JP5888174B2 - 水素ガス発生方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水素ガスの発生方法に係り、とくに鉄系材料を素材として水素ガスを発生させる簡便な、水素ガス発生方法に関する。
近年、地球環境の保全という観点から、炭酸ガス排出の削減が求められ、自動車向けや家庭向けに、水素ガスを利用した燃料電池の開発が進められている。しかし、水素ガスを安定して確保することは、かなりの困難を伴う。というのは、水素ガスは、現状では、水の電気分解、天然ガスの改質、製鉄所で発生するコークス還元ガスから水素を分離する、などの方法で製造することができる。しかし、水の電気分解、天然ガスの改質による方法は、水素ガスを得るために多量のエネルギーを消費し、地球環境の保全という観点からは問題を残している。また、製鉄所で発生するコークス還元ガスから水素を分離する方法は、製鉄所内自家発電用エネルギーを消費することになり、製鉄所内のエネルギー需給バランスを崩し、自家発電用エネルギーの不足、さらには外部からの電力購入を行うことになり、矛盾が生じるという問題がある。
最近では、上記したような方法とは異なる、水素ガスの製造方法が種々提案されている。例えば、特許文献1には、樹脂廃材からの水素の製造方法が提案されている。特許文献1に記載された技術は、樹脂を含有する廃棄物と水とを、含水酸化鉄粒子又は/及び酸化鉄粒子の存在下で反応させるに際し、含水酸化鉄粒子又は/及び酸化鉄粒子を含有する樹脂組成物と、樹脂を含有する廃棄物とを混合、好ましくは溶融混合させて反応させることに特徴がある。また、特許文献1に記載された技術では、含水酸化鉄としては、ゲーサイト(α−FeOOH)、レビッドクロサイト(γ−FeOOH)、δ−FeOOHのうちの1種または2種以上とすることが好ましいとしている。特許文献1に記載された技術によれば、廃棄物として処理に困っていた高分子廃材を再資源化し有効利用することができるとしている。
また、特許文献2には、水素ガス製造方法が記載されている。特許文献2に記載された技術は、電解質水溶液と酸素ガスを含む気体を入れた容器の中で、金属鉄を電解質水溶液に浸漬し、金属鉄から鉄イオンを溶解させ腐食生成物として沈殿させることにより水素ガスを発生させる水素ガス製造方法である。特許文献2に記載された技術によれば、電解質水溶液として海水を利用でき、100℃程度の比較的低温での簡便な操業が可能であるとしている。
なお、特許文献2に記載された技術では、金属鉄が腐食により主としてオキシ水酸化鉄などの腐食生成物に変化していることにより、水素が発生するとしている。酸性でない電解質水溶液中では、金属鉄は、つぎのようなアノード反応とカソード反応からなる腐食反応により溶解する。
2Fe → 2Fe2++4e(アノード反応)
O+ 2HO +4e→4OH(カソード反応)
そして、これらの鉄イオン(Fe2+)と水酸基イオン(OH)とは、Fe(OH)を形成すると考えられ、形成されたFe(OH)はさらに雰囲気からの酸素ガスと反応して、FeOOHなどの腐食生成物を形成し、これにより、水素ガスが発生することになるとしている。
また、特許文献3には、水及び保水剤を含み酸素との接触で発熱する発熱性組成物とアルミニウム粒子とを酸素存在下で混合状態として水素を発生させる水素発生方法が記載されている。特許文献3に記載された技術によれば、自己発熱により水素ガスを急速かつ安定的に発生させることができ、温度制御が不要で、燃料電池に水素を供給する装置に有用であるとしている。
特開2003−119474号公報 特開2006−45033号公報 特開2006−240931号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、樹脂を含有する廃棄物の有効利用を目的としたものであり、含水酸化鉄粒子又は/及び酸化鉄粒子を含有する樹脂組成物と、樹脂を含有する廃棄物とを混合する際に、好ましくは300〜2000℃という高温に保持する必要があり、多量のエネルギーを必要とするという問題がある。
