図1は、本発明の実施例に係る制御方法を実行するショベルの側面図である。ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられている。フロントアタッチメントを構成するブーム4、アーム5、及びバケット6は、油圧シリンダであるブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン等の動力源が搭載される。
図2は、油圧ショベルの駆動系の構成例を示すブロック図である。図2において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細実線でそれぞれ示されている。
機械式駆動部としてのエンジン11の出力軸には、油圧ポンプとしてのメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続されている。
コントロールバルブ17は、油圧ショベルにおける油圧系の制御を行う装置である。下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、旋回用油圧モータ21等の油圧アクチュエータは、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続されている。
操作装置26は、下部走行体1、旋回機構2、ブーム4、アーム5、及びバケット6を操作するための操作装置であり、レバー26A及び26Bとペダル26Cを含む。レバー26Aは、旋回機構2及びアーム5を操作するためのレバーであり、キャビン10内の運転席近傍に設けられる。レバー26Bは、ブーム4及びバケット6を操作するためのレバーであり、運転席近傍に設けられる。また、ペダル26Cは、下部走行体1を操作するための一対のペダルであり、運転席の下に設けられる。
操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される油圧(一次圧)を運転者の操作量(例えば、中立位置を基準としたレバー傾斜角度である。)に応じた油圧(二次圧)に変換して出力する。操作装置26から出力される二次圧は、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17に供給されるとともに、パイロット圧センサ29によって検出される。
レバー26A、レバー26B、ペダル26Cが操作されると、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17が駆動され、これにより、油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、旋回用油圧モータ21の油圧が制御されることによって、下部走行体1、旋回機構2、ブーム4、アーム5、バケット6が駆動される。
パイロット圧センサ29は、操作装置26の操作に応じた油圧ライン28内の作動油の圧力をパイロット圧として検出し、パイロット圧を表す電気信号をコントローラ30に対して出力する。また、本実施例では、レバー操作検出部としてパイロット圧センサ29を用いたが、操作装置26の操作量をそのまま電気信号で読み取るセンサを用いてもよい。
吐出圧センサ29Aは、メインポンプ14が吐出する作動油の圧力をポンプ吐出圧として検出し、ポンプ吐出圧を表す電気信号をコントローラ30に対して出力する。
旋回油圧モータ圧力センサ29Bは、旋回用油圧モータ21内の作動油の圧力を旋回油圧モータ圧力として検出し、旋回油圧モータ圧力を表す電気信号をコントローラ30に対して出力する。
コントローラ30は、油圧ショベルの駆動制御を行う主制御部としてのコントローラである。本実施例では、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUが実行することにより実現される。
次に、図3を参照しながら、油圧ショベルが旋回動作による均し整地作業をスムーズに実行できる場合の旋回レバー操作量、旋回油圧モータ圧力、旋回回転変位、旋回回転速度、及びバケット底面高さの時間的推移について説明する。なお、バケット底面高さは、既に目標となる整地面の高さにある。また、旋回油圧モータ圧力は、旋回用油圧モータ21の吸込側の作動油の圧力に相当する。
図3(A)に示すように、時刻t0において旋回レバーが最大操作量Cmaxで操作されると、図3(B)に示すように、旋回油圧モータ圧力は、上部旋回体3を旋回方向に加速させるために急激に上昇し、時刻t1においてリリーフ圧Prに達する。また、旋回回転速度は、図3(D)に示すように緩やかに上昇し、旋回回転変位は、図3(C)に示すように旋回回転速度の上昇に応じて緩やかに増加する。
その後、時刻t2において旋回回転速度が所定のレベルまで上昇すると、図3(B)に示すように、旋回油圧モータ圧力は、リリーフ圧Prから徐々に低下する。上部旋回体3の慣性抵抗が小さくなるためである。その後、旋回油圧モータ圧力は、所定の旋回回転速度を維持するのに必要なレベルまで減少し、上部旋回体3の減速を開始させるまでは、或いは、旋回反力(均し抵抗)が変化するまではそのレベルを維持する。その結果、上部旋回体3の旋回を開始させる際に旋回油圧モータ圧力がリリーフ圧Prとなる期間は、時刻t1から時刻t2までの期間D1となる。
その後、旋回回転速度は、図3(D)に示すように、そのまま緩やかに上昇を続け、旋回レバーの最大操作量Cmaxに応じた所定速度に達し、旋回レバーの操作量が変化するまでその所定速度を維持する。また、旋回回転変位は、図3(C)に示すように旋回回転速度の推移に応じて緩やかな増加を継続する。
