以下、検査システムの一実施形態について、図1〜図19に基づいて詳細に説明する。図1には、被検査装置(検査対象)としてのノート型PC(Personal Computer)10(以下、PC10と表記する)の検査システム100の構成が概略的に示されている。検査システム100は、一例として、ノートPC10が有する発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)の検査を実行するシステムである。具体的には、検査システム100は、LEDに点灯不良がないか、配線の間違いがないか、多色LEDが正常に点灯するかなどの検査を実行する。
(PC10)
図2には、検査対象であるPC10の斜視図が示され、図3(a)には、PC10のハードウェア構成が示されている。図3(a)及び図2に示すように、PC10は、CPU90、ROM92、RAM94、記憶部(ここではHDD(Hard Disk Drive))96、可搬型記憶媒体用ドライブ99、表示画面としてのディスプレイ93、スピーカ95、入力部97、LED11〜15等を備えており、PC10の構成各部は、バス98に接続されている。ディスプレイ93は、LCD(Liquid Crystal Display)等であり、入力部97は、キーボードやマウス等を含む。PC10では、ROM92あるいはHDD96に格納されているプログラム、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラムをCPU90が実行することにより、図4(a)の各部の機能が実現される。
図4(a)には、CPU90の機能ブロック図が示されている。図4(a)に示すように、CPU90は、プログラムを実行することで、主制御部30、画面制御部32、及びLED制御部34として機能する。なお、図4(a)には、HDD96等に格納されるLEDテーブル40(図5(a)参照)及び表示色テーブル42(図5(b)参照)も図示されている。
主制御部30は、LEDテーブル40及び表示色テーブル42を用いて、画面制御部32に対するディスプレイ93の表示制御指示や、LED制御部34に対するLED11〜15の点灯・消灯制御指示を出力する。画面制御部32は、主制御部30からの指示に応じて、ディスプレイ93の表示制御を実行する。LED制御部34は、主制御部30からの指示に応じて、LED11〜15の点灯・消灯制御を実行する。
ここで、LEDテーブル40は、各LED11〜15の発光色及び位置座標を格納するテーブルである。LEDテーブル40は、図5(a)に示すように、「No.」、「LED表示色」、「位置X」、「位置Y」の各フィールドを有する。「No.」のフィールドには、LEDの通し番号が格納される。「LED表示色」のフィールドには、表示色の番号(図5(b)の表示色テーブル42で定義される表示色の「No.」)が格納される。「位置X」及び「位置Y」には、PC10上におけるLED11〜15の位置座標が格納される。
また、表示色テーブル42は、図5(b)に示すように、「No.」、「R」、「G」、「B」の各フィールドを有する。「No.」のフィールドには、表示色の通し番号が格納される。「R」、「G」、「B」の各フィールドには、RGB値を示す3つの8ビット符号無し整数(0〜255)が格納される。
これらLEDテーブル40と表示色テーブル42によれば、キーボードの奥側に1列に配置されているLED11〜13(図2参照)は、それぞれ赤色、赤色、緑色の光を発光する単色LEDとなっている。また、キーボードの手前側に配置されたLED14は、青色の光を発光する単色LEDであり、LED15は、緑色及び赤色の光を発光する多色LEDとなっている。なお、LED15は、後述する検査においては、緑色及び赤色のうち、緑色を優先して発光するものとする。
なお、PC10では、上述した各機能のほか、様々な機能を有しているが、それら機能の図示及び説明は省略するものとする。
(検査システム100)
検査システム100は、図1に示すように、検査装置としての検査部20と、撮像装置としての画面監視用カメラ24及びLED検査用カメラ26と、を備える。また、検査システム100は、PC10が搭載されたパレット60を所定方向(図1のX軸方向)に搬送するベルトコンベア62と、ベルトコンベア62近傍に設けられた読取装置22と、を備える。
図3(b)には、検査部20のハードウェア構成が示されている。検査部20は、CPU190、ROM192、RAM194、記憶部(ここではHDD(Hard Disk Drive))196、可搬型記憶媒体用ドライブ199、ディスプレイ193、スピーカ195、入出力インタフェース197等を備えており、検査部20の構成各部は、バス198に接続されている。入出力インタフェース197には、読取装置22、画面監視用カメラ24及びLED検査用カメラ26が接続されている。検査部20では、ROM192あるいはHDD196に格納されているプログラム、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ199が可搬型記憶媒体191から読み取ったプログラムをCPU190が実行することにより、図4(b)の各部の機能が実現される。
