JP5896417B2 - 風力発電用ブレード - Google Patents
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Description
そこで、ブレードにアースされた受雷部を設け、この受雷部で落雷を受けて落雷による大電流を地中へ流す仕組みが多くの風力発電装置で採られている。しかしながら、受雷部を設けても雷は受雷部以外のブレードを直撃することがある。
ブレード110の誘電チップ115に落雷すると、中空部分111の内圧が上昇するが、逃がし弁112が開放されることにより、落雷によるブレード110の破損が防止または軽減される。
まず、分離境界線により分離されたブレードの先端部位は、地上に落下することになると考えられるが、これでは非常に危険である。また、先端部位の長さは、引用文献1ではブレードの全長の30%以下とすることが望ましいとされている。例えばブレードの全長が40mの場合、先端部位の長さは12mにも及ぶ長尺となる。しかも、ブレードは重量物である。このようなブレードの先端部位が分離されたり、再結合されたりする構造は、非常に複雑なものとなり、コスト高になると考えられる。
また、逃がし弁として用いられる電磁弁、ラプチャーディスクなどは、小径サイズのものが多く、開口面積が小さいため、逃がす空気量が少ない。このため、ブレードの内圧がブレードのエッジに設けた逃がし弁から抜ける前に翼面の内面側にかかり、翼面を破壊してしまうおそれがある。
さらに、逃がし弁として用いられる電磁弁、ラプチャーディスクなどは、部品に金属製のものを使用しているものが多く、被雷して故障する可能性がある。
第4の本発明の風力発電用ブレードは、中空構造のブレード本体のリーディングエッジとトレーリングエッジとの間の翼面に、周囲の翼面壁よりも相対的に強度が低く、前記ブレード本体の中空部内の圧力上昇に応じて少なくとも一部が破断または前記翼面から離脱して前記ブレード本体中空部内の圧力を開放する面状の低強度部を有し、前記ブレード本体の中空部内に前記ブレード本体の先端に達しない桁部を有しており、前記桁部と前記ブレード本体の先端との間の前記翼面に前記低強度部が設けられていることを特徴とする。
第5の本発明の風力発電用ブレードは、前記第3または第4の本発明において、前記翼面に開口部が形成され、前記開口部を覆うように、前記ブレード本体と異なる材料で前記低強度部が設けられていることを特徴とする。
第10の本発明の風力発電用ブレードは、前記第1〜9の本発明のいずれかにおいて、前記低強度部は、外表面が周囲の前記翼面と面一になっていることを特徴とする。
第11の本発明の風力発電用ブレードは、前記第1〜10の本発明のいずれかにおいて、前記低強度部は、前記低強度部が位置する前記ブレード本体の前記翼面幅に対し、1/6〜1/4の幅を有することを特徴とする。
また、ブレード本体の中空部には、リーディングエッジとトレーリングエッジとの間の向かい合う翼面壁の間を連結する桁部を設けることができる。桁部を設けることにより、中空構造のブレード本体を補強することができる。
なお、低強度部の平面形状は、特に限定されるものではなく、種々の形状とすることができるが、例えば、円形状、矩形状などとすることができる。
また、上記のようにブレード本体の中空部に桁部を設ける場合、この桁部を、ブレード本体の先端に達しないものとしたうえで、桁部とブレード本体の先端との間に低強度部を設けることができる。
また、風力発電用ブレードが落雷を受けた場合の復旧作業では、低強度部の一部または全部が破断しまたは翼面から離脱した場合に、低強度部だけを新たなものに交換することだけで足り、ブレード全体を交換する必要がない。また、低強度部は、構造が簡単であり、また、接着剤などを用いてブレード本体に容易に取り付けることができる。したがって、本発明によれば、低コストかつ短時間で復旧作業を完了することができる。