その後、時刻t3において、旋回方向における土砂等の存在により均し抵抗が上昇すると、旋回油圧モータ圧力は、上部旋回体3の旋回を維持するために急激に上昇し、時刻t4において再びリリーフ圧Prに達する。
その後、時刻t5において、旋回方向における土砂等の押し退けが完了することにより均し抵抗が減少すると、旋回油圧モータ圧力は再び減少し、所定の旋回回転速度を維持するのに必要なレベルまで減少する。その結果、旋回方向における土砂等の押し退けのために旋回油圧モータ圧力がリリーフ圧Prとなる期間は、時刻t4から時刻t5までの期間D2となる。
その後、図3(A)に示すように時刻t6において旋回レバーが中立位置に戻されると、旋回用油圧モータ21の回転が停止し始め、旋回油圧モータ圧力は、図3(B)に示すように0まで減少する。また、旋回回転速度は、図3(D)に示すように0まで減少し、旋回回転変位は、旋回回転速度の減少に応じてその増加率を減少させ、旋回回転速度が0になったときにその増加を止める。
なお、バケット底面高さは、図3(E)に示すように、時刻t0から時刻t6まで一貫して目標となる整地面の高さに維持される。
次に、図4を参照しながら、油圧ショベルが旋回動作による均し整地作業をスムーズに実行できない場合の旋回レバー操作量、旋回油圧モータ圧力、旋回回転変位、旋回回転速度、及びバケット底面高さの時間的推移について説明する。なお、図4は、図3における時間的推移との比較のため、図3における時間的推移を点線で表す。また、図4に示すように、図4の時間的推移は、時刻t3までは図3の時間的推移と同じである。
時刻t3において、旋回方向における土砂等の存在により均し抵抗が上昇すると、旋回油圧モータ圧力は、上部旋回体3の旋回を維持するために急激に上昇し、時刻t4において再びリリーフ圧Prに達する。
図4では、図3の場合と異なり均し抵抗が大きいため、油圧ショベルは、旋回回転速度を維持することができない。そのため、図4(D)に示すように、時刻t3において旋回回転速度は減少し始め、時刻t4において0に達する。また、旋回回転変位は、図4(C)に示すように、旋回回転速度の減少に応じてその増加率を減少させ、旋回回転速度が0になったときにその増加を止める。
旋回油圧モータ圧力は、旋回レバーが中立位置のほうに戻されるまでリリーフ圧Prのまま推移する。旋回レバーの操作に応じて、停止中の上部旋回体3を旋回させようとするためである。
その後、図4(A)に示すように時刻t7において旋回レバーが中立位置に戻されると、旋回用油圧モータ21の回転が停止し始め、旋回油圧モータ圧力は、図4(B)に示すように0まで減少する。その結果、旋回油圧モータ圧力がリリーフ圧Prとなる期間は、時刻t4から時刻t7までの期間D3となる。なお、時刻t7は、操作者が旋回レバーの操作を中止した時刻であるため、期間D3は、操作者が旋回レバーの操作を中止しない限り増大し続ける。このように、時刻t3以降、均し作業は中断してしまう。そこで、本実施例に係る油圧ショベルは、旋回動作による均し整地作業において、均し抵抗が増大した場合、或いは、旋回速度が低下した場合に、バケット6を自動的に上昇させる。
ここで、図5を参照しながら、本実施例に係る油圧ショベルが旋回動作による均し整地作業の継続を支援する処理(以下、「第1均し整地作業継続支援処理」とする。)について説明する。なお、図5は、第1均し整地作業継続支援処理の流れを示すフローチャートであり、油圧ショベルは、所定周期で繰り返しこの第1均し整地作業継続支援処理を実行する。
最初に、コントローラ30は、キャビン10内に設置されるモード選択スイッチ(図示せず。)で均し作業モードが選択されたか否かを判断する(ステップS1)。
均し作業モードが選択されていないと判断した場合(ステップS1のNO)、コントローラ30は、今回の第1均し整地作業継続支援処理を終了させる。
一方、均し作業モードが選択されたと判断した場合(ステップS1のYES)、コントローラ30は、旋回レバー操作量及び旋回油圧モータ圧力を検出する(ステップS2)。なお、コントローラ30は、旋回油圧モータ圧力の代わりにポンプ吐出圧を検出してもよい。
具体的には、コントローラ30は、パイロット圧センサ29が出力するレバー26Aのパイロット圧を旋回レバー操作量として取得する。また、コントローラ30は、旋回油圧モータ圧力センサ29Bの検出値を旋回油圧モータ圧力として取得する。或いは、コントローラ30は、旋回油圧モータ圧力を取得する代わりに、吐出圧センサ29Aの検出値をポンプ吐出圧として取得してもよい。
その後、コントローラ30は、旋回レバー操作量が第1閾値以上であり、且つ、旋回油圧モータ圧力又はポンプ吐出圧が第2閾値以上であり、且つ、持続時間が第3閾値を上回るか否かを判断する(ステップS3)。なお、持続時間は、旋回レバー操作量が第1閾値以上であり、且つ、旋回油圧モータ圧力又はポンプ吐出圧が第2閾値以上である状態の継続時間を意味する。また、第1閾値は、例えば、最大操作量Cmaxであり、第2閾値は、例えば、旋回油圧モータ圧力又はポンプ吐出圧に対するリリーフ圧Prである。
持続時間は、通常、旋回動作の際に大きな均し抵抗を発生させる土砂等が存在しない場合、上部旋回体3の旋回を開始させる際の期間D1程度で済む。また、旋回動作の際に均し抵抗を発生させる土砂等が存在する場合であっても、押し退け可能な程度の土砂等であれば、持続時間は期間D2程度で済む。しかしながら、押し退けることができない程の土砂等であれば、持続時間は、操作者が旋回レバーの操作を中止しない限り期間D3を超えて増大し続ける。そのため、第3閾値は、例えば、期間D1及び期間D2よりも大きい所定の時間に設定される。
