以下、本発明に係る燃料電池及び燃料電池の運転方法の実施の形態例を図1〜図23を参照しながら説明する。
第1の実施の形態に係る燃料電池(以下、第1燃料電池10Aと記す)は、図1に示すように、複数の発電セル12(単位セル)が配列されて構成された燃料電池スタック14と、該燃料電池スタック14を監視制御する監視制御部16とを有する。
燃料電池スタック14は、複数の発電セル12を水平方向(矢印A方向)又は重力方向(矢印C方向)に積層して構成され(図1では水平方向に積層した例を示す)、例えば車載用燃料電池スタックとして使用される。積層方向の両端には、図示しないが、ターミナルプレート及び絶縁プレートを介して金属製のエンドプレート18a、18bが配設される。燃料電池スタック14は、例えばエンドプレート18a、18bを端板とするボックス(ケーシング)20を備える。
エンドプレート18a、18bから積層方向外方に電力取り出し端子(プラス端子22p、マイナス端子22m)が突出する。プラス端子22p及びマイナス端子22mは、図示しない走行用モータや補機類に接続される。
図2に示すように、燃料電池スタック14は、詳しくは2種類の発電セル12(第1発電セル12A及び第2発電セル12B)が交互に配列されて構成されている。第1発電セル12Aは、プラス端子22pからマイナス端子22mに向かって第1セパレータ24A、第1電解質膜・電極構造体(MEA)26a及び第2セパレータ24Bを有する。第2発電セル12Bは、プラス端子22pからマイナス端子22mに向かって第2セパレータ24B、第2電解質膜・電極構造体(MEA)26b及び第1セパレータ24Aを有する。各第1セパレータ24Aは、2つのセパレータ部材(第1セパレータ部材28a及び第2セパレータ部材28b)を有する。これら第1セパレータ部材28a及び第2セパレータ部材28b間に後述する冷却媒体流路52が形成されている。すなわち、この燃料電池スタック14は隣接する第1発電セル12A及び第2発電セル12Bの組み合わせ毎に冷却を行う構造(いわゆる間引き冷却構造)となっている。
具体的には、第1セパレータ24A(第1セパレータ部材28a、第2セパレータ部材28b)及び第2セパレータ24Bは、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板により構成される。第1セパレータ24A及び第2セパレータ24Bは、金属製薄板を波形状にプレス加工することにより、断面凹凸形状を有する。なお、第1セパレータ24A及び第2セパレータ24Bは、金属セパレータに代えて、カーボンセパレータ等を使用してもよい。
第1電解質膜・電極構造体26a及び第2電解質膜・電極構造体26bは、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜30と、該固体高分子電解質膜30を挟持するアノード側電極32及びカソード側電極34とを備える。
図3は、図2におけるIII−III線上の断面図である。図3に示すように、アノード側電極32は、固体高分子電解質膜30及びカソード側電極34よりも小さな表面積を有する、所謂、段差型MEAを構成している。なお、アノード側電極32とカソード側電極34とは、同一の表面積を有していてもよい。固体高分子電解質膜30、アノード側電極32及びカソード側電極34は、それぞれ矢印B方向両端部上下に切り欠きが設けられて表面積が縮小されている。
アノード側電極32及びカソード側電極34は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子がガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜30の両面に形成される。
第1セパレータ24A及び第2セパレータ24Bの長辺方向(矢印C方向)の上端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガス(空気等)を供給するための酸化剤ガス入口連通孔36a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガス(水素ガス等)を供給するための燃料ガス入口連通孔38aが設けられる。
第1セパレータ24A及び第2セパレータ24Bの長辺方向(矢印C方向)の下端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔36b、及び燃料ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔38bが設けられる。
第1セパレータ24A及び第2セパレータ24Bの短辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔40aが設けられ、第1セパレータ24A及び第2セパレータ24Bの短辺方向の他端縁部には、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔40bが設けられる。
第1セパレータ24Aにおける第1セパレータ部材28aのプラス端子側の面P1ap(第2電解質膜・電極構造体26bに向かう面)には、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガス出口連通孔38bとを連通する第1燃料ガス流路44が形成される。第1燃料ガス流路44は、矢印C方向に延在する複数の波状流路溝を有する。第1燃料ガス流路44の入口(上端部)及び出口(下端部)近傍には、それぞれ複数のエンボスを有する入口バッファ部46及び出口バッファ部48が設けられる。なお、第1燃料ガス流路44は、矢印C方向に直線状に延在する複数の直線状流路溝により構成してもよい。また、以下に説明する第1酸化剤ガス流路56、第2燃料ガス流路64、第2酸化剤ガス流路74でも同様である。
入口バッファ部46及び出口バッファ部48は、燃料ガス入口連通孔38aから第1燃料ガス流路44の幅方向に燃料ガスを均一に分配する機能及び第1燃料ガス流路44の幅方向に流通する燃料ガスを燃料ガス出口連通孔38bに均一に集合させる機能を有する。エンボス形状は、円形や四角形の他、棒状等種々の形状に設定することができ、第1セパレータ24Aにおける第1セパレータ部材28aの表裏に設けられる。なお、以下に説明する第1セパレータ24Aにおける第2セパレータ部材28b及び第2セパレータ24Bに設けられる各バッファ部においても、同様である。
