JP5907521B2 - 原水の産出地判定方法および原水の産出地判定システム - Google Patents

原水の産出地判定方法および原水の産出地判定システム Download PDF

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Description

この発明は、醸造酒、混成酒に用いられた原水の産出地判定方法、および醸造酒、混成酒に用いられた原水の産出地判定システムに関する。
周知のように、地下水は、食品、飲料の原材料として、広く利用されている。
地下水の起源である降雨は、浸み込む場所や標高、海岸からの距離によって同位体比が異なる。そして降雨は地中に浸み込む時の同位体比を保持しながら地下水となり地中を移動し湧出する。(例えば、特許文献1参照)。
そこで、地下水を原材料とする製品について、原産地表示によるブランドイメージの向上や品質の適切な管理に、地下水に含まれる18Oの同位体比(以下、δ18Oという)を測定して、原材料とされた地下水の産出地を特定しようとする動きがある。
特開2010−44051号公報
しかしながら、醸造酒、混成酒(以下、醸造酒等という場合がある)は、製造過程に蒸きょう、発酵をともなうことから、醸造酒等のδ18Oが原水のδ18Oと一致せず、醸造酒等のδ18Oを測定しても原水の産出地を判定することが困難である。そこで、醸造酒等のδ18Oから原水のδ18Oを知ることができ、ひいては、原水の産出地を判定する技術への強い要請がある。
そこで発明者らは、醸造酒等の原水の産出地をδ18Oにより判定する技術について鋭意研究した結果、醸造酒等のδ18Oが原水のδ18Oに対して、所定の相関関係を以って変化し、このδ18Oの変化に基づいて補正することで、原水のδ18Oを算出することが可能であり、ひいては原水の産出地判定に適用可能であるとの知見を得た。なお、醸造酒等の製造過程では、δ18Oがもろみにおいて一旦増加して、その後、醸造酒等のδ18Oが減少することが判明したが、これは、蒸きょう後の放冷により、δ18Oの低い水が蒸発すること、発酵中の酵母がδ18Oの高い水を取り込むことに起因すると推測される。
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、製造過程に蒸きょう、発酵をともなうことによりδ18Oが変化する醸造酒、混成酒につき、その醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ18Oを正確かつ効率的に算出することができ、ひいては原水の産出地判定に適用可能な原水の産出地判定方法、原水の産出地判定システムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、醸造酒、混成酒の生産に用いられた原水の産出地判定方法であって、特定した産出地の原水のδ18Oと、前記特定した産出地の原水で生産された醸造酒、混成酒のδ18Oとを測定し、前記測定した原水のδ18Oと前記測定した醸造酒、混成酒のδ18Oに基づいて、前記原水から醸造酒、混成酒を生産した場合のδ18Oの変化量を算出し、検定対象の醸造酒、混成酒のδ18Oを測定し、前記原水から醸造酒、混成酒を生産した場合のδ18Oの変化量に基づいて、前記測定された検定対象の醸造酒、混成酒のδ18Oを前記検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ18Oに補正し、前記検定対象の醸造酒、混成酒の補正後のδ 18 Oと、予め設定された複数の産出地の原水のδ 18 Oとを対比することにより、前記検定対象の醸造酒、混成酒の原水の産出地を判定することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、醸造酒、混成酒の生産に用いられた原水の産出地判定システムであって、検定対象の醸造酒、混成酒のδ18Oが入力される入力部と、前記入力された検定対象の醸造酒、混成酒のδ18Oを、前記検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ18Oに補正する演算部と、を備え、前記演算部は、特定された産出地の原水のδ18Oと前記特定された産出地の原水で生産された醸造酒、混成酒のδ18Oとから算出された、前記特定の産出地の原水により醸造酒、混成酒を生産した場合のδ18Oの変化量に基づいて、前記検定対象の醸造酒、混成酒のδ18Oを前記検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ18Oに補正し、前記検定対象の醸造酒、混成酒の補正されたδ 18 Oと、予め設定された複数の産出地の原水のδ 18 Oとを比較することにより、前記醸造酒、混成酒を生産した原水の産出地を判定するように構成されていることを特徴とする。
