本発明は、弁座の平坦な表面上を摺動するスライド弁を備える弁装置に関し、特に、スライド弁が収容される弁本体と弁座を一体構造とし、製造が容易なスライド弁を備える弁装置、これを使用する空気調和機、及び、弁装置のろう付方法に関する。
従来のスライド弁を備える弁装置としては、例えば、特許文献1に示されるようなヒートポンプ式の空気調和機において、冷暖房の切換に用いられる切換弁としての冷媒流路切換用四方弁(以下、単に、「四方弁」という。)が知られている。
図12に、スライド弁を備える弁装置としての従来の冷媒流路切換用四方弁101が例示されている。図12に示されるように、四方弁101は、概略、円筒状の弁本体102、2つのピストン103、104、スライド弁115、弁座120および4本の継手116、117、118および119を備えている。円筒状の弁本体102は、長手方向の中心軸O−Oを有し、その両端部は蓋体106、107により閉じられており、内部空間内に2つのピストン103、104、スライド弁115および弁座120が収容されている。2つのピストン103および104は、円筒状の弁本体102と同心状に配置され、連結体114により一体的に連結され、円筒状の弁本体102の内部空間を3つの弁室111、112および113に分けている。
ここで、第1の弁室111および第3の弁室113は、パイロット弁を介していずれか一方の室が吸入パイプとしての第3の継手118内に連通するように構成されている。第2の弁室112は、吐出パイプとしての第1の継手116に連結されている。
2つのピストン103および104は、また、スライド弁115を挟んで、連結体114を介してスライド弁115と一体的に連結されている。したがって、スライド弁115は、弁室112内に配置されるとともに、2つのピストン103および104とスライド弁115は、図12において、左右方向に一体的に移動するように構成されている。スライド弁115は、下方に向って開放する流路121を備え、弁座120の平坦面120a上を左右方向に移動する。弁座120には、3つの開口122、123および124が設けられ、それぞれ、第2、第3、第4の継手117、118および119に接続されている。したがって、スライド弁115の流路121は、弁座120の3つの開口122、123および124のうちの2つを連通できるように形成されている。スライド弁115の流路121は、左右に移動することで、開口122と123を、または開口123と124を、連通させ、それにより冷媒の流路を切り換えている。例えば、スライド弁115の流路121を介して開口122と123が連通しているとき、連通されない残りの開口124は、第2の弁室112に連通する。4本の継手のうち、第1の継手116は、圧縮機の吐出側に連結される吐出パイプとしての継手であって、図12に示されるように、弁座120に対向する位置に設けられた開口125に連結され、第2の弁室112に連通する。第3の継手118は、圧縮機の吸入側に連結される吸入パイプとしての継手であって、図12に示されるように、弁座120に設けられた真ん中の開口123に連結される。第2の継手117は、圧縮機を介して第4の継手119へ接続される接続パイプとしての継手であって、図12に示されるように、弁座120に設けられた左側の開口122に連結される。第4の継手119は、室外熱交換器、膨張弁および室内熱交換器を介して第2の継手117へ接続される接続パイプとしての継手であって、図12に示されるように、弁座120に設けられた右側の開口124に連結される。
四方弁101は、図12に示されるように、第1の弁室111が低圧側である第3の継手118に連通している場合、圧縮機→室外熱交換器→膨張弁→室内熱交換器→圧縮機とする冷房運転のための流路を形成する。逆に、第3の弁室113が低圧側である第3の継手118に連通している場合、四方弁101は、圧縮機→室内熱交換器→膨張弁→室外熱交換器→圧縮機とする暖房運転のための流路を形成する。
上述したようにスライド弁を備える弁装置としての従来の四方弁101は、円筒状の弁本体102に弁座120を介して3本の継手を接続するためには、例えば、図13に示されるようなろう付冶具200を用いる。