第1セパレータ24Aにおける第1セパレータ部材28aのマイナス端子側の面P1am(第2セパレータ部材28bと対向する面)には、冷却媒体入口連通孔40aと冷却媒体出口連通孔40bとを連通する冷却媒体流路52が形成される。冷却媒体流路52は、第1燃料ガス流路44の裏面形状である。
第2セパレータ24Bのマイナス端子側の面P2m(第2電解質膜・電極構造体26bに向かう面)には、図3及び図4に示すように、酸化剤ガス入口連通孔36aと酸化剤ガス出口連通孔36bとを連通する第1酸化剤ガス流路56が形成される。第1酸化剤ガス流路56は、矢印C方向に延在する複数の波状流路溝を有する。第1酸化剤ガス流路56の入口(上端部)及び出口(下端部)近傍には、それぞれ複数のエンボスを有する入口バッファ部58及び出口バッファ部60が設けられる。
図5に示すように、第2セパレータ24Bのプラス端子側の面P2p(第1電解質膜・電極構造体26aに向かう面)には、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガス出口連通孔38bとを連通する第2燃料ガス流路64が形成される。第2燃料ガス流路64は、矢印C方向に延在する複数の波状流路溝を有すると共に、第2燃料ガス流路64の入口(上端部)及び出口(下端部)近傍には、それぞれ表側と裏側とに交互に突出する複数のエンボスを有する入口バッファ部66及び出口バッファ部68が設けられる。
図6に示すように、第1セパレータ24Aにおける第2セパレータ部材28bのマイナス端子側の面P1bm(第1電解質膜・電極構造体26aに向かう面)には、酸化剤ガス入口連通孔36aと酸化剤ガス出口連通孔36bとを連通する第2酸化剤ガス流路74が形成される。
第2酸化剤ガス流路74は、矢印C方向に延在する複数の波状流路溝を有する。第2酸化剤ガス流路74の入口(上端部)及び出口(下端部)近傍には、それぞれ複数のエンボスを有する入口バッファ部76及び出口バッファ部78が設けられる。
第1セパレータ24Aにおける第2セパレータ部材28bのプラス端子側の面P1bp(第1セパレータ部材28aと対向する面)には、図2に示すように、冷却媒体入口連通孔40aと冷却媒体出口連通孔40bとを連通する冷却媒体流路52が形成される。冷却媒体流路52は、第1セパレータ部材28aにおける第1燃料ガス流路44と、第2セパレータ部材28bにおける第2酸化剤ガス流路74の裏面形状(波形状)の重ね合わせにより形成される。
第1セパレータ24Aにおける第1セパレータ部材28aの面P1ap、P1amには、この第1セパレータ部材28aの外周端縁部を周回して第1シール部材82が一体成形される。同様に、第1セパレータ24Aにおける第2セパレータ部材28bの面P1bp、P1bmには、この第2セパレータ部材28bの外周端縁部を周回して第2シール部材84が一体成形される。第2セパレータ24Bの面P2p、P2mにも、この第2セパレータ24Bの外周端縁部を周回して第3シール部材86が一体成形される。
第1〜第3シール部材82、84及び86としては、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール部材が用いられる。
図2に示すように、第1セパレータ24Aの第1セパレータ部材28aには、燃料ガス入口連通孔38aと第1燃料ガス流路44とを連通する入口側第1連結流路88aと、燃料ガス出口連通孔38bと第1燃料ガス流路44とを連通する出口側第1連結流路88bとが設けられる。入口側第1連結流路88aは、複数の外側供給孔部90aと複数の内側供給孔部90bとを有する。
第1セパレータ部材28aの面P1ap側には、燃料ガス入口連通孔38aと各外側供給孔部90aとを連通する複数の通路92aが設けられる。面P1am側には、外側供給孔部90aと内側供給孔部90bとを連通する複数の通路92bが形成される。出口側第1連結流路88bは、同様に、複数の外側排出孔部94aと複数の内側排出孔部94bとを有する。
第1セパレータ部材28aの面P1ap側には、燃料ガス出口連通孔38bと各外側排出孔部94aとを連通する複数の通路96aが形成される。面P1am側には、外側排出孔部94aと内側排出孔部94bとを連通する複数の通路96bが形成される。
図4に示すように、酸化剤ガス入口連通孔36a及び酸化剤ガス出口連通孔36bと第1酸化剤ガス流路56との連通部分には、複数の入口側連結流路98a及び複数の出口側連結流路98bを形成する複数の凸状の受け部100a、100bが設けられる。
第2セパレータ24Bには、燃料ガス入口連通孔38aと第2燃料ガス流路64とを連通する入口側第2連結流路102aと、燃料ガス出口連通孔38bと第2燃料ガス流路64とを連通する出口側第2連結流路102bとが設けられる。入口側第2連結流路102aは、供給孔部104を有する。面P2m側には、燃料ガス入口連通孔38aと供給孔部104とを連通する通路106aが形成される。
出口側第2連結流路102bは、同様に、複数の排出孔部108を有する。面P2m側には、排出孔部108を燃料ガス出口連通孔38bに連通する複数の通路106bが形成される。
図6に示すように、第1セパレータ24Aの第2セパレータ部材28bには、酸化剤ガス入口連通孔36a及び酸化剤ガス出口連通孔36bと第2酸化剤ガス流路74の連通部分に、複数の入口側連結流路110a及び複数の出口側連結流路110bを形成する複数の凸状の受け部112a、112bが設けられる。
また、図1に示すように、燃料電池スタック14のエンドプレート18aには、酸化剤ガス入口連通孔36aに連通する酸化剤ガス入口マニホールド114a、燃料ガス入口連通孔38aに連通する燃料ガス入口マニホールド116a、酸化剤ガス出口連通孔36bに連通する酸化剤ガス出口マニホールド114b、及び燃料ガス出口連通孔38bに連通する燃料ガス出口マニホールド116bが設けられる。エンドプレート18bには、冷却媒体入口連通孔40aに連通する冷却媒体入口マニホールド118aと、冷却媒体出口連通孔40bに連通する冷却媒体出口マニホールド118bとが設けられる。
このように構成される第1燃料電池10Aの動作について、以下に説明する。
