以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る治具設計支援システムの概略構成を示す説明図である。
本実施形態の治具設計支援システムは、図1に示すように、データベースサーバ10、データサーバ30、及び、複数のクライアント端末50,50,…をLAN接続したイントラネットによって構成されている。一部又は全部のクライアント端末50は、インターネット(図示せず)を介して、データベースサーバ10及びデータサーバ30に接続してもよい。各クライアント端末50は、CPU、RAM、ROM(いずれも図示せず)をそれぞれ内蔵し、かつ、ディスプレイや入力手段としてのキーボード及びマウス(いずれも図示せず)をそれぞれ有している。
前記データベースサーバ10は、データベースを保有し、クライアント端末50から検索の要求を受けたときに処理を行い、要求内容に対応する検索結果をデータサーバ30に通知するサーバである。データベースサーバ10が保有、記憶するデータベースは、データサーバ30に記憶されている標準部品テンプレートデータ、製品(工程)モデルデータ、及び、CADデータに関する各データベースを含んでいる。
標準部品テンプレートデータのデータベースは、ワーク(製品)の加工や検査に用いる治具の標準的な部品である標準部品のテンプレートに関するデータの、データサーバ30における蓄積内容を管理するためのデータベースである。このデータベースでは、データサーバ30が蓄積している標準部品のテンプレートデータのファイル名が、その標準部品が使用される工程(加工又は検査)の名称と関連付けられている。
上述したデータベースサーバ10の標準部品のテンプレートに関するデータベースに蓄積されたデータの内容は、新規の標準部品のテンプレートに関するデータや既存の標準部品のテンプレートの修正に関するデータが外部から入力される毎に、追加、更新される。
製品(工程)モデルデータのデータベースは、ワーク(製品)のモデル(製品モデル)や工程(加工又は検査)、その工程に使用する装置(加工装置又は検査装置。例えば、後述する図2の砥石や図28(b)の3次元測定プローブ)、及び、治具の加工(形成)に使用するツール(例えば、後述する図35(b),(c)のミーリングチャック700)に関するデータの、データサーバ30における蓄積内容を管理するためのデータベースである。このデータベースでは、データサーバ30が蓄積している製品モデルのデータのファイル名と、その製品モデルについて行う工程(加工又は検査)や工程で用いる装置(加工又は検査)のデータ(工程設計パートファイル)のファイル名とが、関連付けられている。
上述したデータベースサーバ10の製品モデルに関するデータベースに蓄積されたデータの内容は、新規の製品モデルに関するデータや既存の製品モデルの修正に関するデータが例えばその製品モデルを設計したCADシステム等から入力される毎に、追加、更新される。
したがって、本実施形態では、データベースサーバ10の標準部品テンプレートデータのデータベースと、このデータベースで管理するデータサーバ30の蓄積内容とが、請求項中のテンプレートデータベースに相当している。また、本実施形態では、製品(工程)モデルデータのデータベースと、このデータベースで管理するデータサーバ30の蓄積内容とが、請求項中のワークデータベースや装置データベース、ツールデータベースに相当している。
CADデータベースは、クライアント端末50で設計した治具の設計内容を示す治工具設計用パートファイルや、設計した治具を構成する標準部品やベースプレートの各パートファイルに関するCADデータの、データサーバ30における蓄積内容を管理するデータベースである。
このデータベースでは、クライアント端末50で設計した治具に関する治工具設計用パートファイルのCADデータのファイル名が、その治具を構成する標準部品やベースプレートの各パートファイルのCADデータのファイル名と関連付けられている。この関連付けは、各治具に対してユニークに付与されたID(加工治具番号又は検査治具番号)をそれぞれのファイル名に含めることで実現されている。
なお、治工具設計用パートファイル、及び、標準部品やベースプレートの各パートファイルのファイル名は、リビジョンの履歴によって変更される部分を有している。
上述したデータベースサーバ10のCADデータに関するデータベースに蓄積されたパートファイル(治工具設計用パートファイル、標準部品パートファイル、ベースプレートパートファイル)の内容は、クライアント端末50で治具の設計が行われてその結果に相当するパートファイルが入力される毎に、追加更新される。
データサーバ30は、データベースサーバ10から通知された検索結果に対応するデータ(ファイル)を、検索要求元のクライアント端末50で実行されているアプリケーションプログラムに返すサーバである。
そして、データサーバ30には、データベースサーバ10の標準部品のテンプレートに関するデータベースにおいて管理されているファイル名のテンプレートデータが蓄積、記憶されている。この標準部品のテンプレートデータの内容は、標準部品の新規のテンプレートに関するデータや既存のテンプレートの修正に関するデータが外部から入力される毎に、データベースサーバ10の対応するデータベースの内容と連動して追加又は更新される。
また、データサーバ30には、データベースサーバ10の製品モデルや工程(加工又は検査)に関するデータベースにおいて管理されているファイル名のデータが蓄積、記憶されている。この製品モデルや工程(加工又は検査)に関するデータの内容は、新規の製品モデルやその製品モデルについて行う工程(加工又は検査)に関するデータ、あるいは、既存の製品モデルやその製品モデルについて行う工程(加工又は検査)の修正に関するデータが、例えばその製品モデルを設計したCADシステム等から入力される毎に、データベースサーバ10の対応するデータベースの内容と連動して追加又は更新される。
さらに、データサーバ30には、データベースサーバ10の治工具設計用パートファイルに関するCADデータのデータベースにおいて管理されているファイル名のデータや、標準部品やベースプレートの各パートファイルに関するCADデータのデータベースにおいて管理されているファイル名のデータが、それぞれ蓄積、記憶されている。
これらのパートファイルのCADデータに関するデータの内容は、新規のパートファイルに関するCADデータや既存のパートファイルに関するCADデータが例えばクライアント端末50等から入力される毎に、データベースサーバ10の対応するデータベースの内容と連動して追加又は更新される。
本実施形態の治具設計支援システムでは、各クライアント端末50のROMに格納された治具設計支援プログラムにしたがいCPUが処理を実行することで、データベースサーバ10及びデータサーバ30と連携しながら治具の設計を行うことができる。
図2乃至図8は図1の治具設計支援システムを用いて治具の設計を行う際の手順を示す説明図である。
本実施形態の治具設計支援システムを用いて治具の設計を行う際には、図1のクライアント端末50のディスプレイに表示される入力画面においてキーボードやマウスを用いて必要事項を入力する。
まず、図2に示すように、クライアント端末50のディスプレイ上で不図示の治具自動設計モデリングツールのアイコンをクリックし、治具設計支援システムの設計プログラムを起動させる。そして、ディスプレイに最初に表示される選択画面において、治工具設計用パートファイルを新規に開く「新規パート」と、中断した治具の設計を再開する「作業再開パート」とのどちらかを、キーボード又はマウスの操作によって選択する。
「作業再開パート」を選択する場合は、設計作業を再開する(設計完了後の加工治具をリビジョンする際を含む)加工治具のID(加工治具番号)とリビジョンを、ディスプレイの選択画面上で入力する。すると、入力したID(加工治具番号)及びリビジョンに該当する治工具設計用パートファイル、標準部品パートファイル、ベースプレートパートファイルが、データベースサーバ10による検索を経て、データサーバ30からクライアント端末50に入力される。
そして、入力されたパートファイルが、ワークの加工に必要な全ての治具の配置が既に終わっている内容である場合は(加工工程配置完了時)、図2の右側に示す選択画面がディスプレイに表示される。この選択画面では、設計を再開した治具をさらに編集して加工治具の設計を継続するか(加工治具を編集)、それとも、設計を再開した治具を検査治具に流用するか(検査治具に流用)を、ラジオボタンのクリックにより選択することができる。
「検査治具に流用」のラジオボタンをクリックした場合は、流用先の検査治具のID(検査治具番号)とリビジョン番号とを入力ボックス中に入力し、「OK」ボタンをクリックする。例えば、検査治具番号として「JD2345678」、リビジョンとして「0_1」を入力した場合は、それらを含むファイル名が、治工具設計用パートファイル、標準部品パートファイル、ベースプレートパートファイルの各ファイル名として定義される。
そして、検査の際には不要なエッジロケータをベースプレートから削除した内容で、治工具設計用パートファイル、標準部品パートファイル、及び、ベースプレートパートファイルが、定義されたファイル名でデータサーバ30に新規に蓄積、記憶される。また、同時に、これらのパートファイルのファイル名が、データベースサーバ10のCADデータに関するデータベースにも、新規に蓄積、記憶される。
その後、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図2の左下に示す工程設計パートファイル選択画面に移行する。これにより、先の選択画面で入力ボックス中に入力したファイル名の治工具設計用パートファイル、標準部品パートファイル、及び、ベースプレートパートファイルの編集状態(検査治具の設計状態)となる。
