JP5900838B2 - ロボットの接地部構造 - Google Patents

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本発明は、脚式移動ロボットなどのロボットの接地部構造に関する。
本発明において、「粉粒体」とは、粉体と粒体の両方を含み、粉、粒などが集まった集合体を意味する。また、特に区別する場合、「粒体」とは最大直径が10mm〜0.1mmのもの、「粉体」とは最大直径が0.1mm〜0.01mmのものを意味する。
脚式移動ロボットなどのロボットの足部装置として、ロボットの足底部に粉体を封入した粉体封入ブロックを用いることが特許文献1に開示されている。
また、特許文献2は、柔軟性を有する薄板で形成された密封容器内に粒状体を装入するワーク支持方法を開示している。
さらに、特許文献3は、粒体を充填した中空バッグからなる形状自在バッグを開示している。
特開2005−177960号公報 特開平11−33862号公報 特開2011−189414号公報
脚式移動ロボットなどのロボット、特に2足歩行ロボットにおいては、路面から離れている脚(「遊脚」と呼ぶ)が接地する際には衝撃吸収や路面の凹凸に対応するためロボットの足底部は柔軟性が高いことが要求され、接地後は路面に接している脚(「立脚」と呼ぶ)で脚に作用するモーメントを支持するために足底部は剛性が高いことが要求される。
しかし、足底部の剛性を変化させることは困難であるため、従来は、(1)足底部にゴムなどの弾性体を張る、(2)バネ機構を用いて固定するなどの手法がとられてきた。
足底部に弾性体を貼り付ける場合、衝撃吸収能力や凹凸への対応の幅が非常に狭くなってしまう。また、特許文献1のように、足底部に粉体を封入した粉体封入ブロックを取り付けた場合、粉体が圧縮されることにより剛性を高めているため、遊脚直前に足底部に作用する力が低下すると剛性も低下してしまい、歩行が不安定になってしまう。また、立脚時の剛性を高めるためには遊脚時にもある程度の剛性を確保しなければならず、凹凸への対応の幅が少なくなってしまう問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、遊脚が接地する際の足底部の柔軟性を大幅に高めることができ、立脚時の剛性と立脚から遊脚に変わる遊脚直前における足底部の剛性を大幅に高めることができるロボットの接地部構造を提供することにある。
本発明によれば、2以上の脚を有し、各脚が路面から離れている遊脚と路面に接している立脚とに交互に切り替わるロボットの接地部構造であって、
前記脚の下端に揺動可能に設けられた足甲部と、
足甲部の下面に固定されロボットの移動時に接地する足底部とを備え、
足底部は、路面の凹凸に倣う柔軟性と気密性を有する中空バッグと、
路面の凹凸に倣う最大直径を有し中空バッグ内に充填された粉粒体とを有し、
さらに、前記中空バッグ内の気体圧力を制御する圧力制御装置を備え、該圧力制御装置により、
(A)遊脚が接地する際に、遊脚の中空バッグ内を外部と連通させて、粉粒体の変形抵抗を下げ足底部の柔軟性を高め、
(B)前記接地後に、立脚が遊脚に変わるまで、立脚の中空バッグ内を減圧して、粉粒体の充填密度を高め足底部の剛性を高める、ことを特徴とするロボットの接地部構造が提供される。
上記本発明の構成によれば、圧力制御装置により、ロボットの遊脚が接地する際に、遊脚の中空バッグ内を外部と連通させることにより、粉粒体の変形抵抗を下げ遊脚が接地する際の足底部の柔軟性を大幅に高めることができる。
また、圧力制御装置により、接地後に、ロボットの立脚が遊脚に変わるまで、立脚の中空バッグ内を減圧して、粉粒体の充填密度を高めるので、立脚時の剛性と立脚から遊脚に変わる直前における足底部の剛性を大幅に高めることができる。
従って、接地時の柔軟性が向上することにより、接地時の衝撃吸収や路面の凹凸への対応の幅が広がる。また立脚時には積極的に剛性を高めることができ、かつ路面の凹凸を把持することができるため、歩行を安定化できる。また、減圧の程度を変えることで、剛性を可変とすることができる。