先ず、図2に示すように、酸化剤ガス入口連通孔36aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されると共に、燃料ガス入口連通孔38aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔40aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔36aから第1セパレータ24Aにおける第2セパレータ部材28bの第2酸化剤ガス流路74及び第2セパレータ24Bの第1酸化剤ガス流路56に導入される(図4及び図6参照)。この酸化剤ガスは、第2酸化剤ガス流路74に沿って矢印C方向(重力方向)に移動し、第1電解質膜・電極構造体26aのカソード側電極34に供給されると共に、第1酸化剤ガス流路56に沿って矢印C方向に移動し、第2電解質膜・電極構造体26bのカソード側電極34に供給される(図2参照)。換言すれば、第1酸化剤ガス流路56及び第2酸化剤ガス流路74は、酸化剤ガスを、第1電解質膜・電極構造体26a及び第2電解質膜・電極構造体26bの各カソード側電極34の面に沿って流通させることで、酸化剤ガスを、第1電解質膜・電極構造体26a及び第2電解質膜・電極構造体26bの各カソード側電極34に供給する。
一方、燃料ガスは、図2及び図4に示すように、燃料ガス入口連通孔38aから第1セパレータ24Aにおける第1セパレータ部材28aと第2セパレータ24Bとの間に形成された通路92a、106aに導入される。通路92aに導入された燃料ガスは、外側供給孔部90aを通って第1セパレータ24Aにおける第1セパレータ部材28aの面P1am側に移動する。さらに、燃料ガスは、通路92bを通って内側供給孔部90bから面P1ap側に導入される。
このため、燃料ガスは、入口バッファ部46に送られ、第1燃料ガス流路44に沿って重力方向(矢印C方向)に移動し、第2電解質膜・電極構造体26bのアノード側電極32に供給される。本実施の形態では、酸化剤ガスと燃料ガスは同じ方向に流通するが、互いに対向する方向に流通させてもよい。
また、通路106aに導入された燃料ガスは、図5に示すように、供給孔部104を通って第2セパレータ24Bの面P2p側に移動する。このため、燃料ガスは、面P2p側で入口バッファ部66に供給された後、第2燃料ガス流路64に沿って矢印C方向に移動し、第1電解質膜・電極構造体26aのアノード側電極32に供給される(図2及び図5参照)。
換言すれば、第1燃料ガス流路44及び第2燃料ガス流路64は、燃料ガスを、第1電解質膜・電極構造体26a及び第2電解質膜・電極構造体26bの各アノード側電極32の面に沿って流通させることで、燃料ガスを、第1電解質膜・電極構造体26a及び第2電解質膜・電極構造体26bの各アノード側電極32に供給する。
従って、第1及び第2電解質膜・電極構造体26a、26bでは、カソード側電極34に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極32に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
次いで、第1及び第2電解質膜・電極構造体26a、26bの各カソード側電極34に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔36bに沿って矢印A方向に排出される。
第2電解質膜・電極構造体26bのアノード側電極32に供給されて消費された燃料ガスは、図2に示すように、出口バッファ部48から内側排出孔部94bを通って第1セパレータ24Aにおける第1セパレータ部材28aの面P1am側に導出される。
面P1am側に導出された燃料ガスは、外側排出孔部94aに導入され、再度、面P1ap側に移動する。このため、燃料ガスは、外側排出孔部94aから通路96aを通って燃料ガス出口連通孔38bに排出される。
また、第1電解質膜・電極構造体26aのアノード側電極32に供給されて消費された燃料ガスは、出口バッファ部68から排出孔部108を通って面P2m側に移動する。この燃料ガスは、図5に示すように、通路106bを通って燃料ガス出口連通孔38bに排出される。
一方、冷却媒体入口連通孔40aに供給された冷却媒体は、図2に示すように、第1セパレータ24Aにおける第1セパレータ部材28aと第2セパレータ部材28bとの間に形成された冷却媒体流路52に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、第1及び第2電解質膜・電極構造体26a、26bを冷却した後、冷却媒体出口連通孔40bに排出される。
そして、この第1燃料電池10Aでは、例えば図2に示すように、各第1セパレータ24Aの第1セパレータ部材28aのうち、酸化剤ガス入口連通孔36aの付近にそれぞれ第1セル電圧端子120を設け、各第2セパレータ24Bのうち、酸化剤ガス出口連通孔36bの付近に第2セル電圧端子122を設ける。第1セル電圧端子120は、第2セパレータ部材28bの酸化剤ガス入口連通孔36aの付近に設けてもよい。
すなわち、第1発電セル12Aにおいて、第1セパレータ24Aにおける第1セパレータ部材28a(又は第2セパレータ部材28b)の酸化剤ガス入口連通孔36aの付近に設けられた第1セル電圧端子120は、酸化剤ガス流路の入口付近に位置し、第2セパレータ24Bの酸化剤ガス出口連通孔36bの付近に設けられた第2セル電圧端子122は、酸化剤ガス流路の出口付近に位置する。同様に、第2発電セル12Bにおいて、第1セパレータ部材28a(又は第2セパレータ部材28b)の酸化剤ガス入口連通孔36aの付近に設けられた第1セル電圧端子120は、酸化剤ガス流路の入口付近に位置し、第2セパレータ24Bの酸化剤ガス出口連通孔36bの付近に設けられた第2セル電圧端子122は、酸化剤ガス流路の出口付近に位置する。
この場合、第1セル電圧端子120を、第1セパレータ24Aの第1セパレータ部材28a(又は第2セパレータ部材28b)のうち、酸化剤ガス入口連通孔36aに最も近い第1コーナー部C1に設け、第2セル電圧端子122を、第2セパレータ24Bのうち、酸化剤ガス出口連通孔36bに最も近い第2コーナー部C2に設ける。つまり、第1セパレータ部材28a(又は第2セパレータ部材28b)のうち、第1コーナー部C1(第1セル電圧端子120を有する)と対角関係にあるコーナー部を他のコーナー部Caとしたとき、第2セル電圧端子122を、第2セパレータ24Bのうち、他のコーナー部Caと対向する第2コーナー部C2に設ける。