また、特許文献2に記載された技術によれば、比較的低温での操業で水素ガスの製造が可能であるが、特許文献2に記載された技術では水素発生源はあくまでFeであり、腐食反応に基づいて水素ガスを発生させるとしている。このような現象は、すでに自然界で例えば海水中に沈んだ鉄などで水素ガスの発生が認められて然るべきであるが、そのような報告もなく、工業的規模での操業を実施するまでには、更なる検討を必要とするという問題がある。
さらに、特許文献3に記載された技術では、カイロ等で使用される発熱組成物とアルミニウム粒子とを利用しているが、いずれも高価であり、工業的規模で実施するまでには、更なる検討を必要とするという問題がある。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、高価な素材を用いることなく、しかも簡便に、水素ガスを発生できる、水素ガス発生方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、大気環境下あるいは乾湿繰り返し腐食下で、鋼板(鋼材)における拡散性水素の挙動を調査している際に、偶然に、錆びた鋼板(鋼材)から水素ガスが発生する場合があることを見出した。
まず、本発明者らが行った実験結果について説明する。
表1に示す組成の鋼材(鋼No.A)から試験材を採取した。使用した鋼材は、引張強さ280MPa級(30kgf/mm2)の汎用軟鋼板(冷延焼鈍板)である。
これら試験材に加速腐食試験(乾湿繰返試験)を施して腐食された試験材とし、昇温解離式ガスクロマトグラフィ(以下、単にガスクロともいう)を用いて放出される水素量を調査した。
試験方法はつぎのとおりとした。
採取した試験材から、腐食試験片(大きさ:厚さ0.8mm×幅12mm×長さ55mm)を採取し、SAE−J2334の規定に準拠して、下記に示すような乾湿サイクル(図2参照)を1サイクルとして、10サイクル、および、30サイクル繰り返す乾湿繰返試験(加速腐食試験)を実施した。なお、週末、祝日には「乾燥」のみを継続することにした。
塩水浸漬:0.25h(液温:25℃)→乾燥:17.75h(温度60℃、相対湿度50%)→湿潤:6h(温度50℃、相対湿度100%)
なお、使用した塩水は、(0.5%NaCl+0.1%CaCl+0.075%NaHCO)水溶液とした。
上記した加速腐食試験を行った後に、試験装置から試験片を取り出し、流水で表面に付着した錆を洗い流し、液体窒素中に保持した。その後、ガスクロ測定直前に、さらにサンドペーパを用いて、試験片表面を研磨し極力錆だけを取り除いた。なお、ペーパ研磨時に試験片の温度が上昇しないように配慮した。
表面に付着した錆を取り除いた試験片について、ガスクロを用いて、試験片から放出される水素量を測定した。測定は、ガスクロの分子篩として、モルキュラー・シーブ5A(MS−5A)を選択し、高純度アルゴンガスを流しながら、試験片を200℃/hで昇温しながら、2.5min間隔で、室温域〜600℃までに放出される水素ガスの測定を行った。なお、ガスクロ検出器は、TCD(Thermo−Conductivity−Detector)を用いた。
得られた放出水素量と加熱温度との関係を図1に示す。図1(a)は乾湿を10サイクル繰り返し、湿潤状態で終了した場合、図1(b)は、乾湿を30サイクル繰り返し、湿潤状態で終了した場合である。図1から、いずれの場合も、100℃付近、さらに300℃付近および400℃付近に水素の放出ピークが顕著に存在することがわかる。この300℃付近および400℃付近のピークは、従来から知られている、鋼材中に含まれる拡散性水素の放出ピークである200℃までのピークと全く異なるものである。
