以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ここでは、LTE/LTE−Advancedへの適用を前提に本発明の実施形態を説明するが、類似のセル構成、物理チャネル構成を用いるシステムであれば、本発明の概念はどのようなシステムにも適用可能である。
まず、本発明を適用可能な移動通信システムの全体構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るマクロセル基地局とスモールセル基地局とが配置された移動通信システムの概略構成を示す説明図である。図2は、マクロセル基地局及びスモールセル基地局の3次元的な配置の様子を示す説明図である。
図1において、本実施形態の移動通信システムは、LTE(Long Term Evolution)/LTE−Advancedの標準仕様に準拠した通信システムであり、第1の基地局としてのマクロセル基地局10と、そのマクロセル基地局10の無線通信エリアであるセル(以下、適宜「マクロセル」という。)10A内に位置する第2の基地局としてのスモールセル基地局20とを備える。スモールセル基地局20の無線通信エリアであるセル(以下、適宜「スモールセル」という。)20Aは、マクロセル基地局10のマクロセル10Aの内側に含まれている。マクロセル20Aは主に屋外にあるため、屋外マクロセルとも呼ばれる。
近年、大都市部においては、中高層ビルの屋内オフィスでの通信トラフィックが急増しているため、高さ方向にも効率良く通信トラフィックを運ぶ手段が求められている。そのため、図2に示すように、マクロセル10A内に位置するビル等の建物内の高さ方向を含めて3次元的にスモールセル基地局20を展開して設置する3次元空間セル構成が有効である。
また、本実施形態の移動通信システムは、トラフィックオフロードを促進するためにスモールセルのエリアを拡張するCREが適用されている。図1及び後述の図3において破線で示したエリア20A’はCREで拡張される前のスモールセルである。
図1において、第1の移動局であるユーザ端末装置(UE:User Equipment)30は、マクロセル基地局10のセル10Aに在圏してマクロセル基地局10に接続されたユーザ端末装置(MUE)であり、マクロセル基地局10を介して電話やデータ通信などのための無線通信が可能な状態にある。このユーザ端末装置30は、マクロセル10Aとスモールセル20Aとの境界部に近い位置に在圏しているため、スモールセル20Aからの干渉を受けやすい状況にある。
また、第2の移動局であるユーザ端末装置(UE)31は、スモールセル基地局20のセル20Aの外縁部に在圏してスモールセル基地局20に接続されたユーザ端末装置(SUE)であり、スモールセル基地局20を介して電話やデータ通信などのための無線通信が可能な状態にある。このユーザ端末装置31は、スモールセル20Aのマクロセル10Aとの境界部に近い位置に在圏しているため、マクロセル10Aからの干渉を受けやすい状況にある。
ユーザ端末装置30、31は、マクロセル10Aやスモールセル20Aに在圏するときに、その在圏するセルに対応するマクロセル基地局やスモールセル基地局と間で所定の通信方式及び無線通信リソースを用いて無線通信することができる。ユーザ端末装置30、31は、例えばCPUやメモリ等を有するコンピュータ装置、コアネットワークに対する外部通信インターフェース部、無線通信部などのハードウェアを用いて構成され、所定のプログラムが実行されることにより基地局10,20等との間の無線通信等を行うことができる。
マクロセル基地局10は、移動体通信網において屋外に設置されている通常の半径数百m乃至数km程度の広域エリアであるマクロセルをカバーする広域の基地局であり、「マクロセル基地局」、「Macro e−Node B」、「MeNB」等と呼ばれる場合もある。マクロセル基地局10は、他の基地局と例えば有線の通信回線で接続され、所定の通信インターフェースで通信可能になっている。また、マクロセル基地局10は、回線終端装置及び専用回線などの通信回線を介して移動体通信網のコアネットワークに接続され、コアネットワーク上のサーバ装置などの各種ノードとの間で所定の通信インターフェースにより通信可能になっている。
スモールセル基地局20は、広域のマクロセル基地局とは異なり、無線通信可能距離が数m乃至数百m程度であり、一般家庭、店舗、オフィス等の屋内にも設置することができる小容量の基地局である。スモールセル基地局20は、移動体通信網における広域のマクロセル基地局がカバーするエリアよりも小さなエリアをカバーするように設けられるため「スモールセル基地局」と呼ばれたり、「Small e−Node B」や「Small eNB」と呼ばれたりする場合もある。スモールセル基地局20についても、回線終端装置及びADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線や光回線等のブロードバンド公衆通信回線などの通信回線を介して移動体通信網のコアネットワークに接続され、コアネットワーク上のサーバ装置などの各種ノードとの間で所定の通信インターフェースにより通信可能になっている。
