以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係るネットワークについて説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
本実施の形態では、後述する中継器とタップとのペアリングを簡略化するための構成について説明する。中継器および当該中継器とのペアリングが完了したタップは、後述するネットワークシステム(図1)で利用される。なお、ペアリングは、ネットワークシステムへジョイン(参加)するための処理でもある。
以下では、先ず、ペアリングが完了したタップが利用されるネットワークシステムの概略について説明する(図1)。次いで、中継器およびタップの具体的構成について説明する(図2〜5)。その後、ペアリングを簡略化するための処理の詳細を説明する(主として、図6〜8,11,12)。
<A.ネットワークの構成例>
図1は、本発明の実施の形態に係るネットワークの概略構成を示した図である。図1を参照して、本発明の実施の形態に係るシステムにはネットワークZとネットワークEとから構成される。ネットワークZは、低速無線通信ネットワーク(本例においてはZigBeeを想定)を示す。ネットワークEは、高速通信ネットワーク(本例においては、Ethernet(登録商標)、または、WiFi(登録商標)、またはそれらの組み合わせを想定)を示す。なお、本例においては上記の方式を用いたネットワークについて説明するが特に上記に限るものではない。例えば、ネットワークZにZ−WAVE(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、特定小電力無線などを用いることができる。また例えば、ネットワークEにPLC(Power Line Communications)などを用いることも可能である。
ネットワークZには、中継器1001と、複数のタップ1004a,1004b,1004c等が存在するものとする。ネットワークEには、中継器1001と、ブロードバンドルータ1002と、パーソナルコンピュータ1003等が存在するものとする。タブレット端末1008が含まれていてもよい。中継器1001はネットワークZとネットワークEの両方のネットワークに含まれる。また、中継器1001はHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)サーバ機能を有する。複数のタップ1004a,1004b,1004cには、それぞれ、複数の家電機器(一例として、エアーコンディショナ1005,冷蔵庫1006,テレビ1007など)が接続されている。
エアーコンディショナ1005の電源プラグ1051は、タップ1004aのソケットに差し込まれている。同様に、冷蔵庫1006の電源プラグ1061は、タップ1004bのソケットに差し込まれている。また、テレビ1007の電源プラグ1071は、タップ1004cのソケットに差し込まれている。
タップ1004a、1004b、1004cは、それぞれ、宅内に設置されたコンセント1015,1016,1017に取り付けられている。これにより、タップ1004a,1004b、1004cは、給電される。
タップ1004a、1004b、1004cは、各々に接続される各家電の消費電力を測定する消費電力測定器である。たとえば、タップ1004aは、エアーコンディショナ1005の消費電力を測定する。タップ1004a、1004b、1004cの各々は、測定した消費電力を中継器1001に送信することができる。なお、以下では、説明の便宜上、タップ1004a,1004b,1004cを区別することなく表わす場合には、「タップ1004」と表記する。
中継器1001および複数のタップ1004の各々は、低速無線通信モジュールを備える。中継器1001と複数のタップ1004とにより、低速無線通信ネットワークZ(以下、単に「ネットワークZ」とも称する)を構成している。また、中継器1001は、Ethernetによりワイヤレスブロードバンドルータ1002に接続されている。中継器1001は、ネットワークZとネットワークEとのブリッジ(媒体変換装置)あるいはゲートウェイ(プロトコル変換装置)として機能する。中継器1001は、複数のタップ1004との間で低速度の無線通信を行なう。
ワイヤレスブロードバンドルータ1002は、インターネットに接続されていてもよい。パーソナルコンピュータ1003は、EthernetまたはWiFiにより、ワイヤレスブロードバンドルータ1002に接続される。
パーソナルコンピュータ1003は、ブラウザ(HTTPクライアント)が動作する一般的なパソコンである。パーソナルコンピュータ1003は、パーソナルコンピュータ1003のブラウザ(HTTPクライアント)を経由して中継器1001のHTTPサーバと通信する。中継器1001のHTTPサーバは、設定用CGIプログラムを呼び出すことによって、中継器自身の設定情報を取得し、また、設定できるようになっている。このようにして、パーソナルコンピュータ1003は、中継器1001のさまざま設定を行なうことができる。このHTTPサーバとブラウザ(HTTPクライアント)の働きによって、貧弱な入力装置しか持たない中継器1001でも、複雑な設定を行なうことができる。
