〔実施形態1〕
本発明の一実施形態を図1〜図5に基づいて説明すると、以下の通りである。
図1は、実施形態1に係るサーバ・クライアントシステム101の構成を示すブロック図である。図2の(a)は、サーバ・クライアントシステム101のサーバコンピュータ1において作成されて保存されるプロファイルデータの構造を示す図であり、図2の(b)はサーバ・クライアントシステム101の携帯端末2において作成されて保存されるプロファイルデータの構造を示す図である。図3の(a)〜(d)は上記サーバおよび上記クライアントに表示される転送アイコンの例を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態に係るサーバ・クライアントシステム101は、サーバコンピュータ1(通信機器)と、クライアントである携帯端末2(通信機器)と、ネットワーク3と、無線LANアクセスポイント4(図中「A/P」にて示す)とを備えている。サーバコンピュータ1と携帯端末2とは、LAN(Local Area Network)やインターネットなどのネットワーク3および無線LANアクセスポイント4を介して通信可能に接続される。無線LANアクセスポイント4は、図4に示すようにサーバコンピュータ1と対応するように、すなわち1対1で設けられている。
まず、サーバコンピュータ1について詳細に説明する。
サーバコンピュータ1は、記憶部11と、サーバ部12と、入力部13と、表示部14と、通信インターフェース部15(図中「I/F」にて示す)とを備えているコンピュータである。このサーバコンピュータ1は、専用のコンピュータとして構成されてもよいし、汎用のパーソナルコンピュータによって構成されてもよい。
記憶部11は、ハードディスク装置などで構成されており、ファイルとして、システムファイル、ファームウェアおよびアプリケーションファイルを保存している。また、記憶部11は、認証データ、プロファイルデータおよびアイコンデータを保存している。
認証データは、後述する認証部121が携帯端末2の認証部222と相互認証を行なうために必要な各種データである。このデータは、認証方式に応じて、暗号キー、セキュリティID、セキュリティパスワードなどが用意されている。
なお、セキュリティIDは権限を表すコードを含んでいてもよい。これにより、権限に応じて、実現できる後述の転送機能を異ならせる、あるいは制限することができる。また、上記のコードは認証レベルを表しており、携帯端末2のサーバコンピュータ1への接続の可否が認証レベルに応じて定まる。
プロファイルデータは、サーバコンピュータ1の概要の情報を示すデータである。このプロファイルデータは、図2の(a)に示すように、先頭から、サーバユニークID、サーバ名、暗号キー、セキュリティID、セキュリティパスワードおよび転送機能が配置される構造となっている。サーバユニークIDは、サーバコンピュータ1に固有のIDであり、サーバ名は、サーバコンピュータ1に付与された名称である。暗号キーは、セキュリティIDおよびセキュリティパスワードを暗号化および復号化するためのキーである。セキュリティIDおよびセキュリティパスワードは、それぞれ前述の相互認証に用いられるIDおよびパスワードである。
なお、図2(a)に示したデータ構造は、あくまで1例であり、サーバユニークID、サーバ名、暗号キー、セキュリティID、セキュリティパスワードおよび転送機能の並び順は上記のものに限られない。また、必要に応じて他のデータが追加されていても、一部のデータが省略されていてもよい。
転送機能は、携帯端末2との間で行なわれる各種のファイルの転送に係る機能を規定している。具体的には、転送機能として、システムファイル、ファームウェアおよびアプリケーションファイルのそれぞれのファイルについて、携帯端末2からのアップロードおよび携帯端末2へのダウンロードが規定されている。アップロードは、携帯端末2からサーバコンピュータ1へのファイルの転送であるので、アップロードが規定されることにより、携帯端末2からサーバコンピュータ1へのファイルの転送方向が規定されることになる。ダウンロードは、サーバコンピュータ1から携帯端末2へのファイルの転送であるので、サーバコンピュータ1から携帯端末2へのファイルの転送方向が規定されることになる。
ここで、転送方向は、ファイルの転送元から転送先へ転送(移動)させる際の転送の向きであり、転送元をそれぞれサーバコンピュータ1および携帯端末2のいずれか一方で特定し、転送先を他方で特定することにより、規定される。
また、各転送機能は、システムファイル、ファームウェアおよびアプリケーションファイルのそれぞれについての最新の更新状態を表す属性として更新情報(例えば更新日時(タイムスタンプ)やバージョン)が付加されている。さらに、各転送機能は、後述するアイコンデータの個々と対応付けられている。
プロファイルデータは、例えば、レジスタに設定されたフラグを用いるデータ構造となっており、各フラグに該当する意味を、文字列として別途ファイルに付加することが可能である。この場合、レジスタの配列と文字列の配列とを対比させ、各フラグに対応するファイルに該当する文字列を、後述する転送アイコンに表示することにより、当該転送アイコンをユーザインターフェースとして提供する。また、携帯端末2の言語設定を読み込んで、表示する文字列を設定言語に対応する文字列に切り替えることなども可能である。
アイコンデータは、上記の各転送機能を表す転送アイコンをサーバコンピュータ1に表示するためのデータである。この転送アイコンは、対応する転送機能を端的に表すように図案化されている。例えば、図3の(a)に示す転送アイコンI1(転送画像)は、携帯端末2からサーバコンピュータ1へのシステムファイルのアップロードを表している。また、図3の(b)に示す転送アイコンI2(転送画像)は、サーバコンピュータ1から携帯端末2へのシステムファイルのダウンロードを表している。
上記の転送アイコンI1,I2は、円と矢印とで構成されている。円は転送の対象となるファイルを表しており、円の中にファイルの種類が記載される。また、矢印は、ファイルの転送方向を表しており、具体的には、図中上向きの矢印がアップロードを表し、図中下向きの矢印がダウンロードを表している。このように構成される転送アイコンを用いることにより、サーバコンピュータ1および携帯端末2でそれぞれ表示される転送アイコンを見れば、どのファイルがアップロードまたはダウンロードされるかを直感的に把握することができる。
また、転送アイコンは、転送アイコンが表すファイルを転送アイコンが表す方向に転送する転送機能を実行することを指示する指示入力部として機能する。
サーバ部12は、CPU(Central Processing Unit)がサーバプログラムを実行することによって実現される機能ブロックである。サーバ部12は、携帯端末2に対して、システムファイル、ファームウェアおよびアプリケーションファイルをアップロードおよびダウンロードするためのサーバ機能を備えている。サーバ部12は、このサーバ機能を実現するために、認証部121、転送特定部122、アイコン表示処理部123、アイコン操作認識部124および転送処理部125を有している。
認証部121は、記憶部11に記憶されている前述の認証データに基づいて、携帯端末2との間で次の手順で相互認証の処理を行い、相互認証が成功したことを転送特定部122に通知する。まず、認証部121は、携帯端末2が無線LANアクセスポイント4の通信エリア内に入ったと認識すると、後述する携帯端末2における認証部222からの暗号化されたセキュリティIDおよびセキュリティパスワードを復号化する。次に、認証部121は、復号化したセキュリティIDおよびセキュリティパスワードと、予め登録されている携帯端末2のセキュリティIDおよびセキュリティパスワードとをそれぞれ照合して、両者が一致すれば、携帯端末2を接続すべきクライアントとして認証する。また、認証部121は、併せて、認証部222からの認証成功の通知を受けると、携帯端末2のネットワーク3への接続を許可するように通信ポートを開く。
また、認証部121は、前述の認証レベルに応じて携帯端末2のサーバコンピュータ1への接続の可否を決定する。具体的には、認証部121は、認証レベルが所定のレベル以上であれば、携帯端末2のサーバコンピュータ1への接続を認める一方、認証レベルが所定のレベル未満であれば、携帯端末2のサーバコンピュータ1への接続を拒否する。
転送特定部122は、図2の(a)に示すプロファイルデータに基づいて実現可能なファイルの転送機能を特定する。この転送特定部122は、転送機能を特定するために、プロファイル作成部122a、プロファイル交換部122bおよびプロファイル比較部122cを有している。