また、マクロセル基地局10及びスモールセル基地局20それぞれの基地局は、例えばCPUやメモリ等を有するコンピュータ装置、コアネットワークに対する外部通信インターフェース部、無線通信部などのハードウェアを用いて構成され、所定のプログラムが実行されることにより、後述の干渉を抑制するための各種処理を実行したり、所定の通信方式及び無線通信リソースを用いてユーザ端末装置30、31との間の無線通信を行ったりすることができる。
次に、上記構成の移動通信システムにおいてユーザ端末装置30がスモールセル20Aからハンドオーバしてマクロセル10A内に在圏するようになるときの処理について説明する。
図3(a)は、ユーザ端末装置30がスモールセル20Aからマクロセル10Aにハンドオーバするときの制御の一例を示すシーケンス図である。また、図3(b)はハンドオーバ時の下りリンクの受信電力の時間変化を示すグラフである。なお、図3(a)中の破線で囲んだ処理は、マクロセル基地局10及びスモールセル基地局20とユーザ端末装置30との間の無線通信を伴う処理である。本例は、LTE/LTE−Advancedで採用されている、通信するために接続するセルが1つとなるハード・ハンドオーバ(Hard HO)の例である。また、本例のユーザ端末装置30は、下りリンクの受信電力に基づいてセルを選択する際、スモールセル基地局20からの受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)に対して正のバイアスを加えるCREの機能を有している。これにより、ユーザ端末装置30は積極的にスモールセル基地局20の拡張されたセル20Aを選択し、大きなトラフィックオフロード効果を得ることができる。
図3において、ユーザ端末装置30は、現在通信中のハンドオーバ元セル(Source Cell)のスモールセル基地局20に、ハンドオーバ先候補セルの情報を含む測定結果報告(MR:Measurement Report)を送出する。スモールセル基地局20は、ユーザ端末装置30から受信した測定結果報告(MR)に基づき、周辺基地局であるマクロセル基地局10から送信した信号の受信電力が自局(スモールセル基地局)20から送信した信号の受信電力よりも所定のハンドオーバマージンだけ上回っているかどうか監視する。そして、マクロセル10Aの受信電力がスモールセル20Aの受信電力よりもハンドオーバマージンだけ上回る状態が所定の監視期間(TTT:Time-to-trigger)継続したとき、スモールセル基地局20は、測定結果報告(MR)の受信をトリガーとして、ハンドオーバ処理を開始する。より具体的には、スモールセル基地局20は、ユーザ端末装置30から受信した測定結果報告(MR)を元にハンドオーバ先となるターゲットセルであるマクロセルを選定し、コアネットワークを介してマクロセル基地局(Target eNB)10へ、ハンドオーバ要求とともに、ハンドオーバするユーザ端末装置30の情報を送信して設定する。スモールセル基地局20は、マクロセル基地局10からハンドオーバ要求応答を受信したら、ユーザ端末装置30が自局との通信を切断するようにセル移動のハンドオーバ指示(HO Command)をユーザ端末装置30に送信する。ハンドオーバ指示を受けたユーザ端末装置30は、ハンドオーバ先のマクロセル基地局10にハンドオーバ完了を送信してマクロセル基地局10との通信を開始することにより、ハンドオーバを完了する。
なお、上記ハンドオーバにおける「ハンドオーバマージン」の値を大きく設定すると、そのハンドオーバ元(本例ではスモールセル基地局20)のセルへの滞在が長くなり、逆にハンドオーバ先(本例ではマクロセル基地局10)のセルへのハンドオーバを遅くする。前述のCREでは、プラスのCREバイアス値を加算して「ハンドオーバマージン」の値を大きく設定することにより、スモールセル20Aが積極的に選択されるようにすることで、ユーザ端末装置30がハンドオーバするスモールセル20Aから他のセルへハンドオーバが抑制されるため、セル20Aの半径があたかも拡張されたような効果が得られる。
基地局は、例えば、アンテナ、無線信号経路切り換え部、送受共用器(DUP:Duplexer)、下り無線受信部とOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調部、上り無線受信部、SC−FDMA(Single-Carrier Frequency-Division Multiple Access)復調部など備える。更に、基地局は、OFDM変調部、下り無線送信部、制御部等を備える。
SC−FDMA復調部は、上り無線受信部で受信した受信信号に対してSC−FDMA方式の復調処理を実行し、復調されたデータを制御部に渡す。OFDM変調部は、制御部から受けた自局のセルに在圏しているユーザ端末装置に向けて送信する下り信号のデータを、所定の電力で送信されるように、OFDM方式で変調する。また、基地局が例えばサーバ装置から送信停止対象のサブフレームの情報を受信した場合、OFDM変調部は、無線通信フレーム中の特定のサブフレームについてのみ下り送信を停止するように制御される。下り無線送信部は、OFDM変調部で変調した送信信号を、送受共用器、無線信号経路切り換え部及びアンテナを介して送信する。