この発明に係る原水の産出地判定方法、原水の産出地判定システムによれば、原水から醸造酒、混成酒を生産した場合のδ18Oの変化量に基づいて、検定対象の醸造酒、混成酒のδ18Oを、検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ18Oに正確かつ効率的に補正し、検定対象の醸造酒、混成酒の補正後のδ 18 Oと、予め設定された複数の産出地の原水のδ 18 Oとを対比することにより、検定対象の醸造酒、混成酒の原水の産出地を判定することができる。
ここで、δ18Oを用いるのは、地下水の起源である降雨が浸み込む場所や標高、海岸からの距離によってδ18Oが異なる性質や地下へ浸み込む時のδ18Oを湧出するまで保持する性質があるので、原水の産出地特定がしやすいためである。
この明細書において、醸造酒とは、原料が有する糖を酵母によりアルコール発酵して生産される単発酵酒、及び、例えば、清酒、ビール等、米、麦などの穀類等のデンプンを糖化してからアルコール発酵し、又は穀物を発芽させてデンプンを糖化してからアルコール発酵して生産される複発酵酒のうち、製造工程で水を用いるものをいう。また、混成酒とは、みりん等の酒類をいう。また、醸造酒、混成酒ともに、発酵が停止してδ18Oが安定しているものを対象とする。
請求項2に記載の発明は、醸造酒、混成酒の生産に用いられた原水の産出地判定方法であって、特定した産出地の原水のδ 18 Oと、前記特定した産出地の原水で生産された醸造酒、混成酒のδ 18 Oとを測定し、前記測定した原水のδ 18 Oと前記測定した醸造酒、混成酒のδ 18 Oに基づいて、前記原水から醸造酒、混成酒を生産した場合のδ 18 Oの変化量を算出し、検定対象の醸造酒、混成酒のδ 18 Oを測定し、前記原水から醸造酒、混成酒を生産した場合のδ 18 Oの変化量に基づいて、前記測定された検定対象の醸造酒、混成酒のδ 18 Oを前記検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ 18 Oに補正し、前記検定対象の醸造酒、混成酒の補正後のδ18Oと、前記特定した産出地の原水のδ18Oとを対比することにより、前記検定対象の醸造酒、混成酒が前記特定された産出地の水で生産されたかどうかを判定することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、醸造酒、混成酒の生産に用いられた原水の産出地判定システムであって、検定対象の醸造酒、混成酒のδ 18 Oが入力される入力部と、前記入力された検定対象の醸造酒、混成酒のδ 18 Oを、前記検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ 18 Oに補正する演算部と、を備え、前記演算部は、特定された産出地の原水のδ 18 Oと前記特定された産出地の原水で生産された醸造酒、混成酒のδ 18 Oとから算出された、前記特定の産出地の原水により醸造酒、混成酒を生産した場合のδ 18 Oの変化量に基づいて、前記検定対象の醸造酒、混成酒のδ 18 Oを前記検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ 18 Oに補正し、前記検定対象の醸造酒、混成酒の補正されたδ18Oと、前記特定された産出地の原水のδ18Oとを比較することにより、前記検定対象の醸造酒、混成酒が前記特定された産出地の原水で生産されたかどうかを判定するように構成されていることを特徴とする。
この発明に係る原水の産出地判定方法、原水の産出地判定システムによれば、原水から醸造酒、混成酒を生産した場合のδ 18 Oの変化量に基づいて、検定対象の醸造酒、混成酒のδ 18 Oを、検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ 18 Oに正確かつ効率的に補正し、検定対象の醸造酒、混成酒の補正後のδ18Oと、特定した産出地の原水のδ18Oとを対比することにより、検定対象の醸造酒、混成酒が特定された産出地の水で生産されたかどうかを判定することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の原水の産出地判定方法であって、前記δ18Oとともに、δDを用いて判定することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の原水の産出地判定システムであって、前記δ18Oとともに、δDを用いて判定することを特徴とする。