一方、「加工治具を編集」のラジオボタンをクリックした場合は、流用先の検査治具のID(検査治具番号)とリビジョン番号とを入力ボックス中に入力しないまま、「OK」ボタンをクリックする。すると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図2の左下に示す工程設計パートファイル選択画面に移行する。
これにより、治工具設計用パートファイルを開くために最初の選択画面で「作業再開パート」を選択した際に入力したIDを含むファイル名の治工具設計用パートファイル、標準部品パートファイル、及び、ベースプレートパートファイルの編集状態(加工治具の設計状態)となる。
これに対し、最初の選択画面において「新規パート」を選択すると、加工治具のID(加工治具番号)とリビジョン番号とが自動採番される。そして、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図2の左下に示す工程設計パートファイル選択画面に移行する。これにより、自動採番されたIDとリビジョン番号とを含むファイル名の、治工具設計用パートファイル、標準部品パートファイル、及び、ベースプレートパートファイルの編集状態(加工治具の設計状態)となる。
工程設計パートファイル選択画面では、ワーク(製品)について行う工程(加工又は検査、請求項中の作業に相当)の名称の一覧を表示し、キーボードやマウスの操作により該当する工程の名称をクリックすることで、設計する治具(加工又は検査)を用いる工程を選択することができる。選択した工程で行う作業の概要は、ディスプレイの画面上に3D画像として表示される。
この状態で画面上の「OK」ボタンをクリックすると、選択した工程が確定し、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図3の左上に示す製品ソリッド(モデル)の確認画面に移行する。ここでは、加工治具の設計状態において「DT」(ダブテール加工工程)を選択し確定させたものとする。
製品ソリッド確認画面では、ディスプレイの画面上の3D画像のうち製品モデルの部分がハイライト表示される。ハイライト表示された製品モデルの3D画像は、データベースサーバ10の製品(工程)モデルデータのデータベース上での関連付けにしたがって自動選択された製品モデルを示している。
具体的には、先の工程設計パートファイル選択画面で選択した工程のファイル名と関連付けられたファイル名のデータによる製品モデルが、3D画像上でハイライト表示される。ここでは、ダブテール加工工程における加工対象の翼モデルの3D画像がハイライト表示される。
製品ソリッド確認画面上で「OK」のボタンをクリックすると、加工対象の製品(ワーク)が、3D画面上の製品ソリッドで確定する。「キャンセル」ボタンをクリックすると、不図示の手動選択画面に切り換わり、加工対象の製品(ワーク)を手動で選択し直すことができる。加工対象の製品(ワーク)の選択を確定させると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図3の左下に示す砥石ソリッド確認画面に移行する。
装置ソリッド確認画面では、ディスプレイの画面上の3D画像のうち、製品(ワーク)に直接接触する加工装置のパーツの部分がハイライト表示される。ここでは、翼製品のダブテールの部分を研削する砥石モデルの3D画像をハイライトさせた砥石ソリッド確認画面が表示される。
砥石ソリッド確認画面上で「OK」のボタンをクリックすると、製品(ワーク)の加工(研削)に用いる砥石が、3D画面上でハイライト表示された砥石で確定する。「キャンセル」ボタンをクリックすると、不図示の手動選択画面に切り換わり、砥石を手動で選択し直すことができる。選択確定させた砥石の断面形状をソリッド確認画面の3D画面から特定できない場合は、砥石ソリッド確認画面の下の砥石取扱選択画面に移行する。
砥石取扱選択画面は、上述した砥石ソリッド確認画面のようには砥石面の断面形状を特定できない場合に表示される。砥石面の断面形状を特定できない場合は、それに基づく砥石(の動作範囲)と製品(ワーク)との干渉確認を行えないからである。
したがって、砥石取扱選択画面では、砥石面を特定できる砥石ソリッドの再選択(「砥石ソリッド再選択」)か、砥石とワーク(製品)との干渉チェックを行わない(「砥石との干渉チェックなし」)かを、それぞれのラジオボタンのクリックにより選択させる。この選択は、砥石取扱選択画面上の「OK」ボタンのクリックにより確定し、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図3の右側に示すメインダイアログ画面に移行する。
このように、本実施形態の治具設計支援システムでは、工程設計パートファイル選択画面において工程を指定すると、その工程の対象となる製品(請求項中のワークに相当)が特定される。しかし、先に製品を指定するとその製品に対応する工程が自動的に特定されるようにしてもよく、工程の選択肢が複数ある場合は、その選択肢から一つをユーザが指定できるようにしてもよい。
なお、砥石取扱選択画面で確定させた干渉チェックの有無は、後述する標準部品配置画面(図5参照)の入力操作による干渉チェックの可否に影響する。
メインダイアログ画面には、「加工基準座標系選択」、「ベースプレート設定」、「基準番号選択」、「標準部品配置」、及び、「取っ手・エッジロケータ設定」の各ボタンが存在する。これらのボタンを順次クリックし、それぞれの必要な選択、設定を行っていく。
まず、「加工基準座標系選択」のボタンをクリックすると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図4の左上に示す加工基準座標系選択画面に移行する。この加工基準座標系選択画面では、ワーク(製品)の加工や検査(ここでは研削)に用いる工作機械における制御軸の方向を示す加工基準座標系(請求項中の共通の座標系に相当)を定義する。
前回と異なる加工基準座標系を定義する場合は、入力ボックスに所望の加工基準座標系のファイル名を上書き入力する。入力後、「OK」ボタンをクリックすることで加工基準座標系の選択が確定し、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図3の右側に示すメインダイアログ画面に戻る。
次に、メインダイアログ画面の「ベースプレート設定」のボタンをクリックすると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図4の左下に示すベースプレート設定画面に移行する。
このベースプレート設定画面では、設計する治具のベースプレート中のローカル座標系について、加工基準座標系に対するX、Y、Zの各軸方向のオフセット量をそれぞれ設定する。そして、ベースプレートのサイズ(X軸方向幅、Y軸方向長さ、Z軸方向厚さ)を、ベースプレートのローカル座標系の原点からの位置によって設定する。入力後、「OK」ボタンをクリックすることで設定が確定し、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図3の右側に示すメインダイアログ画面に戻る。
続いて、メインダイアログ画面の「基準番号選択」のボタンをクリックすると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図4の右側に示す基準番号選択画面に移行する。
この基準番号選択画面では、ワーク(製品)の治具によって支持する位置(支持位置)を示す基準番号(図中のX1〜X3、Y1〜Y2、Z1)を選択する。この支持位置は、製品ソリッド確認画面(図3参照)で確定させた製品(ワーク)の製品モデルに予め付与されており、その製品モデルのファイル名を用いたデータベースサーバ10による検索を経て、データサーバ30からクライアント端末50に入力される。
このようにして自動的に選択された支持位置については、基準番号選択画面の対応する基準番号のステータスが「選択済」と表示される。確認後、「OK」ボタンをクリックすることで設定が確定し、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図3の右側に示すメインダイアログ画面に戻る。
次に、メインダイアログ画面の「標準部品配置」のボタンをクリックすると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図5の左上に示す標準部品配置画面に移行する。
この標準部品配置画面では、基準番号選択画面(図4参照)で選択した基準番号の箇所を支持する治具の標準部品がベースプレート上に配置されている(ステータス=作成済)か配置されていない(ステータス=未作成)かが表示される。ステータスが未作成の場合は、基準番号の横のチェックボックスをチェックした上で画面上の「配置」ボタンをクリックする。
ここで、標準部品とは、基準番号に対応するワーク(製品)の支持位置を支持するのに適した形状と大きさを備えた部品である。この標準部品の形状及び大きさは、データベースサーバ10の標準部品のテンプレートに関するデータベースにおいて管理されているファイル名でデータサーバ30に蓄積、記憶されたテンプレートデータによって定義されている。
「配置」ボタンをクリックすると、対応する支持位置を支持するようにテンプレートの高さや幅等のパラメータを変更した標準部品(ロケータ、ブロック、ブッシュ、フランジ、マスターブロック、スライド面、台座)が、ベースプレート設定画面(図4参照)において設定したサイズのベースプレートの適切な箇所に自動的に配置される。そして、各標準部品について、クライアント端末50のCPUにより干渉チェック及び干渉回避の各処理が行われる。各処理の詳細は後述する。