第1セル電圧端子120を第1コーナー部C1に設ける形態としては、図7Aに示すように、第1コーナー部C1のうち、1つの側面La(長辺)から外方(水平方向:B方向)に突出する第1セル電圧端子120を設けるようにしてもよいし、図7Bに示すように、第1コーナー部C1のうち、他の側面Lb(短辺)から外方(垂直方向:C方向)に突出する第1セル電圧端子120を設けるようにしてもよい。
もちろん、図7Cに示すように、第1コーナー部C1のうち、1つの側面La(長辺)に切欠き124を設け、該切欠き124の底部124aから外方(水平方向:B方向)に突出する第1セル電圧端子120を設けるようにしてもよいし、図7Dに示すように、第1コーナー部C1のうち、他の側面Lb(短辺)に切欠き124を設け、該切欠き124の底部124aから外方(垂直方向:C方向)に突出する第1セル電圧端子120を設けるようにしてもよい。
あるいは、図8A〜図8Cに示すように、第1コーナー部C1の2つの側面La及びLbにわたって切欠き126を設け、該切欠き126の底部126aから外方(水平方向、垂直方向又は斜め方向)に突出する第1セル電圧端子120を設けるようにしてもよい。
同様に、第2セル電圧端子122を第2コーナー部C2に設ける形態としては、図9Aに示すように、第2コーナー部C2のうち、1つの側面Lc(長辺)から外方(水平方向:B方向)に突出する第2セル電圧端子122を設けるようにしてもよいし、図9Bに示すように、第2コーナー部C2のうち、他の側面Ld(短辺)から外方(垂直方向:C方向)に突出する第2セル電圧端子122を設けるようにしてもよい。
もちろん、図9Cに示すように、第2コーナー部C2のうち、1つの側面Lc(長辺)に切欠き124を設け、該切欠き124の底部124aから外方(水平方向:B方向)に突出する第2セル電圧端子122を設けるようにしてもよいし、図9Dに示すように、第2コーナー部C2のうち、他の側面Ld(短辺)に切欠き124を設け、該切欠き124の底部124aから外方(垂直方向:C方向)に突出する第2セル電圧端子122を設けるようにしてもよい。
あるいは、図10A〜図10Cに示すように、第2コーナー部C2の2つの側面Lc及びLdにわたって切欠き126を設け、該切欠き126の底部126aから外方(水平方向、垂直方向又は斜め方向)に突出する第2セル電圧端子122を設けるようにしてもよい。
各第1セル電圧端子120及び各第2セル電圧端子122は、それぞれ配線を通じて監視制御部16(図1、図11及び図15参照)に電気的に接続される。
監視制御部16は、2つの形態(第1形態及び第2形態)を有する。第1形態に係る監視制御部16は、図11に示すように、電圧検出部128と、第1運転制御部130Aとを有する。第2形態に係る監視制御部16は、図15に示すように、電圧差検出部132と、第2運転制御部130Bとを有する。
先ず、第1形態に係る監視制御部16について図11〜図14を参照しながら説明する。
先ず、図12に模式的に示すように、第1燃料電池10Aを構成する複数の第1発電セル12A及び複数の第2発電セル12Bについて、プラス端子22pからマイナス端子22mに向かって、第1発電セル12A1、12A2、・・・12An、第2発電セル12B1、12B2、・・・12Bnと定義し、複数の第1セル電圧端子120及び複数の第2セル電圧端子122について、プラス端子22pからマイナス端子22mに向かって、第1セル電圧端子1201、1202、・・・120n+1、第2セル電圧端子1221、1222、・・・122nと定義し、複数の第1セパレータ24A及び複数の第2セパレータ24Bについて、プラス端子22pからマイナス端子22mに向かって、第1セパレータ24A1、24A2、・・・24An+1、第2セパレータ24B1、24B2、・・・24Bnと定義する。
なお、第1セパレータ24Aの第1セパレータ部材28aと第2セパレータ部材28bは、第1セパレータ部材28aにおける第1燃料ガス流路44の裏面形状(波形状)と、第2セパレータ部材28bにおける第2酸化剤ガス流路74の裏面形状(波形状)との重ね合わせにより、冷却媒体流路52を形成しているため、同電位となる。従って、電位的には、第1セパレータ部材28aと第2セパレータ部材28bは同一であり、1つの第1セパレータ24Aとしてみることができる。
また、図13に、第1セル電圧端子1201、1202、・・・120n+1の各電位Va1、Va2、・・・Van+1と、第2セル電圧端子1221、1222、・・・122nの各電位Vb1、Vb2、・・・Vbn+1と、第1セパレータ24A1、24A2、・・・24An+1の電位プロファイルPa1、Pa2、・・・Pan+1と、第2セパレータ24B1、24B2、・・・24Bn+1の電位プロファイルPb1、Pb2、・・・Pbnを示す。
そして、電圧検出部128は、第1セル電圧端子120と第2セル電圧端子122間の電圧(セル電圧)を検出する。具体的には、例えば図12及び図13の例では、第1発電セル12A1のセル電圧値V1(1)を、第1セル電圧端子1201と第2セル電圧端子1221間の電圧|Va1−Vb1|を測定することにより検出し、第2発電セル12B1のセル電圧値V2(1)を、第2セル電圧端子1221と第1セル電圧端子1202間の電圧|Vb1−Va2|を測定することにより検出し、同様に、第1発電セル12Anのセル電圧値V1(n)を、第1セル電圧端子120nと第2セル電圧端子122n間の電圧|Van−Vbn|を測定することにより検出し、第2発電セル12Bnのセル電圧値V2(n)を、第2セル電圧端子122nと第1セル電圧端子120n+1間の電圧|Vbn−Van+1|を測定することにより検出する。
特に、第1燃料電池10Aでは、第1セル電圧端子120を第1セパレータ24Aにおける第1セパレータ部材28aの酸化剤ガス入口連通孔36a付近の第1コーナー部C1に設け、第2セル電圧端子122を第2セパレータ24Bの酸化剤ガス出口連通孔36b付近の第2コーナー部C2に設けるようにしているため、第1セル電圧端子120に現れる電位は酸化剤ガス入口連通孔36a付近の電位であり、第2セル電圧端子122に現れる電位は酸化剤ガス出口連通孔36b付近の電位である。従って、ある特定のセパレータにおいて、電流集中が起きると、図13に示すように、特定のセパレータと、それに隣接するセパレータの各電位プロファイルが平坦でなくなり、ある傾きを持つこととなるが、この傾きによる電位変化が第2セル電圧端子122の電位に反映することになる。つまり、電流集中が発生した特定のセパレータと、それに隣接するセパレータの各電位プロファイルの傾きが、特定のセパレータに隣接する発電セルのセル電圧に反映することとなる。