基地局の制御部は、例えばコンピュータ装置で構成され、所定のプログラムが読み込まれて実行されることにより、各部を制御したり各種処理を実行したりする。また、制御部は、外部通信インターフェース部と協働して、送信停止対象のサブフレームの情報であるABSパターン情報をサーバ装置から受信する手段としても機能する。また、制御部は、サーバ装置から受信した送信停止対象のサブフレームの情報(ABSパターン情報)に基づいて、特定の送信停止対象のサブフレームにおける下り送信を停止するように制御する手段としても機能する。
更に、基地局の制御部は、CREのバイアス値の設定に基づいて、下りリンク無線通信フレームの送信タイミングを、無線通信エリアの少なくとも一部が互いに重複する他の基地局から送信される下りリンク無線通信フレームに対して、1OFDMシンボル長よりも短い時間だけシフトさせる手段としても機能する。
なお、本実施形態において、上記「OFDMシンボル長」は、後述のOFDMシンボルの時間軸上の長さ(時間)である。また、この「OFDMシンボル長」は、OFDMシンボルの先頭部分にCP(Cyclic Prefix)が設けられている場合は、そのCPの時間軸上の長さ(時間)であるCP長を含む時間である。
なお、図1では、マクロセル基地局10及びスモールセル基地局20を一つずつ図示しているが、マクロセル基地局10及びスモールセル基地局20はそれぞれ複数であってもよい。また、図1では、マクロセル10A及びスモールセル20Aそれぞれに在圏するユーザ端末装置が1台ずつ在圏する場合について図示しているが、各セルに在圏するユーザ端末装置は複数台であってもよい。
また、本実施形態の移動通信システムにおいて、各基地局10、20と通信回線を介して通信可能なサーバ装置を備えてもよい。このサーバ装置は、SON(Self-Organizing Network)サーバなどとも呼ばれ、例えばCPUやメモリ等を有するコンピュータ装置、コアネットワークに対する外部通信インターフェース部などのハードウェアを用いて構成される。サーバ装置は、所定のプログラムが実行されることにより後述の干渉を低減するための各種処理を実行したり、所定の通信回線を介してマクロセル基地局10及びスモールセル基地局20と通信したりすることができる。また、サーバ装置のコンピュータ装置は、被干渉のスモールセル基地局20から受信した干渉信号レベルの情報に基づいて、ユーザ端末装置に対する下り送信の無線通信フレーム内の少なくとも一つのサブフレームについて干渉源のマクロセル基地局10からの下り送信の停止が必要か否かを判断する手段として機能する。また、サーバ装置のコンピュータ装置は、前記下り送信の停止が必要であると判断した場合、無線通信フレーム内の少なくとも一つの送信停止対象のサブフレームを決定する手段としても機能する。サーバ装置のコンピュータ装置は、外部通信インターフェース部と協働して、被干渉のスモールセル基地局20における干渉信号レベルの情報をスモールセル基地局20から受信する手段、及び干渉源のマクロセル基地局10に、前記決定した送信停止対象のサブフレームの情報を送信する手段としても機能する。また、サーバ装置のコンピュータ装置は、マクロセル基地局10やスモールセル基地局20に適用するセル調整パラメータ(例えばCREバイアス値)、後述の送信タイミングシフト量などを管理する手段としても機能する。
次に、上記構成の移動通信システムにおけるセル間干渉制御について説明する。
前述のように急増する移動通信のトラフィックへの対策としてマクロセル10A上にスモールセル20Aを重畳するオーバレイセル構成の適用が有効である。しかし、オーバレイセル構成ではマクロセル10Aとスモールセル20Aとの間の干渉が生じるため、その適用効果を最大化するためには干渉を制御することが必要となる。干渉制御方法としては、LTE−Advanced標準のeICIC(enhanced Inter-Cell Interference Coordination)技術が有効である。
図4は、LTEダウンリンクの無線通信フレームのフォーマットの一例を示す説明図である。
図4に示すように、LTEダウンリンクの信号の1単位である所定長(図示の例では10[msec])の無線通信フレーム100は、所定個数(図示の例では10個)の所定長(図示の例では1.0[msec])のサブフレーム110で構成される。LTEダウンリンクのスケジューリングの最小時間単位であるTTI(Transmission Time Interval)は1サブフレームであるので、サブフレームごとに、スケジューリングされたユーザ端末装置へ無線リソースの最小単位であるリソースブロック(RB)が割り当てられる。
図4の無線通信フレーム100において、先頭から第2番目(♯1)、第3番目(♯2)、第4番目(♯3)、第7番目(♯6)、第8番目(♯7)及び第9番目(♯8)の配列位置にはセル固有の参照信号(CRS)の送信を先頭OFDMシンボルを除いて停止できるサブフレームを設定可能である。この参照信号(CRS)の送信を停止できるサブフレームは、LTE−Advanced標準に準拠したMBSFN(マルチキャスト・ブロードキャスト・シングル周波数ネットワーク)サブフレームである。無線通信フレーム100のその他の配列位置すなわち先頭から第1番目(♯0)、第5番目(♯4)、第6番目(♯5)及び第10番目(♯9)の配列位置には、MBSFNサブフレームを設定することができず、参照信号(CRS)の送信を停止できない通常のサブフレームのみ設定できる。
