試料を分析するための分析装置の中には、分析中にエラーが検知された場合に、そのときのエラー情報をエラーログとして記憶しておくことができるようになっているものがある(例えば、下記特許文献1参照)。この種の分析装置においては、分析後にエラーログを確認することにより、エラー解析を行うことができる。
エラーログとして、エラーが検知された日時をエラー情報に対応付けて記憶するような構成の場合には、分析後にエラーログを確認する際に、エラーが検知された日時を特定することができるため、エラー解析をより正確に行うことができる。しかしながら、一般的な分析装置には、日時を計測するための機能が備えられておらず、そのような機能を持たせるためにはコストがかかるという問題がある。
そこで、例えばネットワークを介して分析装置に制御装置が接続されたような構成であれば、制御装置において日時を計測することができる。この場合、分析装置でエラーが検知されたときに、制御装置で計測した日時をエラー情報に対応付けて記憶しておくことが可能である。
しかしながら、このような構成では、分析装置でエラーが発生した場合に、エラーの種類によっては、分析装置と制御装置との間で通信を行うことができなくなる可能性がある。この場合、エラーが検知された日時をエラー情報に対応付けて記憶することができず、エラー解析を正確に行うことができなくなるおそれがある。
一方で、分析装置には、例えばCPU(Central Processing Unit)からなる制御部が備えられ、OS(Operating System)の機能として、タイマ部でタイマ値をカウントすることができるようになっているのが一般的である。このようなタイマ部では、例えば分析装置の電源がオフ状態からオン状態となったときにタイマ値のカウントが開始され、分析装置の電源がオン状態からオフ状態となったときにタイマ値がリセットされるようになっている。
図6は、エラーが検知されたときの制御部による処理の従来例を示したフローチャートである。分析装置においてエラーが検知された場合には(ステップS401でYes)、タイマ部のタイマ値が取得されるとともに(ステップS402)、当該エラーの種類に対応するエラー情報が取得される(ステップS403)。そして、取得されたタイマ値及びエラー情報が互いに対応付けられた状態でエラー情報記憶部に記憶される(ステップS404)。
図7は、エラー情報記憶部にエラー情報を記憶する際の態様の従来例を示した図である。図7では、エラー情報の一例として、エラーの種類に対応付けられたエラーコードが、タイマ部のタイマ値に対応付けて記憶される場合について説明する。
エラー情報記憶部には、エラーが検知される度に、エラー情報としてのエラーコードが順次に記憶される。エラー情報記憶部は、例えば不揮発性メモリにより構成されており、分析装置の電源がオン状態からオフ状態となった場合でも、エラーコードがエラー情報記憶部に記憶された状態のまま維持されるようになっている。
図7に示した例では、タイマ値が40000msecのときに、当該タイマ値に対応付けてエラーコード「10」がエラー情報記憶部に記憶された後、タイマ値が12000msecのときに、当該タイマ値に対応付けてエラーコード「45」がエラー情報記憶部に記憶されている。このような場合には、タイマ値が40000msecのときにエラーが検知された後、分析装置の電源が一旦オフ状態とされ、その後に電源が再びオン状態とされてタイマ値のカウントが0msecから開始され、タイマ値が12000msecのときにエラーが検知されたことが分かる。
しかしながら、上記のような図7に示した例では、12010msecのタイマ値に対応付けられたエラーコード「30」、及び、14000msecのタイマ値に対応付けられたエラーコード「23」については、タイマ値が12000msecのときにエラーが検知された後、分析装置の電源が一旦オフ状態とされてから検知されたエラーであるか否かを判別することができない。
すなわち、タイマ値が12000msecのときにエラーが検知されてから10msec後と2000msec後に、それぞれエラーコード「30」及び「23」のエラーが検知されたのか、あるいは、その間に分析装置の電源が一旦オフ状態とされ、その後に電源が再びオン状態とされてタイマ値がリセットされてからエラーが検知されたのかを判別することができない。そのため、当該判別を誤った場合には、エラー解析を正確に行うことができないという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、低コストでより正確にエラー解析を行うことができる分析装置を提供することを目的とする。
