以下、図を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の説明においては、同一の要素には同一の符号を用いることとし重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る電子内視鏡を含む内視鏡装置の概略構成を説明するための図面である。図1では、内視鏡装置10の主要な構成要素を模式的に示している。
図1に示すように、内視鏡装置10は、消化器官(体内)、特に大腸の管腔内を観察するためのものであり、電子内視鏡12と、電子内視鏡12に電力を供給する電源部14と、電子内視鏡12で取得した画像データを処理して画像を形成する画像形成装置(画像処理装置)16と、画像形成装置16で形成した画像を表示する液晶モニタなどの画像表示装置18を主に有する。画像形成装置16は、いわゆるパーソナルコンピュータとすることができる。
電子内視鏡12は、消化器官に挿入される挿入部20の基端部(後端部)に操作部22が連結されて主に構成されたファイバスコープである。挿入部20は、消化器官に挿入される側の先端側から順に配置された、画像取得装置として機能する先端部24と、上下左右に湾曲可能な中空ファイバー状の挿入部本体26とから主に構成されている。なお、本明細書では、挿入部20の挿入方向に対して先端部24側を前方とも称し、先端部24と反対側を後方とも称す。操作部22は、操作者に把持されるものであり、挿入部本体26の湾曲を操作する操作ノブ22Aや、電源部14や画像形成装置16との電気的な接続のためのコネクタ部(不図示)も有する。操作部22には、その他、既存の電子内視鏡の操作部が有する送気・送液機能を制御するボタン、鉗子などの処置具を挿入部本体26内に通すための挿入口などを設けることができる。
図2を参照して、電子内視鏡12の一つの特徴を構成する先端部24側の構成を説明する。図2は、本実施形態の電子内視鏡の先端部の断面構成を示す図面である。図2では、説明のために、挿入部本体26、電源部14及び画像形成装置16も一緒に模式的に示している。
先端部24は、円筒状の外周側壁部28の両端部(第1の端部、第2の端部)に円板状の前方端面部材(第2の端面部材)30と円板状の後方端面部材(第1の端面部材)32とが例えば嵌合等によって取り付けられて構成される筐体34を有する。外周側壁部28及び前方端面部材30の材料は、透光性を有しており、電子内視鏡等といった体内に挿入される装置に使用可能な材料であればよい。外周側壁部28及び前方端面部材30の材料の一例は透明アクリル樹脂又はPMMA(ポリメチルメタアクリレート)である。また、後方端面部材32の材料は、前方端面部材30の場合と同様に、電子内視鏡などといった体内に挿入される装置に使用可能な材料であればよい。後方端面部材32の材料の一例もプラスチック部材(例えばアクリル樹脂)である。外周側壁部28、前方端面部材30及び後方端面部材32の一部には、導線lを通すための貫通孔28a,30a,32aが形成されている。
筐体34の内側には、前方端面部材30側から順に、イメージセンサユニット36、ミラー部38及びイメージセンサユニット40が配置されている。
イメージセンサユニット36は、ミラー部38の内側に配置された広角レンズ部(第1のレンズ部)36Aと撮像素子としてのイメージセンサ(第1の撮像手段)36Bとを有する。
広角レンズ部36Aは、画角が90度より大きいレンズ部である。図2では、広角レンズ部36Aの画角は、より広い視野を確保する観点から120度以上が好ましく、140度以上がより好ましく、160度以上が更に好ましい。広角レンズ部36Aは、広角レンズ部40Aの光軸が外周側壁部28の中心軸線Cとほぼ一致するように配置されていることが好ましい。広角レンズ部36Aは、イメージセンサ36Bの前方に位置しており、透光性を有する前方端面部材30から入射する光を集光し、イメージセンサ36Bの撮像面上に結像する。イメージセンサ36Bは、導線lを介して電源部14から電力を供給されることによって、撮像面上に結像した画像の画像データを取得する。イメージセンサ36Bは、取得した画像データ(画像情報)を、導線lを介して画像形成装置16に送信する。イメージセンサ36Bは、ミラー部38の内側に配置されており、連結棒42で前方端面部材30と連結されることによって筐体34に対して固定されている。このように筐体34内に設置したイメージセンサユニット36との干渉をさけるために、図2に示した実施形態では前方端面部材30の中央部には開口30bを形成している。しかしながら、十分小さいイメージセンサユニット36を用いれば,前方端面部材30との干渉の問題はほとんど生じないため、開口30bを設ける必要はない。
