JP5908693B2 - 改ざん防止用ラベル - Google Patents

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Description

本発明は、改ざん防止用ラベルに関する。
例えば医薬品や食品等のパッケージでは、安全性のため、高いセキュリティ性が求められており、一度開封がされたかどうかを確認する目的で、改ざん防止用ラベルが用いられている。また高価な電子機器等に貼付けられているラベルについても、正規製品のラベルを剥がして別の製品に貼付する模倣手段に用いられることを防止する等の目的で、改ざん防止用ラベルが用いられている。
このような改ざん防止用のラベル又はシートとして、例えば、特許文献1〜3に開示されたものが挙げられる。
特許文献1には、表面に情報を付与し、情報を透明保護層にて被覆して成る改ざん防止用ラベルであって、少なくとも紫外線をカットする透明基材と、紫外線により発色する発色剤を分散した接着層とを含む構成を有する改ざん防止ラベルが開示されている。
特許文献2には、少なくとも、透明性を有する酸素バリア性フィルム層、酸素の有無により色調が変化する印刷インキ層、酸素吸収層、酸素バリア層、粘着層が順次積層された積層体の端面が封止されていることを特徴とする改ざん防止ラベルが開示されている。
特許文献3には、厚さ寸法が10μm以上40μm以下のポリスチレンフィルムと、その一面に積層されたJIS Z 0237に規定の接着強度が80℃で15N/25mm以上の耐熱性粘着剤層とからなる改ざん防止シートが開示されている。
特開平9−277423号公報 特開2008−52013号公報 特開2010−281948号公報
しかしながら、特許文献1に記載の改ざん防止用ラベルは、紫外線が存在しない場所で開封した場合は改ざん防止の効果が得られない。
また、特許文献2に記載の改ざん防止ラベルは、印刷インキ層が酸素の有無による化学反応に伴って色調に変化が生じることにより開封されたか否かを識別するものであり、特殊な印刷インキを用いるためコストが高くなるという欠点がある。
そして、特許文献3に記載の改ざん防止用ラベルは、ラベルを模倣品の表示として悪用されることは阻止できるが、単にラベルを除去する改ざん手法は阻止できない。
本発明は、優れた粘着力を有すると共に、貼り付け後に剥離のきっかけが作り難いため容易に剥がすことができず、たとえ剥がされた場合でも、剥がされた事実を容易に発見できるため剥がされた事実の隠滅を防止できる、改ざん防止用ラベルを提供することを目的とする。
本発明者らは、改ざん防止用ラベルを構成する基材及び粘着剤層の厚み、並びに改ざん防止用ラベルの厚みを特定の範囲に調整することで、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[11]を提供するものである。
[1]基材と粘着剤層とを有する改ざん防止用ラベルであって、前記基材の厚みが0.5〜5.0μmであり、前記粘着剤層の厚みが0.7〜9.0μmであり、改ざん防止用ラベルの厚みが1.2〜12.0μmである、改ざん防止用ラベル。
[2]前記基材の引裂強度が0.1〜1.8mNである、上記[1]に記載の改ざん防止用ラベル。
[3]前記基材が、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルムからなる群から選ばれるいずれか1つである、上記[1]又は[2]に記載の改ざん防止用ラベル。
[4]前記粘着剤層を構成する粘着剤が、(A)架橋性官能基を有するアクリル系共重合体と、(B)ウレタン樹脂と、(C)架橋剤とを含有するものである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の改ざん防止用ラベル。
[5](B)ウレタン樹脂が、(b1)ジオールと(b2)多価イソシアネート化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、(b3)鎖延長剤を反応させて得られるものであり、(b3)鎖延長剤が、(b4)水酸基及び/又はアミノ基を2つ有する化合物、及び(b5)水酸基及び/又はアミノ基を3つ以上有する化合物であり、(b4)成分と(b5)成分との質量比〔(b4)/(b5)〕が、70/30〜100/0である、上記[4]に記載の改ざん防止用ラベル。
[6](b4)成分が水酸基及びアミノ基を有する、上記[5]に記載の改ざん防止用ラベル。
[7](b1)ジオールが、重量平均分子量1,000〜3,000のグリコールである、上記[5]又は[6]に記載の改ざん防止用ラベル。
[8](A)成分の架橋性官能基が、エチレン性不飽和カルボン酸又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル由来のものである、上記[4]〜[7]のいずれかに記載の改ざん防止用ラベル。
[9](A)アクリル系共重合体と(B)ウレタン樹脂との質量比〔(A)/(B)〕が、1/99〜40/60である、上記[4]〜[8]のいずれかに記載の改ざん防止用ラベル。
[10](A)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が、30万〜150万である、上記[4]〜[9]のいずれかに記載の改ざん防止用ラベル。
本発明の改ざん防止用ラベルは、優れた粘着力を有すると共に、貼り付け後に剥離のきっかけが作り難いため剥がすことが困難であり、たとえ剥がされた場合でも、剥がされた事実を容易に発見できるため剥がされた事実の隠滅を防止することができる。
本発明の改ざん防止用ラベルの構成の一態様を示すラベルの断面図である。
本発明の改ざん防止用ラベルは、基材と粘着剤層とを有するものであれば、特に限定はされない。図1は、本発明の改ざん防止用ラベルの構成の一態様を示す図である。本発明の改ざん防止用ラベルの構成は、図1(a)のように、基材11上に粘着剤層12を有する改ざん防止用ラベル1aに限られない。例えば、図1(b)のように、更に該粘着剤層12上に剥離材13を有するものであってもよい。また、図1に示された改ざん防止用ラベル1a、1bの基材11の粘着剤層12が形成された面とは反対側に、コーティング層等の他の層を有していてもよい。
本発明において「改ざん防止用ラベルの厚み」とは、剥離材13等を含んだ改ざん防止用ラベル全体の総厚から、被着体へ貼り付け時に剥離される剥離材等や、貼り付け時に補助用の台紙となるアプリケーションテープ等、ラベル貼付に供されないものを除いた改ざん防止用ラベルの厚みを意味する。例えば、図1に示された改ざん防止用ラベル1a、1bにおいては、基材11と粘着剤層12の厚みの合計(図1でいうと、それぞれZa、Zbで示される厚み)を指す。また、貼り付け時に除去されないコーティング層等の他の層を有している場合、これら貼り付け時に除去されない他の層の厚みも「貼り付け後の改ざん防止用ラベルの厚み」に含まれる。
なお、本発明でいう基材や粘着剤層等の厚みは、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