タブレット端末1008は、ワイヤレスブロードバンドルータ1002を介して、中継器1001と通信を行なう。タブレット端末1008は、WiFiにより、ワイヤレスブロードバンドルータ1002に接続される。なお、タブレット端末1008は、Ethernetにより、ワイヤレスブロードバンドルータ1002に接続されてもよい。
タブレット端末1008は、消費電力に関する各種の表示を行なうことができる。タブレット端末1008は、たとえば、各家電の消費電力を表示できる。
以下では、ネットワークZとして、家電向けの短距離無線通信規格の一つであるZigBeeを用いた例について説明する。
<B.中継器1001の構成>
図2は、中継器1001の外観を表した図である。図2(A)は、中継器1001の斜視図である。図2(B)は、中継器1001の側面図である。図2(C)は、中継器1001の他の側面の要部拡大図である。
図2(A)を参照して、中継器1001は、発光部1103と、アンテナ1107とを備える。発光部1103は、中継器1001の動作状態等を表示するための3つのLED(Light Emitting Diode)1103a,1103b,1103cにより構成される。
LED1103aは、中継器1001の電源がオン・オフの状態を示すための発光素子(電源LED)である。LED1103bは、タップ1004との通信状態を表示するための発光素子(タップLED)である。LED1103cは、ワイヤレスブロードバンドルータ1002との通信状態を表示するための発光素子(ルータLED)である。
アンテナ1107は、各タップ1004a,1004b,1004cと通信するために用いられる。
図2(B)を参照して、中継器1001は、発光部1103が設けられた表面とは反対側の表面に、プッシュボタン1108をさらに備える。プッシュボタン1108は、中継器1001をジョイン許可状態(ジョインモード)、または、リーブモードに遷移させるためのボタンである。
図2(C)を参照して、中継器1001は、発光部1103が設けられた表面およびプッシュボタン1108が設けられた表面とは異なる表面に、スライドスイッチ1109を
さらに備える。スライドスイッチ1109は、ユーザの操作によりスライドする。スライドスイッチ1109は、JOIN位置、NOP(No Operation)位置、およびLEAVE位置のうちのいずれか1つの位置をとることができる。なお、スライドスイッチ1109は、プッシュボタン1108が押されたときに、中継器をジョイン許可状態、あるいはリーブモードのいずれかを選択するために用いられる。スライドスイッチ1109は、通常の使用時にはNOP位置に設定される。
図3は、中継器1001のブロック図である。図3を参照して、中継器1001は、制御部1101と、発光部1103と、高速通信インターフェイス部1104と、電源部1105と、無線RF(Radio Frequency)内蔵通信コントローラ部1106と、アンテナ1107と、プッシュボタン1108と、スライドスイッチ1109と、図示しないリセットスイッチとを備える。
無線RF内蔵通信コントローラ部1106は、CPU(Central Processing Unit)1161と、ROM(Read Only Memory)1162と、RAM(Random Access Memory)1163と、GPIO(General Purpose Input/Output)1164と、無線RF部1165と、制御部1101との間で通信するためのUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)1166とを含む。
なお、本実施例では、無線RF内蔵通信コントローラ部1106は、ZigBeeコーディネータとして動作するものとして説明する。他の実施の形態として、無線RF内蔵通信コントローラ部1106は、ZigBeeルータとして動作させてもよい。その場合、ネットワークZ上に存在する他の通信機器から常に受信可能であるように設定しておく。
また、ROM1162と、RAM1163と、UART1166と、GPIO1164と、無線RF部1165とは、それぞれ、CPU1161に接続されている。
無線RF内蔵通信コントローラ部1106は、アンテナ1107と接続されている。無線RF内蔵通信コントローラ部1106は、ネットワークZ上に存在する通信機器との間の通信を制御する。なお、ROM1162は、NVRAMで構成されるのが一般的である。
制御部1101は、CPU1161に比べて高性能なCPUを備えており、またメモリも豊富である。当該構成によって、中継器1001は、高度な情報処理を実現できる。
高速通信インターフェイス部1104は、ワイヤレスブロードバンドルータ1002との間でEthernetまたはWiFiを用いた通信を行なうためのインターフェイスである。電源部1105は、制御部1101と無線RF内蔵通信コントローラ部1106とに電力を供給する。
