JP5889266B2 - タービン - Google Patents

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Description

本発明は、タービンに関する。
内燃機関の出力を向上させるため、各種の過給機が使用されている。この過給機は、タービンと圧縮機とを同軸に取り付けた構成とされ、タービン側に導入した内燃機関の排気ガスをエネルギー源として圧縮機を駆動することにより、内燃機関に供給する空気を高密度に圧縮する機能を有している。
このタービンが備える動翼は、過給機を構成する他の部品に干渉することにより、破損することがある。特開2003−3804号公報には、タービン円板が破損したときに、破損したタービン円板の破片が、極めて大きな周速の下でもタービン車室から飛び出ないように形成された排気駆動過給機の軸流タービンが開示されている。
特開平10−47012号公報には、ノズルリングの簡単でかつ確実な固定が保証される排ガスターボ過給機の排ガスタービンが開示されている。その排ガスタービンは、ノズルリングが外リングでカバーリングに接しかつ内リングでガス入口ケーシングに接し、外リングとガス入口ケーシングとの間には軸方向の膨張ギャップが形成され、外リングとガス出口ケーシングとの間には半径方向の膨張ギャップが形成されている。
特開2003−3804号公報 特開平10−47012号公報
このような過給機は、圧縮された燃焼用空気を内燃機関に安定して供給することが望まれている。このため、タービンは、動翼が他の部品に干渉することを防止することが望まれている。
本発明の課題は、起動時に動翼が他の部品に干渉することを防止するタービンを提供することにある。
本発明の他の課題は、停止時に動翼が他の部品に干渉することを防止するタービンを提供することにある。
本発明によるタービンは、タービン半径方向において動翼よりも外側に配置されるシュラウドリングと、タービン半径方向において前記シュラウドリングよりも外側に隙間を設けて配置されるガス出口ディフューザーと、を備え、前記シュラウドリングは、前記ガス出口ディフューザーのガス入口側端部に設けられ、前記ガス出口ディフューザーは、その前記ガス入口側端部の外周に、前記動翼の回転軸を中心とする円周面上に形成された引っ掛け面を備え、前記シュラウドリングは、前記ガス出口ディフューザーにおける前記ガス入口側端部に重なるフランジ部分と、前記フランジ部分の外縁部に形成されて前記引っ掛け面の外周側に対向する引っ掛かり部分と、を備えている。
このようなタービンは、動翼とガス出口ディフューザーとシュラウドリングとが加熱されたときに、ガス出口ディフューザーより速くシュラウドリングが昇温し、隙間が狭くなるようにシュラウドリングが膨張する。このようなタービンは、ガス出口ディフューザーより速くシュラウドリングが膨張することにより、動翼がシュラウドリングに接触することを防止することができる。このようなタービンは、さらに、動翼とシュラウドリングとが冷却されたときに、引っ掛かり部分がガス出口ディフューザーに引っ掛かることにより、動翼より速くシュラウドリングが収縮することが防止され、シュラウドリングが動翼にシュラウドリングが接触することが防止される。
前記引っ掛かり部分は、前記動翼の回転軸を中心とする円周に沿って並べられる複数の突起から形成されている。
このような複数の突起は、動翼の回転軸を中心とする円周に沿って環状に形成されている他の引っ掛かり部分に比較して、より容易に作製されることができる。
本発明によるタービンは、前記フランジ部分を前記ガス出口ディフューザーに支持する支持部材をさらに備えている。
このようなタービンは、シュラウドリングがガス出口ディフューザーから外れることを防止し、シュラウドリングを所定の位置により確実に配置することができる。
本発明による過給機は、本発明によるタービンと、前記タービンにより生成された回転動力を用いて空気を圧縮することにより燃焼用空気を生成する圧縮機とを備えている。このような過給機は、前記タービンの動翼がシュラウドリングに接触することが防止されていることにより、燃焼用空気を安定して生成することができる。
本発明による船舶は、本発明による過給機と、前記過給機が空気を圧縮することにより生成された燃焼用空気を用いて動力を生成する内燃機関と、前記過給機と前記内燃機関とを搭載する船体と、前記動力を用いて前記船体を推進させる推進装置とを備えている。