本発明に係る分析装置は、試料を分析するための分析装置であって、分析中にタイマ値をカウントするとともに、前記分析装置の電源がオン状態からオフ状態となった場合にタイマ値がリセットされるタイマ部と、分析中に生じたエラーを検知するためのエラー検知部と、識別情報を記憶するための識別情報記憶部と、不揮発性メモリからなり、前記タイマ値及び前記識別情報に対応付けてエラー情報を記憶可能なエラー情報記憶部と、前記分析装置の電源がオフ状態からオン状態となった後に、前記エラー情報記憶部に最後に記憶されたエラー情報に対応付けられている識別情報を読み出して、予め定められた順序に従って更新し、更新後の識別情報を前記識別情報記憶部に記憶させる識別情報更新処理部と、前記エラー検知部によりエラーが検知された場合に、そのときの前記タイマ部のタイマ値及び前記識別情報記憶部に記憶されている更新後の識別情報に対応付けて、前記エラー情報記憶部にエラー情報を記憶させることができるエラー情報記憶処理部とを備えたことを特徴とする。
このような構成によれば、タイマ部のタイマ値だけでなく、識別情報記憶部に記憶されている更新後の識別情報も対応付けて、エラー情報をエラー情報記憶部に記憶させることができる。分析装置の電源がオフ状態からオン状態となった後に、エラー情報記憶部に最後に記憶されたエラー情報に対応付けられている識別情報が読み出され、予め定められた順序に従って更新されるため、当該識別情報に基づいて、より正確にエラー解析を行うことができる。
すなわち、分析装置の電源が一旦オフ状態とされ、その後に電源が再びオン状態とされてタイマ値がリセットされてからエラーが検知された場合には、更新後の識別情報に対応付けてエラー情報を記憶させることができるため、当該識別情報を確認することにより、分析装置の電源がオン状態のまま続けてエラーが検知された場合と明確に判別することができる。
また、分析装置の電源がオン状態からオフ状態となった場合にタイマ値がリセットされるようなタイマ部は、一般的な分析装置にもともと備えられているため、当該タイマ部を用いることにより、コストが高くなるのを防止することができる。したがって、低コストでより正確にエラー解析を行うことができる。
特に、識別情報が予め定められた順序に従って更新されるため、当該識別情報を確認することにより、エラー情報記憶部にエラー情報が記憶された順序を明確に判別することができる。したがって、識別情報が不規則に更新されるような構成と比較して、より正確にエラー解析を行うことができる。
また、エラー情報記憶部に最後に記憶されたエラー情報に対応付けられている識別情報が読み出され、予め定められた順序に従って更新されるため、仮に分析装置の電源がオン状態の間にエラーが検知されなかった場合でも、次に電源がオン状態となった場合には、同一の識別情報が用いられることとなる。したがって、必要以上に識別情報が更新されて、エラー情報記憶部にエラー情報が記憶された順序が不明確になるのを防止することができる。
前記エラー情報記憶部が、リングバッファからなるものであってもよい。
このような構成によれば、エラー情報がタイマ値及び識別情報に対応付けてリングバッファに記憶される。エラー情報記憶部がリングバッファからなる場合には、エラー情報が記憶された順序が判別しにくくなるが、本発明のように識別情報に対応付けてエラー情報を記憶することにより、エラー情報が記憶された順序を明確に判別することができるため、より正確にエラー解析を行うことができる。
前記識別情報記憶部が、揮発性メモリからなるものであってもよい。
このような構成によれば、分析装置の電源がオン状態からオフ状態となったときに、識別情報記憶部に記憶されている識別情報が自動的に消去される。したがって、分析装置の電源がオフ状態とされたときに、識別情報記憶部に記憶されている識別情報を消去するための処理を行う必要がなく、低コストで効率的に識別情報を用いた処理を行うことができる。
前記識別情報更新処理部は、前記分析装置の電源がオフ状態からオン状態となったときに識別情報を更新し、前記識別情報記憶部に記憶させるものであってもよい。この場合、前記エラー情報記憶処理部は、前記分析装置の電源がオン状態の間、前記エラー検知部によりエラーが検知される度に前記識別情報記憶部から更新後の同一の識別情報を読み出し、当該識別情報に対応付けて前記エラー情報記憶部にエラー情報を記憶させるものであってもよい。