本発明の実施形態を示す全体構成図である。 本発明の作用を示す模式図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態を示す全体構成図である。
この図において、1はロボットが歩行する路面であり、2はロボットの脚である。本発明は、2以上の脚2(1本のみ示す)を有し、各脚2が路面1から離れている遊脚2aと、路面1に接している立脚2b(図2参照)とに交互に切り替わるロボットの接地部構造10である。なおこの図における脚2は遊脚2aである。
図1において、本発明のロボットの接地部構造10は、足甲部12及び足底部14を備える。
足甲部12は、ロボットの脚2の下端に足首関節3を介して揺動可能に設けられている。足甲部12は、例えば剛性の高い金属部材であり、脚2に下向きに作用する力(ロボット全体の重量)を、変形することなく足底部14を介して路面1に伝達する。
足底部14は、足甲部12の下面に固定され、ロボットの移動時に接地するようになっている。
上述した構成により、路面1から離れている遊脚2aが、路面1に接して立脚2b(図2参照)に切り替わる際に、脚2の姿勢に関らず、足首関節3を中心に足甲部12と足底部14が水平軸を中心に揺動し、足底部14の底面を路面1に沿って位置決めし、脚2に下向きに作用する力を、足底部14を介して路面1に伝達することができる。
足底部14は、中空バッグ16と粉粒体18とを有する。
中空バッグ16は、路面1の凹凸1aに倣う柔軟性と気密性を有する中空の袋である。中空バッグ16の材質は、例えばゴム、ビニール、プラスチック等であり、路面1の凹凸1aに容易に倣うように膜厚が薄い(例えば10〜100μm)ことが好ましい。
この例で、中空バッグ16は、その内部に開口寸法が粉粒体18の最小直径より小さいエアフィルタ17を有する。このエアフィルタ17により、粉粒体18の中空バッグ16からの流出を防止することができる。
粉粒体18は、路面1の凹凸1aに倣う最大直径を有し、中空バッグ16内に充填されている。粉粒体18の充填比率は、中空バッグ16内が外部と連通し、中空バッグ16内の圧力が外圧(大気圧)と同じ場合に、粉粒体18が全体として液体のような流動性を有するように設定する。この充填比率は、中空バッグ16の内容積の50〜90%であるのがよい。
粉粒体18は、互いに密着することにより全体形状を保持する形状又は摩擦係数を有する「粉体」又は「粒体」である。すなわち、粉粒体18は、粉体又は粒体の隙間が大きくその間に気体(例えば空気)が介在している場合には全体として液体のような流動性を有し、逆にその間に介在する気体が少なく互いに密着する場合には、その形状又は表面間の摩擦により互いにブリッジを形成して全体形状を保持するようになっている。
かかる粉粒体18として、例えばコーヒ豆、そば殻、ガラス球、金属球、発泡スチロール、等を用いることができる。
図1において、本発明のロボットの接地部構造10は、更に、圧力制御装置20を備える。
圧力制御装置20は、例えば減圧装置(真空ポンプ)、流路切替弁、圧力検出器、制御ユニット、等で構成され、中空バッグ16の内部と連通する可撓性のチューブ管19を介して、中空バッグ16内の気体圧力を制御するようになっている。
この圧力制御装置20は、遊脚2aが接地する際に、遊脚2aの中空バッグ16内を外部と連通させて、粉粒体18の変形抵抗を下げ、足底部14の柔軟性を高めるようになっている。
また、圧力制御装置20は、接地後に、立脚2b(図2参照)が遊脚2aに変わるまで、立脚2bの中空バッグ16内を減圧して、粉粒体18の充填密度を高め、足底部14の剛性を高めるようになっている。
図2は、本発明の作用を示す模式図である。この図において、(A)は、遊脚2aが接地する際、(B)(C)(D)は接地後に、立脚2bが遊脚2aに変わる状態を示している。
図2(A)の遊脚2aが接地する際には、圧力制御装置20により、中空バッグ16内を外部と連通させて、粉粒体18の変形抵抗を下げ、足底部14の柔軟性を高める。従ってこの構成により、接地時の柔軟性が向上することにより、接地時の衝撃吸収や路面1の凹凸1aへの対応の幅が広がる。