プロファイル作成部122aは、前述のプロファイルデータを作成する。具体的には、プロファイル作成部122aは、記憶部11に記憶されているサーバユニークIDおよびサーバ名をプロファイルデータに組み込むとともに、前述の認証データに基づいて、暗号キー、セキュリティIDおよびセキュリティパスワードをプロファイルデータに組み込む。また、プロファイル作成部122aは、記憶部11に記憶された、システムファイル、ファームウェアおよびアプリケーションファイルから前述の更新情報を取得し、各転送機能に付加されている更新情報を、取得した更新情報に書き替える。
プロファイル交換部122bは、認証部121および携帯端末2の認証部222による相互認証が成功した場合、携帯端末2とプロファイルデータを交換する。具体的には、プロファイル交換部122bは、後述する携帯端末2のプロファイル交換部223bと交信することで、プロファイル交換部223bにより提供される携帯端末2のプロファイルデータを受け取るとともに、記憶部11からプロファイルデータを読み出してプロファイル交換部223bに提供する。
プロファイル交換部122bは、プロファイルデータを全て携帯端末2に提供してもよいが、これには限定されない。例えば、所定のレジスタに各転送機能についてのビットを設け、各転送機能の有効/無効をビットのON/OFFで表すように設定しておけば、プロファイル交換部122bは、ビットがONしている転送機能のみを有効な転送機能として携帯端末2に通知することができる。あるいは、転送機能をデータ構造化しておいて、XML形式でテキストにて転送機能を記述しておけば、プロファイル交換部122bは、XML形式のデータを携帯端末2に送信することができる。
また、プロファイル交換部122bは、上記の有効な転送機能を通知する機能と連携して、前述の認証レベルに応じて有効な転送機能を通知するようにしてもよい。具体的には、プロファイル交換部122bは、認証レベルに応じて設定された上記のビットのON/OFFを参照して、有効な転送機能を選択的に通知することにより、交換すべきファイルを選択する。
プロファイル比較部122cは、プロファイル交換部122bによって取得した携帯端末2のプロファイルデータと、記憶部11から読み出したサーバコンピュータ1のプロファイルデータとを転送機能について比較する。プロファイル比較部122cは、この比較において、各転送機能に付加された更新情報をサーバコンピュータ1と携帯端末2との間で対応するファイルごとに個々に比較し、更新情報が一致しているか否かを、システムファイル、ファームウェアおよびアプリケーションファイルのそれぞれについて判定して、更新情報が一致していないファイルを更新状態不一致ファイルとして特定する。また、プロファイル比較部122cは、更新状態不一致ファイルについてサーバコンピュータ1または携帯端末2のいずれかで最新に更新されている更新ファイルをさらに特定して、当該更新ファイルに基づいて特定される転送方向から有効な転送機能を特定する。
アイコン表示処理部123(表示処理部)は、サーバコンピュータ1と携帯端末2との間で実現できる有効な転送機能についての転送アイコンを表示する。具体的には、アイコン表示処理部123は、プロファイル比較部122cによって両プロファイルデータ間で不一致であると判定された2つの更新情報のうち、新しい方の更新情報(最新の更新情報)が付加された転送機能について、対応付けられている転送アイコンの外形を、プロファイルデータを参照して特定し、当該転送アイコンのアイコンデータを記憶部11から読み出して表示部14に表示する。また、アイコン表示処理部123は、前述のレジスタの配列と文字列の配列とを対比させ、レジスタに設定された各フラグに対応するファイルに該当する文字列を転送アイコンの外形内に表示する。
アイコン操作認識部124は、携帯端末2で表示された転送アイコンがユーザによってタッチ操作(指示)されたことを認識する。具体的には、アイコン操作認識部124は、レジスタに各転送アイコンに対応するビットを設けておき、後述する携帯端末2のアイコン操作監視部225から、ある転送アイコンがユーザによってタッチ操作されたという通知を受けると、当該転送アイコンのビットをONすることでタッチ操作を認識する。
転送処理部125は、アイコン操作認識部124によって操作が認識された転送アイコンが、サーバコンピュータ1から携帯端末2にダウンロードする転送機能を表す場合、ダウンロードすべき対象となるファイルを記憶部11から読み出して携帯端末2に転送する。また、転送処理部125は、アイコン操作認識部124に操作が認識された転送アイコンが、携帯端末2からサーバコンピュータ1にアップロードする転送機能を表す場合、携帯端末2から転送されたファイルを受け入れ、記憶部11に保存されているファイルを、受け入れたファイル、すなわち最新のファイルに更新する。
なお、アイコン表示処理部123は、転送アイコンがユーザによってタッチ操作された際に、操作された転送アイコンに対応するサーバコンピュータ1の転送アイコンを点滅または反転、すなわち転送アイコンの状態を変化させることが好ましい。さらに、アイコン表示処理部123は、タッチ操作は2以上の動作の組み合わせで、先の動作が行われた際に、すなわち操作が完了する前に、転送アイコンを点滅等させることが好ましい。これは、操作の対象となっている転送アイコンの操作中に状態の変化を操作者に認識させることにより転送アイコンの誤操作を防止するためである。
入力部13は、入力操作のために設けられ、各種の入力デバイスを用いることができる。
表示部14(表示部)は、アプリケーションファイル(アプリケーションプログラム)の実行画像などの画像を表示するために設けられ、各種の表示デバイスを用いることができる。
通信インターフェース部15は、ネットワーク3に接続された携帯端末2などの装置と相互に通信を行うための通信処理部であり、ネットワーク通信のためのソケットを含んでいる。この通信インターフェース部15は、携帯端末2からの接続要求をサーバ部12に伝えたり、サーバ部12からの送信データを携帯端末2に送信したりする。
次に、携帯端末2について詳細に説明する。
携帯端末2は、記憶部21と、制御部22と、タッチパネル23と、表示パネル24と、無線通信部25とを備えている。この携帯端末2は、スマートフォン、タブレット端末などの汎用の機器として構成されてもよいし、専用の機器によって構成されもよい。
記憶部21は、ハードディスク装置などで構成されており、ファイルとして、システムファイル、ファームウェアおよびアプリケーションファイルを保存している。また、記憶部21は、認証データ、プロファイルデータおよびアイコンデータを保存している。
認証データは、前述した認証部121が後述する認証部222と相互認証を行なうために必要な各種データである。このデータは、認証方式に応じて、暗号キー、セキュリティID、セキュリティパスワードなどが用意されている。
なお、セキュリティIDは権限を表すコードを含んでいてもよい。これにより、権限に応じて、実現できる後述の転送機能を異ならせることができる。また、上記のコードは認証レベルを表しており、携帯端末2のサーバコンピュータ1への接続の可否が認証レベルに応じて定まる。
プロファイルデータは、携帯端末2の概要の情報を示すデータである。このプロファイルデータは、図2の(b)に示すように、先頭から、端末ユニークID、端末名、暗号キー、セキュリティID、セキュリティパスワードおよび転送機能が配置される構造となっている。端末ユニークIDは、携帯端末2に固有のIDであり、端末名は、携帯端末2に付与された名称である。暗号キーは、セキュリティIDおよびセキュリティパスワードを暗号化および復号化するためのキーである。セキュリティIDおよびセキュリティパスワードは、それぞれ前述の相互認証に用いられるIDおよびパスワードである。
転送機能は、サーバコンピュータ1との間で行なわれる各種のファイルの転送機能を規定している。具体的には、転送機能として、システムファイル、ファームウェアおよびアプリケーションファイルのそれぞれについて、サーバコンピュータ1へのアップロードおよびサーバコンピュータ1からのダウンロードが規定されている。また、各転送機能は、システムファイル、ファームウェアおよびアプリケーションファイルのそれぞれについての最新の更新状態を表す属性として前述の更新情報が付加されている。さらに、各転送機能には、後述するアイコンデータの個々と対応付けられている。
