JP5910621B2 - 電動パワーステアリング装置、キャリブレーション装置及びキャリブレーション方法 - Google Patents

電動パワーステアリング装置、キャリブレーション装置及びキャリブレーション方法 Download PDF

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Description

本発明は、電動パワーステアリング装置のトルクセンサのキャリブレーションを行う装置及び方法に関する。
従来、ステアリング装置として、運転者がステアリングホイールを操舵する操舵トルクに応じて電動モータを駆動することによりステアリング機構に操舵補助トルクを与える電動パワーステアリング装置(EPS:Electric Power Steering)が普及している。
このような電動パワーステアリング装置(EPS)において、製品毎に生じる操舵トルクのバラツキを抑えるため、トルクセンサのキャリブレーション(calibration:校正)を実施する技術の1つとして、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術では、トルクセンサがその出力特性を変えられるセンサ回路を備える。トルクセンサ及び電動モータは、アクチュエータによって付与される入力トルクに応じて作動する。操舵トルク測定器は、操舵機構が出力する操舵トルクを測定する。センサ出力調整器は、操舵トルク測定器によって測定される操舵トルクと予め設定される理想値との差をズレ量として算出し、算出されたズレ量に応じて操舵トルクを理想値に近づけるようにセンサ回路の出力特性を調整する。
特開2012−106673号公報
電動パワーステアリング装置(EPS)のトルクセンサのキャリブレーションを実施するに当たっては、芯ずれ等のオフセット(offset)調整の関係から、トルクセンサをステアリングコラム内に組み込んだ状態(コラム内組み込み状態)で実施することが望ましい。しかし、コラム内組み込み状態でコラムを回転させると、軸受(ベアリング)やシール等の機械部品(メカ)の持つフリクション(摩擦)により、リップル成分等の影響を含んだトルクセンサ信号(トルク検出信号)が出力されることになる。なお、リップル成分とは、主に交流(AC)を直流(DC)に変換したときに、直流の電流の中に含まれている脈動の成分(残っている交流成分)のことである。したがって、上記の状態でトルクセンサのキャリブレーションを実施するに当たって、可能な限り機械部品の影響(メカ影響)等を排除した状態のトルクセンサ信号を用いてトルクセンサのキャリブレーションを実施する必要がある。しかし、特許文献1に記載の技術のような従来の技術では、機械部品の影響等は考慮されていなかった。
本発明の目的は、上記課題を解決するため、コラム内組み込み状態でトルクセンサのキャリブレーションを実施するに当たって、機械部品の影響等を考慮したキャリブレーションを実施する電動パワーステアリング装置を提供することである。
本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置は、トルクセンサと、第1のエンコーダと、第2のエンコーダと、キャリブレーション装置とを備える。トルクセンサは、入力トルクを車輪に伝達するステアリングシャフトの入力軸と出力軸との間に配置され、入
力トルクに応じたトルクセンサ信号を出力する。第1のエンコーダは、ステアリングシャフトの入力軸に配置され、入力トルクに応じた入力軸の角度情報を出力する。第2のエンコーダは、ステアリングシャフトの出力軸に配置され、入力トルクに応じた出力軸の角度情報を出力する。キャリブレーション装置は、入力軸の角度情報と出力軸の角度情報との差分値を算出し、トルクセンサ信号から差分値を除去し、差分値を除去したトルクセンサ信号を用いてトルクセンサのキャリブレーションを実施する。実際には、ステアリングシャフトに入力トルクを付与するアクチュエータを備えていても良い。上記の第1のエンコーダ及び第2のエンコーダは、少なくともトルクセンサと同等以上の角度精度を有する。
本発明の一態様に係るキャリブレーション方法では、入力トルクを車輪に伝達するステアリングシャフトの入力軸と出力軸との間に配置されたトルクセンサの出力であるトルクセンサ信号を取得する。また、ステアリングシャフトの入力軸の角度情報と出力軸の角度情報とをそれぞれ取得し、入力軸の角度情報と出力軸の角度情報との差分値を算出する。そして、トルクセンサ信号から差分値を除去し、差分値を除去したトルクセンサ信号を用いてトルクセンサのキャリブレーションを実施する。