ろう付冶具200は、水平な架台201、架台201上に垂直に延在する支柱202、架台201に平行であって水平に延在し、3つの押さえ棒を垂直に支持する上腕203、架台201に平行であって水平に延在する弁座受け204および継手管受け205を備えている。
四方弁101は、図13に示されるように、各部材がろう付冶具200に仮組みされ、その後、ろう付される。各部材の仮組みは、具体的には、円筒状の弁本体102内に弁座120を挿入し、図12に示されている状態から180°上下に逆転した状態で、弁本体102を弁座受け204上に載せる。次に、第1の継手116の一端を継手管受け205に嵌合するとともに、第1の継手116の他端を弁本体102の開口125に嵌め込み、第1の継手116を組み付ける。続いて、第2、第3、第4の継手117、118および119それぞれの一端を、弁座120に設けられた対応する開口122、123、124にそれぞれ嵌合し、他端に対応する押さえ棒206、207、208を挿入することで冶具200への仮組みが完了する。その後、ろう付が行われる。
このように、スライド弁を備える弁装置として従来の四方弁においては、別々に形成された円筒状の弁本体102、弁座120および4本の継手116〜119の全てを同時にろう付するため、ろう付箇所が多く、したがって、接合面積も大きくなる。また、円筒状の弁本体102と弁座120が別体であるため、3本の継手117〜119が嵌め込まれる、円筒状の弁本体102に設けられた3つの挿入孔および該挿入孔それぞれに対応し、弁座120に形成される開口122、123、124それぞれの加工に精度が要求される。さらに、円筒状の弁本体102と弁座120が別体であるため、ろう付時における円筒状の本体102の挿入孔と対応する弁座120の開口122〜124との位置合わせにも時間を要する。このような位置合わせを容易にするために、ろう付冶具200の構造は複雑となり、冶具の熱容量を大きくし、冶具を暖めるために大量の熱を必要とする。したがって、仮組みに時間を要するとともに、ろう付の時間が長くなり、弁本体が高温に長時間さらされる。結果として、ろう付が不安定となる恐れがある。さらに、円筒状の本体102に管状の継手をろう付する場合、ろう材が本体側面に流れ易くなり(ろうダレ)、ろう付が不完全となるかまたはろう材を浪費する恐れが生じる。
特許文献1に開示されるように、直接円筒状の弁本体を構成する管壁に継手をろう付することで部品点数を少なくするやり方もある。この場合、管壁の厚さ分だけしかろう付ができないため、ろう付の確実性に欠けるとともに、強度的にも弱い構造となる恐れがある。また、円管の管壁に対して別の円管を直角に連結する場合には、連結される別の円管の端部が円管の内部空間内に突出し得る。これを避けるために、別の円管の端部を予め加工しておくか、連結後に加工する必要があり、したがって、スライド弁を備える弁装置を製造する工程が増える。
本発明の目的は、このような問題点を解消するために、円筒状の弁本体と弁座を一体構造とし、ろう付箇所を減少させるとともに、ろう付冶具が簡素化され、ろう付時間を減少させることを可能とするスライド弁を備える弁装置、これを使用した空気調和機、及び、弁装置のろう付方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るスライド弁を備える弁装置は、少なくとも1つの継手が弁座を介してろう付により連結されるとともに、少なくとも1つの継手とは別の継手がさらに直接ろう付により連結される弁本体と、弁座上を移動し、別の継手と少なくとも1つの継手とを連通させるスライド弁とを備える弁装置において、弁本体は、管を構成する外周壁の一部であって、外周壁の少なくとも内側に肉厚部分を有し、肉厚部分が、前記少なくとも1つの継手がろう付により連結される弁座として前記弁本体に一体的に形成されることを特徴とする。
本発明に係るスライド弁を備える弁装置は、また、肉厚部分が、弁座のスライド弁が摺動する平坦な面に平行に、弁本体の外側に平坦面が形成された接続突出部として弁本体に一体的に形成されることが好ましい。