本発明において、改ざん防止用ラベルの厚みは、1.2〜12.0μmに調整されるが、好ましくは1.8〜9.0μm、より好ましくは2.0〜7.0μm、更に好ましくは2.5〜5.5μmである。該厚みが1.2μm未満であると、貼り付け時の作業性が劣るため好ましくない。一方、12.0μmを超えると、剥離のきっかけを作ることができ、手剥がしが可能となり、手剥がし防止性能が劣る結果となる。
本発明の改ざん防止用ラベルの基材の厚みは、0.5〜5.0μmであるが、好ましくは1.0〜4.5μm、より好ましくは1.2〜4.2μm、更に好ましくは1.5〜4.0μmである。該厚みが0.5μm未満であると、改ざん防止用ラベルの製造工程の際や貼り付け時に、ラベルに発生するしわや弛みを制御することが難しくなるため好ましくない。一方、該厚みが5.0μmを超えると、基材の引裂強度が強くなり、剥離時にラベルが引き裂かれずに剥離することができてしまい、改ざん防止性能が劣る結果となる。
本発明の改ざん防止用ラベルの粘着剤層の厚みは、0.7〜9.0μmであるが、好ましくは0.8〜7.0μm、より好ましくは1.0〜6.0μm、更に好ましくは1.5〜5.0μmである。該厚みが0.7μm未満であると、粘着力が劣るため好ましくない。一方、9.0μmを超えると、剥離のきっかけを作ることができ、手剥がしが可能となり、手剥がし防止性能が劣る結果となる。
なお、本発明において「粘着剤層の薄膜化」とは、粘着剤層の厚みを9.0μm以下に調整することをいう。
また、本発明において、十分に高い粘着力を付与すると共に、しわや弛みの発生を制御する観点から、基材の厚みと粘着剤の厚みとの比〔基材/粘着剤層〕としては、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは15/85〜85/15、より好ましくは20/80〜80/20、更に好ましくは30/70〜70/30である。
当該比が10/90以上であれば、基材の厚みが十分に確保され、改ざん防止用ラベルの製造工程の際や貼り付け時にラベルに発生するしわや弛みを制御することができる。また、90/10以下であれば、十分に高い粘着力を付与することができる。
[基材]
本発明で用いる基材としては、基材の引裂強度が0.1〜1.8mNであるものが好ましい。0.1mN以上であれば、ある程度破断しにくく、貼付する際の取り扱いが容易であるため好ましい。また、1.8mN以下であれば、貼付後に引裂かれやすく、改ざん防止性能が得られるため好ましい。
本発明で用いる基材の引裂強度は、好ましくは0.1〜1.8mNであるが、より好ましくは0.3〜1.6mN、更に好ましくは0.5〜1.4mNである。
なお、本発明において、基材の引裂強度は、実施例に示された方法により測定された値を意味する。
本発明で用いる基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリウレタンアクリレート等のポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂等の樹脂を含むフィルム;レーヨン、アクリル、ポリエステル等の繊維を用いた織布又は不織布;上質紙、グラシン紙、含浸紙、コート紙等の紙類;アルミ、銅等の金属箔;ウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体等の発泡体;これらの2種以上の積層体等を挙げられる。
これらの中でも、薄膜化に伴って要求される厚みの精度、表面平滑性、入手の容易さの観点から、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルムからなる群から選ばれるいずれか1つであることが好ましい。更には、延伸で薄膜化が容易なポリエチレンテレフタレート、有機溶剤等の希釈液でキャスト方式による薄膜での製膜ができるポリウレタン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルムがより好ましい。
[粘着剤層]
本発明で用いる粘着剤層を構成する粘着剤としては、粘着剤層を薄膜化しても十分に高い粘着力を有するものであれば特に制限はされないが、(A)架橋性官能基を有するアクリル系共重合体と、(B)ウレタン樹脂と、(C)架橋剤とを含有するものが好ましい。また、必要に応じて、その他の添加剤、有機溶媒等を含有してもよい。以下、当該粘着剤中に含まれる各成分について説明する。
<(A)アクリル系共重合体>
本発明で用いる粘着剤は、(A)架橋性官能基を有するアクリル系共重合体(以下、単に「(A)アクリル系共重合体」又は「(A)成分」ともいう)を含有することが好ましい。本発明において、「架橋性官能基を有するアクリル系共重合体」は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、(C)架橋剤と反応する架橋性官能基含有モノマーを含む単量体混合物を原料として、重合反応を経て得られるアクリル系共重合体である。そのため、用いる(A)アクリル系共重合体は、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位と、架橋性官能基含有モノマー由来の構成単位を含む。
なお、以下の記載において、例えば「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味し、他の類似用語も同様である。
(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有量は、薄膜化しても十分な粘着力を得る観点から、(A)成分の全構成単位中、好ましくは70〜99.9質量%、より好ましくは80〜99.5質量%、更に好ましくは85〜99質量%、より好ましくは88〜95質量%である。
架橋性官能基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、薄膜化しても十分な粘着力を得る観点から、(A)成分の全構成単位中、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、更に好ましくは1〜12質量%である。
なお、(A)アクリル系共重合体の共重合形態については特に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
(A)アクリル系共重合体が有する架橋性官能基とは、(C)成分の架橋剤と反応し得る官能基であって、カルボキシ基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。これらの中でも、(C)成分の架橋剤との反応性の観点から、カルボキシ基及び水酸基が好ましく、より高い粘着力を得られるという観点から、カルボキシ基がより好ましい。
また、(A)アクリル系共重合体が有する架橋性官能基は、反応性の観点、及び粘着剤層を薄膜化しても十分に高い粘着力を得る観点から、エチレン性不飽和カルボン酸又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル由来のものが好ましく、エチレン性不飽和カルボン酸由来のものがより好ましい。