図4(b)には、検査部20の機能ブロック図が示されている。図4(b)に示すように、検査部20は、CPU190がプログラムを実行することで、画像取得部134、画像処理部132、主制御部130、出力制御部136として機能する。なお、図4(b)には、HDD196等に格納されている色判定テーブル140及び画面サイズ判定テーブル142についても図示されている。
画像取得部134は、画面監視用カメラ24によって撮影された画像及びLED検査用カメラ26によって撮影された画像を取得し、画像処理部132に対して送信する。
画像処理部132は、画像取得部134が取得した画像や、色判定テーブル140、画面サイズ判定テーブル142に基づいて、画像処理を行い、当該画像処理結果を主制御部130に対して送信する。
主制御部130は、画像処理部132から送信されてきた画像処理結果や、読取装置22の読み取り結果に基づいて、出力制御部136に対して出力指示を出す。
出力制御部136は、主制御部130からの出力指示に応じて、ディスプレイ193やスピーカ195による出力を制御する。例えば、出力制御部136は、主制御部130からの指示に応じて、検査結果に異常があったことをディスプレイ193やスピーカ195を介してユーザに通知する。
ここで、色判定テーブル140は、図6(a)に示すように、「No.」、「Hue(色調)」、「Saturation(彩度)」、「Value(明度)」の各フィールドを有する。「No.」のフィールドには、色の通し番号が格納される。なお、色判定テーブル140の「No.」の通し番号と、図5(b)の表示色テーブル42の「No.」の通し番号とが一致する場合、同じ色を意味するものとする。「Hue(色調)」、「Saturation(彩度)」、「Value(明度)」の各フィールドには、各色を定義する色調、彩度、明度の範囲(Min値〜Max値)が格納される。
また、画面サイズ判定テーブル142は、図6(b)に示すように、「No.」、「型名」、「W」、「H」、「Inch」の各フィールドを有する。「No.」のフィールドには、PCの通し番号が格納され、「型名」のフィールドには、PCの型番が格納される。「W」、「H」、「Inch」の各フィールドには、型番に対応するPCの画面サイズ(幅(mm)、高さ(mm)、インチ)が格納される。
画面監視用カメラ24は、図1に示すように、所定位置(範囲)に存在するPC10のディスプレイ93に対向する位置に設けられている。画面監視用カメラ24は、ディスプレイ93及びその周辺を撮影し、撮影画像を画像取得部134に対して送信する。LED検査用カメラ26は、所定位置(範囲)に存在するPC10のキーボードに対向する位置(上方)に設けられている。LED検査用カメラ26は、キーボード周辺(LED11〜15を含む)を撮影し、撮影画像を画像取得部134に対して送信する。
ベルトコンベア62は、PC10を図1のX軸に沿って一定速度で搬送する装置である。読取装置22は、ベルトコンベア62によって搬送されているPC10のディスプレイ93が画面監視用カメラ24の撮影視野内に入る前、すなわち検査が行われる前に、PC10に貼付されたバーコード等からPC10の情報(型番等)を読み取る。
(処理)
次に、検査対象のPC10による処理、及び検査部20による処理について詳細に説明する。
前提として、PC10は、ベルトコンベア62上にパレット60を介して載置され、X軸に沿って搬送されているものとする。また、PC10は、画面監視用カメラ24の撮影視野内にディスプレイ93の少なくとも一部が入る位置に存在しているものとする。
(PC10の処理)
図7には、PC10の処理に関するフローチャートが示されている。図7の処理では、まず、ステップS10において、画面制御部32が、主制御部30の指示の下、ディスプレイ93に白ベタ表示を行う。すなわち、画面制御部32は、ディスプレイ93のRGB値をR:255、G:255、B:255とする。図8(a)には、ステップS10におけるPC10の状態が示されている。本実施形態では、一例として、白ベタ表示を2秒間継続して行うものとする。なお、2秒間の白ベタ表示の間に、PC10のディスプレイ93の全てが、画面監視用カメラ24の撮影視野内に入るものとする。