制御部1101は、発光部1103と、高速通信インターフェイス部1104と、電源部1105と、無線RF内蔵通信コントローラ部1106と、プッシュボタン1108と、スライドスイッチ1109とに接続されている。制御部1101は、中継器1001の全体的な動作を制御する。制御部1101は、プッシュボタン1108およびスライドスイッチ1109からの入力を受け付ける。また、制御部1101は、発光部1103に出力指示を出す。
制御部1101について、より詳しく説明すると以下のとおりである。制御部1101は、図示しない、ZigBeeマネージャと、ZigBeeノード管理情報とを含む。ZigBeeマネージャは、制御部1101に格納されているアプリケーションの1つである。ZigBeeマネージャは、ネットワークZ上に存在しうるZigBeeのノードを管理する。具体的には、ZigBeeマネージャは、ローカルノードである無線RF内蔵通信コントローラ部1106と、ローカルノードと通信可能なリモートノード(タップ1004などのZigBeeノード)を管理する。これ以外にも、ZigBeeマネージャは、ローカルノード及びリモートノードからZigBeeノードとしての一般的な情報(IEEEアドレス、ショートアドレス、MAC能力、論理タイプなど)を取得して、また、ローカルノードからローカルノードにアソシエートされているデバイスの一覧や現在のネットワーク情報(PanIDや論理チャンネルなど)を取得して、ノード情報として管理する。ZigBeeマネージャは、これらのZigBeeノードの管理情報をZigBeeノード管理情報に保存する。
なお、本実施の形態において、「ローカルノード」とは、中継器に内部接続されるZigBeeモジュールをいう。また、後述する「リモートノード」とは、タップなどに内蔵されるZigBeeモジュールをいう。
<C.タップ1004の構成>
図4は、タップ1004の斜視図である。図4を参照して、タップ1004は、プラグ差込用のソケット2101と、プラグ2102と、LED2105と、設定ボタン2106とを備える。タップの使用時には、ユーザは、家電の電源プラグをソケット2101に差し込むとともに、宅内に設置されたコンセントにプラグ2102を差し込む(図1参照)。なお、ソケット2101の形状は、接続される家電の電源プラグの形状に応じて決まる。
図5は、タップ1004のハードウェア構成を表した図である。図5を参照して、タップ1004は、ソケット2101と、プラグ2102と、シャント抵抗2103と、電源部2104と、LED2105と、設定ボタン2106と、アンテナ2107と、電力センサ部2110と、無線RF内蔵通信コントローラ部2120と、配線2131と、配線2132と、配線2133とを備える。
電力センサ部2110は、電圧入力ADC部2111と、電流入力ADC部2112と、乗算器2113と、デジタル/周波数変換部2114とを含む。無線RF内蔵通信コントローラ部2120は、CPU2121と、ROM2122と、RAM2123と、GPIO2124と、無線RF部2125とを含む。
配線2132と配線2133とは、シャント抵抗2103により接続されている。シャント抵抗2103は電流を測定するために使われる微小な(数百マイクロΩ)抵抗である。
ソケット2101とプラグ2102とは、配線2131〜2133およびシャント抵抗2103で接続されている。配線2131は、プラグ2102の一方の端子およびソケット2101の一方の端子に接続されている。配線2132は、プラグ2102の他方の端子とシャント抵抗2103の一方の端部とに接続されている。配線2133は、ソケット2101の他方の端子とシャント抵抗2103の他方の端部とに接続されている。
電源部2104は、配線2132に接続されている。電源部2104は、交流を直流に変換する。電源部2104は、変換により得られた直流電力を電力センサ部2110と無線RF内蔵通信コントローラ部2120とに与える。
電圧入力ADC部2111は、配線2131と、配線2132とに接続されている。電圧入力ADC部2111は、配線2131と配線2132との間の電圧(電位差)を、デジタル信号にて乗算器2113に出力する。
電流入力ADC部2112は、配線2132と、配線2133とに接続されている。電流入力ADC部2112は、シャント抵抗2103に流れる電流の電流値を、デジタル信号にて乗算器2113に出力する。
乗算器2113は、電圧入力ADC部2111からの出力と、電流入力ADC部2112からの出力とを乗算し、当該乗算により得られたデジタル信号をデジタル/周波数変換部2114に出力する。
デジタル/周波数変換部2114は、入力されたデジタル信号を周波数信号に変換する。デジタル/周波数変換部2114は、変換により得られた周波数信号を、無線RF内蔵通信コントローラ部2120のGPIOに出力する。
CPU2121は、GPIOから取得した上記周波数信号をデータ変換する。無線RF部2125は、データ変換により得られた信号を、アンテナ2107を用いて中継器1001に送信する。
ROM2122には、CPU2121が実行するプログラム等が格納されている。なお、ROM2122は、NVRAMで構成されるのが一般的である。
LED2105は、タップ1004のデータ処理状態を、点滅および/または点灯させる色等により表す。設定ボタン2106は、ユーザによるタップ1004の初期設定等のために用いられる。