図5は、無線通信フレームを構成するサブフレームのフォーマットの一例を示す説明図である。図5において、各サブフレーム110は、例えば周波数方向に12サブキャリア(15[kHz])、時間軸方向に14OFDMシンボルの計168個のRE(Resource Element)で構成される。なお、Extended Cyclic Prefixが用いられる場合は、1サブフレーム内に12OFDMシンボルが送信される。ここで、「シンボル」とは、無線通信で伝送される情報の一単位である。また、一つのシンボルは伝送対象の情報の1回の変調で生成され、1シンボルの情報量(ビット数)は変調方式によって決まる。1サブフレーム毎に各ユーザ端末装置がどの周波数/時間リソースマッピングされているのか、各ユーザ端末装置へのデータ信号がどのような変調フォーマット(変調方式、符号化率)を使用するか等のスケジューリングを行い、その結果がユーザ端末装置へ通知される。
図5に示すように、各サブフレーム110は、下りリンクL1/L2制御チャネル信号のREがマッピングされる先頭部分の制御チャネル領域110Aと、データチャネル信号や上位制御チャネル信号のREがマッピングされるデータチャネル領域110Bとを有する。なお、制御チャネル領域110Aはサブフレームの先頭の1〜3のOFDMシンボルを割り当てることができる。
サブフレーム110の制御チャネル領域110Aには、L1/L2制御チャネルであるPDCCH(Physical Downlink Control Channel)が設定される。PDCCHは、上下リンクのスケジューリングの決定や上りリンクの電力制御コマンドなどの制御情報(DCI:Downlink Control Information)の伝送に用いられる。DCIには、PDSCHリソース指示、伝送フォーマット、HARQ情報、および空間多重に関する制御情報を含む下りリンクスケジューリング割当てが含まれる。また、DCIには、PUSCHリソース指示、伝送フォーマット、HARQ関連情報、上りリンクのスケジューリング情報である上りリンクグラントも含まれる。
また、サブフレーム110のデータチャネル領域110Bには、物理共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)が設定される。PDSCHは、下りリンクデータを送信する物理チャネルであり、MIMO伝送方式としてMIMOダイバーシティに加え、LTEでは最大4レイヤのMIMO多重、LTE−Advancedでは最大8レイヤのMIMO多重に対応する。また、MIB以外の報知情報であるSIBや着信時の呼び出しであるページング情報、その他上位レイヤの制御メッセージ、例えばRRC(Radio Resource Control protocol)レイヤの制御情報もPDSCHで送信される。ユーザ端末装置は、PDCCHから取得した無線リソース割当位置、変調方式、データサイズ(TB:Transport Block size)等の情報に基づいてPDSCHを復号する。
また、LTEにおいてサブフレーム110内の時間領域で14OFDMシンボルのうち、第1、5、8、12OFDMシンボル内にセル固有の参照信号(CRS)が分散して規則的に配置される。この参照信号CRSは、ユーザ端末装置におけるチャネル品質情報(CSI:Channel State Information)の測定用の基準信号及びデータ復調用の基準信号という2つの役割を担っている。参照信号CRSはセルIDによって、異なるスクランブリングとマッピングされるサブキャリア位置の周波数シフトが適用される。また、前述のように、通常のサブフレーム内にマッピングされた参照信号CRSについてはABSで送信を停止することができず、MBSFNサブフレーム内にマッピングされた参照信号CRSについてはABSで送信を停止することができる。
図6は、従来のセル間干渉制御技術(eICIC)で採用されているABSによるサブフレームにおける送信停止の様子の一例を示す説明図である。eICICでは、マクロセルの一部のサブフレーム(図示の例では♯1〜#3、#6〜#8のサブフレーム)でABSを設定することで、データチャネル(PDCCH)信号送信を停止し、スモールセルに接続しているユーザ端末装置におけるデータチャネルの干渉を低減することができる。また、スモールセルの一部のサブフレーム(図示の例では♯0,#4,#5,#9のサブフレーム)で同様にABSを設定することにより、マクロセルに接続しているユーザ端末装置におけるデータチャネルの干渉を低減することができる。
図7は、ABSが適用されたマクロセルのサブフレーム(MBSFNサブフレーム)とスモールセルのサブフレームとの対応関係の一例を示す拡大説明図である。図7において、マクロセル及びスモールセルの各基地局から移動局に送信される下りリンク無線通信フレームの各サブフレームの先頭部分に配置される制御チャネル(PDCCH)に割り当てるOFDMシンボル数(CFI:Control Format Indicator)はいずれも1とした。