また、本発明に係る空気調和機は、上述の弁装置を使用したものとされる。
さらに、本発明に係る弁装置のろう付方法は、少なくとも1つの継手が弁座を介して連結されるとともに、少なくとも1つの継手とは別の継手がさらに直接連結される、スライド弁を備える弁装置を構成する弁座が一体として形成された弁本体を用意するステップと、弁本体に連結されるのに必要な本数の継手を用意するステップと、水平な架台、該架台上に垂直に延在する支柱、架台に平行であって水平に延在し、少なくとも1つの押さえ棒を垂直に支持する上腕および架台上に設けられている継手管受けを少なくとも備えているろう付冶具を用意するステップと、別の継手の一端を継手管受けに嵌合し、別の継手の他端を弁本体の接続部に形成される挿入孔に嵌め込み、別の継手を組み付けるステップと、弁座を介して連結される少なくとも1つの継手の一端を、弁座に設けられた少なくとも1つの挿入孔にそれぞれ嵌め込み、複数の継手の他端に少なくとも1つの押さえ棒を挿入するステップと、弁本体および継手が組み込まれたろう付冶具でろう付を行うステップとを含むことを特徴とする。
本発明に係るスライド弁を備える弁装置、これを使用した空気調和機、及び、弁装置のろう付方法は、上記構造を備えることで、弁座のろう付が必要とされないので、組み立て工数やろう材の使用量が低減化し、コストダウンを図ることができる。また、ろう付冶具が簡素化されるので、該ろう付冶具の熱容量が減少し、ろう付時間が削減され、出来高も向上する。さらに、ろう付時間が短くなることで、スライド弁を備える弁装置の弁本体が高温に長時間曝されることが無くなるので、ろう付状態が安定し、ろう付の不良率が低減化する。
本発明では、また、継手が挿入される挿入孔が形成される接続突出部に、平坦面が形成されているため、ろう溜りができ、ろうダレの発生を抑制できる。
本発明に係るスライド弁を備える弁装置の1つの実施形態であって(a)は、スライド弁を備える弁装置の要部断面図、(b)は、スライド弁を備える弁装置の正面図である。
本発明に係るスライド弁を備える弁装置を構成する弁本体の加工前の素管の概略斜視図である。
本発明に係る弁本体の第1の実施形態であり、(a)は、素管の正面図、(b)は、弁本体の加工後の断面図、(c)は、(b)のC−C断面図である。
本発明に係る弁本体の第2の実施形態であり、(a)は、素管の正面図、(b)は、弁本体の加工後の断面図、(c)は、(b)のC−C断面図である。
本発明に係る弁本体の第3の実施形態であり、(a)は、素管の正面図、(b)は、弁本体の加工後の断面図、(c)は、(b)のC−C断面図である。
本発明に係る弁本体の第4の実施形態であり、(a)は、素管の正面図、(b)は、弁本体の加工後の断面図、(c)は、(b)のC−C断面図である。
本発明に係る弁本体の第5の実施形態であり、(a)は、素管の正面図、(b)は、弁本体の加工後の断面図、(c)は、(b)のC−C断面図である。
本発明に係る弁本体の第6の実施形態であり、(a)は、弁本体の加工前の素管の外観を示す斜視図、(b)は、加工前の素管の加工部分をハッチングで示す断面を表す斜視図、(c)は、弁本体の加工後の外観を示す斜視図である。
本発明に係る弁本体へ継手をろう付するために、ろう付冶具へ仮組みしている状態を示す概略図である。
本発明に係る弁本体の第7の実施形態であり、(a)は、電磁切換弁の要部断面図、(b)は、(a)のB−B断面図である。
本発明に係る弁装置を使用した空気調和機の構成の一例を示す図である。
従来のスライド弁を備える弁装置の要部断面図である。
従来のスライド弁を備える弁装置の円筒状の本体に継手をろう付するために、ろう付冶具へ仮組みしている状態を示す概略図である。
以下、図1〜9を用いて、本発明に係るスライド弁を備える弁装置の好ましい実施形態としての冷媒流路切換用四方弁について説明する。