本発明の一態様によれば、トルクセンサの両端(入力軸側と出力軸側)に2つのエンコーダを配置し、入力軸側と出力軸側との角度情報の差分値を算出することで、機械部品の影響(メカ影響)によるリップル成分を推定できるため、コラム内組み込み状態でトルクセンサのキャリブレーションを実施するに当たって、機械部品の影響等を考慮したキャリブレーションを実施することができる。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成図である。 電動パワーステアリング装置のうちキャリブレーションに用いられる構成を示す図である。 トルクセンサ出力例を示す図である。 本発明の実施形態に係るコントローラの構成の一部を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置を示す全体構成図である。図2は、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置のうち、キャリブレーション(校正)に用いられる構成を示す図である。
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置は、ステアリングホイール1と、ステアリングシャフト2と、トルクセンサ3と、ステアリングギヤ8と、操舵補助機構10と、減速ギヤ11と、電動モータ13と、コントローラ14と、バッテリ15と、イグニッションスイッチ16と、車速センサ17と、操舵角センサ18と、アクチュエータ19と、アクチュエータ制御器20と、エンコーダ21と、軸受22と、カップリング(軸継手)23とを備える。
ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト2に連結されており、運転者から作用される操舵トルク(入力トルク)をステアリングシャフト2に伝達する。このステアリングシャフト2は、入力軸2aと、出力軸2bとを有する。入力軸2aの一端は、ステアリングホイール1に連結されている。入力軸2aの他端は、トルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。出力軸2bの他端は、ユニバーサルジョイント4を介して中間シャフト5の一端に連結されている。中間シャフト5の他端は、ユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7の一端に連結されている。ピニオンシャフト7の他端は、ステアリングギヤ8を介してタイロッド9に連結されている。
したがって、入力軸2aは、ステアリングホイール1から伝達された操舵トルクを、トルクセンサ3を介して出力軸2bに伝達する。出力軸2bは、入力軸2aからトルクセンサ3を介して伝達された操舵トルクを、ユニバーサルジョイント4を介して中間シャフト5に伝達し、更にユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達する。ピニオンシャフト7は、伝達された操舵トルクを、ステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達し、図示しない転舵輪(車輪)を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aとこのピニオン8aに噛合するラック8bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換している。
また、ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助トルクを出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結された減速ギヤ11と、この減速ギヤ11に連結されて操舵系に対して操舵補助トルクを発生する電動モータ13とを備えている。電動モータ13は、ブラシレスモータ等である。図2では、トルクセンサ3と操舵補助機構10(減速ギヤ11及び電動モータ13を含む)が組み合わされた構成部品(ユニット)である「ASSY」(assembly)を図示している。
トルクセンサ3は、ステアリングシャフト2の入力軸2aと出力軸2bとの間に配置され、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出する。例えば、トルクセンサ3は、操舵トルクにより発生した、入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバー(torsion bar)の捩れ角変位を磁気信号で検出し、それを電気信号に変換する。なお、トーションバーは、金属棒を捩る時の反発力を利用したばねの一種である。ここでは、トルクセンサ3は、トーションバーの前後の捩れ量(deg)を検出し、その捩れ量(deg)とトーションバーの既知のばねレート(Nm/deg)より、トルク(Nm)を算出する。トルクセンサ3は、トーションバーの捩れを検出する方式のセンサであれば、特に検出原理(自己インダクタンス式、磁気式、電磁誘導式等)や信号出力方式(デジタル、アナログ等)は問わない。トルクセンサ3は、そのトルク検出値Tをコントローラ14に渡す。
