JP5908126B2 - ブラシ付きモータ - Google Patents

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Description

本発明は、ブラシ付きモータにおける整流時の火花抑制技術に関し、特に、ブラシ−コンミテータ間に発生する整流火花による電磁ノイズの低減や、ブラシの長寿命化に対し有効な技術に関する。
従来、自動車等の車両に搭載されるパワーウィンド装置やサンルーフ装置等における駆動源として、減速機構を備えたモータ装置が用いられている。このようなモータ装置には、ブラシ付きの電動モータが多く採用されている。ブラシ付きモータでは、回転軸に固定されたコンミテータに複数のブラシが接触している。コンミテータの外周には、導電部材からなる複数枚のセグメントが配置される。各ブラシは、セグメントに摺接し、モータのアーマチュアに対し電力を供給する。
一方、ブラシ付きモータは、駆動状態によっては、コンミテータとブラシとの間で整流火花が生じ、サージ電圧(火花電圧)が発生する。サージ電圧が発生した場合、モータから、高周波の電磁ノイズが外部に放射される。電磁ノイズが外部に放射されると、他の車載機器(カーオーディオや制御機器等)に電磁ノイズが伝搬し、ラジオノイズが発生したり、制御機器等に悪影響を与えたりするおそれがある。そこで、ブラシ付きモータでは、コンミテータにコンデンサやバリスタ等の雑防素子を電気的に接続して設け、当該雑防素子により電磁ノイズを吸収している。
雑防素子を備えたモータとしては、例えば、特許文献1のようなAV機器用のDCマイクロモータが知られている。特許文献1のモータは、特に電磁ノイズの発生が許されない機器(CDプレーヤやヘッドホンステレオ等)に搭載され、コンミテータにリングバリスタ(雑防素子)が装着されている。そして、リングバリスタにより、コンミテータとブラシの間に発生する火花を消去(吸収)している。
特開平8−140314号公報
しかしながら、リングバリスタを用いたモータでは、ブラシ間に、ブラシと接触していない独立したセグメントが存在すると、セグメント間電圧がブラシ間電圧よりも低くなる。その結果、サージ電圧がリングバリスタのバリスタ電圧を下回ってしまい、火花制御が困難になるという問題があった。例えば、4極20セグメントの20スロット4ブラシのモータでは、ブラシ間のセグメントまたぎ数(独立したセグメントの数:ここでは3枚)を考慮すると、セグメント間電圧Vsgはブラシ間電圧Vbの1/4となる(図19参照)。これに対し、リングバリスタのバリスタ電圧Vrvaは、通常、ブラシ間電圧Vbより高い電圧に設定される。従って、上述のように、セグメント間電圧Vsgがブラシ間電圧Vbの1/4となっているモータでは、バリスタ電圧Vrvaは、セグメント間電圧Vsgの4倍以上の値となる。
一方、前述のような状況にて、整流時にセグメント間で火花が生じると、セグメント間電圧Vsgはブラシ間電圧Vbの1/4であるため、セグメント間のサージ電圧Vsrは、ブラシ間電圧Vbよりも低くなることが想定される(Vsr<Vb)。すると、サージ電圧Vsrがバリスタ電圧Vrvaを下回り(Vsr<Vrva)、リングバリスタがバリスタとして機能しなくなる(図19のP部)。その結果、セグメント間で火花が生じても、火花による発生電圧を吸収できず、火花を抑制することが困難となる。すなわち、コンミテータにリングバリスタを取り付けても、それが有効な火花抑制対策とはならなかった。
また、リングバリスタを用いたモータでは、整流子の外径に合わせたリングバリスタを予め準備し、このリングバリスタをモータ組立時に整流子の長手方向から装着する必要がある。さらに、モータをスムーズに回転駆動させるためには、整流子の回転中心とリングバリスタの回転中心を精度良く一致させる必要があり、リングバリスタの装着には煩瑣な組立作業工程が必要となる。加えて、定格出力等、モータ仕様に対応して寸法違いのリングバリスタを種々準備する必要があり、部品管理が煩雑となるという問題もあった。
本発明のブラシ付きモータは、回転軸と、前記回転軸に固定されたコンミテータと、前記回転軸に固定されたコアと、前記コアに巻装されて前記コンミテータに接続されたコイルとを備えるアーマチュアと、前記コンミテータに接触し、前記コイルに対し駆動電流を供給するブラシと、を有するブラシ付きモータであって、前記コンミテータは、絶縁材料にて形成されたボディ部と、前記ボディ部に複数個取り付けられ、前記ブラシに摺接すると共に前記コイルと電気的に接続される導電性のセグメントと、前記各セグメント間にそれぞれ形成され、隣接する前記セグメント同士を電気的に絶縁する絶縁部と、隣接する前記セグメントに接触するように前記絶縁部ごとに個別に設けられ、前記セグメントに所定の電圧以上のサージ電圧が生じたとき導通するバリスタ部と、を有し、前記バリスタ部は、合成樹脂に、粉砕したバリスタ機能物質と導電性を有する微粒子を混合させたノイズ吸収接着剤にて形成され、該ノイズ吸収接着剤は、前記合成樹脂をVa、前記バリスタ機能物質をCe、前記微粒子をCとしたとき、5V以上の前記サージ電圧にて前記バリスタ部に電流が流れるように、これらの混合比率がVa:Ce:C=1:6:3に設定されてなることを特徴とする。
本発明にあっては、コンミテータの各セグメント間に、所定の電圧以上のサージ電圧が生じたとき導通するバリスタ部を個々に設け、各バリスタ部を、合成樹脂に、粉砕したバリスタ機能物質と導電性を有する微粒子を混合させたノイズ吸収接着剤にて形成し、前記合成樹脂をVa、前記バリスタ機能物質をCe、前記微粒子をCとしたとき、5V以上の前記サージ電圧にて前記バリスタ部に電流が流れるように、これらの混合比率をVa:Ce:C=1:6:3に設定したので、各バリスタ部が、個々のセグメント間においてサージ電圧を吸収するバリスタとして機能する。その結果、例えば、ブラシ間に独立セグメントが存在するなど、リングバリスタでは火花制御が困難であったモータにおいても、コンミテータとブラシとの間に発生する整流火花によるサージ電圧を吸収でき、整流火花に起因する電磁ノイズを抑えることが可能となる。