このような構成によれば、分析装置の電源がオン状態の間に続けて検知されたエラーについては、同一の識別情報に対応付けてエラー情報がエラー情報記憶部に記憶される。したがって、当該識別情報を確認することにより、分析装置の電源がオン状態の間に続けて検知されたエラーであるか否かを明確に判別することができるため、さらに正確にエラー解析を行うことができる。
本発明によれば、タイマ部のタイマ値だけでなく、識別情報記憶部に記憶されている更新後の識別情報も対応付けて、エラー情報がエラー情報記憶部に記憶されるため、当該識別情報に基づいて、より正確にエラー解析を行うことができる。また、本発明によれば、分析装置の電源がオン状態からオフ状態となった場合にタイマ値がリセットされるようなタイマ部が用いられるため、低コストでエラー解析を行うことができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る分析装置の構成例を示したブロック図である。本実施形態に係る分析装置では、試料の分析中にエラーが検知された場合に、そのときのエラー情報をエラーログとして記憶しておくことにより、分析後にエラーログを確認してエラー解析を行うことができるようになっている。
この分析装置には、例えば制御部1、識別情報記憶部2、エラー情報記憶部3及び電源スイッチ4などが備えられている。制御部1は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含む構成であり、当該CPUがプログラムを実行することにより、タイマ部11、エラー検知部12、エラー情報記憶処理部13及び識別情報更新処理部14などの各種機能部として機能するようになっている。
識別情報記憶部2は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリからなり、識別情報を記憶することができる。識別情報としては、例えば数字(識別番号)を用いることができるが、これに限らず、アルファベットなどの他の各種識別情報を用いることができる。また、識別情報記憶部2は、例えばRAM(Random Access Memory)などのSDRAM以外の揮発性メモリにより構成されていてもよいし、不揮発性メモリにより構成されていてもよい。
エラー情報記憶部3は、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリからなり、エラー情報を記憶することができる。エラー情報記憶部3が不揮発性メモリにより構成されているため、分析装置の電源がオン状態からオフ状態となった場合でも、エラー情報がエラー情報記憶部3に記憶された状態のまま維持されるようになっている。
本実施形態では、エラー情報記憶部3がリングバッファにより構成されており、一定数を上限としてエラー情報を記憶することができるようになっている。エラー情報記憶部3に上限までエラー情報が記憶されている状態で、新たにエラー情報が記憶される場合には、エラー情報記憶部3に記憶されているエラー情報のうち、最初に記憶されたエラー情報が消去されることとなる。
エラー情報としては、当該分析装置において検知されるエラーの種類に対応付けられたエラーコードを用いることができる。ただし、エラーコードに限らず、エラーに関する他の各種情報をエラー情報として用いることができる。エラー情報記憶部3は、例えばフラッシュROM(Read Only Memory)などのEEPROM以外の不揮発性メモリにより構成されていてもよい。また、エラー情報記憶部3は、リングバッファにより構成されるものに限らない。
電源スイッチ4は、当該分析装置の電源をオン状態とオフ状態との間で切り替えるためのものであり、自動又は手動で切替可能である。電源スイッチ4が切り替えられた場合には、その旨の信号が制御部1に入力され、当該信号に基づいて制御部1が処理を行うことができるようになっている。
タイマ部11は、例えばOS(Operating System)の機能としてタイマ値をカウントするものであり、電源スイッチ4がオフ状態からオン状態となった場合にタイマ値のカウントを開始し、電源スイッチ4がオン状態からオフ状態となった場合にタイマ値がリセットされるようになっている。分析中は、タイマ部11によりタイマ値がカウントされ、そのタイマ値がエラー情報記憶処理部13に入力される。