アイコンデータは、上記の各転送機能を表す転送アイコンを携帯端末2に表示するためのデータである。この転送アイコンは、対応する転送機能を端的に表すように図案化されている。例えば、図3の(c)に示す転送アイコンI3(転送画像)は、携帯端末2からサーバコンピュータ1へのシステムファイルのアップロードを表している。また、図3の(d)に示す転送アイコンI4(転送画像)は、サーバコンピュータ1から携帯端末2へのシステムファイルのダウンロードを表している。
上記の転送アイコンI3,I4も、前述の転送アイコンI1,I2と同様、円と矢印とで構成されており、円に記載されたファイルを矢印で示す転送方向に転送することを表している。
制御部22は、CPUが制御プログラム(クライアントプログラム)を実行することによって実現される機能ブロックである。制御部22は、携帯端末2のタッチパネル23、表示パネル24および無線通信部25を含む各部を制御するとともに、アプリケーションファイルとして保存されているアプリケーションを実行する機能を備えている。また、制御部22は、サーバコンピュータ1に対して、システムファイル、ファームウェアおよびアプリケーションファイルのアップロードおよびダウンロードをするためのクライアント機能を備えている。制御部22は、このクライアント機能を実現するために、サーバ特定部221、認証部222、転送特定部223、アイコン表示処理部224、アイコン操作監視部225および転送処理部226を有している。
サーバ特定部221は、無線LAN通信が可能となるように携帯端末2と接続可能なサーバコンピュータ1を特定する。具体的には、サーバ特定部221は、電波強度を周期的に監視することにより、携帯端末2が無線LANアクセスポイント4の通信エリア内に入ったか否かを確認する。そして、携帯端末2が通信エリア内に入ったときに、無線LANアクセスポイント4に接続される全てのサーバコンピュータ1をリストアップして特定する。また、サーバ特定部221は、接続可能なサーバコンピュータ1の存在をユーザに報知するように、リストアップしたサーバコンピュータ1を表示する。
また、サーバ特定部221は、携帯端末2の近隣に複数の異なるネットワーク3が存在する場合、携帯端末2が、各ネットワーク3に接続される無線LANアクセスポイント4の通信エリア内に入ったときに、各無線LANアクセスポイント4に接続される全てのサーバコンピュータ1をリストアップして特定する。この場合、サーバ特定部221は、リストアップしたサーバコンピュータ1のうち、電波強度が最も高い無線LANアクセスポイント4に接続されたサーバコンピュータ1を、最も近接するサーバとして特定する。加えて、サーバ特定部221は、最も近接するサーバとして特定されたサーバコンピュータ1について、後述する転送特定部223によって有効な転送機能が存在しないと判定されたときに、次に電波強度が最も高くなる無線LANアクセスポイント4に接続されたサーバコンピュータ1を通信相手となるサーバとして特定する。サーバ特定部221は、このような処理を有効な転送機能が存在すると判定されるまで順次繰り返すが、有効な転送機能が存在するサーバコンピュータ1が無かった場合、サーバの特定処理を終了する。
認証部222は、記憶部21に記憶されている前述の認証データに基づいて、サーバコンピュータ1との間で次の手順で相互認証の処理を行い、相互認証が成功したことを転送特定部223に通知する。まず、認証部222は、携帯端末2が無線LANアクセスポイント4の通信エリア内に入ると、前述したサーバコンピュータ1における認証部121からの暗号化されたセキュリティIDおよびセキュリティパスワードを復号化する。次に、認証部222は、復号化したセキュリティIDおよびセキュリティパスワードと、予め登録されているサーバコンピュータ1のセキュリティIDおよびセキュリティパスワードとをそれぞれ照合して、両者が一致すれば、サーバコンピュータ1を接続すべきサーバとして認証する。
また、認証部222は、サーバコンピュータ1の認証部121と同様、前述の認証レベルに応じて携帯端末2のサーバコンピュータ1への接続の可否を決定する。
転送特定部223は、図2の(b)に示すプロファイルデータに基づいて実現可能なファイルの転送機能を特定する。この転送特定部223は、転送機能を特定するために、プロファイル作成部223a、プロファイル交換部223bおよびプロファイル比較部223cを有している。
プロファイル作成部223aは、前述のプロファイルデータを作成する。具体的には、プロファイル作成部223aは、記憶部21に記憶されている端末ユニークIDおよび端末名をプロファイルデータに組み込むとともに、前述の認証データに基づいて、暗号キー、セキュリティIDおよびセキュリティパスワードをプロファイルデータに組み込む。また、プロファイル作成部223aは、記憶部21に記憶された、システムファイル、ファームウェアおよびアプリケーションファイルから更新情報を取得し、各転送機能に付加されている更新情報を、取得した更新情報に書き替える。
プロファイル交換部223bは、サーバコンピュータ1の認証部121および認証部222による相互認証が成功した場合、サーバコンピュータ1とプロファイルデータを交換する。具体的には、プロファイル交換部223bは、前述したサーバコンピュータ1のプロファイル交換部122bと交信することで、プロファイル交換部122bにより提供されるサーバコンピュータ1のプロファイルデータを受け取るとともに、記憶部21からプロファイルデータを読み出してプロファイル交換部122bに提供する。
プロファイル交換部223bは、プロファイルデータを全てサーバコンピュータ1に提供してもよいが、これには限定されない。例えば、所定のレジスタに各転送機能についてのビットを設け、各転送機能の有効/無効をビットのON/OFFで表すように設定しておけば、プロファイル交換部223bは、ビットがONしている転送機能のみを有効な転送機能としてサーバコンピュータ1に通知することができる。あるいは、転送機能をデータ構造化しておいて、XML形式でテキストにて転送機能を記述しておけば、プロファイル交換部223bは、XML形式のデータをサーバコンピュータ1に送信することができる。
また、プロファイル交換部223bは、上記の有効な転送機能を通知する機能と連携して、前述の認証レベルに応じて有効な転送機能を通知するようにしてもよい。具体的には、プロファイル交換部223bは、認証レベルに応じて設定された上記のビットのON/OFFを参照して、有効な転送機能を選択的に通知することにより、交換すべきファイルを選択する。
プロファイル比較部223cは、プロファイル交換部223bによって取得したサーバコンピュータ1のプロファイルデータと、記憶部21から読み出した携帯端末2のプロファイルデータとを転送機能について比較する。プロファイル比較部223cは、この比較において、各転送機能に付加された更新情報をサーバコンピュータ1と携帯端末2との間で対応するファイルごとに個々に比較し、更新情報が一致しているか否かを、システムファイル、ファームウェアおよびアプリケーションファイルのそれぞれについて判定して、更新情報が一致していないファイルを更新状態不一致ファイルとして特定する。また、プロファイル比較部223cは、更新状態不一致ファイルについてサーバコンピュータ1または携帯端末2のいずれかで最新に更新されている更新ファイルをさらに特定して、当該更新ファイルに基づいて特定される転送方向から有効な転送機能を特定する。
アイコン表示処理部224(表示処理部)は、サーバコンピュータ1と携帯端末2との間で実現できる転送機能についての転送アイコンを表示する。このアイコン表示処理部224は、プロファイル比較部223cによる比較結果および前述のプロファイルデータから特定される文字列に基づいて、前述のアイコン表示処理部123と同様にして、転送アイコンを表示する。
アイコン操作監視部225は、表示パネル24に表示された転送アイコンに対するユーザによる指示入力(タッチ操作)の有無をタッチパネル23の検知信号に基づいて監視する。また、アイコン操作監視部225は、転送アイコンがタッチ操作されたことを確認すると、そのことを転送処理部226およびサーバコンピュータ1のアイコン操作認識部124に通知する。
転送処理部226は、アイコン操作監視部225によって操作が確認された転送アイコンが、携帯端末2からサーバコンピュータ1にアップロードする転送機能を表す場合、アップロードすべき対象となるファイルを記憶部21から読み出してサーバコンピュータ1に転送する。また、転送処理部226は、アイコン操作監視部225によって操作が確認された転送アイコンが、サーバコンピュータ1から携帯端末2にダウンロードする転送機能を表す場合、サーバコンピュータ1から転送されたファイルを受け入れ、記憶部21に保存されているファイルを、受け入れたファイル、すなわち最新のファイルに更新する。