旋回レバー操作量が第1閾値以上であり、且つ、旋回油圧モータ圧力又はポンプ吐出圧が第2閾値以上であり、且つ、持続時間が第3閾値を上回る場合(ステップS3のYES)、コントローラ30は、バケット自動上昇制御を実行する(ステップS4)。具体的には、コントローラ30は、ブーム4及びアーム5の少なくとも一方を自動的に動作させてバケット6を所定の上昇量だけ上昇させる。また、所定の上昇量だけ上昇させても、均し抵抗が低減しない場合には、さらに、所定の上昇量だけ上昇させる。
このバケット自動上昇制御により、コントローラ30は、均し抵抗を低減させ、均し抵抗を生じさせた土砂等を押し退けできるようにして、均し整地作業を継続できるようにする。
一方、旋回レバー操作量が第1閾値未満の場合、或いは、旋回油圧モータ圧力又はポンプ吐出圧が第2閾値未満の場合、或いは、持続時間が第3閾値以下の場合(ステップS3のNO)、コントローラ30は、バケット自動上昇制御を実行することなく、今回の第1均し整地作業継続支援処理を終了させる。
次に、図6を参照しながら、油圧ショベルが第1均し整地作業継続支援処理を実行するときの旋回レバー操作量、旋回油圧モータ圧力、旋回回転変位、旋回回転速度、及びバケット底面高さの時間的推移について説明する。なお、図6は、図3における時間的推移との比較のため、図3における時間的推移を点線で表す。また、図6に示すように、図6の時間的推移は、時刻t3までは図3の時間的推移と同じである。
時刻t3において、旋回方向における土砂等の存在により均し抵抗が上昇すると、旋回油圧モータ圧力は、上部旋回体3の旋回を維持するために急激に上昇し、時刻t4において再びリリーフ圧Prに達する。
図6では、図3の場合と異なり均し抵抗が大きいため、油圧ショベルは、旋回回転速度を維持することができない。そのため、図6(D)に示すように、旋回回転速度は減少し始め、時刻t4において0に達する。また、旋回回転変位は、図6(C)に示すように、旋回回転速度の減少に応じてその増加率を減少させ、旋回回転速度が0になったときにその増加を止める。
旋回油圧モータ圧力は、旋回レバーが中立位置のほうに戻されるまでリリーフ圧Prのまま推移する。旋回レバーの操作に応じて、停止した上部旋回体3を旋回させようとするためである。
その後、図6(B)に示すように時刻t8において、時刻t4からの経過時間が第3閾値Drefを上回る期間D4(=Dref+α)となる。具体的には、時刻t8において、旋回レバー操作量が最大操作量Cmaxであり、且つ、旋回油圧モータ圧力がリリーフ圧Prである状態の持続時間が第3閾値Drefを上回る。そのため、油圧ショベルは、第1均し整地作業継続支援処理にしたがって、バケット自動上昇処理によりバケット6を所定の上昇量だけ上昇させる。その結果、図6(E)に示すように、バケット底面高さは所定の上昇量だけ上昇する。
その後、バケット底面高さの上昇に応じて均し抵抗が減少すると、バケット6を含むフロントアタッチメントは、旋回方向における土砂等を押し退けて旋回を再開する。油圧ショベルは、バケット6を上昇させている間も旋回動作を継続しているためである。その結果、旋回回転速度は、図6(D)に示すように緩やかに上昇し、旋回回転変位は、図6(C)に示すように旋回回転速度の上昇に応じて緩やかに増加する。
その後、時刻t9において旋回回転速度が所定のレベルまで上昇すると、図6(B)に示すように、旋回油圧モータ圧力は、リリーフ圧Prから徐々に低下する。上部旋回体3の慣性抵抗が小さくなるためである。その後、旋回油圧モータ圧力は、所定の旋回回転速度を維持するのに必要なレベルまで減少し、上部旋回体3の減速を開始させるまでは、或いは、均し抵抗が変化するまではそのレベルを維持する。
旋回回転速度は、図6(D)に示すように、そのまま緩やかに上昇を続け、旋回レバーの最大操作量Cmaxに応じた所定速度に達し、旋回レバーの操作量が変化するまでその所定速度を維持する。また、旋回回転変位は、図6(C)に示すように旋回回転速度の推移に応じて緩やかな増加を継続する。
その後、図6(A)に示すように時刻t10において旋回レバーが中立位置に戻されると、旋回用油圧モータ21の回転が停止し始め、旋回油圧モータ圧力は、図6(B)に示すように0まで減少する。また、旋回回転速度は、図6(D)に示すように減少を開始し、旋回回転変位は、旋回回転速度の減少に応じてその増加率を減少させ、旋回回転速度が0になったときにその増加を止める。
このように、第1均し整地作業継続支援処理を実行する油圧ショベルは、均し抵抗が大きく、均し整地作業の継続が困難な場合に、バケット6を上昇させることで均し抵抗を減少させ均し整地作業を継続させることができる。
次に、図7を参照しながら、本発明の実施例に係る制御方法を実行するハイブリッドショベルについて説明する。なお、図7は、ハイブリッドショベルの駆動系の構成例を示すブロック図である。図7において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細実線でそれぞれ示されている。また、図7の駆動系は、電動発電機12、変速機13、インバータ18、及び蓄電系120を備える点、旋回用油圧モータ21及び旋回油圧モータ圧力センサ29Bの代わりに、インバータ20、旋回用電動発電機21A、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24を備える点、並びに、コントローラ30が駆動制御部32、電動旋回制御部40、及び主制御部60を含む点で図2の駆動系と相違する。但し、その他の点において図2の駆動系と共通する。そのため、共通点の説明を省略しながら相違点を詳細に説明する。