このような船舶は、過給機が内燃機関に安定して燃焼用空気を供給することにより、内燃機関が安定して動力を生成することができ、安定して航行することができる。
本発明によるタービンは、動翼が他の部品に干渉することを防止することができる。
軸流タービンが利用される過給機を示す一部断面構成図である。 排気ガス案内筒を示す断面図である。 排ガスの温度変化とタービン翼の先端の位置変化とを示し、シュラウドリングの内径の位置変化を示すグラフである。 比較例の排気ガス案内筒を示す断面図である。 比較例のシュラウドリングの内径の位置変化を示すグラフである。
以下、本発明の第1実施形態に係るタービンを有する過給機(「排気タービン過給機」ともいう。)について、図1を参照しながら説明する。図1は、タービンを有する過給機を示す一部断面構成図である。過給機は、軸流式の軸流タービン10と圧縮機20とを備え、軸流タービン10に導入した内燃機関の排気ガスが膨張して得られる軸出力で同軸の圧縮機20を回転させ、高密度に圧縮した圧縮空気を内燃機関に供給するように構成されている。
軸流タービン10は、ロータ軸1とロータディスク2と動翼3とを備えている。ロータ軸1は、棒状に形成され、回転軸5を中心に回転可能に支持されている。ロータディスク2は、概ね円盤状に形成されている。ロータディスク2は、円盤の中央がロータ軸1の一端に接合されることにより、ロータ軸1に固定され、回転軸5を中心に回転可能に支持されている。動翼3は、翼形に形成され、複数形成されている。動翼3は、それぞれ、翼根がロータディスク2の外周に接合されることにより、ロータ軸1に固定され、回転軸5を中心に回転可能に支持されている。
軸流タービン10は、さらに、ガス入口ケーシング6とガス出口ケーシング7とを備えている。ガス入口ケーシング6は、ロータディスク2のロータ軸1側の反対側に配置され、すなわち、ガス入口ケーシング6とロータ軸1との間にロータディスク2が配置されるように、配置されている。ガス入口ケーシング6は、外側ケーシング11と内側ケーシング12とノズルリング14とを備えている。
外側ケーシング11は、中空である概ね管状に形成されている。外側ケーシング11は、管の傍らに排気ガス入口流路15が形成されている。内側ケーシング12は、概ね管状に形成され、外側ケーシング11の内側に配置されている。
ガス入口ケーシング6は、さらに、環状ガス通路18が形成されている。環状ガス通路18は、内側ケーシング12と外側ケーシング11との間に形成され、回転軸5を囲むように環状に形成されている。環状ガス通路18は、排気ガス入口流路15に接続されている。
ノズルリング14は、環状に形成されている。ノズルリング14は、動翼3のロータ軸1の側の反対側に配置され、すなわち、ノズルリング14とロータ軸1との間に動翼3が配置されるように、配置されている。ノズルリング14は、外周側部材21と内周側部材22とを備えている。外周側部材21は、管状に形成されている。内周側部材22は、外周側部材21より径が小さい管状に形成され、外周側部材21の内側に配置されている。ノズルリング14は、内周側部材22が内側ケーシング12に接合されることにより、ガス入口ケーシング6に固定されている。ノズルリング14は、回転軸5を囲む環状のノズルを形成している。
ガス出口ケーシング7は、中空に形成されている。ガス出口ケーシング7は、内部空間が、ガス入口ケーシング6により形成される環状ガス通路18と環状ガス通路18とに動翼3を介して接続されるように、外側ケーシング11のうちの動翼3に近い側の端に接合されている。ガス出口ケーシング7は、排気ガス案内筒61を備えている。排気ガス案内筒61は、概ね管状に形成され、ガス出口ケーシング7の内部に配置されている。排気ガス案内筒61は、管のうちのある部分の径が管のうちのその部分より動翼3に近い部分の径より大きくなるように、形成されている。
断熱材4は、断熱および防音の目的で設置されている。
排気ガス案内筒61は、図2に示されるように、ガス出口ディフューザー62とシュラウドリング63とボルト64(支持部材)とを備えている。ガス出口ディフューザー62は、排気ガス案内筒61の大部分を形成している。ガス出口ディフューザー62は、取り付け面65と雌ねじ66と引っ掛け面67とが形成されている。取り付け面65は、ガス出口ディフューザー62のうちのガス入口ケーシング6の側の端に形成され、回転軸5に垂直である平面に沿って形成されている。雌ねじ66は、取り付け面65に形成されている。引っ掛け面67は、取り付け面65の近傍に形成されている。引っ掛け面67は、回転軸5を中心とする円周面上に形成されている。