ただし、タイマ部11は、制御部1により構成されるものに限らず、例えば制御部1とは分離して設けられたカウンタなどにより構成されていてもよい。また、タイマ部11は、分析中にタイマ値をカウントすることができ、電源スイッチ4がオン状態からオフ状態となった場合にタイマ値がリセットされるものであればよく、電源スイッチ4がオン状態になると同時にタイマ値のカウントが開始されるような構成に限られるものではない。
エラー検知部12は、分析中にエラーを検知するための処理を行う。エラー検知部12には、当該分析装置に備えられた分析中に動作する各部(図示せず)から信号が入力されるようになっている。エラー検知部12では、検知したエラーの種類が特定され、その種類に応じたエラー情報(例えば、エラーコード)がエラー情報記憶処理部13に入力される。
エラー情報記憶処理部13は、エラー検知部12によりエラーが検知された場合に、そのときのタイマ部11のタイマ値に対応付けて、エラー情報記憶部3にエラー情報を記憶させる。本実施形態では、タイマ部11のタイマ値だけでなく、識別情報記憶部2に記憶されている識別情報も対応付けて、エラー情報記憶部3にエラー情報を記憶させることができるようになっている。すなわち、エラー情報記憶部3は、タイマ値及び識別情報に対応付けてエラー情報を記憶可能となっている。
識別情報更新処理部14は、エラー情報記憶部3に記憶されている識別情報を読み出して、予め定められた順序に従って更新し、更新後の識別情報を識別情報記憶部2に記憶させる。例えば、識別情報として数字(識別番号)が用いられる場合には、数字の順序に従って、昇順で識別情報が更新されるような構成であってもよい。
ただし、識別情報は、予め定められた順序に従って更新され、その順序が分かりやすいものであれば、昇順で更新されるものに限らず、例えば降順などの他の順序で更新されるような構成であってもよい。また、識別情報は、その種類に応じた任意の順序に従って更新させることができ、例えば識別情報としてアルファベットが用いられる場合には、アルファベットの順序に従って識別情報を更新することができる。
図2は、電源スイッチ4がオフ状態からオン状態となったときの制御部1による処理の一例を示したフローチャートである。本実施形態では、電源スイッチ4がオフ状態からオン状態となったときに(ステップS101でYes)、エラー情報記憶部3に最後に記憶されたエラー情報に対応付けられている識別情報が読み出されるようになっている(ステップS102)。すなわち、エラー情報に対応付けてエラー情報記憶部3に記憶されている識別情報のうち、上記予め定められた順序において最後となる識別情報が読み出されることとなる。
そして、読み出された識別情報が予め定められた順序に従って更新され、更新後の識別情報が識別情報記憶部2に記憶される(ステップS103)。ただし、電源スイッチ4がオフ状態からオン状態となったときに限らず、電源スイッチ4がオフ状態からオン状態となった後、別のタイミングで識別情報が更新され、更新後の識別情報が識別情報記憶部2に記憶されるような構成であってもよい。
図3は、タイマ部11のタイマ値に対応付けてエラー情報を記憶する際の制御部1による処理の一例を示したフローチャートである。本実施形態では、識別情報記憶部2に記憶されている更新後の識別情報に対応付けて、エラー情報記憶部3にエラー情報が記憶されるようになっている。
エラー検知部12によりエラーが検知された場合には(ステップS201でYes)、タイマ部11のタイマ値が取得されるとともに(ステップS202)、当該エラーの種類に対応するエラー情報が取得される(ステップS203)。このとき、識別情報記憶部2に記憶されている更新後の識別情報も取得され(ステップS204)、取得されたタイマ値、識別情報及びエラー情報が互いに対応付けられた状態でエラー情報記憶部3に記憶される(ステップS205)。
本実施形態では、分析装置の電源がオン状態の間、エラー検知部12によりエラーが検知される度に(ステップS201でYes)、識別情報記憶部2から更新後の同一の識別情報が読み出され(ステップS204)、当該識別情報に対応付けてエラー情報記憶部3にエラー情報が記憶されるようになっている(ステップS205)。