図7において、機械式駆動部としてのエンジン11と、発電も行うアシスト駆動部としての電動発電機12は、変速機13の2つの入力軸にそれぞれ接続されている。変速機13の出力軸には、油圧ポンプとしてのメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。
電動発電機12には、インバータ18を介して、蓄電器としてのキャパシタを含む蓄電系(蓄電装置)120が接続されている。
蓄電系120は、インバータ18とインバータ20との間に配置されている。これにより、電動発電機12及び旋回用電動発電機21Aの少なくとも一方が力行運転を行っている際には、蓄電系120は力行運転に必要な電力を供給するとともに、少なくとも一方が発電運転を行っている際には、蓄電系120は発電運転によって発生した電力を電気エネルギとして蓄積する。
図8は蓄電系120の構成例を示すブロック図である。蓄電系120は、蓄電器としてのキャパシタ19と昇降圧コンバータ100とDCバス110とを含む。第2の蓄電器としてのDCバス110は、第1の蓄電器としてのキャパシタ19と電動発電機12と旋回用電動発電機21Aとの間での電力の授受を制御する。キャパシタ19には、キャパシタ電圧値を検出するためのキャパシタ電圧検出部112と、キャパシタ電流値を検出するためのキャパシタ電流検出部113が設けられている。キャパシタ電圧検出部112及びキャパシタ電流検出部113によって検出されるキャパシタ電圧値及びキャパシタ電流値は、コントローラ30に供給される。また、上述では、蓄電器の例としてキャパシタ19を示したが、キャパシタ19の代わりにリチウムイオン電池等の充電可能な二次電池、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を蓄電器として用いてもよい。
昇降圧コンバータ100は、電動発電機12及び旋回用電動発電機21Aの運転状態に応じて、DCバス電圧値が一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り換える制御を行う。DCバス110は、インバータ18、20と昇降圧コンバータ100との間に配設されており、キャパシタ19、電動発電機12、旋回用電動発電機21Aの間での電力の授受を行う。
図7に戻り、インバータ20は、旋回用電動発電機21Aと蓄電系120との間に設けられ、コントローラ30からの指令に基づき、旋回用電動発電機21Aに対して運転制御を行う。これにより、インバータ20は、旋回用電動発電機21Aが力行運転をしている際には、必要な電力を蓄電系120から旋回用電動発電機21Aに供給する。また、旋回用電動発電機21Aが発電運転をしている際には、旋回用電動発電機21Aにより発電された電力を蓄電系120のキャパシタ19に蓄電する。
旋回用電動発電機21Aは、力行運転及び発電運転の双方が可能な電動機であればよく、上部旋回体3の旋回機構2を駆動するために設けられている。力行運転の際には、旋回用電動発電機21Aの回転駆動力が減速機24にて増幅され、上部旋回体3が加減速制御され回転運動を行う。また、発電運転の際には、上部旋回体3の慣性回転は、減速機24にて回転数が増加されて旋回用電動発電機21Aに伝達され、回生電力を発生させることができる。ここでは、旋回用電動発電機21Aは、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号によりインバータ20によって交流駆動される電動機である。旋回用電動発電機21Aは、例えば、磁石埋込型のIPMモータで構成することができる。これにより、より大きな誘導起電力を発生させることができるので、回生時に旋回用電動発電機21Aにて発電される電力を増大させることができる。
なお、蓄電系120のキャパシタ19の充放電制御は、キャパシタ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(力行運転又は発電運転)、旋回用電動発電機21Aの運転状態(力行運転又は回生運転)に基づき、コントローラ30によって行われる。
レゾルバ22は、旋回用電動発電機21Aの回転軸の回転位置及び回転角度を検出するセンサである。具体的には、レゾルバ22は、旋回用電動発電機21Aの回転前の回転軸の回転位置と、左回転又は右回転した後の回転位置との差を検出することにより、回転軸の回転角度及び回転方向を検出する。旋回用電動発電機21Aの回転軸の回転角度及び回転方向を検出することにより、旋回機構2の回転角度及び回転方向が導出される。
メカニカルブレーキ23は、機械的な制動力を発生させる制動装置であり、旋回用電動発電機21Aの回転軸を機械的に停止させる。このメカニカルブレーキ23は、電磁式スイッチにより制動/解除が切り替えられる。この切り替えは、コントローラ30によって行われる。
旋回変速機24は、旋回用電動発電機21Aの回転軸の回転を減速して旋回機構2に機械的に伝達する変速機である。これにより、力行運転の際には、旋回用電動発電機21Aの回転力を増力させ、より大きな回転力を上部旋回体3へ伝達することができる。これとは逆に、回生運転の際には、上部旋回体3で発生した回転を増速して旋回用電動発電機21Aに機械的に伝達することができる。