図2には、概略円筒状の管を構成する外周壁の一部に、少なくとも弁座を形成するための肉厚部分20を有する異形引抜きまたは異形押出しにより形成される概略円筒状の素管11’が示されている。異形素管としての異形引抜き素管または異形押出し素管11’は、所望の長さに切断され、肉厚部分20を機械加工されることで、図1に示されるような、弁座12を一体的に備える概略円筒状の弁本体11が形成される。すなわち、図1に示される弁本体11は、上記図12に示される円筒状の本体102に弁座120が一体に結合された状態に相当する。なお、本実施形態では、素管11’および機械加工された弁本体11は、概略円筒形の形状を成す、すなわち、断面形状が円形であるものとされているがこれに限定されるものではなく、筒状を成すものであればどのような断面形状を有していてもよい。また、弁本体11の材質として、真鍮、ステンレス、アルミニウム、鉄(鋼管)が使用される。
図1(a)および(b)に例示される本発明に係る実施形態としての四方弁10の概略円筒状の弁本体11は、図2に示されるような素管11’の外周壁(以下、単に、「管」ともいう。)の内側および/または外側に、軸方向に延在する肉厚部分20、20’が機械加工されることで形成される。本実施形態では、図1に示されるように、管の下部であって管の内側に長手軸O−O方向に平行に延在する肉厚部分20の概略中間部分に平坦面12aおよび3つの開口12b、12c、12dを有する弁座12が弁本体11と一体的に形成される。同時に、管の下部であって管の外側に長手軸O−O方向に平行に延在する肉厚部分20の概略中間部分に、弁座12に対応して、平坦面18aおよび3つの挿入孔18b、18c、18dを有する接続突出部18が弁本体11と一体的に形成される。平坦面12a上では、スライド弁(不図示)が摺動し、開口12b、12c、12dには、第2〜第4の継手13、14および15が、挿入孔18b、18c、18dに嵌め込まれることで連通する。ここで、開口12b、12c、12dは、それぞれ、挿入孔18b、18c、18dに同心状に連通するように形成されており、開口12b、12c、12dそれぞれの内径は、連結される各継手の内径に略等しく、挿入孔18b、18c、18dそれぞれの内径は、挿入される各継手の外径に略等しくなるように設定されている。したがって、開口12b、12c、12dの内径は、挿入孔18b、18c、18dの内径より小さいので、開口12b、12c、12dと挿入孔18b、18c、18dそれぞれの連通部では段を形成している。また、第2〜第4の継手13,14および15は、従来例と同様、それぞれ、室内熱交換器に接続される接続パイプ、圧縮機の吸入側に接続される吸入パイプおよび室外熱交換器に接続される接続パイプとしての継手である。本実施形態では、さらに、管外側上部であって長手軸O−O方向に平行に延在する肉厚部分20’の弁座12に対応する概略中間部分に平坦面17aおよび開口17bを有する接続部17が形成される。接続部17の開口17bには、圧縮機の吐出側に接続される吐出パイプとしての第1の継手16が、挿入孔17’bを介して連結される。接続部17の開口17bと挿入孔17’bとの関係は、上記開口12b、12c、12dと挿入孔18b、18c、18dとの間の関係と同じである。
本実施形態では、弁本体11がこのように形成されることで、図9に示されるように、ろう付時、切換弁としての四方弁10は、以下に説明するようにろう付冶具30を用いて仮組みされる。
本実施形態におけるろう付冶具30は、水平な架台31、架台31上に垂直に延在する支柱32、架台31に平行であって水平に延在し、3つの押さえ棒36、37、38を垂直に支持する上腕33および継手管受け35を備えている。本実施形態におけるろう付冶具30は、従来例のように弁座受け204を必要としない。
四方弁10の仮組みは、最初に、第1の継手16の一端を継手管受け35に嵌合するとともに、第1の継手16の他端を弁本体11の挿入孔17’bに嵌め込み、第1の継手16を組み付ける。続いて、第2〜第4の継手13、14、15それぞれの一端を、弁座12に設けられた対応する挿入孔18b、18c、18dにそれぞれ嵌め込み、他端に対応する押さえ棒36〜38を挿入することで冶具30への仮組みが完了する。その後、ろう付が行われる。