さらに、SAE−J2334とは異なるサイクルを行う、JASO−M609規格に準拠して乾湿繰返し試験(加速腐食試験)を行い、放出水素量について同様の調査を行った。その結果、300℃付近および400℃付近の水素の放出ピークが、同様に、観察された。したがって、300℃付近および400℃付近の水素の放出ピークの出現は、腐食試験のサイクルの違いではなく、加速腐食試験そのものを行ったことに起因すると考えた。
加速腐食試験後の試験片は、測定前に表面に付着した錆を常用の方法で取り除き、清浄な表面としてガスクロ測定を行った。ガスクロ測定後の試験片表面には、図7に示すような斑点状のシミが浮き出ている。このことから判断すると、表面の研磨、研削等によっては除去されず残存した錆の一部が肉厚方向に成長していて、水素ガス発生に寄与したものと推定した。
さらに、本発明者らは、上記したと同じ鋼材(鋼A)製の腐食試験片に、加速腐食試験を3ヶ月以上、実施し、層状の赤錆のみを生成し、膨れあがったが、元の板形状をかろうじて維持できている試験片を得た。そして、得られた試験片を微細に粉砕して得た鉄錆(粉末状)について、上記したと同様の測定条件で、ガスクロマトグラフィーで放出水素を測定した。その結果、拡散性水素か非拡散性水素かの定義が厳密にはできないが、仮の定義として、300℃付近および400℃付近の水素の放出ピークが確認された。(図3参照)
このようなことから、加速腐食試験後の試験片について観察された300℃付近および400℃付近の水素の放出ピークは、試験片表面に残存していた鉄錆が、ガスクロ装置内でアルゴンガス流中で加熱時に反応して水素を発生していると考えるべきであるという結論を得た。
さらに、鉄錆のうち、水素発生に寄与する錆を確認するために、本発明者らは、鉄錆の試薬について、ガスクロマトグラフィーを用いて、同様に昇温脱離分析を行い、放出水素を測定する実験を行った。
使用した試薬は、いずれも90〜99%以上の純度を有する、FeO(酸化鉄(III)、和光純薬工業製)、FeO(四三酸化鉄、和光純薬工業製)、FeO・HO(=FeOOH)(酸化鉄(III)水和物、和光純薬工業製)とした。なお、これらの試薬は半円柱状でボート状の容器(石英ガラス製)に、1回、0.2〜0.7g入れて、ガスクロマトグラフィーの石英管内にセットした。
得られた結果を、水素放出速度と加熱温度との関係で、図4に示す。
図4から、FeOOH(ゲーサイト)の場合にとくに、100〜400℃の範囲で、水素が多く放出されることが認められた。なお、FeO(マグネタイト)の場合にも、若干の水素放出が認められたが、その理由は明確でない。FeO試薬は、純度95%であったので、別種の鉄錆(若干のFeOOH等)が混入したものと推定している。一方、FeO(ヘマタイト)の場合には、水素の放出は全く認められなかった。
なお、測定前後でXRDによる相同定を行ったところ、図5に示すように、FeOOHはFeOに変化していた。FeO、FeOは、測定の前後での相変化は認められなかった。
このようなことから、乾湿繰り返し加速腐食試験を実施した試験材が、加熱過程における300〜400℃近傍で水素を放出する機構は、加速腐食試験中に生成された鉄錆、とくにFeOOHの加熱による変化によるものであるという結論に到達した。
すなわち、鉄錆、とくにFeOOHは、400℃程度の温度まで加熱されることにより、水素ガスを発生させることができるという知見を得た。なお、「FeOOH」はFeO・H2Oとも表記されるので、ここでいうFeOOHは「オキシ水酸化鉄」を意味することとする。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)FeOOHを含む素材に、アルゴンガス流中で100〜400℃の範囲の温度に加熱して前記FeOOHがFeO (ヘマタイト)に変化する処理を施し、水素ガスを発生させることを特徴とする水素ガス発生方法。