旋回機構2は、旋回用電動発電機21Aのメカニカルブレーキ23が解除された状態で旋回可能となり、これにより、上部旋回体3が左方向又は右方向に旋回される。
コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動アシスト運転又は発電運転の切り換え)を行うとともに、昇降圧制御部としての昇降圧コンバータ100を駆動制御することによるキャパシタ19の充放電制御を行う。コントローラ30は、キャパシタ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動アシスト運転又は発電運転)、及び旋回用電動発電機21Aの運転状態(力行運転又は回生運転)に基づいて、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切り換え制御を行い、これによりキャパシタ19の充放電制御を行う。また、コントローラ30は、キャパシタに充電する量(充電電流又は充電電力)の制御も行う。
この昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切り換え制御は、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値、キャパシタ電圧検出部112によって検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流検出部113によって検出されるキャパシタ電流値に基づいて行われる。
以上のような構成において、アシストモータである電動発電機12が発電した電力は、インバータ18を介して蓄電系120のDCバス110に供給され、昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に供給される。また、旋回用電動発電機21Aが回生運転して生成した回生電力は、インバータ20を介して蓄電系120のDCバス110に供給され、昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に供給される。
また、コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う制御装置であり、駆動制御部32、電動旋回制御部40、及び主制御部60を含む。コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成される。駆動制御部32、電動旋回制御部40及び主制御部60は、コントローラ30のCPUが内部メモリに格納される駆動制御用のプログラムを実行することにより実現される機能要素である。
駆動制御部32は、電動発電機12の運転制御(力行運転又は発電運転の切り替え)、及び、キャパシタ19の充放電制御を行うための機能要素である。駆動制御部32は、エンジン11の負荷の状態とキャパシタ19の充電状態に応じて、電動発電機12の力行運転と発電運転を切り替える。駆動制御部32は、電動発電機12の力行運転と発電運転を切り替えることにより、インバータ18を介してキャパシタ19の充放電制御を行う。
電動旋回制御部40は、インバータ20を介して旋回用電動発電機21Aの駆動制御を行って上部旋回体3の旋回動作を制御するための機能要素である。
図9は、電動旋回制御部40の構成例を示すブロック図であり、電動旋回制御部40は、速度指令変換部31及び駆動指令生成部50を含む。
速度指令変換部31は、パイロット圧センサ29から入力される信号を速度指令に変換する演算処理部である。これにより、レバー26Aの操作量は、旋回用電動発電機21Aを回転駆動させるための速度指令(rad/s)に変換される。この速度指令は、駆動制御部32、駆動指令生成部50、及び主制御部60に入力される。
駆動指令生成部50は、旋回用電動発電機21Aを駆動するためのトルク電流増減値(トルク指令値)を生成する機能要素である。駆動指令生成部50には、レバー26Aの操作量に応じて速度指令変換部31から出力される速度指令が入力される。駆動指令生成部50は、速度指令に基づきトルク指令値を生成する。トルク指令値はインバータ20に入力される。インバータ20は、トルク指令値に応じたPWM制御により旋回用電動発電機21Aを交流駆動する。
インバータ20は、駆動指令生成部50から受けるトルク指令値によりトルク電流値を増減させて旋回用電動発電機21Aを左方向又は右方向に加速又は減速させる。なお、インバータ20は、例えば、トルク電流値がマイナス側に大きいほど上部旋回体3を左方向に旋回させる旋回用電動発電機21Aのトルクを増大させるようにし、トルク電流値がプラス側に大きいほど上部旋回体3を右方向に旋回させる旋回用電動発電機21Aのトルクを増大させるようにする。
主制御部60は、電動旋回制御装置40の制御処理に必要な周辺処理を行う機能要素である。
駆動指令生成部50は、減算器51、PI制御部52、トルク制限部53、及び旋回動作検出部58を含む。この駆動指令生成部50の減算器51には、レバー26Aの操作量に応じた旋回駆動用の速度指令(rad/s)が入力される。
減算器51は、レバー26Aの操作量に応じた速度指令(rad/s)から、旋回動作検出部58によって検出される旋回用電動発電機21Aの回転速度(rad/s)を減算して偏差を出力する。この偏差は、PI制御部52において、旋回用電動発電機21Aの回転速度を速度指令(目標値)に近づけるためのPI制御に用いられる。
