JP5916801B2 - ジカルボン酸の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ジカルボン酸の製造方法に関する。
従来、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体からセバシン酸などのジカルボン酸を生成する方法として、次に示すアルカリ溶融法(例えば、非特許文献1参照)がある。
M.J.Diamond,R.G.Binder and T.H.Applewhite,1965.Alkaline cleavage of hydroxy unsaturated fatty acids.The Journal American Oil Chemists‘Society,Vol.42pp.882−884
つまり、上述したアルカリ溶融法では、ヒマシ油を原料とする場合は、そのヒマシ油中のリシノール酸のトリグリセリドを、アルコール分解によるメチルエステル化と、メチルエステルの加水分解によりリシノール酸にする前処理を行い、ヒマシ油誘導体を原料とする場合には、そのヒマシ油誘導体としてのリシノール酸又はリシノール酸エステルを直接使用して、それらのリシノール酸含有物を、高温の溶融アルカリ中で、反応を行わせるもので、酸化鉛などの助触媒を使用しても、やはり250℃以上という高い処理温度にする必要があり、しかも、原料及びアルカリが共に液体であるために、反応生成物を分離するためには、酸による中和によりセバシン酸を分離しなければならず、そのために、反応に使用されたアルカリのみならず未反応のアルカリも、投入アルカリの全量が中和処理された廃液になり、廃液の発生量が多くなってその処理費用が高くなるという問題がある。また、助触媒使用により、鉛などの環境負荷の多い金属を含んだアルカリ成分の処理に多くの手間がかかるという問題があった。
従って、本発明の目的は、ジカルボン酸をより低温で反応させることができながら、アルカリ使用量及びアルカリ廃液を削減できるようにするところにある。
本発明の第1の特徴構成は、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体を、多孔質吸着材にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを担持した触媒の存在下で100℃以上の高温で反応させる工程を含むところにある。
本発明の第1の特徴構成によれば、多孔質吸着材にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを担持した触媒の存在下で反応を行うことで、リシノール酸やリシノール酸エステルの酸化開裂反応を容易に生じさせることができるため、従来のアルカリ溶融法よりも低い温度でセバシン酸等のジカルボン酸を略同等の収率で生成することができる。また、原料中にリシノール酸のトリグリセリドが存在していても、加水分解、アルコール分解及び酸化開裂反応を容易に生じさせることができ、しかも、加水分解、アルコール分解及び酸化開裂反応という複数の反応を連鎖的に進行させることができるため、従来法と比較して、反応に要する手間を削減できる。
その上、多孔質吸着材にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを担持した触媒において、多孔質吸着材には、アルカリ金属及び水酸基(OH)が担持する。そして担持した水酸基(OH)は、水の沸点である100℃以上になることでアルカリ金属を活性化させる。
また、前記触媒は固形物であるために、反応に使用した後、反応系から容易に分離回収でき、その触媒を回収することで触媒中の未反応のアルカリ金属を再利用できるので、アルカリ使用量及び廃液量を削減できる。
その上、多孔質吸着材にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを担持した触媒において、多孔質吸着材には、アルカリ金属及び水酸基(OH)が担持する。そして担持した水酸基(OH)は、水の沸点である100℃以上になることでアルカリ金属を活性化させる。
また、前記触媒は固形物であるために、反応に使用した後、反応系から容易に分離回収でき、その触媒を回収することで触媒中の未反応のアルカリ金属を再利用できるので、アルカリ使用量及び廃液量を削減できる。
本発明の第2の特徴構成は、前記反応後、未反応の前記アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを担持した前記多孔質吸着体を回収し、新たな前記反応に再度使用するところにある
本発明の第2の特徴構成によれば、未反応のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを担持した前記多孔質吸着材を、再度新たな反応に使用することにより、アルカリ使用量を削減し、経済的にセバシン酸等のジカルボン酸を製造でき、しかも、廃液中へのアルカリの流出が少なくなり、環境負荷の少ない製造方法を提供できる。