(2)FeOOHを含む素材に、アルゴンガス流中で100〜400℃の範囲の温度に加熱して前記FeOOHがFeO (ヘマタイト)に変化する処理を施し、水素ガスを発生させたのちに、前記FeO (ヘマタイト)をFeOOHに変化させる錆処理を施し、ついでアルゴンガス流中で100〜400℃の範囲の温度に加熱して該錆処理を施されて生成した該FeOOHがFeO (ヘマタイト)に変化する処理を施し、水素ガスを発生させる工程を、複数回繰返すことを特徴とする水素ガス発生方法。
)(1)または(2)において、前記素材が、FeOOHを含む鉄系材料であることを特徴とする水素ガス発生方法。
)(1)ないし()のいずれかにおいて、前記処理が、FeO (ヘマタイト)の生成量をモニターしながら行う処理であることを特徴とする水素ガス発生方法。
)(1)ないし()のいずれかにおいて、前記素材が、粉末であることを特徴とする水素ガス発生方法。
本発明によれば、高価な素材を用いることなく、しかも簡便に、水素ガスを発生でき、産業上格段の効果を奏する。
SAE−J2334規格に準じた乾湿繰返し腐食試験後の放出水素量の測定結果を示すグラフである。 乾湿繰り返し加速腐食試験のサイクルを示す説明図である。 加速腐食試験後の試験片から採取した鉄錆(赤錆)の放出水素量の測定結果を示すグラフである。 試薬(鉄錆成分)を用いた水素放出速度に及ぼす加熱温度の影響を示すグラフである。 加熱測定前後での、試料中に存在する相のXDR分析結果を示すグラフである。 実施例の放出水素量の測定結果を示すグラフである。 ガスクロ測定後の試験片の表面外観を示す組織写真である。 実施例の放出水素量と保持時間の関係を示すグラフである。 全放出水素量の50%、90%が放出される保持温度と保持時間との関係を示すグラフである。
本発明の水素ガス製造方法では、FeOOHを含む素材を用いる。なお、ここでいう「FeOOHを含む素材」とは、FeOOHが含まれるものであればよく、とくにその種類、形態は限定されない。素材としては、例えば、純FeOOH粉や、錆としてFeOOHが形成された鉄鋼材料等の鉄系材料が例示できる。なお、鉄系材料としては、さらにFe基合金やFeを含有する合金、低品位の鉄鉱石等も含まれる。さらに、鉄鋼材料としては、赤錆の主成分であるFeOOHが形成できる組成であればよく、各種鋼材、各種鉄スクラップ等がいずれも適用でき、とくにその組成は限定されない。また、反応の容易さという観点から、素材の形態は、粉体とすることが好ましい。なお、ここでいう「FeOOH」は、上記したように「FeO・H2O」と表記される物質と等価である。
本発明では、上記したようなFeOOHを含む素材に、FeOOHがFeOに変化する処理を施し、水素ガスを発生させる。FeOOHがFeOに変化する処理としては、FeOOHを含む素材を100〜400℃の温度域に加熱する処理がある。この処理は、FeOOHを含む素材の温度が上記した範囲の温度となればよく、この温度域に、FeOOHを含む素材を加熱すれば、反応の詳細については明確になっていないが、FeOOHがFeOに変化する反応により水素ガスが発生する。なお、加熱する温度域は、好ましくは250〜350℃の温度域である。
上記した範囲の温度域に加熱する処理としては、上記した範囲の一定温度に加熱し保持する処理(定温加熱)、あるいは、上記した範囲の温度域を所定の加熱速度で、昇温(加熱)する処理(連続加熱)とどちらでもよい。
なお、本発明で対象とする水素ガスの発生は、100〜400℃温度域で生じるため、定温加熱でも、例えば加熱温度が400℃超と高い温度に設定すれば、例えば13.3℃/min程度の通常の加熱速度でも、昇温中にほとんどの水素ガスが発生することになる。なお、加熱速度が著しく速い場合には、保持温度に到達したのちに水素ガスが発生する場合がある。
また、加熱温度を400℃と設定しても、水素ガスは昇温中に一部が発生することになる。というのは、昇温中に100〜400℃未満の領域を通過し、この温度域を連続加熱したことになるためである。
