JP5908011B2 - クリアランス計測装置、回転機械、クリアランス計測方法及びプログラム - Google Patents
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Description
以下、第1の実施形態に係るガスタービンについて説明する。
図1は、第1の実施形態に係るガスタービンの概要を示す図である。
図1に示すように、回転機械の一例であるガスタービン1は、外気を圧縮して圧縮空気を生成する空気圧縮機2と、燃料ガスに圧縮空気を混合して燃焼させ高温の燃焼ガスを生成する燃焼器3と、燃焼ガスにより駆動するタービン4と、を備えている。
燃焼器3は、燃料ガス及び空気圧縮機2からの圧縮空気を受け入れてこれらを噴出する燃料供給器7と、燃料供給器7から燃料ガス及び圧縮空気が内部に噴射されて、燃料ガスの燃焼領域を形成する燃焼筒8とを有している。
タービン4は、燃焼ガスにより回転するロータ9(タービンロータ)と、このロータ9を回転可能に覆うケーシング10(タービンケーシング)とを有している。ロータ9の側面には、複数の動翼Y1、Y2、Y3、・・・が取り付けられている。各動翼Y1、Y2、Y3、・・・は、ロータ9とともにその回転軸回りに回転する。
一方、ケーシング10の内面には、複数の動翼Y1、Y2、Y3、・・・と交互に設けられる、複数の静翼11が取り付けられている。空気圧縮機2の圧縮機ロータ5は、回転軸9aを介してロータ9と接続され、このロータ9と一体となって回転する。
また、ケーシング10には、ケーシング10の内面と、ロータ9に取り付けられた動翼Y1、Y2、Y3、・・・とのクリアランス(図2に示すクリアランスd)を計測するためのセンサ部20が取り付けられている。このセンサ部20は、ロータ9の動翼と対向する位置に設置されており、ケーシング10の内面に露出するように埋設されている。センサ部20は、後述するように、センサ面Sc(図2)動翼の先端面Sw(図2)間に生じる静電容量を検出可能としている。また、センサ部20は、後述するクリアランス計測装置30(図1には図示せず)と電気的に接続されており、上記静電容量の検出信号(出力電圧)を、当該クリアランス計測装置30に出力する。
図2は、ガスタービン1の断面Z−Z’(図1)の構造を模式的に表している。
図2に示すように、ロータ9は、当該ロータ9の回転方向に沿って複数の動翼Y1が短冊形状に設けられている。これら動翼Y1の基端は、全てロータ9の側面に固定されている。これにより、動翼Y1の遠心方向先端の面(先端面Sw)は、ロータ9の回転により、センサ部20のセンサ面Scと対向する位置を通過する。
なお、センサ部20は、検出した静電容量Cを、これに比例する出力電圧Vとして出力する。後述するように、クリアランス計測装置30は、センサ部20から出力電圧Vの入力を受け付けて、ケーシング10と動翼Y1のクリアランスd(図2)を算出する。
図3に示すように、センサ部20は、第1センサ200と、第2センサ201と、を備えている。第1センサ200及び第2センサ201は、いわゆる静電容量方式のセンサである。第1センサ200及び第2センサ201は、各々が、ロータ9の回転軸回りに回転する動翼Y1、Y2、・・・の先端面Sw(図2)に対向するセンサ面Scを有するとともに、当該動翼Y1、Y2、・・・の先端面Swとの間隔に応じた静電容量C(図2)を個別に検出可能とする。
なお、図3に示すように、センサ部20は、回転方向の複数箇所、例えば、4か所に設置されてもよい。
図4は、第1の実施形態に係るクリアランス計測装置の機能構成を示す図である。
図4に示すように、第1の実施形態に係るクリアランス計測装置30は、計測装置本体部30aにセンサ部20(第1センサ200、第2センサ201)が電気的に接続されてなる。
RAM310は、測定用プログラムに基づいて動作するCPU300のワークエリアとなる記憶領域である。
HDD311は、各種プログラムまたはクリアランス特定部302が取得したクリアランス計測結果等を記憶する記憶手段である。
操作入力部312は、例えばマウス、キーボード、タッチパネル等から構成され、オペレータによる各種操作の入力を受け付ける。
画像表示部313は、液晶ディスプレイ等であって、オペレータの操作において必要な情報や、クリアランスの計測結果等を表示する。