タッチパネル23は、入力操作のために設けられる入力デバイスであり、表示パネル24の表示面を覆うように取り付けられている。タッチパネル23としては、各種の方式のタッチパネルを用いることができる。
表示パネル24(表示部)は、アプリケーションファイル(アプリケーションプログラム)の実行画像などの画像を表示するために設けられる平板型の表示デバイスであり、液晶表示パネルなどを用いることができる。
無線通信部25は、無線LANアクセスポイント4と近接無線通信することにより、ネットワーク3に接続されたサーバコンピュータ1などの装置と相互に通信を行うための通信処理部であり、アンテナ、無線通信処理回路、パケット処理回路などを含んでいる。この無線通信部25は、制御部22からの各種のデータをサーバコンピュータ1に送信したり、サーバコンピュータ1からの各種のデータを受信したりする。このため、無線通信部25は、無線LANアクセスポイント4から受信した無線LAN信号から受信データを復調して制御部22に渡す。また、無線通信部25は、制御部22から与えられた送信データを無線LAN信号に変調して無線LANアクセスポイント4に送信する。
制御部22は、無線通信部25からの復調後のデータを記憶部21に記憶する。また、制御部22は、送信すべきデータを記憶部21から読み出して、無線通信部25に渡す。
なお、無線通信部25は、携帯端末2に内蔵されているが、無線LANアダプタのように携帯端末2に着脱自在な機器として設けられてもよい。
次に、無線LANアクセスポイント4について説明する。
無線LANアクセスポイント4は、携帯端末2を無線LANでネットワーク3に接続する無線中継機であり、携帯端末2と無線通信する。また、無線LANアクセスポイント4は、携帯端末2をネットワーク3に接続するだけでなく、認証部121,222による相互認証の中継を行なうように、認証方式に対応している。
無線LANアクセスポイント4および携帯端末2には、通常、無線LANアクセスポイント4と通信可能な機器を特定するようにペアリングするために、ESSID(Extended Service Set Identifier)が割り当てられる。これにより、同一フロア内に複数の異なる通信環境が混在するような場合などに混信や無駄な通信を防ぐことができる。
ただし、いわゆる無線LANアクセスポイント4のESSIDをANY設定にするANY接続の場合、ANY設定された携帯端末2から電波が届く範囲に存在する複数の無線LANアクセスポイント4のうち最も電波状態が良い無線LANアクセスポイント4に接続する。これにより、無線LANアクセスポイント4のESSIDが未知であっても、無線LANアクセスポイント4との接続が可能であるため、無線LANアクセスポイント4を設置した公衆無線LANのアクセスエリアなどで利用することができる。
続いて、以上のように構成されるサーバ・クライアントシステム101におけるサーバコンピュータ1と携帯端末2との間のファイル転送動作について説明する。
図4は、サーバ・クライアントシステム101を用いて実現される複数のサーバコンピュータSC1〜SCn(通信機器)および一つの携帯端末MT(通信機器)から構成されるシステムにおけるサーバコンピュータおよび携帯端末の配置を示すブロック図である。図5は、図4のシステムにおいてサーバコンピュータSC1〜SCnと携帯端末MTとの間で行なわれるファイル転送の手順を示すフローチャートである。
まず、図4に示すシステムは、複数(n台)のサーバコンピュータSC1〜SCnと、一つの携帯端末MTによって構成されている。
サーバコンピュータSC1〜SCnは、前述のサーバコンピュータ1と同等に構成されている。携帯端末MTは、前述の携帯端末2と同等に構成されている。したがって、以降の説明では、サーバコンピュータ1の各部をサーバコンピュータSC1〜SCnが備える構成要素として扱い、携帯端末2の各部を携帯端末MTが備える構成要素として扱うものとする。
また、図示はしないが、サーバコンピュータSC1〜SCnは、図1に示すように共通のネットワーク3に接続されている。なお、サーバコンピュータSC1〜SCnは個々に異なるネットワーク3に接続されていることもある。この場合、携帯端末MTは、個々のネットワーク3に対して一つ設けられた無線LANアクセスポイント4を介して各サーバコンピュータSC1〜SCnと接続される。すなわち、この場合においても上述のように、サーバコンピュータSCと無線LANアクセスポイント4とは1対1で対応している。
なお、以降の説明では、サーバコンピュータSC1〜SCnを特定しない場合、単にサーバコンピュータSCと称する。
上記のように構成されるシステムにおいては、図5に示すように、まず、携帯端末MTのサーバ特定部221が、携帯端末MTの電波が届く範囲に存在する、携帯端末MTに近接するサーバコンピュータSC1〜SCnを検索する(ステップS1)。携帯端末MTは、この検索の結果、サーバコンピュータSC1〜SCnのうち近接するサーバコンピュータSCの存在を確認すると(ステップS2)、当該サーバコンピュータSCを近接サーバとしてリストアップして記憶部21に保存しておく。そして、携帯端末MTは、リストアップしたサーバコンピュータSC(無線LANアクセスポイント4)の電波強度をチェックする(ステップS3)。携帯端末MTは、その結果、最も電波強度の高いサーバコンピュータSCを、第1位の優先順位で接続する近接サーバとして特定して、リストの最上位に書き替える(ステップS4)。
次いで、近接サーバとして特定されたサーバコンピュータSCと携帯端末MTとの間で、サーバコンピュータSCの認証部121および携帯端末MTの認証部222による相互認証を行なう(ステップS5)。この相互認証が成功すると(ステップS6)、サーバコンピュータSCのプロファイル交換部122bと、携帯端末MTのプロファイル交換部223bとの間でプロファイルデータの交換を行なう(ステップS7)。
なお、ステップS5、ステップS6において認証が成功したサーバコンピュータSCと、携帯端末MTの操作者が意図したサーバコンピュータとが異なる場合、操作者は、携帯端末MTを、他のサーバコンピュータ(操作者が意図している)と接続させることができるようにすることもある。あるいは、操作者は、認証が成立したサーバコンピュータSC(対応する転送アイコンが表示されている)を探して、認証が成立しているサーバコンピュータに対して操作を行うことも可能である。
サーバコンピュータSCおよび携帯端末MTは、自身のプロファイルデータと取得したプロファイルデータとを比較し(ステップS8)、転送機能に付加された更新情報の一致または不一致を判定することにより有効な転送機能の有無を判定する(ステップS9)。
このとき、サーバコンピュータSCの転送特定部122では、プロファイル比較部122cが、記憶部11から読み出したプロファイルデータと、携帯端末MTから取得したプロファイルデータとを比較し、転送機能に付加された更新情報の一致または不一致を判定する。プロファイル比較部122cは、この比較の結果、転送機能に付加された更新情報の不一致を判定することにより、有効な転送機能の有無を判定する。
同様に、携帯端末MTの転送特定部223では、プロファイル比較部223cが、記憶部21から読み出したプロファイルデータと、サーバコンピュータSCから取得したプロファイルデータとを比較し、転送機能に付加された更新情報の一致または不一致を判定する。プロファイル比較部223cは、この比較の結果、転送機能に付加された更新情報の不一致を判定することにより、有効な転送機能の有無を判定する。
ステップS9において、有効な転送機能が有ると判定されると、サーバコンピュータSCおよび携帯端末MTは、当該転送機能に対応する転送アイコンを表示する(ステップS10)。このとき、サーバコンピュータSCのアイコン表示処理部123は、上記の転送機能に対応する転送アイコンを表示部14に表示する。同様に、携帯端末MTのアイコン表示処理部224は、上記の転送機能に対応する転送アイコンを表示パネル24に表示する。
この状態で、携帯端末MTにおいてユーザが表示された転送アイコンをタッチ操作すると、携帯端末MTのアイコン操作監視部225が、そのタッチ操作を確認する(ステップS11)。また、アイコン操作監視部225は、転送アイコンのタッチ操作(携帯端末2の要求)が有ったことをサーバコンピュータSCのアイコン操作認識部124に通知する。