なお、素材の加熱は、好ましくは非酸化性雰囲気中で、さらに好ましくは非酸化性雰囲気の容器内で行う。非酸化性雰囲気としては、純アルゴン等の不活性雰囲気とすることが好ましいが、それに限定されないことは言うまでもない。なお、加熱のための熱源は、とくに限定する必要はなく、ヒーター、バーナー等の常用の加熱手段がいずれも適用できる。
発生する水素量は、素材に含まれるFeOOH量に依存する。FeOOH含む素材は、連続的に、あるいは間歇的(バッチ式)に、所望の水素ガス発生量となるように供給することが好ましい。
また、本発明では、上記したように、FeOOHを含む素材に、前記FeOOHがFeOに変化する処理を施し、水素ガスを発生させたのちに、前記FeOをFeOOHに変化させる錆処理を施すことが好ましい。ここでいう「錆処理」とは、FeOをFeOOHに変化させる処理を意味し、水素ガスを発生させた残渣であるFeOを、再度錆びさせFeOOHに変化させる処理をいう。錆処理の条件は、FeOをFeOOHに変化させることができる処理であればよく、とくに限定されないが、手軽な方法として例えばまず、室温大気雰囲気中で、空気に触れさせながら水をかける方法、あるいは水噴霧する方法が挙げられる。また、湿度:50%以上の湿潤雰囲気、好ましくは250℃以下の温度域で、素材の重量、体積、表面積により適正範囲が異なるが、30分以上保持する処理とすることが好ましい。なお、処理温度域を250℃以下としたのは、図4から明らかなように、250℃を超える温度域では、水素の発生が顕著になり、FeOOHがFeOへ変化して水素発生源となるFeOOHの形成ができなくなるためである。
上記したような錆処理を施して、水素ガスを発生させた残渣であるFeOをFeOOHに変化させることにより、得られたFeOOHがさらにFeOに変化する処理を施せば、複数回繰返して水素ガスを発生させることができるようになる。すなわち、このようなFeOOHがFeOに変化する処理を施し、水素ガスを発生させたのちに、FeOをFeOOHに変化させる錆処理を施し、生成されたFeOOHがFeOに変化する処理をさらに施して、水素ガスを発生させる工程を複数回繰返し行うことが好ましい。
以下、さらに実施例に基づいて、さらに詳細に、本発明について説明する。
(実施例1)
表1に示す組成の鋼材Bから、試験材(0.85mm厚×12mm幅×55mm長さ)を8枚採取し、図2に示すSEA−J2334に準拠した腐食サイクル(1日)を20サイクル(20日間)負荷し、全面に鉄錆が覆った試験材(素材)とした。試験材に形成された鉄錆は、ほとんどが赤錆でありFeOOHを主とするものであった。
得られた試験材(素材:乾燥合計重量35.4g)は、流水中で水洗し、乾燥したのち、大気室内環境下で約1日保持した後、ガスクロ測定を行った。素材は純アルゴン雰囲気の非酸化性雰囲気の容器中で、室温から600℃まで加熱速度:200℃/hで加熱する加熱処理を施された。加熱処理を施しながら、2.5min間隔でガスクロマトグラフィを用いて放出される水素分析を行った。
得られた結果を、図6に示す。
素材からは、加熱処理中の200〜400℃で非拡散性水素の放出が認められ、放出量の合計は、7.47ppmであった。なお、100℃近傍の拡散性水素の放出はなく、放出された水素ガスは、鉄錆(主としてFeOOHを含む)を含む素材に加熱処理を施した際に、鉄錆が反応して水素ガスを発生させたものである。
(実施例2)
鉄錆FeOOHの試薬(粉末)を、半円柱状でボード状の容器(石英ガラス製)に0.2〜0.3g入れて、ガスクロマトグラフィー内で、図8に示す熱処理(定温加熱保持)を施し、放出水素量を測定した。なお、室温から各定温保持温度までを30minで昇温した。
得られた結果を水素放出速度と保持時間(昇温を含む)との関係で、図8に示す。
図8から、加熱温度:400℃では、水素は昇温時(30minまでに)に全発生水素量の70〜80%が発生している。また、加熱温度:300℃では、昇温を含む保持時間:90minまでにほとんどの水素が発生している。また、加熱温度:200℃では、昇温を含む保持時間ととも少量ずつ発生するが、水素量は少ない。