上記アクリル系共重合体の主成分モノマーである(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの中でも、粘着剤層を薄膜化しても十分な粘着力を得る観点から、(メタ)アクリル酸ブチルが好ましい。
これらの(メタ)アクリル酸エステルは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、2種以上併用する場合、粘着剤層を薄膜化しても十分な粘着力を得る観点から、アクリル酸ブチルの含有量が、用いる(メタ)アクリル酸エステル中、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%である。
(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、粘着剤層を薄膜化した場合でも十分な粘着力を得る観点から、アクリル系共重合体の原料である単量体混合物中、好ましくは70〜99.9質量%、より好ましくは80〜99.5質量%、更に好ましくは85〜99質量%、より更に好ましくは88〜95質量%である。
架橋性官能基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸及びフマル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピル等の(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル等を挙げられる。なお、これらの単量体は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、架橋剤との反応性の観点、及び粘着剤層を薄膜化しても十分に高い粘着力を得る観点から、エチレン性不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが好ましく、エチレン性不飽和カルボン酸がより好ましい。
架橋性官能基を有する単量体の含有量は、粘着剤層を薄膜化した場合でも十分な粘着力を得る観点から、アクリル系共重合体の原料である単量体混合物中、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、更に好ましくは1〜12質量%である。
なお、(A)アクリル系共重合体は、構成単位として、上記以外の他の単量体由来の構成単位を含んでもよい。
他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体等が挙げられる。これらの単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの単量体混合物から(A)アクリル系共重合体を得る方法は、特に限定されず、溶媒の存在下又は不存在下で、公知の重合方法により行うことができる。用いる溶媒としては、例えば、酢酸エチル、トルエン等を挙げられる。
また、重合反応に際し、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等を挙げられる。これらの重合開始剤の配合量としては、単量体混合物100質量部に対し、好ましくは0.01〜1質量部、より好ましくは0.1〜0.5質量部である。
また、重合条件としては、特に限定されないが、重合温度50〜90℃で、反応時間2〜30時間の条件で行われることが好ましい。
このようにして得られる(A)アクリル系共重合体の重量平均分子量としては、粘着性能等の向上の観点から、好ましくは30万〜150万、より好ましくは40万〜100万、更に好ましくは50万〜80万である。30万以上であれば、粘着剤層の凝集力が向上し、十分な粘着力が得られる。また、150万以下であれば、粘着剤層の弾性率が高くなりすぎず、粘着力の低下を抑えることができる。
なお、本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値を意味し、具体的には実施例に記載の方法により測定された値を示す(以下同じ)。
<(B)ウレタン樹脂>
本発明で用いる粘着剤は、(B)ウレタン樹脂(以下、単に「(B)成分」ともいう)を含有することが好ましい。(B)ウレタン樹脂を含有することで、粘着剤層を薄膜化しても十分に高い粘着力を得ることができる。
本発明において、(A)アクリル系共重合体と(B)ウレタン樹脂との質量比〔(A)/(B)〕は、適度な弾性率を有する粘着剤を得て、粘着剤層を薄膜化しても十分な粘着力を得る観点から、好ましくは1/99〜40/60、より好ましくは5/95〜30/70、更に好ましくは10/90〜25/75である。(B)成分に対する(A)成分の割合を示す当該質量比が1/99以上であれば、弾性率が低くなりすぎることによる粘着力の低下を回避することができ、40/60以下であれば、弾性率が高くなりすぎることによる粘着力の低下を回避することできる。
本発明で用いる(B)ウレタン樹脂としては、(b1)ジオールと(b2)多価イソシアネート化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、(b3)鎖延長剤を反応させて得られるウレタン樹脂が好ましい。
(b1)ジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール等のアルカンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。なお、これらの(b1)ジオールは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの(b1)ジオールの中でも、得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーと(b3)鎖延長剤との反応においてゲル化を抑制する観点から、重量平均分子量1000〜3000程度の中分子量のグリコールが好ましい。
(b2)多価イソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
なお、これらの(b2)多価イソシアネート化合物は、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含有させたイソシアヌレート型変性体であってもよい。
これらの(b2)多価イソシアネート化合物の中でも、粘着剤の物性が優れている観点から、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)及びこれらの変性体から選ばれる1種以上が好ましく、耐候性の観点から、HMDI、IPDI及びこれらの変性体から選ばれる1種以上がより好ましい。
末端イソシアネートウレタンプレポリマーの調製方法としては特に制限されず、例えば、(b1)及び(b2)成分と、必要に応じて添加されるウレタン化触媒と、必要に応じて溶剤とを反応器に仕込んで反応させる方法等が挙げられる。