次いで、ステップS12では、LED制御部34が、主制御部30の指示の下、全LED11〜15を点灯する。また、これと同時に、画面制御部32が、主制御部30の指示の下、ディスプレイ93の画面上(白ベタ表示している領域内)に各LED11〜15の表示色(点灯色)の円を描く。この場合、主制御部30は、LEDテーブル40及び表示色テーブル42を参照し、キーボードの左奥側から右奥側、左手前側から右手前側の順(LED11→12→13→14→15の順)に表示色(点灯色)の円を描く。この場合のPC10の状態が、図8(b)に示されている。なお、図8(b)の状態は、1秒間継続されるものとする。この図8(b)の状態がPC10において維持されている間に、検査部20において後述するLED点灯不良検査が行われる。
次いで、ステップS14では、LED制御部34が、主制御部30の指示の下、全LED11〜15を点灯した状態からLEDを端から1つ消し、画面上の円も端から1つ消す(黒色表示する)。この場合のPC10の状態が図8(c)に示されている。図8(c)の状態では、LED11が消灯されるとともに、画面上の左端の円が黒色表示されている。
次いで、ステップS16では、主制御部30は、所定時間(例えば0.5秒)経過するまで待機する。所定時間経過した後は、ステップS18に移行し、主制御部30は、全てのLED11〜15を1度ずつ消し、ディスプレイ93上の円を1度ずつ消したか(黒色表示したか)否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS14に戻る。そして、ステップS14に戻った後は、ステップS18の判断が肯定されるまで、ステップS14〜S18を繰り返す。これにより、PC10では、図9(a)、図9(b)、図9(c)、図10(a)の順に、LED点灯又は消灯が行われるとともに、画面表示が実行されることになる。なお、PC10において図9(a)〜図10(a)のように遷移している間に、検査部20において後述する配線間違い検査が行われる。
一方、ステップS18の判断が肯定された場合には、ステップS20に移行する。ステップS20では、画面制御部32が、主制御部30の指示の下、ディスプレイ93に赤ベタ表示を行うとともに、全LED11〜15を消灯する。すなわち、画面制御部32は、ディスプレイ93のRGB値をR:255、G:0、B:0とする。図10(b)には、この場合のPC10の状態が示されている。なお、赤ベタ表示及び全LEDの消灯は、1秒間継続して実行されるものとする。なお、赤ベタ表示は、PC10におけるLED11〜15の点灯不良検査及び配線間違い検査が終了したことを意味する表示である。
次いで、ステップS22では、主制御部30が、表示色の数を設定する。具体的には、主制御部30は、図5(a)のLEDテーブル40及び図5(b)の表示色テーブル42を参照し、全LED11〜15において表示可能な全色と数とを特定する。図5(a)のLEDテーブル40の場合、赤色(LED表示色=1)が3つ、緑色(LED表示色=2)が2つ、青色(LED表示色=3)が1つと特定される。
次いで、ステップS24では、主制御部30は、全ての色を表示したか否かを判断する。ここでは、まだ1色も表示していないので、判断は否定され、ステップS26に移行する。
ステップS26に移行すると、LED制御部34が、主制御部30の指示の下、LED表示色=1(赤色)を発光可能なLEDを点灯し、同時に、画面制御部32が、主制御部30の指示の下、点灯されるべき色・個数の円を画面上に表示する。この場合、図10(c)に示すように、LED11,12,15を点灯するとともに、画面上(白ベタ表示している領域内)に3つの赤色の円を表示する。その後は、ステップS24に戻る。
そして、ステップS24では、主制御部30は、再度、全ての色を表示したか否かを判断するが、これまで、赤色しか表示していない(緑色及び青色を表示していない)ので、判断は否定され、ステップS26に移行する。そして、ステップS26では、図11(a)に示すように、LED13,15を点灯(緑色)するとともに、画面上(白ベタ表示している領域内)に2つの緑色の円を表示する。また、次にステップS24の判断が否定された場合には、ステップS26において、図11(b)に示すように、LED14を点灯(青色)するとともに、画面上(白ベタ表示している領域内)に1つの青色の円を表示する。なお、PC10において図10(c)〜図11(b)のように遷移している間、検査部20では、後述する多色LED検査が行われる。
その後、ステップS24の判断が肯定されると、ステップS28に移行する。ステップS28では、画面制御部32が、主制御部30の指示の下、ディスプレイ93に青ベタ表示を行うとともに、全LED11〜15を消灯する(図11(c)参照)。すなわち、画面制御部32は、ディスプレイ93のRGB値をR:0、G:0、B:255とする。この場合、青ベタ表示及び全LEDの消灯は、2秒間継続して実行されるものとする。なお、青ベタ表示は、PC10におけるLED11〜15の検査終了を意味する表示である。
以上のように、本実施形態では、PC10は、ベルトコンベア62に搭載された状態で画面監視用カメラ24の撮影視野内を移動している間、図8(a)〜図11(c)に示すような画面表示及びLED点灯・消灯を実行する。