以上述べたように、本実施形態におけるスライド弁を備える弁装置としての四方弁10は、弁座12のろう付が必要とされないので、組み立て工数やろう材の使用量が低減化し、コストダウンを図ることができる。また、ろう付冶具30が簡素化されるので、ろう付冶具30の熱容量が減少し、ろう付時間が削減され、出来高も向上する。さらに、ろう付時間が短くなることで、スライド弁を備える弁装置10の弁本体11が高温に長時間曝されることが無くなるので、ろう付状態が安定し、ろう付の不良率が低減化する。
本実施形態では、また、挿入孔18b、18c、18dが形成される接続突出部18には平坦面18aが形成されているため、ろう溜りができ、ろうダレの発生を抑制できる。
本発明に係るスライド弁を備える弁装置としての四方弁10は、これに限定されるものではないが、例えば、図3(a)〜7(c)に示される実施形態であっても良い。なお、図1に示される実施形態は、図6(a)〜(c)に示される実施形態と同じである。
図3(a)〜(c)に示される実施形態について簡単に説明する。図3(a)に示されるように、素管11’Aの肉厚部分20Aは、管の下部であって管の内側に突出するように、長手軸O−Oに平行に延在する。図3(b)に示されるように、肉厚部分20Aは、図3(b)に示される網掛け部分が機械加工されることで、長手軸方向の中間部に平坦面12a、開口12b、12c、12dおよび挿入孔18b、18c、18dを有する弁座12が形成される。また、弁本体11Aの上部には、弁座12に対向して、第1の継手(不図示)が挿入される挿入孔17’bが形成される。このように形成された本実施形態に係る四方弁の弁本体11Aには、挿入孔17’b、18b、18c、18dを介して、図9に示されるように4本の継手がろう付される。
次に、図4(a)〜(c)に示される別の実施形態について説明する。図4(a)に示されるように、素管11’Bの肉厚部分20Aは、管の下部であって管の内側に長手軸O−Oに平行に延在する。また、本実施形態では、肉厚部分20Bが、肉厚部分20Aに対向して、管の上部であって管の内側に突出するように長手軸O−Oに平行に延在する。図4(b)に示されるように、肉厚部分20Aは、図4(b)に示される網掛け部分が機械加工されることで、長手軸方向の中間部に平坦面12a、開口12b、12c、12dおよび挿入孔18b、18c、18dを有する弁座12が形成される。同様に、肉厚部分20Bは、長手軸方向中間部に弁座12に対向して、開口17bおよび挿入孔17’bが形成される。このように形成された本実施形態に係る四方弁の弁本体11Bには、挿入孔17’b、18b、18c、18dを介して、図9に示されるように4本の継手がろう付される。
図5(a)〜(c)に示されるさらに別の実施形態においては、素管11’Cの肉厚部分20Aは、管の下部であって管の内側に突出するように長手軸O−Oに平行に延在する。本実施形態では、また、肉厚部分20Cが、肉厚部分20Aに対向して、管の上部であって管の外側に突出するように長手軸O−Oに平行に延在する。図5(b)に示されるように、肉厚部分20Aは、図5(b)に示される網掛け部分が機械加工されることで、長手軸方向中間部に平坦面12a、開口12b、12c、12dおよび挿入孔18b、18c、18dを有する弁座12が形成される。同様に、肉厚部分20Cは、長手軸方向中間部に弁座12に対向して、開口17bおよび挿入孔17’bが形成される。このように形成された本実施形態に係る四方弁の弁本体11Cには、上記実施形態と同様に、挿入孔17’b、18b、18c、18dを介して、図9に示されるように4本の継手がろう付される。