この発明に係る原水の産出地判定方法によれば、δ18Oとともに、重水素(D)の同位体比δDを用いて判定するので、複数の産出地の原水のδ18Oが近似している場合であってもδDの差異により原水の産出地判定の精度を向上することができ、原水の産出地を正確に判定することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の原水の産出地判定方法であって、前記検定対象が清酒であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれか1項に記載の原水の産出地判定システムであって、前記検定対象が清酒であることを特徴とする。
この発明に係る原水の産出地判定方法、原水の産出地判定システムによれば、検定対象の清酒のδ18Oを生産に用いた原水のδ18Oに正確かつ効率的に補正することができる。
この発明に係る原水の産出地判定方法、原水の産出地判定システムによれば、原水から清酒を生産した場合のδ18Oの変化量に基づき、検定対象の清酒のδ18Oを検定対象の清酒の生産に用いた原水のδ18Oに、正確かつ効率的に補正することができ、ひいては清酒の原産地を判定することができる。
この発明に係る原水の産出地判定方法、原水の産出地判定システムによれば、検定対象の醸造酒、混成酒のδ18Oを生産に用いた原水のδ18Oに、正確かつ効率的に補正することができる。その結果、検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水の産出地の判定、特定の産出地の原水であるかどうかの判定を、正確かつ効率的に行なうことができる。
本発明の第1の実施形態に係る清酒の原水の産出地判定システムの概略構成を示す図である。 第1の実施形態に係る清酒の原水の産出地判定システムの判定手順の一例を示すフロー図である。 第1の実施形態に係る清酒の製造工程を示す図である。 第1の実施形態に係る清酒の製造工程とδ18Oの関係を示す図である。 第1の実施形態に係る清酒の生産に用いた原水のδ18Oと、清酒のδ18Oの関係を示す図である。 第1の実施形態に係る清酒の原水の産出地判定システムの補正係数を算出する手順を示すフロー図である。 本発明の第2の実施形態に係る清酒の原水の産出地判定システムの判定手順の一例を示すフロー図である。 第3の実施形態に係る清酒の原水の産出地判定システムの判定手順の一例を示すフロー図である。
以下、図1から図6を参照し、この発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の概略構成を示す図であり、符号1は清酒(醸造酒)のδ18Oから原水の産出地を判定する原水判定システム(以下、原水産出地判定システムという)を示している。
原水産出地判定システム1は、図1に示すように、入力部11と、メモリ12と、演算部13と、ハードディスク14と、出力部16と、通信線17とを備え、入力部11、メモリ12、演算部13、ハードディスク14、出力部16は、通信線17により相互にデータ等を通信可能に接続され、ハードディスク11にはデータベース15が格納されている。
入力部14は、例えば、キーボード等のデータ入力機器18を有していて、検定対象の清酒のδ18Oが入力され、入力された検定対象の清酒のδ18Oを演算部13に出力するようになっている。
出力部16は、例えば、液晶ディスプレー等の表示部19と接続され、演算部13から出力された結果を表示部19に出力するようになっている。
演算部13は、メモリ12の記憶媒体(例えば、ROM)に格納されたプログラムを読み込んで実行し、例えば、入力部14から入力された清酒のδ18Oを原水のδ18Oに補正して、補正した原水のδ18Oをデータベース15と参照することにより、原水の産出地を特定して、例えば、清酒のδ18O、補正した原水のδ18O、原水の産出地等を表示部19に表示するようになっている。
データベース15には、入力された清酒のδ18Oを、原水のδ18Oに補正するための、例えば、予め設定した産出地(設定産出地)の原水のδ18Oの数値テーブルが格納されている。
次に、図2を参照して、原水産出地判定システム1による、清酒に用いた原水の産出地判定手順を説明する。図2は、検定対象の清酒が、予め設定された産出地(設定産出地)のうち、どの設定産出地の原水により生産されたかを判定する手順の一例を示すフロー図である。
(1)まず、δ18O補正係数を設定する(S1)。
(2)次に、入力部14に検定対象の清酒のδ18Oを入力する(S2)。
(3)次いで、演算部13は、入力部14を介して入力された検定対象の清酒のδ18Oを、δ18O補正係数に基づいて補正する(S3)。