例えば図12において、第1発電セル12A2のセパレータにおいて電流集中が発生した場合、図13に示すように、第1発電セル12A2のセル電圧値V1(2)が極端に低下し、下流側に隣接する第2発電セル12B2のセル電圧値V2(2)がそれに伴って極端に増加することとなる。
このことから、予め電流集中が発生しないセル電圧の許容範囲(上限電圧値及び下限電圧値)を設定しておけば、検出したセル電圧(検出電圧値)が許容範囲から逸脱しているかどうか監視することで、電流集中の発生の有無を簡単に検出することができる。
一方、第1運転制御部130Aは、図11に示すように、第1比較部134Aと、第2比較部134Bと、第1カソードストイキ制御部136Aと、第1負荷低減制御部138Aとを有する。
第1比較部134Aは、電圧検出部128にて検出されたセル電圧値Vと許容範囲の上限電圧値Vtha及び下限電圧値Vthbとを比較し、セル電圧値Vが上限電圧値Vthaを超える又は下限電圧値Vthb未満の場合に第1異常信号S1を出力する。
第1カソードストイキ制御部136Aは、第1比較部134Aからの第1異常信号S1の入力に基づいて、酸化剤ガス供給系140を駆動してカソードストイキアップ(ストイキ上昇)のための制御を行う。これによって、酸化剤ガスの流量が増加する。
第2比較部134Bは、第1カソードストイキ制御部136Aによるカソードストイキアップが行われた後に起動され、電圧検出部128にて検出されたセル電圧値Vと許容範囲の上限電圧値Vtha及び下限電圧値Vthbとを比較し、セル電圧値Vが上限電圧値Vthaを超える又は下限電圧値Vthb未満の場合に第2異常信号S2を出力する。
第1負荷低減制御部138Aは、第2比較部134Bからの第2異常信号S2の入力に基づいて、負荷を低減する制御を行う。具体的には、発電電力の設定値Pgを下げる処理を行う。
次に、上述した第1形態に係る監視制御部16による燃料電池の運転制御について図14のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、図14のステップS1において、電圧検出部128は、全ての発電セル12のセル電圧値Vを検出して、全ての発電セル12のセル電圧値Vを例えば図示しないメモリのデータファイルに記憶(上書き)する。
ステップS2において、第1比較部134Aは、データファイルに記憶されたセル電圧値Vと、許容範囲(上限電圧値Vtha及び下限電圧値Vthb)とを比較する。
ステップS3において、第1比較部134Aは、許容範囲を逸脱するセル電圧値Vがあるか否かを判別する。全てのセル電圧値Vが許容範囲にある場合は、ステップS1に戻り、該ステップS1以降の処理を繰り返す。
一方、許容範囲を逸脱するセル電圧値Vが存在する場合、すなわち、上限電圧値Vthaを超えるセル電圧値Vが存在する、あるいは下限電圧値Vthb未満のセル電圧値Vが存在する場合は、ステップS4に進み、第1比較部134Aは、第1異常信号S1を第1カソードストイキ制御部136Aに出力する。
ステップS5において、第1カソードストイキ制御部136Aは、第1異常信号S1の入力に基づいて酸化剤ガス供給系140を駆動してカソードストイキアップのための制御を行う。これによって、酸化剤ガスの流量が増加する。
その後、ステップS6において、電圧検出部128は、再び全ての発電セル12のセル電圧値Vを検出して、全ての発電セル12のセル電圧値Vを例えば図示しないメモリのデータファイルに記憶(上書き)する。
ステップS7において、第2比較部134Bは、データファイルに記憶されたセル電圧値Vと、許容範囲(上限電圧値Vtha及び下限電圧値Vthb)とを比較する。
ステップS8において、第2比較部134Bは、許容範囲を逸脱するセル電圧値Vがあるか否かを判別する。全てのセル電圧値Vが許容範囲にある場合は、ステップS1に戻り、該ステップS1以降の処理を繰り返す。
一方、許容範囲を超えたセル電圧値Vが存在する場合は、ステップS9に進み、第2異常信号S2を第1負荷低減制御部138Aに出力する。
ステップS10において、第1負荷低減制御部138Aは、第2異常信号S2の入力に基づいて発電電力の設定値Pgを下げる処理を行って、負荷を低減する制御を行う。
ステップS11において、燃料電池の運転の終了要求(電源断、メンテナンス要求等)があるか否かを判別する。終了要求がなければ、ステップS1に戻り、該ステップS1以降の処理を繰り返す。終了要求があった段階で、第1形態に係る監視制御部16による燃料電池の運転制御が終了する。
次に、第2形態に係る監視制御部16について図15〜図17を参照しながら説明する。
第2形態に係る監視制御部16は、図15に示すように、電圧差検出部132と、第2運転制御部130Bとを有する。
電圧差検出部132は、隣接する2つの発電セル12における各一対のセル電圧端子120及び122間の電圧の差dVを検出する。具体的には、例えば図16に示すように、第1セル電圧端子1201と第2セル電圧端子1221間のセル電圧値V1(1)と、第2セル電圧端子1221と第1セル電圧端子1202間のセル電圧値V2(1)との差をとることにより、第1発電セル12A1−第2発電セル12B1間の電圧差(絶対値)|dV11|を検出し、第2セル電圧端子1221と第1セル電圧端子1202間のセル電圧値V2(1)と、第1セル電圧端子1202と第2セル電圧端子1222間のセル電圧値V1(2)との差をとることにより、第1発電セル12A2−第2発電セル12B1間の電圧差|dV12|を検出し、同様に、第2セル電圧端子122n−1と第1セル電圧端子120n間のセル電圧値V2(n−1)と、第1セル電圧端子120nと第2セル電圧端子122n間のセル電圧値V1(n)との差をとることにより、第2発電セル12Bn−1−第1発電セル12An間の電圧差|dVn−1n|を検出し、第1セル電圧端子120nと第2セル電圧端子122n間のセル電圧値V1(n)と、第2セル電圧端子122nと第1セル電圧端子120n+1間のセル電圧値V2(n)との差をとることにより、第1発電セル12An−第2発電セル12Bn間の電圧差|dVnn|を検出する。