図6(a)〜(c)に示されるさらに別の実施形態においては、素管11’Dの肉厚部分20Dは、管の下部であって管の内側および外側に突出するように長手軸O−Oに平行に延在する。本実施形態では、また、肉厚部分20Cが、肉厚部分20Dに対向して、管の上部であって管の外側に長手軸O−Oに平行に延在する。図6(b)に示されるように、肉厚部分20Dは、図6(b)に示される網掛け部分が機械加工されることで、長手軸方向中間部に平坦面12a、18a(図1参照)、開口12b、12c、12dおよび挿入孔18b、18c、18dを有する弁座12が形成される。同様に、肉厚部分20Cには、長手軸方向中間部に弁座12に対向して、平坦部17a(図1参照)、開口17bおよび挿入孔17’bを有する接続部17が形成される。このように形成された本実施形態に係る四方弁の弁本体11Dには、上述したように、挿入孔17’b、18b、18c、18dを介して、図9に示されるように4本の継手がろう付される。
図7(a)〜(c)に示されるさらに別の実施形態について説明する。図7(a)に示されるように、素管11’Eの肉厚部分20Dは、管の下部であって管の内側および外側に突出するように長手軸O−Oに平行に延在する。本実施形態では、また、肉厚部分20Bが、肉厚部分20Dに対向して、管の上部であって管の内側に長手軸O−Oに平行に延在する。図7(b)に示されるように、肉厚部分20Dは、図7(b)に示される網掛け部分が機械加工されることで、長手軸方向中間部に平坦面12a、18a(図1参照)、開口12b、12c、12dおよび挿入孔18b、18c、18dを有する弁座12が形成される。同様に、肉厚部分20Bには、長手軸方向中間部に弁座12に対向して、開口17bおよび挿入孔17’bを有する接続部17が形成される。このように形成された本実施形態に係る四方弁の弁本体11Eには、上述したように、挿入孔17’b、18b、18c、18dを介して、図9に示されるように4本の継手がろう付される。
図8(a)〜(c)に示されるさらに別の実施形態について説明する。本実施形態では、図8(a)に示されるように、素管11”Fは、連続鋳造法により概略円筒状に形成される。その後、得られた素管11”Fが所望の長さに切断され、図8(b)に示されるように素管11’Fが形成される。連続鋳造法は、広く知られた鋳造法であり、溶けた金属材料を連続的に鋳型に注ぎ続けて、鋳型内で急速冷却する鋳造方法である。連続鋳造法を使用することにより、同時に大量の素管を形成することが可能となる。素管11’Fは、中心軸線に沿って半円形の断面を有する貫通孔を有している。貫通孔の一部は、後述する弁座12が形成される平坦な面20fsにより形成されている。これにより、素管11’Fの横断面において、平坦面20fsと素管11’Fの外周面との間に肉厚部分20Eが形成される。図8(b)に示されるように肉厚部分20Eを含む管外側と管内側の網掛け部分が機械加工されることにより、図8(c)に示される弁座12を一体的に備える概略円筒状の弁本体11Fが形成される。弁本体11Fの管外側には、弁座12に対応する概略中間部分の管上部に開口17bおよび挿入孔17’bを有する接続部17が形成される。弁本体11Fの管内側下部には、長手軸方向中間部に平坦面12a、開口12b、12c、12dおよび挿入孔18b、18c、18dを有する弁座12が形成される。このように形成された本実施形態に係る四方弁の弁本体11Fには、上述したように、挿入孔17’b、18b、18c、18dを介して、図9に示されるように4本の継手がろう付される。
本発明に係る切換弁は、上述したような四方弁に限られるものではなく、例えば、図12に示される上記従来の四方弁101の弁室111、113の圧力を制御するための図10に示されるようなパイロット電磁切換弁50にも適用可能である。図10において、電磁切換弁50は、上記冷媒流路切換用四方弁と同様に四方弁であって、弁本体51に4つの接続ポート54、55、56、57を備えている。接続ポート54、55、56は、弁座53に設けられており、弁座53上を摺動するスライド弁(不図示)により流路が切り換えられる。接続ポート57は、上記四方弁101の吐出パイプ116に連通され、接続ポート54は、弁室111に連通され、接続ポート55は、吸入パイプ118に連通され、接続ポート56は、弁室113に連通されている。電磁切換弁50は、従来の四方弁101と同様に、スライド弁により、弁座53に開口する3つの接続ポート54、55、56のうちの2つを連通するように流路を切り換えられる。