(b1)と(b2)成分の配合比は、末端にイソシアネート基が残るようにする観点から、NCO基/OH基(モル比)が、好ましくは1.1〜3.0、より好ましくは1.2〜2.5となるように配合して反応させることが好ましい。1.1以上であれば、ゲル化を避けることができるため、増粘する傾向を抑制することができる。一方、3.0以下であれば、末端イソシアネートウレタンプレポリマー中の未反応多価イソシアネート化合物濃度が高くなり過ぎず、後述する(b3)鎖延長剤との反応をスムーズに進行させることができる。
また、使用する(b1)及び(b2)成分の反応性や、(b3)鎖延長剤の配合量によって異なるが、末端イソシアネートウレタンプレポリマー中のイソシアネート基含有量(NCO%)は、JIS K 1603に準じて測定された値において、好ましくは0.5〜12質量%、より好ましくは1〜4質量%である。0.5質量%以上であれば、(b3)鎖延長剤との反応を十分に進行させることができ、12質量%以下であれば、(b3)鎖延長剤との反応を十分に制御することができる。
末端イソシアネートウレタンプレポリマー生成反応において使用される触媒としては、特に制限はないが、3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。
3級アミン系化合物としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)等が挙げられる。
有機金属系化合物としては、錫系化合物、非錫系化合物が挙げられる。
錫系化合物としては、例えば、ジブチル錫ジクロリド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロミド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルフィド、トリブチル錫スルフィド、トリブチル錫オキシド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキシド、トリブチル錫エトキシド、ジオクチル錫オキシド、トリブチル錫クロリド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、例えば、ジブチルチタニウムジクロリド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロリド等のチタン系化合物、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛等の鉛系化合物、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネート等の鉄系化合物、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系化合物、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系化合物、ナフテン酸ジルコニウム等が挙げられる。
これらの触媒の中でも、DBTDL、2−エチルヘキサン酸錫、テトラブチルチタネートが好ましい。なお、これらの触媒は、単独で又は2種以上併用して用いてもよい。
当該反応において用いる触媒の添加量としては、反応性の観点から、(b1)成分100質量部に対して、好ましくは0.0001〜1質量部、より好ましくは0.005〜0.1質量部である。
また、当該反応において必要に応じて用いられる溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種以上併用して用いてもよい。
当該反応における反応温度としては、好ましくは120℃以下、より好ましくは70〜100℃である。120℃以下であれば、アロハネート反応が進行を抑制し、所定の分子量と構造を有する末端イソシアネート基プレポリマーを合成することでき、また、反応速度を十分制御することができる。なお、当該反応における反応時間は、例えば、反応温度を70〜100℃にした場合、好ましくは2〜20時間である。
以上のようにして得た末端イソシアネートウレタンプレポリマーは、(b3)鎖延長剤との鎖延長反応により、ウレタン樹脂となる。
(b3)鎖延長剤としては、特に制限はないが、(b4)水酸基及び/又はアミノ基を2つ有する化合物、(b5)水酸基及び/又はアミノ基を3つ以上有する化合物を用いることが好ましい。
(b4)成分としては、水酸基及び/又はアミノ基を2つ有する化合物であれば特に制限はないが、粘着力の低下をより防止できる観点から、脂肪族ジオール、脂肪族ジアミン、アルカノールアミン、ビスフェノール、芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
脂肪族ジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール等のアルカンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコールが挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン等が挙げられる。
ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、例えば、ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン等が挙げられる。
(b5)成分としては、水酸基及び/又はアミノ基を3つ以上有する化合物であれば特に制限はないが、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオール、1−アミノ−2,3−プロパンジオール、1−メチルアミノ−2,3−プロパンジオール、N−(2−ヒドロキシプロピルエタノールアミン)等のアミノアルコール、テトラメチルキシリレンジアミンのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。
上記(b4)及び(b5)成分におけるアミノ基及び/又は水酸基は、イソシアネート基との反応性の観点から、1級アミノ基、2級アミノ基、又は1級水酸基であることが好ましい。
配合する(b4)成分と(b5)成分との質量比〔(b4)/(b5)〕は、好ましくは70/30〜100/0、より好ましくは75/25〜95/5、更に好ましくは80/20〜90/10である。(b5)成分に対する(b4)成分の割合を示す当該質量比が70/30以上であれば、粘着剤層を薄膜化しても、粘着力の低下を抑えることができ、また、ウレタン樹脂を得る鎖延長反応の際、ゲル化を回避でき、所望の粘着剤を得ることができる。
鎖延長反応としては、例えば、(1)イソシアネート基末端プレポリマーの溶液を反応器に仕込み、その反応器に鎖延長剤を滴下して反応させる方法、(2)鎖延長剤を反応器に仕込み、イソシアネート基末端プレポリマーの溶液を滴下して反応させる方法、(3)イソシアネート基末端プレポリマーの溶液を溶剤で希釈した後、その反応器に鎖延長剤を所定量一括投入して反応させる方法が挙げられる。イソシアネート基が徐々に減少するため均一な樹脂を得やすいことから、(1)又は(3)の方法が好ましい。