ミラー部38は、外面38aが鏡面加工されて鏡面となっている半球状のミラーであり、イメージセンサ36Bからみて広角レンズ部36Aと反対側、すなわち、後方に配置されている。ミラー部38は、開放側が前方端面部材30側に位置し、後方側に凸となるように筐体34に内に設置されている。ミラー部38の中心軸線は、広角レンズ部40Aの光軸と一致していることが好ましい。図2に示した実施形態では、ミラー部38の開放側(開口側)の端面が前方端面部材30に前方端面部材30の切り欠き部30cに係合するように設置して前方端面部材30への嵌合によって前方端面部材30と当接し、筐体34にミラー部38が固定される構成になっている。しかしながら、ミラー部38を筐体34に固定する方法はこの方法に限定されるものではない。ミラー部38の内側に、少なくともイメージセンサ36Bが収容されることになるので、ミラー部38は、イメージセンサ36Bの収容部でもある。ミラー部38の内面には、前方方向の照明手段としての光源(第1の照明手段)44,44が設置されており、光源44は、導線lを介して電源部14から電力が供給されることで前方を照明する。光源44の例は発光ダイオードである。
イメージセンサユニット40は、ミラー部38の後方に配置されている。イメージセンサユニット40も、広角レンズ部(第2のレンズ部)40Aと撮像素子としてのイメージセンサ(第2の撮像手段)40Bとを有する。
広角レンズ部40Aは、画角が90度より大きいレンズ部である。広角レンズ部40Aの画角は、より広い視野を確保する観点から120度以上が好ましく、140度以上がより好ましく、160度以上が更に好ましい。広角レンズ部40Aは、ミラー部38と対向するようにイメージセンサ40Bの前方に位置している。広角レンズ部40Aは、広角レンズ部40Aの光軸が、外周側壁部28の中心軸線Cとほぼ一致するように配置されていることが好ましい。また、広角レンズ部40Aは、例えば、広角レンズ部40Aの最大視野でミラー部38の外面のほぼ全面をカバーするようにミラー部38に対して配置されることができる。広角レンズ部40Aは、透光性を有する外周側壁部28から入射した光及び外周側壁部28を透過しミラー部38の外面で反射した光を集光し、イメージセンサ40Bの撮像面上に結像する。イメージセンサ40Bは、導線lを介して電源部14から電力を供給されることによって、撮像面上に結像した画像の画像データを取得する。イメージセンサ40Bは、取得した画像データを、導線lを介して画像形成装置16に送信する。イメージセンサ40Bは、連結棒46で後方端面部材32と連結されているが、イメージセンサ40Bの固定方法は、この方法に限定されるものではない。
後方端面部材32上には、先端部24の側方及び後方を照明する照明手段としての光源(第2の照明手段)48,48が設置されており、光源48は、導線lを介して電源部14から電力が供給されることで先端部24の側方及び後方を照明する。具体的には、光源48から出力された光は、直接又はミラー部38の外面38aで反射されて外周側壁部28を透過して筐体34の外部に出力される。ミラー部38は、後方側に凸となっており外面38aがミラーとして機能するので、先端部24の側方及び後方が照明されることになる。光源48は光源44と同様のものとすることができ、光源48の例は、発光ダイオードである。
上記構成におけるイメージセンサユニット36,40が有するイメージセンサ36B,40Bの例はCCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサである。イメージセンサ36B,40Bは同じもの(例えばどちらもCCDイメージセンサ)でもよいし、異なっていてもよい。図2中の光源44,48の数はそれぞれ2個であるが、筐体34内に配置する光源44,48の数は、それぞれ1個でもよいし、3個以上でもよい。また、図2では、イメージセンサ36B,40B及び光源44,48に接続されている導線を導線lとまとめて示しているが、これは便宜的なものである。
先端部24は、イメージセンサユニット36,40を備えているので画像取得装置として機能する。電子内視鏡12の作用効果について、2つのイメージセンサユニット36,40を含む画像取得装置としての先端部24の作用効果を中心にして説明する。ここでは、特に断らない限り、イメージセンサ36B,40B及び光源44,48には、電源部14から電力が供給されているとする。
電源部14からの電力供給により光源44が光を出力すると、出力光は、前方端面部材30を透過して、挿入部20の前方を照明する。この照明により、消化器官内においてもイメージセンサユニット36で前方の画像を取得できる。具体的には、前方端面部材30から入射した光を広角レンズ部36Aが集光し、イメージセンサ36B上に結像する。イメージセンサ36Bは、結像された像を画像データとして取得する。イメージセンサユニット36が広角レンズ部36Aを利用して光を集光し結像させているので、一度により広範囲の画像に対応する画像データを取得可能である。イメージセンサ36Bは画像データを取得すると、その画像データを、導線lを介して画像形成装置16に入力する。
また、電源部14からの電力供給により光源48から光を出力すると、出力光は、直接又はミラー部38の外面で反射して透光性を有する外周側壁部28を透過して、前述したように先端部24近傍の側方及び後方を照明する。この照明により消化器官内でもイメージセンサユニット40で挿入部20の側方及び後方の画像を取得できる。具体的には、広角レンズ部40Aは透光性を有する外周側壁部28から入射した光及び外周側壁部28から入射しミラー部38の外面で反射した光を集光し、イメージセンサ40Bに結像する。ミラー部38は後方に凸となっており、外面38aが鏡面となっているので、外面38aには、先端部24の側方及び後方が写る。そして、広角レンズ部40Aは、ミラー部38の鏡面である外面38aと対向しているので、イメージセンサ40B上には、先端部24の側方及び後方の画像が結像される。イメージセンサ40Bは、結像された先端部24の側方及び後方の画像を画像データとして取得する。この際、広角レンズ部40Aを利用して光を集光し結像させているので、より広範囲の画像に対応する画像データを一度に取得可能である。イメージセンサ40Bは、イメージセンサ36Bの場合と同様にして画像データを、画像形成装置16に入力する。