本発明の第3の特徴構成は、前記多孔質吸着材が活性炭であり、前記アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドがナトリウムアルコキシド、水酸化ナトリウム、カリウムアルコキシド、水酸化カリウムからなる群より選択された少なくとも1種であるところにある。
本発明の第3の特徴構成によれば、ナトリウムアルコキシド、水酸化ナトリウム、カリウムアルコキシド及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを活性炭に担持させることにより、より低温の反応でセバシン酸を製造することが可能となる。これは、活性炭のπ電子雲にナトリウムなどのアルカリイオンが捕捉されることで、OHラジカルが発生することに起因するものと考えられる。
従って、鉛などの環境負荷の多い重金属触媒を使用しなくても、低温でセバシン酸等のジカルボン酸を生成することができる。
従って、鉛などの環境負荷の多い重金属触媒を使用しなくても、低温でセバシン酸等のジカルボン酸を生成することができる。
本発明の第4の特徴構成は、 前記反応を、150℃〜230℃、常圧〜5MPaの亜臨界状態の雰囲気中で行うところにある。
本発明の第4の特徴構成によれば、前記反応を、150℃〜230℃、常圧〜5MPaの亜臨界状態の雰囲気中で行うことにより、ヒマシ油及び/又はヒマシ油誘導体とアルカリ金属との反応性を向上できる。これは、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体が多孔質吸着材中のアルカリ金属と接触し易くなること、また、圧力上昇に伴って活性化エネルギーが上昇して、多孔質吸着材に吸着されたOHラジカルやメトキシラジカルの寿命が延びることに起因すると考えられる。
従って、反応性の向上によって、アルカリ使用量をより削減できる。
しかも、有機溶媒を使用してナトリウムアルコキシドのようなアルカリ金属アルコキシドを多孔質吸着材に担持操作しても、亜臨界状態の雰囲気では、有機溶媒のガス化を抑制することができるため、安全にセバシン酸等のジカルボン酸を生成できる。
結果的に、従来よりも低温の環境下で、より安価にセバシン酸等のジカルボン酸を生成できる。
従って、反応性の向上によって、アルカリ使用量をより削減できる。
しかも、有機溶媒を使用してナトリウムアルコキシドのようなアルカリ金属アルコキシドを多孔質吸着材に担持操作しても、亜臨界状態の雰囲気では、有機溶媒のガス化を抑制することができるため、安全にセバシン酸等のジカルボン酸を生成できる。
結果的に、従来よりも低温の環境下で、より安価にセバシン酸等のジカルボン酸を生成できる。
本発明の第5の特徴構成は、前記反応によって、ジカルボン酸塩を含む処理液を生成する工程と、前記処理液を濾過して濾液と濾過残渣とに分離する工程と、前記濾液に酸を投入して前記濾液中のジカルボン酸塩をジカルボン酸にする工程と、を含むところにある。
本発明の第5の特徴構成によれば、セバシン酸塩等のジカルボン酸塩を含む処理液を生成した後、その処理液を濾過し、得られた濾液に酸を投入するという工程を行うことで、セバシン酸等のジカルボン酸を容易に生成することができる。
また、濾過によって濾液中の含有アルカリ量が減少するために、図4に示すように、従来法と比較して、アルカリを中和するための酸の使用量も減らすことができ、廃液処理のコストと手間を削減できる。
また、濾過によって濾液中の含有アルカリ量が減少するために、図4に示すように、従来法と比較して、アルカリを中和するための酸の使用量も減らすことができ、廃液処理のコストと手間を削減できる。
本発明の第6の特徴構成は、炭素数10以上の不飽和脂肪酸及びそのエステルからなる群より選択される少なくとも1種を、前記多孔質吸着剤に前記アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドの状態で担持操作した触媒の存在下で、100℃以上、常圧〜5MPaの亜臨界状態の雰囲気中で反応させる工程を含むところにある。
本発明の第6の特徴構成によれば、炭素数10以上の不飽和脂肪酸及びそのエステルからなる群より選択される少なくとも1種を、多孔質吸着材にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを担持した触媒の存在下で、100℃以上、常圧〜5MPaの亜臨界状態の雰囲気中で反応させることにより、従来のアルカリ溶融法よりもより低い温度でジカルボン酸を略同等の収率で生成することができる。