溶剤としては、末端イソシアネート基末端プレポリマー生成反応に用い得るものと同様の溶剤を使用することができる。
鎖延長剤の添加量((b4)及び(b5)成分の合計添加量)は、イソシアネート基末端プレポリマーのNCO基の含有量により異なるが、鎖延長後のウレタン樹脂のNCO基が、好ましくは0.01〜1.0モル%、より好ましくは0.05〜0.2モル%となる量である。0.01モル%以上であれば、鎖延長を十分に行うことができ、所望の分子量のウレタン樹脂が得られる。また、1.0モル%以下であれば、鎖延長反応時に急激に増粘してゲル化する現象を抑えることができる。
鎖延長反応における反応温度は、好ましくは20〜80℃である。20℃以上であれば、鎖延長反応を十分な速度で進行させることができる。一方、80℃以下であれば、反応速度を十分に制御することができ、所望の分子量と構造を有するウレタン樹脂が得られる。なお、溶剤存在下で鎖延長反応を行う場合には、反応温度は、溶媒の沸点以下が好ましく、特にMEK、酢酸エチルの存在下では40〜60℃が好ましい。
なお、鎖延長反応における反応時間は、例えば、反応温度を40〜80℃にした場合、好ましくは1〜20時間である。
なお、鎖延長反応の停止のために末端停止剤を使用してもよい。
末端停止剤としては、例えば、イソシアネート基と反応可能な水素を1つだけ有する化合物又はアミノ基を1つだけ有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基と反応可能な水素を1つだけ有する化合物としては、例えば、メタノール、エタノール等のモノオール化合物が挙げられる。
アミノ基を1つだけ有する化合物としては、1級アミノ基又は2級アミノ基を有する化合物を使用することができ、例えば、ジエチルアミン、モルホリン等が挙げられる。
1級アミノ基を1つ有する化合物は、反応可能な水素を2つ有しているが、1つの反応可能な水素が反応した後に残った反応可能な水素は反応性が低いので、実質的に単官能と同等となる。
末端停止剤の添加量は、鎖延長反応後に残存する末端イソシアネート基の1モルに対して、好ましくは1〜2モル、より好ましくは1.1〜1.8モルとなる割合で添加する。末端停止剤の添加量が1モル以上であれば、停止反応後にイソシアネート基が残らないため、得られるウレタン樹脂が安定となる。一方、末端停止剤の添加量が2モル以下であれば、低分子量のウレタン樹脂の生成を抑えることができる。
(B)ウレタン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1万〜30万、より好ましくは3万〜25万、更に好ましくは5万〜20万である。1万以上であれば、粘着特性、特に保持力が向上する傾向にあるため好ましく、30万以下であれば、ゲル化を回避することができる。
<(C)架橋剤>
本発明で用いる粘着剤は、凝集力を高めて所望の粘着力を得る観点から、(A)成分中の架橋性官能基と反応しうる架橋剤を含有する。
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤及びアミン系架橋剤、アミノ樹脂系架橋剤等を挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等の多価イソシアネート化合物が挙げられる。
なお、多価イソシアネート化合物は、上記化合物のトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含むイソシアヌレート型変性体であってもよい。
エポキシ系架橋剤としては、分子中に2個以上のエポキシ基又はグリシジル基を有するものであれば、特に限定されないが、分子中に2個以上のグリシジル基を含む多官能性エポキシ化合物が好ましい。
分子中に2個以上のグリシジル基を含む多官能性エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸グリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル及びポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジ又はトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジ又はトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン等のジグリシジルアミン等が挙げられる。
アジリジン系架橋剤としては、特に限定はされないが、その具体例として、1,1’−(メチレン−ジ−p−フェニレン)ビス−3,3−アジリジニル尿素、1,1’−(ヘキサメチレン)ビス−3,3−アジリジニル尿素、2,4,6−トリアジリジニル−1,3,5−トリアジン、トリメチロールプロパン−トリス−(2−アジリジニルプロピオネート)等が挙げられる。
金属キレート系架橋剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属にアセチルアセトン、アセト酢酸エチル等が配位した化合物等が挙げられる。
アミン系架橋剤としては、ポリアミン、例えば脂肪族ポリアミン(例えばトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、エチレンジアミン、N,N−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、エタノールアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサ−2−スピロ[5.5]ウンデカン等)並びにこれらの塩;芳香族ポリアミン(例えばジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
アミノ樹脂系架橋剤としては、例えば、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロールN,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミン等が挙げられるが、好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、及びメチロール化ベンゾグアナミン等を挙げることができる。
これらの中でも、粘着剤層を薄膜化した場合でも高い粘着力を得る観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。なお、上記の架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
架橋剤の含有量は、粘着剤層を薄膜化しても高い粘着力を得る観点から、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜8質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である。
<その他の成分>
