JP5916479B2 - ガスタービンおよびその制御方法 - Google Patents
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Description
制御器5Aは、温度センサー42で検出したダクト6内の温度に基づき、流量制御弁11の開度を制御することで、圧縮機2から抽気管8によりダクト6に導かれる高温の加圧空気の量を制御する。これによりアンチアイシング動作を行うようになっている。
ガスタービン100の運転中は、温度センサー42はダクト6内の温度を検出し、吸気温度値Tとして制御器5Aに出力している。制御器5Aは、吸気温度値Tに基づいて、次述の特性を有する弁開度指令値Vを出力し、流量制御弁11の弁開度を制御する。
即ち、ダクト6内に氷結を生じる虞のある状況下で、吸気温度値Tが低い場合は、流量制御弁11の弁開度を大きく制御する。これにより、ダクト6に導かれる加圧空気の量を多くし、アンチアイシングの度合いを強める。また、吸気温度値Tがそれほど低くない場合は、流量制御弁11の弁開度を小さくし、アンチアイシングの度合いを弱める。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、アンチアイシング動作時に生じ得る燃焼振動やエミッション変化を防止することのできるガスタービンおよびその制御方法を提供することを目的とする。
本発明に係るガスタービンは、圧縮機、燃焼器、およびタービンと、前記圧縮機の入口に設けられて、負荷に応じてその開度が制御され、前記圧縮機に流入する空気量を調整する入口案内翼と、流量制御弁が設けられ、前記圧縮機で加圧された空気の一部を、アンチアイシング動作時に前記圧縮機の上流側に戻す抽気管と、を備えたガスタービンであって、アンチアイシング動作時に前記抽気管を介して前記圧縮機の上流側に戻される空気量を補うように、前記入口案内翼の開度を制御する制御器を備え、前記制御器は、前記ガスタービンの負荷値に応じた量の燃焼用空気を生成できる前記入口案内翼の開度指令値を求め、前記圧縮機の吸気温度に対する減少関数から前記流量制御弁の弁開度指令値を求め、該弁開度指令値に対する増加関数から求められる係数値を前記入口案内翼の開度指令値に加算する。
これにより、例えば、吸気温度が低く、抽気管を介して燃焼用空気が多量に抜き出されるような場合でも、入口案内翼の開度が大きくなる方向に制御されることになり、燃焼器に供給される燃焼用空気の減少を防止することができる。その結果、アンチアイシング動作時に生じ得る燃焼振動やエミッション変化を防止することができる。
なお、エミッション変化とは、次の状態をいう。即ち、燃焼用空気に対する燃料の割合が大きくなったときに、燃焼温度が上がり、NOxが増えてCOが減る状態のことである。本発明では、燃焼器に供給される燃焼用空気がアンチアイシング動作時に補充されるため、アンチアイシング動作時と非動作時とで、エミッションレベルは、ほぼ同等になる。
上記ガスタービンにおいて、前記制御器が、前記入口案内翼の開度に前記圧縮機の性能に基づいて決められる上限値を設けるとさらに好適である。
本発明に係るガスタービンの制御方法は、圧縮機、燃焼器、およびタービンと、流量制御弁が設けられ、前記圧縮機の入口に設けられて、負荷に応じてその開度が制御され、前記圧縮機に流入する空気量を調整する入口案内翼と、前記圧縮機で加圧された空気の一部を、アンチアイシング動作時に前記圧縮機の上流側に戻す抽気管と、を備えたガスタービンの制御方法であって、前記ガスタービンの負荷値に応じた量の燃焼用空気を生成できる前記入口案内翼の開度指令値を求め、前記圧縮機の吸気温度に対する減少関数から前記流量制御弁の弁開度指令値を求め、該弁開度指令値に対する増加関数から求められる係数値を前記入口案内翼の開度指令値に加算することで、アンチアイシング動作時に前記抽気管を介して前記圧縮機の上流側に戻される空気量を補うように、前記入口案内翼の開度を制御するようにした。
上記ガスタービンの制御方法において、前記圧縮機の吸気温度に対する増加関数である補正関数による係数値を、前記ガスタービンの負荷値に対して乗算するとさらに好適である。
上記ガスタービンの制御方法において、前記入口案内翼の開度に前記圧縮機の性能に基づいて決められる上限値を設けるとさらに好適である。
図1は本実施形態に係るガスタービンの概略の構成を示す図、図2は第1補正関数において使用されるチャート、図3は第2補正関数において使用されるチャート、図4は第3補正関数において使用されるチャート、図5は第4補正関数において使用されるチャート、図6は第5補正関数において使用されるチャート、図7は第6補正関数において使用されるチャートである。