その上、多孔質吸着材にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを担持した触媒は、反応に使用した後、反応系から回収することで触媒中の未反応のアルカリ金属を再利用できるので、アルカリ使用量及び廃液量を削減できる。
また、加水分解、アルコール分解及び酸化開裂反応という多段階の反応が必要な場合であっても、これらを連鎖的に進行させることができるため、従来法と比較して、反応に要する手間を削減できる。
その上、多孔質吸着材にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを担持した触媒は、反応に使用した後、反応系から回収することで触媒中の未反応のアルカリ金属を再利用できるので、アルカリ使用量及び廃液量を削減できる。
また、加水分解、アルコール分解及び酸化開裂反応という多段階の反応が必要な場合であっても、これらを連鎖的に進行させることができるため、従来法と比較して、反応に要する手間を削減できる。
本発明のセバシン酸の製造方法は、例えば、以下に示す第1工程〜第3工程を含む。
[第1工程]
第1工程では、原料であるヒマシ油及び/又はヒマシ油誘導体を、多孔質吸着材にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを担持した触媒の存在下で100℃以上の高温で反応させる。これにより、セバシン酸塩を含む処理液が生成される。
第1工程では、原料であるヒマシ油及び/又はヒマシ油誘導体を、多孔質吸着材にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを担持した触媒の存在下で100℃以上の高温で反応させる。これにより、セバシン酸塩を含む処理液が生成される。
原料としてヒマシ油を使用する場合は、ヒマシ油中のリシノール酸のトリグリセリドがアルコール分解及び加水分解を経てリシノール酸となった後、酸化開裂反応によってセバシン酸塩が生成される。リシノール酸やリシノール酸エステルなどのヒマシ油誘導体を使用する場合は、ヒマシ油誘導体の酸化開裂反応により、セバシン酸塩が生成される。もちろん、原料としてヒマシ油及びヒマシ油誘導体を併用することも可能である。
触媒に使用する多孔質吸着剤としては、例えば、活性炭、活性白土、ゼオライトなどが挙げられる。中でも、活性炭が好ましい。
触媒に使用するアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドとしては、例えば、ナトリウムアルコキシド、水酸化ナトリウム、カリウムアルコキシド、水酸化カリウムなどが挙げられる。ナトリウムアルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどを使用でき、カリウムアルコキシドも同様である。
触媒を製造する方法としては、例えば、アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウム(NaOH)の場合には、水酸化ナトリウムを溶媒である水に溶解させた溶液を使用し、アルカリ金属アルコキシドがナトリウムアルコキシドの場合には、ナトリウムアルコキシドを溶媒であるアルコール中に溶解させた溶液を使用し、該溶液を多孔質吸着材に浸潤させ、多孔質吸着材を膨潤させる方法(湿式法)が挙げられる。
その浸潤後、溶媒としての水やアルコールを加熱により気化させることで、アルカリ金属と水酸基(OH)が、多孔質吸着材に担持される。このようにして、簡単により多くのアルカリ金属を多孔質吸着材に担持することができる。
その浸潤後、溶媒としての水やアルコールを加熱により気化させることで、アルカリ金属と水酸基(OH)が、多孔質吸着材に担持される。このようにして、簡単により多くのアルカリ金属を多孔質吸着材に担持することができる。
反応の条件としては、100℃以上の高温であればよいが、150℃〜230℃、より好ましくは180℃〜230℃で、常圧〜5MPaの亜臨界状態とすることが好適である。
これにより、原料とアルカリとの反応性を向上できる。
尚、上記触媒を使用することで、亜臨界状態のほうが反応性が良いが、亜臨界状態でなくとも、100℃以上の高温で原料とアルカリとの反応が進行する。
これにより、原料とアルカリとの反応性を向上できる。
尚、上記触媒を使用することで、亜臨界状態のほうが反応性が良いが、亜臨界状態でなくとも、100℃以上の高温で原料とアルカリとの反応が進行する。
[第2工程]
第2工程では、第1工程で生成した処理液を濾過し、濾液と濾過残渣とに分離する(固液分離)。この時、濾液中にはセバシン酸塩が含まれ、濾過残渣には触媒が含まれる。
触媒には未反応のアルカリ金属が含まれており、回収した触媒を第1工程で再度使用することができる。
第2工程では、第1工程で生成した処理液を濾過し、濾液と濾過残渣とに分離する(固液分離)。この時、濾液中にはセバシン酸塩が含まれ、濾過残渣には触媒が含まれる。