図4は、エラー情報記憶部3にエラー情報を記憶する際の態様の一例を示した図である。図4では、エラー情報の一例であるエラーコード、及び、識別情報の一例である識別番号が、タイマ部11のタイマ値に対応付けて記憶される場合について説明する。タイマ部11は、1msec単位でタイマ値をカウントするようになっている。ただし、タイマ部11がタイマ値をカウントする単位は、1msec単位に限られるものではなく、任意の単位に設定することができる。
分析装置の電源が一旦オフ状態とされ、その後に電源が再びオン状態とされた場合には、予め定められた順序(この例では、昇順)で更新された識別番号が識別情報記憶部2に記憶されるため、エラーが検知されたときに識別情報記憶部2から読み出されてエラー情報記憶部3に記憶される識別番号が変化することとなる。したがって、図4に示した例では、識別番号「6」に対応付けられたエラーコード「10」と識別番号「7」に対応付けられたエラーコード「45」との間、及び、識別番号「7」に対応付けられたエラーコード「45」と識別番号「8」に対応付けられたエラーコード「30」との間で、それぞれ分析装置の電源が一旦オフ状態とされていると判別することができる。
これに対して、電源がオン状態のときにエラーが複数回検知された場合には、識別情報記憶部2から同一の識別番号が読み出されるため、エラー情報記憶部3に記憶される識別番号が変化しない。したがって、図4に示した例では、識別番号「8」に対応付けられたエラーコード「30」と識別番号「8」に対応付けられたエラーコード「23」との間では、分析装置の電源がオフ状態とされていないと判別することができる。
このように、本実施形態では、タイマ部11のタイマ値だけでなく、識別情報記憶部2に記憶されている更新後の識別番号も対応付けて、エラーコードをエラー情報記憶部3に記憶させることができる。分析装置の電源がオフ状態からオン状態となった後に、エラー情報記憶部3に最後に記憶されたエラーコードに対応付けられている識別番号が読み出され、予め定められた順序に従って更新されるため、当該識別番号に基づいて、より正確にエラー解析を行うことができる。
すなわち、分析装置の電源が一旦オフ状態とされ、その後に電源が再びオン状態とされてタイマ値がリセットされてからエラーが検知された場合には、図4に示す例における識別番号「7」に対応付けられたエラーコード「45」、及び、識別番号「8」に対応付けられたエラーコード「30」の場合のように、更新後の識別番号に対応付けてエラーコードを記憶させることができる。そのため、当該識別番号を確認することにより、図4に示す例における識別番号「8」に対応付けられたエラーコード「23」の場合のように、分析装置の電源がオン状態のまま続けてエラーが検知された場合と明確に判別することができる。
また、分析装置の電源がオン状態からオフ状態となった場合にタイマ値がリセットされるようなタイマ部11は、一般的な分析装置にもともと備えられているため、当該タイマ部11を用いることにより、コストが高くなるのを防止することができる。したがって、低コストでより正確にエラー解析を行うことができる。
特に、識別番号が予め定められた順序に従って更新されるため、当該識別番号を確認することにより、エラー情報記憶部3にエラーコードが記憶された順序を明確に判別することができる。図4の例では、識別番号が昇順で更新されるため、大きい識別番号に対応付けられているエラーコードほど、最近に検知されたエラーであることを判別することができる。したがって、識別番号が不規則に更新されるような構成と比較して、より正確にエラー解析を行うことができる。
また、エラー情報記憶部3に最後に記憶されたエラーコードに対応付けられている識別番号が読み出され、予め定められた順序に従って更新されるため、仮に分析装置の電源がオン状態の間にエラーが検知されなかった場合でも、次に電源がオン状態となった場合には、同一の識別番号が用いられることとなる。
例えば図4において、識別番号「6」に対応付けられたエラーコード「10」が検知された後、分析装置の電源が一旦オフ状態とされ、その後に電源がオン状態とされてからエラーが検知されることなく電源がオフ状態とされた場合には、そのとき更新された識別番号「7」は用いられない。しかし、次に電源がオン状態となりエラー(例えば、エラーコード「45」)が検知された場合には、同一の識別番号「7」が用いられることにより、前回のエラーの際の識別番号「6」に対して連番となる。したがって、必要以上に識別番号が更新されて、エラー情報記憶部3にエラーコードが記憶された順序が不明確になるのを防止することができる。