転送アイコンのタッチ操作が有った場合、サーバコンピュータSCまたは携帯端末MTは、操作された転送アイコンによって特定されるファイルおよび転送方向でファイルを相手に転送する(ステップS12)。ファイルの転送後は、サーバコンピュータSCと携帯端末MTとの間でファイル転送が完了したことを相互にチェックする(ステップS13)。
例えば、サーバコンピュータSCから携帯端末MTへファイルをダウンロードする場合、サーバコンピュータSCの転送処理部125から携帯端末MTの転送処理部226に向けてファイルが転送される。また、携帯端末MTからサーバコンピュータSCへファイルをアップロードする場合、携帯端末MTの転送処理部226からサーバコンピュータSCの転送処理部125に向けてファイルが転送される。ファイル転送の完了チェックは、転送処理部125,226にて行なわれる。
ここで、例えば、サーバコンピュータSCのシステムファイルに対して携帯端末MTのシステムファイルが更新されている場合、両システムファイルの更新状態が異なる。この場合、サーバコンピュータSCには図3の(a)に示す転送アイコンI1が表示され、携帯端末MTには、この転送アイコンI1に関連付けられた図3の(c)に示す転送アイコンI3が表示される。この状態で、転送アイコンI3がタッチ操作されると、携帯端末MTからサーバコンピュータSCへシステムファイルがアップロードされる。これにより、サーバコンピュータSCのシステムファイルの更新状態を携帯端末MTのシステムファイルの更新状態と一致させることができる。
上記のようなファイル転送が一つの転送アイコン(転送機能)について行なわれると、処理がステップS11に戻り、表示された他の転送アイコンについてステップS11〜S14の処理が繰り返されて(ステップS14)、処理が終了する。
ステップS9において、転送機能が無いと判定された場合、携帯端末MTは、他のサーバコンピュータSCを近接サーバとして選択して(ステップS15)、特定する(ステップS4)。
このとき、携帯端末MTのサーバ特定部221は、第2位の優先順位と認識されたサーバコンピュータSCを第1位の優先順位に書き替えて、このサーバコンピュータSCを近接サーバとして特定する。また、サーバ特定部221は、当該サーバコンピュータSCについて有効な転送機能が無いと判定されると、第3位の優先順位に指定されたサーバコンピュータSCを同様にして近接サーバとして特定する。サーバ特定部221は、このようにして、転送機能が認められるサーバコンピュータSCを特定するまで上記のような処理を行なう。
例えば、図4に示すように、サーバコンピュータSC1が携帯端末MTに最も近接しているとき、まず、サーバコンピュータSC1が近接サーバとして特定される。サーバコンピュータSC1に有効な転送機能が無いと判定されると、次に近接しているサーバコンピュータSC3が近接サーバとして特性される。以降、サーバコンピュータSC3に有効な転送機能が無いときには、サーバコンピュータSC2,SC4〜SCnについて、携帯端末MTに近接している順に有効な転送機能の有無が判定されて、近接サーバが特定される。
あるいは、ステップS9において、転送機能が無いと判定された場合、転送アイコンの表示を行なわずに、そのまま処理を終了してもよい。
しかしながら、サーバコンピュータSCおよび携帯端末MTのファイルが更新されずに、両プロファイルデータの転送機能が完全に一致している場合、例えば権限の高いユーザの携帯端末MTで転送機能が全て最新の状態に更新されていても、ファイルのバックアップなどの目的により、ファイルを転送したいことがある。このような状況では、携帯端末MTの転送処理部125は、サーバコンピュータSCおよび携帯端末MTのプロファイルデータを表示パネル24に表示して、ユーザに転送するプロファイルを選択させる。このような処理を行なうと、プロファイルデータの内容がユーザにわかってしまうが、ファイルを転送する前にユーザのIDチェックを行なって、権限が確認されるとファイルを転送すれば、セキュリティが確保される。
以上のように、本実施形態に係るサーバ・クライアントシステム101では、サーバコンピュータ1と携帯端末2との接続時、相互に通信可能な状態になると、サーバコンピュータ1と携帯端末2との間で相互認証が行なわれる。この相互認証の成功後、携帯端末2が無線LANアクセスポイント4を介してネットワーク3に接続され、サーバコンピュータ1と携帯端末2との間でプロファイルデータが交換されて両者が比較される。この比較の結果、有効な転送機能が有ると判定されると、その転送機能に応じた転送アイコンがサーバコンピュータ1および携帯端末2の双方に表示される。そして、携帯端末2に表示された転送アイコンがユーザにタッチ操作されると、その転送アイコンにしたがったファイルがサーバコンピュータ1と携帯端末2との間で転送される。
このような一連の動作は、携帯端末2が無線LANアクセスポイント4の通信エリア内に入ったときから自動的に行なわれる。これにより、ユーザは、そのことを意識することなく、サーバコンピュータ1および携帯端末2に表示された転送アイコンによって、転送すべきファイルと転送方向とを把握することができる。したがって、ファイルの転送に伴うファイルの選択やそのための操作が必要なくなる。
また、従来のシステムでは、サーバ側に可能な操作が表示される。これに対し、本実施形態のサーバ・クライアントシステム101では、サーバコンピュータ1にも、携帯端末2に表示された転送アイコンに対応する転送アイコンが表示される。それゆえ、サーバコンピュータ1が可能な転送動作と携帯端末2が可能な転送動作との1対1の対応が明確になる。しかも、ユーザが転送アイコンを携帯端末2上でタッチ操作するだけでファイルの転送処理が実行されるので、必要なファイルのみが転送される。このように、操作内容が転送アイコンによってサーバコンピュータ1および携帯端末2の双方に明示されるので、ユーザにとって直感的な操作が可能になる。これは、誤ったファイルを転送するという誤操作を容易に回避することにも寄与する。また、携帯端末2がいずれのサーバコンピュータ1と通信しているかが明確になる。
よって、本実施形態のサーバ・クライアントシステム101を用いれば、サーバコンピュータ1と携帯端末2との間で効率的に情報を授受することが可能となる。
また、セキュリティIDに含まれた権限を表すコードによって、権限に応じて実現できる転送機能を異ならせる、あるいは制限している。具体的には、プロファイル交換部122b,223bとの間で交換するプロファイルデータにおける転送機能を認証レベルに応じて選択することにより、プロファイル比較部122c,223cで更新状態を比較するファイルを選択している。
これにより、認証レベルに応じて転送すべきファイルを制限することができる。それゆえ、認証レベルの高いクライアントに対しては機密性の高いファイルの転送を許可し、認証レベルの低いクライアントに対しては機密性の低いファイルの転送のみを許可するといった限定を付すことができる。例えば、あるファイルを更新する権限を有するユーザの携帯端末2についてのみ、当該ファイルの転送機能を表す転送アイコンを表示させて、ファイルの転送を制限することができる。また、上記の権限を有していないユーザの携帯端末2は、サーバコンピュータ1に近づいても、転送アイコンが表示されないので、当該ユーザはファイルの更新があったことすら気付かない。したがって、より情報の機密性を高めることができる。
また、汎用のGUI(Graphical User Interface)を設計する場合、全てのアイコンをサーバに表示させて、ユーザに選択させる。これに対し、本実施形態のサーバ・クライアントシステム101では、ファイルの転送が可能な転送アイコンのみを表示させるので、誤動作を防止することができる。
さらに、サーバコンピュータ1に複数の携帯端末2が接続され、サーバコンピュータ1と各携帯端末2との間でファイルの転送が成立する場合、アイコン表示処理部123は、サーバコンピュータ1に表示される転送アイコンを、各携帯端末2を区別できる形態で表示するようにしてもよい。これにより、サーバコンピュータ1と各携帯端末2との間で転送されるファイルと、ファイルの転送方向(ダウンロードまたはアップロード)とを明確にすることができる。各携帯端末2を区別できる形態の一例として、図3の(a)〜(d)に示す転送アイコンにおいて、矢印の円内に位置する端部近傍に、携帯端末2を区別するための番号を表示することが考えられる。