触媒には未反応のアルカリ金属が含まれており、回収した触媒を第1工程で再度使用することができる。
[第3工程]
第3工程では、第2工程で得られた濾液に塩酸(HCl)などの酸を投入し、pHを3〜5(好ましくは4)に調整する。これにより、濾液中のセバシン酸塩をセバシン酸にすることができる。この時、pH調整後の濾液中には、セバシン酸以外の副生成物として、リシノール酸が開裂してできた2−オクタノールが含まれる。
第3工程では、第2工程で得られた濾液に塩酸(HCl)などの酸を投入し、pHを3〜5(好ましくは4)に調整する。これにより、濾液中のセバシン酸塩をセバシン酸にすることができる。この時、pH調整後の濾液中には、セバシン酸以外の副生成物として、リシノール酸が開裂してできた2−オクタノールが含まれる。
以上の工程を経て、ヒマシ油及び/又はヒマシ油誘導体を原料として、セバシン酸を生成することができる。
なお、第1工程において、ヒマシ油やヒマシ油誘導体以外の原料を使用することにより、セバシン酸以外のジカルボン酸を製造することも可能である。この場合の原料としては、炭素数10以上の不飽和脂肪酸及びそのエステルからなる群より選択される少なくとも1種を使用することができ、具体的には、油脂、動植物油、ダーク油、高級脂肪酸などを使用できる。
また、製造できるジカルボン酸の別の例としては、例えば、アゼライン酸などが挙げられる。
また、製造できるジカルボン酸の別の例としては、例えば、アゼライン酸などが挙げられる。
その他の条件については、前述の第1〜第3工程と同様である。
なお、ジカルボン酸の塩を製造する場合は、第3工程を省略すればよい。また、ジカルボン酸とその塩の両方を製造する場合は、第2工程で得られた濾液の一部からジカルボン酸の塩を回収し、濾液の残部を第3工程に進めてジカルボン酸を生成すればよい。
なお、ジカルボン酸の塩を製造する場合は、第3工程を省略すればよい。また、ジカルボン酸とその塩の両方を製造する場合は、第2工程で得られた濾液の一部からジカルボン酸の塩を回収し、濾液の残部を第3工程に進めてジカルボン酸を生成すればよい。
次に、各種実験結果をグラフと共に示す。
[実験例1]
200℃〜230℃、30分から120分の処理時間でヒマシ油からセバシン酸を生成させ、その収率を測定した。
触媒は、水酸化ナトリウム(NaOH)15質量%のメタノール溶液、ナトリウムメトキシド(CH3ONa)25質量%のメタノール溶液、又は、水酸化カリウム(KOH)26質量%のメタノール溶液を活性炭に浸潤させ、活性炭にアルカリ金属を担持させた後、ロータリーエバポレーター等の減圧蒸留器により活性炭からメタノールを分離させたものを使用した。
ヒマシ油と触媒とを、亜臨界反応器にて230℃、2〜4MPaの高温高圧中の亜臨界状態で120分反応させ、セバシン酸ナトリウムを含む処理液を生成した。次に、該処理液を濾過し、濾液と濾過残渣に分離した。その後、濾液に塩酸(HCl)を添加してpHを4に調整し、濾液中のセバシン酸ナトリウムをセバシン酸にした。収率は、従来のアルカリ溶融法と同程度の74%であった。
その他、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシド、温度及び時間を変更して実施した場合の結果を図1に示した。いずれの場合も、従来のアルカリ溶融法と異なって、ヒマシ油の前処理を行うことなく、セバシン酸をヒマシ油から直接合成できた。
200℃〜230℃、30分から120分の処理時間でヒマシ油からセバシン酸を生成させ、その収率を測定した。
触媒は、水酸化ナトリウム(NaOH)15質量%のメタノール溶液、ナトリウムメトキシド(CH3ONa)25質量%のメタノール溶液、又は、水酸化カリウム(KOH)26質量%のメタノール溶液を活性炭に浸潤させ、活性炭にアルカリ金属を担持させた後、ロータリーエバポレーター等の減圧蒸留器により活性炭からメタノールを分離させたものを使用した。
ヒマシ油と触媒とを、亜臨界反応器にて230℃、2〜4MPaの高温高圧中の亜臨界状態で120分反応させ、セバシン酸ナトリウムを含む処理液を生成した。次に、該処理液を濾過し、濾液と濾過残渣に分離した。その後、濾液に塩酸(HCl)を添加してpHを4に調整し、濾液中のセバシン酸ナトリウムをセバシン酸にした。収率は、従来のアルカリ溶融法と同程度の74%であった。
その他、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシド、温度及び時間を変更して実施した場合の結果を図1に示した。いずれの場合も、従来のアルカリ溶融法と異なって、ヒマシ油の前処理を行うことなく、セバシン酸をヒマシ油から直接合成できた。
[実験例2]
