形態によれは、n=1である。
本発明の好ましい一実施形態によれば、W1、W2、W3及びW4は独立にHである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、UはCZ4、好ましくはCHである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、VはN+Rであり、好ましくはN+CH3である。
本発明の好ましい一実施形態によれば、Z1、Z2、Z3、及びZ4はHである。
本発明の好ましい一実施態様によれば、前記化合物は、グリシル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウムクロリド、L−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウムTFA、β−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウム クロリド及びL−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)ピリジンペルクロラート(非4級化)から選択される。
本発明の好ましい一実施態様によれば、
・前記ペプチドはアラニンであり、
・n=1であり、
・W1、W2、W3及びW4は独立にHであり、
・UはCZ4、好ましくはCHであり、
・VはN+Rであり、好ましくはN+CH3であり、
・Z1、Z2、Z3、及びZ4はHである。
好ましくは、微生物は、大腸菌、セラチア・マルセスセンス、エンテロバクター・クロアカ、エンテロバクター・アエロゲネス、サイトロバクター・フレウンディイ、肺炎桿菌、緑濃菌、及びエンテロコッカス・フェカーリスから選択される。
[式中、
・Y1は、ペプチド、H又はアルキルである;
・W1、W2、W3及びW4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アルコキシ、チオメチル、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル(それらのエステルまたはアミドを含む)またはそれらの任意の組合せである;
・n=0、1又は2;
・U及びVはN、N+RまたはCZ4であり、RはH、アルキル、アラルキル、アリール、アルカノイル又はアルキルスルホニルである。好ましくは、UがCZ4の場合にVはN又はN+Rであり、VがCZ4の場合にUはN又はN+Rである;
・Z1、Z2、Z3、及びZ4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アリール、アルコキシ、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、スルホニル(カルボキシルまたはスルホニル・エステルまたはアミドを含む)である。]
及びその塩類を含む培地に関する。
前記培地がpHの変異のみを検出するための培地である場合、Y1はHまたはアルキルである。
前記培地がペプチダーゼ活性を検出するための培地である場合、Y1はペプチドである。
前記方法がペプチダーゼ活性及びpHの変化の検出のための培地である場合、Y1はペプチドである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、Y1はペプチドであり、好ましくはグリシン及びアラニンから選択され、好ましくはアラニンである。
本発明の好ましい一実施形態によれは、n=1である。
本発明の好ましい一実施形態によれば、W1、W2、W3及びW4は独立にHである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、UはCZ4、好ましくはCHである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、VはN+Rであり、好ましくはN+CH3である。
本発明の好ましい一実施形態によれば、Z1、Z2、Z3、及びZ4はHである。
本発明の好ましい一実施態様によれば、前記化合物は、グリシル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウムクロリド、L−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウムTFA、β−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウム クロリド及びL−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)ピリジンペルクロラート(非4級化)から選択される。
本発明の好ましい一実施態様によれば、
・前記ペプチドはアラニンであり、
・n=1であり、
・W1、W2、W3及びW4は独立にHであり、
・UはCZ4、好ましくはCHであり、
・VはN+Rであり、好ましくはN+CH3であり、
・Z1、Z2、Z3、及びZ4はHである。
好ましくは、微生物は、大腸菌、セラチア・マルセスセンス、エンテロバクター・クロアカ、エンテロバクター・アエロゲネス、サイトロバクター・フレウンディイ、肺炎桿菌、緑濃菌、及びエンテロコッカス・フェカーリスから選択される。