具体的には、スライド弁は、図10において左に移動することで、接続ポート54と接続ポート55および接続ポート56と接続ポート57を連通させる。あるいは、スライド弁が右に移動することで、接続ポート55と接続ポート56および接続ポート54と接続ポート57を連通させる。なお、スライド弁は、図10(a)において、弁本体51の右側に収容される電磁コイル(不図示)により駆動されるプランジャに連結されている。この電磁切換弁50の切り換え動作により、上記従来の四方弁101は、冷凍サイクルを暖房運転から冷房運転(または、冷房運転から暖房運転)に切り換えられる。
本実施形態に係る電磁切換弁50の弁本体51は、上記四方弁の実施形態と同様に、異形引抜き素管または異形押出し素管を用いて、接続ポート54、55、56を有する弁座53が一体的に形成される。なお、図10(a)、(b)において、52は、弁本体51の一端を塞ぐ蓋部材であり、61、62、63および64は、継手であり、54a、56a、57aは、継手61、63および64それぞれの一端が挿入される挿入孔である(継手62が挿入される挿入孔は、図10(a)(b)には示されていない)。本実施形態においても、上記四方弁の場合と同様に、挿入孔54a、56a、57aの内径は、挿入される継手管61、63および64の外径と略同じであり、接続ポート54、56および57の内径は、少なくとも挿入孔54a、56aおよび57aの内径よりも小さく設定される。
図11に示される本発明に係る弁装置の第1乃至第7実施形態を使用した空気調和機300の構成の一例について説明する。図11において、空気調和機300は、四方弁310と、パイロット弁320と、室内熱交換器330と、膨張弁340と、室外熱交換器350と、圧縮機360とを備える。なお、本実施形態の弁装置は、主弁部としての四方弁310と、この四方弁310に配管により接続されたパイロット弁320とから構成されている。また、四方弁310は、弁本体102が弁座120と一体に形成されることを除き、図12に示す四方弁と同様の構成であるものとする。また、図11においては、図12における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
四方弁310の継手118は、低圧管301aにより圧縮機360の吸入口362に接続され、継手116は、高圧管301bにより圧縮機360の吐出口361に接続されている。継手119は、導管301cにより室外熱交換器350の第1のポートに接続され、継手117は、導管301dにより室内熱交換器330の第2のポートに接続されている。室外熱交換器350の第2のポート、および、室内熱交換器330の第1のポート相互間は、膨張弁340を介して導管301eにより接続されている。なお、本実施形態においては、室内熱交換器330と、室外熱交換器350は、上述の順序としたが、これはシステムの一例であって、室内と室外が反対になっていてもよい。
そして、後述のようにパイロット弁320により、四方弁310のスライド弁115の位置が、冷房運転位置、あるいは、暖房運転位置に切り換えられる。図11の冷房運転の状態では、圧縮機360で圧縮された冷媒は、継手116から弁室112内に流入される。高圧冷媒は、弁室112内に連通する継手119から室外熱交換器350に流入される。また、スライド弁115の位置が暖房運転位置に切り換えられる、暖房運転の状態では、高圧冷媒は、弁室112内に連通する継手117から室内熱交換器330に流入される。すなわち、冷房運転時には、圧縮機360から吐出される冷媒は、継手119から、室外熱交換器350、膨張弁340、室内熱交換器330、継手117と循環し、室外熱交換器350が凝縮器(コンデンサ)、室内熱交換器330が蒸発器(エバポレータ)として機能し、冷房運転がなされる。また、暖房運転時においては、冷媒が、上述の方向とは逆方向に循環されるので室内熱交換器330が、凝縮器、室外熱交換器350が蒸発器として機能し、暖房運転がなされる。