なお、各標準部品は、ベースプレートのローカル座標系における座標値を特定することができる。また、ベースプレートのローカル座標系については、加工基準座標系に対するX、Y、Zの各軸方向のオフセット量が既に定義されている。したがって、ベースプレートのローカル座標系から加工基準座標系への座標変換により、各標準部品の加工基準座標系の座標値を特定することができる。この座標値を用いることで、ワーク(製品)の加工や検査(ここでは研削)に用いる装置との干渉チェック及び干渉回避の各処理を行うこともできる。
干渉回避の処理によって干渉を自動的に回避できない場合は、「編集」ボタンをクリックする。すると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図5の右上に示す標準部品編集画面に移行する。
標準部品編集画面には、「反転」と「回転」の2つのボタンがある。この2つのボタンは、配置を編集する対象の標準部品の形態によってアクティブ(操作可能)となるものとイナクティブ(操作不能)となるものとがある。ここでは、配置を編集する標準部品がブロックであり、「回転」ボタンのみがアクティブである場合を示している。
そして、「回転」ボタンをクリックすることで、標準部品編集画面の右側の画面に示すように、ブロックが90゜ずつ回転する。そこで、ブロックが周りとの干渉を回避できる姿勢となるように回転させる。干渉回避の状態となったならば、「閉じる」のボタンをクリックする。これにより、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図5の左上に示す標準部品配置画面に戻る。
以上の手順で各支持位置(基準番号)の標準部品の配置を済ませて、標準部品配置画面上のステータスを作成済にしたならば、画面上の「閉じる」ボタンをクリックする。これにより、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図5の下側に示すメインダイアログ画面に戻る。
この段階では、「加工基準座標系選択」、「ベースプレート設定」、「基準番号選択」、及び、「標準部品配置」の各ボタンの横にあるチェックボックスに、それらの工程がすんだことを示すチェックマークが表示される。そこで次に、画面上の「取っ手・エッジロケータ設定」のボタンをクリックする。すると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図6の左側に示す取っ手設定画面に移行する。
取っ手設定画面には、ベースプレートに取り付ける取っ手の選択肢となる部品の部品番号の一覧が表示される。この一覧中からベースプレートに取り付ける取っ手の部品番号を選択し、画面上の「取っ手配置」のボタンをクリックする。すると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図6の右上に示すエッジ選択画面に移行する。
このエッジ選択画面では、取っ手を取り付けるベースプレートの配置基準となるエッジを、ベースプレートの12のエッジから2つ選択する。2つのエッジを選択することで、ベースプレートの取っ手を取り付ける面と、その面における取っ手の取付位置の基準とが定義されることになる。2つのエッジの選択は、ベースプレートの各エッジに付与されたエッジ番号を画面上の入力欄に入力することで行う。
ここで「キャンセル」ボタンをクリックすると選択がキャンセルされ、「OK」ボタンをクリックすると2つのエッジの選択が確定する。選択を確定させると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図6の右下に示すアセンブリ位置補正画面に移行する。なお、「戻る」ボタンをクリックすると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図6の左側に示す取っ手設定画面に戻る。
アセンブリ位置補正画面では、取っ手設定画面で選択したベースプレートの2つのエッジに対する取っ手の位置補正を行う。デフォルトでは、選択した2つのエッジからそれぞれ初期値分だけ移動した箇所に取っ手が配置される。したがって、入力ボックスに表示されている各エッジからのデフォルトの距離を上書きして変更し、画面上の「移動」ボタンをクリックすることで、取っ手の位置を補正することができる。また、画面上の「15゜回転」ボタンをクリックすることで、取っ手の長手方向の向きを一方のエッジに沿った方向から他方のエッジに沿った方向に補正することができる。
補正する前や補正した後の取っ手の位置、方向は、クライアント端末50のディスプレイに表示される3D画面上で確認することができる。取っ手の位置や方向の補正後、「OK」ボタンをクリックすると、補正内容が確定され、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図6の左側に示す取っ手設定画面に戻る。「キャンセル」ボタンをクリックすると補正内容がキャンセルされ、「戻る」ボタンをクリックすると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図6の右上に示すエッジ選択画面に戻る。
以上の手順を終えて、図6の左側に示す取っ手設定画面において「閉じる」のボタンをクリックすると、図7の左側に示すように、取っ手設定画面の下側にエッジロケータ設定のエリアが追加表示される。ベースプレートにエッジロケータを配置する場合(治具を加工治具として用いる場合)は、画面上で「エッジロケータ配置」のボタンをクリックする。すると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図7の右上に示すフェース選択画面及びエッジ選択画面に移行する。
フェース選択画面では、エッジロケータを取り付けるベースプレートのフェース(面)を選択する。フェースの選択は、ベースプレートの各フェースにそれぞれ付与されたフェース番号を画面上の入力欄に入力することで行う。
また、エッジ選択画面では、エッジロケータの配置基準となるエッジを、ベースプレートのエッジロケータを取り付けるフェースを囲む4つのエッジの中から選択する。エッジの選択は、ベースプレートの各エッジにそれぞれ付与されたエッジ番号を画面上の入力欄に入力することで行う。
なお、フェース選択画面やエッジ選択画面で「キャンセル」ボタンをクリックすると選択がキャンセルされ、「OK」ボタンをクリックすると選択が確定する。一方の選択画面で選択を確定させると、クライアント端末50のディスプレイの画面が他方の選択画面に移行し、他方の選択画面で選択を確定させると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図7の右下に示すアセンブリ位置補正画面に移行する。また、「戻る」ボタンをクリックすると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、直前に表示されていた画面に戻る。
アセンブリ位置補正画面では、フェース選択画面で選択したベースプレートのフェースにおけるエッジロケータの取付位置補正を行う。デフォルトでは、フェース選択画面で選択したフェースのエッジ選択画面で選択したエッジから初期値分だけ移動した箇所に、エッジロケータが配置される。したがって、入力ボックスに表示されているエッジからのデフォルトの距離を上書きして変更し、画面上の「移動」ボタンをクリックすることで、エッジロケータの取付位置を補正することができる。
補正する前や補正した後のエッジロケータの取付位置は、クライアント端末50のディスプレイに表示される3D画面上で確認することができる。エッジロケータの取付位置の補正後、「OK」ボタンをクリックすると、補正内容が確定され、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図7の左側に示すエッジロケータ設定画面に戻る。「キャンセル」ボタンをクリックすると補正内容がキャンセルされ、「戻る」ボタンをクリックすると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図7の右上に示すフェース選択画面又はエッジ選択画面に戻る。
なお、図7の右上に示すフェース選択画面とエッジ選択画面とを同時に表示させて、選択入力を同時に受け付けるようにしてもよい。
以上の手順を終えて、図7の左側に示す取っ手設定画面において「閉じる」のボタンをクリックすると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図8の左上に示すメインダイアログ画面に戻る。そこで、以上の手順で選択、設定した内容で治具の設計を終了する場合は、画面上の「OK」のボタンをクリックする。すると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図8の左下に示すパートファイル保存画面に移行する。
パートファイル保存画面では、「上書き」と「リビジョンUP」の2つの保存方法が提供される。プログラムの起動の際に「新規パート」を選択した場合は、リビジョンには該当しないので、ラジオボタンのクリックにより「上書き」を選択することになる。プログラムの起動の際に「作業再開パート」を選択した場合、図2の右側に示す選択画面で「加工治具を編集」を選択していれば、中途段階からの継続編集なら「上書き」を、リビジョン目的の編集なら「リビジョンUP」を、対応するラジオボタンのクリックにより選択することになる。「作業再開パート」を選択し、図2の右側に示す選択画面で「検査治具に流用」を選択していれば、リビジョンには該当しないので、ラジオボタンのクリックにより「上書き」を選択することになる。