図2(B)の接地直後には、中空バッグ16内の圧力は外気圧(大気圧)であるため、粉粒体18の変形抵抗が低く柔軟性がある。この接地直後から脚2(立脚2b)に下向きに力を作用させると共に、圧力制御装置20により中空バッグ16内を減圧する。
減圧を継続すると、図2(C)に示すように、中空バッグ16内の圧力が下がるに従い、中空バッグ16が収縮し、同時に粉粒体18の充填密度が高まる。また、同時に路面1の凹凸1aとの隙間も小さくなる。
図2(D)のように、予め設定した圧力まで減圧した後、減圧を停止して内部の圧力を一定に保持する。この状態で、粉粒体18は内部圧力に応じた充填密度となっている。
上述したように、圧力制御装置20により、立脚2bが遊脚2aに変わるまで、中空バッグ16内を減圧して、粉粒体18の充填密度を高め、足底部14の剛性を高める。従って、立脚2b時には積極的に剛性を高めることができ、かつ路面の凹凸を把持することができるため、歩行を安定化できる。
また圧力制御装置20により、中空バッグ16内の気体圧力を大気圧以下の圧力に制御することにより、粉粒体18の充填密度を上げて足底部14の剛性を可変制御してもよい。
この構成により、路面1の凹凸1aの状態に応じて、足底部14を所望の剛性に可変制御することができる。
上述した本発明の構成によれば、圧力制御装置20により、ロボットの遊脚2aが接地する際に、遊脚2aの中空バッグ16内を外部と連通させることにより、粉粒体18の変形抵抗を下げ遊脚2aが接地する際の足底部14の柔軟性を大幅に高めることができる。
また、圧力制御装置20により、接地後に、ロボットの立脚2bが遊脚2aに変わるまで、立脚2bの中空バッグ16内を減圧して、粉粒体18の充填密度を高めるので、立脚時の剛性と立脚2bから遊脚2aに変わる直前における足底部14の剛性を大幅に高めることができる。
従って、接地時の柔軟性が向上することにより、接地時の衝撃吸収や路面1の凹凸1aへの対応の幅が広がる。また立脚時には積極的に剛性を高めることができ、かつ路面1の凹凸1aを把持することができるため、歩行を安定化できる。また、減圧の程度を変えることで、剛性を可変とすることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1 路面、1a 凹凸、2 脚、2a 遊脚、2b 立脚、3 足首関節、
10 ロボットの接地部構造、12 足甲部、14 足底部、
16 中空バッグ、17 エアフィルタ、18 粉粒体、
19 チューブ管、20 圧力制御装置

Claims (4)

  1. 2以上の脚を有し、各脚が路面から離れている遊脚と路面に接している立脚とに交互に切り替わるロボットの接地部構造であって、
    前記脚の下端に揺動可能に設けられた足甲部と、
    足甲部の下面に固定されロボットの移動時に接地する足底部とを備え、
    足底部は、路面の凹凸に倣う柔軟性と気密性を有する中空バッグと、
    路面の凹凸に倣う最大直径を有し中空バッグ内に充填された粉粒体とを有し、
    さらに、前記中空バッグ内の気体圧力を制御する圧力制御装置を備え、該圧力制御装置により、
    (A)遊脚が接地する際に、遊脚の中空バッグ内を外部と連通させて、粉粒体の変形抵抗を下げ足底部の柔軟性を高め、
    (B)前記接地後に、立脚が遊脚に変わるまで、立脚の中空バッグ内を減圧して、粉粒体の充填密度を高め足底部の剛性を高める、ことを特徴とするロボットの接地部構造。
  2. 前記圧力制御装置により中空バッグ内の気体圧力を大気圧以下の圧力に制御することにより、粉粒体の充填密度を上げて足底部の剛性を可変制御する、ことを特徴とする請求項1に記載のロボットの接地部構造。
  3. 前記粉粒体は、互いに密着することにより全体形状を保持する形状又は摩擦係数を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のロボットの接地部構造。
  4. 前記中空バッグは、その内部に開口寸法が粉粒体の最小直径より小さいエアフィルタを有する、ことを特徴とする請求項1に記載のロボットの接地部構造。
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