図7中のマクロセルでは、MBSFNサブフレームがABSとして設定され、データチャネル(PDSCH)及びデータチャネル領域のCRSの送信が停止されている。また、先頭部分の制御チャネル領域のOFDMシンボルでは、CRS及び上りリンク割当用の制御チャネル(PDCCH)が送信されている。
一方、図7中のスモールセルでは、通常のサブフレームでデータ送信が行われており、データチャネル(PDSCH)はマクロセルから一切干渉を受けないが、先頭部分の制御チャネル領域は干渉を受ける。このため、制御チャネル領域に配置される制御チャネル(PDCCH)の受信品質がボトルネックとなり、CREによるスモールセルのエリア拡張を行うことが難しい。
図8は、CREによってエリア拡張されたスモールセルにおける制御チャネル(PDCCH)の受信誤りに起因した伝送容量の劣化の様子の一例を示す説明図である。図8中の破線は、制御チャネル(PDCCH)の受信誤りがない場合の伝送容量の変化を示している。図8中のグラフの縦軸に示す伝送容量は、制御チャネル(PDCCH)及びデータチャネル(PDSCH)それぞれの伝送容量について算出した総合的な伝送容量である。また、図8中のグラフの横軸に示すSIR(信号電力対干渉電力比)は、マクロセル10AからのCRSの受信電力に対するスモールセル20AからのCRSの受信電力の比率である。
CREによってエリア拡張されたスモールセルの拡張領域に位置するユーザ端末装置において制御チャネル(PDCCH)の受信誤りにより、その制御チャネルに含まれる下りリンクリソース割当に関する情報の受信エラーが発生すると、下りリンクの伝送容量が低下する。また、制御チャネル(PDCCH)の受信誤りによって制御チャネルに含まれる上りリンクグラント(上りリンクのスケジューリング情報)の受信エラーが発生すると、上りリンクの伝送容量が低下する。このようにCREによってエリア拡張されたスモールセルの拡張領域では、図8に示すように制御チャネル(PDCCH)の受信誤りに起因して伝送容量が劣化する。このため、制御チャネル(PDCCH)の受信品質の目標(所要受信品質)として、例えば制御チャネル(PDCCH)のブロック誤り率(BLER:Block Error Rate)を所定の確率(例えば、10−2)以下にすることが用いられる(例えば、非特許文献3参照)。
上記スモールセルの制御チャネル(PDCCH)の受信誤りを回避する方法としては、次の図9及び図10に示す方法が考えられる。
図9は、スモールセルの制御チャネル(PDCCH)の受信誤りを回避する比較例を示す説明図である。図9の例では、マクロセルの制御チャネル領域に配置される制御チャネル(PDCCH)における信号送信を停止している。これにより、スモールセルの制御チャネル領域に配置される制御チャネル(PDCCH)への干渉を軽減できる。しかしながら、制御チャネル(PDCCH)には、マクロセルにおける上りリンクのための情報(例えば、上りリンクのスケジューリング情報を含む上りリンクグラント)が含まれているため、マクロセルの上りリンクが通信不可能になる場合がある。
図10は、スモールセルの制御チャネル(PDCCH)の受信誤りを回避する他の比較例を示す説明図である。図10の例では、スモールセルの下りリンク無線通信フレームの送信タイミングを、マクロセルの下りリンク無線通信フレームに対して、1OFDMシンボル長だけ遅らせるようにシフトさせている(非特許文献2参照)。なお、以下の説明において、スモールセルの下りリンク無線通信フレームの送信タイミングをマクロセルの下りリンク無線通信フレームに対して遅らせるようにシフトさせることを、「送信タイミングシフト」という。
図10の送信タイミングシフトを適用することにより、マクロセルの制御チャネル(PDCCH)によるスモールセルの制御チャネル(PDCCH)への干渉を回避できる。従って、スモールセルに接続するユーザ端末装置(SUE)は、前述のCREで拡張したエリアのようにSIR(信号電力対干渉電力比)が低い場所でも通信が可能になる。しかしながら、図10に示すように、スモールセルで送信されるサブフレーム内の最後のOFDMシンボルで送信されるデータチャネル(PDSCH)が、マクロセルで送信される次サブフレームの先頭OFDMシンボルから干渉を受ける。このデータチャネル(PDSCH)への干渉が増加するため、伝送容量が低下する。
そこで、本実施形態では、上記データチャネル(PDSCH)への干渉増加を抑制するために、スモールセル基地局20から送信される下りリンク無線通信フレームの送信タイミングを、マクロセル基地局10から送信される下りリンク無線通信フレームに対して、1OFDMシンボル長よりも短い時間だけシフトさせている。このスモールセル基地局20から送信される下りリンク無線通信フレームの送信タイミングは、例えば、スモールセル20Aにおける下りリンク無線通信フレームの制御チャネル(PDCCH)の受信誤り率である前述のブロック誤り率(BLER)が所定の確率(例えば、10−2)以下になるようにシフトさせてもよい。
図11は、本実施形態に係る移動通信システムにおける互いにオーバレイするマクロセル及びスモールセルそれぞれの下りリンク無線通信フレームの送信タイミングの様子の一例を示す説明図である。図12は、送信タイミングを互いにシフトさせたマクロセル及びスモールセルそれぞれの下りリンク無線通信フレームのサブフレームの先頭部分の拡大図である。