保存方法を変更する場合は画面上の「キャンセル」のボタンをクリックし、確定させる場合は「OK」ボタンをクリックする。保存方法の確定により、確定させた保存方法で、治工具設計用パートファイル、標準部品パートファイル、ベースプレートパートファイルが、クライアント端末50からデータサーバ30にそれぞれ出力され、データサーバ30の記憶内容が更新される。これと共に、各パートファイルのファイル名がデータベースサーバ10に出力され、データベースサーバ10のCADデータに関するデータベースの記憶内容も更新される。
以上の手順により設計した治具のデータは、治具を実際に製造する際に用いる設計図面として製図出力することができる。図9は図1の治具設計支援システムを用いて治具の設計図面を製図出力する際の手順を示す説明図である。
本実施形態の治具設計支援システムを用いて設計した治具の設計図面を製図出力する際には、クライアント端末50のディスプレイ上で不図示の治具自動設計ツールのアイコンをクリックし、治具設計支援システムの製図出力プログラムを起動させる。
そして、クライアント端末50からの要求に呼応してデータベースサーバ10がクライアント端末50に返信するCADデータに関するデータベース上のパートファイルのデータに基づいて、図9の左中央に示すリスト画面をディスプレイの画面上に表示させる。そして、リスト画面上でキーボード及びマウスの操作により製図出力する治具の治工具設計用パートファイルを指定し、画面上の「OK」ボタンをクリックする。なお、リスト下方の入力ボックスに必要事項を直接入力して、治工具設計用パートファイルを指定することもできる。
図9の左中央に示すリスト画面上で「OK」ボタンをクリックすると、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図9の左下に示す標題欄入力画面に移行する。この標題欄入力画面では、製図出力する設計図面の標題欄に記載する「機種名」、「部品名称」等の項目を入力ボックスに入力する。画面上の「キャンセル」ボタンをクリックすると、製図出力を行わずに製図出力プログラムが終了する。「OK」ボタンをクリックすると、入力内容が確定して、クライアント端末50のディスプレイの画面が、図9の右上に示す補助ビュー作成選択画面に移行する。
補助ビュー作成選択画面では、補助ビューを設計図面に記載するか否かを、「OK」と「キャンセル」のボタンのクリックにより選択する。「キャンセル」ボタンをクリックすると、補助ビューを記載していない設計図面が製図出力されて、製図出力プログラムが終了する。
一方、「OK」ボタンをクリックすると、図9の補助ビュー作成選択画面の一つ下に示す補助ビュー作成シート選択画面において、設計図面を印刷する用紙の種類を選択し、さらにその一つ下の元ビュー&ヒンジ線選択画面において、補助ビューとする元のビューと、投影図の投影方向の基準となるヒンジ線とを、設計図面中の三面図の任意部分を範囲指定する等して選択する。元ビュー&ヒンジ線選択画面上の不図示の「OK」ボタンのクリック等によって選択内容を確定させると、選択した元ビューを選択したヒンジ線の周りに回転させた投影図を含む設計図面が、図9の右下の説明図に示すように、製図出力される。
次に、図2乃至図8の説明図を参照して説明した手順により設計した治具を用いて、タービンブレードの加工及び検査を行う際の支持位置を、図10乃至図14の説明図を参照して説明する。
まず、図10の説明図に示すように、製品(ワーク)に相当するタービンブレード1には、シュラウド3とダブテール5とに、治具により支持する位置がそれぞれ設定されている。
例えば、タービンブレード1のシュラウド3における矢印Aで示す部分には、図11の説明図の(a)に示すように、シールフィン3aの側面に、線又は点による支持位置Y1が設定されている。また、図10のタービンブレード1のダブテール5における矢印Bで示す部分には、図11の(b)に示すように、不図示のタービンディスクの被嵌合部に嵌合される嵌合部5aの端面に、点による支持位置Y2が設定されている。同様に、図10のダブテール5における矢印Cで示す部分には、図11の(c)に示すように、嵌合部5aの側面の圧力面フェースと非圧力面フェースとに、面による支持位置DT_P,DT_NPがそれぞれ設定されている。なお、圧力面フェースの支持位置DT_Pは、PK線の線上に位置する。
さらに、図10のタービンブレード1における矢印Dで示す部分には、図12の説明図の(d)に示すように、フロントシールフィン5bとリアシールフィン5cとの各付け根の端面に、点による支持位置X1,X2がそれぞれ設定されている。また、図10のシュラウド3における矢印Eで示す部分には、図12の説明図の(e)に示すように、タービンブレード1の翼7が立設されるダブテール5の立設面5dに、点による支持位置Z1が設定されている。
さらに、図10の翼7における矢印Fで示す部分には、図12の説明図の(f)に示すように、翼7の凸状を呈する負圧面7aに、線状の支持位置X3が設定されている。また、図10のシュラウド3における矢印Gで示す部分には、図12の説明図の(g)に示すように、シュラウド3の正圧側の端面における、2つのシールフィン3a,3bの近傍とその中間の3箇所に、線状の支持位置Z_CVX_1〜3がそれぞれ設定されている。
図10に示すように、製品(ワーク)に相当するタービンブレード1には、シュラウド3とダブテール5とに、それぞれ、点又は線で治具により支持する位置A〜Gが設定されている。
以上の各支持位置に加えて、タービンブレード1のシュラウド3とダブテール5とには、図13の説明図に示すように、矢印H乃至Kで示す部分に、治具により支持する位置がそれぞれ設定されている。
例えば、ダブテール5における矢印Hで示す部分には、図14の説明図の(h)に示すように、ダブテール5の嵌合部5a(の先端面)と負圧側の端面とに、面による支持位置DT_B,PF_CVXがそれぞれ設定されている。また、図13のダブテール5における矢印Iで示す部分には、図14の説明図の(i)に示すように、ダブテール5の正圧側の端面に、面による支持位置PF_CCVが設定されている。
さらに、図13のシュラウド3における矢印Jで示す部分には、図14の説明図の(j)に示すように、シュラウド3の負圧側の端面における、2つのシールフィン3a,3bの近傍とその中間の3箇所に、面による支持位置CVX_IP1〜3がそれぞれ設定されている。また、図13のシュラウド3における矢印Kで示す部分には、図14の説明図の(k)に示すように、シュラウド3の正圧側の端面における、2つのシールフィン3a,3bの近傍とその中間の3箇所に、面による支持位置CCV_IP1〜3がそれぞれ設定されている。
上述したタービンブレード1の加工や検査を行うために、図2乃至図8の説明図を参照して説明した手順で設計した治具は、図15乃至図18の説明図にそれぞれ示すように構成される。
例えば、図15の説明図に示す治具100は、ベースプレートBP上に、ハンドルHDLと共に、図14(h)に示すダブテール5の支持位置PF_CVXを支持するDT−PFCVX標準部品110を有している。
また、図16の説明図に示す治具200は、ベースプレートBP上に、ハンドルHDLと共に、図11(c)に示すダブテール5の支持位置DT_P,DT_NPを支持するDT標準部品210と、図11(b)に示すダブテール5の支持位置Y2を支持するボールピンロケータ標準部品220と、図12(g)に示すシュラウド3の支持位置Z_CVX_1〜3を支持するCVX標準部品230とを有している。
さらに、図17の説明図に示す治具300は、ベースプレートBP上に、ハンドルHDL、図11(c)に示すダブテール5の支持位置DT_P,DT_NPを支持するDT標準部品310、図11(b)に示すダブテール5の支持位置Y2を支持するボールピンロケータ標準部品320と共に、図12(f)に示す翼7の支持位置X3を支持するX3標準部品330を有している。なお、図17中の引用符号340,350は、タービンブレード1の各部の検査の際に使用する検査台を示す。
また、図18の説明図に示す治具400は、ベースプレートBP上に、ハンドルHDL、図12(f)に示す翼7の支持位置X3を支持するX3標準部品410と共に、図12の説明図の(d)に示すダブテール5の支持位置X1,X2を支持するX1X2標準部品420を有している。
次に、図2乃至図8の説明図を参照して説明した手順で治具を設計する際にクライアント端末50のCPUが行う干渉チェック及び干渉回避の各処理の概要を、図19のフローチャートを参照して説明する。
図5の左上に示す標準部品配置画面において「配置」ボタンをクリックすることで実行される干渉チェック及び干渉回避の各処理において、クライアント端末50のCPUは、図19に示すように、まず、製品(ワーク)と他の構造物(治具を構成するロケータ、ブロック、ブッシュ、フランジ、マスターブロック、スライド面、台座)との干渉チェックを行い(ステップS1)、その結果に基づいて、治具(標準部品)の自動回避処理を行う(ステップS3)。
次に、砥石と他の構造物との干渉チェックを行い(ステップS5)、さらに、製品(ワーク)・砥石以外の構造物(治具を構成するロケータ、ブロック、ブッシュ、フランジ、マスターブロック、スライド面、台座)同士の干渉チェックを行い(ステップS7)、それらの結果に基づいて、治具(標準部品)の自動回避処理を行う(ステップS9)。
続いて、検査治具に関して、治具(治具を構成するロケータ、ブロック、ブッシュ、フランジ、マスターブロック、スライド面、台座)と、治具の被測定箇所の測定を行う3次元計測機の測定プローブとの干渉チェックを行い(ステップS11)、その結果に基づいて、治具(標準部品)の自動回避処理を行う(ステップS13)。