本発明で用いる粘着剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を配合することができる。その他の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、粘着付与剤、可塑剤、消泡剤及び濡れ性調整剤等が挙げられる。
なお、本発明の改ざん防止用ラベルにおいて、更にコーティング層、印刷受容層、印刷層等の他の層を有していてもよい。ただし、他の層を構成する場合、他の層の厚みは、被着体に貼り付け後の改ざん防止用ラベルの厚みが1.2〜12.0μmの範囲となるように、適宜調整される。
[剥離材]
本発明の改ざん防止用ラベルにおいて、更に、粘着剤層上に剥離材が貼付されていてもよい。
用いる剥離材としては、特に制限が無いが、取り扱い易さの観点から、基材上に剥離剤を塗布した剥離シートが好ましい。剥離シートは、基材の両面に剥離剤が塗布され剥離処理がされたものでもよく、基材の片面のみに剥離剤が塗布され剥離処理がされたものでもよい。
剥離シートの基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、キャストコート紙等の紙基材、これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、又はポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
剥離シートの厚みとしては、特に制限はないが、通常20〜200μm、好ましくは25〜150μmである。
その剥離シートの剥離剤からなる層の乾燥後の厚みとしては、特に限定されないが、剥離剤を溶液状態で塗布する場合は、好ましくは0.01〜2.0μm、より好ましくは0.03〜1.0μmである。
剥離シートの基材の厚みとしては、基材としてプラスチックフィルムを用いる場合、好ましくは3〜50μm、より好ましくは5〜40μmである。
[アプリケーションテープ]
本発明の改ざん防止用ラベルにおいて、更に、基材上にアプリケーションテープが貼付されていてもよい。
用いるアプリケーションテープとしては、特に制限が無いが、取り扱い易さの観点から、貼付作業性を損なわない程度に剛性を有するアプリケーションテープ用基材上に、アプリケーションテープ用粘着剤を塗布した粘着シートが好ましい。
アプリケーションテープ用基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、キャストコート紙等の紙基材、これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、又はポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。
アプリケーションテープ用粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられるが、貼り付け時には本発明の改ざん防止用ラベルを支持することができ、貼り付け後には基材から容易に粘着剤が残ることなく剥離が可能な程度の粘着力及び凝集力を有する粘着剤が好ましい。
[改ざん防止用ラベルの製造方法]
本発明の改ざん防止用ラベルの製造方法は、特に限定されない。
例えば、図1(a)に示す改ざん防止用ラベル1aであれば、基材11の一方の面上に、粘着剤を塗布、乾燥させて粘着剤層12を形成して作製することができる。
また、図1(b)に示す改ざん防止用ラベル1bであれば、剥離材13の面上に、粘着剤を塗布、乾燥させて粘着剤層12付きの剥離材を作製した後、該粘着剤層12と基材11とを貼り合わせて作製することができる。なお、更にその剥離材を除去して、図1(a)の改ざん防止用ラベル1aとすることもできる。
粘着剤を基材や剥離材に塗布する際、厚みの薄い粘着剤層を形成しやすくするために、粘着剤を有機溶媒で希釈して粘着剤溶液とすることが好ましい。
用いる有機溶媒としては、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらの有機溶媒を配合して、適度な固形分濃度の粘着剤溶液とすることで、厚みの薄い粘着剤層を容易に形成することができる。
粘着剤溶液の固形分濃度としては、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜40質量%である。5質量%以上であれば、溶剤の使用量としては十分であり、60質量%以下であれば、適度な粘度となり粘着剤溶液を塗布するに際して作業性が良好となる。
なお、上記粘着剤中に含まれる樹脂の調製に際し、該樹脂が有機溶媒に含有された状態で調製された場合、樹脂の調製で用いた有機溶媒と同じものを用いて、上記固形分濃度になるように希釈してもよい。
基材上又は剥離材上に粘着剤層を形成する方法は、特に制限はなく、例えば、上記の有機溶媒を配合した粘着剤(溶液)を公知の塗布方法により形成する方法が挙げられる。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の公知の方法が挙げられる。
また、溶剤や低沸点成分の残留を防ぐと共に、架橋剤が配合されている場合には架橋(反応)を進行させて粘着性を発現するために、基材や剥離材に塗布した後、加熱処理をすることが好ましい。
加熱処理の温度条件としては、好ましくは70〜150℃、より好ましくは80〜120℃である。加熱処理の処理時間としては、好ましくは30秒〜5分間、より好ましくは40〜180秒間である。
本発明の改ざん防止用ラベルのJIS Z0237:2000に基づく粘着力は、23℃、50%RH(相対湿度)の条件下で、好ましくは5.0N/25mm以上、より好ましくは6.0N/25mm以上、より好ましくは6.5N/25mm以上、更に好ましくは7.0N/25mm以上である。
なお、本発明において、上記粘着力の値は、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
以下の実施例の記載において示された各種物性値は、以下のとおり測定した値である。
(1)重量平均分子量(Mw)
下記の装置及び条件にて測定し、標準ポリスチレン換算にて求めた値である。
装置名:「HLC−8220GPC」(東ソー株式会社製)
カラム:「TSKgelGMHXL」、「TSKgelGMHXL」、及び「TSKgel2000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
展開溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:80μl
測定温度:40℃
流速:1.0mL/min
検出器:示差屈折計
(2)厚み測定
改ざん防止用ラベルの各層の厚み並びに総厚は、JIS K7130に準じて、定圧厚さ測定器(テクロック社製、製品名「PG−02」)を用いて測定した。
(3)引裂強度
用いた基材を75mm×63mmにカットして16枚重ね、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、JIS K 7128に準じて、エレメンドルフ引き裂き試験を4回行い、得られた引裂強度の値の平均値を算出し、その1/16の値を引裂強度とした。