また、本発明の他のブラシ付きモータは、回転軸と、前記回転軸に固定されたコンミテータと、前記回転軸に固定されたコアと、前記コアに巻装されて前記コンミテータに接続されたコイルとを備えるアーマチュアと、前記コンミテータに接触し、前記コイルに対し駆動電流を供給するブラシと、を有するブラシ付きモータであって、前記コンミテータは、絶縁材料にて形成されたボディ部と、前記ボディ部に複数個取り付けられ、前記ブラシに摺接すると共に前記コイルと電気的に接続される導電性のセグメントと、前記各セグメント間にそれぞれ形成され、隣接する前記セグメント同士を電気的に絶縁する絶縁部と、隣接する前記セグメントに接触するように前記絶縁部ごとに個別に設けられると共に、前記セグメント間を跨ぐ形で前記コンミテータの表面に半球状に形成され、前記セグメントに所定の電圧以上のサージ電圧Vsrが生じたとき導通するバリスタ電圧Vdvaを有するバリスタ部と、を備え、前記セグメントには、前記ブラシの間に、該ブラシと接触しない独立セグメントが存在し、前記バリスタ電圧Vdvaは、前記サージ電圧Vsrが前記ブラシ間の電圧Vbを下回っている場合においても、前記サージ電圧Vsrよりも小さくなるよう設定されてなる(Vb>Vsr>Vdva)ことを特徴とする。
さらに、本発明の他のブラシ付きモータは、回転軸と、前記回転軸に固定されたコンミテータと、前記回転軸に固定されたコアと、前記コアに巻装されて前記コンミテータに接続されたコイルとを備えるアーマチュアと、前記コンミテータに接触し、前記コイルに対し駆動電流を供給するブラシと、を有するブラシ付きモータであって、前記コンミテータは、絶縁材料にて形成されたボディ部と、前記ボディ部に複数個取り付けられ、前記ブラシに摺接すると共に前記コイルと電気的に接続される導電性のセグメントと、前記各セグメント間にそれぞれ形成され、隣接する前記セグメント同士を電気的に絶縁する絶縁部と、隣接する前記セグメントに接触するように前記絶縁部ごとに個別に設けられ、前記セグメントに所定の電圧以上のサージ電圧Vsrが生じたとき導通するバリスタ電圧Vdvaを有するバリスタ部と、を備え、前記セグメントには、前記ブラシの間に、該ブラシと接触しない独立セグメントが存在し、前記バリスタ電圧Vdvaは、前記サージ電圧Vsrが前記ブラシ間の電圧Vbを下回っている場合においても、前記サージ電圧Vsrよりも小さくなるよう設定され(Vb>Vsr>Vdva)、前記コンミテータのボディ部は、前記セグメントが載置されるセグメント配置部と、該セグメント配置部間に形成され前記セグメント配置部を各セグメントに対応して区分する複数個の溝と、前記溝に形成され前記バリスタ部が配置される空隙部と、を有し、前記空隙部は、前記溝を周方向に拡大する形で前記コンミテータの外周面に形成されることを特徴とする。
前記他のブラシ付きモータにおいて、前記バリスタ部を、合成樹脂に、粉砕したバリスタ機能物質と導電性を有する微粒子を混合させたノイズ吸収接着剤にて形成し、該ノイズ吸収接着剤を、前記合成樹脂をVa、前記バリスタ機能物質をCe、前記微粒子をCとしたとき、5V以上の前記サージ電圧にて前記バリスタ部に電流が流れるように、これらの混合比率がVa:Ce:C=1:6:3に設定するようにしても良い。
加えて、本発明の他のブラシ付きモータは、回転軸と、前記回転軸に固定されたコンミテータと、前記回転軸に固定されたコアと、前記コアに巻装されて前記コンミテータに接続されたコイルとを備えるアーマチュアと、前記コンミテータに接触し、前記コイルに対し駆動電流を供給するブラシと、を有するブラシ付きモータであって、前記コンミテータは、絶縁材料にて形成されたボディ部と、前記ボディ部に複数個取り付けられ、前記ブラシに摺接すると共に、前記コイルと電気的に接続されるライザを備えた導電性のセグメントと、前記各セグメント間にそれぞれ形成され、隣接する前記セグメント同士を電気的に絶縁する絶縁部と、隣接する前記セグメントに接触するように前記絶縁部ごとに個別に設けられ、前記セグメントに所定の電圧以上のサージ電圧が生じたとき導通するバリスタ部と、を有し、前記バリスタ部は、前記ライザを覆うように設けられることを特徴とする。
一方、前記バリスタ部を、前記コンミテータの前記ブラシと接触しない部位に配置しても良く、これにより、バリスタ部がブラシと接触することがなく、信頼性が確保される。
本発明のブラシ付きモータは、所定の電圧以上のサージ電圧が生じたとき導通するバリスタ部をコンミテータの各セグメント間に設けたので、各バリスタ部が、個々のセグメント間においてサージ電圧を吸収するバリスタとして機能する。このため、例えば、ブラシ間に独立セグメントが存在するなど、リングバリスタでは火花制御が困難であったモータにおいても、コンミテータとブラシとの間に発生する整流火花によるサージ電圧を適宜吸収でき、整流火花に起因する電磁ノイズを抑えることが可能となる。
本発明の実施の形態1である電動モータを使用した減速機構付モータ装置の部分断面図である。 図1のモータ装置の内部に設けられるアーマチュア,コンミテータ等を示す斜視図である。 図1のモータ装置に使用される電動モータのコンミテータ近傍を拡大して示した断面図である。 ノイズ吸収接着剤を形成する物質(含有素材)を模式的に示した説明図である。 セグメント数とブラシ数によるリングバリスタと分割バリスタの有効性を示した表である。 バリスタの有無によるコンミテータ摩耗速度の違いを示す説明図(駆動時間240h)である。 バリスタの有無によるコンミテータの表面粗さと真円度の違いを示す説明図(駆動時間240h)である。 他のノイズ吸収接着剤の構成を模式的に示した説明図である。 図8のノイズ吸収接着剤の製造工程とその使用過程を示す説明図である。 導電物質を付着させたノイズ吸収接着剤のバリスタ特性を示した説明図である。 実施の形態2であるコンミテータのボディ部の構成を示す説明図である。 実施の形態2であるコンミテータの断面図である。 図12の矢示A方向の側面図である。 