なお、本実施例では、無線RF内蔵通信コントローラ部2120は、ルータとして動作するものとして説明する。
<D.ペアリング処理の詳細>
図6は、全てのタップについて中継器1001との間でペアリングが行なわれていないときに、1つのタップ(以下、「タップ1004s」と称する)のペアリングを行なう際の手順を説明するための図である。図6を参照して、ユーザは、中継器1001のスライドスイッチ1109を、NOP位置からJOIN位置にスライドさせる(図の状態(a),状態(b))。その後、ユーザは、プッシュボタン1108を押す(状態(c))。これにより、予め定められた時間(たとえば60秒間)、中継器1001はジョイン禁止状態からジョイン許可状態(ジョインモード)となる。なお、この間、制御部1101は、発光部1103を予め定められた状態で発光させる。そして、中継器1001がジョイン許可ジョイン許可状態で、ユーザがタップ1004sをコンセントに差すことにより(状態(d))、中継器1001とタップ1004sとのペアリングが行なわれる。
図7は、少なくとも1つのタップ1004sのペアリングが完了している場合に、他のペアリングが行なわれていないタップ(以下、「タップ1004t」と称する)に対しペアリングを行なう際の手順を説明するための図である。具体的には、図7は、図6とは異なる簡易なペアリング方法を実現するための手順を表した図である。
図7を参照して、中継器1001のスライドスイッチ1109をNOP位置とし(図の状態(a))、ユーザは、中継器1001とのペアリングが済んでいるタップ1004sをコンセントに差すことにより(状態(b))、当該タップ1004sへの給電が開始される。この場合、中継器1001は、タップ1004sとの通信により、既にペアリングが済んでいるタップ1004sに給電が開始されと判断(給電開始を検知)すると、予め定められた時間(たとえば60秒間)、中継器1001は、中継器1001の動作モードを、ジョイン禁止状態からジョイン許可状態に切り換える。
次いで、上記予め定めれた時間内に、ユーザは、ペアリングが行なわれていないタップ1004tのプラグ2102をタップ1004sのソケット2101に差し込むことにより(状態(c))、タップ1004tに給電を開始する。これにより、中継器1001は、ペアリングが未だ行なわれていないタップ1004tの存在を検知し、タップ1004tとの間でペアリングを開始する。
なお、上記予め定めれた時間を経過した後に、ユーザが、ペアリングが行なわれていないタップ1004tのプラグ2102をタップ1004sのソケット2101に差し込んだ場合には、中継器1001の動作モードがジョイン許可状態からジョイン禁止状態に戻っているため、中継器1001とタップ1004とのペアリングは行なわれない。
なお、上記においては、タップ1004sに対する給電が行なわれた後に、タップ1004tに対する給電が行なわれる場合を例に挙げて説明したが、給電の順序は特に限定されるものではない。タップ1004tに給電をした後、タップ1004sに給電を開始してもよい。あるいは、タップ1004tのプラグ2102をタップ1004sのソケット2101に差し込む(あるいはタップ1004sのプラグ2102をタップ1004tのソケット2101)ことにより、タップ1004sとタップ1004tとを連結した後に、タップ1004s(あるいはタップ1004t)のプラグ2102をコンセントに差し込み、タップ1004s、1004tに同時に給電する構成であってもよい。
また、上記においては、タップ1004tのプラグ2102をタップ1004sのソケット2101に差し込んだ場合を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではない。タップ1004tのプラグ2102を、部屋の壁に設置されたコンセント、あるいはタップ1004sのソケット以外のソケットに差し込んでもよい。つまり、タップ1004tに給電がなされるのであれば、給電元は限定されない。
図8は、ペアリングが行なわれていない複数のタップに対して、概ね同時にアリングを行なう際の手順を説明するための図である。図7においては、ペアリングが行なわれていない1つのタップ1004tのペアリングを行なう場合を例に挙げて説明したが、図7を用いして説明したペアリング方法を、ペアリングが行なわれていない複数のタップに対しても適用できる。
図8を参照して、中継器1001のスライドスイッチ1109をNOP位置とし(図の状態(a))、ユーザは、中継器1001とのペアリングが済んでいるタップ1004sをコンセントに差すことにより(状態(b))、当該タップ1004sへの給電が開始される。この場合、中継器1001は、タップ1004sとの通信により、既にペアリングが済んでいるタップ1004sに給電が開始されと判断(給電開始を検知)すると、予め定められた時間(たとえば60秒間)、中継器1001は、中継器1001の動作モードを、ジョイン禁止状態からジョイン許可状態に切り換える。
次いで、上記予め定めれた時間内に、ユーザは、ペアリングが行なわれていないタップ1004t,1004u、1004vに対して給電をすることにより(状態(c))、中継器1001は、ペアリングが未だ行なわれていないタップ1004t,1004u、1004vの存在を検知し、タップ1004t,1004u、1004vとの間でペアリングを開始する。