画像形成装置16にイメージセンサ36B,40Bからの画像データが入力されると、画像形成装置16は、入力された画像データを処理する。画像形成装置16の画像処理としては、広角レンズ部36A,40Aで取得した結像した像の歪み補正や、広角レンズ部36A、ミラー部38及び広角レンズ部40Aの配置関係(例えば、光軸や中心軸が一致しているか、ずれているか等)における画像調整や画像補正なども含む。画像形成装置16は、処理済みの画像データを画像表示装置18に入力し、画像表示装置18が画像を表示する。これにより、電子内視鏡12の操作者は消化器官内を観察することができる。
上記のように、イメージセンサユニット36により先端部24の前方の画像を取得することができる一方、ミラー部38の後方に配置したイメージセンサユニット40により先端部24の側方及び後方の画像をほぼ同時に取得できる。すなわち、電子内視鏡12は、先端部24を中心としたほぼ全天周の画像を一度に取得可能である。そのため、電子内視鏡12の操作者は、効率的に消化器官内、例えば、大腸の管腔内を観察できる。
ここで、画角60度〜90度程度のレンズ部を含む一つのイメージセンサユニットを先端部に備えた電子内視鏡の場合と比較して、電子内視鏡12の作用効果について更に説明する。比較のための上記電子内視鏡を比較用電子内視鏡と称す。
前述したように、比較用電子内視鏡が有するイメージセンサユニットは一つであり、そのイメージユニットが有するレンズ部の画角は60度〜90度程度である。そのため、消化器官内において挿入部の挿入方向に対して側方の画像をとるためには、先端部を消化器官の内面に対向させるために挿入部をひねる必要がある。消化器官、例えば大腸は、S字状に曲がっており、また、孔内には多数の襞があるので、このような挿入部をひねる等の操作は困難である。
これに対して、先端部24は、2つのイメージセンサユニット36,40を備え、イメージセンサユニット36が前方の画像を取得し、イメージセンサユニット40が側方及び後方の画像を取得できる。そのため、挿入部20の向きをほぼ一定(例えば挿入方向に対してほぼ平行)にしたまま、先端部24の周囲を一度に観察できる。その結果、電子内視鏡12の操作が容易であると共に、電子内視鏡12が挿入される患者や検査を受ける者(被検者)への負担が軽減される。
更に、先端部24が独立した2つのイメージセンサユニット36,40を備えているので、イメージセンサユニット36,40の設計がそれぞれ独立に可能である。例えば、広角レンズ部36Aとイメージセンサ36Bとの間の距離や広角レンズ部40Aとイメージセンサ40Bとの間の距離をそれぞれ別々に設計できるので、先端部24の設計の自由度が向上している。
更にまた、イメージセンサユニット40は、ミラー部38の外面38aに写った先端部24の側方及び後方の画像を取得する。よって、一度により広範囲の画像を得る観点から、ミラー部38の外面38aのほぼ全面がイメージセンサユニット40の最大視野内に入っていることが好ましい。
本実施形態では、イメージセンサユニット40のレンズ部として画角の広い広角レンズ部40Aを採用しているので、広角レンズ部40Aの最大視野でミラー部38の外面のほぼ全面をカバーするように広角レンズ部40Aをミラー部38に対して配置しても、ミラー部38と広角レンズ部40Aとの間の距離Lを短くすることができる。これにより、電子内視鏡12において硬性部である先端部24の長さを短くすることができる。その結果、先端部24の小型化を図れるので、患者や被検者等への負担を軽減できる。
また、図2に示した実施形態のように、広角レンズ部36A,40Aを、それらの光軸がそれぞれ外周側壁部28の中心軸線Cにほぼ一致するように配置している場合には、広角レンズ部36A,40Aの光軸はほぼ一致している。この場合、取得した画像データの画像処理が容易になる。画像処理を更に容易にする観点では、図2に示した実施形態のように、ミラー部38の中心軸も広角レンズ部36A,40Aの光軸と一致していることが好ましい。
次に、実験結果に基づいて電子内視鏡12の作用効果について具体的に説明する。図3(a)は、図2に示した電子内視鏡12の実験モデルの側面を示す図面である。図3(b)は、図3(a)の実験モデルを斜め上からみた図面である。図3(a)に示した電子内視鏡12の実験モデルを内視鏡モデル12M1と称す。説明の便宜のため、図2に示した電子内視鏡12と同様の要素には同様の符号を付して説明する。