実施の形態3であるコンミテータの構成を示す説明図である。 実施の形態4であるコンミテータの構成を示す説明図である。 実施の形態5であるコンミテータ(ディスクコンミテータ)の構成を示す説明図である。 実施の形態5のコンミテータの変形例である。 バリスタ部を設ける部位に、セグメントを切り欠く形でバリスタ装着部を形成した変形例を示す説明図である。 ブラシ間電圧とセグメント間電圧、バリスタ電圧の関係を示す説明図である。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態1である電動モータ1(以下、モータ1と略記する)を使用した減速機構付モータ装置10(以下、モータ装置10と略記する)の部分断面図である。図2は、図1のモータ装置10の内部に設けられるアーマチュア,コンミテータ等を示す斜視図である。図3は、図1のモータ装置10のコンミテータ近傍を拡大して示した断面図である。
図1〜図3に示すように、モータ装置10は、自動車等の車両に搭載されるパワーウィンド装置(図示せず)の駆動源として用いられる。モータ装置10は、モータ1と、当該モータ1の回転を減速するギヤ部2とを備えている。モータ1とギヤ部2は、複数の締結ネジ3によって結合され、モータ装置10としてユニット化されている。
モータ1は、有底筒状に形成されたヨーク11を備えている。ヨーク11は、鋼板をプレス加工して形成される。ヨーク11の端部には、開口部12が設けられている。ヨーク11の内部には、2対のマグネット13が対向配置されている。各マグネット13の内側には、アーマチュア14が回転自在に設けられている。アーマチュア14は、電磁鋼板を積層したアーマチュアコア15と、アーマチュアコア15に巻装されたコイル16とを有している。
アーマチュア14の回転中心には、回転軸として、アーマチュア軸17が貫通固定されている。アーマチュア軸17の一端側(図中左側)は、軸受18aを介してヨーク11に回転自在に支持されている。アーマチュア軸17の他端側(図中右側)は、軸受18bを介してブラシホルダ19に回転自在に支持されている。
アーマチュア軸17の他端側、アーマチュア14寄りには、略筒状に形成されたコンミテータ20が固定されている。コンミテータ20は、絶縁材料(例えば、フェノール樹脂等の合成樹脂)にて形成された円筒形のボディ部21と、ボディ部21の外周に取り付けられた複数のセグメント22とを備えている。コンミテータ20は、セグメント22とボディ部21をモールド成形により一体化して形成される。導電材にて形成されたセグメント22の間には、絶縁部としてスリット23が形成されている。各セグメント22の一端側には、ライザ24がそれぞれ一体に設けられている。各ライザ24は、コンミテータ20の径方向外側に向けて折り返されている。各ライザ24には、アーマチュア14に巻回されたコイル16の端部がそれぞれ電気的に接続されている。
コンミテータ20の外周部分にはブラシ25が摺接している。ブラシ25は、2対4個設けられており、ブラシホルダ19に保持されている。各ブラシ25は、ブラシスプリング26によって、所定圧にてコンミテータ20に向かって押圧されている。各ブラシ25には、図示しない電源から駆動電流が供給される。コイル16には、ブラシ25とコンミテータ20を介して駆動電流が供給される。これにより、アーマチュア14に回転力(電磁力)が発生し、アーマチュア軸17が所定の回転速度、回転トルクで回転する。
本発明によるモータ1は、図1〜図3に示すように、コンミテータ20のセグメント22間のそれぞれに、ノイズ吸収接着剤を用いたバリスタ部27が設けられている。すなわち、従来の全周型のリングバリスタに対し、当該モータ1は、分割型のバリスタ構造となっている。ノイズ吸収接着剤は、スリット23を覆い、隣接するセグメント22間を跨ぐ形でスポット状(点状)に塗布されている。バリスタ部27は、隣接するセグメント22間を電気的に接続可能な状態で設けられる。バリスタ部27は、コンミテータ20とブラシ25が摺接しない部位(ブラシ非摺接部)に配置されており、周方向に沿って全てのスリット23に設けられている。図1〜図3は、ノイズ吸収接着剤が硬化した状態を示しており、バリスタ部27は、硬化したノイズ吸収接着剤によって半球状に形成される。
図4は、ノイズ吸収接着剤を形成する物質(含有素材)を模式的に示した説明図である。バリスタ部27に使用されているノイズ吸収接着剤は、エポキシ樹脂等の合成樹脂を主成分とした接着剤である。ここでは、図4に示すように、エポキシ樹脂としてのワニス28をベースとしたワニス混錬材がノイズ吸収接着剤として使用されている。ワニス28の内部には、粉砕した半導体セラミック29とカーボン粒子30が所定の割合で混合(含有)されている。半導体セラミック29は、バリスタ機能物質を構成し、カーボン粒子30は導電性を有する微粒子を構成する。
半導体セラミック29には、強誘電体として知られるチタン酸バリウム(BaTiO3)や、誘電率の温度変化が小さいチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)等が使用される。当該ノイズ吸収接着剤では、これらの物質を高温で焼き固めたブロック体(図示せず)を粉砕し、鱗片形状としたものを半導体セラミック29として使用している。半導体セラミック29をこのように鱗片状とするのは、ノイズ吸収接着剤が硬化して収縮する際に、各半導体セラミック29が重なり接触し易くするためである。これにより、バリスタとしての特性(電流の流れ易さ等)が製品毎にばらつくことが抑制される。そして、粉砕された半導体セラミック29をワニス28に混合する(含有させる)ことで、ノイズ吸収接着剤はバリスタとしての機能を備えることになる。
当該ノイズ吸収接着剤では、カーボン粒子30は、ノイズ吸収接着剤のバリスタとしての特性を調整する調整剤として機能する。つまり、カーボン粒子30の混合量により、どの程度のサージ電圧にてバリスタ部27が導通、すなわち、電流が流れるようにするのかを調整できる。カーボン粒子30の混合量(含有量)を増やせば通電し易く調整され、カーボン粒子30の混合量を減らせば通電し難く調整される。カーボン粒子30の混合量を調整することで、モータ特性(モータ仕様)に応じたノイズ吸収接着剤を適宜形成できる。
