JP5907208B2 - Ponシステム及び局側装置 - Google Patents
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Description
このPONシステムにおいては、半導体レーザ等の光源を直接或いは外部変調したNRZ(Non-Return to Zero)光信号を伝送し、所定の情報を送受信する。
逆に、各宅側装置がPON回線に送出する光信号よりなる上りフレームについては、衝突を防止すべく、局側装置がLLIDごとに時分割で多重アクセス制御を行っている。従って、局側装置は、各宅側装置からの上り光信号をバースト的に受信する。
このアクセス制御装置は、通常、複数のLSI(Large Scale Integrated Circuit )を制御基板に実装して構成されており、プログラマブルな論理回路(Field-Programmable Gate Array :FPGA)やマイクロプロセッサ(Micro-Processing Unit:MPU)のメモリに予め記憶させたコンピュータプログラムに従って動作する。
この場合、アクセス制御部が複数回線制御を行っている期間中でも、新たな宅側装置を適切にPONに加入させることができる。また、局側装置は、新たにPONに加入した宅側装置が第1あるいは第2のいずれのPON回線に属する宅側装置であるかを把握することができる。
このため、本発明のPONシステムは、上述の(1)又は(2)に記載の局側装置と同様の作用効果を奏する。
〔PONシステムの接続形態〕
図1は、本発明の実施形態に係るPONシステムの接続形態を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のPONシステムは、通信事業者側の光回線終端装置(OLT:Optical Line Terminal )1と、宅側の光回線終端装置(ONU:Optical Network Unit)3とが、ツリー構造のPON回線4A,4Bで接続された接続形態(トポロジ)となっている。
以下、本実施形態においては、各々の光加入者終端盤2或いはその集合体である光回線終端装置1を「局側装置」といい、この局側装置にPON回線4A,4Bにて接続された宅側の回線終端装置3を「宅側装置」という。また、「局側装置」を「OSU」又は「OLT」と略記し、「宅側装置」を「ONU」と略記することがある。
光ファイバ7は、所定の分岐数(例えば、32や64分岐)で光カプラ6から分岐しており、その終端に宅側装置3がそれぞれ接続されている。また、局側装置2の上位側(図1の左側)は上位網に通じており、各宅側装置3の下位側(図1の右側)はそれぞれ下位網に通じている。
このため、局側装置2は、1Gと10Gの双方の伝送レートに対応しており、宅側装置3は、1GONU、10G非対称ONU、或いは、10G対称ONUよりなる。
図2は、局側装置2の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、局側装置2は、上位側(図2の上側)から下位側に向かって順に、上位スイッチ11、アクセス制御部12A,12B、管理部13、下位スイッチ14、光送受信制御部15及び光送受信部16A,16Bを備えている。
なお、以下において、PON回線4A,4Bとアクセス制御部12A,12Bと光送受信部16A,16Bの系統を互いに区別する表現として、「系統A」及び「系統B」を用いることがある。
なお、上位スイッチ11は、上位網からの下りフレームを上位網に折り返したり、アクセス制御部12A,12Bからの上りフレームをアクセス制御部12A,12Bに折り返したりすることも可能である。
管理インタフェース19は管理ネットワークに接続されており、このネットワークを介して運用者である通信事業者からの指令を受けることができる。
なお、図2の例では、管理ネットワークが上位網と別のネットワークとなっているが、両者は同一のネットワークであってもよい。