なお、タップ1004sに対する給電が行なわれた後に、タップ1004t,1004u、1004vに対する給電が行なわれる場合を例に挙げて説明したが、上述したように、給電の順序は特に限定されるものではない。
<E.制御構造>
(e1.タップ1004における制御構造)
図9は、本発明の実施の形態に従うタップ側の電源投入後の処理について説明するフロー図である。当該処理は、主にCPU2121における処理である。図9を参照して、CPU2121は、電源投入されると、まず、NVRAMに格納されているコンフィグ情報を復元する(ステップS102)。次に、ステップS104にて、コンフィグ情報に含まれている初期化フラグがセットされているかどうかを判断する。
ステップS104においてNOと判断した場合には、ステップS106に進む。また、ステップS104においてYESと判断した場合には、NVRAMに書込みされているコンフィグ情報とネットワーク情報を工場出荷時の初期値に戻す処理を実行する(ステップS118)。
次に、NVRAMに格納されているネットワーク情報を復元する(ステップS106)。次に、ステップS108にて、ネットワーク情報に有意データがあるかどうかを判断する。
ステップS108においてYESと判断した場合には、ランダム時間待機(ウェイト)する(ステップS120)。そして、ZigBee仕様書で定義されている、”Device_annce”(以下、デバイスアンスと称する)をブロードキャストで送信する(ステップS124)。ランダム時間待機することにより複数のタップの電源が一斉にONされた場合に、デバイスアンスをブロードキャスト送信するタイミングをずらして衝突を防ぐことが期待できる。なお、デバイスアンスは、ネットワークにジョインしたときやリジョインしたとき、または、アドレス衝突が発生してアドレス変更されたときに送信されるパケットである。
一方、ステップS108においてNOと判断した場合には、ジョイン許可しているネットワークを見つけてアソシエーション要求を送信する(ジョイン処理)(ステップS110)。
具体的には、タップ1004は、ビーコン・リクエストを送信して、ビーコンを受信する。ビーコンは、(コーディネータである)中継器1001と(ルータである)他のタップから送信される。タップ1004は、受信したビーコンを解析してジョイン許可されているネットワークのうち最適なものを1つ選んでアソシエーション要求(NLME-JOIN.Request)を送信する(ジョインを試みる)。なお、中継器1001側の処理は、図14で説明する。なお、ジョイン処理中は、タップ1004は、LEDは普通点滅を繰り返す。
次に、ステップS112において、アソシエーション応答(成功)を受信したかどうかを判断する。
ステップS112においてYESと判断した場合には、得られたネットワーク情報をNVRAMに書込む(ステップS122)。ネットワーク情報には、PanID、Extended PanID、論理チャンネルなどが含まれる。また、タップ1004に割り当てられたショートアドレスも含まれる。
そして、デバイスアンスをブロードキャストで送信する(ステップS124)。そして、ジョイン済みに移行する(ステップS126)。なお、ジョイン済みになればLEDを消灯するものとする。そして、処理を終了する(電源投入後の処理を終了)。
一方、ステップS112においてNOと判断した場合には、次に、ステップS114にて、ジョイン処理を開始してから60秒が経過したかどうかを判断する。ステップS114においてNOと判断した場合には、ステップS110に戻り、ジョイン処理を継続する。一方、ステップS114においてYESと判断した場合には、ホールド状態に移行する(ステップS116)。そして、処理を終了する(電源投入後の処理を終了)。
なお、ホールド状態というのは、自身をリセットした後に、ネットワークへの参加をせずにとどまっている状態である。このときパケット送受信をいっさい行なわない。この際、LEDは高速に点滅するものとする。なお、後述するが当該ホールド状態の場合に設定ボタンを押下した場合には、ホールド状態が解除されてステップS110に戻るものとする。
図10は、本発明の実施の形態に従うタップ側の設定ボタン押下げ後の処理について説明する図である。当該処理は、主にCPU2121における処理である。図10を参照して、設定ボタンが押下げられた場合には、まず、ステップS202にて、ホールド状態であるかどうかを判断する。
ステップS202においてYESと判断した場合には、ホールド状態を解除してジョイン処理を再開する(ステップS206)。すなわち、図9のステップS110に進む。
そして、処理を終了する(ボタン押下げ後の処理を終了)。ステップS202においてNOと判断した場合には、次に、ステップS204にて、ジョイン済みであるかどうかを判断する。
ステップS204においてYESと判断した場合には、デバイスアンスをコーディネータ(ショートアドレス=0x0000)に対してユニキャストで送信する(ステップS208)。なお、その際、LEDは一瞬点灯させるものとする。そして、処理を終了する(ボタン押下げ後の処理を終了)。ステップS204においてNOと判断した場合には、そのまま処理を終了する(ボタン押下げ後の処理を終了)。