そして、例えば図16に示すように、正常な発電セル、例えば第1発電セル12A1のセル電圧値V1(1)と第2発電セル12B1のセル電圧値V2(1)はほぼ同じ電圧値であることから、これらの電圧差|dV11|はほぼ0Vとなる。ここで、例えば第1発電セル12A2のセパレータにおいて電流集中が発生した場合、第1発電セル12A2のセル電圧値V1(2)が極端に低下し、下流側に隣接する第2発電セル12B2のセル電圧値V2(2)がそれに伴って極端に増加することとなる。これにより、第1発電セル12A2のセル電圧値V1(2)と第2発電セル12B2のセル電圧値V2(2)との電圧差|dV22|は、正常の場合と比して大幅に増加することとなる。
このことから、予め電流集中が発生しない電圧差(絶対値)の例えば上限値をしきい値Vthとして設定しておけば、検出した電圧差(絶対値)がしきい値Vthから逸脱しているかどうか監視することで、電流集中の発生の有無を簡単に検出することができる。
一方、第2運転制御部130Bは、図15に示すように、第3比較部134Cと、第4比較部134Dと、第2カソードストイキ制御部136Bと、第2負荷低減制御部138Bとを有する。
第3比較部134Cは、電圧差検出部132にて検出された電圧差(絶対値)|dV|としきい値Vthとを比較し、しきい値Vthを超える電圧差|dV|が存在する場合に第3異常信号S3を出力する。
第2カソードストイキ制御部136Bは、第3比較部134Cからの第3異常信号S3の入力に基づいて、酸化剤ガス供給系140を駆動してカソードストイキアップのための制御を行う。これによって、酸化剤ガスの流量が増加する。
第4比較部134Dは、第2カソードストイキ制御部136Bによるカソードストイキアップが行われた後に起動され、電圧差検出部132にて検出された電圧差|dV|としきい値Vthとを比較し、しきい値Vthを超える電圧差|dV|が存在する場合に第4異常信号S4を出力する。
第2負荷低減制御部138Bは、第4比較部134Dからの第4異常信号S4の入力に基づいて、負荷を低減する制御を行う。具体的には、発電電力の設定値Pgを下げる処理を行う。
次に、上述した第2形態に係る監視制御部16による燃料電池の運転制御について図17のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、図17のステップS101において、電圧差検出部132は、全ての隣接する発電セル12間のセル電圧値Vの差(電圧差|dV|)を検出して、全ての電圧差|dV|を例えば図示しないメモリのデータファイルに記憶(上書き)する。
ステップS102において、第3比較部134Cは、データファイルに記憶された電圧差|dV|と、しきい値Vthとを比較する。
ステップS103において、第3比較部134Cは、しきい値Vthを超える電圧差|dV|があるか否かを判別する。全ての電圧差|dV|がしきい値Vth以下である場合は、ステップS101に戻り、該ステップS101以降の処理を繰り返す。
一方、しきい値Vthを超える電圧差|dV|が存在する場合は、ステップS104に進み、第3比較部134Cは、第3異常信号S3を第2カソードストイキ制御部136Bに出力する。
ステップS105において、第2カソードストイキ制御部136Bは、第3異常信号S3の入力に基づいて酸化剤ガス供給系140を駆動してカソードストイキアップのための制御を行う。これによって、酸化剤ガスの流量が増加する。
その後、ステップS106において、電圧差検出部132は、再び全ての隣接する発電セル12間の電圧差|dV|を検出して、全ての電圧差|dV|を例えば図示しないメモリのデータファイルに記憶(上書き)する。
ステップS107において、第4比較部134Dは、データファイルに記憶された電圧差|dV|と、しきい値Vthとを比較する。
ステップS108において、第4比較部134Dは、しきい値Vthを超える電圧差|dV|があるか否かを判別する。全ての電圧差|dV|がしきい値Vth以下である場合は、ステップS101に戻り、該ステップS101以降の処理を繰り返す。
一方、しきい値Vthを超える電圧差|dV|が存在する場合は、ステップS109に進み、第4比較部134Dは、第4異常信号S4を第2負荷低減制御部138Bに出力する。
ステップS110において、第2負荷低減制御部138Bは、第4異常信号S4の入力に基づいて発電電力の設定値Pgを下げる処理を行って、負荷を低減する制御を行う。
ステップS111において、燃料電池の運転の終了要求(電源断、メンテナンス要求等)があるか否かを判別する。終了要求がなければ、ステップS101に戻り、該ステップS101以降の処理を繰り返す。終了要求があった段階で、第2形態に係る監視制御部16による燃料電池の運転制御が終了する。
このように、第1燃料電池10Aにおいては、第1セパレータ24Aにおける第1セパレータ部材28aの酸化剤ガス入口連通孔36a付近に第1セル電圧端子120を設け、第2セパレータ24Bの酸化剤ガス出口連通孔36b付近に第2セル電圧端子122を設けるようにしている。そのため、第1セル電圧端子120と第2セル電圧端子122の電位差から発電セル12のセル電圧値Vを検出することができる。
そして、ある特定のセパレータの例えば酸化剤ガス入口連通孔36aで電流集中が発生すると、該特定のセパレータと、それに隣接するセパレータの各電位プロファイルが平坦でなくなり、ある傾きを持つこととなるが、第1燃料電池10Aでは、この傾きをセル電圧値Vに反映させることができる。従って、予め電流集中が発生しないセル電圧値Vの許容範囲(上限電圧値Vtha及び下限電圧値Vthb)を設定しておき、検出したセル電圧値Vが許容範囲から逸脱しているかどうか監視することで、電流集中の発生の有無を簡単に検出することができる。
あるいは、隣接する2つの発電セル12間におけるセル電圧の差(電圧差|dV|)を検出する場合は、予め電流集中が発生しない電圧差|dV|の例えば上限値をしきい値Vthとして設定しておけば、検出した電圧差|dV|がしきい値Vthから逸脱しているかどうか監視することで、電流集中の発生の有無を簡単に検出することができる。