(検査部20の処理)
次に、PC10における図7の処理と同時並行的に実行される、検査部20の処理について、図12〜図19のフローチャートに沿って詳細に説明する。
なお、図12の処理の前提として、読取装置22が、主制御部130の指示の下、PC10に貼付されたバーコード等から情報(型番等)を読み取り、主制御部130は、当該読み取られた情報を取得しているものとする。
図12の処理では、まず、ステップS50において、白ベタ画面検出のサブルーチンが実行される。具体的には、図13のフローチャートに沿った処理を実行する。図13の処理では、ステップS100において、画像取得部134が画面監視用カメラ24を用いた連続撮影を開始する。画像取得部134は取得した撮影画像を画像処理部132に送信する。なお、連続撮影は、5枚/秒程度の撮影であるものとする。
次いで、ステップS102では、画像処理部132が、撮影画像の輝度変換を実行する。この場合、撮影画像(カラー画像)の全ピクセルについて、次式(1)を用いて輝度変換を行う
y(輝度)=0.3×R+0.29×G+0.11×B …(1)
次いで、ステップS104では、画像処理部132が、輝度yが128以上の領域を抽出する。なお、この場合の領域とは、隣接する8つのピクセルで繋がったピクセルの塊であるものとする。また、ステップS104では、画像処理部132は、抽出した領域の外接矩形を求め、当該外接矩形の幅(W)と高さ(H)を取得する。
次いで、ステップS106では、画像処理部132が、画面サイズ判定テーブル142を参照し、抽出領域(外接矩形)のサイズが、読取装置22で情報(型番)が読み取られたPCの画面サイズと一致するか否かを判断する。このステップS106では、画面監視用カメラ24の視野内にディスプレイ93全体が入ったか否かを判断している。なお、画像処理部132では、取得した画像の1ピクセルがディスプレイ93の何mmに相当するかを定義しておく必要がある。
ステップS106の判断が否定された場合、すなわち画面監視用カメラ24の撮影視野内にディスプレイ93全体が入っていない場合には、ステップS102に戻る。一方、ステップS106の判断が肯定された場合、すなわち、画面監視用カメラ24の撮影視野内にディスプレイ93全体が入った場合には、図13の全処理を終了して、図12のステップS52に移行する。このように、本実施形態では、ディスプレイ93全体が画面監視用カメラ24の撮影視野内に入った段階から、図12のステップS52以降の検査が実行されるようになっている。
ステップS52では、LED点灯不良検査のサブルーチンが実行される。具体的には、図14のフローチャートに沿った処理が実行される。
図14では、ステップS110において、画像取得部134が、画面監視用カメラ24及びLED検査用カメラ26を用いた撮影を行い、撮影画像を取得する。画像取得部134は、取得した撮影画像を画像処理部132に対して送信する。
次いで、ステップS112では、画像処理部132が、画面領域を抽出する。この場合、画像処理部132は、PC10の移動速度に基づいて撮影画像内の推定領域(画面領域と推定される領域)を求め、誤差を考慮して領域を切り出し、切り出した領域において、ステップS102、S104と同様の処理を行う。
次いで、ステップS114では、画像処理部132が、画面監視用カメラ24の撮影画像(ここでは、図8(b)のような表示状態のディスプレイ93が撮影される)と、色判定テーブル140とを用いて、LED期待値を抽出する。この場合、画像処理部132は、ステップS112で抽出した画面領域と、色判定テーブル140とを用いて、LED期待値として、左から「赤、赤、緑、青、緑」という並び順を抽出する。
次いで、ステップS116では、画像処理部132が、LED検査用カメラ26の撮影画像と色判定テーブル140とを用いて、LED11〜15の発光色の並び順を抽出する。この場合、画像処理部132は、図15に矢印にて示すように、キーボード近傍の撮影画像を下方向にシフトしながら左右方向に順次スキャンして、発光色(赤、赤、緑、青、緑)を順に抽出する。
次いで、ステップS118では、画像処理部132が、LED期待値と、LEDの発光色の順番(並び順)とが一致するか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、LED点灯不良がないので、画像処理部132は、ステップS120において正常と判定した後、図14の全処理を終了し、図12のステップS54に移行する。一方、ステップS118の判断が否定された場合には、LED点灯不良があるため、画像処理部132は、ステップS122において異常と判定した後、図14の全処理を終了し、図12のステップS54に移行する。なお、画像処理部132の判定結果は、主制御部130に送信される。なお、図14の処理では、LED11〜15を全て点灯すべきところ、点灯できないLEDが存在していたり、異なる並び順になっていたりした場合に「異常」と判定されることから、LEDの点灯不良の検査が行えているといえる。