(e2.中継器1001における制御構造)
図11は、本発明の実施の形態に従う中継器1001のプッシュボタンの押下げ処理を説明するフロー図である。当該処理は、中継器1001のZigBeeマネージャ(制御部1101)によって実施される処理である。
図11を参照して、制御部1101は、ステップS600にて、ペアリング済みのタップに電源供給が開始されたか否かを判断する。具体的に説明すれば以下のとおりである。
ペアリング済みのタップ1004がコンセントに再度差し込まれること等により、当該タップ1004への給電が再開される。この場合、タップ1004は、予め定められた信号を送信(発信)するものとする。たとえば、タップ1004は、予め定められた信号として、上記デバイスアンスをブロードキャストで送信するものとする。本実施の形態では、ペアリング済みのタップが給電を開始したときにも、当該タップがデバイスアンスを送信するものとする。中継器1001は、これにより、ペアリング済みのタップ1004に対する電源供給が開始されたことを検知できる。
なお、中継器1001は、デバイスアンスを受信した場合、後述するように、デバイスアンス受信処理を開始する。その結果、ここでは、中継器1001の制御部1101は、タップ1004の電源が入ったことを検出して、タブレット端末1008にノード状態変化通知(ノードの電源が投入された旨の通知)を送る。このような処理により、タブレット端末1008は、タップ1004に対して給電がなされたことを知ることができる。
制御部1101は、ステップS600においてYESと判断した場合には、ジョインモード処理Aを実施する(ステップS612)。ジョインモード処理Aの詳細については後述する。制御部1101は、ステップS600においてNOと判断した場合には、処理をステップS602に進める。
制御部1101は、ステップS602にて、プッシュボタン1108が押下されたかどうかを判断する。ステップS602においてNOと判断した場合には、処理を終了する(プッシュボタン押下げ処理終了)。ステップS602においてYESと判断した場合には、ステップS604にて、スライドスイッチ1109がいずれの位置にあるかを判断する。
ステップS604において、スライドスイッチ1109がJOIN位置に位置すると判断した場合には、ジョインモード処理Bを実施する(ステップS606)。ジョインモード処理Bの詳細については後述する。ステップS604において、スライドスイッチ1109がNOP位置に位置すると判断した場合には、何もしない(ステップS608)。ステップS604において、スライドスイッチ1109がLEAVE位置に位置すると判断した場合には、リーブモード処理を実施する(ステップS610)。そして、処理を終了する。
図12は、本発明の実施の形態に従う中継器1001のジョインモード処理Aについて説明するフロー図である。当該処理は、中継器1001のZigBeeマネージャ(制御部1101)によって実施される処理である。
図12を参照して、ジョインモード処理Aが開始された場合、制御部1101は、まず、ローカルノードである無線RF内蔵通信コントローラ部1106に対してジョイン許可60秒間の指令を通知する(ステップS700)。ジョイン許可60秒間の指令とは、60秒間だけローカルノードをジョイン許可状態に設定することを意味する。具体的には、NLME-PERMIT-JOINING.Request(引数:PermitDuration=60)をローカルノードに通知する。
次に、ステップS702にて、当該通知が成功したかどうかを判断する。具体的には、当該通知を無線RF内蔵通信コントローラ部1106が正常に受け付けたかどうかを判断する。ステップS702においてYESと判断した場合には、中継器1001をジョインモードに設定する(ステップS704)。なお、この場合に、中継器1001のLEDを普通点滅させてモードの変更をユーザに通知する。中継器1001をジョインモードに設定している場合におけるリモートノードからの信号の受信処理の詳細については後述する。
次に、ステップS706Aにて、60秒が経過したかどうかを判断する。ステップS706AにおいてNOと判断した場合、当該状態を維持する。すなわち、ジョイン許可状態を維持する。
ステップS706AにおいてYESと判断した場合、ローカルノードに対してジョイン禁止の指令を通知する(ステップS708)。具体的には、制御部1101は、ローカルノードである無線RF内蔵通信コントローラ部1106に対してジョイン禁止の指令を通知する。具体的には、NLME-PERMIT-JOINING.Request(引数:PermitDuration=0)をローカルノードに通知する。
そして、中継器1001を通常モードに設定する(ステップS710)。なお、この場合に、中継器1001のLEDを普通点滅から消灯させてモードの変更をユーザに通知する。また、制御部1101は、無線RF内蔵通信コントローラ部1106に対するジョイン禁止状態(NLME-PERMIT-JOINING.Request)の通知が成功したか失敗したかに係らず当該モードに設定する。