シュラウドリング63は、炭素鋼から形成され、機械加工により概ね管状に形成されている。シュラウドリング63の質量は、ガス出口ディフューザー62の質量より小さい。このため、シュラウドリング63の熱容量は、ガス出口ディフューザー62の熱容量より小さい。シュラウドリング63は、円筒形部分68とフランジ部分69と引っ掛かり部分70とを備えている。円筒形部分68は、概ね管状に形成され、管の内側に内側面71が形成されている。円筒形部分68は、管の内側面71が動翼3に対向するように、かつ、内側面71が動翼3の翼端44から所定の距離だけ離れるように、配置されている。円筒形部分68は、さらに、円筒形部分68とガス出口ディフューザー62との間に隙間72が形成されるように、配置されている。
フランジ部分69は、回転軸5に垂直である平面に沿って円筒形部分68の一端から外側に張り出すように形成されている。フランジ部分69は、貫通孔73が形成されている。ボルト64は、フランジ部分69の貫通孔73を貫通し、ガス出口ディフューザー62の雌ねじ66に締結されている。ボルト64は、ガス出口ディフューザー62の雌ねじ66に締結されることにより、フランジ部分69をガス出口ディフューザー62に支持している。シュラウドリング63は、ボルト64でガス出口ディフューザー62に支持されることにより、ガス出口ディフューザー62から外れることが防止され、所定の位置により確実に配置されることができる。このとき、ボルト64は、隙間72の大きさが変動することができるように、シュラウドリング63をガス出口ディフューザー62に緩く支持している。
引っ掛かり部分70は、概ね管状に形成され、フランジ部分69のタービン半径方向外側の縁からガス出口ディフューザー62の側に張り出すように形成されている。このとき、シュラウドリング63は、ガス出口ディフューザー62の引っ掛け面67が引っ掛かり部分70に対向するように、すなわち、引っ掛かり部分70と回転軸5との間にガス出口ディフューザー62の引っ掛け面67が配置されるように、配置されている。
圧縮機20は、可動部と固定部とを備えている。可動部は、回転軸5を中心に回転可能に固定部に支持され、ロータ軸1に固定されている。圧縮機20は、回転軸5を中心に可動部が回転するときに、軸流タービン10により生成された回転動力を用いて空気を圧縮することにより燃焼用空気を生成する。
過給機は、図示されていない内燃機関に利用される。すなわち、内燃機関は、過給機により生成された燃焼用空気を用いて燃料を燃焼させることにより、動力を生成する。内燃機関は、さらに、燃料を燃焼させることにより排気ガスを生成し、排気ガスを軸流タービン10の排気ガス入口流路15に供給する。
内燃機関は、船舶に利用される。船舶は、内燃機関と過給機と船体と推進装置とを備えている。船体は、内燃機関と過給機とを搭載している。推進装置は、内燃機関により生成された動力を用いて船体を推進させる。
タービンの運転は、主に、起動時運転と通常運転と停止時運転の3つの運転モードを備えている。
起動時運転は、内燃機関が排出した排気ガスがタービン部に導かれることで開始される。このとき、動翼3と排気ガス案内筒61は、十分に低温であり、より具体的には外気温と同程度の温度である。
内燃機関は、動翼3と排気ガス案内筒61が低温であるときに、燃料を燃焼することにより排気ガスを生成し、排気ガスを排気ガス入口流路15に供給する。排気ガス入口流路15は、内燃機関から排気ガスが供給されることにより、排気ガスを環状ガス通路18に供給する。環状ガス通路18は、排気ガス入口流路15から排気ガスが供給されることにより、排気ガスをノズルリング14に供給する。ノズルリング14は、環状ガス通路18から排気ガスが供給されることにより、排気ガスを動翼3に噴射する。
動翼3は、ノズルリング14により排気ガスが噴射されることにより、回転軸5を中心に回転し、ロータディスク2を介して回転軸5を中心にロータ軸1を回転させる。すなわち、軸流タービン10は、内燃機関から排気ガスが供給されることにより、回転動力を生成する。過給機の圧縮機20は、ロータ軸1が回転軸5を中心に回転するときに、軸流タービン10により生成された回転動力を用いて空気を圧縮し、圧縮された燃焼用空気を内燃機関に供給する。内燃機関は、燃焼用空気を用いて燃料を燃焼する。