コントローラ14は、そのトルク検出値Tを受け取ることで、トルクに応じたパワーアシスト(操舵支援)を行うことができる。コントローラ14は、車両の電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)やEPSコントロールユニット等である。ここで、コントローラ14は、直流電源としてのバッテリ15(例えば13V)から電源供給されることによって作動する。バッテリ15は、負極が接地され、正極が2つの電力線を介してコントローラ14に接続されている。2つの電力線のうち、一方の電力線はエンジン始動を行うイグニッションスイッチ16を介してコントローラ14に接続され、他方の電力線はイグニッションスイッチ16を介さず直接コントローラ14に接続されている。なお、コントローラ14は、トルク検出値Tの他に、車速センサ17で検出した車速Vsや操舵角センサ18で検出した操舵角θを取得(入力)し、これらに応じた操舵補助トルクを操舵系に付与する操舵補助制御を行う。具体的には、上記操舵補助トルクを電動モータ13で発生するための電流指令値を算出し、算出した電流指令値とモータ電流検出値とにより、電動モータ13に供給する駆動電流をフィードバック制御する。
アクチュエータ19は、ステアリングホイール1に代わってステアリングシャフト2に入力トルクを付与する。例えば、アクチュエータ19は、サーボモータ(Servo motor)等である。アクチュエータ制御器20は、アクチュエータ19を作動させる。アクチュエータ制御器20は、図中ではコントローラ14から独立して配置されているが
、実際にはコントローラ14に接続されていても良いし、コントローラ14自体でも良い。
アクチュエータ19は、トルクセンサ3のキャリブレーション時において、駆動側の軸(駆動軸)である入力軸2aに入力トルクを付与して回転させ、従動側の軸(従動軸)である出力軸2bをフリーの状態で1周以上回転させる。トルクセンサ3は、入力トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を磁気信号で検出し、それを電気信号に変換してトルクセンサ信号(トルク検出信号)として出力する。
トルクセンサ3の出力信号であるトルクセンサ信号には、トルクセンサ3の検出原理等に起因する不要なリップル成分等が含まれていることがある。そのような成分は、実際のトルクセンサ信号には不要な情報であるため、予め除去することが望ましい。不要な信号成分を除去する方法としては、フィルタで除去する方法や、フーリエ変換で特定の信号成分を取り出して元波形をキャンセルする方法等が考えられる。ここでは、リップル成分等を除去する行為をキャリブレーションの1つとして扱う。例えば、トルクセンサ3の出力信号であるトルクセンサ信号に含まれるリップル成分の帯域を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)等で認識してフィルタで除去する。若しくは、フーリエ変換で特性成分を抜き出して、その特性成分のみ除去する。但し、上記は一例に過ぎず、実際には上記の例に限定されない。
上記のようなキャリブレーションを実施する際、トルクセンサ3単体でリップル成分を除去すると、その後に、トルクセンサ3をステアリングコラム内に組み込んだ状態(コラム内組み込み状態)でのトルクセンサ信号のオフセット(offset)調整を実施する必要があるため、結果としてキャリブレーション工程を二回に分けて実施することになる。生産工程の効率化を考慮すると、最初からコラム内組み込み状態でキャリブレーションを実施し、一回のキャリブレーション工程でリップル除去とオフセット調整とを一度に実施することが望ましい。オフセット調整方法については詳述しないが、トリマ調整や補正値をトルクセンサ3内に持たせる等の方法によりオフセット調整することができる。
しかし、コラム内組み込み状態でキャリブレーションする際、ステアリングコラム内に組み込んだ影響により、トルクセンサ信号の中に、フリクション等の機械部品(メカ)に起因するリップル成分が重畳・付加されてしまうことがある。すなわち、図3に示すように、トルクセンサ3から出力されるトルクセンサ信号が、機械部品の影響(メカ影響)によるリップル成分(メカリップル)と、トルクセンサ3の影響によるリップル成分(センサリップル)との両方を含んだトルクセンサ信号となることがある。