外部接続インターフェイス314は、外部装置との通信を行うための通信インターフェイスであり、特に本実施形態においては、専用の通信ケーブルを介して複数のセンサ部20に接続される。
図4に示すように、CPU300、RAM310、HDD311、操作入力部312、画像表示部313、外部接続インターフェイス314は、システムバス315を介して相互に電気的に接続されている。
ずれ幅特定部301は、複数のセンサ(第1センサ200、第2センサ201)が検出する複数の静電容量Cに基づいて、動翼Y1、Y2、・・・の回転軸方向(±X方向)のずれ幅(ずれ幅r(図7、図8参照))を特定する。
また、クリアランス特定部302は、ずれ幅特定部301が特定したずれ幅rと、第1センサ200(または、第2センサ201)に検出された静電容量Cと、に基づいて、ケーシング10と動翼Y1、Y2、・・・とのクリアランスdを特定する。
ずれ幅特定部301、クリアランス特定部302の各機能の詳細については後述する。
図5は、第1の実施形態に係るセンサ部の特性を説明する第1の図である。
第1センサ200及び第2センサ201は、それぞれのセンサ面Scが動翼Y1の先端面Swと対向する面積(式(1)の投影面積A)に比例する静電容量Cを検出する。
一方、回転軸方向(±X方向)の位置Xbに取り付けられた第2センサ201のセンサ面Scは、動翼Y1の先端面Swのうち位置Xbに対応する部分に対向する。この場合において、第2センサ201のセンサ面Scに対する先端面Swの投影面積Aが最大となるのは、動翼Y1の回転位置が位置Pbとなったときである(図5参照)。このときの投影面積Aを最大投影面積Amax_bと記載する。
図5を用いて説明したように、動翼Y1は、回転軸方向(±X方向)に、その翼厚が変化するように形成されている。したがって、動翼Y1に対する第1センサ200(第2センサ201)の回転軸方向の位置に応じて、当該第1センサ200と対向する最大投影面積Amaxが変化する。第1センサ200回転軸方向の位置と、最大投影面積Amaxと、の関係を図6に示す。
なお、図6に示すグラフの縦軸は、第1センサ200(第2センサ201)から出力される最大出力電圧Va(Vb)[V]を表している。ここで、第1センサ200(第2センサ201)から出力される最大出力電圧Va(Vb)[V]は、最大静電容量Cmax[C]に比例、すなわち、最大投影面積Amax[mm2]に比例する。
なお、図6において、特性曲線Q1は、クリアランスdが“d1”であったときの最大出力電圧Va、Vbの特性であり、特性曲線Q2は、クリアランスdが“d2”(d1<d2)であったときの最大出力電圧Va、Vbの特性である。クリアランスdが“d1”の場合、第1センサ200、第2センサ201それぞれの最大出力電圧Va、Vbは、Va=Va1、Vb=Vb1となる。同様に、クリアランスdが“d2”の場合、第1センサ200、第2センサ201それぞれの最大出力電圧Va、Vbは、Va=Va2(Va1>Va2)、Vb=Vb2(Vb1>Vb2)となる。このように、第1センサ200、第2センサ201それぞれの最大出力電圧Va、Vbは、クリアランスdの変化に対して同比率で変化する。
図7は、第1の実施形態に係る動翼の回転軸方向のずれ幅を説明する図である。
一般に、ガスタービン1の運転開始後や運転終了後等においては、ロータ9とケーシング10との熱容量の差異等に起因して、センサ部20と動翼Y1との回転軸方向の相対的な位置関係が変化する。具体的に説明すると、例えば、ガスタービン1の運転終了直後では、体積が大きく熱容量が大きいロータ9よりも、壁厚が薄く熱容量が小さいケーシング10の方が早く冷却される。そうすると、ロータ9よりもケーシング10の方が、熱収縮が早く進行することにより、相対的に、ロータ9は、ケーシング10に対して回転軸方向(±X方向)に伸びた状態となる(ロータロングの状態)。また、ガスタービン1の運転開始直後においては、ロータ9よりもケーシング10の方が早く熱せられて熱膨張するため、相対的に、ロータ9がケーシング10に対して回転軸方向(±X方向)に縮んだ状態となる(ロータショートの状態)。さらに、ロータ9の回転に応じたスラスト力が動翼Y1に加わることによっても、センサ部20に対する動翼Y1の回転軸方向の相対的な位置関係が変化する。
図8は、第1の実施形態に係るCPUの処理手順を示すフローチャート図である。
次に、クリアランスdの計測時におけるCPU300の処理手順を、図8を参照しながら順を追って説明する。