下位スイッチ14は、アクセス制御部12A,12BのPON側(図2の下側)に接続され、光送受信部16A,16Bの上位側に接続されたL1スイッチよりなる。この下位スイッチ14は、アクセス制御部12A,12Bと光送受信部16A,16Bとの間の電気信号の方路を物理層レベルで切り替える機能を有する。
本実施形態のアクセス制御部12A,12Bと光送受信部16A,16Bは、いずれも系統Aと系統Bとで同じ構成及び機能を有する。そこで、以下においては、主として、系統Aを例にとってその構成及び機能を説明する。
アクセス制御部12Aは、複数のLSIを制御基板に実装して構成された制御装置よりなり、プログラマブルな論理回路(FPGA)やマイクロプロセッサ(MPU)を有する。アクセス制御部12Aのメモリ等に格納されるコンピュータプログラムには、FPGAの回路設計のためのVHDL及びVerilogなどのハードウェア記述言語や、MPUが行う処理内容を定義するC言語などで記述され、FPGAやMPUなどのデバイスの構造に合わせてコンパイルなどの処理がなされたコードが含まれる。
上位スイッチ11から入力された下りフレームは、上位側受信部23により受信されて中継処理部24に送られる。中継処理部24は、その下りフレームをPON側送信部28に送出し、PON側送信部28は、その下りフレームを下位スイッチ14に入力する。
PON側受信部27は、上りフレームがデータフレームである場合は、それを中継処理部24に渡し、MPCPフレームやOAMフレームなどの制御フレームである場合は、それをPON制御部26に渡す。中継処理部24は、そのデータフレームを上位側送信部22に送出し、上位側送信部は、そのデータフレームを上位スイッチ11に入力する。
例えば、PON制御部26は、受信した制御フレームが、自身がPON回線4A,4Bにブロードキャスト送信したディスカバリゲートに応答する、宅側装置3からのレジスタ要求である場合には、その宅側装置3のためのLLIDを決定し、決定したLLIDの値を記したレジスタを生成して、そのレジスタをPON側送信部28に下り送信させる。
そして、PON制御部26は、動的帯域割当の結果決定した送信許可量と、上り送信タイミングを記した所定のLLID宛のグラントを生成し、そのグラントをPON側送信部28に下り送信させる。
1)PON回線4A,4Bの種別情報
この識別情報は、ONUが系統A又は系統Bのいずれに属するかを示す情報である。
この種別情報は、ONUが1GONU、10G非対称ONU又は10G対称ONUのいずれかを示す情報である。
3)ONUのMACアドレス
4)ONUのRTT情報
このパラメータは、当該ONUに設定する優先度クラス、最低保証帯域及び最大許容帯域を定義するためのパラメータである。
6)上位ネットワークにおけるVLANモード
系統AのPON制御部26は、上記通信により、系統BのPON制御部26が使用するLLIDの値と重複しないように自身が使用するLLIDを決定し、系統Aと系統Bの双方で使用するLLIDと、それに対応する上記必要情報を管理テーブル25に保持する。ただし、後述の通り、縮退モードへの移行時にいったん系統Bの論理リンクが切断されるのを許容する実装の場合は、そのような決定は不要である。
すなわち、例えば、系統Aでは奇数を用い、系統Bでは偶数を用いることにしたり、系統Aでは0からインクリメントした値を用い、系統Bでは所定値からデクリメントした値を用いたりしてLLIDの番号空間を分離することにより、系統Aと系統Bとで使用するLLIDの重複を防止できる。
系統AのPON制御部26は、系統BのPON制御部26から通知されたタイムスタンプと自身のPONカウンタとを比較する。系統AのPON制御部26は、それらの時刻差が所定値(例えば、128ns)以下であるかを判定し、それを超える場合には、自身のカウンタを系統Bに合わせるか、系統B側でカウンタを合わせるように通知する。
PON回線4Aからの上り光信号は、合分波部32を通じて光受信部30により受信され、光受信部30は、受信した上り光信号を電気信号に変換して下位スイッチ14に入力する。下位スイッチ14からの下り電気信号は、光送信部31によって光信号に変換され、この下りの光信号は、合分波部32を通じてPON回線4Aに送出される。