図1に示すように、本実施形態の風力発電用ブレードを備える風力発電装置の風車1は、回転可能に支持されているローターハブ2と、ローターハブ2に放射状に取り付けられた複数本の本実施形態の風力発電用ブレード3とを備えている。なお、図1では、3本の風力発電用ブレード3がローターハブ2に取り付けられている場合を示している。
なお、受雷部5は、ブレード本体4内の図示しないダウンコンダクタなどを介して接地されている。
低強度板6は、低強度板6が位置するブレード本体4の幅に対し、1/6〜1/4の幅を有している。この場合、ブレード本体4の径方向において低強度板6全体で上記関係を満たすのが望ましい。また、ブレード本体4の径方向における低強度板6の長さは、受雷部5の最も基端となる位置と桁部12の最も先端となる位置間の長さの1/3〜1/2になっている。
風車1では、風力発電用ブレード3により風を受けてローターハブ2が回転する。ローターハブ2の回転は、ナセルに収納される発電機(図示しない)に伝達されて発電が行われる。
ブレード本体4の中空部11内の圧力が上昇すると、遂には、図3に示すように、低強度板6が破断する。破断は、低強度板6が中空部11の圧力の耐えられなくなることにより低強度板6が破損することにより生じる。
したがって、低強度板6の強度設定によって破断が生じる圧力を設定することができる。低強度板6が少なくとも一部で破断したり剥離したりすると開口部14を通して中空部11内部と外部とが連通して、中空部11内の圧力が開放され、ブレード本体4の破損が最小限とされる。
低強度板6を発泡プラスチックなどの軽量材料により構成すれば、低強度板6が破断してブレード本体4から落下した場合の危険性を低減することができる。また、低強度板6およびこれを取り付けるための取付枠16には、電気的、機械的な制御は必要なく、落雷などによる作動不良や誤作動もない。
なお、図3では、中空部11の圧力上昇により低強度板15が破断するものとして説明したが、接着部が剥がれて低強度板15が一部離脱するものであってもよい。
試験体21、22は、それぞれ上述した風力発電用ブレード3の受雷部5を含む先端から長さ2000mmの部分のものであり、試験のため根本側の開口部がFRP板23で密閉されている。受雷部5は、450mmの長さを有している。
試験体21では、低強度板151として幅100mm、長さ400mmの周縁形状が長方形のものを使用し、試験体22では、低強度板152として周縁形状が円形で径が200mmのものを使用した。
実施例1では、図5(a)に示す試験体21について、内圧破壊試験を実施した。矩形状の低強度板151は、材質が発泡ポリ塩化ビニル、密度が60kg/m3、寸法が幅100mm×長さ400mmのものである。
内圧破壊試験では、試験体21に接続された樹脂チューブを介して空気コンプレッサーから試験体21の内部の中空部へ圧縮空気を送給して、試験体21の内部を加圧した。試験体21に対する加圧は、0.01MPaづつ昇圧させるステップ昇圧によるものとし、それぞれの圧力では30秒間保持した。こうして加圧を行う間、試験体21に取り付けられている圧力計により破壊されるまでの試験圧力をデータロガーで記録した。なお、内圧破壊試験は、低強度板151の板厚が9.0mm、10.0mmの2つの試験体21について実施した。表1に低強度板6aが破断したときの破断圧力を示す。
いずれの板厚の試験体21についても、ブレード本体4が損傷することなく低強度板151が破断し、また、低強度板151の元の寸法の幅100mm×長さ400mmの矩形とほぼ同等の開口面積が得られるという良好な結果となった。
実施例2では、図5(b)に示す円形状の平面形状を有する低強度板152を接着により取り付けた風力発電用ブレードの試験体22について、内圧破壊試験を実施した。円形状の低強度板152は、材質が発泡ポリ塩化ビニル、密度が60kg/m3、寸法が直径200mmのものである。
試験体22についても、上記試験体21と同様に内圧破壊試験を実施した。表2に低強度板152が破断したときの破断圧力を示す。
上記実施例2でも、ブレード本体4が損傷することなく低強度板152が破断し、また、低強度板152の元の寸法の直径200mmの円形とほぼ同等の開口面積が得られるという良好な結果となった。