好ましくは、前記化合物、酵素基質またはpH指示薬は、1から1000mg/l、好ましくは10から500mg/lの濃度である。
本発明のある特定の実施形態によれば、本発明の上記検出及び/又は同定のための培地は、本発明に係る分子によって検出されるペプチダーゼ活性とは異なる酵素活性に特異的である少なくとも一つの他の酵素基質を含む。
本発明の別の特定の実施態様によれば、本発明の前記検出および/または同定のための培地は、更にpHの変異によって示されたもの以外の酵素活性に特異的な少なくとも一つの基質を含む。他の基質の酵素の代謝は、検出可能な信号を生み出し、それは酵素基質として又はpH指示薬として使用される本発明の化合物によって生み出される信号とは異なっており(例えば異なる色又は蛍光の生成物)、それは一つ以上の微生物の検出および/または同定および/または定量の視覚化を可能にするためである。他の特異的な基質として、従来微生物の検出に使用されている任意の他の基質を使用してもよい。他の特異的な酵素基質の濃度は、通常は0.01から1g/lである。当業者は、使用する基質に従って上記の濃度を容易に決定することができる。例えば、ペプチダーゼ、オシダーゼ、エステラーゼまたはレダクターゼ酵素基質と本発明の化合物を組合わせることが可能である。
特に、ペプチドがβ−アラニンである本発明の基質を、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−グルコシドまたはアリザリン−β−ガラクドシドのようなオシダーゼ基質と組合わせることが可能である。更に、ペプチドがL−アラニンである本発明の基質を、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル・オクタノエートまたは5−ブロモ−3−インドキシル・フォスフェートのようなエステラーゼ基質と組合わせることが可能である。
以下に、実施例を、例として与える。
4-(4’-アミノスチリル)ピリジンはRoyer (R. Royer, Journal of the Chemical Society, 1947, 560-561)の方法に従って調製された。
これらの化合物のアミノアシル化は、混合酸無水物法に従って、保護アミノ酸を有する4-(4’-アミノスチリル)アリールを得るために、実施された。
典型的な基質の別の例は、上述のものと類似の方法で得られた:
二塩素化グリシン-N-メチル-4-(4’-アミノスチリル)ピリジニウム
1H-NMR: (DMSO) δ 3.83 (2H, s, >CH2), 4.25 (3H, s, NCH3), 7.43 (1H, d, J=16 Hz, =CH-), 7.78 (4H, s, Ar-H), 7.99 (1H, d, J=16 Hz, =CH-), 8.18 (2H, d, J=5 Hz, Py-H), 8.28 (1H, broad s, >NH), 8.87 (2H, d, J=5 Hz, Py-H).
a)pH指示薬
4-4’-アミノスチリルピリジンは実施例1に記載のとおり合成した。
b)培地の調製
組成物 g/l
ペプトン 6.25
NaCl 5
ラクトース 10
スクロース 10
4,4'-アミノスチリルピリジン 0.05
5-ブロモ-4-クロロ-3-インドキシル-β-D-グルコピラノシド 0.05
寒天 13
以下において培地は、オートクレーブされて、次に直径90mmのシャーレに、皿につき20mlの割合で分配される。
c)接種とインキュベーション
NCTCコレクションに由来し、様々な種類の細菌に属する微生物の7の菌株は、1/20に希釈された0.5McFarlandの懸濁液の10μlは、クワドラント線条接種によって培地上に接種された。培地は、37℃で24時間インキュベートされ、形成されたコロニーは視覚的に調べられる。
d)結果の読みとり
得られた結果は、以下の表1に示される。
本発明の培地は、ラクトースおよび/またはスクロース代謝により培地を酸性化するか否かによって(pH指示薬は黄色になる)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−β−D−グルコピラノシドを加水分解するか否かによって(コロニーの青い呈色反応)、微生物の4つのグループ(この実験で試験された菌株のなかでは3つ)を区別することが可能であった。2つの活性を発現する種の肺炎桿菌、エンテロバクター・クロアカ及びエンテロバクター・アエロゲネスに属しているコロニーは緑に見え(黄色と青の混合物)、ラクトースおよび/またはスクロース代謝により培地を酸性化する大腸菌とサイトロバクター・フレウンディイのコロニーは黄色に見え、2つの活性のどちらも発現しないモルガン菌とボイド菌のコロニーは無色に見える。
a)ペプチダーゼ基質
β-アラニル-4-(4’-アミノスチリル)-N-メチル-ピリジンニウム クロリド(β-Ala-ASPM+) は、実施例1に説明したように合成された。
b)培地の調製