そして、処理を終了する(ジョインモード処理A終了)。一方、ステップS702においてNOと判断した場合には、処理を終了する(ジョインモード処理A終了)。
図13は、本発明の実施の形態に従う中継器1001のジョインモード処理Bについて説明するフロー図である。当該処理は、中継器1001のZigBeeマネージャ(制御部1101)によって実施される処理である。
ジョインモード処理Bは、ステップS706Bを行なう点において、ステップS706Aを行なうジョインモード処理A(図12)と異なる。ジョインモード処理Bは、ステップS706Aの代わりにステップS706Bを行なう点を除き、ジョインモード処理Aと同じである。そのため、ジョインモード処理Aと同じ処理については、繰り返し説明しない。
図13を参照して、ステップS706Bにて、60秒が経過した、または、スライドスイッチの位置がJOIN位置から外れたかどうかを判断する。なお、ステップS706BにおいてNOと判断した場合、当該状態を維持する。すなわち、ジョイン許可状態を維持する。ステップS706BにおいてYESと判断した場合、処理をステップS708に進める。
図14は、本発明の実施の形態に従う中継器1001のローカルノードにおけるリモートノードからの信号の受信処理を説明するフロー図である。当該処理は、中継器1001の無線RF内蔵通信コントローラ部1106によって実施される処理である。
図14を参照して、まず、無線RF内蔵通信コントローラ部1106は、ステップS730にて、ビーコン・リクエストを受信したかどうかを判断する。そして、ステップS730においてYESと判断したには、ビーコンを送信する(ステップS732)。そして、ビーコン・リクエストに関する受信処理は終了する。
次に、ステップS730においてNOと判断した場合には、ステップS734にて、アソシエーション要求を受信したかどうかを判断する。ステップS734においてYESと判断した場合には、ステップS736にて、自身がジョイン許可中であるかどうかを判断する。ステップS736においてYESと判断した場合には、ステップS738にて、アソシエートデバイスリストに追加可能かどうかを判断する。例えば、追加した場合に、リストに登録可能な個数を超えるかどうかを判断する。超えない場合には追加可能であると判断する。
ステップS738においてYESと判断した場合には、新規デバイスにショートアドレスを割り当てる(ステップS740)。そして、次に、アソシエートデバイスリストに新規デバイスのデバイス情報を追加する(ステップS742)。デバイス情報としてIEEEアドレス、ショートアドレス、ノード関係などを登録する。
次に、アソシエーション応答(成功)をアソシエーション要求の送信元に対して送信する(ステップS744)。アソシエーション応答(成功)には、割り当てたショートアドレスなどが含まれる。そして、処理を終了する(受信処理終了)。
なお、ステップS734においてNOと判断した場合、ステップS736においてNOと判断した場合、あるいは、ステップS738においてNOと判断した場合には、処理を終了する(受信処理終了)。
<F.機能的構成>
図15は、中継器1001の機能的構成を説明するための図である。図15を参照して、中継器1001は、判断部1191と、ペアリング部1192と、スライドスイッチ1109と、プッシュボタン1108とを備える。
(1)判断部1191は、中継器1001との間でペアリングが済んだタップ1004に対して給電が開始されてから予め定められた時間内に、ペアリングが済んでいないタップ1004に対して給電が開始されたか否かを判断する。ペアリング部1192は、上記予め定められた時間内にペアリングが済んでいないタップ1004に対して給電が開始されたと判断されたことに基づき、ペアリングが済んでいないタップ1004との間でペアリングを開始する。
このように、中継器1001は、ペアリングが済んでいるタップ1004に給電が開始されると、予め定められた時間、ペアリングが可能な状態(ジョイン許可状態)となる。さらに、上記予め定めれた時間内に、ペアリングが行なわれていないタップ1004に給電を開始すると、中継器1001は当該タップ1004とのペアリングを開始する。
それゆえ、ユーザは、ペアリングが済んでいるタップ1004をコンセント等に差すことにより当該タップ1004に給電させることにより、中継器1001を予め定めれた時間、ペアリング可能な状態に遷移させることができる。また、当該予め定められた時間何、ペアリングが行なわれていないタップ1004に給電を開始するだけで、当該タップ1004のペアリングを行なわせることができる。
したがって、タップ1004を中継器1001とペアリングさせる場合、スライドスイッチ1109(切替スイッチ)の切り替えと、プッシュボタン1108の押下とを行なう必要がない。それゆえ、ペアリングが行なわれていないタップ1004に関しては、簡便にペアリングを行なうことが可能となる。
また、予め定めれた時間をたとえば60秒といった比較的短い時間とすることにより、中継器1001のユーザが所有するタップ以外のタップ(たとえば、隣の家のペアリングが行なわれていないタップ)が中継器1001とペアリングしてしまう可能性を低減することが可能となる。