本実施の形態においては、5V以上の電圧負荷(サージ電圧)で電流が流れるようカーボン粒子30の混合量を調整している。また、ワニス28を(Va),半導体セラミック29を(Ce),カーボン粒子30を(C)としたときに、本実施の形態においては、混合比率(含有比率)はVa:Se:C=1:6:3としている。バリスタ部27に用いるノイズ吸収接着剤が、バリスタとしての最適な特性を備えるには、ワニス28の100重量部に対して半導体セラミック29を200〜1000重量部で高充填するのが望ましい。なお、導電性を有する微粒子としては、カーボン粒子30に限らず、導電性を有する物質であれば、銀(Ag)やニッケル(Ni)等、他の微粒子を採用することも可能である。
このようなノイズ吸収接着剤を用いたバリスタ部27は、セグメント22に所定の電圧以上のサージ電圧が生じると導通する。従って、バリスタ部27は、コンミテータ20と各ブラシ25との間で生じるサージ電圧を吸収し、電磁ノイズを吸収するバリスタ(雑防素子)として機能する。前述のように、リングバリスタを用いたモータでは、ブラシ間に独立セグメントが存在すると、サージ電圧がリングバリスタのバリスタ電圧を下回ってしまい火花制御が困難になる。
これに対し、本発明によるモータ1では、バリスタ部27が隣接するセグメント22に接触する形で設けられており、そのバリスタ電圧Vdvaもセグメント間電圧Vsgを基準に設定される。この場合、バリスタ部27のバリスタ電圧Vdvaは、セグメント間電圧Vsgよりもやや大きい値に設定される(例えば、Vdva=1.5×Vsg)。従って、図19に示したように、サージ電圧Vsrがブラシ間電圧Vbを下回っている場合でもVsr>Vdvaとなる(図19のQ部)。その結果、バリスタ電圧Vdvaを超えるサージ電圧Vsrが生じると、当該サージ電圧Vsrは、バリスタ部27を介して隣のセグメント22に逃がされ、火花の発生が抑えられる。
本発明のようなバリスタ部27は、ブラシ間にブラシと非接触状態の独立セグメントが形成されるモータ、具体的には、セグメント数がブラシ数の2倍以上ある構造のモータの場合に特に有効となる。一方、セグメント数がブラシ数の2倍未満の場合は、リングバリスタを使用しても火花低減効果は認められる。図5は、これらの関係をまとめた表である。例えば、ブラシ数が4個の場合、セグメント数が8以上となると、本発明のような分割バリスタ構造が有効となる。なお、セグメント数がブラシ数の2倍未満の場合でも、当該分割バリスタ構造は有効である。
上述のように、本発明のモータ1では、ブラシ間に独立セグメントが存在するモータであっても、セグメント22間に設けられたバリスタ部27により、コンミテータ20とブラシ25との間に発生する整流火花が的確に抑制される。このため、整流火花に起因する電磁ノイズが抑えられ、電磁ノイズの装置外部への放射を防止することが可能となる。従って、カーオーディオや制御機器等の車載機器に対する電磁ノイズの影響を防止することが可能となる。また、パワーウィンド装置やサンルーフ装置は人体に近い場所で作動するが、本発明のモータ1を用いることにより、電磁ノイズが人体に及ぼす影響、という点への配慮も施される。
また、コンミテータ−ブラシ間に火花が発生しないため、各ブラシ25の早期摩耗が抑制され、モータ装置10の長寿命化が図られる。図6は、バリスタの有無によるコンミテータ摩耗速度の違いを示す説明図(駆動時間240h)、図7は、バリスタの有無によるコンミテータの表面粗さと真円度の違いを示す説明図(同上)である。図6,7に示すように、発明者らの実験によれば、測定対象としたコンミテータの軸方向各位置の全てにおいて、摩耗が抑制され、表面粗さの低下が抑えられていることが分かる。
なお、ノイズ吸収接着剤としては、前述のもの以外にも、半導体セラミック等の粉砕バリスタ素子表面に直接導電物質を付着させたものを使用することも可能である。前述のように、カーボン粒子30は、バリスタ特性を生じさせるためノイズ吸収接着剤に添加されている。しかし、カーボン粒子を過剰に添加すると導電性ワニスとなってしまい、バリスタとしての機能が低下する。すなわち、ワニス28内にカーボンが多数存在していると、結果的にバリスタ特性(非線形係数α=1/log(V10mA/V1mA))が向上しない。これに対し、カーボンを減らすとバリスタの降伏電圧が高くなり過ぎる。そこで、降伏電圧を所望の値に維持しつつ、バリスタ特性を向上(αを大きく)させるべく、粉砕バリスタ素子表面に直接導電物質を付着させたノイズ吸収接着剤の使用も好適である。
図8は、他のノイズ吸収接着剤の構成を模式的に示した説明図である。図8に示すように、ノイズ吸収接着剤101では、粉砕素子(半導体セラミック)102の表面に導電物質103(ここでは銀(Ag))が直接付着している。また、粉砕素子102の間には、導電物質103が介在しており、粉砕素子102同士が通電し易くなっている。この場合、導電物質103が単に粉砕素子102の表面に付着しているだけであると、導電物質103が粉砕素子102から剥離してしまい、バリスタ特性が安定しない。このため、導電物質103を粉砕素子102の表面に定着させるため、ノイズ吸収接着剤101は次のような過程にて製造される。
図9は、ノイズ吸収接着剤101の製造工程とその使用過程を示す説明図である。図9に示すように、ここではまず、導電物質と熱硬化性接着剤(例えば、銀ペーストと一液性エポキシ接着剤)とからなる導電性接着剤を準備する。次に、この導電性接着剤を、導電性接着剤が5〜20wt%となるように、溶剤(例えば、アセトン)にて希釈する。その際、導電性接着剤が溶剤内に均一に分散されるように、超音波処理を行う。その後、溶剤にて希釈された導電性接着剤とバリスタ粉砕物とを混合し、バリスタ粉砕物を導電性接着剤内に均一に分散させる。分散処理後、真空乾燥を行い、希釈溶剤を蒸発させる。これにより、バリスタ粉砕物の表面には、導電物質と接着剤成分が残り、バリスタ粉砕物は両者によってコーティングされる。