なお、図11及び図12では所定の基準送信タイミングに対する上記下りリンク無線通信フレームの送信タイミングのシフト量(以下、適宜「送信タイミングシフト量」という。)を1OFDMシンボル長の1/2すなわち0.5OFDMシンボル長に設定した例を示しているが、1OFDMシンボル長よりも短い時間の範囲で0.5OFDMシンボル長以外のシフト量に設定してもよい。また、上記送信タイミングシフト量は、0.4OFDMシンボル長以上0.6OFDMシンボル長以下の範囲内が好適であり、より好ましくは図11及び図12の例のようにほぼ0.5OFDMシンボル長のシフト量に設定してもよい。
上記送信タイミングシフト量は、最大で1OFDMシンボル長まで設定してもよい。
また、上記送信タイミングシフト量は、OFDMシンボルを生成するときのサンプリング周期(例えば、0.1OFDMシンボル長の時間)を1単位として制御してもよい。この場合は、後述のCREバイアス値に応じた送信タイミングシフト量の設定を精度よく行うことができる。
また、以下の説明において、図11及び図12に示すようにスモールセル20Aの下りリンク無線通信フレームの送信タイミングを、マクロセル10Aの下りリンク無線通信フレームに対して、1OFDMシンボル長よりも短い時間だけシフトさせることを、「部分タイミングシフト」という。
本実施形態では、図11及び図12に示す部分タイミングシフトを実行することにより、マクロセル10Aの制御チャネル(PDCCH)の信号によるスモールセル20Aの制御チャネル(PDCCH)への干渉をより抑制することができる。また、上記下りリンク無線通信フレームを固定的に1OFDMシンボル長だけシフトさせた場合に比して、スモールセル20Aで送信されるサブフレーム内の最後のOFDMシンボルで送信されるデータチャネル(PDSCH)が、マクロセル10Aで送信される次サブフレームの先頭OFDMシンボルから干渉を受ける干渉量を少なくすることができる。従って、マクロセル10A及びスモールセル20Aのセル間における下りリンク無線通信フレームの制御チャネル(PDCCH)の信号による干渉を抑制しつつデータチャネル(PDSCH)への干渉増加を抑制することができる。
また、本実施形態では、上記スモールセル20Aの下りリンク無線通信フレームの送信タイミングのシフト量(送信タイミングシフト量)は、そのスモールセル20Aのエリア拡張量を示すセル調整パラメータとしてのCREバイアス値に基づいて設定している。なお、本実施形態では、CREバイアス値の設定が大きくなるに従って、上記スモールセル20Aの下りリンク無線通信フレームの送信タイミングを遅れるようにシフトさせる遅れ量を大きくするように設定する場合について例示する。
図13は、本実施形態に係る移動通信システムにおけるCREバイアス値に応じた部分タイミングシフトによる効果の一例を示す説明図である。図13中のグラフの縦軸に示す伝送容量は、制御チャネル(PDCCH)及びデータチャネル(PDSCH)それぞれの伝送容量について算出した総合的な伝送容量である。また、図13中のグラフの横軸に示すSIR(信号電力対干渉電力比)は、マクロセル10AからのCRSの受信電力に対するスモールセル20AからのCRSの受信電力の比率である。
スモールセル20Aのエリア拡張量を示すCREバイアス値(例えば、0[dB],10[dB],15[dB],20[dB],・・・)に応じて、スモールセル20Aのマクロセル10Aとのセル境界に近いセル端領域におけるPDCCHの受信特性は変化する。PDCCHの所要受信品質としては、前述のように例えばブロック誤り率(BLER)=10−2が用いられるが、CREバイアス値が小さい場合は、上記部分タイミングシフトを適用することなく満たすことができる。
一方、CREバイアス値が例えば0[dB],10[dB],15[dB],20[dB]というように大きくなるにつれ、所要受信品質を満たすための送信タイミングシフト量は大きくなる。そのため、上記スモールセル20Aの下りリンク無線通信フレームの送信タイミングを1OFDMシンボル長だけシフトしても所要受信品質を満すことができないようなCREバイアス値は設定できない。CREバイアス値に関わらず、常時1OFDMシンボルシフト長の送信タイミングシフト量を適用した場合、PDCCHの受信特性は最も良くなるが、PDSCHへの干渉が増加するため伝送容量が劣化する。
そこで、CREバイアス値(例えば、0[dB],10[dB],15[dB],20[dB],・・・)に応じてPDCCHの所要受信品質を満たす範囲で部分タイミングシフトにおける送信タイミングシフト量を最小とするように設定する。例えば、CREバイアス値が10[dB]の場合に部分タイミングシフトにおける送信タイミングシフト量を0.5OFDMシンボル長に設定する。また、CREバイアス値が10[dB]よりも小さい場合には、部分タイミングシフトにおける送信タイミングシフト量を0に近い値に設定する。また、CREバイアス値が10[dB]よりも大きい場合には、部分タイミングシフトにおける送信タイミングシフト量を1OFDMシンボル長に近い値に設定する。