(2)スライドスイッチ1109は、複数の動作モードから1つの動作モードを選択するためのスイッチである。なお、複数の動作モードには、ジョイン禁止状態、ジョイン許可状態(ジョインモード)等が含まれる。ペアリング部1192は、スライドスイッチ1109によりペアリングを許可する動作モードが選択されているか否かにかかわらず、ペアリングが済んでいないタップ1004との間でペアリングを開始する。つまり、ペアリング部1192は、中継器1001との間でペアリングが済んだタップ1004に対して給電が開始されてから予め定められた時間内に、ペアリングが済んでいないタップ1004に対して給電が開始された場合、スライドスイッチ1109によりJOIN位置が選択されているか否かにかかわらず、ペアリングが済んでいないタップ1004との間でペアリングを開始する。
このため、ユーザは、ペアリングが行なわれていないタップ1004を中継器1001とペアリングさせるときには、選択スイッチの切換位置を変更する必要がない。それゆえ、ユーザは、簡便にペアリングを行なうことが可能となる。
(3)なお、ペアリング部1192は、ペアリングが済んだタップ1004に対して給電がなされていないと判断された場合、ペアリングが済んでいないタップ1004に対して給電が開始されたときには、スライドスイッチ1109によりペアリングを許可する動作モードが選択された後にプッシュボタン1108による予め定められた入力(プッシュボタンの短押し)を受け付けたことを条件に、ペアリングが済んでいないタップ1004との間でペアリングを開始する。つまり、ペアリングが済んだタップ1004に対して給電がなされているか否かによって、ペアリングが行なわれていないタップ1004のペアリング方法が異なる。
<G.変形例>
(g1.第1の変形例)
上記においては、ペアリング部1192は、スライドスイッチ1109によりペアリングを許可する動作モードが選択されているか否かにかかわらず、ペアリングが済んでいないタップ1004との間でペアリングを開始した。しかしながら、これに限定されるものではない。スライドスイッチ1109によりペアリングを許可する動作モードが選択されている場合のみ、ペアリングが済んでいないタップ1004との間でペアリングを開始するように、ペアリング部1192を構成してもよい。
つまり、スライドスイッチ1109がJOIN位置に切り換えられていることを条件に、ペアリングが済んでいないタップ1004との間でペアリングを開始するよう中継器1001を構成してもよい。
(g2.第2の変形例)
ペアリングが行なわているタップ1004に給電が開始されてから予め定めれた時間内に、ペアリングが行なわれていないタップ1004に給電が開始された場合、上記予められた時間を延長するように、中継器1001を構成してよい。また、給電が開始されたペアリングが行なわれていないタップ1004の数に応じて延長する時間を長くしてもよい。
(g3.第2の変形例)
中継器1001のユーザが所有するタップ以外のタップ(たとえば、隣の家のペアリングが行なわれていないタップ)が中継器1001とペアリングしてしまう可能性を極力低減する観点から、中継器1001を以下のような構成としてもよい。
ペアリングが行なわているタップ1004に給電が開始されてから予め定めれた時間内に、ペアリングが行なわれていないタップ1004に給電が開始され、当該タップ1004のペアリングが完了した場合、ユーザがタップ1004の設定ボタン2106を短押しすることにより、中継器1001がジョイン許可状態からジョイン禁止状態となるように、中継器1001を構成してもよい。
あるいは、ペアリングが行なわれていないタップ1004に給電が開始され、当該タップ1004のペアリングが完了したのち、上記予め定めれらたい時間よりも短い時間(たとえば10秒)にさらなるペアリングが開始されないときには、中継器1001がジョイン許可状態からジョイン禁止状態となるように、中継器1001を構成してもよい。
(g4.第4の変形例)
次に、中継器1001の代替構成について説明する。図16は、ネットワークZの制御装置としてタブレット端末を用いた場合における、ネットワークの概略構成を示した図である。具体的には、図16は、中継器1001、パーソナルコンピュータ1003、およびタブレット端末1008の代わりに、タブレット端末1009を用いたネットワークZの構成を示した図である。
図16を参照して、ネットワークZは、タブレット端末1009と、ワイヤレスブロードバンドルータ1002と、複数のタップ1004a,1004b,1004cと、複数の家電(エアーコンディショナ1005,冷蔵庫1006,テレビ1007など)とを備える。また、タブレット端末1009と、複数のタップ1004と、複数の家電1005〜1007とにより、低速無線通信ネットワークZを構成する。タブレット端末1009は、ワイヤレスブロードバンドルータ1002とWiFi等の高速無線通信により接続される。
このような代替構成であっても、タブレット端末1009は、上述したペアリング処理を実行できる。
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。