バリスタ粉砕物を導電物質と接着剤成分にてコーティングした後、加熱硬化処理を行い、導電物質をバリスタ粉砕物表面に固定化する。加熱硬化処理の後、固化したバリスタ粉砕物を粉砕し、所定の粒径の粉砕物を形成する。そして、この粉砕物を、粉砕物が20〜30wt%となるように、接着剤(例えば、エポキシ接着剤)に混合する。これにより、表面に導電物質103が固定された粉砕素子102を含有し、しかも、粉砕素子102同士の間に導電物質103が介在しているノイズ吸収接着剤101(バリスタワニス)が製造される。
上述のノイズ吸収接着剤101は、粉砕素子102の表面に直接導電物質(銀)が付着しているため、粉砕素子102同士が通電し易くなり、バリスタ特性(非線形係数α)が向上する。従って、例えば、カーボンを増加させてバリスタ電圧を低く設定する場合に比して、低バリスタ電圧でありながら、非線形係数αを大きくできる。図10は、導電物質を付着させたノイズ吸収接着剤のバリスタ特性を示した説明図である。図10に示すように、導電物質を付着させた場合はα=3.5となり(付着なしの場合α=1.5)、線図の水平部分が長く、線図が降伏電圧後に急激に立ち上がった(下がった)形となる。従って、導電物質を付着させたノイズ吸収接着剤101を使用することにより、バリスタ特性を大幅に向上させることが可能となる。なお、バリスタ電圧は、粉砕素子102の粒径や、導電性接着剤の割合増減により適宜変化させることが可能である。
一方、ギヤ部2は、ギヤケース31とコネクタ32とを備えた構成となっている。ギヤケース31は、プラスチック等の樹脂材料により有底状に形成されている。ギヤケース31は、ヨーク11の開口部12に、コネクタ32を介して取り付けられる。ギヤケース31の内部には、ウォーム軸33とウォームホイール34が回転自在に収容されている。ウォーム軸33の外周部には、ウォーム部35(詳細図示せず)が一体に設けられている。ウォームホイール34には、ウォーム部35と噛み合わされるギヤ歯(図示せず)が設けられている。ウォーム軸33は、アーマチュア軸17と同軸上に設けられている。ウォーム軸33とアーマチュア軸17は、連結部材36を介して一体回転可能に連結されている。ウォーム軸33の一端側は、ギヤケース31に固定された軸受37により回転自在に支持され、ウォーム軸33の他端側は、ギヤケース31に固定された軸受38により回転自在に支持されている。
ウォームホイール34には、ピニオン39が一体に設けられている。ピニオン39には、ウィンドレギュレータを形成するギヤ(図示せず)が噛み合うようになっている。モータ1の回転、つまりアーマチュア軸17の回転に伴うウォーム軸33の回転は、ウォームホイール34により減速され、高トルク化された出力がピニオン39からウィンドレギュレータのギヤに伝達される。つまり、ウォーム軸33およびウォームホイール34は、モータ装置10における減速機構を形成している。
ウォーム軸33とアーマチュア軸17との間を連結する連結部材36は、アーマチュア軸側連結部材41(図2参照)と、ウォーム軸側連結部材42(図1参照)とを備えている。図2に示すように、アーマチュア軸側連結部材41は、アーマチュア軸17の他端側に装着されている。これに対し、ウォーム軸側連結部材42は、ウォーム軸33の一端側に装着されている。両連結部材41,42は、モータ装置10の組立時に、互いに一体回転可能に連結される。
コネクタ32は、プラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成される。コネクタ32は、ヨーク11とギヤケース31との間に挟持され、当該コネクタ32には、車両側の外部コネクタ(図示せず)が差し込まれる。コネクタ32の内部には、複数のターミナル(図示せず)がインサート成形により埋設されている。各ターミナルの一端側は、外部コネクタの各ターミナル(図示せず)に電気的に接続される。また、各ターミナルの他端側は、センサ基板43に電気的に接続されている。これにより、外部コネクタからセンサ基板43を介して、各ブラシ25に向けて駆動電流が供給される。
このようなモータ装置10は、次のようにして組み付けられる。まず、ここでは、別の組立工程にて組み立てたアーマチュアサブ組立体SAを準備する。アーマチュアサブ組立体SAは、アーマチュア軸17に、コンミテータ20,アーマチュア14およびコイル16を装着して形成されている。組み立てられたアーマチュアサブ組立体SAは、図示しない接着剤塗布機にセットされる。
接着剤塗布機では、コンミテータ20のブラシ非摺接部に設定された基準位置に、接着剤供給ノズルが配置される。接着剤供給ノズルを基準位置に配置した後、供給ポンプを駆動し、接着剤供給ノズルからノイズ吸収接着剤をコンミテータ20のスリット23上に吐出する(例えば、1滴)。このとき、ノイズ吸収接着剤は柔軟性を有するため、セグメント22間のスリット23にも入り込み、隣接するセグメント22間を跨ぐ形でスポット状に塗布され、バリスタ部27が形成される。その後、接着剤塗布機の駆動部を回転駆動し、アーマチュアサブ組立体SAを回転させ、接着剤供給ノズルを次のスリット23上に配置させる。そして、前述同様に、ノイズ吸収接着剤をスリット23上に滴下し、次のバリスタ部27を形成する。
このような処理を所定回数行い、コンミテータ20のブラシ非摺接部上にバリスタ部27を複数個形成する。これにより、コンミテータ20の周方向全体に、ノイズ吸収接着剤にて形成されたバリスタ部27が点々と形成される。ノイズ吸収接着剤は、駆動部の回転駆動の継続により徐々に硬化されて行き、ノイズ吸収接着剤が完全に硬化した段階で、アーマチュアサブ組立体SAへのバリスタ部27の形成作業が完了する。
完成したアーマチュアサブ組立体SAは、その後、図1に示すように、ブラシホルダ19とともにヨーク11に装着され、これによりモータ1が形成される。また、これとは別に、ギヤケース31にウォーム軸33やウォームホイール34等を組み込んで形成したギヤ部2とコネクタ32を準備する。そして、コネクタ32を介してモータ1およびギヤ部2を突き合わせ、両者を締結ネジ3により固定する。これによりモータ装置10の組立作業が完了する。