このとき、動翼3は、ノズルリング14から噴射される排気ガスに接触することにより加熱され、翼端44が回転軸5から遠ざかるように膨張する。ガス出口ディフューザー62は、ノズルリング14から排気ガスが噴射されることにより、加熱され、膨張する。このとき、ガス出口ディフューザー62は、熱容量が動翼3の熱容量より大きいことにより、動翼3よりゆっくりと加熱され、動翼3よりゆっくりと膨張する。
シュラウドリング63は、ノズルリング14から排気ガスが噴射されることにより、加熱される。このとき、シュラウドリング63は、熱容量がガス出口ディフューザー62の熱容量より小さいことにより、ガス出口ディフューザー62より速く加熱される。シュラウドリング63は、加熱されることにより膨張する。シュラウドリング63は、ガス出口ディフューザー62に緩く支持されていることにより、また、ガス出口ディフューザー62とシュラウドリング63との間に隙間72が形成されていることにより、ガス出口ディフューザー62により膨張が阻害されないで、隙間72が小さくなるように膨張する。
起動時運転中にシュラウドリング63とガス出口ディフューザー62の温度差は、次第に小さくなる。この温度差の変化がなくなった定常状態における運転を通常運転とする。すなわち、通常運転は、起動時運転が実行された後で、動翼3と排気ガス案内筒61とが所定の温度まで十分に昇温された後に、開始される。内燃機関は、燃料を燃焼することにより、動力を生成し、回転動力を外部機器に供給する。内燃機関は、さらに、排気ガスを排気し、排気ガスを過給機に供給する。
軸流タービン10は、内燃機関から過給機に供給された排気ガスを排気ガス入口流路15が環状ガス通路18に供給する。環状ガス通路18は、排気ガス入口流路15から排気ガスが供給されることにより、排気ガスをノズルリング14に供給する。ノズルリング14は、環状ガス通路18から排気ガスが供給されることにより、排気ガスを動翼3に噴射する。
動翼3は、ノズルリング14により排気ガスが噴射されることにより、回転軸5を中心に回転し、ロータディスク2を介して回転軸5を中心にロータ軸1を回転させる。すなわち、軸流タービン10は、内燃機関から排気された排気ガスを用いて回転動力を生成する。圧縮機20は、軸流タービン10により生成された回転動力を用いて、空気を圧縮し、圧縮された燃焼用空気を内燃機関に供給する。内燃機関は、圧縮機20により圧縮された燃焼用空気を用いて燃料を燃焼することにより、排気ガスを生成し、所定の動力を生成する。
停止時運転は、通常運転が終了した直後に、開始される。たとえば、停止時運転は、内燃機関が停止されることにより開始される。停止時運転では、軸流タービン10は、内燃機関から過給機に供給された排気ガスを排気ガス入口流路15から環状ガス通路18に供給する。環状ガス通路18は、排気ガス入口流路15から排気ガスが供給されることにより、排気ガスをノズルリング14に供給する。ノズルリング14は、環状ガス通路18から排気ガスが供給されることにより、排気ガスを動翼3に噴射する。
停止時運転が実行されている期間では、タービン部に流れ込む排気ガスの量が減り、タービン部内の雰囲気温度が下降する。このとき、動翼3は、タービン部内の雰囲気温度が下降するため、冷却され、翼端44が回転軸5に近づくように収縮する。ガス出口ディフューザー62は、タービン部内の雰囲気温度が下降することに伴って、冷却され、収縮する。このとき、ガス出口ディフューザー62は、熱容量が比較的大きいことにより、比較的ゆっくりと冷却され、比較的ゆっくりと収縮する。
シュラウドリング63は、タービン部内の雰囲気温度が下降することに伴って、冷却される。このとき、シュラウドリング63は、熱容量がガス出口ディフューザー62の熱容量より小さいことにより、ガス出口ディフューザー62より速く冷却される。シュラウドリング63は、冷却されることにより収縮する。このとき、シュラウドリング63は、ガス出口ディフューザー62に緩く支持されていることにより、内側面1が回転軸5に近づくように収縮する。ガス出口ディフューザー62は、ガス出口ディフューザー62の熱容量がシュラウドリング63の熱容量より大きいことにより、シュラウドリング63よりゆっくりと冷却され、シュラウドリング63よりゆっくりと収縮する。このとき、シュラウドリング63は、引っ掛かり部分70がガス出口ディフューザー62の引っ掛け面67に引っ掛かることにより、内側面71がタービン半径方向において回転軸5に接近するように収縮することが阻害される。