また、光送受信制御部15は、縮退制御部20からの制御信号と、系統Aや系統BのPON制御部26からの制御信号とに基づいて、下位スイッチ14の切り替えと、光送受信部16A,16B内の光受信部30に対する受信制御を行う。この受信制御は、次の上りバースト受信に合わせて、光受信部30の受信態勢(例えば、伝送レートに合わせた受信増幅回路やクロック再生回路、復号回路の選択やリセットなど)を適合させる制御である。
図3は、通常モードにおける通信フレームの流れを示す図である。また、図4は、系統A側にアクセス制御を集中させる場合の、縮退モードにおける通信フレームの流れを示す図であり、図5は、系統B側にアクセス制御を集中させる場合の、縮退モードにおける通常フレームの流れを示す図である。
以下、図3〜図5を参照して、縮退制御部20が行うスイッチ制御の内容について説明する。
S1) 上位スイッチ11に入力される系統Aと系統BのPON回線4A,4Bへの下りフレームの出力先を、系統Aと系統Bのアクセス制御部12A,12Bに分散させる。
なお、この場合の出力先は、下りフレームに含まれる情報、例えば、VLAN番号や宛先MACアドレス等に基づいて判定される。系統Aと系統BのPON回線4A,4Bへの下りフレームがユニキャストフレームの場合には、系統Aあるいは系統BのPON回線4A,4Bのいずれかへ転送され、下りフレームがユニキャストフレームでない場合には、PON回線4A,4Bのいずれか片方に転送されるか、あるいは必要に応じて系統Aと系統BのPON回線4A,4Bの両方へ転送される。
S3) 系統Aと系統Bの光送受信部16A,16Bから下位スイッチ14に入力される上りフレームの出力先を、それぞれ系統A及び系統Bのアクセス制御部12A,12Bに設定する。
従って、この通常モードでは、系統Aのアクセス制御部12Aは、自身が通常管理する1つのPON回線4Aに対する上り多重アクセス制御(以下、これを「通常回線制御」という。)を行い、系統Bのアクセス制御部12Bも、同様に、自身が通常管理する1つのPON回線4Bに対する上り多重アクセス制御である通常回線制御を行う。
S4) 上位スイッチ11に入力される系統Aと系統BのPON回線4A,4Bへの下りフレームの出力先を、系統Aのアクセス制御部12Aに集中させる。
S6) 系統Aと系統Bの光送受信部16A,16Bから下位スイッチ14に入力される上りフレームの出力先を、下位スイッチ14に対して時分割の多重制御を行って系統Aのアクセス制御部12Aに集中させる。
このとき、アクティブなアクセス制御部12AのPON制御部26は、各々のPON回線4A,4Bから光送受信部16A,16Bを経由して受信する上り方向のバースト信号が、下位スイッチ14において欠損しないように、自身が宅側装置3にグラントした送信タイミングに基づいて光送受信制御部15に切り替えタイミングを指示する。
また、その結果、スタンバイのアクセス制御部12Bには、両スイッチ11,14から上り及び下りフレームが入力されず、通信フレームが疎通しない非通信状態となる。
S7) 上位スイッチ11に入力される系統Aと系統BのPON回線4A,4Bへの下りフレームの出力先を、系統Bのアクセス制御部12Bに集中させる。
S9) 系統Aと系統Bの光送受信部16A,16Bから下位スイッチ14に入力される上りフレームの出力先を、下位スイッチ14に対して時分割の多重制御を行って系統Bのアクセス制御部12Bに集中させる。
このように、本実施形態では、運用者からの指令に応じて、いずれか一方のアクセス制御部12A,12Bが両系統A,BのPON回線4A,4Bをアクセス制御する複数回線制御を行い、他方のアクセス制御部12A,12Bに通信フレームを疎通させない縮退モードを、局側装置2に実行させることができる。
この場合、系統A,Bのアクセス制御部12A,12Bの双方に通常通り電源供給する場合に比べて、局側装置2のアクセス制御部12A,12Bにおける消費電力を低下させることができる。
このため、縮退モードを行う時間帯は、PON回線4A,4Bにおけるトラフィックが所定値以下となる例えば夜中の時間帯とすることが好ましい。この場合、アクティブなアクセス制御部12A,12Bが制御する宅側装置3が増加することに伴う、宅側装置3あたりの通信帯域の低下の影響を軽減できるようになる。