図3の(a)、(c)には、番号1の携帯端末2とサーバコンピュータ1とが接続されていることを示すため、数字1が円内に表示され、図3の(b)、(d)では番号2の携帯端末2とサーバコンピュータ1とが接続されていることを示すために、番号2が円内に表示されている。アイコン表示処理部123は、上記の接続関係にあるサーバコンピュータ1および携帯端末2を表す番号を表示する処理を行なう。
なお、本実施形態では、近接無線の方式として無線LAN(IEEE802.11無線)を用いているが、これに限らず、Wi−Fi(登録商標)に対応した無線LANや、他の近接無線方式を用いてもよい。他のような近接無線方式としては、例えばBluetooth(登録商標)が挙げられる。
また、本実施形態では、携帯端末2を無線LANによってネットワーク3に接続しているが、その接続を有線によっても行なってもよい。有線での接続は、各種スクールや会議などで用いられるアプリケーションに好適である。
また、上記実施形態においては、携帯端末2,MTがそれぞれコンピュータ1,SCの検索を行う構成となっているが、サーバコンピュータ1,SCがそれぞれ携帯端末2,MTの検索を行う、あるいは互いに検索を行う構成としてもよい。なお、上記実施形態のサーバおよび携帯端末(クライアント)のいずれもが、請求項における通信機器および通信相手になりうるのはもちろんである。
〔実施形態2〕
続いて、本発明の他の実施形態を図6に基づいて説明すると、以下の通りである。
なお、本実施形態において、前述の実施形態1における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記してその説明を省略する。
図6は、実施形態2に係るサーバ・クライアントシステム102の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、本実施形態に係るサーバ・クライアントシステム102は、携帯端末2A(通信機器)と、ネットワーク3と、無線LANアクセスポイント4と、プログラマブル表示器5(通信機器)と、プログラマブルロジックコントローラ6(以降「PLC6」と称する)と、デバイス7とを備えている。
まず、プログラマブル表示器5、PLC6およびデバイス7によって構成される制御システムについて説明する。
プログラマブル表示器5は、ユーザが作成した入力操作用および各種情報等の表示用の画面データを表示することにより、特有の操作機能および表示機能を実現する専用コンピュータであり、HMI(Human Machine Interface)機器として好適に使用される。上記の画面データは、入力操作や表示動作に関する各種の処理を規定する処理規定情報を含んでいる。プログラマブル表示器5は、このような画面データに基づいて、デバイス7の状態を表示する動作や、プログラマブル表示器5に対する入力操作に応じてデバイス7の状態を制御する動作を特定することができる。
また、プログラマブル表示器5は、その通信機能によって、PLC6と通信を行って、PLC6のメモリに記憶されている各デバイス7の状態を取得し、後述の表示パネル54に各デバイス7の状態を表示する。また、プログラマブル表示器5は、その通信機能によって、後述のタッチパネル53への入力操作に応じて、PLC6へ制御指示などを送信する。さらに、プログラマブル表示器5は、ネットワーク3および無線LANアクセスポイント4を介して携帯端末2Aとも通信可能に接続されるので、その通信機能によって、携帯端末2Aとの間でデータの送受信を行うことができる。
なお、本実施形態においては、無線LANアクセスポイント4とプログラマブル表示器5とは1対1対応となっており、無線LANアクセスポイント4の電波強度によりプログラマブル表示器5を特定することが可能となっている。
PLC6は、入力ユニットを介して入力元のデバイス7Aの状態を取り込むとともに、出力ユニットを介して出力先のデバイス7Bに制御指示を与える。PLC6は、ユーザが作成したシーケンスプログラム(ラダープログラムなど)にしたがって、予め定められたスキャンタイム毎に上記の動作を行う。
入力元のデバイス7Aとしては、センサ(温度センサ、光センサなど)、スイッチ(押ボタンスイッチ、リミットスイッチ、圧力スイッチなど)のような機器が用いられる。出力先のデバイス7Bとしては、アクチュエータ、リレー、電磁弁、表示器などが用いられる。これらのデバイス7A,7Bは、製造ラインなどの各種のターゲットシステムの所要各部に配置されて、制御システムの一部を構成している。
次に、プログラマブル表示器5の詳細について説明する。なお、以下の説明において、デバイスが入力元であるか出力先であるかを区別する必要が無い場合は単にデバイス7と表記する。
プログラマブル表示器5は、記憶部51と、制御部52と、タッチパネル53と、表示パネル54と、通信インターフェース部55,56(図中「I/F」にて示す)とを備えている。
プログラマブル表示器5の記憶部51は、半導体装置メモリなどで構成されており、プログラマブル表示器5および携帯端末2Aで用いる、レシピファイル、操作ログファイルおよび画面ファイルを保存している。また、記憶部51は、認証データ、プロファイルデータおよびアイコンデータを保存している。
レシピファイルは、PLC6に与えるレシピデータ(制御データ)のファイルである。レシピデータは、製品の生産に関する各種のデータであったり、デバイス7を所望の状態に動作させるためのデータであったりする。
操作ログファイルは、プログラマブル表示器5に対するユーザの操作履歴に関する操作ログデータのファイルである。操作ログデータは、ユーザがプログラマブル表示器5に対して行った操作内容(ログイン、ログアウト、画面における各タッチ操作など)や、操作者情報(氏名、所属など)や、その発生時刻などからなる。
画面ファイルは、前述の画面データのファイルである。画面データは、プログラマブル表示器5に表示される1フレーム分の画像のデータである。通常、前述の制御システムや制御システムで製造される製品などに応じた一連の関連する複数の画面データが、ひとまとまりのファイルとして用意される。また、画面データは、画像作成ソフトウェアによって作成され、ベース画像上に、スイッチやランプなどの部品画像が配置されたり、オブジェクトとしての図形が描画されたり、テキストが記載されたりして構成されている。テキストにはインタプリタ実行のためのスクリプトが含まれる。
認証データは、後述する認証部521が携帯端末2Aの認証部222と相互認証を行なうために必要なデータであり、前述のサーバコンピュータ1で用いられる認証データと同様、暗号キー、セキュリティID、セキュリティパスワードなどが用意されている。
なお、セキュリティIDは権限を表すコードを含んでいてもよい。これにより、権限に応じて、実現できる後述の転送機能を異ならせることができる。また、上記のコードは認証レベルを表しており、携帯端末2のサーバコンピュータ1への接続の可否が認証レベルに応じて定まる。
プロファイルデータは、プログラマブル表示器5の概要の情報を示すデータである。このプロファイルデータは、サーバコンピュータ1で用いるプロファイルデータと同様、すなわち図2の(a)に示したように、先頭から、サーバユニークID、サーバ名、暗号キー、セキュリティID、セキュリティパスワードおよび転送機能が配置される構造となっている。
転送機能は、携帯端末2Aとの間で行なわれる各種のファイルの転送に係る機能を規定している。具体的には、レシピファイル、操作ログファイルおよび画面ファイルのそれぞれについて、携帯端末2Aからのアップロードおよび携帯端末2Aへのダウンロードが規定されている。ただし、操作ログファイルについては、操作ログデータがプログラマブル表示器5でのみ発生することから、プログラマブル表示器5から携帯端末2Aへのダウンロードに限られる。また、各転送機能には、レシピファイル、操作ログファイルおよび画面ファイルのそれぞれについての最新の更新状態を表す属性として更新情報(例えば更新日時(タイムスタンプ)やバージョン)が付加されている。さらに、各転送機能には、後述するアイコンデータの個々と対応付けられている。
アイコンデータは、上記の各転送機能を表す転送アイコンをプログラマブル表示器5に表示するためのデータである。この転送アイコンは、サーバコンピュータ1で用いる前述の転送アイコンと同等の機能を有しており、対応する転送機能、すなわち転送するファイルや、当該ファイルが表示器5から携帯端末2Aへ送られるのか、その逆であるのかという転送方向を端的に表すように図案化されている。