図3(a)に示した内視鏡モデル12M1では、イメージセンサユニット36として、株式会社秋月電子通商から販売されている「MTV−54B(K)ON」に搭載されているレンズを、株式会社ケイヨーテクノから販売されている「Minilens 1.9」に交換したものを利用した。本モデルにおけるイメージセンサユニット36の広角レンズ部36Aの画角は約166度である。レンズの交換に応じて、焦点距離があうように広角レンズ部36Aとイメージセンサ36Bとの間の距離を調整した。一方、イメージセンサユニット40としては、株式会社秋月電子通商から販売されていた「IBC−25E−W」を使用した。本モデルにおけるイメージセンサユニット40の広角レンズ部40Aの画角は約120度である。イメージセンサユニット40の前方に設置したミラー部38は、直径114.3mmの半球形状のものとした。図2に示した電子内視鏡12の構造では外周側壁部28でイメージセンサユニット36,40及びミラー部38を囲う構造としたが、図3(a)及び図3(b)は実験モデルであるため、支持棒50でミラー部38を支持する構造とした。また、同様の理由で前方端面部材30及び後方端面部材32も配置しなかった。
内視鏡モデル12M1を使用した実験では、図4に示す大腸の管腔に見立てた内径185mmの円筒52に内視鏡モデル12M1を挿入し、円筒52の内周側面に印刷したパターンを撮影した。内視鏡モデル12M1では、前方視野は鉛直上向き、後方視野は鉛直下向きとした。図5(a)は、内視鏡モデル12M1を用いた円筒52の内周面の撮影結果を示す図面である。
円筒52内の9時の位置のマス目には、天井側から地面側に向けて、順に、
s4→u4→w4→x4→a4→b4→c4→d4→e4→f4
が記載されていた。
そして、図5(a)において一点鎖線で囲んだ領域を参照すると、イメージセンサユニット36により、前方のs4、u4、w4、x4及びa4を観察できていることがわかる。また、図5(b)において一点鎖線で囲んだ領域を参照すると、イメージセンサユニット40により側方及び後方のb4、c4、d4、e4及びf4を観察できていることがわかる。このように、内視鏡モデル12M1によって前方および後方視野を同時に観察できた。
図6は、図2に示した電子内視鏡12との比較のために試作した他の内視鏡モデル12M2である。内視鏡モデル12M2のミラー部38は、内視鏡モデル12M1と同じものを使用した。ミラー部38の内側に配置した前方視野用のイメージセンサは、株式会社秋月電子通商により販売されている「MTV−54B(K)ON」に搭載されているレンズを、株式会社ケイヨーテクノにより販売されている「Minilens 1.9」に交換したものである。一方、ミラー部38の外側に配置した側方及び後方視野用のイメージセンサとしては、ソニー株式会社が製造及び販売している「XC−ST50」を使用した。この側方及び後方視野用のイメージセンサのレンズ部は、画角が標準的であり画角が内視鏡モデル12M1の場合より小さいレンズ部である。
ミラー部38は同じものを使用しているので、ミラー部38の直径を基準にして図3(a)と図6とを比較すると、図3(a)では、ミラー部38の外面38aに対向して設置するレンズ部の画角の増大によってイメージセンサユニット40とミラー部38との距離Lを小さくできることがわかる。
以上から、前方視野像を形成するイメージセンサユニット36と、側方及び後方視野の光を反射するミラー部38と、ミラー部38で反射した光を取り込んで側方及び後方視野像を形成するイメージセンサユニット40を有する電子内視鏡12において、イメージセンサユニット40のレンズ部に画角のより広い広角レンズ部40Aを採用することによって、先端部24の小型化を図ることに寄与していることがわかる。従って、広角レンズ部40Aの画角としては、120度以上が好ましく、160度以上が更に好ましい。
本実施形態では、図1及び図2に示したように、電子内視鏡12の外部に電源部14があるとして説明した。しかしながら、図7に示すように先端部24内に、イメージセンサ36B及び光源44用の小型の電源部54と共に、イメージセンサ40B及び光源48用の小型の電源部56を設けてもよい。更に、図7に示すように、イメージセンサ36B,40Bで取得した画像データを体外の画像形成装置16に無線で送信する小型の無線送信手段58,60を設けることもできる。
電源部54,56や無線送信手段58,60は、例えばカプセル型の内視鏡に使用されているものを採用することができる。このように先端部24内に電源部54,56並びに無線送信手段58,60を設けることで、外部の電源部(図2参照)14や画像形成装置(図2参照)16に対する配線が不要になるので、電子内視鏡12の構成をより簡易にすることができる。また、この場合には、図2に示した貫通孔28a、30a,32aも形成しなくてよい。
ここでは、先端部24内に2つの電源部54,56及び2つの無線送信手段58,60の両方を設けるとして説明したが、電源部54,56のみを設けてもよいし、逆に、無線送信手段58,60のみを設けるようにしてもよい。更に、電源部54,56は一つの電源としてもよいし、無線送信手段58,60は一つの無線送信手段としてもよい。
これまでの説明では、電子内視鏡12の特徴を明確にするために、一実施形態として鉗子などの処置具や水噴射用のノズルなどを配置するための構成を備えていない構成について説明した。しかしながら、電子内視鏡では、鉗子などの処置具や水噴射用のノズル等を備えているものもある。このような鉗子などの処置具を備える場合の一実施形態を第2の実施形態として図8を用いて説明する。