(4)次に、演算部13は、検定対象の清酒のδ18Oの補正値と、データベース15に格納された複数の設定産出地の原水のδ18Oとを対比する(S4)。
(5)次いで、例えば、設定産出地のなかから、検定対象のδ18Oの補正値に最も近似するものを特定することにより、清酒に用いた原水の産出地を判定する(S5)。
次に、図3を参照して、第1の実施形態に係る清酒の製造工程の概略について説明する。
なお、図3に示した清酒の製造工程は、一般的な工程を概念的に示したものであり、原材料と産物の固有の関係を特定するものではない。
図3は、清酒の製造工程を示す図である。
(1)まず、原料として玄米を準備する。
(2)玄米を、精米して白米とする。
(3)白米を、洗米、水に浸漬、蒸きょうして蒸米とする。
(4)蒸米は、もろみ、こうじ(製麹)、酒母の製造に用いられる。
(5)蒸米に、こうじ、酵母、水(原水)を付加して酒母を製造する。
(6)次に、蒸米に、こうじ、酒母、水(原水)を付加するとともに発酵させて、もろみを製造する。
(7)もろみを上槽することにより、原酒と清酒かすに分離する。
(8)上槽することにより得られた原酒を加熱する(火入)。
(9)火入れした原酒を貯蔵し、ろ過するとともに、原水で割水することで、清酒とする。
図4は、図3に示した清酒の製造工程における原料水(原水)段階、もろみ段階(仕込み直後)、原酒段階、清酒段階におけるδ18Oの推移の一例を示す図である。
清酒の製造工程におけるδ18Oは、図4に示すように、例えば、本醸造酒では、原料水(原水)段階で−8.3‰、もろみ段階(仕込み直後)で−7.1‰、原酒段階で−8.5‰、清酒段階で−8.5‰と推移し、もろみ段階(仕込み直後)でδ18Oが約1.2‰増加し、清酒のδ18O、もろみ(仕込み直後)のδ18Oは、原水のδ18Oと異なった数値を示す。これは、大吟醸酒、純米酒等、他の清酒も同様である。
しかしながら、清酒のδ18Oと、原料水として用いた地下水のδ18Oの相関を確認したところ、図5に示すように、相関係数は0.9795と強い相関関係が認められ、いずれの清酒においても、清酒のδ18Oは、原水の清酒のδ18Oより、0.2〜1.3‰低いことが判明した。そこで、図6に示すような手順を用いて、δ18O補正係数が設定可能であることが判明した。なお、図5に示した(◇)は、原水の産出地ごとの清酒のδ18Oと原水のδ18Oを示している。
次に、図6を参照して、原水産出地判定システム1における検定対象の清酒のδ18Oの補正に用いるδ18O補正係数の算出手順を説明する。図6は、検定対象の清酒のδ18Oの補正に用いるδ18O補正係数の算出手順の一例を示すフロー図である。
(1)まず、原水のδ18Oと、清酒のδ18Oを測定(S11)。
(2)例えば、原水のδ18Oと清酒のδ18Oの差を算出して、原水から清酒を生産した場合のδ18Oの変化量を算出する(S12)。
(3)原水から清酒を生産した場合のδ18Oの変化量を、δ18O補正係数とする(S13)。
なお、ここでは、原水のδ18Oと清酒のδ18Oの差をδ18O補正係数としたが、原水のδ18Oと清酒のδ18Oの差に清酒のδ18Oに応じた係数を乗じ、又は原水のδ18Oと清酒のδ18Oの差に関数(f(δ18O))を乗じる構成により、δ18O補正係数としてもよい。
原水産出地判定システム1によれば、原水から清酒を生産した場合のδ18Oの変化量に基づき、検定対象の清酒のδ18Oを検定対象の清酒の生産に用いた原水のδ18Oに補正することができる。
また、原水産出地判定システム1によれば、検定対象の清酒の補正後のδ18Oと、予め設定された複数の産出地の原水のδ18Oに基づいて、検定対象の清酒の原水の産出地を判定することができる。
次に、図7を参照して、第2の実施形態に係る原水産出地判定システム1Aについて説明する。図7は、原水産出地判定システム1Aによる検定対象の清酒が特定産出地の原水を用いて生産されたかどうかを判定する手順の一例を示すフロー図である。
原水産出地判定システム1Aは、検定対象の清酒が特定の産出地の原水を用いて生産されたかどうかを判定する点で原水産出地判定システム1と相違しており、データベース15Aには、設定許容値(例えば、原水産出地ごとの許容値)が格納されている。その他は原水産出地判定システム1と同様であるので説明を省略する。
(1)まず、δ18O補正係数を設定する(S21)。
(2)次に、入力部14に検定対象の清酒のδ18Oを入力する(S22)。
(3)次いで、演算部13は、入力部14から入力された検定対象の清酒のδ18Oを、δ18O補正係数に基づいて補正する(S23)。
(4)次に、演算部13は、例えば、((検定対象の清酒のδ18O補正値)−(特定された産出地の原水のδ18O))を算出することにより、検定対象の清酒と特定産出地の原水のδ18Oの差Xを求める(S24)。