次に、治具(治具を構成するロケータ、ブロック、ブッシュ、フランジ、マスターブロック、スライド面、台座)とその加工工具との干渉チェックを行い(ステップS15)、その結果に基づいて、治具(標準部品)の自動回避処理を行う(ステップS17)。
最後に、取っ手・エッジロケータの自動回避処理を行う(ステップS19)。この自動回避処理では、それぞれの固定用ボルトをそれらと螺着する箇所に配置した場合に、ボルトの頭部と当接する面が、ベースプレートのZ軸方向厚さの範囲内に存在しているか否かを確認する。存在していなければ、固定用ボルトをネジ長さが異なるものに変更する等して自動回避処理する。
次に、図19のフローチャートを参照して説明した干渉チェック及び干渉回避の各処理について詳細に説明する。
クライアント端末50のCPUは、図19のフローチャートにおけるステップS19を除く各ステップの処理、即ち、対製品、対砥石、対他の部品、対3次元測定プローブ、対治具加工工具の干渉チェックや自動回避処理の一環として、圧力面ロケータの干渉回避ループ処理を行う。ここでは、対製品(ワーク)に関する圧力面ロケータの干渉回避ループ処理を例に取って、図20のフローチャートを参照して説明する。
圧力面ロケータとは、例えば、図11(c)に示すダブテール5の支持位置DT_P,DT_NPを支持する部品として、図16の治具200のDT標準部品210や図17の治具300のDT標準部品310において用いられるものである。
具体的には、まず、圧力面ロケータとワーク(ダブテール5の嵌合部5aのネック部分)との干渉チェックを行う(ステップS101)。チェックの結果、圧力面ロケータとワークとが干渉する場合は(ステップS103で「干渉する」)、圧力面ロケータのロケータ長さが圧力面ロケータに対して許容された(例えば、強度上や機能上等の制約において許容された)最小長さ以下であるか否かを確認する(ステップS105)。
ロケータ長さが最小長さ以下である場合は(ステップS105で「≦最小長さ」)、一連の処理を終了する。最小長さを上回る場合は(ステップS105で「>最小長さ」)、圧力面ロケータの長さ変更による圧力面ロケータ干渉回避処理を行った後(ステップS107)、一連の処理を終了する。
また、ステップS103において、圧力面ロケータとワークとが干渉しない場合(「干渉しない」)は、圧力面ロケータクリアランス設定処理を行った後(ステップS109)、一連の処理を終了する。
なお、図20の圧力面ロケータの干渉回避ループ処理は、処理対象の圧力面ロケータがステップS103のチェック結果でワークと干渉せず、ステップS109で処理対象の圧力面ロケータにクリアランス設定処理が実行されるまで、その処理対象の圧力面ロケータについて繰り返し行われる。
そして、図20のステップS101の干渉チェックでは、具体的には、図21の説明図の(a)に示すように、ワーク(ダブテール5の嵌合部5aのネック部分)とDT標準部品500の圧力面ロケータ501とが、現在の設計内容で干渉しているか否かを確認する。図21(a)に示す状態では、設計内容通りに表示した圧力面ロケータ501の一部が嵌合部5aのネック部分と重なり、ダブテール5とDT標準部品500とが干渉していることが分かる。
また、図20のステップS107の圧力面ロケータ干渉回避処理(圧力面ロケータ長さ変更)では、図21(b)に示すように、圧力面ロケータ501の図中左右方向の寸法(長さW1)を、ダブテール5の嵌合部5aのネック部分と重複しない寸法(長さW1´)となるまで、段階的に短くする設計変更を行う。
さらに、図20のステップS109のクリアランス設定処理では、図21(c)に示すように、圧力面ロケータ501とダブテール5の嵌合部5aのネック部分との間に、図中左右方向(圧力面ロケータ501の長さ方向)において必要とされる寸法w1のクリアランス(隙間)が確保されるように、圧力面ロケータ501の長さW1(W1´)を再調整する設計変更を行う。この設計変更後の圧力面ロケータ501の長さは、当然、最小長さを上回る寸法とされる。
また、クライアント端末50のCPUは、図19のフローチャートにおけるステップS19を除く各ステップの処理、即ち、対製品、対砥石、対他の部品、対3次元測定プローブ、対治具加工工具の干渉チェックや自動回避処理の一環として、ブロックの干渉回避ループ処理を行う。ここでは、対製品(ワーク)に関するブロックの干渉回避ループ処理を例に取って、図22のフローチャートを参照して説明する。
ブロックとは、例えば、図15乃至図18の治具100〜400の各標準部品110,210〜230,310〜330,410,420をベースプレートBPに取り付けるのに用いられるものである。
具体的には、まず、ブロックとワーク(ダブテール5)との干渉チェックを行う(ステップS201)。チェックの結果、ブロックとワークとが干渉する場合は(ステップS203で「干渉する」)、ブロックの特定部分の高さがブロックに対して許容された(例えば、構造上等の制約において許容された)最大高さ以上であるか否かを確認する(ステップS205)。
ブロックの特定部分の高さが最大高さ以上である場合は(ステップS205で「≧最大高さ」)、一連の処理を終了する。最大高さを下回る場合は(ステップS205で「<最大高さ」)、ブロックの特定部分の高さ変更によるブロック干渉回避処理を行った後(ステップS207)、一連の処理を終了する。
また、ステップS203において、ブロックとワークとが干渉しない場合(「干渉しない」)は、ブロッククリアランス設定処理を行った後(ステップS209)、一連の処理を終了する。
なお、図22のブロックの干渉回避ループ処理は、処理対象のブロックがステップS203のチェック結果でワークと干渉せず、ステップS209で処理対象のブロックにクリアランス設定処理が実行されるまで、その処理対象のブロックについて繰り返し行われる。
そして、図22のステップS201の干渉チェックでは、具体的には、図23の説明図の(a)に示すように、ワーク(ダブテール5の端面)とDT標準部品500のブロック503とが、現在の設計内容で干渉しているか否かを確認する。図23(a)に示す状態では、設計内容通りに表示したブロック503とダブテール5の端面とが離間し、ダブテール5とDT標準部品500とが干渉していないことが分かる。
もしも、図23(a)に示すように設計内容通りに表示したブロック503とダブテール5の端面とが重なると、ダブテール5とDT標準部品500とが干渉していることになる。その場合は、図22のステップS207のブロック干渉回避処理(ブロック高さ変更)において、図23(b)に示すように、例えば、ブロック503の圧力面ロケータ501を取り付けるロケータ取付部503aの高さH1を、ブロック503がダブテール5の端面と重複しない高さH1´となるまで、段階的に低くする設計変更を行う。
なお、ロケータ取付部503aの高さH1に関する最大高さは、ロケータ取付部503aに取り付ける圧力面ロケータ501の高さが構造上許容された高さ寸法以内に収まるような値に設定される。
また、図22のステップS209のクリアランス設定処理では、図23(c)に示すように、ブロック503のロケータ取付部503aとダブテール5の端面との間に、図中上下方向(圧力面ロケータ501の高さ方向)において必要とされる寸法h1のクリアランス(隙間)が確保されるように、ブロック503のロケータ取付部503aの高さH1(H1´)を再調整する設計変更を行う。この設計変更後のブロック503のロケータ取付部503aの高さは、当然、最大高さを下回る寸法とされる。
さらに、クライアント端末50のCPUは、図19のフローチャートにおけるステップS19を除く各ステップの処理、即ち、対製品、対砥石、対他の部品、対3次元測定プローブ、対治具加工用工具の干渉チェックや自動回避処理の一環として、ボールピンロケータの干渉回避処理を行う。
ボールピンロケータとは、例えば、図11(b)に示すダブテール5の支持位置Y2、図12(g)に示すシュラウド3の支持位置Z_CVX_1〜3、図12(f)に示す翼7の支持位置X3、図12(d)に示すダブテール5の支持位置X1,X2を支持する部品として、図16乃至図18の治具200〜400の各標準部品220,230,320,330,410,420において用いられるものである。
ボールピンロケータの干渉回避処理の全体的な手順は、図24のフローチャートに示すような手順である。具体的には、まず、ダブテール5の支持位置Y2を支持する図16のボールピンロケータ標準部品220や図17のボールピンロケータ標準部品320(標準部品Y2)の自動調整処理(ステップS301〜313)と、ダブテール5の支持位置DT_P,DT_NPを支持する図16のDT標準部品210や図17のDT標準部品310(標準部品DT)の自動調整処理(ステップS315,317)と、シュラウド3の支持位置Z_CVX_1〜3を支持する図16のCVX標準部品230(標準部品Z−NOTCH)の自動調整処理(ステップS319)とを有している。
ステップS301〜313による図16や図17のボールピンロケータ標準部品220,320(標準部品Y2)の自動調整処理では、まず、ボールピンロケータ標準部品220,320中の、ボールピンロケータに関する自動干渉回避処理を行う(ステップS301)。
この自動干渉回避処理では、タービンブレード1(製品)に対する干渉、タービンブレード1の加工に用いる装置に対する干渉、同じ治具(標準部品)内の他の部品に対する干渉、他の治具(標準部品)に対する干渉、及び、治具加工用工具に対する干渉の各チェックと自動回避処理を行う。即ち、ステップS301の自動干渉回避処理は、図19のフローチャートにおけるステップS1乃至ステップS17(但し、ステップS11及びステップS13を除く)の手順に関連する処理となる。