トルクセンサ3のキャリブレーションの目的は、トルクセンサ3自体が持っている不要な成分を除去することであるが、機械部品の影響によるリップル成分(メカリップル)と、トルクセンサ3の影響によるリップル成分(センサリップル)とが同帯域であると区別がつかず、上記のようなキャリブレーションでは一緒にキャンセルし、排除してしまうことになる。機械部品の影響によるリップル成分(メカリップル)も排除してしまうと、機械部品を通じて入力されるステアリングのフィーリングや路面からの情報が運転者に伝わらない可能性があり、望ましくない。そのため、機械部品の影響によるリップル成分(メカリップル)を含まず、トルクセンサ3の影響によるリップル成分(センサリップル)のみを含むトルクセンサ信号を用いてトルクセンサ3のキャリブレーションを実施することが必要である。
以下に、トルクセンサ3の影響によるリップル成分(センサリップル)のみを含んだトルクセンサ信号の演算方法について説明する。
まず、当該演算方法を実施するための前提となる特徴的な構成について説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置では、駆動側と従動側との両側にエンコーダ21を配置している。エンコーダ21は、ステアリングシャフト2の角度情報を取得してコントローラ14に渡す。エンコーダ21は、ロータリーエンコーダ等の回転角センサである。なお、エンコーダ21の両側には、軸受22が配置されている。軸受22は、ステアリングコラム内でステアリングシャフト2を支持する。エンコーダ21と軸受22とは、カップリング23を介してトルクセンサ3に連結されている。
ここでは、エンコーダ21は、第1エンコーダ21aと、第2エンコーダ21bとを有する。軸受22は、第1軸受22aと、第2軸受22bとを有する。カップリング23は、第1カップリング23aと、第2カップリング23bとを有する。第1エンコーダ21aと第1軸受22aと第1カップリング23aとは、駆動側の軸(駆動軸)である入力軸2aに配置されている。また、第2エンコーダ21bと第2軸受22bと第2カップリング23bとは、従動側の軸(従動軸)である出力軸2bに配置されている。
したがって、第1エンコーダ21aは、駆動側の軸(駆動軸)である入力軸2aの角度情報を取得してコントローラ14に渡す。第2エンコーダ21bは、従動側の軸(従動軸)である出力軸2bの角度情報を取得してコントローラ14に渡す。第1エンコーダ21a及び第2エンコーダ21bとして使用するエンコーダについては、可能な限り高精度な光学式が望ましい。光学式であれば、透過型/反射型は問わない。但し、実際には、第1エンコーダ21a及び第2エンコーダ21bは、少なくともトルクセンサ3と同等以上の角度精度を有していれば、特に形式は問わない(光学式でなくても良い)。
次に、コントローラ14側の処理について説明する。
図4は、本実施形態に係るコントローラ14の構成の一部を示す図である。
本実施形態では、コントローラ14は、キャリブレーション処理部30を備える。これにより、コントローラ14は、キャリブレーション装置(校正装置)として動作することが可能になる。キャリブレーション処理部30は、トルクセンサ信号取得部31と、第1角度情報取得部32と、第2角度情報取得部33と、角度情報差分算出部34と、メカ影響排除部35と、トルクセンサ校正部36とを備える。
トルクセンサ3は、コラム内組み込み状態でキャリブレーションする場合、機械部品の影響によるリップル成分(メカリップル)と、トルクセンサ3の影響によるリップル成分(センサリップル)との両方を含んだ捩れ角A(deg)を検出し、捩れ角Aのトルクセンサ信号をトルクセンサ信号取得部31に出力する。トルクセンサ信号取得部31は、トルクセンサ3から捩れ角Aのトルクセンサ信号を取得し、メカ影響排除部35に出力する。
捩れ角A(deg)=トルクセンサ信号=メカリップル及びセンサリップルを含んだ角度情報
第1エンコーダ21aは、駆動側の軸(駆動軸)である入力軸2aの角度情報を第1角度情報取得部32に出力する。第1角度情報取得部32は、第1エンコーダ21aからの角度情報(入力軸2aの角度情報)を取得し、角度情報差分算出部34に出力する。また、第2エンコーダ21bは、従動側の軸(従動軸)である出力軸2bの角度情報を第2角度情報取得部33に出力する。第2角度情報取得部33は、第2エンコーダ21bからの角度情報(出力軸2bの角度情報)を取得し、角度情報差分算出部34に出力する。角度情報差分算出部34は、第1エンコーダ21aからの角度情報(入力軸2aの角度情報)と第2エンコーダ21bからの角度情報(出力軸2bの角度情報)との差分値を算出することで、機械部品の影響によるリップル成分(メカリップル)に相当する捩れ角B(de