(5)次いで、演算部13は、δ18Oの差Xと、データベース15に格納された設定許容値とを比較し、δ18Oの差X≦設定許容値、である場合は、S26に移行し、δ18Oの差X≦設定許容値、でない場合は、S27に移行する。
(6)演算部13は、清酒が特定産出地の原水で生産されたものと判定する(S26)。
(7)演算部13は、清酒が特定産出地の原水で生産されたものではないと判定する(S27)。
原水産出地判定システム1Aによれば、検定対象の清酒の補正後のδ18Oと、特定した産出地の原水のδ18Oとを対比することにより、検定対象の清酒が特定産出地の水で生産されたかどうかを判定することができる。
次に、図8を参照して、この発明の第3の実施形態に係る原水産出地判定システム1Bについて説明する。図8は、原水産出地判定システム1Bにより、検定対象の清酒の生産に用いた原水の産出地を判定する手順の一例を示すフロー図である。
原水産出地判定システム1Bは、検定対象の清酒の原水の産出地を、複数の設定産出地のなかから特定する際に、δ18Oとともに、重水素(D)の同位体比δDを用いて原水の産出地を判定する点で原水産出地判定システム1と相違する。データベース15Bには、例えば、δ18Oの設定許容値、δD補正係数、δDの設定許容値(それぞれ、必要に応じて特定産出地ごとでもよい)が格納されている。その他は原水産出地判定システム1と同様であるので説明を省略する。
(1)まず、δ18O補正係数、δD補正係数を設定する(S31)。ここで、δD補正係数は、例えば、S11〜S13と同様の手順を用いて求めてもよい。
(2)次に、演算部13は、入力部14から入力された検定対象の清酒のδ18Oをδ18O補正係数に基づいて補正し、例えば、検定対象の清酒の補正後のδ18Oと設定産出地の原水のδ18Oの差Y(=検定対象の清酒のδ18O補正値)−(設定産出地の原水のδ18O))を、すべての設定産出地について算出して、δ18Oの差Yが最小となる設定産出地を特定する(S32)。ここで、δDは、必要に応じて入力する。
(3)次に、演算部13は、δ18Oの差Yが最小となる原水の産出地が複数箇所かどうかを判定する(S33)。産出地が複数箇所である場合はS34に移行し、1箇所である場合はS36に移行する。
(4)演算部13は、S33において選択された複数の設定産出地について、S32で入力されたδDの側定値に基づいて、産出地を判定する(S34)。なお、S34における判定は、S32と同様の手順を実行することにより行なうことができる。
(5)演算部13は、清酒を生産した原水の産出地を特定する(S35)。
原水産出地判定システム1Bによれば、原水のδ18Oとともに、δDを用いて判定するので、δ18Oが近似する複数の産出地の原水がある場合であっても、δDの差に基づいて原水の産出地を判定することができる。その結果、原水の産出地の判定精度を向上することができる。
なお、上記の実施形態において記載した技術的事項については、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、検定対象が清酒である場合について説明したが、例えば、清酒以外の醸造酒に適用してもよいし、混成酒に適用してもよい。
また、上記実施の形態においては、δ18Oのみにより判定する場合、δ18OとともにδDを用いて判定する場合について説明したが、δ18OとともにδDを用いるかどうかは任意に設定可能である。
また、上記実施の形態においては、清酒のδ18Oの補正値に基づいて、検定対象の清酒が予め設定された産出地のいずれかを判定する場合、特定された産出地の原水で生産されたかどうかを判定する場合について説明したが、検定対象の醸造酒、混成酒のδ18Oを補正するのみの構成として用いてもよい。
本発明に係る原水の産出地判定方法、原水の産出地判定システムによれば、検定対象の醸造酒等のδ18Oを、その醸造酒の生産に用いた原水のδ18Oに補正することができるので産業上利用可能である。
1、1A、1B 原水産出地判定システム
11 入力部
13 演算部

Claims (8)

  1. 醸造酒、混成酒の生産に用いられた原水の産出地判定方法であって、
    特定した産出地の原水のδ18Oと、前記特定した産出地の原水で生産された醸造酒、混成酒のδ18Oとを測定し、
    前記測定した原水のδ18Oと前記測定した醸造酒、混成酒のδ18Oに基づいて、前記原水から醸造酒、混成酒を生産した場合のδ18Oの変化量を算出し、
    検定対象の醸造酒、混成酒のδ18Oを測定し、