パイロット弁320は、円筒状の弁本体321を有している。この弁本体321には、高圧継手管325と、低圧継手管323及び2つの切換継手管322、324とが取り付けられている。また、パイロット弁320の弁本体321の内部には、図示が省略され、その詳細な説明は省略されるが、パイロット弁室、パイロット弁座、パイロット弁室内のパイロット弁座上を摺動するパイロットスライド弁が備えられている。加えて、パイロット弁320は、このパイロットスライド弁を駆動する電磁コイル部326と、電磁コイル部326に通電するリード線327等を含む。なお、パイロット弁320の弁本体321として、図10(a)に示されるパイロット電磁切換弁50の弁本体51と同等のものを使用してもよい。
高圧継手管325は、導管302aにより四方弁310の継手116に(高圧側)接続され、低圧継手管323は、導管302bにより四方弁310の継手118(低圧側)に接続されている。また、切換継手管322は、導管302cにより、四方弁310の一方の端部に形成される弁室111内に接続される導管126に接続されており、切換継手管324は、導管302dにより、弁室111に向かい合って他方の端部に形成される弁室113内に接続される導管127に接続されている。
そして、パイロット弁320は、高圧継手管325から流入する高圧冷媒を、切換継手管322または切換継手管324から流出させる。これにより、切換継手管322または切換継手管324から高圧冷媒は、四方弁310において弁室111内、または、弁室113内に供給される。このとき、四方弁310の弁室113または弁室111は、低圧継手管323を介して低圧側に導通される。これにより、パイロット弁320により、四方弁310において、弁室111または弁室113のうちの一方が高圧になるとともに、弁室113または弁室111のうちの他方が減圧される。そして、ピストン103及びピストン104に加わる圧力差により、上述のように連結体114及びスライド弁115の位置が、切り換えられる。
パイロット弁320の電磁コイル部326は、リード線327から通電し、あるいは、通電を遮断することにより駆動される。これにより、パイロットスライド弁を切り換えることによって、四方弁310へ供給される高圧冷媒が制御される。つまり、電磁コイル部326への通電、遮断の制御によって、パイロット弁320が切り換えられることにより、四方弁310が切り換え制御され、空気調和機300における冷暖房運転の切り換えが行われる。
以上、本発明に係るスライド弁を備える弁装置について、実施形態として四方弁につき説明してきたが、本発明に係る弁装置は、これに限られるものではなく、要は、スライド弁を備えている弁装置であれば良く、したがって、弁座に接続される継手の数は限定されない。
10,50 切換弁
11、11A、11B、11C、11D、11E、11F、51、102 弁本体
11’、11’A、11’B、11’C、11’D、11’E、11’F、11”F
異形引抜き素管または異形押出し素管
12、120 弁座
12a (弁座の)平坦面
13 第2の継手(接続パイプ)
14 第3の継手(吸入パイプ)
15 第4の継手(接続パイプ)
16 第1の継手(吐出パイプ)
20、20A、20B、20C、20D、20E 肉厚部分
18 接続突出部
18a (接続突出部の)平坦面
31 架台
32 支柱
33 上腕
35 継手管受け
36 押さえ棒
37 押さえ棒
38 押さえ棒
101、310 四方弁
102 弁本体
103、104 ピストン
106、107 蓋体
111、112、113 弁室
114 連結体
115 スライド弁
116、117、118、119 継手
121 流路
122、123、124、125 開口
300 空気調和機システム
301a 低圧管
301b 高圧管
301c、301d、301e 導管
320 パイロット弁
321 弁本体
322、324 切換継手管
323 低圧継手管
325 高圧継手管
326 電磁コイル部
327 リード線
330 室内熱交換器
340 膨張弁
350 室外熱交換器
360 圧縮機
361 吐出口
362 吸入口