ステップS54に移行すると、主制御部130は、画像処理部132の判定結果が「異常」であったか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合(異常であった場合)には、ステップS68に移行し、主制御部130は、検査部20のディスプレイ193やスピーカ195を介して異常を通知(発報)した後、図12の全処理を終了する。一方、ステップS54の判断が否定された場合(正常であった場合)には、ステップS56に移行する。
ステップS56に移行した場合、配線間違い検査のサブルーチンが実行される。このステップS56では、図16のフローチャートに沿った処理が実行される。
図16では、まず、ステップS130において、画像取得部134が、画面監視用カメラ24及びLED検査用カメラ26を用いて撮影し、撮影画像を取得する。画像取得部134は、取得した撮影画像を画像処理部132に対して送信する。
次いで、ステップS132では、画像処理部132が、画面領域を抽出する。この場合、画像処理部132は、図14のステップS112と同様の処理を実行する。
次いで、ステップS134では、画像処理部132が、ディスプレイ93の画面上に赤ベタ表示がなされているか否かを判断する。この場合、画像処理部132は、色判定テーブル140に基づいて、赤ベタ表示(抽出した画面領域の全てが赤表示)されているか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、図16の全処理を終了して、図12のステップS60に移行するが、否定された場合には、ステップS136に移行する。
ステップS136に移行した場合、画像処理部132は、画面監視用カメラ24の撮影画像(ここでは図8(c)の表示状態のディスプレイ93が撮影される)と、色判定テーブル140とを用いて、LED期待値を抽出する。この場合、画像処理部132は、LED期待値として、左から「黒、赤、緑、青、緑」という並び順を抽出する。また、画像処理部132は、抽出したLED期待値を用いて消灯位置(黒色:左から1番目)を特定する。
次いで、ステップS138では、画像処理部132が、LED検査用カメラ26の撮影画像と色判定テーブル140とを用いて、LED11〜15の発光色と並び順を抽出し、当該並び順と全点灯時の並び順を用いて消灯位置を特定する。例えば、全点灯時の発光色の並び順が前述のように「赤、赤、緑、青、緑」であった場合に、今回「赤、緑、青、緑」であったとする。この場合、画像処理部132は、左から1番目又は2番目を消灯位置して特定する。
次いで、ステップS140では、主制御部130が、LED期待値に基づく消灯位置(ステップS136で特定)と、LEDの消灯位置(ステップS138で特定)と、が一致するか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、主制御部130は、ステップS142において正常と判定し、ステップS130に戻る。一方、ステップS140の判断が否定された場合には、主制御部130は、ステップS144において異常と判定し、ステップS130に戻る。
以降においては、画像処理部132及び主制御部130が、図9(a)〜図10(a)に示すPC10の状態を撮影した撮影画像を用いて、ステップS136〜S144の処理・判断を実行し、各状態が正常であるか否かを判定する。そして、図10(a)の状態の判定が終了し、PC10において図10(b)の赤ベタ表示がなされた段階で、図16のステップS134の判断が肯定される。この場合、主制御部130は、図16の全処理を終了し、図12のステップS58に移行する。なお、図16の処理では、LED11〜15のうち消灯すべきLEDが異なっている場合に「異常」と判定されることから、LEDに対する配線間違いの検査を行えているといえる。
ステップS58に移行すると、主制御部130は、図16の処理において異常と判定されたか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合(異常があった場合)には、ステップS68に移行し、主制御部130は、検査部20のディスプレイ193やスピーカ195を介して異常を通知(発報)した後、図12の全処理を終了する。一方、ステップS58の判断が否定された場合(正常であった場合)には、ステップS60に移行する。
ステップS60では、赤ベタ画面検出のサブルーチンが実行される。このステップS60では、図17のフローチャートに沿った処理が実行される。図17の処理では、まず、ステップS150において、主制御部130が開始時刻t0を取得する。次いで、ステップS152では、画像取得部134が、画面監視用カメラ24を用いて撮影を行い、撮影画像を取得する。なお、画像取得部134は、撮影画像を画像処理部132に対して送信する。