(第2の実施形態)
図8は、処置具などを設置可能な電子内視鏡の一実施形態の先端部側の構成を示す概略構成図である。図8に示した電子内視鏡62の構成は、挿入部20の一部を構成する挿入部本体26の先端に位置する先端部(画像取得装置)64の筐体66の構成が異なる点以外は、図2に示した電子内視鏡12の構成と同様である。そのため、筐体66の構成を中心に説明し、重複する説明を省略する。
本実施形態では、処置具や水噴射用ノズル等は、中空の挿入部本体26の内部を通って先端部64まで延びている。電子内視鏡62の構成では、筐体66の後方端面部材32、外周側壁部28及び前方端面部材30に鉗子を通すための処置具用ガイド68及び水噴射用ノズルを通すためのノズル用ガイド70が先端部24の中心軸線C方向に延在して形成されている。処置具用ガイド68及びノズル用ガイド70は、それぞれ筐体66を中心軸線C方向に貫通する貫通孔とすることができる。処置具用ガイド68及びノズル用ガイド70に、挿入部本体26の内部を通って先端部24まで延びてきている鉗子や水噴射用ノズルを通すことで、先端部24から鉗子により例えば細胞の採取ができたり、水噴射用ノズルよる先端部64の周囲や広角レンズ部36Aの表面の洗浄などが可能となる。また、外周側壁部28及び前方端面部材30には貫通孔28aに連通する導線lを通すための貫通孔としての導線ガイド72を設けてもよい。
図8に示した電子内視鏡62では、筐体66に貫通孔を形成して鉗子等の処置具及び水噴射用ノズルを配置する構成を例示した。しかしながら、図2に示した電子内視鏡12の構成において、先端部24の外周の一部に先端部24の中心軸線C方向に延びる管状部材であって鉗子及び噴射ノズルを通すためのチャネルとしての管状部材を設けてもよい。この場合には、挿入部本体26の先端部24との境界部近傍から鉗子等の処置具及び水噴射用ノズルを外部に引き出し、管状部材に通すようにすればよい。また、図2に示した電子内視鏡12の構成において、挿入部20の外側に鉗子等の処置具を通すチューブ(例えば鉗子孔)を挿入部20に沿って延在させ、一定間隔(例えば10〜20cm間隔)で固定させることで、挿入部20に外付けしてもよい。水噴射用ノズルについても同様の形態とすることもできる。
(第3の実施形態)
図9は、本発明に係る内視鏡用アタッチメントの一実施形態を電子内視鏡の挿入部の先端に取り付けた場合の構成を模式的に示す図面である。図9では、内視鏡用アタッチメント74の断面構成を模式的に示している。内視鏡用アタッチメント74は、既存の電子内視鏡76の挿入部78の先端に取り付けるための付属部品である。
内視鏡用アタッチメント74が取り付けられる電子内視鏡76は、既存の電子内視鏡76とすることができる。電子内視鏡76としては、先端部に付属部品としてのアタッチメント(例えば株式会社トップ製自然開口向け単回使用内視鏡用非能動処置具エラスティック・タッチ)が取り付けられるように構成されているものが、内視鏡用アタッチメント74の取付けの容易性の観点から好ましい。電子内視鏡76は、挿入部78の先端部に、レンズ部80Aとレンズ部80Aにより集光され結像された像を撮像するイメージセンサ80Bを有するイメージセンサユニット(撮像部)80と、挿入部78の前方の照明用の光を出力する照明手段としての光源82,82とを備える。
内視鏡用アタッチメント74は、図2に示した先端部24のうち、外周側壁部28、前方端面部材30、イメージセンサユニット36及びミラー部38を含んで構成されている。内視鏡用アタッチメント74の外周側壁部28の前方端面部材30と反対側の端部は、例えば嵌合や螺合等により電子内視鏡76の挿入部78の端部に着脱自在となるように構成しておけばよい。図9に示すように、外周側壁部28、前方端面部材30、イメージセンサユニット36及びミラー部38の配置関係は、第1の実施形態の場合と同様である。また、内視鏡用アタッチメント74は、ミラー部38の内側に光源44、44を備えることができる。電子内視鏡76との配線との関係から、内視鏡用アタッチメント74は、図7を利用して説明したように、電源部54及び無線送信手段58を備えることが好ましい。
図9に示すように、内視鏡用アタッチメント74を挿入部78の先端に取り付けると、挿入部78に設けられていたイメージセンサユニット80の前方に、ミラー部38及びイメージセンサユニット36が配置されることになる。この構成では、イメージセンサユニット80及び光源82が、第1の実施形態におけるイメージセンサユニット40及び光源44に対応する。また、内視鏡用アタッチメント74におけるミラー部38及びミラー部38の内側に配置されたイメージセンサユニット36及び光源44の構成は第1の実施形態と同様である。
従って、内視鏡用アタッチメント74を挿入部78の先端に取り付けることにより、第1の実施形態の場合と同様に、内視鏡用アタッチメント74が装着された電子内視鏡76では、消化器官の孔内を撮影する際に、例えば、挿入部78の先端をひねらなくても前方、側方及び後方をほぼ同時に観察可能である。