以上示したように、スモールセル20Aに適用するCREバイアス値に応じて送信タイミングシフト量)を設定することにより、スモールセル20Aのセル端部におけるPDCCHの受信特性を十分に高く保ちながら、ユーザ端末装置30による通信を維持することができる。また、スモールセル20Aの中央部分における伝送容量の低下を抑制できる。以上のように、CREバイアス値の設定に応じて、スモールセル20Aのセル端部におけるPDCCHの受信誤りを改善してユーザ端末装置30による通信を維持することができるとともに、スモールセル20Aの中央部分における伝送容量の低下を抑制できる。
なお、スモールセル基地局20のスモールセル20A内に複数のユーザ端末装置30が位置し、CREバイアス値がユーザ端末装置30ごとに設定されている場合、その複数のユーザ端末装置30それぞれに設定された複数のCREバイアス値の最大値に基づいて、スモールセル基地局20からの下りリンク無線通信フレームの送信タイミングをシフトさせてもよい。例えば、複数のユーザ端末装置30それぞれに設定された複数のCREバイアス値の最大値に応じて、上記部分タイミングシフトにおける送信タイミングシフト量を設定してもよい。
次に、本実施形態の移動通信システムに適用した部分タイミングシフトの効果についてコンピュータシミュレーションで評価した結果について説明する。
〔評価条件〕
本シミュレーションでは、前述の図1で示した移動通信システムの構成を評価モデルとして用い、スモールセル20AのCREにより拡張された拡張エリアに滞在するユーザ端末装置(UE:User Equipment)30の受信特性を評価した。この拡張エリアに滞在するユーザ端末装置30はスモールセル基地局20の近傍に位置するユーザ端末装置と比較してマクロセル10Aから強い干渉を受ける。そのため、基地局でのスケジューリングにより、マクロセル10AでABS(MBSFNサブフレーム)が用いられているサブフレームにおいてリソース割当が行われるものとした。また、前述の図2に示すように、PDCCHはマクロセル10A及びスモールセル20Aのいずれについても先頭1OFDMシンボルを使用するものとした。
図14は、本シミュレーションにおいてスモールセル20Aに滞在するユーザ端末装置30で受信される信号の受信レベルの設定を示す説明図である。前述のようにマクロセル10AからのCRSの受信電力に対するスモールセル20AからのCRSの受信電力の比率をSIRと定義し、SIR=0[dB]におけるSNR(信号電力対雑音電力比)を10[dB]とした。そして、ユーザ端末装置30のスモールセル20A内の移動を想定し、干渉電力Iを一定とし、希望受信電力Sの増減により、SIRを変化させた。
ユーザ端末装置30の受信特性はPDCCHのBLERであるBLERPDCCH及びシャノン容量から、次式(1)で求まる伝送容量Cとして評価を行った。
ここで、式(1)中のNT,NRはそれぞれ送信、受信のアンテナ数を表し、Hはチャネル行列を表し、INRはNR×NRの単位行列を表す。
本シミュレーションでは、NR=NT=2と、次式の行列Hのフェージングなしの直交チャネルとを仮定し、簡易に評価を行った。
なお、PDCCH受信に必要となるCFI(OFDMシンボル数)については、CFIの送信を行うPCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)のパワーブースティングを行うことで理想的に受信できるものと仮定した。
希望信号の受信電力をPS、干渉信号の受信電力をPI、雑音電力をPNとし、CPを含むOFDMシンボル長で正規化した送信タイミングシフト量(以下、適宜「正規化タイミングシフト」という。)をTshift(0≦Tshift≦1)とすると、PDCCHの受信SINRは次式(2)で表される。
また、1サブフレームの内、PDCCHを除く13OFDMシンボルにPDSCHが割り当てられていることを考慮すると、PDSCHの平均受信SINRは次式(3)で表される。
なお、PDCCHのBLERは、3GPPリリース8に準拠した基地局(eNB)、ユーザ端末装置(UE)の実機を用いて2×2MIMOのアンテナ構成で測定したBLER対SNRの特性に基づき、式(2)に示すPDCCHのSINRをこれに代入することで求めた。
表1は、主要な評価条件をまとめたものである。表1中の「タイミングシフト量」は、前述の正規化タイミングシフトT
shiftの値である。
〔評価結果〕
図15は、PDCCHのBLER特性の一例を示すグラフである。前述の正規化タイミングシフトTshiftは0,0.5,1とした。送信タイミングシフトを適用しないTshift=0の場合(比較例)、SIRが−8[dB]以下ではPDCCHの所要受信品質であるBLER=10−2を満たすことができない。一方、1OFDMシンボル長の送信タイミングシフトを適用したTshift=1の場合(比較例)、マクロセル10Aからの干渉が一切存在しないため、SIR=−18[dB](SINRは約−8[dB])までBLER=10−2を満たすことができる。これに対して、本実施形態のようにTshiftを0.5とした場合、Tshift=1の場合と比較してPDCCHのBLER特性は劣化するものの、1/2OFDMシンボル分の干渉を低減できるため、Tshift=0の場合と比較して、PDCCHのBLER特性を約3[dB]改善できることがわかる。