次いで、ステップS154では、画像処理部132が、図14のステップS112と同様にして、撮影画像から画面領域を抽出する。次いで、ステップS156では、画像処理部132は、色判定テーブル140に基づいて、赤ベタ(抽出した画面領域の全てが赤表示)であるか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS152に戻るが、肯定された場合には、ステップS158に移行する。ステップS158では、主制御部130が、現在時刻tnを取得する。そして、ステップS160では、主制御部130が、tn−t0が1秒を超えたか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、図17の全処理を終了し、図12のステップS62に移行する。一方、ステップS160の判断が否定された場合には、ステップS152に戻り、ステップS152〜S160の処理・判断が繰り返される。そして、ステップS160の判断が肯定された段階で、図17の全処理を終了し、図12のステップS62に移行する。
ステップS62では、多色LED検査のサブルーチンが実行される。具体的には、図18のフローチャートに沿った処理が実行される。
図18の処理では、まず、ステップS170において、画像取得部134が、画面監視用カメラ24及びLED検査用カメラ26を用いて撮影し、撮影画像を取得する。画像取得部134は、取得した撮影画像を画像処理部132に対して送信する。
次いで、ステップS172では、画像処理部132が、ステップS112と同様にして、画面領域を抽出する。次いで、ステップS174では、画像処理部132が、抽出した画面領域が青ベタか否かを色判定テーブル140を用いて判断する。ここでの判断が肯定された場合には、図18の全処理を終了して、図12のステップS64に移行するが、否定された場合には、ステップS176に移行する。
ステップS176では、画像処理部132が、画面監視用カメラ24の撮影画像(ここでは、図10(c)の表示状態のディスプレイ93が撮影される)と、色判定テーブル140とを用いて、LED期待値(色と数)を抽出する。この場合、画像処理部132は、LED期待値として、「赤2つ」を抽出する。
次いで、ステップS178では、画像処理部132が、LED検査用カメラ26の撮影画像と色判定テーブル140とを用いて、LED11〜15の発光色と数を抽出する。
次いで、ステップS180では、主制御部130が、LED期待値(赤2つ)と、LEDの発光色及び数と、が一致するか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、主制御部130は、ステップS182において正常と判定し、ステップS170に戻る。一方、ステップS180の判断が否定された場合には、主制御部130は、ステップS184において異常と判定し、ステップS170に戻る。
以降、画像処理部132と主制御部130は、図11(a)、図11(b)に示すPC10の状態(画面表示及びLED点灯)を撮影した撮影画像を用いて、ステップS176〜S184の処理・判断を実行し、各状態が正常であるか否かを判定する。そして、図11(b)の状態の判定が終了し、図11(c)に示すように、PC10のディスプレイ93上に青ベタが表示された段階で、図18のステップS174の判断が肯定される。この場合、主制御部130は、図12のステップS64に移行する。なお、図18の処理では、LED11〜15のうち多色LEDが正常に動作しないと「異常」と判定されることから、多色LEDの検査を行えているといえる。
ステップS64に移行すると、主制御部130は、図18の処理において異常と判定されたか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合(異常があった場合)には、ステップS68に移行し、主制御部130は、検査部20のディスプレイ193やスピーカ195を介して異常を通知(発報)した後、図12の全処理を終了する。一方、ステップS64の判断が否定された場合(正常であった場合)には、ステップS66に移行する。
ステップS66では、青ベタ画面検出のサブルーチンが実行される。具体的には、ステップS66では、図19のフローチャートに沿った処理が実行される。図19の処理では、まず、ステップS190において、主制御部130が開始時刻t0を取得する。次いで、ステップS192では、画像取得部134が、画面監視用カメラ24を用いて撮影を行い、撮影画像を取得する。なお、画像取得部134は、撮影画像を画像処理部132に対して送信する。