次に、タービンブレード1の検査に使用する測定装置の3次元測定プローブに関する干渉チェックを行う(ステップS303)。この干渉チェックは、図19のフローチャートにおけるステップS11の手順に関連する処理となる。
続いて、図11(b)に示すダブテール5の支持位置Y2を支持する図16や図17のボールピンロケータ標準部品220,320の干渉チェック及び干渉回避の各処理として、図16や図17のボールピンロケータ標準部品220,320中のコラム溝の設定に関する処理(ステップS305,307)と、ボールピンロケータ標準部品220,320中のボルト穴高さの設定に関する処理(ステップS309,311)とを行う。
コラム溝の設定に関する処理では、ボールピンロケータ標準部品220,320の配置の前提となる、DT標準部品210,310の配置座標系作成・パラメータ取得処理(ステップS305)と、取得したDT標準部品210,310のパラメータの編集処理(ステップS307)とを行う。
また、ボルト穴高さの設定に関する処理では、ボールピンロケータ標準部品220,320の配置座標系作成・パラメータ取得処理(ステップS309)と、取得したボールピンロケータ標準部品220,320のパラメータの編集処理(ステップS311)とを行う。
以下、図16のDT標準部品210を例に取って、コラム溝の設定手順やボルト穴高さの設定手順について説明する。図16に示すように、ボールピンロケータ標準部品220はダブテール5の支持位置Y2を点で支持するボールピンロケータ221を有している。このボールピンロケータ221は、上下に長尺の角柱状を呈するコラム222の上部に突設されている。
ボールピンロケータ標準部品220のコラム222は、DT標準部品210に対して位置決め固定される。そのため、DT標準部品210の側面には、図25(a)の説明図に示すように、コラム222を嵌め込むコラム溝211が形成される。また、コラム222には、図25(b)の説明図に示すように、不図示の取付用ボルトを挿通するボルト穴222aが形成される。
DT標準部品210のコラム溝211の位置座標を決定すると、コラム溝211に嵌め込んだコラム222乃至ボールピンロケータ221のX軸方向及びY軸方向の位置座標が定義される。また、コラム222のボルト穴222aの位置をDT標準部品210のコラム溝211に設けた不図示のボルト穴の高さに合わせ、ボルト穴222aに挿通した不図示の取付用ボルトでコラム溝211にねじ止めすると、コラム222乃至ボールピンロケータ221のZ軸方向の位置座標が定義される。
そこで、図24のステップS305の配置座標系作成・パラメータ取得処理では、DT標準部品210の配置座標系を作成し、各パラメータを取得する。また、ステップS307のパラメータ編集処理では、ステップS305で取得したパラメータについて干渉チェックを行い、必要に応じて干渉回避のためのパラメータ変更(編集)を行う。
また、ステップS309の配置座標系作成・パラメータ取得処理では、ボールピンロケータ標準部品220の配置座標系を作成し、各パラメータを取得する。また、ステップS311のパラメータ編集処理では、ステップS309で取得したパラメータについて干渉チェックを行い、必要に応じて干渉回避のためのパラメータ変更(編集)を行う。
そして、ステップS313のコラムボルト置換処理では、ステップS311の編集を経た後の、図16や図17のボールピンロケータ標準部品220,320(標準部品Y2)のボルト穴222a(ボールピンロケータ標準部品220の場合)のパラメータからの置換処理により、DT標準部品210,310に対するコラム取付用のボルトの座標値を取得する。
次に、ステップS315及びステップS317による図16や図17のDT標準部品210,310の自動調整処理では、まず、DT標準部品210,310中の、ボールピンロケータに関する自動干渉回避処理を行う(ステップS315)。
この自動干渉回避処理では、タービンブレード1(製品)に対する干渉、タービンブレード1の加工に用いる装置に対する干渉、同じ治具(標準部品)内の他の部品に対する干渉、他の治具(標準部品)に対する干渉、及び、治具加工用工具に対する干渉の各チェックと自動回避処理を行う。即ち、ステップS315の自動干渉回避処理は、図19のフローチャートにおけるステップS1乃至ステップS17(但し、ステップS11及びステップS13を除く)の手順に関連する処理となる。
続いて、ロケータボルト置換処理を行う(ステップS317)。ステップS317のロケータボルト置換処理では、例えば図21や図23に示すDT標準部品500の圧力面ロケータ501をブロック503に取り付けるためのボルトの座標値を、ステップS315の自動干渉回避処理を経た後の、図16や図17のDT標準部品210,310のパラメータからの置換処理により取得する。
続いて、ステップS319による図16のCVX標準部品230(標準部品Z−NOTCH)の自動調整処理では、CVX標準部品230中の、ボールピンロケータに関する自動干渉回避処理を行う。以上が、ボールピンロケータの干渉回避処理の全体的な手順である。
この自動干渉回避処理では、タービンブレード1(製品)に対する干渉、タービンブレード1の加工に用いる装置に対する干渉、同じ治具(標準部品)内の他の部品に対する干渉、他の治具(標準部品)に対する干渉、及び、治具加工用工具に対する干渉の各チェックと自動回避処理を行う。即ち、ステップS315の自動干渉回避処理は、図19のフローチャートにおけるステップS1乃至ステップS17(但し、ステップS11及びステップS13を除く)の手順に関連する処理となる。
次に、図24のフローチャートを参照して説明したボールピンロケータに関する干渉チェック及び干渉回避の各処理について、詳細に説明する。
クライアント端末50のCPUは、図24のフローチャートにおけるステップS301のボールピンロケータに関する自動干渉回避処理の一環として、図26のフローチャートに示す製品(ワーク)との干渉回避ループ処理を行う。
具体的には、まず、ボールピンロケータの先端のボール部分のソリッド(モデル)と、ボールピンロケータと干渉する可能性がある近辺のワーク(製品)のフェースとの直線最短距離をチェックする(ステップS401)。
チェックの結果、測定した直線最短距離が1.0mm以上である場合は(ステップS403で「≧1.0mm」)、ボールピンロケータのロケータ長の変更による干渉回避ループ処理(ステップS405)と、ボールピンロケータのロケータ角度の変更による干渉回避ループ処理(ステップS407)とを開始する。
ステップS405及びステップS407で開始するロケータ長やロケータ角度の変更による干渉回避ループ処理では、まず、ボールピンロケータやこれが突設されるコラム(例えば、図16のコラム222)と周辺のワーク(製品)との干渉チェックを行う(ステップS409)。チェックの結果、コラムとワークとが干渉する場合は(ステップS411で「干渉する」)、後述するステップS417に移行する。
一方、コラムとワークとが干渉しない場合は(ステップS411で「干渉しない」)、ボールピンロケータのピン部分のソリッド(モデル)と、ボールピンロケータやコラムと干渉する可能性がある近辺のワーク(製品)のフェースとの直線最短距離をチェックする(ステップS413)。チェックの結果、測定した直線最短距離が1.0mm以上である場合は(ステップS415で「≧1.0mm」)、ボールピンロケータのロケータ長やロケータ角度の変更による干渉回避処理を行わずに、一連の処理を終了する。
一方、測定した直線最短距離が1.0mmを下回る場合は(ステップS415で「<1.0mm」)、ボールピンロケータのロケータ角度の変更による干渉回避処理と(ステップS417)、ボールピンロケータのロケータ長の変更による干渉回避処理(ステップS419)とを行う。
ここで、ステップS417のロケータ角度の変更による干渉回避処理は、ボールピンが周辺のワーク(製品)と干渉する場合に、ロケータに対するボールピンの取付角度(傾斜角度)を予め設定した単位角度だけ変更することで行う。
また、ステップS419のロケータ長の変更による干渉回避処理は、ボールピンが周辺のワーク(製品=例えば、図10のタービンブレード1)と干渉する場合に、ロケータ長を単位長さだけ変更する(長くする)ことで行う。
そして、以上のステップS409乃至ステップS419の各処理を、ステップS415においてピンソリッドとワークフェースとの直線最短距離が1.0mm以上であると確認されるまで、繰り返しループ処理する。
なお、ステップS403のチェック結果において、測定したボールソリッドとワークフェースとの直線最短距離が1.0mmを下回る場合(「<1.0mm」)は、クライアント端末50のディスプレイに情報ウィンドウメッセージを表示させる。表示させるメッセージは、例えば、ボールピンロケータとワークとの距離が近すぎて干渉チェック及び干渉回避処理が行えないという内容になる。その後、一連の処理を終了する。
ここで、図26のフローチャートに示す製品(ワーク)との干渉回避ループ処理の具体的な内容を、図11(b)に示すダブテール5の支持位置Y2を支持する図16のボールピンロケータ標準部品220のボールピンロケータ221を例に取って、図27の説明図を参照して説明する。
まず、図26のステップS401のボールソリッド(モデル)とワークフェースとの直線最短距離のチェックでは、図27の説明図の(a)に示すように、ボールソリッド221aとダブテール5のフェースFILET_FACEとの直線最短距離をチェックする。
なお、ボールソリッド221aは、図16のボールピンロケータ標準部品220のボールピンロケータ221の先端に設けられるボールのモデルである。また、フェースFILET_FACEは、図16のボールピンロケータ221で支持する支持位置Y2に近い、ダブテール5の嵌合部5aとフロントシールフィン5bとを接続する曲面中の部分である。このフェースFILET_FACEは、ダブテール5中の図16のボールピンロケータ221と干渉する可能性が高い部分である。