図3は、タービン部内の雰囲気温度の変化を示している。タービン部内温度変化51は、起動時運転が実行されているときに、時間の経過とともにタービン部内の雰囲気温度が上昇することを示している。タービン部内温度変化51は、さらに、通常運転が実行されているときに、タービン部内の雰囲気温度が大きく変化しないで概ね一定であることを示している。タービン部内温度変化51は、さらに、停止時運転が実行されているときに、タービン部内の雰囲気温度が下降することを示している。
図3は、さらに、動翼3の翼端44の位置の変化を示している。翼端位置変化52は、起動時運転が実行されているときに、時間の経過とともに翼端44が回転軸5から遠い側に移動することを示している。すなわち、翼端位置変化52は、タービン部内の雰囲気温度が上昇しているときに、時間の経過とともに動翼3の温度が上昇することにより、時間の経過とともに動翼3が膨張することを示している。
翼端位置変化52は、さらに、通常運転が実行されているときに、時間の経過とともに翼端44が大きく移動しないことを示している。すなわち、翼端位置変化52は、タービン部内の雰囲気温度が一定であるときに、動翼3の温度が大きく変動しないで、動翼3が大きく膨張または収縮しないことを示している。
翼端位置変化52は、さらに、停止時運転が実行されているときに、時間の経過とともに翼端44が回転軸5に近い側に移動することを示している。すなわち、翼端位置変化52は、タービン部内の雰囲気温度が下降しているときに、動翼3の温度が下降することにより、動翼3が収縮することを示している。
図3は、さらに、シュラウドリング63の内側面71の位置の変化を示している。内側面位置変化81は、起動時運転が実行されているときに、時間の経過とともに内側面71が回転軸5から遠い側に移動することを示している。すなわち、内側面位置変化81は、タービン部内の雰囲気温度が上昇しているときに、シュラウドリング63の温度が上昇することにより、シュラウドリング63が膨張することを示している。
内側面位置変化81は、さらに、通常運転が実行されているときに、内側面71の位置が大きく変化しないで一定であることを示している。すなわち、内側面位置変化81は、タービン部内の雰囲気温度が概ね一定であるときに、シュラウドリング63の温度が大きく変動しないで、シュラウドリング63が大きく膨張または収縮しないことを示している。
内側面位置変化81は、さらに、停止時運転が実行されているときに、時間の経過とともに内側面71が回転軸5に近い側に移動することを示している。すなわち、内側面位置変化81は、タービン部内の雰囲気温度が下降しているときに、シュラウドリング63の温度が下降することにより、シュラウドリング63が収縮することを示している。
翼端位置変化52と内側面位置変化81とは、停止時運転が実行されているときに、シュラウドリング63の内側面71が動翼3の翼端44よりゆっくり移動することを示している。翼端位置変化52と内側面位置変化81とは、さらに、停止時運転が実行されているときに、動翼3の翼端44がシュラウドリング63の内側面71に接触しないことを示している。
軸流タービン10は、翼端位置変化52と内側面位置変化81とに示されるように、ガス出口ディフューザー62とシュラウドリング63との間に隙間72が形成されていることにより、起動時運転または通常運転が実行されているときに、動翼3がシュラウドリング63の内側面1に接触することを防止することができる。すなわち、隙間72は、起動時運転または通常運転が実行されているときに、ガス出口ディフューザー62がシュラウドリング63の膨張を阻害しないように、動翼3がシュラウドリング63の内側面1に接触しないように、十分に大きく形成されている。
図4は、比較例の排気ガス案内筒を示している。比較例の排気ガス案内筒131は、既述の排気ガス案内筒61のシュラウドリング63の引っ掛かり部分70が省略されているものである。すなわち、比較例の排気ガス案内筒131は、ガス出口ディフューザー133とシュラウドリング134とボルト135とを備えている。ガス出口ディフューザー133は、排気ガス案内筒131の大部分を形成している。ガス出口ディフューザー133は、取り付け面136と雌ねじ137とが形成されている。取り付け面136は、ガス出口ディフューザー133のうちのガス入口ケーシング6の側の端に形成され、回転軸5に垂直である平面に沿って形成されている。雌ねじ137は、取り付け面136に形成されている。