制御部52は、CPUが制御プログラム(サーバプログラム)を実行することによって実現される機能ブロックである。この制御部52は、所定の時間間隔毎や所定のイベント毎にPLC6と通信することによって、PLC6のメモリから、デバイス7の状態を状態データとして取得して、記憶部51に書き込んだり、表示パネル54に表示された画面上に反映させたりする。また、制御部52は、タッチパネル53に対してされたタッチ操作に応じて、プログラマブル表示器5の各部の動作を制御したり、PLC6に対して所望の動作をするように指令したりする。さらに、制御部52は、携帯端末2Aに対して、レシピファイル、操作ログファイルおよび画面ファイルをアップロードおよびダウンロードするためのサーバ機能を備えている。
制御部52は、このサーバ機能を実現するために、認証部521、転送特定部522、アイコン表示処理部523、アイコン操作認識部524および転送処理部525を有している。
認証部521は、実施形態1のサーバコンピュータ1の認証部121と同等の機能を有している。この認証部521は、記憶部51に記憶されている前述の認証データに基づいて、携帯端末2Aとの間で相互認証の処理を行い、相互認証が成功したことを転送特定部122に通知する。認証部521が行なう相互認証の処理手順は、上記の認証部121が行なう相互認証の処理手順と同様であるので、ここではその説明を省略する。また、認証部521は、サーバコンピュータ1の認証部121と同様、前述の認証レベルに応じて携帯端末2のサーバコンピュータ1への接続の可否を決定する。
転送特定部522は、前述のプロファイルデータに基づいて実現可能なファイルの転送機能を特定する。この転送特定部522は、転送機能を特定するために、プロファイル作成部522a、プロファイル交換部522bおよびプロファイル比較部522cを有している。
プロファイル作成部522aは、前述のプロファイルデータを作成する。具体的には、プロファイル作成部522aは、記憶部51に記憶されているサーバユニークIDおよびサーバ名をプロファイルデータに組み込むとともに、前述の認証データに基づいて、暗号キー、セキュリティIDおよびセキュリティパスワードをプロファイルデータに組み込む。また、プロファイル作成部522aは、記憶部51に記憶された、レシピファイル、操作ログファイルおよび画面ファイルから前述の更新情報を取得し、各転送機能に付加されている更新情報を、取得した更新情報に書き替える。
プロファイル交換部522bは、認証部521および携帯端末2Aの認証部222による相互認証が成功した場合、携帯端末2Aとプロファイルデータを交換する。具体的には、プロファイル交換部522bは、携帯端末2Aのプロファイル交換部223bと交信することで、プロファイル交換部223bにより提供される携帯端末2Aのプロファイルデータを受け取るとともに、プログラマブル表示器5の記憶部51からプロファイルデータを読み出してプロファイル交換部223bに提供する。
プロファイル交換部522bは、プロファイルデータの全部を携帯端末2Aに提供してもよいが、これには限定されない。例えば、所定のレジスタに各転送機能についてのビットを設け、各転送機能の有効/無効をビットのON/OFFで表すように設定しておけば、プロファイル交換部522bは、ビットがONしている転送機能のみを有効な転送機能として携帯端末2Aに通知すればよい。あるいは、転送機能をデータ構造化しておいて、XML形式でテキストにて転送機能を記述しておけば、プロファイル交換部522bは、XML形式のデータを携帯端末2Aに送信すればよい。
また、プロファイル交換部522bは、上記の有効な転送機能を通知する機能と連携して、前述の認証レベルに応じて有効な転送機能を通知するようにしてもよい。具体的には、プロファイル交換部522bは、認証レベルに応じて設定された上記のビットのON/OFFを参照して、有効な転送機能を選択的に通知することにより、交換すべきファイルを選択する。
プロファイル比較部522cは、プロファイル交換部522bによって取得した携帯端末2Aのプロファイルデータと、記憶部51から読み出したプログラマブル表示器5のプロファイルデータとを転送機能について比較する。プロファイル比較部522cは、この比較において、各転送機能に付加された更新情報をサーバコンピュータ1と携帯端末2との間で対応するファイルごとに個々に比較し、更新情報が一致しているか否かを、レシピファイル、操作ログファイルおよび画面ファイルのそれぞれについて判定して、更新情報が一致していないファイルを更新状態不一致ファイルとして特定する。また、プロファイル比較部522cは、更新状態不一致ファイルについてプログラマブル表示器5または携帯端末2Aのいずれかで最新に更新されている更新ファイルをさらに特定して、当該更新ファイルに基づいて特定される転送方向から有効な転送機能を特定する。
アイコン表示処理部523(表示処理部)は、プログラマブル表示器5と携帯端末2Aとの間で実現できる転送機能についての転送アイコンを表示パネル54に表示する。このアイコン表示処理部523は、プロファイル比較部522cによる比較結果および前述のプロファイルデータから特定される文字列に基づいて、前述のアイコン表示処理部123と同様にして、転送アイコンを表示する。
アイコン操作認識部524は、携帯端末2Aで表示された転送アイコンがユーザによってタッチ操作されたことを認識する。具体的には、アイコン操作認識部524は、レジスタに各転送アイコンに対応するビットを設けておき、後述する携帯端末2Aのアイコン操作監視部225から、ある転送アイコンがユーザによってタッチ操作されたという通知を受けると、当該転送アイコンのビットをONすることでタッチ操作を認識する。
タッチ操作は、少なくとも2以上の動作の組み合わせであることが好ましい。2以上の動作とすれば、操作者が操作していると認識しているプログラマブル表示器5に最初の動作が反映されない場合、例えばプログラマブル表示器5に表示されている転送アイコンが点滅しない場合、操作者が操作しようとしているプログラマブル表示器5と実際に認証が成立しているプログラマブル表示器5とが異なっているということを、操作者に知らせることができ、誤動作を防止することが可能となる。
転送処理部525は、アイコン操作認識部524によって操作が認識された転送アイコンが、プログラマブル表示器5から携帯端末2Aにダウンロードする転送機能を表す場合、ダウンロードすべき対象となるファイルを記憶部51から読み出して携帯端末2Aに転送する。また、転送処理部525は、アイコン操作認識部524に認識された転送アイコンが、携帯端末2Aからプログラマブル表示器5にアップロードする転送機能を表す場合、携帯端末2Aから転送されたファイルを受け入れ、記憶部51に保存されているファイルを、受け入れたファイル、すなわち最新のファイルに更新する。
タッチパネル53は、入力操作のために設けられる入力デバイスであり、表示パネル54の表示面を覆うように取り付けられている。タッチパネル53としては、各種の方式のタッチパネルを用いることができる。
表示パネル54は、画面データに基づいた画面を表示するために設けられる平板型の表示デバイスであり、液晶表示パネルなどを用いることができる。
通信インターフェース部55は、ネットワーク3に接続された携帯端末2Aなどの装置と相互に通信を行うための通信処理部であり、ネットワーク通信のためのソケットを含んでいる。この通信インターフェース部55は、携帯端末2Aからの接続要求を制御部52に伝えたり、制御部52からの送信データを携帯端末2Aに送信したりする。
通信インターフェース部56は、プログラマブル表示器5がPLC6との間の通信を行うための通信制御部である。この通信インターフェース部56は、PLC6がシリアル通信を行う機種である場合にシリアル通信制御を行う一方、PLC6がネットワーク通信を行う機種である場合にネットワーク通信を行うように構成されている。
次に、携帯端末2について詳細に説明する。
携帯端末2Aは、携帯型の端末装置であり、前述のサーバ・クライアントシステム101における携帯端末2と同様、制御部22と、タッチパネル23と、表示パネル24と、無線通信部25とを備えている。また、携帯端末2Aは、携帯端末2の記憶部21と異なる記憶部21Aを備えている。この携帯端末2Aも、実施形態1で述べた携帯端末2と同様、スマートフォン、タブレット端末などの汎用の機器として構成されてもよいし、専用の機器によって構成されもよい。
記憶部21Aは、ハードディスク装置などで構成されており、携帯端末2Aで用いる、レシピファイル、操作ログファイルおよび画面ファイルを保存している。また、記憶部21Aは、認証データ、プロファイルデータおよびアイコンデータを保存している。