しかも、電流集中の発生を検出した場合に、第1運転制御部130Aあるいは第2運転制御部130Bによって、早期に、カソードストイキアップを行うことができるため、燃料電池スタック14の劣化を防止することができる。また、カソードストイキアップを行っても正常状態に戻らない場合に、第1運転制御部130Aあるいは第2運転制御部130Bによって、負荷を低減する制御を行うようにすることで、より確実に、電流集中による燃料電池スタック14の劣化を防止することができる。
すなわち、第1燃料電池10Aにおいては、セパレータの電流密度分布の偏在を簡単に検出して、発電状況をより正確に検知することができ、燃料電池スタック14の劣化を防ぐ運転状態を維持させることが可能になると共に、耐久性の向上を図ることができる。
特に、第1セル電圧端子120を、第1セパレータ24Aの第1セパレータ部材28aのうち、酸化剤ガス入口連通孔36aに最も近い第1コーナー部C1に設け、第2セル電圧端子122を、第2セパレータ24Bのうち、酸化剤ガス出口連通孔36bに最も近い第2コーナー部C2に設けるようにしたので、ある特定のセパレータの面内に電流が流れた場合でも、セル電圧値Vを監視することで、簡単に電流集中が発生したことを検知することができる。
また、少なくとも一方のセパレータ(この例では、第1セパレータ24A)を、2つのセパレータ部材(第1セパレータ部材28a及び第2セパレータ部材28b)にて構成し、2つのセパレータ部材の間に冷却媒体流路52を設けることで、発電セル12毎に冷却を行う構造(後述する)や、上述したように、隣接する第1単位セル及び第2単位セルの組み合わせ毎に冷却を行う構造(いわゆる間引き冷却構造)を構成することができる。
次に、第2の実施の形態に係る燃料電池(以下、第2燃料電池10Bと記す)について図18〜図21を参照しながら説明する。図18は、図2(第1燃料電池10A)に対応して示す分解斜視図であり、図19は、図12(第1燃料電池10A)に対応して示す模式図であり、図20は、図13(第1燃料電池10A)に対応して示すセパレータの面内の電位プロファイルを示す説明図であり、図21は、図16(第1燃料電池10A)に対応して示すセパレータの面内の電位プロファイルを示す説明図である。
この第2燃料電池10Bは、上述した第1燃料電池10Aとほぼ同様の構成を有するが、図18及び図19に示すように、第1セル電圧端子120及び第2セル電圧端子122の設置が逆になっており、各第1セパレータ24Aの第1セパレータ部材28a(又は第2セパレータ部材28b)のうち、酸化剤ガス出口連通孔36bの付近にそれぞれ第2セル電圧端子122を設け(第1セル電圧端子120は設けない)、各第2セパレータ24Bのうち、酸化剤ガス入口連通孔36aの付近に第1セル電圧端子120を設ける(第2セル電圧端子122は設けない)。
すなわち、第1発電セル12Aにおいて、第1セパレータ24Aにおける第1セパレータ部材28a(又は第2セパレータ部材28b)の酸化剤ガス出口連通孔36bの付近に設けられた第2セル電圧端子122は、酸化剤ガス流路の出口付近に位置し、第2セパレータ24Bの酸化剤ガス入口連通孔36aの付近に設けられた第1セル電圧端子120は、酸化剤ガス流路の入口付近に位置する。同様に、第2発電セル12Bにおいて、第1セパレータ部材28a(又は第2セパレータ部材28b)の酸化剤ガス出口連通孔36bの付近に設けられた第2セル電圧端子122は、酸化剤ガス流路の出口付近に位置し、第2セパレータ24Bの酸化剤ガス入口連通孔36aの付近に設けられた第1セル電圧端子120は、酸化剤ガス流路の入口付近に位置する。
この第2燃料電池10Bにおいても、図7A〜図10Cに示す形態と同様に第1セル電圧端子120及び第2セル電圧端子122を設けるようにしてもよい。
監視制御部16は、上述した第1燃料電池10Aにおける第1形態に係る監視制御部16や、第2形態に係る監視制御部16を用いることができる。
第1形態に係る監視制御部16を用いた場合、電圧検出部128は、第1セル電圧端子120と第2セル電圧端子122間の電圧(セル電圧値V)を検出する。すなわち、図19及び図20の例では、第1発電セル12A1のセル電圧値V1(1)を、第2セル電圧端子1221と第1セル電圧端子1201間の電圧|Vb1−Va1|を測定することにより検出し、第2発電セル12B1のセル電圧値V2(1)を、第1セル電圧端子1201と第2セル電圧端子1222間の電圧|Va1−Vb2|を測定することにより検出し、同様に、第1発電セル12Anのセル電圧値V1(n)を、第2セル電圧端子122nと第1セル電圧端子120n間の電圧|Vbn−Van|を測定することにより検出し、第2発電セル12Bnのセル電圧値V2(n)を、第1セル電圧端子120nと第2セル電圧端子122n+1間の電圧|Vbn−Van+1|を測定することにより検出する。
特に、第2燃料電池10Bでは、第1セル電圧端子120を第2セパレータ24Bにおける酸化剤ガス入口連通孔36a付近の第1コーナー部C1に設け、第2セル電圧端子122を第1セパレータ24Aにおける第1セパレータ部材28aの酸化剤ガス出口連通孔36b付近の第2コーナー部C2に設けるようにしているため、ある特定のセパレータにおいて、電流集中が起きると、図20に示すように、特定のセパレータと、それに隣接するセパレータの各電位プロファイルが平坦でなくなり、ある傾きを持つこととなるが、この傾きによる電位変化が第2セル電圧端子122の電位に反映することになる。つまり、電流集中が発生した特定のセパレータと、それに隣接するセパレータの各電位プロファイルの傾きが、特定のセパレータに隣接する発電セルのセル電圧に反映することとなる。
例えば図19において、第1発電セル12A2のセパレータにおいて電流集中が発生した場合、第1発電セル12A2のセル電圧値V1(2)が極端に低下し、上流側に隣接する第2発電セル12B1のセル電圧値V2(1)がそれに伴って極端に増加することとなる。
このことから、予め電流集中が発生しないセル電圧の許容範囲を設定しておけば、検出したセル電圧が許容範囲から逸脱しているかどうか監視することで、電流集中の発生の有無を簡単に検出することができる。