PI制御部52は、減算器51から入力される偏差に基づき、旋回用電動発電機21Aの回転速度を速度指令(目標値)に近づけるように(すなわち、この偏差を小さくするように)PI制御を行い、そのために必要なトルク指令値を生成する。生成されたトルク指令値は、トルク制限部53に入力される。
具体的には、PI制御部52は、今回の制御サイクルにおいて減算器51から入力される偏差に所定の比例(P)ゲインを乗じた値(比例成分)と、今回の制御サイクルまでの偏差の積算値(積分値)に所定の積分(I)ゲインを乗じた値(積分成分)とを加算してトルク指令値を生成する。
トルク制限部53は、トルク指令値の変動幅を制限する処理を行う。トルク指令値の変動幅の制限は、例えば、PI制御部52によって生成されるトルク指令値が急激に変動すると旋回制御性が悪化するため、この悪化を抑制するために行われる。この制限特性は、上部旋回体3の左方向及び右方向の双方向における急旋回を制限するための特性を有するものであり、レバー26Aの操作量の増大に応じてトルク指令値の変動幅を緩やかに増大させる特性を有する。
また、制限特性を表すデータ(例えば、参照マップの形式で提供される。)は、主制御部60の内部メモリに格納されており、トルク制限部53によって読み出される。
次に、図10を参照しながら、本実施例に係るハイブリッドショベルが旋回動作による均し整地作業の継続を支援する処理(以下、「第2均し整地作業継続支援処理」とする。)について説明する。なお、図10は、第2均し整地作業継続支援処理の流れを示すフローチャートであり、ハイブリッドショベルは、所定周期で繰り返しこの第2均し整地作業継続支援処理を実行する。
最初に、コントローラ30は、キャビン10内に設置されるモード選択スイッチ(図示せず。)で均し作業モードが選択されたか否かを判断する(ステップS11)。
均し作業モードが選択されていないと判断した場合(ステップS11のNO)、コントローラ30は、今回の第2均し整地作業継続支援処理を終了させる。
一方、均し作業モードが選択されたと判断した場合(ステップS11のYES)、コントローラ30は、旋回レバー操作量及び旋回電動モータトルクを検出する(ステップS12)。
具体的には、コントローラ30は、パイロット圧センサ29が出力するレバー26Aのパイロット圧を旋回レバー操作量として取得する。また、コントローラ30は、インバータ20が旋回用電動発電機21Aに対して出力する電流を検出し、その検出値を旋回電動モータトルクとして取得する。
その後、コントローラ30は、旋回レバー操作量が第1閾値以上であり、且つ、旋回電動モータトルクが第2閾値以上であり、且つ、持続時間が第3閾値を上回るか否かを判断する(ステップS13)。なお、持続時間は、旋回レバー操作量が第1閾値以上であり、且つ、旋回電動モータトルクが第2閾値以上である状態の継続時間を意味する。また、第1閾値は、例えば、最大操作量Cmaxであり、第2閾値は、例えば、最大トルク電流である。
持続時間は、通常、旋回動作の際に大きな均し抵抗を発生させる土砂等が存在しない場合、上部旋回体3の旋回を開始させる際には期間D1程度で済む。また、旋回動作の際に均し抵抗を発生させる土砂等が存在する場合であっても、押し退け可能な程度の土砂等であれば、持続時間は期間D2程度で済む。しかしながら、押し退けることができない程の土砂等であれば、持続時間は、操作者が旋回レバーの操作を中止しない限り期間D3を超えて増大し続ける。そのため、第3閾値は、例えば、期間D1及び期間D2よりも大きい所定の時間に設定される。
旋回レバー操作量が第1閾値以上であり、且つ、旋回電動モータトルクが第2閾値以上であり、且つ、持続時間が第3閾値を上回る場合(ステップS13のYES)、コントローラ30は、バケット自動上昇制御を実行する(ステップS14)。
このバケット自動上昇制御により、コントローラ30は、均し抵抗を低減させ、均し抵抗を生じさせた土砂等を押し退けできるようにし、均し整地作業を継続できるようにする。
一方、旋回レバー操作量が第1閾値未満の場合、或いは、旋回電動モータトルクが第2閾値未満の場合、或いは、持続時間が第3閾値以下の場合(ステップS13のNO)、コントローラ30は、バケット自動上昇制御を実行することなく、今回の第2均し整地作業継続支援処理を終了させる。
次に、図11を参照しながら、本実施例に係るハイブリッドショベルが旋回動作による均し整地作業の継続を支援する処理の別の例(以下、「第3均し整地作業継続支援処理」とする。)について説明する。なお、図11は、第3均し整地作業継続支援処理の流れを示すフローチャートであり、ハイブリッドショベルは、所定周期で繰り返しこの第3均し整地作業継続支援処理を実行する。
最初に、コントローラ30は、キャビン10内に設置されるモード選択スイッチ(図示せず。)で均し作業モードが選択されたか否かを判断する(ステップS21)。
均し作業モードが選択されていないと判断した場合(ステップS21のNO)、コントローラ30は、今回の第3均し整地作業継続支援処理を終了させる。
一方、均し作業モードが選択されたと判断した場合(ステップS21のYES)、コントローラ30は、旋回レバー操作量及び旋回モータ速度を検出する(ステップS22)。なお、コントローラ30は、旋回レバー操作量の代わりに旋回電動モータトルクを検出してもよい。