以上のように、本実施の形態に係るモータ1では、コンミテータ20のセグメント22間に、電磁ノイズを吸収するノイズ吸収接着剤からなるバリスタ部27を形成したので、各バリスタ部27が、個々のセグメント22間においてサージ電圧を吸収するバリスタとして機能する。その結果、リングバリスタでは火花制御が困難であったモータにおいても、コンミテータ20とブラシ25との間に発生するサージ電圧を適宜吸収することが可能となり、整流火花に起因する電磁ノイズを抑えることが可能となる。また、従前のようなリングバリスタを予め準備してこれを装着する必要が無くなり、組立作業工程の簡素化を図ることも可能となる。さらに、塗布したノイズ吸収接着剤がバリスタの機能を有するため、コンミテータの径寸法に依らず所定の塗布作業で種々の仕様のコンミテータ(径寸法の異なるコンミテータ)に対応できる。従って、従前のような部品管理が不要となって、部品管理を簡素化できる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2として、バリスタ部をコンミテータの内部側に設けた構成について説明する。図11は、実施の形態2であるコンミテータ51のボディ部52の構成を示す説明図、図12は、コンミテータ51の断面図、図13は、図12の矢示A方向の側面図である。コンミテータ51は、実施の形態1のコンミテータ20と同様にモータ1にて使用可能である。なお、図12は、図13のX−X線に沿った断面となっている。また、以下では、実施の形態として、コンミテータの構成に絞って発明の内容を説明し、実施の形態1と同様の部材、部分については同一の符号を付し、その説明は省略する。
前述のように、コンミテータ51では、セグメント22の裏側にバリスタ部53が設けられている。図11に示すように、コンミテータ51のボディ部52には、セグメント22が載置される部位(セグメント配置部54)を区分する形で、複数個の細溝55が形成されている。細溝55は軸方向に沿って延びており、その軸方向一端側には、前述のノイズ吸収接着剤が注入される空隙部56が形成されている。空隙部56は、セグメント配置部54の端部を切り欠き、細溝55を拡幅する形で、ブラシが接触しないブラシ非摺接部に設けられている。セグメント22は空隙部56を覆うように取り付けられる。空隙部56は、ボディ部52の外側に配された隣接するセグメント22間に跨がった形で形成される。空隙部56内にはノイズ吸収接着剤が注入充填される。ノイズ吸収接着剤は、セグメント22に裏側から接触する。その結果、隣接するセグメント22間には、両者を電気的に接続可能なバリスタ部27が形成される。
コンミテータ51もまた、セグメント22とボディ部52をモールド成形により一体化して形成されている。コンミテータ51では、モールド成形後、軸方向端部から空隙部56にノイズ吸収接着剤を注入しバリスタ部27を形成する。これにより、コンミテータ51の内部には、図12,13に示すように、バリスタ部27が形成される。なお、このような形でバリスタ部27を形成すると、ノイズ吸収接着剤が細溝55にも流入することが考えられる。そこで、コンミテータ51においては、細溝55の深さが、セグメント22が摩耗したとき、細溝55内に流入した接着剤がブラシ摺動部に影響を与えない寸法に設定されている。従って、セグメント22が摩耗しても、細溝55内の接着剤とブラシが接触することはない。
コンミテータ51を用いたモータにおいても、コンミテータ51のセグメント22間にバリスタ部27が存在するため、コンミテータ51とブラシ25との間に発生するサージ電圧をバリスタ部27にて適宜吸収でき、整流火花に起因する電磁ノイズを抑えることが可能となる。また、コンミテータ51では、バリスタ部27がコンミテータ内部に設けられているため、バリスタ部27の剥離が生じにくく、製品信頼性も向上する。なお、バリスタ部27の形成に際し、上述のように成形後にノイズ吸収接着剤を注入するのではなく、コンミテータ成形時に、合成樹脂とノイズ吸収接着剤を2色成型してバリスタ部27を形成しても良い。また、ノイズ吸収接着剤を固形チップ状に成形し、それをコンミテータ成形後に嵌め込むようにしても良い。
(実施の形態3)
図14は、実施の形態3であるコンミテータ61の構成を示す説明図である。実施の形態3のコンミテータ61も、実施の形態1のコンミテータ20と同様にモータ1にて使用可能である。
図14に示すように、コンミテータ61では、ノイズ吸収接着剤がライザ62を覆うように塗布されている。ノイズ吸収接着剤は、ライザ62から、隣接するセグメント22に亘って塗布されており、これにより、コンミテータ61の端部に、隣接するセグメント22間を電気的に接続可能なバリスタ部27が形成される。バリスタ部27と、当該バリスタ部27が延在していない隣のセグメント22(ライザ62)との間には、絶縁空間として、空隙63が形成されている。空隙63は、ライザ62の部位を残してセグメント22の端部を切り欠く形で設けられている。
コンミテータ61を用いたモータにおいても、バリスタ部27により、コンミテータ61とブラシ25との間に発生するサージ電圧を適宜吸収でき、整流火花に起因する電磁ノイズを抑えることが可能となる。また、コンミテータ61では、ライザ62がノイズ吸収接着剤によって覆われているため、コイル16と各ライザ62との接続部が接着剤によって保護される。このため、コンミテータ61の高速回転時おける遠心力や振動によりライザ62が拡開し、コイル16が断線したり、離線したりするのを防止できる。すなわち、当該モータでは、バリスタ部27はバリスタ機能のみならず、コイル16とライザ62の接続部を保護する機能をも有しており、これにより、モータの信頼性も向上する。
(実施の形態4)