製造例1
(アクリル系共重合体(A1)溶液の調製)
単量体成分として、アクリル酸ブチル90質量部、及びアクリル酸10質量部、溶剤として、酢酸エチル200質量部、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を反応器に入れ混合した。4時間窒素ガスで脱気を行い、60℃まで徐々に昇温した後、24時間撹拌しながら重合反応を行ない、重量平均分子量が65万のアクリル系共重合体(A1)を含む酢酸エチル溶液(固形分濃度:約33質量%)を得た。
製造例2
(アクリル系共重合体(A2)溶液の調製)
単量体成分として用いた、アクリル酸ブチルの使用量を95質量部、アクリル酸の使用量を5質量部とした以外は、製造例1と同様にして重合反応を行い、重量平均分子量が65万のアクリル系共重合体(A2)を含む酢酸エチル溶液(固形分濃度:約33質量%)を得た。
製造例3
(ウレタン樹脂(B1)溶液の調製)
(b1)ジオールとして、ポリプロピレングリコール(重量平均分子量:2000)100質量部、(b2)多価イソシアネート化合物として、ヘキサメチレンジイソシアネート10.1質量部(NCO基/OH基(モル比)=1.2)、触媒として、ジブチル錫ジラウレート0.01質量部を混合し、85℃まで徐々に昇温した後、2時間撹拌し、末端イソシアネートウレタンプレポリマーを得た。
得られた末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、トルエン110質量部を加え、室温まで除冷した後に、鎖延長剤として、(b4)成分にあたる2−アミノエタノール0.40質量部を滴下し、70℃まで徐々に昇温した後、2時間撹拌し、重量平均分子量が14万のウレタン樹脂(B1)を含むトルエン溶液(固形分濃度:約50.2質量%)を得た。
製造例4
(ウレタン樹脂(B2)溶液の調製)
鎖延長剤として用いた「2−アミノエタノール0.40質量部」に変えて、鎖延長剤として、(b4)成分にあたる「1,4−ブタンジオール0.48質量部」と(b5)成分にあたる「トリメチロールプロパン0.12質量部」を用いた以外は、製造例3と同様にして、重量平均分子量が14万のウレタン樹脂(B2)を含むトルエン溶液(固形分濃度:約50.2質量%)を得た。
製造例5
(ポリウレタンアクリレートフィルムの作製)
アクリルポリオール化合物(亜細亜工業社製、製品名「エクセロール290」)100質量部(固形分)と、ジイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートHL」、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体(トリメチロールプロパン付加物)の酢酸エチル溶液(固形分75質量%))10質量部(固形分)の混合物を、シリコーン処理された38μmポリエステルフィルム(リンテック社製、製品名「SP−PET382150」)の剥離処理がなされた面上に、乾燥後の基材の厚みが所定の厚み(4.5μm及び6μm)となるように塗布し、100℃で1分間加熱し、基材として使用するポリウレタンアクリレートからなるポリウレタン系樹脂フィルムを得た。
実施例1
(1)粘着剤の調製
(A)アクリル系共重合体として、製造例1で調製したアクリル系共重合体(A1)の溶液20質量部(固形分)、(B)ウレタン樹脂として、製造例3で調製したウレタン樹脂(B1)の溶液80質量部(固形分)、(C)架橋剤として、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートL」、トリレンジイソシアネートの変性体(トリメチロールプロパン付加物)の酢酸エチル溶液(固形分75質量%))2.25質量部(固形分)の混合物を、固形分が10質量%となるようにトルエンで希釈し、粘着剤の溶液を調製した。
(2)改ざん防止用ラベルの作製
上記調製した粘着剤の溶液を、シリコーン処理された38μmポリエステルフィルム(リンテック社製、製品名「SP−PET381031」)の剥離処理がなされた面上に、乾燥後の粘着剤層の厚みが1μmとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥した後、粘着シートを作製した。その粘着シートの粘着剤層上に、基材として、厚みが2μmのPET(東レ社製、製品名「PET2D C−61」)を貼り合わせ、改ざん防止用ラベル1を作製した。
実施例2
粘着剤について、ウレタン樹脂(B1)の溶液に変えて、製造例4で調製した「ウレタン樹脂(B2)の溶液」を用い、乾燥後の粘着剤層の厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様にして、改ざん防止用ラベル2を作製した。
実施例3
基材について、厚みが2μmのPETに変えて、厚みが3.5μmのPET(三菱樹脂社製、製品名「K230−3.5W」)を用い、乾燥後の粘着剤層の厚みを5μmとした以外は、実施例1と同様にして、改ざん防止用ラベル3を作製した。
実施例4
基材について、厚みが2μmのPETに変えて、厚みが4.5μmのPET(三菱樹脂社製、製品名「K880−4.5W」)を用い、粘着剤について、アクリル系共重合体(A1)の溶液に変えて、製造例2で調製した「アクリル系共重合体(A2)の溶液」を用い、ウレタン樹脂(B1)の溶液に変えて、製造例4で調製した「ウレタン樹脂(B2)の溶液」を用い、乾燥後の粘着剤層の厚みを5μmとした以外は、実施例1と同様にして、改ざん防止用ラベル4を作製した。
参考例5
基材について、厚みが2μmのPETに変えて、製造例5に基づき作製した「厚みが4.5μmのポリウレタンアクリレートからなる基材」を用い、粘着剤として、アクリル系粘着剤(リンテック社製、製品名「P1069」)を用い、乾燥後の粘着剤層の厚みを7μmとした以外は、実施例1と同様にして、改ざん防止用ラベル5を作製した。
実施例6
基材について、厚みが2μmのPETに変えて、製造例5に基づき作製した「厚みが4.5μmのポリウレタンアクリレートからなる基材」を用い、乾燥後の粘着剤層の厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様にして、改ざん防止用ラベル6を作製した。
実施例7
基材について、厚みが2μmのPETに変えて、製造例5に基づき作製した「厚みが4.5μmのポリウレタンアクリレートからなる基材」を用いた以外は、実施例1と同様にして、改ざん防止用ラベル7を作製した。
比較例1
基材について、厚みが2μmのPETに変えて、厚みが6μmのPET(三菱樹脂社製、製品名「K205−6E」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、改ざん防止用ラベル8を作製した。
比較例2
基材について、厚みが2μmのPETに変えて、製造例5に基づき作製した「厚みが6μmのポリウレタンアクリレートからなる基材」を用いた以外は、実施例1と同様にして、改ざん防止用ラベル9を作製した。
比較例3