図16は、CREバイアス値をパラメータとしたときのセル境界エリアにおけるタイミングシフト量毎のPDCCHのBLER特性の一例を示すグラフである。図16の横軸の「Timing Shift」は、前述の送信タイミングシフト量(単位:OFDMシンボル長)であり、正規化タイミングシフトTshiftの値と同じである。
図16において、例えばCREバイアス値を10[dB]とした場合、スモールセル20Aに接続しているユーザ端末装置30のセル境界におけるSIRは−10[dB]となる。送信タイミングシフト量の設定すなわち正規化タイミングシフトTshiftの設定は、OFDMシンボルを生成するときのサンプリング周期に相当する0.1OFDMシンボル長を1単位として行った。CREバイアス値[dB]は7,8,9,10,11,12,13,14,16,18および19の11種類をパラメータとして評価した。CREバイアス値が大きくなるにつれ、BLERが劣化しているのが確認できる。CREバイアス値が7[dB]の場合、Tshift=0で所要BLERである10−2を満たしているため、送信タイミングシフトを適用する必要がない。一方、CREバイアス値を19[dB]とすると、Tshift=1としても所要BLERを満たすことができず、これ以上のCREバイアス値の適用ができない。これに対し、例えばCREバイアス値が10[dB]の場合、Tshift=0.5とする部分タイミングシフトを適用することで所要BLERを満たすことができる。
図17は、SNRを10[dB]とした場合の伝送容量の評価結果の一例を示すグラフである。図17中のパラメータ「Timing Shift」は、前述の送信タイミングシフト量(単位:OFDMシンボル長)であり、正規化タイミングシフトTshiftの値と同じである。図17の評価は、比較例としてのTshift=0及び1の場合、並びに、本発明の実施例としてのPDCCHの所要BLERを満たす最小値であるTshift=0.5の場合(○)について行ったものである。また、図17には、マクロセル10AにABSを適用しない場合の結果を併せて示している。
図17に示すように、マクロセル10AにABSを適用しない場合(■)、マクロセル10Aからの干渉により伝送容量が低下し、SIR=−5[dB]では伝送容量は0.73[bps/Hz]となる。一方、マクロセル10AにABSを適用すると大幅に伝送容量が改善され、Tshift=0の場合、SIR=−5[dB]で4.11[bps/Hz]と5倍以上特性を改善できる。但し、図16に示した通り、Tshift=0の比較例の場合(×)では、SIR=−8[dB]以下においてPDCCHの所要BLERを満たすことができない。一方、Tshift=1とした比較例の場合(●)、SIR=−18[dB]までPDCCHの所要BLERを満たせるものの、PDSCHへの干渉を受けるため全体的に伝送容量が低下する。SIR=−5[dB]においては2.96[bps/Hz]となり、28[%]特性が劣化する。これに対して、本実施形態の部分タイミングシフトを適用し、送信タイミングシフト量の最適値であるTshift=0.5に設定した実施例の場合は、伝送容量が3.43[bps/Hz]となり、Tshift=1の場合と比較して16[%]改善できる。
以上示したように、上記コンピュータシミュレーションにより、CREバイアス値を10[dB]とした場合、上記送信タイミングシフト量を1/2OFDMシンボル長(0.5OFDMシンボル長)に設定することで、PDCCHの所要受信品質を満たしつつ、上記送信タイミングシフト量を1OFDMシンボル長に設定した場合と比較してSIR=−5[dB]における伝送容量を、上記送信タイミングシフト量が1OFDMシンボル長の場合に比して16[%]改善できることが明らかになった。
以上、本実施形態によれば、CREのバイアス値に応じて、マクロセル基地局10とマクロセル10A内に位置するスモールセル基地局20との間における下りリンク無線通信フレームの制御チャネルの信号による干渉を確実に抑制しつつデータチャネルへの干渉増加を抑制することができる。特に、マクロセルの制御チャネルの信号からスモールセル(自セル)20Aの制御チャネルの信号への干渉が低減されるため、スモールセル(自セル)20A内のユーザ端末装置30が所定の品質以上で制御チャネルの信号を受信できるようになる。
また、本実施形態では、LTE/LTE−Advancedへの適用を前提に説明したが、LTE/LTE−Advancedと類似のOFDM(直交周波数分割多重)方式の下りリンクの無線通信、無線通信フレーム、OFDMシンボルなどを用いるシステムであれば、本発明の概念はどのようなシステムにも適用可能であり、さらに本実施形態に示した送信機および受信機の構成に限定されない。
また、本明細書で説明された処理工程並びに移動通信システム、マクロセル基地局10、スモールセル基地局20及びユーザ端末装置(移動局)30の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、FLASHメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。