シュラウドリング134は、炭素鋼から形成され、機械加工により概ね管状に形成されている。シュラウドリング134の質量は、ガス出口ディフューザー133の質量より小さい。このため、シュラウドリング134の熱容量は、ガス出口ディフューザー133の熱容量より小さい。シュラウドリング134は、円筒形部分138とフランジ部分139とを備えている。円筒形部分138は、概ね管状に形成されている。円筒形部分138は、管の内側面141が動翼3に対向するように、かつ、内側面141が動翼3の翼端44から所定の距離だけ離れるように、配置されている。円筒形部分138は、さらに、円筒形部分138とガス出口ディフューザー133との間に隙間142が形成されるように、配置されている。
フランジ部分139は、回転軸5に垂直である平面に沿って円筒形部分138の一端から外側に張り出すように形成されている。フランジ部分139は、貫通孔143が形成されている。ボルト135は、フランジ部分139の貫通孔143を貫通し、ガス出口ディフューザー133の雌ねじ137に締結されている。ボルト135は、ガス出口ディフューザー133の雌ねじ137に締結されることにより、フランジ部分139をガス出口ディフューザー133に支持している。シュラウドリング134は、ボルト135でガス出口ディフューザー133に支持されることにより、ガス出口ディフューザー133から外れることが防止され、所定の位置により確実に配置されることができる。このとき、ボルト135は、隙間142の大きさが変動することができるように、シュラウドリング134をガス出口ディフューザー133に緩く支持している。
図5は、比較例のシュラウドリング134の内側面141の位置の変化を示している。内側面位置変化153は、起動時運転が実行されているときに、時間の経過とともに内側面141が回転軸5から遠い側に移動することを示している。すなわち、内側面位置変化153は、タービン部内の雰囲気温度が上昇しているときに、シュラウドリング134の温度が上昇することにより、シュラウドリング134が膨張することを示している。
内側面位置変化153は、さらに、通常運転が実行されているときに、内側面141の位置が大きく変化しないで一定であることを示している。すなわち、内側面位置変化153は、タービン部内の雰囲気温度が概ね一定であるときに、シュラウドリング134の温度が大きく変動しないで、シュラウドリング134が大きく膨張または収縮しないことを示している。
内側面位置変化153は、さらに、停止時運転が実行されているときに、時間の経過とともに内側面141が回転軸5に近い側に移動することを示している。すなわち、内側面位置変化153は、タービン部内の雰囲気温度が下降しているときに、シュラウドリング134の温度が下降することにより、シュラウドリング134が収縮することを示している。
翼端位置変化52と内側面位置変化153とは、起動時運転と通常運転とが実行されているときに、動翼3の翼端44がシュラウドリング134の内側面141に接触しないことを示している。翼端位置変化52と内側面位置変化153とは、さらに、停止時運転が実行されているときに、シュラウドリング134の内側面141が動翼3の翼端44より速く回転軸5に向かって移動することを示している。翼端位置変化52と内側面位置変化153とは、さらに、停止時運転が実行されているときに、動翼3の翼端44がシュラウドリング134の内側面141に接触する可能性があることを示している。
内側面位置変化153と図3の内側面位置変化81は、停止時運転が実行されているときに、シュラウドリング63の内側面71が比較例のシュラウドリング134の内側面141よりゆっくり回転軸5に向かって移動することを示している。すなわち、内側面位置変化153と図3の内側面位置変化81は、停止時運転が実行されているときに、シュラウドリング63の引っ掛かり部分70がガス出口ディフューザー62の引っ掛け面67に引っ掛かっていることを示し、引っ掛かり部分70によりシュラウドリング63が収縮することが阻害されていることを示している。