まず、ずれ幅特定部301は、第1センサ200、第2センサ201が出力する出力電圧の入力を受け付けて、各々についての最大出力電圧Va、Vbを取得する(ステップS01)。最大出力電圧Va、Vbは、上述したように、位置Xa、Xbにおける先端面Swの最大投影面積Amax_a、Amax_bに対応している。
図9は、第1の実施形態に係るずれ幅特定部の機能を説明する図である。
図9(a)には、回転軸方向のずれ幅rが生じた場合においてセンサ部20が出力する最大出力電圧Va(Vb)の変化を説明するグラフ図を示している。また、図9(b)には、ずれ幅対応テーブルの例を示している。
本実施形態に係るHDD311は、最大出力電圧比Vb/Vaとずれ幅rとの対応関係が記録された「ずれ幅対応テーブル」(図9(b))を予め記憶している。そして、ずれ幅特定部301は、ずれ幅対応テーブルを参照して、算出した最大出力電圧比Vb/Vaに対応するずれ幅rを特定する。
図10は、第1の実施形態に係るクリアランス特定部の機能を説明する図である。
本実施形態に係るHDD311には、さらに、第1センサ200の最大出力電圧Vaとクリアランスdとの対応関係が記録された「クリアランス対応テーブル」(図10)が記憶されている。なお、図10は、最大出力電圧Vaとクリアランスdとの対応関係をグラフで示しているが、実際には、HDD311には、図10に示すグラフと同等の対応関係が記述されたデータテーブルが記憶されている。
上述の処理により、クリアランス計測装置30は、回転軸方向のずれ幅r(すなわち最大投影面積Amax)に応じた特性曲線D1、D2、・・・を選択し、当該選択された特性曲線D1、D2、・・・に基づいてクリアランスdを特定する。すなわち、センサが検出する最大静電容量Cmaxは、動翼Y1、Y2、・・・の遠心方向の位置の変化及び回転軸方向の位置の変化の両方に起因して変化し得るところ、クリアランス計測装置30は、まず、2つのセンサの出力電圧を用いてずれ幅rを特定した上で、動翼Y1、Y2、・・・の遠心方向の位置の変化(クリアランスd)を特定する。このようにすることで、回転軸方向のずれ幅rに起因するクリアランスdの計測誤差要因が除去され、精度の高いクリアランス計測を行うことができる。
なお、第1の実施形態に係るクリアランス計測装置30は、以下のように変形可能である。
例えば、上述したクリアランス特定部302は、予めHDD311に記憶されたクリアランス対応テーブルのうちずれ幅rに対応する特性曲線D1、D2、・・・を選択してクリアランスdを特定するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係るクリアランス特定部302は、ずれ幅rの関数である所定の補正関数h(r)を用いて、クリアランスdを算出して特定してもよい。具体的には、クリアランス特定部302は、第1センサ200の最大出力電圧Va(最大静電容量Cmax)に基づいて、式(1)より、仮クリアランスd’を算出する。そして、クリアランス特定部302は、当該算出された仮クリアランスd’に、ずれ幅rに応じた補正係数h(r)を乗算して、真のクリアランスdを特定する処理を行う。なお、この場合、オペレータは、ずれ幅rを、r=r1、r2、・・・と振りながら、ずれ幅rごとの最大出力電圧Va(最大静電容量Cmax)を計測することで、当該ずれ幅rの関数である補正係数h(r)を事前に規定しておく。
さらに、他の実施形態においては、センサ部20は、各々が回転軸方向の異なる位置に配された3つ以上のセンサを備えていてもよい。これにより、各センサから出力される最大出力電圧の数が増すため、ずれ幅rを複数通りの最大出力電圧比(図9(b))で特定することができ、結果として、クリアランスdの計測精度を一層向上させることができる。
例えば、他の実施形態に係るずれ幅特定部301は、第1センサ200及び第2センサ201の最大出力電圧Va、Vbの差ΔV(ΔV=Va−Vb)に基づいて、ずれ幅rを特定してもよい。この場合、HDD311には、差ΔVとずれ幅rとの対応関係を規定したずれ幅対応テーブルが予め記憶されているものとする。
このように、回転軸方向の位置Xと最大出力電圧Va、Vbとの相関性を示す特性曲線Q1(図6、図9)に基づいて、ずれ幅rと最大出力電圧Va、Vbとの対応関係を一意に特定できる手法であれば、如何なる手法を用いてもよい。