2 ローターハブ
3 風力発電用ブレード
4 ブレード本体
5 受雷部
6 低強度板
7 リーディングエッジ
8 トレーリングエッジ
9 翼面壁
10 翼面壁
11 中空部
12 桁部
14 開口部
16 取付枠
17 補強フレーム
21 試験体
22 試験体
23 FRP板
150 低強度板
151 低強度板
152 低強度板
Claims (11)
- 中空構造のブレード本体のリーディングエッジとトレーリングエッジとの間の翼面に、周囲の翼面壁よりも相対的に強度が低く、前記ブレード本体の中空部内の圧力上昇に応じて少なくとも一部が破断または前記翼面から離脱して前記ブレード本体中空部内の圧力を開放する面状の低強度部を有し、
前記翼面に開口部が形成され、前記開口部を覆うように、前記ブレード本体と異なる材料で前記低強度部が設けられており、
前記開口部の周縁の翼面内面壁に補強部が設けられ、前記補強部の内周側に前記低強度部が取り付けられる取付枠を有していることを特徴とする風力発電用ブレード。 - 前記低強度部が、発泡プラスチック製のものであることを特徴とする請求項1に記載の風力発電用ブレード。
- 中空構造のブレード本体のリーディングエッジとトレーリングエッジとの間の翼面に、周囲の翼面壁よりも相対的に強度が低く、前記ブレード本体の中空部内の圧力上昇に応じて少なくとも一部が破断または前記翼面から離脱して前記ブレード本体中空部内の圧力を開放する面状の低強度部を有し、
前記低強度部は、前記リーディングエッジと前記トレーリングエッジとの間で前記トレーリングエッジ側に相対的に近接して設けられていることを特徴とする風力発電用ブレード。 - 中空構造のブレード本体のリーディングエッジとトレーリングエッジとの間の翼面に、周囲の翼面壁よりも相対的に強度が低く、前記ブレード本体の中空部内の圧力上昇に応じて少なくとも一部が破断または前記翼面から離脱して前記ブレード本体中空部内の圧力を開放する面状の低強度部を有し、
前記ブレード本体の中空部内に前記ブレード本体の先端に達しない桁部を有しており、前記桁部と前記ブレード本体の先端との間の前記翼面に前記低強度部が設けられていることを特徴とする風力発電用ブレード。 - 前記翼面に開口部が形成され、前記開口部を覆うように、前記ブレード本体と異なる材料で前記低強度部が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の風力発電用ブレード。
- 前記低強度部は、前記リーディングエッジと前記トレーリングエッジとの間で前記トレーリングエッジ側に相対的に近接して設けられていることを特徴とする請求項1または4に記載の風力発電用ブレード。
- 前記ブレード本体の中空部内に前記ブレード本体の先端に達しない桁部を有しており、前記桁部と前記ブレード本体の先端との間の前記翼面に前記低強度部が設けられていることを特徴とする請求項1または3に記載の風力発電用ブレード。
- 前記ブレード本体の先端側に受雷部が設けられており、前記ブレード本体の径方向において該受雷部の内側に前記低強度部が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の風力発電用ブレード。
- 前記ブレード本体の先端側に受雷部が設けられており、前記低強度部は、前記ブレード本体の径方向において、前記受雷部の翼面側基端と前記桁部の翼面側先端間の長さの1/3〜1/2の長さを有することを特徴とする請求項4または7に記載の風力発電用ブレード。
- 前記低強度部は、外表面が周囲の前記翼面と面一になっていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の風力発電用ブレード。
- 前記低強度部は、前記低強度部が位置する前記ブレード本体の前記翼面幅に対し、1/6〜1/4の幅を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の風力発電用ブレード。
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