なお、レンズ部80Aが取り替え可能である場合には、レンズ部80Aを画角が90度より大きい広角レンズ部とすることが観察範囲を広げる観点から好適である。この場合、広角レンズ部の画角は120度以上が好ましく、140度以上がより好ましく、160度以上が更に好ましい。また、先端部にアタッチメントが取り付けられる電子内視鏡76では、鉗子などの処置具は外付けされている傾向にあるので、内視鏡用アタッチメント74を取り付けた場合も、その外付けされた処置具を利用すればよい。水噴射用ノズルについても同様である。
ここでは、内視鏡用アタッチメント74は、既存の電子内視鏡76に取り付けるものとして説明したが、内視鏡用アタッチメント74が有する外周側壁部28を、第1の実施形態の後方端面部材32に着脱自在なものとし、第1の実施形態で説明した電子内視鏡12の先端部24の一部を取り替えるための内視鏡用アタッチメント74とすることもできる。
また、第1の実施形態における先端部24を挿入部本体26に着脱自在な構成としておけば、図2に示した先端部24は、内視鏡用アタッチメントとして機能することになる。
(第4の実施形態)
図12は、第4の実施形態に係る内視鏡装置の概略構成を示す模式図である。図12では、内視鏡装置90の主要な構成要素を模式的に示している。
内視鏡装置90は、内視鏡装置10の場合と同様に、消化器官(体内)、特に大腸の管腔内を観察するためのものであり、電子内視鏡12と、電子内視鏡12に電力を供給する電源部14と、電子内視鏡12で取得した画像データを処理して透視画像を形成する画像形成装置(画像処理装置)92と、画像形成装置92で形成した透視画像を表示する液晶モニタなどの画像表示装置18を主に有する。
電子内視鏡12、電源部14及び画像表示装置18の構成は内視鏡装置10の場合と同様であるため、説明を省略する。
画像形成装置92は、透視画像形成部(透視変換部)92Aを備える点で図1に示した画像形成装置16と相違する。透視画像形成部92Aは、イメージセンサ36B,40Bでそれぞれ取得された画像データに対応する画像と、透視変換のための指定領域(以下、「画像処理領域α」と称す)とを相対的に移動させながら画像処理領域α内を透視変換する。画像処理領域α内における透視変換自体は、従来の透視変換技術を利用し得る。なお、画像形成装置92は、画像形成装置16において例示した画像処理、すなわち、広角レンズ部36A,40Aで取得した結像した像の歪み補正や、広角レンズ部36A、ミラー部38及び広角レンズ部40Aの配置関係における画像調整や画像補正なども行うが、これらの画像処理機能を透視画像形成部92が含んでいてもよい。透視画像形成部92Aがイメージセンサユニット40からの画像データを処理する際に、透視画像形成部92Aがミラー部38を利用していることによる画像の歪みや像の反転状態などを適宜補正することは好ましい。透視画像形成部92Aを備えることによって、画像形成装置92は、透視画像を形成する透視画像形成装置として機能する。また、画像形成装置92は、パーソナルコンピュータとすることができ、透視画像形成のためのプログラムを実行することによって、透視画像形成部92Aの機能を実現するものとすることができる。
実験結果を参照して画像形成装置92の動作についてより具体的に説明する。図13は、画像形成装置92の動作を説明するための図面である。具体的には、図13は、中空円筒内を魚眼カメラで撮影した図面である。撮影対象としての中空円筒内には、格子状のパターンが印刷され、各格子に記号が付された用紙を貼り付けていた。魚眼カメラは、イメージセンサユニット36の実験モデルであり、図13に示した画像の取得のための魚眼カメラは魚眼レンズとCCDとで構成されている。魚眼カメラの仕様は次のとおりである。
焦点距離:1.24mm
フォーマット:φ3.2
水平画角:190度
絞り(F値):2.8
また、魚眼カメラに使用したCCDは、画素数が25万画素であってサイズが1/4インチのCCDを利用した。
図13中の一点鎖線で示す領域が、画像処理領域αの一例である。図14は、図13の状態における画像処理領域α内を透視変換した画像を示す図面である。画像形成装置92は、前述したように、イメージセンサユニット36に対応する魚眼カメラで取得した画像と、画像処理領域αとを相対的に移動させながら画像処理領域α内を透視変換する。このような相対移動の一例は、図15に示すように、画像処理領域αを固定しておき、画像自体を画像の中心回りに所定角度回転させることを含む。所定角度は、90度が例示されるが、30度及び60度を含んでもよい。図15は、図13の画像を90度回転させた場合の図面である。図16は、図15の状態において画像処理領域α内に対して透視変換を実行した図面である。
画像形成装置92は、図13に対して図15に示したように画像を回転させながら順次透視変換することによって、イメージセンサユニット36で取得した画像(図13〜図16では、魚眼レンズで取得した画像)を透視変換する。ここでは、イメージセンサユニット36で取得した画像について説明したが、イメージセンサユニット40で取得した画像についても同様である。