例えば、クリアランス特定部302は、上記特定値として、第1センサ200及び第2センサ201の2つの静電容量に基づいて特定される最大出力電圧比Vb/Vaまたはその差ΔVを用いる。この場合、クリアランス対応テーブルには、上記特定値の各々に対応する、第1センサ200(または第2センサ201)の最大出力電圧Va(Vb)とクリアランスdとの対応関係が記録されているものとする。
2 空気圧縮機
3 燃焼器
4 タービン
5 圧縮機ロータ
6 圧縮機ケーシング
7 燃料供給器
8 燃焼筒
9 ロータ(タービンロータ)
10 ケーシング(タービンケーシング)
11 静翼
20 センサ部
200、201 センサ
30 クリアランス計測装置
30a 計測装置本体部
300 CPU
301 ずれ幅特定部
302 クリアランス特定部
310 RAM
311 HDD
312 操作入力部
313 画像表示部
314 外部接続インターフェイス
315 システムバス
Claims (5)
- ロータを覆うケーシングに固定設置され、前記ロータの回転軸回りに回転する動翼とのクリアランスに応じた静電容量を検出可能なセンサが、前記ロータの回転軸方向の異なる位置に複数配されてなるセンサ部と、
複数の前記センサに検出された複数の静電容量に基づいて特定される特定値と、当該センサに検出された静電容量と、に基づいて、前記ケーシングと前記動翼とのクリアランスを特定するクリアランス特定部と、
複数の前記センサに検出された複数の静電容量に基づいて、前記動翼の前記回転軸方向のずれ幅を前記特定値として特定するずれ幅特定部と、
を備え、
前記クリアランス特定部は、
前記ずれ幅特定部が特定したずれ幅と、前記センサに検出された静電容量と、に基づいて、前記ケーシングと前記動翼とのクリアランスを特定し、
前記ずれ幅特定部は、
少なくとも2つの前記静電容量の比又は差に基づいて前記ずれ幅を特定する
クリアランス計測装置。 - 前記クリアランス特定部は、
前記動翼と前記センサとの前記回転軸方向の相対的位置と、前記動翼と前記センサとのクリアランスに応じた静電容量と、の対応関係が記録された対応テーブルを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のクリアランス計測装置。 - 請求項1または請求項2の何れか一項に記載のクリアランス計測装置と、
前記ロータ及び前記ケーシングと、
を備える回転機械。 - ロータを覆うケーシングに固定設置され、前記ロータの回転軸回りに回転する動翼とのクリアランスに応じた静電容量を検出可能なセンサが、前記ロータの回転軸方向の異なる位置に複数配されてなるセンサ部を用いたクリアランス計測方法であって、
複数の前記センサに検出された複数の静電容量に基づいて特定される特定値と、当該センサに検出された静電容量と、に基づいて、前記ケーシングと前記動翼とのクリアランスを特定するクリアランス特定ステップと、
複数の前記センサに検出された複数の静電容量に基づいて、前記動翼の前記回転軸方向のずれ幅を前記特定値として特定するずれ幅特定ステップと、
を有し、
前記クリアランス特定ステップにおいて、
前記ずれ幅特定部が特定したずれ幅と、前記センサに検出された静電容量と、に基づいて、前記ケーシングと前記動翼とのクリアランスを特定し、
前記ずれ幅特定ステップにおいて、
少なくとも2つの前記静電容量の比又は差に基づいて前記ずれ幅を特定する
ことを特徴とするクリアランス計測方法。 - ロータを覆うケーシングに固定設置され、前記ロータの回転軸回りに回転する動翼とのクリアランスに応じた静電容量を検出可能なセンサが、前記ロータの回転軸方向の異なる位置に複数配されてなるセンサ部を備えるクリアランス計測装置のコンピュータを、
複数の前記センサに検出された複数の静電容量に基づいて特定される特定値と、当該センサに検出された静電容量と、に基づいて、前記ケーシングと前記動翼とのクリアランスを特定するクリアランス特定手段、
複数の前記センサに検出された複数の静電容量に基づいて、前記動翼の前記回転軸方向のずれ幅を前記特定値として特定するずれ幅特定手段、
として機能させ、
前記クリアランス特定手段は、
前記ずれ幅特定部が特定したずれ幅と、前記センサに検出された静電容量と、に基づいて、前記ケーシングと前記動翼とのクリアランスを特定し、
前記ずれ幅特定手段は、
少なくとも2つの前記静電容量の比又は差に基づいて前記ずれ幅を特定する
プログラム。
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