次いで、ステップS194では、画像処理部132が、ステップS112と同様にして、撮影画像から画面領域を抽出する。次いで、ステップS196では、画像処理部132が、色判定テーブル140に基づいて、青ベタ(抽出された画面領域の全てが青表示)であるか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS192に戻るが、肯定された場合には、ステップS198に移行する。ステップS198では、主制御部130が、現在時刻tnを取得する。そして、ステップS200では、主制御部130が、tn−t0が2秒を超えたか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS192に戻るが、肯定された場合には、図19の全処理を終了するとともに、図12の全処理を終了する。
以上のような処理を実行することで、本実施形態では、PC10が、画面監視用カメラ24及びLED検査用カメラ26の撮影視野内を移動している間に、LED点灯不良検査(S52)、配線間違い検査(S56)、及び多色LED検査(S62)を実行することができる。
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、PC10において、ディスプレイ93上にLED11〜15の発光色の並び順の情報や発光色の数の情報を表示し(ステップS12,S14,S26)、ディスプレイ93上に表示された情報に対応する方法でLED11〜15を発光させ(ステップS12,S14,S26)、情報が表示されたディスプレイ93と、LED11〜15とを撮影し(ステップS110、S130、S170)、ディスプレイ93を撮影した結果と、LED11〜15を撮影した結果とを比較して、LED11〜15の検査を行う(ステップS114〜S122、S136〜S144、S176〜S184)。これにより、本実施形態では、PC10が所定位置に位置決めされたときのLED検査用カメラ26の撮影視野内におけるLEDのXY座標や、発光色に関する期待値を用意するなどしなくても、ディスプレイ93上に表示される発光色の並び順の情報や発光色の数の情報(画面監視用カメラ24で撮影した画像から得られる期待値)と、LEDを撮影した画像との比較により、LED11〜15の検査を行うことができる。また、LED11〜15の検査において、画像内のLED座標を取得するなどする必要もない。これにより、期待値作成やLED座標取得に要する手間や工数を削減することができるとともに、PC10の各カメラ24,26に対する高精度な位置決め等も不要となるので、検査に要する手間や工数を削減し、処理を簡素化することができる。また、本実施形態では、PC10と検査部20に通信アダプタ等の同期用機器を設ける必要がないため、コスト削減を図ることができる。更に、本実施形態では、検査部20が期待値を保持する必要がないので、検査部20の記憶容量の削減を図ることもできる。
また、本実施形態では、複数のLED11〜15を全て発光させた場合の発光色の並び順の情報をディスプレイ93に表示するとともに、複数のLED11〜15を全て発光させる(S12)。これにより、カメラ24,26で撮影された結果の比較を行うことで、LEDの点灯不良を検査することができる。
また、本実施形態では、複数のLED11〜15のうちの特定のLED(例えば左端から所定番目のLED)を消灯したときの発光色の並び順の情報をディスプレイ93上に表示するとともに、特定のLED以外の発光素子を発光させることとしている(S14)。これにより、カメラ24,26で撮影された結果の比較を行うことで、配線間違いの検査を行うことができる。
また、本実施形態では、LED15が多色発光可能なLED(多色LED)であり、特定の発光色を発光可能なLEDの数の情報を表示するとともに、特定の発光色での発光が可能なLEDを発光させることとしている。これにより、カメラ24,26で撮影された結果の比較を行うことで、多色LEDが正常に発光しているか否かの検査を行うことができる。
また、本実施形態では、PC10が、ディスプレイ93への表示と、当該表示に対応するLEDの発光とを同時に行うこととしている(S12,S14,S26)。これにより、検査において用いる期待値を、検査部20に対して適切なタイミングで提供することができる。
なお、上記実施形態では、LED点灯不良検査(S52)、配線間違い検査(S56)、多色LED検査(S62)を行う場合について説明したが、これに限らず、上記検査のうち少なくとも1つを行うこととしてもよい。また、例えば、検査対象のPCとして多色LEDを搭載しているPCと搭載していないPCとが存在する場合には、多色LEDの搭載有無に応じて多色LED検査の実行有無を決定することとしてもよい。