画像処理領域αの大きさは、透視変換のための計算量や、画像と画像処理領域αの相対移動量などに基づいて設定すればよい。例えば、画像を90度回転させながら画像処理領域α内の画像部分を透視変換する場合、4回の回転で画像の全ての領域を透視変換できるような大きさに設定すればよい。また、画像処理領域αの設定領域(例えば、大きさ及び形状等)を、イメージセンサユニット36による画像、すなわち、前方視野の画像に応じて適宜調整することも好ましい。
図17は、内視鏡装置を利用した画像取得方法のフローチャートである。内視鏡装置90を利用して消化器官(体内)の観察する場合、電子内視鏡12を消化器官内に挿入してイメージセンサユニット36,40により消化器管内の画像を取得する(画像取得工程S1)。次に、イメージセンサユニット36,40の各々が有するイメージセンサ36B,40Bからの画像データに基づいて画像形成装置92が前述したようにそれぞれ透視画像を形成する(透視画像形成工程(画像処理工程)S2)。その後、画像形成装置92が、形成した透視画像を画像表示装置18に出力する(画像出力工程S3)。
これにより、内視鏡装置90の操作者は、イメージセンサ36B,40Bによって取得された画像データを透視画像として観察できる。その結果、内視鏡装置90の操作者による、体内の一例としての消化器官内の状態の観察が容易である。また、イメージセンサ36B,40Bによって取得された画像データに対応する画像を一度に透視変換せずに、透視変換領域を画像に対して相対的に移動させながら透視画像を形成しているので、一回の透視変換における計算処理量を低減できる。その結果、透視画像の形成がより容易である。更に、画像処理領域αの移動に対して透視変換すべき画像を回転させる方がデータ処理の上で簡易であるため、画像を回転させながら透視変換する場合は、透視画像を形成しやすい。
なお、観察時において、イメージセンサユニット36の光軸と消化器管の軸とがずれることがある。そのため、画像処理領域αの設定領域をイメージセンサユニット36による画像に応じて適宜調整する形態では、より操作者が見やすい透視画像を得ることが可能である。
第4の実施形態では、画像形成装置92に入力するための体内の画像取得のために電子内視鏡12を用いた場合について説明した。しかしながら、電子内視鏡12の代わりに、第2の実施形態で説明した電子内視鏡62、すなわち、挿入部本体26の先端に図8に示した先端部64が配置された構成でもよいし、第3の実施形態で説明したように内視鏡用アタッチメント74が取り付けられた電子内視鏡76を利用して体内の画像を取得してもよい。
次に、これまで説明した電子内視鏡を利用した他の実験結果について説明する。
実験では、第1〜第4の実施形態で説明した電子内視鏡の実験モデルとして図8に示した電子内視鏡62の構成を採用した。図18は、実験に用いた電子内視鏡62の実験モデルの側面を示す図面である。図18に示した電子内視鏡62の実験モデルを内視鏡モデル62Mと称す。説明の便宜のため、図8に示した電子内視鏡62と同様の要素には同様の符号を付して説明する。
図18に示した内視鏡モデル62Mでは、イメージセンサユニット36,40が有する広角レンズ部36A,40Aとして、魚眼レンズを採用した。魚眼レンズの仕様は次の通りである。
焦点距離:1.9mm
フォーマット:1/4インチ
水平画角:166度
絞り(F値):2.0
また、イメージセンサ36B,40Bとしては、画素数が25万画素であってサイズが1/4インチのCCDを利用した。
イメージセンサユニット40の前方に設置したミラー部38は、直径58mmの半球形状のものとした。外周側壁部28は、透明プラスチック樹脂で構成した。外周側壁部28の長手方向の長さは71mmとすると共に、幅は58mmとした。
内視鏡モデル62Mを、図19に示すように、消化管に見立てた内径φ70mmの中空円筒100内に挿入した。中空円筒100の内面には、図3(a)に示した内視鏡モデル62Mを利用した実験の場合と同様に、格子状のパターンが印刷されると共に各格子に記号が付された用紙を貼り付けていた。用紙に印刷された格子の一つを病変に見立ててマーキングを施した。なお、以下の説明では、中空円筒100の内面の格子状パターンにおいて長手方向を行方向とし、周方向を列方向と見なして説明する場合もある。
実験では、内視鏡モデル62Mを、中空円筒100の一端から10mmずつ挿入しながら10mm挿入する毎に中空円筒100内の撮影を行った。
図20〜図26は、各挿入量に対するイメージセンサユニット36,40の撮影結果を示す図表である。図20〜図26中の「前方視野」はイメージセンサ36Bで取得した画像であり、「後方視野」はイメージセンサ40Bで取得した画像である。図20〜図26では、図示の都合上、上記マーキングした格子には、ハッチングを付している。
図20〜図26に示した各挿入量に対する撮影結果に写り込んだマーキングされた格子(ハッチングが付された格子)の挙動を追っていくと、まず、前方視野により撮影され(挿入量0mm参照)、その後、一度消滅したのち、後方視野の外周部分(挿入量50mm,60mm参照)に現れ、次いで、後方視野の中央部分(挿入量70mm〜120mm参照)に現れていることが理解される。