基材について、厚みが2μmのPETに変えて、厚みが12μmのPET(三菱樹脂社製、製品名「T100」)を用い、乾燥後の粘着剤層の厚みを15μmとした以外は、実施例1と同様にして、改ざん防止用ラベル10を作製した。
比較例4
基材について、厚みが2μmのPETに変えて、厚みが25μmのPET(東レ社製、製品名「ルミラー T60 #25」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、改ざん防止用ラベル11を作製した。
比較例5
基材について、厚みが2μmのPETに変えて、厚みが4.5μmのPET(三菱樹脂社製、製品名「K880−4.5W」)を用い、乾燥後の粘着剤層の厚みを12μmとした以外は、実施例1と同様にして、改ざん防止用ラベル12を作製した。
比較例6
基材について、厚みが2μmのPETに変えて、厚みが12μmのPET(三菱樹脂社製、製品名「T100」)を用い、乾燥後の粘着剤層の厚みを5μmとした以外は、実施例1と同様にして、改ざん防止用ラベル13を作製した。
以上のようにして得た改ざん防止用ラベル1〜13について、以下の試験を行って評価した。その評価結果を表1に示す。
(試験1)粘着力測定
汎用アクリル系粘着シート(リンテック社製 製品名「PET25(A) PAT1 8LK」)の剥離紙を剥がして、実施例及び比較例で作製した改ざん防止用ラベルの基材側に貼付して、粘着力測定時に改ざん防止用ラベルが破断しないように補強した。次いで23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、25mm×300mmにカットした試験片をステンレス板(SUS304)に貼付して、試験サンプルとした。そして、同じ環境下で、JIS Z0237:2000に基づき、貼付後24時間時点の粘着力を180°引き剥がし法による引張り速度300mm/分にて測定した。
(試験2)手剥がし防止試験
実施例及び比較例で作製した改ざん防止用ラベルを、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、50mm×50mmにカットした試験片をステンレス板(SUS304)に貼付して、試験サンプルとした。そして、貼付したサンプルを手の爪を用いて剥離のきっかけを作ってサンプルを剥離しようと試み、以下の基準で評価した。
○:剥離のきっかけを作ることができず、剥がせなかった(手剥がし防止性能を有する)。
×:剥離のきっかけを作ることができ、剥がせた(手剥がし防止性能が無い)。
(試験3)改ざん防止試験
実施例及び比較例で作製した改ざん防止用ラベルを、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、50mm×50mmにカットした試験片を、ステンレス板(SUS304)に貼付して、試験サンプルとした。なお、貼付する際、試験片の四隅のうち1角を折り曲げて、剥離する際に手でつかめるきっかけを予め設けた。そして、貼付したサンプルを、予め設けたきっかけを手でつまみ、手剥がしにて剥離した。この試験を5回繰り返し、5回中に剥離する途中で改ざん防止用ラベルが引き裂かれた(改ざん防止の効果が得られた)回数にて評価した。
表1より、本発明の実施例1〜7の改ざん防止用ラベル1〜7は、優れた粘着力を有すると共に、手剥がし防止性能及び改ざん防止性能のいずれも優れていることがわかる。
一方、比較例1、2の改ざん防止用ラベルは、手剥がし防止性能は有しているが、改ざん防止性能は発揮されなかった。また、比較例3、4、6の改ざん防止用ラベルは、手剥がし防止性能、改ざん防止性能のいずれも発揮されなかった。そして、比較例5の改ざん防止用ラベルは、改ざん防止性能は有しているが、手剥がし防止性能は発揮されなかった。
本発明の改ざん防止用ラベルは、優れた粘着力を有すると共に、貼り付け後に剥離のきっかけが作り難いため容易に剥がすことができず、たとえ剥がされた場合でも、剥がされた事実を容易に発見できるため剥がされた事実の隠滅を防止することができる。そのため、例えば、医薬品や食品等の高いセキュリティ性が求められるパッケージに貼り付けられるラベルや、高価な電子機器等に貼付けられるラベル等の分野に好適である。
1a、1b 改ざん防止用ラベル
11 基材
12 粘着剤層
13 剥離材

Claims (10)

  1. 基材と粘着剤層とを有する改ざん防止用ラベルであって、
    前記基材の厚みが0.5〜4.5μmであり、
    前記粘着剤層の厚みが0.7〜5.0μmであり、
    改ざん防止用ラベルの厚みが1.2〜12.0μmであり、
    前記基材の引裂強度が0.1〜1.8mNであり、
    23℃、50%RH(相対湿度)の条件下で、JIS Z0237:2000に基づき測定した粘着力が、5.0N/25mm以上である、改ざん防止用ラベル。
  2. 前記基材が、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルムからなる群から選ばれるいずれか1つである、請求項1に記載の改ざん防止用ラベル。
  3. 前記粘着剤層を構成する粘着剤が、(A)架橋性官能基を有するアクリル系共重合体と、(B)ウレタン樹脂と、(C)架橋剤とを含有するものである、請求項1又は2に記載の改ざん防止用ラベル。
  4. (B)ウレタン樹脂が、(b1)ジオールと(b2)多価イソシアネート化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、(b3)鎖延長剤を反応させて得られるものであり、
    (b3)鎖延長剤が、(b4)水酸基及びアミノ基から選ばれる基を2つ有する化合物、並びに、(b5)水酸基及びアミノ基から選ばれる基を3つ以上有する化合物、よりなる群から選択される1種以上の化合物であり、
    (b4)成分と(b5)成分との質量比〔(b4)/(b5)〕が、70/30〜100/0である、請求項に記載の改ざん防止用ラベル。
  5. (b4)成分が水酸基及びアミノ基を有する、請求項に記載の改ざん防止用ラベル。
  6. (b1)ジオールが、重量平均分子量1,000〜3,000のグリコールである、請求項4又は5に記載の改ざん防止用ラベル。
  7. (A)成分の架橋性官能基が、エチレン性不飽和カルボン酸又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル由来のものである、請求項3〜6のいずれかに記載の改ざん防止用ラベル。
  8. (A)アクリル系共重合体と(B)ウレタン樹脂との質量比〔(A)/(B)〕が、1/99〜40/60である、請求項3〜7のいずれかに記載の改ざん防止用ラベル。
  9. (A)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が、30万〜150万である、請求項3〜8のいずれかに記載の改ざん防止用ラベル。
  10. 基材の厚みと粘着剤層の厚みとの比〔基材/粘着剤層〕が、10/90〜90/10である、請求項1〜のいずれかに記載の改ざん防止用ラベル。
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