図15は、実施の形態4であるコンミテータ65の構成を示す説明図である。実施の形態4のコンミテータ65も、実施の形態1のコンミテータ20と同様にモータ1にて使用可能である。コンミテータ65では、隣接するセグメント22の間に溝状に形成されたスリット23を埋めるようにバリスタ部27が設けられている。バリスタ部27は、スリット23内にノイズ吸収接着剤を擦り込むように塗布して形成される。この場合も、バリスタ部27はブラシ非摺接部に設けられるが、スリット23の軸方向全長に亘って設けることもできる。そして、コンミテータ65を用いたモータにおいても、バリスタ部27により、コンミテータ65とブラシ25との間に発生するサージ電圧を適宜吸収でき、整流火花に起因する電磁ノイズを抑えることが可能となる。
(実施の形態5)
前述の実施の形態では、径方向からブラシが接触する円柱状のコンミテータにバリスタ部を設けた例について述べたが、本発明は、軸方向からブラシが接触する扁平型のコンミテータ(いわゆるディスクコンミテータ)にも適用可能である。そこで、実施の形態5として、ディスクコンミテータに本発明のバリスタ部を設けた構成について説明する。図16は、このようなコンミテータ71の構成を示す説明図である。
コンミテータ71は、ブラシ摺動面72が平面状となっており、軸方向に対し直角に配置されている。ブラシ摺動面72には、複数のセグメント73が放射状に配置されており、図示しないブラシが軸方向から摺接する。セグメント73は、略扇形状に形成されており、合成樹脂製のボディ部74と一体成形されている。各セグメント73にはライザ75が設けられている。ライザ75には、アーマチュアに巻回されたコイルの端部が電気的に接続される。セグメント73間には、スリット76が放射状に形成されている。
実施の形態5のコンミテータ71では、各セグメント73間に、ノイズ吸収接着剤を用いたバリスタ部77が設けられている。ノイズ吸収接着剤は、実施の形態1のコンミテータ20と同様に、スリット76を覆い、隣接するセグメント73間を跨ぐ形でスポット状に塗布されている。バリスタ部77は、コンミテータ71とブラシが摺接しないブラシ非摺接部に配置されており、全てのスリット76に設けられている。
コンミテータ71を用いたモータにおいても、セグメント73間にバリスタ部77が存在するため、コンミテータ71とブラシとの間に発生するサージ電圧をバリスタ部77にて適宜吸収でき、整流火花に起因する電磁ノイズを抑えることが可能となる。すなわち、本発明は、円柱状のコンミテータのみならず、ディスクコンミテータにも適用しても有効であり、コンミテータの形態に関わらず採用可能である。
ディスクコンミテータにおいても、図17に示すように、ボディ部74に、実施の形態2のコンミテータ51と同様に細溝78と空隙部79を形成し、空隙部79内にノイズ吸収接着剤を注入充填することにより、隣接するセグメント22間にバリスタ部77を形成しても良い。この場合、細溝78は、スリット76に対応して中心から放射状に延びている。空隙部79は、細溝78の周方向外端に形成される。空隙部79は、セグメント配置部80の端部を切り欠き、細溝78を拡幅する形で、ブラシが接触しないブラシ非摺接部に設けられる。セグメント73は、空隙部79を覆うように取り付けられる。空隙部79は、ボディ部74上に配された隣接するセグメント73間に跨がった形で形成される。そして、空隙部79内に注入されたノイズ吸収接着剤によりバリスタ部77が形成される。なお、実施の形態4のように、細溝78を埋める形でバリスタ部77を形成しても良い。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、実施の形態1や4では、セグメント間のスリットを覆うようにバリスタ部が形成されているが、図18に示すように、バリスタ部81を設ける部位に、セグメント82を切り欠く形で、バリスタ装着部83を形成しても良い。バリスタ装着部83は、ノイズ吸収接着剤が注入される接着剤溜まりのような機能を果たし、セグメント82間により確実に接着剤を塗布することが可能となる。また、バリスタ部81とセグメント82の接触面積も増大するため、バリスタ部81の機械的な固定強度や電気的な接触性も向上する。
前記実施の形態においては、モータ装置として、自動車等の車両に搭載されるパワーウィンド装置の駆動源として用いられるモータ装置10を例に挙げたが、本発明の適用対象はこれには限らない。例えば、コンミテータを備え、かつ電磁ノイズを発生し得るモータ装置であれば、減速機構を備えない車載用の他のモータ装置や、車載用以外の用途のモータ装置にも本発明は採用可能である。
1 電動モータ 2 ギヤ部
3 締結ネジ 10 モータ装置
11 ヨーク 12 開口部
13 マグネット 14 アーマチュア
15 アーマチュアコア 16 コイル
17 アーマチュア軸 18a,18b 軸受
19 ブラシホルダ 20 コンミテータ
21 ボディ部 22 セグメント
23 スリット(絶縁部) 24 ライザ
25 ブラシ 26 ブラシスプリング
27 バリスタ部 28 ワニス
29 半導体セラミック 30 カーボン粒子
31 ギヤケース 32 コネクタ
33 ウォーム軸 34 ウォームホイール
35 ウォーム部 36 連結部材
37 軸受 38 軸受
39 ピニオン 41 アーマチュア軸側連結部材
42 ウォーム軸側連結部材 43 センサ基板
51 コンミテータ 52 ボディ部
53 バリスタ部 54 セグメント配置部
55 細溝 56 空隙部
61 コンミテータ 62 ライザ
63 空隙 65 コンミテータ
71 コンミテータ 72 ブラシ摺動面
73 セグメント 74 ボディ部
75 ライザ 76 スリット
77 バリスタ部 78 細溝
79 空隙部 80 セグメント配置部
81 バリスタ部 82 セグメント
83 バリスタ装着部 101 ノイズ吸収接着剤
102 粉砕素子 103 導電物質
SA アーマチュアサブ組立体 Vb ブラシ間電圧
Vsg セグメント間電圧 Vsr サージ電圧
Vdva バリスタ電圧(分割バリスタ)
Vrva バリスタ電圧(リングバリスタ)

Claims (6)