排気ガス案内筒61を備えている軸流タービンは、内側面位置変化81に示されるように、停止時運転が実行されているときに、動翼3がシュラウドリング63の内側面71に接触することをより確実に防止することができる。すなわち、ガス出口ディフューザー62は、引っ掛かり部分70が引っ掛け面67に引っ掛かっているときに、シュラウドリング63の内側面71が動翼3に接触しないようにガス出口ディフューザー62が十分にゆっくり収縮するように、熱容量が十分に大きくなるように形成されている。
なお、引っ掛かり部分70は、円環状と異なる形状に形成される他の引っ掛かり部分に置換されることができる。引っ掛かり部分としては、回転軸5を中心とする円周に沿って等間隔に並べられる複数の突起が例示される。複数の突起は、フランジ部分69のフランジ部分69の外側の縁からガス出口ディフューザー62の側に突出し、複数の突起の各々と回転軸5との間にガス出口ディフューザー62の引っ掛け面67が配置されるように、形成されている。このような引っ掛かり部分が利用された軸流タービンも、既述の第2実施形態の軸流タービンと同様にして、停止時運転が実行されているときに、動翼3がシュラウドリング63の内側面71に接触することをより確実に防止することができる。
なお、シュラウドリング63は、鋳造により作製される鋳鉄から形成される他のシュラウドリングに置換されることもできる。このようなシュラウドリングが適用された軸流タービンも、既述の実施の形態における軸流タービンと同様にして、動翼3が他の部品に干渉することを防止することができる。
なお、軸流タービンは、VTI過給機(可変流路過給機)に利用されることもできる。軸流タービンは、さらに、過給機と異なる他の装置に利用されることもできる。このような軸流タービンも、既述の実施の形態における軸流タービンと同様にして、動翼3が他の部品に接触することを防止することができる。
なお、過給機を備える内燃機関は、船舶と異なる他の装置に利用されることもできる。他の装置としては、発電機が例示される。発電機は、内燃機関により生成される動力を用いて発電する。他の装置に適用される過給機も、既述の実施の形態における過給機と同様にして、動翼3が他の部品に干渉することを防止することができ、圧縮空気を内燃機関に安定して供給することができる。
3 動翼
10 軸流タービン
20 圧縮機
44 翼端
61 排気ガス案内筒
62 ガス出口ディフューザー
63 シュラウドリング
64 ボルト(支持部材)
65 取り付け面
67 引っ掛け面
68 円筒形部分
69 フランジ部分
70 引っ掛かり部分
71 内側面
72 隙間

Claims (5)

  1. タービン半径方向において動翼よりも外側に配置されるシュラウドリングと、
    タービン半径方向において前記シュラウドリングよりも外側に隙間を設けて配置されるガス出口ディフューザーと、を備え、
    前記シュラウドリングは、前記ガス出口ディフューザーのガス入口側端部に設けられ、
    前記ガス出口ディフューザーは、その前記ガス入口側端部の外周に、前記動翼の回転軸を中心とする円周面上に形成された引っ掛け面を備え、
    前記シュラウドリングは、前記ガス出口ディフューザーにおける前記ガス入口側端部に重なるフランジ部分と、前記フランジ部分の外縁部に形成されて前記引っ掛け面の外周側に対向する引っ掛かり部分と、を備えることを特徴とするタービン。
  2. 前記引っ掛かり部分は、前記動翼の回転軸を中心とする円周に沿って形成される複数の突起であることを特徴とする請求項1に記載のタービン。
  3. 前記シュラウドリングを前記ガス出口ディフューザーに支持する支持部材をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタービン。
  4. 請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に記載されるタービンと、
    前記タービンの回転動力を用いて空気を圧縮する圧縮機と
    を備えることを特徴とする過給機。
  5. 請求項4に記載される過給機と、
    前記過給機が空気を圧縮することにより生成された燃焼用空気を用いて動力を生成する内燃機関と、
    前記過給機と前記内燃機関とを搭載する船体と、
    前記動力を用いて前記船体を推進させる推進装置と
    を備える船舶。
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