各基質の40mgは、4mlのジメチルスルホキシド(Asn−ASQM+の場合は80mg)に溶解し、先にオートクレーブしたコロンビア培地の400mlに加えた。6つの培地は、直径90mmのシャーレに、シャーレごとに20mlの割合で分配された。
c)接種とインキュベーション
コレクションに由来し、様々な種類の細菌に属する微生物の17の菌株は約10000コロニー形成単位のスポットに接種される。
培地は、37℃で24時間インキュベートされ、次に、酸の付加の有無にかかわらず、365nmのUVランプ下で、形成されたコロニーは視覚的に調べられる。
d)結果の読みとり
得られた結果は、以下の表2に示される。
e)結論
本発明の培地上で、コロニーの呈色又は蛍光によって、微生物のペプチダーゼ活性を検出することは可能である。
本発明の基質は、任意の種類の微生物、グラム陰性菌、グラム陽性菌、酵母などの増殖を可能にする。
本発明のペプチダーゼ基質のさまざまな構造的な変異によって、微生物のさまざまなグループを区別することは可能である。さらに、色が反応培地中に拡散しないので、ペプチダーゼ活性を発現しないものからペプチダーゼ活性を発現している細胞またはコロニーを区別して、前記細胞またはコロニーをカウントすることが可能である。
Claims (15)
- ペプチダーゼ活性の検出のための酵素基質としての以下の式(I)の化合物:
[式中、
・Y1は、ペプチドである;
・W1、W2、W3及びW4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アルコキシ、チオメチル、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル(それらのエステルまたはアミドを含む)またはそれらの任意の組合せである;
・n=0、1又は2;
・U及びVはN、N+RまたはCZ4であり、RはH、アルキル、アラルキル、アリール、アルカノイル又はアルキルスルホニルであり、ここで、UがCZ4の場合にVはN又はN+Rであり、VがCZ4の場合にUはN又はN+Rである;
・Z1、Z2、Z3、及びZ4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アリール、アルコキシ、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルまたはスルホニルのエステルまたはアミドを含む、カルボキシル、スルホニルである。]
及びその塩類の使用。 - pHの変化の検出のための酵素基質としての以下の式(I)の化合物:
[式中、
・Y1は、H又はアルキルである;
・W1、W2、W3及びW4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アルコキシ、チオメチル、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル(それらのエステルまたはアミドを含む)またはそれらの任意の組合せである;
・n=0、1又は2;
・U及びVはNまたはCZ4であり、RはH、アルキル、アラルキル、アリール、アルカノイル又はアルキルスルホニルであり、ここで、UがCZ4の場合にVはNであり、VがCZ4の場合にUはNである;
・Z1、Z2、Z3、及びZ4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アリール、アルコキシ、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルまたはスルホニルのエステルまたはアミドを含む、カルボキシル、スルホニルである。]
及びその塩類の使用。 - Y1がアラニン及びグリシンから選択される、請求項1に記載の式Iの化合物の使用。
- n=1である、請求項1から3の何れか一項に記載の式Iの化合物の使用。
- W1、W2、W3及びW4が独立にHである、請求項1から4の何れか一項に記載の式Iの化合物の使用。
- UがCZ4である、請求項1から5の何れか一項に記載の式Iの化合物の使用。
- UがCHである、請求項1から5の何れか一項に記載の式Iの化合物の使用。
- VがN+Rである、請求項1又は3に記載の式Iの化合物の使用。
- VがN+CH3である、請求項1又は3に記載の式Iの化合物の使用。
- Z1、Z2、Z3及びZ4がHである、請求項1から9の何れか一項に記載の式Iの化合物の使用。
- 前記化合物は、グリシル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウム クロリド、L−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウムTFA、β−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)−N−メチルピリジニウム クロリド及びL−アラニル−4−(4’−アミドスチリル)ピリジン ペルクロラート(非4級化)から選択される、請求項1に記載の式Iの化合物の使用。
- 微生物のペプチダーゼ活性の検出のための方法であって、
a)以下の式(I)の化合物:
[式中、
・Y1は、ペプチドである;