また、アクセス制御部12A,12BのPON制御部26は、上り多重アクセス制御を行うに当たって、同じクロック発生器を用いてクロックの同期を図るとともに、互いのタイムスタンプのずれが所定値以下となるように時刻同期を図っている。
このため、モードの切り替えごとにLLIDが自動的に切断されることによって、通信が不通となる時間が長くなることを防止できるという利点がある。
上述の実施形態において、縮退制御部20が両スイッチ11,14の方路を切り替えることによる局側装置2の動作モードの切り替えにより、論理リンクが自動的に切断されるのを許容する実装としてもよい。
もっとも、かかる実装の場合には、各々の系統A,Bのアクセス制御部12A,12BのPON制御部26は、縮退制御部20が両スイッチ11,14の切り替えを行う前後で上り多重アクセス制御の制御主体が変わるLLIDの登録を、解除することが好ましい。
従って、比較的簡単に縮退モードを実現することができる。
上述の実施形態において、アクティブなアクセス制御部12A,12Bによる宅側装置3の登録方法として、複数回線制御の実行期間中においては、下位スイッチ14における上りフレームの入力元を、ディスカバリプロセスごとに系統A又は系統Bの光送受信部16A,16Bのいずれかに固定し、その固定状態で宅側装置3の登録シーケンスを実行することが好ましい。
1)局側装置2がディスカバリゲートをブロードキャストする。
2)宅側装置3がレジスタ要求を局側装置2に返す。
3)局側装置2がLLIDを記したレジスタを宅側装置3に送信する。
4)宅側装置3がレジスタ確認を局側装置2に返す。
また、この場合、アクティブなアクセス制御部12A,12Bは、新たな宅側装置3がA,Bいずれの系統のPONに属するかを確実に把握することができる。
上述の実施形態において、各系統A,Bのアクセス制御部12A,12Bは、MPCPに従う上り多重アクセス制御において、許可する上りフレームの送信タイミングが、縮退制御部20による両スイッチ11,14の切り替え前であるグラントのみを生成することが好ましい。
上述の実施形態において、縮退モードにおいてアクティブとなるアクセス制御部12A,12BのPON制御部26は、複数回線制御を行う場合に、同じPON回線4A,4Bに属する宅側装置3に許可する上りフレームの送信タイミングが出来るだけ連続するように、当該上りフレームのスケジューリングを行うことが好ましい。
なお、図6及び図7において、ONU1とONU3は系統AのPON回線4Aに属し、ONU2は系統BのPON回線4Bに属するものとする。
この場合、図6の最上部に示すように、OSUが各ONU1〜3から受信するレポート又はデータ付きレポートの系統種別を並べると、A→B→A→A→B→A→A→B→Aとなり、系統種別が合計6回切り替わる。
しかし、このように、下位スイッチ14が頻繁に切り替わるスケジューリングでは、下位スイッチ14の切り替えの時間的オーバーヘッドが小さくない場合、上りの帯域が無駄に圧迫されることになる。
この場合、図7の最上部に示すように、OSUが各ONU1〜3から受信するレポート又はデータ付きレポートの系統種別を並べると、A→A→B→A→A→A→A→B→Bとなり、系統種別が合計3回切り替わる。
このように、同じPON回線4A,4Bに属する宅側装置3に許可する上りフレームの送信タイミングを連続させるようにすれば、それを考慮しないでランダムに上りフレームのスケジューリングを行う場合に比べて、所定時間内における下位スイッチ14の切り替え回数を削減できる。このため、下位スイッチ14の切り替えに伴う上り帯域の損失を小さくできるという利点がある。
上述の実施形態では、OLT1を構成するOSU2がそれぞれ上位スイッチ11を有する場合を例示したが、上位スイッチ11は、例えば図8に示すように、各OSU2の上位側を多重する冗長化した集線盤11aにより構成することにしてもよい。