  1. 回転軸と、前記回転軸に固定されたコンミテータと、前記回転軸に固定されたコアと、前記コアに巻装されて前記コンミテータに接続されたコイルとを備えるアーマチュアと、
    前記コンミテータに接触し、前記コイルに対し駆動電流を供給するブラシと、を有するブラシ付きモータであって、
    前記コンミテータは、
    絶縁材料にて形成されたボディ部と、
    前記ボディ部に複数個取り付けられ、前記ブラシに摺接すると共に前記コイルと電気的に接続される導電性のセグメントと、
    前記各セグメント間にそれぞれ形成され、隣接する前記セグメント同士を電気的に絶縁する絶縁部と、
    隣接する前記セグメントに接触するように前記絶縁部ごとに個別に設けられ、前記セグメントに所定の電圧以上のサージ電圧が生じたとき導通するバリスタ部と、を有し、
    前記バリスタ部は、合成樹脂に、粉砕したバリスタ機能物質と導電性を有する微粒子を混合させたノイズ吸収接着剤にて形成され、
    該ノイズ吸収接着剤は、前記合成樹脂をVa、前記バリスタ機能物質をCe、前記微粒子をCとしたとき、5V以上の前記サージ電圧にて前記バリスタ部に電流が流れるように、これらの混合比率がVa:Ce:C=1:6:3に設定されてなることを特徴とするブラシ付きモータ。
  2. 回転軸と、前記回転軸に固定されたコンミテータと、前記回転軸に固定されたコアと、前記コアに巻装されて前記コンミテータに接続されたコイルとを備えるアーマチュアと、
    前記コンミテータに接触し、前記コイルに対し駆動電流を供給するブラシと、を有するブラシ付きモータであって、
    前記コンミテータは、
    絶縁材料にて形成されたボディ部と、
    前記ボディ部に複数個取り付けられ、前記ブラシに摺接すると共に前記コイルと電気的に接続される導電性のセグメントと、
    前記各セグメント間にそれぞれ形成され、隣接する前記セグメント同士を電気的に絶縁する絶縁部と、
    隣接する前記セグメントに接触するように前記絶縁部ごとに個別に設けられると共に、前記セグメント間を跨ぐ形で前記コンミテータの表面に半球状に形成され、前記セグメントに所定の電圧以上のサージ電圧Vsrが生じたとき導通するバリスタ電圧Vdvaを有するバリスタ部と、を備え、
    前記セグメントには、前記ブラシの間に、該ブラシと接触しない独立セグメントが存在し、
    前記バリスタ電圧Vdvaは、前記サージ電圧Vsrが前記ブラシ間の電圧Vbを下回っている場合においても、前記サージ電圧Vsrよりも小さくなるよう設定されてなる(Vb>Vsr>Vdva)ことを特徴とするブラシ付きモータ。
  3. 回転軸と、前記回転軸に固定されたコンミテータと、前記回転軸に固定されたコアと、前記コアに巻装されて前記コンミテータに接続されたコイルとを備えるアーマチュアと、
    前記コンミテータに接触し、前記コイルに対し駆動電流を供給するブラシと、を有するブラシ付きモータであって、
    前記コンミテータは、
    絶縁材料にて形成されたボディ部と、
    前記ボディ部に複数個取り付けられ、前記ブラシに摺接すると共に前記コイルと電気的に接続される導電性のセグメントと、
    前記各セグメント間にそれぞれ形成され、隣接する前記セグメント同士を電気的に絶縁する絶縁部と、
    隣接する前記セグメントに接触するように前記絶縁部ごとに個別に設けられ、前記セグメントに所定の電圧以上のサージ電圧Vsrが生じたとき導通するバリスタ電圧Vdvaを有するバリスタ部と、を備え、
    前記セグメントには、前記ブラシの間に、該ブラシと接触しない独立セグメントが存在し、
    前記バリスタ電圧Vdvaは、前記サージ電圧Vsrが前記ブラシ間の電圧Vbを下回っている場合においても、前記サージ電圧Vsrよりも小さくなるよう設定され(Vb>Vsr>Vdva)、
    前記コンミテータのボディ部は、前記セグメントが載置されるセグメント配置部と、該セグメント配置部間に形成され前記セグメント配置部を各セグメントに対応して区分する複数個の溝と、前記溝に形成され前記バリスタ部が配置される空隙部と、を有し、
    前記空隙部は、前記溝を周方向に拡大する形で前記コンミテータの外周面に形成されることを特徴とするブラシ付きモータ。
  4. 請求項2又は3記載のブラシ付きモータにおいて、
    前記バリスタ部は、合成樹脂に、粉砕したバリスタ機能物質と導電性を有する微粒子を混合させたノイズ吸収接着剤にて形成され、
    該ノイズ吸収接着剤は、前記合成樹脂をVa、前記バリスタ機能物質をCe、前記微粒子をCとしたとき、5V以上の前記サージ電圧にて前記バリスタ部に電流が流れるように、これらの混合比率がVa:Ce:C=1:6:3に設定されてなることを特徴とするブラシ付きモータ。
  5. 回転軸と、前記回転軸に固定されたコンミテータと、前記回転軸に固定されたコアと、前記コアに巻装されて前記コンミテータに接続されたコイルとを備えるアーマチュアと、
    前記コンミテータに接触し、前記コイルに対し駆動電流を供給するブラシと、を有するブラシ付きモータであって、
    前記コンミテータは、
    絶縁材料にて形成されたボディ部と、
    前記ボディ部に複数個取り付けられ、前記ブラシに摺接すると共に、前記コイルと電気的に接続されるライザを備えた導電性のセグメントと、
    前記各セグメント間にそれぞれ形成され、隣接する前記セグメント同士を電気的に絶縁する絶縁部と、
    隣接する前記セグメントに接触するように前記絶縁部ごとに個別に設けられ、前記セグメントに所定の電圧以上のサージ電圧が生じたとき導通するバリスタ部と、を有し、
    前記バリスタ部は、前記ライザを覆うように設けられることを特徴とするブラシ付きモータ。
  6. 請求項1〜6の何れか1項に記載のブラシ付きモータにおいて、
    前記バリスタ部は、前記コンミテータの前記ブラシと接触しない部位に配置されることを特徴とするブラシ付きモータ。
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