具体的には、コントローラ30は、パイロット圧センサ29が出力するレバー26Aのパイロット圧を旋回レバー操作量として取得する。また、コントローラ30は、レゾルバ22が出力する回転軸の回転角度及び回転方向に基づいて導出される旋回用電動発電機21Aの回転速度を旋回モータ速度として取得する。或いは、コントローラ30は、旋回レバー操作量を取得する代わりに、インバータ20が旋回用電動発電機21Aに対して出力する電流を検出し、その検出値を旋回電動モータトルクとして取得してもよい。
その後、コントローラ30は、旋回レバー操作量又は旋回電動モータトルクが第1閾値以上であり、且つ、旋回モータ速度が第2閾値以下であり、且つ、持続時間が第3閾値を上回るか否かを判断する(ステップS23)。なお、持続時間は、旋回レバー操作量又は旋回電動モータトルクが第1閾値以上であり、且つ、旋回モータ速度が第2閾値以下である状態の継続時間を意味する。また、第1閾値は、例えば、旋回レバー操作量に対する最大操作量Cmax、又は、旋回電動モータトルクに対する最大トルク電流であり、第2閾値は、例えば、予め設定される閾値速度である。
持続時間は、通常、旋回動作の際に大きな均し抵抗を発生させる土砂等が存在しない場合、上部旋回体3の旋回を開始させる際には期間D1程度で済む。また、旋回動作の際に均し抵抗を発生させる土砂等が存在する場合であっても、押し退け可能な程度の土砂等であれば、持続時間は期間D2程度で済む。しかしながら、押し退けることができない程の土砂等であれば、持続時間は、操作者が旋回レバーの操作を中止しない限り期間D3を超えて増大し続ける。そのため、第3閾値は、例えば、期間D1及び期間D2よりも大きい所定の時間に設定される。
旋回レバー操作量が第1閾値以上であり、且つ、旋回モータ速度が第2閾値以下であり、且つ、持続時間が第3閾値を上回る場合(ステップS23のYES)、コントローラ30は、バケット自動上昇制御を実行する(ステップS24)。
このバケット自動上昇制御により、コントローラ30は、均し抵抗を低減させ、均し抵抗を生じさせた土砂等を押し退けできるようにし、均し整地作業を継続できるようにする。
一方、旋回レバー操作量又は旋回電動モータトルクが第1閾値未満の場合、或いは、旋回モータ速度が第2閾値を上回る場合、或いは、持続時間が第3閾値以下の場合(ステップS23のNO)、コントローラ30は、バケット自動上昇制御を実行することなく、今回の第3均し整地作業継続支援処理を終了させる。
次に、図12を参照しながら、ハイブリッドショベルが第3均し整地作業継続支援処理を実行するときの旋回レバー操作量、旋回電動モータトルク、旋回回転変位、旋回回転速度、及びバケット底面高さの時間的推移について説明する。なお、図12は、図3における時間的推移との比較のため、図3における時間的推移を点線で表す。また、図12のハイブリッドショベルにおける旋回電動モータトルクは、図3の油圧ショベルにおける旋回油圧モータ圧力に相当する。また、図12に示すように、図12の時間的推移は、時刻t3までは図3の時間的推移と同じである。
時刻t3において、旋回方向における土砂等の存在により均し抵抗が上昇すると、旋回電動モータトルクは、上部旋回体3の旋回を維持するために急激に上昇して最大トルクTmaxに達する。
図12では、図3の場合と異なり均し抵抗が大きいため、ハイブリッドショベルは、旋回回転速度を維持することができない。そのため、図12(D)に示すように、旋回回転速度は減少し始め、時刻t11において閾値速度V1以下になり、その後0に達する。また、旋回回転変位は、図12(C)に示すように、旋回回転速度の減少に応じてその増加率を減少させ、旋回回転速度が0になったときにその増加を止める。
旋回電動モータトルクは、旋回レバーが中立位置のほうに戻されるまで最大トルクTmaxのまま推移する。旋回レバーの操作に応じて、停止中の上部旋回体3を旋回させようとするためである。
その後、図12(D)に示すように時刻t12において、時刻t11からの経過時間が第3閾値を上回る期間D5となる。具体的には、時刻t12において、旋回レバー操作量が最大操作量Cmaxであり、且つ、旋回モータ速度が閾値速度V1以下である状態の持続時間が第3閾値を上回る。そのため、ハイブリッドショベルは、第3均し整地作業継続支援処理にしたがって、バケット自動上昇処理によりバケット6を所定の上昇量だけ上昇させる。その結果、図12(E)に示すように、バケット底面高さは所定の上昇量だけ上昇する。
その後、バケット底面高さの上昇に応じて均し抵抗が減少すると、バケット6を含むフロントアタッチメントは、旋回方向における土砂等を押し退けて旋回を再開する。ハイブリッドショベルは、バケット6を上昇させている間も旋回動作を継続しているためである。その結果、旋回回転速度は、図12(D)に示すように緩やかに上昇し、旋回回転変位は、図12(C)に示すように旋回回転速度の上昇に応じて緩やかに増加する。
その後、時刻t13において旋回回転速度が所定のレベルまで上昇すると、図12(B)に示すように、旋回電動モータトルクは、最大トルクTmaxから徐々に低下する。上部旋回体3の慣性抵抗が小さくなるためである。その後、旋回電動モータトルクは、所定の旋回回転速度を維持するのに必要なレベルまで減少し、上部旋回体3の減速を開始させるまでは、或いは、均し抵抗が変化するまではそのレベルを維持する。
旋回回転速度は、図12(D)に示すように、そのまま緩やかに上昇を続け、旋回レバーの最大操作量Cmaxに応じた所定速度に達し、旋回レバーの操作量が変化するまでその所定速度を維持する。また、旋回回転変位は、図12(C)に示すように旋回回転速度の推移に応じて緩やかな増加を継続する。