ここで、後方視野の中央部分とは、ミラー部38の中央部分、すなわち、イメージセンサユニット40の真正面近傍の領域に移し込まれた撮影領域を意味する。従って、後方視野の中央部分は、内視鏡モデル62Mの真後ろ及びその近傍の撮影したものに対応する。また、後方視野の外周部分は、ミラー部38の上記中央部分より外側に移し込まれた撮影領域を意味し、後方視野の外周部分は内視鏡モデル62Mの側方を撮影したものに対応する。図27は、実験結果における後方視野の中央部分と外周部分とを示した図面である。図27中において、破線の内側(図27において中央部分)が上記「後方視野の中央部分」に対応し、破線の外側(周縁部分)が上記「後方視野の外周部分」に対応するである。
本実験では、内視鏡モデル62Mを挿入しながら病変に見立ててマーキングされた格子の挙動を追っているが、マーキングされた格子が上記のように前方視野から後方視野に移動し、更に、後方視野のうち外周部分から中央部分に移動していることから、内視鏡モデル62Mによって、内視鏡モデル62Mの前方、側方及び後方を撮影できることが理解され得る。
なお、後方視野の中央部分と外周部分において、各格子に記載された記号の左右が反転しているのは、ミラー部38への映り込み方に基づくものである。
また、本実験結果では、挿入量に応じてマーキングされた格子が一部消失する領域が見受けられる。これは、イメージセンサユニット36,40及びミラー部38の配置及び仕様を適宜最適化することにより改善され得る。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、ミラー部38は、図10に示すようにミラー部84のように、後方側に凸状の円錐形状のものを採用してもよい。この場合も、ミラー部84の外面84aは鏡面加工された鏡面である。ミラー部84が円錐形状である場合、広角レンズ部40Aの直上が頂部に対応するため、広角レンズ部40Aが映り込むことが抑制される傾向にある。そして、図10に示すように、ミラー部84の内側に広角レンズ部36Aとイメージセンサ36Bとの両方を配置するスペースが確保できない場合には、広角レンズ部36Aを、前方端面部材30の開口30bから前方側に突出するように配置することもできる。これは、図2の構成、すなわち、半球状のミラー部38を利用した場合においても同様である。
更に、ミラー部38は、図11に示すミラー部86のように円錐台形状でもよい。この場合もミラー部86の外面86aは、鏡面加工された鏡面である。また、ミラー部38の外形形状は、放物形状であってもよい。更にまた、ミラー部は、円錐台部の切頭部に半球部が一体的に連結されているハイブリッド型のものでもよい。ミラー部を、側方及び後方視野用のレンズ部(第2のレンズ部)側が半球部側となるように配置することで、ミラー部の開放側の端部における側方の死角を減らせる傾向にあるからである。更にまた、ミラー部38のうち、側方及び後方視野用のレンズ部(第2のレンズ部、例えば広角レンズ部40A)の直上の領域には穴が形成されていてもよい。側方及び後方視野用のレンズ部の直上では、主に側方及び後方視野用のイメージセンサが自身を撮影することになるからである。ここでは、ミラー部38を例示してミラー部38に穴が形成されていてもよいことを示したが、前述した種々のミラー部に対しても同様である。
また、これまでの説明では、外周側壁部28は、上下左右に湾曲しないものとして説明したが、挿入部本体26と同様に上下左右に湾曲する構成としてもよい。これにより、先端部24をひねることができるため、内視鏡を体内に挿入する際の負担を軽減することができる。なお、この場合には、体内の画像をより正確に撮影する観点から、体内への挿入を経て撮影ポイントに達したときは、図2に例示したように、2つのレンズ部36A,40Aの光軸が一致、より好ましくは中心軸線Cに一致するようにしておくことが好適である。ここでは、第1の実施形態の場合を例示して説明したが、他の実施形態でも同様である。
更に、図2に示した第1の実施形態では、画像取得装置としての先端部24と、挿入部本体26との径はほぼ同じであるとしたが、先端部24の径と、挿入部本体26の径とは異なっていてもよい。この場合、段差部分に面取りを施すことが、患者や被検査者への内視鏡挿入時における消化器管内の管壁(例えば、腸壁)損傷の防止や患者や被検査者の苦痛の低減の観点から好ましい。これは、他の実施形態の場合も同様である。
また、第2のレンズ部は、画角が60度〜90度程度の標準的なレンズ部とすることもできる。ただし、より広い視野を得るために広角レンズ部であることが好ましいことは、前述した通りである。また、上記実施形態では、観察する体内の一例として消化器を例示したが、従来の内視鏡で観察可能な器官であればよい。更に、図2等では、広角レンズ部といったレンズ部は、レンズ(広角レンズ部の場合は、複数のレンズの組み合わせとしての広角レンズ)がマウントに搭載されたものを例示したが、レンズ部は、マウントは含まないレンズ(又は複数のレンズの組み合わせとしての広角レンズ)であってもよい。
更にまた、上記実施形態では、第1及び第2の照明手段として発光ダイオードといった光源44,48を例示して説明した。しかしながら、第1及び第2の照明手段はこれらに限定されない。例えば、第1及び第2の照明手段は、リング照明が可能な構成でもよいし、有機EL等の発光体を用いた照明手段であってもよい。更に、第1及び第2の照明手段は、発光体等の光源部に対して導光板を配置し、照明光を拡散させる構造とすることもできる。