この場合、上位スイッチ11のすべての機能を集線盤11aに行わせるようにすれば、OSU2の実装基板に上位スイッチ11が不要となる。もっとも、上位スイッチ11の機能を集線盤11aとOSU2の実装基板に分担させてもよい。
上述の実施形態において、下位スイッチ14の機能の一部をアクセス制御部12A,12Bに組み込むことにしてもよい。図9はその実装例を示すブロック図である。
図9に示すように、この変形例の下位スイッチ14は、アクセス制御部12A,12BにおけるPON側受信部27とPON側送信部28にそれぞれ組み込まれた内部スイッチ14R,14Tと、アクセス制御部12A,12Bの外部に設けられた外部スイッチ14Cとから構成されている。
また、外部スイッチ14Cは、上位側のポートとして、内部スイッチ14Rの2つの入力ポートIA,IBに対応する2つの出力ポートと、内部スイッチ14Tの2つの出力ポートOA,OBに対応する2つの入力ポートとを有する。
また、アクセス制御部12AのPON側送信部28は、系統Aが複数回線制御である場合には,内部スイッチ14Tの双方のポートOA,OBから、外部スイッチ14Cの対応ポートに下りデータを入れる。
また、外部スイッチ14Cは、系統Aが複数回線制御である場合は、系統Aの光受信部30から受けた上りデータを、PON側受信部27の内部スイッチ14Rの入力ポートIAに入れるとともに、系統Bの光受信部30から受けた上りデータを、PON側受信部27の内部スイッチ14Rの入力ポートIBに入れる。
なお、図9の変形例において、送信側の内部スイッチ14Tは1ポートとし、複数回線制御の場合に下りデータをコピーさせることにしてもよい。
今回開示した実施形態(上述の各変形例を含む。)はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲に記載した構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上述の実施形態では、双方の系統A,Bのアクセス制御部12A,12Bが、複数回線制御を実行可能となっているが、例えば、一方のアクセス制御部12Aのみが複数回線制御を実行でき、他方のアクセス制御部12Bは通常回線制御のみを実行するものであってもよい。
従って、アクセス制御部12Aをスタンバイにしてコンピュータプログラムの更新を行うことはできなくなるが、アクセス制御部12Bの電力供給を停止又は抑制して消費電力を低減することは可能であり、消費電力を低減するために縮退モードを利用する場合には一定の効果がある。
例えば、3系統(系統A〜C)のPON回線4A〜4Cを有する局側装置2の場合は、系統Cの光送受信部16Cを系統A,Bのアクセス制御部12A,12Bに分散して帰属させ、アクセス制御部12Cを非通信状態とする縮退構成や、系統B,Cの光送受信部16B,16Cを系統Aのアクセス制御部12Aに帰属させ、アクセス制御部12B,12Cを同時に非通信状態とする縮退構成など、種々の縮退構成を定義できる。
以下、別発明の課題と解決手段を付記する。
(別発明が解決しようとする課題)
局側装置のアクセス制御装置は、通常、複数のLSI(Large Scale Integrated Circuit )を制御基板に実装して構成されており、プログラマブルな論理回路(Field-Programmable Gate Array :FPGA)やマイクロプロセッサ(Micro-Processing Unit:MPU)のメモリに予め記憶させたコンピュータプログラムに従って動作する。
しかし、コンピュータプログラムの更新作業には、通常、アクセス制御装置のプロセッサ等を初期状態にリセットしてから、変更等の後の機能で再起動をかける手順が含まれるので、リセットから再起動が完了するまでの更新作業中は、上位ネットワークとPON回線のデータ転送を停止せざるを得ないという問題があった。
このため、従来では、電話などの通信が不通となる被害を最小限に抑えるために、通信事業者の作業員が、トラフィックが比較的少ない深夜の時間帯に、タイミングを見計らってコンピュータプログラムの更新を行うといった作業を行っており、アクセス制御装置に対する機能の変更等に非常に手間がかかっていた。