また、圧縮機2は抽気管8を備えている。抽気管8は、圧縮機2で加圧された空気の一部を、圧縮機2の上流側、即ちダクト6へ戻し、吸気フィルターに噴射するように構成されている。抽気管8の途中には流量制御弁11が設けられている。流量制御弁11は、制御器5から出力された弁開度指令値Vによりその開度が制御されるようになっている。
また、圧縮機2の車室内には、車室圧センサー44が設けられており、検出した車室圧を、車室圧Pとして出力している。
また、圧縮機2は、その入口に入口案内翼(IGV:Inlet Guide Vane)12を備えている。入口案内翼12は、ガスタービンの負荷に応じて、圧縮機2に吸気される空気量を調整する可変翼であり、IGV駆動部45によって駆動制御されている。ガスタービンの負荷は、発電機9に設けられた発電機出力検出器41から負荷値Wとして出力されている。
制御器5は、具体的には、第1補正関数FX01、第2補正関数FX02、第3補正関数FX03、第4補正関数FX04、第5補正関数FX05、第6補正関数FX06、加算部24、第1乗算部22、第2乗算部32および低値選択部25を備えている。
第1補正関数FX01は、ガスタービン1の負荷に応じた量の燃焼用空気が生成できるような、IGV開度を求める関数である。例えば、小負荷時にIGV開度を小さくすることで圧縮機2の吸気流量を減らし、大負荷時にIGV開度を大きくすることで圧縮機2の吸気流量を増やす機能を持たせている。第1補正関数FX01は、基本的には、図2に示すように、入力される負荷値Wに対する増加関数である。即ち、小さい負荷に対しては小さい係数値Jを出力し、大きい負荷に対しては大きい係数値Jを出力する。
第2補正関数FX02は、圧縮機2の吸気温度に変化があった場合でも、圧縮機2に吸気される空気の質量流量を、設計基準温度時と同等にする機能を持たせる関数である。第2補正関数FX02は、基本的には、図3に示すように、入力される吸気温度値Tに対する増加関数である。即ち、低い吸気温度に対しては小さい係数値Nを出力し、高い吸気温度に対しては大きい係数値Nを出力する。
第1乗算器22において、入力される負荷値Wに第2補正関数FX02から出力された係数値Nを乗算することで、例えば低気温時は負荷を見かけ上小さくしてIGV開度を閉まり気味とする。これにより、気温低下による空気密度の増加に伴う、空気の質量流量の増加を抑え、圧縮機2に吸気される空気の質量流量を、設計基準温度時と同等となるようにしている。反対に、例えば高気温時は負荷を見かけ上大きくしてIGV開度を開き気味とする。これにより、気温上昇による空気密度の低下に伴う、空気の質量流量の低下を補い、圧縮機2に吸気される空気の質量流量を、設計基準温度時と同等となるようにしている。
第3補正関数FX03は、IGV開度に上限値Rを設けるための関数である。上限値Rは主に圧縮機2の性能に基づいて決められる。圧縮機2では、IGV開度が大きい場合に、多量の空気が吸気されて空気密度が増大することによるサージング現象(圧縮機失速)を起こすことがある。この上限値Rは該サージング現象を抑える手段として機能する。
低値選択部25において、IGV開度指令値Sの基となる係数値Jと上限値Rとが比較され、係数値Jが上限値Rよりも大きい場合には、IGV開度指令値Sとしてこの上限値Rが出力される。
第3補正関数FX03としては、圧縮機2の吸気温度が低くなるに従い、上限値Rを小さくする形態が用いられることもあるが、本実施形態では、図4に示すように、一定値としている。
第4補正関数FX04は、アンチアイシング動作時に抽気管8を介して圧縮機2の上流側に戻される空気量を補うように、IGV開度を制御するのに使う関数である。基本的には、図5に示すように、入力される弁開度指令値V(詳細は後述の「FX06」欄参照)に対する増加関数である。即ち、小さい弁開度指令値Vに対しては小さい係数値Mを出力し、大きい弁開度指令値Vに対しては大きい係数値Mを出力する。
加算部24において、IGV開度指令値Sの基となる係数値Jに、係数値Mを加算する。これにより、入口案内翼12は、抽気量の多い低気温時は開き気味となるように制御され、燃焼器に供給される燃焼用空気が補われる。つまりアンチアイシングのために抽気されて減った空気量が補われる。なお、第4補正関数FX04は、吸気温度値Tに対する増加関数となっている。