その後、図12(A)に示すように時刻t14において旋回レバーが中立位置に戻されると、旋回用電動発電機21Aの回転が停止し始め、旋回電動モータトルクは、図12(B)に示すように0まで減少する。また、旋回回転速度は、図12(D)に示すように減少を開始し、旋回回転変位は、旋回回転速度の減少に応じてその増加率を減少させ、旋回回転速度が0になったときにその増加を止める。
このように、第3均し整地作業継続支援処理を実行するハイブリッドショベルは、均し抵抗が大きく、均し整地作業の継続が困難な場合に、バケット6を上昇させることで均し抵抗を低減して均し整地作業を継続させることができる。
次に、図13を参照しながら、本発明の実施例で用いられる、ブーム4を操作するためのレバー26Bの構成例について説明する。
レバー26Bは、主に、減圧弁260、261、切換弁262、及び電磁比例弁263を含む。
減圧弁260は、レバー26Bのブーム上げ方向への操作量に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に出力するための弁である。具体的には、減圧弁260は、管路C1、C2を通じてコントロールバルブ17に接続され、管路C3を通じてパイロットポンプ15に接続される。また、減圧弁260は、電磁比例弁263を介して供給される作動油の圧力を一次圧として受け、レバー26Bのブーム上げ方向への操作量に応じた二次圧をパイロット圧として出力する。
減圧弁261は、レバー26Bのブーム下げ方向への操作量に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に出力するための弁である。具体的には、減圧弁261は、管路C4を通じてコントロールバルブ17に接続され、管路C3を通じてパイロットポンプ15に接続される。また、減圧弁261は、電磁比例弁263を介して供給される作動油の圧力を一次圧として受け、レバー26Bのブーム下げ方向への操作量に応じた二次圧をパイロット圧として出力する。
切換弁262は、ブーム上げ方向への操作量としてコントロールバルブ17に入力されるパイロット圧を切り換えるための弁である。具体的には、切換弁262は、3ポート2室の弁であり、第1ポートが管路C1を通じて減圧弁260に接続され、第2ポートが管路C2を通じてコントロールバルブ17に接続され、第3ポートが管路C5、C3を通じてパイロットポンプ15に接続される。また、切換弁262は、減圧弁260の二次圧をコントロールバルブ17に伝える第1位置と、電磁比例弁263を介して供給される作動油の圧力を、減圧弁260を介さずにコントロールバルブ17に伝える第2位置とを有する。なお、図13は、切換弁262が第1位置にある状態を示す。
電磁比例弁263は、パイロットポンプ15が吐出する作動油の圧力を一次圧として受け、コントローラ30からの制御電流に応じた二次圧を生成するための弁である。具体的には、電磁比例弁263は、例えば、コントローラ30からの制御電流が増大するにつれて二次圧を低下させる。
コントローラ30は、付属の記憶部30Aに記憶されたプログラムであるバケット上昇信号生成部300を用いてバケット自動上昇制御を実行する。具体的には、コントローラ30は、切換弁262に対して切換信号を出力し、且つ、電磁比例弁263に対して出力する制御電流を増大させる。その結果、切換弁262は第2位置に切り換えられ、管路C3、C5、C2を介して電磁比例弁263の二次圧をパイロット圧としてコントロールバルブ17に伝える。なお、電磁比例弁263の二次圧は、コントローラ30からの制御電流の増大に応じて所定の圧力に調整されている。
この構成により、コントローラ30は、ブーム4を自動的に上昇させることによってバケット6を自動的に上昇させることができる。また、アーム5を操作するためのレバー26Aに同様の構成が適用されてもよい。その場合、コントローラ30は、ブーム4及びアーム5の少なくとも一方を自動的に上昇させることによってバケット6を自動的に上昇させることができる。
以上の構成により、本発明の実施例に係るショベルの制御方法は、旋回動作による均し整地作業の際の旋回反力の増大又は旋回速度の低下に応じてバケット6を自動的に上昇させる。そのため、旋回反力の増大をもたらす土砂等の存在により旋回動作による均し整地作業が中断されるのを防止することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例では、バケット自動上昇制御の際のバケット6の上昇は、ブーム4及びアーム5の少なくとも一方の一回の動作で行われるが、ブーム4及びアーム5の少なくとも一方の複数回の動作で段階的に行われてもよい。その場合、規定回数未満の動作により旋回を再開できた場合には、残りの回数の動作を省略してもよい。
また、上述の実施例では、バケット自動上昇制御の際のバケット6の上昇は、旋回が再開されたか否かにかかわらず、所定の上昇量に達するまで行われるが、所定の上昇量に達する前に旋回を再開できた時点で停止されてもよい。
また、図14に示すようなハイブリッドショベルにも本発明を適用することができる。具体的には、図2の駆動系のように旋回用油圧モータ21を備えながらも、図7の駆動系のように電動発電機12、変速機13、インバータ18、及び蓄電系120を備えるハイブリッドショベルにも本発明を適用することができる。