なお、上記実施形態では、画面サイズ判定テーブル142を用意し、検査対象のPCに対応する大きさの画面(白ベタ表示)が撮影された場合に、検査を開始する場合(図12のステップS50)について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、画面監視用カメラ24の撮影視野内に白ベタの矩形領域が収まった段階(撮影視野の外縁に白ベタの矩形領域が接しなくなった段階)で、検査を開始するようにしてもよい。
なお、上記実施形態では、図5(a)のLEDテーブル40において、各LEDを座標(PC10上における座標)で管理する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、LEDを並び順(図15のスキャン動作により検出される順)のみで管理することとしてもよい。
なお、上記実施形態では、検査システム100が、画面監視用カメラ24と、LED検査用カメラ26とを備える場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、ディスプレイ93と、LED11〜15とを1つのカメラで同時に撮影することとしてもよい。この場合、撮影視野の上側領域をディスプレイ93の撮影に用い、下側領域をLED11〜15の撮影に用いるというように予め領域を用途に応じて分けておいてもよい。
なお、上記実施形態では、ベルトコンベア62を用いてPC10を搬送している間に、PC10の検査を行う場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、人やロボットがカメラ24,26に対向する位置にPC10を搬送するようにし、その状態でPC10の検査を行うこととしてもよい。
なお、上記実施形態では、検査対象がPC(ノートPC)である場合について説明したが、これに限られるものではなく、ディスプレイと発光素子(LED)を有する装置であれば、その種別は特に問わない。例えば、検査対象としては、デスクトップ型のPCやタブレット型のPC、携帯電話などを採用することができる。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 表示画面及び発光素子を有する被検査装置において、前記表示画面上に前記発光素子の発光色の並び順の情報又は発光色の数の情報を表示する表示工程と、
前記表示画面上に表示された情報に対応する方法で前記発光素子を発光させる発光工程と、
前記情報が表示された表示画面と、前記発光素子とを撮影する撮影工程と、
前記情報が表示された表示画面を撮影した結果と、前記発光素子を撮影した結果とを比較して、前記発光素子の検査を行う検査工程と、を含む検査方法。
(付記2) 前記被検査装置は、複数の発光素子を有し、
前記表示工程では、前記複数の発光素子を全て発光させた場合の発光色の並び順の情報を表示し、
前記発光工程では、前記複数の発光素子を全て発光させることを特徴とする付記1に記載の検査方法。
(付記3) 前記被検査装置は、複数の発光素子を有し、
前記表示工程では、前記複数の発光素子のうちの特定の発光素子を消灯したときの発光色の並び順の情報を表示し、
前記発光工程では、前記特定の発光素子以外の発光素子を発光させることを特徴とする付記1又は2に記載の検査方法。
(付記4) 前記被検査装置は、多色発光可能な発光素子を有し、
前記表示工程では、特定の発光色を発光可能な発光素子の数の情報を表示し、
前記発光工程では、前記特定の発光色での発光が可能な発光素子を発光させることを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の検査方法。
(付記5) 前記表示工程と前記発光工程は、同時に行われることを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の検査方法。
(付記6) 表示画面及び発光素子を有する被検査装置の前記表示画面上に表示された前記発光素子の発光色の並び順の情報又は発光色の数の情報を撮影するとともに、前記表示画面上に表示された情報に対応する方法で発光させた前記発光素子を撮影する撮影装置と、
前記情報を撮影した結果と、前記発光素子を撮影した結果とを比較して、前記発光素子の検査を行う検査装置と、を備える検査システム。
(付記7) 前記被検査装置は、複数の発光素子を有し、
前記複数の発光素子を全て発光させた場合の発光色の並び順の情報を表示するとともに、前記複数の発光素子を全て発光することを特徴とする付記6に記載の検査システム。
(付記8) 前記被検査装置は、複数の発光素子を有し、
前記複数の発光素子のうちの特定の発光素子を消灯したときの発光色の並び順の情報を表示するとともに、前記特定の発光素子以外の発光素子を発光することを特徴とする付記6又は7に記載の検査システム。
(付記9) 前記被検査装置は、多色発光可能な発光素子を有し、
特定の発光色を発光可能な発光素子の数の情報を表示するとともに、前記特定の発光色での発光が可能な発光素子を発光することを特徴とする付記6〜8のいずれかに記載の検査システム。