また、本実施形態では、エラーコードがタイマ値及び識別番号に対応付けてリングバッファに記憶されるようになっている。エラー情報記憶部3がリングバッファからなる場合には、リングバッファの各記憶領域を循環するようにエラーコードが順次に記憶されるため、エラーコードが記憶された順序が判別しにくくなる。しかし、本実施形態のように、識別番号に対応付けてエラーコードを記憶することにより、エラーコードが記憶された順序を明確に判別することができるため、より正確にエラー解析を行うことができる。
さらに、本実施形態では、識別情報記憶部2が揮発性メモリにより構成されているため、分析装置の電源がオン状態からオフ状態となったときに、識別情報記憶部2に記憶されている識別番号が自動的に消去される。したがって、分析装置の電源がオフ状態とされたときに、識別情報記憶部2に記憶されている識別番号を消去するための処理を行う必要がなく、低コストで効率的に識別番号を用いた処理を行うことができる。
本実施形態では、分析装置の電源がオン状態の間に続けて検知されたエラーについては、同一の識別番号に対応付けてエラーコードがエラー情報記憶部3に記憶される。例えば図4において、識別番号「8」に対応付けられたエラーコード「30」、及び、識別番号「8」に対応付けられたエラーコード「23」については、同一の識別番号「8」が対応付けられているため、分析装置の電源がオン状態の間に続けて検知されたエラーであると判別することができる。したがって、当該識別番号を確認することにより、分析装置の電源がオン状態の間に続けて検知されたエラーであるか否かを明確に判別することができるため、さらに正確にエラー解析を行うことができる。
ただし、識別番号は、全てのエラーコードに対応付けてエラー情報記憶部3に記憶されるような構成に限らず、一部のエラーコードにのみ対応付けてエラー情報記憶部3に記憶されるような構成であってもよい。例えば、分析装置の電源がオフ状態からオン状態になって初めて検知されたエラーについてのみ、そのエラーコードに対応付けて識別番号がエラー情報記憶部3に記憶されるような構成であってもよい。この場合、図4の例におけるエラーコード「23」については、分析装置の電源がオン状態になってから2回目に検知されたエラーであるため、識別番号が対応付けて記憶されないこととなる。
図5は、タイマ部11のタイマ値に対応付けてエラー情報を記憶する際の制御部1による処理の変形例を示したフローチャートである。この例では、上記実施形態のように電源スイッチ4がオフ状態からオン状態となったときに識別情報が更新されるのではなく、電源スイッチ4がオフ状態からオン状態になって初めてエラーが検知されたときに、識別情報が更新されるようになっている。
具体的には、エラー検知部12によりエラーが検知された場合に(ステップS301でYes)、電源スイッチ4がオフ状態からオン状態になって初めて検知されたエラーであるか否かが判定される(ステップS302)。そして、電源スイッチ4がオフ状態からオン状態になって初めて検知されたエラーであれば(ステップS302でYes)、エラー情報記憶部3に最後に記憶されたエラー情報に対応付けられている識別情報が読み出される(ステップS303)。
読み出された識別情報は、予め定められた順序に従って更新され、更新後の識別情報が識別情報記憶部2に記憶される(ステップS304)。また、タイマ部11のタイマ値が取得されるとともに(ステップS305)、当該エラーの種類に対応するエラー情報が取得される(ステップS306)。このとき、識別情報記憶部2に記憶されている更新後の識別情報も取得され(ステップS307)、取得されたタイマ値、識別情報及びエラー情報が互いに対応付けられた状態でエラー情報記憶部3に記憶される(ステップS308)。
一方、エラー検知部12により検知されたエラーが、電源スイッチ4がオフ状態からオン状態になって初めて検知されたエラーでない場合には(ステップS302でNo)、ステップS303及びS304の処理は行われず、ステップS305以降の処理が行われる。これにより、分析装置の電源がオン状態の間、エラー検知部12によりエラーが検知される度に識別情報記憶部2から更新後の同一の識別情報が読み出され、当該識別情報に対応付けてエラー情報記憶部3にエラー情報が記憶されることとなる。