更に、別発明は、局側装置のアクセス制御部での消費電力を低下できるようにすることを第3の目的とする。
(b) 第1及び第2の光送受信部から下位スイッチに入力される上りフレームの出力先を、時分割で多重して第1のアクセス制御部に集中させる。
このため、第1及び第2のPON回線が接続された局側装置において、複数のPON回線をこれより少ない第1のアクセス制御部に担わせ、残りの第2のアクセス制御部に通信フレームを疎通させない縮退モードを行うことができ、前記第1の目的が達成される。
(c) 上位スイッチに入力される第1及び第2PON回線への下りフレームの出力先を、第1及び第2のアクセス制御部に分散させ、第1及び第2のアクセス制御部から下位スイッチに入力される下りフレームの出力先を、それぞれ第1及び第2の光送受信部に設定させる。
(d) 第1及び第2の光送受信部から下位スイッチに入力される上りフレームの出力先を、それぞれ第1及び第2のアクセス制御部に設定させる。
このため、縮退モードで運用されている局側装置を、第1及び第2のアクセス制御部がともに通常回線制御を行う通常モードに復帰させることができる。
その理由は、PONでは、論理リンク識別子によって宅側装置を識別するので、各PON回線で論理リンク識別子が重複していると、複数回線制御を行う場合に適切な上り多重アクセス制御ができなくなるからである。
あるいは、第1及び第2アクセス制御部がそれぞれ通常回線制御を行っている状態から第1のアクセス制御部のみ複数回線制御を行う状態(縮退状態)へ移行する際に第2アクセス制御部の論理リンクを一旦切断し、第1のアクセス制御部にて再度論理リンクを確立させる方法もある。
また、PONでは、局側装置は、内部クロックのカウント値(時刻)を制御フレームの送信時点にタイムスタンプとして記して宅側装置との時刻同期を図っている。従って、宅側装置は、自局で維持する時刻と局側装置から通知されたタイムスタンプ値が所定値以上ずれている場合は、論理リンクを切断する。
このようにすれば、論理リンクを維持するのに必要な情報(上記MACアドレスやRTTなど)を、複数回線制御の当初から第1のアクセス制御部が把握でき、その情報が不明であることによる論理リンクの自動的な切断を未然に防止できる。
この場合、第1のアクセス制御部が第2のアクセス制御部と同期するクロックを用い、第2アクセス制御部が使用するタイプスタンプとのずれが所定値以下のタイプスタンプを用いるので、第1のアクセス制御部が第2のPON回線に属する宅側装置が通知するタイムスタンプは、第2のアクセス制御部の場合と概ね一致する。
なお、第1及び第2のアクセス制御部がほぼ同じタイムスタンプを維持することは、必ずしも必須の技術的特徴ではなく、第1のアクセス制御部が第2のアクセス制御部と同期するクロックを用いるだけでもよい。この場合でも、切り替え時に異なるアクセス制御部から異なるタイムスタンプを通知された場合には、宅側装置が論理リンクを切断しないという規約を採用することにより、宅側装置の論理リンクを維持することができる。
このようにすれば、上記縮退モードへの切り替えによって論理リンクが自動的に切断されるのを防止するように前記複数回線制御を行う場合に比べて、比較的簡単に縮退モードを実現することができる。
この場合、第1のアクセス制御部が複数回線制御を行っている期間中でも、新たな宅側装置を適切にPONに加入させることができる。また、局側装置は、新たにPONに加入した宅側装置が第1あるいは第2のいずれのPON回線に属する宅側装置であるかを把握することができる。
このようにすれば、両スイッチの切り替え前に第1又は第2のアクセス制御部が許可したグラントにより、両スイッチの切り替え後に宅側装置が上りフレームを送信することによる、上り送信の衝突を未然に防止することができる。
この場合、第1のアクセス制御部が、宅側装置がどのPON回線に属するかを考慮せずに、ランダムに上りフレームのスケジューリングを行う場合に比べて、所定時間内における下位スイッチの切り替え回数を削減でき、下位スイッチの切り替えに伴う時間的オーバーヘッドが小さくない場合でも総オーバーヘッドを比較的小さく抑えることができる。