第5補正関数FX05は、アンチアイシング動作時のIGV開度に、車室圧の観点から補正を設ける関数である。より詳しくは、流量制御弁11が同じ弁開度であっても、抽気される空気流量が車室圧によって異なるという現象から生じる不都合を緩和するための関数である。例えば車室圧が高いときには、燃焼器3へ供給される燃焼用空気が必要以上に減るので、これを防ぐために使用される。第5補正関数FX05は、基本的には、図6に示すように、入力される車室圧Pに対する増加関数である。車室圧が高いと、流量制御弁11の弁開度が変わらなくても、抽気量が多くなるから、これを補うように入口案内翼12を大きく開けて、高車室圧の影響により減少した空気を補充するようにしている。なお、この補正量は、第4補正関数FX04によるものに対して十分に小さく、系が発散することはない。
第6補正関数FX06は、圧縮機2の吸気温度に応じてアンチアイシングの度合いを制御するための関数である。基本的には、図7に示すように、入力される吸気温度値Tに対する減少関数である。即ち、低い吸気温度に対しては大きい弁開度指令値Vを出力し、高い吸気温度に対しては小さい弁開度指令値Vを出力する。この弁開度指令値Vに応じた開度値を流量制御弁11に出力し、その開度制御を行う。吸気温度が境界温度T0を超えるときは、氷結の虞が無いと判断し、機能させないようになっている。
温度センサー42は、ダクト6内の温度を検出し、吸気温度値Tとして制御器5に送信している。発電機出力検出器41は、発電機9の出力を検出し、負荷値Wとして制御器5に送信している。車室圧センサー44は、圧縮機2における車室内の圧力を検出し、車室圧Pとして制御器5に送信している。
2 圧縮機
3 燃焼器
4 タービン
5 制御器
8 抽気管
11 流量制御弁
12 入口案内翼
P 車室圧
Claims (8)
- 圧縮機、燃焼器、およびタービンと、
前記圧縮機の入口に設けられて、負荷に応じてその開度が制御され、前記圧縮機に流入する空気量を調整する入口案内翼と、
流量制御弁が設けられ、前記圧縮機で加圧された空気の一部を、アンチアイシング動作時に前記圧縮機の上流側に戻す抽気管と、を備えたガスタービンであって、
アンチアイシング動作時に前記抽気管を介して前記圧縮機の上流側に戻される空気量を補うように、前記入口案内翼の開度を制御する制御器を備え、
前記制御器は、前記ガスタービンの負荷値に応じた量の燃焼用空気を生成できる前記入口案内翼の開度指令値を求め、前記圧縮機の吸気温度に対する減少関数から前記流量制御弁の弁開度指令値を求め、該弁開度指令値に対する増加関数から求められる係数値を前記入口案内翼の開度指令値に加算することを特徴とするガスタービン。 - 前記制御器は、前記圧縮機の車室圧の変化により変化する抽気量を補うように、前記入口案内翼の開度を制御することを特徴とする請求項1に記載のガスタービン。
- 前記制御器は、前記圧縮機の吸気温度に対する増加関数である補正関数による係数値を、前記ガスタービンの負荷値に対して乗算することを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン。
- 前記制御器は、前記入口案内翼の開度に前記圧縮機の性能に基づいて決められる上限値を設けることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のガスタービン。
- 圧縮機、燃焼器、およびタービンと、
流量制御弁が設けられ、前記圧縮機の入口に設けられて、負荷に応じてその開度が制御され、前記圧縮機に流入する空気量を調整する入口案内翼と、
前記圧縮機で加圧された空気の一部を、アンチアイシング動作時に前記圧縮機の上流側に戻す抽気管と、を備えたガスタービンの制御方法であって、
前記ガスタービンの負荷値に応じた量の燃焼用空気を生成できる前記入口案内翼の開度指令値を求め、前記圧縮機の吸気温度に対する減少関数から前記流量制御弁の弁開度指令値を求め、該弁開度指令値に対する増加関数から求められる係数値を前記入口案内翼の開度指令値に加算することで、アンチアイシング動作時に前記抽気管を介して前記圧縮機の上流側に戻される空気量を補うように、前記入口案内翼の開度を制御することを特徴とするガスタービンの制御方法。 - 前記圧縮機の車室圧の変化により変化する抽気量を補うように、前記入口案内翼の開度を制御することを特徴とする請求項5に記載のガスタービンの制御方法。
- 前記圧縮機の吸気温度に対する増加関数である補正関数による係数値を、前記ガスタービンの負荷値に対して乗算することを特徴とする請求項5または6に記載のガスタービンの制御方法。
- 前記入口案内翼の開度に前記圧縮機の性能に基づいて決められる上限値を設けることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載のガスタービンの制御方法。
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