制御部22は、記憶部21Aに記憶されたレシピファイル、操作ログファイルおよび画面ファイルを用いることと、相互認証およびファイル転送の相手がプログラマブル表示器5であることが、携帯端末2の制御部22と異なるだけで、それ以外の機能については同じである。したがって、以降では、上記の相違点のみに着目して説明する。
続いて、以上のように構成されるサーバ・クライアントシステム102におけるプログラマブル表示器5と携帯端末2Aとの間のファイル転送動作について説明する。
まず、プログラマブル表示器5と携帯端末2Aとの間で通信可能な状態になると、プログラマブル表示器5と携帯端末2Aとの間で相互認証が行なわれる。この相互認証が成功すると、携帯端末2Aが無線LANアクセスポイント4を介してネットワーク3に接続される。
この状態で、プログラマブル表示器5と携帯端末2Aと間でプロファイルデータが交換され、両者が比較される。この比較の結果、有効な転送機能が有ると判定されると、その転送機能に応じた転送アイコンがプログラマブル表示器5および携帯端末2Aの双方に表示される。そして、携帯端末2Aに表示された転送アイコンがユーザにタッチ操作されると、その転送アイコンにしたがったファイルがプログラマブル表示器5と携帯端末2Aとの間で転送される。
なお、操作端末2Aが複数の無線LANアクセスポイント4と通信可能である場合、電波強度が最も強い無線LANアクセスポイント4を介して操作端末2Aと接続されているプログラマブル表示器5との間でプロファイルデータ交換、比較等がなされる。
また、操作者が操作しようとしているプログラマブル表示器5に転送アイコンが表示されない場合、すなわち携帯端末2Aと接続しているプログラマブル表示器5が、操作者が望んでいるものとは異なる場合、操作者が望んでいるプログラマブル表示器5との接続を確立することも可能である。例えば、プログラマブル表示器5を特定するID等を携帯端末2Aに入力することで、上記の接続を確立することができる。この場合に、先に接続されていたプログラマブル表示器5と携帯端末2Aとの接続が解除されるのはもちろんである。
例えば、プログラマブル表示器5において、レシピファイルが、外部から新たなレシピファイルの提供を受けて更新されている場合、プログラマブル表示器5および携帯端末2Aにはレシピファイルのダウンロードを表す転送アイコンが表示される。したがって、ユーザが携帯端末2Aに表示されている転送アイコンをタッチ操作することにより、レシピファイルがプログラマブル表示器5から携帯端末2Aにダウンロードされる。一方、ユーザが更新されたレシピファイルを携帯端末2Aに取得した場合、プログラマブル表示器5および携帯端末2Aにはレシピファイルのアップロードを表す転送アイコンが表示される。したがって、ユーザが携帯端末2Aに表示されている転送アイコンをタッチ操作することにより、レシピファイルが携帯端末2Aからプログラマブル表示器5にダウンロードされる。
また、プログラマブル表示器5に対する新たな操作により、プログラマブル表示器5において操作ログファイルが更新されている場合、プログラマブル表示器5および携帯端末2Aには操作ログファイルのダウンロードを表す転送アイコンが表示される。したがって、ユーザが携帯端末2Aに表示されている転送アイコンをタッチ操作することにより、操作ログファイルがプログラマブル表示器5から携帯端末2Aにダウンロードされる。
さらに、プログラマブル表示器5において、画面ファイルが、外部から新たな画面ファイルの提供を受けて更新されている場合、プログラマブル表示器5および携帯端末2Aには画面ファイルのダウンロードを表す転送アイコンが表示される。したがって、ユーザが携帯端末2Aに表示されている転送アイコンをタッチ操作することにより、画面ファイルがプログラマブル表示器5から携帯端末2Aにダウンロードされる。一方、ユーザが更新された画面ファイルを携帯端末2Aに取得した場合、プログラマブル表示器5および携帯端末2Aには画面ファイルのアップロードを表す転送アイコンが表示される。したがって、ユーザが携帯端末2Aに表示されている転送アイコンをタッチ操作することにより、画面ファイルが携帯端末2Aからプログラマブル表示器5にアップロードされる。
以上のように、本実施形態に係るサーバ・クライアントシステム102では、実施形態1のサーバ・クライアントシステム101におけるサーバコンピュータ1と携帯端末2との間で行なわれる相互認証、プロファイルデータの交換、転送アイコンの表示およびファイルの転送が、プログラマブル表示器5と携帯端末2Aとの間で行なわれる。
これにより、サーバ・クライアントシステム101と同様にして、プログラマブル表示器5と携帯端末2Aとの間で効率的に情報を授受すること、情報の機密性を高めること、GUIの設計を簡素化すること、および転送対象となるファイルおよびその転送方向を明確にすることができる。
特に、転送機能を権限(認証レベル)で制限することにより、企業秘密が含まれることの多い製造に関するレシピファイルを、特定の階級以外の者に提供しないよう制限することができる。
また、サーバ・クライアントシステム102では、プログラマブル表示器5がサーバコンピュータ1と同様なサーバ機能を有することにより、プログラマブル表示器5で用いられる特有のレシピファイル、操作ログファイルおよび画面ファイルの更新を容易にすることができる。通常、プログラマブル表示器5と他の装置とのファイルの授受は有線による通信で行なわれるため、プログラマブル表示器5に同時に複数の装置を接続してファイルを授受することはできない。これに対し、無線通信を用いて、プログラマブル表示器5と携帯端末2Aとを接続することにより、プログラマブル表示器5に対して複数の携帯端末2Aを同時に接続して、プログラマブル表示器5と携帯端末2Aとの間でファイルを授受することができる。すなわち、携帯端末2Aのファイルのバージョンをプログラマブル表示器5と同様、最新に保つことができ、プログラマブル表示器5のファイルのバージョンを携帯端末2Aと同様、最新に保つことができる。
なお、本実施形態でも、実施形態1と同様、近接無線の方式は限定されず、また、有線による通信を用いてもよい。
上記2つの実施形態においてはいずれも無線LANアクセスポイント4が、サーバコンピュータSC1あるいはプログラマブル表示器5と同数である場合について説明したが、無線LANアクセスポイント4は必ずしも同数である必要は無い。無線LANアクセスポイント4の数がプログラマブル表示器5等の数よりも少ない場合は、携帯端末2,2Aに対する操作により任意のプログラマブル表示器5に接続できるようにすればよい。
また、本実施形態では、プログラマブル表示器5の記憶部51および携帯端末2Aに記憶されているファイルが、レシピファイル、操作ログファイルおよび画面ファイルであるが、これには限定されない。例えば、当該ファイルは、サンプリングファイルやアラームファイルであってもよい。サンプリングファイルは、PLC6がデバイス7から得たデータ(サンプリングデータ)のファイルである。サンプリングデータは、発生時間とともにPLC6から取得される。アラームファイルは、PLC6で確認されたアラームに関するデータ(アラームデータ)のファイルである。PLC6においては、異常などが発生すると、所定のアラームビットがアラームを示す状態(ONまたはOFF)になったり、メモリの所定の領域に警報値が書き込まれたりする。アラームデータは、ユーザにアラームを報知するために、これらのデバイスの状態に基づいて、アラームについての内容(メッセージ)などをアラームの内容が変化したときの日時と併せて作成されるデータである。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
サーバコンピュータ1のサーバ部12、携帯端末2,2Aの制御部22およびプログラマブル表示器5の制御部52は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、前述のように、CPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、サーバコンピュータ1、携帯端末2,2Aおよびプログラマブル表示器5は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、当該プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。
なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。