(x) 第1のPON回線に対する上り多重アクセス制御を第1のアクセス制御部が行い、第2のPON回線に対する当該上り多重アクセス制御を第2のアクセス制御部が行う通常モード
(y) 第1及び第2のPON回線に対する当該上り多重アクセス制御である複数回線制御を第1のアクセス制御部が行い、第2のアクセス制御部に通信フレームを疎通させない縮退モード
すなわち、縮退モードでは、第1及び第2のPON回線に対する上り多重アクセス制御である複数回線制御を第1のアクセス制御部が行うので、この縮退モードの期間中に、第2アクセス制御部に対するコンピュータプログラムの変更と再起動を行えば、局側装置でのデータ転送を停止させずにコンピュータプログラムの更新を行える。このため、別発明の第2の目的が達成される。
このようにすれば、第1及び第2のアクセス制御部の双方に通常通り電源供給する場合に比べて、局側装置のアクセス制御部での消費電力を低下させることができる。このため、前記第3の目的が達成される。
そこで、別発明の方法において、前記第1及び第2のPON回線におけるトラフィックが所定値以下である時間帯に、前記縮退モードを実行することが好ましい。このようにすれば、第1のアクセス制御部が制御する宅側装置が増加することに伴う、上り帯域の低下を出来るだけ抑えることができる。
すなわち、別発明のアクセス制御装置は、上り多重アクセス制御を行うアクセス制御装置であって、宅側装置を識別するための論理リンク識別子を保持する管理テーブルと、前記管理テーブルに保持された論理リンク識別子を用いて、前記上り多重アクセス制御を行うPON制御部と、を備えており、前記PON制御部は、自身が通常管理する第1のPON回線のための論理リンク識別子と、他のアクセス制御装置が通常管理する第2のPON回線のための論理リンク識別子とを、値が重複しないように前記管理テーブルに保持し、当該管理テーブルに保持された論理リンク識別子を用いて、前記第1及び第2のPON回線に対する前記上り多重アクセス制御である複数回線制御を行うことを特徴とする。
このため、別発明のPONシステムは、上述の(11)〜(14)のいずれかに記載の局側装置と同様の作用効果を奏する。
2 局側装置(OSU)
3 宅側装置(ONU)
4A PON回線
4B PON回線
11 上位スイッチ
12A アクセス制御部
12B アクセス制御部
14 下位スイッチ
15 光送受信制御部
16A 光送受信部
16B 光送受信部
19 管理インタフェース
20 縮退制御部
25 管理テーブル
26 PON制御部
Claims (3)
- 複数の宅側装置とPONシステムを構成する局側装置であって、
第1のPON回線に接続可能な第1の光送受信部と、
第2のPON回線に接続可能な第2の光送受信部と、
複数の前記宅側装置が送信する上りフレームを時分割多重化する上り多重アクセス制御を実行可能なアクセス制御部と、
前記アクセス制御部と前記両光送受信部との間に設けられたPON側スイッチと、
前記宅側装置を識別するための論理リンク識別子を保持する管理テーブルと、を備え、
前記アクセス制御部は、前記第1のPON回線のための論理リンク識別子と、前記第2のPON回線のための論理リンク識別子とを、値が重複しないように前記管理テーブルに保持する処理と、
前記宅側装置が前記第1のPON回線又は前記第2のPON回線のいずれに属するかを示す情報を前記管理テーブルに保持する処理と、を実行する局側装置。 - 前記アクセス制御部は、未登録の前記宅側装置を自身が認識するためのディスカバリプロセスにおいて、前記PON側スイッチにおける上りフレームの入力元を、ディスカバリプロセスごとに前記第1又は第2の光送受信部のいずれかに固定して、前記宅側装置の登録シーケンスを実行する請求項1に記載の局側装置。
- 請求項1又は請求項2に記載の前記局側装置と、
前記局側装置に接続された前記第1及び第2のPON回線にそれぞれ接続された、複数の前記宅側装置と、を備えているPONシステム。
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