もしも、ボールソリッド221aとダブテール5のフェースFILET_FACEとの直線最短距離が1.0mmよりも短ければ、ボールピンロケータ221の干渉チェック及び干渉回避処理を行わない。1.0mm以上あれば、ボールピンロケータ221の干渉チェック及び干渉回避処理を行う。
ボールピンロケータ221の干渉チェック及び干渉回避処理の一環として行う、図26のステップS409のボールピンロケータ及びコラムとワーク(製品)との干渉チェックでは、図27の説明図の(b)に示すように、ボールピンロケータ標準部品220のボールピンロケータ221やコラム222と、ダブテール5のフロントシールフィン5bとが、現在の設計内容で干渉しているか否かを確認する。
図27(b)に示す状態では、設計内容通りに表示したボールピンロケータ221やコラム222とフロントシールフィン5bとが離間し、ボールピンロケータ標準部品220とダブテール5とが干渉していないことが分かる。
もしも、図27(b)に示すように設計内容通りに表示したボールピンロケータ221やコラム222とフロントシールフィン5bとが重なると、ボールピンロケータ標準部品220とダブテール5とが干渉していることになる。その場合は、図26のステップS417及びステップS419の干渉回避処理を行う。
また、図27(b)に示す状態のように、ボールピンロケータ標準部品220とダブテール5とが干渉していない場合は、図26のステップS413のボールピンロケータ221とワークフェースとの直線最短距離をチェックする。
ステップS413のボールピンロケータやコラムとワークフェースとの直線最短距離のチェックでは、図27の説明図の(c)に示すように、ボールピンロケータ221やコラム222と、ダブテール5のフロントシールフィン5bのフェースANGEL_WING_FACEとの直線最短距離をチェックする。このフェースANGEL_WING_FACEは、ダブテール5中のボールピンロケータ221やコラム222と干渉する可能性が高い部分である。
もしも、ボールピンロケータ221やコラム222とダブテール5のフェースANGEL_WING_FACEとの直線最短距離が1.0mm以上であれば、図26のステップS417及びステップS419の干渉回避処理を実質的に行わずに終了する。1.0mmよりも短ければ、図26のステップS417及びステップS419の干渉回避処理を行う。
ステップS417のロケータ角度の変更による干渉回避処理では、ボールピンロケータ221やコラム222とダブテール5のフェースANGEL_WING_FACEとの直線最短距離が1.0mm以上となるように、図27の説明図の(d)に示すように、コラム222の上端からのボールピンロケータ221の突設角度を上限角度までの範囲内で変化(傾斜)させる。
ステップS419のロケータ長の変更による干渉回避処理では、ボールピンロケータ221やコラム222とダブテール5のフェースANGEL_WING_FACEとの直線最短距離が1.0mm以上となるように、図27の説明図の(e)に示すように、ボールピンロケータ221の長さH5を変化させる(長くする)。
また、図24のフローチャートにおけるステップS303の干渉チェックでは、クライアント端末50のCPUは、図28の説明図の(a)に示すボールピンロケータ221の3次元形状を、不図示の測定装置の図28の説明図の(b)に示す3次元測定プローブ600を用いて測定する際の、干渉チェック及び干渉回避処理を行う。
ボールピンロケータ221の3次元形状を測定する際には、図28(a)に示すボールピンロケータ221のZ軸方向と、図28(b)に示す3次元測定プローブ600の測定子601のY軸方向とを一直線上に配置した状態で、ボールピンロケータ221の表面を測定子601の先端で倣い移動させる。
本実施形態の場合は、図29の説明図の(a)に示すように、ボールピンロケータ221の先端の半球部中心及び基端の90゜間隔の各箇所に、測定子601の先端をそれぞれ配置して、3次元形状の測定を行う。具体的には、図29の説明図の(b)に示すように、まず、ボールピンロケータ221の先端の半球部中心(「1」)に測定子601の先端を配置して測定し、以後、半球部基端の4箇所(「2」〜「5」)に反時計回りの順番で測定子601の先端をそれぞれ配置して測定する。
そして、図30の説明図の(a)に示すように、3次元測定プローブ600に対して測定子601を90゜の角度にした状態で、コラム222から水平方向に突設したボールピンロケータ221の測定箇所に測定子601を当接させて、測定を行った場合のモデルを生成する。このモデルは、図1のデータサーバ30に蓄積されている、図16の説明図に示す治具200の治工具設計用パートファイルと3次元測定プローブ600のCADデータとに基づいて、クライアント端末50のCPUで生成することができる。
また、図30(a)の状態で、3次元測定プローブ600や測定子601が治具200の構造物と干渉する(重複する)場合は、ボールピンロケータ221のZ軸方向と3次元測定プローブ600の測定子601のY軸方向とを一直線上に配置した状態を保ったまま、図30の説明図の(b)に示すように、ボールピンロケータ221と測定子601とを一定角度ずつ水平方向に対して傾斜させていく。具体的には、3次元測定プローブ600に対する測定子601の角度が90゜よりも大きくなるように、ボールピンロケータ221と測定子601とを傾斜させていく。
ボールピンロケータ221と測定子601との傾斜角度が上限角度に達するまでに、3次元測定プローブ600や測定子601が治具200の構造物と干渉しない(重複しない)ようになったならば、コラム222に対するボールピンロケータ221の突設角度をその時点の角度とする。
また、クライアント端末50のCPUは、図24のフローチャートにおけるステップS301のボールピンロケータに関する自動干渉回避処理の一環として、図31のフローチャートに示す他の部品との干渉チェック及び干渉回避処理を行う。
具体的には、まず、開いている治工具設計用パートファイルにおいて標準部品Y2(例えば、図16や図17のボールピンロケータ標準部品220,320)が配置されているか否かを確認する(ステップS501)。
標準部品Y2が配置されている場合は(ステップS501で「Y2配置済み」)、ワーク(製品=例えば、図10のタービンブレード1)や治具上の他の部品(例えば、図16のDT標準部品210及びCVX標準部品230や、図17のDT標準部品310及びX3標準部品330)との干渉チェック処理を行った後(ステップS503)、後述するステップS505に移行する。一方、標準部品Y2が配置されていない場合は(ステップS501で「Y2未配置」)、ステップS505に移行する。
ステップS505では、開いている治工具設計用パートファイルにおいて標準部品DT(例えば、図16や図17のDT標準部品210,310)が配置されているか否かを確認する。
標準部品DTが配置されている場合は(ステップS505で「DT配置済み」)、ワーク(製品=例えば、図10のタービンブレード1)や治具上の他の部品(例えば、図16のボールピンロケータ標準部品220及びCVX標準部品230や、図17のボールピンロケータ標準部品320及びX3標準部品330)との干渉チェック処理を行った後(ステップS507)、後述するステップS509に移行する。一方、標準部品DTが配置されていない場合は(ステップS507で「DT未配置」)、ステップS509に移行する。
ステップS509では、開いている治工具設計用パートファイルにおいて標準部品Z−NOTCH(例えば、図16のCVX標準部品230、図17のX3標準部品330)が配置されているか否かを確認する。
標準部品Z−NOTCHが配置されている場合は(ステップS509で「Z−NOTCH配置済み」)、ワーク(製品=例えば、図10のタービンブレード1)や治具上の他の部品(例えば、図16のDT標準部品210及びボールピンロケータ標準部品220や、図17のDT標準部品310及びボールピンロケータ標準部品320)との干渉チェック処理(ステップS511)と、標準部品Z−NOTCHの加工に用いる研削装置(図示せず)のミーリングチャックとの干渉チェック(ステップS513)とを行った後、後述するステップS515に移行する。一方、標準部品Z−NOTCHが配置されていない場合は(ステップS509で「DT未配置」)、ステップS515に移行する。
ステップS515では、開いている治工具設計用パートファイルにおいて検査台(例えば、図17の340,350)が配置されているか否かを確認する。
検査台が配置されている場合は(ステップS515で「検査台配置済み」)、ワーク(製品=例えば、図10のタービンブレード1)や治具上の他の部品(例えば、図16のDT標準部品210、ボールピンロケータ標準部品220、及び、CVX標準部品230や、図17のDT標準部品310、ボールピンロケータ標準部品320、及び、X3標準部品330)との干渉チェック処理を行った後(ステップS517)、一連の処理を終了する。一方、検査台が配置されていない場合は(ステップS515で「検査台未配置」)、一連の処理を終了する。
さらに、クライアント端末50のCPUは、図19のフローチャートにおけるステップS19を除く各ステップの処理、即ち、対製品、対砥石、対他の部品、対3次元測定プローブ、対治具加工用工具の干渉チェックや自動回避処理の一環として、ブロックの干渉回避処理を行う。ここでは、対製品(ワーク)に関するブロックの干渉回避ループ処理を例に取って、図32のフローチャートを参照して説明する。なお、このブロックの干渉回避ループ処理は、図22のフローチャートを参照して説明したブロックの干渉回避ループ処理と並行して行う。