    前記原水から醸造酒、混成酒を生産した場合のδ18Oの変化量に基づいて、前記測定された検定対象の醸造酒、混成酒のδ18Oを前記検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ18Oに補正し、
    前記検定対象の醸造酒、混成酒の補正後のδ 18 Oと、予め設定された複数の産出地の原水のδ 18 Oとを対比することにより、前記検定対象の醸造酒、混成酒の原水の産出地を判定することを特徴とする原水の産出地判定方法。
  2. 醸造酒、混成酒の生産に用いられた原水の産出地判定方法であって、
    特定した産出地の原水のδ 18 Oと、前記特定した産出地の原水で生産された醸造酒、混成酒のδ 18 Oとを測定し、
    前記測定した原水のδ 18 Oと前記測定した醸造酒、混成酒のδ 18 Oに基づいて、前記原水から醸造酒、混成酒を生産した場合のδ 18 Oの変化量を算出し、
    検定対象の醸造酒、混成酒のδ 18 Oを測定し、
    前記原水から醸造酒、混成酒を生産した場合のδ 18 Oの変化量に基づいて、前記測定された検定対象の醸造酒、混成酒のδ 18 Oを前記検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ 18 Oに補正し、
    前記検定対象の醸造酒、混成酒の補正後のδ18Oと、前記特定した産出地の原水のδ18Oとを対比することにより、前記検定対象の醸造酒、混成酒が前記特定された産出地の水で生産されたかどうかを判定することを特徴とする原水の産出地判定方法。
  3. 請求項1又は2に記載の原水の産出地判定方法であって、
    前記δ18Oとともに、δDを用いて判定することを特徴とする原水の産出地判定方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の原水の産出地判定方法であって、
    前記検定対象が清酒であることを特徴とする原水の産出地判定方法。
  5. 醸造酒、混成酒の生産に用いられた原水の産出地判定システムであって、
    検定対象の醸造酒、混成酒のδ18Oが入力される入力部と、
    前記入力された検定対象の醸造酒、混成酒のδ18Oを、前記検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ18Oに補正する演算部と、を備え、
    前記演算部は、
    特定された産出地の原水のδ18Oと前記特定された産出地の原水で生産された醸造酒、混成酒のδ18Oとから算出された、前記特定の産出地の原水により醸造酒、混成酒を生産した場合のδ18Oの変化量に基づいて、前記検定対象の醸造酒、混成酒のδ18Oを前記検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ18Oに補正し、前記検定対象の醸造酒、混成酒の補正されたδ 18 Oと、予め設定された複数の産出地の原水のδ 18 Oとを比較することにより、前記醸造酒、混成酒を生産した原水の産出地を判定するように構成されていることを特徴とする原水の産出地判定システム。
  6. 醸造酒、混成酒の生産に用いられた原水の産出地判定システムであって、
    検定対象の醸造酒、混成酒のδ 18 Oが入力される入力部と、
    前記入力された検定対象の醸造酒、混成酒のδ 18 Oを、前記検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ 18 Oに補正する演算部と、を備え、
    前記演算部は、
    特定された産出地の原水のδ 18 Oと前記特定された産出地の原水で生産された醸造酒、混成酒のδ 18 Oとから算出された、前記特定の産出地の原水により醸造酒、混成酒を生産した場合のδ 18 Oの変化量に基づいて、前記検定対象の醸造酒、混成酒のδ 18 Oを前記検定対象の醸造酒、混成酒の生産に用いた原水のδ 18 Oに補正し、前記検定対象の醸造酒、混成酒の補正されたδ18Oと、前記特定された産出地の原水のδ18Oとを比較することにより、前記検定対象の醸造酒、混成酒が前記特定された産出地の原水で生産されたかどうかを判定するように構成されていることを特徴とする原水の産出地判定システム。
  7. 請求項5又は6に記載の原水の産出地判定システムであって、
    前記δ18Oとともに、δDを用いて判定することを特徴とする原水の産出地判定システム。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の原水の産出地判定システムであって、
    前記検定対象が清酒であることを特徴とする原水の産出地判定システム。
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