一方、第2形態に係る監視制御部16を用いた場合、電圧差検出部132は、隣接する2つの発電セル12における各一対のセル電圧端子120及び122間の電圧の差dVを検出する。具体的には、例えば図21に示すように、第1セル電圧端子1201と第2セル電圧端子1221間のセル電圧値V1(1)と、第2セル電圧端子1222と第1セル電圧端子1201間のセル電圧値V2(1)との差をとることにより、第1発電セル12A1−第2発電セル12B1間の電圧差(絶対値)|dV11|を検出し、第2セル電圧端子1222と第1セル電圧端子1201間のセル電圧値V2(1)と、第1セル電圧端子1202と第2セル電圧端子1222間のセル電圧値V1(2)との差をとることにより、第1発電セル12A2−第2発電セル12B1間の電圧差|dV12|を検出し、同様に、第2セル電圧端子122nと第1セル電圧端子120n−1間のセル電圧値V2(n−1)と、第1セル電圧端子120nと第2セル電圧端子122n間のセル電圧値V1(n)との差をとることにより、第2発電セル12Bn−1−第1発電セル12An間の電圧差|dVn−1n|を検出し、第1セル電圧端子120nと第2セル電圧端子122n間のセル電圧値V1(n)と、第2セル電圧端子122n+1と第1セル電圧端子120n間のセル電圧値V2(n)との差をとることにより、第1発電セル12An−第2発電セル12Bn間の電圧差|dVnn|を検出する。
そして、例えば図21に示すように、例えば第1発電セル12A2のセパレータにおいて電流集中が発生した場合、第1発電セル12A2のセル電圧値V1(2)が極端に低下し、上流側に隣接する第2発電セル12B1のセル電圧値V2(1)がそれに伴って極端に増加することとなる。これにより、第2発電セル12B1のセル電圧値V2(1)と第1発電セル12A2のセル電圧値V1(2)との電圧差|dV12|は、正常の場合と比して大幅に増加することとなる。
このことから、予め電流集中が発生しない電圧差(絶対値)の例えば上限値をしきい値Vthとして設定しておけば、検出した電圧差(絶対値)がしきい値Vthから逸脱しているかどうか監視することで、電流集中の発生の有無を簡単に検出することができる。
なお、第1形態及び第2形態に係る監視制御部16の構成並びに第1形態及び第2形態に係る運転制御の処理動作は、第1燃料電池10Aと同じであるため、重複説明を省略する。
このように、第2燃料電池10Bにおいても、上述した第1燃料電池10Aと同様に、セパレータの電流密度分布の偏在を簡単に検出して、発電状況をより正確に検知することができ、燃料電池の劣化を防ぐ運転状態を維持させることが可能になると共に、耐久性の向上を図ることができる。
次に、第3の実施の形態に係る燃料電池(以下、第3燃料電池10Cと記す)について図22を参照しながら説明する。
この第3燃料電池10Cは、上述した第1燃料電池10Aとほぼ同様の構成を有するが、燃料電池スタック14の構成、特に、第1セル電圧端子120及び第2セル電圧端子122を多く設けた点で異なる。
すなわち、図22に示すように、各第1セパレータ24Aの第1セパレータ部材28a(又は第2セパレータ部材28b)及び第2セパレータ24Bにおける酸化剤ガス入口連通孔36aの付近にそれぞれ第1セル電圧端子120を設け、酸化剤ガス出口連通孔36bの付近にそれぞれ第2セル電圧端子122を設ける。つまり、第1燃料電池10Aの端子配置と第2燃料電池10Bの端子配置とを組み合わせた端子配置となっている。
従って、この第3燃料電池10Cが搭載される機器の仕様等に応じて、第1燃料電池10Aとして用いるか、第2燃料電池10Bとして用いるかを適宜選択することができる。
次に、第4の実施の形態に係る燃料電池(以下、第4燃料電池10Dと記す)について図23を参照しながら説明する。
この第4燃料電池10Dは、上述した第1燃料電池10Aとほぼ同様の構成を有するが、第2セパレータ24Bに代えて、第1セパレータ24Aを有する点で異なり、発電セル12毎に冷却を行う構造となっている。
そして、この第4燃料電池10Dでは、図23に示すように、第1発電セル12Aを構成する一対の第1セパレータ24Aで見た場合は、プラス端子側に位置する第1セパレータ24Aの第1セパレータ部材28a(又は第2セパレータ部材28b)の酸化剤ガス入口連通孔36aの付近にそれぞれ第1セル電圧端子120を設け、マイナス端子側に位置する第1セパレータ24Aの第1セパレータ部材28a(又は第2セパレータ部材28b)の酸化剤ガス出口連通孔36bの付近にそれぞれ第2セル電圧端子122を設ける。
第2発電セル12Bを構成する一対の第1セパレータ24Aで見た場合は、マイナス端子側に位置する第1セパレータ24Aの第1セパレータ部材28a(又は第2セパレータ部材28b)の酸化剤ガス入口連通孔36aの付近にそれぞれ第1セル電圧端子120を設け、プラス端子側に位置する第1セパレータ24Aの第1セパレータ部材28a(又は第2セパレータ部材28b)の酸化剤ガス出口連通孔36bの付近にそれぞれ第2セル電圧端子122を設ける。
この第4燃料電池10Dにおいても、図7A〜図10Cに示す形態と同様の形態で第1セル電圧端子120及び第2セル電圧端子122を設けるようにしてもよい。
監視制御部16は、上述した第1燃料電池10Aにおける第1形態に係る監視制御部16や、第2形態に係る監視制御部16を用いることができる。
すなわち、第1形態に係る監視制御部16を用いた場合、電圧検出部128は、第1セル電圧端子120と第2セル電圧端子122間の電圧(セル電圧値V)を検出する。そして、第1燃料電池10Aと同様に、予め電流集中が発生しないセル電圧値Vの許容範囲を設定しておけば、検出したセル電圧値Vが許容範囲から逸脱しているかどうか監視することで、電流集中の発生の有無を簡単に検出することができる。
また、第2形態に係る監視制御部16を用いた場合、電圧差検出部132は、隣接する2つの発電セル12における各一対のセル電圧端子120及び122間の電圧の差(電圧差|dV|)を検出する。そして、予め電流集中が発生しない電圧差|dV|の例えば上限値をしきい値Vthとして設定しておけば、検出した電圧差|dV|がしきい値Vthから逸脱しているかどうか監視することで、電流集中の発生の有無を簡単に検出することができる。
従って、この第4燃料電池10Dにおいても、上述した第1燃料電池10Aと同様に、セパレータの電流密度分布の偏在を簡単に検出して、発電状況をより正確に検知することができ、燃料電池の劣化を防ぐ運転状態を維持させることが可能になると共に、耐久性の向上を図ることができる。