具体的には、まず、ブロック(例えば、図16のCVX標準部品230や、図17のX3標準部品330)と、ブロックと干渉する可能性がある近辺のワーク(製品)との干渉チェックのループ処理を開始する(ステップS601)。チェックの結果、ブロックとワークとが干渉しない場合は(ステップS603で「干渉しない」)、干渉チェックのループ処理を行わずに、後述するステップS609に移行する。
一方、ブロックとワークとが干渉する場合は(ステップS603で「干渉する」)、ブロック上面フェースの高さに関する干渉回避パラメータが上限値以下であるか否かを確認する(ステップS605)。チェックの結果、干渉回避パラメータが上限値を上回る場合は(ステップS605で「>上限値」)、後述するステップS615に移行する。
また、干渉回避パラメータが上限値以下である場合は(ステップS605で「≦上限値」)、干渉回避パラメータの変更によるブロック上面フェースの干渉回避処理を行う(ステップS607)。
そして、以上のステップS601乃至ステップS607の各処理を、ステップS603においてブロックとワークとが干渉しないと確認されるか、又は、ステップS605において干渉回避パラメータが上限値を上回ると確認されるまで、繰り返しループ処理する。その後、ステップS609に移行する。
ステップS609では、距離パラメータの変更によるブロック上面フェースの距離確保処理を行う。この距離確保処理では、ブロックの上面フェースに要求される距離を満たした形状となるように、上面フェースの干渉回避処理を経たブロックの上面フェースの距離を調整する。
続いて、ステップS611において、ブロックとワーク(製品)との直線最短距離を測定(チェック)する。チェックの結果、測定した直線最短距離が1.0mm以上である場合は(ステップS613で「≧1.0mm」)、一連の処理を終了する。一方、測定した直線最短距離が1.0mmを下回る場合は(ステップS613で「<1.0mm」)、ステップS615に移行する。
ステップS615では、クライアント端末50のディスプレイに警告メッセージを表示させる。表示させる警告メッセージは、例えば、干渉回避パラメータが上限値を超えて、ブロック上面フェースの干渉回避処理を行えないという内容や、ブロックとワークとの直線最短距離が短すぎるという内容になる。その後、一連の処理を終了する。
ここで、図32のフローチャートに示す製品(ワーク)との干渉回避ループ処理の具体的な内容を、図12(g)に示すシュラウド3の支持位置Z_CVX_1〜3を支持するCVX標準部品230を例に取って、図33の説明図を参照して説明する。
まず、図32のステップS601のブロックとワークの干渉チェックでは、図33の説明図の(a)に示すように、CVX標準部品230とタービンブレード1の翼7の凹状を呈する正圧面7bとが、現在の設計内容で干渉しているか否かを確認する。
図33(a)に示す状態では、CVX標準部品230のブロック231に貫設された3つのピンロケータ232によって、図33(a)においてCVX標準部品230の向こう側で、シュラウド3の支持位置Z_CVX_1〜3が支持されている。この状態では、翼7の正圧面7bと対向するブロック231の上面フェース231aが、正圧面7bと最も接近することになる。
もしも、図33(a)に示すように設計内容通りに表示したブロック231と翼7の正圧面7bとが重なると、CVX標準部品230と翼7とが干渉していることになる。その場合は、図32のステップS607の干渉回避処理を行う。
ステップS607のブロック上面フェースの干渉回避処理では、図33の説明図の(b)に示すように、ブロック231の上面フェース231aの上下端部間の高さ方向寸法H7を、翼7の正圧面7bと干渉しなくなるまで、上限値までの範囲内で変化させる(長くする)。
また、図32のステップS609のブロック上面フェースの距離確保処理では、図33の説明図の(c)に示すように、翼7の正圧面7bとブロック231の上面フェース231aとの間に、必要とされるクリアランス(隙間)が確保されるように、上面フェース231aの下端に存在する水平面部分の幅寸法W3を再調整する設計変更を行う。
さらに、図32のステップS611におけるブロック231とタービンブレード1(ワーク)との直線最短距離の測定では、図33の説明図の(d)に示すように、翼7の正圧面7bとブロック231の上面フェース231aとの直線最短距離を測定する。
もしも、翼7の正圧面7bとブロック231の上面フェース231aとの直線最短距離が1.0mmよりも短ければ、図32のステップS615の警告メッセージの表示を行う。
また、クライアント端末50のCPUは、図19のフローチャートにおけるステップS15の治具とその加工工具との干渉チェックの一環として、図34のフローチャートに示す干渉チェック処理を行う。ここでは、CVX標準部品230(図33(a)参照)とその加工工具との干渉チェックを例に取って、干渉チェック処理を説明する。
具体的には、まず、CVX標準部品230のベースプレートBP(図16参照)に最も近いピンロケータ232の位置を基準にして、ピンロケータ232の嵌挿穴をCVX標準部品230のブロック231に穿設するのに用いるミーリングチャックの配置座標系を取得する(ステップS701)。
次に、取得した配置座標系にミーリングチャックを配置(アセンブリ)する(ステップS703)。そして、配置したミーリングチャックとベースプレートBPとの干渉チェックを行う(ステップS705)。チェックの結果、干渉する場合は(ステップS707で「干渉する」)、ミーリングチャックがベースプレートBPと干渉する等の警告メッセージを、クライアント端末50のディスプレイに表示させる(ステップS709)。そして、後述するステップS711に移行する。
また、ステップS705の干渉チェックの結果、ミーリングチャックとベースプレートBPとが干渉しない場合は(ステップS707で「干渉しない」)、ステップS711に移行する。
ステップS711では、ステップS703で行ったミーリングチャックの配置座標系へのミーリングチャックの配置(アセンブリ)を削除する。その後、一連の処理を終了する。
ここで、図34のフローチャートに示す干渉回避処理の具体的な内容を、図33(a)に示すCVX標準部品230を例に取って、図35の説明図を参照して説明する。
まず、図34のステップS701におけるミーリングチャックの配置座標系の取得処理では、図35の説明図の(a)に示すように、ブロック231の最も下に配置されたピンロケータ232の端面の中心に、ミーリングチャック配置座標系を設定する。この配置座標系は、ピンロケータ232の中心軸をZ軸方向とし、これと直交する鉛直方向をX軸方向、水平方向をY軸方向とするものである。
また、図34のステップS703における配置座標系へのミーリングチャックの配置処理では、エンドミルとの位置関係を、ブロック231の最も下に配置されたピンロケータ232との位置関係に置換して、ミーリングチャック700(請求項中のツールに相当)のモデルを配置座標系に配置する。
さらに、図34のステップS705におけるミーリングチャック700とベースプレートBPとの干渉チェックでは、図35の説明図の(c)に示すように、ミーリングチャック700とベースプレートBPとが、現在の設計内容で干渉しているか否かを確認する。
図35(c)に示す状態では、設計内容通りに表示したミーリングチャック700とベースプレートBPとが離間し、ミーリングチャック700とベースプレートBPとが干渉していないことが分かる。
もしも、図35(c)に示すように設計内容通りに表示したミーリングチャック700とベースプレートBPとが重なると、ミーリングチャック700とベースプレートBPとが干渉していることになる。その場合は、図34のステップS713の警告メッセージの表示を行う。
以上の説明からも明らかなように、本実施形態の治具設計支援システムにおいては、請求項中の作業特定手段、設計データ生成手段、干渉データ生成手段、干渉チェック手段、及び、干渉回避手段が、いずれも、クライアント端末50のCPUによって構成されている。
以上に説明したように、本実施形態の治具設計支援システムによれば、ワーク(製品)の加工や検査に用いる装置における基準座標系である加工基準座標系に対する、治具のベースプレートのオフセット量を、X、Y、Zの各軸方向にそれぞれ設定できるようにした。したがって、ベースプレートやその上に配置される治具の部品と、治具で支持されるワーク(製品)の加工や検査に用いる装置との、干渉チェックや干渉回避の各処理を行うことができる。
また、本実施形態の治具設計支援システムによれば、治具の特定箇所を基準にした座標系上に治具の加工装置を仮想的に配置できるようにした。このため、治具とその加工装置との干渉チェックや干渉回避の各処理も行うことができる。
なお、本実施形態の治具設計支援システムでは、干渉チェックの結果干渉する場合は干渉の自動回避処理を行うものとしたが、干渉する旨の報知出力のみに止め、干渉の自動回避処理を行わないようにしてもよい。
また、本実施形態では、治具(例えば、図15乃至図18の治具100〜400)とその形成に用いるツール(例えば、図35(b),(c)のミーリングチャック700)との干渉チェックも行うものとしたが、そのための構成を省略してもよい。逆に、干渉チェックだけでなく、干渉する場合に干渉状態の自動回避処理をさらに行うようにしてもよい。また、図28(b)の3次元測定プローブに関しても、干渉チェックだけでなく干渉状態の自動回避処理を行うようにしてもよい。その場合の処理内容は、例えば、図2の砥石との干渉時に行う自動回避処理と同様の内容とすることができる。