NaOHを活性炭に担持させた触媒を使用して、120分反応させた場合の温度とセバシン酸収率との関係をしらべて、図2のグラフに示した。その他の実験条件は実験例1と同様である。
図2から、180℃という低温でも反応は進行し、230℃で73%の収率に達することが分かる。
NaOHを活性炭に担持させた触媒を使用して、120分反応させた場合の温度とセバシン酸収率との関係をしらべて、図2のグラフに示した。その他の実験条件は実験例1と同様である。
図2から、180℃という低温でも反応は進行し、230℃で73%の収率に達することが分かる。
[実験例3]
CH3NaOを活性炭に担持させた触媒を使用して、230℃で反応させた場合の、処理時間とセバシン酸収率との関係を、図3のグラフに示した。その他の実験条件は実験例1と同様である。
図3から、30分でも反応は進行しているが、収率は120分で最大化し、3時間になるとセバシン酸が分解して収率が低下することが分かる。
CH3NaOを活性炭に担持させた触媒を使用して、230℃で反応させた場合の、処理時間とセバシン酸収率との関係を、図3のグラフに示した。その他の実験条件は実験例1と同様である。
図3から、30分でも反応は進行しているが、収率は120分で最大化し、3時間になるとセバシン酸が分解して収率が低下することが分かる。
[実験例4]
セバシン酸ナトリウムを、塩酸(HCl)によりpHを4に調整してセバシン酸を生成する際に使用する酸の量を計測し、従来法(アルカリ溶融法)である、ひまし油と水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用して230℃、120分で得られたS101と比較した。
つまり、サンプルを水で溶かし、撹拌しながら1N−HClを滴下し、pHの推移を記録して、酸消費量を検討した。
図4から、本発明の方法である、ひまし油と水酸化ナトリウムを活性炭に担持させた触媒を使用して、230℃、120分で得られたs80(ad3−1)では、pHを4に調整する際の酸使用量を、従来法よりも約半分近くまで減らすことができ、廃液の発生量を低減できることが分かる。
セバシン酸ナトリウムを、塩酸(HCl)によりpHを4に調整してセバシン酸を生成する際に使用する酸の量を計測し、従来法(アルカリ溶融法)である、ひまし油と水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用して230℃、120分で得られたS101と比較した。
つまり、サンプルを水で溶かし、撹拌しながら1N−HClを滴下し、pHの推移を記録して、酸消費量を検討した。
図4から、本発明の方法である、ひまし油と水酸化ナトリウムを活性炭に担持させた触媒を使用して、230℃、120分で得られたs80(ad3−1)では、pHを4に調整する際の酸使用量を、従来法よりも約半分近くまで減らすことができ、廃液の発生量を低減できることが分かる。
Claims (6)
- ヒマシ油またはヒマシ油誘導体を、多孔質吸着材にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを担持した触媒の存在下で100℃以上の高温で反応させる工程を含むジカルボン酸の製造方法。
- 前記反応後、未反応の前記アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを担持した前記多孔質吸着材を回収し、新たな前記反応に再度使用する請求項1に記載のジカルボン酸の製造方法。
- 前記多孔質吸着材が活性炭であり、前記アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドがナトリウムアルコキシド、水酸化ナトリウム、カリウムアルコキシド、水酸化カリウムからなる群より選択された少なくとも1種である請求項1または2に記載のジカルボン酸の製造方法。
- 前記反応を、150℃〜230℃、常圧〜5MPaの亜臨界状態の雰囲気中で行う請求
項1〜3のいずれか1項に記載のジカルボン酸の製造方法。 - 前記反応によって、ジカルボン酸塩を含む処理液を生成する工程と、前記処理液を濾過して濾液と濾過残渣とに分離する工程と、前記濾液に酸を投入して前記濾液中のジカルボン酸塩をジカルボン酸にする工程と、を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のジカルボン酸の製造方法。
- 炭素数10以上の不飽和脂肪酸及びそのエステルからなる群より選択される少なくとも1種を、前記多孔質吸着材に前記アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを担持した触媒の存在下で、100℃以上、常圧〜5MPaの亜臨界状態の雰囲気中で反応させる工程を含むジカルボン酸の製造方法。
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