g)を検出し、メカ影響排除部35に出力する。なお、差分値は絶対値でも良い。
捩れ角B(deg)=第1エンコーダ21aからの角度情報(入力軸2aの角度情報)と第2エンコーダ21bからの角度情報(出力軸2bの角度情報)との差分値
メカ影響排除部35は、機械部品の影響によるリップル成分(メカリップル)に相当する捩れ角B(deg)を、捩れ角A(deg)のトルクセンサ信号から除去することで、トルクセンサ3の影響によるリップル成分(センサリップル)のみを含んだ捩れ角C(deg)のトルクセンサ信号を取り出す。
捩れ角C(deg)=捩れ角A(deg)−捩れ角B(deg)
トルクセンサ校正部36は、捩れ角C(deg)のトルクセンサ信号をキャリブレーションの対象とすることで、可能な限り機械部品の影響等を排除した状態でトルクセンサ3のキャリブレーションを実施することができる。これにより、トルクセンサ校正部36は、トルクセンサ3を校正する。
(変形例)
本実施形態では、電動パワーステアリング装置(EPS)として、コラムアシスト型を想定しているが、実際には、本実施形態の構成が適用可能であれば、ラックアシスト型や、ピニオンアシスト型等でも良い。
なお、本実施形態では、2つのエンコーダを用いているが、実際には、2つのエンコーダに限定されるものではなく、3つ以上のエンコーダを用いても良い。すなわち、第1エンコーダ21aは複数でも良い。同様に、第2エンコーダ21bは複数でも良い。
また、第1エンコーダ21aとして、操舵角センサ18を用いても良い。技術的には、第2エンコーダ21bの位置にも操舵角センサ18を配置することが可能である。例えば、ステアリングシャフトの入力軸と出力軸とにそれぞれ操舵角センサ18を配置し、これらの操舵角センサ18を第1エンコーダ21a及び第2エンコーダ21bとして用いても良い。
また、コントローラ14は、アクチュエータ19から直接、又はアクチュエータ制御器20から、アクチュエータ19の入力トルクや回転数に関する情報を取得しても良い。若しくは、コントローラ14は、直接、又はアクチュエータ制御器20を介して、アクチュエータ19の入力トルクや回転数を制御しても良い。
また、実際には、コントローラ14ではなく、チェッカ/テスタ等の試験機のような外部のキャリブレーション装置(校正装置)を用いてトルクセンサ3のキャリブレーションを実施するようにしても良い。この場合、上記の説明において、コントローラ14を試験機と読み替える。この試験機は、図4に示すキャリブレーション処理部30を備える。
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態に係る電動パワーステアリング装置は、トルクセンサと、第1のエンコーダと、第2のエンコーダと、キャリブレーション装置とを備える。トルクセンサは、入力トルクを車輪に伝達するステアリングシャフトの入力軸と出力軸との間に配置され、入力トルクに応じたトルクセンサ信号を出力する。第1のエンコーダは、ステアリングシャフトの入力軸に配置され、入力トルクに応じた入力軸の角度情報を出力する。第2のエンコーダは、ステアリングシャフトの出力軸に配置され、入力トルクに応じた出力軸の角度情報を出力する。キャリブレーション装置は、入力軸の角度情報と出力軸の角度情報との差分値を算出し、トルクセンサ信号から差分値を除去し、差分値を除去したトルクセンサ信号を用いてトルクセンサのキャリブレーションを実施する。実際には、ステアリングシャフトに入力トルクを付与するアクチュエータを備えていても良い。
これにより、トルクセンサ信号に含まれる機械部品(メカ影響)の影響によるリップル成分(メカリップル)を推定して排除することができ、機械部品の影響等を排除した状態のトルクセンサ信号を用いてトルクセンサのキャリブレーションを実施することができる。また、一回のキャリブレーション工程でリップル除去とオフセット調整とを一度に実施することができる。
(2)本実施形態に係る電動パワーステアリング装置では、第1のエンコーダ及び第2のエンコーダは、少なくともトルクセンサと同等以上の角度精度を有する。2つのエンコーダの角度精度がトルクセンサの角度精度よりも劣っていると、トルクセンサ信号に含まれる機械部品の影響によるリップル成分を正確に算出できないため、機械部品の影響によるリップル成分を正確に排除できず、その後のキャリブレーションにも影響する。2つのエンコーダの角度精度を、少なくともトルクセンサの角度精度と同等以上にすることにより、2つのエンコーダの差分値が、実際のトルクセンサ信号に含まれる機械部品の影響によるリップル成分と等しくなる/非常に近くなる。