・W1、W2、W3及びW4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アルコキシ、チオメチル、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル(それらのエステルまたはアミドを含む)またはそれらの任意の組合せである;
・n=0、1又は2;
・U及びVはN、N+RまたはCZ4であり、RはH、アルキル、アラルキル、アリール、アルカノイル又はアルキルスルホニルであり、ここで、UがCZ4の場合にVはN又はN+Rであり、VがCZ4の場合にUはN又はN+Rである;
・Z1、Z2、Z3、及びZ4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アリール、アルコキシ、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルまたはスルホニルのエステルまたはアミドを含む、カルボキシル、スルホニルである。]
及びその塩類を含む検出及び/又は同定のための培地を提供し、
b)培地に試験される生物試料を接種し、
c)インキュベートに置き、及び
d)少なくとも一つのペプチダーゼ活性の存在を明らかにする工程を含むことを特徴とする方法。 - 微生物のpHの変化の検出のための方法であって、
a)以下の式(I)の化合物:
[式中、
・Y1は、H又はアルキルである;
・W1、W2、W3及びW4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アルコキシ、チオメチル、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル(それらのエステルまたはアミドを含む)またはそれらの任意の組合せである;
・n=0、1又は2;
・U及びVはNまたはCZ4であり、RはH、アルキル、アラルキル、アリール、アルカノイル又はアルキルスルホニルであり、ここで、UがCZ4の場合にVはNであり、VがCZ4の場合にUはNである;
・Z1、Z2、Z3、及びZ4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アリール、アルコキシ、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルまたはスルホニルのエステルまたはアミドを含む、カルボキシル、スルホニルである。]
及びその塩類を含む検出及び/又は同定のための培地を提供し、
b)培地に試験される生物試料を接種し、
c)インキュベートに置き、及び
d)pHの変化の存在を明らかにする工程を含むことを特徴とする方法。 - ペプチダーゼ活性を検出するための以下の式(I)の化合物:
[式中、
・Y1は、ペプチドである;
・W1、W2、W3及びW4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アルコキシ、チオメチル、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル(それらのエステルまたはアミドを含む)またはそれらの任意の組合せである;
・n=0、1又は2;
・U及びVはN、N+RまたはCZ4であり、RはH、アルキル、アラルキル、アリール、アルカノイル又はアルキルスルホニルであり、ここで、UがCZ4の場合にVはN又はN+Rであり、VがCZ4の場合にUはN又はN+Rである;
・Z1、Z2、Z3、及びZ4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アリール、アルコキシ、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルまたはスルホニルのエステルまたはアミドを含む、カルボキシル、スルホニルである。]
及びその塩類を含む微生物を検出及び/又は同定するための培地。 - pHの変化を検出するための以下の式(I)の化合物:
[式中、
・Y1は、H又はアルキルである;
・W1、W2、W3及びW4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アルコキシ、チオメチル、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル(それらのエステルまたはアミドを含む)またはそれらの任意の組合せである;
・n=0、1又は2;
・U及びVはNまたはCZ4であり、RはH、アルキル、アラルキル、アリール、アルカノイル又はアルキルスルホニルであり、ここで、UがCZ4の場合にVはNであり、VがCZ4の場合にUはNである;
・Z1、Z2、Z3、及びZ4は、独立にH、Br、Cl、F、I、アルキル、アリール、アルコキシ、ペルフルオロアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルまたはスルホニルのエステルまたはアミドを含む、カルボキシル、スルホニルである。]
及びその塩類を含む微生物を検出及び/又は同定するための培地。
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