さらに、図8から、各加熱温度で保持した際に、各温度での全水素発生量の50%、90%が発生する時間を求め、加熱温度と保持時間(昇温時間を含む)の関係で図9に示す。
図9から、加熱温度、保持時間の関係で、A(400℃、25min)、B(300℃、35min)、C(200℃、600min)の各点を結ぶ線より右側の領域に、位置する加熱温度、保持時間で熱処理すれば、全水素発生量の50%以上の水素を発生させることができる。
また、D(400℃、40min)、E(300℃、60min)、F(200℃、1060min)の各点を結ぶ線より右側の領域に、位置する加熱温度、保持時間で熱処理すれば、全水素発生量の90%以上の水素を発生させることができることになる。
(実施例3)
鉄錆FeOOHの試薬(粉末)を、半円柱状でボード状の容器(石英ガラス製)に10g入れて、ガスクロマトグラフィー内で、加熱温度:300℃で、120min間保持する処理を施して、水素を放出させた。この処理による放出水素量は合計で7.2質量ppmであった。なお、室温から加熱温度までを30minで昇温した。ついで、水素を放出させた残渣(FeO)を、80℃で湿度:100%に保持した雰囲気中に5h保持して、錆を発生させる錆処理を施し、FeOOHを生成させた。得られたFeOOHに、さらに加熱温度:300℃で、120min間保持する処理を施して、水素を放出させた。この処理による放出水素量は合計で1.5質量ppmであった。
上記した各処理を順次行う工程を、さらに2回繰返し行った。繰り返し2回の工程により、放出された合計水素量は、1.2質量ppmとなった。錆処理を行うことにより、繰返して水素を発生させることができることがわかる。
なお、繰返し2回の工程後に放出される水素量が第1回目の放出水素量より減少した理由はつぎのように考えている。
第1回目の水素放出に際しては、試薬であるFeOOH粉はFeOに変化しても粉末状を維持できているが、その後残渣(FeO)を錆処理として湿度の高い雰囲気中に保持すると、凝集して塊状になり、表面積が減少した分、錆処理によるFeOOHの生成反応が不十分となり、錆処理により生成するFeOOH量自体が減少したためと考えられる。錆処理を施しても素材の状態を粉末状等の表面積の大きい状態を維持することにより、所望量の水素放出を繰返し実現できる。

Claims (5)

  1. FeOOHを含む素材に、アルゴンガス流中で100〜400℃の範囲の温度に加熱して前記FeOOHがFeO (ヘマタイト)に変化する処理を施し、水素ガスを発生させることを特徴とする水素ガス発生方法。
  2. FeOOHを含む素材に、アルゴンガス流中で100〜400℃の範囲の温度に加熱して前記FeOOHがFeO (ヘマタイト)に変化する処理を施し、水素ガスを発生させたのちに、前記FeO (ヘマタイト)をFeOOHに変化させる錆処理を施し、ついでアルゴンガス流中で100〜400℃の範囲の温度に加熱して該錆処理を施されて生成した該FeOOHがFeO (ヘマタイト)に変化する処理を施し、水素ガスを発生させる工程を、複数回繰返すことを特徴とする水素ガス発生方法。
  3. 前記素材が、FeOOHを含む鉄系材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の水素ガス発生方法。
  4. 前記処理が、FeO (ヘマタイト)の生成量をモニターしながら行う処理であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の水素ガス発生方法。
  5. 前記素材が、粉末であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の水素ガス発生方法。
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