なお、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置では、2つのエンコーダは、光学式であると望ましい。光学式であれば、信号精度が物理的な寸法が決まっているスリットや反射部分で決まるため、磁気/電気誘導式よりも精度を高められる。また、磁気/電気誘導式と比較すると、高速対応が可能である。
(3)本実施形態に係るキャリブレーション方法では、入力トルクを車輪に伝達するステアリングシャフトの入力軸と出力軸との間に配置されたトルクセンサの出力であるトルクセンサ信号を取得する。また、ステアリングシャフトの入力軸の角度情報と出力軸の角度情報とをそれぞれ取得し、入力軸の角度情報と出力軸の角度情報との差分値を算出する。そして、トルクセンサ信号から差分値を除去し、差分値を除去したトルクセンサ信号を用いてトルクセンサのキャリブレーションを実施する。なお、本実施形態に係るキャリブレーション装置は、コントローラでも良いし、チェッカ/テスタ等の試験機でも良い。
これにより、トルクセンサ信号に含まれる機械部品(メカ影響)の影響によるリップル成分(メカリップル)を排除した状態のトルクセンサ信号を用いてトルクセンサのキャリブレーションを実施することができる。また、一回のキャリブレーション工程でリップル除去とオフセット調整とを実施することができる。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、3…トルクセンサ、8…ステアリングギヤ、10…操舵補助機構、11…減速ギヤ、13…電動モータ、14…コントローラ、15…バッテリ、16…イグニッションスイッチ、17…車速センサ、18…操舵角センサ、19…アクチュエータ、20…アクチュエータ制御器、21…エンコーダ、21a…第1エンコーダ、21b…第2エンコーダ、22…軸受、22a…第1軸受、22b…第2軸受、23…カップリング、23a…第1カップリング、23b…第2カップリング、30…キャリブレーション処理部、31…トルクセンサ信号取得部、32…第1角度情報取得部、33…第2角度情報取得部、34…角度情報差分算出部、35…メカ影響排除部、36…トルクセンサ校正部

Claims (4)

  1. 入力トルクを車輪に伝達するステアリングシャフトの入力軸と出力軸との間に配置され、入力トルクに応じたトルクセンサ信号を出力するトルクセンサと、
    前記ステアリングシャフトの入力軸に配置され、入力トルクに応じた入力軸の角度情報を出力する第1のエンコーダと、
    前記ステアリングシャフトの出力軸に配置され、入力トルクに応じた出力軸の角度情報を出力する第2のエンコーダと、
    前記入力軸の角度情報と前記出力軸の角度情報との差分値を算出し、前記トルクセンサ信号から前記差分値を除去し、前記差分値を除去した前記トルクセンサ信号を用いて前記トルクセンサのキャリブレーションを実施するキャリブレーション装置と、を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記第1のエンコーダ及び第2のエンコーダは、少なくとも前記トルクセンサと同等以上の角度精度を有することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 入力トルクを車輪に伝達するステアリングシャフトの入力軸と出力軸との間に配置されたトルクセンサの出力であるトルクセンサ信号を取得するトルクセンサ信号取得部と、
    前記ステアリングシャフトの入力軸の角度情報を取得する第1角度情報取得部と、
    前記ステアリングシャフトの出力軸の角度情報を取得する第2角度情報取得部と、
    前記入力軸の角度情報と前記出力軸の角度情報との差分値を算出する角度情報差分算出部と、
    前記トルクセンサ信号から前記差分値を除去するメカ影響排除部と、
    前記差分値を除去した前記トルクセンサ信号を用いて前記トルクセンサのキャリブレーションを実施するトルクセンサ校正部と、を備えることを特徴とするキャリブレーション装置。
  4. 入力トルクを車輪に伝達するステアリングシャフトの入力軸と出力軸との間に配置されたトルクセンサの出力であるトルクセンサ信号を取得し、
    前記ステアリングシャフトの入力軸の角度情報を取得し、
    前記ステアリングシャフトの出力軸の角度情報を取得し、
    前記入力軸の角度情報と前記出力軸の角度情報との差分値を算出し、
    前記トルクセンサ信号から前記差分値を除去し、
    前記差分値を除去した前記トルクセンサ信号を用いて前記トルクセンサのキャリブレーションを実施することを特徴とするキャリブレーション方法。
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